説明

誘導性NOシンターゼ阻害剤としてのイミダゾピリジン誘導体

式(I)で示され、その式中、R1、R2、R3、R4、R5及びAが明細書中に記載の意味を有する化合物は新規の効果的なiNOS阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の適用分野
本発明は、医薬品組成物の製造のための医薬品工業で使用される新規のイミダゾピリジン誘導体に関する。
【0002】
公知の背景技術
ドイツ国特許出願DE2504252号及び欧州特許出願EP0125756号においては、抗潰瘍活性を有する3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンが記載されている。
【0003】
国際出願WO0049015号は、窒素酸化物の産生に対する阻害活性を有するピリジン化合物を記載している。
【0004】
国際出願WO0380607号は、iNOS阻害活性を有するアルコキシピリジン誘導体を記載している。
【0005】
発明の開示
ここで、一定の新規の意図して選択されたアミノスルホニルフェニル置換されたイミダゾピリジン誘導体は、以下に詳細に記載されるが、これらは前記に個別列挙された化合物とは異なり、そして意想外かつ特に有利な、そして所望の特性を有することが判明した。
【0006】
このように、本発明は、式I
【0007】
【化1】

[式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素、ハロゲン、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシであり、
R5はC〜C−アルキルであり、
AはC〜C−アルキレンである]で示される化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩に関する。
【0008】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。例は、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、特にエチル基及びメチル基である。
【0009】
〜C−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基である。本文中で挙げられる1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基は、例えばブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、特にエトキシ基及びメトキシ基である。
【0010】
〜C−アルキレンは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン基である。これに関して挙げられる例は、メチレン(−CH−)基、エチレン(−CH−CH−)基、トリメチレン(−CH−CH−CH−)基及びテトラメチレン(−CH−CH−CH−CH−)基である。
【0011】
ハロゲンは塩素又はフッ素を表す。N−オキシドは、−O−R5基によって置換されたピリジンでのN−オキシドを示す。
【0012】
本発明による化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される薬理学的に認容性の無機及び有機の酸及び塩基のそれが特に挙げられる。これらの好適なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水不溶性の酸付加塩、特に水溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0013】
他方で、置換によっては塩基との塩も適当である。塩基との塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0014】
本発明による化合物の工業的規模での製造の間に、例えばプロセス生成物として得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0015】
専門知識によれば、本発明の化合物並びにそれらの塩は、例えば結晶形で単離された場合に、種々の量の溶剤を含有してよい。従って本発明の範囲内では、本発明による化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた本発明による化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物が包含される。
【0016】
当業者は、その専門知識に基づいて、本発明による化合物が、イミダゾピリジン系の縮合イミダゾ環に関して、種々の互変異性形で、例えば1−H形で、又は有利には式Iに示される3−H形で存在しうることを認識している。従って本発明は純粋形並びに任意の混合比での全ての考えられる互変異性体を含む。特に、本発明は、純粋な1−H形、有利には3−H形並びにそれらの混合物を含む。
【0017】
本発明の化合物の一実施態様には、式Iで示され、その式中、R5がメチルである化合物が含まれる。
【0018】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、Aがエチレンである化合物が含まれる。
【0019】
本発明の化合物の一実施態様には、式Iで示され、その式中、R4が水素である化合物が含まれる。
【0020】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R5がメチルであり、かつAがエチレンである化合物が含まれる。
【0021】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R4が水素であり、R5がメチルであり、かつAがエチレンである化合物が含まれる。
【0022】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、アミノスルホニル置換されたフェニル部がイミダゾピリジン環の6位に結合されている化合物が含まれる。
【0023】
本発明による化合物の置換基R3及びアミノスルホニル基は、フェニル環がイミダゾピリジン環系に結合されている結合位に関してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されていてよく、それにより本発明の化合物の一実施態様では、アミノスルホニル基がパラ位で結合されている。
【0024】
これに関して、本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、フェニル環がイミダゾピリジン環系に結合されている結合位に関して、R3がオルト位又はメタ位で結合されており、かつアミノスルホニル基がパラ位で結合されている化合物が含まれる。
【0025】
本発明の化合物のもう一つの特定の実施態様には、以下に示される式Ia、Ib又はIcの1つを有する化合物が含まれる。
【0026】
挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0027】
より挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素、塩素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0028】
