説明

調味剤

【課題】飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドのとれた風味に調味することのできる調味剤、及び飲食品の基本風味を維持したまま、飲食品のカドのある風味をカドのとれた風味に調味することのできる飲食品の調味方法を提供すること。
【解決手段】以下の(a)(b)(c)工程を経て得られた乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤。
(a)乳又はホエーを、膜分離及び/又はイオン交換により脱ミネラル液を分離し、高ミネラル液(I)を得る工程
(b)高ミネラル液(I)を、加熱処理することにより、カルシウム−リン酸複合体を分離・除去し、高ミネラル液(II)を得る工程
(c)高ミネラル液(II)を、固形分が20質量%以上となるまで濃縮及び/又は乾燥し、乳清ミネラルを得る工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドがなく厚みのある風味とし、全体として調和のとれた風味とすることができる調味剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩味、苦味、辛味、甘味、酸味、旨味、渋味などの基本風味は、飲食品毎に好ましいバランスがある。
そして、従来より、その風味には口中での時間と強度の関係から、口に含んだ瞬間に強い風味を感じることを、カドがある風味として好ましくないものとし、口中に含んでしばらくしてからバランスよく風味が広がることを、風味に厚みがある、とかカドがとれた、まろやかであるなどとして好む傾向にある。
しかし、カドのある風味を削減し、カドのとれたまろやかな厚みのある風味に改変することは、基本となる風味を変えないという条件下では大変難しいものであった。
そのため、極少量の成分を添加するだけで、そのカドのある風味を、カドがなく厚みのある風味とし全体として調和のとれた風味とすることができる、いわゆる調味剤の開発が各種行なわれてきた。
【0003】
例えば、にがりを使用した調味剤(例えば特許文献1参照)、ピログルタミン酸塩を使用した調味剤(例えば特許文献2参照)などが提案されているが、特許文献1の調味剤は、苦味が極めて強いという問題があり、特許文献2の調味剤は、特定の風味の飲食品にしか効果がないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−135020号公報
【特許文献2】特開2001−299266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加でカドのとれた風味に調味することのできる調味剤、及び飲食品の基本風味を維持したまま、飲食品のカドのある風味を、カドのとれた厚みのある風味に調味し、全体として調和のとれた風味とすることのできる飲食品の調味方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、ある特定の製法で得られた乳清ミネラルは、カドのある風味を持つ飲食品に極少量添加しただけであっても、極めて強い調味効果を示すことを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、以下の(a)(b)(c)工程を経て得られた乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤を提供するものである。
(a)乳又はホエーを、膜分離及び/又はイオン交換により脱ミネラル液を分離し、高ミネラル液(I)を得る工程
(b)高ミネラル液(I)から、カルシウム−リン酸複合体を分離・除去し、高ミネラル液(II)を得る工程
(c)高ミネラル液(II)を、固形分が20質量%以上となるまで濃縮及び/又は乾燥し、乳清ミネラルを得る工程
また、本発明は、該調味剤をカドのある風味を有する飲食品に添加することを特徴とする、その基本風味を変えることなく、カドのとれた厚みのある風味に調味し、全体として調和のとれた風味とすることのできる飲食品の調味方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の調味剤は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドのとれた厚みのある風味に調味することができる。
また、本発明の調味方法は、極少量の添加で、飲食品の基本風味を維持したまま、カドのある風味を、カドのとれた厚みのある風味に調味することができる。
なお、これらの調味効果は水分の多い飲食品であるほど効果が高く、また、その調味された風味が口中で長く持続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、本発明で使用する乳清ミネラルについて詳述する。
本発明で使用する乳清ミネラルは以下の工程を経て得られるものである。
(a)乳又はホエーを、膜分離及び/又はイオン交換により脱ミネラル液を分離し、高ミネラル液(I)を得る工程
