説明

試料を評価する方法およびシステム

本発明は干渉情報を試料の化学的および/または物理学的特性に相関させる代替ストラテジーを提供する。このストラテジーは方法およびシステムで実行することができ、それは干渉分光学に基づく当該分野の技術の状態を超える実質的な技術的および商業的な利点を提供する。本発明は、さらに、干渉計を標準化する方法、ならびに標準化した干渉計を用いた方法およびシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェロメトリーに基づく分光器の技術を使用する試料または標本の少なくとも1の化学的および/または物理的特性の評価のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
変調に基づく分光器の技術が、数年の間知られている。これらの技術のうちの1つは、1891年にマイケルソンによって設計され(A.A. Michelson, Phil. Mag. (5), 31, 256, 1891)、一般的に「マイケルソン干渉計」と称されている。マイケルソン干渉計は、現在、赤外線の測定用の幾つかの市販の分光学的機器に広く装着されている(ABB-Bomem Inc. USA, PerkinElmer Inc. USA, Thermo Nicolet USA, Foss Analytical Denmark)。マイケルソン干渉計は光のビームを分離し、ついで光路差が生じた後に再結合することに基づき、したがって検出された光には干渉が生じる。光の干渉に基づくもう1の分光学的方法はファブリー−ペロー干渉計であり、それは2の部分的に反射するミラーを通して光を透過させ、ミラー間の距離が変化した場合に干渉が生じることに基づく。核磁気共鳴(NMR)のようないまだ他の分光学的技術は、時間および/または位置ドメインで観察された情報をフーリエ変換を用いて周波数または波長の情報に変換することによって一般的に記載される干渉データの同様の方法を用いる(例えば、「自由誘導減衰」データのFT−NMRにおけるシフトへの変換)。
【0003】
スペクトル情報を再構築するためには、干渉情報(インターフェログラム)をフーリエ変換によって数的に変換する。したがって、干渉技術に基づく分光学的方法は、フーリエ変換分光学(略語FT)と称される場合もある。
【0004】
干渉分光学は、一般的に、モノクロメーター、プリズム、フィルタまたは磁気掃引(magnetic sweep)のような他の分光学的技術を超える幾つかの利点を提供する。FTベースの分光光度計は、現状の機器におけるこれらの技術を実質的に置きかえている。FT技術の最も顕著な利点は;波長安定性、高速走査、スペクトル高分解能、単一ディテクタ、安定したスペクトル応答である。FT−IR分光学の包括的な記載は、P R Griffithsおよび J A de Haseth in "Fourier Transform Infrared Spectrometry", John Wiley & Sons, 1986 (ISBN 0-471-09902-3)によって与えられる。
【0005】
FT分光光度計を最初に用いてスペクトル情報を記録し、それは試料の定性的および/または定量的分析に用いる。これらの分光学的分析は長期間にわたって実施されてきた方法であり、したがって広範な経験に基づいている。FT分光学およびパーソナルコンピュータがより一般的になった際、それらは伝統的な方法に適用されている。新技術の導入にしたがい、新たな応用が開発され、また、新たな方法、例えば多変量補正が実行される。したがって、分光学的方法の産業応答は数で増加しており、これらの方法の融通性およびスピードの利点を利用している。
【0006】
FT分光学の増加する応用においては、近代の製造技術およびコンピュータが不可欠である。かかる機器の機械的および電子的設計ならびに構造は複雑であって、非常に精密な、および外国産の材料を必要とするからである。コンピュータは、「アブストラクト」干渉情報から、分光技師が彼らの分析の基礎とする「実体」スペクトル情報へのコンピュータを使用する集中変換を行うためにも必要である。スペクトル情報の完全な利点を利用するためには、必要なしばしば複雑な多変量補正を当てはめるためにコンピュータに頼ることも必要である。
【0007】
干渉技術の多くの固有の特性は、それを機器の標準化に好適なものとしている。例えば、マイケルソン干渉計においては、波長は一般的に公知で安定な波長で操作する単一レーザー(例えば、HeNeレーザー)によって定義される。高い精度でもってレーザーの特性を決定することが可能であるため、干渉計の波長情報は非常に正確かつ安定である。もう1の態様、単一ディテクタは、比較的単純かつ安定した強度の標準化を許容し、したがってFTベースの分光光度計の出力を比較的簡単に標準化することを許容する。標準化によってとは、1の機器で得られた情報をもう1の機器で得られた情報と相関させることが可能であることを意味する。したがって、スペクトルはロケーション/機器間で簡単に移動するが、等しく興味深いことは、これが1の機器に対して予想モデルを開発し、ついでもう1の機器からの結果に当てはめることを許容することである。この特徴は、通常、標準化の移動という。分光学的機器の標準化の方法の記載は、Y. Wang、D.J. VeltkampおよびB.R. Kowalski (“Multivariate Instrument Standardization” Anal. Chem., 63(23), pp 2750-2756, 1991)ならびにT.B. Blank、S.T. Sum、S.D. BrownおよびS.L. Monfre ("Transfer of Near-Infrared Multivariate Calibrations without Standards", Anal. Chem., 68(17), 2987-2995, 1996)によって与えられる。
【0008】
標準化の移動は明らかに興味深い。なぜなら、関心のある化合物の正確な公知の参照値を有する参照試料を入手するのが困難な場合があり、また高価であるためである。したがって、正確な参照値を得ることおよび/または多数の試料を含めることによって単一の校正を作成することに大きな労力を注入することが可能であり、したがって較正モデルに幾つかの干渉高価の変数を含めることが可能である。ついで、この校正を性能をほとんどまたは全く損失することなく他の機器に移すことができる。機器製作者の利点は明らかである。新たな機器は、製造後直ちに入手可能ないずれかの特徴を測定する準備ができており、新たな校正を開発した場合は、これらを情報の交換を通して存在する機器に分配し得るからである。
【0009】
FT分光光度計を含む幾つかの分光学的技術の1の一般的な欠点は、比較的高いレベルの機械上の複雑さおよび物理的サイズである。これらの特徴は分光学における干渉計の本願に固有のものである。高いスペック採る分解能に対する要望は大きな物理学的寸法を生じ、したがって機器のサイズを決めてしまう。このことは一般的に問題でない。干渉計の大部分の適用が"デスクトップの適用"、通常は研究室内においてであるからである。したがって、敵対的な産業環境における設置に適した、より安全な機器に対する産業の要望は、容易に行う。
【0010】
大きな理論的利点である、マイケルソン干渉計および幾つか他の干渉分光技術の1の特徴は、すべてのスペクトル要素からの情報が同時に測定され、各エレメントの相対的重みがインターフェログラムにおける各ポイントにおいて異なることである。したがって、インターフェログラムにおける情報の各ポイント(データ・ポイント)はすべてのスペクトル要素についての情報を含むが、組合せにおいては、インターフェログラム(単一サイドのインターフェログラムを仮定すると)における他のデータ・ポイントに対して与えられたデータはユニークである。したがって、幾つかのデータ・ポイントを測定することによって、スペクトルデータについての情報を導き出すことが可能となる。用語「データ・ポイント」の導入は、それが、測定するが、別々のエレメントのみ測定する、全体のインターフェログラムではないことを示唆しており、したがって、ついでスペクトル情報が連続するスペクトル情報(すなわち、全てのスペクトルデータ)よりも別々のスペクトルデータ・ポイントまたはスペクトル要素にも関することが明らかになる。要するに、干渉計によって得られた、与えられたスペクトルデータ・ポイントにおける情報は、インターフェログラムのすべてのデータ・ポイントからの重きを置いた情報に基づく。
【0011】
伝統的に、試料の化学的または物理学的特性の評価は、1、2またはほとんどない別々の波長(または複数の波長)からの情報(例えば、ある波長における吸収/透過性または発光)に基づいている。これは、部分的に一変量の相関を解釈する固有の単純さに起因し、部分的に複雑な手動計算を行うことの困難さに起因する。パーソナルコンピュータの入手可能性にともなってより一般的になっている評価への多変量較正法を応用すれば、より複雑な問題、例えばスペクトル干渉、重複するスペクトル特徴、非線形または同時相関、の評価を行うことがより一般的になる。
【0012】
これらのむしろ複雑な評価は、多変量較正、例えば幾つかのもののみ挙げるがMLR、PLS、PCA/PCR、ANNの使用で可能になる。一般的に、これらの方法は、複数のスペクトル要素からの情報を、スペクトル情報中の複雑な共分散または効果を決定および/または較正するために複数のスペクトル要素からの情報を用いることに基づいている。理想的には、必要なスペクトルデータ・ポイントの数は、実質的に、測定中に存在する変数または効果の供給源の数以上である。より大きい数のスペクトル要素を使用するのが有利な場合があり、複雑な干渉が存在する単一の化学的または物理学的特性の評価に100または1000以上ものスペクトル要素を使用する場合がある。スペクトルデータ・ポイントの選択した数は、モデルを定義するのに使用した機器、アプリケーションおよび技術に大きく依存する。
【0013】
分光学におけるこれらの較正技術の適用は、理論分光学にその基礎を有する。重複する特徴をスペクトル的に分解するために、および、一般的に吸収の最大値において記録されるより安定な読みの利点を得るために、使用した機器のスペクトル分割特性は大きな関心のものであり、一般的には、スペクトル分割のある種のより低い下限が異なるアプリケーションに加えられている。スペクトル分割の分野においては、サンプリング頻度は関心のある最高周波数のサイクル当たり少なくとも2のデータ・ポイントを捕捉するのに十分に高いものでなければならないことを仮定する「ナイキストのサンプリング安定判別(Nyquist sampling criterion)」に重きを置く(スペクトル分割の文章においては、周波数は、スペクトル特徴の形状、例えば吸収または放出の上昇における幅および/または急勾配に関する)。分光学において、このことは、関心のある最短の点の間のスペクトル距離(例えば、最も狭いピークまたは関心の幅または半値幅)が少なくとも2のデータ・ポイントによってカバーされるように測定することの必要性と解釈し得る。
【0014】
マイケルソン干渉計においては、スペクトル周波数のデータ・ポイント間の距離は等式:
Δν=Δmax−1
[式中、Δνは2のスペクトルデータ・ポイント間の最小差を示し、Δmaxは2のビームの移動距離の最大差を示す]
によって2のビームの距離における最大の差に依存する。FT−IR分光学においては、スペクトル情報は一般的に1/cmまたはcm−1の単位で表される周波数に対して表され、これは波数(ν)と呼ばれるが、他の学問分野では異なる表記法を用いる場合がある。中−および近−赤外分析においては、小さいスペクトル特徴は一般的に固体および/液体試料においては約20cm−1まで、および気体試料においては10cm−1未満まで落ちたくらいの幅を有し、0.5cmないし5cmの距離の最大差を有する干渉計が普通である。ミラーのうちの1が運動するマイケルソン干渉計においては、この距離は運動するミラーまたはリターデーションの線形の並行移動の2倍である。
【0015】
フーリエ変換分光学のような分光学的方法のもう1の態様は、スペクトル分解に加えて、電磁気放射の減衰または放出のような縦座標情報の決定における精度である。スペクトル分解(またはより一般的には横座標情報の分解)に関する上記のディスカッションに基づき、収集したインターフェログラムの最小サイズ(例えば、マイケルソン干渉計における運動可能なミラーの運動に関して)を決定する。フーリエ変換は、いずれかの与えられた機器について縦座標情報の精度を改善または最適化するためには、インターフェログラム中有の縦座標情報の精度を改善することが必要であることを意味している。機械的および/または電子的な最適化の以外には、測定時間のエレメントはかかる最適化に明らかな方法を提供する。一般的に、現在の文脈における測定時間の概念は、通常干渉計のスイープを多数回繰り返すことによって得られる、多数の個々のデータ・ポイントの平均を採ることに関する。米国特許第5,771,096号は、例えば、インターフェログラムの異なる領域を異なる回数測定し、したがってインターフェログラムの中心のまたは中心に近いインターフェログラムの領域から比較的より正確な情報を得、ついでこれとより長いリターデーションのインターフェログラムとを結合してフーリエ変換を用いる十分なスペクトル分解を有するスペクトルを生成することによる、測定回数のさらなる最適化を教示している。
【0016】
化学成分の定性的および/または定量的分析のような化学的または物理的特性の評価は、分光学的データ(1またはそれを超える周波帯またはスペクトル要素)を使用して行う。したがって、横座標および縦座標情報に関する上記した考慮は、その文脈において適切であり、かかる評価はこれらの要件を充足するスペクトル情報を用いて行う。
【0017】
干渉計データを用いる1の異なるアプローチがSmallおよびArnold (米国特許第5,49,317号および第6,061,582号)によって提唱され、そこではセンターバーストを含まないインターフェログラムのセクションを用いて、バックグラウンドシグナルと比較してバンド幅において小さいスペクトル特徴を抽出する。方法の効果は、ハイパス濾過と同等である。
【0018】
当該技術分野の幾つかの状態において、評価の方法は、実質的にすべての入手可能なスペクトルデータ・ポイントが含まれる一方で制限された数のスペクトルデータのみしか使用されないスペクトル情報に基づく。インターフェログラム中の各データ・ポイントが、インターフェログラムから構築したすべてのスペクトル要素および各スペクトル要素についての情報を表し、インターフェログラムの各データ・ポイントからの重きを置いた情報を含む(フーリエ変換の特性)という事実は、比較的少ないまたは実質的に全ての入手可能なスペクトル要素を使用するかに関わらず、すべてのインターフェログラムデータ・ポイントからの重きを置いた情報が含まれることを意味している。
【0019】
理論上は、インターフェログラムに基づいて構築したスペクトル情報のような情報の質は、平均の分散の一般的特性に類似して、観察(すなわち、データ・ポイント)の数を増加することによって改善する。インターフェログラムデータ・ポイント中の情報がスペクトル要素についての純粋な情報であり、ある程度のランダムな誤差と仮定すると、インターフェログラムデータ・ポイントに基づいて構築したスペクトルデータ・ポイントの情報品質は、スペクトル情報と同様により多いデータ・ポイントを含むこと(すなわち、分割)によって改善することを想定できる。この文脈において、「情報品質」とは、一般的に評価の性能に関連する強度と関連する正確さおよび/または精度のごとき特性をいう。一方、観察したインターフェログラムはスペクトル情報と並んで、幾つかを挙げると温度、時間依存性の電気ノイズのような情報の他の源によって影響され得、これらの条件下ではすべての情報を含むことは、評価の品質に対して破壊的な情報を有し得る。
【0020】
干渉計の技術分野の現在の状態の応用においては、評価に使用する機器およびモデルの性能を潜在的に制限する因子に対して考慮が与えられる。使用する機械的および電気的コンポーネントは過去数十年の間に顕著に改善されており、機器の性能もそれから恩恵を受けている。
【0021】
干渉計の技術分野の多くの状態で使用されている1の技術分野は、ピエゾ−エレクトリック・アクチュエータの分野である。それは、迅速かつ正確な運動に起因して、光学コンポーネントの動的整列を提供する機器における応用を見出し(Varian Inc., USA)、短い距離(通常、約1μm)にわたるピエゾエレクトリック・アクチュエータを成し遂げた。さらに、ピエゾ−エレクトリック・アクチュエータは可視像分光学(Yang Jiaoら, Optics Express, 11, 1961-1965, 2003)および高分解能天文イメージング逐次操作干渉計(Frederic Grandmont, Laurent DrissenおよびGilles Jancas, Proc. SPIE, 4842, 392-401, 2003)において使用されている。
【0022】
発明の概要
本発明は、試料の化学的および/または物理学的特性に対する干渉情報の相関に対する別のストラテジーを提供する。このストラテジーは、干渉分光学に基づく技術分野の状態を超える実質的な技術的および商業的利点を与える、方法およびシステムにおいて実行し得る。
【0023】
当該技術分野で現在使用している方法およびシステムの実質的な単純化でもって、さらには当該技術分野のシステムを用いた当該技術分野の方法に従って行う評価と比べて評価の統計学的品質を実質的に低下することなく、試料または試料物質の化学的および/または物理学的特性の評価を行うことが可能であることを見出した。実際、本発明の幾つかの形態は、現在の方法と比べて実質的な利点を与え、本発明の幾つかの好ましい形態は、当該技術分野の方法およびシステムを用いて現在まで実行できなかった評価を行うことを可能とした。
【0024】
本発明は、インターフェログラムからのわずかなデータ・ポイントのみにおける情報、または他の干渉情報が、当該技術分野の方法およびシステムに従って評価を行う性能に匹敵する性能を有する性能で評価を行うことができる。例えばフーリエ変換によって、インターフェログラム中の少ない数のデータ・ポイントに基づいて構築したスペクトル情報はひどくひずむことが幾つかの形態において判明したが、驚くべきことには、この情報は容認し得る統計学的品質の評価を行うのに良好に適していることが判明した。
【0025】
本願に基づく方法およびシステムは、当該技術分野の方法およびシステムと比較して実質的利点を提供することが見出され、したがってかかる方法および/またはシステムの応用における商業的な潜在性を有する。
