説明

読み書き処理方法、読み書き処理装置およびRFIDタグ

【課題】メモリ化けが生じたときに、ユーザがそれを認識できるとともに、正しいデータを得られるようにする。
【解決手段】RFIDタグへのデータの書き込み時には、データおよび対応するチェックコードを書き込んでおき、データの読み出し時には、チェックコードを用いて、読み出したデータの誤りをCRCによって検出し、誤りが検出されると、ECCによる誤り訂正を行い、更に、訂正後のデータの誤りをCRCによって検出し、訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを通知し、誤りが検出されなかったときには、データの誤りを訂正したことを通知するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリを内蔵するRFIDタグ、このRFIDタグと非接触の交信を行って、前記半導体メモリに対する情報の読み出し、書き込むを行う読み書き処理装置および読み書き処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、荷物の管理現場や工場の組立ラインなどには、搬送される物品に種々の情報が書き込まれた記憶媒体を取り付け、この記憶媒体との無線通信により情報を非接触で読み取るシステムが導入されている。
【0003】
このシステムは、RFIDシステム(Radio Frequency Identification System)と呼ばれる。前記物品に取り付けられる記憶媒体は、半導体メモリを含むICチップや通信用のアンテナコイルなどが内蔵されたもので、RFIDタグまたは非接触ICタグなどと呼ばれる。
【0004】
このようなRFIDシステムにおいて、RFIDタグ内のメモリに書き込まれたデータが、何らかの要因により異常となった場合、すなわち、データが変化して、いわゆる、メモリ化けを起こした場合に、それを、CRC(巡回冗長符号:Cyclic Redundancy Check)を用いて検知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3007926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、メモリのデータが変化した、いわゆるメモリ化けが生じたとき、すなわち、データの異常が生じたときに、それを検知してユーザに認識させるだけである。
【0006】
したがって、ユーザは、例えば、RFIDタグの寿命によって、或る日突然に、読み出したデータに異常が生じたことを知ることになり、急遽、新しいRFIDタグに交換せざるを得ないといったように、使い勝手の悪いものであった。
【0007】
ユーザとしては、正しいデータが得られている状態で、異常が生じつあることを把握できれば、RFIDタグの交換の時期が到来している、あるいは、使用環境が、高温などのためにメモリ化けが生じやすい環境であるといった判断をすることができ、事前にRFIDタグを交換したり、使用環境を変更するといった対策を取ることが可能となる。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、メモリ化けが生じたときに、ユーザがそれを認識できるとともに、正しいデータを得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の読み書き処理方法は、RFIDタグのメモリへのデータの読み出しおよび書き込みを行う読み書き処理方法であって、前記メモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込む書き込みステップと、前記メモリからデータおよび対応するチェックコードを読み出す読み出しステップと、前記メモリから読み出されたチェックコードを用いて、前記メモリから読み出されたデータの誤りを検出する第1の誤り検出ステップと、前記第1の誤り検出ステップで、データの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正する誤り訂正ステップと、前記誤り訂正ステップで訂正された誤り訂正後のデータの誤りを検出する第2の誤り検出ステップと、前記第2の誤り検出ステップで、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、また、誤り訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、誤りを訂正したことを、通知する通知ステップとを含むものである。
【0010】
書き込みステップでは、メモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込み、読み出しステップでは、前記メモリからデータおよび対応するチェックコードを読み出すのであるが、このデータとしては、RFIDタグにユーザが格納するユーザのデータ、いわゆるユーザデータであるのが好ましく、このユーザデータは、ユーザにとって意味のある情報、例えば、RFIDタグが取り付けられる物品に関連する識別や作業指示といった各種情報などのユーザが作成したデータであるのが好ましい。
【0011】
誤り検出は、例えば、パリティ、CRC(巡回冗長符号)、チェックサムなどの手法を用いることができる。
【0012】
誤り訂正は、例えば、ECC(誤り訂正符号)、多数決などの手法を用いることができる。
【0013】
通知は、RFIDタグへの読み出し、書き込みを指令する上位装置に対して行うのが好ましい。
【0014】
本発明の読み書き処理方法によると、データの書き込み時には、RFIDタグのメモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込んでおき、データの読み出し時には、読み出したチェックコードを用いて、読み出したデータの誤りを検出し、誤りが検出されると、誤り訂正を行い、更に、訂正後のデータの誤りを検出し、訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを通知し、訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、データの誤りを訂正したことを通知するので、ユーザは、RFIDタグのメモリから読み出したデータに、メモリ化け等の異常があった場合に、誤り訂正によって正しいデータに復元されたこと、あるいは、誤り訂正によって正しいデータが復元できなかったことを把握できることになる。
【0015】
したがって、ユーザは、データに異常が発生して誤り訂正によって正しいデータが復元されているときに、RFIDタグを交換したり、使用環境を変更するといった対策を取ることが可能となる。
【0016】
