説明

誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器

【課題】高温加熱されても非導通性鍋から発熱体が剥がれることのない誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】円環状の加熱コイル5を有する機器本体1と、加熱コイル5により加熱される非導通性鍋14とを備え、加熱コイル5と対向する非導通性鍋14の外壁底面15には、加熱コイル5の円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層16を設け、発熱層16の内側と外側の非導通性鍋14の外壁底面15には、発熱層16より厚みが大なる発熱体17、18を設けたものである。これによって、高温でも剥離しにくい薄い発熱層16が非導通性鍋14の外壁底面15の最も温度上昇する部分にあり、厚みが大なる発熱体17、18はそれ以外の部分にあるので、厚みが大なる発熱体17、18の接着が剥がれることはなく、誘導加熱で高火力を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土鍋などの誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導加熱用の非導通性鍋としては、鍋の外壁底面に金属やカーボンなどの導電性材料よりなる発熱層を設けるとともに、この発熱層の中心位置にその周辺領域よりも厚さが大きな厚層部を設けることにより、100Vおよび200V電源用のIH調理器で加熱調理できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−334351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、100Vおよび200V電源用のIH調理器で加熱調理できるが、誤って高温で加熱したり、空焼きをしたりすると、非導通性鍋と発熱体の膨張差で発熱体の接着が剥がれる恐れがあった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高温加熱されても鍋から発熱体が剥がれることのない誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱用の非導通性鍋は、外壁底面に加熱コイルにより誘導加熱される発熱層を設け、この発熱層の内側と外側の外壁底面には、発熱層より厚みが大なる発熱体を設けたものである。
【0006】
これによって、高温でも剥離しにくい薄い発熱層が非導通性鍋の外壁底面の最も温度上昇する部分にあり、発熱層より厚みが大なる発熱体はそれ以外の部分にあるので、厚みが大なる発熱体の接着が剥がれることはない。すなわち、非導通性鍋の発熱部の仕様を、最も加熱される部分とそれ以外の部分で変えることにより、非導通性鍋が高温になっても発熱部の剥離がなく、誘導加熱で高火力を実現することができる。また、高温になる部分以外に誘導加熱されやすい発熱体を設けることで、誘導加熱での火力を高めることができ、100V電圧の電力が低い誘導加熱調理器でも高火力を得ることができる。
【0007】
また、本発明の誘導加熱調理器は、円環状の加熱コイルを有する機器本体と、この機器本体の加熱コイルにより加熱される非導通性鍋とを備え、加熱コイルと対向する非導通性鍋の外壁底面には、加熱コイルの円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層を設け、この発熱層の内側と外側の非導通性鍋の外壁底面には、発熱層より厚みが大なる発熱体を設けたものである。
【0008】
これによって、非導通性鍋を最も温度上昇する部分にある発熱層により加熱するとともに、高温になる発熱層部分以外は誘導加熱されやすい発熱体により加熱することができ、誘導加熱での火力を高めることができる。また、発熱層は薄く高温でも剥離しにくく、発熱体は発熱層より厚みが大であるが高温部分以外にあるので、発熱体の接着が剥がれることはない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器は、非導通性鍋が高温になっても発熱部の剥離がなく、誘導加熱で高火力を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、外壁底面に加熱コイルにより誘導加熱される発熱層を設け、この発熱層の内側と外側の外壁底面には、発熱層より厚みが大なる発熱体を設けた誘導加熱用の非導通性鍋とするものである。これによって、高温でも剥離しにくい薄い発熱層が非導通性鍋の外壁底面の最も温度上昇する部分にあり、発熱層より厚みが大なる発熱体はそれ以外の部分にあるので、厚みが大なる発熱体の接着が剥がれることはない。すなわち、非導通性鍋の発熱部の仕様を、最も加熱される部分とそれ以外の部分で変えることにより、非導通性鍋が高温になっても発熱部の剥離がなく、誘導加熱で高火力を実現することができる。