説明

計量包装システム

【課題】 1列に並んで搬送される複数の袋または容器へ同時に被計量物を供給して包装する計量包装システムにおいて、高速運転を行うことが可能になる計量包装システムを提供する。
【解決手段】 袋Pを搬送方向に1列に並べて搬送するとともに、袋Pをn個(nは複数)ずつ複数の停止位置で停止させ、かつ、1回の搬送によって各々の停止位置にあるn個の袋Pを次の停止位置へ移動させるようにして順次搬送する包装機2と、それぞれ1つの袋Pへ重量が計量された被計量物を排出するためのn個の組合せ秤1A,1B,1Cとを備え、n個の組合せ秤1A,1B,1Cが複数の停止位置ST3〜ST5の上方に配置され、組合せ秤1A,1B,1Cから排出される被計量物がその下方の停止位置ST3,ST4,ST5に停止した袋Pへ供給されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量された被計量物を複数の袋へ同時に供給して包装する計量包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤等の計量機によって計量された菓子類等の被計量物は、包装機によって袋詰めされるのが一般的である。このような計量包装システムにおいて、例えば、袋が1列に並んで搬送され、複数の袋に同時に被計量物が供給されるように構成されている包装機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような包装機では、例えば、間欠的に回転する回転テーブルが備えられているとともに、回転テーブルの側面に設けられたグリッパにより袋が把持されて、回転テーブルが所定の方向に間欠的に回転し、それぞれの停止位置に複数、例えば2つずつの袋が移送され、それぞれの停止位置において所定の処理を行うための装置が備えられている。そして、ある1つの停止位置において、2つの袋へ同時に被計量物を供給するように構成されている。この場合、回転テーブルの間欠回転によって、1列に並んだ袋が円弧を描くように搬送されることになるが、1列に並んだ袋が略一直線に搬送されるように構成されているものもある。
【0004】
図4(a)は、1列に並んだ袋が略一直線に搬送され、各停止位置において2つずつの袋に所定の処理が行われるように構成されている従来の計量包装システムの一部の概略構成を示す平面図である。また、図4(b)は、図4(a)に示された2つの組合せ秤1D,1Eのうちの一方の組合せ秤1Dの集合シュート16と包装機2の投入ファネル23及び袋Pを側面から視た図である。
【0005】
この場合、袋Pは矢印a方向へ搬送され、1回の搬送動作により、停止位置ST61の2つの袋Pは次の停止位置ST62へ移動する。このとき、同様に、停止位置ST62の2つの袋Pは次の停止位置ST63へ移動し、停止位置ST63の2つの袋Pは次の停止位置(図示せず)へ移動する。例えば、停止位置ST61では、吸盤装置(図示せず)により2つの袋Pの袋口が開かれ、停止位置ST62では、投入ファネル23が下降して2つの各袋Pの袋口へ挿入され、各組合せ秤1D,1Eから投入ファネル23を介して被計量物が袋Pに供給される。また、停止位置ST63では、シールヒータ(図示せず)により2つの各袋Pの袋口がシールされる。
【0006】
この場合、各投入ファネル23に対応してその上方に組合せ秤1D,1Eが配設されており、各組合せ秤1D,1Eでは、例えば円状に列設された計量ホッパ14のうち、被計量物の重量が所定重量範囲内になる組合せの計量ホッパ14を求め、その組合せの計量ホッパ14から所定のタイミングにて被計量物を排出する。この被計量物は、集合シュート16上を滑り落ちて集合シュートの排出口16aから排出され、投入ファネル23を介して袋Pへ供給される。
