説明

調整可能な絶縁体研磨選択比を有するスラリー組成物及び基板研磨方法

【課題】酸化ケイ素及びSi3N4のような絶縁体膜の調整可能な除去速度及び除去速度の選択比を示す、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供する。
【解決手段】初期成分として、水;砥粒;式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物;及び、場合により、特定式によるジ第四級物質を含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシングの分野に全般的に関する。特に、本発明は、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物及び半導体材料のケミカルメカニカルポリッシングのための方法、ならびに、より特に、例えばhigh-kメタルゲート、銅バリア、層間絶縁体(ILD)及びシャロートレンチアイソレーション(STI)法における半導体構造からの絶縁体層のケミカルメカニカルポリッシングについて、酸化ケイ素及びSiのような絶縁体膜についての、調整することができる除去速度及び除去速度の選択比を示すケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの製造において、導電体、半導体及び絶縁体材料の複数の層が、半導体ウェーハの表面上に堆積されるか、又は半導体ウェーハの表面から除かれる。導電体、半導体及び絶縁体材料の薄層は、多くの堆積技術によって堆積されうる。最新の処理における一般的な堆積技術には、スパッタリングとしても知られる物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、プラズマ加速化学蒸着(PECVD)及び電気めっき(ECP)が挙げられる。
【0003】
材料の層が逐次的に堆積されそして除去されるにつれて、ウェーハの最も上の表面は非平面となる。後続の半導体処理(例えば金属化)は、ウェーハが平坦な表面を有することを必要とするので、このウェーハは平坦化されることを必要とする。平坦化は望まれない表面形状及び表面欠陥、例えば、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、ひっかき傷及び汚染された層又は材料を除去するのに有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハのような基板を平坦化するのに使用される一般的な技術である。従来のCMPにおいては、ウェーハはキャリアアセンブリ上に取り付けられ、CMP装置のポリッシングパッドと接触するように位置決めされる。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力をウェーハに加え、ポリッシングパッドにウェーハを押し付ける。外部駆動力によってこのパッドはウェーハに対して動かされる(例えば回転させられる)。これと同時に、研磨組成物(スラリー)又は他の研磨液がウェーハとポリッシングパッドとの間に提供される。よって、ウェーハ表面は、パッド表面及びスラリーの化学的及び機械的作用によって研磨され、そして平坦にされる。
【0005】
シャロートレンチアイソレーション(STI)法と称される半導体デバイス素子を分離するのに使用される一方法は、シリコン基板上に形成された窒化ケイ素(Si)層、この窒化ケイ素層に形成された狭い溝(shallow trenches)の使用を通常は伴っており、そして絶縁体材料(例えば酸化物)がそのトレンチを満たすように堆積される。典型的には、過剰な絶縁体材料が基板の頂部上に堆積され、溝の完全な充填を確実にする。次いで、ケミカルメカニカルプラナリゼーション技術を使用して、この過剰な絶縁体材料層は除去されて、窒化ケイ素層を露出させる。
【0006】
過去のデバイス設計は、窒化ケイ素に対する酸化ケイ素のケミカルメカニカルプラナリゼーション選択性(すなわち、窒化ケイ素の除去速度と比べて、より高い酸化ケイ素の除去速度)を強調してきた。これらのデバイス設計においては、窒化ケイ素層はケミカルメカニカルプラナリゼーション法の停止層として機能していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある最近のデバイス設計は、ケミカルメカニカルプラナリゼーション法における使用のために、ポリシリコンに優先する酸化ケイ素に対する選択性(すなわち、ポリシリコンについての除去速度と比べて、より高い酸化ケイ素の除去速度)を提供する研磨組成物を要求する。
【0008】
ポリシリコンよりも酸化ケイ素及び窒化ケイ素の少なくとも一種に対する選択性を提供する、ケミカルメカニカルプラナリゼーション法における使用のための一つの研磨配合物が、Dysardらへの米国特許出願公開第2007/0077865号に開示されている。Dysardらは、基板をケミカルメカニカルポリッシングする方法を開示し、この方法は(i)酸化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される材料とポリシリコンとを含む基板を、(a)砥粒、(b)液体キャリア、(c)液体キャリア及びそれに溶解又は懸濁されている任意の成分の質量を基準にして約1ppm〜約100ppmの、約15以下のHLBを有するポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー及び(d)ポリッシングパッド:を含むケミカルメカニカルポリッシング系と接触させ;(ii)基板に対してポリッシングパッドを動かし;そして(iii)基板の少なくとも一部を磨耗させて、基板を研磨することを含む。
【0009】
ポリシリコンよりも、酸化ケイ素及び窒化ケイ素の少なくとも一種に対する選択性を提供するケミカルメカニカルプラナリゼーション法における使用のための別の研磨配合物が、Parkらへの米国特許第6,626,968号に開示されている。Parkらは、酸化ケイ素層及びポリシリコン層を有する表面を同時に研磨するための、pH7〜11を有するスラリー形態のケミカルメカニカルポリッシング組成物を開示し、該スラリー組成物は、本質的に、水;シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、酸化マンガン(Mn)及びこれらの混合物からなる群より選択される砥粒粒子;及びポリビニルメチルエーテル(PVME)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(POLE)、ポリプロパン酸(PPA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエーテルグリコールビスエーテル(PEGBE)及びこれらの混合物からなる群より選択されるポリマー添加剤約0.001重量%〜約5重量%:からなり、このポリマー添加剤は、ポリシリコンの層の除去に対する酸化ケイ素層の除去についての選択性比を向上させる。
【0010】
それにもかかわらず、半導体システムの製造における使用のためのデバイス設計の動的な分野をサポートするために、設計ニーズの変更に適合する研磨特性の望まれるバランスを提供するように配合されるケミカルメカニカルポリッシング組成物についての継続した必要性が存在している。例えば、酸化ケイ素及びSiのような絶縁体膜の調整可能な除去速度及び除去速度の選択比を示す、ケミカルメカニカルポリッシング組成物についての必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、初期成分として、水;砥粒;式(I):
【化1】


