説明

貯蔵安定な低腐食性のすぐに使用できるペルオキシカルボン酸抗菌組成物

本発明は、貯蔵安定であり及び/又は低腐食性のペルオキシカルボン酸抗菌組成物(すぐに使用できる組成物を包含する)に関する。貯蔵安定な組成物は、規定比のペルオキシカルボン酸と過酸化水素及び/又は規定比のプロトン化カルボン酸と過酸化水素を含むことができるが、強酸を含む必要はない。低腐食性組成物は、酸性pHでカルボン酸及び腐食防止剤を含むことができる。本発明の組成物は胞子に対して有利な活性を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定な及び/又は低腐食性のペルオキシカルボン酸抗菌組成物(すぐに使用できる組成物を包含する)に関する。貯蔵安定な組成物は、規定比の過酸化水素とペルオキシカルボン酸及び/又は規定比の過酸化水素とプロトン化カルボン酸を含むことができるが、強酸を含む必要はない。低腐食性組成物は、酸性pHでカルボン酸及び腐食防止剤を含むことができる。本発明の組成物は胞子に対して有利な活性を有することができる。
【背景技術】
【0002】
従来のペルオキシカルボン酸組成物は、典型的には、短鎖ペルオキシカルボン酸、あるいは短鎖ペルオキシカルボン酸と中鎖ペルオキシカルボン酸の混合物を含む(米国特許第5,200,189号、第5,314,687号、第5,409,713号、第5,437,868号、第5,489,434号、第6,674,538号、第6,010,729号、第6,111,963号及び第6,514,556号明細書を参照)。過酸化水素又は無機酸のような成分を含む従来のペルオキシカルボン酸組成物は腐食性であり、使用希釈度では十分に長い貯蔵寿命を有することができない場合がある。さらに、幾つかの従来のペルオキシカルボン酸組成物は、殺胞子活性の向上による利益を享受するであろう。
【0003】
中性及び塩基性のpHで、軟質及び硬質金属表面の腐食は脂肪族カルボン酸塩とトリアゾール化合物の混合物により阻害できる。このような混合物は、例えばエンジン凍結防止組成物に用いられる(例えば米国特許第4,647,392号明細書を参照)。塩基性pHで、カルボン酸塩内の正電荷を持つイオンは標的金属の電気的陰性表面に引き付けられると考えられている。カルボン酸の脂肪性部分が金属表面から水分を遠ざけるために腐食に対する保護コーティングが提供されると考えられている。このようなメカニズムでは酸性pHでの腐食保護を説明できず、これらの組成物が低pHで有効であることは示されていない。
【0004】
進行中の研究は改善されたペルオキシカルボン酸組成物を目指して鋭意努力してきた。特に、これらの努力は、殺胞子剤としての活性が向上し、使用希釈度における貯蔵寿命が長くなり、及び/又は腐食性が低減された、組成物へ向けて行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,200,189号明細書
【特許文献2】米国特許第5,314,687号明細書
【特許文献3】米国特許第5,409,713号明細書
【特許文献4】米国特許第5,437,868号明細書
【特許文献5】米国特許第5,489,434号明細書
【特許文献6】米国特許第6,674,538号明細書
【特許文献7】米国特許第6,010,729号明細書
【特許文献8】米国特許第6,111,963号明細書
【特許文献9】米国特許第6,514,556号明細書
【特許文献10】米国特許第4,647,392号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、有利な殺胞子活性を有することができる、すぐに使用できる組成物を包含する、貯蔵安定な及び/又は低腐食性のペルオキシカルボン酸抗菌組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施態様において、貯蔵安定な組成物は、規定比の過酸化水素とペルオキシカルボン酸及び/又は規定比の過酸化水素とプロトン化カルボン酸を含むが、強酸を実質的に含まない。一実施態様において、貯蔵安定な組成物はペルオキシカルボン酸、過酸化水素及びカルボン酸を含むが、有意な触媒的又は安定化濃度の強酸を含まない。当該組成物は過酸化水素及びペルオキシカルボン酸を約30:1〜約60:1の比で含むことができる。当該組成物は過酸化水素及びプロトン化カルボン酸を約1:1〜約2:1の比で含むことができる。当該組成物は、室温での保存1年後に初期濃度の85%を超えるペルオキシカルボン酸が残存するという十分に安定なものであることができる。
【0008】
一実施態様において、低腐食性組成物は、酸性pHでカルボン酸及び腐食防止剤を含む。一実施態様において、貯蔵安定な組成物は、ペルオキシカルボン酸、過酸化水素、中鎖モノカルボン酸又は安息香酸誘導体(例えば安息香酸又はサリチル酸)、腐食防止剤及び酸性pHの緩衝剤を含む。適切なpHとしては約1〜約4が挙げられる。一実施態様において、当該組成物は黄銅を1年あたり約250ミル(mil)未満(6.35mm未満)の割合で腐食する。
【0009】
当該組成物は、短鎖ペルオキシカルボン酸、中鎖ペルオキシカルボン酸又はこれらの混合物を含むことができる。当該組成物は、金属イオン封鎖剤、ヒドロトロープ、界面活性剤又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に従う、酸性pHで中鎖カルボン酸及び腐食防止剤を含む組成物による低腐食性を示したグラフである。
【0011】
定義
本明細書では、特定の成分「から実質的に成る」組成物又は組み合わせは、それらの成分を含み、組成物もしくは方法の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼす成分は含まない組成物を意味する。「から実質的に成る」という語句は、特許請求される組成物及び方法から、いかなる無機酸も、そのような無機酸が当該語句の前に具体的に記載されていない限り除外する。
【0012】
本明細書では、1以上の成分を「実質的に含まない」組成物又は組み合わせは、その成分を含まないか、又はほんの微量又は偶発的な量のその成分を含む組成物を意味する。微量又は偶発的な量は、不純物として別の成分中に見出される、又はペルオキシカルボン酸の形成もしくは分解の間のわずかな副反応中に生成した量の当該成分を包含することがある。
【0013】
本明細書では、「強酸」という用語は、例えば硫酸、リン酸、硝酸及び塩酸などの無機酸、あるいは例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸などの強有機酸である酸を意味する。無機酸及び他の強酸は、カルボン酸をペルオキシカルボン酸に変換するための従来の触媒である。非置換アルキルカルボン酸(短鎖及び中鎖カルボン酸)及び安息香酸誘導体(安息香酸及びサリチル酸)は強酸ではない。
【0014】
本明細書では、「腐食」という用語は、表面又は物品からの金属、例えば軟質金属の顕著な溶解を意味し、これは、外観を損ない、修飾し、あるいは金属の意図された機能又は外観を妨げる原因となる。
【0015】
本明細書では、「混合された」又は「混合物」という用語は、「ペルオキシカルボン酸組成物」、「ペルオキシカルボン酸」、「ペルカルボン酸」又は「カルボン酸」に関連して用いられる場合に、1種よりも多くのペルオキシカルボン酸又はカルボン酸を含む組成物又は混合物、例えばペルオキシ酢酸及びペルオキシオクタン酸又は酢酸及びオクタン酸の組成物又は混合物を意味する。
【0016】
本明細書では、「微生物」という用語は、いかなる非細胞性又は単細胞性(コロニー性を包含)生物も意味する。微生物には全ての原核生物種が含まれる。微生物には、細菌類(シアノバクテリアを含む)、地衣類、真菌類、原虫類、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ及び幾つかの藻類が含まれる。本明細書では、「細菌」という用語は、微生物と同義である。
【0017】
本明細書では、「対象」という用語は、感覚により直接的及び/又は間接的に認識できる何らかの物質を意味する。対象としては、硬質の表面(例えばガラス、セラミックス、金属、天然又は合成の岩石、木材及びポリマー)、エラストマー又はプラスチック、織物又は不織物、食品加工表面、ヘルスケア表面などを包含する表面が挙げられる。対象としては、食品(及びその表面)、水又は気体の集団又は流れ(例えば気流)、並びに接客及び工業部門で用いられる表面及び物品も挙げられる。
【0018】
本明細書では、「食品」という語句は、抗菌剤又は組成物による処理を必要とすることがあり、さらなる調理によるか又はさらなる調理なしで食用となるいかなる食物も包含する。食品としては、精肉(例えば赤肉(red meat)及び豚肉)、海産物、家禽、果実及び野菜、卵、卵製品、即席食品、穀物(例えば小麦)、種子、根、塊茎、葉、茎、球茎、花、堅果、スプラウト、調味料又はこれらの組み合わせもしくは混合物が挙げられる。「農産物」という用語は、典型的には、未調理、しばしば未包装で販売され、時折生で食べられる、例えば果物及び野菜並びに植物もしくは植物由来の物質などの食品を意味する。
【0019】
本明細書では、「植物産物」という語句は、抗菌剤又は組成物による処理を必要とすることがあるいかなる植物物質又は植物由来物質も包含する。植物産物は種子、堅果、堅果の仁、切り花、温室内で成長又は保存された植物もしくは作物、観葉植物などが挙げられる。植物産物には、多くの動物用飼料がある。
【0020】
本明細書では、加工果物又は野菜は、切り分けられた、刻まれた、薄切りにされた、皮をむかれた、挽かれた、製粉された、放射線照射された、冷凍された、調理された(例えば漂白された、低温殺菌された)又は均質化された果物又は野菜を意味する。本明細書では、洗浄され、着色され、ワックスを塗られ、ハイドロクーリングされ、冷蔵され、殻を取られ、又は葉、茎もしくは外皮を除かれた果物又は野菜は、加工されていない。
【0021】
本明細書では、「精肉産物」という語句は、カーカス(枝肉)、筋肉、脂肪、臓器、皮膚、骨、体液及び動物を形成する類似の構成要素などの動物の肉のあらゆる形態を意味する。動物の肉としては、哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、両生類、巻き貝、二枚貝、甲殻類や、ロブスター、カニなどの他の食用種の肉、又は海産物の他の形態が挙げられる。動物の肉の形態としては、例えば、単独もしくは他の成分との組み合わせで、動物の肉の全体又は一部が挙げられる。典型的な形態としては、例えば、保存処理された精肉、切断され成形された製品、みじん切りにされた製品、細かく刻まれた製品、挽肉を含む挽かれた精肉及び製品、丸ごとの製品などの加工された精肉が挙げられる。
【0022】
