説明

調合工程管理システム、調合工程管理方法、および調合工程管理プログラム

【課題】調合材料の間違いを防止する調合工程管理システム、調合工程管理方法および調合工程管理プログラムを提供する。
【解決手段】調合工程管理システムは、調合材料22を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶装置11を有し、製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置4と、調合材料22に付帯され、当該調合材料22に関する材料情報を記憶する承認バーコード35と、それに印刷され記憶された材料情報を読み取るバーコードリーダ59,67とを備える。サーバ装置4は、製造過程において、バーコードリーダ59,67で読み取られた材料情報と調合予定情報とを照合し、製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可情報と工程の進行を不許可とする不許可情報の少なくともいずれかを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造を管理する調合工程管理システム、調合工程管理方法、および調合工程管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクの製造工程では数十種類の材料を調合しているが、似たような名称の材料が存在するとともに、材料容器が同じものが多いため、間違った材料を調合してしまう等の間違いが発生する要因となっている。
【0003】
上記のような間違いを防止するために、材料の受入れからインク製造の全工程を人が目で確認してサインをし、そのサインを証拠としてインク製造を行なっているが、人が判断することでは、2重,3重の確認を行なっても間違いを防止することが困難である。
【0004】
そこで、従来用いられている単なる情報の羅列の出荷指示書に代わり、バーコードが印刷されたカードを一連の生産工程で利用することにより、人為的なミスの大幅な減少を実現することができる製品管理システムが提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−6287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示すようなシステムでは、バーコードを読み取り、各作業工程において、作業者に必要な情報を知らせたり、自動工作機械へ必要な制御信号を与えることができるようになっている。しかし、材料を間違えたままでも作業工程を進めることが可能であるため、材料間違いを防止することは依然として困難であるのが実情である。また、間違った材料が使用されたまま作業工程が進み、そのことに作業者が使用後に気づけば、不良品として製品自体を廃棄処分しなければならない。また、製品完成前に気づいても間違った材料自体あるいはそれと調合した材料までも廃棄処分となり、調合材料が無駄になってしまう。このように、各作業工程において、単に、作業者に必要な情報を知らせたり、自動工作機械へ必要な制御信号を与えることでは、間違った材料の使用を防止することに対して有効ではなく、常に材料間違いに注意しなければならないという作業者の精神的な負担が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、調合材料の間違いを防止する調合工程管理システム、調合工程管理方法および調合工程管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の調合工程管理システムは、調合材料を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶手段を有し、製造起点から製造終点に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置と、上記調合材料に付帯され、当該調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体と、上記第1記憶媒体に記憶された材料情報を読み取る読取手段とを備え、上記サーバ装置は、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力することを要旨とする。
【0008】
また、本発明の調合工程管理方法は、調合材料を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶手段を有し、製造起点から製造終点に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置と、上記調合材料に付帯され、当該調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体と、上記第1記憶媒体に記憶された材料情報を読み取る読取手段とを備えた調合工程管理システムに用いる調合工程管理方法であって、上記サーバ装置により、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力することを要旨とする。
【0009】
また、本発明の調合工程管理プログラムは、調合材料を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶手段を有し、製造起点から製造終点に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置と、上記調合材料に付帯され、当該調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体と、上記第1記憶媒体に記憶された材料情報を読み取る読取手段とを備えた調合工程管理システムに用いる調合工程管理プログラムであって、上記サーバ装置により、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合するステップと、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定するステップと、上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力するステップとをコンピュータ装置に実行させることを要旨とする。
【0010】
すなわち、本発明によれば、上記サーバ装置は、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力する。
【0011】