【特許文献1】特開2002−36392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成では、ある1つの停止位置において、互いに隣接する複数の袋に同時に被計量物を供給するように構成されているため、複数の組合せ秤1D、1Eの配置が容易ではなく、各組合せ秤1D、1Eの集合シュート16において、その排出口16aが、計量ホッパ4の列設形状である円の中心から外れて配設され、集合シュートの排出口16aに対する各計量ホッパ4の位置によって、各計量ホッパ4から集合シュートの排出口16aまでの被計量物の移送距離及びシュート面の傾斜が大きく異なる。そのため、集合シュート16上を移送されその排出口16aに到達する被計量物の到達時刻のばらつきが大きくなり、計量ホッパ14から排出された被計量物が集合シュートの排出口16aへ最初に到達する時刻から最後に到達する時刻までの間に長時間を要する。したがって、組合せ秤の運転速度を早くすると、集合シュート16上へ先に排出された被計量物とその次に排出された被計量物との間隔が十分にとれなかったり、混在してしまうことになるので、高速運転を行うことができない。このように組合せ秤の高速運転を行うことができないと、計量包装システム全体としても高速運転を行うことができなくなる。なお、先に述べた回転テーブルの間欠回転によって、袋が円弧を描くように搬送されるように構成されている場合も同様である。
【0008】
また、組合せ秤に限らず他の計量機であっても、袋幅に対して比較的大きな計量機の場合には、計量機の配置が容易ではなく、各計量機の排出口からそれぞれの投入ファネル23へ被計量物を供給するために、例えば別途設けられたシュートを介して供給するような場合には、袋Pへの被計量物の供給に長時間を要し、計量包装システム全体の運転速度が遅くなり、高速運転を行うことができなくなる。
【0009】
また、袋の代わりに、容器に被計量物を供給して包装する場合も同様の問題がある。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、1列に並んで搬送される複数の袋または容器へ同時に被計量物を供給して包装する計量包装システムにおいて、高速運転(高速動作)を行うことが可能になる計量包装システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の計量包装システムは、袋または容器を搬送方向に1列に並べて搬送するとともに、前記袋または容器をn個(nは複数)ずつ複数の停止位置で停止させ、かつ、1回の搬送によって各々の前記停止位置にあるn個の前記袋または容器を次の前記停止位置へ移動させるようにして順次搬送する搬送手段と、それぞれ1つの前記袋または容器へ重量が計量された被計量物を排出するためのn個の排出口を有した計量手段とを備え、前記n個の排出口が複数の前記停止位置の上方に分散して配置され、前記排出口から排出される被計量物が前記排出口の下方の前記停止位置に停止した前記袋または容器へ供給されるように構成されている。
【0012】
この構成によれば、計量手段のn個の排出口が、それぞれn個の袋または容器を停止させる複数の停止位置に対応して配置されているため、各排出口の間隔を広くとることができる。そのため、計量手段において、例えば被計量物が各排出口に到達するまでの経路を被計量物が通過しやすい経路として構成し、各排出口から排出される被計量物の排出時間を短時間にし、高速運転を行うことが可能になる。また、計量手段を、例えば、各々が排出口を有するn個の計量機で構成する場合には、計量機の配置が容易になる。
【0013】
また、前記n個の排出口のそれぞれが、異なる前記停止位置の上方に配置されていてもよい。
【0014】
このように、それぞれの排出口が、異なる停止位置に対応して配置されることにより、各排出口の間隔を広くとることが容易になる。
【0015】
また、前記n個の排出口のそれぞれが、互いに隣接していない袋または容器へ被計量物が排出されるように配置されていてもよい。
【0016】
このように、それぞれの排出口が、互いに隣接していない袋または容器に対応して配置されることにより、各排出口の間隔を広くとることが容易になる。
【0017】
また、前記計量手段は、n個の組合せ秤からなり、各々の前記組合せ秤は、それぞれ供給される被計量物を一時保持して排出するための複数のホッパと、供給されている被計量物の重量の合計が所定重量範囲内である前記ホッパの組合せを1つ求める演算手段と、前記演算手段により求められた組合せの前記ホッパから排出される被計量物を集合させて下部に設けられている前記排出口から排出するための集合シュートとを備えていてもよい。
