説明

調理容器の動作状態を表示する機器

動作状態を検知する調整要素(3)、及び音響信号送信器及び/又は光信号送信器及び/又は表示装置を備える信号発信機器を有する、調理容器の温度、圧力及び空気湿度からなる群から選択される少なくとも一つの調理容器の動作状態を決定し、表示又はモニターする機器。動作状態の実際値が表示機器の補助によって表示でき、動作状態の設定値に到達したときに適切な信号を出力できる。調整要素(3)はコード化構造体(34)を有する旋回可能な測定ディスク(31)を備え、測定ディスク(31)の旋回経路を感知するセンサー装置(4,4’)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文の要件に従う調理容器の動作状態を表示する機器に関する。
【背景技術】
【0002】
調理容器の動作状態を表示する機器は、昔から知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、そのような機器を開示している。この機器は調理容器の温度及び圧力をモニターするために用いることができる。この場合、調理容器の蓋には適切な測定機器が設けられる。ユーザは表示装置上の動作状態を読み取ることができる。測定は光のバリアによって検知される指針(ポインター)によって行われる。この場合、光のバリアはモニターされるディスプレイの位置に設定でき、指針が適当な位置にあるときに指針を認識する。このように、単一の動作状態のみ、つまり、例えば、特定の温度を、モニター及び/又は表示することができる。さらに、この機器は特定の期間に渡る動作状態の変化を認識することはできず;従って、例えば、調理器の制御エラーを認識できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP0364684
【発明の概要】
【0005】
この先行技術から出発して、本発明の目的は、主な(prevailing)動作状態を連続的に表示できる動作状態表示機器を特定することである。さらに、本発明の動作状態表示機器は調理器の制御のエラー状態を認識する。
【0006】
この目的は特許請求の範囲の請求項1の要件を備える機器によって達成される。本発明の有利な実施形態は従属請求項において特定される。
【0007】
従って、調理容器の温度、圧力又は空気湿度から選択される、少なくとも一つの動作状態を決定し、表示又はモニターする機器は、動作状態を検知する調整要素、及び音響信号送信器及び/又は光学信号送信器及び/又は表示装置を有する信号発信機器を備える。動作状態の実際値が表示装置の補助によって表示でき、動作状態の設定値に到達したときに適切な信号を出力できる。調整要素は、コード化構造体を有する旋回可能な測定ディスクを備え、測定ディスクの旋回通路を感知するためのセンサー装置が設けられている。
【0008】
多くの異なる動作状態がコード化構造体に基づいてモニターされ表示されるので、本発明の機器は特に有利である。これは、特定の又は所望の間隔で測定された動作状態を、機器によって決定し、表示又はモニターできることを意味する。
【0009】
好ましい実施形態では、この機器は調理容器の蓋と組み合わせることができ、調整要素は蓋の開口部を通って蓋の空間に突き出ている。
【0010】
さらに有利な実施形態は、従属請求項において特徴付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発明の第1の例示的実施形態による動作状態表示機器を備える調理容器の蓋の図である。
【図2】図1の蓋の断面図である。
【図3】発明の第2の例示的実施形態による動作状態表示機器を備える調理容器の蓋の図である。
【図4】図3の蓋の断面図である。
【図5】本発明による動作状態表示機器の第1の位置における設定ディスク及び測定ディスクの概略図である。
【図6】図5の第2の位置における設定ディスク及び測定ディスクの概略図である。
【図7】発明の動作状態表示機器の表示ディスクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面の補助により本発明をより詳細に説明する。
図1は例えば、第1の例示的実施形態による蓋の取っ手2及び入力装置6を有する、鍋又は加圧調理器等の調理容器の蓋の図である。動作状態表示機器とも呼ばれる、発明の調理容器内の動作状態を表示する機器は、蓋の取っ手2に一体化されている。
【0013】
図2は第1の例示的実施形態の断面の説明図である。第1の例示的実施形態による発明の動作状態表示機器は、少なくとも一つの測定装置3、センサー装置4、ディスプレイ5及び入力装置6を実質的に備える。
【0014】
測定装置3は測定ディスク31及び設定ディスク32を備え、両者は円形状であることが好ましく、互いに同心円状に配置されている。ここで、設定ディスク32は固定されており、測定装置31は回転できるように配置されている。従って、測定ディスク31は設定ディスク32に対して動かすことができる。