したがって、上記製造過程において、上記のような照合を行ない、上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力するため、間違った調合材料が使用されることを未然に防ぐことができるとともに、確実に調合すべき調合材料を使用して調合することができる。すなわち、工程の進行を強制的にストップさせたり、工程を次工程へ進めなくすることができるため、間違った調合材料の使用を未然に防止することができ、調合材料を無駄にしてしまうことを防止できる。また、全体としてシンプルな構成で調合材料を間違うことなく製品を製造することができるため、コストメリットが大きい。さらに、作業者は、ゆとりを持って製造作業に携わることができ、より一層品質のよい製品を製造することに集中することができる。
【0012】
また、上記調合材料に付帯された第1記憶媒体から読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを自動的に判定することができるため、上記製造過程において調合材料を間違えることなく、上記調合予定情報に応じた製品を容易に製造することができる。また、上記判定結果に基づいて上記許可信号と上記不許可信号の少なくともいずれかを出力するため、上記サーバ装置の外部(例えば、工程内で工程の進行指示を表示する端末装置等)に工程の進行が許可されたことや、工程の進行が不許可とされたことを出力することができる。
【0013】
本発明において、上記サーバ装置は、上記判定結果が調合すべき調合材料であるときだけに、上記許可信号を出力する場合には、上記許可信号の出力に応じて工程を次工程へ進めることができる。
【0014】
本発明において、上記サーバ装置から出力された許可信号を受信し、当該許可信号の受信に応じて上記調合材料に対する次工程への進行指示を表示する端末装置を備えた場合には、作業者は、上記進行指示により、調合材料を間違えることなく、上記調合材料に対する次工程の作業を進めることができる。また、上記端末装置に上記進行指示が表示されるということで調合材料を間違っていないという証拠となるため、作業者は、上記調合材料に対する次工程の作業を安心して進めることができ、不必要に何度も確認作業を行なわなくてもすみ、作業効率を上げて工数を節減することができる。
【0015】
本発明において、上記サーバ装置は、工程の進行を許可したとき、当該工程の進行を許可したことを示す許可情報を含む作業履歴情報を上記記憶手段に格納する場合には、確実に作業が行なわれたという履歴情報が残るため、品質管理や品質保証の面でその情報を活用できる。
【0016】
本発明において、調合に用いる調合用具に付帯され、当該調合用具に関する用具情報を記憶する第2記憶媒体を備え、上記読取手段は、上記第2記憶媒体に記憶された用具情報を読み取り、上記サーバ装置は、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた用具情報と上記調合予定情報とを照合し、上記調合用具が調合に用いる調合用具であるか否かを判定し、上記判定結果が調合に用いる調合用具であるときに、工程の進行を許可する場合には、これから使用される調合材料の調合に用いない調合用具を用いてしまうことを防止することができる。例えば、所定の調合材料が付着した調合用具を他の調合材料の調合に用いてしまうことで、他の調合材料が混じった製品を製造してしまうことを防止することができる。
【0017】
本発明において、調合材料の性状を検査する材料検査手段と、上記材料検査手段により検査された調合材料の性状から当該調合材料が正当な調合材料であるか否かを判定する判定手段と、上記判定手段により正当な調合材料であると判定されたときに、上記第1記憶媒体を発行する第1記憶媒体発行手段とを備え、上記第1記憶媒体は、上記第1記憶媒体発行手段により発行されたものである場合には、上記第1記憶媒体は、第1記憶媒体発行手段により、正当な調合材料であると判定されたときに発行されたものであるため、調合材料の間違いを確実に防止することができる。また、上記第1記憶媒体は、正当な調合材料と判定されなければ発行されないため、作業者は上記第1記憶媒体が付帯されている調合材料に対して一見して正当な調合材料であると判定されたものとして認識することができる。これにより、第1記憶媒体を読み取って確認する作業の手間や時間を短縮することができる。また、上記第1記憶媒体が発行されることで、後の全ての作業において調合材料の性状が正当なものであることが保証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の調合工程管理システムの一実施の形態を示す図である。
【0020】
本実施例では、作業者が調合工程管理システムを使用してインクの原料となる調合材料を複数(例えば9〜10種類)調合し、1種類のインクを製造する場合を例にして説明する。上記作業者は、製造現場で作業を行なう者であり、インクを製造する製造者や本発明のシステムを使用する使用者等を含む趣旨である。
【0021】
図1に示すように、本実施例では、インクの製造現場として倉庫1、前室2、調合室3が設定されている。倉庫1において調合材料の受け入れる材料受入工程が行なわれ、前室2において受け入れた調合材料のチェックを行なう材料確認工程,承認証発行工程,照合工程,使用許可工程が行なわれた後、調合室3において調合材料の調合を行なう調合工程を経てインクが製造される。
【0022】
本システムは、倉庫1,前室2,調合室3等の製造現場に設置された各端末装置(後述のFT−IR装置31、無線バーコードリーダ59、端末装置69等)と、本実施例の製造起点である材料受入工程から製造終点である調合工程に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置(ホストコンピュータ)4とを備えている。サーバ装置4は、ネットワークを介して各製造現場に設置された端末装置(外部装置)と接続され、各現場の工程におけるインクの製造過程を管理している。
【0023】
上記工程は、例えば調合工程等の工程内で行なわれる作業工程(例えば、後述の調合機51へ調合材料を導入する導入工程等)を含む趣旨である。また、上記作業工程は、装置による作業や作業者による作業を含む趣旨である。
【0024】
上記サーバ装置4は、調合室3に設置された各端末装置と無線で通信するための無線LANアクセスポイント20と、サーバ装置4が管理する管理情報(例えば、後述の作業履歴等)をインク製造記録として印刷媒体83に印刷出力する印刷手段としてのプリンタ81とが接続されている。上記サーバ装置4は、無線LANアクセスポイント20やプリンタ81等の各種外部装置と接続され、各種の情報を一元管理している。
【0025】
図2に示すように、上記サーバ装置4は、作業者が制御装置7に対して入力を行なうための入力手段である入力装置(例えばキーボードやマウス等)5と、この入力装置5における操作入力に基づいて各種の制御を行なう制御装置7と、各種の情報を画像で表示する表示手段としての表示装置8と、ネットワークを介して外部装置と接続し通信するための入出力ポートであるI/Oポート12とを備えている。