[式中、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物から選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキル基より選択され;式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる]によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物;及び、場合により、式(II):
【化2】


[式中、各々のAは、独立してN及びPより選択され;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され;R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC1−15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され;そして式(II)中のアニオンは、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオン又はアニオンの組み合わせであることができる]によるジ第四級(diquaternary)物質を含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を提供する。
【0012】
本発明は、初期成分として、水;0.1〜40重量%の砥粒;0.001〜1重量%の式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物(ここで、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物から選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキル基より選択され;式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる);及び、0〜1重量%の式(II)によるジ第四級物質(ここで、各々のAは、独立してN及びPより選択され;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され;R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC1−15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され;式(II)中のアニオンは、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオン又はアニオンの組み合わせであることができる)を含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を提供する。
【0013】
本発明は、初期成分として、水;0.1〜10重量%の砥粒;0.002〜0.5重量%の、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物(ここで、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOH基より選択され;Xは、塩化物及び臭化物より選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択され;そして、式(I)中のアニオンは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択される);及び、0.002〜0.2重量%の、式(II)によるジ第四級物質(ここで、各々のAは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;そして、R、R、R、R、R及びRは、各々、−(CHCH基である)を含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を提供する。
【0014】
本発明は、初期成分として、水;砥粒が20〜50nmの平均粒子サイズを有するコロイダルシリカ砥粒である0.1〜10重量%の砥粒;0.01〜0.2重量%の式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物(ここで、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOH基より選択され;Xは、塩化物及び臭化物より選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択され;そして、式(I)中のアニオンは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択される);及び、0.01〜0.05重量%の、式(II)によるジ第四級物質(ここで、各々のAは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、各々、−(CHCH基であり;そして、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとるアニオンは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオンより選択される)を含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を提供する。
【0015】
本発明は、水を提供すること;砥粒を提供すること;式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物(ここで、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物から選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキル基より選択され;そして、式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる)を提供すること;そして、場合により、式(II)によるジ第四級物質(ここで、各々のAは、独立してN及びPより選択され;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され;R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC1−15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され;そして、式(II)中のアニオンは、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオン又はアニオンの組み合わせであることができる)を提供すること;pH調整剤を提供すること;水、砥粒、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物、及び場合により式(II)によるジ第四級物質を合わせて、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を形成すること;及び、pH調整剤をスラリーに必要なだけ加え、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物のpHを<7に調整することを含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物の製造方法を提供する。
【0016】
本発明は、酸化ケイ素及びSiの少なくとも一つを含む基板を提供すること;請求項1によるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物[ここで、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物の濃度及び任意の式(II)によるジ第四級物質の濃度は、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物によって示される酸化ケイ素及びSiの少なくとも一つに対する除去速度を調整するために選択される]を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ダウンフォース0.69〜34.5kPaで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面及び基板との間の界面に、動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッド及び基板の間の界面又はその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、<7のpHを有し;ここで、基板は研磨され;そして、酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種の一部は基板から除去される、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明のケミカルメカニカルポリッシング法に使用される、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物の具体的な処方の選択は、酸化ケイ素、Si及びポリシリコンの少なくとも一種についての標的とする除去速度を提供し;そして好ましくは、酸化ケイ素、Si及びポリシリコンの少なくとも二種の間(より好ましくは、酸化ケイ素及びSiの間)での標的とする除去速度の選択比を提供するための鍵となる。
