説明

記録媒体検査装置

【課題】所定サイズに細断された用紙などの記録媒体上で、磁性材料が所望の分布状態となっているか否かを適性に検査可能とする。
【解決手段】仕上がり検査装置のアンテナ16A、16Bは、発振コイル18と受信コイル20がループ状に形成され、搬送コンベア22によって搬送される用紙12が、ループ内を通過する。また、アンテナ16A、16Bには、シールドカバー56が設けられており、これにより、アンテナ16Aが、用紙12の幅方向に分割した領域A1〜A4に対応され、アンテナ16Bが、領域B1〜B4に対応されている。これにより、用紙を搬送しながら時分割で領域A1〜A4及び領域B1〜B4内の磁性ワイヤ14の数をカウントし、カウント結果に基づいた用紙の仕上がりの領域を適正に判定可能となるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性材料が漉き込まれたシート状の記録媒体を検査する記録媒体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像複写技術の向上に伴って、真偽の判定が困難なほど高精細に複写可能となっており、紙幣や有価証券のみならず、旅券、各種の権利証書、各種の照明書等の各種の文書が複製されてしまう可能性が生じており、複製や複製物が持ち出されるのを防止する技術の要求が高まっている。
【0003】
このような要求に対処する方法として、紙などの記録媒体に情報を持たせる方法がある。例えば、記録媒体に磁気情報を付加することにより、磁気情報の有無から通常の記録媒体と明確に識別することができる。
【0004】
ところで、情報を持たせた記録媒体を使用するときには、その記録媒体が情報を持っているか持たせることができるものであるかを予め確認する必要がある。ここから、例えば、磁気情報を持たせることができる磁気カードに対しては、試験データを書込み、書き込まれている情報を予め定めている条件で読み取ることにより、磁気カードの電磁変換特性を検査すると共に、耐久性試験を行うようにした磁気カードの特性検査装置の提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一方、記録媒体に情報を持たせると共に、非接触で記録媒体に持たせられている情報を読み取り可能とする方法として、バルクハウゼン効果を利用したものがある。この方法では、保持力の低い磁性材料に交番磁界を与えると、磁気反転を生じるときにパルス状の応答信号を発することから、この応答信号の有無を情報とし用いることができる。
【0006】
このような紙を製造するときには、抄紙工程で、バルクハウゼン効果を用いて検出可能な磁性材料を漉き込むことにより得られる。
【0007】
しかしながら、磁性材料を抄紙工程で紙に漉き込む場合、分布状態を制御することは極めて困難となっている。また、実際に使用される紙は、抄紙工程で得られる幅広のロールを所定サイズに細断することにより得られる。
【0008】
このために、磁性材料を漉き込むときにムラが生じると、所定サイズに細断したときに、多数枚の紙の中には、漉き込まれている磁性材料の数が少なかったり、磁性材料が含まれない紙が発生してしまう可能性があることは勿論、漉き込まれている磁性材料がムラ(分布ムラ)になってしまうなど、所望の分布状態が得られていない紙が含められてしまうことがあり、このような紙が、磁性材料が漉き込まれている紙として用いられるのを防止するための検査が必要となっている。
【特許文献1】特開平5−89456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、所定サイズに細断された用紙などの記録媒体上で、磁性材料が所望の分布状態となっているか否かを検査する記録媒体検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、所定サイズに裁断された記録媒体に、交番磁界を付与したとき磁化反転によって磁気パルスを発する磁性線材の分布を検査する記録媒体検査装置であって、前記記録媒体の縦方向又は横方向に沿って複数に分割した領域のそれぞれに対向して設けられて、前記交番磁界を付与する発振コイル及び前記磁気パルスを検出する受信コイルを含む検知手段と、前記検知手段のそれぞれと前記記録媒体を前記検知手段の配列方向と直交する方向へ相対移動する移動手段と、前記記録媒体を前記移動手段の移動方向に沿って複数に分割した領域のそれぞれで、前記検出手段の前記受信コイルによって検出される前記磁気パルスに基づいて前記磁性線材の数をカウントするカウント手段と、前記記録媒体の縦方向及び横方向に分割したそれぞれの領域に対する前記カウント手段のカウント値から前記記録媒体に付与された前記磁性線材の配列を判定する判定手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、記録媒体を縦方向及び横方向に沿って複数に分割し、分割した領域のそれぞれに対して、バルクハウゼン効果を用いて磁性線材の数をカウントする。このとき、縦方向又は横方向の何れか位置方向の分割数に応じた検出手段を用いて配列し、検出手段の配列方向と直交する方向に沿って、記録媒体を相対移動する。
【0012】