【0015】
この例示的実施形態では、設定ディスク32は蓋の取っ手2に恒久的に接続され、測定ディスク31は旋回軸33上に配置される。測定ディスク31はこの場合、設定ディスク32の下に配置される。同じ水平面(高さ)で又は設定ディスク32の上で同心の配置も同様に可能である。
【0016】
軸33は測定された動作状態による様々な調整要素による旋回角度によって旋回又は回転できる。この場合、調整要素は開口部38を通って蓋空間37に突き出ている。この場合の動作状態は軸33の旋回角度の入力変量として働く。軸33は通常は0°〜180°の角度の旋回範囲で旋回される。他の旋回範囲、例えば、より狭い範囲であってもよい。従って、旋回角度は測定された動作状態を示している。
【0017】
温度測定に対しては、蓋空間37中の調整要素36としてバイメタルからなる螺旋バネ又はコイルバネを備えることが好ましい。このような螺旋バネ又はコイルバネは、測定された動作状態に従って適切な旋回角度とするのに特に好適である。このような調整要素は、従来の温度計から公知なので、ここでさらに説明する必要はない。調整要素が平面の調整要素36として、蓋2中の対応する開口部38に収容されることにより、蓋空間37中での測定値が直接的にかつより良く保存される。
【0018】
蓋2の開口部38は、円形であることが好ましく、5〜50mmの直径を有している。10〜30mmの直径が特に好ましく、この場合、下方の端部(lower boundary)も10〜20mmであり得る。
【0019】
温度測定のための調整要素36の代わりに、この参照番号は圧力又は湿度を記録するための円柱形の調整要素を表すこともある。例えば、圧力はチューブバネ又は隔壁によって測定することができる。湿度は機械式湿度計によって検知することが好ましい。
【0020】
図5及び6によれば、測定ディスク31の表面及び設定ディスク32の表面の両者は、異なる円形のリング上に配置されていることが好ましいコード化構造体34,134を有する。センサー装置4によって覆われる旋回角度はコード化構造体34,134によって検知できる。コード化構造体34,134はここで、その表面の測定ディスク31及び設定ディスク32と同心円状に配置されている。即ち、コード化構造体34,134は、円形トラック上に規定されている。測定ディスク31上には、コード化構造体34が全旋回範囲に渡って設けられており、測定センサー4’とも呼ぶセンサー装置4’の補助によりコード化構造体34を検知することができる。コード化構造体134は同様に設定ディスク32上に、その旋回範囲と同じ範囲に渡って設けられていることが好ましい。コード化構造体134は設定センサー4”とも呼ばれる、センサー装置4”の補助によってモニターされる。
【0021】
二つのディスク31,32が上下に重ねて配置され、ディスク31,32の両方に対して同じ測定方法を用いる場合、設定ディスク32のコード化構造体134の円形トラックは測定ディスク31のコード化構造体34の円形トラックとは異なる半径を有する。コード化構造体34,134は、後で説明するように、互いに影響しない個別の測定方法が適用される場合に、上下に重ねることができる。
【0022】
以下では、表示ディスク5は設定ディスク32の上に配置される。表示ディスク5は、設定される温度又は所望の設定値を表示する目盛り51を備える。この場合、目盛り51はユーザが読み取り易いような方法でプリントされているか、又は浮き出させてある。図7は例として、記載された目盛り51を示す。その他の図面では、見える場合には、目盛りは模式的にのみ描かれている。表示ディスク5にはこの場合、温度設定値データ(例えば、50℃,60℃,70℃,80℃,90℃,100℃)が設けられている。表示ディスク5はまた、動作状態機器に直接組み込まれていてもよい。つまり、別個の表示ディスク5は存在しない。この配置は表示装置と呼ぶこともできる。重要なことは、測定ディスク31の要素が表示ディスク5を通して、又は、ユーザが入力装置6で動作状態を読み取ることを意図していない場合には、ディスク5を越えて(past)ユーザに見えることである。そして、表示ディスク5はこの目的のために多数の開口部52〜55を有している。測定ディスク31はこれらの開口部52〜55を通して見ることができる。測定ディスク31にプリントされた表示ライン56は現在の動作状態を開口部52〜55を通してユーザに表示する。
【0023】
センサー装置4、ここでは測定センサー4’及び設定センサー4”は、コード化構造体34,134をスキャンして、センサー装置4と設定ディスク32又は測定ディスク31との間の対応する動きを決定し、対応する信号を出力することができる。この信号は電気信号が好ましく;コード化構造体34,134の構成に応じて、アナログ又はデジタル信号となる。信号は測定ディスク31によって覆われる通路又は設定ディスク32を介して覆われる通路を表示する。測定ディスク31によって覆われる通路が、今度は動作状態を示すので、この信号は動作状態を表す。設定ディスク32を介して設定装置6によって覆われる通路は所望の設定値設定を表示し、それにより信号はここでは設定値を表示する。