【0018】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング法に使用するための適切な基板は、その上に堆積した酸化ケイ素、Si及びポリシリコンの少なくとも一種を有する半導体基板を含む。好ましくは、使用される基板は、酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種を含む。より好ましくは、使用される基板は、SiC、SiCN、Si、SiCO及びポリシリコンの少なくとも一種(最も好ましくはSi)の上に堆積した酸化ケイ素を有する。
【0019】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物に使用するために適切な砥粒は、例えば、無機酸化物、無機水酸化物、無機水酸化酸化物(hydroxide oxides)、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、ポリマー粒子及び前述の少なくとも一種を含む混合物を含む。適切な無機酸化物は、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、酸化マンガン(MnO)、酸化チタン(TiO)又は前述の酸化物の少なくとも一種を含む組み合わせである。有機ポリマーで被膜された無機酸化物粒子及び無機物で被膜された粒子のような、これらの無機酸化物の改変系もまた、所望であれば利用することができる。適切な金属炭化物、ホウ化物及び窒化物は、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン又は前述の金属炭化物、ホウ化物及び窒化物の少なくとも一種を含む組み合わせである。好ましくは、使用される砥粒は、コロイダルシリカ砥粒である。
【0020】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物に使用される砥粒は、好ましくは5〜200nm;より好ましくは20〜100nm;さらにより好ましくは20〜60nm;最も好ましくは20〜50nmの平均粒子サイズを有する。
【0021】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらにより好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%の砥粒を含有する。
【0022】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、好ましくは20〜100nmの平均粒子サイズを有するコロイダルシリカ砥粒を含む。さらにより好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、1〜10重量%の、平均粒子サイズ20〜60nmを有するコロイダルシリカ砥粒を含む。最も好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、1〜10重量%の、平均粒子サイズ20〜50nmを有するコロイダルシリカ砥粒を含む。
【0023】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物中に含有される水は、偶発的な不純物を制限するために、好ましくは、脱イオン化されたもの及び蒸留されたものの少なくとも一つである。
【0024】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、初期成分として、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物:
【化3】


[式中、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基より選択され(好ましくは、Rは、C1−5アルキル基及びC1−5ヒドロキシアルキル基より選択され;より好ましくは、Rは、C1−4アルキル基及びC1−4ヒドロキシアルキル基より選択され、最も好ましくは、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOHより選択される);Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物より選択されるハロゲン化物であり(好ましくは、Xは、塩化物、臭化物及びヨウ化物より選択され;最も好ましくは、Xは、塩化物及び臭化物より選択される);R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキル基より選択され(好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、C1−5アルキル基及びC1−5ハロアルキルより選択され;より好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、C1−4アルキル基より選択され;最も好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択される);そして、式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+の電荷とバランスをとる、任意のアニオンであることができる(好ましくは、式(I)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン及び硝酸アニオン;より好ましくは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオン;最も好ましくは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択されるハロゲン化物アニオンより選択される)]を含む。好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、初期成分として、0.001〜1重量%(より好ましくは0.002〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.005〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.2重量%)の、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物を含む。最も好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、初期成分として、0.01〜0.2重量%の、臭化(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウム;塩化(2−クロロエチル)トリメチルアンモニウム;臭化(3−ブロモプロピル)トリメチルアンモニウム;塩化(3−クロロエチル)トリメチルアンモニウム;臭化(3−ブロモプロピル)トリエチルアンモニウム及び塩化(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムより選択される、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物を含む。実施例に記載された研磨条件下での、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物を含有することは、ポリシリコン、酸化ケイ素及びSiの除去速度を上昇させ;及び酸化ケイ素及びSiの除去速度における調整可能な選択比を有する。
【0025】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、場合により、初期成分として、式(II)によるジ第四級物質:
【化4】


