説明

認証システムおよび認証装置

【課題】認証システムにおいて幅広い用途への利用と優れた機密性を実現する。
【解決手段】読取装置2は、認証媒体に印刷された照合用マークを光学的に読み取り、照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を検出し、検出した複数の波長帯域の光量とスペクトル算出用パラメータとを用いて、照合用マークの反射スペクトル特性を算出し、算出した反射スペクトル特性を示す情報を認証装置3に送信する。認証装置3は、読取装置2で算出された反射スペクトル特性と、予め測定された照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、読取装置2で照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード等の媒体を用いた認証システムおよび認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カードなどの媒体を用いて個人認証を行う技術は実生活において日常的に利用されている。例えば、カードに記録した磁気データを読取装置で読み取り、読み取ったデータを照合することで認証を行う技術が知られている。また、カードに記録した情報の機密性をより高めるために、ICチップを搭載したカードを利用する認証方法も増えている。
【0003】
上記のようなカードでは、カードの偽造やデータの漏洩、改竄等を防止するための処置が施されている。しかし、磁気データ記録型のカードではその方式の簡易性から偽造等が容易であり、また、ICチップ型のカードにおいても、ICチップのすり替えによる偽造等が発生していた。
【0004】
そこで、特許文献1では、ICチップをカードの所定位置に隠蔽固定し、ICチップのすり替えによるカードの偽造を防止する技術が提案されている。また、特許文献2には、ICチップに記録する情報を、偏角分光測光法で対象者の顔を測定した際の測光データとすることにより、個人の確定を確実に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−47173号公報
【特許文献2】特開2007−52638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ICチップ型のカードは、磁気データ記録型のカードと比べてコストが高く、また、ICチップ自体の供給体制の制約から発行枚数の自由度が低いため、用途としては比較的機密性の高さを要求されるものに限定される傾向にある。また、機密性に関しては、最近ではICカードリーダが安価で簡単に入手可能となってきたことにより、データの漏洩、改竄等の危険度が大きくなりつつある。
【0007】
特許文献1の技術では、ICチップのすり替えによるカードの偽造を防止することができるが、上記のようなことから、幅広い用途への適性、および機密性が十分でない。また、特許文献2の技術では、カードの偽造、データの改竄等の危険度を低く抑えることが可能となるが、カードに記録するデータの作成に手間と特別な装置が必要であり、特定の用途には有利であるが、幅広い用途には適さない。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、幅広い用途に用いることができる機密性に優れた認証システムおよび認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、認証媒体に印刷された照合用マークを光学的に読み取る読取装置と、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、前記読取装置は、前記照合用マークを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を検出する読取部と、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを前記認証装置から取得し、前記読取部で検出した前記複数の波長帯域の光量と前記スペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性を示す情報を前記認証装置に送信する通信部とを備え、前記認証装置は、前記スペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、前記読取装置の前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証システムが提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、認証媒体に印刷された照合用マークを光学的に読み取る読取装置と、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、前記読取装置は、前記照合用マークを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を検出する読取部と、前記読取部で検出した前記複数の波長帯域における光量を示す情報を前記認証装置に送信する通信部とを備え、前記認証装置は、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、前記読取装置の前記読取部で検出した前記複数の波長帯域の光量と前記スペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証システムが提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、認証媒体に印刷された照合用マークを読取装置で光学的に読み取って得られた前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を示す情報を取得する情報取得部と、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、前記情報取得部で取得した前記複数の波長帯域の光量と前記スペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取装置と、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、前記読取装置は、前記照合用マークと前記基準カラーマークとを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量と、前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量とを検出する読取部と、前記照合用マークおよび前記基準カラーマークの各色のマークをそれぞれ読み取って得られた前記複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを前記認証装置に送信する通信部とを備え、前記認証装置は、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、前記読取部で前記基準カラーマークを読み取って得られた前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプおよび前記読取装置から送信された前記光学系タイプ情報が示す前記読取部の光学系タイプに応じたスペクトル算出用パラメータを前記記憶部から取得し、取得したスペクトル算出用パラメータと、前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量とを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証システムが提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取部を有する読取装置から、前記読取部で得られた前記照合用マークからの反射光および前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを取得する情報取得部と、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、前記情報取得部で取得した前記基準カラーマークの前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプおよび前記情報取得部で取得した前記光学系タイプ情報が示す前記読取部の光学系タイプに応じたスペクトル算出用パラメータを前記記憶部から取得し、取得したスペクトル算出用パラメータと、前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量とを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証装置が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