記録材表面検出装置及びそれを備える画像形成装置
【課題】記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録材Pの表面状態を検出する記録材表面検出装置40であって、光を照射する照射用LED42、光照射領域を表面画像として撮像するCMOSエリアセンサ43A、43B、記録材Pの表面の凹凸状態に関する情報を検出する駆動・演算部40C、を有し、CMOSエリアセンサ43A、43Bは、第1光照射領域と第2光照射領域とをそれぞれ撮像しており、照射用LED42が記録材Pに光を照射している状態において、照射用LED42と第1光照射領域とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線と、照射用LED42と第2光照射領域とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線とが交差する。
【解決手段】記録材Pの表面状態を検出する記録材表面検出装置40であって、光を照射する照射用LED42、光照射領域を表面画像として撮像するCMOSエリアセンサ43A、43B、記録材Pの表面の凹凸状態に関する情報を検出する駆動・演算部40C、を有し、CMOSエリアセンサ43A、43Bは、第1光照射領域と第2光照射領域とをそれぞれ撮像しており、照射用LED42が記録材Pに光を照射している状態において、照射用LED42と第1光照射領域とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線と、照射用LED42と第2光照射領域とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線とが交差する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及び、その検出結果に基づいて画像形成条件を制御する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置は、現像装置によって可視化された現像剤像を所定の転写条件によって記録材に転写し、現像剤像が転写された記録材を所定の定着条件で加熱、加圧することにより、記録材上に画像を形成している。
【0003】
かかる画像形成装置では、例えば画像形成装置本体に設けられた操作パネル等に、記録材としての記録紙のサイズや種類(以下、紙種ともいう)がユーザによって設定されることになる。そして、その設定に応じて転写条件(例えば、転写バイアスや転写時の記録紙の搬送速度)や定着条件(例えば、定着温度や定着時の記録紙の搬送速度)が制御されている。
【0004】
また近年では、記録材の表面をエリアセンサによって撮像し、撮像した画像から表面平滑度(表面状態)を検出し、検出結果から記録材の種類を判別し、判別結果に応じて転写条件あるいは定着条件を制御する手法が提案されている(特許文献1参照)。このように、記録材の表面をエリアセンサによって撮像する手法は、表面の凹凸に起因して生じる陰影を直接的に撮影しているため、記録材の種類を高精度に判別することができる。特にコート紙(光沢紙)とノンコート紙(普通紙)とを判別する時のように、凹凸の有無あるいはその大きさや深さが視覚的にはっきりと認識できる記録材の判別において、優れた判別精度を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−38879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば記録材としての一般オフィス用紙は、用紙の表面の凹凸に起因して生じる陰影の様子が用紙の繊維配向方向(漉き目方向)によって大きく異なる場合があり、このことが記録材の判別精度の低下を招いている。すなわち、記録材の繊維配向方向と直交する方向から光を照射すると、記録材の表面の凹凸の様子が強調された、コントラストの高い撮影像が得られる。その一方で、繊維配向方向と同一方向から光を照射した場合には、凹凸に起因した陰影が出づらくコントラストの低い撮影像となってしまう。このため、同一の記録材であっても、光の照射方向と記録材の繊維配向方向との関係がそれぞれ異なると撮影像のコントラスト差が激しくなり、例えばコート紙をノンコート紙と誤判別したり、ノンコート紙をコート紙と誤判別する虞がある。つまり記録材の判別精度が低下し、適正な画像形成条件の下で画像形成が行われず、画質の低下、画像不良が生じる。
【0007】
このような課題に対し、特許文献1では、記録材の繊維配向方向を考慮して記録材の搬送方向に対して光を15°〜75°の範囲で斜めに照射し、その照射領域の表面画像をエリアセンサで撮像することにより、記録材の判別精度の向上を図っている。
【0008】
ところが、記録材の繊維配向方向は、製造過程における記録材の原材料の配合率によっ
て異なる。例えば近年のように、様々な製造拠点での製造過程を経た記録材の繊維配向方向は多種多様であり、必ずしも記録材の縦方向あるいは横方向に対して繊維配向方向が一致(0°)もしくは±15°以内に収まっているとは限らない。よって、記録材ごとに多種多様な繊維配向方向が存在するので、記録材の繊維配向方向と光照射方向との関係が記録材ごとにばらつく可能性が高い。そしてこの場合、上記で説明したように、一方向からの光が照射される1つの領域を撮像する構成では、同じ記録材であっても異なる判別結果になるといった課題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、記録材の繊維配向方向に依存することなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置であって、記録材の表面に光を照射する光源と、記録材の表面において前記光源からの光が照射される光照射領域を、記録材の表面画像として撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、を有し、前記撮像手段は、前記光照射領域の一部である第1光照射領域と、前記光照射領域の一部であって前記第1光照射領域とは異なる領域である第2光照射領域とをそれぞれ撮像しており、前記光源が記録材に光を照射している状態において、前記光源と前記第1光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、前記光源と前記第2光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、が交差する関係にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、記録材の繊維配向方向に依存することなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図、及び制御部のブロック図。
【図2】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図3】第1実施形態に係る記録材表面検出装置によって得られた撮影像を示す図。
【図4】第1実施形態における表面凹凸像の明度情報を表すヒストグラム。
【図5】第1実施形態において検出された明度差ΔIの検出結果を示す図。
【図6】第2実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図7】第2実施形態における記録材表面検出装置によって得られた撮影像を示す図。
【図8】第2実施形態に係る記録材表面検出装置による記録材の判別結果を示す図。
【図9】第2実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図10】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図11】第3実施形態において設定角度を変えて得られた撮影像を示す図。
【図12】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の検出結果を示す図。
【図13】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の上視図。
【図14】従来の記録材表面検出装置の上視図。
【図15】従来の記録材表面検出装置の検出結果を示す図。
【図16】第4実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図17】第5実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図18】第5実施形態における光量の補正シーケンスを示す図。
【図19】第5実施形態における光量の補正シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
本発明を適用可能な第1実施形態に係る記録材表面検出装置を備えた画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、まず本実施形態に係る記録材表面検出装置を備えた画像形成装置について説明し、次いで記録材表面検出装置について説明する。
【0015】
[画像形成装置の構成]
本実施形態に係る記録材表面検出装置は、例えば電子写真方式のカラー画像形成装置に用いることが可能である。図1(a)に、本実施形態に係る記録材表面検出装置を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置の概略構成を示す。
【0016】
図1(a)に示すカラー画像形成装置には、第1から第4の画像形成部を構成する4個のプロセスカートリッジ31(31Y、31M、31C、31Bk)が装着されている。各画像形成部は、順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色画像を形成するものであり、全て同じ構成を有している。なお、図1(a)に示した符号Y、M、C、Bkは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部に対応した部材を示しており、以下では特に色を区別する必要がない場合には、符号Y、M、C、Bkは省略して説明する。
【0017】
まず画像形成動作について説明する。制御部10が印刷画像信号を受け取ると、記録材Pは、給送カセット15から給送ローラ17及び搬送ローラ18によって画像形成部へと送り出される。そして、後述する画像形成動作のタイミングと記録材Pの搬送タイミングとの同期をとるために、搬送手段としてのレジストローラ対19a、19bに一旦挟持され、停止した状態で待機される。一方、制御部10は、受け取った画像信号に応じて、帯電ローラ2の作用によって一定電位に帯電した感光ドラム1(感光体)の表面を露光スキャナユニット11によって露光し、感光ドラム1の表面に静電潜像を形成する。なお、感光ドラム1は、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されることで画像形成動作に応じて時計周り方向に回転するように構成されている。
【0018】
次に、感光ドラム1表面に形成された静電潜像を、現像器8の作用によってトナー像(現像剤像)として現像する。現像器8には回転可能な現像スリーブ5が設けられており、現像スリーブ5に不図示のバイアス印加手段から現像バイアスが印加されることで、現像スリーブ5から静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナー像として現像されている。また、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像器8は一体化されており、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ31を構成している。
【0019】
中間転写ベルト24は、各感光ドラム1に接触しており、カラー画像形成時に反時計方向に各感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkの回転と同期して回転する。現像された各色トナー像は、一次転写ローラ4に印加された一次転写バイアスの作用により順次中間転写ベルト24上に転写され、中間転写ベルト24上には多色トナー像が形成される。
【0020】
中間転写ベルト24上に形成された多色トナー像は、二次転写ローラ25とで形成される二次転写ニップ部に搬送される。これと同時に、レジストローラ対19a、19bに挟持された状態で待機していた記録材Pがレジストローラ対19a、19bの作用により中
間転写ベルト24上の多色トナー像と同期を取りながら二次転写ニップ部に搬送される。そして、中間転写ベルト24上の多色トナー像が二次転写ローラ25に印加された二次転写バイアスの作用により記録材P上に一括転写される。なお、中間転写ベルト24上に転写残トナーとして残ったトナーは、クリーニング手段28によってクリーニングされ、クリーニングされた転写残トナーはクリーナ容器29に廃トナーとして蓄えられる。
【0021】
定着部21は、記録材Pを搬送させながら、転写された多色トナー像を記録材P上に溶融定着させるものであり、図1(a)に示すように記録材Pを加熱する加熱ローラ21aと記録材Pを加熱ローラ21aに圧接させるための加圧ローラ21bとを備えている。多色トナー像が転写された記録材Pが加熱ローラ21aと加圧ローラ21bとによって搬送されることで、記録材Pに熱と圧力が加えられ、多色トナー像が記録材Pの表面に定着する。トナー像定着後の記録材Pは、排出ローラ20によって排出トレイ16上に排出され、一連の画像形成動作を終了する。なお、ここで説明した一連の画像形成動作は、画像形成装置内に設けられた制御部10によって、その動作が制御されている。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置では、図1(a)に示すように記録材表面検出装置40をレジストローラ対19a、19bの手前(記録材搬送方向における上流側)に設置している。記録材表面検出装置40は、給送カセット15から搬送されてくる記録材Pの表面凹凸状態(表面平滑性)に関する情報を検出するものである。以下、この「表面凹凸状態(表面平滑性)」を単に「表面状態」と称して説明する。なお、記録材表面検出装置40による記録材Pの表面状態の検出は、記録材Pが給送カセット15から画像形成部へと送り出され、搬送手段としてのレジストローラ対19a、19bに挟持されて停止している間に行われる。
【0023】
図1(b)に、本実施の形態に係る画像形成装置の動作に関する制御ブロック図を示す。制御部10は、記録材表面検出装置40の駆動・演算部40Cから送られてくる検出情報をもとに、各画像形成手段を最適な条件に制御して画像形成装置を動作させている。具体的には、制御部10が制御する画像形成条件とは、一次転写ローラ4の一次転写バイアス、二次転写ローラ25の二次転写バイアス、定着部21が備える加熱ローラ21aの定着温度等である。
【0024】
[記録材表面検出装置の構成]
本実施形態に係る記録材表面検出装置40について説明する。図2は、記録材表面検出装置40によって記録材Pの表面状態を撮像する際の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上視図、(c)は(b)におけるA−A’断面図である。図示するように、本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、光源である照射用LED42、撮像手段であるCMOSエリアセンサ43A、43B、及び、結像手段である結像レンズ44SA、44SBを備えている。なお、記録材表面検出装置40は、記録材Pにおいて画像が形成される面と対向するように設けられており、図2では、説明の便宜上、図1(a)に示す記録材表面検出装置40を180°回転した状態を示している。
【0025】
