説明

記録媒体保持装置及び記録装置

【課題】記録媒体をスタックするためのスペースを小さくするとともに多数の記録媒体をスタックできる記録媒体保持装置及び記録装置を提供する。
【解決手段】記録処理が施された記録媒体Sが排出される第1の媒体支持部材41と、第1の媒体支持部材41より低い位置に配置され、第1の媒体支持部材41から記録媒体Sが受け渡される第2の媒体支持部材42と、を備えた記録媒体保持装置4に関する。第1の媒体支持部材41は、記録媒体Sの搬出方向下流側における記録媒体Sの保持面41cが搬出方向上流側における保持面41cよりも高い位置となるように傾斜した状態で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体保持装置及び記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録装置として所定の記録処理を施した記録用紙(記録媒体)を排出したものを収容する収納式スタッカーを備えたプリンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。このプリンターでは、プリンター本体に収納式スタッカーが回動可能に取り付けられており、スタッカーを使用するとき、記録用紙を載置する載置面を略水平状態に配置するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−59214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術ではスタッカーの使用時に載置面が略水平状態とされるため、プリンター本体の前方にスタッカーを使用するための広いスペースを確保する必要が生じてしまうという問題があった。また、スタッカー上に記録用紙がある程度積層されてくると、上方の記録用紙がプリンター本体側に押し出されることで記録用紙の紙詰まりが発生するおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、記録媒体をスタックするためのスペースを小さくするとともに多数の記録媒体をスタックできる記録媒体保持装置及び記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の記録媒体保持装置は、記録処理が施された記録媒体が排出される第1の媒体支持部材と、前記第1の媒体支持部材より低い位置に配置され、該第1の媒体支持部材から前記記録媒体が受け渡される第2の媒体支持部材と、を備えた記録媒体保持装置において、前記第1の媒体支持部材は、前記記録媒体の搬出方向下流側における前記記録媒体の保持面が搬出方向上流側における前記保持面よりも高い位置となるように傾斜した状態で配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の記録媒体保持装置によれば、第1の媒体支持部材に排出された記録媒体は保持面に沿って第2の媒体支持部材へとすべり落ちることで確実に受け渡すことができる。記録媒体は第2の媒体支持部材に収容されるため、第1の媒体支持部材上に記録媒体が積み重なることがない。よって、第1の媒体支持部に積み重なった記録媒体により記録媒体の搬送不良が生じるといった不具合の発生を防止できる。また、第1の媒体支持部材が傾斜した状態で配置されるため、第1の媒体支持部材が前方に迫り出すスペースを小さくすることができ、装置構成を小型化できる。したがって、記録媒体をスタックするためのスペースを小さくするとともに多数の記録媒体をスタックできる信頼性の高い装置を提供できる。
【0008】
また、上記記録媒体保持装置においては、前記第1の媒体支持部材は、前記記録媒体の前記搬出方向上流側における端部が前記第1の媒体支持部材に向けて搬送される前記記録媒体の下面を支持するプラテン部材に当接或いは離間可能に構成されるのが好ましい。
この構成によれば、第1の媒体支持部材をプラテン部材に当接させることで複数の記録媒体をスタックしておくことができる。また、第1の媒体支持部材をプラテン部材から離間させることにより、第1の媒体支持部材及びプラテン部材間に生じた隙間から記録部材を第2の媒体支持部材へと受け渡すことができる。
【0009】
また、上記記録媒体保持装置においては、前記第1の媒体支持部材の前記保持面は、前記搬出方向下流側から前記搬出方向上流側に向かって前記第2の媒体支持部材の媒体保持面に対する傾斜を小さくする湾曲部を有するのが好ましい。