取装置と、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、前記読取装置は、前記照合用マークと前記基準カラーマークとを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量と、前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量とを検出する読取部と、前記照合用マークおよび前記基準カラーマークの各色のマークをそれぞれ読み取って得られた前記複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを前記認証装置に送信する通信部とを備え、前記認証装置は、前記読取部で前記基準カラーマークを読み取って得られた前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、複数の光学系タイプごとの分光感度特性と、複数の光源タイプごとの光源スペクトル特性と、予め測定された互いに色の異なる複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを予め記憶しておく記憶部と、前記読取装置から送信された前記光学系タイプ情報が示す光学系タイプに応じた分光感度特性と、前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプに応じた光源スペクトル特性とを前記記憶部から選択し、選択した分光感度特性および光源スペクトル特性と、前記複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを用いて、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを算出するパラメータ算出部と、前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量と、前記パラメータ算出部で算出したスペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証システムが提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取部を有する読取装置から、前記読取部で得られた前記照合用マークからの反射光および前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得した前記基準カラーマークの前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、複数の光学系タイプごとの分光感度特性と、複数の光源タイプごとの光源スペクトル特性と、予め測定された互いに色の異なる複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを予め記憶しておく記憶部と、前記情報取得部で取得した前記光学系タイプ情報が示す光学系タイプに応じた分光感度特性と、前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプに応じた光源スペクトル特性とを前記記憶部から選択し、選択した分光感度特性および光源スペクトル特性と、前記複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを用いて、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを算出するパラメータ算出部と、前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量と、前記パラメータ算出部で算出したスペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部とを備えることを特徴とする認証装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、幅広い用途に用いることができる機密性に優れた認証システムおよび認証装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
【図2】読取装置の読取部の構成の一例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における照合用マークを示す図である。
【図4】サンプルマークの反射スペクトル特性を示す図である。
【図5】照合用マークの正規の反射スペクトル特性を示す図である。
【図6】認証装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態における認証システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態の変形例に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施の形態に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
【図10】読取装置の分光感度特性の一例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態における照合用マークおよび基準カラーマークを示す図である。
【図12】光源タイプ判定テーブルの一例を示す図である。
【図13】光源のスペクトル特性の例を示す図である。
【図14】第2の実施の形態における認証装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】光源タイプの判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態の変形例に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る認証システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る認証システム1は、認証媒体であるカードに印刷された照合用マークを光学的に読み取る読取装置2と、読取装置2で照合用マークを読み取ったカードが正規のカードであるか否かを判断する認証装置3とを備える。
【0020】
読取装置2は、読取部21と、ID取得部22と、通信部23と、制御部24と、表示部25とを備える。
【0021】
読取部21は、カードに印刷された照合用マークに光源から光を照射し、照合用マークからの反射光を読み取るものであり、照合用マークからの反射光におけるR(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの波長帯域の光量(R値、G値、B値)を検出する。
【0022】
ID取得部22は、カードに付与されたカードIDを取得する。ID取得部22は、カードに磁気信号として記録されたカードIDを読み取るものでもよいし、カードに設けられたバーコードからカードIDを読み取るものでもよい。また、ID取得部22が入力キーを有し、ユーザがカードIDをキー入力する構成でもよい。カードIDは、カードに印刷された照合用マークの色を示す情報を含むものである。
【0023】
通信部23は、通信回線10を介して認証装置3との通信を行うインタフェースである。
【0024】
制御部24は、読取装置2全体の動作を制御するものであり、各種の演算処理やデータの入出力等の処理を実行するCPU、CPUの動作のためのプログラム等を格納するROM、CPUのワーク領域として使用されるRAM(いずれも図示せず)等から構成される。
【0025】
制御部24は、反射光のR値、G値、B値から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータと、読取部21で検出したR値、G値、B値とを用いて、照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部241としての機能を有する。スペクトル算出用パラメータは、予め算出されて認証装置3に記憶されているものであり、スペクトル特性算出部241は、カードの読み取りを行ったときに認証装置3からスペクトル算出用パラメータを取得し、これを用いて照合用マークの反射スペクトル特性を算出する。
【0026】
表示部25は、認証装置3による判断結果をユーザに通知するために、判断結果の表示を行う。
【0027】
認証装置3は、記憶部31と、通信部32と、制御部33と、表示部34とを備える。
【0028】
記憶部31は、予め算出されたスペクトル算出用パラメータを記憶するパラメータ記憶部311と、予め測定された照合用マークの正規の反射スペクトル特性を記憶するスペクトル特性記憶部312とを有する。
【0029】
通信部32は、通信回線10を介して読取装置2との通信を行うインタフェースであり、読取装置2から送信される情報を取得する情報取得部として機能する。
【0030】
