説明

調味料の振り掛け方法及び計量スプーン

【課題】いわゆる盛り上がり状態に掬い取った調味料の擦り切りないし振り掛け工程を簡単な操作で、かつ短時間で行うことができること。
【解決手段】材質自体によるバネ力により折り曲げ部から先端部に至るまで常時反対方向に所定量開いている二本の操作バーと、一方側の操作バーの先端部に設けられたスプーン本体と、一方、他方側の操作バーの先端部に設けられ、かつ振り掛け用の多数の小孔を有する擦り切り板とから成り、操作バーをバネ力に抗して内側に押圧操作すると、スプーン本体に掬いあげられた調味料の盛り上がり部分は、擦り切り板によって擦り切られる計量スプーン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉、魚等の食べ物に調味料を振り掛けることができる調味料の振り掛け方法及び該振り掛け方法に用いられる計量スプーンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、全体がスプーンの形態をしており、スプーンの平板で長尺状の柄(3)の先端にスプーン容器部(1)を設け、スプーン柄(3)の上面両側にガイドレール(5)を設け、多数の穴のあいたすり切り板(2)を、ガイドレール(5)に移動自由にし、すり切り板(2)がスプーン容器部(1)の口部(7)を開閉可能にした事を特長とする料理用計量スプーンが記載されている(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
したがって、特許文献1には、長尺板状の柄の先端部に粉状或いは粒状体を掬うスプーン本体を有するスプーン部材と、このスプーン部材に前記柄に長手方向に設けられたガイド部を介して前記スプーン本体の口部を開閉することができるようにスライド自在に設けられた擦り切り部材とから成る料理用計量スプーンに於いて、前記擦り切り部材の前記口部を閉じる擦り切り部分に、スプーンを逆様状態にしてスプーン本体内の粉状或いは粒状体を振るい落とすことができる多数の小孔が形成されているということができる。
【0004】
この特許文献1に記載の料理用計量スプーンは、調味料を計量する際、スプーンのみで正確に擦り切ることができると共に、スプーンを逆様状態にすると、スプーン本体と擦り切り部分の間に存在する粉状或いは粒状体を、肉、魚等の食材に均一に振り掛けることができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、該計量スプーンは、スプーン本体の口部の開閉動作は、例えば擦り切り部材の後端部の突起状把手部分を押す(プッシュ)、引く(プル)方式に行わなければならない。
【0006】
付言すると、スプーン本体に盛り上がり状態に掬い取られた調味料を、擦り切り部材の先端部の擦り切り部分で擦り切る場合には、指で該擦り切り部材の後端部の突起状把手部分を押し出して擦り切り部材を前方側へとスライドさせ、一方、食材や料理に調味料を振りかけた後は、該計量スプーンを元の状態に戻してから擦り切り部材の突起状把手部分に指を掛けて後方側に引き戻す必要があった。したがって、プッシュ・プルの操作が面倒であるという問題点があった。また、特許文献1に記載の料理用計量スプーンは、構造が複雑であると共に、いわば大根おろし形態であることから、製作上コスト高であるという問題点があった。
【特許文献1】特開2003−83792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の所期の目的は、特許文献1と同様に、調味料を計量する際、スプーンのみで正確に擦り切ることができると共に、調味料を肉、魚等の食材や料理した物に均一に振り掛けることができることである。第2の目的は、いわゆる盛り上がり状態に掬い取った調味料の擦り切りないし振り掛け工程を簡単な操作で、かつ短時間で行うことができることである。つまり、操作性を向上させることである。第3の目的は、安価な計量スプーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の調味料の振り掛け方法は、容器内の調味料を計量スプーンのスプーン本体の口部に盛り上がり状態に掬いあげる調味料掬いあげ工程と、折り曲げ部から互いに対向状態に連設する二本の操作バーを指で摘むように挟持し、かつこれらの操作バーを指で内側に押圧操作すると、材質自体のバネ力に抗して二本の操作バーが内側に変位し、一方側の操作バーの前記スプーン本体の口部と他方側の操作バーの振り掛け用の多数の小孔を有する擦り切り板とが互いに摺り合うように重なり合って前記調味料の盛り上がり部分が擦り切られる擦り切り工程と、次いで、計量スプーンを逆様状態にして、かつ前記振り掛け用の多数の小孔からスプーン本体内の調味料を肉、魚等の食べ物に振り掛ける振り掛け工程と、然る後に、指の押圧操作力を減じると、前記二本の操作バーは、材質自体のバネ力により、互いに反対方向に開いた初期位置へと復帰する復帰工程とから成る。
