説明

診断測定器のコーディング方法及び装置

診断テストシステムは、ハウジングと、前記診断テストの実施に用いるテストメディアを受容するインターフェースを有し、テストメディアにつけたサンプルの診断テストを実施する測定器と、関連するコーディング構成要素を有し、前記測定器に適合するテストメディアを収容するように構成される容器と、を含んで構成される。加えて、システムは、テストストリップの新容器に対して測定器を再較正するオン−コンテナコーディング方法を用いて、相互連合されたテスト容器から測定器を取り外し、新容器を再取り付けする機構を提供する。更に、システムは、容器に操作可能に連結したランセット等のサンプリングデバイスを提供する。これにより使用者は、容器からサンプリングデバイスを取り外すことなく、サンプルを得るためのサンプリング装置を使用できる。加えて、システムは、テストストリップ容器が空のときに補充する、乾燥剤を有したテストストリップのホイルポーチを含む補充可能なテストストリップ容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年3月13日出願の米国特許出願第11/373,284号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は診断テストの分野に関し、詳細には電子測定器を用いた診断テストシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
診断テストシステムは、一般的に、様々な種類のサンプルについて、様々な種類の診断テストを実施するために使用される。診断テストは、1つのサンプルにおける1以上の分析物の存在、濃度又は総量を測定する定性的又は定量的なテストであってもよい。分析物は医学的に有効な分析物であって、例えば、グルコース、ケトン類、コレステロール、トリグリセリド、人間の絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヘモグロビンA1C、フルクトサミン、炭水化物、腫瘍標識、鉛、抗癲癇薬、ビリルビン、肝機能指標、毒素又はそれらの代謝物質、規制物質、血液凝固因子(PT,APTT)等であり、血液、尿、組織、唾液等の生体サンプルに含まれている。しかしながら、診断テストは医療分野に制限されるものではない。更に、医療診断テスト測定器は、非医療サンプルである水、土壌、汚水、砂、空気若しくは他のあらゆる適切なサンプル内の分析物、又は化学パラメータを監視するために使用される。
【0004】
このような診断テストシステムは、サンプル中の分析物の存在に反応するように構成されたテストメディア(例えば、テストストリップ、タブ、ディスク等)、及び、診断テストを実施し、使用者にその診断テスト結果を示すためにテストメディアと接続するように構成された独立の電子測定器と、を含む。
【0005】
使用者は、診断テストを実施するために、先ず初めにサンプルテストメディア(例えば、テストストリップ)を容器から取得し、次に、サンプリング装置を使用して(例えば、ランセットによる採血によって)、サンプルを得る。続いて、得たサンプルをテストメディアにつける(これは、テストメディアを測定器のインタフェースに挿入する前後のいずれのときでもよい)。次に測定器は、サンプルの診断テストを実施し、その結果を、例えば数値表示して使用者に示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の診断測定器は、ハウジングがディスプレイ、電子機器及びテストメディアを含むため大きくなる場合がある。加えて、血液テスト診断システムの使用者は、測定器だけでなく、テストメディア容器及びサンプリング装置をも管理及び携行しなければならない。これら3つの構成要素は特定の順番で操作されなければならず、正確なテストを実施するためにはかなりの注意力及び巧みな操作が必要である。そして、この構成には、一部の使用者にとっては、操作ステップが面倒なだけでなく、テストメディア容器、サンプリング装置及び測定器が相互に取り外される可能性があるため、使用に際して、使用者は診断テストを実施するために必要な1以上の構成要素が欠けていることに気付く場合がある。
【0007】
当技術分野では周知のように、異なる製造業者のテストメディア又は異なる製造ロットのテストメディアがサンプル中の分析物の存在又は濃度に対して異なる反応を示すことがある。より正確な結果を得るために、電子測定器は、テストストリップのブランド又はロットから提供されたテストストリップに関して、1以上のブランド又はロットの特定較正パラメータが提供されることで較正される。この特定較正パラメータは、標準化基準(standardized reference)に対するテストメディアの特定ブランド又はロットの信号応答に関連するものである。このような較正によって、測定器により記録される結果は、サンプル中の分析物の量をより正確に表す。
【0008】
診断テストを実施する前に、測定器は適切に較正される必要がある。使用者は、夫々の「コーディング」ステップにおいて、測定器に適切な較正パラメータを提供することが要求される。例えば、テストメディア容器には、測定器がメモリに格納している適切な較正情報にアクセス可能なように測定器に入力するためのコード番号が付けられる。このコード番号は、測定器に較正データを提供するために、例えば、測定器に設けられたボタン又は他の使用者入力装置を用いて、手動入力される。これに替えて、例えば、製造業者のウェブサイトから較正データをダウンロードすることもできる。また、他の方法では、テストメディア容器には、較正データが電子的に格納されたコードチップ(例えば、ROM等)が付随して提供される。使用者は、コードチップを測定器の対応するポートに挿入することにより測定器に較正データを提供する。
【0009】
これら従来のコーディング方法は、使用者にとって、不便又は困難な場合がある。例えば、高齢者や寝たきりの使用者は、較正データのダウンロードが困難であり、また、コードチップの挿入には、測定器とのデータ接続を達成するために物理的な位置合わせを適切に調整しなければならないため、その挿入が困難な場合がある。さらに、コードチップは、誤って挿入されたり、又は紛失の虞もある。このため、対応するテストメディアを使用できなくなったり、又は非対応のコーディングデバイスと共にテストメディアを使用することにもなりかねない。更に、使用者は、新しいブランド又はロットのテストメディアと共に使用するための、測定器の較正を忘れることもある。従って、使用者は、誤った較正パラメータ若しくはコードを入力したり、又は、あるブランド又はロットのテストメディアを、異なるブランド又はロットのテストメディアで較正された測定器に使用する可能性がある。一旦、測定器が特定ロットのテストメディアで較正された場合に、該測定器の使用者が他のロットのテストメディアを使用すると、使用者に対して深刻な影響を与える誤った結果を招くことがあり得る。例えば、テストが血糖値の自己テストである場合、誤った結果を受けて、使用者が処置を行うか、あるいは処置を怠り、健康を損なうこともある。
【0010】