制御部33は、読取装置2のスペクトル特性算出部241で算出した照合用マークの反射スペクトル特性と、スペクトル特性記憶部312に記憶されたこの照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、読取装置2で照合用マークを読み取ったカードが正規のカードであるか否かを判断する判断部331を備える。また、制御部33は、認証装置3全体の動作の制御を行う。
【0031】
表示部34は、必要に応じて判断部331による判断結果等の表示を行う。
【0032】
読取装置2の読取部21の構成の一例を図2に示す。図2において、光源211は、白色LED等からなり、白色光を射出する。光源211から射出された白色光は、レンズ212で集光され、集光された光は液晶プレート213を通過し、プリズム214に入射して進行方向を変えられ、カード11上に印刷された照合用マークに照射される。
【0033】
照合用マークに照射された光は、照合用マークで反射され、反射された光は、プリズム214を通過し、フィルタ215に照射される。フィルタ215は、約450〜500nm以下の波長帯域の反射率が高くなるように設計されており、青色系成分(B値成分)の光がここで反射される。フィルタ215で反射された光は、青用センサ216に入射し、青用センサ216でその光量が検出され、B値として検知される。
【0034】
フィルタ215を通過した光は、フィルタ217に照射される。フィルタ217は、約500〜560nmの波長帯域の反射率が高くなるように設計されており、緑色系成分(G値成分)の光がここで反射される。フィルタ217で反射された光は、緑用センサ218に入射し、緑用センサ218でその光量が検出され、G値として検知される。
【0035】
フィルタ217を通過する光は約550〜570nm以上の波長帯域の光となり、赤用センサ219に入射し、赤用センサ219でその光量が検出され、R値として検知される。
【0036】
上述した読取部21の液晶プレート213は、その中心部分が常に光を透過し、その周りに電圧が印加されたときに光を遮るように透過率が下がる円形開口を持ったパターンで構成されている。これにより、液晶プレート213を通過する光束の大きさを調整できるようになっている。
【0037】
カード11に印刷された照合用マークは、例えば、図3に示したような形状を有する。図3に示すように、照合用マーク12は、中心が白い円形部分となっており、その周囲が所定の色で着色されている。
【0038】
照合用マーク12に照射される光は、液晶プレート213の制御によって、中心の白い部分のみにあたるスポットBの状態と、着色部分まで含めて光があたるスポットAの状態とが選択できる。スポットBの状態は、始めに白い部分の反射光により青用センサ216、緑用センサ218、赤用センサ219で検出される光の成分バランスの基準値を設定するときに選択され、これにより読取部21の光量検出系の調整が行われる。認証を行うために照合用マーク12からの反射光のR値、G値、B値を検出するときは、スポットAの状態で行う。
【0039】
照合用マーク12の大きさは特に制限されない。また、照合用マーク12の形状は、図3に示したものに限らず、着色部分と、読取部21の光量検出系の調整のために用いられる白い部分とを有するものであればよい。
【0040】
なお、読取部21は、図2に示したような構成に限らず、例えば、デジタルカメラ等に使用されるイメージセンサを用いてR値、G値、B値を検出する構成としてもよい。
【0041】
上述のように、照合用マーク12は、紙等からなるカード11上に印刷により形成される。照合用マーク12の反射光のスペクトル特性(反射スペクトル特性)は、色によって異なるが、さらに、人の目には同じに見えるような色でも、使用される塗料やインクによって、反射スペクトル特性は異なる。このため、例えば、コピー機を用いてカード11をカラーコピーしても、照合用マーク12の反射スペクトルを正確に再現して偽造することは困難である。このようなことから、照合用マーク12の反射スペクトル特性を認証情報として用いることができる。
【0042】
次に、認証装置3のパラメータ記憶部311に記憶されるスペクトル算出用パラメータについて説明する。
【0043】
スペクトル算出用パラメータは、反射光のR値、G値、B値から反射スペクトル特性を算出するためのパラメータであり、予め用意して認証装置3のパラメータ記憶部311に記憶しておくものである。
【0044】
スペクトル算出用パラメータは、反射光のR値、G値、B値からある波長帯域における反射スペクトル特性を算出することができるものであればどのようなものでもよいが、本実施の形態では、重回帰分析の手法を用いて得られる回帰係数をスペクトル算出用パラメータとする。
【0045】
この回帰係数を求める方法について説明する。まず、互いに色調の異なる複数のサンプルマークを用意する。
【0046】
そして、分光器を用いて各サンプルマークの可視光帯(波長400〜700nm)における反射スペクトル特性を測定する。反射スペクトル特性は、波長に対する反射率で表され、例えば図4に示すような反射スペクトル特性が得られる。図4には、例として5つの色調のサンプルマークの反射スペクトル特性を示しているが、反射スペクトル特性の算出制度を向上させるため、もっと多くのサンプルマークを用いてもよい。
【0047】
また、光量検出器を用いて各サンプルマークからの反射光のR値、G値、B値をそれぞれ測定する。この際に用いる光量検出器は、読取装置2の読取部21と、光源のスペクトル特性も含めて同様の構成のものであることが望ましい。
【0048】
上記のように測定された各サンプルマークに対応する反射スペクトル特性およびR値、G値、B値を用いて、複数の波長において、重回帰式を求める。
【0049】
重回帰式は、2つ以上の説明変数x1,x2,…によって目的変数yを表す方程式であり、以下の(式1)のように表される。a,b,c,…を回帰係数と呼ぶ。
【0050】
y=a+bx1+cx2+… (式1)
本実施の形態では、反射率を目的変数とし、R値、G値、B値を説明変数とする重回帰式を、複数の波長において求める。例えば、可視光帯において、波長400nm,405nm,410nm,…のように複数の波長のそれぞれについて、各サンプルマークの反射率と、R値、G値、B値とを用いて、重回帰式を求める。これにより、反射率をr、R値、G値、B値をそれぞれR,G,Bとすると、以下の(式2)のような重回帰式が、波長ごとに求められる。なお、重回帰式を求める計算方法については公知であるため説明を省略する。
【0051】
r=a+bR+cG+dB (式2)
これにより、回帰係数a,b,c,dが、波長ごとに得られる。例えば、波長400nmについてはa1,b1,c1,d1、波長405nmについてはa2,b2,c2,d2、410nmについてはa3,b3,c3,d3、といったように得られる。
【0052】
このようにして波長ごとに得られた回帰係数を用いることで、読取部21で検出する照合用マーク12からの反射光のR値、G値、B値から、各波長における反射率が求められ、これにより反射スペクトル特性が得られる。
【0053】
次に、認証装置3のスペクトル特性記憶部312に記憶される照合用マーク12の正規の反射スペクトル特性について説明する。
【0054】
認証システム1で読み取り対象となるカード11の発行時に、分光器を用いて、カード11上に印刷された照合用マーク12の可視光帯における反射スペクトル特性を測定する。これにより、例えば図5に示すような反射スペクトル特性が得られる。認証システム1で読み取り対象となる照合用マーク12の色が複数種類ある場合は、各色について、反射スペクトル特性を測定する。この際に用いる分光器は、上述した回帰係数を求めるために各サンプルマークの反射スペクトル特性を測定するときに用いるものと同様の仕様のものであることが望ましい。
【0055】
このように得られた反射スペクトル特性が、照合用マーク12の正規の反射スペクトル特性としてスペクトル特性記憶部312に記憶される。照合用マーク12の色はカードIDと対応するため、正規の反射スペクトル特性はカードIDに対応させて記憶される。
【0056】
次に、認証装置3の具体的なハードウェア構成について説明する。図6は、認証装置3のハードウェア構成例を示す図である。
【0057】
図6において、CPU101は、認証装置3の各部を統括的に制御する中央演算処理装置であり、図1に示した認証装置3の制御部33の機能を果たすものである。
【0058】
RAM102は、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU101のワークエリアとして使用される。ROM103は、CPU101の制御プログラムであるオペレーティングシステム(OS)等を記憶する。
【0059】
通信I/F104は、図1に示した認証装置3の通信部32の機能を果たすものであり、通信回線10を介して読取装置2との通信を行うインタフェースである。
【0060】