【0026】
上記制御装置7は、各種機器の制御を行なう演算装置であるCPU(Central Processing Unit)9と、サーバ装置4を動作させるためのプログラム、各種データ(情報)を記憶する記憶手段である記憶装置(例えば、ハードディスク)11と、プログラムの一時的な作業領域ともなるメモリ13とを含んで構成されている。
【0027】
上記記憶装置11には、所定のインクを製造するために必要な調合材料の種類や量、調合に用いる調合用具(後述のポンプ52やビーカ63)の種類等の調合材料を調合するために必要な調合予定情報が格納されている。この調合予定情報は、後述の承認バーコード35,ポンプバーコード73,容器バーコード75等の記憶媒体に記憶された情報と照合するために用いられる。
【0028】
また、上記記憶装置11には、作業者名等の作業者に関する情報、作業日時(調合日時を含む)、調合(使用)した調合材料の種類や量、調合時刻等の現在までの作業履歴を表す作業履歴情報が格納されている。上記作業履歴情報は、現在までどのような調合材料で調合したか、いつ作業を行なったか、作業停止したか、異常が発生したか、調合を完了したか等の作業履歴を表示装置8に表示したり、外部装置に送信したり、印刷媒体83に印刷することで作業者が確認するため等に用いられる。
【0029】
また、上記記憶装置11には、本発明のサーバ装置4の動作全体を制御するための制御プログラムが格納されている。
【0030】
上記記憶装置11に格納されている情報は、後述のデータベース管理手段15によりデータベース化されている。
【0031】
上記CPU9は、記憶装置11のデータベースを管理するデータベース管理手段15と、サーバ装置4の各装置等の全体を制御する制御手段19と、上記表示装置8の表示を制御する表示制御手段18としての機能を果たす。
【0032】
上記データベース管理手段15は、外部装置からデータを受信し、記憶装置11に当該受信したデータの書き込みを行なうとともに、上記記憶装置11に記憶されたデータの読み込みを行なうようになっている。
【0033】
再び、図1を参照して、上記材料受入工程を行なう倉庫1には、入力された情報を受入バーコードに変換し受入材料情報として出力するスタンドアローンのバーコードライタ21が設置されている。
【0034】
上記材料受入工程では、袋,1斗缶,ビン,ドラム缶等の材料容器に収容された調合材料22を材料仕入れ先から受け入れる。調合材料22を収容する材料容器には、その中に収容する調合材料22の材料名(品種を含む)やロットナンバ(LotNo.)等の調合材料22に関する情報を示すバーコード等のラベル23(図3)が貼付されている。そして、作業者は、そのラベル23に記載された材料情報等のラベル情報に加えて、調合材料22の受け入れ日時、受入者の名前(作業者名)等の任意の情報を上記バーコードライタ21に入力し、上記バーコードライタ21から受入バーコード24を出力(印刷)して発行する。すなわち、受入バーコード24は、材料メーカや仕入先等の材料供給源により発行されたラベル23に記載された材料情報や受け入れ日時、作業者名等の情報を示す。
【0035】
上記のように、発行された受入バーコード24は、作業者が見易いように材料容器の外面に貼付される。そして、その材料容器に収容されている調合材料22は前室2の材料確認工程へ搬送される。
【0036】
このように、受け入れた調合材料22に受入バーコード24を付帯させることで、正当に受け入れた調合材料であることを表すことができる。
【0037】
上記材料確認工程,承認証発行工程,照合工程を行なう前室2には、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計:Fourier Transform Infrared Spectrophotometer)装置31と、上記受入バーコード24を読み取るバーコードリーダ33と、後述の承認バーコード35を発行するバーコードライタ37とが設置されている。
【0038】
上記FT−IR装置31は、上記サーバ装置4と同様にCPU,RAM,必要なプログラムを記憶する記憶装置等を含んで構成されるコンピュータ装置(端末装置)と一体化もしくは接続されている。本実施例では、上記FT−IR装置31は、採取された調合材料の検体から調合材料の性状を検査(分析)する材料検査手段であるFT−IRと、FT−IRを制御し上記材料検査手段により検査された調合材料の性状から当該調合材料が正当な調合材料であるか否かを判定する判定手段である端末装置からなり、上記バーコードリーダ33とバーコードライタ37とが接続されている。
【0039】
図3に示すように、上記材料確認工程では、FT−IR装置31は、材料容器に収容されている調合材料22の一部を検体として検査するとともに、バーコードリーダ33により上記受入バーコード24を読み取る。FT−IR装置31による検査は、採取された調合材料22の検体が材料受入基準を満たしているか否かにより行なわれる。材料受入基準は、調合材料(本実施例では、製造されるインクの1組成)の物性(特性)値が所定基準の範囲内であること等である。FT−IR装置31には、材料受入基準を調合材料の種類に応じて設定されている。これは、FT−IR装置31の記憶装置に複数の調合材料の種類に応じた材料受入基準情報が記憶されていることで実現される。
【0040】
そして、FT−IR装置31は、上記検査結果が上記材料受入基準を満たしていると判定すると、調合材料の性状(物性値)から調合材料名等を割り出し、その割り出した調合材料と、バーコードリーダ33で読み取った調合材料名とが同定し正当な調合材料であるか否かを判定する。ここで、同定していると判別したときには、バーコードリーダ33で読み取った材料情報と、同定していることを示す同定情報(上記材料情報や印刷出力させる印刷指令を含む)をバーコードライタ37に送信する。
【0041】
上記FT−IR装置31による調合材料名の割り出しは、FT−IR装置31の記憶装置に、調合材料の種類に応じて設定された調合材料名等の材料情報と当該調合材料の物性値情報(物性値の範囲)が関連づけて記憶されていることで実現される。FT−IR装置31は、上記検査結果の物性値がいずれの物性値情報に属するか判定することで、調合材料名を特定し割り出すことができるようになっている。
【0042】
なお、図では、調合材料22は、ドラム缶に入ったものを示しているが、袋,1斗缶,ビン等のいずれの材料容器に入ったものであってもよい。また、本実施例では、調合材料22は、製造されるインクの1組成(成分)としているが、これに限定されるものではなく、複数の組成からなるものであってもよい。例えば、調合材料22がL%の組成物X、M%の組成物Y,N%の組成物Zの複数の組成物からなるものであってもよい。