なお、本発明の他の実施形態として、誤り訂正ステップでは、データに限らず、チェックコードの誤りも訂正するようにしてもよい。
【0017】
(2)本発明の読み書き処理方法の一つの実施形態では、前記チェックコードは、CRCチェックコードおよびECCチェックコードであり、前記第1,第2の誤り検出ステップでは、CRCによって誤りを検出し、前記誤り訂正ステップでは、ECCによって1ビットのデータの誤りを訂正するものである。
【0018】
RFIDタグでは、通常、メモリ化けは、先ず、1ビットのデータ化けから始まるので、この実施形態によると、ECCによって、メモリ化けした1ビットのデータを訂正して正しいデータを復元することができる。
【0019】
また、ECCによって誤り訂正をした訂正後のデータについて、ECCに比べて誤り検出の検出率が高いCRCによって誤り検出を行うので、誤り訂正後のデータに誤りがある場合には、高い精度でそれを検出することができるので、信頼性の高いものとなる。
【0020】
更に、ECCによる誤り訂正ステップよりも先にCRCによる第1の誤り検出ステップを行うので、処理の大半を占める正常なデータに対して、不必要にECCによる誤り訂正を行う必要がなく、処理速度の向上を図ることができる。
【0021】
本発明の他の実施形態として、ECCによる誤り訂正では、データに限らず、CRCチェックコードの1ビットの誤りを訂正するようにしてもよい。
【0022】
(3)上記(2)の実施形態では、前記メモリは、ユーザ領域および複数のミラー領域を有し、前記書き込みステップでは、同一の前記データを、前記ユーザ領域および前記複数のミラー領域にそれぞれ書き込み、前記通知ステップを第1の通知ステップとし、該第1の通知ステップでは、前記第2の誤り検出ステップで、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを通知せず、前記第2の誤り検出ステップで、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときに、前記ユーザ領域から読み出されたデータと、前記複数のミラー領域からそれぞれ読み出されたミラーデータとに基づいて、ビット毎の多数決一致によって新たなデータを作成するステップと、作成された新たなデータの誤りを検出する第3の誤り検出ステップと、前記第3の誤り検出ステップで、前記新たなデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、また、前記新たなデータの誤りが検出されなかったときには、誤りを訂正したことを、通知する第2の通知ステップとを更に含むものである。
【0023】
この実施形態によると、複数のミラー領域から読み出されたミラーデータを用いて、ビット毎の多数決一致によってデータの誤りを訂正して新たなデータを作成するので、2ビット以上のデータの誤りを訂正することができ、しかも、新たなデータについてもCRCによる誤り検出を行うので、作成した新たなデータに誤りがあった場合には、それを通知することができるので、信頼性の高いものとなる。
【0024】
(4)本発明の読み書き処理装置は、RFIDタグに対するデータの読み出しおよび書き込みを非接触で行う読み書き処理装置であって、前記RFIDタグに書き込むべきデータおよび対応するチェックコードを、前記RFIDタグに送信する送信部と、前記RFIDタグから読み出されたデータおよび対応するチェックコードを受信する受信部と、データの誤りを検出する誤り検出部と、データの誤りを訂正する誤り訂正部と、上位装置に対してデータを送出する送出部とを備え、前記誤り検出部は、前記チェックコードを用いて、前記読み出されたデータの誤りを検出する一方、前記誤り訂正部で訂正された誤り訂正後のデータの誤りを検出し、前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記読み出されたデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、前記送出部は、前記誤り検出部で、前記読み出されたデータの誤りが検出されなかったときには、該データを上位装置に送出し、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、誤り訂正後のデータと共に誤りを訂正したことを、前記上位装置に送出する一方、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出するものである。
【0025】
上位装置は、当該読み書き処理装置に対して、RFIDタグのデータの読み出し、書き込みを指令する、例えば、パーソナルコンピュータやPLCなどである。
【0026】
本発明の読み書き処理装置によると、データの書き込み時には、RFIDタグのメモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込んでおき、データの読み出し時には、読み出したチェックコードを用いて、読み出したデータの誤りを検出し、誤りが検出されると、誤り訂正を行い、更に、訂正後のデータの誤りを検出し、訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを上位装置に送出し、訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、訂正後のデータと共に、データの誤りを訂正したことを、上位装置に送出するので、上位装置を介して、ユーザは、RFIDタグのから読み出したデータに異常があった場合に、異常なデータが誤り訂正によって正しいデータに復元されたこと、あるいは、誤り訂正によって正しいデータに復元できなかったことを把握できることになる。
【0027】
したがって、ユーザは、データに異常が発生して誤り訂正によって正しいデータが復元されているときに、RFIDタグを交換したり、使用環境を変更するといった対策を取ることが可能となる。
【0028】
(5)本発明の読み書き処理装置の一つの実施形態では、前記チェックコードは、CRCチェックコードおよびECCチェックコードであり、前記誤り検出部は、CRCによって誤りを検出し、前記誤り訂正部は、ECCによって1ビットのデータの誤りを訂正するものである。
【0029】
RFIDタグでは、通常、メモリ化けは、先ず、1ビットのデータ化けから始まるので、この実施形態によると、ECCによって、メモリ化けした1ビットのデータを訂正して正しいデータを復元することができる。
【0030】
また、ECCによって誤り訂正をした訂正後のデータについて、ECCに比べて誤り検出の検出率が高いCRCによって誤り検出を行うので、誤り訂正後のデータに誤りがある場合には、高い精度でそれを検出できるので、信頼性の高いものとなる。
【0031】
