説明

試料分析装置、試料分析本体装置、及び試料容器供給装置

【課題】試料分析装置の構造を簡素化する。
【解決手段】 試料容器2に収容された試料を吸引して分析する試料分析装置1において、試料容器2を手動でセットするための試料容器セット部310と、一又は複数の試料容器2を保持する保持台5がセットされる保持台セット部410と、前記保持台セット部410にセットされた保持台5に保持されている試料容器2を前記試料容器セット部310へ移送して供給するための試料容器供給部420と、前記試料容器セット部310にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部330と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料分析装置、試料分析本体装置、及び試料容器供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料分析装置としては、例えば、血液分析装置などがある。このような試料分析装置では、試料容器(採血管)に入った血液等の試料を吸引して、吸引した試料を試薬と混合した上で、混合試料を測定装置で測定し、それを分析して分析結果を得るよう構成されている。
【0003】
試料分析装置は、多数の試料容器に入った試料を効率的に処理するため、サンプラと呼ばれる試料容器の自動供給装置を備えているのが一般的である。サンプラを持つ試料分析装置を用いる場合、作業者が複数の試料容器をサンプラにセットすれば、複数の試料容器は、順次、試料の吸引部へ自動搬送されて吸引が行われる。したがって、作業者は、試料容器を1個ずつ試料分析装置にセットする必要がない。
【0004】
このような機能を持つ装置の一例として、特許文献1に記載の血液製品サンプルの処理装置がある。この血液製品サンプルの処理装置は、カセットに積み込まれた管内に含まれる血液製品のサンプルを収集可能なサンプリング手段と、血液製品が含まれた管を積み込んだカセットを移動させる移動手段とを備えている。
【0005】
さらに、血液製品サンプルの処理装置は、血液製品が含まれた管を手動で積み込む手動積み込み手段を備えている。この手動積み込み手段は、前記移動手段の近くに配置され、そして少なくとも1つの管を保持し、カセットの無い時に、前記移動手段及びサンプリング手段の経路内にその管を配置して前記サンプリング手段によってサンプルの収集を可能とするように設計されている。
これにより、カセットに積み込まれた管以外の管を、手動で積み込んでサンプリング手段による吸引を行うことができる。
また、前記手動積み込み手段は、管を手動で積み込む際には、回動傾斜しており、前記移動手段及びサンプリング手段の経路内にその管を配置する際には、手動積み込み手段を回動させるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−71699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記処理装置における問題点としては、装置が複雑ないし大型化することが挙げられる。例えば、上記処理装置では、サンプル(試料)を吸引するサンプリング手段(吸引部)は、カセットにセットされた管からサンプルを吸引する場合と、手動積み込み手段に積み込まれた管からサンプルを吸引する場合とがある。
このため、サンプリング手段は、上記2つの場合での吸引に対応する必要があるため、機構が複雑化し、あるいは大型化する。
【0007】
そこで、本発明は、試料分析装置等の構造を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[試料分析装置]
本発明は、試料容器に収容された試料を吸引して分析する試料分析装置において、試料容器を手動でセットするための試料容器セット部と、一又は複数の試料容器を保持する保持台がセットされる保持台セット部と、前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を前記試料容器セット部へ移送して供給するための試料容器供給部と、前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、を備えている。
【0009】
上記本発明によれば、保持台の試料容器を移送する試料容器供給部は、手動で試料容器がセットされる試料容器セット部に、保持台の試料容器をセットする。したがって、試料容器は、手動で試料容器をセットする場合も、試料容器供給部によって試料容器をセットする場合も、共に、試料容器セット部にセットされる。
そして、吸引部は、試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引するよう構成されているから、手動でセットされる場合も試料容器供給部でセットされる場合も、同様に試料吸引を行える。
【0010】
他の観点からみた本発明は、試料容器に収容された試料を吸引して分析する試料分析装置において、管状の試料容器を略垂直に立てた状態でセット可能な試料容器セット部と、一又は複数の管状の試料容器を略垂直に立てた状態で保持する保持台がセットされる保持台セット部と、前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を前記試料容器セット部へ移送して供給し、略垂直に立てた状態でセットするための試料容器供給部と、前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、前記試料容器セット部にセットされた試料容器を、当該試料容器が略垂直に立った状態のまま前記吸引部へ移動させる移動部と、を備えている。
【0011】
上記本発明によれば、吸引部は、試料容器が、手動でセットされる場合も試料容器供給部でセットされる場合も、同様に試料吸引を行える。しかも、特許文献1のように手動セット時の試料容器の方向が傾いておらず、手動セット時の試料容器の方向が略垂直である。したがって、試料供給部によるセットのときの試料容器も垂直略に立てて行え、試料容器供給部による試料供給が簡単になる。
【0012】
試料分析装置を手動モード及び自動モードで動作制御可能な制御部を備え、前記制御部は、前記手動モードが選択されると、前記試料容器セット部に手動でセットされた試料容器内の試料を吸引して分析するよう制御し、前記自動モードが選択されると、前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を、前記試料容器セット部にセットすべく移送して、前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引して分析するように制御するのが好ましい。