この構成によれば、第1の媒体支持部材の前記保持面が湾曲部を有するので、第1の媒体支持部材から滑り落ちる記録媒体と第2の媒体支持部材との間に生じる摩擦を抑えることができる。よって、第1の媒体支持部材から第2の媒体支持部材へと滑らかに記録媒体を滑り落とすことができる。
【0010】
また、上記記録媒体保持装置においては、前記第2の媒体支持部材は、前記記録媒体の保持面が前記第1の媒体支持部材から離間するに従って下方に傾斜する傾斜面となっているのが好ましい。
この構成によれば、第2の媒体支持部材における保持面が傾斜面となっているので、記録媒体と保持面との間の角度を小さくすることで記録媒体と保持面との間に発生する摩擦を抑えることができる。よって、記録媒体を第2の媒体支持部材へとスムーズに受け渡すことができる。
【0011】
また、上記記録媒体保持装置においては、前記第2の媒体支持部材は、前記第1の媒体支持部材側の一端部に対して該一端部と反対の他端部を下方に傾けることで、前記記録媒体の保持面を前記第1の媒体支持部材から離間するに従って下方に傾斜可能とされるのが好ましい。
この構成によれば、第2の媒体支持部材の他端部を傾けることで記録媒体の保持面を傾斜させることができるので、第1の媒体支持部材から第2の媒体支持部材側へと記録媒体を良好に受け渡すことができる。
【0012】
本発明の記録装置は、上記記録媒体保持装置と、被記録媒体に対して液体を噴射する噴射ヘッドと、前記噴射ヘッドの下方に前記被記録媒体を搬送するとともに前記液体が噴射されることで所定の印刷処理が施された記録媒体を前記第1の媒体支持部材に向けて排出させる媒体搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の記録装置によれば、記録媒体をスタックするためのスペースを小さくするとともに多数の記録媒体をスタックできる信頼性の高い記録媒体保持装置を備えるので、本記録装置自体も信頼性が高いものとなる。
【0014】
また、上記記録装置においては、前記媒体搬送部は、前記記録媒体の搬送方向の上流側及び下流側に配置される一対の回転ローラーと、該回転ローラーに巻き掛けられて前記記録媒体を搬送する搬送ベルトと、を有し、前記一対の回転ローラーのうち、搬送方向下流側の回転ローラーが前記第1の媒体支持部材上に支持された前記記録媒体に当接可能な外形を有するのが好ましい。
この構成によれば、搬送方向下流側の回転ローラーが記録媒体に当接することで記録媒体に対して第2の媒体支持部材側へ向かう搬送力を付与することができる。よって、第2の媒体支持部材に記録媒体を確実に受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一実施形態に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【図2】第一実施形態に係る用紙収容部における記録用紙の収容動作の説明図。
【図3】第二実施形態に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【図4】第二実施形態に係る用紙収容部における記録用紙の収容動作の説明図。
【図5】第三実施形態に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【図6】第一変形例に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【図7】第二変形例に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【図8】第三変形例に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【図9】第四変形例に係るプリンターの概略構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、記録媒体保持装置及びこれを備えた記録装置の一例について説明する。記録装置は、インクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と略す場合もある)から構成されるものである。また、以下の説明における図面中においては、XYZ座標系を用いる場合があり、具体的に記録が施された記録媒体がプリンターから記録媒体保持装置へと搬送される方向をX方向で示し、搬送方向に直交する方向における搬送装置における記録媒体の幅方向をY方向で示すものとする。また、また、記録媒体の搬送面に直交する方向をZ方向で示すものとする。なお、図面中のX方向、Y方向及びZ方向を示す矢印において、「○」の中に「×」が記載されたもの(矢の羽根を後ろから見た図)は紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0017】
