説明

警報装置付き保冷庫

【課題】施錠装置を備えた保冷庫において、保管物の盗難の抑止効果を高めるようにする。
【解決手段】保冷庫のドア2に施錠装置5を設け、この施錠装置5の施解錠と作動スイッチ6(キースイッチ)とを連動させる。この施錠装置5を施錠状態とすると、前記作動スイッチ6が入状態となり、この状態でドア2を開放すると、ドアスイッチ10が入状態となる。すると、主電源11、作動スイッチ6、ドアスイッチ10及び警報装置7(警報ブザー)から構成される回路が閉回路となって、この警報装置7が主電源11から電気の供給を受けて作動する。その一方で、施錠装置5を解錠すると、作動スイッチ6が切状態となり、前記回路が開回路となって、ドア2の開閉状態に関わらず警報装置7は作動しない。この主電源11には補助電源12が設けられており、主電源11が停電した際には補助電源12から電気の供給がなされるため、防犯における信頼性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアを施錠した状態においてこのドアを開けようとした際に、警報装置が作動するようにした警報装置付き保冷庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図3に示す玄米等の穀物類用の保冷庫は、前面が開口した保冷庫本体1に、この開口部を自在に開閉するドア2が設けられており、冷却システム13によってその保冷庫本体1の庫内を所定温度に冷却して、この庫内に収納した玄米等の保管物Cを新鮮な状態で保管するために用いられる。この保冷庫は倉庫等に置かれていることが多く、夜間に倉庫等が無人となった際に、庫内の保管物Cが盗難の被害に遭いやすい。このため、夜間はこの保冷庫のドア2に南京錠やシリンダ錠等の施錠装置5を設け、このドア2を施錠して保管物Cの盗難を防いでいる。
【0003】
特に、医薬品等のように厳重な管理が要求される施設では、正しいパスワードを入力したときのみ鍵によって施解錠できるようにして、その施錠信頼性をより高めた保管庫が用いられることがある(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−120989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3や上記特許文献1に示す保冷庫は、たとえ施錠装置5を施錠した状態であっても、ドア2をバール等で無理矢理こじ開けると、容易に保管物Cの持ち出しができるという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、施錠装置を備えた保冷庫において、保管物の盗難の抑止効果を高めるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明は、ドアを施錠する施錠装置と、この施錠装置の施解錠と連動して作動する作動スイッチと、ドアの開閉状態を検知するドアスイッチと、警報装置と、主電源とを備え、前記施錠装置を施錠することにより前記作動スイッチを入状態とし、この入状態において前記ドアを開放すると前記ドアスイッチが入状態となって、前記作動スイッチ、ドアスイッチ及び警報装置と、前記主電源とからなる回路が閉回路を構成し、前記警報装置が前記主電源から電気の供給を受けて作動する一方で、前記施錠装置を解錠することにより前記作動スイッチが切状態となり、前記回路が開回路となって、前記ドアの開閉に関わらず前記警報装置が作動しないようにした警報装置付き保冷庫を構成した。
【0008】
このように、単にドアを施錠装置で施錠するだけでなく、その施錠状態においてドアがバール等で無理矢理開けられた際に警報装置を作動させることによって、施錠のみの場合と比較して、その防犯効果が一層高まることが期待できる。しかも、施錠装置と作動スイッチを連動させたことにより、施錠操作と同時に警報装置を待機状態(ドア開放時に警報を発することができる状態)とすることができるため、使用者が施錠操作のみ行って警報装置を待機状態とするのをし忘れるミスを防止することができる。その一方で、解錠状態では警報装置は作動しないため、普通の保冷庫(警報装置のない保冷庫)と同様に取り扱うことができる。
【0009】
この警報装置として、警報ブザーや警報灯(赤色回転灯等)を用いると、犯人への威嚇作用によって窃盗行為を断念させる効果が高い点で好ましい。これとともに、異常発生を通信回線を通じて警備会社等に自動的に通報するようにすれば、この異常事態に迅速に対応できる点でより好ましい。
【0010】