【0024】
センサー装置4は少なくとも光源41及び光センサー42を備える。この場合、光源41は測定ディスク31上のコード化構造体34又は設定ディスク32上のコード化構造体134に光信号を送り、光センサー42がコード化構造体34,134によって反射された光を検知する。
【0025】
前後に配置された二つのセンサー装置4には通常、デジタル形式のコード化構造体34,134が設けられている。ここで、同じ半径距離で重ねられた二つのセンサー装置4はコード化構造体の、あるデジタル点から次のデジタル点までの距離より大きいか又は小さい角距離を互いに有している。これにより、測定ディスク31及び/又は設定ディスク32の旋回方向が認識される。
【0026】
本例示的実施形態では、センサー装置4は入力装置6に一体化されている。入力装置6は、ラッチ要素63によって蓋の取っ手の縁(bead)に留め付けられており(clipped)、蓋の取っ手2に対して回転させることができる。これにより、入力装置6は蓋の取っ手2に結合する形で接続することができる。これにより、設定ディスク31、測定ディスク32及び調整要素36が設けられた多数の蓋1を柔軟性をもって使用できるようになる。従って、センサー装置4は後述する設定動作の際、設定ディスク32及び測定ディスク31の両方に対して動かすことができるように配置される。これに対し、測定動作の際には測定ディスク31のみが、設定ディスク32及びセンサー装置4に対して特定的に(specifically)動く。その構成により、センサー装置4は、動作状態を示す、測定ディスク31によって覆われた通路を検知し、適切な信号を出力することができる。
【0027】
従って、センサー装置4は二つの動きを検知しなければならない。これらは設定ディスク32に対する入力装置6の第1の動きと、入力装置6に対する測定ディスク31の第2の動きである。従って、センサー装置4は、設定センサーとも呼ばれる第1の動きを検知する第1のセンサーと、測定センサーとも呼ばれる第2の動きを検知するための第2のセンサーを備える。
【0028】
従って、入力装置6は設定ディスク32及び測定ディスク31に渡って旋回又は回転できるように配置される。説明した例示的な実施形態では、入力装置6の旋回運動は初期の動作状態を決定し、所望の動作状態の設定値、即ち、例えば、特定の調理温度を設定する役目を果たす。この目的は、表示ディスク5にプリントされた所望の設定値の範囲までは、目盛り51に沿って旋回する表示器60によって果たされる。入力装置6と設定ディスク32及び測定ディスク31の相互の関係は図5及び6によってより詳細に説明される。
【0029】
さらに、入力装置は二つの選択(optional)キー61と任意の表示パネル62を備える。表示パネル62は動作状態を表示するか、又は特定の食材に対する調理温度等の予め決められたパラメーターを表示することができる。さらに、入力装置6は信号送信機、保存手段及び制御手段を備える。制御手段はこの場合、保存手段及び/又はセンサー装置に接続されている。例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)は制御手段として使用できる。信号送信機は、ユーザが認識できる、例えば、音響信号又は光信号等の動作状態信号を出力することができる。音響信号が出力される場合、信号送信機はブザーである。光信号はディスプレイ、又は別個の発光ダイオード又は別の表示手段のいずれかを介して出力できる。保存手段は予め決められたパラメーターを保存し、入力装置6に対する必要な制御コードを保存する。
【0030】
動作状態表示機器は図1〜4に示されるように蓋の取っ手2に一体化することができる。この場合、入力装置6は取っ手の中心軸の周りを旋回できる。図1及び2による入力装置6は取っ手の中心軸に垂直に配置されている。図3及び4に示されている入力装置6は取っ手の中心軸に対して斜めに配置されている。入力装置6が表示パネル及び入力キーを有しない場合、ずっと小さな構成も可能である。例えば、入力装置を動作状態表示機器の周りを回転できるリング形状にすることが考えられる。
【0031】
このような自立的な(autonomous)動作状態表示機器は多くの異なる調理容器と共に使用することができる。機械手段63が設定されていない場合、この機器はこの目的のために、例えば、機器6がその補助により調理容器に接続できる磁石を備えることができる。調理容器が非磁性材料から作られている場合、動作状態表示機器を蓋の窪み(trough)の中の調理容器の上に置くこともできる。
【0032】
(示されていない)別の実施形態では、動作状態表示機器は蓋2に一体化することができる。
【0033】
