説明

試料ステージ

【課題】
柔軟性と精度の両方を与える歯付きラックとその駆動配列の設計を見出すこと。
【解決手段】
試料ステージは支持体と支持体上の第一長さの細長い案内部とから成る。少なくとも一つの移動可能なプレートは案内部により案内される支持体上にある。プレートを移動させる駆動配列である。駆動配列は、少なくとも一つの回転可能な軸と、軸に連結されて軸を回転するアクチュエータと、軸に連動されて連結されて回転を伝達するピニオンと、第二長さの歯付きラックとから成り、そのラックの歯がピニオンの歯と係合してピニオンの回転運動をラックの直線運動へ変換する。ラックは柔軟であり、少なくとも一つの曲がった部分に、適切に直線部分に案内される。柔軟性にもかかわらず幾つかの剛性を備えるために、ラックの歯がハロゲン化エチレンの本体に機械加工される。適切に、ピニオンが曲がった部分に対して半径方向外面におけるラックと係合する。軸は容易な交換をできるようにピニオンに開放自在に連結され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第一長さの細長い案内配列によって案内され、支持プレートとその支持プレート上に配列された移動可能なプレートとから成る特に顕微鏡用の試料ステージに関する。この案内配列は案内面から成る。駆動機構は移動可能なプレートを移動させるために設けられている:駆動機構は回転軸と、アクチュエータを回転させて移動可能なプレートを移動させるために軸に連結されたアクチュエータとから成る。さらに、駆動機構はアクチュエータの運動をプレートに伝動する伝動機構から成る。この伝動機構は駆動機構から回転を伝達するために軸に連結された(少なくとも一つの)ピニオンと、第二長さの歯付きラックとを包含する。ラックはピニオンと係合し且つ移動可能なプレートに連結されて移動可能なプレートを移動させる歯から成る。歯付きラックを移動可能なプレートに連結させる連結器がある。この配列には、案内配列が歯付きラックとの案内連結部であり、然して案内配列の第一長さがラックの第二長さより長い。案内配列は少なくとも一つの湾曲された部分とラックが柔軟であるように適切に少なくとも一つの直線部分とから成る。
前記タイプの試料ステージが通常には顕微鏡に使用されるけれども、これら試料ステージは種々の適用に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開第97/26576号明細書(特許文献1)による顕微鏡用試料ステージは静止支持プレートから成り、実施例では試料ステージがクロススライドとして形成され、そのクロススライドに連結された二つの滑りプレートから成る。これら滑りプレートはx,y座標の方向において移動可能である。駆動配列は滑りプレートを移動するために設けられている。二つの共軸方向旋回ノブはアクチュエータとして用いられる。
【0003】
これら共軸方向旋回ノブはそれぞれに回転軸を介してピニオンにしっかりと連結されて、ピニオンが頑丈な歯付きラックの歯と噛み合う。頑丈な歯付きラックの各ラックは連動滑りプレートにしっかりと連結されているので、対応旋回ノブの任意の旋回運動がその連動滑りプレートにしっかりと伝達される。
【0004】
出来るだけ大きい移動工程が有効とされる物体を観察する要件がしばしばであり、そして公知の設計は連動滑りプレートより区別可能に長い歯付きラックを備える。しかしながら、この構造は、歯付きラックが滑りプレートの長さを著しく越えるので、例えば顕微鏡試料ステージ用のより高い空間要件ばかりではなく、物体を観察するのに必要な幾つかの場合における試料ステージを旋回することは、もはや出来ないか或いは制限された範囲のみである不利益を有する。
【0005】
そのような不利益を回避するために、ドイツ民主主義共和国特許第226091号明細書(特許文献2)は滑りプレート用の駆動手段としてケーブル引張りを示唆し、ケーブルが二つの偏向プーリーの周りに案内されている。滑りプレートは非積極的方法で接続されている。偏向プーリーは支持プレートの限度内に位置されていて且つ回転軸によって駆動される。そのような構造は成分の数により費用がかかり、ケーブルが高い磨減りを受けるから、かなりの保守やサービス作業を必要する。その他の不利益は、調整の必要な精度に影響を与える振動に帰着することである。