上記構成によれば、手動モードのときは、試料容器を試料容器セット部に手動でセットすれば試料分析が行われ、自動モードのときは、保持台の試料容器が試料容器セット部にセットされて試料分析が行われる。
【0013】
前記試料容器供給部は、試料を撹拌した後に、試料容器を前記試料容器セット部に移送してセットするのが好ましい。
この場合、試料容器セット部には、撹拌された試料容器がセットされる。手動で試料容器をセットする場合には、手動で撹拌された後にセットされるから、試料容器セット部に試料容器がセットされた後の処理工程が共通化される。
【0014】
試料容器に設けられた情報記録部の情報を読み取るための読取部を備え、前記読取部は、前記試料容器セット部にセットされた試料容器の情報記録部の情報を読み取り可能な位置に設けられているのが好ましい。
この場合、読取部は、試料容器セット部にセットされた試料容器の情報記録部の情報(試料容器の識別情報等)を読み取ることができる。
【0015】
前記試料容器セット部にセットされた試料容器を回転させる回転機構部を備えているのが好ましい。試料容器を回転させることで、情報記録部を読取部が読み取りやすい位置に位置させることができ、情報の読み取りが確実に行える。したがって、試料容器を保持台に保持させるときに、情報記録部の位置が揃っていなくてもよい。
【0016】
情報読取は、試料容器の位置合わせ回転後に行っても良いが、前記読取部は、前記回転機構部によって試料容器を回転させながら前記情報記録部の情報を読み取るのが好ましい。この場合、回転中に確実に情報を読み取ることができる。
【0017】
[試料分析本体装置]
他の観点からみた本発明は、試料容器に収容された試料を吸引して分析することができるとともに、試料容器を供給するための試料容器供給装置を後付け可能に構成された試料分析本体装置であって、試料容器を手動でセットするための試料容器セット部と、前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、前記試料容器セット部を移動させる移動部と、を備え、前記移動部は、前記試料容器供給装置が後付けされたときに当該試料容器供給装置から試料容器が供給される試料容器供給位置へ、前記試料容器セット部を移動可能である。
【0018】
上記本発明によれば、試料容器を手動でセット可能な試料分析本体装置の試料容器セット部が、後付けされた試料容器供給装置から試料容器が供給される試料容器供給位置へ、移動できる。したがって、試料容器供給装置を後付けすれば、試料容器供給装置から、試料容器本体装置の試料容器セット部へ、試料容器を供給することができる。
【0019】
他の観点からみた本発明は、試料容器に収容された試料を吸引して分析することができるとともに、試料容器を供給するための試料容器供給装置を後付け可能に構成された試料分析本体装置であって、管状の試料容器を略垂直に立てた状態でセット可能な試料容器セット部と、前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、前記試料容器セット部にセットされた試料容器を、当該試料容器が略垂直に立った状態のまま容器前記吸引部へ略水平移動させる移動部と、を備えている。
【0020】
上記本発明によれば、試料容器セット部は、試料容器を略垂直に立てた状態でセット可能であるため、試料容器供給装置から試料容器を供給するのが容易である。
【0021】
前記試料容器供給装置は、前記試料分析本体装置の少なくとも一面に装着されるよう構成され、前記試料容器供給装置が前記試料分析本体装置の前記一面に装着されると、前記移動部は、前記試料容器セット部を、装着された前記試料分析本体装置の内部へ略水平移動させるのが好ましい。この場合、試料容器セット部は、簡易な構成で、試料容器供給装置内部へ進入することができる。
【0022】
[試料容器供給装置]
他の観点からみた本発明は、試料容器に収容された試料を吸引して分析するために試料容器を手動でセットするための試料容器セット部を有する試料分析本体装置に、試料容器を供給するための試料容器供給装置であって、一又は複数の管状の試料容器を保持する保持台がセットされる保持台セット部と、前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を、前記試料分析本体装置の前記試料容器セット部へ移送して供給するための試料容器供給部と、を備えている。
【0023】
上記本発明によれば、手動セット式の試料分析本体装置に、上記試料容器供給装置をセットすると、試料分析本体装置の試料容器セット部に試料容器を供給できる。したがって、手動セット式の試料分析本体装置の構成を有効活用しつつ、試料容器供給装置を後付けすることができる。
なお、保持台セット部に保持台をセットする場合、手動で保持台を保持台セット部にセットしてもよいし、保持台供給装置によって保持台を自動的に保持台セット部に供給してセットしてもよい。
【0024】
少なくとも前記試料容器供給部が収納されたケーシングを備え、前記ケーシングには、前記試料容器セット部が、前記試料分析本体装置側から当該ケーシング内部へ進入するための開口部が形成されているのが好ましい。開口部が形成されていることで、試料容器セット部は、試料容器供給装置ケーシングの内部へ進入することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、手動で試料容器を供給する試料容器セット部へ、試料容器供給部(試料容器供給装置)から試料容器を供給できるため、構造を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面に基づき説明する。
図1は、試料分析装置1の一例としての血液分析装置を示している。この試料分析装置1は、試料容器(採血管)2に収容された血液試料の測定を行い、その測定結果の分析をコンピュータ7(図1では図示省略)によって行うものである。
【0027】
試料分析装置1は、試料である血液の測定を行う機能を有する試料分析本体装置(血液分析本体装置)3と、複数の試料容器を試料分析装置本体3に自動供給するための試料容器供給装置(サンプラ)4と、を備えて構成されている。