図5及び6は測定ディスク31上のコード化構造体34及び設定ディスク32上のコード化構造体134のそれぞれの配置を図式的に示す。コード化構造体34,134は最も多様に構成することができる。ただ一つの基準は測定ディスク31及び/又は設定ディスク32の旋回がセンサー装置2によって求められる変量を与えることである。この場合、コード化構造体34,134は旋回範囲全体に及んでいなければならい。旋回範囲は動作状態を検知及び/又は測定する調整要素の最大測定通路に対応していることが好ましい。
【0034】
図5及び6では、コード化構造体34,134は円形リング上に均一な間隔で配置された点35で示されている。センサー装置4,4’、4”の光源からの光線がある点に当たると、コード化構造体34,134によって反射された光線の強度に変化が生じる。このような変化はセンサーによって検知される。変化の数は通過した点を計数するための制御に用いることができる。この場合、点は、ある点から次の点までの距離が決められた動作状態の変化、例えば、決められた温度変化に対応するように、均一な間隔で配置される。必要に応じて、より高い分解能を有するように、間隔をより細かく分割することができる。コード化構造体34,134のさらなる可能性は、例えば、放射状に延びる異なる細長い切れ目からなる配置である。さらに別の可能性は、例えば、設定ディスク32又は測定ディスク31に開口部を設けることである。同様に前記センサーによってそのような開口部を検知することができる。点又は線又は開口部を使用する場合、デジタル測定に言及することもできる。
【0035】
言い換えれば、コード化構造体34,134が個々の増分に分割され、これらの増分、又は増分の間の間隔が動作状態の決められた変化に対応しているとも言える。
【0036】
さらに、コード化構造体が全旋回範囲に及ぶ着色された弓形であることもでき、各位置で光線の異なる反射を作り出すように、弓形の着色強度を弓形全体に渡って変化させる。この場合にはアナログ測定についても言及される。
【0037】
アナログ又はデジタル構造を有する別のパターンも考えられる。説明のために、点35を異なる色で表示している。図7では、内側の円の点34及び外側の円の点134は、異なる反射率を有しているが、ディスクの色に近い色であるため事実上認識できない。
【0038】
センサーの補助によって通路を測定する別の可能性も同様にある。例えば、センサーと測定ディスクの間の距離が旋回によって変わるように角度をつけて(angular fashion)測定ディスクを配置することもできる。容量性又は誘導性の近接センサーの使用がここでは好ましい。
【0039】
第1段階では、ユーザは到達すべき動作状態、例えば、図5では、50℃の設定値をセットする。ここで、入力装置6は蓋の取っ手2の上に留め付けられている。次いで、入力装置6を、センサー装置4(ここでは測定センサー4’及び設定センサー4”)がコード化構造体が存在しない領域に来るように旋回する。この領域は図5では参照番号39で示されている。図式的に示されている入力装置6では、この初期位置は位置S1としている(adopt)。表示器60が同様に図式的に描かれている。第2段階で、すでに上述したように、設定値の所望の位置の範囲までは、測定ディスク31に対してではなく、設定ディスク32に対して入力装置6を旋回する。ユーザは表示器60及び目盛り51によって所望の設定値を読み取ることができる。示した例示的実施形態では、設定値は50℃である。このように、ユーザは入力装置6を初期位置S1から位置S2まで旋回させる。これを矢印100で示す。この旋回によって所望の設定値がセットされ、現在優勢な(prevailing)実際値を保存する。二つのセンサー4’,4”がコード化構造体34に到達すると、センサー4’、4”は信号を出力し、覆われた通路が検知できる。設定ディスク32のゼロ点は設定目盛りの最初又は最後の第1番目の測定点35によって規定される。温度の実際値が、例えば、40℃に上昇したら、コード化構造体34を備える測定ディスク31はコード化構造体134を備える設定ディスク32に対して旋回する。この旋回量は二つのセンサー4’及び4”並びに入力装置6の動きによってそれぞれ規定できる。測定を始める前に、このシステムは温度上昇の勾配を見積もり、速すぎる又は遅すぎる上昇の場合に起こり得るエラーを決定できる。設定センサー4”が最初にコード化構造体134を検知し、最初の信号を出力すると測定が始まる。設定ディスク32に対する測定ディスク31の旋回のために、測定センサー4’が未だコード化構造体34を覆う位置にないので、測定センサー4’は未だ信号を出力できない。入力装置6を通る旋回通路は設定センサー4”によって検知される。測定センサー4’がコード化構造体34に到達すると、測定センサー4’は同様に最初の信号を出力できる。設定センサー4’の最初の信号出力と測定センサー4’の最初の信号出力の間で覆われた旋回通路は動作状態の実際値を示す。
【0040】