(第一実施形態)
図1は第一実施形態に係るプリンター(記録装置)1の概略構成を示す側面図である。図1に示すように、プリンター1は、記録媒体としての記録用紙Sを搬送する搬送部2と、記録用紙Sにインクを噴射して所定の記録を行う記録ヘッド(噴射ヘッド)3と、記録ヘッド3による記録が行われて搬送部2によって排出された記録用紙Sを収容保持する用紙収容部(記録媒体保持装置)4と、記録ヘッド3によって行われた記録用紙Sの記録面を撮像する撮像部5と、を備えている。
【0018】
搬送部2は、記録用紙Sを保持するとともに記録ヘッド3の下方に搬送する無端状の搬送ベルト23と、記録用紙Sの搬送方向の上流側及び下流側に配置され、搬送ベルト23が巻き掛けられる従動ローラー21及び搬送ローラー22と、を備えている。従動ローラー21は、搬送ローラー22の回転駆動に伴って従動回転するようになっている。搬送ベルト23は、従動ローラー21及び搬送ローラー22が回転することで記録用紙Sを同図−X方向に沿って搬送するようになっている。
【0019】
記録ヘッド3は、記録用紙Sの搬送経路の上側に配置されたガイド軸(不図示)に沿って同図中におけるY方向に沿って走査可能となっており、記録用紙Sの幅方向に沿って往復移動するようになっている。記録ヘッド3には、液体としてのインクを噴射する複数のノズルが設けられている。記録ヘッド3は搬送部2により搬送される記録用紙Sの表面にインクを噴射することで記録用紙Sに記録が施されるようになっている。
【0020】
撮像部5は記録用紙Sの記録面を撮像した撮像結果をプリンター1の各機構を制御する制御装置(不図示)へと送信するようになっている。制御装置は撮像部5から送信された撮像結果に基づき、記録ヘッド3による記録用紙Sの記録が正常に実行されたか否かについて判定する。制御装置は記録が制御に行われなかった場合、例えば記録ヘッド3のインク切れ等を検出した場合、プリンター1の動作を停止するようになっている。これにより、印刷不良の記録用紙Sが大量に排出されてしまい、記録用紙Sを無駄にするといったことが無い。
【0021】
プリンター1は、1つの印刷ジョブに含まれる印刷データを複数に分割し、分割された各印刷データに基づく印刷処理を記録ヘッド3の走査毎に行うとともに、各印刷処理の合間に、記録用紙Sの印刷が施された部分が間欠的に搬送されるようになっている。すなわち、プリンター1は、記録ヘッド3が記録用紙Sの幅方向に走査しながらインクを噴射する動作と搬送部2による記録用紙Sの紙送り動作とを交互に繰り返すことで、1つの印刷ジョブに基づく画像を形成するようになっている。
【0022】
用紙収容部4は、第1トレイ(第1の媒体支持部材)41と、第2トレイ(第2の媒体支持部材)42と、を有している。第1トレイ41は、記録ヘッド3による記録が施されて搬送部2から排出される記録用紙Sを受け取るためのものである。
【0023】
また、第2トレイ42は、第1トレイ41から受け渡された記録用紙Sを保持するためのものである。第2トレイ42は、第1トレイ41よりも鉛直方向(Z方向)における低い位置(−Z方向)に配置されており、本実施形態では2つ設けられている。すなわち、本実施形態に係る用紙収容部4では、第2トレイ42が多段に設けられたものとなっている。なお、第2トレイ42は、下方に配置される他の第2トレイ42に対して、記録用紙Sの排出方向(X方向)に沿って移動可能とされている。
【0024】
また、第1トレイ41は、記録用紙Sの搬送部2における排出方向(−X方向)の下流側における端部41aが上流側における端部41bの上方に配置されるように取り付けられている。すなわち、第1トレイ41は、第1トレイ41の一面により構成される記録用紙Sの保持面41cにおける記録用紙Sの排出方向下流側が搬出方向上流側よりも高い位置となるように傾斜した状態に配置されたものとなっている。これにより、搬送部2から排出されて第1トレイ41の保持面41cに載置された記録用紙Sは、傾斜した保持面41cに沿って下方に配置された第2トレイ42へと受け渡されるようになっている。