特に挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0029】
殊に挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、式中、
R1はメチルであり、
R2はメチルであり、
R3はフッ素であるか、又は
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、かつ
R3は水素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0030】
本発明の挙げるに値する一実施態様(実施態様a)には、式Ia
【0031】
【化2】

[式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素であり、
R5はC〜C−アルキルであり、
AはC〜C−アルキレンである]で示される化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩が含まれる。
【0032】
挙げるに値する実施態様aによる化合物は、式Iaで示され、式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0033】
より挙げるに値する実施態様aによる化合物は、式Iaで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素、塩素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0034】
特に挙げるに値する実施態様aによる化合物は、式Iaで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0035】
殊に挙げるに値する実施態様aによる化合物は、式Iaで示され、式中、
R1はメチルであり、
R2はメチルであり、かつ
R3はフッ素であるか、又は
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、かつ
R3は水素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0036】
本発明の有利な実施態様(実施態様b)には、式Ib
【0037】
【化3】

[式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである]で示される化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩が含まれる。
【0038】
より挙げるに値する実施態様bによる化合物は、式Ibで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素、塩素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0039】
特に挙げるに値する実施態様bによる化合物は、式Ibで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0040】
殊に挙げるに値する実施態様bは、式Ibで示され、式中、
R1はメチルであり、
R2はメチルであり、かつ
R3はフッ素であるか、又は
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、かつ
R3は水素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0041】
本発明のより有利な実施態様(実施態様c)には、式Ic
【0042】
【化4】

[式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである]で示される化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩が含まれる。
【0043】
より挙げるに値する実施態様cによる化合物は、式Icで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素、塩素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0044】
特に挙げるに値する実施態様cによる化合物は、式Icで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0045】
殊に挙げるに値する実施態様cは、式Icで示され、式中、
R1はメチルであり、
R2はメチルであり、かつ
R3はフッ素であるか、又は
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、かつ
R3は水素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0046】
本発明による化合物の例として、以下の式Id
【0047】
【化5】

で示され、以下の第1表
【0048】
【表1】

中のR1、R2及びR3の置換基の意味による化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩が挙げられるべきである。
【0049】
本発明による化合物は、以下に記載のように、そして以下の反応式に示されるように、又は以下の実施例に例として特記されるように、又はそれと同様に又は類似に得ることができる。
【0050】
このように、以下の反応式1に示されるように、式IIで示され、その式中、R4、R5及びAが前記の意味を有し、かつXが好適な離脱基、有利には臭素、又は特にヨウ素である化合物は、式IIIで示され、その式中、R1、R2及びR3が前記の意味を有し、かつYがホウ酸基又は、特にホウ酸エステル基、好適には環式ホウ酸エステル基、例えばホウ酸ピナコールエステル基であるホウ酸又は、特にホウ酸エステル(例えばピナコールエステル)と、Suzuki反応に適した条件下で反応させて、式Iで示され、その式中、R1、R2、R3、R4、R5及びAが前記の意味を有する化合物が得られる。
【0051】
反応式1:
【0052】
【化6】

【0053】
適宜、Suzuki反応は、当業者に公知のように、及び/又は以下に記載されるように、そして以下の実施例に例として特記されるように、又はそれと類似に又は同様に実施される。
【0054】
より詳細には、前記のSuzuki反応は、有機溶剤、例えばトルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド又はエーテル溶剤(例えばジメトキシエタン又は、特にジオキサン)又はアルコール溶剤単独中で、又はそれらの混合物中で、又は有利には有機溶剤(特にジオキサン)と水とを含有する混合物中で、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は、有利には無機塩基(例えば水酸化カリウム、水酸化タリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、又は特に炭酸カリウム)と一緒に、遷移金属触媒、例えばニッケル触媒又は、特にパラジウム触媒(例えばPd(OAc)、PdCl(PPh又は、特にPd(PPh)及び、場合により塩化リチウムの存在下に実施することができる。該反応は、20℃〜160℃、通常は60℃〜130℃の範囲において、10分ないし5日で、通常は30分ないし24時間で実施される。有利には使用される溶剤は脱ガスされて、反応は保護ガス下に実施される。