更に、ECCによる誤り訂正よりも先にCRCによる誤り検出を行うので、処理の大半を占める正常なデータに対して、不必要にECCによる誤り訂正を行う必要がなく、処理速度の向上を図ることができる。
【0032】
(6)上記(5)の実施形態では、前記RFIDタグのメモリは、ユーザ領域、複数のミラー領域およびチェックコード領域を有し、前記送信部からの、同一の前記書き込むべきデータが、前記ユーザ領域および複数のミラー領域にそれぞれ書き込まれるとともに、前記チェックコードが、前記チェックコード領域に書き込まれ、前記送出部は、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出せず、 前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときに、前記ユーザ領域から読み出されたデータと、前記複数のミラー領域からそれぞれ読み出されたミラーデータとに基づいて、ビット毎の多数決一致によって新たなデータを作成する多数決一致部を更に備え、前記誤り検出部は、前記多数決一致部で作成したデータの誤りを検出し、前記送出部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、上位装置に送出し、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出するものである。
【0033】
この実施形態によると、複数のミラー領域から読み出されたミラーデータを用いて、ビット毎の多数決一致によってデータの誤りを訂正して新たなデータを作成するので、2ビット以上のデータの誤りを訂正することができ、しかも、新たなデータについてもCRCによる誤り検出を行うので、作成した新たなデータに誤りがあった場合には、それを上位装置に通知することができるので、信頼性の高いものとなる。
【0034】
(7)上記(6)の実施形態では、前記送出部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出せず、前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、前記誤り検出部は、前記誤り訂正部で訂正された訂正後の前記作成したデータの誤りを検出し、前記送出部は、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記訂正後の前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、上位装置に送出し、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出するものである。
【0035】
この実施形態によると、多数決一致によって作成された新たなデータに誤りがあったときには、ECCによって誤りの訂正を行い、更に、訂正後の新たなデータについてもCRCによる誤り検出を行うので、訂正後の新たなデータに誤りがあった場合には、それを上位装置に通知することができるので、信頼性の高いものとなる。
【0036】
(8)本発明のRFIDタグは、データを格納するメモリを有し、かつ、読み書き処理装置との間で無線によってデータの伝送を行うRFIDタグであって、前記メモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込む書き込み部と、前記メモリからデータおよび対応するチェックコードを読み出す読み出し部と、データの誤りを検出する誤り検出部と、データの誤りを訂正する誤り訂正部と、前記読み書き処理装置に対してデータを送信する送信部とを備え、前記誤り検出部は、前記チェックコードを用いて、前記読み出したデータの誤りを検出する一方、前記誤り訂正部で訂正された誤り訂正後のデータの誤りを検出し、前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記読み出したデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、前記送信部は、前記誤り検出部で、前記読み出したデータの誤りが検出されなかったときには、該データを前記読み書き処理装置に送信し、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、誤り訂正後のデータと共に誤りを訂正したことを、前記読み書き処理装置に送信する一方、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信するものである。
【0037】
本発明のRFIDタグによると、データの書き込み時には、RFIDタグのメモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込んでおき、データの読み出し時には、読み出したチェックコードを用いて、読み出したデータの誤りを検出し、誤りが検出されると、誤り訂正を行い、更に、訂正後のデータの誤りを検出し、訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを読み書き処理装置に送出し、訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、訂正後のデータと共に、データの誤りを訂正したことを、読み書き処理装置するので、読み書き処理装置を介して、ユーザは、RFIDタグのから読み出したデータに異常があった場合に、誤り訂正によって正しいデータが復元されたこと、あるいは、誤り訂正によって正しいデータが復元できなかったことを把握できることになる。
【0038】
したがって、ユーザは、データに異常が発生して誤り訂正によって正しいデータが復元されているときに、RFIDタグを交換したり、使用環境を変更するといった対策を取ることが可能となる。
【0039】
(9)本発明のRFIDタグの一つの実施形態では、前記チェックコードは、CRCチェックコードおよびECCチェックコードであり、前記誤り検出部は、CRCによって誤りを検出し、前記誤り訂正部は、ECCによって1ビットのデータの誤りを訂正するものである。
【0040】
RFIDタグでは、通常、メモリ化けは、先ず、1ビットのデータ化けから始まるので、この実施形態によると、ECCによって、メモリ化けした1ビットのデータを訂正して正しいデータを復元することができる。
【0041】
また、ECCによって誤り訂正をした訂正後のデータについて、ECCに比べて誤り検出の検出率が高いCRCによって誤り検出を行うので、誤り訂正後のデータに誤りがある場合には、高い精度で誤りを検出することができる。
【0042】
更に、ECCによる誤り訂正よりも先にCRCによる誤り検出を行うので、処理の大半を占める正常なデータに対して、不必要にECCによる誤り訂正を行う必要がなく、処理速度の向上を図ることができる。
【0043】