上述したコーディングの問題に対する可能な解決案は、全ての市販メディアに同様の機能を保証することである。この方法は、「ユニバーサルコーディング(universal coding)」と称される。ユニバーサルコーディング技法は、厳密な合格基準で管理及び分類されたストリップロット、すなわち、全てのストリップを較正パラメータの単一セットに適合させ、これによって、測定器130に格納されるパラメータの複数セットの必要性を取り除くことができる。このユニバーサルコーディングは、測定器130を多数の異なるテストストリップ容器110に使用可能とすることにより、測定器130を取り替えるコストを節約する。製造の観点からすると、ユニバーサルコーディングされたメディア120は、製造されたストリップロットが同一に機能し、測定器の固定較正データに適合するようコード化されるように厳密に管理される必要がある。この方法は、テクニックに依存せず、また、異なるストリップロットが混ざり合うことに起因するエラーの防止に役立つ。更に、ユニバーサルコーディングは、測定器130とストリップロットコードとの間に不適合が生じないように補正コードを常に有する。しかし、この方法により課される小幅な制限枠は、固有の相違を含む大規模な製造プロセスに対して十分に適合しない。高スループットのバッチ系の製造技術を用いた場合、テストメディアが完全に一致した機能を確実に示すことはほぼ不可能であるため、ユニバーサルコーディング技法は、常に不適合なメディアロットとなる。このメディアは、コスト及び望ましくない廃棄物を増加させるため使用に適さない。
【0011】
従って、持ち運びに便利であり、使用者が較正されていないブランド又はロットのテストメディアを診断測定器に使用する機会を最小限に抑える診断テストシステムが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載された態様は、診断テストシステムの提供により上記の要求及び他の要求を満たす。診断テストシステムは、ハウジング及びコーディング情報を示す信号を受信するインタフェースを有し、テストメディアにつけたサンプルの診断テストを実施する測定器と、テストメディアに関連するコーディング構成要素を有し、前記測定器に適合するテストメディアを収容するように構成される容器と、を含み、付随するテスト容器から新容器への測定器の付け替えは、ロットの特定コード情報をメディアの新容器から測定器へ転送する複数のコーディング方法のうちの1つを用いることを含む。
【0013】
本発明の態様では、測定器は、容器の開口部を選択的に閉じる閉止部を含む。更に、ランセット等のサンプリング装置が測定器に使用可能に連結される。これにより、使用者は容器から取り外すことなくサンプリング装置を使用し、サンプルを得るように構成される。
【0014】
本明細書に記載された態様は、オン−コンテナコーディング技術を更に提供し、容器110の上部、底部及び側部において利用可能な広いスペースにより、より広範囲なコード番号をエンコードすることができる。この方法は、使用者のテクニックに依存することなく、ほとんどの使用者に分かり易い方法であり、コードチップの変更忘れ又は手動入力技術に関連する一般的なコーディングエラーが取り除かれる。
【0015】
本明細書に記載された態様は、テストストリップ容器を受けるレセプタクルを有する測定器ハウジングを更に提供する。また、測定器ハウジングは、メディアプレーヤー、地上波ラジオ又は衛星ラジオ、トラベルアラームクロック、テストアラーム、音声メモ記録装置、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、又は他の追加機能等の受信装置であってもよい。これにより、該装置には、テストストリップ容器に配置されたコードと同様に、該装置が測定器に連結して使用するために読み取らせるコードが設けられる。
【0016】
本発明の態様は、更に、補充可能なテストストリップ容器を統合された測定器に提供することもできる。テストストリップの独立したホイルポーチ及び任意で乾燥剤を補充品として容器に設けられる。この統合システムは、測定器及び容器の両方が常に再利用出来るという利点があり、これによって、効果的なマーケティング並びにパッケージング、及び容器の形状及びデザインの多様化が可能になる。
【0017】
本発明の付加的な態様及び利点は、一部は以下の記載で説明され、一部は記載から明らかになるか、又は本発明の実施により知ることが出来る。本発明の利点は、添付の特許請求範囲において、特に指摘した構成要素及び組み合わせによって実現され、達成される。
【0018】
なお、上述した概略的な記載及び以下の詳細な記載は、単なる例示上及び説明上の記載であり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解するべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書の一部に組み込まれて構成される添付図面は、本発明の幾つかの実施形態を例示し、その記載と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【0020】
添付された図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を詳述する。同一の参照番号は、同一又は類似の構成を示すように、可能な限り図面の全体を通して使用される。
【0021】
1.統合システム
【0022】
図1は、本発明の例示的な一実施態様に従って診断テストを実施する統合システム100を示す。例示的な統合システム100は、例えば、テストストリップ120等のテストメディアを収容する容器110、及び、容器110に収容されたテストストリップ120を用いて診断テストを実施する測定器130、を含む。
【0023】
例示的な一実施形態において、図3に示すように、診断テストはテストストリップ120のサンプル室121に加えた全血サンプル中のグルコースの総量を測定する。血糖テストのために、測定器130は、様々な技術の何れかを利用できる。実施例として、診断テストは、電量分析、電流測定、電位差測定等の電気化学技術を利用する。例示的な電気化学装置は、2004年6月1日に公布された先の米国特許第6,743,635号及び2005年9月20日に公布された先の米国特許第6,946,299号に記載されている。両特許は、「血糖テストのシステム及び方法(SYSTEM AND METHOD FOR BLOOD GLUCOSE TESTING)」と題されるものであり、出願時に本出願と同様の譲受人により所有されており、更に、参照することにより本明細書にそのまま組み入れられるものとする。或いは、測定器130は、サンプル中のグルコースの総量を測定するために、例えば、反射、透過、散乱、吸収、蛍光、電気化学発光等の光度測定技術も利用してもよい。例示的な光度測定システムは、米国特許第6,201,607号、第6,284,550号及び第6,541,266号に記載されている。これらは、出願時に本出願と同様の譲受人により所有されており、参照により本明細書に組み入れられるものとする。しかしながら、電気化学技術は、現在、好適な技術である。これは、光度測定技術が必要とする血液サンプル量(約1μL以上)よりも、電気化学技術が必要とする血液サンプル量(約1μL以下)の方が少量だからである。更に、電気化学技術を用いた測定器は、一般的に、光度測定技術を用いた測定器よりも電力消費量が少なく且つより小型である。
【0024】
本発明の原理が、上述した他のタイプの診断テスト及び技術に等しく適用可能であるという了解の下で、統合システム100を、電気化学技術を用いて血糖濃度を測定する診断テストに関連させて説明する。更に、本発明は、テストストリップ120形状のテストメディアを利用する場合を例示するが、本発明の例示的な実施形態は、このメディアを特定のタイプに限定するものではない。また、当業者であれば、本発明の原理が、例えば、タブ、ディスク等の他形状のテストメディアを利用する診断テストシステムに対して、等しく適用可能であることを理解するであろう。
【0025】