【0025】
続いて、プリンター1の動作について図1、図2を参照しながら説明する。本説明では、用紙収容部4における記録用紙Sの収容動作を主体に説明する。最初に、プリンター1は、記録ヘッド3を駆動し、搬送部2により搬送される記録用紙Sに対してインクを吐出し、所定の記録動作を行う。このとき、プリンター1は撮像部5を駆動し、記録用紙Sの記録が正常に実行されたか否かについて判定する。
【0026】
記録処理が施された記録用紙Sは、搬送部2によって用紙収容部4の第1トレイ41へと排出される。第1トレイ41に排出された記録用紙Sは、傾斜した保持面41cに沿って図1に示したように上段に配置される第2トレイ42内へと収容される。同様に、第2トレイ42内には複数の記録用紙Sが積層されて収容されることとなる。
【0027】
上段に配置された第2トレイ42に最大枚数の記録用紙Sが収容された後、用紙収容部4は図2に示すように上段の第2トレイ42を下段の第2トレイ42に対し、+X方向にスライドさせる。これにより、用紙収容部4は、下段の第2トレイ42内に記録用紙Sを収容するためのスペースを確保することができる。よって、用紙収容部4は、第1トレイ41に排出された記録用紙Sは、傾斜した保持面41cに沿って下段の第2トレイ42内に良好に収容されるようになる。
【0028】
以上述べたように、本実施形態に係るプリンター1によれば、用紙収容部4の第1トレイ41に排出された記録用紙Sは保持面41cに沿って第2トレイ42へとすべり落ちることで確実に受け渡すことができる。記録用紙Sは第2トレイ42に収容されるため、第1トレイ41上に記録用紙Sが積み重なることがない。よって、第1トレイ41に積み重なった記録用紙Sにより記録用紙Sの搬送不良が生じるといった不具合の発生を防止できる。
【0029】
また、第1トレイ41が傾斜した状態で配置されるため、第1トレイ41が前方(−X方向)に迫り出すスペースを小さくすることができ、装置構成を小型化できる。したがって、記録用紙Sをスタックするためのスペースを小さくするとともに多数の記録用紙Sをスタックできる信頼性の高いプリンター1を提供できる。
【0030】
第2トレイ42が複数配置されているので、多数の記録用紙Sを収容することができる。また、第2トレイ42が鉛直方向に沿って配置されるため、第2トレイ42の設置スペースを抑えることができる。
【0031】
(第二実施形態)
続いて、本発明の第二実施形態に係るプリンターについて説明する。本実施形態と第一実施形態との違いは搬送部及び用紙収容部の構成であり、それ以外の構成については第一実施形態と共通である。そのため、第一実施形態と同一及び共通の構成については、同一の符号を付し、その説明については省略若しくは簡略化するものとする。
【0032】
図3は本実施形態に係るプリンター10の概略構成を示す側面図である。図3に示すように、プリンター10は、記録用紙Sを搬送する搬送部38と、記録ヘッド3と、用紙収容部4と、撮像部5と、を備えている。
【0033】
搬送部38は、記録用紙Sを挟持するとともに用紙収容部4側に向けて搬送する第一ローラー対35と、第二ローラー対36と、記録用紙Sの裏面を支持するプラテン部材30と、を有している。第一ローラー対35は、記録用紙Sを挟持する搬送ローラー31と該搬送ローラー31の回転により従動回転する従動ローラー32とを含んでいる。また、第二ローラー対36は、記録用紙Sを挟持する搬送ローラー33と該搬送ローラー33の回転により従動回転する従動ローラー34とを含んでいる。
【0034】
プラテン部材30は記録用紙Sの裏面を支持する支持面30aを有している。上記従動ローラー32及び従動ローラー34は、それぞれの上面(記録用紙Sの支持面)がプラテン部材30の支持面30aと面一となるように取り付けられている。
【0035】
本実施形態においては、用紙収容部4の第1トレイ41が不図示の回動機構によって回動可能に構成されている。これにより、第1トレイ41は、記録用紙Sの排出方向(−X方向)の上流側の端部41bがプラテン部材30に当接或いは離間可能となっている。
【0036】
続いて、プリンター10の動作について図4を参照しながら説明する。本説明では、用紙収容部4における記録用紙Sの収容動作を主体に説明する。最初に、プリンター10は、記録ヘッド3を駆動し、搬送部38により搬送される記録用紙Sに対してインクを吐出し、所定の記録動作を行う。このとき、プリンター1は撮像部5を駆動し、記録用紙Sの記録が正常に実行されたか否かについて判定する。
