説明

記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】プッシュプル信号の変動(特に、プッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込み)を考慮して、より好適に最適パワーを算出する。
【手段】記録装置(1)は、パワーを調整可能なレーザ光(LB)を記録媒体(100)に照射することでデータを記録する記録手段(221、23)と、パワーを複数通りに調整しつつ、較正用データを記録するように記録手段を制御する第1制御手段(27)と、較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段(28)と、記録済漏れ込み振幅に基づいて最適パワーを算出する算出手段(27)と、最適パワーのレーザ光を照射することでデータの記録を開始するように記録手段を制御する第2制御手段(24)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば記録媒体に記録データを記録する記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置として機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光ディスク等の記録媒体に記録データを記録する記録装置においては、光ディスクの種類、記録装置の種類及び記録速度等に応じて、OPC(Optimum Power Control)処理により、レーザ光に係る記録パワーにおける最適パワーが設定される。即ち、記録パワーのキャリブレーション(較正)が行われる。これにより、光ディスクにおける情報記録面の特性のばらつき等に対応した適切な記録動作を実現できる。例えば、光ディスクが装置本体に装填されて書き込みのコマンドが入力されると、順次段階的に記録用レーザ光に係る光強度が切り替えられて試し書き用のデータがOPCエリア(Power Calibration Area)に記録され、いわゆる試し書きの処理が実行される。その後、このようにして記録された試し書き用のデータ(OPCパターン)が再生され、この再生結果が所定の評価基準により判定されて、最適パワーが設定される。
【0003】
また、実際の記録動作と同時に行なうOPC(所謂、ランニングOPC)によっても、記録用レーザ光に係る最適パワーを設定することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3159454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、色素膜を記録層として用いる記録媒体(例えば、Blu−ray Disc)の開発が進められている。この記録媒体においては、記録データを記録することにより(つまり、レーザ光を照射することにより)、記録層の反射率が増加することが知られている。また、この記録媒体においては、記録データを記録する際のパワーに依存して、再生時に得られるプッシュプル信号の振幅が大きく変動することが、本願発明者等の実験等により判明している。このため、プッシュプル信号の振幅が大きく変動することに起因して、フォーカスエラー信号への漏れ込みが変動しかねない(例えば、漏れ込みが大きくなりかねない)。このため、フォーカス制御すらも不安定になりかねないという技術的な問題点を有している。更には、最悪のパターンとしては、記録データを記録することによりプッシュプル信号の振幅が大きくなり過ぎてしまうことに起因して(つまり、漏れ込みが大きくなりすぎてしまうことに起因して)、フォーカス制御を行なうためのフォーカスアクチュエータに過電流が流れ、その結果、アクチュエータが焼きつく又は破損してしまいかねないという技術的な問題点を有している。
【0006】
更には、記録データが記録された記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅と、記録データが記録されていない記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになりかねない。この場合、プッシュプル信号を用いるトラッキング制御におけるサーボゲインを、記録データが記録された記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅に合わせて設定した場合には、記録データが記録されていない記録領域におけるトラッキング制御が不安定になりかねない。同様に、プッシュプル信号を用いるトラッキング制御におけるサーボゲインを、記録データが記録されていない記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅に合わせて設定した場合には、記録データが記録された記録領域におけるトラッキング制御が不安定になりかねない。つまり、特に再生時において、記録データが記録された記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅と、記録データが記録されていない記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅とが大きく異なることに起因して、トラッキング制御が不安定になりかねないという技術的な問題点を有している。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば、プッシュプル信号の変動(特に、プッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込み)を考慮して、より好適に最適パワーを算出することができる記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の記録装置は、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段とを備える。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の記録方法は、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御工程と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出工程と、前記検出工程において検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出工程と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御工程とを備える。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段とを備える記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記第1制御手段、前記検出手段、前記算出手段及び前記第2制御手段の少なくとも一部として機能させる。
【0011】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明を実施するための最良の形態として、本発明の記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムに係る実施形態の説明を進める。
【0013】
(記録装置の実施形態)
本発明の記録装置に係る実施形態は、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段とを備える。
【0014】
本発明の記録装置に係る実施形態によれば、例えば映像データや音声データやPC用データ等の記録データを記録する前に、レーザ光の最適パワーが算出される。つまり、較正用データを記録し、且つ該記録された較正用データの読取結果に基づいて最適パワーを算出するOPC(Optimum Power Control)が行われる。
【0015】