また、高温になる部分以外に誘導加熱されやすい発熱体を設けることで、誘導加熱での火力を高めることができ、100V電圧の電力が低い誘導加熱調理器でも高火力を得ることができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明において、外壁底面の発熱層と、その内側と外側の発熱体との間には間隔を設けたことにより、最も温度が上がる発熱層の熱が発熱体に直接伝わるのを防ぎ、発熱体を非導通性鍋に固着している接着材が高熱により劣化して、発熱体の非導通性鍋からの剥離を防止することができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1の発明において、円環状の発熱層を設ける外壁底面部分を他の部分より下方に突出させ、発熱層の表面と発熱層の内側と外側の発熱体の表面を同一平面としたことにより、加熱コイルから発熱層および発熱体への誘導加熱の熱効率を高めることができる。
【0013】
第4の発明は、円環状の加熱コイルを有する機器本体と、この機器本体の加熱コイルにより加熱される非導通性鍋とを備え、加熱コイルと対向する非導通性鍋の外壁底面には、加熱コイルの円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層を設け、この発熱層の内側と外側の非導通性鍋の外壁底面には、発熱層より厚みが大なる発熱体を設けた誘導加熱調理器とするものである。これによって、非導通性鍋を最も温度上昇する部分にある発熱層により加熱するとともに、高温になる発熱層部分以外は誘導加熱されやすい発熱体により加熱することができ、誘導加熱での火力を高めることができる。また、発熱層は薄く高温でも剥離しにくく、発熱体は発熱層より厚みが大であるが高温部分以外にあるので、発熱体の接着が剥がれることはない。
【0014】
第5の発明は、特に、第4の発明において、円環状の加熱コイルは巻線の導体間に間隔を設けて複数巻き構成とし、非導通性鍋の発熱層は加熱コイルと対向して複数の円環状とし、内側の発熱層の内側、内側の発熱層と外側の発熱層の間、および外側の発熱層の外側と順次発熱体を設けたことにより、発熱層が分割されて、発熱層の高温部が非導通性鍋の外壁底面の一部分に集中されるのを少なくすることができ、非導通性鍋と発熱部の熱膨張差による応力集中を少なくして、非導通性鍋の変形や破損を防止することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1〜図5は、本発明の実施の形態1における誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器を示すものである。
【0017】
図1に示すように、誘導加熱調理器を構成する機器本体1は、耐熱強化ガラス製のトッププレート2と、製品の外郭を構成する上、下のケース3を有する。図中、トッププレート2とケース3は四角形をしているが、これは丸型のものや溝つきのものであっても特に支障はない。また、ケース3の前方にはトッププレート2から低い面に液晶の表示窓を備えた操作部4が設けられている。
【0018】
図2は、上のケース3を取り外した状態の機器本体1の内部を示しており、円環状の加熱コイル5を有する。加熱コイル5はコイルベース6に取り付けられ、加熱コイル5の中心部にセンサー7を設けている。一般的にセンサー7はコイルベース6の中央部に設けてあるが、中央に限るものではない。
【0019】
加熱コイル5の下には誘導加熱制御部8および加熱コイル5や誘導加熱制御部8を冷却するファン9が設置されており、加熱コイル5の前方には操作制御部10が設置され、これは信号線11で誘導加熱制御部8につながっている。また、ケース3内の右後方には電源制御部12が置かれている。電源部制御部12には、着脱可能な電源コード13が接続されている。
【0020】
図3、図4に示すように、機器本体1の加熱コイル5により誘導加熱される誘導加熱用の非導通性鍋14は土鍋容器などであり、その外壁底面15には、加熱コイル5の円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層16を設けてある。発熱層16は銀を転写印刷で非導通性鍋14に貼り付けて焼成して設けている。発熱層16の厚みは100ミクロン以下で形成されている。
【0021】
また、発熱層16の内側と外側の非導通性鍋14の外壁底面15には、発熱層16より厚みが大なる発熱体17、18を接着材19により固着して設けている。発熱体17、18は0.5mm以上の厚みからなり、ステンレスやカーボンなど誘導加熱で温度上昇しやすい材料からなる。
【0022】
また、非導通性鍋14の発熱体18より外側の外壁底面15には、3点の凸部形状の脚20が設けてある。この脚20は、例えば、円周形状のものであってもよい。
【0023】