【0026】
本発明の1の態様は、試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性を評価する方法およびシステムに関し、ここに評価は干渉計またはそれから導かれる情報に基づく。本発明に係る方法およびシステムにより、単純化され、頑丈な測定を許容する。したがって、1の形態において、本発明は、試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性の評価用の方法に関し、当該方法は、
変調手段を確立し、該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は固体状態アクチュエータを用いて該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を通して得、
試料から放射され、試料と相互作用したおよび/または試料に放射され光を干渉計変調し、
NIRおよび/またはIRスペクトル領域の変調した光または該変調した光から派生した特性を、少なくとも1のディテクタで検出し、
得られた情報を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む。
【0027】
対応して、本発明は、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムに関し、当該システムは、
変調手段、該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は固体状態アクチュエータを用いて該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を通して得、該干渉計は試料から放射され、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を変調することができ、
NIRおよび/またはIRスペクトル領域の変調した光または該変調した光から派生した特性を検出することができる、少なくとも1のディテクタ、
得られた情報を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段を含む。
【0028】
もう1の形態において、本発明は、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するための方法およびシステムに関し、当該方法およびシステムは、
変調手段を確立し、ここに該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を介して得られ、該光学コンポーネントは10ないし2,000μmのごとき10ないし10,000μmの最大光路差を形成することができる走査長を有し、
試料から放射され、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を変調する干渉計、
少なくとも1,000nmの波長を有する変調した光または該変調した光から導かれた特性を少なくとも1のディテクタ上で検出する
ことを含む。
【0029】
本発明は、変調した光シグナルについての情報が得られた場合は外部参照または外部シグナルを用いることなく、インターフェログラムまたはそれに由来する情報を得ることができる方法およびシステムを設計するのに特に好適である。したがって、いまだもう1の形態において、本発明は、試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性を評価するための方法に関し、当該方法は、
変調手段を確立し、ここに該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を介して得られ、
試料から放射され、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を干渉計変調し、
変調した光または該変調した光に由来する特性を少なくとも1のディテクタ上で検出し、ここに変調した光シグナルについての情報の獲得は外部情報または外部シグナルに参照することなく行い、
光路長に検出した光についての情報を相関させてインターフェログラムを得、
得られたインターフェログラム、および/または検出した光および光路長についての情報を、少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む。
【0030】
さらに、本発明は、少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するためのシステムに関し、当該システムは
変調手段、該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を通して得、該干渉計は試料から放射され、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を変調することができ、ここに変調した光シグナルについての情報の獲得を、外部情報または外部シグナルに参照することなく行い、
検出した光についての情報を光路長に相関させてインターフェログラムを得る手段、および
得られたインターフェログラム、および/または検出した光および光路長についての情報を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段
を含む。
【0031】
本発明は、単一のスペクトル成分についての干渉ローディング(interference loading)を決定または推定することによって試料の化学的または物理学的特性を評価する単純化された方法を許容する。したがって、1の態様において、本発明は、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価する方法に関し、当該方法は、
a)試料と相互作用した光の検出した変調を表すインターフェログラムを得、ここにインターフェログラムの情報は光路差に相関させることができ、
b)単一のスペクトル成分または光路差に対する該相関に対応する単一のスペクトル特徴についての干渉ローディングを、およびインターフェログラムを形成した条件と実質的に同様の条件下で測定または概算し、
c)所望により、工程b)を所定の回数繰り返し、
d)該インターフェログラム中の干渉ローディングのスコアを測定し、ついで
e)該スコアを、少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む。
【0032】
対応して、本発明は、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムに関し、当該システムは
a)試料と相互作用した光の検出した変調を表すインターフェログラムを得る手段、ここにインターフェログラム中の情報は光路差に相関させることができ、
b)単一のスペクトル成分または光路差に対する該相関に対応する単一のスペクトル特徴についての干渉ローディングを、およびインターフェログラムを形成した条件と実質的に同様の条件下で測定または概算する少なくとも1のディテクタ、
c)所望により、工程b)を所定の回数繰り返す手段、
d)該インターフェログラム中の干渉ローディングのスコアを測定する手段、および
e)該スコアを少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段を含む。
【0033】
本発明は、また、試料の化学的または物理学的特性を評価する装置を標準化する単純化された方法も提供する。したがって、本発明は、干渉計を標準化する方法に関し、当該方法は
a.該干渉計において少なくとも1の標準化試料からの少なくとも1のインターフェログラムを創製し、
b.該標準試料または少なくとも1の標準特徴についての標準インターフェログラムを得、
c.該標準インターフェログラムを、工程a)で得た該少なくとも1のインターフェログラムに相関し、ついで
d.工程c)で得た相関情報に基づいて干渉計を標準化する
ことを含む。
【0034】
さらに、本発明は、本発明により標準化した方法およびシステムに関する。したがって、本発明は、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価する方法に関し、該方法は
前記したように標準化した干渉計を確立し、
試料から少なくとも1のインターフェログラムを得、
干渉計の標準化から得た標準化パラメータに基づいてインターフェログラムを標準化し、ついで
標準化したインターフェログラムまたは該インターフェログラムから導かれた情報を、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む。
【0035】
対応して、本発明は、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムに関し、当該システムは
前記したように標準化した干渉計、
試料から少なくとも1のインターフェログラムを得る手段、
干渉計の標準化から得た標準化パラメータに基づいてインターフェログラムを標準化する手段、および
標準化したインターフェログラムまたは該インターフェログラムから導かれた情報を、試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段
を含む。
【0036】
分光データに基づいて特性(例えば、化学的および/または物理学的特性)を評価する一変量法または多変量法の目的が、スペクトル情報から関心のある情報を導き得るモデルを構築することである(例えば、較正モデル)。一変量系(例えば、関心のある特性に応答性のシグナルを得ることが可能な、いずれの干渉も存在しない系および/または試料)の場合は一般的に単一のスペクトル情報を使用することが十分であるが、より総合的な多変量法は複数のスペクトル成分および/またはスペクトル特徴からの情報を必要とする。
【0037】
化学的および/または物理学的特性を評価するモデルを創製する場合、好ましくは問題の特性および/または問題の特性に影響するいずれか他の特性に相関する、多数の変数の独立した源を反映する情報にアクセスすることが非常に好ましく、通常必要である。一般的には、nの独立した特性を有する系を考慮する場合、情報の源が独立した変数および/またはランダム変数(例えば、ノイズ)を反映する程度に依存して、少なくともnのおよび一般的にはnを超える情報の源にアクセスすることが必要である。したがって、分光学を考慮する場合、一般的には、かかる独立した変数を反映する多数の好適なスペクトル成分または周波帯を見つけ出す。
【0038】
化学的または物理学的特性を評価する干渉情報の使用の最適化の本発明の1の好ましい方法は、最初に、好ましくは干渉情報(例えば、放射または励起/吸収)からスペクトル情報を構築し、ついで多変量較正法をスペクトル情報にあてはめることであり、ここにこれらの方法の結果を用いて異なるスペクトル成分に重要または有効を割り当てる。第2に、重要または有効情報を使用して、評価する特性に相関する情報を表す、スペクトル成分またはスペクトル特徴を同定することである。第3に、好ましくは繰り返した測定、干渉計の繰り返した標準化、異なる干渉系、異なる試料条件、または一般に干渉情報の測定に影響し得るいずれかの因子を考慮しながら、同定したスペクトル成分またはスペクトル特徴と干渉データとの間の好ましい相関を決定することである。第4に、好ましい相関を用いて試料のスペクトル特性を概算すること、好ましくは同一もしくは異なる試料または試料の測定を用いて上記の工程を繰り返して化学的または物理学的パラメータの評価に好適なモデルに最終的に到達することである。かかる手順により創製したモデルは、使用する試料または機器の条件に関する固有の安定性によって特徴付けられる。かかるモデルの1の好ましい特性は、全体的な干渉情報を評価に使用するのではなく、好ましい特性を示す部分または領域のみを使用することである。本発明の他の等しく好ましい形態は、スペクトル情報へのいずれの変換もなしに、モデル中の干渉情報の直接包含に基づき、好ましい形態はスペクトル情報および干渉情報の両方を含み得る。
【0039】
いずれかの電磁気スペクトルは、無数のスペクトル成分からなる。したがって、スペクトル中の成分の数は無制限であるが、スペクトル特徴、例えば、電磁気放射の減衰および/または放出が分解において有限であると考え得る程度までであり、かかる情報は好適な数のスペクトル成分の収集によって表すことができ、ここに好適な数のスペクトル成分は好ましくは内挿法を介したスペクトル特徴の実質的に正確な再現を許容する。
【0040】
分光学に基づく評価の方法の現在の技術水準によれば、出くわすスペクトル特徴の表示に関する分解能の要件が一般的に適用される。反対に、驚くべきことには、(フーリエ変換のような分光学的技術の技術水準の方法に付した場合に)スペクトル特徴の表示の分解能を低下する条件をインターフェロメトリーベースの分光学に使用すると、化学的および/または物理学的特性の幾つかの評価の満足のいく統計学的品質を有する結果が得られることを見出した。本発明の最も好ましい形態の幾つかは、干渉/FT分光学の伝統的な適用がひどくゆがんだスペクトル情報とする条件下で評価を行うことを許容する。
【0041】
フーリエ変換分光学のようなインターフェロメトリーベースの分光学の適用に関連して、例えば、本発明による満足のゆく評価に必要な、マイケルソン干渉計の運動可能なミラーの運動距離は、スペクトル分解のための一般的要件で調べた系のスペクトル表示を生成するのに必要とされる距離よりも実質的に小さいことを見出した。さらに、本発明の多くの好ましい形態において、収集した干渉情報の部分または複数の部分のみからの情報を選択的に使用することによって、満足のゆく結果を得ることができることを見出した。
【0042】
一般的に、干渉データは単純な関数または波形の合計と見ることができる。マイケルソン干渉計については、インターフェログラムは
【0043】
【数1】

【0044】
と表し得る。式中、I(δ)は(2のビーム間の光路差に関する)リターデーションδにおける強度であり、B(ν)はスペクトル成分または波数νにおけるシグナルの強度(例えば、スペクトル)であり、いずれもディテクタによって見たものである(例えば、種々の光学コンポーネントのスペクトル応答によって修飾したスペクトル)。
【0045】
したがって、観察されたインターフェログラムは、リターデーションの余弦関数の合計とみることができ、リターデーションは2のミラー間の距離が等しいポジションにおいてゼロであると定義される(例えば、センターバースト)。したがって、各スペクトル成分(例えば、単一周波数)は余弦関数としてインターフェログラムに寄与し、B(ν)を決定することにおいては、フーリエ変換はインターフェログラム中の対応する余弦関数の強度の概算を与える。したがって、インターフェログラムから導き得るスペクトル成分の数を、収集したインターフェログラム成分の数に何らかの方法で、例えば等式の未知の数を解くことを試みる際にある数の公知の実体を有する必要に関して、関連付けることは結論に到達するのに単純である。
【0046】
それにもかかわらず、驚くべきことには、本発明に係る方法およびシステムは、実質的に少ない干渉計エレメントを使用し、および/または、実質的により少ないインターフェログラムのレンジを使用している(マイケルソン干渉計などを仮定するミラーの最大運動に対応する)にもかかわらず、化学的および/または物理学的特性の評価において匹敵するおよびしばしば優れた性能を示すことが見出され、それは、多くの場合において、異なるスペクトル成分の中で比較的高い程度の共線性に関係付けられる。
【0047】
異なるスペクトル成分を表すいずれか2の異なる余弦関数は、数字解析の教練で定義されるように互いに「直交」であり、十分なレンジのδ(理想的には無限小)を仮定する。また、それは、直交関数(例えば、一次結合)の2の異なる組合せが直交することに従う。干渉データ上の、余弦関数のような、波動関数の「スコア」は、測定したデータ中のその関数の寄与の測定である。したがって、このスコアはかかる関数の強度に関係しており、それが単一余弦関数である場合、それは対応するスペクトル波長の放射または透過に相関し、またはそれが波動関数の組合せ、例えばスペクトル特徴の表示、である場合、それは、エネルギーの放射または吸収に対応する化合物の量と同様にして、かかる組合せに関連する特性に対応する。
【0048】
化学的および/または物理学的成分の典型的な評価を考える場合、それは、典型的には、限定および/または有限な範囲の変数、例えばスペクトル変数、に広がる条件下で行い、通常、かかる変数の範囲は多変量モデルの展開に含まれるであろう。かかる条件下では、互いに近いことが判明したいずれか2のスペクトル成分の重みは、緊密に相関するであろう(例えば、周波数νおよびν+Δにおける減衰または放射、ここにΔは減衰または放射スペクトル特徴の幅に対して小さい)。したがって、周波数νおよびν+Δにおける波動関数の強度は、非常に相関しているとみなすことができる。かかる条件下の多変量モデルの展開において、当業者であれば、タスクが、個々のスペクトル成分を単離することよりも、関心のあるパラメータに相関するインターフェログラム中の根源的な構造を同定することのうちの1となることが自明であり、かかる構造は、例えば、部分的または全体的な減衰または放射スペクトル特徴の効果(例えば、吸収帯)とし得る。
【0049】
データセットのランクは、「感知し得る」データを広げるまたは表すのに必要である直交ベクトル(例えば、固有ベクトル)の数と定義する。理想的には、ランクを超える、変化する組成の試料のスペクトルの数のような、データセットにおけるいずれの次元も、ノイズまたはランダム挙動を表す。例えば、他のスペクトル成分の強度にかかわらずいずれかの強度で出現する4のみのスペクトル成分からなるスペクトル系を考える場合、このスペクトル系から収集されるインターフェログラムの収集のランクは、(4よりも大きな)測定した試料の数に関わりなくランク4を有するであろう。理想的には、いくつのデータ・ポイントが収集されたかに関わらず、インターフェログラムは4の余弦関数の基本的なセットに分解することができ、余弦関数の各セットは1またはそれを超える余弦関数の重み付き線形結合(weighted linear combination)である。系にさらなるスペクトル成分が存在するが、これらのスペクトル成分が4の最初の成分のいずれかに相関している場合、例えば、最初のスペクトル成分のうちの1が強度において変化した場合、これはさらなるスペクトル成分の強度における所与の変化を意味し、その場合、系のランクはなお4のみである。インターフェログラムはもちろん異なるが、変数の4の分離したソースがなお構築されたにすぎないからである。理想的には、存在する波動関数の観察と結合との間のふれは、ランダムノイズと考えることができる。「残余の」情報がランダムノイズのみならず、幾つかの系統的変分(systematic variation)からなる場合、データセットのランクは4よりも大きい。