本実施形態では特に、最適パワーを算出する際には、較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号(つまり、較正用データが記録済である記録領域において得られるフォーカスエラー信号)へのプッシュプル信号の漏れ込み量である記録済漏れ込み振幅に基づいて、最適パワーが算出される。
【0016】
このように、本実施形態によれば、プッシュプル信号の振幅が大きく変動する場合であっても、該変動するプッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込みを考慮して最適パワーが算出される。このため、このようにして算出された最適パワーのレーザ光を用いて記録データを記録することにより、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑えることができる。言い換えれば、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に小さくすることができる。これにより、プッシュプル信号の振幅が大きく変動する場合であっても、フォーカス制御を安定的に行なうことができるような最適パワーで、記録データの記録を行うことができる。従って、再生時においても、上述した問題点は生じないと共に、フォーカス制御を行なうアクチュエータの破損や焼き付きを好適に防止することができる。
【0017】
加えて、変動するプッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込みを考慮して最適パワーを算出することで、間接的には、変動するプッシュプル信号の振幅を考慮して最適パワーを算出することができる。このため、較正用データが記録済である記録領域において得られるプッシュプル信号(以降、適宜 “記録済プッシュプル信号”と称する)の振幅と、記録データが記録されていない記録領域において得られるプッシュプル信号(つまり、較正用データ及び記録データが未記録である記録領域において得られるプッシュプル信号であって、“未記録プッシュプル信号”と称する)の振幅とが大きく異なることになるような状態の発生を、相応に或いは好適に抑制することができる。これにより、プッシュプル信号の振幅が大きく変動する場合であっても、トラッキング制御を安定的に行なうことができるような最適パワーで、記録データの記録を行うことができる。従って、再生時においても、上述した問題点は生じない。
【0018】
加えて、上述した色素膜を記録層として用いる記録媒体においては、パワーの変化に対して、従来のOPCにおける指標として用いられているアシンメトリの変動があまり或いは殆どないことが、本願発明者等の実験等により判明している。このようにアシンメトリの変動があまり或いは殆どない場合には、従来のOPCでは、最適パワーを算出することが困難或いは不可能である。しかるに、本実施形態によれば、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を考慮して最適パワーが算出される。このため、上述した色素膜を記録層として用いる記録媒体であっても、OPCを好適に行うことができ、その結果、好適に最適パワーを算出することができる。
【0019】
尚、色素膜を記録層として用いている記録媒体に限らず、記録データを記録する際のパワーに依存して、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込みが多少なりとも発生する又は変動する(或いは、プッシュプル信号の振幅が多少なりとも変動する)ものであれば、本実施形態に係る記録装置による最適パワーを算出する対象となり得ることは言うまでもない。
【0020】
本発明の記録装置に係る実施形態の一の態様では、前記算出手段は、前記記録済漏れ込み振幅の、前記記録データが未記録である記録領域において得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す未記録漏れ込み振幅に対する比に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する。
【0021】
この態様によれば、上述したように、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、記録動作に対する悪影響が殆どなくなる程度に抑えることができる。言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と、未記録プッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになるような状態の発生を、相応に或いは好適に抑制することができ、その結果、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑えることができる。
【0022】
上述の如く、記録済漏れ込み振幅の未記録漏れ込み振幅に対する比に基づいて最適パワーを算出する記録装置の態様では、前記算出手段は、前記比が所定の条件を満たすパワーを、前記最適パワーとして算出するように構成してもよい。
【0023】
このように構成すれば、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑えることができる。言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と、未記録プッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになるような状態の発生を、相応に或いは好適に抑制することができ、その結果、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑えることができる。
【0024】
尚、本実施形態においては、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量が、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑制されるパワーを、最適パワーとして算出することが好ましい。この意味において、本実施形態における「比が所定の範囲にある」という条件は、記録媒体の特性や種類等や記録装置の特性や種類等に応じて、適切に設定されることが好ましい。
【0025】
上述の如く、記録済漏れ込み振幅と未記録漏れ込み振幅との比が所定の条件を満たすパワーを最適パワーとして算出する記録装置の態様では、前記比が所定の条件を満たすパワーは、前記比が±6dB以内にあるパワーであるように構成してもよい。
【0026】
このように構成すれば、仮に記録済漏れ込み振幅と未記録漏れ込み振幅とが異なっていたとしても(言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と未記録プッシュプル信号の振幅とが異なっていたとしても)、その比が±6dB以内であるような最適パワーで記録データが記録されれば、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)を安定的に行なうことができる。
【0027】
上述の如く、記録済漏れ込み振幅と未記録漏れ込み振幅との比が所定の条件を満たすパワーを最適パワーとして算出する記録装置の態様では、前記比が所定の条件を満たすパワーは、前記比が±3dB以内にあるパワーであるように構成してもよい。
【0028】
このように構成すれば、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)の安定性に対して余裕を持たせるという意味で、上述した「比が±6dB以内」という条件を、「比が±3dB以内」というより厳しい条件に変更している。このため、仮に記録済漏れ込み振幅と未記録漏れ込み振幅とが異なっていたとしても(言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と未記録プッシュプル信号の振幅とが異なっていたとしても)、その比が±3dB以内であるような最適パワーで記録データが記録されれば、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)をより一層安定的に行なうことができる。