【0037】
記録処理が施された記録用紙Sは、搬送部38によって用紙収容部4の第1トレイ41へと排出される。このとき、用紙収容部4は、図4(a)に示すように第1トレイ41の端部41bをプラテン部材30に当接させておく。これにより、第1トレイ41に排出された記録用紙Sはプラテン部材30の側面30aに当接することで保持面41c上に保持されることとなる。プリンター10は搬送部38によって排出された記録用紙Sを第1トレイ41上に複数枚をストックすることができる。
【0038】
プリンター10は第1トレイ41に所定枚数の記録用紙Sがストックされると、図4(b)に示すように不図示の回動機構によって第1トレイ41を回動させてプラテン部材30から離間させる。これにより、第1トレイ41の端部41bとプラテン部材30との間に生じた隙間から記録用紙Sを第2トレイ42内に滑り込ませることができる。よって、第2トレイ42内に複数の記録用紙Sを収容することができる。
【0039】
プリンター10は、第1トレイ41から第2トレイ42に記録用紙Sの受け渡しが完了した後、不図示の回動機構によって第1トレイ41を回動させて端部41bをプラテン部材30に当接させる。これにより、プリンター10は、再び第1トレイ41上に記録用紙Sをストック可能な状態となる。
【0040】
なお、プリンター10は、上段に配置された第2トレイ42に最大枚数の記録用紙Sが収容された後、用紙収容部4は図2に示したように上段の第2トレイ42を下段の第2トレイ42に対し、+X方向にスライドさせることで下段の第2トレイ42に対しても同様に記録用紙Sを良好に収容することができる。
【0041】
本実施形態に係るプリンター10においても、用紙収容部4の第1トレイ41に排出された記録用紙Sは所定枚数溜まるごとに保持面41cに沿って第2トレイ42へとすべり落ちることで確実に受け渡すことができる。よって、第1トレイ41に積み重なった記録用紙Sにより記録用紙Sの搬送不良が生じるといった不具合の発生を防止できる。
【0042】
また、第1トレイ41をプラテン部材30に当接させることで複数の記録用紙Sをスタックしておくことができる。また、第1トレイ41をプラテン部材30から離間させることにより、第1トレイ41及びプラテン部材30間に生じた隙間から記録用紙Sを第2トレイ42へと受け渡すことができる。
【0043】
(第三実施形態)
続いて、本発明の第三実施形態に係るプリンターについて説明する。本実施形態と上記第一実施形態との違いは搬送部の構成であり、それ以外の構成については第一実施形態と共通である。そのため、第一実施形態と同一及び共通の構成については、同一の符号を付し、その説明については省略若しくは簡略化するものとする。
【0044】
図5は本実施形態に係るプリンター100の概略構成を示す側面図である。図5に示すように、プリンター100は、記録用紙Sを搬送する搬送部50と、記録ヘッド3と、用紙収容部4と、撮像部5と、を備えている。
【0045】
搬送部50は、搬送ベルト23と、搬送ベルト23が巻き掛けられる従動ローラー21及び搬送ローラー22と、を備えている。搬送ベルト23は、従動ローラー21及び搬送ローラー22が回転することで記録用紙Sを同図−X方向に沿って搬送するようになっている。
【0046】
本実施形態においては、記録用紙Sの搬送方向下流側に配置される搬送ローラー22が従動ローラー21に比べて大きな外形を有している。具体的に搬送ローラー22は、図5に示すように用紙収容部4の第1トレイ41の保持面41cに排出された記録用紙Sに当接可能な外形を有している。このような構成に基づき、搬送ローラー22は、保持面41c上の記録用紙Sに当接することで該記録用紙Sに対して第2トレイ42側へ向かう搬送力を付与できるようになっている。
【0047】
続いて、プリンター100の動作について説明する。本説明では、用紙収容部4における記録用紙Sの収容動作を主体に説明する。最初にプリンター10は、記録ヘッド3を駆動し、搬送部50により搬送される記録用紙Sに対してインクを吐出し、所定の記録動作を行う。このとき、プリンター1は撮像部5を駆動し、記録用紙Sの記録が正常に実行されたか否かについて判定する。
【0048】