試料分析本体装置3は、元々、図2に示すような、試料容器2を手動でセットして測定を行う手動セット式の試料分析装置3aとして構成されたものである。
前記試料分析装置1は、この手動セット式試料分析装置3aに対して、後付けで、図3にも示す試料容器供給装置4を装着して、両装置3a,4を分離可能に一体化し、脱着可能サンプラ付き試料分析装置として構成したものである。この結果、試料分析装置1は、試料容器2を手動セットできるだけでなく、試料容器の自動供給が可能なものとなっている。
なお、両装置3a,4は、当初の組立製造時から一体化されていてもよい。
【0028】
[試料分析本体装置3(手動セット式試料分析装置3a)]
図2及び図4は、手動セット式試料分析装置3a(試料分析本体装置3)を示している。この手動セット式試料分析装置3aは、試料の測定部などを有する内部機構部301と、この内部機構部301を収納するケーシング302とで主に構成されている。
【0029】
ケーシング302は、前面(一面)が開口したケーシング本体302a(図3参照)と、ケーシング本体302aの前面開口を塞ぐようにケーシング本体302aに取り付けられた前面ケーシング302bとを備えて構成されている。なお、試料分析本体装置3aに、試料容器供給装置4が装着される場合には、前面ケーシング302bは、取り外される(図3参照)。
前面ケーシング302bの右下部分には、開口部304が形成されており、この開口部304を介して、試料容器2を手動でセットするための試料容器セット部310が、ケーシング302内部からケーシング302前方へ突出移動することができる(図2参照)。
【0030】
前記内部機構部301には、前記試料容器セット部310と、この試料容器セット部310を移動させる移動部320とが備わっている。
試料容器セット部310は、管状の試料容器である採血管を、略垂直に立てた状態で保持するための保持孔311(図6参照)を有する載置台312を備えている。保持孔311は、上部が開口し、孔深さ方向が上下方向(鉛直方向)とされている。したがって、試料容器セット部310への試料容器2のセットと取出しは、試料容器2の上下方向(鉛直方向)の抜き差しで行える。
なお、保持孔311は、様々な管径の試料容器を挿入できるように、比較的大きめの径が確保されている。
【0031】
前記移動部320は、載置台312を前後方向に移動させるよう構成されている。図5にも示すように、移動部320は、先端に載置台312が取り付けられており前後に移動自在なスライダ321と、このスライダ321の前後移動をガイドするガイド部322と、スライダ321を駆動する駆動部としてモータ323と、を備えている。
モータ323が回転すると、ベルト324を介して回転運動がガイド部322側へ伝達される。この回転運動は、ガイド部322に内蔵された図示しない回転−直線運動変換機構によって直線運動に変換され、スライダ321を前後方向に移動させる。
なお、このスライダ321は、水平移動するように設けられているため、試料容器セット部310に略垂直にセットされた試料容器2は、略垂直状態を保ったまま水平移動する。
【0032】
スライダ321が前方移動すると、前記試料容器セット部310は、図2に示すように開口部304から前方突出して、保持孔311へ試料容器2をセット可能になる。なお、図2の試料容器セット部310の位置を手動時試料容器セット位置という。また、スライダ321が後方移動すると、前記試料容器セット部310は、図4に示すように内部に収納される。
【0033】
また、前記スライダ321の先端には、前記開口部304を閉じるカバー324が回動自在に設けられている(図2参照)。このカバー324は、図示しないバネによって所定角度だけ外側に傾斜するように付勢されている。このカバー324は、スライダ321が後退すると図2の状態から起立方向へ移動して開口部304を閉じ、スライダ321が前進すると前下がり移動して図2に示す傾斜状態となる。
【0034】
前記ケーシング302の前面には、測定開始ボタン305が設けられている。前記載置台312の保持孔311に試料容器2を挿入してセットした後、このボタン305を押すと、スライダ321が後退して、試料容器2(試料容器セット部310)が装置3内部の吸引位置(図4の位置)に位置する。このように、手動セット式試料分析装置3aにおいて試料容器セット部310は、手動時試料容器セット位置と吸引位置との間を移動自在となっている。
【0035】
装置3内部には、吸引位置にある試料容器2内の試料を吸引するための吸引部330が設けられている。この吸引部330は、下方(鉛直下方向)に移動して、試料容器2を密封する栓体2aを穿刺して、試料容器内の試料を吸引する吸引管331を備えている。なお、吸引部330は、吸引管331を装置3内部で水平に移動させる水平駆動部、及び吸引管331を垂直に移動させる垂直駆動部を備えている。
【0036】
ここで、試料容器セット部310の保持孔311は、既述のように、様々な管径の試料容器を挿入できるように、比較的大きめに形成されている。したがって、保持孔311に収納された試料容器2は、多少傾いたり、保持孔311内で偏って位置したり、ガタついたりする可能性がある。このような試料容器の傾きや偏りやガタツキは、吸引管33が試料容器2内に進入する際の妨げになるおそれがある。
そこで、本実施形態では、吸引位置にある試料容器2のガタツキ等を防止するために位置決めする位置決め部340が設けられている。
【0037】
図5及び図6に示すように、位置決め部340は、装置3内部に位置固定的に設けられた固定位置決め片341と、試料容器セット部310側に設けられた可動位置決め片342とから構成されており、両片341,342で試料容器2を挟持することで試料容器を位置決め固定する。
可動位置決め片342は、載置台312の上部に設けられており、保持孔311に挿入された試料容器2の前側に当接する。試料容器セット部310が吸引位置まで後退すると、試料容器2の後側が固定位置決め片341に当接し、試料容器2は、固定位置決め片341と可動位置決め片342とによって前後方向から挟持される。これにより、試料容器2は固定されて安定的となり、確実な試料吸引が行える。
【0038】
さて、吸引部330によって吸引された試料は、試薬と混合され、測定部に送られる。この測定処理のため、装置3の内部機構部301は、試薬を収納する試薬容器、試薬供給用ポンプ、試薬の供給路、試薬と試料を混合する混合チャンバー、赤血球・血小板・白血球等に関する測定を行う測定部、装置機構部301を制御する制御部301a等を備えている(図7参照)。