【0029】
上述の如く、記録済漏れ込み振幅と未記録漏れ込み振幅との比が所定の条件を満たすパワーを最適パワーとして算出する記録装置の態様では、前記比が所定の条件を満たすパワーは、前記記録済漏れ込み振幅と、前記未記録漏れ込み振幅とが略同一となるパワーであるように構成してもよい。
【0030】
このように構成すれば、記録済漏れ込み振幅と、未記録漏れ込み振幅とが大きく異なることになるような状態(言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と、未記録プッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになるような状態)の発生を、確実に抑制することができる。つまり、記録データの記録によっても、プッシュプル信号が変動することが殆どなくなり、その結果、漏れ込み振幅が大きくなりすぎることもなくなる。このため、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)を安定的に行なうことができるような最適パワーで、記録データの記録を行うことができる。
【0031】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記算出手段は、前記フォーカスエラー信号を用いてフォーカス制御を行う場合に得られるキャプチャレンジを示すS字信号の振幅に対する、前記記録済漏れ込み振幅の割合に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する。
【0032】
この態様によれば、上述したように、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、記録動作に対する悪影響が殆どなくなる程度に抑えることができる。言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と、未記録プッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになるような状態の発生を、相応に或いは好適に抑制することができ、その結果、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、記録動作に対する悪影響が殆どなくなる程度に抑えることができる。
【0033】
上述の如く、S字信号の振幅に対する記録済漏れ込み振幅の割合に基づいて最適パワーを算出する記録装置の態様では、前記算出手段は、前記割合が所定の条件を満たすパワーを、前記最適パワーとして算出するように構成してもよい。
【0034】
このように構成すれば、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、記録動作に対する悪影響が殆どなくなる程度に抑えることができる。言い換えれば、記録済プッシュプル信号の振幅と、未記録プッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになるような状態の発生を、相応に或いは好適に抑制することができ、その結果、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑えることができる。
【0035】
尚、本実施形態においては、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量が、安定的な記録動作や再生動作の妨げとならなくなる程度に抑制されるパワーを、最適パワーとして算出することが好ましい。この意味において、本実施形態における「割合が所定の範囲にある」という条件は、記録媒体の特性や種類等や記録装置の特性や種類等に応じて、適切に設定されることが好ましい。
【0036】
上述の如く、S字信号の振幅に対する記録済漏れ込み振幅の割合が所定の条件を満たすパワーを最適パワーとして算出する記録装置の態様では、前記割合が所定の条件を満たすパワーは、前記S字信号の振幅に対する前記記録済漏れ込み振幅が20%以内に収まるパワーであるように構成してもよい。
【0037】
このように構成すれば、記録済漏れ込み振幅がS字信号の振幅の20%以内であるような最適パワーで記録データが記録されれば、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)を安定的に行なうことができる。
【0038】
上述の如く、S字信号の振幅に対する記録済漏れ込み振幅の割合が所定の条件を満たすパワーを最適パワーとして算出する記録装置の態様では、前記割合が所定の条件を満たすパワーは、前記S字信号の振幅に対する前記記録済漏れ込み振幅が10%以内に収まるパワーである。
【0039】
このように構成すれば、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)の安定性に対して余裕を持たせるという意味で、上述した「割合が20%以内」という条件を、「割合が10%以内」というより厳しい条件に変更している。このため、フォーカス制御(更には、トラッキング制御)をより一層安定的に行なうことができる。
【0040】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記検出手段は、トラックジャンプ時に前記記録済漏れ込み振幅を検出する。
【0041】
この態様によれば、トラックジャンプを行うことにより、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を好適に検出することができる。
【0042】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録媒体は、スパイラル状の又は同心円状のトラックを備えており、前記第1制御手段は、一のパワーで一のトラックに前記較正用データを記録した後、前記一のパワーとは異なる他のパワーで前記一のトラックとは異なる他のトラックに前記較正用データを記録するように前記記録手段を制御する。
【0043】
この態様によれば、1トラック毎に同じパワーで較正用データが記録される。従って、仮に1トラックの周内において記録感度等が変動している場合であっても、該変動の影響を受けることなく、好適に較正用データの記録済漏れ込み振幅を検出することができる。これにより、最適パワーを好適に算出することができる。
【0044】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録媒体は、スパイラル状の又は同心円状のトラックを備えており、前記第1制御手段は、一のパワーで一のトラックに前記較正用データを記録した後、前記一のパワーとは異なる他のパワーで前記一のトラックとの間に所定のスペース(例えば、数トラックの空きスペース)を介在する位置に存在する他のトラックに前記較正用データを記録するように前記記録手段を制御する。
【0045】
この態様によれば、較正用データが記録されたトラックに隣接するトラックの影響を受けることなく、好適に較正用データの記録済漏れ込み振幅を検出することができる。これにより、最適パワーを好適に算出することができる。
【0046】
本発明の記録装置の他の態様では、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで記録される前記記録データの記録品質が所望の品質とならない場合に、前記記録品質が前記所望の品質となるように前記レーザ光のストラテジを調整する調整手段とを更に備える。
【0047】
この態様によれば、調整されたストラテジを用いて記録データを記録することで、最適パワーを算出する際に参照する漏れ込み振幅のみならず、他の記録特性(例えば、変調度やジッタやアシンメトリ等)をも所望の条件を満たすように、記録データを記録することができる。
【0048】
(記録方法の実施形態)