【0018】
この構成によれば、n個の組合せ秤のそれぞれの集合シュートの排出口が複数の停止位置に対応して配置されているため、各集合シュートの排出口の間隔を広くとることができ、被計量物を排出口へ導く集合シュートを余裕をもって配設することができ、組合せ秤の配置が容易になる。したがって、各組合せ秤において、各集合シュートの排出口をその集合シュートの略中心に設けることができ、各ホッパから排出された被計量物の集合シュートの排出口までの移送距離を略同等にできるため、集合シュート上を移送されその排出口に到達する被計量物の到達時刻のばらつきが小さくなり、集合シュート上へ先に排出された被計量物とその次に排出された被計量物との間隔が十分にとれ、高速運転を行うことが可能になる。したがって、計量包装システム全体としても高速運転を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上に説明した構成を有し、1列に並んで搬送される複数の袋または容器へ同時に被計量物を供給して包装する計量包装システムにおいて、高速運転を行うことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の計量包装システムの概略構成図である。
【0022】
本実施の形態の計量包装システムは、3台の組合せ秤1A,1B,1Cと包装機2とを備えている。
【0023】
3つの組合せ秤1A,1B,1Cは同じ構成であり、それぞれ、装置上部の中央に、外部の供給装置から供給される被計量物を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ11が設けられている。分散フィーダ11の周囲には、分散フィーダ11から送られてきた被計量物を振動によって各供給ホッパ13に送りこむためのリニアフィーダ12が設けられている。リニアフィーダ12の下方には、複数の供給ホッパ13、計量ホッパ14がそれぞれ対応して設けられ、円状に配置されている。供給ホッパ13はリニアフィーダ12から送りこまれた被計量物を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ14が空になるとゲートを開いて計量ホッパ14へ被計量物を供給する。計量ホッパ14にはロードセル等の重量センサ15が取り付けられており、この重量センサ15により計量ホッパ14内の被計量物の重量が計測される。各重量センサ15の計測値は組合せ秤制御部10へ出力される。円状に列設された計量ホッパ14の下方には、略逆円錐台形状の集合シュート16が配設され、計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16上を滑り落ち、集合シュート16の下部の排出口に設けられた集合ホッパ17によって一時保持された後、集合ホッパ17から排出される。
【0024】
また、それぞれの組合せ秤1A,1B,1Cには組合せ秤制御部10が備えられている。
各組合せ秤制御部10は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、組合せ秤の全体の動作の制御を行うとともに、組合せ演算を行う。また、組合せ秤制御部10は、組合せ秤から包装機へ被計量物を排出する場合に排出信号を包装機制御部20へ出力する。
【0025】
組合せ演算では、それぞれの重量センサ15により計測される被計量物の重量値に基づいて、複数の計量ホッパ14の中から、被計量物の重量値の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標重量に対する許容範囲)内である計量ホッパ14の組合せ(排出組合せ)を1つ求める。所定重量範囲内にある組合せが複数存在する場合には、被計量物の重量値の合計と目標重量との差の絶対値が最も小さい計量ホッパ14の組合せを1つ求めて排出組合せに決める。
【0026】
図2は、包装機2の一例の概略構成を示す側面図である。
【0027】