このようにして、分割した領域のそれぞれに対する磁性線材の数をカウントすることにより、記録媒体全体での磁性線材の有無、磁性線材の数は勿論、分布状態も正確に判断することができる。
【0013】
また、本発明は、前記検出手段の前記発振コイルと前記受信コイルによって形成されたループ内を前記記録媒体が相対移動するときに、前記検出手段ごとに対応する領域を除く領域を磁気遮蔽する遮蔽手段を含むことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、発振コイル及び受信コイルをループ状に形成し、このループ内を記録媒体が通過するようにする。これにより、バルクハウゼン効果を用いて磁性線材を検出するときに、最適な効率で正確に検出することができる。
【0015】
このとき、各検出手段の発振コイル及び受信コイルを、対応する領域のみを開放して、それ以外の領域を磁気遮蔽する。
【0016】
これにより、複数の検出手段を並べて配置したときにも、磁気漏れ等によって誤検出が生じるのを確実に防止することができる。
【0017】
このような本発明においては、前記移動手段が前記記録媒体を所定の搬送速度で搬送するときに、前記検出手段へ向けて移動する前記記録媒体の先端を検出する記録媒体検出手段を含み、前記カウント手段が、前記記録媒体検出手段の検出結果と前記移動手段による前記記録媒体の搬送速度に基づいて、時分割しながらカウントすることが可能である。
【0018】
また、本発明では、前記カウント手段が、前記記録媒体の移動方向に沿った分割数に応じた数のカウント回路を備え、前記記録媒体の移動に応じて前記カウント回路を順に切り換えるものであっても良い。
【0019】
また、本発明は、前記記録媒体の移動に伴って連続して検出される前記磁気パルスを、前記カウント手段が、一つの前記磁性線材が発する磁気パルスとしてカウントすることが好ましくまし、これにより、一つの磁性線材を複数の領域でカウントしてしまうのを確実に防止することができる。
【0020】
このような本発明においては、前記記録媒体検出手段が前記記録媒体の後端の通過を検出したタイミングで、前記カウント手段が、前記各領域のカウント値を前記判定手段へ出力することができる。
【0021】
また、本発明においては、前記判定手段が、前記各領域のカウント値のパターンから前記記録媒体の前記磁性線材の分布を判定するものであっても良く、前記カウント手段のカウント値と予め設定されている条件から前記記録媒体の良否を判定するものであっても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、記録媒体を縦方向及び横方向に沿って複数の領域に分割し、分割したそれぞれの領域内の磁性線材の数をカウントする。これにより、磁性線材の配列が適正であるかを的確に判断することができる。
【0023】
また、本発明では、発振コイルと受信コイルをループ状に形成したときに、それぞれの発振コイル及び受信コイルが対応する領域を除いて磁気遮蔽を行うことにより、磁気の干渉を防止して、正確な磁性線材のカウントが可能となるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図2には、本実施の形態に記録媒体検査装置として適用した仕上がり検査装置10の概略構成を示している。
【0025】
図1に示されるように、本実施の形態では、シート体の一例として、文字や画像などを記録することにより、紙幣や有価証券のみならず、旅券、各種の権利証書、各種の照明書等の各種の文書の作成、ラベルの作成等に用いることができる予め設定されたサイズの用紙12(図2参照)を適用しており、仕上がり検査装置10は、この用紙12に対する仕上がり検査を行う。なお、本実施の形態では、用紙12のサイズを例えばA4サイズとしている。
【0026】
本実施の形態に適用する用紙12は、パルプ化工程、調成工程及び抄紙工程などの公知の一般的工程を経て製造されてロール状に巻き取られた原紙ロールを、裁断工程で所定サイズに裁断されて製造される。
【0027】
また、用紙12を製造する抄紙工程では、磁性材料で形成した微小径で所定長さの線材(以下、磁性ワイヤ14とする)を漉き込む。この磁性ワイヤ14としては、例えば、線径が約30μm程度、長さが20mm〜30mm程度とすることができるが、線径及び長さはこれに限るものではなく、用紙12内に漉き込まれていることが目視で判断し難い線径で、バルクハウゼン効果によって検出が可能な長さであれば良い。
【0028】
さらに、磁性ワイヤ14の材質としては、Co−Fe−Ni−B−Siからなるアモルファスシリコンなど、保持力の低い任意の磁性材料を用いて形成することができる。
【0029】
一方、仕上がり検査装置10は、用紙12に漉き込まれている磁性ワイヤ14が、所望の分布状態であるか否か、1枚当たりに所定の本数の磁性ワイヤ14が含まれているか否かなどの条件を予め設定することにより、用紙12が設定された条件を満たす仕上がり状態であるか否かを検査する。
【0030】
この仕上がり検査装置10は、用紙12から磁性ワイヤ14を検出するアンテナ16を備えている。図1乃至図3に示されるように、アンテナ16は、多層巻されて形成された一対の励磁コイル(以下、一方を送信コイル18、他方を受信コイル20とする)を備えている。また、図1に示されるように、仕上がり検査装置10には、搬送手段として搬送コンベア22が設けられている。