なお、制御部は、測定結果の分析処理や装置操作等を行うコンピュータ7と接続されており、コンピュータに対して測定結果のデータを送信したり、コンピュータ7からの操作指令を受け付けることができる。
また、制御部301aは、装置3に試料容器供給装置4が装着された場合には、当該試料容器供給装置4の制御も行うよう構成されている。
【0039】
[試料容器供給装置4]
図1、図3及び図8に示す試料容器供給装置4は、複数の試料容器2を保持した保持台(ラック)5がセットされると、その保持台5にある試料容器2を自動的に取り出して、試料分析本体装置3へ供給するものである。
この試料容器供給装置4は、試料容器供給のための内部機構部401と、内部機構部401を内部に備えたケーシング402とを備えている。なお、図8は、ケーシング402の底面402a及び後面402bを残しつつケーシング402を取り外した状態を描いている。また、図8では、理解の容易のため、試料分析本体装置3の試料容器セット部310及び移動部320も図示している。
【0040】
図3に示すように、試料容器供給装置4を手動セット式試料分析装置3a(試料分析本体装置3)に装着する際には、装置3の前面ケーシング302bを取外した上で、装置3の前面(一面)に試料容器供給装置4が嵌め込まれる。また、両装置3,4の底面には、両装置3,4にまたがって取付板6がネジ等で固定され、両装置3,4が強固に連結される。
【0041】
なお、両装置3,4を結合する際には、両装置3,4間での必要な配線・配管等の接続も行われる。例えば、試料容器供給装置4に設けられた電動モータに電力を供給するための電源ケーブル、同電動モータを装置3の制御部301aで制御するための制御信号線、同装置4に設けられたエアシリンダにエアを供給するためのエアチューブ、同装置4に設けられたセンサからの信号を装置3の制御部に送るためのセンサ信号線などが両装置3,3で連結される。
また、装置3の制御部301aは、装置3による手動モードでの動作制御を行う設定から、手動モードと自動モードの両方の動作制御が行える設定に切り替えられる。
【0042】
[保持台セット部410]
ケーシング402は、その底面402aに、保持台(ラック)5をセットするための保持台セット部410を備えている。この保持台セット部410は、2つ(複数)の保持台5を前後に間隔を置いて載置することができるものである。より具体的には、保持台セット部410は、ケーシング底面402aに、左右に長い凹部411,411が前後に間隔をおいて並設されている。なお、ケーシング402には、保持台セット部410における保持台5の有無を検出する保持台検出センサ(図示省略)が設けられており、保持台5が保持台セット部410にセットされていないときには、試料容器の自動供給動作が行われないように構成されている。
【0043】
また、前記ケーシング402には、前面、右側面及び上面にわたる開口部403が形成されている。また、ケーシング402には、前記開口部403を開閉する開閉蓋404が取り付けられている。図1に示すように、開閉蓋404を開くと、ケーシング402内部にある保持台セット部410に保持台5をセットすることが可能となる。
なお、開閉蓋404は、試料容器の自動供給動作中には、閉じられているが、開閉蓋404を介して内部が視認できるように、開閉蓋404は透明又は半透明の材料によって形成されている。
【0044】
[試料容器供給部420]
試料容器供給装置4には、前記内部機構部401を構成する機構の1つとして、保持台セット部410にある保持台5から試料容器2を取り出して試料分析本体装置3側へ移送するための試料容器供給部420が備わっている。
この試料供給部420は、試料容器2を保持するためのハンド状の保持部430備えた移動基体440(図9参照)と、この移動基体440を装置4内部で移動させる移動部450(図10参照)とを備えている。
【0045】
[移動基体440]
図9に示すように、移動基体440は、基体本体441と、基体本体441に対して前後方向(図9のY方向)に移動自在な前後移動基体442と、前後移動基体442に対して上下方向(図9のZ方向)に移動自在な昇降基体443とを備えている。なお、昇降基体443は、基体本体441からみると前後方向及び上下方向に移動自在である。
また、前記保持部430は、昇降基体443に取り付けられている。
【0046】
前後移動基体442には、エアシリンダからなる昇降駆動部(昇降シリンダ)445が取り付けられている。この昇降シリンダ445のロッド445aの先端には、昇降基体443が取り付けられている。したがって、昇降基体443及び保持部430は、昇降シリンダ445のロッドの伸縮によって、前後移動基体442に対して昇降することができる。
【0047】
[移動部450]
前記移動部450は、前記移動基体440を左右方向(図10のX方向)に移動させるとともに、前記移動基体の前後移動基体442を基体本体441に対して前後方向(図10のY方向)に移動させるためのものである。
図10に示すように、この移動部450は、電動モータM1,M2からなる移動駆動部451と、移動駆動部451の駆動力を前記移動基体440側へ伝達する伝達機構452とを備えている。
【0048】
移動駆動部451を構成する第1モータM1は、試料容器供給装置ケーシング402内部の左側に配置されている。この第1モータM1の回転軸M1aと試料容器供給装置ケーシング402内部の右側に配置された第1プーリ453との間には伝達機構452を構成する第1ベルト454が巻き掛けられている。第1ベルト454は、試料容器供給装置ケーシング402内部の後部位置で、左右方向に張設されている。
【0049】
また、移動駆動部452を構成する第2モータM2は、試料容器供給装置ケーシング402内部の左側であって、第1モータM1の前側に配置されている。この第2モータM2の回転軸M2aと試料容器供給装置ケーシング402内部の右側に配置された第2プーリ455との間には伝達機構452を構成する第2ベルト456が巻き掛けられている。第2ベルト456も、試料容器供給装置ケーシング402内部の後部位置であって前記第1ベルト454の前側位置で、左右方向に張設されている。また、第2ベルト456は、前記起動基体440の基体本体441に設けられた第3プーリ457にも巻き掛けられており、前後方向に張設された部分456aを有して、全体的にT字状に張設されている。
【0050】