ユーザによって旋回された入力装置6が所望の位置、即ち、所望の設定値に到達すると、入力装置はそれ以上旋回しない。この位置は図5では、設定値位置とも呼ばれる、位置S2で示されている。位置S2では、入力装置6の一部である表示器60によってこのように表示される、設定値が50℃の目盛りで特定される。すでに述べたように、コード化構造体134に渡って入力装置6によって覆われる旋回通路は所望の設定値を示す。覆われた旋回通路は覆われたコード化構造体134の増分の数を検知するセンサー4”によって検知される。示された実施例では、入力装置6は3つの測定点35を通過する。それから得られる設定値はこの場合には制御機器(control)によって保存される。
【0041】
しかしながら、別の実施形態では、設定値を入力装置6の二つのキー61によって入力することもできる。このような入力の場合、設定ディスク32の上にある入力装置を旋回するまでもない。
【0042】
動作状態の変化は結果として調整要素を介する測定ディスク31の旋回となる。これは例えば、調理器具の上に置かれた調理容器がコンロによって加熱されていることを意味する。これはバイメタルから作られている調整要素36の変形を始めさせる。この変形によって、測定ディスク31の旋回が起きる。この旋回は測定センサー4”によって検知できる。表示手段の構成によって、現在の動作状態が表示ディスクの開口部52〜55によって、及び測定ディスク上に配置された表示線55によって表示されるか、又は動作状態は表示パネルに表示される。別の実施形態では、表示ディスクと表示パネルによる表示を組み合わせることもできる。予め設定した動作状態に到達すると、動作状態表示機器は音響信号又は光信号を出力することが有利である。
【0043】
例えば、温度が当該動作状態であれば、動作状態に到達した後、所望の動作状態を維持するようにユーザは調理器具の出力を調整することができる。
【0044】
さらに、動作状態の設定値が動作状態に到達したときに、最初の信号を出力するように制御装置をプログラムすることができる。例えば、動作状態の値が温度上昇であり、上昇し続けるなら、制御機器に規定された限界値を超える場合にさらに信号を出力させることができる。この限界値はここでは、設定値プラス及び/又はマイナス特定量と規定される。例えば、80℃±10℃。ここで、信号は従って、70℃に到達した時及び/又は90℃で出力される。限界値はより低い限界値、ここでは70℃、又はより高い限界値、ここでは90℃とすることもできる。しかしながら、この量は設定値を過ぎたときに、比較的大きな量又は比較的小さな量を許容し、値が設定値より下がったときに、比較的小さい量又は比較的大きい量を許容するようにすることもできる。例えば、80℃+15℃/−10℃又は80℃+10℃/−15℃。この場合、温度が上昇する場合(例えば、65℃から75℃)及び温度が低下する場合(例えば、75℃から65℃)の両方で適切な信号を出力することができる。温度上昇及び温度低下に対する信号は異なっていることが好ましく、それによってユーザが認識できる。
【0045】
さらに、特定の食品に対し特定の温度(例えば、80℃)を予め規定し、上記説明に従って対応する限界値を規定するプログラムを提供することもできる。
【0046】
別の例示的実施形態では、制御機器は調理器の制御機器と交信することができるインターフェースを備え、調理器具の制御機器も同様に一つのそのようなインターフェースを備える。ここで、調理器具の制御は現在の動作状態の関数として作用させることができる。この場合、制御手段はそれによって制御信号を生成できる送信器を備える。この制御信号は調理容器に作用する加熱機器の受信機、例えば、調理器具制御機器に無線で送信される。無線送信方法としては公知のケーブル無しの方法、例えば、赤外線、ブルートゥース又は他の無線リンクが挙げられる。
【0047】
別の例示的実施形態では、制御機器はさらに、これらのエラーが調理器具の制御機器で認識できるように構成される。エラーとは特定の期間に渡る動作状態の信じ難い変更と定義される。これは例えば、予め決められた時間で最初の動作状態に到達しないことはあり得ない。動作状態が温度なら、予め決められた時間は例えば、食品、調理用レンジの種類並びに容器の種類及び/又はサイズの関数である。このようなエラーは例えば、加熱機器の故障かも知れない。さらに、正しい設定が与えられているならば、検知されるべき状態はコンロの誤った出力又は調理器具の誤った設定かも知れない。水を殆ど使わない調理が行われる場合、水が無いことによって温度上昇が遅くなる。
【符号の説明】
【0048】
1 蓋
2 蓋の取っ手
3 測定装置
4 センサー装置
5 ディスプレイ、表示装置
6 入力装置
31 測定ディスク
32 設定ディスク
33 軸
34,134 コード化構造体;コード化表面
35 測定点、デジタルコード化構造体
36 調整要素
37 蓋空間
38 穴
39 コード化表面を有しない領域