【0055】
Suzuki反応は、例えばTetrahedron Lett. 1998, 39, 4467, J. Org. Chem. 1999, 64, 1372又はHeterocycles 1992, 34, 1395に記載されている。ホウ酸とハロゲン化アリールとの間のSuzukiクロスカップリングの総論は、Miyaura, N; Suzuki, A. Chem. Rev. 1995, 95, 2457に見出すことができる。
【0056】
式IIaで示され、その式中、R1、R2、R3及びYが前記の意味を有するホウ酸又はホウ酸エステル(例えばピナコールエステル)は公知であるか、又は当業者に公知のように又は公知化合物と同様にもしくは類似に得ることができる。式IIaのホウ酸エステル(例えばピナコールエステル)は、例えば以下の実施例に記載されるように、フェニルトリフレート又は、特にフェニルハロゲン化物、有利には臭化物又はヨウ化物から出発して、例えばビス−(ピナコラト)ジボロンを遷移金属触媒、有利にはパラジウム触媒の存在下に使用して製造することができる。場合により、得られたホウ酸エステルを単離してよく、又は有利には該エステルをインサイチューで生成させて、引き続き単離をせずにSuzuki反応で使用する。
【0057】
式IIで示され、その式中、R4、R5、X及びAが前記の意味を有する化合物は、以下の実施例に例として記載されるように、又は以下の反応式2に示されるように、又はそれと同様に又は類似に得られる。
【0058】
以下の反応式2において、式IIで示され、その式中、R4、R5及びXが前記の意味を有し、かつAがエチレンである化合物の合成を例として記載する。
【0059】
式VIIの化合物の2位の炭素鎖は、例えば縮合(マロン酸誘導体による)と引き続きの水素化反応によって延長される。選択的に、該炭素鎖は、Wittig反応に引き続き水素か反応を用いて延長させることができる。
【0060】
メチル 3−(4−C〜C−アルコキシピリジン−2−イル)プロピオネート(式Vの化合物)又は相応の酸(式IVの化合物)は、公知のように得ることができ、これらは2,3−ジアミノピリジン誘導体(式IIIの化合物)により転化させて、所望の式IIの化合物が得られる。
【0061】
反応式2:
【0062】
【化7】

【0063】
4−メトキシ−ピリジン−2−カルバルデヒド(式VIIの化合物)の合成は、例えばAshimori et al, Chem Pharm Bull 38, 2446-2458 (1990)に記載されている。
【0064】
式VIIの化合物はまた、市販の4−ニトロ−2−ピコリン−N−オキシドから出発して、ニトロ基をC〜C−アルコキシ基に交換することによって製造することもできる。次いで、得られた4−C〜C−アルコキシ−2−ピコリン−N−オキシドを、転位と酸化工程を介して転化させて、4−C〜C−アルコキシ−ピリジン−2−カルバルデヒド(式VIIの化合物)が得られる。
【0065】
3−(4−メトキシピリジン−2−イル)プロピオン酸(式IVの化合物)の合成は、出発材料の節に記載される。
【0066】
式IIIで示され、その式中、R4及びXが前記の意味を有する化合物は公知であるか、又は該化合物は公知のようにもしくは自体公知の化合物と類似にもしくは同様に製造することができる。
【0067】
場合により本発明による化合物をその塩に変換できるか、又は場合により本発明による化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。相応の方法は当業者に公知である。
【0068】
本発明による化合物は、場合により、例えば過酸化水素を用いてメタノール中で又はm−クロロペルオキシ安息香酸を用いてジクロロメタン中でそのN−オキシドに変換することができる。当業者は、その専門知識に基づいて、N−オキシド化のために特に必要とされる反応条件に精通している。
【0069】
当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。実績のある多くの保護基の使用についての詳細な記載は、例えばT.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1999, 3rdEd又はP. Kocienski, Protecting Groups, Thieme Medical Publishers, 2000に見受けられる。
【0070】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば真空中で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0071】
塩は、遊離の化合物を所望の酸を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、塩基性化によって遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまた塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0072】
適宜、本発明に挙げられる転化は、当業者に自体公知の方法と類似にもしくは同様に、例えば以下の実施例で記載されるように実施できる。
【0073】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、本発明による化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0074】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更、誘導、対応及び適合はこの分野で知られる知識及び/又は、特に本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき、付随する特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなくなされてよい。
【0075】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に、製造が詳細に記載されていない本発明による更なる化合物も、類似の方法又は当業者に公知の方法で、慣用の製造方法及びプロセス技術を用いて製造することができる。
【0076】
この実施例に挙げられる化合物及びそれらの塩は本発明の有利な対象である。
【0077】
実施例において、m.p.は融点を表し、hは時間を表し、dは日を表し、minは分を表し、TLCは薄層クロマトグラフィーを表し、Rfは保持比を表し、MSは質量スペクトルを表し、Mは分子イオンを表し、他の略記は当業者に自体慣用の意味を有する。
【0078】
実施例
最終生成物
1. 4−{2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド
1.984gのN,N−ジメチル−4−ブロモベンゼンスルホンアミド、2.1gのビス−(ピナコラト)ジボロン、0.125gの1,1′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、0.165gの[1,1′−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム−二塩化物(CHClとの錯体)、2.21gの酢酸カリウムを50mlの脱ガスされたジオキサン中に入れた混合物をN下に16時間にわたり還流加熱する。得られた混合物に、40mlの脱ガスされたジオキサン、2.14gの2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(出発材料A1)、0.69gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)及び、1.56gの炭酸カリウムと0.48gの塩化リチウムとを40mlの脱ガスされた水中に溶かした溶液をN下に添加する。該混合物をN下に7時間還流加熱し、そして冷却し、水を添加し、pHを7に調整した後に、それをジクロロメタンで3回抽出する。合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール 30〜15:1)上でクロマトグラフィーに供する。クロマトグラフィーによる純粋な分画の濃縮、メタノールからの結晶化、そして酢酸エチルからの再結晶化によって、2.01gの表題化合物が融点217〜218℃の固体として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを438.3Daで示す。
【0079】
2. N,N−ジエチル−4−{2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}ベンゼンスルホンアミド
0.438gのN,N−ジメチル−4−ブロモベンゼンスルホンアミド、0.42gのビス−(ピナコラト)ジボロン、0.025gの1,1′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、0.033gの[1,1′−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム−二塩化物(CHClとの錯体)、0.442gの酢酸カリウムを6mlの脱ガスされたジオキサン中に入れた混合物をN下に密閉管中で7時間にわたり90℃に加熱する。得られた混合物に、10mlの脱ガスされたジオキサン、0.371gの2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(出発材料A1)、0.113gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)及び、0.27gの炭酸カリウムと0.083gの塩化リチウムとを10mlの脱ガスされた水中に溶かした溶液をN下に添加する。該混合物をN下に16時間還流加熱し、そして冷却し、水を添加し、pHを7に調整した後に、それをジクロロメタンで3回抽出する。合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール 30〜25:1)上でクロマトグラフィーに供する。クロマトグラフィーによる純粋な分画の濃縮と酢酸エチルからの結晶化によって、0.155gの表題化合物が融点127〜129℃の固体として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを466.3Daで示す。
【0080】
3. 4−{2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド
0.375gのN−メチル−4−ブロモベンゼンスルホンアミド、0.42gのビス−(ピナコラト)ジボロン、0.025gの1,1′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、0.033gの[1,1′−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム−二塩化物(CHClとの錯体)、0.442gの酢酸カリウムを6mlの脱ガスされたジオキサン中に入れた混合物をN下に密閉管中で16時間にわたり90℃に加熱する。得られた混合物に、5mlの脱ガスされたジオキサン、0.371gの2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(出発材料A1)、0.113gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)及び、0.27gの炭酸カリウムと0.083gの塩化リチウムとを5mlの脱ガスされた水中に溶かした溶液をN下に添加する。前記の管を再び密閉し、該混合物をN下に8時間にわたり90℃に加熱し、そして冷却し、水を添加し、pHを7に調整した後に、それをジクロロメタンで3回抽出する。
【0081】
合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール 20〜15:1)上でクロマトグラフィーに供する。クロマトグラフィーによる純粋な分画の濃縮と酢酸エチルからの結晶化によって、0.219gの表題化合物が融点225〜227℃の固体として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを424.3Daで示す。
【0082】
4. 4−{2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド
0.354gの4−ブロモベンゼンスルホンアミド、0.42gのビス−(ピナコラト)ジボロン、0.025gの1,1′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、0.033gの[1,1′−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム−二塩化物(CHClとの錯体)、0.442gの酢酸カリウムを6mlの脱ガスされたジオキサン中に入れた混合物をN下に密閉管中で16時間にわたり125℃に加熱する。得られた混合物に、5mlの脱ガスされたジオキサン、0.371gの2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(出発材料A1)、0.113gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)及び、0.27gの炭酸カリウムと0.083gの塩化リチウムとを5mlの脱ガスされた水中に溶かした溶液をN下に添加する。前記の管を再び密閉し、該混合物をN下に7時間にわたり115℃に加熱し、そして冷却し、水を添加し、pHを7に調整した後に、それをジクロロメタンで3回抽出する。合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール 12:1+1%NHOH)上でクロマトグラフィーに供する。クロマトグラフィーにより純粋な分画を濃縮することで、0.08gの表題化合物が融点216〜218℃の帯褐色の固体として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを410.2Daで示す。