本発明の記録方法に係る実施形態は、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御工程と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出工程と、前記検出工程において検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出工程と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御工程とを備える。
【0049】
本発明の記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態が享受することができる各種効果と同様の効果を享受することができる。
【0050】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0051】
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段とを備える記録装置(即ち、上述した本発明の記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む))に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記第1制御手段、前記検出手段、前記算出手段及び前記第2制御手段の少なくとも一部として機能させる。
【0052】
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0053】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0054】
(コンピュータプログラム製品の実施形態)
本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態は、パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段とを備える記録装置(即ち、上述した本発明の記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む))に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記記録手段、前記第1制御手段、前記検出手段、前記算出手段及び前記第2制御手段の少なくとも一部として機能させる。
【0055】
本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
【0056】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0057】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされよう。
【0058】
以上説明したように、本発明の記録装置に係る実施形態によれば、記録手段と、第1制御手段と、検出手段と、算出手段と、第2制御手段とを備える。本発明の記録方法に係る実施形態によれば、第1制御工程と、検出工程と、算出工程と、第2制御工程とを備える。本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、コンピュータを本発明の記録装置に係る実施形態として機能させる。従って、プッシュプル信号の変動(特に、プッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込み)を考慮して、より好適に最適パワーを算出することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0060】
(1−1) 基本構成
初めに、図1を参照して、本実施例に係る記録装置の基本構成について説明を進める。ここに、図1は、本実施例に係る記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
【0061】
図1に示すように、記録装置1は、実際に光ディスク100がローディングされ且つデータの記録やデータの再生が行なわれるディスクドライブ2と、該ディスクドライブ2に対するデータの記録を制御するパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ3とを備えている。
【0062】
ディスクドライブ2は、光ディスク100、スピンドルモータ21、光ピックアップ(PU:Pick Up)22、LDD(Laser Diode Driver)23、CPU24、メモリ25、データ入出力制御部26、OPC(Optimum Power Control)部27、漏れ込み振幅検出部28及び記録補償部29を備えて構成されている。また、ホストコンピュータ3は、操作/表示制御部31、操作ボタン32、表示パネル33、CPU34、メモリ35及びデータ入出力制御部36を備えて構成される。
【0063】
スピンドルモータ21は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスク100へのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ21は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
【0064】
光ピックアップ22は、光ディスク100への記録を行うために、LDD23と共に本発明における「記録手段」の一具体例を構成するLD(Laser Diode)221を備えている。より詳細には、データの記録時には、光ピックアップ22が備えるLD221は、LDD23の制御の下に、光ディスク100に対して、記録光としてのレーザ光LBを照射する。これにより、光ディスク100にデータが記録される。
【0065】
光ピックアップ22は、更に、光ディスク100に記録されたデータを読み取るために、PD(Photo Detector)222を備えている。より具体的には、データの読み取り時には、光ピックアップ22が備えるLD221は、LDD23の制御の下に、光ディスク100に対して、読取光としてのレーザ光LBを照射する。PD222には、照射されたレーザ光LBの反射光が入射する。これにより、光ディスク100に記録されたデータが読み取られる。
【0066】
LDD23は、後述のOPC処理時には、後述のOPCパターンの記録及び読取処理により最適な記録レーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ22が備えるLD221を駆動する。その後、LDD23は、データの記録時には、OPC処理により決定された最適な記録レーザパワーで、光ピックアップ22が備えるLD221を駆動するように構成されている。このデータの記録時には、最適な記録レーザパワーは、記録されるデータに応じて変調される。
【0067】
CPU24は、ディスクドライブ2が備える各種構成部と、データバスを介して接続され、各種構成部に指示を行うことで、ディスクドライブ2全体の制御を行う。通常、CPU24が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ25に格納されている。
【0068】
メモリ25は、ディスクドライブ2におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ25は、ディスクドライブ2としての動作を行わせしめるプログラム(即ち、ファームウェア)が格納されるROM領域と、データが一時的に格納されるRAM領域などから構成される。
【0069】
データ入出力制御部26は、ディスクドライブ2に対する外部からのデータ入出力を制御する。ディスクドライブ2とSCSIや、ATAPIなどのインタフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ3から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御部26を介してCPU24に伝達される。また、記録されるデータも同様にデータ入出力制御部26を介して、ホストコンピュータ3とやり取りされる。