包装機2には、袋Pを把持するグリッパ21を有する搬送手段(図示せず)が設けられており、予め製造されストックされている袋が3つずつ、袋移送装置(図示せず)により、停止位置ST1の側面に移送され、それぞれグリッパ21により袋Pの両縁部が把持される。この袋Pは、例えば下端部及び両縁部がシールされ、上端部に口(開口部分)を有している。そして、グリッパ21により把持された袋Pが、上記搬送手段によって、停止位置ST1から、各停止位置ST2〜ST7へ順に搬送される。すなわち、各袋Pは、1列に並んで矢印a(図1)の方向へ略一直線に搬送され、1回の搬送により各停止位置からその次の停止位置まで搬送される。上記搬送手段は、例えば、グリッパ21をチェーン等の無端の搬送帯で間欠的に周回させるように構成すればよい。なお、このような搬送手段に代えて、間欠的に回転する円形の回転テーブルが備えられた構成であってもよい。この場合、例えば回転テーブルの側面にグリッパ21が取り付けられ、回転テーブルが間欠的に回転することにより、グリッパ21により把持された袋Pが円弧を描くように搬送され、それぞれの停止位置ST1〜ST7へ搬送される。ここで、それぞれの停止位置ST1〜ST7は、回転テーブルの側面になり、例えば、はじめの停止位置ST1の隣(停止位置ST2とは反対側の隣)に最後の停止位置ST7が設けられる。
【0028】
それぞれの停止位置ST2〜ST7には、それぞれの所定の処理を行うための装置が備えられている。停止位置ST2には、3つの袋Pのそれぞれの袋口を開くための吸盤装置22が備えられている。停止位置ST3〜ST5には、それぞれの上方に配設されている組合せ秤1A、1B、1Cから排出される被計量物を袋Pへ充填するための投入ファネル23が備えられている。各投入ファネル23は、上昇及び下降できるように、上下可動装置(図示せず)に取り付けられている。停止位置ST6には、3つの袋Pのそれぞれの袋口(袋の上端部の開口部分)をシールするためのシールヒータ24が備えられている。停止位置ST7の下部には、グリッパ21が開かれて落下する3つの袋Pを排出するためのコンベア25が備えられている。
【0029】
また、包装機2には包装機制御部20(図1)が備えられている。この包装機制御部20は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、包装機の全体の動作の制御を行う。また、包装機制御部20は、所定のタイミングにて、組合せ秤に対して被計量物の排出を要求する排出要求信号を、3つの組合せ秤1A,1B,1Cの各制御部10へ同時に出力する。
【0030】
図1では、停止位置ST3〜ST5における包装機2と組合せ秤1A,1B,1Cとの構成が示されている。この図1では、上下可動装置(図示せず)により投入ファネル23が上昇して停止しているときの状態が示されている。各停止位置ST3〜ST5では、投入ファネル23が下降して袋Pの上部の口に挿入され、その状態で組合せ秤1A,1B,1Cの集合ホッパ17のゲートが開かれると、集合ホッパ17内の被計量物が投入ファネル23を介して袋Pに供給される。そして、投入ファネル23が上昇した後で、それぞれの停止位置ST1〜ST6の3つの袋は次の停止位置ST2〜ST7へ搬送されるとともに、袋移送装置(図示せず)によって新しい3つの袋が停止位置ST1へ移送される。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態の計量包装システムの動作を説明する。各組合せ秤1A,1B,1Cの動作はそれぞれの組合せ秤制御部10によって制御され、包装機2の動作は包装機制御部20によって制御される。
【0032】
各組合せ秤1A,1B,1Cでは、外部の供給装置から分散フィーダ11へ供給された被計量物が、分散フィーダ11から各リニアフィーダ12を介し各供給ホッパ13へ供給され、各供給ホッパ13から各計量ホッパ14へ被計量物が供給される。各計量ホッパ14へ供給された被計量物の重量が各重量センサ15で計測され、その計量値が制御部10へ送出される。各組合せ秤1A,1B,1Cの制御部10では、前述の組合せ演算が行われて排出組合せが決定される。そして、排出組合せに選択されている計量ホッパ14から被計量物が排出され、集合ホッパ17に一旦貯留される。ここで空になった計量ホッパ14へは供給ホッパ13から被計量物が供給される。また、空になった供給ホッパ13へはリニアフィーダ12から被計量物が供給される。そして、各組合せ秤制御部10では、包装機制御部20から排出要求信号が入力されると、集合ホッパ17のゲートを開いて被計量物を排出させる。