【0006】
ピニオンと協働する柔軟な歯付きラックは、回転運動を直線運動へ変換する伝達ユニットとして米国特許第3822606号明細書(特許文献3)によるコンベアにおいて知られている。柔軟な歯付きラックはその部分のすべての部分において自由に曲げられる得るような弾性を有する。
【0007】
ドイツ特許出願公開第4413884号明細書(特許文献4)はファンモータの回転数の制御成分としてスライダーを有する真空掃除機を開示する。この構造において、スライダーと関連した歯付きラックは器具ハウジングの直線と曲った領域で案内されている。歯付きラックの長さはハウジングの寸法から独立していて、スライダーはハウジングの外縁にまで移動され得る。
【0008】
柔軟な歯付きラックが空間節約構造にできるけれども、それらの一つの問題は幾つかの応用においてあり、マイナス20℃から到達する全く異なる温度条件のもとで作動されなければならないか、或いは室温にまで下げる、又はより高く作動されなければならない。しかしながら、ドイツ特許出願公開第102004007306号明細書(特許文献5)は極端な条件の下で柔軟性を欠くポリオキシメチレンの使用を示唆した。
【0009】
それ以上の問題は、歯付きラックが(時間及び/又はある温度範囲にわたり)柔軟であり、その間に歯とその距離が比較的頑丈であって必要な精度を与える矛盾した要件がある。
【0010】
柔軟性/剛性の関係におけるまだ他の問題は幾つかの限定された柔軟性の歯付きラックが曲げた後に半径方向内部案内面から離れて動く傾向を有することである。しかしながら、これは、前記ドイツ文献によると、両方の歯が互いにから離脱される状況まで、歯付きラックの歯により半径方向内部面に位置されているピニオンの係合に影響を与える。
【0011】
先行技術の他の問題は、それぞれのピニオンがある長さの回転軸に接続されなけならないことにある。しかしながら、軸の長さが異なる大きさの試料ステージ及び/又は顕微鏡に適用されなけならない。このことは先行技術の構造では不可能であった。
【特許文献1】国際特許出願公開第97/26576号明細書
【特許文献2】ドイツ民主主義共和国特許第226091号明細書
【特許文献3】米国特許第3822606号明細書
【特許文献4】ドイツ特許出願公開第4413884号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第102004007306号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明の目的は、前記不利益を克服し、特に柔軟性と精度の両方を与える歯付きラックとその駆動配列の設計を見出すことである。
【0013】
他の目的は、それぞれの応用に適用できる駆動配列を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第一態様では、柔軟性/精度は1N/mm2 以下で実質的変更のない最高静止圧荷重のハロゲン化エチレン材料の細長い歯付きラックを備えることによって解決される。このハロゲン化材料が好ましくはポリテトラフルオロエチレン材料である。
【0015】
ハロゲン化エチレンと特にポリテトラフルオロエチレンが細長い歯付きラックに形成されるために、通常には焼結され得て、次に必要な柔軟性と、同時に必要な精度を与えるのに必要な歯の剛性とを有しなかったから、成形は二つの工程において行われなければならないことになる:
1.ある柔軟性を与えるために実質的に平行構成における長い高分子鎖を得るように材料を押出すること。この為には、1N/mm2 以下の、好ましくは約0.7N/mm2 の許容圧の材料は、材料がより高い剛性を備える傾向があるから、理想であることがわっかった。「許容圧」という用語は、例えばウイーンにおけるカインドル(Kaindle)或いはハードにおけるファイグル(Faigle)(オーストリア)の供給者によって、ポリテトラフルオロエチレンの含有量に於ける表で慣例的に使用されている。