測定器130は、ハウジング131内に含まれる。測定器ハウジング131には、容器110の開口部111を選択的に閉じるために容器110に係合する閉止部140(図1における測定器130の底部)が取り付けられるか、又は、含んでもよい。当業者には明らかなように、本明細書で用いる用語「取り付ける」は、「属する」、「関連する」、「付着する」、「接合する」、「連結する」、「締める」、「固定する」、「固着する」等を意味するように用いられる。また、図4に示すように、容器110の底部は、保持(リテーナ)クリップ、ねじ山、留め金、又は他の保持方法(図示省略)等によって測定器ハウジング131に取り付けられてもよい。あるいは、容器110の底部は、位置決めをするキーのある位置で、測定器ハウジング131のレセプタクル145へ挿入されてもよい。この場合、測定器130は、容器を正確に読み取るためのコードの配置と一致するように、容器110を整列配置させるためにキーがかけられる(図5及び図6参照)。当業者であれば、レセプタクル145を有する測定器ハウジング131が、メディアプレーヤー、地上波ラジオ又は衛星ラジオ、トラベルアラームクロック、テストアラーム、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、音声メモ記録装置、又は他の追加機能等のコード装置を更に受容できることを理解するであろう。この場合、該装置には、容器110に配置されたコードと同様に、該装置を測定器130に連結して使用するために読み取らせるコードが設けられる。
【0026】
例示的な図5の一実施形態において、測定器ハウジング131は、測定器130の電源を入れ又は使用後に容器110を取り外す使用者制御機能を実現する1以上のボタン132を含む。図5に示すように、ボタン132は、ディスプレイ133を真上に向けて統合システム100を右手で保持したまま、右手の親指又は人差し指で簡易に押すことができる。しかしながら、ボタン132は測定器130の他の場所に配置されてもよい。例えば、ボタン132は、左利きの使用者に都合が良いように測定器ハウジング131の右側面(図27参照)、又は測定器130の上面に配置することができる。
【0027】
図7に示すように、測定器ハウジング131は、1以上の容器110を受容するように構成された保持具144を更に含む。保持具144は、使用されないときは閉止部140の下部に格納されるように構成され、追加の容器110を受容して保持するために容器110の横位置に(位置矢印によって示されるように)摺動可能に移動する。本実施形態では、測定器ハウジング131は、閉止部140に適合するように形成された一端(例えば、図1における測定器ハウジング131の底部)を有し、例えば、機械的連結(例えば、クリップ等)、ボンディング(bonding)、接着剤による接着、溶接等によって、閉止部140に固定される。また、閉止部140は測定器ハウジング131と一体的に形成することもできる。これにより、測定器130及び閉止部140は共に容器110のキャップ又は蓋を構成する。
【0028】
閉止部140は、複数の方法により、容器に係合するように構成される。閉止部140は、その閉位置(図3及び図4参照)において、容器110からテストメディアの紛失又は除去を十分に防止するために、開口部111を閉じる。従って、閉止部140は、テストストリップ120が開口部111から飛び出ることを防止するために、その閉位置において容器110に係合するように構成される。また、容器110及び閉止部140は、テストメディアの汚染又は性能低下を防ぐために、光、液体、蒸気又は空気の何れも容器110へ浸入しないように構成される。テストメディアが、中毒性又は窒息の危険性があるように構成されている場合には、子供が容器110を開け、テストメディアに触れないようにするために、閉止部140を子供が操作できないように任意に構成する。例えば、閉止部140及び容器110は、医薬品又は家庭用化学品の周知の小児用安全容器と同様の方法で構成されるとよい。
【0029】
例えば、閉止部140及び容器110に相互係合するネジ山(図示略)を備えさせることにより、閉止部140は、ネジ切りキャップとして構成される。また、閉止部140は、開口部、例えば、開口部近くの溝(図示略)内を摺動するように構成される。更にまた、閉止部140は、容器110に係合する戻り止め等の留め具(図示略)を備えることもできる(又は、その逆も同様である)。留め具は、ボタンによって解除できる。しかしながら、一実施形態においては、閉止部140は、光、液体及び蒸気の浸入に対して開口部を封止するために、容器110と圧力嵌めを形成するように構成される。例えば、図1において、閉止部140は、開口部111の外側が圧入される凹部(図示略)を有して構成される。これにより、開口部111の周縁が閉止部140の内面にフィットする。また、図2に示すように、閉止部140は、開口部111の内側と係合するように形成された突起部241を有して構成される。しかしながら、本発明は、容器及び閉止部を何れかの特定の構成に限定するものではないこと、及び、本発明の原理と整合する他の構成を利用できること、が理解される。
【0030】
製造を容易にするために、開口部111は、容器110と同形状に形成される。また、例えば、測定器130のハウジング131も、統合システム100が使用者のポケット内で保持し易く、また持ち運び易いように、容器110の外形と同形状に形成される。しかしながら、容器110、測定器130及び開口部111は、同一の外形状である必要はなく、及び、容器110及び測定器130は、本発明の範囲から逸脱しなければ異なる形状で構成されてもよい。
【0031】
実施形態として、図1及び図2に示すように、容器110は、略直円柱であり、及び、開口部111は、円形状である。円形状は、閉止部140と容器110との間の圧力嵌めにより形成される均一な密封を可能にするため、開口部の1つの可能な構成である。また、図1〜図4に示すように、統合システム100が、例えば、ズボンのポケット内で保持し易く及び持ち運び易い、全体が略円筒形状を有するように、測定器130もまた容器110の幅と同様の幅を有する略円形状及び円筒形状でもよい。しかしながら、容器110、測定器130及び開口部111は、多数の他の形状にも形成されることができる。例えば、使用者のシャツポケットに上手く収めるために、容器110は、長円形、楕円形又は長方形のシリンダーとして形成されることができる。更に、特別仕様の形状も可能であり、又、容器は、個々の使用者が気に入るようなグラフィカルなデザインや提携ブランドパートナー等の会社のロゴを強調するようにカスタマイズできる。
【0032】
図2に示すように、液体及び気体の浸入を一層防止するために、容器110及び閉止部140は、閉止部140が閉位置にあるときに、互いにぴったりとくっついてフィットするように夫々が一致するフランジ112及びフランジ242を備える。また、閉止部140は、実施形態として、突起部143を備える。突起部143は、例えば、使用者が突出部143に対して親指で上方へ力を加えることによって容器110開閉を十分に補助するために、容器110の側面から張り出している。突出部143は、フランジ242の延長部分である。一方、図3に示すように、突出部143は、測定器ハウジング131上に直接形成されることもできる。
【0033】
図1に示すように、容器110は、容器110から測定器130及び閉止部140を完全に取り外すことによって開けられる。また、測定器130及び閉止部140の少なくとも一方は、測定器130が容器110から分離することを防止するために、容器110に連結される(図2)。容器110及び測定器130は、例えば、ヒンジ、ランヤード、又は、例えば、可撓性プラスチックバンド若しくはワイヤ等の(図示略)他のフレキシブルコネクタによって連結されることができる。図2に示す本実施形態では、ヒンジ251は、容器110と、測定器ハウジング131及び閉止部140の少なくとも1つと、を連結する。ヒンジ251は、開口部111が閉じられた状態であるときに、該開口部111と突起部241とがフィットするように配置される。コネクタ(例えば、ヒンジ251)は、容器110に連結される一端と、閉止部140及び測定器ハウジング131の少なくとも一方に連結される他端と、を有する。例えば、容器110及び閉止部140は、周知技術のヒンジによって一体的に連結される。また、コネクタ(例えば、ヒンジ251)の一端は、容器110に合致する大きさに設定されたリング252に連結される。リング252は、摩擦抵抗により容器110に係合するように構成される。他の方法として、例えば、リング252は、溶接、接着剤による接着等によって、容器110に固着される。更に、容器110は、容器を開いたときに、その中身を自動的に又は選択的に照らす発光ダイオード(LED)253を含む。図8〜図10に示すように、LED253は、容器110又は測定器ハウジング131に配置されるか、若しくは容器110の外部を照らすために更に配置される。