図5に示すように、機器本体1のトッププレート2上に非導通性鍋14を載置すると、非導通性鍋14の発熱層16はその巾中央部が加熱コイル5の円環状の巾中央部上方になるように対向して設けている。また、加熱コイル5の円環状の巾よりも発熱層16の円環状の巾は小さい形状としているので、発熱体17、18の一部は加熱コイル5の上方に位置する。なお、発熱体17は発熱層16の内側に設けてあり、円板状になっているが、中心部を抜いた円環状にしても問題はない。
【0024】
ここで、非導通性鍋14を機器本体1のトッププレート2上に載置すると、非導通性鍋14は脚20だけがトッププレート2に接触して、発熱層16と発熱体17、18はトッププレート2に触れておらず、その間に隙間が設けられる。
【0025】
以上のように構成された誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器において、以下その動作、作用を説明する。
【0026】
機器本体1に電源コード13を接続して、操作制御部10に誘導加熱の動作を始める指示を行うと、信号線11で信号を伝達して誘導加熱制御部8が加熱コイル5に誘導電流を流す。これにより磁界が発生し、非導通性鍋14に設けた発熱層16と発熱体17、18が誘導加熱される。
【0027】
この際、円環状の加熱コイル5は巻線巾の中央部の上空が最も磁束密度が高く、その上の金属部が最も温度が高くなるが、トッププレート2上に載置された非導通性鍋14では薄膜からなる発熱層16が発熱体17、18よりも強い磁束を受けて高温になる。しかし、非導通性鍋14の内部に水分が入っていると、水分の沸騰に熱が奪われるので発熱層16の温度上昇は比較的高くならず、実験では300℃以下になっている。
【0028】
ところが、水分が蒸発してなくなり空焼きになったり、200V電圧で高電力が出力されたりすると、加熱コイル5の巻線巾の中央部は高温になり、非導通性鍋14の発熱層16の温度は300℃以上になる。しかし、発熱層16は薄膜で形成されているので、熱膨張での伸びは少なく、また非導通性鍋14に高強度で接着されているので、高温でも剥離することがない。
【0029】
一方、発熱体17、18は非導通性鍋14に接着材19で接着しているが、ここで接着材19はセメントのような非常に硬化する材料にすると、発熱体17、18が加熱されて熱膨張すると、非導通性鍋14は非導通性鍋自体の熱膨張で伸びる長さ以上の引っ張り応力が加わり、非導通性鍋自体が破損してしまうため、接着材19はシリコン系とかの軟らかい材質を用いている。
【0030】
シリコン系の接着材では、熱膨張での応力は接着材19で緩和されるので、非導通性鍋14から剥離することはないが、耐熱温度がそれほど高くなく、異常温度上昇では接着材19が劣化してしまう。しかし、発熱体17、18は発熱層16より厚みが大で誘導加熱されやすいが高温部分以外にあるので、発熱体の剥離の現象を防止することができる。
【0031】
また、発熱層16と発熱体17、18との誘導加熱での効率が異なるため、非導通性鍋14が機器本体1の所定位置からずれて載置されると火力が変化するので、非導通性鍋14ずれを検知することができる。これにより、加熱コイル5の巻線巾の中央に発熱層16が対向していないことが検知でき、発熱体17、18が対向している場合は温度上昇してしまうが、その場合には誘導加熱の火力を最初から抑えることで、非導通性鍋14と機器本体1の故障を防止することができる。
【0032】
このように、本実施の形態における誘導加熱用の非導通性鍋は、外壁底面15に加熱コイル5により誘導加熱される発熱層16を設け、この発熱層16の内側と外側の外壁底面15には、発熱層16より厚みが大なる発熱体17、18を設けたことにより、高温でも剥離しにくい薄い発熱層16が非導通性鍋14の外壁底面15の最も温度上昇する部分にあり、発熱層16より厚みが大なる発熱体17、18はそれ以外の部分にあるので、厚みが大なる発熱体17、18の接着が剥がれることはない。すなわち、非導通性鍋14の発熱部の仕様を、最も加熱される部分とそれ以外の部分で変えることにより、非導通性鍋14が高温になっても発熱部の剥離がなく、誘導加熱で高火力を実現することができる。また、高温になる部分以外に誘導加熱されやすい発熱体17、18を設けることで、誘導加熱での火力を高めることができ、100V電圧の電力が低い誘導加熱調理器でも高火力を得ることができる。
【0033】
また、本実施の形態における誘導加熱調理器は、円環状の加熱コイル5を有する機器本体1と、この機器本体1の加熱コイル5により加熱される非導通性鍋14とを備え、加熱コイル5と対向する非導通性鍋14の外壁底面15には、加熱コイル5の円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層16を設け、この発熱層16の内側と外側の非導通性鍋14の外壁底面15には、発熱層16より厚みが大なる発熱体17、18を設けたことにより、非導通性鍋14を最も温度上昇する部分にある発熱層16により加熱するとともに、高温になる発熱層部分以外は誘導加熱されやすい発熱体17、18により加熱することができ、誘導加熱での火力を高めることができる。また、発熱層16は薄く高温でも剥離しにくく、発熱体17、18は発熱層16より厚みが大であるが高温部分以外にあるので、発熱体の接着が剥がれることはない。