前記移動基体440の基体本体441は、取付ステー441aを介して、前記第1ベルト454の前側に張設された部分に取り付けられており、第1モータM1の回転により第1ベルト454が左右に移動すると、基体本体441ひいては移動基体440全体が左右に移動する。
なお、移動基体440を左右に移動させる場合、前後移動基体442が前後に移動しないように、第2モータM2も回転する。
また、前記移動基体440の前後移動基体442は、取付ステー442aを介して、前記第2ベルト456の前後張設部分456aの右側に取り付けられており、第1モータM1の回転を停止した状態で、第2モータM2を回転させると、前後移動基体442が基体本体441に対して前後方向に移動する。
【0051】
以上の構成により、移動基体440に設けられた保持部430は、装置ケーシング402内において、左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、及び上下方向(Z方向)に移動自在である。すなわち、移動部450及び昇降駆動部445を含めた保持部用移動機構によって、保持部430は3次元方向(XYZ方向)への移動が可能となっている。
【0052】
[保持部430]
図9に戻り、移動基体440(の昇降基体443)に設けられた保持部430は、一対の開閉自在なフィンガー状の把持体431,432によって構成されている。
両把持体431,432は、昇降基体443に設けられた軸433に対して回動自在に設けられている。両把持体431,432が軸433に対して回動自在に設けられていることで、保持部430は、後述の撹拌動作を行うことができる。なお、保持部430は、撹拌動作以外のときは、自重によって下向きとなっている。また、保持部430は、撹拌動作以外のときに、不必要に回動しないように、移動基体450に設けられた磁石(図示省略)に吸着され、回動が規制されている。
【0053】
把持体431,432は、前記軸433が挿通される孔を有する基部431a,432aと、この基部431a,432aから延設されて先端に試料容器2の挟持部431b,432bを有する把持本体部431c,432cを備えている。
【0054】
両把持体431のうち一方の把持体(固定側把持体)431は、軸433の軸心方向への移動が阻止されている。また、他方の把持体(可動側把持体)432は、軸433の軸心方向へ移動自在に設けられている。
両把持体431,432間にはバネ434が架設されており、可動側把持体432は、バネ434によって固定側把持体431へ近接するよう付勢されている。つまり、保持部430を構成する両把持体431,432は、閉じた状態を常態としている。
なお、両把持体431,432の把持本体部431c、432cには可動側把持体432の移動(開閉移動)をガイドするガイド軸435も挿通されている。
【0055】
[保持部開閉駆動部447]
前記移動基体440の昇降基体443には、前記保持部430を開く、すなわち前記可動側把持体432を固定側把持体432に対して離反する方向へ移動させる、ためのエアシリンダからなる保持部開閉駆動部(保持部開閉シリンダ)447が設けられている。この保持部開閉シリンダ447のロッド447aの先端には、可動側把持体432を移動させるための押板448が取り付けられている。
【0056】
図12に示すように、保持部開閉シリンダ447のロッド447aが伸長すると、押板448が、可動側把持体432の基部432a側を押し、可動側把持体432が軸433,435に沿って移動して、保持部430が開く。
保持部開閉シリンダ447のロッド447aが収縮すると、押板448が可動側把持体432から離れ、可動側把持体432は、バネ434によって復帰移動し、保持部430が閉じる。
【0057】
なお、押板448が可動側把持体432を押して保持部430が開いているときには、押板448と可動側把持体432の接触摩擦によって、両把持体431,432の軸433周りの回動が規制されている。
一方、保持部431が閉じているときには、押板448と可動側把持体432とは離れており、押板448による両把持体431,432の回動規制が解除された状態となる。
【0058】
[撹拌駆動部460]
図11にも示すように、装置4の内部機構部401としては、試料容器2を試料分析本体装置3側へ供給する前に試料容器2内の試料を撹拌するための撹拌駆動力を発生する撹拌駆動部460が備わっている。
撹拌駆動部460は、電動モータによって構成されており、この撹拌駆動部460は、ケーシング402後面であって、保持台セット部410の一方側(左側)の位置に固定的に設けられている。
撹拌駆動部460が設けられている保持台セット部410の左右方向一方側(左側)は、前記移動基体440(保持部430)の退避位置(移動初期位置)近傍となっている。
【0059】
モータ460の回転軸460aには、保持部430(の固定側把持体431)に当接して保持部430に撹拌駆動力を伝える当接部材461が取り付けられている。
保持部430は、通常、その自重によって、軸433から垂れ下がっている。移動基体440が、移動部450によって退避位置に戻ると、この垂れ下がり状態の保持部430に、撹拌駆動部460の当接部材461が当接する。そして、撹拌駆動部460であるモータ460が一方に回転すると、当接部材461が保持部460を持ち上げる。この結果、保持部430が上昇回動する。また、モータ460が逆方向に回転すると、保持部430はその自重によって、下降回動する。
【0060】
撹拌動作は、モータ460の正逆転を繰り返し、試料容器2を保持している保持部460に上昇下降を繰り返させることで行われる。なお、撹拌動作としては、保持部460の上昇下降が10回程度繰り返される。撹拌動作は、試料容器2の保持台5のない移動基体440退避位置で行われるため、省スペース化が図られている。
【0061】
[試料容器セット部310の受入部470]
図1及び図3等に示すように、試料容器供給装置ケーシング402には、試料分析本体装置3の試料容器セット部310が移動して来るのを受け入れる受入部470が設けられている。この受入部470は、保持台セット部410の左右方向他方側(右側)に設けられている。
受入部470は、ケーシング402の後面402bの右下部に形成された開口部471と、試料分析本体装置3側から前方突出移動して前記開口部471を通って進入してきた試料容器セット部310が入り込む凹部472(図1参照)とを有している。
【0062】
