説明

誘電定数測定法及び誘電定数測定用治具並びに同軸共振器

【課題】導体上に形成された誘電体薄層あるいは誘電体薄膜の誘電定数を、マイクロ波帯、特に1GHz以上で測定することが可能な誘電定数測定法及び測定用治具並びに同軸共振器を提供する。
【解決手段】筒状導体4と、該筒状導体4内に軸長方向に設けられた中心導体3と、筒状導体3の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体5、6とを具備するとともに、中心導体3と短絡導体6との間に誘電体からなる被測定試料1を介装し、筒状導体4と短絡導体6との間に空隙2を設けた同軸共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、被測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電定数測定法及び誘電定数測定用治具並びに同軸共振器に関し、特に、誘電体薄膜のマイクロ波における誘電定数測定法及び誘電定数測定用治具並びに同軸共振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波帯において誘電体材料を用いたデバイスの開発が盛んに行われており、その誘電特性の測定方法が求められている。従来、導体上に形成された誘電体材料のマイクロ波帯における誘電特性測定法としては大きく分けて2通りの方法が知られており、一つはストリップ線路等を構成して、その伝送特性より求める方法、もう一つはストリップ線路共振器、リング共振器、円板共振器等の平面回路共振器を構成して、その共振特性より求める方法がある。
【0003】
しかしながら、ストリップ線路等の伝送特性から誘電特性を求める場合には、線路を構成する導体による導体損と誘電体材料の誘電体損を分離することが難しいので、誘電体材料の誘電正接を求めることが困難であるという問題があった。また、平面回路共振器を用いた場合でも、誘電体材料の薄層化、薄膜化に伴って導体損が大きくなり、Q値が劣化する傾向にあり、誘電正接の測定が困難になるという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決したものとして、半同軸共振器を用いて誘電定数を測定することが行われている。図5に従来の半同軸共振器の一例を示す。この半同軸共振器は、円筒形の筒状導体4の内部に軸長方向に中心導体3が設けられ、その両側開口部が短絡導体5,6により閉塞され、下側短絡導体6と中心導体3の間には誘電体1が介装されている(例えば非特許文献1、非特許文献2参照)。このような半同軸共振器では、誘電体1の厚みが100μm以下と薄い場合、特に50μm以下の場合には、リング共振器等の平面回路共振器に比べQ値が高いという特長がある。
【非特許文献1】A.Kaczkowski and A.Milewski, “High-accuracy wide range measurement method for determination of complex permittivity in reentrant cavity-Part A:Theoretical analysis of the method,”IEEE Trans. MTT, vol.28, no.3, pp.225-228, 1980.
【非特許文献2】A.Kaczkowski and A.Milewski, “High-accuracy wide range measurement method for determination of complex permittivity in reentrant cavity-Part B:Experimental analysis of measuring errors,”IEEE Trans. MTT, vol.28, no.3, pp.228-231, 1980.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示す半同軸共振器を用いて、厚みが0.1〜100μmの誘電体1の誘電定数を測定しようとすると、平面回路共振器を用いた場合に比べてQ値は高いものの、誘電体1によるキャパシタンスが非常に大きくなるため、誘電体1へ電界が過度に集中し、共振周波数が大幅に低下し、マイクロ波帯における誘電定数を得ることができないという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、導体上に形成された誘電体薄層あるいは誘電体薄膜の誘電定数を、マイクロ波帯、特に1GHz以上で測定することが可能な誘電定数測定法及び測定用治具並びに同軸共振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の誘電定数測定法は、筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間に誘電体からなる被測定試料を介装し、前記筒状導体と前記短絡導体との間に空隙を設けた同軸共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記被測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求めることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の誘電定数測定法は、筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間に誘電体からなる被測定試料を介装し、前記筒状導体と前記短絡導体との間に共振周波数調整用誘電体を介装した同軸共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記被測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接、即ち、比誘電率及び誘電正接のうち少なくとも一つを求めることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の誘電定数測定法は、被測定試料と、筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体とにより生じるキャパシタンスが直列に動作する共振モードの共振周波数と無負荷Qの測定値から、被測定試料の比誘電率と誘電正接を求めることを特徴とする。