記録材表面検出装置40の照射用LED42には、高い指向性を有する白色LED(日亜化学工業製:型番NSPW300DS)が用いられている。図2(a)、図2(b)に示すように、光源としての照射用LED42から射出された光は、CMOSエリアセンサ43A、43Bによって最終的に受光されている。また、照射用LED42は、記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上に配置されている。また、照射用LED42は、光源の光軸が記録材Pの搬送方向と45°の角度をなすように配置されている。図2(c)に示すように、光源からの光は、記録材Pの表面に対して15°の角度で斜めから照射されている。このように、記録材Pの表面に対して低い角度から斜めに光を照射させることにより、記録材Pの表面の凹凸によって生じる陰影をより際立たせ
ることが可能となる。なお、記録材Pの表面の凹凸によって生じる陰影を際立たせるためには、記録材表面に対して0°より大きく20°以下の範囲の低い角度で光を照射することが好ましい。
【0026】
記録材Pの表面状態を反映した陰影情報を含む領域の反射光は、結像レンズ44SA、44SBによって集光されてCMOSエリアセンサ43A、43Bに導かれる。第1エリアセンサとしてのCMOSエリアセンサ43A、及び第2エリアセンサとしてのCMOSエリアセンサ43Bは、反射光を利用して記録材Pの表面の所定領域(撮像領域)を、記録材Pの表面画像として撮像している。撮像が行われると、CMOSエリアセンサ43A、43Bは、表面画像として撮像した撮像領域内の画素毎に反射光量に応じて変化する映像電圧信号を検出し、その信号を駆動・演算部40Cに出力する。検出手段としての駆動・演算部40Cは、CMOSエリアセンサ43A、43Bから出力された映像電圧信号を受け取るとこれをA−D変換し、変換後の256階調のデジタル信号(明度情報)から算出したコントラスト(明度差)を検出し、制御部10へ出力する。つまり、検出手段としての駆動・演算部40Cは、撮像手段としてのCMOSエリアセンサ43によって撮像された表面画像のコントラストを検出している。なお、本実施形態では、CMOSエリアセンサ43及び駆動・演算部40Cは、記録材表面検出装置40に備えられている。
【0027】
本実施形態において、CMOSエリアセンサ43A、43Bは、有効画素サイズとして縦1.5mm×横1.5mmで600dpiの解像度を有している。これを結像レンズ44SA、44SBと組み合わせることによって、記録材Pの表面における縦3.0mm×横3.0mmのエリアを300dpiの解像度で撮像することができる。ここでエリアセンサとは、縦、横にそれぞれ複数画素の情報を2次元的に1度で撮像可能なセンサのことをいう。つまり本実施形態では、第1光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第1エリアセンサと、第2光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第2エリアセンサとを有している。
【0028】
また、本実施形態では、照射用LED42は、その光軸が記録材Pの搬送方向と45°の角度をなすように配置されている。また、照射用LED42からの光は、CMOSエリアセンサ43A、43Bによって撮像される記録材表面上の2箇所の光照射領域を含む領域に対して拡散放射されている。すなわち、記録材Pの繊維配向方向に対して拡散光を照射し、その拡散光照射領域のうちの互いに異なる第1光照射領域、及び第2光照射領域を記録材Pの表面画像としてCMOSエリアセンサ43A、43Bが撮像している。これによると、次の効果を得ることができる。
【0029】
例えば、一方の光照射領域の中心と光源とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線が記録材Pの繊維配向方向と一致した場合は、表面の凹凸レベルの割にコントラストの低い撮影像しか得ることができない。しかし、この場合はもう一方の光照射領域の中心と光源とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線が記録材Pの繊維配向方向に対して垂直となるので、記録材Pの表面の凹凸レベルを反映したコントラストの高い撮影像を得ることが可能となる。よって、これら二つの撮影像を平均化処理するなどして総合的に勘案することにより、記録材Pの繊維配向方向と光照射方向との関係に起因する検出結果のばらつきを軽減し、記録材Pの表面状態を正確に検出することができる。よって、記録材Pの種類の判別精度を向上させることができる。
【0030】
本実施形態の効果を検証するために、本実施形態に係る記録材表面検出装置40と従来の記録材表面検出装置を用いて、下記の記録材の判別実験を行った。以下、その実験結果について説明する。
【0031】
まず記録材として、互いに繊維配向方向の異なる2種類のLedgerサイズの普通紙
(商品名:Xerox Business 4200 20Lb)を用いた。一方は上記普通紙を意図的に斜めに断裁して得たA4サイズ紙(1)であり、他方は、繊維配向方向に縦方向(長手方向)を揃えて断裁して得たA4サイズ紙(2)である。これらを紙(1)、紙(2)として説明する。なお、紙(1)を顕微鏡によって観察したところ、その繊維配向方向は紙の縦方向に対して20°傾いていた。つまり、紙(1)と紙(2)とは、互いに同じ種類の紙であるが、その繊維配向方向のみが異なっているといえる。
【0032】
図3に、本実施形態に係る記録材表面検出装置40を用いて紙(1)の表面を撮影した際に得られた撮影像を示す。図3(a)は、照射用LED42によって紙(1)の縦方向と同一方向から光を照射した場合における照射領域内をCMOSエリアセンサ43Aで撮影した際の表面凹凸像(撮影像)である。図3(b)は、照射用LED42によって紙(1)の縦方向と垂直な方向(横方向)から光を照射した場合における照射領域内をCMOSエリアセンサ43Bで撮影した際の表面凹凸像(撮影像)である。
【0033】
また、これらの表面凹凸像に対応する明度情報(デジタル信号レベル)をそれぞれヒストグラム化すると図4(a)、図4(b)のような分布が得られる。図4(a)、図4(b)において、横軸は、各表面凹凸像に対応する明度情報(デジタル信号レベル)を階級ごとに表しており、縦軸は、撮像領域内での該当画素数を頻度として表している。
【0034】
駆動・演算部40Cは、明度情報(デジタル信号レベル)のうち明度が最も高い(電圧が高い)方から順に5つの信号の平均値Imaxと、明度の最も低い(電圧が低い)方から順に5つの信号の平均値Iminを算出している。そして、それらの差分である明度差ΔIをそれぞれの撮影像に対して求めている。
【0035】
図5に、前述した2種類の紙(1)、紙(2)に関する明度差ΔIの検出結果を示す。例えば、紙(1)の縦方向と垂直な方向(横方向)から光が照射された領域は、撮影像の陰影がはっきりしているので明度差ΔI(1)(b)は大きくなっている。一方、紙(1)の縦方向と同一方向から光が照射された領域は、撮影像の陰影の差があまり無いので明度差ΔI(1)(a)は小さくなっている。そして、それぞれの明度差ΔI(1)(a)、明度差ΔI(1)(b)を求めた後、駆動・演算部40Cが、これらΔI(1)(a)とΔI(1)(b)の平均値である平均明度差ΔI(1)(ave)の大きさを求める。同様にして、紙(2)についてもΔI(2)(a)とΔI(2)(b)を求め、そこから平均明度差ΔI(2)(ave)を算出する。
【0036】
図5に示すように、A4サイズ紙の縦方向(長手方向)に繊維配向方向を一致させた紙(2)では、ΔI(2)(a)とΔI(2)(b)との差が大きくなっていることがわかる。一方、紙の縦方向に対して繊維配向方向が20°傾いた紙(1)では、ΔI(1)(a)とΔI(1)(b)の差が小さくなっていることがわかる。つまり、それぞれの表面凹凸像の明度差は、紙の繊維配向方向に依存していることがわかる。
【0037】
しかしながら図5によると、それぞれの紙(1)、紙(2)の平均明度差ΔI(ave)はほぼ同じ値に収束していることがわかる。つまり、異なる2方向から照射した2つの光照射領域を撮像して、それぞれの領域の表面状態を検出し、平均明度差ΔI(ave)を求めることによって、繊維配向方向が異なる場合も記録材を正確に判別することができる。すなわち記録材の種類の判別精度が向上する。
【0038】
本実施形態に対する比較例として、図14に示すような従来の一光源一撮像タイプの記録材表面検出装置を試作し、それぞれの装置によって前述した繊維配向方向が異なる2種類の紙(1)、(2)の表面状態を検出した。ここでは、照射用LED42の光軸が記録材Pの搬送方向に対して45°傾くように照射用LED42を配置した。なお、照射用L
ED42の光が照射される照射領域を、1つのCMOSエリアセンサ43のみで撮像する以外は、本実施形態と従来の記録材表面検出装置は同一の構成を有している。
【0039】
図15に、従来の記録材表面検出装置を用いて得られた記録材Pの表面状態に関する検出結果を示す。従来の装置によると、A4サイズ紙の縦方向(長手方向)に繊維配向方向が一致するよう断裁した紙(2)を検出した際の明度差ΔIに比べ、紙の縦方向に対して繊維配向方向が20°傾いた紙(1)を検出した際の明度差ΔIが大幅に小さくなっている。つまり、比較例として用いた従来の記録材表面検出装置では、同一の記録材の表面画像を検出しているにも関わらず、その検出結果が紙の繊維配向方向に依存して大幅に変動していることがわかる。これに対して本実施形態では、紙の繊維配向方向が検出結果に及ぼす影響を低減させることができ、検出結果のばらつきを軽減できるので、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、照射用LED42と第1光照射領域の中心とを結ぶ線分と、照射用LED42と第2光照射領域の中心とを結ぶ線分とが成す角(以下、設定角度という)を90°に設定している。この構成により、一方の光照射領域における撮影像の明度差(コントラスト)が低い場合でも、もう一方の光照射領域における撮影像の明度差(コントラスト)は高くなる。つまり、いかなる繊維配向方向の記録材Pに対しても、2つの撮影像のコントラストを平均化した平均明度差ΔI(ave)を用いることにより、記録材
Pの繊維配向方向に起因する検出結果のばらつきを抑えることができる。
【0041】
しかし、設定角度は必ずしも90°である必要はない。異なる2方向から光を照射し、陰影の生じ方の異なった2つの領域をそれぞれ撮像して2つの撮影像の平均明度差ΔI(ave)を求めれば、設定角度が90°以外の場合でも、検出結果のばらつきを軽減させることができる。すなわち、本実施の形態によると、設定角度が90°以外の場合も、記録材Pの判別精度を向上させることができる。言い換えると、光源と第1光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線と、光源と第2光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線とが交差する関係になれば十分な効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、光源として照射用LED42を用いているが、例えばキセノンランプやハロゲンランプを光源として用いてもよい。すなわち、記録材Pの表面凹凸によって生じる陰影を際立たせるのに十分な光量を照射できるような光源であればよい。また、撮像手段として、CMOSタイプのセンサの代わりにCCDタイプのセンサを用いてもよく、記録材の表面状態を確実に撮像できるセンサであれば他のセンサを用いてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、CMOSエリアセンサ43によって撮像された表面画像のコントラストを検出する検出機能を、記録材表面検出装置40の駆動・演算部40Cに設けているが、これを画像形成装置の制御部10に備える構成であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、記録材表面検出装置40によって検出された記録材Pの表面状態に基づき、制御部10が転写バイアスもしくは定着温度を制御する構成とした。しかしながら、制御対象はこれらに限られるものではなく、制御部10が、例えば静電潜像形成や現像の各プロセスにおける各種制御パラメータや、一連の画像形成速度(プロセス速度)を制御することも可能である。つまり、制御部10は、記録材に画像を形成する画像形成動作に関する条件であれば、いかなる画像形成条件を制御するものであってもよい。
【0045】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0046】
<第2実施形態>
図6〜図9を参照して、本発明を適用可能な第2実施形態に係る記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置について説明する。図6は、本実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上視図、(c)は側面図である。本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、光源である照射用LED42、撮像手段であるCMOSラインセンサ43L、及び、結像手段である結像レンズアレイ44Aを備えている。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
本実施形態における光源としての照射用LED42には、スタンダードタイプの砲弾型白色LED(ローム社製:型番SLR343WBC7T)を用いている。図6(a)及び図6(b)に示すように、照射用LED42は、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上に配置されている。また、照射用LED42の光軸を記録材Pに投影した直線が記録材の搬送方向と一致するように照射用LED42が配置されている。また、図6(c)に示すように、光源からの光は、記録材Pの表面に対して15°の角度で照射されているが、上記で説明したように、この角度は0°より大きく20°以下の範囲であればよい。
【0048】
CMOSラインセンサ43L、及び結像レンズアレイ44Aは、それらの長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。さらに、照射用LED42からの光が照射される光照射領域内において、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2つの光照射領域(第1光照射領域、及び第2光照射領域)を撮影可能な位置に配置されている。図示するように第1光照射領域と第2光照射領域は互いに異なる領域である。
【0049】
記録材Pの表面状態を反映した陰影情報を含む反射光は、結像レンズアレイ44Aによって集光されてCMOSラインセンサ43Lによってライン画像として撮像される。CMOSラインセンサ43Lはライン画像として撮像したライン内の画素毎に反射光量に応じて変化する映像電圧信号を検出し、駆動・演算部40Cに出力する。検出手段としての駆動・演算部40Cは、CMOSラインセンサ43Lから出力された映像電圧出力信号を受け取ると、これをA−D変換し、変換後のデジタル信号(明度情報)を検出する。
【0050】
記録材Pの判別を行う際は、記録材Pを搬送方向に移動させながら、このような一ライン毎の撮像動作を行いつつ、デジタル信号(明度情報)を逐次つなぎ合わせることによりエリアとしての明度情報を作成する。ここで、駆動・演算部40Cは、エリアとしてのデジタル信号(明度情報)からコントラスト(明度差)を算出し、制御部10へ出力している。つまり、検出手段としての駆動・演算部40Cは、撮像手段としてのCMOSラインセンサ43Lによって撮像されたライン画像を逐次つなぎ合わせたエリアの明度情報から算出したコントラストを検出している。本実施形態では、CMOSラインセンサ43L、及び駆動・演算部40Cは、記録材表面検出装置40に備えられている。