入力装置105は、キーボードやマウス等からなり、操作者による各種入力操作を受け付けるものである。
【0061】
記憶装置106は、ハードディスク等からなり、図1に示した認証装置3の記憶部31の機能を果たすものである。また、記憶装置106は、カード認証に関するプログラムを記憶している。CPU101が記憶装置106からRAM102へカード認証に関するプログラムを読み込んで実行することにより、制御部33の判断部331の機能等が実現される。
【0062】
表示装置107は、液晶ディスプレイ等からなり、図1に示した認証装置3の表示部34に該当するものである。
【0063】
次に、認証システム1の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0064】
まず、ステップS10において、読取装置2のID取得部22は、カードIDを取得する。
【0065】
次いで、ステップS20において、読取装置2の制御部24は、通信部23を介してカードIDを認証装置3に送信する。
【0066】
次いで、ステップS30において、認証装置3の制御部33は、パラメータ記憶部311に記憶されているスペクトル算出用パラメータである回帰係数と、可視光帯における任意のn個の波長値(λ値)とを、通信部32を介して読取装置2に送信する。n個のλ値は、カード11の読み取りごとに設定するものであり、予め特定するものではない。
【0067】
次いで、ステップS40において、読取装置2の制御部24は、カード11の照合用マーク12を読み取るよう読取部21を制御し、照合用マーク12による反射光のR値、G値、B値を読取部21から取得する。なお、このステップS40の照合用マーク12の読み取り処理は、認証装置3によるスペクトル算出用パラメータおよびλ値の送信(ステップS30)の後に行う必要はなく、カードIDを取得(ステップS10)すれば開始してよい。
【0068】
次いで、ステップS50において、読取装置2のスペクトル特性算出部241は、ステップS40で取得したR値、G値、B値と、ステップS30で認証装置3から送信されたスペクトル算出用パラメータとを用いて、読取部21で読み取った照合用マーク12の反射スペクトル特性を算出する。
【0069】
次いで、ステップS60において、読取装置2のスペクトル特性算出部241は、ステップS50で算出した反射スペクトル特性において、認証装置3から送信されたn個のλ値に対応するn個の反射率を求め、このn個の反射率を、通信部23を介して認証装置3に送信する。
【0070】
次いで、ステップS70において、認証装置3の判断部331は、ステップS20で読取装置2から送信されたカードIDに対応する正規の反射スペクトル特性をスペクトル特性記憶部312から読み出し、この正規の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率を求める。そして、判断部331は、この正規の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率と、ステップS60において読取装置2のスペクトル特性算出部241で算出したn個の反射率とを照合し、所定の精度における数値の一致が確認された場合、読取装置2で照合用マーク12を読み取ったカード11は正規のカードであるとして認証OKと判断し、数値の一致が見られない場合は、認証NGと判断する。判断部331は、認証OKまたは認証NGの判断結果を、通信部32を介して読取装置2に送信する。
【0071】
認証装置3の判断部331による判断結果を受信すると、読取装置2の制御部24は、その結果を表示部25に表示させる。認証NGの場合は、読み取り手順のやり直しを指示するメッセージを表示部25に表示させるようにしてもよい。
【0072】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、カード11上に印刷した照合用マーク12による反射光のR値、G値、B値から照合用マーク12の反射スペクトル特性を求め、この反射スペクトル特性を認証情報として用いる。このため、カード11は低コストで容易に製造可能であり、また、読取装置2の読取部21も簡単な構成で実現できるので、幅広い用途への利用を実現することができる。
【0073】
また、照合用マーク12による反射光のR値、G値、B値から反射スペクトル特性を求めるためのスペクトル算出用パラメータが認証装置3に格納されているため、機密性に優れる。
【0074】
なお、本実施の形態では、読取装置2で照合用マーク12を読み取って得られた反射スペクトルと、正規の反射スペクトルとを照合するために、両者についてn個のλ値に対応するn個の反射率をそれぞれ求めて、その反射率を照合したが、これに限らず、両者が一致するか否かを判断できる方法であればどのような照合方法を用いてもよい。
【0075】
また、スペクトル算出用パラメータとしての回帰係数は、照合用マーク12の色ごとに算出、記憶する必要はないが、色調が大きく異なる色の照合用マーク12を用いる場合は、その色に応じた回帰係数を用意しておいてもよい。
【0076】
この場合、色調が大きく異なる照合用マーク12の色ごとに、複数のサンプルマークを用意し、前述したような方法で、それぞれ複数の波長について回帰係数を求める。この色ごとに複数の波長について得られた回帰係数を、各色に応じたスペクトル算出用パラメータとして、カードIDと対応させて、パラメータ記憶部311に記憶させておく。そして、前述のステップS30において、認証装置3の制御部33がスペクトル算出用パラメータである回帰係数を読取装置に送信する際に、カードIDに応じた回帰係数を選択して送信するようにすればよい。このようにすることで、反射スペクトル特性をより精度よく算出することが期待できる。
【0077】
また、本実施の形態の説明では、可視光帯(波長400〜700nm)の反射スペクトル特性のみを用いていたが、特殊なインク等を用いて、例えば近赤外領域に特徴のある反射スペクトル特性を有する照合用マーク12を形成し、この近赤外領域まで含めた反射スペクトル特性を用いて照合を行うようにしてもよい。
【0078】
この場合、読取部21が近赤外領域に検出感度を持つ構成にする必要がある。図2に示した構成であれば、赤用センサ219を近赤外領域の光量値(IR値とする)も検出できるようなもので構成すればよい。また、スペクトル算出用パラメータとしての回帰係数を求める際は、照合用マーク12と同様のインク等を用いて形成した複数のサンプルマークを用意し、分光器を用いて各サンプルマークの可視光帯と近赤外領域の反射スペクトル特性を測定し、光量検出器を用いて各サンプルマークからの反射光のR値+IR値、G値、B値を測定する。
【0079】
そして、各サンプルマークの反射スペクトル特性およびR値+IR値、G値、B値を用いて、可視光帯に近赤外領域を加えた波長領域で、反射率を目的変数とし、R値+IR値、G値、B値を説明変数とする重回帰式を、複数の波長において求める。このようにして得られる重回帰式の回帰係数を、スペクトル算出用パラメータとする。また、スペクトル特性記憶部312に記憶する正規の反射スペクトル特性も、可視光帯と近赤外領域の反射スペクトル特性を分光器で測定したものとする。
【0080】
照合用マーク12の読み取り時には、読取部21で検出したR値+IR値、G値、B値とスペクトル算出用パラメータとを用いて、可視光帯と近赤外領域の反射スペクトル特性を算出し、この反射スペクトル特性と、スペクトル特性記憶部312の正規の反射スペクトル特性とを照合して、認証OKまたは認証NGの判断を行う。このように近赤外領域まで含めた反射スペクトル特性を用いて認証を行うようにすることで、カード11の偽造等をより確実に防止してセキュリティを向上することができる。
【0081】
(第1の実施の形態の変形例)
図1に示した第1の実施の形態の認証システム1は、読取装置2で読み取った照合用マーク12の反射スペクトル特性を読取装置2側で算出するものであったが、本変形例では、照合用マーク12の反射スペクトル特性を、認証装置側で算出する。以下、図1に示した認証システム1と異なる点について主に説明する。
【0082】
図8は、第1の実施の形態の変形例に係る認証システムの構成を示すブロック図である。図8に示すように、本変形例に係る認証システム1Aの読取装置2Aは、図1の認証システム1の読取装置2に対し、スペクトル特性算出部241を省略したものである。
【0083】
また、認証システム1Aの認証装置3Aは、図1の認証システム1の認証装置3に対し、スペクトル特性算出部332を追加した構成である。スペクトル特性算出部332は、読取装置2Aの読取部21で照合用マーク12を読み取って得られたR値、G値、B値と、パラメータ記憶部311に記憶されているスペクトル算出用パラメータとを用いて、照合用マーク12の反射スペクトル特性を算出する。
【0084】
次に、認証システム1Aの動作について説明する。
【0085】