記録処理が施された記録用紙Sは、搬送部50によって用紙収容部4の第1トレイ41へと排出される。第1トレイ41に排出された記録用紙Sは、傾斜した保持面41cに沿って下方へと滑り落ち、搬送ローラー22に当接することで第2トレイ42へと向かう搬送力が付与される。これにより、記録用紙Sは図5に示したように上段に配置される第2トレイ42内へと収容される。同様にして、搬送部50を駆動することで第2トレイ42内には記録用紙Sが複数積層されて収容されることとなる。
【0049】
以上述べたように、本実施形態に係るプリンター100によれば、用紙収容部4の第1トレイ41の保持面41c上に排出された記録用紙Sに搬送ローラー22による搬送力を付与することで確実に第2トレイ42側に受け渡すことができる。よって、記録用紙Sが保持面41cとの間に生じた摩擦によって第1トレイ41から滑り落ちないといった不具合の発生を防止することができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0051】
例えば、第一実施形態において、第1トレイ41が記録用紙Sの排出方向(−X方向)の上流側における端部41bを第2トレイ42に進退させるようにスライド可能な構成を採用しても構わない。これによれば、上段の第2トレイ42を下段の第2トレイ42に対して+X方向にスライドした際に、図6に示すように第1トレイ41が記録用紙Sの排出方向(−X方向)の上流側における端部41bが第2トレイ42に近づくので、第1トレイ41から第2トレイ42へと記録用紙Sを良好に受け渡すことができる。なお、第二実施形態及び第三実施形態において、上段の第2トレイ42を下段の第2トレイ42に対して+X方向にスライドする際に、第1トレイ41の端部41bを第2トレイ42に近づけるようにスライドさせるようにしても構わない。
【0052】
また、第一実施形態において、図7に示すように用紙収容部4の第2トレイ42の記録用紙Sを支持する保持面42aが第1トレイ41から離間するに従って下方に傾斜する傾斜面とする構成を採用しても構わない。これによれば、第2トレイ42における保持面42aが傾斜面となっているので、第1トレイ41から受け渡される記録用紙Sが第2トレイ42の保持面42aとの間になす角度を小さくすることで記録用紙Sと保持面42aとの間に発生する摩擦を抑えることができる。よって、記録用紙Sを第2トレイ42へとスムーズに受け渡すことができる。なお、第二実施形態及び第三実施形態において、第2トレイ42における保持面42aを傾斜面とするようにしても構わない。
【0053】
また、第一実施形態において、図8に示すように用紙収容部4の第2トレイ42における第1トレイ41側の端部42bに対して第1トレイ41と反対側の端部42cを下方に傾けることで、第2トレイ42の保持面42aを第1トレイ41から離間するに従って下方に傾斜する傾斜面とする構成を採用しても構わない。これによれば、第2トレイ42の保持面42aが傾斜面となっているので、第1トレイ41から受け渡される記録用紙Sが第2トレイ42の保持面42aとの間になす角度を小さくすることで記録用紙Sと保持面42aとの間に発生する摩擦を抑えることができる。よって、記録用紙Sを第2トレイ42へとスムーズに受け渡すことができる。なお、第二実施形態及び第三実施形態において、第2トレイ42を傾けることで保持面42aを第1トレイ41から離間するに従って下方に傾斜する傾斜面とするようにしても構わない。
【0054】
また、第一実施形態において、図9に示すように用紙収容部4の第1トレイ41の保持面41cが記録用紙Sの排出方向下流側(−X方向)から上流側(+X方向)に向かって第2トレイ42の保持面42aに対する傾斜を小さくする湾曲部45を有する構成であっても構わない。これによれば、第1トレイ41の保持面41cから滑り落ちる記録用紙Sと第2トレイ42との間に生じる摩擦を抑えることができる。よって、第1トレイ41から第2トレイ42へと滑らかに記録用紙Sを滑り落とすことができる。なお、第二実施形態及び第三実施形態において、第1トレイ41に湾曲部45を設けるようにしても構わない。
【0055】