【0034】
一実施形態において、容器110及び閉止部140は、射出成形方法を用いてポリプロピレンから形成される。しかしながら、他の原料及び方法も、本発明の範囲から逸脱しなければ用いることができる。
【0035】
統合システム100は、テスト用のサンプルを得るために使用者が使用するサンプリング装置を更に含んでもよい。サンプリング装置は、生体サンプルの採取に適している。例えば、サンプリング装置は、血糖値の診断テスト等において、使用者が採血するために使用する穿刺装置を含む。
【0036】
図3は、穿刺装置360を組み込んだ例示的な統合システムを示す。例示的な穿刺装置360は、後部体312、指カバー314、外部ノズル318、内部ノズル322及びトリガー324を含む。例示的な穿刺装置360は、接触面321を越えて使用者が選択した深さまで皮膚を穿刺するランセット320を前進させるための内部スプリング(図示略)を更に含む。
【0037】
図3に示すように、例示的な穿刺装置360は、容器110に連結される。穿刺装置360は、例えば、後部体312、指カバー314、外部ノズル318若しくは内部ノズル322を容器と結合して形成することによって、又は、これら構成要素の1つを例えば、機械的連結(クリップ、ブラケット、タブ、溝等)、ボンディング、接着剤による接着、溶接等により容器110に固着することによって、容器110から取り外せないように連結される。当業者に明らかであるように、他の周知手段を用いることもできる。また、穿刺装置360は、穿刺装置360及び容器110の夫々が対応する解除式コネクタ等の着脱装置を備えることによって、着脱自在に容器110に連結される。例えば、穿刺装置360には、容器110の対応構造に係合する1以上の溝、穴、孔、筺体又はクリップが備わっている。また、その逆も同様である。図11に示すように、保持クリップ608は止り嵌めとなるように容器110上に及んでいる。保持クリップ608は穿刺装置360の適所に着脱自在に係合するクリップを含む。同様に、図12は、容器110に係合するように設計された保持穴610と穿刺装置360とを共に取り付けたものを示す。当業者であれば、例えば、ブラケット、磁石、差込ロック、溝、タブ、フック及びループファスナー等の他の保持具を、診断テストに用いる1以上の装置の取り付け用に使用できることを理解するであろう。更に、穿刺装置360は、測定器130のハウジング131又は閉止部140に連結されてもよい。例えば、後部体312、指カバー314、外部ノズル318又は内部ノズル322の何れか1つのみが、容器110に連結される。これは、穿刺装置360を、容器110から取り外さずに調整及び使用できるようにするためである。
【0038】
例示的な穿刺装置360を使用し、サンプルを採血するためには、先ず、使用者は、外部ノズル318上の深度計326を内部ノズル322上の矢印328に合わせるために、外部ノズル318を回転させる。これによりランセット320の所望の穿刺深さを選択する。次に、使用者は、内部ノズル322を後部体312から離す方向に引っ張ることにより内部スプリングに負荷を与え付勢し、穿刺する皮膚表面に接触面321を設置する。次に、使用者は、接触面321を超えて指示深度までランセット320を皮膚内に穿刺する内部スプリングの付勢を解除するために、トリガー324を作動させる。その後、血液サンプルが、テストストリップ120のサンプル室121に加えられる。
【0039】
例示的な穿刺装置360の更なる詳細は、2004年1月15日に出願された、「穿刺装置(LANCHING DEVICE)」と題する先の米国特許出願第10/757,776号、に開示されている。この出願は、出願時に本出願と同様の譲受人により所有されており、参照により本明細書に組み入れられるものとする。しかしながら、本発明は如何なる特定のサンプリング装置にも限定されず、及び、当業者であれば、他のサンプリング装置を上述した例示的な穿刺装置と同様の方法で組み込めることを理解するであろう。
【0040】
2.不適切なテストストリップ使用の防止
【0041】
測定器130は、テストメディアの特定のブランド又は製造ロットを使用するために較正される。これは、1以上の較正パラメータを用いる特定のブランド又はロットについて、測定器130が実施する診断テストをカスタマイズすることにより行われる。これら較正パラメータは、例えば、温度補正などの環境補正、インキュベーション時間等に関するタイミング周期の補正、電気化学テスト等に用いる電圧補正、光度測定テスト等に用いる色の変化、を含み、テストメディアの特定のブランド又は製造ロットに対して、コントローラ(図示省略)の診断テスト機能をカスタマイズする。上述の参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6、743、635号及び米国特許第6、946、299号を参照されたい。
【0042】
本発明の実施形態において、統合システム100は、測定器130と共にパッケージ化されるテストストリップ120の1以上の容器110又はマガジン510を含む(図13参照)。パッケージ内のテストストリップ120の夫々は、同一の製造ロットであるか又は血糖に対して同一の特性反応を有する。これは、測定器130が、一旦較正された後は、再較正をすることなく、パッケージ内のいずれのテストストリップ120でも使用できるようにするためである。マガジン510は、積み上げ(スタック)配置を維持するために、テストメディア形状と同様の内側形状を有してもよい。例えば、図1に示すようなテストストリップ120であれば、マガジン510の室内は略矩形の横断面となる。
【0043】
ばね516は、マガジン510の上部518に向かってテストストリップのスタックを押し上げる。ここで、最上にあるテストストリップ125は、ストリップ分配機構部460に対して使用可能な状態に配置される。分配機構部460は、検出器412と結合しており、線形機構の動き及び回転機構の動きの少なくとも一方を利用してスタックの最上にあるテストストリップ125を分配する。機構の動きは、例えば使用者がスライドを引っ張り又はホイールを回転させる等の手動によって実行されるか、又は、例えばステッピングモータ等のモータを使用者制御機能部により作動させることによって実行される。最上にあるテストストリップ125は、スタックから摺動されて溝520を通過する。この実施形態において使用されるテストメディアは、滑らかな排出(エジェクタ)を可能とするために、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の非摩擦コーティング又はフィルムをテストメディアの両面に施すことにより改善される。
【0044】