【0043】
つぎに、上記承認証発行工程では、バーコードライタ37は、上記FT−IR装置31から送信された同定情報を受信し、当該同定情報の受信により上記材料情報を承認バーコード35として印刷し発行(出力)する。このように、上記バーコードライタ37は、上記FT−IR装置31の判定手段により正当な調合材料であると判定されたときに、上記承認バーコード35を発行する第1記憶媒体発行手段としての機能を果たす。
【0044】
上記承認バーコード35は、調合材料名(品種を含む)やロットナンバ等の調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体として機能し、材料容器の外面に貼付され上記調合材料に付帯される。
【0045】
このように、承認バーコード35は、バーコードライタ37により、正当な調合材料であると判定されたときに発行されたものであるため、正当な調合材料であるという証拠となり、調合材料22の間違いを確実に防止することができる。また、承認バーコード35は、正当な調合材料であると判定されなければ発行されないため、作業者は承認バーコード35が付帯されている調合材料22に対して一見して正当な調合材料であると判定されたものとして認識することができる。これにより、承認バーコード35を読み取って確認する作業の手間や時間を短縮することができる。また、承認バーコード35が発行されることで、後の全ての作業において調合材料の性状が正当なものであることが保証される。
【0046】
本実施例では、上記正当な調合材料は、材料容器の中身の調合材料が受入バーコード24の材料情報が示す調合材料と一致した調合材料である。このように、正当な調合材料であるか否かを判定することで、受入バーコード24が示す調合材料と材料容器の中身の調合材料が相違し、調合に間違った調合材料を使用してしまうことを防止することができる。
【0047】
つぎに、上記承認証発行工程の次工程として照合工程が行なわれる。
【0048】
図1および図5に示すように、上記照合工程では、FT−IR装置31は、バーコードリーダ33で上記受入バーコード24および承認バーコード35を読み取って、それぞれのバーコードが示す材料情報が互いに一致しているか否かを照合する。照合の結果、一致していると判定すると、上記各バーコードが示す材料情報が一致していることを示す一致情報をサーバ装置4に対して送信する。
【0049】
このようにすることにより、承認バーコード35を間違って別の調合材料に貼付して付帯させてしまい、後の調合工程で間違った調合材料を使用してしまうことを防止することができる。
【0050】
また、上記FT−IR装置31は、バーコードリーダ33で作業者バーコード71を読み取って、上記一致情報とともに、当該読み取った作業者情報をサーバ装置4に対して送信する。
【0051】
上記作業者バーコード71は、予め作業者に付与され、作業者に関する作業者情報(作業者の名前等)を記憶する第3記憶媒体として機能する。これにより、作業に携わった作業者を識別することができる。
【0052】
つぎに、上記照合工程の次工程として使用許可工程が行なわれる。
【0053】
図1に示すように、上記使用許可工程では、上記サーバ装置4は、FT−IR装置31から上記作業者情報や上記一致情報を受信すると、作業者情報や上記各バーコードが示す材料情報が一致したことを作業履歴情報として記憶装置11に格納するとともに、FT−IR装置31に対して後の調合工程において上記調合材料22の使用を許可する使用許可情報を送信する。
【0054】
上記FT−IR装置31は、サーバ装置4から使用許可情報を受信し、当該受信した使用許可情報に基づいて上記調合材料22の使用が許可されたことを表示装置に表示する。これにより、作業者は、上記調合材料22の使用前において最終確認をすることができる。
【0055】
つぎに、上記使用許可工程の次工程として調合工程が行なわれる。
【0056】
図1および図6に示すように、上記調合工程を行なう調合室3には、導入された調合材料22を撹拌し調合する調合機51と、大量(例えば、200リットル)の調合材料22を収容するドラム缶等の大型の材料容器から調合材料22を吸引するポンプ52と、ポンプ52により吸引された調合材料22を調合機51内に導入する導入管55と、導入管55内を流通する調合材料22の流量を制御する流量制御装置(MFC:マスフローコントローラ)57と、承認バーコード35に印刷により記憶された材料情報を読み取る読取手段としての無線バーコードリーダ59と、導入された調合材料22を小出しする小出装置61と、小出しされた調合材料22を受けるビーカ63と、小出しされた調合材料22を計量する計量装置65と、上記読取手段としてのバーコードリーダ67と、端末装置69とが設置されている。
【0057】
上記調合工程では、前室2で使用許可された調合材料22が使用され、自動や手動により調合が行なわれ、調合予定に応じたインクが製造される。自動調合に用いる調合用具は、上記ポンプ52,導入管55,流量制御装置57,無線バーコードリーダ59等であり、手動調合に用いる調合用具は、上記小出装置61,ビーカ63,計量装置65,バーコードリーダ67,端末装置69等である。
【0058】
上記ポンプ52には、ポンプ52に関するポンプ情報(ポンプ名等)を記憶する第2記憶媒体であるポンプバーコード73が外面に貼付され付帯されている。また、ビーカ63には、ビーカ63に関する容器情報(ビーカ名、収容する調合材料の名称や量等)を記憶する第2記憶媒体である容器バーコード75が外面に貼付され付帯されている。
【0059】
ここで、図7および図8に示すフローチャートを参照して、サーバ装置4の制御動作の一例について説明する。
【0060】
図7および図8に示す処理は、サーバ装置4のCPU9が記憶装置11に記憶されるプログラムをメモリに読出して実行することによって実現される。図7は自動で調合を行なうための自動調合処理を示し、図8は作業者が手動で調合(具体的には、調合材料の選択、計量、調合機51への導入等)を行なうための手動調合処理を示す。以下、「S」はステップを意味する。
【0061】
まず、図7を参照して、自動調合処理について説明する。
【0062】
CPU9は、無線バーコードリーダ59により、作業者バーコード71から読み取られた作業者情報、承認バーコード35から読み取られた材料情報、ポンプバーコード73から読み取られたポンプ情報を受信すると、受信した作業者情報を作業履歴情報として記憶装置11に格納する。これとともに、記憶装置11から調合予定情報を読出し受信したポンプ情報および材料情報と照合する(S1)。
【0063】