【0051】
本実施形態におけるCMOSラインセンサ43Lは、有効画素長(長手方向)が20mmで解像度は600dpiである。制御部10は、記録材Pがレジストローラ対19a、19bに挟持されながら二次転写ニップ部に搬送されるまでの間に、記録材Pを搬送方向に5mm移動させながら前述した一ライン毎の撮像動作を行う。つまり、CMOSラインセンサ43Lは、記録材Pの表面の第1光照射領域内における所定サイズの画素と、記録材Pの表面の第2光照射領域内における所定サイズの画素とを結ぶラインをライン画像として撮像するものである。そしてCMOSラインセンサ43Lは、レジストローラ対19a、19bが記録材Pを搬送している状態で、記録材Pの表面を順次撮像している。これにより、記録材表面における縦5mm×横20mmのエリアの明度情報を600dpi×600dpiの解像度で得ることができる。
【0052】
なお、ここで用いられているラインセンサとは、縦に1画素、横に複数画素のライン情報を撮像可能なセンサのことをいう。つまり本実施形態では、第1光照射領域内における所定サイズの画素と、第2光照射領域内における所定サイズの画素とを結ぶラインをライン画像として撮像する1つのラインセンサのことを指している。本発明の他の実施形態として、このようなラインセンサを縦方向に複数並べて複数ラインの情報を同時に撮像可能なセンサとして利用することもできる。このようにラインセンサを用いることによって、記録材Pを搬送しながら記録材表面を撮像することができるので、記録材Pを停止させた状態で撮像する場合に比べて、画像形成装置のスループットを損なわず、記録材の表面状態を検出することができる。
【0053】
一ライン毎の撮像動作を順次行うことによって得られたエリア画像のうち、半分の5mm×10mmのエリアは、照射用LED42の左側照射(第1光照射領域)によって生じた陰影像である。また、残り半分の5mm×10mmのエリアは、照射用LED42の右側照射(第2光照射領域)によって生じた陰影像である。駆動・演算部40Cは、異なる2方向からの光照射領域によって各々得られた半分のエリア画像から、更にその中心付近5mm×5mmのエリアを抽出している。例えば、第1実施形態で説明したものと同様の手法によって得たA4サイズの紙(1)を検出した場合に得られる2つの表面画像は、図7(a)、図7(b)のようになる。そして駆動・演算部40Cは、第1実施形態で説明したものと同様の解析手法により、記録材Pの表面状態を検出し、記録材の種類を判別し、制御部10は判別結果に基づいて最適な転写バイアスや定着温度といった画像形成条件を制御している。
【0054】
図8に、本実施形態に係る記録材検出装置を用いた場合の記録材種類の判別結果を示す。記録材としては、表面平滑性の高いグロス紙(コート紙)として2種類、表面平滑性が平均的な普通紙(ノンコート紙)として6種類、表面平滑性の低いラフ紙として3種類を用意して判別実験を行った。ここで、記録材の種類に関する3段階の区分けは、記録材の表面平滑性を考慮して、発明者らが定義したものである。
【0055】
図8では、各記録材についてそれぞれ5枚を撮影し、第1実施形態と同様の手法によって撮影像から算出した平均明度差ΔI(ave)を比較している。横軸に各紙種と同一紙種の各5枚を並べて示し、縦軸を平均明度差ΔI(ave)としてプロットしている。この結果より、平均明度差ΔI(ave)は、図8中1点鎖線で示したグロス紙−普通紙判別ラインと、2点鎖線で示した普通紙−ラフ紙判別ラインによって、3種類の紙種を誤判別することなく区分けすることができた。以上のように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、異なる2方向から光を照射し、2箇所の照射領域を撮像することで記録材Pの種類を判別している。よって、記録材Pの繊維配向方向が及ぼす影響を低減させることができ、検出結果のばらつきを軽減でき、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では設定角度を90°として説明したが、設定角度は必ずしも90°である必要はない。光源と第1光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線と、光源と第2光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線とが交差する関係にあればよい。
【0057】
また、本実施形態では、記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上に照射用LED42を配置している。そして、その際の照射用LED42の光軸が、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円の中心を通過するようにしている。すなわち、照射用LED42は、第1光照射領域の中心と第2光照射領域の中心とを結ぶ線分の二等分線上に配置されている。この構成により、照射用LEDからの光が照射する左側照射(第1光照射領域)と右側照射(
第2光照射領域)の光量分布はほぼ等しくなるので、1度の拡散光照射において同程度の光量を2つの光照射領域に照射することができる。よって、より精度良く記録材を判別することができる。
【0058】
また、照射用LED42の位置は、図6に示す位置に限られるものではない。例えば、図9(a)、図9(b)に示すように、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上の任意の位置に配置される構成でもよい。ただし、図9(a)、図9(b)に示す構成では、照射用LEDからの光が照射される左側照射(第1光照射領域)と右側照射(第2光照射領域)の光量分布は異なる。よって、各光照射領域に対応するように光量補正を行った後に、光照射した領域を撮像する構成、つまり、1つの撮像領域に対して光量補正と光照射を、その都度行う構成とすれば、それぞれの撮像に適した光量が得られ、記録材を精度良く判別することができる。
【0059】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0060】
<第3実施形態>
図10〜図13を参照して、本発明を適用可能な第3実施形態に係る記録材表面検出装置40について説明する。図10は、本実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成を示した図であり、図10(a)は設定角度が75°の場合、(b)は、設定角度が105°の場合を示している。なお、本実施形態に係る記録材表面検出装置の構成は、第2実施形態と同一であり、設定角度のみが第2実施形態と異なっている。以下では第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、同一の構成に関しては説明を省略する。
【0061】
図10に示すように、照射用LED42はCMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円Crの円周上から、照射用LED42の光軸方向にずれた位置に配置されている。図10(a)には、円Crと同心的であって、相似拡大した円Cl(設定角度75°の場合)、図10(b)には、相似縮小した円Cs(設定角度105°の場合)上に照射用LED42が配置された構成を示している。
【0062】
CMOSラインセンサ43L、及び結像レンズアレイ44Aは、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2箇所を撮影可能なように、その長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。照射用LED42から射出された光は、記録材Pの表面に対して15°の角度で、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2箇所を照射している。上記でも説明したように、この角度は0°より大きく20°以下であるとよい。
【0063】
CMOSラインセンサ43Lおよび結像レンズアレイ44Aは、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2つの光照射領域(第1光照射領域、及び第2光照射領域)を撮影可能なように、それらの長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。ここで、第1光照射領域と第2光照射領域は互いに異なる領域である。本実施形態では、第2実施形態と同様にラインセンサを用いている。この構成により、記録材Pを搬送しながら記録材表面を撮像することができるので、記録材Pを停止させた状態で撮像する場合に比べて、画像形成装置のスループットを損なわず、記録材Pの表面状態を検出することができる。
【0064】
図11に、本実施形態に係る記録材表面検出装置40を用いて、設定角度を変えて、実際に記録材を撮像した際の表面凹凸像を示す。ここでは記録材として表面平滑性が最も一
般的である普通紙(ノンコート紙)を使用した。また、設定角度を(i)67.5°(ii
)75°、(iii)90°、(iv)105°、(v)112.5°に設定した。
【0065】
図12に、設定角度を変えて撮像した表面凹凸像から記録材を判別した場合の判別結果を示す。ここでは、表面平滑性が平均的な普通紙(ノンコート紙)として、ラフ紙に近い普通紙1種類と、表面平滑性の低いラフ紙として、普通紙に近いラフ紙1種類を用意して判別実験を行った。つまり、記録材の種類を区分けして判別したいが、表面平滑性にそれほど差がなく判別し難い種類の普通紙とラフ紙を用いて判別実験を行った。
【0066】
図12において、各紙種についてそれぞれ3枚を撮影し、第2実施形態と同様の手法によって撮影像から算出した平均明度差ΔI(ave)を比較した結果を示している。横軸には、2種類の紙種と同一紙種の各3枚(測定紙1〜3)について、設定角度を60°〜120°の範囲で7.5°おきに変化させた場合を示している。縦軸には、記録材の繊維配向方向の影響を確認するために、記録材搬送方向に対して光源の光軸を0°から180°まで、7.5°ずつ変化させた場合における撮影像から得られた平均明度差ΔI(ave)を測定点としてプロットしている。
【0067】
この実験結果より、普通紙およびラフ紙の表面凹凸像の平均明度差ΔI(ave)は、設定角度が75°から105°(90°±15°)の範囲で上下にそれぞれの紙種に区画分けできることがわかった。しかしながら、67.5°以下や112.5°以上の設定角度になると、それぞれの平均明度差ΔI(ave)のバラツキが大きくなり、区分けしたい紙種同士でオーバーラップする場合があった。このため、記録材の種類を誤判別する可能性がある。このような誤判別を防ぐべく、各紙種の設定角度における有効判別角度を図12中の矢印の範囲に示した。
【0068】
図示するように、設定角度が75°以上105°以下の範囲内となるように、照射用LED42を配置すれば、多様な繊維配向方向を有する記録材に対しても、判別し難い種類の普通紙とラフ紙の境目を区分けすることができる。つまり記録材の種類の判別精度を向上させることができる。
【0069】
さらに図6、図9で示したように、照射用LED42が、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上の任意の位置に配置される構成と、本実施の形態の構成を組み合せてもよい。そうすることにより、照射用LED42の位置は、図13中のハッチで示す範囲内が許容される。よって、照射用LED42の配置の自由度が高まるとともに、組立て誤差を許容することにより、製作歩留まりを向上させることが可能となる。
【0070】
このような構成の記録材表面検出装置40を用いることにより(装置の動作は第2実施形態と同一)、記録材の表面状態を検出し、その検出結果から最適な転写バイアスや定着温度といった画像形成条件を制御することができる。つまり本実施形態では、第1、第2施形態と同様に、異なる2方向からの光が照射した領域を撮像してそれぞれ検出しているので、記録材の繊維配向方向が及ぼす影響を低減することができ、検出結果のばらつきを軽減でき、判別精度を向上させることができる。
【0071】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0072】
<第4実施形態>
図16を参照して、本発明を適用可能な第4実施形態に係る記録材表面検出装置につい
て説明する。図16は、本実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は上視図、(c)は側面図である。本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、光源である照射用LED42、2つのスリットを有する遮光手段としての遮光板46、撮像手段であるCMOSラインセンサ43L、及び、結像手段である結像レンズアレイ44Aを備えている。なお、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0073】
図16(a)、図16(b)に示すように、光源としての照射用LED42は、光源の光軸を記録材Pに投影した直線が記録材Pの搬送方向と一致するように配置されている。また、図16(c)に示すように、光源からの光は記録材Pの表面に対して15°の角度で入射しており、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2つの領域を照射している。
【0074】
遮光板46は、照射用LED42からの光が記録材Pの表面の光照射領域に到達するまでの光路上に配置されている。また遮光板46は、照射用LED42からの拡散光を第1光照射領域に到達する光に絞る第1スリット46aと、照射用LED42からの拡散光を第2光照射領域に到達する光に絞る第2スリット46bとを有している。このようなスリットを有する遮光板46を設けることにより以下のような効果が得られる。
【0075】
すなわち、必要とする2つの光照射領域(第1光照射領域、及び第2光照射領域)にはスリット46a、46bをそれぞれ通過した一方向からの光を入射させ、それ以外の光を遮光板46によって遮ることができる。つまり、照射用LED42からの拡散光の一部が記録材表面上の撮像領域の近傍にある周辺部品(記録材表面検出装置40の壁面等)で反射した後に、本来必要としない別方向からの迷光として撮像領域に入射するといった問題を防止することができる。これにより、得られる陰影像のコントラストをより明確にすることが可能になり、記録材の判別精度が向上する。
【0076】
また、記録材Pの表面凹凸状態(表面平滑性)を反映した陰影情報を含む領域の反射光は、結像レンズアレイ44Aによって集光されてCMOSラインセンサ43Lによってライン画像として撮像される。本実施形態では、第2実施形態と同様のラインセンサを用いている。この構成により、記録材Pを搬送しながら記録材表面を撮像することができるので、記録材Pを停止させた状態で撮像する場合に比べて、画像形成装置のスループットを損なわず、記録材Pの表面状態を検出することができる。
【0077】
そしてCMOSラインセンサ43Lによって撮像された画像の情報に基づき、駆動・演算部40Cは、第2実施形態で説明した解析手法を行い、記録材Pの表面状態を検出する。制御部10は、その検出結果から最適な転写バイアスや定着温度といった画像形成条件を制御する。
【0078】
以上のように本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態と同様に、光源からの光を異なる2方向へ照射し、照射された領域をそれぞれ撮像する構成としたので、記録材の繊維配向方向が及ぼす影響を低減させることができ、検出結果のばらつきを軽減できる。よって、記録材の判別精度を向上させることができる。さらに、本実施形態では、光の照射領域に対応する2つのスリットを有する遮光板46を設けることにより、迷光が撮像領域に入射することを軽減でき、得られる陰影像のコントラストを十分に確保できる。