また、筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体の高さにより、同軸共振器の共振周波数を調整することを特徴とする。筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体の高さは100μm以下であることを特徴とする。さらに、被測定試料の厚さが100μm以下であることを特徴とする。共振周波数が1GHz以上であることを特徴とする。
【0010】
このような誘電定数測定法では、厚みが100μm以下の誘電体からなる被測定試料の誘電定数測定において、被測定試料によるキャパシタの静電容量が非常に大きくなる場合でも、これと直列に動作する、筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体のキャパシタンスを、空隙又は共振周波数調整用誘電体の高さを制御することにより調整し、被測定試料によるキャパシタンスと空隙又は共振周波数調整用誘電体のキャパシタンスの合成キャパシタンスを小さく抑制できる。この結果、共振周波数の低下を抑えることができるので、厚みが100μm以下の誘電体であっても、1GHz以上において誘電定数の測定を行なうことができる。
【0011】
また、本発明の誘電定数測定法は、中心導体と被測定試料との間には電極が形成されていることを特徴とする。中心導体と接する電極の面積が0.2mm以下であることが望ましい。これにより、被測定試料によるキャパシタンスを小さくし、共振周波数の低下を抑制することができる。
【0012】
さらに、本発明の誘電定数測定法は、共振周波数と無負荷Qの温度依存性の測定値から、被測定試料の比誘電率と誘電正接の温度依存性を求めることを特徴とする。これにより、誘電体を電子部品に応用する際に最も必要な温度範囲である−40〜100℃において、該誘電体の比誘電率と誘電正接の温度依存性を求めることができる。
【0013】
また、本発明の誘電定数測定用治具は、筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間、及び前記筒状導体と前記短絡導体との間に空隙を形成可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
このような誘電定数測定用治具では、中心導体と前記短絡導体との間に被測定試料を介装し、筒状導体と短絡導体との間に空隙又は共振周波数調整用誘電体を形成、介装し、空隙又は共振周波数調整用誘電体の高さ、又は共振周波数調整用誘電体の比誘電率を制御することによりキャパシタンスの大きさを調整し、被測定試料によるキャパシタンスと空隙又は共振周波数調整用誘電体のキャパシタンスの合成キャパシタンスを小さく抑制でき、1GHz以上において誘電定数の測定を行なうことができる。
【0015】
即ち、誘電定数測定用治具では、厚みが100μm以下、あるいは比誘電率が100以上の非測定試料の誘電定数測定において、被測定試料によるキャパシタンスが非常に大きくなる場合でも、これと直列に動作する空隙による第2のキャパシタンス、あるいは該空隙に挿入された誘電体による第2のキャパシタンスを調整することにより、被測定試料によるキャパシタンスと第2のキャパシタンスの合成キャパシタンスを小さく抑制できる。この結果、共振周波数の低下を抑えることができるので、厚みが100μm以下、あるいは比誘電率が100以上の被測定試料であっても、1GHz以上において誘電定数の測定を行なうことができる。
【0016】
また、本発明の同軸共振器は、筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間に誘電体を介装し、前記筒状導体と前記短絡導体との間に空隙又は共振周波数調整用誘電体を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の誘電定数測定法では、導体上に形成された薄層誘電体の誘電定数を、マイクロ波帯、特に1GHz以上で測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の誘電定数測定法で使用する半同軸共振器の原理的構造を示す概略断面図の一例である。尚、半同軸共振器とは同軸共振器の中心導体が短絡導体から離れている構造の共振器の一般名称である。
【0019】
本発明の誘電定数測定用治具は、円筒状の筒状導体4の内部に中心導体3を軸長方向に設け、筒状導体4の上下の両側開口部には短絡導体5、6が設けられ、筒状導体4の上部開口部は短絡導体5により閉塞され、筒状導体4の下端と短絡導体6とは所定間隔の空隙2が形成可能とされている。また、中心導体3と下側の短絡導体6との間にも空隙2を形成可能に構成されている。
【0020】
中心導体3、筒状導体4、短絡導体5、6は、高い導電率、特に、5.8×10S/m以上の導電率を有するものであることが望ましい。この観点から、特に純度が99.9%以上の金、銀、銅、アルミニウムの中の少なくとも一種の金属であることが望ましい。或いは、金、銀、銅の5μ以上のメッキ皮膜を有することが望ましい。また表面の傷による導電率劣化を防ぐため、表面を研磨したもの、特に表面粗さが0.03μm以下になるまで鏡面研磨したものが望ましい。
【0021】
このような誘電定数測定用治具では、中心導体3と下側の短絡導体6との間に被測定試料(誘電体)1を介装することにより半同軸共振器として機能する。尚、図2に示すように、筒状導体4と下側の短絡導体6との間に共振周波数調整用誘電体2aを介装してもよい。