(b)高ミネラル液(I)から、カルシウム−リン酸複合体を分離・除去し、高ミネラル液(II)を得る工程
(c)高ミネラル液(II)を、固形分が20質量%以上となるまで濃縮及び/又は乾燥し、乳清ミネラルを得る工程
【0009】
上記、乳清ミネラルを得る工程において、その出発物質としては、乳又はホエーを使用する。
上記乳としては、牛乳をはじめ、人乳、山羊乳、馬乳、更にそれらを使用した脱脂乳、加工乳、及び、クリームなどが挙げられ、そのいずれでも使用することが可能である。
また上記ホエーとしては、上記乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られるホエー、更には、カゼイン製造の際に副産物として得られるホエー、乳を限外濾過することによって得られるホエーなど、いずれでも使用することができる。
更に、チーズを製造する際に副産物として得られるホエー、及びカゼイン製造の際に副産物として得られるホエーは、その製造方法により酸性ホエーと甘性ホエーがあるが、そのどちらでも使用することができる。
【0010】
本発明では、上記乳又はホエーの中でも、特に調味効果が高いことから、牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られるホエー、又はカゼイン製造の際に副産物として得られるホエーを使用することが好ましく、更に好ましくは、牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られるホエーを使用し、特に好ましくは、牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーを使用する。
【0011】
上記乳又はホエーは、上記(a)工程で、膜分離、及び/又はイオン交換により、脱ミネラル液と高ミネラル液(I)に分離される。
ここで使用する膜分離の方法としては、精密濾過膜分離、限外濾過膜分離、ナノ濾過膜分離、逆浸透膜分離、透析膜分離と各種の方法があり、また、ここで使用するイオン交換の方法としては、陽イオン交換膜法や陰イオン交換膜法を用いる電気透析膜分離や、イオン交換樹脂による方法があり、これらの膜分離方法やイオン交換の1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
上記(a)工程においては、特に分離効率が高いことから、ナノ濾過膜分離、及び/又は逆浸透膜分離の方法によることが好ましく、ナノ濾過膜分離をした後に逆浸透膜分離を行なうことが更に好ましい。
【0012】
次いで、上記(a)工程で得られた高ミネラル液(I)は、上記(b)工程において、カルシウム−リン酸複合体が分離、除去され、高ミネラル液(II)が得られる。
上記(b)工程としては、加熱処理をおこなうか、又はイオン交換をおこなう。
ここで、該加熱処理における加熱方法としては特に限定されず、直接加熱、間接加熱のどちらの方法でも可能である。
また、該加熱処理における加熱温度としては、好ましくは50〜99℃、更に好ましくは70〜90℃であり、その温度での保持時間は、好ましくは2〜60分、更に好ましくは15〜25分である。
【0013】
上記加熱処理をおこなうことで、不溶性のカルシウム−リン酸複合体が生成するので、これを分離、除去し、高ミネラル液(II)を得る。
上記分離方法としては、濾過、遠心分離等、一般的な方法をとることができる。
上記イオン交換の方法としては、陽イオン交換膜法や陰イオン交換膜法を用いる電気透析膜分離や、イオン交換樹脂による方法があり、これらの膜分離方法やイオン交換の1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
【0014】
更に、上記(c)工程において、上記(b)工程で得られた、高ミネラル液(II)を、固形分が20質量%以上、好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60〜100質量%となるまで濃縮及び/又は乾燥し、乳清ミネラルを得る。
上記濃縮方法としては特に限定されないが、水分のみを効率よく除去可能なことからエバポレ−ターを用いた減圧濃縮法が好ましい。
また、上記乾燥方法としては特に限定されず、スプレードライ法や凍結乾燥法など一般的な乾燥方法を適宜選択することができる。
【0015】
上記(c)工程においては、水分の除去を効率的に行なうことが可能な点で、上記濃縮工程を採った後、上記乾燥工程を行なうことが好ましい。
その場合、濃縮工程では、固形分が好ましくは20〜60質量%になるまで濃縮したのち、続けて、固形分が好ましくは60〜100質量%となるまで乾燥することが好ましい。
【0016】
本発明の塩味強化剤の有効成分である上記乳清ミネラルは、固形分が20質量%以上であれば流動状、ペースト状、粉末状等どのような形態であってもよいが、飲食品への混合性が良好であること、また、保存時の吸湿性が防止されることから粉末状であることが好ましい。