(10)上記(9)の実施形態では、前記メモリは、ユーザ領域、複数のミラー領域およびチェックコード領域を有し、前記書き込み部は、同一の前記データを、前記ユーザ領域および複数のミラー領域にそれぞれ書き込むとともに、前記チェックコードを、前記チェックコード領域に書き込み、前記送信部は、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信せず、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときに、前記ユーザ領域から読み出されたデータと、前記複数のミラー領域からそれぞれ読み出されたミラーデータとに基づいて、ビット毎の多数決一致によって新たなデータを作成する多数決一致部を更に備え、前記誤り検出部は、前記多数決一致部で作成したデータの誤りを検出し、前記送信部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、前記読み書き処理装置に送信し、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信するものである。
【0044】
この実施形態によると、複数のミラー領域から読み出されたミラーデータを用いて、ビット毎の多数決一致によってデータの誤りを訂正して新たなデータを作成するので、2ビット以上のデータの誤りを訂正することができ、しかも、新たなデータについてもCRCによる誤り検出を行うので、作成した新たなデータに誤りがあった場合には、それを読み書き処理装置に通知することができるので、信頼性の高いものとなる。
【0045】
(11)上記(10)の実施形態では、前記送信部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信せず、前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、前記誤り検出部は、前記誤り訂正部で訂正された訂正後の前記作成したデータの誤りを検出し、前記送出部は、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記訂正後の前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、前記読み書き処理装置に送信し、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信するものである。
【0046】
この実施形態によると、多数決一致によって作成された新たなデータに誤りがあったときには、ECCによって誤りの訂正を行い、更に、訂正後の新たなデータについてもCRCによる誤り検出を行うので、訂正後の新たなデータに誤りがあった場合には、それを読み書き処理装置に通知することができるので、信頼性の高いものとなる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、RFIDタグから読み出したデータにメモリ化け等の異常が発生し、データの誤り訂正によって正しいデータが復元されているときに、ユーザは、そのことを把握することができるので、RFIDタグを交換したり、使用環境を変更するといった対策を取ることが可能となり、或る日突然に、異常なデータしか得られなくなる従来例に比べて、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0049】
(実施形態1)
図1は、RFIDシステムの構成図であり、このRFIDシステムは、パーソナルコンピュータ1やPLCなどの上位装置と、本発明の係るRFIDタグ用の読み書き処理装置(リーダライタ)2と、送受信用のアンテナ3と、RFIDタグ4とを備えている。
【0050】
上位装置であるパーソナルコンピュータ1と読み書き処理装置2とは、シリアル通信ケーブル5、または、USBケーブルで接続されている。パーソナルコンピュータ1は、読み書き処理装置2に対して、RFIDタグ4のデータを読み取るためのコマンド、書き込むためのコマンドを送信し、読み書き処理装置2から処理結果を受信する。
【0051】
読み書き処理装置2とアンテナ3とは、ケーブル6で接続され、アンテナ3とRFIDタグ4とは、無線接続される。読み書き処理装置2は、RFIDタグ4のデータの読み取り、書き込みを行う。
【0052】
図2は、読み書き処理装置2およびRFIDタグ4のブロック図である。
【0053】
読み書き処理装置2は、制御部7、送信部8、受信部9、表示部10、インターフェース(I/F)回路11などを備え、1つの筐体内に組み込まれて構成される。
【0054】
読み書き処理装置2の制御部7は、マイクロコンピュータで構成され、内部メモリに組み込まれたプログラムに基づき、RFIDタグ4との交信処理、後述する誤り検出、誤り訂正処理、および、パーソナルコンピュータ1との通信処理などを実行するものである。また、この制御部7は、発振回路(図示せず)からのパルス信号に基づき、搬送波(キャリア)の元となる高周波パルスを出力する。また、RFIDタグ4との交信時には、コマンドの内容を表すデータをパルス信号(コマンド信号)として出力する。
【0055】
送信部8および受信部9は、変調回路および復調回路をそれぞれ備えている。
【0056】
インターフェース回路11は、パーソナルコンピュータ1などの上位装置との通信に用いられる。
【0057】
この読み書き処理装置2は、パーソナルコンピュータ1などの上位装置からRFIDタグ4のメモリへの書き込み、読み取りの指令を受信し、受信したコマンドの種類に応じて、アンテナ3を介して、RFIDタグ4へデータの書き込み、データの読み取りを行う。
【0058】
一方、RFIDタグ4は、電源を内蔵せず、読み書き処理装置2からの送信波により生じた誘導起電力によって動作するタイプのもので、アンテナ12と、制御回路13と、メモリ14とを備えており、制御回路13は、制御用ロジック回路又はマイクロコンピュータ、変調回路および復調回路などを備えている。
【0059】
このRFIDタグ4は、例えば、製造現場において、ユーザが、各種情報を格納している。RFIDタグ4のメモリ14には重要なデータが入っているため、データが破壊されると重大なトラブルが発生する可能性がある。
【0060】
この実施形態では、かかるトラブルの発生を抑止できるように、読み書き処理装置2は、RFIDタグ4のメモリの破壊検査と誤り訂正を行うものである。
【0061】
すなわち、読み書き処理装置2は、何らかの要因によって、RFIDタグ4のデータにメモリ化けが生じたときに、ユーザがそれを認識できるとともに、復元した正しいデータを得られるようにしている。
【0062】
図3および図4は、読み書き処理装置2の動作説明に供するフローチャートであり、図3は、RFIDタグ4へのデータの書き込み時の動作を、図4は、RFIDタグ4からのデータの読み出し時の動作をそれぞれ示している。