【0070】
OPC部27は、OPC処理を制御する。具体的には、OPCパターンの記録を行うようにLDD23を制御する。また、OPC部27は、記録されたOPCパターンの読取結果をPD222より受け取る漏れ込み振幅検出部28において検出されたフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅に基づいて、最適な記録レーザパワーを算出する。
【0071】
漏れ込み振幅検出部28は、フォーカスエラー(FE:Focus Error)信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅を検出可能に構成されている。具体的には、PD222における読取結果に基づいて、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅を検出可能に構成されている。
【0072】
記録補償部29は、LDD23がLD221を駆動させるための記録ストラテジを調整可能に構成されている。
【0073】
操作/表示制御部31は、ホストコンピュータ3対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば「記録」といった操作ボタン32による指示をCPU34に伝える。
【0074】
CPU34は、操作/表示制御部31からの指示情報を元に、データ入出力制御部36を介して、ディスクドライブ2に対して制御命令(コマンド)を送信し、ディスクドライブ2全体を制御する。同様に、CPU34は、ディスクドライブ2に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、「記録中」といったディスクドライブ2の動作状態が把握できるため、CPU34は、操作/表示制御部31を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル33に、ディスクドライブ2の動作状態を出力することができる。
【0075】
メモリ35は、ホストコンピュータ3が使用する内部記憶装置であり、例えばBIOS(Basic Input/Output System)等のファームウェアプログラムが格納されるROM領域、オペレーティングシステムや、アプリケーションプログラム等の動作に必要な変数等が格納されるRAM領域などから構成される。
【0076】
(1−2)光ディスク
続いて、図2を参照して、本実施例に係る記録装置1の記録動作の対象となる光ディスク100の基本構成について説明する。ここに、図2は、光ディスク100の基本構造を示した概略平面図であり、該光ディスク100の半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
【0077】
図2に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール101を中心として、内周側PCA(Power Calibration Area)111、RMA(Recording Management Area)112、リードインエリア113、データ記録エリア114、リードアウトエリア115及び外周側PCA116が設けられている。そして、例えばセンターホール101を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えばグルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられている。また、このトラック上には、データパターンがECCブロックという単位で分割されて記録される。ECCブロックは、エラー訂正可能なデータ管理単位である。また、本実施例においては、光ディスク100は、一度のみデータパターンを記録することが可能な追記型記録媒体であってもよいし、複数回データパターンを記録することが可能な書換型記録媒体であってもよい。
【0078】
そして、グルーブトラックは、一定の振幅及び空間周波数で揺動されている。即ち、グルーブトラックは、ウォブリングされており、そのウォブルの周期は所定値に設定されている。ランドトラック上にはプリフォーマットアドレスを示すランドプリピット(LPP:Land Pre Pit)と呼ばれるピットが形成されている。この2つのアドレッシング(即ち、ウォブル及びランドプリピット)により記録中のディスク回転制御や記録クロックの生成を行うと共に、記録アドレス等のデータパターン記録に必要な情報を得ることができる。尚、グルーブトラックのウォブルを周波数変調や位相変調など所定の変調方式により変調することによりプリフォーマットアドレスを予め記録するようにしてもよい。
【0079】
(1−3)動作例
続いて、図3を参照して、本実施例に係る記録装置1の動作例について説明する。ここに、図3は、本実施例に係る記録装置1の動作例の流れを概念的に示すフローチャートである。
【0080】
図3に示すように、データ記録エリア114へのデータの記録を開始する前に、CPU24の制御を受けるOPC部27の制御により、OPC処理が行われる。具体的には、まず、本発明における「第1制御手段」の一具体例を構成するOPC部27の制御の下に、記録レーザパワーを順次段階的に変更しながら、内周側PCA111に対してOPCパターンが記録される(ステップS101)。OPCパターンとして、例えば3Tパルスに相当する短マーク及び11Tパルスに相当する長マークを夫々同一の長さのスペースと共に交互に形成した記録パターンが一つの例として挙げられる。
【0081】
その後、OPC部27の制御下で、PD222により、内周側PCA111に記録されたOPCパターンが読み取られる(ステップS102)。このようなOPCパターンの読み取りは、1回のOPC処理における記録レーザパワーの変更回数だけ繰り返される。PD222による読取結果(つまり、OPCパターンの読取結果)は、漏れ込み振幅検出回路28へ出力される。
【0082】
続いて、本発明における「検出手段」の一具体例を構成する漏れ込み振幅検出回路28の動作により、OPCパターンの読取結果から得られるフォーカスエラー信号(つまり、OPCパターンが記録された記録領域におけるフォーカスエラー信号)へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅が検出される(ステップS103)。尚、以下の説明では、OPCパターンが記録された記録領域におけるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅を、適宜“記録済漏れ込み振幅”と称する。検出された記録済漏れ込み振幅は、OPC部27へ出力される。これにより、OPC部27は、記録レーザパワーと記録済漏れ込み振幅との相関関係を認識することができる。
【0083】
尚、ステップS103において、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域におけるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅も同様に検出されることが好ましい。尚、以下の説明では、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域におけるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅を、適宜“未記録漏れ込み振幅”と称する。
【0084】
ここで、図4を参照して、漏れ込み振幅検出回路28の具体的な構成例について説明する。ここに、図4は、漏れ込み振幅検出回路28の構成例を概念的に示すブロック図である。
【0085】
図4に示すように、漏れ込み振幅検出回路28は、記録/未記録判定部281と、ピークホールド回路282と、ボトムホールド回路283と、加算器284とを備えている。
【0086】