【0083】
5. N−エチル−4−{2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}ベンゼンスルホンアミド
0.348gのN−エチル−4−ブロモベンゼンスルホンアミド、0.42gのビス−(ピナコラト)ジボロン、0.025gの1,1′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、0.033gの[1,1′−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム−二塩化物(CHClとの錯体)、0.442gの酢酸カリウムを6mlの脱ガスされたジオキサン中に入れた混合物をN下に密閉管中で17時間にわたり90℃に加熱する。得られた混合物に、5mlの脱ガスされたジオキサン、0.371gの2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(出発材料A1)、0.113gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)及び、0.27gの炭酸カリウムと0.083gの塩化リチウムとを5mlの脱ガスされた水中に溶かした溶液をN下に添加する。前記の管を再び密閉し、該混合物をN下に7時間にわたり115℃に加熱し、そして冷却し、水を添加し、pHを7に調整した後に、それをジクロロメタンで3回抽出する。
【0084】
合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール 25〜15:1)上でクロマトグラフィーに供する。クロマトグラフィーによる純粋な分画の濃縮と酢酸エチルからの結晶化によって、0.248gの表題化合物が融点214〜216℃の固体として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを438.4Daで示す。
【0085】
6. 2−フルオロ−4−{2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド
0.423gのN,N−ジメチル−4−ブロモ−2−フルオロベンゼンスルホンアミド、0.42gのビス−(ピナコラト)ジボロン、0.025gの1,1′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、0.033gの[1,1′−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]パラジウム−二塩化物(CHClとの錯体)、0.442gの酢酸カリウムを6mlの脱ガスされたジオキサン中に入れた混合物をN下に密閉管中で17時間にわたり90℃に加熱する。得られた混合物に、5mlの脱ガスされたジオキサン、0.371gの2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(出発材料A1)、0.113gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)及び、0.27gの炭酸カリウムと0.083gの塩化リチウムとを5mlの脱ガスされた水中に溶かした溶液をN下に添加する。前記の管を再び密閉し、該混合物をN下に7時間にわたり115℃に加熱し、そして冷却し、水を添加し、pHを7に調整した後に、それをジクロロメタンで3回抽出する。
【0086】
合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール 25〜22:1)上でクロマトグラフィーに供する。クロマトグラフィーによる純粋な分画の濃縮と酢酸エチルからの結晶化によって、0.27gの表題化合物が融点211〜212℃の固体として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを456.3Daで示す。
【0087】
出発材料:
A1. 2−[2−(4−メトキシピリジン−2−イル)エチル]−6−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
撹拌しながら、8.06gの3−(4−メトキシピリジン−2−イル)プロピオン酸(出発材料B1)、9.5gの2,3−ジアミノ−5−ヨードピリジン(Cugola et al., Bioorg.Med. Chem.Lett.22, 2749-2754 (1996))及び150gのポリリン酸(PPA)の混合物を22時間にわたり140℃で加熱する。冷却した後に、該混合物を約1000mlの氷水中に注ぎ、次いで6Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和(pH7〜8)させる。該混合物を酢酸エチルで4回抽出し、そして合した有機相を蒸発乾涸させる。残留物をまず酢酸エチルから結晶化させ、次いでメタノールから結晶化させることで、9.4gの表題化合物が融点207〜208℃の淡ベージュ色の粉末として得られ、その質量スペクトルは分子ピークMHを381.2Daで示す。
【0088】
B1. 3−(4−メトキシピリジン−2−イル)プロピオン酸
41.95gのメチル 3−(4−メトキシピリジン−2−イル)プロピオネート(出発材料C1)を700mlのテトラヒドロフラン中に溶解させ、そして217mlの1N水酸化ナトリウム溶液を添加する。該混合物を、出発材料が検出できなくなるまで(TLC)室温で撹拌する。該混合物を217mlの1N塩酸溶液を用いて中和させ、蒸発乾涸させ、そして高真空下に乾燥させる。無色の残留物を粉砕し、そしてジクロロメタン/メタノール(9:1)で4回抽出する。合した抽出物を蒸発乾涸する。これにより、33.2gの表題化合物が融点131〜132℃の無色の粉末として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを182Daで示す。
【0089】
C1. メチル 3−(4−メトキシピリジン−2−イル)プロピオネート
43.1gのメチル 3−(4−メトキシピリジン−2−イル)アクリレート(出発材料D1)を600mlのメタノール中で3.0gのPd/C(10%濃度)上で、出発材料が無くなるまで(TLC)水素化させる。触媒を濾過分離し、次いで該混合物を高真空下で濃縮して乾燥させる。これにより、41.95gの表題化合物が淡黄色の油状物として得られる。質量スペクトルは分子ピークMHを196Daで示す。
【0090】
D1. メチル 3−(4−メトキシピリジン−2−イル)アクリレート
45gの4−メトキシピリジン−2−カルバルデヒド(Ashimori et al., Chem.Pharm.Bull. 38, 2446-2458(1990))、75.80gのピリジン塩酸塩、102.45gのマロン酸モノメチルカリウム塩及び4.1mlのピペリジンを700mlのピリジン中に入れた混合物を撹拌しながら緩慢に120℃にまで加熱する。ガスの発生が開始したら、熱源を一時的に取り除き、反応を激しくなりすぎないよう停止させる。反応をいったん静めたら、該混合物を120℃で更に2.5時間撹拌し、次いでピリジンを減圧下に留去する。残留物を酢酸エチル/水の間で分離させ、そして有機相を水で洗浄してから乾燥させる。濃縮後に得られた残留物をシリカゲルカラム上で酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を用いてクロマトグラフィーに供する。これにより、まず43.2gの表題化合物が黄色の油状物として得られ、これは静置で結晶化し、その際、融点80〜82℃を示す。質量スペクトルは分子ピークMHを194Daで示す。