【0034】
(実施の形態2)
図6〜図8は、本発明の実施の形態2における誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器を示すものである。機器本体1の構成は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0035】
図に示すように、機器本体1の加熱コイル5により加熱される非導通性鍋21の加熱コイル5と対向する外壁底面22には、加熱コイル5の円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層25を設け、この発熱層25の内側と外側の非導通性鍋21の外壁底面22には、それぞれ発熱層25とリング状に間隔28、29を設けて発熱層25より厚みが大なる発熱体26、27を設けたものである。なお、非導通性鍋21の外壁底面22には脚23を設けている。
【0036】
ここで、発熱層25、発熱体26、27は、実施の形態1における発熱層16、発熱体17、18と同様であり、説明を省略する。
【0037】
また、図8に示すように、機器本体1のトッププレート2上に非導通性鍋21を載置して使用するのであるが、その動作、作用は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0038】
このように、本実施の形態においては、非導通性鍋21の発熱層25と、その内側と外側の発熱体26、27との間には間隔28、29を設けたことにより、最も温度が上がる発熱層25の熱が発熱体26、27に直接伝わるのを防ぎ、発熱体26、27を非導通性鍋21に固着している接着材が高熱により劣化して、発熱体26、27の非導通性鍋21からの剥離を防止することができる。
【0039】
(実施の形態3)
図9、図10は、本発明の実施の形態3における誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器を示すものである。機器本体1の構成は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0040】
図に示すように、機器本体1の加熱コイル5により加熱される非導通性鍋31の加熱コイル5と対向する外壁底面32には、加熱コイル5の円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層36を設け、この発熱層36の内側と外側の非導通性鍋31の外壁底面32には、発熱層25より厚みが大なる発熱体34、35を設けたものである。
【0041】
そして、円環状の発熱層36を設ける非導通性鍋31の外壁底面32部分は、他の部分より下方に凸形状33に突出させているものであり、発熱層36の表面と発熱層36の内側と外側の発熱体34、35の表面を同一平面としている。
【0042】
ここで、発熱層36、発熱体34、35は、実施の形態1における発熱層16、発熱体17、18と同様であり、説明を省略する。
【0043】
また、図10に示すように、機器本体1のトッププレート2上に非導通性鍋31を載置して使用するのであるが、その動作、作用は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
このように、本実施の形態においては、円環状の発熱層36を設ける非導通性鍋31の外壁底面32部分を他の部分より円環状に下方に突出させ、発熱層36の表面と発熱層36の内側と外側の発熱体34、35の表面を同一平面としたことにより、加熱コイル5から発熱層36および発熱体34、35への誘導加熱の熱効率を高めることができる。また、誘導加熱させる誘導加熱制御部8の負荷が少なくなり、制御部の耐久性を長くすることができる。
【0045】
また、機器本体1内のセンサー7の位置をどこに設定しても、非導通性鍋31の外壁底面32の温度を正確に把握することができ、非導通性鍋31の異常温度上昇をセンサー7が検知しやすく、安全性を確保することができる。
【0046】
(実施の形態4)
図11、図12は、本発明の実施の形態4における誘導加熱用の非導通性鍋とそれを用いた誘導加熱調理器を示すものである。機器本体1の構成のうち、実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図に示すように、円環状の加熱コイルは巻線の導体間に間隔44を設けて内、外の加熱コイル42、43の二重巻き構成とし、非導通性鍋50の外壁底面51の発熱層52、53は内、外の加熱コイル42、43と対向して二重の円環状とし、内側の発熱層52の内側、内側の発熱層52と外側の発熱層53の間、および外側の発熱層53の外側にそれぞれ発熱体54、55、56を設けたものである。
【0048】