【0079】
従って、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0080】
<第5実施形態>
図17〜図19を参照して、本発明を適用可能な第5実施形態に係る記録材表面検出装置について説明する。本実施形態では、光源としての照射用LED42から照射される光量を補正し、補正された光量によって第1光照射領域、及び第2光照射領域のそれぞれに対して、異なるタイミングで照射用LED42を発光させていることを特徴とする。なお、記録材表面検出装置、及び画像形成装置の構成は、下記で説明する白色基準板を設ける構成以外は、第1〜第4実施形態と異なるものではないので、同一の部分に関してはその説明を省略する。
【0081】
(照射用LED42の光量補正について)
まず、光量補正について説明する。上記第1〜第4実施形態では、場合によっては照射用LED42からの光が光量過多となって記録材表面からの反射光が多くなることで、凹凸像全体が明るくなり、明るい側の画像情報が飽和する可能性がある。反対に、照射用LED42からの光が光量不足となることで、凹凸像全体が暗くなり、暗い側の画像情報が飽和する可能性がある。そこで本実施形態では、照射用LED42からの光の光量を補正する補正手段を設け、過不足なく適切な量の光が記録材表面の第1光照射領域、及び第2光照射領域に照射されるようにしている。
【0082】
具体的には、図17に示される様に、撮像手段であるCMOSエリアセンサ43と対向する位置に白色基準板41(基準面)を配置し、白色基準板41から反射される乱反射画像を取得することによって、制御部10が光量を補正している。この白色基準板41は、記録材が搬送される搬送路において、光照射領域内に設けられている。また、本実施形態では撮像手段としてCMOSエリアセンサ43Lを用いているが、撮像手段はこれに限定されるものではなく、例えば上記で説明したCMOSラインセンサを用いる構成であってもよい。
【0083】
次に、図18を参照して、本実施形態における光量の補正シーケンスについて説明する。まず光量補正開始S200のステップを実行し、最初に照射用LED42をOFFにした状態で画像取得S201を行う。その後、S202において照射用LED42を初期設定の電流値でONし、照射用LED42の発光が安定するまで待つ。その後、S203においてCOMOSエリアセンサ43の全撮像領域に白色基準板41を配置し、白色基準板41からの乱射画像を取得する。そして取得した画像を確認し、現状の光量が目標範囲内であるか否かをS204において確認する。この際、光量が目標範囲外である場合は、光量が目標範囲内になるように照射用LED42の駆動電流を変更する(S207)。
【0084】
光量が目標範囲内に入った場合は、S204からS205へ移行し、目標範囲内の上限光量及び下限光量の検知確認を行う。例えば光量の目標範囲が100h〜110hの場合、測定された光量が100hを超えた場合、もしくは110hを超えた場合の駆動電流設定を記憶しておく。これは、照射用LED42を目標光量範囲内で発光させる電流値を確認するために行うものである。なお、S205において上限光量、下限光量を共に検知できない場合は、S207に戻り、照射用LED42の駆動電流を変更してS203へ戻る。
【0085】
目標光量範囲の上限光量と下限光量を検知確認すると、S206へ移行し、照射用LED42の駆動電流を決定する。本実施形態では、上限光量を検知した時の駆動電流値と、下限光量を検知した時の駆動電流値の中間値(両方の電流値を足して2で割った値)を、照射用LED42の駆動電流値に設定している。以上の処理を行い、S209において再度基準乱反射画像を取得する。その後、S210に移行して光量補正を終了する。
【0086】
(第1光照射領域と第2光照射領域を撮像するタイミングについて)
上記補正手段を有する構成において、照射用LED42の光軸が大きく傾いている場合
に、第1光照射領域と第2光照射領域のそれぞれに照射される光量を、白色基準板41から反射される光の情報に基づいて光量補正すると、以下の課題を生じる虞がある。つまり、一方の光照射領域では、照度不足もしくは照度過多として除かれる画像情報数が、記録材の表面状態を検出するのに必要な画像情報数に満たない可能性がある。そこで本実施形態では、白色基準板41によって、第1光照射領域、第2光照射領域に照射される光量をそれぞれ補正し、それぞれの光照射領域ごとに設定された補正後の光量に基づいて照射用LED42を発光させている。
【0087】
図19に、第1光照射領域、第2光照射領域に照射される光量をそれぞれ補正し、それぞれの光照射領域ごとに設定された補正後の光量に基づいて、照射用LED42を発光させる補正シーケンスを示す。本実施形態では、まず画像形成装置の出荷前に照射用LED42の照射角度について第1光照射領域、第2光照射領域のバランスを測定し、不図示の記憶手段に記憶しておき、その記憶手段の値から出荷時の照射光量バランスが適切であるかを確認している。照射光量バランスは、例えば第1光照射領域の照射光量が適切な範囲内であっても、第2光照射領域の照射光量が適切な範囲外でかつ明るい側に飽和もしくは飽和に近い場合、もしくは暗い側に飽和もしくは飽和に近い場合は不適切と判断する。
【0088】
照射光量バランスが適切であると判断した場合は、上記で説明した通常の光量補正(S200)を行なう。しかし照射光量バランスが不適切と判断した場合は、それぞれの照射領域ごとに適切な光量補正を行う必要がある。そのため、シーケンスS602以降の処理を行なう。まず、最初に照射用LED42をOFFにした状態で画像取得S602を行なう。その後、S603において照射用LED42を初期設定の電流値でONし、LEDの発光が安定するまで待ち、シーケンスS604において基準面から戻ってくる乱反射画像を取得する。そして取得した画像を確認し、現状の光量が目標範囲内であるか否かをシーケンスS605において判定する。
【0089】
本実施形態では、第1光照射領域から判定を行なっている。第1光照射領域に配置されている白色基準板41からの画像情報が目標範囲外だった場合は、その結果に応じて照射用LED42の駆動電流をシーケンスS606にて変更し、再びシーケンスS604へ戻る。この動作を繰り返し、光量が目標範囲に入った場合に、シーケンスS605からシーケンスS607へ移行し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量の検知確認を行う。シーケンスS607にて上限光量及び下限光量を共に検知していない場合は、シーケンスS606へ再び戻り、照射用LED42の駆動電流を変更してシーケンスS604へ戻る。
【0090】
この動作を繰り返し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量を検知確認できた場合は、シーケンスS607からシーケンスS608へ移行し、照射用LED42の駆動電流を設定する。この駆動電流の設定では、上述したように、上限光量及び下限光量の中間値を求めている(S608)。以上の処理を行い、第1光照射領域の光量補正を行った後、第2光照射領域の光量補正を行う。
【0091】
第2光照射領域の光量補正では、まずシーケンスS609で現状の光量が目標範囲内かを判定する。第2光照射領域に配置されている白色基準板41からの画像情報が目標範囲外だった場合は、その結果に応じて照射用LED42の駆動電流をシーケンスS610にて変更し、再びシーケンスS609へ戻る。この動作を繰り返し、光量が目標範囲に入った場合に、シーケンスS609からシーケンスS611へ移行し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量の検知確認を行う。シーケンスS611にて上限光量及び下限光量を共に検知していない場合は、シーケンスS610へ再び戻り、照射用LED42の駆動電流を変更してシーケンスS609へ戻る。
【0092】
この動作を繰り返し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量を検知確認できた場合は
、シーケンスS611からシーケンスS612へ移行し、照射用LED42の駆動電流を設定する。設定方法は上述した通りである(S612)。以上の処理を行い、第2光照射領域の光量補正を終了する。
【0093】
第1光照射領域、及び第2光照射領域のそれぞれの光量補正を行った後、それぞれの照射領域に対して設定された電流値によって、照射用LED42を異なるタイミングで発光させ、CMOSエリアセンサ43が記録材の表面画像としてそれぞれ撮像する。例えば、まず第1光照射領域に対応した補正後の光量で照射用LED42が発光し、CMOSエリアセンサ43が第1光照射領域の表面画像を撮像する(第1のタイミング)。その後、第2光照射領域に対応した補正後の光量で照射用LED42が発光し、CMOSエリアセンサ43が第2光照射領域の表面画像を撮像する(第2のタイミング)。つまり互いに異なる第1のタイミングと第2のタイミングによって照射用LED42が発光し、記録材の表面画像を撮像しているので、より適切な光量によって第1光照射領域、及び第2光照射領域の表面画像を撮像することが可能になる。
【0094】
なお、本実施形態の構成、シーケンスは、上記で説明した第1〜第4実施形態に係る記録材表面検出装置、及び画像形成装置の構成と組み合わせることが可能である。また、ここでは第1光照射領域から光量の補正、及び表面画像の撮像を行っているが、第2光照射領域から光量の補正、表面画像の撮像を行う構成でもよい。
【0095】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
10 制御部
40 記録材表面検出装置
40C 駆動・演算部(検出手段)
42 照射用LED(光源)
43A CMOSエリアセンサ(撮像手段)
43B CMOSエリアセンサ(撮像手段)
43L CMOSラインセンサ(撮像手段)
44SA結像レンズアレイ(結像手段)
44SB結像レンズアレイ(結像手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及び、その検出結果に基づいて画像形成条件を制御する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置は、現像装置によって可視化された現像剤像を所定の転写条件によって記録材に転写し、現像剤像が転写された記録材を所定の定着条件で加熱、加圧することにより、記録材上に画像を形成している。
【0003】
かかる画像形成装置では、例えば画像形成装置本体に設けられた操作パネル等に、記録材としての記録紙のサイズや種類(以下、紙種ともいう)がユーザによって設定されることになる。そして、その設定に応じて転写条件(例えば、転写バイアスや転写時の記録紙の搬送速度)や定着条件(例えば、定着温度や定着時の記録紙の搬送速度)が制御されている。
【0004】
また近年では、記録材の表面をエリアセンサによって撮像し、撮像した画像から表面平滑度(表面状態)を検出し、検出結果から記録材の種類を判別し、判別結果に応じて転写条件あるいは定着条件を制御する手法が提案されている(特許文献1参照)。このように、記録材の表面をエリアセンサによって撮像する手法は、表面の凹凸に起因して生じる陰影を直接的に撮影しているため、記録材の種類を高精度に判別することができる。特にコート紙(光沢紙)とノンコート紙(普通紙)とを判別する時のように、凹凸の有無あるいはその大きさや深さが視覚的にはっきりと認識できる記録材の判別において、優れた判別精度を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−38879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば記録材としての一般オフィス用紙は、用紙の表面の凹凸に起因して生じる陰影の様子が用紙の繊維配向方向(漉き目方向)によって大きく異なる場合があり、このことが記録材の判別精度の低下を招いている。すなわち、記録材の繊維配向方向と直交する方向から光を照射すると、記録材の表面の凹凸の様子が強調された、コントラストの高い撮影像が得られる。その一方で、繊維配向方向と同一方向から光を照射した場合には、凹凸に起因した陰影が出づらくコントラストの低い撮影像となってしまう。このため、同一の記録材であっても、光の照射方向と記録材の繊維配向方向との関係がそれぞれ異なると撮影像のコントラスト差が激しくなり、例えばコート紙をノンコート紙と誤判別したり、ノンコート紙をコート紙と誤判別する虞がある。つまり記録材の判別精度が低下し、適正な画像形成条件の下で画像形成が行われず、画質の低下、画像不良が生じる。
【0007】
このような課題に対し、特許文献1では、記録材の繊維配向方向を考慮して記録材の搬送方向に対して光を15°〜75°の範囲で斜めに照射し、その照射領域の表面画像をエリアセンサで撮像することにより、記録材の判別精度の向上を図っている。
【0008】
ところが、記録材の繊維配向方向は、製造過程における記録材の原材料の配合率によっ
て異なる。例えば近年のように、様々な製造拠点での製造過程を経た記録材の繊維配向方向は多種多様であり、必ずしも記録材の縦方向あるいは横方向に対して繊維配向方向が一致(0°)もしくは±15°以内に収まっているとは限らない。よって、記録材ごとに多種多様な繊維配向方向が存在するので、記録材の繊維配向方向と光照射方向との関係が記録材ごとにばらつく可能性が高い。そしてこの場合、上記で説明したように、一方向からの光が照射される1つの領域を撮像する構成では、同じ記録材であっても異なる判別結果になるといった課題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、記録材の繊維配向方向に依存することなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置であって、記録材の表面に光を照射する光源と、記録材の表面において前記光源からの光が照射される光照射領域を、記録材の表面画像として撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、を有し、前記撮像手段は、前記光照射領域の一部である第1光照射領域と、前記光照射領域の一部であって前記第1光照射領域とは異なる領域である第2光照射領域とをそれぞれ撮像しており、前記光源が記録材に光を照射している状態において、前記光源と前記第1光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、前記光源と前記第2光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、が交差する関係にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、記録材の繊維配向方向に依存することなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図、及び制御部のブロック図。
【図2】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図3】第1実施形態に係る記録材表面検出装置によって得られた撮影像を示す図。
【図4】第1実施形態における表面凹凸像の明度情報を表すヒストグラム。
【図5】第1実施形態において検出された明度差ΔIの検出結果を示す図。
【図6】第2実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図7】第2実施形態における記録材表面検出装置によって得られた撮影像を示す図。
【図8】第2実施形態に係る記録材表面検出装置による記録材の判別結果を示す図。