ついで、CPU9は、上記照合の結果が一致しているか否かを判別する(S2)。具体的には、ポンプ52が調合材料22の調合に用いるべき調合用具であるか、調合材料22が調合すべき調合材料であるか否かを判別する。ここで、一致していると判別すると(S2で“YES”)、S3に進み次工程への進行を許可し、一致していないと判別すると(S2で“NO”)、S7に進み次工程への進行を不許可とする。
【0064】
より詳しく説明すると、上述のように、上記調合予定情報は、所定のインクを製造するために調合する調合材料22の種類,量,調合に用いるべき調合用具の種類、作業順序等の情報が含まれているため、上記「調合に用いるべき調合用具であるか」の判別は、ポンプ52がこれから調合に用いられる調合材料22に応じた調合用具であるかを上記調合予定情報を参照して行なわれる。
【0065】
このように、上記サーバ装置4は、上記S2の判別において、ポンプ52が調合に用いるポンプであるか否かを判定し、その判定結果が調合に用いるポンプであるときに、工程の進行を許可するため、これから使用される調合材料22の調合に用いないポンプを用いてしまうことを防止することができる。したがって、所定の調合材料が付着したポンプを他の調合材料の調合に用いてしまうことで、他の調合材料が混じったインクを製造してしまうことを防止することができる。
【0066】
また、上記「調合材料22が調合すべき調合材料であるか」の判別は、調合材料22がこれから調合機51に導入して所定のインクを製造するために調合する種類であるかを上記調合予定情報を参照して行なわれる。
【0067】
上記一致していると(S2で“YES”)、記憶装置11に作業履歴情報を記録する(S3)。作業履歴情報は、現在までの処理内容を示し、上記一致して異常なく作業工程が進行したこと、その日時、上記作業者情報、上記材料情報等の情報を含む。
【0068】
このように、上記サーバ装置4は、工程の進行を許可したとき、当該工程の進行を許可したことを示す導入許可情報や駆動許可情報を含む作業履歴情報を上記記憶装置11に格納するため、確実に作業が行なわれたという履歴情報が残り、品質管理や品質保証の面でその情報を活用できる。また、作業者は、上記作業履歴情報を確認することで工程の進捗状況を把握することができる。
【0069】
ついで、CPU9は、無線バーコードリーダ59に次工程への進行指示を表示させる(S4)。無線バーコードリーダ59は、上記サーバ装置4と同様にCPU,RAM,表示装置,必要なプログラムを記憶する等を含んで構成されるコンピュータ装置(端末装置)としての機能を有し、無線LANアクセスポイント20を介してサーバ装置4等と通信を行なう。上記次工程への進行指示は、作業者に対して次工程へ作業を進めるよう促す表示内容や次工程の作業内容,手順を示す表示内容であり、無線バーコードリーダ59の表示装置上に表示されるようになっている。
【0070】
上記のように、無線バーコードリーダ59は、上記サーバ装置4から出力された許可信号としての進行許可情報を受信し、当該進行許可情報の受信に応じて上記調合材料22に対する次工程(ここでは、調合機51への調合材料の導入工程)への進行指示を表示するため、作業者は、上記進行指示により、調合材料22を間違えることなく、上記調合材料22に対する次工程の作業を進めることができる。また、上記無線バーコードリーダ59に上記進行指示が表示されるということで調合材料を間違っていないという証拠となるため、作業者は、上記調合材料22に対する次工程の作業を安心して進めることができ、不必要に何度も確認作業を行なわなくてもすみ、作業効率を上げて工数を節減すことができる。
【0071】
ついで、CPU9は、調合機51に対して工程の進行を許可する許可信号としての導入許可情報を送信する(S5)。調合機51は、内部に調合材料を導入するための導入口を開閉する開閉扉を制御する開閉装置を有し、上記導入許可情報の受信に応じて上記開閉装置により開閉扉が開状態にされる構造になっている。このため、上記導入許可情報が送信されると、調合機51の開閉扉が開状態となる。
【0072】
すなわち、上記サーバ装置は、S2の判別において、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、その判定結果が調合すべき調合材料であるときだけに、上記導入許可情報と駆動許可情報を出力する。これにより、調合機51の開閉扉が開き、調合材料22の導入を受け付けるとともに、ポンプ52が駆動し、調合機51内に調合材料22を導入する導入工程へ工程を進めることが可能となる。
【0073】
ついで、CPU9は、流量制御装置57に対して駆動許可情報を送信する(S6)。流量制御装置57は、上記駆動許可情報の受信に応じてポンプ52の駆動を駆動制御する。導入管55内を流通する調合材料22の流量を計測する。そして、当該計測値が所定の値(導入量)になると、ポンプ52の駆動を停止制御する。この停止制御は、調合予定情報を参照し、その調合予定情報が示す調合量と現在の計量値との照合により行なわれる。
【0074】
上記S2の判別で、上記一致していないと、CPU9は、無線バーコードリーダ59に次工程への進行指示を表示させることなく、異常を報知させる(S7)。ここでは、無線バーコードリーダ59は、ポンプ52が調合に用いるべき調合用具ではない旨や、調合材料22が調合すべき調合材料ではない旨を表示部に表示し、異常が発生したことを報知する。上記「ポンプ52が調合に用いるべき調合用具ではない旨」は、ポンプ52が調合材料22の調合に用いるべき調合用具ではないと判別されたときに表示され、上記「調合材料22が調合すべき調合材料ではない旨」は、調合材料22が調合すべき調合材料ではないと判別されたときに表示される。これにより、作業者は、間違った調合材料やポンプ52を使用してしまうことを未然に防止することができる。
【0075】
すなわち、無線バーコードリーダ59は、正当な調合材料が使用されていない場合には次工程への進行指示を表示しないようになっている。
【0076】
ついで、CPU9は、調合機51に対して工程の進行を不許可とする不許可信号としての導入不許可情報を送信する(S8)。上記導入不許可情報が送信されると、調合機51の開閉扉が閉状態となり、調合機51内に調合材料を導入することができないようになる。すなわち、工程の進行を強制的にストップさせ、調合材料の間違いを防止するようになっている。
【0077】
以上の処理が自動調合処理である。
【0078】
つぎに、図8を参照して、手動調合処理について説明する。
【0079】
CPU9は、バーコードリーダ67により、作業者バーコード71から読み取られた作業者情報、承認バーコード35から読み取られた材料情報、ビーカ63の容器バーコード75から読み取られた容器情報を受信すると、受信した作業者情報を作業履歴情報として記憶装置11に格納する。これとともに、記憶装置11から調合予定情報を読出し、受信した容器情報および材料情報と照合する(S11)。