記録/未記録判定部281には、PD222の読取結果(特に、RF信号)が入力される。記録/未記録判定部281は、RF信号に基づいて、現在読取が行われている記録領域が、OPCパターン等のデータが記録されている記録領域か否か(言い換えれば、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域か否か)を判定する。その判定結果は、ピークホールド回路282及びボトムホールド回路283の夫々に出力される。
【0087】
ピークホールド回路282及びボトムホールド回路283の夫々には、PD222の読取結果(特に、フォーカスエラー信号)が入力される。ピークホールド回路282及びボトムホールド回路283は、夫々、フォーカスエラー信号のピーク値及びボトム値を検出する。このとき、記録/未記録判定部281における判定結果を利用して、OPCパターン等のデータが記録されている記録領域におけるフォーカスエラー信号のピーク値及びボトム値と、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域におけるフォーカスエラー信号のピーク値及びボトム値とを区別しながら検出する。その後、加算器284において、ピークホールド回路282において検出されたフォーカスエラー信号のピーク値から、ボトムホールド回路283において検出されたフォーカスエラー信号のボトム値が減算される。その結果、プッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込み振幅が得られる。得られた漏れ込み振幅は、OPC部27へ出力される。
【0088】
ここで、漏れ込み振幅検出回路28を用いた漏れ込み振幅の検出は、トラックジャンプを行った場合に行われることが好ましい。ここで、ピークホールド回路282において検出されたフォーカスエラー信号のピーク値から、ボトムホールド回路283において検出されたフォーカスエラー信号のボトム値を減算することで、漏れ込み振幅を得る場合には、トラックジャンプ前の記録領域に記録されたOPCパターン等のデータを記録したときの記録レーザパワーと、トラックジャンプ後の記録領域に記録されたOPCパターン等のデータを記録したときの記録レーザパワーとが同じであることが好ましい。或いは、トラックジャンプ前の記録領域と、トラックジャンプ後の記録領域との夫々が共に、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域であることが好ましい。
【0089】
他方で、フォーカスエラー信号のピーク値及びボトム値の夫々を検出することに代えて、フォーカスエラー信号のピーク値及びボトム値の何れか一方を検出し、該検出されたピーク値及びボトム値の何れか一方を、漏れ込み振幅として取り扱ってもよい。この場合、トラックジャンプ前の記録領域に記録されたOPCパターン等のデータを記録したときの記録レーザパワーと、トラックジャンプ後の記録領域に記録されたOPCパターン等のデータを記録したときの記録レーザパワーとが同じでなくともよい。
【0090】
再び図3において、本発明における「算出手段」の一具体例を構成するOPC部27の動作により、最適な記録レーザパワーが算出される(ステップS104)。より具体的には、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅(つまり、記録済漏れ込み振幅)に対する、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅(つまり、未記録漏れ込み振幅)の比に基づいて、最適な記録レーザパワーが算出される。
【0091】
ここで、図5を参照して、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅に対する、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅の比に基づいて算出される最適な記録レーザパワーについてより詳細に説明する。ここに、図5は、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅と記録レーザパワーとの相関を示すグラフ上で最適な記録レーザパワーを示すグラフである。
【0092】
図5に示すように、図3のステップS103において検出された記録済漏れ込み振幅により、記録レーザパワーと記録済漏れ込み振幅との相関関係が得られる。また、同様に、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅も得られる。
【0093】
本実施例では、「No.1」という記号により示すように、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅に対する、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅の比が±6dB以内に収まるような記録レーザパワーを、最適な記録レーザパワーとして算出してもよい。この場合、最適な記録レーザパワーは、ある程度の範囲を有しており、この範囲内の記録レーザパワーであれば、最適な記録レーザパワーとして扱ってよい。但し、この範囲内の記録レーザパワーであって且つ変調度等の他の記録品質が良好となるような記録レーザパワーを、一義に最適な記録レーザパワーとして算出してもよい。
【0094】
好ましくは、「No.2」という記号により示すように、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅に対する、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅の比が±3dB以内に収まるような記録レーザパワーを、最適な記録レーザパワーとして算出してもよい。この場合、最適な記録レーザパワーは、ある程度の範囲を有しており、この範囲内の記録レーザパワーであれば、最適な記録レーザパワーとして扱ってよい。但し、この範囲内の記録レーザパワーであって且つ変調度等の他の記録品質が良好となるような記録レーザパワーを、一義に最適な記録レーザパワーとして算出してもよい。
【0095】
更に好ましくは、「No.3」という記号により示すように、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅に対する、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅の比が概ね1となるような記録レーザパワー(つまり、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅と、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅とが略同一となるような記録レーザパワー)を、最適な記録レーザパワーとして算出してもよい。
【0096】
尚、上述の説明では、漏れ込み振幅の比に基づいて最適な記録レーザパワーを算出している。しかしながら、1枚の光ディスク100においては、OPCパターン等のデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅は、一般的には変わらない。このことを考慮して、漏れ込み振幅の比に代えて、OPCパターンが記録された記録領域における漏れ込み振幅そのものに基づいて、最適な記録レーザパワーを算出してもよい。
【0097】
再び図3において、その後、本発明における「調整手段」の一具体例を構成する記録補償部29の制御の下に、記録ストラテジを調整する記録補償動作が実行されるか否かが判定される(ステップS105)。ここでは、ステップS104において算出された最適な記録レーザパワーで一度データを記録し、該記録されたデータの記録品質(例えば、変調度や、ジッタや、アシンメトリ等)が良好であれば、記録補償が実行されないと判定される。他方で、最適な記録レーザパワーで記録されたデータの記録品質が良好でなければ、記録補償が実行されると判定される。
【0098】