【図9】第2実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図10】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図11】第3実施形態において設定角度を変えて得られた撮影像を示す図。
【図12】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の検出結果を示す図。
【図13】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の上視図。
【図14】従来の記録材表面検出装置の上視図。
【図15】従来の記録材表面検出装置の検出結果を示す図。
【図16】第4実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図17】第5実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図18】第5実施形態における光量の補正シーケンスを示す図。
【図19】第5実施形態における光量の補正シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
本発明を適用可能な第1実施形態に係る記録材表面検出装置を備えた画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、まず本実施形態に係る記録材表面検出装置を備えた画像形成装置について説明し、次いで記録材表面検出装置について説明する。
【0015】
[画像形成装置の構成]
本実施形態に係る記録材表面検出装置は、例えば電子写真方式のカラー画像形成装置に用いることが可能である。図1(a)に、本実施形態に係る記録材表面検出装置を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置の概略構成を示す。
【0016】
図1(a)に示すカラー画像形成装置には、第1から第4の画像形成部を構成する4個のプロセスカートリッジ31(31Y、31M、31C、31Bk)が装着されている。各画像形成部は、順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色画像を形成するものであり、全て同じ構成を有している。なお、図1(a)に示した符号Y、M、C、Bkは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部に対応した部材を示しており、以下では特に色を区別する必要がない場合には、符号Y、M、C、Bkは省略して説明する。
【0017】
まず画像形成動作について説明する。制御部10が印刷画像信号を受け取ると、記録材Pは、給送カセット15から給送ローラ17及び搬送ローラ18によって画像形成部へと送り出される。そして、後述する画像形成動作のタイミングと記録材Pの搬送タイミングとの同期をとるために、搬送手段としてのレジストローラ対19a、19bに一旦挟持され、停止した状態で待機される。一方、制御部10は、受け取った画像信号に応じて、帯電ローラ2の作用によって一定電位に帯電した感光ドラム1(感光体)の表面を露光スキャナユニット11によって露光し、感光ドラム1の表面に静電潜像を形成する。なお、感光ドラム1は、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されることで画像形成動作に応じて時計周り方向に回転するように構成されている。
【0018】
次に、感光ドラム1表面に形成された静電潜像を、現像器8の作用によってトナー像(現像剤像)として現像する。現像器8には回転可能な現像スリーブ5が設けられており、現像スリーブ5に不図示のバイアス印加手段から現像バイアスが印加されることで、現像スリーブ5から静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナー像として現像されている。また、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像器8は一体化されており、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ31を構成している。
【0019】
中間転写ベルト24は、各感光ドラム1に接触しており、カラー画像形成時に反時計方向に各感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkの回転と同期して回転する。現像された各色トナー像は、一次転写ローラ4に印加された一次転写バイアスの作用により順次中間転写ベルト24上に転写され、中間転写ベルト24上には多色トナー像が形成される。
【0020】
中間転写ベルト24上に形成された多色トナー像は、二次転写ローラ25とで形成される二次転写ニップ部に搬送される。これと同時に、レジストローラ対19a、19bに挟持された状態で待機していた記録材Pがレジストローラ対19a、19bの作用により中
間転写ベルト24上の多色トナー像と同期を取りながら二次転写ニップ部に搬送される。そして、中間転写ベルト24上の多色トナー像が二次転写ローラ25に印加された二次転写バイアスの作用により記録材P上に一括転写される。なお、中間転写ベルト24上に転写残トナーとして残ったトナーは、クリーニング手段28によってクリーニングされ、クリーニングされた転写残トナーはクリーナ容器29に廃トナーとして蓄えられる。
【0021】
定着部21は、記録材Pを搬送させながら、転写された多色トナー像を記録材P上に溶融定着させるものであり、図1(a)に示すように記録材Pを加熱する加熱ローラ21aと記録材Pを加熱ローラ21aに圧接させるための加圧ローラ21bとを備えている。多色トナー像が転写された記録材Pが加熱ローラ21aと加圧ローラ21bとによって搬送されることで、記録材Pに熱と圧力が加えられ、多色トナー像が記録材Pの表面に定着する。トナー像定着後の記録材Pは、排出ローラ20によって排出トレイ16上に排出され、一連の画像形成動作を終了する。なお、ここで説明した一連の画像形成動作は、画像形成装置内に設けられた制御部10によって、その動作が制御されている。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置では、図1(a)に示すように記録材表面検出装置40をレジストローラ対19a、19bの手前(記録材搬送方向における上流側)に設置している。記録材表面検出装置40は、給送カセット15から搬送されてくる記録材Pの表面凹凸状態(表面平滑性)に関する情報を検出するものである。以下、この「表面凹凸状態(表面平滑性)」を単に「表面状態」と称して説明する。なお、記録材表面検出装置40による記録材Pの表面状態の検出は、記録材Pが給送カセット15から画像形成部へと送り出され、搬送手段としてのレジストローラ対19a、19bに挟持されて停止している間に行われる。
【0023】
図1(b)に、本実施の形態に係る画像形成装置の動作に関する制御ブロック図を示す。制御部10は、記録材表面検出装置40の駆動・演算部40Cから送られてくる検出情報をもとに、各画像形成手段を最適な条件に制御して画像形成装置を動作させている。具体的には、制御部10が制御する画像形成条件とは、一次転写ローラ4の一次転写バイアス、二次転写ローラ25の二次転写バイアス、定着部21が備える加熱ローラ21aの定着温度等である。
【0024】
[記録材表面検出装置の構成]
本実施形態に係る記録材表面検出装置40について説明する。図2は、記録材表面検出装置40によって記録材Pの表面状態を撮像する際の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上視図、(c)は(b)におけるA−A’断面図である。図示するように、本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、光源である照射用LED42、撮像手段であるCMOSエリアセンサ43A、43B、及び、結像手段である結像レンズ44SA、44SBを備えている。なお、記録材表面検出装置40は、記録材Pにおいて画像が形成される面と対向するように設けられており、図2では、説明の便宜上、図1(a)に示す記録材表面検出装置40を180°回転した状態を示している。
【0025】
記録材表面検出装置40の照射用LED42には、高い指向性を有する白色LED(日亜化学工業製:型番NSPW300DS)が用いられている。図2(a)、図2(b)に示すように、光源としての照射用LED42から射出された光は、CMOSエリアセンサ43A、43Bによって最終的に受光されている。また、照射用LED42は、記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上に配置されている。また、照射用LED42は、光源の光軸が記録材Pの搬送方向と45°の角度をなすように配置されている。図2(c)に示すように、光源からの光は、記録材Pの表面に対して15°の角度で斜めから照射されている。このように、記録材Pの表面に対して低い角度から斜めに光を照射させることにより、記録材Pの表面の凹凸によって生じる陰影をより際立たせ
ることが可能となる。なお、記録材Pの表面の凹凸によって生じる陰影を際立たせるためには、記録材表面に対して0°より大きく20°以下の範囲の低い角度で光を照射することが好ましい。
【0026】
記録材Pの表面状態を反映した陰影情報を含む領域の反射光は、結像レンズ44SA、44SBによって集光されてCMOSエリアセンサ43A、43Bに導かれる。第1エリアセンサとしてのCMOSエリアセンサ43A、及び第2エリアセンサとしてのCMOSエリアセンサ43Bは、反射光を利用して記録材Pの表面の所定領域(撮像領域)を、記録材Pの表面画像として撮像している。撮像が行われると、CMOSエリアセンサ43A、43Bは、表面画像として撮像した撮像領域内の画素毎に反射光量に応じて変化する映像電圧信号を検出し、その信号を駆動・演算部40Cに出力する。検出手段としての駆動・演算部40Cは、CMOSエリアセンサ43A、43Bから出力された映像電圧信号を受け取るとこれをA−D変換し、変換後の256階調のデジタル信号(明度情報)から算出したコントラスト(明度差)を検出し、制御部10へ出力する。つまり、検出手段としての駆動・演算部40Cは、撮像手段としてのCMOSエリアセンサ43によって撮像された表面画像のコントラストを検出している。なお、本実施形態では、CMOSエリアセンサ43及び駆動・演算部40Cは、記録材表面検出装置40に備えられている。
【0027】
本実施形態において、CMOSエリアセンサ43A、43Bは、有効画素サイズとして縦1.5mm×横1.5mmで600dpiの解像度を有している。これを結像レンズ44SA、44SBと組み合わせることによって、記録材Pの表面における縦3.0mm×横3.0mmのエリアを300dpiの解像度で撮像することができる。ここでエリアセンサとは、縦、横にそれぞれ複数画素の情報を2次元的に1度で撮像可能なセンサのことをいう。つまり本実施形態では、第1光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第1エリアセンサと、第2光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第2エリアセンサとを有している。
【0028】
また、本実施形態では、照射用LED42は、その光軸が記録材Pの搬送方向と45°の角度をなすように配置されている。また、照射用LED42からの光は、CMOSエリアセンサ43A、43Bによって撮像される記録材表面上の2箇所の光照射領域を含む領域に対して拡散放射されている。すなわち、記録材Pの繊維配向方向に対して拡散光を照射し、その拡散光照射領域のうちの互いに異なる第1光照射領域、及び第2光照射領域を記録材Pの表面画像としてCMOSエリアセンサ43A、43Bが撮像している。これによると、次の効果を得ることができる。
【0029】
例えば、一方の光照射領域の中心と光源とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線が記録材Pの繊維配向方向と一致した場合は、表面の凹凸レベルの割にコントラストの低い撮影像しか得ることができない。しかし、この場合はもう一方の光照射領域の中心と光源とを結ぶ直線を記録材Pに投影した直線が記録材Pの繊維配向方向に対して垂直となるので、記録材Pの表面の凹凸レベルを反映したコントラストの高い撮影像を得ることが可能となる。よって、これら二つの撮影像を平均化処理するなどして総合的に勘案することにより、記録材Pの繊維配向方向と光照射方向との関係に起因する検出結果のばらつきを軽減し、記録材Pの表面状態を正確に検出することができる。よって、記録材Pの種類の判別精度を向上させることができる。
【0030】
本実施形態の効果を検証するために、本実施形態に係る記録材表面検出装置40と従来の記録材表面検出装置を用いて、下記の記録材の判別実験を行った。以下、その実験結果について説明する。
【0031】
まず記録材として、互いに繊維配向方向の異なる2種類のLedgerサイズの普通紙
(商品名:Xerox Business 4200 20Lb)を用いた。一方は上記普通紙を意図的に斜めに断裁して得たA4サイズ紙(1)であり、他方は、繊維配向方向に縦方向(長手方向)を揃えて断裁して得たA4サイズ紙(2)である。これらを紙(1)、紙(2)として説明する。なお、紙(1)を顕微鏡によって観察したところ、その繊維配向方向は紙の縦方向に対して20°傾いていた。つまり、紙(1)と紙(2)とは、互いに同じ種類の紙であるが、その繊維配向方向のみが異なっているといえる。
【0032】
図3に、本実施形態に係る記録材表面検出装置40を用いて紙(1)の表面を撮影した際に得られた撮影像を示す。図3(a)は、照射用LED42によって紙(1)の縦方向と同一方向から光を照射した場合における照射領域内をCMOSエリアセンサ43Aで撮影した際の表面凹凸像(撮影像)である。図3(b)は、照射用LED42によって紙(1)の縦方向と垂直な方向(横方向)から光を照射した場合における照射領域内をCMOSエリアセンサ43Bで撮影した際の表面凹凸像(撮影像)である。
【0033】
また、これらの表面凹凸像に対応する明度情報(デジタル信号レベル)をそれぞれヒストグラム化すると図4(a)、図4(b)のような分布が得られる。図4(a)、図4(b)において、横軸は、各表面凹凸像に対応する明度情報(デジタル信号レベル)を階級ごとに表しており、縦軸は、撮像領域内での該当画素数を頻度として表している。
【0034】
駆動・演算部40Cは、明度情報(デジタル信号レベル)のうち明度が最も高い(電圧が高い)方から順に5つの信号の平均値Imaxと、明度の最も低い(電圧が低い)方から順に5つの信号の平均値Iminを算出している。そして、それらの差分である明度差ΔIをそれぞれの撮影像に対して求めている。
【0035】
図5に、前述した2種類の紙(1)、紙(2)に関する明度差ΔIの検出結果を示す。例えば、紙(1)の縦方向と垂直な方向(横方向)から光が照射された領域は、撮影像の陰影がはっきりしているので明度差ΔI(1)(b)は大きくなっている。一方、紙(1)の縦方向と同一方向から光が照射された領域は、撮影像の陰影の差があまり無いので明度差ΔI(1)(a)は小さくなっている。そして、それぞれの明度差ΔI(1)(a)、明度差ΔI(1)(b)を求めた後、駆動・演算部40Cが、これらΔI(1)(a)とΔI(1)(b)の平均値である平均明度差ΔI(1)(ave)の大きさを求める。同様にして、紙(2)についてもΔI(2)(a)とΔI(2)(b)を求め、そこから平均明度差ΔI(2)(ave)を算出する。
【0036】
図5に示すように、A4サイズ紙の縦方向(長手方向)に繊維配向方向を一致させた紙(2)では、ΔI(2)(a)とΔI(2)(b)との差が大きくなっていることがわかる。一方、紙の縦方向に対して繊維配向方向が20°傾いた紙(1)では、ΔI(1)(a)とΔI(1)(b)の差が小さくなっていることがわかる。つまり、それぞれの表面凹凸像の明度差は、紙の繊維配向方向に依存していることがわかる。