本明細書では、「家禽産物」という用語は、捕獲された、又は精肉もしくは卵を得るために家畜化された鳥類のあらゆる形態を意味し、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ゲームヘン、ひな鳥、ホロホロ鳥、キジ、ウズラ、カモ、ガチョウ、エミューなど、及びそれらの鳥類の卵を包含する。家禽としては、丸ごとの、切断された、加工された、調理されたもしくは生の家禽が挙げられ、家禽の肉、副産物及び副生物のあらゆる形態を包含する。家禽の肉としては、筋肉、脂肪、臓器、皮膚、骨、体液及び動物を形成する類似の構成要素などの部分が挙げられる。動物の肉の形としては、例えば、単独もしくは他の成分との組み合わせで、動物の肉の全体又は一部が挙げられる。典型的な形態としては、例えば、保存処理された家禽の精肉、切断されかつ成形された製品、みじん切りにされた製品、細かく刻まれた製品、及び丸ごとの製品などのような加工された家禽の精肉が挙げられる。
【0023】
本明細書では、「家禽残骸」という語句は、加工の間に家禽の死体又は一部から除かれて廃棄物の流れに入る、いかなる細片、残渣、物質、汚れ、臓物、家禽の一部、家禽の廃棄物、家禽の内臓、家禽の臓器、これらの物質の断片もしくは組み合わせなども意味する。
【0024】
本明細書では、「食品加工表面」という語句は、食物加工、調理又は保存活動の一部として用いられる、用具、機械、器材、構造物、建物などの表面を意味する。食品加工表面の例としては、食品加工又は調理設備(例えば薄切り、缶詰化、又は水路などの輸送用設備)の表面、食品加工用器物(例えば調理用具、食器類、洗浄用具及びバー用グラス)の表面、並びにそこで食品加工が行われる床、壁、又は構造物の固定具の表面が挙げられる。食品加工表面は、抗腐敗気流システム、無菌包装消毒、食物冷蔵もしくは冷却器の洗浄剤及び消毒剤、物品洗浄消毒、ブランチャー洗浄及び消毒、食品包装材料、まな板添加剤、第3シンク消毒、飲料冷却器及び保温器、精肉冷却又は加熱のための水、自動食器洗浄器の消毒剤、消毒ゲル、冷却タワー、食品加工抗菌衣類用スプレー、並びに無乃至低水性食品調製潤滑剤、油、及びすすぎ添加剤において見出され、使用される。
【0025】
本明細書では、「気流」という語句は、抗腐敗気流システムを包含する。気流は、病院の部屋、外科室、病室、出産室、遺体安置室及び臨床診断室で通常遭遇する気流も包含する。
【0026】
本明細書では、「水」という用語は、食品加工又は輸送水を包含する。食品加工又は輸送水としては、農産物輸送水(例えば水路、パイプ輸送、切断機、薄切機、ブランチャー、レトルトシステム、洗浄器などに見られる)、食品輸送ラインのためのベルトスプレー、長靴及び手洗い用の浸漬皿、第3シンクすすぎ水などが挙げられる。水としては、プール、温泉、娯楽のための水路及びウォータースライド、噴水などの家庭内及び娯楽のための水も挙げられる。また、水としては、家禽の飼育水、及び歯科送水管の水も挙げられる。
【0027】
本明細書では、「ヘルスケア表面」という語句は、ヘルスケア活動の一部として用いられる器具、装置、カート、ケージ、家具、構造物、建物、施設又はその内部表面などの表面を意味する。ヘルスケア表面としては、外来治療室又は長期治療環境の表面もしくはその器材が挙げられる。ヘルスケア表面の例としては、医療もしくは歯科器具の表面、医療もしくは歯科装置の表面、患者の健康をモニターするために用いられる電気的装置の表面、及びヘルスケアが行われる床、壁もしくは構造物の固定具の表面が挙げられる。ヘルスケア表面は、病院の部屋、外科室、病室、出産室、遺体安置室及び臨床診断室で見られる。これらの表面は、「硬質表面」(例えば壁、床、便器など)、又は織物表面、例えばニット、織物及び不織物の表面(例えば外科用衣類、掛け布、ベッドリネン、包帯など)、又は患者治療用器材(例えば呼吸装置、診断用器材、シャント、身体用スコープ、車椅子、ベッドなど)、又は外科及び診断用器材として類型化できる。ヘルスケア表面としては、動物のヘルスケアにおいて用いられる物品及び表面が挙げられる。ヘルスケア表面としては歯科送水管が挙げられる。
【0028】
本明細書では、「器具」という用語は、本発明の安定化された組成物による洗浄から利益を受ける、様々な医療又は歯科用の器具もしくは装置を意味する。
【0029】
本明細書では、「医療器具」、「歯科医療器具」、「歯科器具」、「医療装置」、「歯科装置」、「医療器材」又は「歯科器材」という語句は、医学又は歯学において使用される器具、装置、用具、電気器具、機材及び器材を意味する。このような器具、装置及び器材は、冷滅菌、浸漬もしくは洗浄後に加熱滅菌でき、そうでない場合には本発明の組成物による洗浄から利益を受ける。これらの様々な器具、装置及び器材としては、診断用器具、トレー、皿、ホルダー、ラック、鉗子、はさみ、大ばさみ、のこぎり(例えば骨のこぎり及びそれらの刃)、止血鉗子、ナイフ、のみ、骨鉗子、やすり、ニッパー、ドリル、ドリルビット、石目やすり、バリ、スプレッダー、ブレーカー、エレベーター、クランプ、針ホルダー、運搬装置、クリップ、フック、丸たがね、キュレット、開創器、ひずみ矯正機、穴あけ器、抽出装置、ひしゃく、角膜切開刀、へら、圧出器(expressors)、外套針、拡張器、ケージ、ガラス製品、管類、カテーテル、カニューレ、プラグ、ステント、スコープ(例えば内視鏡、聴診器、及び関節鏡(arthoscope))及び関連器材など、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書では、「農業」又は「獣医学」の対象もしくは表面としては、動物飼料、動物給水ステーション及び囲い、動物部屋、動物獣医診療所(例えば外科又は治療の領域)、動物外科領域などが挙げられる。
【0031】
本明細書では、「住居」又は「施設」の対象もしくは表面としては、人により居住される構造物内に見出されるもの、及び一般的な家事において遭遇するものが挙げられる。このような対象もしくは表面としては、浴室表面(例えば固定物、床及び壁);洗面所表面(例えば固定物、床及び壁)、下水管、下水管表面、調理場表面などが挙げられる。
【0032】
本明細書では、質量百分率(wt%)、質量による百分率、質量による%などは、物質の質量を組成物の質量で割って100を掛けた、その物質の濃度を意味する同義語である。他に特定されない限り、成分の量は有効成分の量を意味する。
【0033】
本明細書では、本発明の組成物中の成分の量を修飾するか、又は本発明の方法において用いられる「約」という用語は、例えば濃度をもたらすために用いられる典型的な測定及び液体取り扱い手順、又は実際の溶液の使用を通して;これらの手順における不注意の間違いを通して;組成物を作るか又は方法を行うために用いられる製品、源、又は成分の純度における違いなどを通して起こり得る、数量における変動を意味する。この約という語はまた、特定の最初の混合物からもたらされる組成物についての異なる平衡状態のために異なる量も包含する。「約」という用語で修飾されるか否かに関わらず、請求項は量に対する均等物を包含する。
【0034】
この特許出願の目的のため、水洗によって病原菌集団が少なくとも約90%、又はそれよりも著しく多く減少したとき、成功した病原菌減少が達成される。病原菌集団におけるより大きな減少は、より大きなレベルの保護を提供する。
【0035】
本明細書では、「消毒剤」という語句は、細菌混入物の数を公衆衛生の要求により判断される安全レベルまで減少させる薬剤を意味する。一実施態様において、本発明における使用のための消毒剤は少なくとも99.999%の減少(log値で5の減少)を提供し得る。これらの減少は、Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants, Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists, パラグラフ960.09及び適用可能なセクション,第15版,1990(EPAガイドライン91-2)に記載の方法を用いて評価できる。この参考文献によれば、消毒剤は室温、25±2℃において幾つかの試験生物に対し、30秒以内に99.999%の減少(log値で5の減少)をもたらさなければならない。
【0036】
本明細書では、「殺菌剤」という語句は、A.O.A.C. Use Dilution Methods, Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists, paragraph 955.14及び適用できるセクション,第15版,1990(EPAガイドライン91-2)に記載の方法を用いて、最もよく認識されている病原微生物を含む全ての栄養細胞を死滅させる薬剤を意味する。
【0037】
本明細書では、「滅菌剤」という語句は、病原菌生命の全ての生存形を破壊する薬剤を意味する。
【0038】
本明細書では、「殺胞子剤」という語句は、枯草菌(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ディフィシル(Colstridium difficile)、又はクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)の胞子集団を室温にて30分間以内に90%超の減少させる(log値で1の減少)能力を持つ物理的もしくは化学的薬剤又は処理を意味する。特定の実施態様において、本発明の殺胞子性組成物はこれらの集団における99%超の減少(log値で2の減少)、99.99%超の減少(log値で4の減少)、99.999%超の減少(log値で5の減少)、又は室温にて30分間以内に内生胞子の完全な不活性化をもたらす。一実施態様において、殺胞子性組成物は既定の時間及び温度の範囲内、例えば30分間、室温にて全ての細菌性内生胞子を除去する。このような試験は各担体の縫合部ごとに少なくとも104胞子から開始できる。
【0039】
抗菌的に「〜を死滅させる」又は「〜を静止させる」活性の区別、効果の程度について述べる定義、及びこの効果を測定するための公式の実験プロトコルは、抗菌剤及び組成物の関連性を理解するための検討材料である。抗菌組成物は2種類の病原菌細胞障害をもたらすことができる。第1の種類、完全な病原菌細胞の破壊又は不能をもたらす致命的、不可逆的活性である。細胞障害の第2の種類は、生物が薬剤の無い状態になったとき再び増殖できるというように可逆的である。前者は殺菌、後者は生物静止と称される。消毒剤及び殺菌剤は定義により、抗菌又は殺菌活性を提供する薬剤である。一方、保存料は一般的に阻害剤又は生物静止組成物として記述される。
【0040】
本発明の組成物
本発明は有利な殺胞子活性、有利な安定性及び/又は有利な低腐食性を有する、ペルオキシカルボン酸抗菌組成物(すぐに使用できる組成物を包含する)に関する。一実施態様において、本発明の組成物は、意外にも、室温で、胞子(例えば細菌性又は真菌性の胞子)及び/又はウイルスに対して、増大した、より迅速な活性を有する。例えば、本発明の組成物の実施態様はクロストリジウム・ディフィシルに対して有利な殺胞子活性を有し、クロストリジウム・スポロゲネス及び枯草菌などの細菌性の内生胞子を死滅させるのは困難である。さらに、本発明の組成物は、栄養細菌、栄養真菌、他の細菌性胞子、真菌性胞子、及びウイルスに対しても有効である。従来の殺胞子製品の表示は、室温(すなわち周囲条件)における胞子の死滅には5〜32時間を要すると述べている。本発明の少なくとも一実施態様は、わずかに30分間で同じレベルまで胞子を死滅させる。これは驚くべきことに、かつ有利なことに、従来の製品に要する時間の10分の1から64分の1の時間しかかからない。