[式中、各々のAは、独立してN及びPより選択され、好ましくは、各々のAはNであり;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され(好ましくは、C−C10アルキル基であり;より好ましくは、C−Cアルキル基であり;さらにより好ましくは、−(CH−基及び−(CH−基であり;最も好ましくは、−(CH−基である);R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され(好ましくは、水素及びC−Cアルキル基であり;より好ましくは、水素及びブチル基であり;最も好ましくは、ブチル基である);そして、式(II)中のアニオンは、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとる、任意のアニオン又はアニオンの組み合わせであることができる(好ましくは、式(II)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン及びリン酸アニオンより選択され;より好ましくは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオンであり;最も好ましくは、水酸化物アニオンである)]を含む。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により、初期成分として、0〜1重量%(好ましくは0〜0.5重量%;より好ましくは0.001〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.002〜0.2重量%、その上さらにより好ましくは0.005〜0.1重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%)の、式(II)によるジ第四級物質を含む。最も好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.01〜0.05重量%の、式(II)によるジ第四級物質を含み、ここで、各々のAは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;そして、R、R、R、R、R及びRは、各々−(CHCH基である。本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物中に、場合により、式(II)によるジ第四級物質を含有させることは、実施例に記載された研磨条件下での、酸化ケイ素の除去速度の上昇、Siの除去速度の減少及びポリシリコンの除去速度の減少をもたらす。
【0026】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、場合によりさらに、分散剤、界面活性剤、緩衝剤及び殺生物剤より選択される、追加の添加剤を含む。
【0027】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、2〜<7のpHで有効性を与える。好ましくは、使用されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、2〜5のpHで有効性を与える。最も好ましくは、使用されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、2〜4のpHで有効性を与える。ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物のpHを調整するのに使用するための適切な酸は、例えば、リン酸、硝酸、硫酸及び塩酸を含む。ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物のpHを調整するのに使用するための適切な塩基は、例えば、水酸化アンモニウム及び水酸化カリウムを含む。
【0028】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、実施例に記載した研磨条件下で測定したときに、200〜3,000Å/分(好ましくは300〜2,100Å/分)の、調整可能な酸化ケイ素除去速度を示す。
【0029】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、実施例に記載した研磨条件下で測定したときに、300〜2,000Å/分(好ましくは300〜1,000Å/分)の、調整可能なSi除去速度を示す。
【0030】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、実施例に記載した研磨条件下で測定したときに、1:2〜10:1(好ましくは1:2〜7:1)の、酸化ケイ素のSiに対する調整可能な除去速度の選択比を示す。
【0031】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、初期成分として、水;0.1〜40重量%(好ましくは0.1〜20重量%、さらにより好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%)の、平均粒子サイズ5〜200nm(好ましくは20〜100nm、より好ましくは20〜60nm、最も好ましくは20〜50nm)を有する砥粒;0.001〜1重量%(より好ましくは0.002〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.005〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.2重量%)の、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物[ここで、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基より選択され(好ましくは、Rは、C1−5アルキル基及びC1−5ヒドロキシアルキル基より選択され;より好ましくは、Rは、C1−4アルキル基及びC1−4ヒドロキシアルキル基より選択され、最も好ましくは、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOHより選択される);Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物より選択されるハロゲン化物であり(好ましくは、Xは、塩化物、臭化物及びヨウ化物より選択され;最も好ましくは、Xは、塩化物及び臭化物より選択される);R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキルより選択され(好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、C1−5アルキル基及びC1−5ハロアルキル基より選択され;より好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、C1−4アルキル基より選択され;最も好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択される);そして、式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオン上の+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる(好ましくは、式(I)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン及び硝酸アニオン;より好ましくは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオン;最も好ましくは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択されるハロゲン化物アニオンより選択される)];0〜1重量%(好ましくは0〜0.5重量%;より好ましくは0.001〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.002〜0.2重量%、その上さらにより好ましくは0.005〜0.1重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%)の、式(II)によるジ第四級物質[ここで、各々のAは、N及びPより独立して選択され、好ましくは、各々のAはNであり;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され(好ましくは、C−C10アルキル基;より好ましくはC−Cアルキル基;さらにより好ましくは−(CH−基及び−(CH−基;最も好ましくは−(CH−基である);R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され(好ましくは、水素及びC−Cアルキル基であり;より好ましくは、水素及びブチル基であり;最も好ましくは、ブチル基である);そして、式(II)中のアニオンは、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる(好ましくは、式(II)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン及びリン酸アニオン;より好ましくは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオン;最も好ましくは水酸化物アニオンより選択される)];を含む。
【0032】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング法は、
酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種を含む基板を提供すること;
本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を提供すること、ここで、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、初期成分として、水、0.1〜40重量%(好ましくは0.1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%)の、5〜200nm(好ましくは、20〜60nm、最も好ましくは20〜50nm)の平均粒子サイズを有する砥粒;0.001〜1重量%(より好ましくは、0.002〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.005〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.2重量%)の、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物[ここでRは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基より選択され(好ましくは、Rは、C1−5アルキル基及びC1−5ヒドロキシアルキル基より選択され;より好ましくは、Rは、C1−4アルキル基及びC1−4ヒドロキシアルキル基より選択され、最も好ましくは、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOHより選択される);Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物より選択されるハロゲン化物であり(好ましくは、Xは、塩化物、臭化物及びヨウ化物より選択され;最も好ましくは、Xは、塩化物及び臭化物より選択される);R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキルより選択され(好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、C1−5アルキル基及びC1−5ハロアルキル基より選択され;より好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、C1−4アルキル基より選択され;最も好ましくは、R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択される);そして、式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオン上の+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる(好ましくは、式(I)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン及び硝酸アニオン;より好ましくは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオン;最も好ましくは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択されるハロゲン化物アニオンより選択される)];0〜1重量%(好ましくは0〜0.5重量%;より好ましくは0.001〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.002〜0.2重量%、その上さらにより好ましくは0.005〜0.1重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%)の、式(II)によるジ第四級物質[ここで、各々のAは、N及びPより独立して選択され、好ましくは、各々のAはNであり;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され(好ましくはC−C10アルキル基;より好ましくはC−Cアルキル基;さらにより好ましくは−(CH−基及び−(CH−基;最も好ましくは−(CH−基である);R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され(好ましくは、水素及びC−Cアルキル基であり;より好ましくは、水素及びブチル基であり;最も好ましくは、ブチル基である);そして、式(II)中のアニオンは、式(II)中のカチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる(好ましくは、式(II)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン及びリン酸アニオン;より好ましくは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオン;最も好ましくは水酸化物アニオンより選択される)]を含み;ここで、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物の濃度及び場合による式(II)によるジ第四級物質の濃度は、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物によって示される酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種についての除去速度を調整するように選択される;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ダウンフォース0.69〜34.5kPa(0.1〜5psi)、好ましくは0.69〜20.7kPa(0.1〜3psi)でケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面及び基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッド及び基板の間の界面又はその近傍のケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、<7のpH(好ましくは2以上7未満;より好ましくは2〜5;最も好ましくは2〜4)を有し;ここで、基板は研磨され;ここで、酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種の一部は、基板から除去される。
【0033】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング法は、
酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種を含む基板を提供すること;
水を提供すること;
初期成分として、砥粒が20〜50nmの平均粒子サイズを有するコロイダルシリカの砥粒である、0.1〜10重量%の砥粒;0.01〜0.2重量%の、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物[ここで、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOHより選択され;Xは、塩化物及び臭化物より選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択され;そして、式(I)中のアニオンは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択される];及び、0〜0.05重量%の、式(II)によるジ第四級物質[ここで、各々のAはNであり;Rは、−(CH−基であり;そして、R、R、R、R、R及びRは各々−(CHCH基である]を含むケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ダウンフォース0.69〜34.5kPa(0.1〜5psi)、好ましくは0.69〜20.7kPa(0.1〜3psi)でケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面及び基板との間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッド及び基板の間の界面又はその近傍で注入することを含み;ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、<7のpH(好ましくは2以上7未満;より好ましくは2〜5;最も好ましくは2〜4)を有し;ここで、基板は研磨され;ここで、酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種の一部は、基板から除去される。
【実施例】
【0034】
本発明の幾つかの実施態様を、以下の実施例にて詳細に記載する。
【0035】
[比較実施例C1及び実施例A1〜A6]
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物の調製
比較研磨実施例PC1及び研磨実施例PA1〜PA6において使用されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(すなわち、それぞれケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物C1及びA1〜A6)を、表1に一覧にした量の成分を、残部である脱イオン水と組み合わせ、そして組成物のpHを、表1に一覧にした最終pHへと、硝酸を用いて調整することによって調製した。
【0036】
【表1】