【0080】
ついで、CPU9は、上記調合予定情報と、容器情報および材料情報とを照合した結果、一致したか否かを判別する(S12)。具体的には、ビーカ63が調合材料22の調合に用いるべき調合用具であるか、調合材料22が調合すべき調合材料であるか否かを判別する。ここで、一致したと判別すると(S12で“YES”)、S13に進み次工程への進行を許可し、一致していないと判別すると(S12で“NO”)、S26に進み次工程への進行を不許可とする。
【0081】
上記「調合に用いるべき調合用具であるか」の判別は、ビーカ63がこれから調合に用いられる調合材料22に応じた調合用具であるかを上記調合予定情報を参照して行なわれる。
【0082】
また、上記サーバ装置4は、S12の判別において、ビーカ63が調合に用いるビーカであるか否かを判定し、その判定結果が調合に用いるビーカ63であるときに、工程の進行を許可するため、これから使用される調合材料22の調合に用いないビーカを用いてしまうことを防止することができる。
【0083】
また、上記「調合材料22が調合すべき調合材料であるか」の判別は、調合材料22がこれから小出装置61に注入して所定のインクを製造するために調合する種類であるかを上記調合予定情報を参照して行なわれる。
【0084】
上記一致していると、CPU9は、記憶装置11に作業履歴情報を記録する(S13)。
【0085】
このように、上記サーバ装置4は、工程の進行を許可したとき、当該工程の進行を許可したことを示す導入許可情報を含む作業履歴情報を上記記憶装置11に格納するため、作業者は、上記作業履歴情報を確認することで工程の進捗状況をリアルタイムに把握することができる。
【0086】
ついで、CPU9は、端末装置69に次工程への進行指示を表示させる(S14)。
【0087】
上記端末装置69は、上記サーバ装置4と同様にCPU,RAM,表示装置,必要なプログラムを記憶する等を含んで構成されるコンピュータ装置であり、無線LANアクセスポイント20を介してサーバ装置4等と通信を行なう。
【0088】
上記次工程への進行指示は、作業者に対して次工程へ作業を進めるよう促す表示内容や次工程の作業内容,手順を示す表示内容であり、端末装置69の表示装置に表示されるようになっている。
【0089】
上記端末装置69は、上記サーバ装置4から出力された許可信号としての進行許可情報を受信し、当該進行許可情報の受信に応じて上記調合材料22に対する次工程(ここでは、小出装置61への調合材料の注入工程)への進行指示を表示するため、作業者は、上記進行指示により、調合材料22を間違えることなく、上記調合材料22に対する次工程の作業を進めることができる。また、上記端末装置69に上記進行指示が表示されるということで調合材料を間違っていないという証拠となるため、作業者は、上記調合材料22に対する次工程の作業を安心して進めることができる。
【0090】
ついで、CPU9は、端末装置69を介して小出装置61に対して注入許可情報を送信する(S15)。小出装置61は、内部に調合材料を注入するための注入口を開閉する開閉扉を制御する開閉装置を有し、上記注入許可情報の受信に応じて上記開閉装置により開閉扉が開状態にされる構造になっている。このため、上記注入許可情報が送信されると、小出装置61の開閉扉が開状態となる。
【0091】
すなわち、上記サーバ装置は、S12の判別において、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、その判定結果が調合すべき調合材料であるときだけに、上記注入許可情報を出力するため、小出装置61が調合材料22の注入を受け付け、小出装置61内に調合材料を注入する注入工程へ工程を進めることが可能となる。
【0092】
また、上記サーバ装置4は、S12の判別において、ビーカ63が調合に用いるビーカであるか否かを判定し、その判定結果が調合に用いるビーカ63であるときに、工程の進行を許可するため、これから使用される調合材料22の調合に用いないビーカを用いてしまうことを防止することができる。したがって、間違った調合材料22が入ったビーカ63の調合材料22を調合機51内に導入してしまうことを防止できる。このように、調合材料22の導入直前に最終確認を行なうことができるため、確実に調合材料22の間違いを防止することができる。
【0093】
ついで、CPU9は、端末装置69を介して小出装置61に対して調合材料を小出しさせるよう駆動制御する(S16)。これにより、計量装置65に載置されたビーカ63内に調合材料が導入され溜まっていく。そして、ビーカ63が載置された計量装置65による計量値が所定の値になったか否かを判別する(S17)。ここで、計量値が所定の値になったと判別すると(S17で“YES”)、S18に進み、計量値が所定の値になっていないと判別すると(S17で“NO”)、S16に戻る。この判別は、上記調合予定情報を参照し、現在の計量値と照合されることにより行なわれる。
【0094】
上記計量値が所定の値になると(S17で“YES”)、CPU9は、小出装置61の駆動を停止制御する(S18)。すなわち、CPU9は、ビーカ63内に調合に必要な量の調合材料が溜まるまで計量装置65で調合量を計量しながら小出装置61に少しずつ小出しさせる微小計量制御を行なっている。
【0095】
ついで、CPU9は、調合機51への調合材料の導入直前において、無線バーコードリーダ59により読み出された容器情報を受信し、記憶装置11から調合予定情報を読出し、受信した容器情報と照合する(S19)。
【0096】
ついで、CPU9は、上記調合予定情報と、容器情報とを照合した結果、一致したか否かを判別する(S20)。ここで、一致したと判別すると(S20“YES”)、S21に進み、一致していないと判別すると(S20で“NO”)、S24に進む。
【0097】
上記S20の判別で一致していると(S20で“YES”)、記憶装置11に作業履歴情報を記録する(S21)。
【0098】
このように、上記サーバ装置4は、工程の進行を許可したとき、当該工程の進行を許可したことを示す導入許可情報を含む作業履歴情報を上記記憶装置11に格納するため、作業者は、上記作業履歴情報を確認することで工程の進捗状況をリアルタイムに把握することができる。
【0099】
ついで、端末装置69に次工程(ここでは、調合機51への調合材料の導入工程)への進行指示を表示させる(S22)。これにより、作業者は、上記進行指示により、調合材料22を間違えることなく、上記調合材料22に対する次工程の作業を進めることができる。また、上記端末装置69に上記進行指示が表示されるということで調合材料を間違っていないという証拠となるため、作業者は、上記調合材料22に対する次工程の作業を安心して進めることができる。