【0041】
一実施態様において、本発明の組成物は、意外にも、従来のペルオキシカルボン酸組成物よりも低腐食性である。従来の腐食防止剤(例えばトリアゾール及び脂肪酸)は、塩基性pHで作用し、従来から記載されている作用機構は塩基性pHを必要とする。出願人らは意外にも酸性pHで、中鎖モノカルボン酸もしくは安息香酸誘導体及び腐食防止剤の混合物が、このようなカルボン酸及び/又は腐食防止剤を含まない組成物に比べて腐食を減少させることを発見した。特定の実施態様において、当該組成物は約1〜約5、約1〜約4.5、もしくは約1〜約4のpHを有し、かつ中鎖モノカルボン酸もしくは安息香酸誘導体及び腐食防止剤(例えばトリアゾール腐食防止剤)を含む。本組成物は、酸性pHで、例えば軟鋼、アルミニウム又は黄銅などの軟質金属の腐食の減少をもたらすことができる。一実施態様において、本発明の組成物は黄銅を1年あたり約250ミル(6.35mm)未満の割合で腐食する。一実施態様において、本発明の組成物は黄銅を1年あたり約100ミル(2.54mm)未満の割合で腐食する。
【0042】
一実施態様において、本発明の組成物は、意外にも、それが調製されてから長時間の間抗菌活性を保持することが可能な増大した貯蔵安定性を有する。驚くべきことに、本発明の組成物は著しい濃度の強酸(例えば硫酸)の存在なしに、高濃度のペルオキシカルボン酸を保持する。一実施態様において、本発明の組成物は実質的な強酸を含まない。本発明を限定するものではないが、本発明の組成物の貯蔵安定性は、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比及び/又は過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比によりもたらされると考えられる。例えば、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約30:1〜約60:1であることができる。例えば、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約1:1〜約2:1であることができる。
【0043】
特定の実施態様において、当該組成物は、規定比の過酸化水素とペルオキシカルボン酸、規定比の過酸化水素とプロトン化カルボン酸、あるいは規定比の過酸化水素とペルオキシカルボン酸及び規定比の過酸化水素とプロトン化カルボン酸を含む。規定比は、本発明の組成物の貯蔵寿命の延長に有効であると考えられる。例えば、上記規定比は、40℃において少なくとも1か月間、典型的な室温(20〜25℃)では12か月間、又は室温ではそれよりも長期間、貯蔵安定な組成物をもたらす。
【0044】
予め決定された制限時間で、貯蔵安定な組成物はなお抗菌的に有効な濃度のペルオキシカルボン酸を含む。特定の実施態様において、例えば予め決定された制限時間で、貯蔵安定な組成物は、初期濃度の75%を超えるペルオキシカルボン酸、初期濃度の80%を超えるペルオキシカルボン酸、初期濃度の85%を超えるペルオキシカルボン酸、初期濃度の90%を超えるペルオキシカルボン酸、又は初期濃度の95%を超えるペルオキシカルボン酸を有することができる。一実施態様において、予め決定された制限時間で、本発明の貯蔵安定な組成物は、初期濃度の85%を超えるペルオキシカルボン酸を有する。
【0045】
特定の実施態様において、例えば予め決定された制限時間で、貯蔵安定な組成物は、初期濃度の80%を超える中鎖カルボン酸、初期濃度の85%を超える中鎖カルボン酸、初期濃度の90%を超える中鎖カルボン酸、又は初期濃度の95%を超える中鎖ペルオキシカルボン酸を有することができる。一実施態様において、予め決定された制限時間で、本発明の貯蔵安定な組成物は初期濃度の85%を超える中鎖ペルオキシカルボン酸を有する。
【0046】
特定の実施態様において、例えば予め決定された制限時間で、貯蔵安定な組成物は、初期濃度の80%を超える過酸化水素、初期濃度の85%を超える過酸化水素、初期濃度の90%を超える過酸化水素、又は初期濃度の95%を超える過酸化水素を有することができる。一実施態様において、予め決定された制限時間において、本発明の貯蔵安定な組成物は、初期濃度の85%を超える過酸化水素を有する。
【0047】
一実施態様において、予め決定された制限時間で、貯蔵安定な組成物は、初期濃度の80%を超えるペルオキシカルボン酸、初期濃度の85%を超える中鎖ペルオキシカルボン酸、及び初期濃度の85%を超える過酸化水素を有することができる。一実施態様において、予め決定された制限時間で、貯蔵安定な組成物は、初期濃度の85%を超えるペルオキシカルボン酸、初期濃度の90%を超える中鎖ペルオキシカルボン酸、及び初期濃度の90%を超える過酸化水素を有することができる。
【0048】
特定の実施態様において、当該組成物は、規定比の過酸化水素とペルオキシカルボン酸を含む。特定の実施態様において、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は、約1000:1未満、約5:1〜約1000:1、約13:1〜約800:1、又は約16:1〜約400:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は、約10:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1、又は約50:1である。これらは質量比又はppmのような濃度の比であってよい。当該組成物は、約で修飾されないこれらの比又は量のいずれも含んでよい。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の強酸を含まない。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の無機酸を含まない。
【0049】
特定の実施態様において、当該組成物は、規定比の過酸化水素とプロトン化カルボン酸を含む。特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は、約10:1未満、約1:5〜約10:1、約0.5:1〜約8:1、約1:1〜約8:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は、約0.2:1〜約10:1、約0.5:1〜約4:1、約1:1〜約2:1、又は約1.4:1である。当該組成物は、約で修飾されないこれらの比又は量のいずれも含んでよい。これらは質量比又はppmのような濃度の比であってよい。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の強酸を含まない。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の無機酸を含まない。
【0050】
特定の実施態様において、当該組成物は、規定比の過酸化水素とペルオキシカルボン酸及び規定比の過酸化水素とプロトン化カルボン酸を含む。特定の実施態様において、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は、約10:1〜約200:1、及び過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は、約0.2:1〜約10:1、約0.5:1〜約4:1、約1:1〜約2:1、又は約1.4:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は、約25:1〜約100:1、及び過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は、約0.2:1〜約10:1、約0.5:1〜約4:1、約1:1〜約2:1、又は約1.4:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は、約30:1〜約60:1、及び過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は、約0.2:1〜約10:1、約0.5:1〜約4:1、約1:1〜約2:1、又は約1.4:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約50:1であり、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約0.2:1〜約10:1、約0.5:1〜約4:1、約1:1〜約2:1、又は約1.4:1である。当該組成物は、約で修飾されないこれらの比又は量のいずれも含んでよい。これらは質量比又はppmのような濃度の比であってよい。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の強酸を含まない。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の無機酸を含まない。
【0051】
特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約0.2:1〜約10:1であり、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約10:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1又は約50:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約0.5:1〜約4:1であり、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約10:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1又は約50:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約1:1〜約2:1であり、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約10:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1又は約50:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約1.4:1であり、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約10:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1又は約50:1である。特定の実施態様において、過酸化水素とプロトン化カルボン酸との比は約1.2:1未満であり、過酸化水素とペルオキシカルボン酸との比は約10:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1又は約50:1である。当該組成物は、約で修飾されないこれらの比又は量のいずれも含んでよい。これらは質量比又はppmのような濃度の比であってよい。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の強酸を含まない。一実施態様において、当該組成物は実質的な量の無機酸を含まない。