【0063】
RFIDタグ4へのデータの書き込み時には、図3に示すように、RFIDタグ4に、ユーザから指定されたユーザデータを、メモリの指定されたアドレスに書き込むための書き込みコマンドを送信し(ステップn1)、更に、書き込むべきユーザデータを送信するとともに(ステップn2)、内部で計算したそのユーザデータのチェックコードを送信する(ステップn3)。
【0064】
この実施形態では、指定バイト数のユーザデータに対して、チェックコードとして、CRC2バイト、ECC3バイトの計算結果を用いている。
【0065】
RFIDタグ4は、読み書き処理装置2からの書き込みコマンド、ユーザデータおよびチェックコードを受信して、メモリ14の指定されたアドレスに、ユーザデータおよびチェックコードを書き込む。
【0066】
図5は、RFIDタグ4のメモリマップであり、この図5に示すように、ユーザが指定したアドレスから、指定バイト数のユーザデータに対して、データの終了アドレスの次の番地から、チェックコードとして、CRC2バイト、ECC3バイトの計算結果を書き込むようにしている。
【0067】
なお、読み書き処理装置2におけるCRCの計算範囲はユーザデータのみであり、ECCの計算範囲は、ユーザデータおよびCRCデータである。
【0068】
次に、RFIDタグ4からのデータの読み出し時には、読み書き処理装置2は、図4に示すように、RFIDタグ4に対して、指定したアドレスから指定バイト数分のユーザデータおよび5バイトのチェックコードを読み出すための読み出しコマンドを送信する(ステップn1)。
【0069】
読み出しコマンドを受信したRFIDタグ4は、メモリ14から指定されたユーザデータおよびチェックコードを読み出して、読み書き処理装置2に送信する。
【0070】
読み書き処理装置2は、図4に示すように、RFIDタグ4から読み出されて送信されるユーザデータを受信するとともに(ステップn2)、対応するチェックコードを受信する(ステップn3)。
【0071】
次に、読み出されたユーザデータのCRC検査を行う(ステップn4)。このCRC検査では、読み出されたユーザデータを、公知のCRC計算ロジックをに従って計算し、その計算結果と、RFIDタグ4から読み出されたCRC計算結果とを比較し、一致していた場合は、データは正常であると判断する。
【0072】
ステップn5では、このCRC検査結果が正常であるか否かを判断し、正常であるときには、ユーザデータを、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して正常終了とする。
【0073】
ステップn5において、検査結果が異常であったときには、ユーザデータおよびCRCデータの1ビットの誤り訂正を公知のECCロジックによって行う(ステップn6)。
【0074】
次に、1ビットデータの誤り訂正ができたか否かを判断し(ステップn7)、訂正できなかったときには、読み取ったユーザデータが異常であって、訂正できなかった旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して異常終了とする。
【0075】
ECCの誤り検出率は、CRCの誤り検出率に比べて低く、ECCでは、誤りを検出できなくても、CRCでは、誤りを検出できる場合がある。例えば、
ECCでは、2ビットの誤りが生じた場合には、訂正不可能として検知できても、3ビットの誤りが生じた場合には、1ビットの誤りを正しく訂正できたと誤検知する虞がある。
【0076】
そこで、ステップn7において、1ビットのデータの誤り訂正ができた場合には、誤り訂正後のユーザデータのCRC検査を再び行う(ステップn8)。
【0077】
このCRC検査結果が正常であるか否かを判断し(ステップn9)、正常であるときには、誤り訂正後のユーザデータと共に、誤り訂正を行った旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して正常終了とする。
【0078】
また、ステップn9において、検査結果が異常であったときには、読み取ったユーザデータが異常であって、訂正できなかった旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して異常終了とする。
【0079】
パーソナルコンピュータ1では、読み書き処理装置2からのデータを表示することができ、誤り訂正をすることなくデータを正しく読み取れたこと、データを正しく読み取れなかったけれども、誤り訂正によって正しいデータを復元できたこと、あるいは、データを正しく読み取れず、誤り訂正ができなかったことを表示することができる。
【0080】
一般に、RFIDタグ4では、通常、メモリ化けは、先ず、1ビットのデータ化けから始まるので、ECCによる1ビットのデータの誤り訂正によって、データを復元することができ、したがって、ユーザは、1ビットのデータの誤り訂正によって、正しいデータが復元されているときに、そのことを認識できるので、正しいデータが復元されている期間を利用して、RFIDタグ4を交換したり、あるいは、使用環境を変更してメモリ化けが生じないようにするといった措置をとることができる。したがって、或る日突然に異常なデータしか得られなくなる従来例に比べて、信頼性および使い勝手が向上する。
【0081】
また、ECCでは、上述のように誤検知する虞があるが、誤り訂正を行って復元されたデータについて、ECCよりも誤り検出率が高いCRCによって、再度誤り検出を行うので、復元されたデータが正しいか否かを高い精度で判定することができ、信頼性の高いものとなる。
【0082】
また、ECCよりも先にCRCによる誤り検出を行うので、処理の大半を占める正常なデータに対して、不必要にECCによる誤り訂正を行う必要がなく、処理速度の向上を図ることができる。
【0083】
更に、ECCの計算範囲には、ユーザデータのみならず、CRCデータを含むので、誤り検出の判定領域を全域にすることができる。
【0084】
(実施形態2)
上述の実施形態では、1ビットのデータの誤りを訂正したけれども、この実施形態では、2ビット以上のデータの誤りを訂正できるものである。
【0085】
図6は、この実施形態のRFIDタグ4のメモリマップである。
【0086】
この実施形態では、RFIDタグ4のメモリ14の記憶領域を、ユーザ領域、第1のミラー領域、第2のミラー領域、および、チェックコード領域に4分割しており、この例では、1ページが8バイト構成となっており、ページ単位で書き込み、読み出しを行うものである。
【0087】
このRFIDタグ4のメモリ14へのデータの書き込み時には、ユーザが指定したアドレスから指定バイト数分のユーザデータを、ユーザ領域に書き込むとともに、同一のユーザデータを、第1,第2のミラー領域にそれぞれ書き込み、更に、対応するチェックコードを、チェックコード領域に書き込むものである。