【0033】
また、包装機2では、例えば、予め製造されストックされている袋が3つずつ、袋移送装置(図示せず)により、停止位置ST1の側面に移送され、それぞれグリッパ21により各袋Pの両縁部が把持される。そして、3つの袋Pは、停止位置ST1から、停止位置ST2、停止位置ST3、停止位置ST4、停止位置ST5、停止位置ST6、停止位置ST7へと順に搬送される。各停止位置において、以下の処理が行われる。なお、停止位置ST3、ST4、ST5においては、図中、左側の袋Pを1番目、中央の袋Pを2番目、右側の袋Pを3番目と番号が付されているものとして説明する。
【0034】
まず、停止位置ST2では、吸盤装置22により3つの袋Pの上端の袋口が開かれる。
【0035】
次の停止位置ST3では、投入ファネル23が下降し、投入ファネル23の下部が1番目の袋Pの上端の袋口に挿入され、組合せ秤1Aから投入ファネル23を介して被計量物が袋Pに供給された後、投入ファネル23が上昇して下降前の元の位置に戻る。
【0036】
次の停止位置ST4では、投入ファネル23が下降し、投入ファネル23の下部が2番目の袋Pの上端の袋口に挿入され、組合せ秤1Bから投入ファネル23を介して被計量物が袋Pに供給された後、投入ファネル23が上昇して袋Pから抜き出されて下降前の元の位置に戻る。
【0037】
次の停止位置ST5では、投入ファネル23が下降し、投入ファネル23の下部が3番目の袋Pの上端の袋口に挿入され、組合せ秤1Cから投入ファネル23を介して被計量物が袋Pに供給された後、投入ファネル23が上昇して下降前の元の位置に戻る。
【0038】
上記の停止位置ST3〜ST5において、それぞれ1つの袋Pに被計量物が供給されることにより、隣接する3つの袋Pに被計量物が供給される。ここで、例えば、包装機制御部20は、同時に3つの投入ファネル23を下降させるとともに排出要求信号を3つの組合せ秤制御部10へ出力する。各々の組合せ秤制御部10は、排出要求信号に応答して集合ホッパ17のゲートを開いて被計量物を排出させるとともに排出信号を包装機制御部20へ出力する。包装機制御部20では、3つの組合せ秤制御部10からの排出信号が入力されるとともに各停止位置における処理が終わると、各停止位置の袋Pを次の停止位置へ搬送させる。
【0039】
次に、停止位置ST6では、シールヒータ24により3つの袋Pの袋口がシールされる。そして次の停止位置ST7では、グリッパ21が開かれて3つの袋Pはコンベア25上へ排出される。
【0040】
また、停止位置ST3〜ST5の上方に配設された各組合せ秤1A,1B,1Cでは、前述の組合せ演算により排出組合せを求め、その排出組合せに選択されている計量ホッパ14から被計量物を排出し、集合ホッパ17にて一時保持する。そして、包装機2からの排出要求信号が入力されると、集合ホッパ17のゲートを開いて被計量物を排出するとともに、被計量物の排出を知らせる排出信号を包装機2へ出力する。それぞれの集合ホッパ17から排出された被計量物は、投入ファネル23を介して袋Pに供給される。
【0041】
本実施の形態では、3つの組合せ秤1A,1B,1Cから3つの袋Pへ同時に被計量物を供給するために、3つの停止位置ST3〜ST5においてそれぞれ1袋ずつ供給するように構成しているため、3つの組合せ秤1A,1B,1Cを余裕をもって配設することができる。すなわち、組合せ秤1A,1B,1Cの各集合シュート16は、図4のような歪な形状ではなく、上部の開口の略中心線上に下部の排出口が設けられた構成とすることができる。したがって、各組合せ秤1A,1B,1Cにおいて、各計量ホッパ14から排出された被計量物の集合シュート16の排出口までの移送距離を略同等にできるため、集合シュート16上を移送され集合シュート16の排出口に到達する被計量物の到達時刻のばらつきが小さくなり、集合シュート16上へ先に排出された被計量物とその次に排出された被計量物との間隔が十分にとれ、高速運転(高速動作)が可能になるという効果が得られる。したがって、計量包装システム全体としても高速運転(高速動作)を行うことが可能になるという効果が得られる。