【0052】
一実施態様において、当該組成物は実質的な強酸を含まない。従来のペルオキシカルボン酸組成物は、過酸化水素及びカルボン酸からのペルオキシカルボン酸の形成を触媒するために無機酸を含む。驚くべきことに、本発明者らは実質的な強酸なしで有効な抗菌性ペルオキシカルボン酸組成物を作り出した。すなわち本発明の組成物は、ペルオキシカルボン酸形成のための、過酸化水素及びカルボン酸の反応を触媒するために有効な量の強酸を含まない。
【0053】
一実施態様において、本発明の組成物は強酸、例えば無機酸を含まない。一実施態様において、本発明の組成物は実質的に強酸、例えば無機酸を含まない。一実施態様において、本発明の組成物は添加された強酸、例えば無機酸を含まない。特定の実施態様において、本発明の組成物は約5質量%未満の強酸、約4質量%未満の強酸、約3質量%未満の強酸、約2質量%未満の強酸、又は約1質量%未満の強酸を含む。一実施態様において、本発明の組成物は約1質量%未満の強酸を含む。当該組成物は、約で修飾されないこれらの範囲又は量のいずれも含んでよい。
【0054】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、都合良いことに、目に対する腐食性が低く、及び/又は都合良いことに臭気がマスクされる。例えば、本発明による安定した貯蔵安定性のあるすぐに使用できる組成物は、従来の濃縮組成物に比べて低い毒性を持つことができる。例えば、本発明による安定した貯蔵安定なすぐに使用できる組成物は、水で希釈された従来の濃縮組成物に比べてその臭気をマスクできる。
【0055】
本発明の組成物の実施態様
本発明の組成物の実施態様の代表的な構成物質濃度の幾つかの例を表A〜Cに示し、ここでの値は全組成物質量に対する成分の質量%により示す。特定の実施態様において、表A〜Cの比率及び量は「約」で修飾することがある。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
全含有量を100質量%にするため、これらの表の組成物は担体(例えば水)を含む。
【0060】
表Cの組成物は、希釈された、安定で、すぐに使用できる製品を形成すること:栄養細菌及び真菌に対する殺生物活性の改善を示すこと;殺胞子及び殺ウイルス活性の著しい改善を示すこと;優れた多表面洗浄剤/1ステップ殺菌剤を提供すること;軟質金属、プラスチック及びエラストマーに対し、低腐食性のみをもたらすこと;使用者に安全であること(無機酸を含まず;皮膚、目及び鼻に対して低刺激性);及び/又は環境に優しいことなどの有利な品質の1または2つ以上を有することができる。
【0061】
他に記載の無い限り、成分濃度は組成物が平衡状態にあるときのものである。他に記載の無い限り、成分濃度は有効成分に追加された成分を含み得る市販製品の量ではなく、活性成分を意味する。
【0062】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物は約2質量%〜約4質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約3.5質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.25質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.15質量%のペルオキシ酢酸、及び約0.0001質量%〜約0.002質量%のペルオキシオクタン酸を含む。一実施態様において、抗菌組成物は約2.5質量%〜約4質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約3質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.2質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.1質量%のペルオキシ酢酸、及び約0.0001質量%〜約0.002質量%のペルオキシオクタン酸を含む。
【0063】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物は約1質量%〜約5質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約4質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.3質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.2質量%のペルオキシ酢酸、約0.0001質量%〜約0.004質量%のペルオキシオクタン酸、約0.01質量%〜約2.5質量%の金属イオン封鎖剤、及び約0.01質量%〜約1.5質量%の緩衝剤を含む。
【0064】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物は約1質量%〜約5質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約4質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.3質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.2質量%のペルオキシ酢酸、約0.0001質量%〜約0.004質量%のペルオキシオクタン酸、約0.01質量%〜約2.5質量%の金属イオン封鎖剤、約0.01質量%〜約1.5質量%の緩衝剤、約0.01質量%〜約5質量%のヒドロトロープを含む。
【0065】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物は約1質量%〜約5質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約4質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.3質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.2質量%のペルオキシ酢酸、約0.0001質量%〜約0.004質量%のペルオキシオクタン酸、約0.01質量%〜約2.5質量%の金属イオン封鎖剤、約0.01質量%〜約1.5質量%の緩衝剤、約0.01質量%〜約5質量%のヒドロトロープ、及び約0.01質量%〜約5質量%の界面活性剤を含む。
【0066】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物は約1質量%〜約5質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約4質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.3質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.2質量%のペルオキシ酢酸、約0.0001質量%〜約0.004質量%のペルオキシオクタン酸、約0.01質量%〜2.5質量%の金属イオン封鎖剤、約0.01質量%〜約1.5質量%の緩衝剤、約0.01質量%〜約5質量%のヒドロトロープ、及び約0.01質量%〜約5質量%の界面活性剤、0.01質量%〜約0.25質量%の腐食防止剤、及び約0.01質量%〜約1質量%のマスキング剤/香料を含む。
【0067】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物は過酸化水素、酢酸、C6〜C12の脂肪族カルボン酸及び反応平衡量のペルオキシ酢酸、並びにC6〜C12のペルオキシカルボン酸を含む。一実施態様において、抗菌組成物は過酸化水素、ペルオキシ酢酸、オクタン酸及びペルオキシオクタン酸を含み;全ペルオキシ酸に対する過酸化水素の比は約30:1〜約60:1である。一実施態様において、抗菌組成物は約1質量%〜約5質量%の過酸化水素、約0.5質量%〜約4質量%の酢酸、約0.01質量%〜約0.3質量%のオクタン酸、約0.005質量%〜約0.2質量%のペルオキシ酢酸、及び約0.0001質量%〜約0.004質量%のペルオキシオクタン酸を含む。
【0068】
一実施態様において、本発明の抗菌組成物はC6〜C12の脂肪族もしくは芳香族カルボン酸を含み、約3のpHで軟質金属に対して低腐食性を示す。適切なカルボン酸としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、サリチル酸、又はそれらの混合物が挙げられる。一実施態様において、抗菌組成物は界面活性剤を含み、これは汚れをもつ病原菌及び遮蔽された病原体からのこのような混入物を阻止するバイオフィルムに洗浄効果を付与する。一実施態様において、抗菌組成物は、界面活性剤の助けにより均一に溶解する安定な臭気マスキング香料成分を含む。一実施態様において、抗菌組成物は、1種以上の界面活性剤、1種以上の金属イオン封鎖安定剤、1種以上のヒドロトロープ、1種以上の香料、1種以上の腐食防止剤、1種以上の緩衝剤、1種以上のさらなるアジュバント、水、又はそれらの混合物も含む。
【0069】
本組成物は、少なくともペルオキシカルボン酸を形成するために必要な成分を組み合わせることもしくは混合すること、及びそれらを、カルボン酸をペルオキシカルボン酸に変換するために十分な時間反応させることにより調製できる。十分な反応時間は、例えば数時間乃至21日間であることができる。
【0070】
一実施態様において、本発明の組成物は、例えば政府(例えば米国食品医薬局(FDA)又は米国農務省(USDA))の規則及び規制、米国連邦規則集第21巻、第170〜178章に従う、食品、又は食物の洗浄、取り扱い、もしくは加工において用いることのできる成分のみを含む。一実施態様において、本発明の組成物は、米国環境保護庁(USEPA)、米国連邦規則集第40巻第180.940章により、偶発的な食物への接触に対して承認される濃度における成分のみを含むことができる。
【0071】
本発明の組成物は、液体、ゲル、ペースト、単位用量、ゲルパック、又は単位化もしくは区分された滴形の固形物又は水溶性パケットなどの形態を取ることができる。本発明の組成物は、手持ち式ポンプ/スプレー容器、2区画ディスペンサーなどの様々な容器もしくは溶媒のいずれかにより;又は予め湿らせた拭取具、ナプキンもしくはスポンジとして供給できる。
【0072】
一実施態様において、本発明に係る一実施態様の組成物の含む製品の存続期間におけるペルオキシカルボン酸の濃度は425ppmを超える。一実施態様において、本発明に係る一実施態様の組成物を含む製品についてのオクタン酸の濃度は900ppmを超える。一実施態様において、本発明に係る一実施態様の組成物を含む製品の存続期間における過酸化水素の濃度は2.85質量%を超える。
【0073】