2.第二工程において、押出し細長いロッドの外面は、好ましくは簡単に材料に歯を機械加工する或いは切断することによって僅かに加熱される。これは驚くべき効果を有する:ポリテトラフルオロエチレンのようなハロゲン化エチレンが温度によりほとんど影響されないと知られているけれども、室温上の比較的低い温度がより高い剛性を有する。理論に見出されることを望むことなしに、温度の増加がその含有量を減少させる可塑剤に影響を与えることが最も確からしい。それで、歯を機械加工する中に表面を局部的に加熱することによって、それぞれの面領域がより硬く或いはさらに頑丈になる。少なくとも40℃、例えば50℃の局部的に加えられた熱(機械加工の短時間中)が所望の剛性を備えるのに十分であることがわかった。
【0016】
この表面硬化がさらに必要である本体の柔軟性に影響を与えるのを避けるために、機械加工された歯付きラックを直ちに、好ましくは第三工程において室温まで或いはより低く冷却することがこのましい。
【0017】
それ故に、本発明は柔軟な本体と硬い歯付き表面の両方を有する歯付きラックを製造する方法に関するものであることがわかる。
【0018】
本発明の第二態様では、それぞれのピニオンが軸を交換でき且つ異なる長さの軸を必要とする異なる寸法の顕微鏡或いは器具に試料ステージを組み立てできる開放可能な連結器によって連動された軸に連結されていることが提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
更なる詳細部や利点は添付図面を参照しながら次の記述から明らかになる。
【実施例】
【0020】
図1には、顕微鏡(図示されていない)のために適切に使用される試料ステージが表示される。この試料ステージはコンソール3aのような適切な支持配列によって支持された少なくとも二つの水平プレート2と3から成る。そのプレート2は例えばx座標の方向に、即ちその側面の一つと実質的に平行な一方向に直線的に移動でき、その間にクロススライドの場合において順にプレート2を支持するプレート3は、詳細に後で記載されるように、y座標に対応する方向に、即ちプレート2の変位の方向に垂直に移動できる。幾つか例では、x或いはy座標の一方で十分である。支持コンソール3aは顕微鏡の足部分或いは保持部分に連結され得る。
【0021】
水平プレート2と3を移動するために、ノブ6と7を旋回することにより作動される(両方プレート2と3が移動できるならば)適切に共軸方向回転可能軸4と5がある。適切に、旋回ノブ7は内部軸5に連結され、その間に旋回ノブ6は軸4に連結されており、その配列はさらに逆転されることができた。プレート2と3の前記変位は試料ステージのおよそ中心に配列される物体の種々の細部を観察できるために役立つ。各軸4と5はプレート2と3の異なる一方の運動に連動される。それ故に、軸4と5の共軸方向配列が空間を節約し、ノブ6と7による手動作動を容易とするけれども、さらに分離された二つの軸(とノブ)を有することが可能であった。
【0022】
図2では、プレート2と3は図1と逆さまに上側で表現され、旋回ノブ7により作動された(図1)軸5の回転運動をこの図においてプレート3の下にある移動可能なプレート2の直線変位へ変換するために駆動機構と伝達機構を例示する。
【0023】
プレート3は第一直線部分9a,曲がった部分9bと,例えば部分9aに実質的に(しかし必ずしも必要ない)垂直に延びる他の直線部分9cを包含する溝9を有する。この溝9には、図4と5における大きな寸法で表現される柔軟な歯付きラック8が形成されて延びている。溝9内で歯付きラック8を移動できるために、ラック8は溝9の長さより短い長さを有する。
【0024】
軸5に連結されたピニオン10は歯付きラック8の歯17(図4)と係合し、滑り運動を歯付きラック8に与える。図2に示された実施例において、ピニオン10は前記曲がった部分9bの範囲内に位置されているけれども、直線部分9cの直接結合部分に位置されている。従って、歯付きラック8の歯17(図4)は曲がった部分9bに関して(図3を参照)少なくともおよそ半径方向内面にある。ピニオンは回転可能にプレート3に支持されている。この細部は図3において大きな寸法に表現され、歯付きラックは簡略化のために省略されている。