開口部471が設けられていることで、試料分析本体装置3と試料供給装置4とを隔てる壁(ケーシング後面402b)があっても、試料容器セット部310は、試料容器供給装置ケーシング402内に進入することができる。
また、凹部472の位置は、試料供給部420によって試料容器2が供給される位置(試料容器供給位置)であり、この凹部472に試料容器セット部310が進入してくることで、試料容器セット部310は、試料容器2を受け取ることができる。
【0063】
[情報読取部(バーコードリーダ)510]
図13に示すように、試料容器供給装置ケーシング後面402bの後側には、試料容器2の情報記録部2bの情報を読み取る情報読取部510が設けられている。試料容器2の情報記録部2bは、バーコードによって構成されており、試料の識別番号等を示す情報が記録されている。
【0064】
情報読取部510は、バーコードリーダとして構成されている。この情報読取部510は、試料容器2がセットされた試料容器セット部310が、受入部470の位置から後退して、開口部403を通って、ケーシング後面402bの後側に位置したときに、側方から読み取り用の光を照射できるように配置されている。
【0065】
情報読取部510による情報読み取りは、通常、試料容器供給装置4によって試料容器が供給される自動モードのときに行われる。ただし、本実施形態では、試料容器セット部310にセットされた試料容器2の情報記録部2bの情報を読み取るように構成されているため、自動モード以外に、手動で試料容器2をセットする手動モードでも情報読み取りが可能となっている。
【0066】
[試料容器2の回転機構部520]
図13に示すように、試料容器供給装置ケーシング402の後面402bには、情報読み取り位置にある試料容器2をその管軸心回りに回転させる回転機構部520が設けられている。試料容器2の情報記録部2は、管周方向の一部にしか存在しないため、情報読み取り位置にきた試料容器2の情報記録部2bが、情報読取部510に対向しているとは限らない。そこで、回転機構部520によって、試料容器2を回転させれば、情報記録部2bと情報読取部2bが対向した状態が得られ、確実に情報読み取りを行うことができる。
【0067】
この回転機構部520は、電動モータ521と、このモータ521から下向きに延びる回転軸522と、回転軸552の先端に設けられた回転当接部523とを備えている。モータ521が回転することで、試料容器2の側面に当接した回転当接部523が試料容器2を回転させる。
【0068】
また、前記モータ521は、支持軸524によって、ケーシング後面402bに軸支されている。つまり、モータ521は、支持軸524に片持ち状に支持された取付けステー525に取り付けられて。したがって、図4に示すように、モータ521は、通常、水平状態よりも傾いて位置しており、回転軸522は、鉛直方向に対して、斜めに向いている。この結果、回転当接部523は、通常、試料容器2が位置する場所よりも離れて位置しており、試料容器2の通過を阻害しない(図14の実線参照)。
【0069】
上記のような回転当接部523を、試料容器2に当接させるため、回転機構部520の取付けステー524には、移動基体440が当接する移動基体当接部526が設けられている。
図8及び図13から明らかなように、モータ521及び取付けステー525は、ケーシング後面402bを貫通するように配置されており、前記移動基体当接部526は、ケーシング後面402の前側において、下方に延びており、その下端が移動基体440に当接できるように移動基体440側へ折り曲げられている。この移動基体当接部526も、通常は、回転軸522と同様に傾いており、移動基体440側へ傾斜している。
【0070】
そして、移動基体440が、保持部430に保持している試料容器2を試料容器セット部310にセットすべく移動(右移動;背面からみた図14では左移動)して、移動基体440が移動基体当接部526に当たって押すと、モータ521及び取付けステー525が上方回動し、これに連動して、回転軸522が試料容器2側へ移動し、回転当接部523が試料容器2に当接できる位置にくる(図14の2点鎖線参照)。
【0071】
この状態で、モータ521が回転すると、回転当接部52の回転が試料容器2に伝えられて、試料容器2が回転し、情報読み取りを確実に行える。
また、移動基体440が移動基体当接部526から離れる方向に移動すると、回転機構部520は、自然に、図14の実線で示す通常の位置に復帰する。
このように、本実施形態では、回転機構部520を移動させるための専用の駆動部は省略されており、移動基体440の移動によって回転機構部520が移動するよう構成されているため、装置が簡素化されている。
【0072】
[試料分析装置1における試料容器2の手動セット動作(手動モード)]
以下、上記のように構成された試料分析装置1において、試料容器2を手動でセットする手動モードでの手順を説明する。
図8のように、試料容器セット部310が前方移動して、試料分析装置本体3から、試料容器供給装置4の受入部470に受け入れられた状態で、試料容器セット部310の保持孔11に試料容器2を挿入する。そして、試料容器供給装置4のケーシング底面402aに設けられた手動測定開始ボタン480を押すと、制御部301aは、スライダ321を後退させる。すると、手動でセットした試料容器2(試料セット部310)が、試料分析装置本体3内部の吸引位置(図4の位置)に位置する。
【0073】
吸引位置にきた試料容器2の試料は、吸引部330によって吸引され、測定部によって測定される。そして、測定結果は、図示しないコンピュータによって分析される。
以上の手動セット動作及びセット後の測定・分析処理は、手動セット式試料分析装置3aにおける手順と基本的に同様である。
【0074】
なお、試料容器供給装置4が装着された試料分析装置1では、試料容器供給装置4が装着されていない手動セット式試料分析装置3aよりも、試料容器セット部310の前方突出量が大きくなり、試料容器セット部310が確実に試料容器供給装置4内に進入できるようになっている(後述の自動モードでも同じ)。すなわち、手動セット式試料分析装置3aにおける手動時試料容器セット位置よりも、試料分析装置1の試料容器供給位置の方が、より前に位置している。
なお、試料容器セット部310の前方突出量は、制御部301aの設定によって切り替わる。
【0075】
[試料分析装置1における試料容器2の自動供給動作(自動モード)]