中鎖カルボン酸及び/又はペルオキシカルボン酸の組成物
ペルオキシカルボン酸(又はペルカルボン酸)は一般的に式R(CO3H)nで表され、ここで、例えば、Rはアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族又は複素環式基を表し、nは1、2又は3であり、親となる酸の前にペルオキシを付けることによって名付けられる。R基は飽和もしくは不飽和のものであることができ、置換されていても置換されていなくてもよい。本発明の組成物及び方法は、例えば6〜12の炭素原子を含む中鎖ペルオキシカルボン酸を用いることができる。例えば、中鎖ペルオキシカルボン酸(又はペルカルボン酸)は式R(CO3H)nで表すことができ、ここでRはC5−C11アルキル基、C5−C11シクロアルキル基、C5−C11アリールアルキル基、C5−C11(例えばC6)アリール基又はC5−C11複素環式基を表し、nは1、2又は3である。
【0074】
ペルオキシカルボン酸は、カルボン酸における酸化剤の直接作用により、アルデヒドの自己酸化により、又は酸塩化物及び水素化物から、あるいは、水素もしくは過酸化ナトリウムによりカルボキシ無水物から調製できる。一実施態様において、中鎖ペルオキシカルボン酸は、中鎖カルボン酸における過酸化水素の直接の酸触媒平衡作用により調製できる。スキーム1は、カルボン酸及び酸化剤(Ox)と、ペルオキシカルボン酸及び還元された酸化剤(Oxred)との間における平衡状態を示す:
【0075】
【化1】

【0076】
スキーム2は、酸化剤が過酸化水素である、ペルオキシカルボン酸及び水が存在する、模式図1の平衡状態の実施態様を図示する:
【0077】
【化2】

【0078】
従来の混合されたペルオキシカルボン酸組成物では、スキーム2に示した反応の平衡比は、酢酸に対する平衡を反映する可能性のある約2.5であると考えられる。
【0079】
本発明の組成物及び方法において有用なペルオキシカルボン酸としては、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸、ペルオキシサリチル酸、ペルオキシ安息香酸、それらの混合物などが挙げられる。中鎖ペルオキシカルボン酸のアルキル骨格は、直鎖、分岐鎖又はそれらの混合体であることができる。1種以上のカルボキシレート部分を有するペルオキシ形態のカルボン酸は、ペルオキシカルボキシル部分として存在するカルボキシル部分のうち1又は2つ以上(例えば少なくとも1つ)を有することができる。
【0080】
ペルオキシオクタン酸(又は過オクタン酸)は、例えばn−ペルオキシオクタン酸の式:CH3(CH26COOOHで表されるペルオキシカルボン酸である。ペルオキシオクタン酸は、直鎖アルキル部分を有する酸、分岐アルキル部分を有する酸又はその混合物であることができる。ペルオキシオクタン酸は界面活性であり、例えば細菌の表面のような疎水性表面を湿らせることを促進することができる。
【0081】
本発明の組成物はカルボン酸を含むことができる。一般的に、カルボン酸は式R−COOHで表され、ここでRは、任意の数の、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、複素環基などの様々な基を表し、これらの基の全ては飽和もしくは不飽和であることができ、置換されていても置換されていなくてもよい。カルボン酸は1、2、3又はそれ以上の数のカルボキシル基を有することがある。本発明の組成物及び方法は、例えば6〜12の炭素原子を含む中鎖カルボン酸を典型的に用いる。例えば中鎖カルボン酸は式R−COOHで表され、ここでRはC5−C11アルキル基、C5−C11シクロアルキル基、C5−C11アリールアルキル基、C5−C11(例えばC6)アリール基、又はC5−C11複素環式基であることができる。
【0082】
好適な中鎖カルボン酸としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、サリチル酸、安息香酸、それらの混合物などが挙げられる。中鎖カルボン酸のアルキル骨格は、直鎖、分岐鎖、又はそれらの混合体であることができる。一般的に有用なカルボン酸は1又は2個のカルボキシル基を有し、ここでR基はC4〜C11の長さを有する第1級アルキル鎖である。第1級アルキル鎖は、当該分子の炭素鎖がその炭素原子で構成される最大長を有し、当該分子の炭素鎖にカルボキシル官能基が直接結合しているものである。一般的に有用なカルボン酸は、フェニル環における置換基としてのカルボキシル基を1個有するものであり、例えばサリチル酸又は安息香酸である。
【0083】
本発明の組成物及び方法は中鎖ペルオキシカルボン酸を含むことができる。当該中鎖ペルオキシカルボン酸はC6〜C12ペルオキシカルボン酸を含むか、又はC6〜C12ペルオキシカルボン酸であることができる。当該C6〜C12ペルオキシカルボン酸はペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。当該中鎖ペルオキシカルボン酸はC7〜C12ペルオキシカルボン酸を含むか、又はC7〜C12ペルオキシカルボン酸であることができる。当該C7〜C12ペルオキシカルボン酸はペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。当該中鎖ペルオキシカルボン酸はC6〜C10ペルオキシカルボン酸を含むか、又はC6〜C10ペルオキシカルボン酸であることができる。当該C6〜C10ペルオキシカルボン酸はペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。当該中鎖ペルオキシカルボン酸はC8〜C10ペルオキシカルボン酸を含むか、又はC8〜C10ペルオキシカルボン酸であることができる。当該C8〜C10ペルオキシカルボン酸はペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。特定の実施態様において、中鎖ペルオキシオクタン酸はペルオキシオクタン酸、ペルオキシデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はペルオキシオクタン酸、ペルオキシデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。一実施態様において、中鎖ペルオキシカルボン酸はペルオキシオクタン酸を含むか、又はペルオキシオクタン酸である。
【0084】
特定の実施態様において、本発明の組成物は1種以上のペルオキシカルボン酸、例えばペルオキシ酢酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸、ペルオキシサリチル酸、及びペルオキシ安息香酸を含むことができる。かかるペルオキシカルボン酸は、0.001〜約0.2質量%、約0.005質量%〜約0.2質量%、約0.005質量%〜約0.15質量%、又は約0.005質量%〜約0.1質量%の濃度で存在することができる。一実施態様において、本発明の組成物は過酸化水素及びペルオキシカルボン酸を含み、過酸化水素と全ペルオキシカルボン酸との比は約1.0:1〜約200:1、約25:1〜約100:1、約30:1〜約60:1、又は約50:1である。この比は、存在する全ペルオキシカルボン酸の質量百分率又は百万分率に基づくことができる。本組成物は、約で修飾されないこれらの範囲又は量のいずれも含んでよい。一実施態様において、本発明の組成物はペルオキシ酢酸及びペルオキシオクタン酸を含む。
【0085】
一実施態様において、本組成物及び方法は中鎖カルボン酸を含む。当該中鎖カルボン酸はC6〜C12ペルオキシカルボン酸を含むか、又はC6〜C12ペルオキシカルボン酸であることができる。当該C6〜C12カルボン酸はヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。当該中鎖カルボン酸はC7〜C12カルボン酸を含むか、又はC7〜C12カルボン酸であることができる。当該C7〜C12カルボン酸はヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。当該中鎖カルボン酸はC6〜C10カルボン酸を含むか、又はC6〜C10カルボン酸であることができる。当該C6〜C10カルボン酸はヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。当該中鎖カルボン酸はC8〜C10カルボン酸を含むか、又はC8〜C10カルボン酸であることができる。当該C8〜C10カルボン酸はオクタン酸、ノナン酸、デカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はオクタン酸、ノナン酸、デカン酸もしくはそれらの混合物であることができる。特定の実施態様において、中鎖カルボン酸はオクタン酸、デカン酸もしくはそれらの混合物を含むか、又はオクタン酸、デカン酸もしくはそれらの混合物である。一実施態様において、中鎖カルボン酸はサリチル酸を含むか、又はサリチル酸である。
【0086】
本組成物は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸もしくはノナン酸などの脂肪族中鎖モノカルボン酸;又は安息香酸誘導体を含むことができる。本明細書では、「安息香酸誘導体」という語句は、安息香酸及び環置換安息香酸(例えばサリチル酸)を意味する。これらのカルボン酸は、酸性pH、例えば約1〜約5、約1〜約4.5又は約1〜約4のpHで、腐食防止剤の存在下、腐食の減少を効果的に高める。本組成物は、このようなカルボン酸及び腐食防止剤、例えばトリアゾール腐食防止剤を含むことができる。本組成物は、かかるカルボン酸を、約0.01〜約0.2質量%、約0.01〜約5質量%、約0.5質量%〜約4質量%、約0.5質量%〜約3質量%の濃度で含むことができる。本組成物は、約で修飾されないこれらの範囲又は量のいずれも含んでよい。
【0087】
一実施態様において、本組成物及び方法は中鎖ペルオキシカルボン酸及び対応する中鎖カルボン酸を含む。
【0088】
一実施態様において、本組成物は、食品に付随する食物由来の病原性細菌、例えばサルモネラ・ティフィムリウム(またはネズミチフス菌)(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ジャビアナ(Salmonella javiana)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、及び大腸菌(エシェリキア・コリ)O157:H7(Escherichia coli O157:H7)、酵母、カビなどのうち1以上(例えば少なくとも1つ)を死滅させるために有効な量の中鎖カルボン酸を含む。一実施態様において、本組成物は、ヘルスケア表面及び環境に付随する病原性細菌、例えばサルモネラ・ティフィムリウム、スタフィロコッカス・アウレウス(または黄色ブドウ球菌)(Staphylococcus aureus)、サルモネラ・コレレスルス(またはブタコレラ菌)(Salmonella choleraesurus)、シュードモナス・エルジノーサ(または緑膿菌)(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、マイコバクテリア、酵母、カビ、抗生物質耐性ブドウ球菌(MRSA、VISA)、市中感染型抗生物質耐性ブドウ球菌種などのうち1つ以上(例えば少なくとも1つ)を死滅させるために有効な量の中鎖カルボン酸を含む。本発明の組成物及び方法は、多種多様な微生物、例えばグラム陽性菌(例えばリステリア・モノサイトゲネス又は黄色ブドウ球菌)及びグラム陰性菌(例えば大腸菌又は緑膿菌)、酵母、かび、細菌胞子、ウイルスなどに対する活性を有する。上に述べたように、本発明の組成物及び方法は、多種多様なヒト病原体に対する活性を有する。本発明の組成物及び方法は、食品加工表面、食品表面、食品の洗浄もしくは加工に使用される水、ヘルスケア表面、又はヘルスケア環境において、多種多様な微生物を死滅させることができる。
