説明

記録再生装置および再生装置

【課題】早見機能を用いて字幕表示を含む映像および音声を再生する際の再生時間を、会話部分の内容把握を妨げることなく短縮する。
【解決手段】再生速度制御部4は、字幕データから字幕情報として抽出された字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数に基づいて、字幕の表示単位ごとに字幕表示を含む区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この算出した字幕の1文字あたりの表示時間に応じて字幕表示を含む区間における再生速度を、字幕表示を含まない区間における再生速度を最大の再生速度として、この最大の再生速度以下、かつ、通常視聴時の再生速度以上の間の速度範囲内で変化させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像および音声を記録再生する記録再生装置および再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像と音声とを記録再生する装置として、例えばビデオテープレコーダのようなテレビ信号を記録再生する装置があり、このような装置は、その特殊機能の1つとして、例えば1.5倍速で再生するような早見機能を備えている。この早見機能を用いると、記録した番組を記録した時間より短い時間で視聴することができるため、記録した番組を見る時間の少ないユーザにとっては非常に便利な機能である。しかしながら、この早見機能を用いて高速再生を行うと、音声の内の会話部分において、会話が早口になり、ユーザにとって聞き辛くなっていた。
【0003】
そこで、会話部分の内容把握を妨げることなく再生時間を短縮するために、字幕が表示されている場面のみ標準速度で再生し、それ以外は高速再生する技術が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2001−45408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、字幕表示を含む区間については、すべて標準速度での再生を行っている。したがって、記録された会話が通常速度もしくは早口の区間だけでなく、ゆっくりとした会話の区間においても標準速度で再生されるため、再生時間の短縮効果が十分ではないという問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、早見機能を用いて字幕表示を含む映像および音声を再生する際の再生時間を、会話部分の内容把握を妨げることなく短縮することができる記録再生装置および再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の記録再生装置は、映像データ、音声データ、および字幕データを含むストリーム信号の前記字幕データから、字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数を字幕情報として抽出する字幕情報抽出手段と、この字幕情報抽出手段で抽出した前記字幕情報、および前記ストリーム信号を格納する記録手段と、この記録手段に格納された前記ストリーム信号を再生する再生手段と、前記字幕情報に基づいて、字幕の表示単位ごとに字幕表示を含む区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この算出した字幕の1文字あたりの表示時間に応じて前記字幕表示を含む区間における再生速度を、字幕表示を含まない区間における再生速度を最大の再生速度として、この最大の再生速度以下、かつ、通常視聴時の再生速度以上の間の速度範囲内で変化させるように、前記再生手段を制御する再生速度制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の再生装置は、映像データ、音声データ、字幕データ、および字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、字幕文字数を含む字幕情報が予め格納された記憶媒体から前記映像データ、前記音声データ、および前記字幕データを再生する再生手段と、前記字幕情報に基づいて、字幕の表示単位ごとに字幕表示を含む区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この算出した字幕の1文字あたりの表示時間に応じて前記字幕表示を含む区間における再生速度を、字幕表示を含まない区間における再生速度を最大の再生速度として、この最大の再生速度以下、かつ、通常視聴時の再生速度以上の間の速度範囲内で変化させるように、前記再生手段を制御する再生速度制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数に基づいて、字幕の表示単位ごとに字幕表示を含む区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この字幕の1文字あたりの表示時間に応じて字幕表示を含む区間における再生速度を、字幕表示を含まない区間における再生速度を最大の再生速度として、この最大の再生速度以下、かつ、通常視聴時の再生速度以上の間の速度範囲内で変化させるように制御するので、早見機能を用いて字幕表示を含む映像および音声を再生する際の再生時間を、会話部分の内容把握を妨げることなく短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、デジタル放送を記録再生するDVDレコーダ、またはHDDレコーダ等の特殊機能(早見機能)に適用される。
【0010】