ステップS105における判定の結果、記録補償動作が実行されると判定された場合には(ステップS105:Yes)、本発明における「調整手段」の一具体例を構成する記録補償部29の動作により、記録補償動作が行われる(ステップS106)。具体的には、最適な記録レーザパワーで記録されたデータの記録品質が良好になるように、記録ストラテジ(特に、ピークパワー以外の要素)が調整される。尚、記録補償動作の詳細については、特許第2592086号を参照されたい。
【0099】
その後、本発明における「第2制御手段」の一具体例を構成するCPU24の制御の下に、データ記録エリア114へのデータの記録が開始される(ステップS107)。つまり、ステップS104において算出された最適な記録レーザパワーのレーザ光LBを、ステップS106において調整された記録ストラテジに応じて変調しながら照射することで、データの記録が開始される。
【0100】
他方、ステップS105における判定の結果、記録補償動作が実行されないと判定された場合には(ステップS105:No)、CPU24の制御の下に、記録補償動作が実行されることなく、データ記録エリア114へのデータの記録が開始される(ステップS107)。つまり、ステップS104において算出された最適な記録レーザパワーのレーザ光LBを、デフォールトの記録ストラテジに応じて変調しながら照射することで、データの記録が開始される。
【0101】
ここで、色素膜を記録層として用いる光ディスク100(例えば、Blu−ray Disc)においては、記録レーザパワーに依存して、再生時に得られるプッシュプル信号の振幅が大きく変動することが、本願発明者等の実験等により判明している。このため、図6(a)の上部に示すように、データが記録された記録領域におけるプッシュプル信号の振幅と、データが記録されていない記録領域におけるプッシュプル信号の振幅とが大きく異なることになりかねない。ここでは特に、データが記録された記録領域におけるプッシュプル信号の振幅が、データが記録されていない記録領域におけるプッシュプル信号の振幅と比較して大きくなる例について示している。更には、記録データを記録することによりプッシュプル信号の振幅が大きくなり過ぎてしまうことに起因して、プッシュプル信号のフォーカスエラー信号への漏れ込み量が大きくなってしまいかねない。この場合、図6(a)の下部に示すように、プッシュプル信号が大きく変動してしまいかねない。これは、フォーカス制御を行なうためのフォーカスアクチュエータに過電流が流れてしまうおそれが高まるため、好ましくない。これは、フォーカスアクチュエータの焼き付き又は破損につながるため好ましくない。
【0102】
しかるに、本実施例においては、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅と、データが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅との差異が小さくなるような(或いは、差異がなくなるような)記録レーザパワーが、最適な記録レーザパワーとして算出される。このため、図6(b)の下部に示すように、本実施例においては、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅と、データが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅との差異が小さくなる(或いは、なくなる)。その結果、記録レーザパワーに依存してプッシュプル信号の振幅が大きく変動する場合であっても、フォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込みが変動する(例えば、漏れ込みが大きくなる)という不都合を好適に抑制することができる。従って、記録レーザパワーに依存してプッシュプル信号の振幅が大きく変動する場合であっても、フォーカス制御を安定的に行なうことができるような記録レーザパワーで、データの記録を行うことができる。
【0103】
更には、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅と、データが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅との差異が小さくなる(或いは、なくなる)ことは、実質的には、図6(b)の上部に示すように、本実施例においては、データが記録された記録領域におけるプッシュプル信号の振幅と、データが記録されていない記録領域におけるプッシュプル信号の振幅との差異が小さくなる(或いは、なくなる)ことにつながる。これにより、トラッキング制御におけるサーボゲインを、データが記録されていない記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅に合わせて設定した場合及びデータが記録されている記録領域において得られるプッシュプル信号の振幅に合わせて設定した場合のいずれの場合であっても、トラッキング制御が不安定になることを好適に抑制することができる。従って、記録レーザパワーに依存してプッシュプル信号の振幅が大きく変動する場合であっても、トラッキング制御を安定的に行なうことができるような記録レーザパワーで、データの記録を行うことができる。
【0104】
加えて、上述した色素膜を記録層として用いる光ディスク100においては、記録レーザパワーの変化に対して、従来のOPCにおける指標として用いられているアシンメトリの変動があまり或いは殆どないことが、本願発明者等の実験等により判明している。このようにアシンメトリの変動があまり或いは殆どない場合には、従来のOPCでは、最適な記録レーザパワーを算出することが困難或いは不可能である。しかるに、本実施例によれば、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅及びデータが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅の夫々を考慮して最適な記録レーザパワーが算出される。このため、上述した色素膜を記録層として用いる光ディスク100であっても、OPCを好適に行うことができ、その結果、好適に最適な記録レーザパワーを算出することができる。
【0105】
尚、色素膜を記録層として用いている光ディスク100に限らず、データを記録する際の記録レーザパワーに依存して、漏れ込み振幅が多少なりとも変動する(或いは、プッシュプル信号の振幅が多少なりとも変動する)ものであれば、本実施例に係る記録装置1による最適な記録レーザパワーを算出する対象となり得ることは言うまでもない。
【0106】
また、上述の説明では、データが記録されていない記録領域における漏れ込み振幅に対する、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅の比に基づいて、最適な記録レーザパワーを算出する動作例について説明した。しかしながら、フォーカス制御を行なう場合に得られるS字信号の振幅に対する、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅の割合に基づいて、最適な記録レーザパワーを算出するように構成してもよい。この場合、図3のステップS105においては、S字信号の振幅に対する、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅の割合が所定の条件の条件を満たしているか否かが判定される。また、図3のステップS106においては、S字信号の振幅に対する、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅の割合が所定の条件の条件を満たす記録レーザパワーが、最適な記録レーザパワーとして算出される。
【0107】
尚、本実施例では、「所定の条件」として、「S字信号の振幅に対する、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅の割合が、20%以下になる」という条件を用いてもよい。或いは、フォーカス制御(或いは、トラッキング制御)の安定性をより一層確保するために、「所定の条件」として、「S字信号の振幅に対する、データが記録された記録領域における漏れ込み振幅の割合が、10%以下になる」という条件を用いてもよい。