【0089】
短鎖カルボン酸及び/又はペルオキシカルボン酸の組成物
本発明の組成物及び方法は、例えば1〜4の炭素原子を含む短鎖ペルオキシカルボン酸を使用できる。例えば、短鎖ペルオキシカルボン酸(又はペルカルボン酸)は式R(CO3H)nで表すことができ、ここで、RはHもしくはC1−C3アルキル基を表し、nは1、2又は3を表す。一実施態様において、短鎖ペルオキシカルボン酸は、短鎖カルボン酸に対する過酸化水素の直接の酸触媒平衡作用により生成しうる。従来の混合されたペルオキシカルボン酸組成物では、スキーム2に示した反応の平衡定数は、酢酸に対する平衡を反映する可能性のある約2.5であると考えられる。
【0090】
本発明の組成物及び方法において有用なペルオキシカルボン酸としては、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシプロピオン酸、及びペルオキシ酪酸、それらの混合物などが挙げられる。特定のプロピオン酸及び酪酸のペルオキシカルボン酸のアルキル骨格は、直鎖、分岐鎖、又はそれらの混合体であることができる。1つ以上のカルボキシレート部分を有するペルオキシ形態のカルボン酸は、ペルオキシカルボキシル部分として存在するカルボキシル部分のうちの1又は2つ以上(例えば少なくとも1つ)を有することができる。ペルオキシ酢酸(又は過酢酸)は、式:CH3COOOHで表されるペルオキシカルボン酸である。一実施態様において、短鎖ペルオキシカルボン酸はペルオキシ酢酸を含むか、又はペルオキシ酢酸である。
【0091】
本発明の組成物は短鎖カルボン酸を含むことができる。本発明の組成物及び方法は、例えば2〜4の炭素原子を含む短鎖カルボン酸を典型的に用いる。例えば短鎖カルボン酸は式R−COOHで表すことができ、ここで、RはHもしくはC1−C3アルキル基であることができる。好適な短鎖カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸及び酪酸、それらの混合物などが挙げられる。プロピオン酸及び酪酸のアルキル骨格は、直鎖、分岐鎖、又はそれらの混合体であることができる。一実施態様において、短鎖カルボン酸は、ヒドロキシ酢酸、又はヒドロキシプロピオン酸などのヒドロキシカルボン酸(例えばα−ヒドロキシカルボン酸)である。一実施態様において、短鎖カルボン酸は酢酸を含むか、又は酢酸である。一実施態様において、本組成物及び方法は短鎖ペルオキシカルボン酸及び対応する短鎖カルボン酸を含む。
【0092】
一実施態様において、本組成物は、食品に付随する食物由来の病原性細菌、例えばネズミチフス菌、サルモネラ・ジャビアナ、カンピロバクター・ジェジュニ、リステリア・モノサイトゲネス、及び大腸菌O157:H7、酵母、かびなどのうちの1つ以上(例えば少なくとも1つ)を死滅させるために有効な量の短鎖ペルオキシカルボン酸を含む。一実施態様において、本組成物は、ヘルスケア表面及び環境に付随する病原性細菌、例えばネズミチフス菌、黄色ブドウ球菌、ブタコレラ菌、緑膿菌、大腸菌、マイコバクテリア、酵母、かび、抗生物質耐性ブドウ球菌(MRSA、VISA)、市中感染型抗生物質耐性ブドウ球菌種などのうちの1つ以上(例えば少なくとも1つ)を死滅させるために有効な量の短鎖ペルオキシカルボン酸を含む。本発明の組成物及び方法は、多種多様な微生物、例えばグラム陽性菌(例えばリステリア・モノサイトゲネス又は黄色ブドウ球菌)及びグラム陰性菌(例えば大腸菌又は緑膿菌)、酵母、かび、細菌胞子、ウイルスなどに対する活性を有する。上に述べたように、本発明の組成物及び方法は、多種多様なヒト病原体に対する活性を有する。本発明の組成物及び方法は、食品加工表面、食品表面、食品の洗浄もしくは加工に使用される水、ヘルスケア表面、又はヘルスケア環境において、多種多様な微生物を死滅させることができる。
【0093】
酸化剤
本発明の組成物及び方法は任意の種類の酸化剤を含むことができる。本酸化剤はペルオキシカルボン酸の保存又は産生のために使用できる。過酸化水素は無機酸化剤の一つの適切な例を提示する。過酸化水素は過酸化水素と水の混合物、例えば、水溶液中の液体過酸化水素として供給することができる。過酸化水素は水中35%、70%、及び90%濃度で市販されている。通常、安全のために35%の過酸化水素が使用される。本発明の組成物は、例えば、約2〜約30質量%又は約5〜約20質量%の過酸化水素を含むことができる。
【0094】
一実施態様では、本発明の組成物及び方法は酸化剤として過酸化水素、過酸化尿素、又はクメンヒドロペルオキシドを含むことができる。過酸化水素はペルカルボン酸と組み合わせて微生物に対する一定の抗菌作用を提供する。さらに、過酸化水素は、それが適用されたいかなる表面をも濡らすことのできる発泡作用を提供することができる。過酸化水素は機械的洗浄作用と協働して、ひとたび使用されると、対象の表面をさらに清浄にすることができる。過酸化水素のさらなる長所は、本組成物の使用及び分解についての食品適合性である。過酸化水素とは異なる酸化剤を、等価の酸化又は酸素濃度を供給する濃度で使用可能である。
【0095】
特定の実施態様では、本発明の組成物は約0.3〜約5質量%、約1質量%〜約5質量%、約2質量%〜約4質量%、又は約2.5質量%〜約4質量%の過酸化水素(又は他の酸化剤)を含む。本組成物は、任意のこれらの範囲又は約で修飾されない量を含むことができる。
【0096】
担体
本発明の組成物は担体を含むこともできる。担体は、本発明の組成物のその他の成分を溶解、懸濁又は運搬する媒体を提供する。例えば、担体はペルオキシカルボン酸の溶解、懸濁、又は生産及び平衡混合物の処方のための媒体を供給することができる。担体は本発明の抗菌組成物を対象に輸送し、これを湿らせる機能も有する。この目的を達成するために、担体は任意の組成物又はこれらの機能を容易になし得る任意の組成物を含むことができる。
【0097】
特定の実施態様では、担体は溶解性を促進し、反応と平衡状態のための媒体として働き得る水を主に含むことができる。担体は主に有機溶媒を含む、又は主に有機溶媒であることができる。グリセロール、ソルビトール等のポリオール類は有用な担体であることができる。
【0098】
好適な担体としては、グリコールエーテル類が挙げられる。グリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert−ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル及びトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル(ダウ・ケミカル社よりDOWANOL EPH(登録商標)で市販)、プロピレングリコールフェニルエーテル(ダウ・ケミカル社よりDOWANOL PPH(登録商標)で市販)等、又はそれらの混合物が挙げられる。さらなる好適な市販グリコールエーテル(全てユニオンカーバイド社より入手可能)として、ブトキシエチルPROPASOL(登録商標)、ブチルCARBITOL(登録商標)アセテート、ブチルCARBITOL(登録商標)、ブチルCELLOSOLVE(登録商標)アセテート、ブチルCELLOSOLVE(登録商標)、ブチルDIPROPASOL(登録商標)、ブチルPROPASOL(登録商標)、CARBITOL(登録商標)PM-600、CARBITOL(登録商標)Low Gravity、CELLOSOLVE(登録商標)アセテート、CELLOSOLVE(登録商標)、エステルEEP(登録商標)、FILMER IBT(登録商標)、ヘキシルCARBITOL(登録商標)、ヘキシルCELLOSOLVE(登録商標)、メチルCARBITOL(登録商標)、メチルCELLOSOLVE(登録商標)アセテート、メチルCELLOSOLVE(登録商標)、メチルDIPROPASOL(登録商標)、メチルPROPASOL(登録商標)アセテート、メチルPROPASOL(登録商標)、プロピルCARBITOL(登録商標)、プロピルCELLOSOLVE(登録商標)、プロピルDIPROPASOL(登録商標)、及びプロピルPROPASOL(登録商標)が挙げられる。
【0099】
特定の実施態様では、担体は本発明の組成物の大部分を構成し、活性抗菌成分、可溶化剤、酸化剤、アジュバント等とは別の、組成物の残りの部分であってよい。その場合でも、担体の濃度及びタイプは、幾つかある他の要因の中で特に、組成物全体の性質、貯蔵環境、ペルオキシカルボン酸の濃度を含む使用法に依存する。特に、担体は本発明の組成物中のペルオキシカルボン酸の抗菌効果を阻害しない濃度で選択され、使用されるべきである。
【0100】
特定の実施態様では、本発明の組成物は、約60〜約99質量%の担体(例えば水)、約70〜約99質量%の担体(例えば水)、約80〜約97質量%の担体(例えば水)、又は約85〜約95質量%の担体(例えば水)又は約90〜約95質量%の担体(例えば水)を含む。例えば、特定の実施態様では、本発明の組成物は、約70質量%の担体(例えば水)、約75質量%の担体(例えば水)、約80質量%の担体(例えば水)、約85質量%の担体(例えば水)、約90質量%の担体(例えば水)又は約95質量%の担体(例えば水)を含むことができる。
【0101】
緩衝剤
本発明の組成物は、当該組成物のpHを酸性pH、例えば約1〜約5、約1〜約4.5、又は約1〜約4に維持するために有効な緩衝剤等の緩衝剤を含むことができる。かかる酸性pHに適切な緩衝剤は、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−(2−アセタミド)イミノ2酢酸(ADA)、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムもしくは二酢酸ナトリウムであるか、又は3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−(2−アセタミド)イミノ2酢酸(ADA)、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムもしくは二酢酸ナトリウムを含む。適切な緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、リンゴ酸塩もしくは酢酸塩であるか、又はリン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、リンゴ酸塩もしくは酢酸塩を含む。適切な緩衝剤は、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムもしくは酢酸ナトリウムであるか、又はリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムもしくは酢酸ナトリウムを含む。適切な緩衝剤は酢酸及び酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)であるか、又は酢酸及び酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)を含む。