【0037】
しかしながら図5によると、それぞれの紙(1)、紙(2)の平均明度差ΔI(ave)はほぼ同じ値に収束していることがわかる。つまり、異なる2方向から照射した2つの光照射領域を撮像して、それぞれの領域の表面状態を検出し、平均明度差ΔI(ave)を求めることによって、繊維配向方向が異なる場合も記録材を正確に判別することができる。すなわち記録材の種類の判別精度が向上する。
【0038】
本実施形態に対する比較例として、図14に示すような従来の一光源一撮像タイプの記録材表面検出装置を試作し、それぞれの装置によって前述した繊維配向方向が異なる2種類の紙(1)、(2)の表面状態を検出した。ここでは、照射用LED42の光軸が記録材Pの搬送方向に対して45°傾くように照射用LED42を配置した。なお、照射用L
ED42の光が照射される照射領域を、1つのCMOSエリアセンサ43のみで撮像する以外は、本実施形態と従来の記録材表面検出装置は同一の構成を有している。
【0039】
図15に、従来の記録材表面検出装置を用いて得られた記録材Pの表面状態に関する検出結果を示す。従来の装置によると、A4サイズ紙の縦方向(長手方向)に繊維配向方向が一致するよう断裁した紙(2)を検出した際の明度差ΔIに比べ、紙の縦方向に対して繊維配向方向が20°傾いた紙(1)を検出した際の明度差ΔIが大幅に小さくなっている。つまり、比較例として用いた従来の記録材表面検出装置では、同一の記録材の表面画像を検出しているにも関わらず、その検出結果が紙の繊維配向方向に依存して大幅に変動していることがわかる。これに対して本実施形態では、紙の繊維配向方向が検出結果に及ぼす影響を低減させることができ、検出結果のばらつきを軽減できるので、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、照射用LED42と第1光照射領域の中心とを結ぶ線分と、照射用LED42と第2光照射領域の中心とを結ぶ線分とが成す角(以下、設定角度という)を90°に設定している。この構成により、一方の光照射領域における撮影像の明度差(コントラスト)が低い場合でも、もう一方の光照射領域における撮影像の明度差(コントラスト)は高くなる。つまり、いかなる繊維配向方向の記録材Pに対しても、2つの撮影像のコントラストを平均化した平均明度差ΔI(ave)を用いることにより、記録材
Pの繊維配向方向に起因する検出結果のばらつきを抑えることができる。
【0041】
しかし、設定角度は必ずしも90°である必要はない。異なる2方向から光を照射し、陰影の生じ方の異なった2つの領域をそれぞれ撮像して2つの撮影像の平均明度差ΔI(ave)を求めれば、設定角度が90°以外の場合でも、検出結果のばらつきを軽減させることができる。すなわち、本実施の形態によると、設定角度が90°以外の場合も、記録材Pの判別精度を向上させることができる。言い換えると、光源と第1光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線と、光源と第2光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線とが交差する関係になれば十分な効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、光源として照射用LED42を用いているが、例えばキセノンランプやハロゲンランプを光源として用いてもよい。すなわち、記録材Pの表面凹凸によって生じる陰影を際立たせるのに十分な光量を照射できるような光源であればよい。また、撮像手段として、CMOSタイプのセンサの代わりにCCDタイプのセンサを用いてもよく、記録材の表面状態を確実に撮像できるセンサであれば他のセンサを用いてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、CMOSエリアセンサ43によって撮像された表面画像のコントラストを検出する検出機能を、記録材表面検出装置40の駆動・演算部40Cに設けているが、これを画像形成装置の制御部10に備える構成であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、記録材表面検出装置40によって検出された記録材Pの表面状態に基づき、制御部10が転写バイアスもしくは定着温度を制御する構成とした。しかしながら、制御対象はこれらに限られるものではなく、制御部10が、例えば静電潜像形成や現像の各プロセスにおける各種制御パラメータや、一連の画像形成速度(プロセス速度)を制御することも可能である。つまり、制御部10は、記録材に画像を形成する画像形成動作に関する条件であれば、いかなる画像形成条件を制御するものであってもよい。
【0045】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0046】
<第2実施形態>
図6〜図9を参照して、本発明を適用可能な第2実施形態に係る記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置について説明する。図6は、本実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上視図、(c)は側面図である。本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、光源である照射用LED42、撮像手段であるCMOSラインセンサ43L、及び、結像手段である結像レンズアレイ44Aを備えている。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
本実施形態における光源としての照射用LED42には、スタンダードタイプの砲弾型白色LED(ローム社製:型番SLR343WBC7T)を用いている。図6(a)及び図6(b)に示すように、照射用LED42は、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上に配置されている。また、照射用LED42の光軸を記録材Pに投影した直線が記録材の搬送方向と一致するように照射用LED42が配置されている。また、図6(c)に示すように、光源からの光は、記録材Pの表面に対して15°の角度で照射されているが、上記で説明したように、この角度は0°より大きく20°以下の範囲であればよい。
【0048】
CMOSラインセンサ43L、及び結像レンズアレイ44Aは、それらの長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。さらに、照射用LED42からの光が照射される光照射領域内において、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2つの光照射領域(第1光照射領域、及び第2光照射領域)を撮影可能な位置に配置されている。図示するように第1光照射領域と第2光照射領域は互いに異なる領域である。
【0049】
記録材Pの表面状態を反映した陰影情報を含む反射光は、結像レンズアレイ44Aによって集光されてCMOSラインセンサ43Lによってライン画像として撮像される。CMOSラインセンサ43Lはライン画像として撮像したライン内の画素毎に反射光量に応じて変化する映像電圧信号を検出し、駆動・演算部40Cに出力する。検出手段としての駆動・演算部40Cは、CMOSラインセンサ43Lから出力された映像電圧出力信号を受け取ると、これをA−D変換し、変換後のデジタル信号(明度情報)を検出する。
【0050】
記録材Pの判別を行う際は、記録材Pを搬送方向に移動させながら、このような一ライン毎の撮像動作を行いつつ、デジタル信号(明度情報)を逐次つなぎ合わせることによりエリアとしての明度情報を作成する。ここで、駆動・演算部40Cは、エリアとしてのデジタル信号(明度情報)からコントラスト(明度差)を算出し、制御部10へ出力している。つまり、検出手段としての駆動・演算部40Cは、撮像手段としてのCMOSラインセンサ43Lによって撮像されたライン画像を逐次つなぎ合わせたエリアの明度情報から算出したコントラストを検出している。本実施形態では、CMOSラインセンサ43L、及び駆動・演算部40Cは、記録材表面検出装置40に備えられている。
【0051】
本実施形態におけるCMOSラインセンサ43Lは、有効画素長(長手方向)が20mmで解像度は600dpiである。制御部10は、記録材Pがレジストローラ対19a、19bに挟持されながら二次転写ニップ部に搬送されるまでの間に、記録材Pを搬送方向に5mm移動させながら前述した一ライン毎の撮像動作を行う。つまり、CMOSラインセンサ43Lは、記録材Pの表面の第1光照射領域内における所定サイズの画素と、記録材Pの表面の第2光照射領域内における所定サイズの画素とを結ぶラインをライン画像として撮像するものである。そしてCMOSラインセンサ43Lは、レジストローラ対19a、19bが記録材Pを搬送している状態で、記録材Pの表面を順次撮像している。これにより、記録材表面における縦5mm×横20mmのエリアの明度情報を600dpi×600dpiの解像度で得ることができる。
【0052】
なお、ここで用いられているラインセンサとは、縦に1画素、横に複数画素のライン情報を撮像可能なセンサのことをいう。つまり本実施形態では、第1光照射領域内における所定サイズの画素と、第2光照射領域内における所定サイズの画素とを結ぶラインをライン画像として撮像する1つのラインセンサのことを指している。本発明の他の実施形態として、このようなラインセンサを縦方向に複数並べて複数ラインの情報を同時に撮像可能なセンサとして利用することもできる。このようにラインセンサを用いることによって、記録材Pを搬送しながら記録材表面を撮像することができるので、記録材Pを停止させた状態で撮像する場合に比べて、画像形成装置のスループットを損なわず、記録材の表面状態を検出することができる。
【0053】
一ライン毎の撮像動作を順次行うことによって得られたエリア画像のうち、半分の5mm×10mmのエリアは、照射用LED42の左側照射(第1光照射領域)によって生じた陰影像である。また、残り半分の5mm×10mmのエリアは、照射用LED42の右側照射(第2光照射領域)によって生じた陰影像である。駆動・演算部40Cは、異なる2方向からの光照射領域によって各々得られた半分のエリア画像から、更にその中心付近5mm×5mmのエリアを抽出している。例えば、第1実施形態で説明したものと同様の手法によって得たA4サイズの紙(1)を検出した場合に得られる2つの表面画像は、図7(a)、図7(b)のようになる。そして駆動・演算部40Cは、第1実施形態で説明したものと同様の解析手法により、記録材Pの表面状態を検出し、記録材の種類を判別し、制御部10は判別結果に基づいて最適な転写バイアスや定着温度といった画像形成条件を制御している。
【0054】
図8に、本実施形態に係る記録材検出装置を用いた場合の記録材種類の判別結果を示す。記録材としては、表面平滑性の高いグロス紙(コート紙)として2種類、表面平滑性が平均的な普通紙(ノンコート紙)として6種類、表面平滑性の低いラフ紙として3種類を用意して判別実験を行った。ここで、記録材の種類に関する3段階の区分けは、記録材の表面平滑性を考慮して、発明者らが定義したものである。
【0055】
図8では、各記録材についてそれぞれ5枚を撮影し、第1実施形態と同様の手法によって撮影像から算出した平均明度差ΔI(ave)を比較している。横軸に各紙種と同一紙種の各5枚を並べて示し、縦軸を平均明度差ΔI(ave)としてプロットしている。この結果より、平均明度差ΔI(ave)は、図8中1点鎖線で示したグロス紙−普通紙判別ラインと、2点鎖線で示した普通紙−ラフ紙判別ラインによって、3種類の紙種を誤判別することなく区分けすることができた。以上のように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、異なる2方向から光を照射し、2箇所の照射領域を撮像することで記録材Pの種類を判別している。よって、記録材Pの繊維配向方向が及ぼす影響を低減させることができ、検出結果のばらつきを軽減でき、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では設定角度を90°として説明したが、設定角度は必ずしも90°である必要はない。光源と第1光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線と、光源と第2光照射領域の中心とを結ぶ直線を記録材に投影した直線とが交差する関係にあればよい。
【0057】
また、本実施形態では、記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上に照射用LED42を配置している。そして、その際の照射用LED42の光軸が、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円の中心を通過するようにしている。すなわち、照射用LED42は、第1光照射領域の中心と第2光照射領域の中心とを結ぶ線分の二等分線上に配置されている。この構成により、照射用LEDからの光が照射する左側照射(第1光照射領域)と右側照射(
第2光照射領域)の光量分布はほぼ等しくなるので、1度の拡散光照射において同程度の光量を2つの光照射領域に照射することができる。よって、より精度良く記録材を判別することができる。
【0058】
また、照射用LED42の位置は、図6に示す位置に限られるものではない。例えば、図9(a)、図9(b)に示すように、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上の任意の位置に配置される構成でもよい。ただし、図9(a)、図9(b)に示す構成では、照射用LEDからの光が照射される左側照射(第1光照射領域)と右側照射(第2光照射領域)の光量分布は異なる。よって、各光照射領域に対応するように光量補正を行った後に、光照射した領域を撮像する構成、つまり、1つの撮像領域に対して光量補正と光照射を、その都度行う構成とすれば、それぞれの撮像に適した光量が得られ、記録材を精度良く判別することができる。
【0059】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0060】
<第3実施形態>
図10〜図13を参照して、本発明を適用可能な第3実施形態に係る記録材表面検出装置40について説明する。図10は、本実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成を示した図であり、図10(a)は設定角度が75°の場合、(b)は、設定角度が105°の場合を示している。なお、本実施形態に係る記録材表面検出装置の構成は、第2実施形態と同一であり、設定角度のみが第2実施形態と異なっている。以下では第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、同一の構成に関しては説明を省略する。
【0061】
図10に示すように、照射用LED42はCMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円Crの円周上から、照射用LED42の光軸方向にずれた位置に配置されている。図10(a)には、円Crと同心的であって、相似拡大した円Cl(設定角度75°の場合)、図10(b)には、相似縮小した円Cs(設定角度105°の場合)上に照射用LED42が配置された構成を示している。
【0062】
CMOSラインセンサ43L、及び結像レンズアレイ44Aは、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2箇所を撮影可能なように、その長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。照射用LED42から射出された光は、記録材Pの表面に対して15°の角度で、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2箇所を照射している。上記でも説明したように、この角度は0°より大きく20°以下であるとよい。