【0091】
産業上利用可能性
本発明による化合物は、商業的利用を可能にする有用な、所望な、強調に値する薬理学的特性を有する。これらの化合物は、誘導性窒素酸化物シンターゼといった酵素の選択的阻害剤である。窒素酸化物シンターゼ(NOシンターゼ、NOS)は、NOとシトルリンとをアミノ酸であるアルギニンから生成させる酵素である。一定の病態生理学的状況、例えばアルギニン欠乏又はテトラヒドロビオプテリン欠乏において、NOシンターゼによりNOの代わりに又はNOと一緒にOが発生することが報告されている。NOは、哺乳動物及びヒトを含む殆どの生物におけるシグナル伝達分子として長い間知られている。NOの最も重要な作用は、その平滑筋弛緩活性であり、これは可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化によって分子レベルで引き起こされる。昨年、多くの他の酵素がNO又はNOの反応産物によって調節されることが示された。
【0092】
NOシンターゼには3種のアイソフォームが存在し、これは2つのクラスに分かれ、その生理学的機能と分子特性の点で異なっている。構成的NOシンターゼとして知られる第一のクラスは、内皮NOシンターゼ及びニューロン性NOシンターゼからなる。両者のイソ酵素は種々の細胞型で構成的に発現されるが、血管壁の内皮細胞(従って内皮NOシンターゼ、eNOS又はNOS−IIIと呼ばれる)及びニューロン細胞(従ってニューロン性NOシンターゼ、nNOS又はNOS−Iと呼ばれる)において最も顕著である。これらの2種の酵素の活性化はCa2+/カルモジュリンに依存し、後者は細胞内の遊離Ca2+の一過的な増加によって生ずる。構成的なアイソフォームの活性化により窒素酸化物の一過的な急増が引き起こされ、これにより細胞又は組織のNO濃度がナノモラー濃度となる。内皮アイソフォームは血圧の生理学的調節に必要とされる。ニューロン性のアイソフォームにより生成されたNOは神経伝達物質機能を有すると考えられ、そしてニューロン性のアイソフォームは記憶機能(長期相乗作用)に関与する他の調節過程の中にある。
【0093】
構成的アイソフォームに対して、誘導性NOシンターゼ(iNOS、NOS−II)、つまり第二のクラスの唯一のメンバーの活性化は、iNOSプロモーターの転写活性化によって行われる。炎症誘発性刺激は、誘導体NOシンターゼの遺伝子の転写を引き起こし、そのシンターゼは細胞内Ca2+濃度の増大なくして触媒活性を示す。誘導性NOシンターゼの半減期が長いことと、酵素活性が調節されないことのため、高マイクロモラー濃度のNO濃度が長時間にわたって生ずる。これらの高濃度のNO濃度は、単独で又はOのような他の反応性ラジカルと共同で細胞毒性である。従って、微生物感染の状況では、iNOSはマクロファージ及び他の免疫細胞による早期の非特異的免疫応答にあたっての細胞致死に関与する。
【0094】
とりわけ誘導性NOシンターゼの高い発現とそれに付随する高いNO濃度又はO濃度を特徴とする病態生理学的状況は数多く存在する。これらの高いNO濃度は単独で又は他のラジカル種と組み合わせて組織及び器官に損傷をもたらすことと、その濃度が前記の病態生理学に結果として関与するということが示された。炎症は、誘導性NOシンターゼを含む炎症誘発性酵素の発現を特徴とするので、急性と慢性の炎症過程は誘導性NOシンターゼの選択的阻害剤の治療的使用に期待が持てる疾病である。誘導性NOシンターゼによる高いNO産生を伴う他の病態生理学は、幾つかの形のショックである(敗血症ショック、出血性ショック及びサイトカイン誘発性ショック)。非選択的なNOシンターゼ阻害剤は、構成的NOシンターゼのアイソフォームの付随した阻害のため心血管及びニューロンに副作用をもたらす。
【0095】
敗血症ショックのインビボ動物モデルでは、NOスカベンジャーによる循環血漿NO濃度の低下又は誘導性NOシンターゼの阻害が体血圧を回復させ、器官損傷を減らし、かつ生存性を高めることが示された(deAngelo Exp. Opin. Pharmacother. 19-29, 1999; Redl et al. Shock 8, Suppl. 51, 1997; Strand et al. Crit.Care Med. 26, 1490-1499, 1998)。また、敗血症ショックに際して高まるNO産生が心臓抑制と心筋不全の原因であるとも示された(Sun et al. J. Mol.Cell Cardiol. 30, 989-997, 1998)。更にまた、NOシンターゼ阻害剤の存在下に左前冠状動脈の閉塞後に梗塞サイズが縮小することを示す報告もある。ヒト心筋疾患及び心筋炎において見られるかなり高い誘導性NOシンターゼ活性は、NOが少なくとも部分的にこれらの病態生理学における拡張と収縮障害の原因であるといった仮説を支持するものである。
【0096】
急性又は慢性の炎症の動物モデルにおいて、アイソフォーム選択的又は非選択的な阻害剤による誘導性NOシンターゼの遮断又は遺伝子ノックアウトが治療結果を改善する。実験的な関節炎(Connor et al. Eur. J. Pharmacol. 273, 15-24, 1995)及び骨関節炎(Pelletier et al. Arthritis & Rheum. 41, 1275-1286, 1998)、実験的な胃腸管の炎症(Zingarelli et al. Gut 45, 199-209, 1999)、実験的な糸球体腎炎(Narita et al. Lab. Invest. 72, 17-24, 1995)、実験的な糖尿病(Corbett et al. PNAS 90, 8992-8995, 1993)、LPS誘発性の実験的な肺損傷は、誘導性NOシンターゼの阻害によるか又はiNOSノックアウトマウスにおいて軽減されることが報告されている(Kristof et al. Am. J. Crit. Care. Med. 158, 1883-1889, 1998)。誘導性NOシンターゼに誘導されたNO又はOの病態生理学的役割は、喘息、気管支炎及びCOPDのような慢性炎症性疾患においても議論されている。
【0097】
更に、CNSの神経変性疾患、例えばMPTP誘発性パーキンソン症候群、アミロイドペプチド誘発性アルツハイマー病(Ishii et al., FASEB J. 14, 1485-1489, 2000)、マロン酸誘発性ハンチントン病(Connop et al. Neuropharmacol. 35, 459-465, 1996)、実験的な髄膜炎(Korytko & Boje Neuropharmacol. 35, 231-237, 1996)及び実験的な脳炎(Parkinson et al. J. Mol. Med. 75, 174-186, 1997)のモデルにおいて、NOと誘導性NOシンターゼの因果的関与が示されている。
【0098】