【0031】
検査対象となる用紙12は、抄紙工程で製造されたロール状の原紙が裁断工程で所定サイズに裁断されて形成されて搬送コンベア22上に1枚ずつ送り込まれると、搬送コンベア22によって順に所定速度で搬送される。これにより、用紙12は、検出部22の送信コイル18及び受信コイル20の間を所定速度で通過する。
【0032】
図2に示されるように、仕上がり検査装置10は、送信部24、受信部26及び判定部28を含んで形成されている。送信部24には、基準信号発生回路30、発振回路32及び増幅回路34が設けられており、増幅回路34に送信コイル18が接続されている。
【0033】
基準信号発生部30は、交番磁界を生成する基準波形(例えばsin波)を発生し、発振回路32は、基準信号発生部30から入力される基準波形に基づいて、例えば周波数1KHzの送信信号を発生する。増幅部34は、この送信信号を増幅して、送信信号に応じた交流電流を送信コイル18へ供給する。これにより、送信コイル18は、供給された交流電流に応じた交番磁界を発生する。
【0034】
一方、受信部26には、フィルタ回路36、連続パルス検出回路及びカウンタ40が設けられている。フィルタ回路36には、受信コイル20に発生した電流に応じた電気信号が入力される。フィルタ回路36は、増幅回路及びBPF回路(何れも図示省略)を含んでおり、受信コイル20から入力される受信信号を増幅した後、所定範囲の周波数成分を抽出して検知信号として出力する。
【0035】
ここで、用紙12に漉き込まれる磁性ワイヤ14は、保磁力が比較的小さく、このためにヒシテリシスループ(B−H曲線)が略矩形状(図示省略)となっており、急峻な磁化反転が生じる。
【0036】
ここから、磁性ワイヤ14は、図4(A)に示されるごとき交番磁界が与えられると、図4(B)に示されるように、磁化反転ポイントHPで磁化反転が生じるとき、パルス状の応答信号(磁気パルス)を発生する(バルクハウゼン効果)。
【0037】
したがって、アンテナ16に用紙12内の磁性ワイヤ14が接近すると、受信コイル20には、送信コイル18によって発生される交番磁界及び、この磁性ワイヤ14の応答信号(磁気パルス)に応じた電圧が誘起され、この電流に応じた電圧信号(図4(C)参照)が受信信号としてフィルタ回路36に入力されえる。
【0038】
図2に示すフィルタ回路36は、受信コイル20の受信信号を増幅すると共に、送信部24の発振周波数を含む低周波数成分及び、磁性ワイヤ14の応答信号を超える高周波数成分を除去する。
【0039】
これにより、フィルタ回路36は、用紙12内の磁性ワイヤ14がアンテナ16(受信コイル20)に接近して、磁性ワイヤ14が応答信号を発した時に、この応答信号に応じた検知信号を出力する。
【0040】
一方、磁性ワイヤ14が、所定の速度でアンテナ(送信コイルと受信コイル)に対向する位置を通過するとき、磁性ワイヤ14が発する磁気パルスは、磁性ワイヤ14がアンテナ16に接近するにつれて大きくなり、磁性ワイヤ14がアンテナ16に最も接近したときに最大となり、かつ、磁性ワイヤ14がアンテナ16から離れるのにしたがって小さくなる(図6(A)参照)。
【0041】
また、磁性ワイヤ14がアンテナ16から離れているときには、磁性ワイヤ14が送信コイル18の漏洩磁界の影響を受ける。このために、磁性ワイヤ14が発する磁気パルスが不安定となる。
【0042】
すなわち、アンテナ16に対して用紙12(磁性ワイヤ14)が移動しているときには、一つの磁性ワイヤ14から連続して磁気パルスが検出されるが、磁性ワイヤ14がアンテナ16に接近しているときには、磁気パルスが一定の明瞭なパルス信号として検出することができるが、離れているときには、不安定なパルス信号として検出される。
【0043】
ここから、連続パルス検出回路38では、検出されたパルス信号のうち、連続して一定値を超えるパルス信号が検知された幅(時間幅)を検出し、この検出信号を、磁性ワイヤ14がアンテナ16(送信コイル18及び受信コイル20)の直下近傍を通過したときに発した磁気パルスの検出信号として出力するようにしている。
【0044】
図5には、このような連続パルス検出回路38の一例を示している。この連続パルス検出回路38は、検知信号コンパレータ42、単安定マルチバイブレータ44、積分回路46、上限電圧コンパレータ48、下限電圧コンパレータ50及びセット/リセット・フリップ−フロップ(FLIP−FLOP)(セット/リセットFF)52を含んで構成されている。なお、ここでは、一例として、比較回路、マルチバイブレータ、積分回路及びフリップーフロップ回路を用いるが、この構成に限るものではない。
【0045】
検知信号コンパレータ42は、フィルタ回路36から検知信号として入力されるパルス信号から、予め設定されている閾値(閾値電圧)を超えるパルス信号を選択して検出し、検出したパルス信号をデジタル化して出力する。
【0046】
これにより、アンテナ16に対して磁性ワイヤ14が直下近傍を通過するときには、図6(A)に示されるように、フィルタ回路36から出力される検知信号が変化する。この検知信号が、検知信号コンパレータ42へ入力されることにより、検知信号コンパレータ42は、所定の閾値電圧を超えるパルス信号を選択してデジタル化して、図6(B)に示されるごとき信号を出力する。