【0042】
なお、上記では、包装機2の各停止位置に3つの袋Pが停止するように構成された場合について説明したが、各停止位置に2つあるいは4つ以上の袋Pが停止するように構成されている場合についても同様である。いずれの場合も、各停止位置に停止する袋数と同数の袋に対して同時に被計量物が供給される。
【0043】
例えば、図3(a)は、包装機2の各停止位置に2つの袋Pが停止するように構成されている場合において、被計量物の供給が行われる停止位置を示し、図3(b)は、包装機2の各停止位置に4つの袋Pが停止するように構成されている場合において、被計量物の供給が行われる停止位置を示す。また、図3(c)は、包装機2の各停止位置に3つの袋Pが停止するように構成されている場合において、被計量物の供給が行われる停止位置の他の例を示し、図3(d)、(e)は、包装機2の各停止位置に4つの袋Pが停止するように構成されている場合において、被計量物の供給が行われる停止位置の他の例を示す。
【0044】
なお、図3(a)〜(e)では、組合せ秤を図示していないが、組合せ秤からは投入ファネル23へ被計量物が排出されるので、各投入ファネル23のすぐ上に組合せ秤の集合シュート16の排出口及び集合ホッパ17が配置される。ここで、図3(a)〜(e)に示された被計量物が供給される各停止位置に、袋搬送方向aに並ぶ順番(図中、左から右へ並ぶ順番)に番号が付され、それぞれの停止位置における袋にも、各停止位置内において袋搬送方向aに並ぶ順番に番号が付されているものとして説明する。例えば、図3(a)の場合、停止位置ST11が1番目の停止位置、停止位置ST12が2番目の停止位置であり、各停止位置において、左側の袋Pが1番目の袋、右側の袋Pが2番目の袋である。
【0045】
図3(a)の場合、包装機2の各停止位置に2つの袋Pが停止し、2つの停止位置において被計量物が袋Pへ供給される。この場合、1番目の停止位置ST11では、1番目の袋Pに被計量物が供給され、2番目の停止位置ST12では、2番目の袋Pに被計量物が供給される。
【0046】
図3(b)の場合は、包装機2の各停止位置に4つの袋Pが停止し、4つの停止位置において被計量物が袋Pへ供給される。この場合、1番目の停止位置ST21では、1番目の袋Pに被計量物が供給され、2番目の停止位置ST22では、2番目の袋Pに被計量物が供給され、3番目の停止位置ST23では、3番目の袋Pに被計量物が供給され、4番目の停止位置ST24では、4番目の袋Pに被計量物が供給される。
【0047】
また、図1の場合は、1番目の停止位置ST3では、1番目の袋Pに被計量物が供給され、2番目の停止位置ST4では、2番目の袋Pに被計量物が供給され、3番目の停止位置ST5では、3番目の袋Pに被計量物が供給される。
【0048】
以上の図1、図3(a)、図3(b)のように、各停止位置にn個(nは複数)の袋が配置され、n個の各停止位置において1個ずつの袋に同時に被計量物が供給されるように構成されている場合、被計量物が供給されるn個の停止位置に、袋搬送方向aに並ぶ順番に番号を付し、それぞれの停止位置における袋にも、各停止位置内において袋搬送方向aに並ぶ順番に番号を付せば、k番目(k=1〜n)の停止位置では、k番目の袋に被計量物を供給するように、投入ファネル23を配置し、その上に組合せ秤を配設すればよい。ただし、この構成に限られるものではなく、互いに隣接しない袋Pに対して投入ファネル23が配置されて被計量物が供給されるように構成することにより、従来のように1つの停止位置内の全部の袋に供給する場合よりは、各組合せ秤の間隔を大きくとることができるので、前述の効果が得られる。
【0049】
また、図3(c)に示されるように、包装機2の各停止位置に3つの袋Pが停止し、2つの停止位置ST31、ST32において、3つの袋Pへ同時に被計量物が供給されるように構成してもよい。
【0050】
また、図3(d)に示されるように、包装機2の各停止位置に4つの袋Pが停止し、3つの停止位置ST41〜ST43において、4つの袋Pへ同時に被計量物が供給されるように構成してもよい。
【0051】