iNOS発現の増大は、AIDS患者の脳内に見られるので、AIDS関連痴呆におけるiNOSの役割を推定することが合理的である(Bagasra et al. J. Neurovirol. 3 153-167, 1997)。
【0099】
他の研究は、窒素酸化物を、多発性硬化症の証である小グリア細胞依存性の原発性脱髄の潜在的メディエーターとして関連付けている。
【0100】
炎症反応とそれに付随する誘導性NOシンターゼの発現は、脳虚血と再潅流の間にも生ずる(Iadecola et al. Stroke 27, 1373-1380, 1996)。浸潤好中球からOと一緒に生ずるNOは細胞と器官の損傷の原因であると考えられる。
【0101】
また、外傷的脳損傷(Mesenge et al. J. Neurotrauma 13, 209-214, 1996; Wada et al. Neurosurgery 43, 1427-1436, 1998)のモデルにおいて、NOシンターゼ阻害剤は保護特性を有することが示された。誘導性NOシンターゼについての調節的役割は、種々の主要細胞系統で報告されている(Tozer & Everett Clin Oncol. 9. 357-264, 1997)。
【0102】
それらの誘導性NOシンターゼ阻害特性のため、本発明による化合物は、誘導性NOシンターゼの活性の増大のため過剰のNO又はOが関与しているヒト医学及び獣医学並びにそれらの治療において使用できる。これらの化合物は、制限されないが、以下の疾病の治療及び予防のために使用することができる:
急性炎症性疾病:敗血性ショック、敗血症、SIRS、溶血性ショック、サイトカイン治療(IL−2、TNF)によって誘導されたショック状態、臓器移植及び移植拒絶反応、脳の外傷、急性肺疾患、ARDS、炎症性皮膚疾患、例えば日焼け、炎症性眼疾患、例えばブドウ膜炎、緑内障及び結膜炎。
【0103】
末梢器官及びCNSの慢性炎症性疾患:胃腸性炎症性疾患、例えばクローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺炎症性疾患、例えば喘息及びCOPD、関節性疾患、例えば関節リューマチ、変形性関節症及び痛風性関節炎、心臓疾患、例えば心筋症及び心筋炎、関節硬化症、神経性炎症、皮膚疾患、例えば乾癬、皮膚炎及び湿疹、糖尿病、糸球体腎炎;痴呆、例えばアルツハイマー型痴呆、血管性痴呆、全身性医学的症状による痴呆、例えばAIDS−、パーキンソン病、ハンチントン病誘発性痴呆、ALS、多発性硬化症;壊死性脈管炎、例えば多発性動脈炎、血清病、ウエーグナー肉芽腫症、川崎病、頭痛、例えば偏頭痛、慢性緊張性頭痛、群発性頭痛及び血管性頭痛、外傷後ストレス障害、疼痛疾患、例えば神経性疼痛、心筋虚血及び大脳虚血/再潅流障害。
【0104】
またこれらの化合物は、窒素酸化物シンターゼを発現する癌の治療において有用なこともある。
【0105】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。本方法は、治療学的に有効な、かつ薬理学的に有効かつ認容性の量の本発明による1種以上の化合物を病気の哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0106】
更に本発明は病気、特に前記の病気の治療及び/又は予防における使用のための本発明による化合物に関する。
【0107】
また本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のために使用される医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0108】
本発明はまた、本発明による化合物の、iNOS阻害活性を有する医薬品組成物の製造のための使用に関する。
【0109】
更に本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のための、1種以上の本発明による化合物を含有する医薬品組成物に関する。
【0110】
更に本発明は、iNOS阻害活性を有する本発明による医薬品組成物に関する。
【0111】
該医薬品は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬品組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0112】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤又は賦形剤に精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0113】
本発明による医薬品組成物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口及び静脈内の送達が好ましい。
【0114】
呼吸管の疾患の治療のために、本発明による化合物を、有利には吸入によってエーロゾルの形で投与する;固体、液体又は混合組成のエーロゾル粒子は有利には0.5〜10μm、有利には2〜6μmの直径を有する。
【0115】
エーロゾルの発生は、例えば圧力駆動のジェット噴霧器又は超音波噴霧器、有利には噴射剤駆動の定量噴霧式エーロゾルによるか、又は吸入カプセルからの微粉化有効化合物の噴射剤不使用の投与によって実施できる。
【0116】
使用される吸入系に依存して、有効化合物の他に該投与形は付加的に所望の助剤、例えば噴射剤(例えば定量噴霧式エーロゾルの場合にFrigen)、界面活性剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、フレーバー又は増量剤(例えば粉末吸入器の場合にラクトース)又は、適宜更なる有効化合物を含有する。
【0117】
吸入の目的のために、多くの装置を利用でき、それを用いて最適な粒度を有するエーロゾルを発生させ、かつ患者にできる限り正しい吸入技術を使用して投与できる。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)及び洋ナシ型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))並びに計量供給エーロゾルのための、特に粉末吸入器の場合に吹き付け噴霧(puffer spray)を放出する自動装置(Autohaler(登録商標))を使用する他に、種々の技術的解決策(例えばDiskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又はEP0505321号に記載される吸入器)が利用でき、それを用いて有効化合物の最適な投与を達成できる。
【0118】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬品組成物の形で適用する。該医薬品組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0119】
本発明による医薬品組成物は自体公知の方法によって製造される。有効化合物の投与は、iNOS阻害剤について慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。吸入による投与のための用量は慣用に1日あたり0.1〜10mgである。全身療法の場合の慣用の用量は、経口で0.3〜30mg/kg/日であり、静脈内で0.3〜30mg/kg/時間である。