【0047】
図5に示す単安定マルチバイブレータ44は、検知信号コンパレータ42でデジタル化されて出力されたパルス信号に対して予め設定された所定のパルス幅のパルス信号を発生させる信号処理を行う。すなわち、検知信号コンパレータ44でデジタル化されたパルス信号のパルス幅よりも長いパルス幅のパルス信号を発生させ、再トリガー動作による信号処理を行う。
【0048】
これにより、図6(B)に示される信号が入力されたときには、図6(C)に示されるように、予め設定されたパルス幅のパルス信号を発生させ、再トリガー信号として出力する。
【0049】
図5に示す積分回路46は、単安定マルチバイブレータ44から出力されたパルス信号に対してパルス信号のパルス幅に応じた大きさの電圧値のアナログ信号を発生させる信号処理を行う。
【0050】
これにより、図6(C)に示される信号が入力されることにより、積分回路46は、図6(D)に示されるように、入力されるパルス信号に基づいて、入力されるパルス信号の幅(パルス幅)が短いときには小さく、パルス幅が長いときには大きくなるアナログ信号(電圧信号)を、上限電圧コンパレータ48及び下限電圧コンパレータ50へ出力する。
【0051】
図5に示す上限電圧コンパレータ48は、積分回路46から出力されたアナログ信号(出力電圧)と予め設定された上限値(所定の電圧値)とを比較し、積分回路46から出力されたアナログ信号が上限値よりも大きい場合をON、小さい場合をOFFのパルス信号を発生させる信号処理を行う(図6(E)参照)。
【0052】
また、下限電圧コンパレータ50は、積分回路46から出力されたアナログ信号(出力電圧)と予め設定された下限値(所定の電圧値)とを比較し、積分回路46から出力されたアナログ信号が下限値よりも大きい場合をON、小さい場合をOFFのパルス信号を発生させる信号処理を行う(図6(F)参照)。
【0053】
上限電圧コンパレータ48及び下限電圧コンパレータ50から出力されるパルス信号は、セット/リセットFF52に入力され、セット/リセットFF52が、下限電圧コンパレータ50及び上限電圧コンパレータ52のパルス信号がONとなった時にONし、ON状態から上限電圧コンパレータ48のパルス信号がOFFで下限電圧コンパレータ50のパルス信号がOFFとなった時にOFFとするパルス信号を発生させる信号処理を行う。
【0054】
これにより、例えば、図6(E)及び図6(F)に示される信号が入力されたときには、図6(G)に示される信号を出力する。
【0055】
このセット/リセットFF52から出力されるパルス信号は、連続パルス検出回路38の出力信号となり、磁性ワイヤ14の1本分のパルス信号として、カウンタ40へ出力される。
【0056】
このような連続パルス検出回路38の出力信号を得ることにより、アンテナ16に対向する位置を通過する用紙12内に、磁性ワイヤ14が含まれているか否かはもちろん、用紙12内に含まれている磁性ワイヤ14の本数をカウントすることができるようになっている。
【0057】
ところで、仕上がり検査装置10では、用紙12の搬送方向及び搬送方向と直交する幅方向のそれぞれを複数に分割し、分割した領域ごとに磁性ワイヤ14の検出を行う。なお、本実施の形態では、一例として、用紙12を縦方向に沿って搬送するときに、用紙12の幅方向に沿って2分割した領域A、Bのそれぞれを、用紙12の搬送方向に沿って4分割した8領域A1、A2、A3、A4、B1、B2、B3、B4のそれぞれについて、磁性ワイヤ14の検出を行うようにしている。
【0058】
ここから、図1乃至図3に示されるように、仕上がり検査装置10では、アンテナ16として、領域A(領域A1〜A4)に対向するアンテナ16Aと、領域B(領域B1〜B4)に対向するアンテナ16Bを設けている。
【0059】
図2に示されるように、本実施の形態に適用したアンテナ16A、16Bは、用紙16が通過可能な開口が形成された筒体54のそれぞれに、電線を多数巻にして送信コイル18及び受信コイル20を形成している。
【0060】
これにより、筒体54内で交番磁界の磁力が強く、また、磁性ワイヤ14が発する応答信号を的確に検出可能となるようにしている。おり、コンベア22によって搬送される用紙12が、この筒体54内を通過するようにしている。
【0061】
また、アンテナ16A、16Bは、この筒体54を接近させて配設されており、これにより、アンテナ16のコンパクト化を図っている。
【0062】
図1及び図2に示されるように、アンテナ16Aは、用紙12の領域Bの通過する部分が、シールドカバー56によって覆われており、アンテナ16Bは、用紙12の領域Aの通過する部分がシールドカバー56によって覆われている。
【0063】
これにより、用紙12が通過するときに、アンテナ16Aの送信コイル18が、用紙12の領域Bに交番磁界を付与してしまうのを防止すると共に、領域B内の磁性ワイヤ14が発した磁気パルスを、アンテナ16Aの受信コイル20が検知しないようにして、アンテナ16Bの送信コイル18が、用紙12の領域Aに交番磁界を付与してしまうのを防止すると共に、領域A内の磁性ワイヤ14が発した磁気パルスを、アンテナ16Bの受信コイル20が検知しないようにしている。
【0064】