すなわち、加熱コイルは、内側の加熱コイル42の外側に間隔44を形成するように巻き、連結部45から外側の加熱コイル43まで一体に巻き上げて構成している。この加熱コイルはコイルベース41に載置して上からコイルホルダー46で挟み込んで取り付けている。コイルベース41には内側のコイル42の内側で加熱コイルの中心部に中央のセンサー47を設けている。また加熱コイル42、43間にはコイル間のセンサー48を設けている。
【0049】
ここで、発熱層52、53、発熱体54、55、56は、実施の形態1における発熱層16、発熱体17、18と同様であり、説明を省略する。
【0050】
また、図12に示すように、機器本体1のトッププレート2上に非導通性鍋50を載置して使用するのであるが、その動作、作用は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
このように、本実施の形態においては、円環状の加熱コイルは巻線の導体間に間隔44を設けて内、外の加熱コイル42、43の二重巻き構成とし、非導通性鍋50の発熱層52、53は内、外の加熱コイル42、43と対向して二重の円環状とし、内側の発熱層52の内側、内側の発熱層52と外側の発熱層53の間、および外側の発熱層53の外側にそれぞれ発熱体54、55、56を設けたことにより、発熱層が発熱層52、53と分割されて、発熱層の高温部が非導通性鍋50の外壁底面の一部分に集中されるのを少なくすることができる。したがって、非導通性鍋50と発熱部の熱膨張差による応力集中を少なくして、非導通性鍋50の変形や破損を防止することができる。同時に、発熱層52、53の温度上昇を抑えることができ、発熱層52、53の非導通性鍋50からの剥離の防止と、発熱層52、53からの輻射熱による加熱コイル42、43の焦げを防止することができる。
【0052】
なお、加熱コイルと発熱層の分割は、必要に応じて適宜分割されるものであって、本実施の形態のように2分割に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる誘導加熱調理器は、非導通性鍋が高温になっても発熱部の剥離がなく、誘導加熱で高火力を実現することができるので、形態如何にかかわらず誘導加熱調理器全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の斜視図
【図2】同誘導加熱調理器の内部の正面図
【図3】同誘導加熱調理器により加熱される非導通性鍋を底面側から見た斜視図
【図4】同非導通性鍋の一部を拡大して示した側断面図
【図5】同誘導加熱調理器の使用状態を示す側断面図
【図6】本発明の実施の形態2における誘導加熱調理器により加熱される非導通性鍋を底面側から見た斜視図
【図7】同非導通性鍋の一部を拡大して示した側断面図
【図8】同誘導加熱調理器の使用状態を示す側断面図
【図9】本発明の実施の形態3における誘導加熱調理器により加熱される非導通性鍋を底面側から見た斜視図
【図10】同誘導加熱調理器の使用状態を示す側断面図
【図11】本発明の実施の形態4における誘導加熱調理器の内部の正面図
【図12】同誘導加熱調理器の使用状態を示す側断面図
【符号の説明】
【0055】
1 機器本体
5、42、43 加熱コイル
14、21、31、50 非導通性鍋
15、22、32、51 外壁底面
16、25、36、52、53 発熱層
17、18、26、27、34、35、54、55、56 発熱体
28、29、44 間隔
33 凸形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁底面に加熱コイルにより誘導加熱される発熱層を設け、この発熱層の内側と外側の外壁底面には、発熱層より厚みが大なる発熱体を設けた誘導加熱用の非導通性鍋。
【請求項2】
外壁底面の発熱層と、その内側と外側の発熱体との間には間隔を設けた請求項1に記載の誘導加熱用の非導通性鍋。
【請求項3】
円環状の発熱層を設ける外壁底面部分を他の部分より下方に突出させ、発熱層の表面と発熱層の内側と外側の発熱体の表面を同一平面とした請求項1に記載の誘導加熱用の非導通性鍋。
【請求項4】
円環状の加熱コイルを有する機器本体と、この機器本体の加熱コイルにより加熱される非導通性鍋とを備え、加熱コイルと対向する非導通性鍋の外壁底面には、加熱コイルの円環状の巾よりも小さい巾の円環状の発熱層を設け、この発熱層の内側と外側の非導通性鍋の外壁底面には、発熱層より厚みが大なる発熱体を設けた誘導加熱調理器。
【請求項5】
円環状の加熱コイルは巻線の導体間に間隔を設けて複数巻き構成とし、非導通性鍋の発熱層は加熱コイルと対向して複数の円環状とし、内側の発熱層の内側、内側の発熱層と外側の発熱層の間、および外側の発熱層の外側と順次発熱体を設けた請求項4に記載の誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−295495(P2008−295495A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141527(P2007−141527)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】