【0120】
生物学的調査
誘導性NOシンターゼ活性の測定
アッセイは、96ウェルの平底マイクロタイタープレート(Greiner, Frickenhausen, FRG)において、全容量100μlで、100nMのカルモジュリン、226μMのCaCl、477μMのMgCl、5μMのフラビン−アデニン−ジヌクレオチド(FAD)、5μMのフラビンモノヌクレオチド(FMN)、0.1mMのNADPH、7mMのグルタチオン、10μMのBH4及び100mMのHEPES(pH7.2)の存在下で実施する。アルギニン濃度は酵素阻害試験については0.1μMである。そのアッセイ混合物に150000dpmの[H]アルギニンを添加する。酵素反応はヒトの誘導性NOシンターゼを含有する4μgの粗製細胞質分画を添加することによって開始させ、そして該反応混合物を37℃で45〜60分間にわたってインキュベートする。酵素反応は、10μlの2MのMESバッファー(pH5.0)の添加によって停止させる。インキュベートした混合物50μlを、既に50μlのAG−50W−X8型カチオン交換樹脂(バイオラッド社、ミュンヘン、FRG)を含有しているMADP N65型の濾過型マイクロタイタープレート中に移す。Na負荷型の樹脂を水中で事前に平衡化させ、70μl(50μlの乾燥ビーズに相当する)を、激しく撹拌しながら8チャネルピペットを用いて該濾過型プレート中にピペットで加える。50μlの酵素反応混合物を濾過型プレートにピペットで加えた後に、そのプレートを濾過用マニホルド(Porvair, Shepperton, UK)に設置し、そして流液をPico型シンチレーションプレート(Packard, Meriden, CT)中に回収する。濾過型プレート中の樹脂を75μlの水(1×50μl及び1×25μl)で洗浄し、これをまた試料として同様のプレートに回収する。全流液125μlを175μlのMicroscint−40型のシンチレーションカクテル(Packard)と混合し、そしてそのシンチレーションプレートをTopSeal P薄膜(Packard)でシールする。シンチレーションプレートの計数をシンチレーション計数器で行う。
【0121】
化合物の誘導性NOシンターゼ阻害能の測定のために、インキュベートされる混合物中に含まれる阻害剤の濃度を増加させた。IC50値は、所定の濃度での阻害のパーセンテージから非線形の最小二乗フィットによって計算した。
【0122】
本発明による化合物について測定された阻害値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0123】
表A
iNOS活性の阻害[−logIC50(モル/l)として測定した]
【0124】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素、ハロゲン、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシであり、
R5はC〜C−アルキルであり、
AはC〜C−アルキレンである]で示される化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項2】
式Ia、Ib又はIc:
【化2】

の1つで示される、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項3】
式I、Ia、Ib又はIcの1つで示され、式中、
R1は水素又はC〜C−アルキルであり、
R2は水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は水素又はハロゲンであり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項4】
式I、Ia、Ib又はIcの1つで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項5】
式I、Ia、Ib又はIcの1つで示され、式中
R1はメチルであり、
R2はメチルであり、かつ
R3はフッ素であるか、又は
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、かつ
R3は水素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項6】
式Ib又はIcの1つで示され、式中、
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、
R3は水素又はフッ素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項7】
式Icで示され、式中、
R1はメチルであり、
R2はメチルであり、かつ
R3はフッ素であるか、又は
R1は水素、メチル又はエチルであり、
R2は水素、メチル又はエチルであり、かつ
R3は水素であり、
R4は水素であり、
R5はメチルであり、
Aはエチレンである、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項8】
式Id
【化3】

[式中、R1、R2及びR3が以下の1〜12:
【表1】

の意味のいずれか1つを有する]で示される、請求項1記載の化合物、並びにそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項9】
疾病の治療のための請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項10】
請求項1記載の式Iの1種以上の化合物と一緒に通常の医薬品助剤及び/又は賦形剤を含有する医薬品組成物。
【請求項11】
急性炎症性疾患の治療のための医薬品組成物の製造のための、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項12】
末梢器官及びCNSの慢性炎症性疾患の治療のための医薬品組成物の製造のための、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項13】
患者における急性炎症性疾患の治療方法において、該患者に治療学的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を投与すること含む方法。
【請求項14】
患者における末梢器官及びCNSの慢性炎症性疾患の治療方法において、該患者に治療学的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を投与すること含む方法。

【公表番号】特表2007−507467(P2007−507467A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530264(P2006−530264)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052378
【国際公開番号】WO2005/030771
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2、 D−78467 Konstanz、 Germany
【Fターム(参考)】