なお、流動状やペースト状である場合、その固形分は好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは40〜70質量%であり、粉末状である場合、その固形分は好ましくは40〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%である。
【0017】
本発明の調味剤は、上記乳清ミネラルを有効成分として含有するものである。
本発明の調味剤は、上記乳清ミネラルをそのまま単独で使用してもよく、また、各種の添加剤と混合して、常法により粉体、顆粒状、錠剤、液剤などの形状に製剤化して用いてもよい。これらの製剤中の上記乳清ミネラルの含有量は、乳清ミネラル由来の固形分として好ましくは1〜100質量%、より好ましくは5〜100質量%、更に好ましくは20〜100質量%、最も好ましくは50〜100質量%である。
【0018】
粉体、顆粒状、錠剤などの形状に製剤化するための添加剤としては、アルギン酸類、ペクチン、海藻多糖類、カルボキシメチルセルロース等の増粘多糖類や、乳糖、でんぷん、二酸化ケイ素等の賦形剤、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、ステビア等の甘味料、微粒二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、リン酸二ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の固結防止剤、ビタミン類、香料、酸化防止剤、光沢剤などが挙げられ、これらの一種または二種以上のものが適宜選択して用いられる。本発明の調味剤中における上記各種添加剤の含有量は、添加剤によって異なるが好ましくは90質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
液剤の形状に製剤化する場合は、液体に溶解または分散させることにより得られる。そのような液体としては、水、エタノール、プロピレングリコール等が挙げられる。本発明の調味剤中における上記液体の含有量は、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
【0019】
次に本発明の飲食品について述べる。
本発明の飲食品は、本発明の調味剤を含有する飲食品である。
本発明の飲食品における、本発明の調味剤の含有量は、特に限定されず、使用する飲食品や、求める調味効果の強さに応じて適宜決定されるが、飲食品100質量部に対し、調味剤に含まれる乳清ミネラルの固形分として、好ましくは0.0001〜0.5質量部、より好ましくは0.0005〜0.2質量部、更に好ましくは0.001〜0.1質量部である。0.0001質量部未満、又は0.5質量部を超えると、調味効果が認めら難く、また0.5質量部を超えると、乳清ミネラルの苦味が感じられるおそれがある。
【0020】
なお、本発明でいうところの飲食品としては、特に限定されるものではなく、例えば味噌、醤油、めんつゆ、たれ、だし、パスタソース、ドレッシング、マヨネーズ、トマトケチャップ、ウスターソース、とんかつソース、ふりかけ等の調味料、お吸い物の素、カレールウ、ホワイトソース、お茶漬けの素、スープの素等の即席調理食品、味噌汁、お吸い物、コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類、焼肉、ハム、ソーセージ等の畜産加工品、かまぼこ、干物、塩辛、佃煮、珍味等の水産加工品、漬物等の野菜加工品、ポテトチップス、煎餅等のスナック類、食パン、菓子パン、クッキー等のベーカリー食品類、煮物、揚げ物、焼き物、カレー、シチュー、グラタン、ごはん、おかゆ、おにぎり等の調理食品、パスタ、うどん、ラーメン等の麺類食品、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、風味ファットスプレッド等の油脂加工食品、フラワーペースト、餡等の製菓製パン用素材、パン用ミックス粉、ケーキ用ミックス粉、フライ食品用ミックス粉等のミックス粉、チョコレート、キャンディ、ゼリー、アイスクリーム、ガム等の菓子類、饅頭、カステラ等の和菓子類、コーヒー、コーヒー牛乳、紅茶、ミルクティー、豆乳、栄養ドリンク、野菜飲料、食酢飲料、ジュース、コーラ、ミネラルウォーター、スポーツドリンク等の飲料、ビール、ワイン、カクテル、サワー等のアルコール飲料類、牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳や乳製品等があげられる。
【0021】
次に、本発明の飲食品の調味方法について述べる。
本発明の飲食品の調味方法は、飲食品に対し、上記本発明の調味剤を添加するものであり、飲食品の基本風味を維持したまま、飲食品のカドのある風味を、カドのとれた厚みのある風味に調味し全体として調和された風味とするものである。
本発明の調味剤を飲食品に添加する方法は、特に限定されず、対象となる飲食品の加工時、調理時、飲食時等に、飲食品またはその素材に混合、散布、噴霧、溶解等任意の手段により行なわれる。