【0063】
CMOSラインセンサ43Lおよび結像レンズアレイ44Aは、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2つの光照射領域(第1光照射領域、及び第2光照射領域)を撮影可能なように、それらの長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。ここで、第1光照射領域と第2光照射領域は互いに異なる領域である。本実施形態では、第2実施形態と同様にラインセンサを用いている。この構成により、記録材Pを搬送しながら記録材表面を撮像することができるので、記録材Pを停止させた状態で撮像する場合に比べて、画像形成装置のスループットを損なわず、記録材Pの表面状態を検出することができる。
【0064】
図11に、本実施形態に係る記録材表面検出装置40を用いて、設定角度を変えて、実際に記録材を撮像した際の表面凹凸像を示す。ここでは記録材として表面平滑性が最も一
般的である普通紙(ノンコート紙)を使用した。また、設定角度を(i)67.5°(ii
)75°、(iii)90°、(iv)105°、(v)112.5°に設定した。
【0065】
図12に、設定角度を変えて撮像した表面凹凸像から記録材を判別した場合の判別結果を示す。ここでは、表面平滑性が平均的な普通紙(ノンコート紙)として、ラフ紙に近い普通紙1種類と、表面平滑性の低いラフ紙として、普通紙に近いラフ紙1種類を用意して判別実験を行った。つまり、記録材の種類を区分けして判別したいが、表面平滑性にそれほど差がなく判別し難い種類の普通紙とラフ紙を用いて判別実験を行った。
【0066】
図12において、各紙種についてそれぞれ3枚を撮影し、第2実施形態と同様の手法によって撮影像から算出した平均明度差ΔI(ave)を比較した結果を示している。横軸には、2種類の紙種と同一紙種の各3枚(測定紙1〜3)について、設定角度を60°〜120°の範囲で7.5°おきに変化させた場合を示している。縦軸には、記録材の繊維配向方向の影響を確認するために、記録材搬送方向に対して光源の光軸を0°から180°まで、7.5°ずつ変化させた場合における撮影像から得られた平均明度差ΔI(ave)を測定点としてプロットしている。
【0067】
この実験結果より、普通紙およびラフ紙の表面凹凸像の平均明度差ΔI(ave)は、設定角度が75°から105°(90°±15°)の範囲で上下にそれぞれの紙種に区画分けできることがわかった。しかしながら、67.5°以下や112.5°以上の設定角度になると、それぞれの平均明度差ΔI(ave)のバラツキが大きくなり、区分けしたい紙種同士でオーバーラップする場合があった。このため、記録材の種類を誤判別する可能性がある。このような誤判別を防ぐべく、各紙種の設定角度における有効判別角度を図12中の矢印の範囲に示した。
【0068】
図示するように、設定角度が75°以上105°以下の範囲内となるように、照射用LED42を配置すれば、多様な繊維配向方向を有する記録材に対しても、判別し難い種類の普通紙とラフ紙の境目を区分けすることができる。つまり記録材の種類の判別精度を向上させることができる。
【0069】
さらに図6、図9で示したように、照射用LED42が、CMOSラインセンサ43Lによって撮像される記録材表面上の2つの光照射領域の中心間距離Lを直径とする円周上の任意の位置に配置される構成と、本実施の形態の構成を組み合せてもよい。そうすることにより、照射用LED42の位置は、図13中のハッチで示す範囲内が許容される。よって、照射用LED42の配置の自由度が高まるとともに、組立て誤差を許容することにより、製作歩留まりを向上させることが可能となる。
【0070】
このような構成の記録材表面検出装置40を用いることにより(装置の動作は第2実施形態と同一)、記録材の表面状態を検出し、その検出結果から最適な転写バイアスや定着温度といった画像形成条件を制御することができる。つまり本実施形態では、第1、第2施形態と同様に、異なる2方向からの光が照射した領域を撮像してそれぞれ検出しているので、記録材の繊維配向方向が及ぼす影響を低減することができ、検出結果のばらつきを軽減でき、判別精度を向上させることができる。
【0071】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0072】
<第4実施形態>
図16を参照して、本発明を適用可能な第4実施形態に係る記録材表面検出装置につい
て説明する。図16は、本実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は上視図、(c)は側面図である。本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、光源である照射用LED42、2つのスリットを有する遮光手段としての遮光板46、撮像手段であるCMOSラインセンサ43L、及び、結像手段である結像レンズアレイ44Aを備えている。なお、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0073】
図16(a)、図16(b)に示すように、光源としての照射用LED42は、光源の光軸を記録材Pに投影した直線が記録材Pの搬送方向と一致するように配置されている。また、図16(c)に示すように、光源からの光は記録材Pの表面に対して15°の角度で入射しており、記録材搬送方向と直交する同一直線上の2つの領域を照射している。
【0074】
遮光板46は、照射用LED42からの光が記録材Pの表面の光照射領域に到達するまでの光路上に配置されている。また遮光板46は、照射用LED42からの拡散光を第1光照射領域に到達する光に絞る第1スリット46aと、照射用LED42からの拡散光を第2光照射領域に到達する光に絞る第2スリット46bとを有している。このようなスリットを有する遮光板46を設けることにより以下のような効果が得られる。
【0075】
すなわち、必要とする2つの光照射領域(第1光照射領域、及び第2光照射領域)にはスリット46a、46bをそれぞれ通過した一方向からの光を入射させ、それ以外の光を遮光板46によって遮ることができる。つまり、照射用LED42からの拡散光の一部が記録材表面上の撮像領域の近傍にある周辺部品(記録材表面検出装置40の壁面等)で反射した後に、本来必要としない別方向からの迷光として撮像領域に入射するといった問題を防止することができる。これにより、得られる陰影像のコントラストをより明確にすることが可能になり、記録材の判別精度が向上する。
【0076】
また、記録材Pの表面凹凸状態(表面平滑性)を反映した陰影情報を含む領域の反射光は、結像レンズアレイ44Aによって集光されてCMOSラインセンサ43Lによってライン画像として撮像される。本実施形態では、第2実施形態と同様のラインセンサを用いている。この構成により、記録材Pを搬送しながら記録材表面を撮像することができるので、記録材Pを停止させた状態で撮像する場合に比べて、画像形成装置のスループットを損なわず、記録材Pの表面状態を検出することができる。
【0077】
そしてCMOSラインセンサ43Lによって撮像された画像の情報に基づき、駆動・演算部40Cは、第2実施形態で説明した解析手法を行い、記録材Pの表面状態を検出する。制御部10は、その検出結果から最適な転写バイアスや定着温度といった画像形成条件を制御する。
【0078】
以上のように本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態と同様に、光源からの光を異なる2方向へ照射し、照射された領域をそれぞれ撮像する構成としたので、記録材の繊維配向方向が及ぼす影響を低減させることができ、検出結果のばらつきを軽減できる。よって、記録材の判別精度を向上させることができる。さらに、本実施形態では、光の照射領域に対応する2つのスリットを有する遮光板46を設けることにより、迷光が撮像領域に入射することを軽減でき、得られる陰影像のコントラストを十分に確保できる。
【0079】
従って、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【0080】
<第5実施形態>
図17〜図19を参照して、本発明を適用可能な第5実施形態に係る記録材表面検出装置について説明する。本実施形態では、光源としての照射用LED42から照射される光量を補正し、補正された光量によって第1光照射領域、及び第2光照射領域のそれぞれに対して、異なるタイミングで照射用LED42を発光させていることを特徴とする。なお、記録材表面検出装置、及び画像形成装置の構成は、下記で説明する白色基準板を設ける構成以外は、第1〜第4実施形態と異なるものではないので、同一の部分に関してはその説明を省略する。
【0081】
(照射用LED42の光量補正について)
まず、光量補正について説明する。上記第1〜第4実施形態では、場合によっては照射用LED42からの光が光量過多となって記録材表面からの反射光が多くなることで、凹凸像全体が明るくなり、明るい側の画像情報が飽和する可能性がある。反対に、照射用LED42からの光が光量不足となることで、凹凸像全体が暗くなり、暗い側の画像情報が飽和する可能性がある。そこで本実施形態では、照射用LED42からの光の光量を補正する補正手段を設け、過不足なく適切な量の光が記録材表面の第1光照射領域、及び第2光照射領域に照射されるようにしている。
【0082】
具体的には、図17に示される様に、撮像手段であるCMOSエリアセンサ43と対向する位置に白色基準板41(基準面)を配置し、白色基準板41から反射される乱反射画像を取得することによって、制御部10が光量を補正している。この白色基準板41は、記録材が搬送される搬送路において、光照射領域内に設けられている。また、本実施形態では撮像手段としてCMOSエリアセンサ43Lを用いているが、撮像手段はこれに限定されるものではなく、例えば上記で説明したCMOSラインセンサを用いる構成であってもよい。
【0083】
次に、図18を参照して、本実施形態における光量の補正シーケンスについて説明する。まず光量補正開始S200のステップを実行し、最初に照射用LED42をOFFにした状態で画像取得S201を行う。その後、S202において照射用LED42を初期設定の電流値でONし、照射用LED42の発光が安定するまで待つ。その後、S203においてCOMOSエリアセンサ43の全撮像領域に白色基準板41を配置し、白色基準板41からの乱射画像を取得する。そして取得した画像を確認し、現状の光量が目標範囲内であるか否かをS204において確認する。この際、光量が目標範囲外である場合は、光量が目標範囲内になるように照射用LED42の駆動電流を変更する(S207)。
【0084】
光量が目標範囲内に入った場合は、S204からS205へ移行し、目標範囲内の上限光量及び下限光量の検知確認を行う。例えば光量の目標範囲が100h〜110hの場合、測定された光量が100hを超えた場合、もしくは110hを超えた場合の駆動電流設定を記憶しておく。これは、照射用LED42を目標光量範囲内で発光させる電流値を確認するために行うものである。なお、S205において上限光量、下限光量を共に検知できない場合は、S207に戻り、照射用LED42の駆動電流を変更してS203へ戻る。
【0085】
目標光量範囲の上限光量と下限光量を検知確認すると、S206へ移行し、照射用LED42の駆動電流を決定する。本実施形態では、上限光量を検知した時の駆動電流値と、下限光量を検知した時の駆動電流値の中間値(両方の電流値を足して2で割った値)を、照射用LED42の駆動電流値に設定している。以上の処理を行い、S209において再度基準乱反射画像を取得する。その後、S210に移行して光量補正を終了する。
【0086】
(第1光照射領域と第2光照射領域を撮像するタイミングについて)
上記補正手段を有する構成において、照射用LED42の光軸が大きく傾いている場合
に、第1光照射領域と第2光照射領域のそれぞれに照射される光量を、白色基準板41から反射される光の情報に基づいて光量補正すると、以下の課題を生じる虞がある。つまり、一方の光照射領域では、照度不足もしくは照度過多として除かれる画像情報数が、記録材の表面状態を検出するのに必要な画像情報数に満たない可能性がある。そこで本実施形態では、白色基準板41によって、第1光照射領域、第2光照射領域に照射される光量をそれぞれ補正し、それぞれの光照射領域ごとに設定された補正後の光量に基づいて照射用LED42を発光させている。
【0087】
図19に、第1光照射領域、第2光照射領域に照射される光量をそれぞれ補正し、それぞれの光照射領域ごとに設定された補正後の光量に基づいて、照射用LED42を発光させる補正シーケンスを示す。本実施形態では、まず画像形成装置の出荷前に照射用LED42の照射角度について第1光照射領域、第2光照射領域のバランスを測定し、不図示の記憶手段に記憶しておき、その記憶手段の値から出荷時の照射光量バランスが適切であるかを確認している。照射光量バランスは、例えば第1光照射領域の照射光量が適切な範囲内であっても、第2光照射領域の照射光量が適切な範囲外でかつ明るい側に飽和もしくは飽和に近い場合、もしくは暗い側に飽和もしくは飽和に近い場合は不適切と判断する。
【0088】
照射光量バランスが適切であると判断した場合は、上記で説明した通常の光量補正(S200)を行なう。しかし照射光量バランスが不適切と判断した場合は、それぞれの照射領域ごとに適切な光量補正を行う必要がある。そのため、シーケンスS602以降の処理を行なう。まず、最初に照射用LED42をOFFにした状態で画像取得S602を行なう。その後、S603において照射用LED42を初期設定の電流値でONし、LEDの発光が安定するまで待ち、シーケンスS604において基準面から戻ってくる乱反射画像を取得する。そして取得した画像を確認し、現状の光量が目標範囲内であるか否かをシーケンスS605において判定する。
【0089】
本実施形態では、第1光照射領域から判定を行なっている。第1光照射領域に配置されている白色基準板41からの画像情報が目標範囲外だった場合は、その結果に応じて照射用LED42の駆動電流をシーケンスS606にて変更し、再びシーケンスS604へ戻る。この動作を繰り返し、光量が目標範囲に入った場合に、シーケンスS605からシーケンスS607へ移行し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量の検知確認を行う。シーケンスS607にて上限光量及び下限光量を共に検知していない場合は、シーケンスS606へ再び戻り、照射用LED42の駆動電流を変更してシーケンスS604へ戻る。
【0090】
この動作を繰り返し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量を検知確認できた場合は、シーケンスS607からシーケンスS608へ移行し、照射用LED42の駆動電流を設定する。この駆動電流の設定では、上述したように、上限光量及び下限光量の中間値を求めている(S608)。以上の処理を行い、第1光照射領域の光量補正を行った後、第2光照射領域の光量補正を行う。
【0091】
第2光照射領域の光量補正では、まずシーケンスS609で現状の光量が目標範囲内かを判定する。第2光照射領域に配置されている白色基準板41からの画像情報が目標範囲外だった場合は、その結果に応じて照射用LED42の駆動電流をシーケンスS610にて変更し、再びシーケンスS609へ戻る。この動作を繰り返し、光量が目標範囲に入った場合に、シーケンスS609からシーケンスS611へ移行し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量の検知確認を行う。シーケンスS611にて上限光量及び下限光量を共に検知していない場合は、シーケンスS610へ再び戻り、照射用LED42の駆動電流を変更してシーケンスS609へ戻る。