図1は本発明の実施の形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態に係る記録再生装置は、放送信号を受信し、視聴可能な映像データと音声データと字幕データとを含むトランスポートストリーム(TS)信号に変換して出力するデジタルチューナ1と、字幕データから字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数を字幕情報として抽出する字幕情報抽出部2と、TS信号と字幕情報とを記録するHDD等からなるデータ記憶部3と、字幕情報を用いて再生速度を制御するための再生制御信号を生成する再生速度制御部4と、再生速度制御部4からの再生速度制御信号により、データ記憶部3のTS信号の再生速度を制御し、得られた可変速の再生ストリーム信号を、映像信号と音声信号とに変換して外部の表示装置6に出力する可変速対応ストリーム再生部5とを備える。
【0011】
図2は図1に示す記録再生装置の再生速度制御部4の構成を示すブロック図である。図2に示すように再生速度制御部4は、字幕情報に含まれる字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数に基づいて、字幕表示区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出する1文字表示時間算出部41と、1文字表示時間算出部41で算出した1文字あたりの表示時間と所定の閾値とを比較してその結果を出力する比較器42と、字幕情報に含まれる字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および比較器42の結果出力に基づいて、再生速度を制御するための再生制御信号を生成する速度制御部43とを備える。
【0012】
次に、本実施の形態に係る記録再生装置の動作について説明する。
【0013】
まず、記録時において、デジタルチューナ1は、放送信号を受信し、この放送信号をTS信号に変換して出力する。デジタル放送のTS信号には、圧縮された映像データ、音声データ、および字幕データ等の副情報が含まれている。
【0014】
次いで、字幕情報抽出部2は、デジタルチューナ1からのTS信号に含まれる字幕データから、字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数を字幕情報として抽出して出力する。データ記憶部3には、デジタルチューナ1からのTS信号と、字幕情報抽出部2からの字幕情報とが記録される。
【0015】
そして、データ記憶部3に記録した番組を、時間短縮して再生する早見再生を行う場合、1文字表示時間算出部41は、字幕表示開始時刻と字幕表示終了時刻とその間の字幕文字数をデータ記憶部3から読み出し、字幕表示開始時刻と字幕表示終了時刻とから字幕表示時間を秒数で算出し、その字幕表示時間を字幕文字数で割った値(1文字表示時間)を出力する。そして、比較器42は、1文字表示時間算出部41で算出された1文字表示時間と、予め設定した所定の閾値とを比較し、その大小を出力する。
【0016】
速度制御部43は、字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および比較器42からの出力に基づいて、再生速度制御信号を生成し、これを可変速対応ストリーム再生部5に出力する。ここで、速度制御部43は、字幕表示の有無、および比較器42での比較結果(大小)によって、字幕なし区間と、高速字幕区間(1文字表示時間が閾値より大の区間)と、通常字幕速度区間(1文字表示時間が閾値以下の区間)とでそれぞれ再生速度を設定しておく。この再生速度は、字幕なし区間では早見機能を実現できる最高速度(例えば1.5倍速)、通常字幕速度区間は標準速度(1倍速)、高速字幕区間はその間の速度(例えば1.3倍速)に設定する。
【0017】
そして、可変速対応ストリーム再生部5は、再生速度制御部4からの再生速度制御信号により、データ記憶部3からのTS信号の再生速度を制御し、得られた可変速の再生ストリーム信号を、映像信号と音声信号とに変換して外部の表示装置6に出力する。
【0018】
字幕の表示と再生速度の例を図3に示す。この例では、1文字表示時間算出部41の出力値と比較する閾値を0.6秒/文字とし、再生速度は、字幕なし区間では1.5倍速、通常字幕速度区間は1倍速、高速字幕区間は1.3倍速に設定している。
【0019】
字幕表示区間Aでは10文字を10秒で表示しているので、1文字表示時間は1秒/文字となり、閾値の0.6秒/文字より大きいので、高速字幕区間として1.3倍速で再生する。また、字幕表示区間Aでは、20文字を10秒で表示しているので、1文字表示時間は0.5秒/文字となり、閾値の0.6秒/文字より小さいので、通常字幕速度区間として1倍速で再生する。
【0020】
このように本実施の形態によれば、字幕表示区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この算出結果に応じて字幕表示区間における再生速度を変化させる。これにより、字幕表示区間における会話速度に応じた再生速度制御が可能となり、早見機能を用いて字幕表示を含む映像および音声を再生する際の再生時間を、会話部分の内容把握を妨げることなく短縮することができる。なお、字幕を含む再生区間において、字幕の表示は問わないものとする。
【0021】
また、上記実施の形態では、受信した放送信号から得た映像データ、音声データ、および字幕データを記録再生する場合について説明したが、予め映像データ、音声データ、字幕データ、および字幕情報が格納されたデータ記憶部3から早見再生を行う場合でも、上記説明した再生速度制御部4および可変速対応ストリーム再生部5と同様の処理を行うことにより、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
(変形例)