自動モードを実行するには、図1に示すように、試料容器2が保持された保持台5を保持台セット部410にセットし、試料容器供給装置4の蓋404を閉じる。なお、保持台5は、試料容器2を略垂直に立てて保持している。
そして、自動測定開始ボタン490を押すと、試料容器2の自動供給と試料の測定が行われる。なお、蓋404が閉じられているか否かは、図示しない蓋閉検出センサによって検出され、蓋404が閉じられていないと、自動測定が開始できないようになっている。
【0076】
試料容器2の自動供給は、制御部301aが次のように制御して行われる。まず、自動モード開始当初、保持部430を有する移動基体440は、図1、図3及び図8に示す移動初期位置(退避位置)にあり、この位置から動作が開始する。保持部430を有する移動基体440は、移動初期位置から保持台セット部410にセットされた保持台5にある試料容器2のうちの1つを取り出すべく、当該試料容器2の位置へ移動(左右移動及び前後移動)する。
【0077】
保持部430が取出対象の試料容器2の上方に位置すると、保持部430が開き、開いた状態で保持部430が下降する。下降後、保持部430は、閉じて試料容器2を把持するとともに上昇し、さらに、移動初期位置(撹拌位置)へ戻る。
【0078】
ここで、保持台セット部410の前後の凹部441,441間の間隔は、その間を保持部430で保持された試料容器2が通過できる程度に設定されている。したがって、保持部430が、試料容器2を保持したまま保持台セット部410上を左右移動する場合に、保持部430で保持された試料容器2が、前後の凹部441,441にセットされた保持台5にある試料容器2の間の隙間(前後隙間)を通ることができる。
【0079】
この結果、試料容器430を保持した保持部430は、保持している試料容器2が保持台5にある試料容器2よりも高くなる位置まで上昇しなくても、保持台セット部410上を移動できる。つまり、保持部430は、さほど上昇しなくても、保持している試料容器2と保持台5にある試料容器2との接触を回避しつつ保持台セット部410上を移動できる。
よって、保持部430(移動基体440)の移動時における上昇量が少なくてすみ、装置小型化(特に、装置高さ方向の小型化)及び動作の高速化を図ることができる。
【0080】
さて、試料容器2を保持した保持部430(移動基体440)が、移動初期位置に戻ると、保持部430が試料容器2を保持しているか否かが試料容器検出センサ500によって検出される。保持部430が試料容器2を保持していれば、続いて撹拌動作が行われる。もし、保持部430が試料容器2を保持していない場合には、保持台5の別の位置にある試料容器2の取出しを行うべく、上記と同様の動作を行う。
【0081】
撹拌動作の際には、図11に示すように、撹拌駆動部460が回転して、当接部材
保持部430を上下に回動させることで、試料容器2内の試料の撹拌が行われる。
撹拌動作が終了すると、保持部430は、図1等に示すように鉛直下方向に垂れ下がった状態に戻る。
【0082】
続いて、試料容器2を掴んだ保持部430(移動基体440)は、試料容器2を略垂直にして持ったまま、保持台セット部410上を横断して、保持台セット部410を跨いだ位置にある試料容器セット部310(受入部470)上方の位置まで移動する。
そして、保持部430が下降し、試料容器2を試料容器セット部310に挿入する。これにより、試料容器2は、略垂直に立った状態で試料容器セット部310にセットされる。その後、保持部430は、開いて試料容器2を離し、上昇する。
【0083】
すると、スライダ321が後退して、試料容器2は、まず、情報読み取り位置(バーコード読み取り位置)に位置する。使用容器2が、情報読み取り位置にきたことは、情報読み取り位置に設けられた試料容器検出センサ530によって検出される。
試料容器2が、情報読み取り位置にくると、回転機構部520が試料容器2を回転させ、試料容器回転中に読取部510が情報記録部2bの情報(試料容器の識別情報)を読み取る。
情報読み取り後、スライダ321は、さらに後退して、試料容器2(試料セット部310)が、試料分析装置本体3内部の吸引位置(図4の位置)に位置する。
【0084】
吸引位置にきた試料容器2の試料は、吸引部330によって吸引され、測定部によって測定される。そして、測定結果は、図示しないコンピュータによって分析される。
試料容器2の試料吸引が終わると、スライダ321が前進して、試料容器セット部310が再び受入部470に位置する。
保持部430は、再度、下降し、試料吸引後の試料容器2を回収すべく、試料容器セット部310の試料容器2を掴んで上昇する。そして、保持部430は、保持台5の位置へ移動し、当該試料容器2を保持台5に戻す。
保持部430(移動基体440)は、吸引後の試料容器2を保持台5に戻した後、移動初期位置に復帰する。
【0085】
以後、保持台5の他の試料容器についても、逐次、同様の自動供給と分析測定が行われる。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、保持台セット部410に2つ(複数)の保持台5が前後に
間隔を置いて載置されるが、保持台セット部410にセット可能な保持台の数やその配置の仕方は特に限定されない。また、保持台を保持台セット部410へ自動的に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】試料分析装置の斜視図である。
【図2】手動セット式試料分析装置(試料分析装置本体)の斜視図である。
【図3】試料分析装置の分解斜視図である。
【図4】手動セット式試料分析装置の内部機構部の斜視図である。
【図5】手動セット式試料分析装置の試料容器セット部用移動部の拡大図である。
【図6】試料容器の位置決め部の側面図である。
【図7】試料分析装置の機能ブロック図である。
【図8】試料容器供給装置の内部機構部の斜視図である。
【図9】移動基体の斜視図である。
【図10】試料容器供給装置の移動部の平面図である。
【図11】保持部の撹拌動作を示す斜視図である。
【図12】保持部の開状態を示す斜視図である。
【図13】試料容器供給装置の後方斜視図である。
【図14】回転機構部の背面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 試料分析装置
2 試料容器
2b 情報記録部
3 試料分析本体装置
3a 手動セット式試料分析装置
310 試料容器セット部
320 移動部
330 吸引部
4 試料容器供給装置