【0092】
この動作を繰り返し、目標光量範囲内の上限光量及び下限光量を検知確認できた場合は
、シーケンスS611からシーケンスS612へ移行し、照射用LED42の駆動電流を設定する。設定方法は上述した通りである(S612)。以上の処理を行い、第2光照射領域の光量補正を終了する。
【0093】
第1光照射領域、及び第2光照射領域のそれぞれの光量補正を行った後、それぞれの照射領域に対して設定された電流値によって、照射用LED42を異なるタイミングで発光させ、CMOSエリアセンサ43が記録材の表面画像としてそれぞれ撮像する。例えば、まず第1光照射領域に対応した補正後の光量で照射用LED42が発光し、CMOSエリアセンサ43が第1光照射領域の表面画像を撮像する(第1のタイミング)。その後、第2光照射領域に対応した補正後の光量で照射用LED42が発光し、CMOSエリアセンサ43が第2光照射領域の表面画像を撮像する(第2のタイミング)。つまり互いに異なる第1のタイミングと第2のタイミングによって照射用LED42が発光し、記録材の表面画像を撮像しているので、より適切な光量によって第1光照射領域、及び第2光照射領域の表面画像を撮像することが可能になる。
【0094】
なお、本実施形態の構成、シーケンスは、上記で説明した第1〜第4実施形態に係る記録材表面検出装置、及び画像形成装置の構成と組み合わせることが可能である。また、ここでは第1光照射領域から光量の補正、及び表面画像の撮像を行っているが、第2光照射領域から光量の補正、表面画像の撮像を行う構成でもよい。
【0095】
以上より、本実施形態によれば、記録材の繊維配向方向の影響を受けることなく、精度良く記録材を判別することが可能な記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
10 制御部
40 記録材表面検出装置
40C 駆動・演算部(検出手段)
42 照射用LED(光源)
43A CMOSエリアセンサ(撮像手段)
43B CMOSエリアセンサ(撮像手段)
43L CMOSラインセンサ(撮像手段)
44SA結像レンズアレイ(結像手段)
44SB結像レンズアレイ(結像手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置であって、
記録材の表面に光を照射する光源と、
記録材の表面において前記光源からの光が照射される光照射領域を、記録材の表面画像として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、を有し、
前記撮像手段は、
前記光照射領域の一部である第1光照射領域と、
前記光照射領域の一部であって前記第1光照射領域とは異なる領域である第2光照射領域とをそれぞれ撮像しており、
前記光源が記録材に光を照射している状態において、
前記光源と前記第1光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
前記光源と前記第2光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
が交差する関係にあることを特徴とする記録材表面検出装置。
【請求項2】
前記光源と前記第1光照射領域の中心とを結ぶ線分と、
前記光源と前記第2光照射領域の中心とを結ぶ線分とが成す角は、
75°以上105°以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の記録材表面検出装置。
【請求項3】
前記光源は、
前記第1光照射領域の中心と、
前記第2光照射領域の中心と、
を結ぶ線分の二等分線上に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録材表面検出装置。
【請求項4】
前記光源から照射される光の光路上において、
前記光源と前記光照射領域との間には遮光手段が設けられており、
前記遮光手段は、
前記光源から照射される光を前記第1光照射領域に到達する光に絞る第1スリットと、
前記光源から照射される光を前記第2光照射領域に到達する光に絞る第2スリットと、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、
前記第1光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第1エリアセンサと、
前記第2光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第2エリアセンサと、
を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、
前記第1光照射領域内における所定サイズの画素と、
前記第2光照射領域内における所定サイズの画素と、
を結ぶラインをライン画像として撮像する1つのラインセンサであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項7】
前記検出手段は、
前記撮像手段によって撮像された表面画像のコントラストを検出していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項8】
前記光源からの光が照射する光照射領域内に設けられた基準面と、
前記基準面からの反射光の情報に基づき前記光源の光量を補正する補正手段と、
を有し、
前記第1光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第1光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第1のタイミングと、
前記第2光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第2光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第2のタイミングと、
を異ならせていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項9】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
記録材の表面に光を照射する光源と、
記録材の表面において前記光源からの光が照射される光照射領域を表面画像として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された情報に基づいて前記画像形成手段の画像形成条件を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置において、
前記撮像手段は、
前記光照射領域の一部である第1光照射領域と、
前記光照射領域の一部であって前記第1光照射領域とは異なる領域である第2光照射領域とをそれぞれ表面画像として撮像し、
前記光源が記録材に光を照射している状態において、
前記光源と前記第1光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
前記光源と前記第2光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
が交差する関係にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記撮像手段は、
前記第1光照射領域内における所定サイズの画素と、
前記第2光照射領域内における所定サイズの画素と、
を結ぶラインをライン画像として撮像する1つのラインセンサであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ラインセンサは、
記録材を搬送する搬送手段によって搬送されている状態の記録材の前記光照射領域を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検出手段は、
前記撮像手段によって撮像された表面画像のコントラストを検出していることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記光源からの光が照射する光照射領域内に設けられた基準面と、
前記基準面からの反射光の情報に基づき前記光源の光量を補正する補正手段と、
を有し、
前記第1光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第1光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第1のタイミングと、
前記第2光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第2光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第2のタイミングと、
を異ならせていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置であって、
記録材の表面に光を照射する光源と、
記録材の表面において前記光源からの光が照射される光照射領域を、記録材の表面画像として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、を有し、
前記撮像手段は、
前記光照射領域の一部である第1光照射領域と、
前記光照射領域の一部であって前記第1光照射領域とは異なる領域である第2光照射領域とをそれぞれ撮像しており、
前記光源が記録材に光を照射している状態において、
前記光源と前記第1光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
前記光源と前記第2光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
が交差する関係にあることを特徴とする記録材表面検出装置。
【請求項2】
前記光源と前記第1光照射領域の中心とを結ぶ線分と、
前記光源と前記第2光照射領域の中心とを結ぶ線分とが成す角は、
75°以上105°以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の記録材表面検出装置。
【請求項3】
前記光源は、
前記第1光照射領域の中心と、
前記第2光照射領域の中心と、
を結ぶ線分の二等分線上に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録材表面検出装置。
【請求項4】
前記光源から照射される光の光路上において、
前記光源と前記光照射領域との間には遮光手段が設けられており、
前記遮光手段は、
前記光源から照射される光を前記第1光照射領域に到達する光に絞る第1スリットと、
前記光源から照射される光を前記第2光照射領域に到達する光に絞る第2スリットと、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、
前記第1光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第1エリアセンサと、
前記第2光照射領域内における所定サイズのエリアを表面画像として撮像する第2エリアセンサと、
を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、
前記第1光照射領域内における所定サイズの画素と、
前記第2光照射領域内における所定サイズの画素と、
を結ぶラインをライン画像として撮像する1つのラインセンサであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項7】
前記検出手段は、
前記撮像手段によって撮像された表面画像のコントラストを検出していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項8】
前記光源からの光が照射する光照射領域内に設けられた基準面と、
前記基準面からの反射光の情報に基づき前記光源の光量を補正する補正手段と、
を有し、
前記第1光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第1光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第1のタイミングと、
前記第2光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第2光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第2のタイミングと、
を異ならせていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録材表面検出装置。
【請求項9】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
記録材の表面に光を照射する光源と、
記録材の表面において前記光源からの光が照射される光照射領域を表面画像として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された情報に基づいて前記画像形成手段の画像形成条件を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置において、
前記撮像手段は、
前記光照射領域の一部である第1光照射領域と、
前記光照射領域の一部であって前記第1光照射領域とは異なる領域である第2光照射領域とをそれぞれ表面画像として撮像し、
前記光源が記録材に光を照射している状態において、
前記光源と前記第1光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
前記光源と前記第2光照射領域とを結ぶ直線を該記録材に投影した直線と、
が交差する関係にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記撮像手段は、
前記第1光照射領域内における所定サイズの画素と、
前記第2光照射領域内における所定サイズの画素と、
を結ぶラインをライン画像として撮像する1つのラインセンサであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ラインセンサは、
記録材を搬送する搬送手段によって搬送されている状態の記録材の前記光照射領域を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検出手段は、
前記撮像手段によって撮像された表面画像のコントラストを検出していることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記光源からの光が照射する光照射領域内に設けられた基準面と、
前記基準面からの反射光の情報に基づき前記光源の光量を補正する補正手段と、
を有し、
前記第1光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第1光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第1のタイミングと、
前記第2光照射領域を表面画像として撮像するために、前記第2光照射領域内における前記基準面からの反射光の情報に基づき前記補正手段によって補正された光量となるように前記光源が発光する第2のタイミングと、
を異ならせていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−249615(P2010−249615A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98359(P2009−98359)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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