【0050】
本発明の多くの好ましい形態において、インターフェログラムデータのサイズ(例えば、データ・ポイントの数)は、スペクトル系のランクと実質的に同じサイズのものである。
【0051】
フーリエ変換分光学においては、例えばマイケルソン干渉計から収集したデータにあてはめる場合、2の測定間の運動可能なミラー(または複数のミラー)の位置におけるインターフェログラムまたは距離の分解能は、導かれたスペクトルの周波数領域を決め、インターフェログラム中の隣接する点の間の距離が短いほど、より高い最大スペクトル周波数が導かれるスペクトルに表される。したがって、測定間の距離が関心のあるスペクトルレンジによって決まる必要限界を超えて減少する場合は、導かれるスペクトルに実質的に改善は観察されない。本発明の多くの形態は、収集したインターフェログラムからの、波動関数情報というよりも、潜在構造の抽出と見ることができるため、収集したインターフェログラムの分解能を増大することによって、化学的および/または物理学的特性の評価における顕著な改善が観察される場合がある。特に、これは、サンプリングの労力の最適化を許容する。データおよび運動の両方のサンプリングは、場合によっては他方に対する実質的な考慮なしに、一般的に最適条件下で行い得るからである。
【0052】
収集した干渉情報の品質は、振幅情報の決定の品質に依存する場合がある。一般的に、振幅情報は、例えばアナログ/デジタル・コンバータ(ADC)を用いることによって、検出したシグナルを表すかまたはそれに相関する電気シグナルをデジタル化することによって得る。振幅情報の好ましい測定はすべての意味のある振幅情報を反映するため、それは、ある種の分解能をADCにあてはめなければならないことを意味している。十分な分解能を有する干渉情報を表すためには、一般的に、可変振幅を用いて電気シグナルを増幅することが好ましい(例えば、ゲイン−レンジング)。もう1の好ましい形態は、1を超えるADCを使用することであり、好ましくは各ADCによって測定したシグナルが異なって増幅される場合である。かかる構成の1の好ましい形態は、低増幅からのデジタル化した結果を使用して異なるシグナルを構築し、ついでこれをさらに増幅およびデジタル化し、ならびに、低増幅を有するシグナルおよびより高い増幅を有する差シグナルの組合せを用いて干渉情報を構築する場合である。これらの形態の多くは、使用するADCの分解能が比較的低い場合、例えば、8、12、16または20ビットの場合に好ましい。
【0053】
干渉データの収集においては、正確なスペクトル情報を得るためには、実質的精度ならびに精密さがリターデーションに要求される。その目的のために、干渉計は、一般的にレーザーのような正確に知られた特性のシグナル生成を備えており、このシグナルの変調を使用してリターデーションを正確に決定する。レーザーのような単色源の変調したシグナルは、マイケルソン干渉計で変調した場合単一の波動関数を発生する。このシグナルをモニターすることによって、リターデーションを精密かつ正確に決定することができ、ついでこれを用いてデータの収集を制御する。本発明の幾つかの形態において同様の方法を用いるが、好ましくはソースはレーザーダイオードのように厳密に単色でなく、またはより好ましくは発光ダイオードを用いる。
【0054】
幾つかの好ましい形態において、かかるさらなるシグナル発生器でさえ使用しない。これらの形態の幾つかにおいては、収集した干渉データの正確さは、干渉の再現可能な生成、例えばマイケルソン干渉計中のミラーの運動、を通して確実にし、一方で、好ましくは評価する系の物理学的および/または化学的条件がかなり安定である場合の形態においては、試料または系の収集した干渉データの形状を用いて干渉データの再現性の収集を確実にする。また、本発明の幾つかの好ましい形態は、正確かる精度のよいリターデーションを表すインターフェログラムを生成するために、収集したデータの予め定めたおよび/または適応性の変換および/または標準化を使用する。
【0055】
上記したことから、フーリエ変換分光学のような干渉分光学の現在の技術水準の方法によれば、スペクトル成分を分解する能力に関して決定下にある干渉情報に基づくスペクトル情報の測定(例えば、マイケルソン干渉計中のミラーの短い運動)は、スペクトル情報が実質的にゆがむ程度まで激しく被る。それにもかかわらず、驚くべきことには、本発明の多くの好ましい方法によれば、好ましくは、インターフェログラムまたはインターフェログラムの部分のみでさえのような、データのベクトル(または複数のベクトル)からの潜在的な変数の抽出に基づく方法(例えば、PCRまたはPLSにおけるローディング)を用いて、スペクトル情報を完全または部分的に構築することが可能であることを見出した。
【0056】
本発明の1の単純かつしばしば好ましい方法は、インターフェログラムから直接的に余弦波動関数を抽出することであり、好ましくはインターフェログラムを高分解能で収集し、一方他の方法においては、より複雑な性質の波動関数を使用し、好ましくはかかる波動関数は、例えば複雑な波動関数が組合せ、しばしば余弦関数の線形結合である場合には、実質的に互いに対して直交である。その方法は、原則としてインターフェログラムの分解能および/またはサイズに関するいずれの制限なしに、いずれの波動関数の強度の概算(例えば、PCAまたはPLSにおけるスコア)を許容する。かかる方法を用いる直交する理想からの偏りは、一般的に安定または変動する周波数の「ノイズ」を振動するとして見えるが、これらは濾過またはアポジデーションのような数に関する方法を用いて簡単に除去または抑制することができる。
【0057】
波動関数、例えば余弦関数のスコアをスペクトル特性に相関する方法は、多くの好ましい形態において使用し、実質的に観察された干渉の全体スペクトルレンジを概算する場合が含まれるが、好ましくは、好ましくは可変スペクトル分解能を用いて、スペクトルレンジの1またはそれを超える部分のみを概算する場合であり、分解能をスペクトル情報の局所コヒーレンスに基づいて決定する場合、例えば異なる波動関数の周波数を、実質的に等しく分布しているよりも調べている途中のスペクトル系の特性によって決定する場合である。
【0058】
本発明の多くの好ましい方法は、試料の「真の」スペクトル特徴が1またはそれを超える潜在変数(例えば、ローディング)によって表される方法を用い、干渉ローディングによって得たスコアに基づいてスペクトルローディングのスコアを構築することによって、それは、個々のスペクトル周波数よりも、全体としてスペクトル特徴の実質的に正確な再構成を許容する。さらに、これらの方法は、技術水準の条件下で一般的に使用されるものと同様の最大リターデーションを用いて収集したインターフェログラムに首尾よくあてはめて、フーリエ変換を介して可能なものを超えるスペクトル成分の明らかな表示をなおさらに高めることができる。
【0059】
異なる機器、または異なる条件下で作業する機器からのデータと一緒に使用した場合の予測モデルの性能は、一般的に標準化の際に改善される(Wangら)。これは、予測モデルを所定の条件下の1の機器上で開発することを許容し、つづいて他の機器からのデータまたは異なる条件下で得たデータに当てはめることを許容する。標準化の方法は、一般的に、1の機器/条件から他のものへの縦座標および/または横座標スペクトル表示における差異を除去し、補正しまたは抑制する目的を有する。
【0060】
機器の標準化は、機器のスペクトル出力に対して行い(米国特許第5,459,677号および第5,933,792号を参照されたい)、波長または周波数情報のシフトおよび/または強度の調整を許容する。本発明の幾つかの好ましい方法は、好ましくは所定のおよび/または公知の条件の試料および/または系を測定することによる、またはより好ましくは収集した干渉データの所定のおよび/または観察された特性に関係付けることによる、干渉データの変換としての標準化の方法を用いる。かかる標準化したインターフェログラムから導いたいずれのスペクトル情報も、「真の」または標準化したスペクトルデータを反映するであろう。
【0061】
リターデーションまたは光路差の標準化はスペクトル周波数の安定性を保証するが、スペクトル強度はさらなる処理を必要とし得る。したがって、標準化を2の工程で行うことが好ましく、そのうちの1の工程は周波数に焦点をあて、もう1の工程は強度に焦点をあてる。両方の工程はインターフェログラムデータまたはスペクトルデータのいずれかで行うことができるが、一般的に、周波数標準化をインターフェログラムに対して行い、強度標準化をスペクトルデータに対して行うことが好ましい。
【0062】
本発明の多くの特徴は同様の技術方法の状態と比較して実質的な利点を提供する方法およびシステムである。一般的に、かかる利点は、単純化された機械構造(例えば、光学エレメントのより短い運動、機械部品の品質に対する低下した要求、干渉モジュールのより小さい寸法、モジュール/機器のより単純な標準化)、改善された感度(例えば、より大きな数字上のアパーチャー、フィルタのスペクトル分離のより小さい度合い)、計算手段の単純化(例えば、より少ない計算電力、コンピュータメモリーに対するより低い要求)、評価のためのより信頼し得るモデル(例えば、モジュール/機器間のモデルのより単純な移行)である。
【0063】
本発明に係る干渉計の組立ての1の好ましい方法は、「固体干渉計」の使用であり、本明細書の文脈における固体なる用語は、干渉計の異なるコンポーネントが互いに対して剛直な配置で存在する構造を意味し、ここに好ましくは「剛直」とは干渉計のいずれかの部分の運動の周波数範囲における運動に対する大きな抵抗と定義される。固体干渉計の1の好ましい構造は、干渉計の部分の運動を1または幾つかのピエゾ、サーマルまたはエレクトロスタティック・アクチュエータ(または複数のアクチュエータ)を使用して行う場合のものである。1の好ましい形態は、1以上の光学コンポーネントが、集積回路(IC)の集積した部分またはマイクロマシーニング(MEMS)の方法を用いて製造したモジュールである場合のものである。
【0064】
本発明の好ましい形態はマイケルソン干渉計に関し、ここに両方のミラーは実質的に同時に運動し、したがって単一の運動ミラーと比較して二重のリターデーションまたは光路差が得られる。これは、ミラーの運動が「剛直な」または、例えばピエゾ、サーマルまたはエレクトロスタティック・アクチュエータのような固体状態アクチュエータによって引き起こされる場合に特に好ましい形態であり、好ましくは同一の駆動すら制御システムを1を超えるアクチュエータに適用する場合である。個々のアクチュエータ・エレメントが平行運動からの実質的な偏りを置換する場合においては、同様の、または好ましくは実質的に同じ偏りを示す2のかかるアクチュエータ・エレメントは、2のアクチュエータ・エレメントの平行運動からの偏りが実質的に互いを消すように対をなす。
【0065】
これらの特性は機器製造者に明らかな利点を提供し、干渉計のようなスペクトル干渉に基づく評価のためのより単純な機器の組立てを許容する。本発明に基づく機器の使用者に対する利点もまた、当該技術の機器の状態と比較して性能の損失がほとんどまたは全くないかかる機器の改善された適用性(例えば、機械的安定性)により明らかである。
【0066】
発明の説明
本発明の好ましい方法は、種々のスペクトル領域に基づく試料の化学的および/または物理学的特性の評価に関する。さらに、異なるスペクトル領域において、最大光路によって決まるスペクトル分解能は、好ましくは遠−IR領域は例えば4cm−1未満、好ましくは8cm−1未満、より好ましくは16cm−1未満、より好ましくは32cm−1未満、より好ましくは64cm−1未満、より好ましくは96cm−1未満、より好ましくは128cm−1未満、より好ましくは160cm−1未満、より好ましくは192cm−1未満、より好ましくは224cm−1未満、より好ましくは256cm−1未満に制限する。
【0067】
同様にして、中−IRおよび近−IRスペクトル領域を考慮する場合、分解能は通常8cm−1未満、好ましくは16cm−1未満、より好ましくは32cm−1未満、より好ましくは64cm−1未満、より好ましくは96cm−1未満、より好ましくは128cm−1未満、より好ましくは160cm−1未満、より好ましくは192cm−1未満、より好ましくは224cm−1未満、より好ましくは256cm−1未満である。
【0068】
可視光およびUVスペクトル領域を考慮する場合、本発明の形態による好ましい分解能は16cm−1未満、好ましくは32cm−1未満、より好ましくは64cm−1未満、より好ましくは96cm−1未満、より好ましくは128cm−1未満、より好ましくは160cm−1未満、より好ましくは192cm−1未満、より好ましくは224cm−1未満、より好ましくは256cm−1未満である。
【0069】
試料の化学的および/または物理学的特性の評価を行う場合、多くの好ましい形態には少なくとも1の光源の使用が含まれる。評価に用いるスペクトル領域に依存して、少なくとも1の光源は、中−IR領域、近−IR領域、可視光領域、UV領域の光を放出する光源であり、好ましくは、この場合、光源は熱放射光源、発光ダイオードまたはレーザーダイオードであり、好ましくは同様または異なる特性の1を超える光源を含み、好ましくは、この場合、同様の特性を有する光源はより強力な発光が可能であり、好ましくは、この場合、異なる特性を有する光源は本発明の態様のスペクトル範囲を拡大することができる。
【0070】
一般的に、近−および中−IRスペクトル領域における態様を考慮する場合、試料または標本に対する、それを通るまたはそれから放出される光は、1,000nmより長い波長のものであり、好ましくは1,500nmよりも長い、より好ましくは2,000nmよりも長い、より好ましくは2,500nmよりも長いものである。好ましいスペクトル領域を定義するために波長よりも波数を用いれば、多くの形態は、10,000ないし800cm−1、好ましくは5,000ないし900cm−1、より好ましくは3,000ないし1,000cm−1、より好ましくは2,000ないし1,000cm−1の試料または標本に対する、それを通るまたはそれから放出される光を利用し、同様にしばしば好ましいスペクトル領域は、10,000ないし2,000cm−1、好ましくは5,000ないし2,000cm−1、より好ましくは3,000ないし2,000cm−1の波数のものである。
【0071】
非常に好ましい変調手段は、スペクトル情報が、波数または波長の強度が時間または距離ドメインで実質的に表されるように変調される手段であり、好ましくはこの場合の変調は「マイケルソン干渉計」または「ファブリー−ペロー干渉計」のような干渉計の手段による。かかる好ましい変調手段に対するまたはその中の試料の好ましい相対配置は、試料を光源と変調手段との間に置く場合、好ましくは試料を変調手段とディテクタとの間に置く場合である。変調手段が「マイケルソン干渉計」である場合、試料はビームスプリッタとミラーのうちの1との間に置くことが本発明の幾つかの形態のうちで好ましい。
【0072】
本発明の1のしばしば好ましい特徴は、大きな収集角度を与えることの可能性であり、したがって好ましくは変調手段の中に、それを通ってまたはそれを出て行って伝わる光の量を増大する。詳細には、変調手段の収集角度は、5°より大きく、好ましくは10°より大きく、好ましくは15°より大きく、好ましくは20°より大きく、好ましくは30°より大きく、好ましくは45°より大きい。
【0073】
本発明の形態の同様の向上を付与するもう1の特徴は、好ましくは、しばしば好ましくは例えば制限された自己アポディゼーションに起因する、短い最大光路差を用いる、変調手段、例えば干渉計、を通る大きな発散角である。変調手段の光発散(optical divergence)の好ましい角度は、2°を超える、好ましくは4°を超える、好ましくは6°を超える、好ましくは8°を超える、好ましくは10°を超える、好ましくは15°を超える。
【0074】
本発明の1の特に好ましい形態は、干渉計が小さく、例えば干渉計の物理学的寸法の1、好ましくは干渉計の最大物理学的寸法、によって決まる場合のものである。干渉計のサイズは多くの方法の適用を決定し得るからである。好ましくは、本発明による干渉計の物理学的寸法は、30cm未満、好ましくは20cm未満、より好ましくは15cm未満、より好ましくは10cm未満、より好ましくは8cm未満、より好ましくは6cm未満、より好ましくは4cm未満、より好ましくは3cm未満、より好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満である。
【0075】
典型的な干渉計、例えばマイケルソン干渉計は、運動することができ、したがって干渉計の光路差を変化することができるミラーを含む。本発明の多くの形態はかかる運動可能なミラーを有し、この場合、好適な機械的構造を許容するために、ミラーの運動を減少することが好ましい。かかるしばしば好ましい形態においては、干渉計のミラーの走査長は1,000μm未満、好ましくは750μm未満、より好ましくは500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、より好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である。一般的に、変調手段の光学コンポーネントの運動は、干渉計の、または好ましくはインターフェログラムの光路差を決定する。多くの好ましい形態は、2,000μm未満、より好ましくは1,000μm未満、より好ましくは750μm未満、より好ましくは500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、より好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満の干渉計またはインターフェログラムの光路差を有する。
【0076】