402 ケーシング
410 保持台セット部
420 試料容器供給部
430 保持部(把持体)
440 移動基体
450 移動部
460 撹拌駆動部
470 受入部470
471 開口部
510 情報読取部
520 回転機構部
5 保持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器に収容された試料を吸引して分析する試料分析装置において、
試料容器を手動でセットするための試料容器セット部と、
一又は複数の試料容器を保持する保持台がセットされる保持台セット部と、
前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を前記試料容器セット部へ移送して供給するための試料容器供給部と、
前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、
を備えていることを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
試料容器に収容された試料を吸引して分析する試料分析装置において、
管状の試料容器を略垂直に立てた状態でセット可能な試料容器セット部と、
一又は複数の管状の試料容器を略垂直に立てた状態で保持する保持台がセットされる保持台セット部と、
前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を前記試料容器セット部へ移送して供給し、略垂直に立てた状態でセットするための試料容器供給部と、
前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、
前記試料容器セット部にセットされた試料容器を、当該試料容器が略垂直に立った状態のまま前記吸引部へ移動させる移動部と、
を備えていることを特徴とする試料分析装置。
【請求項3】
試料分析装置を手動モード及び自動モードで動作制御可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記手動モードが選択されると、前記試料容器セット部に手動でセットされた試料容器内の試料を吸引して分析するよう制御し、
前記自動モードが選択されると、前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を、前記試料容器セット部にセットすべく移送して、前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引して分析するように制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記試料容器供給部は、試料を撹拌した後に、試料容器を前記試料容器セット部に移送してセットすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試料分析装置。
【請求項5】
試料容器に設けられた情報記録部の情報を読み取るための読取部を備え、
前記読取部は、前記試料容器セット部にセットされた試料容器の情報記録部の情報を読み取り可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記試料容器セット部にセットされた試料容器を回転させる回転機構部を備えていることを特徴とする請求項5記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記読取部は、前記回転機構部によって試料容器を回転させながら前記情報記録部の情報を読み取ることを特徴とする請求項5記載の試料分析装置。
【請求項8】
試料容器に収容された試料を吸引して分析することができるとともに、試料容器を供給するための試料容器供給装置を後付け可能に構成された試料分析本体装置であって、
試料容器を手動でセットするための試料容器セット部と、
前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、
前記試料容器セット部を移動させる移動部と、
を備え、
前記移動部は、前記試料容器供給装置が後付けされたときに当該試料容器供給装置から試料容器が供給される試料容器供給位置へ、前記試料容器セット部を移動可能である
ことを特徴とする試料分析本体装置。
【請求項9】
試料容器に収容された試料を吸引して分析することができるとともに、試料容器を供給するための試料容器供給装置を後付け可能に構成された試料分析本体装置であって、
管状の試料容器を略垂直に立てた状態でセット可能な試料容器セット部と、
前記試料容器セット部にセットされた試料容器内の試料を吸引する吸引部と、
前記試料容器セット部にセットされた試料容器を、当該試料容器が略垂直に立った状態のまま容器前記吸引部へ略水平移動させる移動部と、
を備えていることを特徴とする試料分析本体装置。
【請求項10】
前記試料容器供給装置は、前記試料分析本体装置の少なくとも一面に装着されるよう構成され、
前記試料容器供給装置が前記試料分析本体装置の前記一面に装着されると、前記移動部は、前記試料容器セット部を、装着された前記試料分析本体装置の内部へ略水平移動させることを特徴とする請求項9記載の試料分析装置。
【請求項11】
試料容器に収容された試料を吸引して分析するために試料容器を手動でセットするための試料容器セット部を有する試料分析本体装置に、試料容器を供給するための試料容器供給装置であって、
一又は複数の管状の試料容器を保持する保持台がセットされる保持台セット部と、
前記保持台セット部にセットされた保持台に保持されている試料容器を、前記試料分析本体装置の前記試料容器セット部へ移送して供給するための試料容器供給部と、
を備えていることを特徴とする試料容器供給装置。
【請求項12】
少なくとも前記試料容器供給部が収納されたケーシングを備え、
前記ケーシングには、前記試料容器セット部が、前記試料分析本体装置側から当該ケーシング内部へ進入するための開口部が形成されていることを特徴とする請求項11記載の試料容器供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−139462(P2007−139462A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330497(P2005−330497)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】