【0100】
ついで、CPU9は、調合機51に対して工程の進行を許可する許可信号としての導入許可情報を送信する(S23)。
【0101】
すなわち、上記サーバ装置は、S21の判別において、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、その判定結果が調合すべき調合材料であるときだけに、上記導入許可情報を出力するため、調合機51の開閉扉が開き、調合材料22の導入を受け付け、工程を次工程(ここでは、調合材料の導入工程)へ進めることができる。そして、作業者は、計量された調合材料22が入ったビーカ63を持って調合機51に導入することができる。
【0102】
上記S20の判別で一致していないと(S20で“NO”)、CPU9は、端末装置69に異常を報知させる(S24)。端末装置69は、このビーカ63が導入に用いるべき調合用具ではなく、そのビーカ63内の調合材料22が調合すべき調合材料ではない旨を表示部に表示し、異常が発生したことを報知する。これにより、作業者は、間違った調合材料やビーカ63を使用してしまうことを未然に防止することができる。
【0103】
ついで、CPU9は、調合機51に対して導入不許可情報を送信し(S25)、調合機51内に調合材料を導入することができないようにする。すなわち、工程の進行を強制的にストップさせ、調合材料の間違いを防止するようにしている。
【0104】
上記S12の説明に戻って、上記S12の判別で一致していないと判別すると(S12で“NO”)、CPU9は、端末装置69に異常を報知させる(S26)。端末装置69は、このビーカ63が導入に用いるべき調合用具ではない旨や、そのビーカ63内の調合材料22が調合すべき調合材料ではない旨を表示部に表示し、異常が発生したことを報知する。これにより、作業者は、間違った調合材料やビーカ63を使用してしまうことを未然に防止することができる。
【0105】
ついで、CPU9は、小出装置61に対して工程の進行を不許可とする不許可信号としての注入不許可情報を送信する(S27)。小出装置61は、上記導入不許可情報を受信すると、当該受信に応じて開閉装置により開閉扉を閉状態にする。これにより、ビーカ63に調合材料を導入することができないようにする。すなわち、工程の進行を強制的にストップさせ、調合材料の間違いを防止するようにしている。
【0106】
以上の処理が手動調合処理である。
【0107】
上記サーバ装置4の記憶装置11に記憶された情報(例えば、製造過程における全ての作業履歴)は、サーバ装置4により必要なときに、プリンタ81からインク製造記録として印刷媒体83に印刷出力される。
【0108】
上記のように、調合工程において、上記サーバ装置4は、調合過程において、無線バーコードリーダ59やバーコードリーダ67で読み取られた材料情報と、記憶装置11の調合予定情報とを照合(図7のS1、図8のS11,S18)する。そして、上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し(図7のS2、図8のS12,S21)、上記判定結果に基づいて導入許可情報または注入許可信号と、不許可情報の少なくともいずれかを出力する。
【0109】
したがって、上記製造過程において、上記のような照合を行ない、上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力するため、間違った調合材料が使用されることを未然に防ぐことができるとともに、確実に調合すべき調合材料を使用して調合することができる。すなわち、工程の進行を強制的にストップさせたり、工程を次工程へ進めなくすることができる。このように、間違った調合材料の使用を未然に防止することで調合材料を無駄にしてしまうことを防止できる。また、本実施例のように、一度に多量のインクを製造する場合には、調合材料の間違いは非常に影響が大きいが、本発明により調合材料の間違いを確実になくすことができるため、特に好適である。また、全体としてシンプルな構成で調合材料を間違うことなく製品を製造することができるため、コストメリットが大きい。さらに、作業者は、ゆとりを持って製造作業に携わることができ、より一層品質のよい製品を製造することに集中することができる。
【0110】
また、上記調合材料22に付帯された承認バーコード35から読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、上記製造過程における調合材料22が調合すべき調合材料であるか否かを自動的に判定することができるため、上記製造過程において調合材料を間違えることなく、上記調合予定情報に応じた製品を容易に製造することができる。また、上記判定結果に基づいて上記許可信号と上記不許可信号の少なくともいずれかを出力するため、上記サーバ装置4の外部(上記無線バーコードリーダ59や端末装置69等のサーバ装置4と接続された端末装置)に工程の進行が許可されたことや、工程の進行が不許可とされたことを出力することができる。
【0111】
本実施例では、第1,第2,第3記録媒体としてバーコードを採用しているが、これに限定されるものではなく、磁気記録層やICチップ(ICタグ)等を採用してもよい。これにより、材料情報や作業者情報等の各種情報の読み書きができるようになり、一層効率よく調合工程を管理することができる。また、バーコードは2次元コードを用いたものや、1次元コードを用いたものを採用してもよい。2次元コードを用いたものを採用することで、より多くの情報を記憶し管理することができる。
【0112】
また、前述の調合工程において、複数種類のポンプやビーカ等の調合用具、調合機が用いられる場合には、それぞれを識別するための前述の記憶媒体を付帯させるようにしてもよい。これにより、例えば、調合工程で、種々の調合用具,調合機を複数用いた製造ラインを使用した場合であっても、調合材料を間違うことなく、調合予定に応じたインクを確実に製造することができる。また、上記製造ラインを複数使用した場合であっても上述と同様な作用効果を奏する。
【0113】
また、本実施例では、サーバ装置4等の端末装置は、インターネット経由でサーバ装置に接続できるようにしてもよいし、LAN、無線、ケーブル等の任意の通信手段を用いてサーバ装置に接続できるようにしてもよい。また、各端末装置は、任意の場所に設置可能である。
【0114】
また、前述の制御プログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスク等の記録媒体に記録させて、プログラムを提供することもできる。また、電気通信回線や衛星通信回線等のネットワークを通じて、プログラムを提供することもできる。提供されるプログラム製品は、ハードディスク等のプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の調合工程管理システムの一実施の形態を示す図である。