【化5】

【0037】
[比較実施例PC1及び実施例PA1〜PA6]
ケミカルメカニカルポリッシング除去速度試験
酸化ケイ素、Si及びポリシリコン除去速度研磨試験は、比較実施例C1及び実施例A1〜A6に従って調製したケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を用いて実施した。具体的には、各々のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物C1及びA1〜A6についての酸化ケイ素、Si及びポリシリコン除去速度が表1に特定された。研磨除去速度試験は、8インチのブランケットウェーハ上で実施した。Strasbaugh nSpire(登録商標)CMPシステムモデル6EC回転型研磨プラットフォームを比較例PC1に使用し、そしてApplied Materials Mirra(商標)研磨機を実施例PA1〜PA6に使用した。全ての研磨試験は、IC1010(登録商標)ポリウレタンポリッシングパッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.より市販されている)を用いて、ダウンフォース20.7kPa(3psi)、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物の流速200ml/min、テーブル回転速度93rpm及びキャリア回転速度87rpmで実施した。除去速度は、研磨前後のフィルムの厚さを、KLA-Tencor FX200計測器を用いて測定することで決定した。除去速度試験の結果は、表2に示す。
【0038】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期成分として、
水;
砥粒;
式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物:
【化6】


[式中、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物から選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキル基より選択され;式(I)中の前記アニオンは、式(I)中の前記カチオンの+の電荷とバランスをとる任意のアニオンであることができる];及び、
場合により、式(II)によるジ第四級物質:
【化7】


[式中、各々のAは、独立してN及びPより選択され;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され;R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC1−15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され;式(II)中の前記アニオンは、式(II)中の前記カチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオン又はアニオンの組み合わせであることができる]を含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物。
【請求項2】
前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、初期成分として、
水;
0.1〜40重量%の前記砥粒;
0.001〜1重量%の、式(I)で示される前記ハロゲン化第四級アンモニウム化合物;及び、
0〜1重量%の、式(II)による前記ジ第四級物質を含む、請求項1に記載のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物。
【請求項3】
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、初期成分として、
水;
0.1〜10重量%の砥粒;
0.002〜0.5重量%の、式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物(式中、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOH基より選択され;Xは、塩化物及び臭化物より選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択され;そして、式(I)中の前記アニオンは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択される);及び、
0.002〜0.2重量%の、式(II)による前記ジ第四級物質(式中、各々のAは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;そして、R、R、R、R、R及びRは、各々−(CHCH基である)を含む、請求項1に記載のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物。
【請求項4】
前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、初期成分として、
水;
0.1〜10重量%の前記砥粒(前記砥粒は20〜50nmの平均粒子サイズを有するコロイダルシリカ砥粒である);
0.01〜0.2重量%の、式(I)による前記ハロゲン化第四級アンモニウム化合物(式中、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基及び−(CH−CHOH基より選択され;Xは、塩化物及び臭化物より選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択され;そして、式(I)中の前記アニオンは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択される);及び、
0.01〜0.05重量%の、式(II)による前記ジ第四級物質(式中、各々のAは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、各々−(CHCH基であり;そして、式(II)中の前記カチオンの2+の電荷とバランスをとる前記アニオンは、ハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオンより選択される)を含む、請求項1に記載のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物。
【請求項5】
ケミカルメカニカルポリッシングスラリーの製造方法であって
水を提供すること;
砥粒を提供すること;
式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物:
【化8】