パッケージされた測定器130の診断テスト機能は、例えば、テストメディアと関連させるためのカスタマイズ用の命令及びデータの少なくとも一方を提供する製造会社又は販売店により、予め較正される。また、測定器130は、診断テストを実施する前に、テストメディアの特定のブランド又はロットに関する測定器の較正を使用者に要求することによって、使用者レベルで較正されることもできる。例えば、使用者は、較正データ若しくは較正データを導くコントローラ(図示省略)が出力するコードを入力又はダウンロードするために、使用者制御機能部又は入出力機能部を使用する。他の方法では、夫々のテストメディア容器110(又は同一ロットで構成された共通パッケージでグループ化した容器)は、電子較正データを格納するデータ記憶装置と共に提供される。上述の参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6、743、635号及び米国特許第6、946、299号を参照されたい。
【0045】
パッケージ内のテストストリップ120が同一の製造ロットでない場合、又はテストストリップ120が血糖に対する同一の特性反応を有しない場合、使用者は、測定器130を新しいブランド又はロットのテストメディアに対応するように較正することを忘れる虞がある。そこで、本発明では、測定器130が誤って較正された場合に、使用者に対して深刻な影響を与える誤った結果を防止する幾つかの異なるコーディング技術を用いることによって、測定器130をテストストリップ容器110から取り外して他の容器に付け替えることができるようにする。測定器が、適合ロットのストリップに対してコーディングされた容器と適切に関連する限り、使用者は、測定器に更なるプログラムを与える処理は不要である。当業者であれば、異なるコーディング技術及びコーディング構成要素が、サンプル中の特徴的な分析物をテストする様々な診断テストを提供するために用いられることを理解するであろう。
【0046】
一実施形態において、古いコードチップ又はボタンコードの使用に関連して通常起こり得るコーディングエラーは、オン−コンテナコーディング方法により防止される。オン−コンテナコーディング技術は、容器110の上部、底部及び側部において利用可能な広いスペースにより広範囲なコード番号をエンコードすることができる。測定器130は、容器110を正確に読み取るためのコードの配置と一致するように、容器110を整列配置させるためにキーがかけられる。また、容器は測定器に挿入される前に予め読み取られてもよい。この方法は、使用者に依存した技術又は使用者に分かり易い技術ではなく、従来技術におけるコードチップ又はボタンコードの変更し忘れに関連して通常起こり得るコーディングエラーを取り除く。ストリップは、容器のストリップロットコードアソシエーション(container strip lot code association)により、異なる容器中に混合されることはない。測定器は、予めコードに適切にアクセスしない限り、テストを実施しないようにプログラムされている。
【0047】
図14及び図15に示すように、オン−コンテナコーディング方法は電気伝導コーディングパターンを含む。該電気伝導コーディングパターンは、基板147に配置されるか、テストストリップ容器110に直接プリントされるか、又はステッカーとして容器110に貼り付けられる。これにより、測定器130は、容器を取り付けたときにコーディングパターンと接触(コンタクト)する。次に、測定器130は、コーディングパターンの選択された電気特性、例えば、抵抗値等を読み込む。電気的値は、測定器130に格納された特定のテストストリップロットに対する適切なコードグループに関連する。基板147に配置されたコードパターンを新規コードパターンに置換するとき、上述したように、新規コード値を有する測定器を再較正するために、使用者は該測定器を容器に取り付けるだけでよい。
【0048】
図5及び図6に示すように、統合システム100は、容器110を取り外し可能な測定器130と共に使用するように構成されるか、又は、位置決めをするキーのある位置で、容器110を測定器ハウジング131のレセプタクル145へ挿入するように構成される。オン−コンテナコーディング方法は、容器110内にテストストリップ120を完全にパッケージして製造した後に、テスト容器110に適用できる点で有益である。当業者であれば、製品タイプ、テストタイプ等の他の情報もまた容器110にエンコードできることを理解するであろう。
【0049】
容器110に格納される情報は、ロット較正用パラメータの全セットと同程度に複雑であるか、又は、測定器130内に予めプログラムされたロット較正に関連するロットコードインデックスのように単純でありうる。図16に示すように、基板147は、16個のコンタクトパッド149又はコーディングビットを有するコーディングパターンを含み、2×1016(65535)個のコーディング番号又は16ビット情報の選択可能性を提供する。コードコンダクタを基板147から露出させるか若しくは除去してもよく、又は、プリントされた電気絶縁パターンで導電基板を覆って、オープンエンコーディング、クローズエンコーディング、又は抵抗エンコーディングを形成することもできる。1つのコンタクトパッド149が一般的なコーディングビットとして使用される場合、2×1015(32768)個のコードが形成されるだけだが、コーディングパッド149毎にただ1つのコンタクトを必要とするだけなので、より多くの情報を格納することができる。また一方、一般的なコーディングビット以外の個々のパッド149がコーディングビットを構成するためには2つのコンタクトを必要とするため、減少したコード数は有効である。当業者であれば理解できるように、生成及び選択できるコードが多いほど、システム構成における柔軟性が増す。コーディング技法は、2005年7月15日に出願された同時継続中の米国特許出願第11/181、778号におけるオンストリップコーディングに関する記載と類似しており、本出願と共通の譲渡人である。更に、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0050】
コード化コンタクトパッド149に対するインタフェースは、抵抗であり、アナログ方式で読み取るか、又はデジタル方式で閉止のオンオフ切り替えスイッチとして読み取る。アナログ抵抗オン−コンテナコーディング(analog resistive on-container coding)の場合、容器110を測定器130に連結すると、測定器130は、抵抗値パターンを読み取り、特定テストストリップロットに対する適切なコードグループを選択する。図17及び図18に示すように、アナログ方式は予め設定された抵抗ラダー(R、2R、4R、8R)を必要とする。該抵抗ラダーは、プリントされた非導電性インクの順列が電圧降下、抵抗測定又は電流測定をもたらす異なるロットコード情報と関連することができるように、コンタクトパッド149を相互接続させる。抵抗器もまた、異なる値でプリントされ、類似した装置により読み込まれる。また、アナログ方式では、夫々のコードが、測定器130を起動させる低インピーダンス接続を形成する非導電性インクがかからない少なくとも1つのコンタクトパッド149を有する限り、自動電源機能として同時に使用される。図17及図18は、夫々、ネガティブレベル及びポジティブレベルの起動トリガーを用いたアナログコードインタフェースを示す。アナログ電圧、抵抗又は電流レベルもまた、テストタイプの識別、テストのシミュレート、テストストリップ120の確認、又は使用されている製造テストの確認に使用される。
【0051】
オン−コンテナコーディングのデジタル伝導スイッチに関し、バイナリコード番号は、ロットコードにおいて1値又は0値で表すスイッチを開閉するスイッチとしてパターン化コンダクタを用いてエンコードされる。アナログ抵抗コーディングと同様に、デジタル伝導コーディングにおいて、コーディングパターンは、予めプリントしたものを容器110に取り付け、又は容器に直接プリントする。図19に示すように、コードコンタクトパッド測定器インタフェースは、インタラプト(Int)並びにA/Dコンバータを有するマイクロコントローラ及びアナログフロントエンド、複数の抵抗(R)、及び複数のスイッチ(S1、S2、S3、S4及びS5)を有するストリップコネクタインタフェースを含む。容器110が測定器130と連結して設置される場合、少なくとも1つの閉じられたコンタクトスイッチを有する測定器130は複数のインタラプトを介して電源が入る。