まず、読取装置2AのID取得部22は、カードIDを取得する。次いで、読取装置2Aの制御部24は、カード11の照合用マーク12を読み取るよう読取部21を制御し、照合用マーク12による反射光のR値、G値、B値を読取部21から取得する。
【0086】
次いで、読取装置2Aの制御部24は、カードIDと、読取部21から取得したR値、G値、B値を示す情報とを、通信部23を介して認証装置3に送信する。
【0087】
次いで、認証装置3Aのスペクトル特性算出部332は、読取装置2Aの読取部21で取得したR値、G値、B値と、パラメータ記憶部311に記憶されているスペクトル算出用パラメータである回帰係数とを用いて、読取部21で読み取った照合用マーク12の反射スペクトル特性を算出する。
【0088】
次いで、認証装置3Aのスペクトル特性算出部332は、算出した照合用マーク12の反射スペクトル特性において、任意のn個のλ値に対応するn個の反射率を求める。
【0089】
次いで、認証装置3Aの判断部331は、読取装置2Aから送信されたカードIDに対応する正規の反射スペクトル特性をスペクトル特性記憶部312から読み出し、この正規の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率を求める。そして、判断部331は、この正規の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率と、スペクトル特性算出部332で算出した照合用マーク12の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率とを照合し、所定の精度における数値の一致が確認された場合、読取装置2Aで照合用マーク12を読み取ったカード11は正規のカードであるとして認証OKと判断し、数値の一致が見られない場合は、認証NGと判断する。
【0090】
このような本変形例の認証システム1Aによっても、上記第1の実施の形態で説明した図1の認証システム1と同様に、幅広い用途への利用と優れた機密性を実現することができる。
【0091】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る認証システムの構成を示すブロック図である。図9に示すように、第2の実施の形態に係る認証システム1Bは、読取装置2Bと、認証装置3Bとを備える。
【0092】
第1の実施の形態では、読取装置2として認証システム1に専用の読取装置を用いていたが、第2の実施の形態では、カメラ付携帯電話等の汎用の読取装置を用いる。
【0093】
読取装置2Bは、読取部26と、通信部27と、制御部28と、表示部29とを備える。
【0094】
読取部26は、イメージセンサ261と、画像処理部262とを備える。イメージセンサ261は、CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子を有し、レンズおよび光学フィルタ(いずれも図示せず)を介して入射した光を光電変換して電気信号を出力する。画像処理部262は、イメージセンサ261から入力される電気信号を処理して各種の情報を取得する。
【0095】
通信部27は、通信回線10を介して認証装置3Bとの通信を行うインタフェースである。
【0096】
制御部28は、読取装置2B全体の動作を制御するものであり、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)等から構成される。
【0097】
前述のように、読取装置2Bは、カメラ付携帯電話等の汎用の読取装置から構成され、認証システム1Bに対応したプログラムがインストールされている。このプログラムをCPUが実行することにより、本実施の形態の読取装置2Bとしての機能が実現される。
【0098】
表示部29は、認証装置3Bによる判断結果をユーザに通知するために、判断結果の表示を行う。
【0099】
認証装置3Bは、図8の認証システム1Aの認証装置3Aに対し、光源タイプ判定テーブル記憶部313と、光源タイプ判定部333とを追加した構成である。
【0100】
光源タイプ判定テーブル記憶部313は、読取装置2Bで読み取りを行う際の光源環境を分類する光源タイプを判定するために用いられる光源タイプ判定テーブルを予め記憶する。
【0101】
光源タイプ判定部333は、後述する基準カラーマークを読取装置2Bで読み取って得られた各色のマークからの反射光のR値、G値、B値と、光源タイプ判定テーブルとに基づいて、読取装置2Bで読み取りを行った際の光源タイプを判定する。
【0102】
認証装置3Bも、第1の実施の形態の認証装置3と同様の図6に示したハードウェア構成で実現可能であり、CPU101が記憶装置106からRAM102へカード認証に関するプログラムを読み込んで実行することにより、制御部33の判断部331、スペクトル特性算出部332、光源タイプ判定部333の機能等が実現される。
【0103】
第1の実施の形態では、認証システム1に専用の読取装置2の読取部21を用いて読み取りを行う。このため、読み取り時の光源環境や、光量検出系の分光感度特性は一定である。これに対し、第2の実施の形態では、読取装置2Bとして汎用の読取装置を用いる。汎用の読取装置では、光源を搭載していないものも多く、読み取り時の光源環境が特定できない。また、読取装置の機種等により、分光感度特性が異なる。
【0104】
ここで、汎用の読取装置の分光感度特性の一例を図10に示す。図10は、光を受けたときの感度の波長に対する特性を表すものである。汎用の読取装置は一般に、イメージセンサ、イメージセンサ上に光を集光するレンズ等の光学系、一部の波長域を制限するための光学フィルタなどを備え、それらの光学的特性を総合して波長に対する分光感度が決まる。したがって、図10に示されているようにR,G,Bの各値を検出するために3つの分光感度の組み合わせで構成されることになる。
【0105】
読み取り時の光源環境や読取装置の分光感度特性が異なると、同じ照合用マークを読み取っても、検出されるR値、G値、B値が異なることがある。このため、どのような光源環境でどのような機種の読取装置を用いる場合に対しても同じスペクトル算出用パラメータ(回帰係数)を用いるとすると、算出される照合用マークの反射スペクトル特性が、読み取り時の光源環境や読取装置の機種によって異なり、正規の反射スペクトル特性と照合した結果が誤ってしまうおそれがある。
【0106】
そこで、第2の実施の形態では、読み取り時の光源環境および読取装置2Bの分光感度特性によって、照合用マークの反射スペクトル特性の算出に用いるスペクトル算出用パラメータ(回帰係数)を変える。光源環境については、後述する基準カラーマークを読取部26で読み取って得られる各色のマークからの反射光のR値、G値、B値と、後述する光源タイプ判定テーブルとに基づいて、光源タイプを判定する。分光感度特性については、読取装置2Bから自装置の機種を示す情報を含む読取装置IDを取得し、この読取装置IDを用いて判断する。
【0107】
第2の実施の形態における認証媒体であるカードに印刷される基準カラーマークおよび照合用マークを図11に示す。図11に示すように、基準カラーマーク14は、それぞれ赤、緑、青、白に印刷されたマーク141R,141G,141B,141Wからなる。なお、マーク141Wはグレーでもよい。照合用マーク15は、所定の色で印刷された2次元コードからなる。そのコード情報には、当該照合用マーク15の色を示す情報が含まれている。
【0108】
基準カラーマーク14を読取部26で読み取って得られる各色のマーク141R,141G,141B,141Wからの反射光のR値、G値、B値は、光源タイプ判定部333における光源タイプの判定処理に用いられる。この判定処理において、光源タイプ判定部333は、光源タイプ判定テーブル記憶部313に記憶されている光源タイプ判定テーブルを参照する。
【0109】
光源タイプ判定テーブルの一例を図12に示す。図12は、光源タイプA〜Dの4つの場合を一例として示しているが、さらに多くの光源タイプを設定してもよい。
【0110】
図12の光源タイプ判定テーブルは、光源タイプA〜Dに対応する4つの異なるスペクトル特性を有する光源を用いて、基準カラーマーク14の各色のマーク141R,141G,141B,141Wからの反射光のR値、G値、B値をそれぞれ測定し、得られた値を用いて、以下のように符号を決定したものである。なお、光源タイプA〜Dの光源としては、それぞれ図13(a)〜(d)に示すようなスペクトル特性の光源を用いた。
【0111】
図12において、例えば「R−B」は、赤のマーク141Rからの反射光のB値を示す。「G−B」、「B−R」、「W−B」等も同様である。そして、例えば、「判定符号R」欄は、「R−B」、「R−G」、「R−R」の3つの値の大小関係を示し、最も小さいものを「S」、最も大きいものを「L」、その中間を「M」としている。「判定符号G」欄、「判定符号B」欄、「判定符号RGB」欄も同様であり、それぞれ3つの値の大小関係を示している。3つの値のうち2つ以上がほぼ同じ値である場合は、それらを「E」としている。大小の判断は、相対値の差が約2%以上の場合、大小差があるとした。「判定符号WR」欄、「判定符号WG」欄については、それぞれ2つの値の大小関係を示している。