なお、シールドカバー56としては、磁力が漏れるのを防止可能であれば、任意の材質及び形状を適用することができる。
【0065】
仕上がり検査装置10には、用紙センサ58及び用紙センサ60が設けられている。用紙センサ58は、アンテナ16に対して用紙12の搬送方向の上流側に配置され、アンテナ16へ送り込まれる用紙12の先端及び後端の通過を検出可能となっている。また、用紙センサ60は、アンテナ16に対して用紙12の搬送方向の下流側に配置され、アンテナ16から送り出される用紙12の先端及び後端の通過を検出可能となっている。
【0066】
なお、用紙センサ58、60としては、光センサを用いることができるが、これに限らず、用紙12の検出が可能であれば、任意のセンサを適用することができる。
【0067】
一方、図2に示されるように、仕上がり検査装置10の送信部24には、アンテナ16Aの送信コイル18に対応する発振回路32A、増幅回路34Aと、アンテナ16Bの送信コイル18に対応する発振回路32B、増幅回路34Bが設けられており、また、送信部24には、位相制御回路62が設けられている。
【0068】
この位相制御回路62は、アンテナ16A、16Bが発生する交番磁界が同相となるように、発振回路32A、32Bへ供給する基準信号の位相を制御している。なお、本実施の形態では、アンテナ16A、16Bとして同一構造のもの用い、用紙12の搬送方向に対してコイルの巻方向が逆になるように配置しており、ここから、位相制御部62では、基準信号の位相を180°ずらして発振回路32Aと発振回路32Bへ供給するようにしている。
【0069】
仕上がり検査装置10の受信部26には、アンテナ16A受信コイル20に対応するフィルタ回路36A、連続パルス検出回路38A、カウンタ40Aと、アンテナ16Bの受信コイル20に対応するフィルタ回路36A、連続パルス検出回路38A、カウンタ40Aが設けられている。
【0070】
これにより、アンテナ16A、16Bのそれぞれの受信コイル20の検知信号に対する処理を個別に行うことができるようになっている。
【0071】
また、カウンタ40A、40Bのそれぞれには、用紙16の搬送方向に沿った分割数に対応したカウント回路64が設けされている。前記したように本実施の形態では、用紙12の搬送方向に対して4分割しており、ここから、カウンタ40A、40Bのそれぞれには、カウント回路64A、64B、64C、64Dが設けられている。
【0072】
一方、前記した用紙センサ58、60は、用紙センサ58がアンテナ16Aに対応するカウンタ40Aに接続され、用紙センサ60がアンテナ16Bに対応するカウンタ40Bに接続されている。
【0073】
仕上がり検査装置10では、用紙12を予め設定している一定の搬送速度Vで搬送するようになっており、カウンタ40A、40Bのそれぞれは、用紙センサ58、60の検出結果と、搬送速度Vに基づいて、カウント回路64A、64B、64C、64Dを順次切り換えながら、連続パルス検出回路38(38A、38B)から入力されるパルス信号をカウントするようにしている。
【0074】
すなわち、搬送速度Vが一定か既知であることにより、例えば用紙センサ58が用紙12の先端を検出してからの時間tと搬送速度Vから、用紙12の何れの領域がアンテナ16(16A、16B)に対向しているかを判断することができる。
【0075】
ここから、アンテナ16A、16Bに対向している用紙12の搬送方向に沿って設定している領域が切り換わるタイミングで、カウント回路64を切り換えることにより、用紙12の搬送方向に沿った各領域内の磁性ワイヤ14の数を、カウント回路64A〜64Dでカウントすることができる。
【0076】
なお、カウンタ40A、40Bは、カウント回路64を切り換えるタイミングで、連続パルス検出回路38A、38Bへリセット信号を出力するようにしており、これにより、磁性ワイヤ14を検出しているパルス信号が、用紙12に設定している領域をまたいでいるときに、該当する磁性ワイヤ14が、前の領域にカウントされるようにして、一つの磁性ワイヤ14が2つの領域に跨ってカウントされてしまうのを防止している。
【0077】
一方、カウンタ40A、40Bのそれぞれは、用紙センサ60が、用紙12の後端の通過を検出するタイミングで、判定部28にカウント完了信号を出力するようにしている。
【0078】
判定部28では、カウント完了信号が入力されることにより、カウンタ40A、40Bのそれぞれで、カウント回路64A〜64Dのカウント値を読み込むようになっている。
【0079】
これにより、1枚分の用紙12に対して、領域A1〜A4、B1〜B4のそれぞれにおける磁性ワイヤ14のカウント値が、判定部28に読み込まれるようになっている。
【0080】
また、判定部28には、予め用紙12に含まれる磁性ワイヤ14の数、磁性ワイヤ14が含まれる領域の数、各領域の磁性ワイヤの数などの基準値が、図示しないメモリに記憶されている。
【0081】
判定部28は、この基準値と各領域に対する磁性ワイヤ14のカウント値から用紙12の適否を判定するようになっている。また、判定部28では、この判定結果及び各領域のカウント値などを検査データとして出力することができる。
【0082】