【0009】
また、本発明の計量スプーンは、材質自体によるバネ力により折り曲げ部から先端部に至るまで常時反対方向に所定量開いている二本の操作バーと、一方側の操作バーの先端部に設けられたスプーン本体と、一方、他方側の操作バーの先端部に設けられ、かつ振り掛け用の多数の小孔を有する擦り切り板とから成り、前記操作バーをバネ力に抗して内側に押圧操作すると、前記スプーン本体に掬いあげられた調味料の盛り上がり部分は、前記擦り切り板の縁部分によって擦り切られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
調味料を計量する際、スプーンのみで正確かつ迅速に擦り切ることができると共に、調味料を肉、魚等の食材や料理した物に均一に振り掛けることができる。また、スプーン本体に盛り上がり状態に掬い取った調味料の擦り切りないし振り掛け工程を簡単な操作で、かつ短時間で行うことができる。さらに、金属又は合成樹脂材の材質自体のバネ力を利用したので、安価な計量スプーンを提供するができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、図1に示す本発明を実施するための最良の形態(方法の発明)を説明する。
【0012】
(1)方法の発明
図1は調味料の振り掛け方法の工程図である。この図1に於いて、Aは調味料掬いあげ工程で、この調味料掬いあげ工程Aでは、容器1内の粉状或は粒状体の調味料2を計量スプーンXのスプーン本体の口部に盛り上がり状態に掬いあげる。この調味料掬いあげ工程Aで用いられる計量スプーンXは、弾性変位機能、弾性変位復帰機能及び剛性的機能(形態保持機能)をそれぞれ有する金属又は合成樹脂材でピンセット状に成形され(板バネ、樹脂バネ)、かつ中央部の折り曲げ部3を含む二本の操作バー4、5と、一方側の操作バー4の先端部4aに設けられたスプーン本体6と、一方、他方側の操作バー5の先端部5aに設けられ、かつ振り掛け用の多数の小孔8を有する擦り切り板7とから成る。
【0013】
付言すると、本実施例の計量スプーンXの前記二本の操作バー4、5は、材質自体によるバネ力により折り曲げ部3から先端部4a、5aに至るにしたがって常時反対方向に平面視V字形状に所定量開いている。
【0014】
次に、Bは擦り切り工程で、この擦り切り工程Bでは、折り曲げ部3から互いに対向状態に連設する二本の操作バー4、5を指fで摘むように挟持し、かつこれらの操作バー4、5を指fで内側に押圧操作する。
【0015】
そうすると、計量スプーンXは、折り曲げ部3を含む二本の操作バー4、5の材質自体のバネ力に抗して、これらの二本の操作バー4、5が内側に互いに変位する。そして、一方側の操作バー4の前記スプーン本体6の口部6aと他方側の操作バー5の振り掛け用の多数の小孔8を有する擦り切り板7とが互いに摺り合うように重なり合う。
【0016】
その結果、擦りきり時、擦り切り板7の縁部分でもって、スプーン本体6の口部6aに盛り上がっている調味料の一部2bが擦り切られる。この時、スプーン本体6の口部6aと擦り切り板7の裏面との間には、所定量の調味料2aが入っている。この擦り切り工程Bにより、計量スプーンXのみで、正確かつ迅速に調味料を擦り切ることができる。
【0017】
次に、Cは振り掛け工程で、この振り掛け工程Cでは、計量スプーンXを逆様状態にして、かつ振り掛け用の多数の小孔8からスプーン本体6内の調味料2aを肉、魚等の食べ物11に振り掛ける。例えば料理の際、料理人が、普通一般に容器状振分け器を食材や料理した物に振り掛ける行為を見受けるが、この振り掛け工程Cでは、スプーン本体6の口部6aと擦り切り板7の裏面に存在する調味料2aは、「定量」である点、二本の操作バー4、5を指fで押圧状態に維持しながら振り掛け行為を行う点、振分け手段がスプーン型である点等が相違する。この振り掛け工程Cにより、調味料を肉、魚等の食材や料理した物11に均一に振り掛けることができる。
【0018】
次に、Dは操作バー復帰工程で、この操作バー復帰工程Dでは、指fの押圧操作力を減じると、計量スプーンXの二本の操作バー4、5は、その材質自体のバネ力により、互いに反対方向に開き、いわゆる初期位置に復帰する。
【0019】
(2)物の発明