【0025】
ピニオン10の回転運動をプレート2の直線運動へ変換するために、歯付きラック8と一緒に動く連結プレート12がある。さらに、連結プレート12は示さないが、しかし公知である方法でプレート2に連結されている。連結プレート12は単に摩擦的にラック8やプレート2に連結されている。連結プレート12が直線部分9aに移動するから、プレート2は、一方では歯付きラック8と連結プレート12により且つプレート3のスロットのような案内面13により両方でx座標と呼ばれる同じ方向に案内される。
【0026】
それ故に、回転軸5がその旋回ノブ7により旋回されるならば、ピニオン10と歯付きラック8の伝達機構が案内面13に沿ってプレート2を支持するプレート3の下に位置した(図2で見ると)プレート2を動かし、それで試料ステージ1のx座標に動く。支持プレート3の溝9を曲げることにより、移動可能なプレート2の変位行程は比較的に長いけれども、そのプレートが端位置に到達するときに歯付きラックが試料ステージ1の外形を越えて横方向に突き出すことはない。
【0027】
試料ステージがクロススライドとして形成されてxとy座標に対応する方向において移動できるならば、支持コンソール或いは図2におけるプレート3と同様な対応支持プレートは軸4に連結される他のピニオンを支持さなければならなく、しかし他の直線部分9cに沿って動く連結プレートを備える。それ故に、クロススライドにより、軸4、5の一方がプレート3に支持されたピニオン10と連結されるように他方の軸5或いは4に連結されたそれぞれのピニオンを貫通しなければならないことが明らかである。
【0028】
既に述べたように、歯付きラックは図3と図4に詳細に例示されている。特に図3と図4の比較は、ラック8が曲がった部分9bを通って移動するときにその長さにわたり曲げられる十分な柔軟性を有しなければならないことを明らかにする。柔軟性を増強するために、後から説明されるように、歯付きラック8はそれが図7による実施例に使用されるならば、半径方向内面に切開部18から成る。他方では、歯17が曲げられないが、しかしその形状を保ち、ピニオン10の精密な係合とプレート2の正確な変位とをできることが重要である。それ故に、この歯付きラック8が反対の要件を受けることが明らかである。
【0029】
問題を解決するために、歯付きラック8は、1N/mm2 以下の実質的変更なしの最高静止圧荷重のハロゲン化エチレン材料、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の押出しロッドから形成される。これは、表面面積あたりの比較的低い許容圧であり、材料に比較的良好な柔軟性を与える。特に好ましくは0.5N/mm2 以上、例えば0.7N/mm2 のPTFEである。
【0030】
しかしながら、そのような弾性材料により、歯17が曲げられ、プレート2の位置の正確な調整を阻止した。しかし、驚くべきことに、歯付きラックの表面の熱処理により表面がさらに頑丈になる。この現象の起こり得る理由は上記に説明されていた。
【0031】
歯17は表面をいずれにしても切断されるか、或いは機械加工されなければならないから、表面のみを硬化するために機械加工により発生した熱を使用し、しかし柔軟状態においてラック8の本体を維持することが適している。これを制御の下で保つために、約40℃、例えば50℃より高い熱が発生される機械加工直後にラック8を冷却することが適している。この方法では、歯付きラック8は柔軟なカバー或いは本体と歯17を包含する硬化表面との両方を有するものを得られる。
【0032】
柔軟な歯付きラック8は種々の形状と種々のタイプの歯を有する。歯はそれぞれに歯付きラックの長手方向軸線19に垂直な平面に横たわるが、しかし、この方法では、プレート2に与えられた運動がよりスムーズであるから、図4に示される如く、長手方向軸線19に関して傾斜された歯を備えることが好ましい。20°と30°の間の傾斜角度と約0.5のモジュールを備えることによって、精度として最高の結果が達成された。実際の例では、傾斜角度が21.4°である。
【0033】