【0022】
図1、2の同軸共振器において、共振周波数は中心導体3の長さ、中心導体3の直径、筒状導体4の内径に依存するが、特に被測定試料1により形成される第1のキャパシタンスと空隙2により形成される第2のキャパシタンスの合成キャパシタンスに敏感に依存する。従って、共振周波数の測定値から、第1のキャパシタンス、さらに被測定試料1である誘電体の比誘電率を決定することができる。
【0023】
同様に、図1の同軸共振器において、無負荷Qは中心導体3の長さ、中心導体3の直径、筒状導体4の内径、それらの導電率に依存するが、特に被測定試料1により形成される第1のキャパシタンスと第2の空隙2により形成される第2のキャパシタンスの合成キャパシタンスによる損失に敏感に依存する。従って、無負荷Qの測定値から、第1のキャパシタンス、さらに被測定試料1である誘電体の誘電正接を決定することができる。
【0024】
ところで、被測定試料1である誘電体の比誘電率が大きい場合や、厚さが薄い場合、第1のキャパシタンスが大きくなりすぎるため、図1の共振器の共振周波数をマイクロ波帯、特に1GHz以上に保つことが困難になる。そこで本発明では、被測定試料1により形成される第1のキャパシタンスと第2の空隙2により形成される第2のキャパシタンスが直列に作用する共振モードを利用する。第1のキャパシタンスと第2のキャパシタンスが直列に作用する場合、第1のキャパシタンスが大きくなりすぎても、第2のキャパシタンスを調整すれば、合成キャパシタンスは、適当な値にあり、共振周波数の過度な低下を防ぐことができる。
【0025】
図1、2において、第1のキャパシタンスと第2のキャパシタンスが直列に作用する共振モードとは、第1のキャパシタンスの電界と第2のキャパシタンスの電界の向きが互いに逆になるモードのことであり、また、電流が符号3、符号1、符号6、符号2、符号4と一方向に流れる、あるいはこの逆に一方向に流れる状態のモードである。
【0026】
被測定試料1としては、セラミックスや有機材料の薄層、あるいはスパッタ等で形成された誘電体薄膜等が想定される。
【0027】
尚、第2の空隙により形成される第2のキャパシタンスの調整は、空隙2の断面積、間隔、あるいは空隙2に挿入される共振周波数調整用誘電体2aの比誘電率を調整することにより可能となる。
【0028】
次に、比誘電率と誘電正接の計算法について述べる。図1で示される半同軸共振器の共振周波数と無負荷Qから、被測定試料1の比誘電率及び誘電正接を計算するためには、有限要素法やモードマッチング法などの数値解析手法を使用する必要がある。ここでは有限要素法を用いる場合について述べる。図1で示される半同軸共振器の共振周波数は、被測定試料1の比誘電率の関数となっているので、予想される比誘電率の範囲で比誘電率を数点設定し、対応する共振周波数を有限要素法で計算する。これらの計算結果から、共振周波数と比誘電率の関係を適当な関数で近似し、この近似式とTEモードの共振周波数の測定値から、誘電体円柱共振器1の比誘電率を計算する。
【0029】
また被測定試料1の誘電正接tanδは、次式で示される半同軸共振器の無負荷Q(Qu)から
【数1】

【0030】
計算できる。ただしPe,1は被測定試料1内の電界エネルギー集中率、Pe,2は空隙2に存在する誘電体(間隙の場合は空気)内の電界エネルギー集中率、Rは半同軸共振器を構成する導体の表皮抵抗、Gは共振器の形状ファクターである。なお、P、Gは、例えば、J. Krupka, K. Derzakowski, A. Abramowicz, M.E. Tobar and R.G. Geyer, “Use of whispering-gallery modes for complex permittivity determinations of ultra-low-loss dielectric materials,” IEEE Trans. Microwave Theory Tech., vol. 47, pp.752-759, June 1999.に定義されている。
【0031】
本発明の測定法は誘電定数測定法に関するものであるが、誘電定数から所定の関係式により変換されうる他の電気的物性値やその温度依存性の測定方法としても、使用できることは勿論である。
【0032】
本発明の誘電定数測定法は、共振器材料のサビや、誘電体材料の吸水による測定値への影響を避けるため、湿度が60%以下の環境で使用されることが望ましい。また、温度変化による共振器の熱膨張、誘電体材料の誘電定数の変化をさけるため、温度変化が1度以内の環境で使用することが望ましい。
【実施例】
【0033】
本発明の誘電定数測定法について、数値計算例に基づき評価した。図3は図1に比べて、より実際の測定に適した構造の共振器である。この共振器を説明すると、誘電体基板8に下部導体6、誘電体薄膜あるいは薄層である被測定試料1、上部導体7がこの順に形成されている。誘電体薄膜あるいは誘電体薄層試料の誘電定数測定用共振器を想定している。下部導体6は共振器の下側短絡導体の役割を持っている。さらに上部導体7が中心導体3に接するように、被測定試料と共振器が位置合わせされる。励振用のループアンテナはアンテナ挿入孔9から挿入される。共振器は支持用の誘電体10によって支持され、電磁場の放射を抑制するために遮蔽導体11が設置されている。
【0034】
図3に示した共振器の共振周波数fとエネルギー集中率Pe,1の、被測定試料1の比誘電率に対する依存性の計算結果を表1と図4に示す。計算には軸対称有限要素法解析を用いた。ただし、この計算では、被測定試料1の厚さを0.3μm、上部導体7の厚さを1μm、直径を0.1mm、中心導体の直径を1mm、筒状導体4の内径を6mm、外径を10mm、空隙2の間隔を50μm、中心導体長さを0.6mmとした。また遮蔽導体11の有無による共振周波数の変化は小さいので、空隙2と支持用の誘電体10の境界を磁気壁として計算した。