通常、シグナルの観察された変調と対応する光路差との間の関係を知る必要がある。本発明によれば、多くの形態は、変調したシグナルの獲得が外部の情報またはシグナルに参照して作成されていることに基づき、好ましくは、この場合、参照情報またはシグナルは干渉計の運動部分の実質的位置を反映し、より好ましくは、この場合、参照シグナルはレーザー、例えばHe−Neレーザーからのものであり、より好ましくは、この場合、参照シグナルはレーザーダイオードからのものであり、より好ましくは、この場合、参照シグナルは発光ダイオード、例えば、少なくともレーザーと比較した場合に広帯域の光源からのものである。かかる形態において、獲得したデータ・ポイントの数は、参照シグナル(例えば、変調したHe−Neレーザーの波特性)の干渉パターンの数に等しく、好ましくは、データ・ポイントの数は干渉パターンの数の2倍以上の場合であり、より好ましくは、データ・ポイントの数は干渉パターンの数の4倍以上の場合であり、より好ましくは、データ・ポイントの数は干渉パターンの数の8倍以上の場合であり、より好ましくは、データ・ポイントの数は干渉パターンの数の16倍以上の場合であり、より好ましくは、データ・ポイントの数は干渉パターンの数の32倍以上の場合であり、より好ましくは、データ・ポイントの数は干渉パターンの数の64倍以上の場合である。このことは、干渉シグナルのより詳細な構造が現れることを許容し、これは多くの形態において非常に好ましい。
【0077】
一方、本発明の多くの非常に好ましい形態はかかる参照シグナルについて外部の源に頼らない。その場合、変調シグナルの獲得は外部情報またはシグナルに参照することなく行うのが好ましく、好ましくは獲得を内部情報またはシグナル、例えば干渉シグナルの同定可能な特徴、に参照して行う場合であり、より好ましくは、単純に光学コンポーネントの再現性の運動に依存して、および/または干渉計の部分を運動する運動手段に対する、デジタル情報、例えば電圧のような制御シグナルに参照して行う場合であり、好ましくは時間または制御シグナルへの参照を好ましくは既知の物質の特性の観察によって既定の間隔で確立または証明する場合である。この目的のために、幾つかの形態は、公知の特性を有する1またはそれを超える物質、例えば参照試料を利用する。
【0078】
これらの形態においては、獲得したデータ・ポイントの数は、既定の参照シグナル、好ましくは、例えばかかる外部参照シグナルを用いて得た干渉データに直接相関させるために、変調した光、の干渉パターンの予想した数と実質的に等しく、好ましくはデータ・ポイントの数は干渉パターンの数の2倍以上である場合であり、より好ましくはデータ・ポイントの数は干渉パターンの数の4倍以上である場合であり、より好ましくはデータ・ポイントの数は干渉パターンの数の8倍以上である場合であり、より好ましくはデータ・ポイントの数は干渉パターンの数の16倍以上である場合であり、より好ましくはデータ・ポイントの数は干渉パターンの数の32倍以上である場合であり、より好ましくはデータ・ポイントの数は干渉パターンの数の64倍以上である場合であり、好ましくは変調したシグナルについての情報を光路差の等間隔を表す内挿法によって構築する場合である。
【0079】
光路差をミラー、好ましくは2のミラー、例えばマイケルソン干渉計のような光学コンポーネントの運動を介して確立する形態において、変調手段に関する本発明の多くの好ましい形態は、両方のミラーがスキャニングの間に運動する変調手段であり、好ましくはミラーのうちの1のみの運動と比較して2のミラーの運動が増大した最大光路差を生じる場合である。
【0080】
多くの形態において好ましい干渉計は、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.75未満、より好ましくは0.5未満、より好ましくは0.3未満、より好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満の反射率を有する部分反射ミラーを含む、ファブリー−ペロー干渉計である。他の形態において、特にスペクトル分解能が制限される場合は、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.75未満、より好ましくは0.5未満、より好ましくは0.3未満、より好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満の反射率を有する2の部分反射ミラーを含むファブリー−ペロー干渉計を使用するのが好ましい。
【0081】
本発明に係る変調手段は、好ましくは干渉計のミラーまたはビームスプリッタのような光学コンポーネントを運動するための「固体」アクチュエータを利用し、「固体」とは好ましくは実質的に線状運動を生成する電気式、磁気式または熱式モーターをいい、好ましくは運動が固体ピエゾ・アクチュエータまたはダイアフラム・アクチュエータのようなピエゾ−エレクトリック・アクチュエータによって引き起こされる場合である。
【0082】
光学コンポーネントの線状運動に加えて、かかるコンポーネントとの回転を同様に使用してシグナルの変調を生成することもできる。光学コンポーネントの回転に基づく1のしばしば好ましい形態は、2のミラーの間の軸上の点のまわりに回転するビームスプリッタの回転であり、干渉計が、分析の間に互いに対して実質的に運動しない2またはそれを超える反射表面を含むが、試料またはシグナルの源に対する反射表面の角度位置は分析の間に変化するファブリー−ペロー干渉計である場合である。
【0083】
変調した光の検出に関しては、異なる形態が、異なる形態が1または幾つかの以下の波長領域;紫外光、可視光、近赤外光、中赤外光、遠赤外光、に感受性のデータを使用させる。その目的のために、以下:ケイ素フォトダイオード、光電子増倍管、DTGS、MCTのようなディテクタを利用することができる。
【0084】
本発明の異なる形態において使用する多くのコンポーネントは、温度、湿度または常圧の空気の組成のような1またはそれを超える環境ファクターまたは特性によって影響を受ける。これらの環境ファクターの幾つかは本発明による標準化または較正を通して補償することができるが、他の形態は完全または部分的な条件を使用し、例えば温度に関して、好ましくは温度の変化が限定される場合、好ましくは温度の変化が±5℃の場合、より好ましくは温度の変化が±2℃の場合、より好ましくは温度の変化が±1℃の場合、より好ましくは温度の変化が±0.5℃の場合、より好ましくは温度の変化が±0.1℃の場合、好ましくは標的の温度が常温よりも高い場合である。同様に湿度に関しては、好ましくは湿度が10%未満の場合であり、より好ましくは湿度が1%未満の場合であり、より好ましくは湿度が0.1%未満の場合であり、より好ましくは湿度が0.01%未満の場合であり、より好ましくは湿度が0.001%未満の場合であり、好ましくは湿度吸収剤の使用者および/または乾燥ガス、好ましくは窒素(N)を外部から供給することによって湿度を調和する場合である。また、二酸化炭素(CO)レベルに関しては、好ましくは二酸化炭素レベルが1%未満である場合であり、より好ましくは湿度が0.1%未満である場合であり、より好ましくは湿度が0.01%未満である場合であり、より好ましくは湿度が0.001%未満である場合であり、より好ましくは湿度が0.0001%未満である場合であり、好ましくは二酸化炭素吸収剤の使用者および/または二酸化炭素を含まないガス、好ましくは窒素(N)を外部から供給することによって二酸化炭素レベルを調和する場合である。他の形態において、干渉計は物理学的および/または化学的特性に関して調和せず、好ましくはかかる特性が以下:温度、空気の組成、湿度の1または幾つかである場合である。
【0085】
非常に好ましい形態では、少なくとも1次元のアレイで、好ましくは2次元のアレイで整列された一連の個別のディテクタの使用であり、好ましくはいずれの変調および/またはフォーカシング手段の整列は、個別のディテクタによって獲得された情報を試料または試料の標本の空間的に決まった部分に相関させることを許容する。場合によっては、ディテクタのうちの少なくとも2が試料または標本のスペクトル特性についての実質的に異なる情報を反映することが好ましい。
【0086】
場合によっては、列または行の個別のディテクタの好ましい数は4以上であり、好ましくは8以上、より好ましくは16以上、より好ましくは32以上、より好ましくは64以上、より好ましくは128以上、より好ましくは256以上、より好ましくは512以上である。
【0087】
試料の均一性が制限される場合は、少なくとも2のディテクタが試料または標本の実質的に異なるスペクトル特性を反映することが好ましい場合があり、かかる差が試料または標本の少なくとも2の部分の実質的に異なる化学組成または他の特性によって生じ、好ましくは2またはそれを超えるディテクタからの結合した情報を用いて、試料または標本の化学組成または他の特性における変化の空間表示を作成することができる場合である。
【0088】
本明細書において「インターフェログラム」とは、観察間の等距離の仮定を通すまたは所定の観察における光路差が知られている場合のいずれかの光路差と相関させる干渉データをいう。一般的に、インターフェログラムはスペクトルコンポーネントの線形または非線形結合であるが、場合によっては、自己アポディゼーションのような特性が組まれている。普通およびしばしば好ましいインターフェログラムは、マイケルソン干渉計からのインターフェログラムを考慮する場合、実質的にすべてのスペクトルコンポーネントが結合したプラスおよび/またはマイナスの効果(例えば、マイケルソン干渉計からのインターフェログラムにおけるゼロ光路差または中央バースト(centre-burst))を示す情報を含む。本発明の幾つかの形態においては等しく好ましい場合もある他のインターフェログラムは、実質的にすべてのスペクトルコンポーネントが結合したプラスおよび/またはマイナスの効果(例えば、マイケルソン干渉計からのインターフェログラムにおけるゼロ光路差または中央バースト)を示す情報を含まない。
【0089】
収集した変調した光の情報品質に関する1の態様は、例えばアナログシグナルのデジタル化(ADC)における、強度の分解能である。ADCの結果は、32ビット以下であるデジタル表示のような高分解能で得られる場合もあり、より好ましくは表示が24ビット以下の場合であり、より好ましくは表示が16ビット以下の場合であり、より好ましくは表示が12ビット以下の場合であり、より好ましくは表示が10ビット以下の場合であり、より好ましくは表示が8ビット以下の場合である。場合によっては、ADCの低分解能は補償する。好ましくはシグナルの増幅が測定の間に変化する場合またはシグナルを2またはそれを超えるデジタル化手段で測定する場合であり、各測定するシグナルは実質的に異なる増幅を有し、好ましくは変調した光についての情報を増幅を考慮することによって表示する場合である。
【0090】
場合によっては、化学的または物理学的特性の評価にそれを使用する前に、収集した変量したシグナルを変換することが好ましい。好ましくは、変換の目的が変調手段の固定および/または変動可能な特性を補償することである場合であり、好ましくは変換が獲得した情報の1または幾つかの特性によって決まる場合であり、より好ましくは変換が獲得した情報の1または幾つかの特性を得ることによって決まる場合である。特に、変換の目的が、既知の時間に記録された情報を、光路差に関する情報に相関させることである場合であり、好ましくは目的が既知の光路差の、好ましくは光路差の実質的に等しい距離の情報を導き出すことである場合である。
【0091】
本発明の場合によっては好ましい形態は変調したシグナルの単一のセットの収集(例えば、スイープ)に基づくが、好ましくは2以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは4以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは8以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは16以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは32以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは64以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは128以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは256以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは512以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは1,024以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは2,048以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは4,096以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは8,192以上のスイープまたは走査であり、より好ましくは16,384以上のスイープまたは走査である。これは、複数のスイープを用いて、統計的特性のような行う測定に関する種々の情報を導き出すことを許容し、好ましくは統計的特性が以下のものの1または幾つかである場合である;相加平均、加重平均、相乗平均、調和平均、最大値、最小値、値域、メジアン、分散、標準偏差、いずれかの統計的モーメント、時間または他の参照値への相関。好ましくは統計的特性を用いて単一走査の特性を決定する場合であり、好ましくは統計情報を用いて試料の化学的または物理学的特性を評価する場合である。好ましくは、ファクター情報が以下のもののうちの1または幾つかである場合のファクター、または固有の特性の収集(例えば、ローディング)であり、ファクター情報が以下のもののうちの1または幾つかである場合である:固有ベクトル、固有値、主成分、主成分スコア。これらの因子情報は、「正規の外側にあること」またはアウトライアー挙動を同定する目的で、個々のスイープの診断のために用いることができ、あるいはそれを用いて、低い均一性を有する試料を測定する場合に観察されることが予想されるように、1のスイープから次のものに変化する効果を含めることができる。
【0092】
多くの好ましい形態は方法の使用を含み、かかる方法は変調したシグナルを修飾する方法が含まれ、好ましくは変調した光についての情報を化学的または物理学的特性に相関させる前に修飾する場合であり、好ましくは該修飾の目的が該相関の予想性能を促進または改善することである場合であり、好ましくは該修飾を1またはそれを超える係数(coefficient)または変換によって行う場合であり、好ましくは該係数または変換を変調手段および/または獲得手段の定性的および/または定量的特性に基づいて決定する場合であり、より好ましくは該係数または変換を個々の変調手段および/または獲得手段に結合する場合であり、好ましくは該変調が獲得した情報の実質的な定量的および/または定性的な正規化の効果を有する場合である。さらに、好ましくは、獲得した情報は数字関数によって変換され、好ましくは変換は以下のもののうちの1または幾つかである場合である;加法、乗法、多項式、対数、指数、三角法(trigonometric)。好ましくは、変換の目的は、獲得した情報と化学的または物理学的特性の表示との間の関係を実質的に線形にすることである。
【0093】
変調したシグナルについての情報またはインターフェログラムは一般的に微小の変調を反映しないため、計算手段の使用によって、変調したシグナルまたはインターフェログラムを化学成分の少なくとも1の特性に相関させる前に、変数または関数の不均一な所定のセットを当てはめること(すなわち、アポディゼーション)が好ましい場合であり、好ましくはアポディゼーションが生成する波動関数情報の特性に基づいて決定される場合であり、好ましくは目的が周期的または実質的に周期的な系統的な効果を除去または抑制することである場合である。場合によっては、このアポディゼーションは異なるスペクトル成分またはスペクトル特徴に対して異なり、好ましくは高められた出力を得るように適合する。
【0094】
本発明の種々の好ましい形態は、光が試料または標本に対して送られ、一般的には光の減衰を決定し、および、変調した光が試料を透過またはそれに送られる光であるように、配置に依存して、異なる分光学的応用に関する。場合によっては、これは、公知の特性を有する試料または標本(すなわち、参照試料)に考慮することによっても好ましく行い、より好ましくは公知の特性が化学的または物理学的特性を実質的に欠く(すなわち、ゼロ試料)場合である。さらに他の形態は、試料または標本についての獲得した情報と実質的に同時に参照試料の特性を獲得または決定し(すなわち、二重ビーム分光学)、好ましくは、該情報を試料または標本についての獲得した情報と同時に獲得または決定しない場合(すなわち、単一ビーム分光学)であるが、参照試料の特性を参照試料の以前の測定値から保存するか、またはかかる特性を試料の測定値から導く場合である。
【0095】
化学的および/物理学的特性を評価する工程は、好ましくは一連の係数への相関を含み、好ましくは該係数の幾つかまたは全てを予め決定する場合である。該一連の係数は、好ましくは較正モデルであり、好ましくは該較正モデルを1または幾つかの試料または標本(すなわち、較正試料)の測定から導く場合であり、好ましくは該試料または標本の1またはそれを超える化学的または物理学的特性を決定するまたは知られている場合である(すなわち、参照値)。さらに、該較正試料の測定は、評価すべき試料を測定する条件と実質的に同一である代表的条件下で行い、好ましくは該条件が環境特性(例えば、温度、圧力)である場合であり、好ましくは該条件が異なる機器を表す場合である。本発明の形態において一般的に好ましい較正モデルは、以下のもののうちの1または幾つかである:線形回帰(LR)、多重線形回帰(MLR)、主成分モデル(PCA/PCR)、部分最小自乗(PLS)、人工神経ネットワーク(ANN)マルチウェイ較正モデル。
【0096】
場合によって好ましい形態は、少なくとも部分スペクトル情報の構築を許容する。好ましくは、波動関数のスコアを決定することによって決定し、好ましくは波動関数が単一スペクトル要素の余弦または正弦関数である場合であり、より好ましくは波動関数が、減衰または放射特徴のようなスペクトル特徴を表す関数である場合であり、好ましくはスペクトル特徴が、通常は非常に相関させる、単一を超える減衰または放射特徴を含む場合である。
【0097】