図4において見られているように、曲げを補強するために(湾曲された部分9bに関して)歯付きラック8の半径方向内面に好ましくは楔状切開部18がある。少なくとも図7の場合には、切開部18は歯17とおよそ正反対である。これら切開部18は、図5に示される如く、ラックの長手方向軸線19と垂直な平面で適切に切断される。図4では、切開部18は、隣接歯17の間の距離が切開部18間の距離より小さいように間隔を置かれている。しかしながら、これは各場合において必要ない、と言うのは図7の実施例では歯と切開部18間のおよそ同じ距離を備えることが有効であるからである。なぜなら、切開部18の距離は大きく曲がった部分9bの曲率半径に依存する(図2)からである。それ故に、歯17の距離より小さい切開部18の距離を選択することができた。切開部18の形状は示される如く楔状に形成されるが、しかしラック8の曲げの最も良く適合する異なる形状を有する。さらに、溝9内のより良い案内のためにラック8の端領域における歯を省略するのに役立つ。
【0034】
図6において見られるように、溝9は導入した柔軟な歯付きラック8が全体的に支持プレート3の表面14の下にあるような支持プレート3内の深さを有する。支持プレート3の表面14における溝により形成されたスロット16の幅15は異なる部分9a,9bと9cにおいて異なる。連結プレート12が位置される部分9aには、スロット16の幅15は溝9の最高幅と便宜上で一致する。しかしながら、溝の湾曲された或いは曲がった部分9bには、スロット16の幅15が長さにわたり徐々に減少させるならば、その間に直線部分9cにてピニオン10が配列されていて、幅15が溝9の最大幅より十分に小さい(図3を参照)ことが好ましい。
【0035】
曲がった部分9bの範囲と半径方向内面におけるピニオン10の配列は、ピニオン10がある角度にわたり歯付きラック9によって囲まれるという事実から役立つけれども、柔軟性と剛性と反対の要件が、柔軟な歯付きラックの本出願において、他の問題を生じることがわかった:十分な柔軟性と同時に十分な剛性を(価格を上昇させた異なる組立て構成部材から成る歯付きラックを少なくとも製造することなしに)備えることは難しいから、人は中間物を求めなければならない。それ故に、歯付きラック8の柔軟なコアのみが、図7の矢印20により例示されるように、曲がった部分9bの領域において延びる傾向を有する。これは、図2にて表現されるように、ピニオンが半径方向内面にあったならば、ピニオン10の歯からラック8の歯を離脱させたことを意味する。それ故に、図7に見られるごとく、半径方向外面にピニオン10を配列することが最も有益である。これは、一方ではピニオン10と歯17との共働を促進させ、他方では正反対側に切開部18(図4)の効果と干渉せない。それとはちがって、ラックの弾性は遊びのない歯の相互係合を生じるので、プレート2或いは3の調整或いは変位の精度が改良される。
【0036】
図7は、もう一度、駆動配列の幾つかの細部を示す。軸4、5の内部軸5に連結される一つのピニオン10のみが示されるけれども、軸4がプレート3の表面の平面と平行な平面で終わることは明らかである。それ故に、プレート3がクロススライドを形成するためにプレート2の方向と垂直な方向に移動するならば、軸4の下端が第三(図7において:上)支持プレートにより支持された他のピニオンに連結され、その支持プレートを通して軸5が貫通する。例えば円形形状(星形状、或いは円形のような、しかし平らになった或いは同様な)から逸脱するピニオンに中心孔を備えることにより、その孔を通して補足的外部横断面形状の軸4或いは5が対になった状況に延びていることで、それぞれのピニオンに連結させることが公知の方法で行われる間には、共軸方向軸4と5をもつユニットを形成し且つスロット孔22を貫通したねじによってプレート3に固定される軸受ブロック21(透明なブロックとして示される)を備えることが可能である。この方法では、異なる長さ及び/又は寸法の及び/又は選択的に手動作動可能な旋回ノブ或いはモータ駆動への接続部を備えた対の軸4、5の備えて、単にその軸受ブロック21を介して対を連結することにより要件、顕微鏡などの寸法によってそのような対の軸4、5をピニオン10に据付け連結することが容易である。