【表1】

【0035】
図4より明らかなように、誘電体からなる被測定試料1の比誘電率ε’が100以上と大きい場合でも、測定値である共振周波数fのε’に対する依存性は大きい。ε’=400〜500ではfに対するε’の変化率は∂ε’/∂f=3(1/MHz)である。測定器としてネットワークアナライザーを使用した場合、共振周波数の測定分解能Δfとして1MHz程度が得られるため、ε’の測定分解能としてΔε’=(∂ε’/∂f)×Δf=3が期待される。従って、相対誤差はΔε’/ε’で表されるため、1%よりも小さくなり、高精度測定を実現できることがわかる。
【0036】
又、エネルギー集中率Pe,1は測定値であるQuのtanδに対する依存性を示しており、この値が大きいほどtanδの高精度測定が期待される。Pe,1は20%以上と充分に大きいため、誘電正接も高精度に測定できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の誘電定数測定法に使用する同軸共振器の原理的構造を示すもので、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図2】図1の筒状導体と下側の短絡導体との間に共振周波数調整用誘電体を介装した状態を示すもので、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図3】本発明の誘電定数測定法に使用する実際的な同軸共振器の一例を説明するための断面図である。
【図4】図3の共振器における共振周波数とエネルギー集中率の計算結果を示すグラフである。
【図5】従来の誘電定数測定法に使用する同軸共振器の原理的構造を示すもので、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 被測定試料
2 空隙
2a 共振周波数調整用誘電体
3 中心導体
4 筒状導体
5、6 短絡導体
7 上部導体(電極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間に誘電体からなる被測定試料を介装し、前記筒状導体と前記短絡導体との間に空隙を設けた同軸共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記被測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求めることを特徴とする誘電定数測定法。
【請求項2】
筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間に誘電体からなる被測定試料を介装し、前記筒状導体と前記短絡導体との間に共振周波数調整用誘電体を介装した同軸共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記被測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求めることを特徴とする誘電定数測定法。
【請求項3】
筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体の高さにより、同軸共振器の共振周波数を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の誘電定数測定法。
【請求項4】
筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体の高さは100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
【請求項5】
被測定試料と、筒状導体と短絡導体との間に設けられた空隙又は共振周波数調整用誘電体とにより生じるキャパシタンスが直列に動作する共振モードの共振周波数と無負荷Qの測定値から、被測定試料の比誘電率と誘電正接を求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
【請求項6】
被測定試料の厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
【請求項7】
中心導体と被測定試料との間には電極が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
【請求項8】
共振周波数が1GHz以上であることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
【請求項9】
共振周波数と無負荷Qの温度依存性の測定値から、被測定試料の比誘電率と誘電正接の温度依存性を求めることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
【請求項10】
筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間、及び前記筒状導体と前記短絡導体との間に空隙を形成可能に構成されていることを特徴とする誘電定数測定用治具。
【請求項11】
筒状導体と、該筒状導体内に軸長方向に設けられた中心導体と、前記筒状導体の両側開口部にそれぞれ設けられた短絡導体とを具備するとともに、前記中心導体と前記短絡導体との間に誘電体を介装し、前記筒状導体と前記短絡導体との間に空隙又は共振周波数調整用誘電体を設けたことを特徴とする同軸共振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−29842(P2006−29842A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205503(P2004−205503)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】