41 光源
42 光センサー
4’ 測定センサー
4” 設定センサー
51 目盛り
52〜55 開口部
56 表示ライン
60 表示器
61 キー
62 表示パネル
63 ラッチ要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作状態を検知する調整要素(3)、
制御手段、及び
音響信号送信器及び/又は光信号送信器及び/又はそれによって動作状態の実際値を表示可能であり、前記制御手段の補助によって、動作状態の設定値に到達したときに適切な信号を出力することができる表示装置を備える信号発信機器を有し、
調理容器の温度(T)、圧力(P)、及び空気湿度(H)からなる群から選択される少なくとも一つの調理容器の動作状態を決定し、表示又はモニターする機器であって、
前記調整要素(3)がコード化構造体(34)を有する旋回可能な測定ディスク(31)を備え、かつ、センサー装置(4,4’)が前記測定ディスク(31)の旋回通路を感知するために設けられていることを特徴とする機器。
【請求項2】
前記機器が、調理容器の蓋(2)と組み合わせることができ、前記調整要素(3)が前記蓋の開口部(38)を通って前記蓋の空間(37)に突き出していることを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記開口部(38)が、円形構造からなり、5mm〜50mmの範囲の直径を有することを特徴とする、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記機器が、コード化構造体(134)を有する設定ディスク(32)、及び動作状態の設定値の設定を感知するセンサー装置(4,4”)を有し、前記センサー装置(4,4”)及び設定ディスク(32)を、互いに対して動かすことができ、かつ前記測定ディスク(31)及び設定ディスク(32)を互いに対して動かすことができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機器。
【請求項5】
前記コード化構造体(34,134)が、アナログ構造又はデジタル構造を有し、前記センサー装置(4,4’、4”)によってこれらの構造を感知可能としたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の機器。
【請求項6】
前記機器がさらに、入力装置(6)を備え、前記入力装置(6)が前記センサー装置(4,4’、4”)に恒久的に接続されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記入力装置が、前記蓋の取っ手(2)に連結できるように、前記入力装置が測定ディスク(31)及び設定ディスク(32)を介して接続できることを特徴とする、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記入力装置が、前記測定ディスク(31)及び設定ディスク(32)を介して前記蓋の取っ手(2)に恒久的に接続できることを特徴とする、請求項6に記載の機器。
【請求項9】
前記入力装置(6)が、少なくとも入力キー(61)及び表示パネル(62)を備えることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の機器。
【請求項10】
前記制御手段が、その補助によって、前記調理容器に作用する加熱機器の受信器に無線で送信できる制御信号を生成できる送信器を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
【請求項11】
制御手段が、到達すべき動作状態の設定値をモニターする第1段階で用いられ、信号発信機器が、設定値に到達したときに適切な信号を出力する、温度、圧力及び空気湿度からなる群から選択される少なくとも一つの動作状態をモニターする方法であって、
前記第1段階に続く第2段階で、上限値及び/又は下限値が前記制御手段によってモニターされ、かつ前記上限値を超過したとき及び/又は前記下限値を下回ったときに前記信号発信機器がさらに信号を出力することを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−530261(P2010−530261A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512480(P2010−512480)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000272
【国際公開番号】WO2008/154763
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(508127834)エイエムシー インターナショナル アルファ メタルクラフト コーポレーション アーゲー (2)
【Fターム(参考)】