【0037】
例:
長さ273mmと直径4mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のロッドは、実質的に平行な高分子鎖を得るように押出された後に、歯カッターにより切断され、特殊形状が可能であったけれども、インボリュウート或いはサイクロイドのような特殊形状を歯に与えるよりむしろ単なる切断部の形状の歯を形成する。単なる切断部は限定された範囲に加熱を保つために生産がより簡単で且つより迅速である。歯付き部分はラックの一端において開始する長さで160mmであった。切断部或いは歯は長手方向軸線(図5を参照)に関して21.4°の角度を有し、互いからの歯の距離が1mmであって、各切断の幅が0.3mmであって且つ深さは各歯の天部から測って1.3mmであった。
【0038】
直線切開部は互いからの1mmの距離にロッドの正反対面(歯に関して)に切断され、各切開部の幅が0.3mmであって、深さが1.3mmであった。それ故に、切開部と歯が等しく寸法されたことが明らかである。
【0039】
機械加工中にロッドは50℃を越えて幾らか加熱されるが、しかし1秒の期間に冷却されるか、或いは室温(20℃)まで下降されて熱がラック本体の内部へ浸透することを避ける。
【0040】
それで、得られた歯付きラックは前記実施例のプレート3のように、プレートの溝9内に挿入されて、一端から他端まで溝9の長さを走行するように駆動されていた。120,000回走行した後に、歯付きラックの表面の知覚可能な変化が観察されなかった。
【0041】
本発明の範囲内で無数の態様が可能である;例えば歯付きラック8用のガイドは、そのような溝が精度と正確度を増強させるけれども、必ずしも溝9の形状である必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】各プレートがアクチュエータ装置によってx或いはy座標の方向のいずれかに移動できるプレート配列をもつクロススライドとして形成された試料ステージの斜視図を示す。
【図2】一枚の移動可能なプレート用の柔軟な歯付きラックを包含する駆動機構を例示する図1と逆に上面に旋回された他の斜視図を示す。
【図3】図2の細部を拡大寸法でを示す。
【図4】柔軟な歯付きラックの実施例の斜視図を示す。
【図5】その長手方向軸線の平面に関して傾斜された歯を有する歯付きラックの実施例の平面図を示す。
【図6】歯付きラックの案内配列の横断面図を示す。
【図7】図2と同様な斜視図として示された細部であるが、しかし選択的実施例である。
【符号の説明】
【0043】
1.....試料ステージ
2,3...水平プレート
3a....コンソール
4,5...軸
6,7...旋回ノブ
8.....歯付きラック
9.....溝
10....ピニオン
12....連結プレート
13....案内面
17....歯
18....切開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持手段と;その支持手段上の第一長さの細長い案内手段と;前記案内手段により案内される前記支持手段上の移動可能なプレートと;前記プレート手段を移動する駆動手段であって、前記駆動手段は、回転可能な軸手段と、前記軸手段に連結されて前記軸手段を回転させるアクチュエータ手段と、前記軸手段に連結されて回転を伝達するピニオン手段と、長手方向軸線に沿って延びる第二長さの歯付きラック手段と、前記ラック手段が前記ピニオン手段と係合する歯から成って前記移動可能なプレートと連結されて前記プレート手段を移動させること、前記歯付きラック手段を前記移動可能なプレート手段に連結させる連結手段とを包含するものと;から成り、然して前記案内手段は前記歯付きラック手段との案内連結部であり、前記第一長さが前記第二長さより長く、少なくとも一つの湾曲された部分から成り、前記歯付きラック手段は前記湾曲された部分を追従できるように異なる温度状態の下で柔軟であるために、1N/mm2 以下で実質的変更のない最高許容静止圧荷重のハロゲン化エチレン材料であることを特徴とする試料ステージ。
【請求項2】