本発明にかかる評価は、1またはそれを超える以下のものを表す種々の異なる試料に対して適用し得る:環境試料、飲用水、浴用水、プロセス用水、冷却水のような環境試料;組織試料、血液試料、尿試料、糞試料、細胞培養試料、細菌培養物、酵母培養物のような生物学的試料;油試料、石油試料、油脂試料、医薬試料のような工業試料;ミルク試料、日用品試料、肉試料、魚類試料、果実試料、野菜試料のような食物試料;排気ガス、発酵ガス、可燃性ガスのような気体試料。一般的に、これらの試料の化学的および/または物理学的特性は、以下のもののうちの1または幾つかである:スペクトル特性、温度、濁度、全有機物質(total organic material)、乾燥物質、溶解物質、クロロフィル、繊維、アミノ酸、タンパク質、脂肪、脂肪酸、脂質、グリセリド、コレステロール、酵素、砂糖、グルコース、アルコール、エタノール、メタノール、酸、クエン酸、酸を出す酸、脂肪族化合物、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、pH、密度、塩分、色。場合によっては、本発明の形態を用いて分析すべき試料の性質は、挽き潰し、粉砕、ホモジネート、熔解、蒸発、加熱、冷却、濾過、燃焼のようなサンプリング前処理を必要とする。
【0098】
本発明の1の非常に好ましい特徴は、評価の前に、少なくとも変調した光についての情報を獲得する間、試料をサンプリングデバイスにロードすることであり、該サンプリングデバイスは、変調した光についての情報を獲得する実質的な間に変調手段と直接結合のみするものであり、好ましくは該サンプリングデバイスは単一試料の評価に適しており、好ましくは該サンプリングデバイスは評価の完了時に処理する。
【0099】
一般的に、本発明の幾つかの好ましい形態は広範な種々の応用に適用可能であるが、好ましい応用にはプロセス制御、品質制御、臨床診断、環境制御が含まれる。
【0100】
実施例1
マイケルソン干渉計
マイケルソン干渉計は、光のビーム(電磁放射)を2の光路に分割し、ついで2のビームを再結合し得るデバイスである。2のビームが再結合する間にそれらが正確に同じ距離を伝わる場合は、光のすべてのスペクトル要素は保存される。一方で、2のビームが伝わる距離に差が存在する場合は、ある種のスペクトル要素の干渉が生じる。
【0101】
図1はマイケルソン干渉計を図示する。典型的な構造は、2のミラー101および102、ビームスプリッタ103、光源104およびディテクタ105からなる。光源106からの光はビームスプリッタに到達し、そこで光は2のビームに分割され、その1はビームスプリッタによって反射され(107)、その1はビームスプリッタを通過する(108)。これらのビームは両方とも各々のミラーから反射し、ビームスプリッタ上で再結合し、ディテクタ上に反射する(図示せず)。
【0102】
干渉計に入る光が1のみのスペクトル要素からなると仮定し、我々が得た光の波特性についていえば、2のビームが等距離を伝わった後に再結合する場合は、光のエネルギーは保存される。2のビームが伝わった距離が、例えばミラーの1または両方を運動することによって、変化する場合は、2のビームが再結合する場合にそれらの波動関数は相をある程度まで離れているであろう。距離量における差が波長の1/2までである場合、それらは完全に相を離れ、したがって互いに打ち消し合うであろう。距離量が波長の1/1までである場合、それらは再度、相に存在する。差が増大するに従い、この現象はそれを自身で繰り返し、したがって差の量が波長の完全な数(full number)+1/2波長までである各時点においては相を離れ、差の量が波長の完全な数までである場合は相に存在する。したがって、干渉パターンは光のビームにおける差が変化するに従ってディテクタ上に出現する。
【0103】
光が複数のスペクトル要素からなる場合、各スペクトル要素は前記したような干渉を受ける。1のポイントでは、例えば2のミラー間の差(光路差)が等しい場合は、すべてのスペクトル要素は相に存在する。いずれか他のポイントでは、異なるスペクトル要素は、すべての他のスペクトル要素に対して異なる相を有する。
【0104】
光学エレメントは、好ましくは「干渉計」と呼ばれる物理構造109に含まれるかまたはそれに結合しており、好ましくは、光源、ディテクタおよびミラーアクチュエータ(図示せず)のような他のコンポーネントも含まれる場合である。最後に、電気コンポーネント(図示せず)も含む系のすべてのエレメントは、機器シャシー110に含める。好ましくは、干渉計またはシャシーのいずれかまたは両方は、温度またはガス組成のような環境パラメータについて調和する(手段は図示せず)。
【0105】
光源
原則として、光はいずれかの電磁放射である。実際、光のスペクトル領域は、干渉計のエレメントのスペクトル特性によって決まるかまたは制限される。関心のあるパラメータが試料による光の減衰または吸収である場合の応用においては、試料は、ディテクタに到達する光が試料と相互作用するように、光路のいずれかの場所に置かなければならない。多くの形態において、試料は光源と変調手段との間に置き、一方で他の場合には試料をビープスプリッタとミラーのうちの1との間に置き、多くの好ましい形態において、試料を変調手段およびディテクタとの間に置く。観察された情報の性質は、干渉計の異なるエレメントに対する試料に位置に依存する。ホトルミネセンス(蛍光または燐光)、ラマン、散乱、反射または化学ルミネセンスのような他の応用においては、分析する光は試料自体から直接的または間接的に生じる。
【0106】
検出
通常、ディテクタは、応用において使用する光に対して感受性であり、したがって変調した光を直接的に測定する。他の応用においては、ディテクタは変調した光によって生じる二次的効果を検出する。これは、例えば、光音響分光学であり、変調した光が試料において音響シグナルを発生する場合であり、したがってディテクタは発生した音響シグナルまたは圧力に対して感受性のマイクロホンである。
【0107】
データ収集を同調するために、公知の特性を有する参照光、一般的にはレーザーまたはレーザーダイオードを変調し、通常は別のディテクタを用いて検出する。参照光が狭い周波帯を有するレーザーである場合、その干渉パターンは一連の高値および低値であろう。ついで、この情報を用いてデータ収集を制御する。
【0108】
実施例2
本発明に係るマイケルソン干渉計
図2は本発明に係る「固体」マイケルソン干渉計の構造を図示する。運動可能なミラーの構造を図2Aに示すが、201はダイアフラムピエゾ・アクチュエータ203(Piezomechanik Dr.Lutz Pickelmann GmbH, Germany)が結合したフレームである。ミラー202はアクチュエータの中央に結合している。
【0109】
干渉計の光学コンポーネントの相対的配置を図2Bに示す。該図は運動可能なミラー211および固定ミラー213およびそれらの間のビームスプリッタ212を示す。
最後に図2Cは約4×4×4cmのブロック221を示し、その中に光学コンポーネントが固定されている。222は光(光源からの光、図示せず)の入口を図示しており、223はディテクタ(図示せず)に向かう変調した光の出口を示す。さらに、ブロックには、ミラーを調整するための手段を連動するための配置が含まれる。
【0110】
前記した干渉計は、形態において実現することもできる。固定化したミラーが、第二の、好ましくは同じ運動可能なミラーで置き換わった場合であり、したがって2のミラーが、好ましいがかならずしもそうである必要はない、同様の線形スピードで運動する場合は、実質的に2倍の最大光路差を成し遂げる。
【0111】
実施例3
本発明に係るファブリー−ペロー干渉計
図3は本発明に係る「固体」ファブリー−ペローの構造を図示する。透過性のミラーエレメント301および302の配置の設計を図3Aに示す。該ミラーエレメントは三角形の形状で、互いに対して60°回転している。
【0112】
図3Bはフィクスチュア311を示し、その上にミラーエレメントのうちの1が結合する。さらに、ダイアフラムピエゾ・アクチュエータ312(Piezomechanik Dr.Lutz Pickelmann GmbH, Germany)が他のミラーエレメントに結合している。該アクチュエータはリム313に結合している。
【0113】
図3Cは干渉計のケーシングを示し、ここに321はハウジングであり、その上にアクチュエータおよびリムが結合する。さらにフィクスチュアをハウジングに結合する3のボルト322は、フィクスチュア、したがって他のアクチュエータおよびしたがってミラーエレメント302に対するミラーエレメント301の調整を許容する。
【0114】
実施例4
FT−IRスペクトル分解
図4はグルコース2.1%、フルクトース1.3%、マルトース1.3%、トリトンX−100 2.1%およびPEG 1.1%を含有する水溶液の種々のスペクトル分解のFT−IR吸収スペクトルを示す。スペクトルはBomem社FT−IR分光光度計、2cm−1の名目スペクトル分解能で32走査に記録した(8kインターフェログラム)。図AないしFは、いずれのアポディゼーションも使用することなく同じインターフェログラムから算出し、フーリエ変換に使用したインターフェログラムの長さは:A−8k分解能2cm−1、B−4k分解能4cm−1、C−2k分解能8cm−1、D−1k分解能16cm−1、E−1/2k分解能32cm−1およびF−1/4k分解能64cm−1である。1650および3400cm−1付近の流域の水の吸収が強いので、計算した吸収情報は信頼し得るものではなく、したがってこれらの領域はスペクトルから省略している。
【0115】
図4Aはほぼ2cm−1の分解能を表すスペクトル、例えばほぼ毎1cm−1について記録したスペクトルデータを示す。この分解能は8kインターフェログラムから得る(8192のデータ・ポイント、または約2.6mmのリターデーション)。スペクトルは、約1100cm−1の典型的なOHの吸収(主要吸収帯域幅 約100cm−1、小さい吸収帯域幅 約10cm−1)、1200ないし1500cm−1の領域のCH吸収(約35cm−1の吸収帯域幅)および3000cm−1未満のCH(約100cm−1の幅)を示している。また、水蒸気の吸収は1500付近、1800および3500cm−1付近の領域の狭い吸収として明らかである。これらのすべての特徴は、スペクトルにおいて見ることができる(ピーク幅約4cm−1)。
【0116】
図4Bはほぼ4cm−1の分解能を表すスペクトル、例えばほぼ毎2cm−1について記録したスペクトルデータを示す。この分解能は4kインターフェログラムから得る(4096のデータ・ポイント、または約2.6mmの光路差、OPD)。図4Aと比較して、主要な差異は水蒸気の吸収の減少である。
【0117】
図4Cはほぼ8cm−1の分解能を表すスペクトル、例えばほぼ毎4cm−1について記録したスペクトルデータを示す。この分解能は2kインターフェログラムから得る(2048のデータ・ポイント、または約1.3mmのOPD)。図4Aおよび4Bと比較して、主要な差異は水蒸気の吸収の事実上の削除である。
【0118】
図4Dはほぼ16cm−1の分解能を表すスペクトル、例えばほぼ毎8cm−1について記録したスペクトルデータを示す。この分解能は1kインターフェログラムから得る(1024のデータ・ポイント、または約0.7mmのOPD)。図4A、4Bおよび4Cと比較して、鋭敏な特徴の幾つかが消失し、顕著にはOH吸収の側方のピークがショルダーに変換している。
【0119】
図4Eはほぼ32cm−1の分解能を表すスペクトル、例えばほぼ毎16cm−1について記録したスペクトルデータを示す。この分解能は1/2kインターフェログラムから得る(512のデータ・ポイント、または約0.3mmのOPD)。図4A、4B、4Cおよび4Dと比較して大部分の吸収特徴がここではひどくゆがんでいる。
【0120】
図4Fはほぼ64cm−1の分解能を表すスペクトル、例えばほぼ毎32cm−1について記録したスペクトルデータを示す。この分解能は1/4kインターフェログラムから得る(256のデータ・ポイント、または約0.15mmのOPD)。図4A、4B、4C、4Dおよび4Fと比較して主要な特徴のみが目視可能であるが、ひどくゆがんでいる。
【0121】
実施例5
インターフェログラムのシミュレーション
インターフェログラムにおける波動関数の特性を説明するために、単純系のシミュレーションを用いてインターフェログラムを構築した。シミュレートした系は、異なる放射特性を表す4の放射源からなる放射系に関する。図5Aは放射源を説明し、それはブロードな「バックグラウンド」放射(線1)および3の「ピーク」である。最初は周波数10(線2)であり、2番目は周波数20(線3)であり、3番目は周波数22(線4)である。
【0122】
図5Bは放射系(余弦波動関数)から計算した3のインターフェログラムを図示し、第1のインターフェログラム(線1)は図5Aに示す強度を表し、第2のインターフェログラム(線2)は放射系を表し、ここに周波数22のピークの強度は低下しており、第3のインターフェログラム(線3)は放射系を表し、ここに10のピークの強度は増大しており、および、第4のインターフェログラム(マゼンタ)は放射系を表し、ここに20のピークの強度は低下している(線4)の場合である。フーリエ変換分光学においては、最新の系は20および22の周波数のピークを分離するためには少なくとも1のリターデーションを必要とするであろう。
【0123】
異なるインターフェログラムは、波動関数の直交性質を説明している。第1のインターフェログラムに対して第2、第3および第4のインターフェログラムにおける異なるリターデーションにおける変化は、第1のインターフェログラムと、第2(線1)、第3(線2)ならびに第4および第5(線3)との差を示す図5Cにさらに図示されているように、実際は相関しない。
【0124】
周波数10のピークの放射(図5Cの線2)を変化する効果は非常に明らかである。この効果の振動は、周波数22および20に位置する他の効果と比較して遅いからである。さらに、ピーク22および20(各々、図5Cの線3および2)の効果の間の差は、短いリターデーションでさえ、例えば0.2または0.1でさえ、明白である。
【0125】
シミュレーションの知見は、同様のスペクトル特徴が、現在の方法と比較して実質的に小さいリターデーションでさえ、非常に直交である波動関数組合せを生じさせることを説明している。化学分野の当業者であれば、異なる放射源の絶対的または相対的強度のようなシステムの特性を、制限されたリターデーションを用いて収集した干渉データを用いて得ることができることは明らかであろう。さらに、センターバーストを含まないインターフェログラムの領域もこの特性を示すことは明白である。
【0126】
実施例6
スペクトル情報
インターフェログラムから得ることができる入手可能な情報を説明するために、単一ビームスペクトルIRスペクトルを用いてシミュレーションを行い、8k二重サイドのインターフェログラムを用いて収集した。このデータから、余弦関数のスコアを種々の光路差(OPD)にて抽出した。結果を図6に図示する。
【0127】
最初に、水の狭い吸収帯を調べた。ピークの単一ビーム強度を図6Aに図示する。ピーク頂上(1869cm−1)から1873cm−1の「ベースライン」までの領域を表す周波数の数字は、センターバーストと異なるOPDとの間の領域から構築し、結果を図6Bに示す。図6Bはセンターバースト直後のすべての周波数における鋭敏な上昇を図示する。ついで、約0.03 OPDにのぼる領域においては、すべての周波数は同時に同一空間を占めるが、0.05よりも上のOPDからそれらは分離する。相対的な分離は予想されるパターンに肉薄して従うが、異なる周波数の振幅は調べたOPD全体をとおして発達し続ける。これは、約0.03のOPDの後はピークが形状をとり始めるが、その「真の」形状の構成には0.25を超えるOPD(4kのインターフェログラム)が必要であろうことを示している。
【0128】
2番目に、同様の調査を図6Cに示す約1250cm−1のより広いピークに対して行い、対応する結果を図6Dに示す。図6Dは図6Bと同様の特徴を示す。すべての周波数はセンターバースト直後に形成され、ピークは約0.01のOPDで形成し始めている。ピークの形状は約0.03のOPDの後は、強度および形状の両方に関してかなり安定である。
【0129】
上述からの結論は、ピークの形状がその形状および強度を再生成するために必要なOPDを決定するということである。他方、これよりも短いOPDにおいては、ピークの形状および強度の両方に関する系統的な情報を得ることができる。化学的観点(例えば、多変量較正)から、かかる情報は、適用なモデルを用いることによって、試料の化学的または物理学的特性の評価を行うために十分である場合がある。かかるモデルは試料の特性に相関させる特性に基づき得るが、かかる特性は試料の分光学的特性に部分的にしか相関しないからである。
【0130】
実施例7
インターフェログラム標準化
例えばマイケルソン干渉計による変調の際の光の干渉は、使用する系のスペクトル特性に固有に依存する。主要な因子は変調する光源の特性であり、任意には、光源からの光と相互作用する試料の特性であり、最後に、使用する光学コンポーネント、例えばミラー、ビームスプリッタ、ディテクタの特性である。干渉の観察に影響し得る他のものの中では、例えばインターフェログラムは観察の時点における干渉を形成する運動部分の位置である。光路差(OPD)の正確な知識は重要な因子であり、それは通常、同一または同様の光学系を用いて単色光を変調し、この光の単純な波形特性を用いて得られ、変調したシグナルの獲得を登録または制御する。
【0131】
本発明に係る方法は、OPDを決定するための他の技術をあてにする。1の好ましい方法は、手近の系の固有の特性を用いてOPDおよび/またはミラー運動についての情報を得ることである。先に言及したように、系の特性は変調の結果を決定する。例えば伝達したエネルギー、例えば中−IR領域の伝達したエネルギーの検出を考慮する場合、変調の出力は光源のプロフィールおよび系の光学的特性によって決定する。したがって、インターフェログラムは変調手段の位置に純粋に依存するある種の特性を有する。変調手段の正確な位置が知られていない場合、系の同定可能な特性の1またはそれを超える特性を位置決定することが可能であり、その情報を例えば観察の時間に相関させるために使用すること、またはOPDに対する他の制御パラメータに使用することが可能である。用途における系の特性に依存して、OPDに対するこの相関はより長時間または短時間再現可能である。したがって、幾つかの形態において、干渉計によって行った毎走査についてこの相関を確立又は証明することが好ましいが、他の等しく好ましい形態においては、これを、1秒当たり1回、1分当たり1回、1時間当たり1回、一週間当たり1回またはそれよりも長い頻度のような間隔で行う。多くの形態について、公知の光学特性を有する1またはそれを超える手段を系に導入して、かかる同定可能な特性を確立することが好ましい。OPDに対する相関の生成または証明を許容することから離れて、これらの方法は、光学応答のような系の種々の他の特性の決定を許容する。