また、上記実施形態において、例えば撮像部5に代えて或いは撮像部5とともに記録ヘッド3によりインクが吐出された記録用紙Sの印刷面に乾燥させるためのヒーターを設けてもよい。これによれば、記録用紙Sに吐出されたインクにヒーターから温風を当てることで記録用紙Sが用紙収容部4に収容されるまでにインクを確実に乾燥させることができるようになっている。これにより、記録用紙Sの印刷面が汚れてしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、記録方式としてインクジェット方式を採用した記録装置について記載したが、電子写真方式や熱転写方式など、任意の記録方式の記録装置に変更することもできる。また、記録装置はプリンターに限らず、FAX装置、コピー装置、あるいはこれら複数機能を備えた複合機等であってもよい。さらに、記録装置として、インク以外の他の液体の微小量の液滴を噴射したり吐出したりする液体噴射ヘッド等を備える液体噴射装置を採用してもよい。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,10,100…プリンター(記録装置)、S…記録用紙(記録媒体)、3…記録ヘッド、4…用紙収容部(記録媒体保持装置)、21…従動ローラー、22…搬送ローラー、23…搬送ベルト、30…プラテン部材、41…第1トレイ(第1の媒体支持部材)、41c…保持面、42…第2トレイ(第2の媒体支持部材)、42a…保持面、45…湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録処理が施された記録媒体が排出される第1の媒体支持部材と、
前記第1の媒体支持部材より低い位置に配置され、該第1の媒体支持部材から前記記録媒体が受け渡される第2の媒体支持部材と、を備えた記録媒体保持装置において、
前記第1の媒体支持部材は、前記記録媒体の搬出方向下流側における前記記録媒体の保持面が搬出方向上流側における前記保持面よりも高い位置となるように傾斜した状態で配置されていることを特徴とする記録媒体保持装置。
【請求項2】
前記第1の媒体支持部材は、前記記録媒体の前記搬出方向上流側における端部が前記第1の媒体支持部材に向けて搬送される前記記録媒体の下面を支持するプラテン部材に当接或いは離間可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体保持装置。
【請求項3】
前記第1の媒体支持部材の前記保持面は、前記搬出方向下流側から前記搬出方向上流側に向かって前記第2の媒体支持部材の媒体保持面に対する傾斜を小さくする湾曲部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体保持装置。
【請求項4】
前記第2の媒体支持部材は、前記記録媒体の保持面が前記第1の媒体支持部材から離間するに従って下方に傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録媒体保持装置。
【請求項5】
前記第2の媒体支持部材は、前記第1の媒体支持部材側の一端部に対して該一端部と反対の他端部を下方に傾けることで、前記記録媒体の保持面を前記第1の媒体支持部材から離間するに従って下方に傾斜可能とされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録媒体保持装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録媒体保持装置と、
被記録媒体に対して液体を噴射する噴射ヘッドと、
前記噴射ヘッドの下方に前記被記録媒体を搬送するとともに前記液体が噴射されることで所定の印刷処理が施された記録媒体を前記第1の媒体支持部材に向けて排出させる媒体搬送部と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記媒体搬送部は、前記記録媒体の搬送方向の上流側及び下流側に配置される一対の回転ローラーと、該回転ローラーに巻き掛けられて前記記録媒体を搬送する搬送ベルトと、を有し、
前記一対の回転ローラーのうち、搬送方向下流側の回転ローラーが前記第1の媒体支持部材上に支持された前記記録媒体に当接可能な外形を有することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218831(P2012−218831A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83601(P2011−83601)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】