これにより、判定部28の判定結果に基づいて、用紙12の仕上がり判定を行うことができるようにしている。なお、判定部28では、カウント回路64のカウント値を、カウンタからパラレルデータとして読み込み、判定結果を含むデータを、RS−232Cなどのインターフェイスを用いてシリアルデータとして出力しており、これにより、多数枚の用紙12を連続して検査しながら、検査結果を順次出力可能となっている。
【0083】
次にこのように構成されている仕上がり検査装置10による用紙12の仕上がり検査を説明する。
【0084】
仕上がり検査装置10では、図示しないスイッチ操作などによって検査開始が指示されることにより、基準信号発生回路30で生成された基準信号が、位相制御されながら発振回路32A、32Bのそれぞれに入力される。発振回路32A、32Bのそれぞれが送信信号を生成して、増幅回路34A,34Bへ出力する。
【0085】
これにより、アンテナ16A、16Bのそれぞれで交番磁界を発生する。なお、送信部24が作動されることにより、例えば、発振回路32A、32Bの出力する同期信号を受けて、受信部26が作動可能となる。
【0086】
ここで、搬送コンベア22によって所定の搬送速度Vで搬送される用紙12を、用紙センサ58が検出すると、受信部26が磁性ワイヤ14の検出及び検出した磁性ワイヤ14のカウントを開始する。
【0087】
すなわち、アンテナ16A、16B内を通過する用紙12内に磁性ワイヤ14が存在すると、送信コイル18の生成する交番磁界に応じて磁性ワイヤ14が磁性パルスを発する。この磁性パルスが受信コイル20によって検出されると、検出された磁性パルスに応じたパルス信号が、連続パルス検出回路38A、38Bからカウンタ40A、40Bに出力される。
【0088】
カウンタ40A、40Bでは、連続パルス検出回路38A、38Bからパルス信号が入力されることにより、このパルス信号をカウント回路64A乃至カウント回路64Dでカウントする。
【0089】
ここで、仕上がり検査装置10では、用紙12の幅方向を2分割した領域A、Bのそれぞれに対して、アンテナ16A、16Bを設けると共に、フィルタ回路36A、36B、連続パルス検出回路38A、38B及びカウンタ40A,40Bを設けることにより、領域A、Bのそれぞれに含まれる磁性ワイヤ14の数をカウントすることができる。
【0090】
一方、仕上がり検査装置10では、カウント回路64A〜64Dを用いて、連続パルス検出回路38A、38Bの出力するパルス信号を時分割でカウントすることにより、用紙12の搬送方向を4分割した各領域内の磁性ワイヤ14の数をカウントすることができる。
【0091】
図7には、このときのタイミングチャートの一例を示している。受信部26では、カウンタ40Aでは、時間t0のタイミングで用紙センサ58が用紙12の先端を検出すると、カウント回路64Aをリセットして、パルス信号のカウントを開始する。これにより、用紙12の領域A1内の磁性ワイヤ14の数のカウントが開始される。
【0092】
また、カウンタ40Bでは、予め設定した遅延時間Δtが経過すると、カウント回路64Aをリセットしてカウントを開始する。これにより、用紙12の領域B1内の磁性ワイヤ14の数のカウントが開始される。
【0093】
この後、用紙12の搬送速度Vと用紙12内の領域A1の搬送方向に沿った長さに基づいて設定した時間t1に達すると、カウンタ40Aでは、カウント回路64Aのカウントを停止すると共に、カウント回路64Bをリセットして、カウント回路64Bによるカウントを開始する。
【0094】
また、カウンタ40Aでは、搬送速度Vと用紙12の搬送方向に沿った先端から領域A2と領域A3の境界までの長さに基づいて設定した時間t2に達すると、カウント回路64Bのカウントを停止すると共に、カウント回路64Cをリセットして、カウント回路64Cによるカウントを開始する。
【0095】
さらに、カウンタ40Aでは、搬送速度Vと用紙12の搬送方向に沿った先端から領域A3と領域A4の境界までの長さに基づいて設定した時間t3に達すると、カウント回路64Cのカウントを停止すると共に、カウント回路64Dをリセットして、カウント回路64Dによるカウントを開始する。
【0096】
このようにして、時間t4で用紙センサ58が用紙12の後端の通過を検出すると、カウンタ40Aは、カウント回路64Dによるカウントを停止する。これにより、領域A1〜A4のそれぞれの磁性ワイヤ14の数が、カウント回路64A〜64Dに保持される。
【0097】
なお、カウンタ40Bにおいても、遅延時間Δtだけずらしながら、カウント回路64A〜64Dの切り換えることにより、領域B1〜B4のそれぞれの磁性ワイヤ14の数が、カウント回路64A〜64Dに保持される。
【0098】
このようにして、磁性ワイヤ14のカウントが行われて、用紙センサ60が用紙12の後端の通過を検出すると(時間ts)、カウンタ40A、40Bのそれぞれがカウント完了信号を判定部28へ出力する。
【0099】
判定部28は、カウント完了信号を受信すると、カウンタ40A、40Bのそれぞれのカウント回路64A〜64Dのカウント値を読み込む。なお、カウンタ40A、40Bのそれぞれでは、カウント値の出力を終了すると、次の用紙12に対するカウントを開始可能となるようにする。
【0100】
一方、判定部28では、用紙12の各領域A1〜A4、B1〜B4に対応するカウント値を読み込むと判定処理を行う。図8には、このときの処理の概略を示している。