【0132】
変調の幾つかの特性を説明するために、図7Aないし7Cは、Bomem FT−IR分光光度計(8kインターフェログラム)上で収集した多くのインターフェログラムを示す。この機器はHe−Neレーザーを使用してデータの収集を制御し、OPDの正確な決定までも確実にする。図は、種々の量で0%ないしほぼ10%で溶解した物質(ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、トリトンX−100、PEG)を有する光路中のほぼ50μmの水性フィルムで収集した73の個々のインターフェログラム(同時に加えられた64の走査)を示す。
【0133】
図7Aは、73のすべての個々の試料のインターフェログラムについてのセンターバースト(ゼロOPD、データ・ポイント4097)付近の領域を図示する。図から、センターバースト領域が、すべての測定、特に強度において高いおよび低い位置に関する測定における大きな類似を示すことが明らかである。
【0134】
さらに、図7Bはデータ・ポイント2000ないし2100(OPD ほぼ−0.1cm)のインターフェログラムの領域を示す。これは、個々の測定間の差が異なる高いおよび低い強度において主に示されているが、インターフェログラム特徴の位置は実質的に同一であることを図示している。
【0135】
図7Cはインターフェログラムの開始時(OPD ほぼ−0.2cm)におけるインターフェログラムデータを示す。図7Aおよび7Bと同様に、異なる測定は強度における幾分かの変化を示すが、位置は実質的に同一である。さらに、比較的複雑は干渉構造がデータ・ポイント110ないし260のおよその領域に示され得る。これは、インターフェログラムの個々の高いおよび低いに加えて、かかるより複雑な構造が各測定において再生成されていることを図示している。
【0136】
上述したことから、比較的安定した光学系が得られること、インターフェログラムの幾つかの特徴を同定し得ること、および、それをインターフェログラムの最新OPDを正確に決定するために使用し得ることがわかる。光学系における安定性の欠如を補償するために、公知の吸収/放射物質または干渉フィルタのようなさらなる材料を用いて、同様のインターフェログラム構造を生成することが可能である。かかる構造はその後に同定可能であり、それを用いて変調系を特徴付け、例えばOPDを決定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1はマイケルソン干渉計の原理を図示する。
【図2】図2はマイケルソン干渉計の好ましい構造を図示する。
【図3】図3はファブリー−ペロー干渉計の好ましい構造を図示する。
【図4】図4はFT−IRにおける分解能に対するスイープ長の効果を図示する。
【図5】図5はスペクトルデータのシミュレーションを図示する。
【図6】図6はスペクトルエレメントの構造を図示する。
【図7】図7はインターフェログラムの特性を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性を評価する方法であって、
変調手段を確立し、該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は固体状態アクチュエータを用いて該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を通して得、
試料から放射された、試料と相互作用したおよび/または試料に放射した光を干渉計変調し、
NIRおよび/またはIRスペクトル領域の変調した光または該変調した光から派生する特性を、少なくとも1のディテクタで検出し、
得られた情報を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む該方法。
【請求項2】
光を、試料に放射する前に変調する請求項1記載の方法。
【請求項3】
固体状態アクチュエータが、固体ピエゾ・アクチュエータまたはダイアフラム・アクチュエータのようなピエゾエレクトリック・アクチュエータ、サーマル・アクチュエータまたはエレクトロスタティック・アクチュエータである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
中−IR領域の光についての復調したスペクトル情報によって規定されるスペクトル分解能が8cm−1未満、好ましくは16cm−1未満、より好ましくは32cm−1未満、より好ましくは64cm−1未満、より好ましくは96cm−1未満、より好ましくは128cm−1未満、より好ましくは160cm−1未満、より好ましくは192cm−1未満、より好ましくは224cm−1未満、より好ましくは256cm−1未満である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
近−IR領域の光についての復調したスペクトル情報によって規定されるスペクトル分解能が8cm−1未満、好ましくは16cm−1未満、より好ましくは32cm−1未満、より好ましくは64cm−1未満、より好ましくは96cm−1未満、より好ましくは128cm−1未満、より好ましくは160cm−1未満、より好ましくは192cm−1未満、より好ましくは224cm−1、より好ましくは256cm−1未満である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
変調手段が少なくとも1の光源を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
光源が中−IR領域、近−IR領域、可視光領域、UV領域の光を放射し、好ましくは光源が熱放射光源、発光ダイオードまたはレーザーダイオードであり、好ましくは同様または異なる特性の1を超える光源を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
試料に対して、試料を通してまたは試料から放射される光が1,000nmより長い、好ましくは1,500nmより長い、より好ましくは2,000nmより長い、より好ましくは2,500nmより長い波長のものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
試料に対して、試料を通してまたは試料から放射される光が10,000ないし800cm−1、好ましくは5,000ないし900cm−1、より好ましくは3,000ないし1,000cm−1、より好ましくは2,000ないし1,000cm−1の周波数のものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
試料に対して、試料を通してまたは試料から放射される光が10,000ないし2,000cm−1、好ましくは5,000ないし2,000cm−1、より好ましくは3,000ないし2,000cm−1の周波数のものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
スペクトル情報を、周波数または波長強度が時間または距離ドメインで実質的に表されるような方法で変調し、好ましくは変調が「マイケルソン干渉計」または「ファブリー−ペロー干渉計」のような干渉計による請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
試料を光源と変調手段との間に置き、好ましくは試料を変調手段とディテクタとの間に置く請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
変調手段が「マイケルソン干渉計」であって、試料をビームスプリッタとミラーのうちの1との間に置く請求項01記載の方法。
【請求項14】
干渉計の収集角度が5°を超える、好ましくは10°を超える、好ましくは15°を超える、好ましくは20°を超える、好ましくは30°を超える、好ましくは45°を超える請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
変調手段の光発散が2°を超える、好ましくは4°を超える、好ましくは6°を超える、好ましくは8°を超える、好ましくは10°を超える、好ましくは15°を超える請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
干渉計のいずれかの物理学的寸法が30cm未満、好ましくは20cm未満、より好ましくは15cm未満、より好ましくは10cm未満、より好ましくは8cm未満、より好ましくは6cm未満、より好ましくは4cm未満、より好ましくは3cm未満、より好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満である請求項1ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの走査長が1,000μm未満、好ましくは750μm未満、より好ましくは500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、より好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である請求項1ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
干渉計の光路差が2,000μm未満、より好ましくは1,000μm未満、より好ましくは750μm未満、より好ましくは500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、より好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である請求項1ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
変調したシグナルの獲得を外部の情報またはシグナルを参照して行い、好ましくは参照情報またはシグナルは干渉計の運動部分の位置を実質的に反映し、より好ましくは参照シグナルがレーザーからのものであり、より好ましくは参照シグナルがレーザーダイオードからのものであり、より好ましくは参照シグナルが発光ダイオードからのものである請求項1ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
変調したシグナルについての情報の獲得を既知の特性を有する変調した参照シグナルに参照して行い、獲得したデータ・ポイントの数が参照シグナルの干渉パターンの数と等しく、好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の2倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の4倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の8倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の16倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の32倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の64倍以上である請求項1ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
変調したシグナルの獲得を、外部の情報またはシグナルに参照せずに行い、好ましくは獲得を内部の情報またはシグナルに参照して行い、より好ましくは干渉計の少なくとも1の光学コンポーネントの運動の時間に参照して行い、および/または、固体状態アクチュエータに参照して行い、好ましくは時間に対する参照を、好ましくは既知の材料の特性の観察によって、所定の間隔で確立または証明する請求項1ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
変調したシグナルについての情報の獲得を、既知の特性を有する参照シグナルに参照せずに行い、獲得したデータ・ポイントの数が所定の参照シグナル、好ましくは変調した光の干渉パターンの予想される数と実質的に等しく、好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の2倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の4倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の8倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の16倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の32倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の64倍以上であり、好ましくは変調したシグナルについての情報を光路差の等しい間隔を表す内挿法によって構築する請求項21記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1の光学コンポーネントがミラーである請求項1ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
干渉計が少なくとも2の光学コンポーネントを含み、好ましくは2の光学コンポーネントが走査の間に運動し、好ましくは2の光学コンポーネントの運動が光学コンポーネントのうちの1のみの運動と比較して、増大した最大光路差を生じる請求項1ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
干渉計が1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.75未満、より好ましくは0.5未満、より好ましくは0.3未満、より好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満の反射率を有する少なくとも1の部分反射ミラーを含むファブリー−ペロー干渉計である請求項1ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
干渉計が分析の間に互いに対して実質的に運動しないが、試料またはシグナル源に対する反射表面の角度位置が分析の間に変化する2以上の反射表面を含むファブリー−ペロー干渉計である請求項1ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ディテクタによって検出する変調した光が、ケイ素フォトダイオード、光増倍管、DTGS、MCTのうちの1である請求項1ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、温度に関して調節されており、好ましくは温度の変化が制限されており、好ましくは温度の変化が±5℃未満であり、より好ましくは温度の変化が±2℃未満、より好ましくは温度の変化が±1℃未満、より好ましくは温度の変化が±0.5℃未満、より好ましくは温度の変化が±0.1℃未満であり、好ましくは標的温度が常温よりも高い請求項1ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、湿度に関して調節されており、好ましくは湿度が10%未満、より好ましくは湿度が1%未満、より好ましくは湿度が0.1%未満、より好ましくは湿度が0.01%未満、より好ましくは湿度が0.001%未満であり、好ましくは湿度が湿度吸収剤の使用者を介しておよび/または外部的に供給される乾燥ガス、好ましくは窒素(N)によって調節される請求項1ないし28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、二酸化炭素(CO)レベルに関して調節されており、好ましくは二酸化炭素レベルが1%未満であり、より好ましくは湿度が0.1%未満、より好ましくは湿度が0.01%未満、より好ましくは湿度が0.001%未満、好ましくは湿度が0.0001%未満であり、好ましくは二酸化炭素レベルが二酸化炭素吸収剤の使用者を介しておよび/または外部的に供給される二酸化炭素を含まないガス、好ましくは窒素(N)によって調節される請求項1ないし29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、物理学的および/または化学的特性に関して調節されておらず、好ましくはかかる特性が以下のもの:温度、空気の組成、湿度のうちの1または幾つかである請求項1ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
変調した光についての情報を、少なくとも1の次元のアレイ、好ましくは2の次元のアレイで整列された一連の個々のディテクタを使用して獲得し、好ましくはいずれかの変調および/またはフォーカシング手段の配置が、個々のディテクタによって獲得される情報を試料または試料の標本の空間的に画定された部分に相関することを許容する請求項1ないし31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
実質的に全てのディテクタが試料のスペクトル特性についての実質的に同じ情報を提供する請求項1ないし32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
ディテクタのうちの少なくとも2が試料のスペクトル特性についての実質的に異なる情報を提供する請求項1ないし33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
ディテクタがアレイで整列されており、列または行の個々のディテクタの数が4以上、好ましくは8以上、より好ましくは16以上、より好ましくは32以上、より好ましくは64以上、より好ましくは128以上、より好ましくは256以上、より好ましくは512以上である請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも2のディテクタが試料または標本の実質的に異なるスペクトル特性を提供し、かかる差が試料または標本の少なくとも2の部分の実質的に異なる化学組成または他の特性によって引き起こされ、好ましくは2以上のディテクタからの結合した情報を用いて試料または標本の化学組成または他の特性における変化の空間的表示を創製することができる請求項32ないし35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