また、図3(e)に示されるように、包装機2の各停止位置に4つの袋Pが停止し、2つの停止位置ST51、ST52において、4つの袋Pへ同時に被計量物が供給されるように構成してもよい。
【0052】
以上の図3(c)〜(e)のように、包装機2の各停止位置に3つ以上の袋Pが停止するように構成した場合には、被計量物を供給するための停止位置の数を、同時に供給する袋数(各停止位置に配置される袋数)より少ない複数とし、互いに隣接しない袋Pに対して被計量物が供給されるように構成することにより、従来のように1つの停止位置内の全部の袋に供給する場合よりは、各組合せ秤の間隔を大きくとることができるので、前述の効果が得られる。
【0053】
また、袋Pに被計量物を供給する複数の停止位置の間に、被計量物を供給しない停止位置(以下、「非供給位置」という)、例えば何の処理も行われない停止位置が設けられてあってもよい。この場合、非供給位置を挟んで隣り合う2つの停止位置において最も近い2つの袋Pに対して被計量物が供給されるように構成しても、従来のように1つの停止位置内の全部の袋に供給する場合よりは、各組合せ秤の間隔を大きくとることができるので、前述の効果が得られる。
【0054】
また、本実施の形態のように袋Pが1つずつ分離されて搬送される場合において、隣接する各々の停止位置の間隔を、各停止位置内で停止している袋P間の間隔よりも大きくしてあってもよい。この場合、隣接する2つの停止位置において最も近い2つの袋Pに対して被計量物が供給されるように構成しても、従来のように1つの停止位置内の全部の袋に供給する場合よりは、各組合せ秤の間隔を大きくとることができるので、前述の効果が得られる。
【0055】
なお、本実施の形態における組合せ秤及び包装機の構成については、種々変更が可能である。以下に、その一例を挙げる。
【0056】
例えば、組合せ秤は、集合シュート16の下部の排出口の集合ホッパ17が設けられていない構成でもよい。この場合、排出組合せに選択されている計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16上を滑り落ちて直接包装機2の投入ファネル23へ供給されるように構成される。
【0057】
また、組合せ秤は、図1の例では、組合せ演算の対象となるホッパ(組合せ用ホッパ)として計量ホッパ14のみを有する構成であるが、合計重量値が所定重量範囲内である被計量物が排出されるように構成されてあればよく、組合せ演算の対象となるホッパの構成としては種々変更が可能である。一例を挙げれば、それぞれの計量ホッパ14に対応して計量ホッパ14の下方に、それぞれ対応する計量ホッパ14から計量済みの被計量物が供給されるメモリホッパを配設し、計量ホッパ14は、対応するメモリホッパと集合シュート16とへ選択的に被計量物を排出可能な構成にしてもよい。この場合、組合せ秤制御部10は、各々の計量ホッパ14に供給されている被計量物の重量値と各々のメモリホッパに供給されている被計量物の重量値とに基づいて組合せ演算を行うことにより、被計量物の重量値の合計が所定重量範囲内になる計量ホッパ14及び/又はメモリホッパの組合せを求めて排出組合せに決めればよい。
【0058】
また、上記の組合せ秤では、組合せに用いられる組合せ用ホッパが円状に列設された構成としたが、この構成に限られない。例えば、組合せ用ホッパが楕円状、正方形、長方形等の多角形状、あるいは直線状に列設された構成であってもよい。また、集合シュートは、例えば上部の開口形状を組合せ用ホッパの列設形状に応じた形状とし、各組合せ用ホッパから排出される被計量物を集めて下部の排出口から排出できるように構成してあればよい。
【0059】
さらに、組合せ秤に代えて、被計量物を計量し、包装機へ被計量物を供給する計量機であってもよい。
【0060】
また、組合せ秤等の計量機が被計量物の排出口を複数有する構成とし、1台の計量機から複数の投入ファネル23へ被計量物を供給するように構成されてあってもよい。この場合、例えば、それぞれ2つの排出口を有する2台の計量機から、4つの投入ファネル23へ被計量物を同時に供給するように構成してあってもよい。また、計量機が組合せ秤の場合には、複数の排出組合せを同時に求め、各排出組合せに選択されているホッパから排出される被計量物が別々の集合シュートを通ってそれぞれの排出口から排出されるように構成されてあればよい。