【0102】
本発明の組成物は、緩衝剤の塩成分を例えば、約0.01〜約1.5質量%、約0.05〜約1質量%、又は約0.05質量%〜約0.8(例えば0.75)質量%で含むことができる。特定の実施態様では、本発明の組成物は、酢酸ナトリウムを約0.01〜約1.5質量%、約0.05〜約1質量%、又は約0.05質量%〜約0.8(例えば0.75)質量%で含む。
【0103】
腐食防止剤
本発明の組成物は腐食防止剤を含むことができる。適切な腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール(CAS番号95−14−7)又はトリトリアゾ−ル(CAS番号64665−57−2)等のトリアゾール類が挙げられる。ベンゾトリアゾール等のトリアゾール腐食防止剤は約0.01〜約0.25質量%、約0.01〜約0.2質量%、又は約0.01質量%〜約0.15質量%の濃度で含めることができる。
【0104】
アジュバント
本発明の抗菌組成物は任意の数のアジュバントを含むこともできる。具体的には、本発明の組成物は、本発明の組成物に添加可能な任意の数の成分の中で、安定剤、抗菌剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、起泡剤、ヒドロトロープ又はカップリング剤、界面活性剤、美容増進剤(aesthetic enhancing agent)(すなわち、着色料(例えば色素)、防臭剤、香水、香料、又はマスキング剤)を含むことができる。かかるアジュバントは、本発明の抗菌組成物とともに予め製剤化し、又は本システムに同時、又は抗菌組成物の添加後でも、添加することができる。追加の適切なアジュバントとしては、増強剤(potentiators)(活性成分に対する相乗剤ともいわれる)、レオロジー調整剤、製造加工助剤、保存剤、又はトレーサーが挙げられる。本発明の組成物は、使用に必要とされ、公知で、本発明の活性を助長することができる任意の数の他の成分を含むこともできる。
【0105】
アジュバントは長期間、少なくとも6カ月間、及び好ましくは少なくとも12ヶ月間以上、室温で組成物中の他の成分と互換性を持つように選択することができる。
【0106】
安定剤
過酸及び過酸化水素を安定化するため、及び本発明の組成物中のこの成分の早過ぎる分解を抑制するために、例えば、1つ又は複数の安定剤を本発明の組成物に添加することができる。
【0107】
適切な安定剤としてキレート化剤又は金属イオン封鎖剤があげられる。適切な安定剤として、溶液中の金属イオン、とりわけ遷移金属イオンを捕捉する有機キレート化剤が含まれる。かかる金属イオン封鎖剤としては、有機アミノ−又はヒドロキシ−ポリホスホン酸錯化剤(酸又は可溶性の塩形態で)、カルボン酸類(例えばポリカルボン酸ポリマー)、ヒドロキシカルボン酸類、又はアミノカルボン酸類が挙げられる。
【0108】
本金属イオン封鎖剤は、ホスホン酸もしくはホスホン酸塩であるか、又はホスホン酸もしくはホスホン酸塩を含むことができる。適切なホスホン酸及びホスホン酸塩としては、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(CH3C(PO322OH)(HEDP);エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTMP);ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸(DTPMP);シクロヘキサン−1,2−テトラメチレンホスホン酸;アミノ[トリ(メチレンホスホン酸)];(エチレンジアミン[テトラメチレン−ホスホン酸]);2−ホスフェンブタン−1,2,4−トリカルボン酸;又は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、もしくはモノ、ジもしくはテトラ−エタノールアミン塩等のアルキロイルアミン塩等のそれらの塩、あるいは、それらの混合物が挙げられる。
【0109】
適切な有機ホスホン酸としてはHEDPが挙げられる。
【0110】
市販の食品添加キレート化剤としては、DEQUEST(登録商標)の商品名で販売されているホスホン酸、例えば、Monsanto Industrial Chemicals Co.(ミズリー州セントルイス)からDEQUEST(登録商標)2010として入手可能な1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸;MonsantoからDEQUEST(登録商標)2000として入手可能なアミノ(トリ(メチレンホスホン酸))(N[CH2PO323);MonsantoからDEQUEST(登録商標)2041として入手可能なエチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)];及びMoby Chemical Corporationの無機化学部門(ペンシルベニア州ピッツバーグ)からBayhibit AMとして入手可能な2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が含まれる。
【0111】
特定の実施態様では、本発明の組成物は約0.01〜約3(例えば2.5)質量%、約0.01〜約2(例えば2.5)質量%、又は約0.01〜約1.5質量%の安定剤を含む。本組成物は任意のこれらの範囲の、又は約で修飾されない量を含むことができる。
【0112】
さらなる抗菌剤
本発明の組成物はさらなる抗菌剤を含むことができる。さらなる抗菌剤は、使用前に使用組成物に添加することができる。適切な抗菌剤としては、スルホン酸類(例えばドデシルベンゼンスルホン酸)、フェノール誘導体(例えば、o−フェニルフェノール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、tert−アミルフェノール及びC1−C6アルキルヒドロキシベンゾエート)、第4級アンモニウム化合物(例えば、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化N−ジアルキルベンジルアンモニウム、又はそれらの混合物)、及び所望の病原菌防御度を提供するのに十分な量のかかる抗菌剤の混合物が挙げられる。
【0113】
本発明の組成物は約0.001質量%〜約10質量%の抗菌剤、約0.003質量%〜約5質量%の抗菌剤、又は約0.01質量%〜約2.5質量%の抗菌剤等の有効量の抗菌剤を含むことができる。
【0114】
湿潤剤又は消泡剤
湿潤剤と消泡剤はまた有用な本発明の組成物である。湿潤剤は本発明の抗菌組成物の表面接触と浸透活性を増加させる機能を果たす。本発明の組成物中に使用可能な湿潤剤は、本発明の組成物の界面活性を高めることが当該分野で公知である任意のこれら構成物を含む。
【0115】
本発明に従って使用できる好適な消泡剤としては、脂肪酸又はエステル;アルコール;サルフェート又はスルホネート;アミン又はアミド;植物油、ワックス、ミネラルオイル及びそれらの硫酸化誘導体;アルカリ金属せっけん、アルカリ土類金属せっけんなどの脂肪酸せっけん;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0116】
一実施態様では、本発明の組成物は、本発明の方法に使用される食品グレードの泡止め剤又は消泡剤を含むことができる。この目的を達成するために、より有効な消泡剤のうちの1つとしてシリコーン類が挙げられる。シリコーン類、例えばジメチルシリコン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキル又はテトラアルキルシラン類、疎水性のシリカ消泡剤及びそれらの混合物は全て消泡用途に使用できる。一般入手可能な市販消泡剤としては、有機エマルジョン中でシリコーン結合した、Armour Industrial Chemical Company製のArdefoam(登録商標)などのシリコーン;シリコーンであるKrusable Chemical Companyから入手可能なFoam Killer(登録商標)又はKresseo(登録商標)や、非シリコーンタイプ消泡剤及びシリコーンエステル;特に、Dow Corning Corporation製の、いずれも食品グレードタイプのAnti-Foam A(登録商標)及びDC-200が挙げられる。これらの消泡剤は約0.01質量%〜5質量%、約0.01質量%〜2質量%、又は約0.01質量%〜約1質量%の濃度範囲で存在できる。
【0117】
増粘剤又はゲル化剤
本発明の組成物は任意の種類の公知な増粘剤を含むことができる。適切な増粘剤類としては、無機増粘剤、有機増粘剤、オリゴマー増粘剤及び会合性増粘剤が挙げられる。これらの増粘剤類としては、キサンタンガム、グアーガム、又は植物粘質物からの他のガム類等の天然ガム;変性セルロース誘導体;オリゴマー有機増粘剤;並びにペクチン及び無機ケイ酸塩並びに粘土等の親水コロイド増粘剤が挙げられる。一実施態様では、増粘剤は対象の表面に汚染残渣を残さない。例えば、増粘剤又はゲル化剤は、食品又は他の接触域の繊細な製品に適合し得る。一般的に、本発明の組成物又は方法に使用される増粘剤の濃度は最終組成物の所望の粘性に依存する。しかし、一般的な指針として、本発明の組成物において使用するのに好適な増粘剤の量は、約0.1質量%〜約1.5質量%、約0.1質量%〜約1質量%、又は約0.1質量%〜0.5質量%の範囲である。
【0118】
ヒドロトロープ又はカップリング剤
本発明の組成物は、カップリング剤ともいわれるヒドロトロープを含むこともできる。ヒドロトロープは、水溶液中の混和性、溶解性、又は有機材料と無機材料の相安定性を増加させることができる。ヒドロトロープは、本発明組成物の長期物理的安定性及び/又は均質性を促進することもできる。ヒドロトロープは、カルボン酸又はペルオキシカルボン酸を含有する組成物に使用することができる。
【0119】
好適なヒドロトロープとしては非水液体担体又は溶媒が挙げられる。好適な溶媒としては、プロピレンオキシドグリコールエーテル(例えば、Dowanol(登録商標)Pシリーズ、Dow Chemical、ミシガン州ミッドランド)又はエチレンオキシドベースのグリコールエーテルが挙げられる。好適なプロピレンオキシドグリコールとしては、Dow Chemicalより商品名Dowanol DPnBで販売されているジプロピレングリコールn−プロピルエーテルが挙げられる。