【0022】
本発明の調味剤の飲食品への添加量は、上述のとおり、飲食品100質量部に対し、調味剤に含まれる乳清ミネラルの固形分として、好ましくは0.0001〜0.5質量部、より好ましくは0.0005〜0.2質量部、更に好ましくは0.001〜0.1質量部である。0.0001質量部未満、又は0.5質量部を超えると、調味効果が認められ難く、また0.5質量部を超えると、乳清ミネラルの苦味が感じられるおそれがある。
【実施例】
【0023】
<乳清ミネラルの製造>
〔製造例1〕
(a)工程:牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーを出発原料とし、ナノ濾過膜分離後、更に、逆浸透濾過膜分離により脱ミネラル液を分離し、固形分含量が2.5質量%である高ミネラル液(I)を得た。
(b)工程:(a)工程で得られた高ミネラル液(I)を、間接加熱、及び直接蒸気加熱の組合せにより、80℃で20分間加熱処理し、生成したカルシウム−リン酸複合体を、遠心分離機により分離・除去し、高ミネラル液(II)を得た。
(c)工程:(b)工程で得られた高ミネラル液(II)を、エバポレーターを用いて固形分が60質量%以上となるまで濃縮し、さらにこの濃縮液をスプレードライ法により乾燥し、固形分が97質量%の乳清ミネラル(以下、乳清ミネラルAという)を得た。
【0024】
〔製造例2〕
上記製造例1における、(b)工程を行なわず、高ミネラル液(I)を直接(c)工程に供した以外は同様にして固形分が97質量%の乳清ミネラル(以下、乳清ミネラルBという)を得た。
【0025】
〔製造例3〕
上記製造例1の(c)工程における、エバポレーターによる濃縮を固形分が40質量%となるまで濃縮したのみに変更した以外は同様にして固形分が40質量%の流動状の乳清ミネラル(以下、乳清ミネラルCという)を得た。
【0026】
<カレーソースの製造>
玉ねぎ400g、にんじん50g、セロリ20g、にんにく5g、しょうが10gをみじん切りにし、フライパンに投入し、さらにラード30gを加えてあめ色になるまで炒めた。さらに小麦粉30gとカレー粉20gを加えてさらに炒め、カレールウを得た。
一方、深鍋で、湯1200gを沸かし、ここへ固形コンソメ40gを投入してさらに加熱し、ここに上記カレールウを全量投入し、煮立たせた。
次いで、サラダ油、食塩、こしょうで炒めた牛ばら肉(角切り)480g、すりおろしたりんご100gを投入し、30分煮込み、カレーソースを得た。
【0027】
〔実施例1〕
上記製造例1で得た乳清ミネラルAをそのまま本発明の調味剤Aとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、本発明の飲食品であるカレーソース1を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Aを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、本発明の飲食品であるカレーソース1は、調味剤Aを添加しないカレーソースに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、あたかも一晩煮込んだかのような、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0028】
〔比較例1〕
上記製造例2で得た乳清ミネラルBをそのまま比較例の調味剤Bとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、比較例の飲食品であるカレーソース2を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Bを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、比較例の飲食品であるカレーソース2は、調味剤Bを添加しないカレーソースとほぼ同じ風味であり、調味剤Aで見られた効果はまったく得られなかった。
【0029】
<コーヒー牛乳の製造>
レギュラーコーヒー(モカブレンド)を使用してドリップ法にてコーヒー液を得た。このコーヒー液50g、牛乳47g、グラニュー糖3gを混合しコーヒー牛乳を得た。
【0030】
〔実施例2〕
上記製造例1で得た乳清ミネラルAをそのまま本発明の調味剤Aとし、上記コーヒー牛乳100質量部に対し0.02質量部添加して、十分混合し、本発明の飲食品であるコーヒー牛乳1を得た。ここで、調味剤Aを添加しない上記コーヒー牛乳と比較試食したところ、本発明の飲食品であるコーヒー牛乳1は、調味剤Aを添加しない上記コーヒー牛乳に比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっており、その調味された風味が口中で長く持続するものであった。
【0031】
<容器入り即席麺の製造>
〔実施例3〕