前記ハロゲン化エチレンがポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1に記載された試料ステージ。
【請求項3】
前記歯付きラックは長さに渡って間隔をおいて前記曲がった部分に面するよう位置され、それで屈曲を容易とする切開部から成ることを特徴とする請求項1に記載された試料ステージ。
【請求項4】
前記切開部は前記歯付きラックの歯の約±10%の距離を有するように間隔をおいていることを特徴とする請求項3に記載された試料ステージ。
【請求項5】
前記ハロゲン化エチレンは0.5N/mm2 以上で実質的の変更ない許容静止圧荷重をもつことを特徴とする請求項1に記載された試料ステージ。
【請求項6】
前記ハロゲン化エチレンは約0.7N/mm2 で実質的変更のない許容静止圧荷重をもつことを特徴とする請求項1に記載された試料ステージ。
【請求項7】
前記歯付きラック手段の前記歯は単なる切断の形状であることを特徴とする請求項1に記載された試料ステージ。
【請求項8】
前記歯付きラック手段の前記歯は前記長手方向軸線の平面に関して傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載された試料ステージ。
【請求項9】
支持手段と;その支持手段上の第一長さの細長い案内手段と;前記案内手段により案内される前記支持手段上の移動可能なプレートと;前記プレート手段を移動する駆動手段であって、前記駆動手段は、回転可能な軸手段と、前記軸手段に連結されて前記軸手段を回転するアクチュエータ手段と、前記軸手段に連結されて回転を伝動するピニオン手段と、第二長さの歯付きラック手段と、前記ラック手段が前記ピニオン手段と係合する歯から成って前記移動可能なプレートと連結されて前記プレート手段を移動させること、前記歯付きラック手段を前記移動可能なプレート手段に連結させる連結手段とを包含するものと;から成り、然して前記案内手段は前記歯付きラック手段との案内連結部であり、前記第一長さが前記第二長さより長く、少なくとも一つの湾曲された部分と少なくとも一つの直線部分とから成り、前記歯付きラック手段は前記湾曲された部分にて曲げられるときに半径方向外面に面するように配列され、その間に前記ピニオン手段が前記歯付きラック手段の外面に面するように適切に配列されていることことを特徴とする試料ステージ。
【請求項10】
前記ピニオンは前記曲げた部分をちょうど結合する位置において前記歯付きラックに対して押圧するよう配列されていることを特徴とする請求項7に記載された試料ステージ。
【請求項11】
支持手段と;その支持手段上の第一長さの細長い案内手段と;前記案内手段により案内される前記支持手段上の移動可能なプレートと;前記プレート手段を移動する駆動手段であって、前記駆動手段は、回転可能な軸手段と、前記軸手段に連結されて前記軸手段を回転するアクチュエータ手段と、前記軸手段に連結されて回転を伝動するピニオン手段と、前記軸手段と前記ピニオン手段とを相互連結する第一連結手段であって、前記連結手段が前記軸手段の交換できる開放タイプであるものと、前記歯付きラック手段を前記移動可能なプレート手段に連結させる第二連結手段とを包含するものと;から成り、然して前記案内手段は前記歯付きラック手段との案内連結部であり、前記第一長さが前記第二長さより長く、少なくとも一つの湾曲された部分と少なくとも一つの直線部分とから成ることを特徴とする試料ステージ。
【請求項12】
前記軸手段は一対の共軸方向軸から成ることを特徴とする請求項9に記載された試料ステージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−171350(P2007−171350A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366183(P2005−366183)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(505469104)ヴィルト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】