【0112】
次に、認証装置3Bのパラメータ記憶部311に記憶されるスペクトル算出用パラメータについて説明する。
【0113】
照合用マーク15の反射スペクトル特性の算出に用いるスペクトル算出用パラメータとして、重回帰分析の手法を用いて得られる回帰係数を用いることは第1の実施の形態と同様である。しかし、前述のように、第2の実施の形態では、読み取り時の光源環境および読取装置2Bの分光感度特性によって、照合用マークの反射スペクトル特性の算出に用いるスペクトル算出用パラメータ(回帰係数)を変える。
【0114】
このため、光源タイプ判定部333で光源タイプ判定テーブルを用いて判定するすべての光源タイプ(図12の例では4つ)と、認証システム1Bで使用を想定しているすべての機種の読取装置の分光感度特性のタイプ(光学系タイプ)との組み合わせのすべてに対応するスペクトル算出用パラメータ(回帰係数)を予め用意し、認証装置3Bのパラメータ記憶部311に記憶しておく。
【0115】
複数のサンプルマークを用意し、各サンプルマークの反射スペクトル特性と、各サンプルマークの反射光のR値、G値、B値とを測定し、これらを用いてスペクトル算出用パラメータである回帰係数を求める手法は第1の実施の形態と同様であるが、第2の実施の形態では、各サンプルマークの反射光のR値、G値、B値を測定する際、認証システム1Bで想定している光源タイプと分光感度特性のタイプとのすべての組み合わせのそれぞれに対応する光源スペクトル特性と分光感度特性とを有する光量検出器を用いて、すべての組み合わせに応じたR値、G値、B値を測定する。このすべての組み合わせに応じたR値、G値、B値を用いて、すべての組み合わせに対応する回帰係数を求める。
【0116】
認証装置3Bのスペクトル特性記憶部312には、照合用マーク15の正規の反射スペクトル特性が予め記憶されている。これは、照合用マーク15が印刷されたカードの発行時に、分光器を用いて測定されたものである。照合用マーク15の正規の反射スペクトル特性は、照合用マーク15の色を示す情報と対応させて記憶される。
【0117】
次に、認証システム1Bの動作について説明する。
【0118】
まず、読取装置2Bの動作を説明する。読取装置2Bにおいて、基準カラーマーク14および照合用マーク15からの反射光が入射すると、イメージセンサ261は、入射した光を光電変換して電気信号を出力する。画像処理部262は、イメージセンサ261から入力される電気信号を処理して画像を出力するとともに、基準カラーマーク14の各色のマーク141R,141G,141B,141Wからの反射光のR値、G値、B値、および照合用マーク15からの反射光のR値、G値、B値を取得して、これらを制御部28に出力する。
【0119】
また、制御部28は、照合用マーク15の2次元コードの画像から、照合用マーク15の色を示す情報を読み取る。
【0120】
そして、制御部28は、マーク141R,141G,141B,141Wおよび照合用マーク15のそれぞれについてのR値、G値、B値と、照合用マーク15の色を示す情報と、読取装置2Bの読取装置IDとを、通信部27を介して認証装置3Bに送信する。
【0121】
ここで、読取装置IDは、読取装置2Bの機種を示す情報を含むものであり、認証装置3Bにおいて、読取装置2Bの分光感度特性のタイプ(光学系タイプ)を判断するための光学系タイプ情報として用いられる。
【0122】
次に、認証装置3Bの動作について、図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0123】
読取装置2Bから上述した各種の情報を受信すると、ステップS110において、光源タイプ判定部333は、マーク141R,141G,141B,141WのそれぞれについてのR値、G値、B値と、光源タイプ判定テーブル記憶部313に記憶された光源タイプ判定テーブルとを用いて、読取装置2Bで読み取りを行った際の光源タイプを判定する。この光源タイプの判定処理については後述する。
【0124】
次いで、ステップS120において、スペクトル特性算出部332は、ステップS110で判定した光源タイプと、読取装置IDが示す機種の分光感度特性のタイプとの組み合わせに応じたスペクトル算出用パラメータ(回帰係数)をパラメータ記憶部311から選択して取得する。
【0125】
次いで、ステップS130において、スペクトル特性算出部332は、読取装置2Bから取得した照合用マーク15についてのR値、G値、B値と、ステップS120で選択したスペクトル算出用パラメータを用いて、読取装置2Bで読み取った照合用マーク15の反射スペクトル特性を算出する。
【0126】
そして、ステップS140において、判断部331は、読取装置2Bから取得した照合用マーク15の色を示す情報に応じた正規の反射スペクトル特性をスペクトル特性記憶部312から選択し、この正規の反射スペクトル特性と、ステップS130で算出した反射スペクトル特性とを照合し、認証OKまたは認証NGの判断を行う。照合の方法は第1の実施の形態で説明したものと同様であり、例えば、ステップS130で算出した反射スペクトル特性と正規の反射スペクトル特性とのそれぞれについて、n個のλ値に対応するn個の反射率を求めてそれらを照合する方法を用いる。
【0127】
判断が終了すると、判断部331は、認証OKまたは認証NGの判断結果を、通信部32を介して読取装置2Bに送信する。
【0128】
認証装置3Bの判断部331による判断結果を受信すると、読取装置2Bの制御部28は、その結果を表示部29に表示させる。認証NGの場合は、読み取り手順のやり直しを指示するメッセージを表示部29に表示させるようにしてもよい。
【0129】
次いで、上記ステップS110の光源タイプの判定処理について、図15に示すフローチャートを参照して説明する。
【0130】
ステップS210において、光源タイプ判定部333は、読取装置2Bから取得したマーク141R,141G,141B,141WのそれぞれについてのR値、G値、B値である12個の値から、前述した図12の光源タイプ判定テーブルに示される各判定符号を決定するための組み合わせを作り、その中で相互比較を行う。例えば、判定符号Rを決定するための「R−B」、「R−G」、「R−R」の組み合わせにおける3つの値を比較して大小関係を求める。
【0131】
次いで、ステップS220において、光源タイプ判定部333は、ステップS210の相互比較の結果から、各判定符号(判定符号R、判定符号G、判定符号B、判定符号RGB、判定符号WR、判定符号WG)を決定する。それぞれの判定符号の決定の仕方は、前述した図12の光源タイプ判定テーブルの説明におけるものと同様であるため説明を省略する。
【0132】
これにより、例えば、判定符号R:「SML」,判定符号G:「MLS」,判定符号B:「LMS」,判定符号RGB:「EEL」,判定符号WR:「LS」,判定符号WG:「LS」のような、6種類の判定符号が得られる。
【0133】
そして、ステップS230において、光源タイプ判定部333は、光源タイプ判定テーブル記憶部313に記憶されている光源タイプ判定テーブルにおける各光源タイプA〜Dの各判定符号と、ステップS220で求めた各判定符号とを照合して、光源タイプA〜Dから、読取装置2Bで読み取りを行った際の光源タイプを選択する。
【0134】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様にカードは低コストで容易に製造可能であり、また、読取装置2Bとして汎用の読取装置を用いることができるので、幅広い用途への利用を実現することができる。また、第1の実施の形態と同様に、スペクトル算出用パラメータが認証装置3に格納されているため、機密性に優れる。
【0135】
なお、照合用マーク15の正規の反射スペクトル特性を示す情報を、認証装置3Bのスペクトル特性記憶部312に記憶しておくのではなく、照合用マーク15の2次元コードに書き込んでおき、照合用マーク15を読み取る際にこの情報も読取装置2Bが取得して認証装置3Bに送るようにしてもよい。
【0136】
この場合、例えば、照合用マーク15の正規の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率を示す情報を2次元コードに書き込んでおき、照合用マーク15を読み取る際に読取装置2Bがこの情報を取得して認証装置3Bに送る。認証装置3Bの判断部331は、スペクトル特性算出部332で算出した照合用マーク15の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率と、読取装置2Bから取得した正規の反射スペクトル特性におけるn個のλ値に対応するn個の反射率とを照合して、認証OKか否かを判断する。
【0137】