【0088】
上述の実施形態では、ユーザデータに引き続いて、CRC2バイト、ECC3バイトのチェックコードを書き込むので、チェックコードの領域に、ユーザデータを書き込まないように、ユーザが管理する必要があるのに対して、この実施形態では、ミラーデータおよびチェックコードは、それぞれ専用の領域に書き込まれるので、ユーザはユーザデータ以外のデータについて一切考慮する必要がない。
【0089】
この図6では、1ページが8バイト構成となっているので、例えば、ユーザデータの000E番地から0019番地まで使用する場合には、使用する領域は、ユーザ領域が000E〜0019、第1のミラー領域が200E〜2019、第2のミラー領域が400E〜4019、チェックコード領域が6008〜601Fとなる。
【0090】
チェックコード1−1は、0008〜000Fのチェックコード、チェックコード1−2は、0010〜0017のチェックコード、チェックコード1−3は、0018〜001Fのチェックコードとなっている。
【0091】
次に、この実施形態の読み出し時の動作を、図7に基づいて説明する。
【0092】
先ず、RFIDタグ4に対して、指定したアドレスから、指定バイト数分のユーザデータおよび対応するチェックコードを読み出すための読み出しコマンドを送信し(ステップn1)、RFIDタグ4から読み出されて送信されるユーザデータを受信するとともに(ステップn2)、対応するチェックコードを受信する(ステップn3)。
【0093】
次に、上述の図4の処理において、破線で囲まれた検査処理Aを実行する(ステップn4〜n9)。
【0094】
すなわち、図4に示すように、ユーザデータのCRC検査を行い(ステップn4)、検査結果が正常であるか否かを判断し(ステップn5)、正常であるときには、ユーザデータを、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して正常終了とする。
【0095】
検査結果が異常であったときには、ユーザデータおよびCRCデータの1ビットの誤り訂正を行い(ステップn6)、誤り訂正ができたか否かを判断し(ステップn7)、誤り訂正ができたときには、誤り訂正後のユーザデータのCRC検査を再び行い(ステップn8)、このCRC検査結果が正常であるか否かを判断し(ステップn9)、正常であるときには、誤り訂正後のユーザデータと共に、誤り訂正を行った旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して正常終了とする。
【0096】
ステップn7で誤り訂正ができなかったとき、あるいは、ステップn9において、検査結果が異常であったとき、すなわち、異常終了と判断されるときに、図7のステップn10の処理に移行する。
【0097】
図7のステップn10では、RFIDタグ4に、ユーザデータに対応する第1,第2のミラー領域の第1,第2のミラーデータを読み出す読み出しコマンドを送信し、RFIDタグ4から読み出されて送信される第1,第2のミラー領域のミラーデータを受信する(ステップn11)。
【0098】
次に、既に読み出しているユーザデータと、対応する第1,第2のミラー領域の第1,第2のミラーデータとによって、ビット単位で多数決検査を行い、新しいユーザデータを作成する(ステップn12)。すなわち、対応するビット単位で、ユーザデータと、第1のミラーデータと、第2のミラーデータとで多数決を取ったデータを、新しいユーザデータとするものである。
【0099】
このように、ユーザデータと第1,第2のミラーデータとを用いて、ビット単位での多数決一致によって、誤りを訂正して新しいユーザデータを作成するので、2ビット以上のデータの誤りも訂正することができる。
【0100】
次に、信頼性を高めるために、この新しいユーザデータに対して、上述の図4と同様の検査処理Aを実行する。
【0101】
すなわち、図4に示すように、新しいユーザデータのCRC検査を行い(ステップn4)、検査結果が正常であるか否かを判断し(ステップn5)、正常であるときには、新しいユーザデータを、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出するとともに、誤り訂正を行った旨を送出して正常終了とする。
【0102】
検査結果が異常であったときには、新しいユーザデータおよびCRCデータの1ビットの誤り訂正を行い(ステップn6)、誤り訂正ができたか否かを判断し(ステップn7)、誤り訂正ができたときには、誤り訂正後の新しいユーザデータのCRC検査を再び行い(ステップn8)、このCRC検査結果が正常であるか否かを判断し(ステップn9)、正常であるときには、誤り訂正後の新しいユーザデータと共に、誤り訂正を行った旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して正常終了とする。
【0103】
ステップn7で誤り訂正ができなかったとき、あるいは、ステップn9において、検査結果が異常であったとき、すなわち、異常終了と判断されるときには、読み取ったユーザデータが異常であって、訂正できなかった旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して異常終了とする。
【0104】
この実施形態では、新しいユーザデータのCRC検査を行って、検査結果が異常であったときには、1ビットの誤り訂正を行ったけれども、本発明の他の実施形態として、検査結果が異常であったときには、1ビットの誤り訂正を行うことなく、データが異常であって、訂正できなかった旨を、上位装置であるパーソナルコンピュータ1に送出して異常終了としてもよい。
【0105】
また、上述の実施形態では、ページ単位で書き込み読み出しを行ったけれども、本発明の他の実施形態として、図8に示すように、ユーザデータ単位で書き込み読み出しを行うようにしてもよい。
【0106】
(実施形態3)
上述の各実施形態では、読み書き処理装置2によって、誤り検出、誤り訂正を行ったけれども、本発明の他の実施形態として、読み書き処理装置2では、誤り検出、誤り訂正を行なうことなく、RFIDタグ4において、誤り検出、誤り訂正を行うようにしてもよい。
【0107】
図9および図10は、RFIDタグ4によって、誤り検出、誤り訂正を行う場合の動作説明に供するフローチャートであり、図9は、RFIDタグ4の書き込み時の動作を、図10は、RFIDタグ4の読み出し時の動作をそれぞれ示しており、上述の図3および図4にそれぞれ対応する図である。
【0108】
データの書き込み時には、図9に示すように、読み書き処理装置2からの書き込むべきユーザデータを、メモリ14の指定されたアドレスに書き込むとともに(ステップn1)、内部で計算したそのユーザデータのチェックコードであるCRC2バイト、ECC3バイトを書き込む(ステップn2)。