市販の容器入りインスタントラーメン(麺、スープ、具材合計重量77g)を説明書どおり320gの熱湯を注ぎふたをして3分間待った後、ふたを外し、ここに上記調味剤Aを0.015g振りかけ、よく混ぜて食したところ、調味剤Aを使用しない上記容器入りインスタントラーメンに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、あたかも長時間煮込んだかのような、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0032】
<めんつゆの製造>
〔実施例4〕
醤油200g、市販の無添加本かつおだし20g、みりん50g、水730gを混合し煮立て、めんつゆを得た。上記製造例3で得た乳清ミネラルCを固形分10質量%となるよう水で希釈し、これをUHT殺菌処理(殺菌温度140℃、保持時間6秒)し、さらに、孔径φ0.2μmの濾過膜を通過させたものを本発明の調味剤Cとした。
なお、製造例3で得られた乳清ミネラルCは目視で若干の濁りが見られ、分光光度計により波長660nmにて吸光度を測定したところ、Abs. 0.0020であったのに対し、本発明の調味剤Cは目視で透明であり、分光光度計により波長660nmにて吸光度を測定したところ、Abs. 0.0000であった。また、細菌検査を行ったところ、一般生菌数が陰性であり、常温保管可能なものであった。
上記調味剤Cを、上記めんつゆ100質量部に対し0.04質量部添加し、十分に混合した後、ひと煮たちさせ、放冷し、本発明の飲食品であるめんつゆ1を得た。得られた本発明のめんつゆ1は、調味剤を添加せずにひと煮立ちさせただけのめんつゆに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっており、その調味された風味が口中で長く持続するものであった。
【0033】
<キムチの製造>
〔実施例5〕
上記調味剤Cを、市販のキムチ100質量部に対し0.04質量部添加しよく混ぜて一晩冷蔵庫で保管し、本発明の飲食品であるキムチを得た。得られた本発明のキムチは、調味剤Cを添加せず一晩冷蔵庫で保管しただけのキムチに比べ、カドがなく、自然な甘味があり、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0034】
<トマトケチャップの製造>
〔実施例6〕
上記調味剤Cを、市販のトマトケチャップ100質量部に対し0.04質量部添加しよく混ぜて1時間冷蔵庫で保管し、本発明の飲食品であるトマトケチャップを得た。得られた本発明のトマトケチャップは、調味剤Cを添加せず1時間冷蔵庫で保管しただけのトマトケチャップに比べ、カドがなく、自然な甘味があり、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0035】
<ミルクティーの製造>
〔実施例7〕
640mlの熱湯に市販の紅茶のティーバッグ(アッサム)4個を2分間浸漬し、さらにこれに牛乳71mlを添加、混合し、ミルクティーを得た。上記調味剤Cを、上記ミルクティー100質量部に対し0.04質量部添加しよく溶解させ、本発明の飲食品であるミルクティーを得た。得られた本発明のミルクティーは、調味剤Cを使用しないミルクティーに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっており、その調味された風味が口中で長く持続するものであった。
【0036】
<チーズ焼き菓子の製造>
〔実施例8〕
薄力粉80質量部、チーズパウダー(ロルフパウダーPP―100/宝幸水産(株))20質量部、上白糖50質量部、ショートニング46質量部、全卵12質量部、食塩1質量部、水9質量部、重曹0.5質量部、炭安0.5質量部、上記調味剤A 0.3質量部を用意し、シュガーバッター法にて生地を作製し、成型後、焼成しチーズビスケットを得た。これを食したところ、調味剤Aを使用しないで作製したチーズビスケットに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)(b)(c)工程を経て得られた乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤。
(a)乳又はホエーを、膜分離及び/又はイオン交換により脱ミネラル液を分離し、高ミネラル液(I)を得る工程
(b)高ミネラル液(I)から、カルシウム−リン酸複合体を分離・除去し、高ミネラル液(II)を得る工程
(c)高ミネラル液(II)を、固形分が20質量%以上となるまで濃縮及び/又は乾燥し、乳清ミネラルを得る工程
【請求項2】
請求項1記載の調味剤を含有する飲食品。
【請求項3】
請求項1記載の調味剤を飲食品に添加することを特徴とする飲食品の調味方法。

【公開番号】特開2008−54663(P2008−54663A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160733(P2007−160733)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】