また、前記構成においては、前記主電源によって充電される補助電源を備え、前記主電源の通電状態では、この主電源から前記回路に電気を供給しつつ前記補助電源を充電する一方で、前記主電源が停電した際に、この主電源に代わって前記補助電源から前記回路に電気を供給するようにするのがより好ましい。
【0011】
このように、補助電源を備えることにより、警報装置が待機状態の際に停電が生じ、主電源からの電気の供給がなされなくなった場合でも、前記補助電源からの電気の供給を受けて、この補助電源の電気が底を尽くまでの間、前記警報装置をこの待機状態とし続けることができるため、警報装置としての信頼性が高い。また、犯人が警報装置の作動を防ぐ目的で保冷庫のプラグをソケットから引き抜くことも想定し得るが、この補助電源によって前記待機状態が継続するため、犯行を断念させる効果も期待できる。
【0012】
さらに、前記各構成においては、前記作動スイッチの入状態において点灯する作動ランプを備えるのがより好ましい。
【0013】
例えば、ドア表面の目に付きやすいところに作動ランプを設けて、これを点灯させることにより、前記警報装置の待機状態を明確に知ることができ、使用者が警報装置をこの待機状態にし忘れるミスを防止することができるとともに、犯人がこの作動ランプの点灯を目にすることで、犯罪の抑止効果も高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、保冷庫に、施錠装置の施解錠状態と連動して作動する作動スイッチを設け、この作動スイッチの入状態においてドアを開状態とすると、前記警報装置が作動するようにした。このように、警報装置を設けることで、単に施錠装置で施錠した場合と比較して防犯性能が高まる。また、施錠装置と作動スイッチを連動するようにしたことで、使用者が警報装置を待機状態とし忘れるミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明に係る警報装置付き保冷庫の制御系を示す回路図
【図2】本願発明に係る警報装置付き保冷庫の制御部を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は正面図、(e)は背面図
【図3】施錠装置を備えた一般的な玄米用の保冷庫を示し、(a)は正面図、(b)は側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る警報装置付き保冷庫は、図3に示したように玄米等の保管物Cを収納する保冷庫本体1に、その開口部を開閉自在にドア2を設けたものであり、後述する警報機構以外は従来技術に係る保冷庫と同様の機能を有するため、この保冷庫自体についての詳細な説明は省略する。
【0017】
この警報装置付き保冷庫の制御系の回路図を図1に示す。この制御系は、保冷庫のドア2側に設けられた操作部3と、保冷庫本体1側に設けられた制御部4とから構成される。
【0018】
操作部3には、施錠装置5(シリンダ錠)(図3を参照)の施解錠と連動する作動スイッチ6(キースイッチ)と、ドア2表面の目に付きやすいところに、この施錠装置5の施錠時(警報装置7の待機状態)に点灯する作動ランプ8とが設けられている。その一方で、制御部4には、制御回路を形成した基板9と、ドア2の開閉を検知するドアスイッチ10と、警報装置7(警報ブザー)と、主電源11(交流100V)と、補助電源12(ニッケル水素電池、直流3.6V)とが設けられている。主電源11は、基板9の端子H1、H2に、作動スイッチ6と表示ランプ8は、端子H3、H4、H5に、ドアスイッチ10及び警報装置7は、直列に端子H6、H7に、補助電源12は、端子H8、H9にそれぞれ接続されている。
【0019】
主電源11、作動スイッチ6、ドアスイッチ10及び警報装置7は一つの回路を構成している。そして、施錠装置5を施錠することにより作動スイッチ6を入状態とし、この入状態においてドア2を開状態とすると、前記回路が閉回路となって、警報装置7が主電源11から電気の供給を受けて作動する。その一方で、施錠装置5を解錠すると作動スイッチ6が切状態となり、前記回路が開回路となって、ドア2の開閉状態に関わらず警報装置7が作動しないようにすることができる。なお、この主電源11は、保冷庫の冷却システム13(図3を参照)を駆動させる電源を兼ねている。
【0020】
基板9上には、主電源11のノイズを除去するバリスタ14と、交流電圧を下げるトランス15と、交流を直流に変換するブリッジダイオード16と、直流電圧を安定化させるシリーズレギュレータ17と、補助電源12の電圧に対して出力を切り替えるコンパレータ18、抵抗19、コンデンサ20、トランジスタ21、ヒューズ22、リレー23、24、ダイオード25とから制御回路が構成されている。