【0109】
次に、データの読み出し時には、図10に示すように、メモリ14から指定バイト数分のユーザデータおよび5バイトのチェックコードを読み出し(ステップn1,n2)、ユーザデータのCRC検査を行う(ステップn3)。ステップn4では、このCRC検査結果が正常であるか否かを判断し、CRC検査結果が正常であるときには、ユーザデータを、読み書き処理装置2に送信して正常終了とする。
【0110】
ステップn4において、検査結果が異常であったときには、ユーザデータおよびCRCデータの1ビットの誤り訂正をECCによって行う(ステップn5)。
【0111】
次に、1ビットデータの誤り訂正ができたか否かを判断し(ステップn6)、訂正できなかつたときには、読み取ったユーザデータが異常であって、訂正できなかった旨を、読み書き処理装置2に送信して異常終了とする。
【0112】
ステップn6において、1ビットのデータの誤り訂正ができた場合には、誤り訂正後のユーザデータのCRC検査を再び行う(ステップn7)。
【0113】
このCRC検査結果が正常であるか否かを判断し(ステップn8)、正常であるときには、誤り訂正後のユーザデータと共に、誤り訂正を行った旨を、読み書き処理装置2に送信して正常終了とする。
【0114】
また、ステップn8において、検査結果が異常であったときには、読み取ったユーザデータが異常であって、訂正できなかった旨を、読み書き処理装置2に送信して異常終了とする。
【0115】
なお、上述の図7と同様の処理を、RFIDタグ4で行なってもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、RFIDシステムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係るRFIDシステムの構成を示す図である。
【図2】図1の読み書き処理装置およびRFIDタグのブロック図である。
【図3】書き込み時の動作説明に供するフローチャートである。
【図4】読み出し時の動作説明に供するフローチャートである。
【図5】RFIDタグのメモリマップである。
【図6】本発明の他の実施形態のRFIDタグのメモリマップである。
【図7】読み出し時の動作説明に供するフローチャートである。
【図8】RFIDタグのメモリマップの他の例を示す図である。
【図9】本発明に係るRFIDタグの書き込み時の動作説明に供するフローチャートである。
【図10】本発明に係るRFIDタグの読み出し時の動作説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
1 パーソナルコンピュータ
2 読み書き処理装置(リーダライタ)
3 アンテナ
4 RFIDタグ
7 制御部
8 送信部
9 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグのメモリへのデータの読み出しおよび書き込みを行う読み書き処理方法であって、
前記メモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込む書き込みステップと、
前記メモリからデータおよび対応するチェックコードを読み出す読み出しステップと、
前記メモリから読み出されたチェックコードを用いて、前記メモリから読み出されたデータの誤りを検出する第1の誤り検出ステップと、
前記第1の誤り検出ステップで、データの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正する誤り訂正ステップと、
前記誤り訂正ステップで訂正された誤り訂正後のデータの誤りを検出する第2の誤り検出ステップと、
前記第2の誤り検出ステップで、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、また、誤り訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、誤りを訂正したことを、通知する通知ステップと、
を含むことを特徴とする読み書き処理方法。
【請求項2】
前記チェックコードは、CRCチェックコードおよびECCチェックコードであり、
前記第1,第2の誤り検出ステップでは、CRCによって誤りを検出し、
前記誤り訂正ステップでは、ECCによって1ビットのデータの誤りを訂正する請求項1に記載の読み書き処理方法。
【請求項3】
前記メモリは、ユーザ領域および複数のミラー領域を有し、
前記書き込みステップでは、同一の前記データを、前記ユーザ領域および前記複数のミラー領域にそれぞれ書き込み、
前記通知ステップを第1の通知ステップとし、該第1の通知ステップでは、前記第2の誤り検出ステップで、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを通知せず、
前記第2の誤り検出ステップで、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときに、前記ユーザ領域から読み出されたデータと、前記複数のミラー領域からそれぞれ読み出されたミラーデータとに基づいて、ビット毎の多数決一致によって新たなデータを作成するステップと、
作成された新たなデータの誤りを検出する第3の誤り検出ステップと、
前記第3の誤り検出ステップで、前記新たなデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、また、前記新たなデータの誤りが検出されなかったときには、誤りを訂正したことを、通知する第2の通知ステップと、
を更に含む請求項2に記載の読み書き処理方法。
【請求項4】
RFIDタグに対するデータの読み出しおよび書き込みを非接触で行う読み書き処理装置であって、
前記RFIDタグに書き込むべきデータおよび対応するチェックコードを、前記RFIDタグに送信する送信部と、
前記RFIDタグから読み出されたデータおよび対応するチェックコードを受信する受信部と、
データの誤りを検出する誤り検出部と、
データの誤りを訂正する誤り訂正部と、
上位装置に対してデータを送出する送出部とを備え、
前記誤り検出部は、前記チェックコードを用いて、前記読み出されたデータの誤りを検出する一方、前記誤り訂正部で訂正された誤り訂正後のデータの誤りを検出し、
前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記読み出されたデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、