変調した光についての情報がインターフェログラムであり、好ましくはインターフェログラムがスペクトル成分の線形または非線形結合である請求項1ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
変調した光についての情報がインターフェログラムであり、好ましくはインターフェログラムが、実質的に全てのスペクトル成分が結合したプラスおよび/またはマイナスの効果(例えば、マイケルソン干渉計からのインターフェログラム中のゼロ光路差または中央バースト(centre-burst))を示す場合の情報を含む請求項1ないし37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
変調した光についての情報がインターフェログラムであり、好ましくはインターフェログラムが、実質的に全てのスペクトル成分が結合したプラスおよび/またはマイナスの効果(例えば、マイケルソン干渉計からのインターフェログラム中のゼロ光路差または中央バースト)を示す場合の情報を含まない請求項1ないし38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
変換が光路差に関する情報に対する既知の時間に記録された情報の相関を生じ、好ましくは目的が既知の光路差、好ましくは光路差の実質的に等しい距離における情報を導き出すことである請求項1ないし39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性に対して相関した獲得した情報または変換もしくは変調した獲得した情報が、変調手段による単一のスイープまたは走査から、好ましくは2以上のスイープまたは走査から、より好ましくは4以上のスイープまたは走査から、より好ましくは8以上のスイープまたは走査から、より好ましくは16以上のスイープまたは走査から、より好ましくは32以上のスイープまたは走査から、より好ましくは64以上のスイープまたは走査から、より好ましくは128以上のスイープまたは走査から、より好ましくは256以上のスイープまたは走査から、より好ましくは512以上のスイープまたは走査から、より好ましくは1,024以上のスイープまたは走査から、より好ましくは2,048以上のスイープまたは走査から、より好ましくは4,096以上のスイープまたは走査から、より好ましくは8,192以上のスイープまたは走査から、より好ましくは16,384以上のスイープまたは走査からのものである請求項1ないし40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
2以上のスイープまたは走査からの情報が2以上のスイープまたは走査の統計的特性であり、好ましくは統計的特性が以下のもの:相加平均、加重平均、相乗平均、調和平均、最大値、最小値、値域、メジアン、分散、標準偏差、いずれかの統計的モーメント、時間または他の参照値への相関のうちの1または幾つかであり、好ましくは統計的特性を用いて単一の走査の特性を決定し、好ましくは統計情報を用いて試料の化学的または物理学的特性を評価する請求項1ないし41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
スイープまたは走査からの情報がファクター情報であり、好ましくはファクター情報が以下のもの:固有ベクトル、固有値、主成分、主成分スコアのうちの1または幾つかである請求項42記載の方法。
【請求項44】
変調した光についての情報を化学的または物理学的特性に相関させる前に変調し、好ましくは該変調の目的が該相関の予想性能を促進または改善することであり、好ましくは該変調を1またはそれを超える係数(coefficient)または変換によって行い、好ましくは該係数または変換を変調手段および/または獲得手段の定性的および/または定量的特性に基づいて決定し、より好ましくは該係数または変換を個々の変調手段および/または獲得手段に結合し、好ましくは該変調が獲得した情報の実質的な定量的および/または定性的な標準化の効果を有する請求項1ないし43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
獲得した情報が数字係数によって変換され、好ましくは変換が以下のもの;加法、乗法、多項式、対数、指数、三角法(trigonometric)のうちの1または幾つかである請求項1ないし44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
獲得した情報を、計算手段の使用によって、化学成分の少なくとも1の特性に相関させる前に変数または関数の不均一な所定のセットを当てはめ(すなわち、アポディゼーション)、好ましくはアポディゼーションを生成する波動関数情報の特性に基づいて決定し、好ましくは目的が周期的または実質的に周期的な系統的な効果を除去または抑制することである請求項1ないし45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
スペクトル情報を、波動関数のスコアを決定することによって決定し、好ましくは波動関数が単一スペクトル要素の余弦または正弦関数であり、より好ましくは波動関数が減衰または放射特徴のようなスペクトル特徴を表す関数であり、好ましくはスペクトル特徴が単一を超える減衰または放射特徴を含む請求項1ないし46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
評価する試料が以下のもの:環境試料、飲用水、浴用水、プロセス用水、冷却水のような水性試料;組織試料、血液試料、尿試料、糞試料、細胞培養試料、細菌培養物、酵母培養物のような生物学的試料;油試料、石油試料、油脂試料、医薬試料のような工業試料;ミルク試料、日用品試料、肉試料、魚類試料、果実試料、野菜試料のような食物試料;排気ガス、発酵ガス、可燃性ガスのような気体試料のうちの1を表す試料である請求項1ないし47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
評価する化学的または物理学的特性が以下のもの:スペクトル特性、温度、濁度、全有機物質(total organic material)、乾燥物質、溶解物質、クロロフィル、繊維、アミノ酸、タンパク質、脂肪、脂肪酸、脂質、グリセリド、コレステロール、酵素、砂糖、グルコース、アルコール、エタノール、メタノール、酸、クエン酸、酸を出す酸、脂肪族化合物、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、pH、密度、塩分、色のうちの1である請求項1ないし48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
評価する試料が、挽き潰し、粉砕、ホモジネート、溶解、蒸発、加熱、冷却、濾過、燃焼のような前処理に付されている請求項1ないし49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
評価する試料または試料の標本を、評価の前に、少なくとも変調した光についての情報を獲得する期間の間、サンプリングデバイスにロードし、該サンプリングデバイスが、変調した光についての情報の獲得の期間の実質的な間に変調手段と直接的にのみ連動するものであり、好ましくは該サンプリングデバイスが単一の試料の評価に適しており、好ましくは該サンプリングデバイスが評価の完了の際に処理される請求項1ないし50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムであって、
変調手段、ここに該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差が固体状態アクチュエータを用いる該干渉計中の少なくとも1の光学コンポーネントの運動を介して得られ、該干渉計が試料から放射された、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を変調することができ、
NIRおよび/またはIRスペクトル領域の変調した光または該変調した光から派生する特性を検出することができる少なくとも1のディテクタ、
得られた情報を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関する手段
を含む該システム。
【請求項53】
固体状態アクチュエータが、固体ピエゾ・アクチュエータまたはダイアフラム・アクチュエータのような、ピエゾエレクトリック・アクチュエータ、サーマル・アクチュエータまたはエレクトロスタティック・アクチュエータである請求項52記載のシステム。
【請求項54】
変調手段が少なくとも1の光源を含む請求項52または53に記載のシステム。
【請求項55】
光源が中−IR領域、近−IR領域、可視光領域またはUV領域の光を放射し、好ましくは光源が熱放射光源、発光ダイオードまたはレーザーダイオードであり、好ましくは同様または異なる特性の1を超える光源を含む請求項54記載のシステム。
【請求項56】
試料に対して、それを通してまたはそれから放射する光が1,000nmよりも長い、好ましくは1,500nmよりも長い、より好ましくは2,000nmよりも長い、より好ましくは2,500nmよりも長い波長のものである請求項52ないし55のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項57】
試料に対して、それを通してまたはそれから放射する光が10,000ないし800cm−1、好ましくは5,000ないし900cm−1、より好ましくは3,000ないし1,000cm−1、より好ましくは2,000ないし1,000cm−1の周波数のものである請求項52ないし56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
試料に対して、それを通してまたはそれから放射する光が10,000ないし2,000cm−1、好ましくは5,000ないし2,000cm−1、より好ましくは3,000ないし2,000cm−1の周波数のものである請求項52ないし57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
スペクトル情報が、周波数または波長強度が時間または距離ドメインで実質的に表されるように変調され、好ましくは変調が「マイケルソン干渉計」または「ファブリー−ペロー干渉計」のような干渉計による請求項52ないし58のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項60】
試料を光源と変調手段との間に置き、好ましくは試料を変調手段とディテクタとの間に置く請求項52ないし59のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項61】
変調手段が「マイケルソン干渉計」であって、試料をビームスプリッタとミラーのうちの1との間に置く請求項59記載のシステム。
【請求項62】
干渉計の収集角度が5°より大きい、好ましくは10°より大きい、好ましくは15°より大きい、好ましくは20°より大きい、好ましくは30°より大きい、好ましくは45°より大きい請求項52ないし61のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項63】
変調手段の光発散が2°より大きい、好ましくは4°より大きい、好ましくは6°より大きい、好ましくは8°より大きい、好ましくは10°より大きい、好ましくは15°より大きい請求項52ないし62のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項64】
干渉計のいずれかの物理学的寸法が30cm未満、好ましくは20cm未満、より好ましくは15cm未満、より好ましくは10cm未満、より好ましくは8cm未満、より好ましくは6cm未満、より好ましくは4cm未満、より好ましくは3cm未満、より好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満である請求項52ないし63のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項65】
干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの走査長が1,000μm未満、好ましくは750μm未満、より好ましくは500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、より好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である請求項52ないし64のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項66】
干渉計の光路差が2,000μm未満、より好ましくは1,000μm未満、より好ましくは750μm未満、より好ましくは500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、より好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、より好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である請求項52ないし65のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項67】
変調したシグナルの獲得を外部の情報またはシグナルに参照して行い、好ましくは参照情報またはシグナルが干渉計の運動部分の位置を実質的に反映し、より好ましくは参照シグナルがレーザーからのものであり、より好ましくは参照シグナルがレーザーダイオードからのものであり、より好ましくは参照シグナルが発光ダイオードからのものである請求項52ないし66のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項68】
変調したシグナルについての情報の獲得を既知の特性を有する変調した参照シグナルに参照して行い、獲得したデータ・ポイントの数が参照シグナルの干渉パターンの数に等しく、好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の2倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の4倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の8倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の16倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の32倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の64倍以上である請求項52ないし67のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項69】
変調したシグナルの獲得を外部の情報またはシグナルに参照せずに行い、好ましくは獲得を内部の情報またはシグナルに参照して行い、より好ましくは干渉計の少なくとも1の光学コンポーネントの運動の時間に参照して、および/または固体状態アクチュエータに参照して行い、好ましくは時間に対する参照を既定の間隔で、好ましくは既知の物質の特性の観察によって確立または証明する請求項52ないし68のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項70】
変調したシグナルについての情報の獲得を既知の特性を有する参照シグナルに参照せずに行い、獲得したデータ・ポイントの数が既定の参照シグナルの干渉パターンの予想される数に実質的に等しく、好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の2倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の4倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の8倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の16倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の32倍以上であり、より好ましくはデータ・ポイントの数が干渉パターンの数の64倍以上であり、好ましくは変調したシグナルについての情報を光路差の等しい間隔を表す内挿法によって構築する請求項69記載のシステム。
【請求項71】
少なくとも1の光学コンポーネントがミラーである請求項52ないし70のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項72】
干渉計が少なくとも2の光学コンポーネントを含み、好ましくは2の光学コンポーネントが走査の間に運動し、好ましくは2の光学コンポーネントの運動が、光学コンポーネントのうちの1のみの運動と比較して増大した最大光路差を生じる請求項52ないし71のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項73】
干渉計が、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.75未満、より好ましくは0.5未満、より好ましくは0.3未満、より好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満の反射率を有する少なくとも1の部分反射ミラーを含むファブリー−ペロー干渉計である請求項52ないし72のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項74】
干渉計が、分析の間に互いに対して実質的に運動しない2以上の反射表面を含むファブリー−ペロー干渉計であり、しかしここに試料またはシグナル源に対する反射表面の角度位置は分析の間に変化する請求項52ないし73のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項75】