【0101】
このフローチャートは、カウンタ40A、40Bから磁性ワイヤ14のカウント値を読み込むと実行され、最初のステップ100では、用紙12内の磁性ワイヤ14の最低数が設定されているか否かを確認し、最低数が設定されているときには、ステップ100で肯定判定してステップ102へ移行し、読み込んだカウント値の集計を行う。
【0102】
次のステップ104では、集計結果が最低数を超えているか否かを確認し、最低数を超えていないときには、ステップ104で否定判定してステップ106へ移行し、磁性ワイヤ14が不足していると判定する。なお、カウント値の集計結果が「0」であるか否かの判断し、磁性ワイヤ14が含まれていないと判定する判定結果を加えるようにしても良い。
【0103】
また、ステップ108では、磁性ワイヤ14が含まれていない領域数の最低数が設定されているか否かを確認し、磁性ワイヤ14が含まれていない領域の最低数が設定されているときには、ステップ108で肯定判定してステップ110へ移行し、カウント値が「0」の領域数をカウントする。
【0104】
この後、ステップ112では、該当領域数が最低数を超えているか否かを確認し、最低数を超えていないときには、ステップ112で否定判定してステップ114へ移行し、磁性ワイヤ14が含まれる領域数が基準に満たないと判定する。
【0105】
なお、ここでは、磁性ワイヤ14が含まれていない領域の数を設定しているが、例えば、一つの領域内の磁性ワイヤ14の数の最低数を設定し、磁性ワイヤ14の数が最低数に満たない領域の数を判定基準としても良い。
【0106】
これに対して、ステップ104、ステップ112で肯定判定されたときには、ステップ116へ移行して、該当する用紙12が、磁性ワイヤ14の数の最低条件を満たしていると判定する。
【0107】
なお、ここでは、用紙12の磁性ワイヤ14の数及び分布が最低条件を満たしているか否かを判断するようにしたが、これに限らず、磁性ワイヤ14の数の上限や、最も少ない領域と最も多い領域の差などを含めて分布状態を判断するようにしても良い。
【0108】
また、領域A1〜A4、B1〜B4のそれぞれの磁性ワイヤ14の数や、数に基づいて基準パターンを設定し、カウント値から得られるパターンが基準パターンと一致するか、基準パターンに近似しているか、基準パターンと異なるパターンか、などを判断し、この判断を検査結果としても良い。
【0109】
このときには、基準パターンと一致するか近似しているときに、合格判定とし、基準パターンと大きく異なるか或いは特殊なパターンが出現しているときには、仕上がり不良の可能性があるなどと判断することができる。
【0110】
このように、用紙12を搬送方向及び搬送方向と直交する方向のそれぞれに沿って複数に分割することにより、用紙12に漉き込まれている磁性ワイヤ14の数のみならず、磁性ワイヤ14の分布状態も含めて、適正な仕上がりか否かを的確に判断することができる。
【0111】
これにより、磁性ワイヤ14の数が少なかったり、分布にムラがある用紙12を、適正な仕上がりとなっているとして出荷ないし製品化してしまうのを確実に防止することができる。
【0112】
例えば、幅方向の片側の領域の磁性ワイヤ14の数が少ないか全くない用紙12、領域A1〜A4及び領域B1〜B4内で、磁性ワイヤ14が千鳥状に分布している用紙12など、磁性ワイヤ14の分布状態が特殊なパターンの用紙12を必要とするときにも、該当する用紙12の判別を的確に行うことができる。
【0113】
なお、以上説明した本実施の形態では、A4サイズに裁断された用紙12を、幅方向に2分割、搬送方向に4分割した8領域のそれぞれの磁性ワイヤ14の数をカウントするようにしたが、本発明はこれに限らず、幅方向及び搬送方向のそれぞれに2分割以上して、各分割領域の磁性ワイヤ14の数をカウントするものであれば良い。
【0114】
このときには、用紙12の幅方向に対しては、分割数に応じたアンテナ16を配置すると共に、各アンテナ16に対しては、対応する領域を除く領域に交番磁界が漏れないように磁気シールドを施すものであれば良く、用紙12の搬送方向に対しては、搬送速度Vと用紙12の長さに基づいて、時分割して磁性ワイヤ14の数をカウントするようにすれば良い。
【0115】
また、本実施の形態では、アンテナ16を固定し、搬送コンベア22によって用紙12を移動するようにしたが、これに限らず、用紙12に対してアンテナ16を移動(スキャン)するものであっても良い。
【0116】
また、本実施の形態では、カウンタ40A、40Bに複数のカウント回路64(64A〜64D)を設けるハードウェアによる構成を適用したが、これに限らず、プログラム(カウントプログラム)によって、カウント値を時分割するようにしても良い。
【0117】
また、以上説明した本実施の形態では、仕上がり検査装置10を用いて説明したが、本発明が適用される検査装置は、これに限らず、用紙の幅方向及び搬送方向に沿って分割した領域のそれぞれの磁性ワイヤ14の数をカウントしうるものであれば任意の構成を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本実施の形態に適用した仕上がり検査装置のアンテナと用紙を示す概略図である。