【0061】
また、包装機については、製袋装置が組み合わされた包装機であってもよい。また、この場合、袋が1つずつ分離されておらず、つながった状態の袋が矢印a方向へ搬送される構成であってもよい。例えば、長尺状のフィルムシートがロールから巻き戻されて2つ折りにされ、その後、袋のボトムシール部(袋の下端部のシール部)及びサイドシール部(袋の両縁部のシール部)が熱溶着等により形成された後、1つずつの袋にカットされて、あるいはカットされないで、停止位置ST2へ移送されてくるように製袋装置が組み合わされた包装機であってもよい。
【0062】
また、包装機は、袋の代わりに、プラスチック等の容器に被計量物が供給されるように構成されたものでもよい。いずれにしても、包装機では、上部に開口を有する袋または容器に被計量物が供給された後、上部の開口を封止する処理(例えば、図2の停止位置ST6における処理)が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る計量包装システムは、被計量物の計量及び包装動作を高速で行う計量包装システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態の計量包装システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における包装機の一例の概略構成を示す側面図である。
【図3】(a)〜(b)は、それぞれ本発明の実施の形態における組合せ秤と包装機との他の配置例を説明するための図である。
【図4】(a)は、従来の計量包装システムの一部の概略構成を示す平面図であり、(b)は、同計量包装システムに用いられている2つのうちの一方の組合せ秤の集合シュートと包装機の供給ファネル及び袋とを側面から視た図である。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C 組合せ秤
14 計量ホッパ
15 重量センサ
16 集合シュート
17 集合ホッパ
2 包装機
23 投入ファネル
ST1〜ST7 停止位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋または容器を搬送方向に1列に並べて搬送するとともに、前記袋または容器をn個(nは複数)ずつ複数の停止位置で停止させ、かつ、1回の搬送によって各々の前記停止位置にあるn個の前記袋または容器を次の前記停止位置へ移動させるようにして順次搬送する搬送手段と、
それぞれ1つの前記袋または容器へ重量が計量された被計量物を排出するためのn個の排出口を有した計量手段とを備え、
前記n個の排出口が複数の前記停止位置の上方に分散して配置され、前記排出口から排出される被計量物が前記排出口の下方の前記停止位置に停止した前記袋または容器へ供給されるように構成された計量包装システム。
【請求項2】
前記n個の排出口のそれぞれが、異なる前記停止位置の上方に配置された請求項1に記載の計量包装システム。
【請求項3】
前記n個の排出口のそれぞれが、互いに隣接していない前記袋または容器へ被計量物が排出されるように配置された請求項1または2に記載の計量包装システム。
【請求項4】
前記計量手段は、n個の組合せ秤からなり、
各々の前記組合せ秤は、
それぞれ供給される被計量物を一時保持して排出するための複数のホッパと、
供給されている被計量物の重量の合計が所定重量範囲内である前記ホッパの組合せを1つ求める演算手段と、
前記演算手段により求められた組合せの前記ホッパから排出される被計量物を集合させて下部に設けられている前記排出口から排出するための集合シュートとを備えた請求項1に記載の計量包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−174282(P2008−174282A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10095(P2007−10095)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(505260556)
【Fターム(参考)】