図2及び図3を参照にして、計量スプーンXの基本的構成を説明する。計量スプーンXは、一方の操作バー4の先端部4aにスプーン本体6を有するスプーン部材と、他方の操作バー5の先端部5aに板状の擦り切り部分7を有する擦り切り部材とが、中央部の折り曲げ部3で一連に繋がっている。
【0020】
換言すれば、互いに対向状態に開いている二本の操作バー4、5は、計量スプーンXの柄の部分に相当する。柄本体2の形状、肉厚、長さ、幅等は任意に設計し得る事項であるが、板バネの効果が発揮するように、所要の形状や長さに設定すべきである。本実施例では、二本の操作バー4、5は、材質自体によるバネ力により折り曲げ部3から先端部4a、5aに至るにしたがって常時反対方向に平面視V字形状に開いている。
【0021】
前記スプーン本体6の口部6aは、普通一般のスプーンのそれと同一である。もちろん、口部6aの形状は、例えば容器状、すり鉢状等任意に設計し得る事項である。一方、前記擦り切り部分8には、多数の小孔8が形成されている。これらの小孔8は、調味料が粉系又は粒系なので、調味料の性質、湿気等を考慮して適当な大きさに設定されている。常態では、折り曲げ部3を含む二本の操作バー4、5は、その材質自体により、互いに重ならない範囲で所定量離れている。計量スプーンXの使用態様は、前項で説明した通りである。
【実施例】
【0022】
計量スプーンXは、平面視V字形状は一例でありが、発明の要旨を逸脱いない範囲内で、折り曲げ部3乃至二本の操作バー4、5の各先端部4a、5aの形態を平面視U字形状にすることもできる。また、スプーン本体又は擦り切り部分の適宜箇所に、スプーン本体と擦り切り部分が互いに重なり合うようにストッパー用の小突起を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、主に飲食物を提供する場所や食品を料理する業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の最良の実施例を示す工程図(方法の発明)。
【図2】本発明の方法に用いられる計量スプーンの説明図(物の発明の常態)。
【図3】本発明の方法に用いられる計量スプーンの説明図(物の発明の閉じた状態)。
【符号の説明】
【0025】
X…計量スプーン、A…調味料掬いあげ工程、B…擦り切り工程、C…振り掛け工程、D…操作バー復帰工程、1…容器、2…調味料、2a…所定量、2b…一部、3…折り曲げ部、f…指、4、5…操作バー、4a、5a…先端部、6…スプーン本体、6a…口部、7…擦り切り板、8…小孔、11…食べ物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の調味料を計量スプーンのスプーン本体の口部に盛り上がり状態に掬いあげる調味料掬いあげ工程と、折り曲げ部から互いに対向状態に連設する二本の操作バーを指で摘むように挟持し、かつこれらの操作バーを指で内側に押圧操作すると、材質自体のバネ力に抗して二本の操作バーが内側に変位し、一方側の操作バーの前記スプーン本体の口部と他方側の操作バーの振り掛け用の多数の小孔を有する擦り切り板とが互いに摺り合うように重なり合って前記調味料の盛り上がり部分が擦り切られる擦り切り工程と、次いで、計量スプーンを逆様状態にして、かつ前記振り掛け用の多数の小孔からスプーン本体内の調味料を肉、魚等の食べ物に振り掛ける振り掛工程と、然る後に、指の押圧操作力を減じると、前記二本の操作バーは、材質自体のバネ力により、互いに反対方向に開いた初期位置へと復帰する操作バー復帰工程とから成る調味料の振り掛け方法。
【請求項2】
材質自体によるバネ力により折り曲げ部から先端部に至るまで常時反対方向に所定量開いている二本の操作バーと、一方側の操作バーの先端部に設けられたスプーン本体と、一方、他方側の操作バーの先端部に設けられ、かつ振り掛け用の多数の小孔を有する擦り切り板とから成り、前記操作バーをバネ力に抗して内側に押圧操作すると、前記スプーン本体に掬いあげられた調味料の盛り上がり部分は、前記擦り切り板の縁部分によって擦り切られることを特徴とする計量スプーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−189464(P2009−189464A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31532(P2008−31532)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(396007362)株式会社ペッパーフードサービス (9)
【出願人】(597141977)
【Fターム(参考)】