【0052】
デジタル方式は、アナログ方式が必要とする単一入力ではなく、個々の入力を読み取る夫々のコンタクトパッド149を必要とする。自動電源オン機能が同時に使用されるデジタル方式では、入力には、マイクロコントローラのインタラプトと共に配線されるか、又は該インタラプトに接続されることが必要とである。夫々のコードは、低インピーダンス接続がマイクロコントローラを起動させることができるように、非導電性インクがかからない少なくとも1つのコンタクトパッド149備える。また、1つのコンタクトパッド149は、測定器130を起動させるために、及び、テストストリップ120又はコードプリントが適切な配置であるかどうかを示すために、単独で用いられてもよい。
【0053】
上述したように、高レベル及び低レベルのインピーダンスを有する非導電性インクは、実装されるコンタクトパッド149の数に基づいてコードインデックスを生じるバイナリコードを作り出す。ここで、コード数はN=2であり、Pはコンタクトパッド149の数を表す。デジタルオン−コンテナコーディング方法が、自動電源オン機能と統合される場合、発生するコード数はN=2P−1に減少する。テストストリップ120が測定器130に挿入されると、1つのコンタクトスイッチが閉じられ、マイクロコントローラのインタラプトがハイ又はローになることによって、測定器130が起動する。次に、測定器130は、電圧出力(Vout)を確認してテストタイプを決定し、コードビット読み取ってコード値を決定する。コード番号やコード状態は、測定器がスリープ状態に移行する前の少しの間に、測定器130の液晶ディスプレイ(LCD)上に表示される。測定器130によって選択されたコード値は、テスト構成に使用するために、測定器メモリ内に格納された一連の係数に関連付けられる。更に、このコードは、他のタイプのストリップパラメータ情報、即ち、コード整合性、測定器のタイプ、測定器130におけるテストストリップ容器110の適切な配置、製造測定器の品質管理(QC)テスト等に関連付けられる。製造測定器の品質管理テストは、特殊テストであることを識別するために、コードコンダクタの標準抵抗の代わりに、コード回路に追加の固定抵抗を挿入することによって識別される。更に、複数の抵抗器(R)全体の電圧降下は、接触抵抗が有効であるか、又は抵抗コーディング表示に使用されるか否かを確認するために利用される。例えば、容器110を測定器130に連結して取り付けた後、測定器130は、A/Dコンバータを有する抵抗コンタクトパッド149から接触抵抗を読み取り、ストリップロットコード情報をエンコードする。
【0054】
これに替えて、又は加えて、オン−コンテナコーディング方法は、テストストリップ容器110に埋め込まれ又は取り付けられるコード化メモリチップ151を含む。コード化チップは、電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)である。容器110にメモリチップ151を埋め込むことにより、可能な限り最大量のストリップロットコーディングパラメータに関する情報を格納することを可能にする。メモリチップ151は、テストストリップ容器110の上部、底部又は側部に取付けられるプリント回路基板(PCB)153に搭載される。そして、PCB153が測定器130に挿入又は取り付けられると、測定器130上の機械的接続コンタクト155がPCB153及びEEPROMチップ151に接触するように構成されているので、データが測定器メモリ(図示省略)内へ読み込まれ、そして転送される。コード化メモリチップ151は、より高価な測定器構成要素130を何度も再利用可能にする点で金銭面において有益である。これに対し、安価なコード化メモリチップ151は、使用後に使用済みテストストリップ容器110と共に廃棄される。加えて、テストストリップ120は、容器のストリップロットコードアソシエーションにより、異なる容器中に混合されることはない。更に、埋め込まれたEEPROMメモリチップ151は、予め設定されたテストの所定回数に達すると使用不能になる。当業者であれば、多数の他の格納されたパラメータ、例えば、ストリップ特定テストパラメータ、製品、テストタイプ等が、メモリチップ151を使用不能にできることを理解するであろう。
【0055】
図20〜図23に示すように、メモリチップ151は、夫々のテストストリップ容器110についてのロットコード情報を転送又は格納するコンタクトパッド149と共に、PCB153上に取付けられる。取り外し可能な測定器130及びコーディング情報を有するPCB153は、容器110の上部又は底部に取り付けられる(図20〜図22参照)。また、PCB153は、図5及び図6を参照して説明し、更に図23に示すように、容器110の底部に取り付けられ、次に位置決めをするキーのある位置で、測定器ハウジング131のレセプタクル145に挿入される。
【0056】
他の実施形態において、オン−コンテナコーディング方法は、ロット較正情報を含むRF識別タグ(RF ID tag)コード又は他の近距離通信(NFC)装置等の無線周波数(RF)装置157を含む。RF装置157は、テストストリップ容器自体に埋め込まれるか、又は容器110の上部、底部、並びに側部にRFラベルとして貼り付けられる。図24〜図26に示すように、ロット特定情報を有する測定器130をコーディングするために、測定器130から約0mm〜1mmに近接するRF識別タグ157が表示されている。取り外し可能な測定器130及びコーディング情報を有するRF識別タグ157が容器110の上部又は底部に取り付けられている(図24及び図25)。また、RF識別タグ157は、図5及び図6を参照して説明したように、更に図26に示すように、容器110の底部に取り付けられ、次に位置決めをするキーのある位置で、測定器ハウジング131のレセプタクル145へ挿入される。
【0057】
RF装置157の製造過程において、ロット較正情報は、該装置にワイヤレス(無線)通信でプログラムされる。ワイヤレス容器110を測定器130内の読み取りアンテナ、書き込みアンテナ又は電力供給アンテナに近接させて、すなわち、約0mm〜1mmの距離に配置すると、RF装置157が測定器130に容器110からのロット情報をワイヤレス通信で読み取らせる。これにより、使用者が測定器130をコード化する必要性を取り除くことができる。RF装置157は、RF識別タグメモリ装置157の電力供給に要する電力量を削減するために、測定器130に近接して配置させることが重要である。従って、削減した電力必要量により、測定装置の電力供給に小型バッテリ及び小型携帯バッテリの使用が可能になり、使用者はポケットに入れて統合システムを持ち運ぶことが更に容易になる。
【0058】
ロット特定情報を有する測定器130をコード化するためにRF識別タグ157を使用する場合、一度の挿入又は取り付けのみでRFタグ157を読み取れるように、ロット特定情報を測定器のメモリ(図示省略)へ直接転送する。これにより使用する測定器を自動でコーディングすることができる。この方法は、使用者に依存した技術ではなく、又、使用者に対して分かり易いため、従来技術におけるコードチップ又はボタンコードの変更を忘れたために通常起こり得るコーディングエラーを取り除く。ストリップは、容器のストリップロットコードアソシエーションにより、異なる容器中に混合されることはない。加えて、RFタグ157は、製造情報が確認された後、直ちにプログラムされる。更にRFタグ157は、予め設定されたテストの所定回数に達すると使用不能になる。当業者であれば、多数の他の格納されたパラメータ、例えば、ストリップ特定テストパラメータ、製品、テストタイプ等が、メモリチップ151を使用不能にできることを理解するであろう。