【図2】サーバ装置のシステム構成図である。
【図3】材料確認工程を示す図である。
【図4】承認証発行工程を示す図である。
【図5】照合工程を示す図である。
【図6】調合工程を示す図である。
【図7】自動調合処理を示すフローチャートである。
【図8】手動調合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
1 倉庫,2 前室,3 調合室,4 サーバ装置,5 入力装置,7 制御装置,8 表示装置,9 CPU,11 記憶装置,12 I/Oポート,13 メモリ,15 データベース管理手段,18 表示制御手段,19 制御手段,20 無線LANアクセスポイント,21 バーコードライタ,22 調合材料,23 ラベル,24 受入バーコード,31 FT−IR装置,33 バーコードリーダ,35 承認バーコード,37 バーコードライタ,51 調合機,52 ポンプ,55 導入管,57 流量制御装置,59 無線バーコードリーダ,61 小出装置,63 ビーカ,65 計量装置,67 バーコードリーダ,69 端末装置,71 作業者バーコード,73 ポンプバーコード,75 容器バーコード,81 プリンタ,83 印刷媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調合材料を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶手段を有し、製造起点から製造終点に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置と、
上記調合材料に付帯され、当該調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体と、
上記第1記憶媒体に記憶された材料情報を読み取る読取手段とを備え、
上記サーバ装置は、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、
上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、
上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力することを特徴とする調合工程管理システム。
【請求項2】
上記サーバ装置は、上記判定結果が調合すべき調合材料であるときだけに、上記許可信号を出力する請求項1記載の調合工程管理システム。
【請求項3】
上記サーバ装置から出力された許可信号を受信し、当該許可信号の受信に応じて上記調合材料に対する次工程への進行指示を表示する端末装置を備えた請求項1または2記載の調合工程管理システム。
【請求項4】
上記サーバ装置は、工程の進行を許可したとき、当該工程の進行を許可したことを示す許可情報を含む作業履歴情報を上記記憶手段に格納する請求項1〜3のいずれか一項に記載の調合工程管理システム。
【請求項5】
調合に用いる調合用具に付帯され、当該調合用具に関する用具情報を記憶する第2記憶媒体を備え、
上記読取手段は、上記第2記憶媒体に記憶された用具情報を読み取り、
上記サーバ装置は、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた用具情報と上記調合予定情報とを照合し、
上記調合用具が調合に用いる調合用具であるか否かを判定し、
上記判定結果が調合に用いる調合用具であるときに、工程の進行を許可する請求項1〜4のいずれか一項に記載の調合工程管理システム。
【請求項6】
調合材料の性状を検査する材料検査手段と、
上記材料検査手段により検査された調合材料の性状から当該調合材料が正当な調合材料であるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段により正当な調合材料であると判定されたときに、上記第1記憶媒体を発行する第1記憶媒体発行手段とを備え、
上記第1記憶媒体は、上記第1記憶媒体発行手段により発行されたものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の調合工程管理システム。
【請求項7】
調合材料を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶手段を有し、製造起点から製造終点に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置と、上記調合材料に付帯され、当該調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体と、上記第1記憶媒体に記憶された材料情報を読み取る読取手段とを備えた調合工程管理システムに用いる調合工程管理方法であって、
上記サーバ装置により、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合し、
上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定し、
上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力することを特徴とする調合工程管理方法。
【請求項8】
調合材料を調合するために必要な調合予定情報を記憶する記憶手段を有し、製造起点から製造終点に至るまでの製造過程における工程の進行を制御するサーバ装置と、上記調合材料に付帯され、当該調合材料に関する材料情報を記憶する第1記憶媒体と、上記第1記憶媒体に記憶された材料情報を読み取る読取手段とを備えた調合工程管理システムに用いる調合工程管理プログラムであって、
上記サーバ装置により、上記製造過程において、上記読取手段で読み取られた材料情報と上記調合予定情報とを照合するステップと、
上記製造過程における調合材料が調合すべき調合材料であるか否かを判定するステップと、
上記判定結果に基づいて工程の進行を許可する許可信号と工程の進行を不許可とする不許可信号の少なくともいずれかを出力するステップとをコンピュータ装置に実行させることを特徴とする調合工程管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−39605(P2006−39605A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213936(P2004−213936)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】