前記送出部は、前記誤り検出部で、前記読み出されたデータの誤りが検出されなかったときには、該データを上位装置に送出し、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、誤り訂正後のデータと共に誤りを訂正したことを、前記上位装置に送出する一方、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出することを特徴とする読み書き処理装置。
【請求項5】
前記チェックコードは、CRCチェックコードおよびECCチェックコードであり、
前記誤り検出部は、CRCによって誤りを検出し、
前記誤り訂正部は、ECCによって1ビットのデータの誤りを訂正する請求項4に記載の読み書き処理装置。
【請求項6】
前記RFIDタグのメモリは、ユーザ領域、複数のミラー領域およびチェックコード領域を有し、前記送信部からの、同一の前記書き込むべきデータが、前記ユーザ領域および複数のミラー領域にそれぞれ書き込まれるとともに、前記チェックコードが、前記チェックコード領域に書き込まれ、
前記送出部は、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出せず、
前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときに、前記ユーザ領域から読み出されたデータと、前記複数のミラー領域からそれぞれ読み出されたミラーデータとに基づいて、ビット毎の多数決一致によって新たなデータを作成する多数決一致部を更に備え、
前記誤り検出部は、前記多数決一致部で作成したデータの誤りを検出し、
前記送出部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、上位装置に送出し、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出する請求項5に記載の読み書き処理装置。
【請求項7】
前記送出部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出せず、
前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、
前記誤り検出部は、前記誤り訂正部で訂正された訂正後の前記作成したデータの誤りを検出し、
前記送出部は、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記訂正後の前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、上位装置に送出し、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記上位装置に送出する請求項6に記載の読み書き処理装置。
【請求項8】
データを格納するメモリを有し、かつ、読み書き処理装置との間で無線によってデータの伝送を行うRFIDタグであって、
前記メモリに、データおよび対応するチェックコードを書き込む書き込み部と、
前記メモリからデータおよび対応するチェックコードを読み出す読み出し部と、
データの誤りを検出する誤り検出部と、
データの誤りを訂正する誤り訂正部と、
前記読み書き処理装置に対してデータを送信する送信部とを備え、
前記誤り検出部は、前記チェックコードを用いて、前記読み出したデータの誤りを検出する一方、前記誤り訂正部で訂正された誤り訂正後のデータの誤りを検出し、
前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記読み出したデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、
前記送信部は、前記誤り検出部で、前記読み出したデータの誤りが検出されなかったときには、該データを前記読み書き処理装置に送信し、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されなかったときには、誤り訂正後のデータと共に誤りを訂正したことを、前記読み書き処理装置に送信する一方、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項9】
前記チェックコードは、CRCチェックコードおよびECCチェックコードであり、
前記誤り検出部は、CRCによって誤りを検出し、
前記誤り訂正部は、ECCによって1ビットのデータの誤りを訂正する請求項8に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記メモリは、ユーザ領域、複数のミラー領域およびチェックコード領域を有し、
前記書き込み部は、同一の前記データを、前記ユーザ領域および複数のミラー領域にそれぞれ書き込むとともに、前記チェックコードを、前記チェックコード領域に書き込み、
前記送信部は、前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信せず、
前記誤り検出部で、誤り訂正後のデータの誤りが検出されたときに、前記ユーザ領域から読み出されたデータと、前記複数のミラー領域からそれぞれ読み出されたミラーデータとに基づいて、ビット毎の多数決一致によって新たなデータを作成する多数決一致部を更に備え、
前記誤り検出部は、前記多数決一致部で作成したデータの誤りを検出し、
前記送信部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、前記読み書き処理装置に送信し、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信する請求項9に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記送信部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信せず、
前記誤り訂正部は、前記誤り検出部で、前記作成したデータの誤りが検出されたときに、データの誤りを訂正し、
前記誤り検出部は、前記誤り訂正部で訂正された訂正後の前記作成したデータの誤りを検出し、
前記送出部は、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されなかったときには、前記訂正後の前記作成したデータと共に誤りを訂正したことを、前記読み書き処理装置に送信し、前記誤り検出部で、前記訂正後の前記作成したデータの誤りが検出されたときには、データが異常であることを、前記読み書き処理装置に送信する請求項10に記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−250426(P2008−250426A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87947(P2007−87947)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】