【0059】
上述したオン−コンテナコーディング方法は測定器較正エラーを防ぐように設計されているが、統合診断テストシステム100では、さらに、使用者が未だ較正されていないブランド又はロットのテストメディアを測定器130に誤って使用する危険性を最小限に抑えるために追加の安全装置を使用する。例えば、統合診断システム100は、特定の起動イベント発生の際に測定器の1以上の機能を使用不能にする1以上の防止手段を含むことができる。例として、防止手段は、測定器130を特定の期間若しくは特定のテスト回数まで使用した後、又は特定量のテストメディアを使用した後、測定器130を完全に停止させる。そして、測定器130は単純に廃棄されるか、又は再利用するために製造業者に返却される。あるいは、防止手段は、コントローラ(図示省略)の診断テスト機能のみを停止させるか、又は単純に測定器が診断テスト結果を表示させないようにする。この場合、使用者は、残りの機能を使用するために測定器130を保有していてもよい。当業者であれば、測定器較正エラーを最小限に抑えて防止するために多数の他の安全装置を使用できることを理解するであろう。
【0060】
3.補充可能なテストストリップ容器
【0061】
図27に示すように、例示的な統合診断テストシステム100は、テストストリップ120等のテストメディアを収容する容器110、及び該容器110内のテストストリップ120を用いて診断テストを実施する測定器130、を含む。統合システム100は、テストストリップ容器110に補充可能な乾燥剤161を有するテストストリップ159のホイルポーチを含む。これにより、測定器130に取り付けた容器110を交換する費用が抑えられる。使用者は、容器が空になったときに、容器110に補充するために、乾燥剤を有するテストストリップ159のホイルポーチを単に購入するだけでよい。この補充方法には、上述したあらゆるオン−コンテナコーディング方法と共に用いることができ、コード化コンタクトパッド147、コード化メモリチップ151及びRF識別タグ装置157の使用を含む。
【0062】
本発明の他の実施形態は、本明細書及び本明細書に開示される発明の実行を考慮することにより、当業者に明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲に定められる本発明の真の範囲及び趣旨を逸脱することなく、本明細書及び実施形態が例示的であることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に従う、統合システムの第1実施形態の斜視図
【図2】本発明に従う、統合システムの第2実施形態の斜視図
【図3】本発明に従う、統合システムの第3実施形態の斜視図
【図4】本発明に従う、統合システムの第4実施形態の斜視図
【図5】本発明に従う、統合システムの第5実施形態の斜視図
【図6】本発明に従う、統合システムの第6実施形態の斜視図
【図7】診断テストに使用される1以上の装置を受けるように構成される保持具を備える測定器ハウジングの斜視図
【図8】発光ダイオードを配置した容器の斜視図
【図9】測定器に発光ダイオードを配置した容器の斜視図
【図10】容器の外側を更に照らすための発光ダイオードを有する容器の斜視図
【図11】容器周辺に配置されるクリップ形状を有する保持具の斜視図
【図12】容器及び穿刺装置を収容するために用いる穴形状を有する保持具の斜視図
【図13】本発明に従う、統合システムの第7実施形態の断面図
【図14】取り外し可能な測定器を有したテストストリップ容器に取り付ける伝導コーディングパターンの斜視図
【図15】測定器のレセプタクルに挿入されるテストストリップ容器に取り付ける伝導コーディングパターンの斜視図
【図16】複数のコード化コンタクトパッドを有する基板の斜視図
【図17】ネガティブレベルの起動トリガーを有するアナログコードインタフェースの斜視図
【図18】ポジティブレベルの起動トリガーを有するアナログコードインタフェースの斜視図
【図19】デジタルコードコンタクトパッド測定器インタフェースの斜視図
【図20】コンタクトパッドを有したプリント回路基板上に配置されるメモリチップの上面図及び底面図
【図21】コンタクトパッドを有したプリント回路基板上に配置されるメモリチップ及びのテストストリップ容器の底部に取り付けられる取り外し可能な測定器の斜視図
【図22】コンタクトパッドを有したプリント回路基板上に配置されるメモリチップ及びテストストリップ容器の上部に取り付けられる取り外し可能な測定器の斜視図
【図23】測定器レセプタクルに挿入されるテストストリップ容器の底部に取り付けられるコンタクトパッドを有したプリント回路基板上に配置されるメモリチップの斜視図
【図24】テストストリップ容器の上部に取り付けられ、取り外し可能な測定器に近接する無線周波数識別タグの斜視図
【図25】テストストリップ容器の底部に取り付けられ、取り外し可能な測定器に近接する無線周波数識別タグの斜視図
【図26】測定器レセプタクルへ挿入されるテストストリップ容器の底部に取り付けられ、測定器に近接する無線周波数識別タグの斜視図
【図27】補充可能なテストストリップ容器の補充に用いられる、乾燥剤を有したホイルポーチの斜視図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、コーディング情報を示す信号を受信するインタフェースと、を有し、テストメディアにつけたサンプルの診断テストを実施する測定器と、
テストメディアに関連するコーディング構成要素を有し、前記測定器に適合するテストメディアを収容するように構成される容器と、
前記インタフェースを介して前記コーディング情報を提供するように構成された前記コーディング構成要素に設けられるコーディングパターンと、
を含んで構成され、
前記測定器及び前記容器は、一体物を形成するように構成されること、
を特徴とする診断テストシステム。
【請求項2】
前記測定器ハウジングは、前記容器の開口を閉じるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項3】
前記コーディングパターンは、前記容器の上部、底部又は側部に適合するようにサイズ設定されることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項4】
前記コーディングパターンは、前記容器上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項5】
キーイング手段が、前記測定器を前記コーディングパターンに位置合わせするように前記測定器ハウジングに形成されることを特徴とする請求項4に記載の診断テストシステム。
【請求項6】
前記コーディング構成要素は、前記容器に取り付けられるコンタクトパッドであることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項7】
前記コンタクトパッドは、前記容器の上部、底部又は側部に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の診断テストシステム。
【請求項8】
前記コンタクトパッドは、アナログインタフェースを含んで構成されることを特徴とする請求項6に記載の診断テストシステム。
【請求項9】
前記コンタクトパッドは、デジタルインタフェースを含んで構成されることを特徴とする請求項6に記載の診断テストシステム。
【請求項10】
前記コーディング構成要素は、メモリチップであることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項11】