また、読取装置2Bのイメージセンサ261が近赤外領域に検出感度を持つものであれば、第1の実施の形態と同様に、特殊なインク等を用いて、近赤外領域に特徴のある反射スペクトル特性を有する照合用マーク15を形成し、この近赤外領域まで含めた反射スペクトル特性を用いて照合を行うようにすることも可能である。
【0138】
また、第1の実施の形態と同様に、スペクトル算出用パラメータとしての回帰係数は、照合用マーク15の色ごとに用意する必要はないが、色調が大きく異なる色の照合用マーク15を用いる場合は、その色に応じた回帰係数を用意しておいてもよい。
【0139】
(第2の実施の形態の変形例)
図9に示した第2の実施の形態の認証システム1Bは、スペクトル算出用パラメータを予め認証装置3Bのパラメータ記憶部311に記憶しておくものであったが、本変形例では、読み取り動作ごとにスペクトル算出用パラメータを算出する。以下、図9に示した認証システム1Bと異なる点について主に説明する。
【0140】
図16は、第2の実施の形態の変形例に係る認証システムの構成を示すブロック図である。図16に示すように、本変形例に係る認証システム1Cは、図9に示した認証システム1Bに対し、認証装置3Bを認証装置3Cに置き換えたものである。
【0141】
認証装置3Cは、図9の認証装置3Bに対し、パラメータ記憶部311を省略し、光源スペクトル特性記憶部314と、分光感度特性記憶部315と、サンプルスペクトル特性記憶部316と、パラメータ算出部334とを追加した構成である。
【0142】
光源スペクトル特性記憶部314は、光源タイプ判定テーブル記憶部313に記憶されている光源タイプ判定テーブルを用いて判定される光源タイプA〜Dの光源スペクトル特性のデータである、図13(a)〜(d)のデータを予め記憶する。光源タイプA〜Dと判定される光源環境が実際に図13(a)〜(d)のスペクトル特性と一致するとは限らないが、近似するものとして、スペクトル算出用パラメータの算出に用いることができる。
【0143】
分光感度特性記憶部315は、認証システム1Cで使用を想定しているすべての機種の読取装置の分光感度特性のタイプ(光学系タイプ)に応じた分光感度特性のデータを予め記憶する。例えば、図10に示したようなデータを、分光感度特性のタイプごとに記憶している。
【0144】
サンプルスペクトル特性記憶部316は、図4に示したような、複数のサンプルマークの反射スペクトル特性のデータを予め記憶する。
【0145】
パラメータ算出部334は、読取装置IDが示す機種の分光感度特性のタイプに応じた分光感度特性のデータと、光源タイプ判定部333で判定した光源タイプに応じた光源スペクトル特性のデータと、複数のサンプルマークの反射スペクトル特性のデータとを用いて、スペクトル算出用パラメータ(回帰係数)を算出する。
【0146】
次に、認証システム1Cの動作について説明する。
【0147】
読取装置2Bの動作は、第2の実施の形態で説明した認証システム1Bにおける動作と同様であり、読取装置2Bは、マーク141R,141G,141B,141Wおよび照合用マーク15のそれぞれについてのR値、G値、B値と、照合用マーク15の色を示す情報と、読取装置2Bの読取装置IDとを認証装置3Cに送信する。
【0148】
読取装置2Bから上述した各種の情報を受信すると、認証装置3Cの光源タイプ判定部333は、第2の実施の形態で説明した図14のフローチャートの手順により、読取装置2Bで読み取りを行った際の光源タイプを判定する。
【0149】
次いで、パラメータ算出部334は、読取装置IDが示す機種の分光感度特性のタイプに応じた分光感度特性のデータを分光感度特性記憶部315から選択し、光源タイプ判定部333で判定した光源タイプに応じた光源スペクトル特性のデータを光源スペクトル特性記憶部314から選択する。
【0150】
そして、パラメータ算出部334は、それぞれ選択した分光感度特性のデータおよび光源スペクトル特性のデータと、サンプルスペクトル特性記憶部316に記憶されている複数のサンプルマークの反射スペクトル特性のデータとを用いて、スペクトル算出用パラメータ(回帰係数)を算出する。
【0151】
このスペクトル算出用パラメータの算出において、まず、各サンプルマークのR値、G値、B値を求める。各サンプルマークについてのR値、G値、B値は、第1および第2の実施の形態では、光量検出器を用いて測定したものであった。本変形例では、この各サンプルマークについてのR値、G値、B値を、分光感度特性のデータと光源スペクトル特性のデータと各サンプルマークの反射スペクトル特性のデータとを用いて算出する。
【0152】
例えば、R値については、分光感度特性のデータにおいてR光の感度がピークとなる付近の波長帯域における複数の波長について、R光の感度と、光源の光の強度と、サンプルマークの反射率とを乗算した値をそれぞれ算出し、それらの値を積算することで、そのサンプルマークについてのR値(相対値)が得られる。G値、B値についても同様である。このようにして、パラメータ算出部334は、選択した分光感度特性のデータおよび光源スペクトル特性のデータと、各サンプルマークの反射スペクトル特性のデータとから、各サンプルマークについてのR値、G値、B値を算出する。
【0153】
パラメータ算出部334は、算出した各サンプルマークについてのR値、G値、B値と、各サンプルマークの反射スペクトル特性のデータとを用いて、第1の実施の形態で説明したのと同様の手法を用いて、スペクトル算出用パラメータとしての回帰係数を求める。
【0154】
スペクトル特性算出部332は、読取装置2Bから取得した照合用マーク15についてのR値、G値、B値と、パラメータ算出部334で算出したスペクトル算出用パラメータを用いて、読取装置2Bで読み取った照合用マーク15の反射スペクトル特性を算出する。
【0155】
そして、判断部331は、読取装置2Bから取得した照合用マーク15の色を示す情報に応じた正規の反射スペクトル特性をスペクトル特性記憶部312から選択し、この正規の反射スペクトル特性と、スペクトル特性算出部332で算出した反射スペクトル特性とを照合し、認証OKまたは認証NGの判断を行う。
【0156】
このような本変形例の認証システム1Cによっても、幅広い用途への利用と優れた機密性を実現することができる。
【符号の説明】
【0157】
1,1A,1B,1C 認証システム
2,2A,2B 読取装置
3,3A,3B,3C 認証装置
11 カード
12,15 照合用マーク
14 基準カラーマーク
21,26 読取部
22 ID取得部
23,27 通信部
24,28 制御部
25,29 表示部
31 記憶部
32 通信部
33 制御部
34 表示部
241 スペクトル特性算出部
261 イメージセンサ
262 画像処理部
311 パラメータ記憶部
312 スペクトル特性記憶部
313 光源タイプ判定テーブル記憶部
314 光源スペクトル特性記憶部
315 分光感度特性記憶部
316 サンプルスペクトル特性記憶部
331 判断部
332 スペクトル特性算出部
333 光源タイプ判定部
334 パラメータ算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証媒体に印刷された照合用マークを光学的に読み取る読取装置と、
前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、
前記読取装置は、
前記照合用マークを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を検出する読取部と、
前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを前記認証装置から取得し、前記読取部で検出した前記複数の波長帯域の光量と前記スペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性を示す情報を前記認証装置に送信する通信部とを備え、
前記認証装置は、
前記スペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、
前記読取装置の前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項2】
認証媒体に印刷された照合用マークを光学的に読み取る読取装置と、
前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、
前記読取装置は、
前記照合用マークを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を検出する読取部と、
前記読取部で検出した前記複数の波長帯域における光量を示す情報を前記認証装置に送信する通信部とを備え、
前記認証装置は、
前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、