【図2】本実施の形態に適用した仕上がり検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用したアンテナを示す概略斜視図である。
【図4】(A)は交番磁界の概略を示す線図、(B)は交番磁界に応じて磁性ワイヤが発する磁化パルスの概略を示す線図、(C)は受信コイルの受信信号の概略を示す線図である。
【図5】連続パルス検出回路の構成の一例を示す概略図である。
【図6】(A)は磁性ワイヤの移動に伴う検知信号の一例を示す線図、(B)は検知子信号コンパレータの出力の一例を示す線図、(C)は単安定マルチバイブレータの出力の一例を示す線図、(D)は積分回路の出力の一例を示す線図、(E)は上限電圧コンパレータの出力信号の一例を示す線図、(F)は下限電圧コンパレータの出力信号の一例を示す線図、(G)は連続パルス検出回路の出力の一例を示す線図である。
【図7】時分割によるカウント回路の切り換えの概略を示すタイミングチャートである。
【図8】判定処理の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0119】
10 仕上がり検査装置(記録媒体検査装置)
12 用紙(記録媒体)
14 磁性ワイヤ(磁性線材)
16(16A、16B) アンテナ(検出手段)
18 発振コイル
20 受信コイル
22 搬送コンベア(移動手段)
24 送信部
26 受信部
28 判定部(判定手段)
36(36A、36B) フィルタ回路
38(38A、38B) 連続パルス検出回路
40(40A、40B) カウント(カウント手段)
56 シールドカバー(磁気遮蔽)
58、60 用紙センサ(記録媒体検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定サイズに裁断された記録媒体に、交番磁界を付与したとき磁化反転によって磁気パルスを発する磁性線材の分布を検査する記録媒体検査装置であって、
前記記録媒体の縦方向又は横方向に沿って複数に分割した領域のそれぞれに対向して設けられて、前記交番磁界を付与する発振コイル及び前記磁気パルスを検出する受信コイルを含む検知手段と、
前記検知手段のそれぞれと前記記録媒体を前記検知手段の配列方向と直交する方向へ相対移動する移動手段と、
前記記録媒体を前記移動手段の移動方向に沿って複数に分割した領域のそれぞれで、前記検出手段の前記受信コイルによって検出される前記磁気パルスに基づいて前記磁性線材の数をカウントするカウント手段と、
前記記録媒体の縦方向及び横方向に分割したそれぞれの領域に対する前記カウント手段のカウント値から前記記録媒体に付与された前記磁性線材の配列を判定する判定手段と、
を含むことを特徴とする記録媒体検査装置。
【請求項2】
前記検出手段の前記発振コイルと前記受信コイルによって形成されたループ内を前記記録媒体が相対移動するときに、
前記検出手段ごとに対応する領域を除く領域を磁気遮蔽する遮蔽手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体検査装置。
【請求項3】
前記移動手段が前記記録媒体を所定の搬送速度で搬送するときに、
前記検出手段へ向けて移動する前記記録媒体の先端を検出する記録媒体検出手段を含み、
前記カウント手段が、前記記録媒体検出手段の検出結果と前記移動手段による前記記録媒体の搬送速度に基づいて、時分割しながらカウントすることを特徴とする請求項2に記載の記録媒体検査装置。
【請求項4】
前記カウント手段が、前記記録媒体の移動方向に沿った分割数に応じた数のカウント回路を備え、前記記録媒体の移動に応じて前記カウント回路を順に切り換えることを特徴とする請求項3に記載の記録媒体検査装置。
【請求項5】
前記記録媒体の移動に伴って連続して検出される前記磁気パルスを、前記カウント手段が、一つの前記磁性線材が発する磁気パルスとしてカウントすることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載の記録媒体検査装置。
【請求項6】
前記記録媒体検出手段が前記記録媒体の後端の通過を検出したタイミングで、前記カウント手段が、前記各領域のカウント値を前記判定手段へ出力することを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項に記載の記録媒体検査装置。
【請求項7】
前記判定手段が、前記各領域のカウント値のパターンから前記記録媒体の前記磁性線材の分布を判定することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の記録媒体検査装置。
【請求項8】
前記カウント手段のカウント値と予め設定されている条件から前記記録媒体の良否を判定することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の記録媒体検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−272794(P2007−272794A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100524(P2006−100524)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】