前記メモリチップは、電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリであることを特徴とする請求項10に記載の診断テストシステム。
【請求項12】
前記コーディング構成要素は、回路基板を更に含んで構成されることを特徴とする請求項10に記載の診断テストシステム。
【請求項13】
前記回路基板は、前記容器の上部、底部又は側部に取り付けられることを特徴とする請求項12に記載の診断テストシステム。
【請求項14】
前記メモリチップは、前記測定器が所定回数の診断テストを実施した後に使用不能となるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の診断テストシステム。
【請求項15】
前記コーディング構成要素は、近距離通信装置であることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項16】
前記近距離通信装置は、無線周波数装置であることを特徴とする請求項15に記載の診断テストシステム。
【請求項17】
前記無線周波数装置は、前記容器の上部、底部又は側部に取り付けられることを特徴とする請求項16に記載の診断テストシステム。
【請求項18】
前記インタフェースは、ワイヤレス通信を行うことを特徴とする請求項16に記載の診断テストシステム。
【請求項19】
前記無線周波数装置は、前記測定器が所定回数の診断テストを実施した後に使用不能となるように構成されていることを特徴とする請求項16に記載の診断テストシステム。
【請求項20】
前記容器は、診断テスト結果を表示するディスプレイを更に含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項21】
前記測定器は、前記容器の側部に取り付けられるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項22】
複合診断装置を形成する統合サンプリング装置を更に含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の診断テストシステム。
【請求項23】
前記サンプリング装置は、ランセットであることを特徴とする請求項22に記載の診断テストシステム。
【請求項24】
前記測定器及び前記サンプリング装置は、着脱装置を含んで構成されることを特徴とする請求項22に記載の診断テストシステム。
【請求項25】
前記測定器及び前記サンプリング装置は、クリップ部材により連結されることを特徴とする請求項22に記載の診断テストシステム。
【請求項26】
前記測定器及び前記サンプリング装置は、少なくとも1つの孔を有する取り付け部材により連結されることを特徴とする請求項22に記載の診断テストシステム。
【請求項27】
基板にコーディングパターンを提供すること、
前記基板を、テストメディアにつけたサンプルの診断テストを実施する測定器に適合するテストメディアを収容するように構成された容器に取り付けること、
前記測定器を較正するように前記容器を前記測定器に近接させて配置すること、
を含んで構成されることを特徴とする診断テストシステムのコーディング方法。
【請求項28】
前記基板を前記容器に取り付けるステップは、前記基板を前記容器の上部、底部又は側部に取り付けることを含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記容器を前記測定器に接触させて配置するステップは、前記容器を前記測定器のレセプタクル内部に配置することを含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
キーイング手段が、記測定器を前記コーディングパターンに位置合わせするように前記測定器に形成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記容器を前記測定器に近接させて配置するステップは、前記基板を前記測定器のインタフェースに近接させて配置することを含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記基板は、コンタクトパッドを含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記基板を前記容器に取り付けるステップは、前記コンタクトパッドを前記容器の上部、底部又は側部に取り付けることを含んで構成されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記容器を前記測定器に近接させて配置するステップは、前記コンタクトパッドを前記測定器のコネクタに接触させて配置することを含んで構成されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記基板は、メモリチップを含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記メモリチップは、電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリを含んで構成されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記メモリチップは、回路基板に取り付けられることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記基板を前記容器に取り付けるステップは、前記回路基板を前記容器の上部、底部又は側部に取り付けることを含んで構成されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記容器を前記測定器に近接させて配置するステップは、前記回路基板が取り付けられた前記容器を前記測定器のコネクタに接触させて配置することを含んで構成されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記測定器が所定回数の診断テストを実施した後に前記メモリチップを使用不能にするステップを更に含んで構成されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記基板は、近距離通信装置を含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記近距離通信装置は、無線周波数装置であることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記測定器が所定回数の診断テストを実施した後に前記無線周波数装置を使用不能にするステップを更に含んで構成されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記基板のコーディングパターンを新規コーディングパターンに置換するステップと、前記新規コーディングパターンについて前記測定器を再較正するステップと、を更に含んで構成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2009−530608(P2009−530608A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500370(P2009−500370)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/005079
【国際公開番号】WO2007/108900
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(504144529)ホーム ダイアグナスティックス,インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】