ディテクタによって検出される変調した光が、ケイ素フォトダイオード、光電子増倍管、DTGS、MCTのうちの1である請求項52ないし74のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項76】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、温度に関して調節され、好ましくは温度の変化が制限され、好ましくは温度の変化が±5℃未満、より好ましくは温度の変化が±2℃未満、より好ましくは温度の変化が±1℃未満、より好ましくは温度の変化が±0.5℃未満、より好ましくは温度の変化が±0.1℃未満であり、好ましくは標的温度が常温よりも高い請求項52ないし75のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項77】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、湿度に関して調節され、好ましくは湿度が10%未満、より好ましくは湿度が1%未満、より好ましくは湿度が0.1%未満、より好ましくは湿度が0.01%未満、より好ましくは湿度が0.001%未満であり、好ましくは湿度が湿度吸収剤の使用者を介しておよび/または外部から供給される乾燥ガス、好ましくは窒素(N)によって調節される請求項52ないし75のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項78】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、二酸化炭素(CO)レベルに関して調節され、好ましくは二酸化炭素レベルが1%未満、より好ましくは湿度が0.1%未満、より好ましくは湿度が0.01%未満、より好ましくは湿度が0.001%未満、より好ましくは湿度が0.0001%未満であり、好ましくは二酸化炭素レベルが二酸化炭素吸収剤の使用者を介しておよび/または外部から供給される二酸化炭素を含まないガス、好ましくは窒素(N)によって調節される請求項52ないし77のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項79】
光路または光路の一部分、好ましくは干渉計が、物理学的および/または化学的特性に関して調節されておらず、好ましくはかかる特性が以下のもの:温度、空気の組成、湿度の1または幾つかである請求項52ないし75のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項80】
変調した光についての情報を、少なくとも1次元のアレイで、好ましくは2次元のアレイで整列された一連の個別のディテクタを使用して獲得し、好ましくはいずれの変調および/またはフォーカシング手段の配置が、個別のディテクタによって獲得された情報を試料または試料の標本の空間的に決まった部分に相関させることを許容する請求項52ないし79のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項81】
実質的に全てのディテクタが試料のスペクトル特性についての実質的に同じ情報を提供する請求項52ないし80のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項82】
ディテクタのうちの少なくとも2が試料のスペクトル特性についての実質的に異なる情報を提供する請求項52ないし81のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項83】
ディテクタがアレイで整列され、列または行の個別のディテクタの数が4以上、好ましくは8以上、より好ましくは16以上、より好ましくは32以上、より好ましくは64以上、より好ましくは128以上、より好ましくは256以上、より好ましくは512以上である請求項81または82のシステム。
【請求項84】
少なくとも2のディテクタが試料または標本の実質的に異なるスペクトル特性を提供し、かかる差が試料または標本の少なくとも2の部分の実質的に異なる化学組成または他の特性によって生じ、好ましくは2またはそれを超えるディテクタからの結合した情報を用いて、試料または標本の化学組成または他の特性における変化の空間表示を創製することができる請求項80ないし83のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項85】
変調した光についての情報がインターフェログラムであり、好ましくはインターフェログラムがスペクトルコンポーネントの線形または非線形結合である請求項52ないし84のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項86】
変調した光についての情報がインターフェログラムであり、好ましくはインターフェログラムが、実質的にすべてのスペクトルコンポーネントが結合したプラスおよび/またはマイナスの効果(例えば、マイケルソン干渉計からのインターフェログラムにおけるゼロ光路差または中央バースト)を示す情報を含む請求項52ないし85のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項87】
変調した光についての情報がインターフェログラムであり、好ましくはインターフェログラムが、実質的にすべてのスペクトルコンポーネントが結合したプラスおよび/またはマイナスの効果(例えば、マイケルソン干渉計からのインターフェログラムにおけるゼロ光路差または中央バースト)を示す情報を含まない請求項52ないし86のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項88】
変換の目的が、既知の時間に記録された情報を光路差に関する情報に相関させることであり、好ましくは目的が既知の光路差の、好ましくは光路差の実質的に等しい距離の情報を導き出すことである請求項52ないし87のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項89】
試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性に相関した獲得した情報または変換もしくは変調した獲得した情報が、変調手段による単一のスイープまたは走査、好ましくは2以上のスイープまたは走査、より好ましくは4以上のスイープまたは走査、より好ましくは8以上のスイープまたは走査、より好ましくは16以上のスイープまたは走査、より好ましくは32以上のスイープまたは走査、より好ましくは64以上のスイープまたは走査、より好ましくは128以上のスイープまたは走査、より好ましくは256以上のスイープまたは走査、より好ましくは512以上のスイープまたは走査、より好ましくは1,024以上のスイープまたは走査、より好ましくは2,048以上のスイープまたは走査、より好ましくは4,096以上のスイープまたは走査、より好ましくは8,192以上のスイープまたは走査、より好ましくは16,384以上のスイープまたは走査からのものである請求項52ないし88のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項90】
2以上のスイープまたは走査からの情報が2以上のスイープまたは走査の統計的特性であり、好ましくは統計的特性が以下のもの:相加平均、加重平均、相乗平均、調和平均、最大値、最小値、値域、メジアン、分散、標準偏差、いずれかの統計的モーメント、時間または他の参照値への相関のうちの1または幾つかであり、好ましくは統計的特性を用いて単一走査の特性を決定し、好ましくは統計情報を用いて試料の化学的または物理学的特性を評価する請求項52ないし89のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項91】
スイープまたは走査からの情報がファクター情報であり、好ましくはファクター情報が以下のもの:固有ベクトル、固有値、主成分、主成分スコアのうちの1または幾つかである請求項90記載のシステム。
【請求項92】
変調した光についての情報を化学的または物理学的特性に相関する前に修飾し、好ましくは該修飾の目的が該相関の予想性能を促進または改善することであり、好ましくは該修飾を1またはそれを超える係数(coefficient)または変換によって行い、好ましくは該係数または変換を変調手段および/または獲得手段の定性的および/または定量的特性に基づいて決定し、より好ましくは該係数または変換を個々の変調手段および/または獲得手段に結合し、好ましくは該修飾が、獲得した情報の実質的な定量的および/または定性的な標準化の効果を有する請求項52ないし91のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項93】
獲得した情報を数字関数によって変換し、好ましくは変換が以下のもの:加法、乗法、多項式、対数、指数、三角法(trigonometric)のうちの1または幾つかである請求項52ないし92のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項94】
獲得した情報に、計算手段の使用によって化学成分の少なくとも1の特性に相関させる前に、変数または関数の不均一な既定のセットを当てはめ(すなわち、アポディゼーション)、好ましくはアポディゼーションが生成する波動関数情報の特性に基づいて決定され、好ましくは目的が周期的または実質的に周期的な系統的な効果を除去または抑制することである請求項52ないし93のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項95】
スペクトル情報を波動関数のスコアを決定することによって決定し、好ましくは波動関数が単一スペクトル要素の余弦または正弦関数であり、より好ましくは波動関数が減衰または放射特徴のようなスペクトル特徴を表す関数であり、好ましくはスペクトル特徴が単一を超える減衰または放射特徴を含む請求項52ないし94のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項96】
評価する試料または試料の標本を、評価の前、少なくとも変調した光についての情報を獲得する間、サンプリングデバイスにロードし、該サンプリングデバイスが、変調した光についての情報を獲得する期間の実質的な間に変調手段と直接的にのみ連動するものであり、好ましくは該サンプリングデバイスが単一試料の評価に適しており、好ましくは該サンプリングデバイスが評価の完了時に処理される請求項52ないし95のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項97】
試料の少なくとも1の化学的および/または物理学的特性を評価する方法であって、
変調手段を確立し、該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を通して得られ、
試料から放射された、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を干渉計変調し、
変調した光または該変調した光から派生した特性を少なくとも1のディテクタで検出し、ここに変調した光シグナルについての情報の獲得を外部情報または外部シグナルに参照せずに行い、
検出した光についての情報を光路長に相関させ、
インターフェログラムを得、
得られたインターフェログラム、および/または検出した光についての情報および光路長を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む該方法。
【請求項98】
請求項1ないし51のいずれか1項に記載のいずれかの特徴を含む請求項97記載の方法。
【請求項99】
試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムであって、
変調手段、該変調手段は干渉計を含み、ここに光路差は該干渉計における少なくとも1の光学コンポーネントの運動を通して得、該干渉計は試料から放射され、試料と相互作用したおよび/または試料に放射された光を変調することができ、
変調した光または該変調した光から派生した特性を検出することができる少なくとも1のディテクタ、ここに変調した光シグナルについての情報の獲得を外部情報または外部シグナルに参照せずに行い、
検出した光についての情報を光路長に相関させてインターフェログラムを得る手段、および
得られたインターフェログラム、および/または検出した光についての情報および光路長を少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段
を含む該システム。
【請求項100】
請求項52ないし96のいずれか1項に記載のいずれかの特徴を含む請求項99記載のシステム。
【請求項101】
試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価する方法であって、
a)試料と相互作用した光の検出した変調を表すインターフェログラムを得、ここにインターフェログラムの情報は光路差に相関させることができ、
b)光路差に対する該相関に対応する単一のスペクトル成分または単一のスペクトル特徴についての干渉ローディングを、およびインターフェログラムを形成した条件と実質的に同様の条件下で決定または概算し、
c)所望により、工程b)を所定の回数繰り返し、
d)該インターフェログラム中の干渉ローディングのスコアを決定し、ついで
e)該スコアを、少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む該方法。
【請求項102】
工程d)において決定するスコアをスペクトルに変換する請求項1記載の方法。
【請求項103】
請求項1ないし51のいずれか1項に記載のいずれかの特徴を含む請求項101または102記載の方法。
【請求項104】
試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムであって、
a)試料と相互作用した光の検出した変調を表すインターフェログラムを得る手段、ここにインターフェログラム中の情報は光路差に相関させることができ、
b)光路差に対する該相関に対応する単一のスペクトル成分または単一のスペクトル特徴についての干渉ローディングを、およびインターフェログラムを形成した条件と実質的に同様の条件下で決定または概算する少なくとも1のディテクタ、
c)所望により、工程b)を所定の回数繰り返す手段、
d)該インターフェログラム中の干渉ローディングのスコアを決定する手段、および
e)該スコアを少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段
を含む該システム。
【請求項105】
決定したスコアをスペクトルに変換する手段を含む請求項104記載のシステム。
【請求項106】
請求項52ないし96のいずれか1項に記載のいずれかの特徴を含む請求項104または105記載のシステム。
【請求項107】
干渉計を標準化する方法であって、
a.該干渉計において少なくとも1の標準化試料から少なくとも1のインターフェログラムを創製し、
b.該標準試料または少なくとも1の標準特徴についての標準インターフェログラムを提供し、
c.該標準インターフェログラムを、工程a)で得た該少なくとも1のインターフェログラムに相関させ、ついで
d.工程c)で得た相関情報に基づいて干渉計を標準化する
ことを含む該方法。
【請求項108】
工程c)における相関を、観察の時間を光路差に相関させることによって行う請求項107記載の方法。
【請求項109】
相関を干渉計によって行う走査ごとに行う請求項107または108記載の方法。
【請求項110】
相関を所定の周波数または時間間隔で行う請求項107または108記載の方法。
【請求項111】
標準試料が以下のもの:環境試料、飲用水、浴用水、プロセス用水、冷却水のような水性試料;組織試料、血液試料、尿試料、糞試料、細胞培養試料、細菌培養物、酵母培養物のような生物学的試料;油試料、石油試料、油脂試料、医薬試料のような工業試料;ミルク試料、日用品試料、肉試料、魚類試料、果実試料、野菜試料のような食物試料;排気ガス、発酵ガス、可燃性ガスのような気体試料のうちの1から選択される請求項107ないし110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
標準特徴のインターフェログラムが水のインターフェログラムである請求項107ないし111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価する方法であって、
請求項107ないし112のいずれか1項に記載したように標準化した干渉計を確立し、
試料から少なくとも1のインターフェログラムを得、
干渉計の標準化から得た標準化パラメータに基づいてインターフェログラムを標準化し、ついで
標準化したインターフェログラムまたは該インターフェログラムから導き出した情報を試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる
ことを含む該方法。
【請求項114】
請求項1ないし51のいずれか1項に記載の1またはそれを超える特徴を含む請求項113記載の方法。
【請求項115】
試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性を評価するシステムであって、
請求項107ないし112のいずれか1項に記載したように標準化した干渉計、
試料から少なくとも1のインターフェログラムを得るための手段、
干渉計の標準化から得た標準化パラメータに基づいて干渉計を標準化する手段、および
標準化したインターフェログラムまたは該インターフェログラムから導き出した情報を試料の少なくとも1の化学的または物理学的特性に相関させる手段
を含む該システム。
【請求項116】
請求項52ないし96のいずれか1項に記載の1またはそれを超える特徴を含む請求項115記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−537425(P2007−537425A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511868(P2007−511868)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000325
【国際公開番号】WO2005/111560
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(501175605)シェモメテック・アクティーゼルスカブ (6)
【氏名又は名称原語表記】CHEMOMETEC A/S
【Fターム(参考)】