【0108】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施例に係る情報記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、該光ディスクの半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
【図3】本実施例に係る記録装置の動作例の流れを概念的に示すフローチャートである。
【図4】漏れ込み振幅検出回路の構成例を概念的に示すブロック図である。
【図5】OPCパターンが記録された記録領域におけるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み振幅と記録レーザパワーとの相関を示すグラフ上で最適な記録レーザパワーを示すグラフである。
【図6】プッシュプル信号の振幅の変動及びフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込みの態様を概念的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0110】
1 記録装置
2 ディスクドライブ
22 光ピックアップ
221 LD
222 PD
23 LDD
24 CPU
27 OPC部
28 漏れ込み振幅検出部
29 記録補償部
3 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、
前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、
前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記記録済漏れ込み振幅の、前記記録データが未記録である記録領域において得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す未記録漏れ込み振幅に対する比に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記比が所定の条件を満たすパワーを、前記最適パワーとして算出することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の記録装置。
【請求項4】
前記比が所定の条件を満たすパワーは、前記比が±6dB以内にあるパワーであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記比が所定の条件を満たすパワーは、前記比が±3dB以内にあるパワーであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記比が所定の条件を満たすパワーは、前記記録済漏れ込み振幅と、前記未記録漏れ込み振幅とが略同一となるパワーであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記フォーカスエラー信号を用いてフォーカス制御を行う場合に得られるキャプチャレンジを示すS字信号の振幅に対する、前記記録済漏れ込み振幅の割合に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記算出手段は、前記割合が所定の条件を満たすパワーを、前記最適パワーとして算出することを特徴とする請求の範囲第7項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記割合が所定の条件を満たすパワーは、前記S字信号の振幅に対する前記記録済漏れ込み振幅が20%以内に収まるパワーであることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記割合が所定の条件を満たすパワーは、前記S字信号の振幅に対する前記記録済漏れ込み振幅が10%以内に収まるパワーであることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記検出手段は、トラックジャンプ時に前記記録済漏れ込み振幅を検出することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録媒体は、スパイラル状の又は同心円状のトラックを備えており、
前記第1制御手段は、一のパワーで一のトラックに前記較正用データを記録した後、前記一のパワーとは異なる他のパワーで前記一のトラックとは異なる他のトラックに前記較正用データを記録するように前記記録手段を制御することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記記録媒体は、スパイラル状の又は同心円状のトラックを備えており、
前記第1制御手段は、一のパワーで一のトラックに前記較正用データを記録した後、前記一のパワーとは異なる他のパワーで前記一のトラックとの間に所定のスペースを介在する位置に存在する他のトラックに前記較正用データを記録するように前記記録手段を制御することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録装置。
【請求項14】
前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで記録される前記記録データの記録品質が所望の品質とならない場合に、前記記録品質が前記所望の品質となるように前記レーザ光のストラテジを調整する調整手段を更に備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録装置。
【請求項15】
パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、
前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御工程と、
前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出工程と、
前記検出工程において検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出工程と、
前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御工程と
を備えることを特徴とする記録方法。
【請求項16】
パワーを調整可能なレーザ光を記録媒体に照射することで、記録データを前記記録媒体に記録する記録手段と、前記記録データの記録を開始する前に、前記パワーを複数通りに調整しつつ、前記レーザ光のパワーを較正するための較正用データを前記記録データとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記較正用データを読み取ることで得られるフォーカスエラー信号へのプッシュプル信号の漏れ込み量を示す記録済漏れ込み振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記記録済漏れ込み振幅に基づいて、前記レーザ光の最適パワーを算出する算出手段と、前記最適パワーの前記レーザ光を照射することで前記記録データの記録を開始するように前記記録手段を制御する第2制御手段とを備える記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、
該コンピュータを、前記記録手段、前記第1制御手段、前記検出手段、前記算出手段及び前記第2制御手段の少なくとも一部として機能させることを特徴とする再生制御用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−87417(P2009−87417A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253157(P2007−253157)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】