本発明の実施の形態の変形例に係る記録再生装置は、図1,2に示す再生速度制御部4を、図4に示す再生速度制御部4aに置き換えた構成である。図4に示すように再生速度制御部4aは、字幕情報に含まれる字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数に基づいて、字幕表示区間における字幕の1文字表示時間を算出する1文字表示時間算出部46と、1文字表示時間算出部46で算出した1文字表示時間と所定の第1の閾値とを比較してその結果を出力する比較器47Aと、1文字表示時間と所定の第2の閾値とを比較してその結果を出力する比較器47Bと、字幕情報に含まれる字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および比較器47A,47Bの結果出力に基づいて、再生速度を制御するための再生制御信号を生成する速度制御部48とを備える。
【0023】
速度制御部48は、字幕表示の有無、および比較器47A,47Bでの比較結果(大小)によって、字幕なし区間と、第1の高速字幕区間と、第2の高速字幕区間と、通常字幕速度区間とでそれぞれ再生速度を設定する。
【0024】
ここで、第1の閾値が第2の閾値より小さいとすると、第1の高速字幕区間は1文字表示時間が第2の閾値より大の区間であり、第2の高速字幕区間は1文字表示時間が第1の閾値以上かつ第2の閾値以下の区間であり、通常字幕速度区間は1文字表示時間が第1の閾値より小の区間である。
【0025】
速度制御部48で設定する再生速度は、字幕なし区間では早見機能を実現できる最高速度(例えば1.5倍速)、通常字幕速度区間は標準速度(1倍速)、第1および第2の高速字幕区間はその間の速度とする。
【0026】
本変形例における字幕の表示と再生速度の例を図5に示す。この例では、1文字表示時間算出部46の出力値と比較する第1の閾値を0.6秒/文字、第2の閾値を0.8秒/文字とし、再生速度は、字幕なし区間では1.5倍速、通常字幕速度区間は1倍速、第1の高速字幕区間は1.3倍速、第2の高速字幕区間は1.1倍速に設定している。
【0027】
字幕表示区間Bでは10文字を10秒で表示しているので、1文字表示時間は1秒/文字となり、第2の閾値の0.8秒/文字より大きいので、第1の高速字幕区間として1.3倍速で再生する。また、字幕表示区間Bでは、20文字を10秒で表示しているので、1文字表示時間は0.5秒/文字となり、第1の閾値の0.6秒/文字より小さいので、通常字幕速度区間として1倍速で再生する。また、字幕表示区間Bでは、16文字を10秒で表示しているので、1文字表示時間は0.625秒/文字となり、第1の閾値以上で第2の閾値以下であるので、第2の高速字幕区間として1.1倍速で再生する。
【0028】
このように1文字表示時間と予め設定した閾値とを比較する比較器を2つ設けることで、字幕表示区間の再生速度を3段階に設定できるので、より高速な早見機能が実現できる。なお、比較器を3つ以上設けることで、字幕表示区間の再生速度制御をより細かくすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す記録再生装置の再生速度制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における字幕の表示と再生速度の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る再生速度制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例における字幕の表示と再生速度の例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 デジタルチューナ
2 字幕情報抽出部
3 データ記憶部
4 再生速度制御部
5 可変速対応ストリーム再生部
41,46 1文字表示時間算出部
42,47A,47B 比較器
43,48 速度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データ、音声データ、および字幕データを含むストリーム信号の前記字幕データから、字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、および字幕文字数を字幕情報として抽出する字幕情報抽出手段と、
この字幕情報抽出手段で抽出した前記字幕情報、および前記ストリーム信号を格納する記録手段と、
この記録手段に格納された前記ストリーム信号を再生する再生手段と、
前記字幕情報に基づいて、字幕の表示単位ごとに字幕表示を含む区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この算出した字幕の1文字あたりの表示時間に応じて前記字幕表示を含む区間における再生速度を、字幕表示を含まない区間における再生速度を最大の再生速度として、この最大の再生速度以下、かつ、通常視聴時の再生速度以上の間の速度範囲内で変化させるように、前記再生手段を制御する再生速度制御手段と
を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
映像データ、音声データ、字幕データ、および字幕の表示単位ごとの字幕表示開始時刻、字幕表示終了時刻、字幕文字数を含む字幕情報が予め格納された記憶媒体から前記映像データ、前記音声データ、および前記字幕データを再生する再生手段と、
前記字幕情報に基づいて、字幕の表示単位ごとに字幕表示を含む区間における字幕の1文字あたりの表示時間を算出し、この算出した字幕の1文字あたりの表示時間に応じて前記字幕表示を含む区間における再生速度を、字幕表示を含まない区間における再生速度を最大の再生速度として、この最大の再生速度以下、かつ、通常視聴時の再生速度以上の間の速度範囲内で変化させるように、前記再生手段を制御する再生速度制御手段と
を備えることを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−166973(P2008−166973A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352293(P2006−352293)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】