【0021】
主電源11の通電状態においては、この主電源11により前記回路に電気が供給されるとともに、補助電源12が満充電状態となるまで充電される。この一方で、主電源11が何らかの事情で停電した場合には、この主電源11の電圧低下をリレー23、24で検知して、充電された補助電源12から前記回路に電気が供給されるように給電経路が切り替わる。そして、この補助電源12から電気が供給される間、作動スイッチ6の入状態において警報装置7の待機状態が維持される。この主電源11への通電が再開されると、前記給電経路が再び切り替わって、主電源11から前記回路に電気が供給されるとともに、補助電源12の充電がなされる。
【0022】
この制御部は、図2に示すように一つのケース26にコンパクトに収納できるようになっていて、このケース26内には、警報装置7、基板9、ドアスイッチ10、補助電源12を収納する電池ボックス27、操作部3からの配線、及び主電源11をつなぐコネクタ28が備えられている。この警報装置7等は、図1に示した回路図に従って配線されている。また、このケース26の壁部にはフック部29が形成され、このフック部29をねじ止めすることで、保冷庫本体1の壁面に容易に固定することができるようになっている。
【0023】
なお、このドアスイッチ10は警報装置7と直列に接続され、作動スイッチ6の入状態(警報装置7の待機状態)においてのみドア2の開閉検知を行うものであるが、庫内冷却ファン(図示せず)と連動させて、一般的な保冷庫と同様に、ドア2を開けたときにこの庫内冷却ファンを作動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 保冷庫本体
2 ドア
3 操作部
4 制御部
5 施錠装置(シリンダ錠)
6 作動スイッチ(キースイッチ)
7 警報装置(警報ブザー)
8 表示ランプ
9 基板
10 ドアスイッチ
11 主電源
12 補助電源
13 冷却システム
14 バリスタ
15 トランス
16 ブリッジダイオード
17 シリーズレギュレータ
18 コンパレータ
19 抵抗
20 コンデンサ
21 トランジスタ
22 ヒューズ
23、24 リレー
25 ダイオード
26 ケース
27 電池ボックス
28 コネクタ
29 フック部
H1〜H9 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア(2)を施錠する施錠装置(5)と、この施錠装置(5)の施解錠と連動して作動する作動スイッチ(6)と、ドア(2)の開閉状態を検知するドアスイッチ(10)と、警報装置(7)と、主電源(11)とを備え、
前記施錠装置(5)を施錠することにより前記作動スイッチ(6)を入状態とし、この入状態において前記ドア(2)を開放すると前記ドアスイッチ(10)が入状態となって、前記作動スイッチ(6)、ドアスイッチ(10)及び警報装置(7)と、前記主電源(11)とからなる回路が閉回路を構成し、前記警報装置(7)が前記主電源(11)から電気の供給を受けて作動する一方で、前記施錠装置(5)を解錠することにより前記作動スイッチ(6)が切状態となり、前記回路が開回路となって、前記ドア(2)の開閉に関わらず前記警報装置(7)が作動しないようにした警報装置付き保冷庫。
【請求項2】
前記主電源(11)によって充電される補助電源(12)を備え、前記主電源(11)の通電状態では、この主電源(11)から前記回路に電気を供給しつつ前記補助電源(12)を充電する一方で、前記主電源(11)が停電した際に、この主電源(11)に代わって前記補助電源(12)から前記回路に電気を供給するようにした請求項1に記載の警報装置付き保冷庫。
【請求項3】
前記作動スイッチ(6)の入状態において点灯する作動ランプ(8)を備えた請求項1又は2に記載の警報装置付き保冷庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−246905(P2011−246905A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119096(P2010−119096)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000208503)大和冷機工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】