[式中、Rは、C1−10アルキル基及びC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物から選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、飽和又は不飽和のC1−10アルキル基、C1−10ハロアルキル基、C6−15アリール基、C6−15ハロアリール基、C6−15アリールアルキル基及びC6−15ハロアリールアルキル基より選択され;そして、式(I)中のアニオンは、式(I)中の前記カチオンの+の電荷とバランスをとる任意の前記アニオンであることができる]を提供すること;及び、
場合により、式(II)によるジ第四級物質:
【化9】


[式中、各々のAは、独立してN及びPより選択され;Rは、飽和又は不飽和のC−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基より選択され;R、R、R、R、R及びRは、各々独立して、水素、飽和又は不飽和のC1−15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基より選択され;式(II)中の前記アニオンは、式(II)中の前記カチオンの2+の電荷とバランスをとる任意のアニオン又はアニオンの組み合わせであることができる]を提供すること;
pH調整剤を提供すること;
前記水;前記砥粒;式(I)による前記ハロゲン化第四級アンモニウム化合物;及び場合により式(II)による前記ジ第四級物質を合わせて、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を形成すること;ならびに、
前記pH調整剤をスラリーに必要なだけ加え、前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物のpHを<7に調整することを含む、ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物の製造方法。
【請求項6】
基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、
酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種を含む基板を提供すること;
請求項1に記載のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物[ここで、式(I)による前記ハロゲン化第四級アンモニウム化合物の濃度及び式(II)による任意の前記ジ第四級物質の濃度は、前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物によって示される酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種の除去速度を調整するために選択される]を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ダウンフォース0.69〜34.5kPaで、前記ケミカルメカニカルポリッシングパッドの前記研磨表面及び基板との間の界面に、動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物を、前記ケミカルメカニカルポリッシングパッド及び前記基板の間の前記界面又はその近傍で前記ケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;
ここで、提供される前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物は、<7のpHを有し;
ここで、前記基板は研磨され;そして、酸化ケイ素及びSiの少なくとも一種の一部は前記基板から除去される、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法。
【請求項7】
提供される前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、初期構成組成として、
水;
0.1〜10重量%の前記砥粒(前記砥粒20〜50nmの平均粒子サイズを有するコロイダルシリカ砥粒である);
0.01〜0.2重量%の式(I)によるハロゲン化第四級アンモニウム化合物(式中、Rは、−(CH−基、−CHCHOH基、−(CH−基より選択され;Xは、塩化物及び臭化物より選択されるハロゲン化物であり;R、R10及びR11は、各々独立して、−CH基及び−CHCH基より選択され;そして、式(I)中の前記アニオンは、塩化物アニオン及び臭化物アニオンより選択される);及び、
0.01〜0.05重量%の式(II)によるジ第四級物質(式中、各々のAは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;そして、R、R、R、R、R及びRは、各々、−(CHCH基である)を含み;そして、
提供される前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、2〜4のpHを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基板が、酸化ケイ素を含み、そしてここで、前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、200〜3,000Å/分の酸化ケイ素除去速度を示すように調整される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、Siを含み、そしてここで、前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、300〜2,000Å/分のSi除去速度を示すように調整される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が、酸化ケイ素及びSiの両方を含み、そしてここで、前記ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、1:2〜10:1の、酸化ケイ素のSiに対する除去速度の選択比を示すように調整される、請求項7に記載の方法。

【公開番号】特開2012−94838(P2012−94838A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−205547(P2011−205547)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】