前記読取装置の前記読取部で検出した前記複数の波長帯域の光量と前記スペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項3】
認証媒体に印刷された照合用マークを読取装置で光学的に読み取って得られた前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を示す情報を取得する情報取得部と、
前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、
前記情報取得部で取得した前記複数の波長帯域の光量と前記スペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合して、前記読取装置で前記照合用マークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項4】
認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取装置と、
前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、
前記読取装置は、
前記照合用マークと前記基準カラーマークとを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量と、前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量とを検出する読取部と、
前記照合用マークおよび前記基準カラーマークの各色のマークをそれぞれ読み取って得られた前記複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを前記認証装置に送信する通信部とを備え、
前記認証装置は、
前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、
前記読取部で前記基準カラーマークを読み取って得られた前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、
前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプおよび前記読取装置から送信された前記光学系タイプ情報が示す前記読取部の光学系タイプに応じたスペクトル算出用パラメータを前記記憶部から取得し、取得したスペクトル算出用パラメータと、前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量とを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項5】
認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取部を有する読取装置から、前記読取部で得られた前記照合用マークからの反射光および前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを取得する情報取得部と、
前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを予め記憶しておく記憶部と、
前記情報取得部で取得した前記基準カラーマークの前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、
前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプおよび前記情報取得部で取得した前記光学系タイプ情報が示す前記読取部の光学系タイプに応じたスペクトル算出用パラメータを前記記憶部から取得し、取得したスペクトル算出用パラメータと、前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量とを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項6】
認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取装置と、
前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する認証装置とを備え、
前記読取装置は、
前記照合用マークと前記基準カラーマークとを光学的に読み取り、前記照合用マークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量と、前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量とを検出する読取部と、
前記照合用マークおよび前記基準カラーマークの各色のマークをそれぞれ読み取って得られた前記複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを前記認証装置に送信する通信部とを備え、
前記認証装置は、
前記読取部で前記基準カラーマークを読み取って得られた前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、
複数の光学系タイプごとの分光感度特性と、複数の光源タイプごとの光源スペクトル特性と、予め測定された互いに色の異なる複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを予め記憶しておく記憶部と、
前記読取装置から送信された前記光学系タイプ情報が示す光学系タイプに応じた分光感度特性と、前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプに応じた光源スペクトル特性とを前記記憶部から選択し、選択した分光感度特性および光源スペクトル特性と、前記複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを用いて、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを算出するパラメータ算出部と、
前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量と、前記パラメータ算出部で算出したスペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項7】
認証媒体に印刷された、照合用マークと、複数色のマークを有する基準カラーマークとを光学的に読み取る読取部を有する読取装置から、前記読取部で得られた前記照合用マークからの反射光および前記基準カラーマークの各色のマークからの反射光の所定の複数の波長帯域における光量を示す情報と、前記読取部の分光感度特性に応じた光学系タイプを示す光学系タイプ情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得した前記基準カラーマークの前記各色のマークからの反射光の前記複数の波長帯域における光量に基づいて、前記読取部で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った際の光源環境により分類される光源タイプを判定する光源タイプ判定部と、
複数の光学系タイプごとの分光感度特性と、複数の光源タイプごとの光源スペクトル特性と、予め測定された互いに色の異なる複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを予め記憶しておく記憶部と、
前記情報取得部で取得した前記光学系タイプ情報が示す光学系タイプに応じた分光感度特性と、前記光源タイプ判定部で判定した光源タイプに応じた光源スペクトル特性とを前記記憶部から選択し、選択した分光感度特性および光源スペクトル特性と、前記複数のサンプルマークの反射スペクトル特性とを用いて、前記複数の波長帯域における反射光の光量から反射スペクトル特性を算出するためのスペクトル算出用パラメータを算出するパラメータ算出部と、
前記読取部で前記照合用マークを読み取って得られた前記所定の複数の波長帯域における光量と、前記パラメータ算出部で算出したスペクトル算出用パラメータとを用いて、前記照合用マークの反射スペクトル特性を算出するスペクトル特性算出部と、
前記スペクトル特性算出部で算出した前記照合用マークの反射スペクトル特性と、予め測定された前記照合用マークの正規の反射スペクトル特性とを照合することにより、前記読取装置で前記照合用マークおよび前記基準カラーマークを読み取った認証媒体が正規の認証媒体であるか否かを判断する判断部と
を備えることを特徴とする認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−248632(P2011−248632A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121245(P2010−121245)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】