【0120】
安定化ヒドロトロープ又はカップリング剤は、例えば、約0.01〜約5質量%、約0.05〜約4質量%又は約0.05〜約3質量%で組成物中に存在することができる。
【0121】
界面活性剤
本発明の組成物は界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤としては、水溶性又は水分散性の非イオン性、陽イオン性、両性、半極性非イオン性(例えば、双イオン性)の界面活性剤が挙げられる。
【0122】
界面活性剤は非イオン性界面活性剤であることができる。適切な非イオン性の界面活性剤としては、エチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分又はそれらの混合物を有する界面活性剤、及びエチレンオキシド−プロピレンオキシド部分をヘテリック、ブロック又はランダムヘテリック−ブロック構造で有する界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルエチレンオキシド界面活性剤、アルキルプロピレンオキシド界面活性剤、アルキルエチレンオキシド−プロピレンオキシド界面活性剤、及びエチレンオキシド−ppロピレンオキシド部分がヘテリック、ブロック又はランダムヘテリック−ブロック構造をとるアルキルエチレンオキシド−プロピレンオキシド界面活性剤が挙げられる。
【0123】
非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド部分及びプロピレンオキシド部分が任意のランダムパターン又は整然としたパターン及び任意の特定の長さであってよいアルキル鎖に連結したエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド部分の任意の混合物又は配合物を含有する非イオン性界面活性剤であることができる。非イオン性部分は、ベンジル、アルコキシ又は短鎖アルキル基によりキャップされているか、あるいはベンジル、アルコキシ又は短鎖アルキル基を末端基としていてもよい。
【0124】
非イオン性界面活性剤は、約6〜24の炭素原子からなる飽和又は非飽和、直鎖又は分岐鎖アルコールと約3〜約50モルのエチレンオキシドとの縮合物であることができる。アルコール部分は、上記炭素数範囲のアルコールの混合物から成ることができ、又はこの範囲内の特定数の炭素原子を有するアルコールから成ることができる。この化学物質の市販界面活性剤の例は、Huntsman Corp.(テキサス州オースチン)製の商品名Surfonic(登録商標)及びShell Chemical Co.(テキサス州ヒューストン)製の商品名Neodol(登録商標)が入手可能である。
【0125】
本発明の組成物に使用される界面活性剤及び界面活性剤系は、約0.01〜約5質量%、約0.01〜約4質量%、又は約0.01〜約3質量%で存在することができる。
【0126】
香料又はマスキング剤
一実施態様において、本発明の組成物は、香料又はマスキング剤を含む。本香料は、本組成物の安定性又は効果に対する好ましくない効果を避けるために選択することができる。マスキング剤は酢酸又はペルオキシ酢酸等の刺激臭をマスクし又は隠蔽する1種又は2種以上の香料成分である。一実施態様において、マスキング剤は高度に酸化的な酸性系中で、典型的な室温(20−25℃)で少なくとも6カ月間、さらには少なくとも12ヶ月間、24ヶ月間又はそれよりも長い期間化学的に安定である。適切なマスキング剤は、Wessels Fragrance(ニュージャージー州エンゲルウッド・クリフス)製のFragrance WS22201 Clean Herbal Mod II(登録商標);Givaudan Fragrance(ニュージャージー州ティーネック)製のSnappy Apple UP183078(登録商標)及びWintermint UP183077(登録商標)が挙げられる。マスキング剤は、約0.01〜約1質量%、約0.01〜約0.8質量%、又は約0.01質量%〜約0.5質量%の濃度で含めることができる。
【0127】
使用組成物
本発明の組成物としては濃縮組成物と使用組成物が挙げられる。例えば、濃縮組成物は、例えば水で希釈して使用組成物を調製できる。一実施態様では、対象に使用する前に濃縮組成物を使用組成物に希釈できる。経済的理由から、濃縮組成物を市場に出すことができ、エンドユーザーは濃縮組成物を水又は水性希釈液で使用溶液に希釈することができる。
【0128】
濃縮組成物中の活性成分のレベルは、意図する希釈倍率とペルオキシカルボン酸化合物の所望活性度に依存する。一般的に、約1液量オンス対水約20ガロンの希釈度乃至約5液量オンス対約水1ガロンの希釈度が水性抗菌組成物用に適用される。高使用温度(25℃超)で、又は長時間の暴露時間(30秒超)で使用できる場合は、さらに高い希釈度を適用することができる。典型的な使用場所では、濃縮組成物は、一般的に入手可能な水道水又は給水を用いて、水100ガロン当たり約3〜約20オンスの濃度比で材料を混ぜて、大きな割合を占める水で希釈する。
【0129】
例えば、使用組成物は約0.01〜約4質量%の濃縮組成物及び約96〜約99.99質量%の希釈液;約0.5〜約4質量%の濃縮組成物及び約96〜99.5質量%の希釈液;約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5又は約4質量%の濃縮組成物;約0.01〜約0.1質量%の濃縮組成物;又は約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09又は約0.1質量%の濃縮組成物を含むことができる。使用組成物中の成分量は、濃縮組成物及びこれらの希釈要素のための上記の量から計算することができる。
【0130】
本発明のペルオキシカルボン酸組成物を使用する方法
本発明はペルオキシカルボン酸組成物を使用する方法を含む。典型的には、これらの方法はペルオキシカルボン酸の抗菌活性と漂白活性を利用する。例えば、本発明は病原菌集団を減少させる方法、皮膚上の微生物集団を減少させる方法、皮膚疾患を治療する方法、臭気を減少させる方法、又は漂白する方法を含む。これらの方法は、対象、表面、体、又は流れが本発明の安定化ペルオキシカルボン酸エステル組成物と接触することによって、対象上、表面、体内、又は水流もしくは気流に作用することができる。接触は、組成物の噴霧、対象を組成物中に浸漬すること、対象を組成物で泡又はゲル処理すること、又はそれらの組み合わせ等の、組成物を適用する多くの方法のうちのいずれの方法を含むことができる。
【0131】
本発明の組成物は、家庭又は工業的利用の種々の目的、例えば、表面又は対象、又は体内又は水流中の菌又はウイルス集団を減少させる目的で使用できる。本組成物は、台所、浴室、工場、病院、歯科医院及び食品工場を含む種々の領域で使用することができ、また、滑らかな、不規則又は多孔性の形の種々の硬質又は軟質表面に使用できる。適切な硬質表面としては、例えば、建築物の表面(例えば、床、壁、窓、シンク、机、カウンター及び表示類);食器;医療用又は外科用の器具及び装置の硬質表面;及び硬質表面の包装が含まれる。かかる硬質表面は種々の材質、例えば、セラミック、金属、ガラス、木又は硬質プラスチックで作製されることができる。適切な軟質表面には、例えば、紙;ろ過媒体、病院及び外科リンネル及び衣類;軟質表面の医療用又は外科用機器及び装置;及び軟質表面の包装が含まれる。かかる軟質表面は種々の材質、例えば、紙、繊維、織物及び不織布、軟質プラスチック及びエラストマーで作製することができる。本発明の組成物は食品及び皮膚(例えば、手)等の軟質表面に使用することもできる。本発明の組成物は、起泡性又は非起泡性の環境消毒剤又は殺菌剤として使用できる。本発明の抗菌組成物には、滅菌剤、消毒剤、殺菌剤、保存料、脱臭剤、防腐剤、防カビ剤、殺菌薬、殺胞子剤、抗ウイルス剤、洗剤、漂白剤及び硬質表面クリーナーを含むことができる。
【0132】
抗菌組成物は哺乳類の皮膚治療等の動物用薬品又は動物の囲い、檻、給水ステーション及び検査テーブル及び手術室等の動物治療領域の殺菌又は消毒用の製品に使用することもできる。
【0133】
本発明の組成物は家畜の抗菌フットバスに又はヒトのブーツ又は靴底の浸漬用に使用できる。
【0134】
本発明の組成物は、ヒト、動物等の病原性微生物集団の減少に使用できる。本発明の組成物は、真菌、カビ、細菌、胞子及びウイルス、例えば、トリコフィトン属(Trycophyton sp.)、コウジカビ属(Aspergillus sp.)、ブドウ球菌属(Staphylococcus sp.)、抗生物質耐性ブドウ球菌属、大腸菌(E. coli)、連鎖球菌属(Streptococcus sp.)、腸球菌属(Enterococcus sp.)、レジオネラ属(Legionella sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium sp.)、クロストリジウム属(Clostridium sp.)、インフルエンザ及び肝炎ウイルス、ファージ等を含む病原体に対する活性を示すことができる。かかる病原体は、結核、肺及び組織の感染、敗血症、溶血性胃腸炎、インフルエンザ、肝炎等の種々の疾患及び障害の原因となり得る。本発明の組成物は皮膚又は他の外表又は動物の粘膜表面の微生物集団を減少させることができる。さらに、本発明の組成物は、水、空気又は表面基質による移動によって伝播する病原性の微生物を死滅させることができる。本組成物は、動物の皮膚、他の外表又は粘膜表面、水、空気又は表面に使用することだけを必要とする。
【0135】
抗菌組成物を、食品及び植物種の表面上の病原菌集団を減少させるために使用することもでき、食品及び植物種を扱う製造所又は加工所で使用し、かかるサイト周辺のプロセス水の処理に使用できる。例えば、組成物は、食品輸送ライン(例えば、ベルトスプレーとして);ブーツ及び手洗浄浸漬パン;食品保管施設;防腐空気循環系;冷蔵及び冷却機器;飲料冷却装置及び加熱装置、ブランチャー、まな板、第3シンク領域、肉冷却機、又は煮沸消毒器に使用することができる。本発明の組成物は、水路、パイプ輸送、カッター、スライサー、ブランチャー、レトルト系、洗浄機等に見られる製品輸送水の処理に使用できる。本発明の組成物で処理することができる特定の食品としては、卵、肉、種子、葉、果実及び野菜が挙げられる。特定の植物表面としては、収穫された及び成長する葉、根、種子、皮又は殻、茎、幹、塊茎、トウモロコシ、果実等が挙げられる。本発明の組成物は、動物の死骸を、病原体及び非病原性の微生物レベルを減少させるために処理することにも使用できる。
【0136】
本発明の組成物は、容器、加工施設、又は食品サービス又は食品加工業の設備の洗浄もしくは消毒に使用するのに有用である。本抗菌組成物は食品包装材料及び設備、及び特に冷却又は加熱無菌包装に使用できる。本発明の組成物を使用できる加工施設の例としては、乳業用ミルクライン、連続醸造システム、食品加工ライン、例えば汲み出し可能な食品システム及び飲料ライン等が挙げられる。食品サービス用品を本発明の組成物で消毒することができる。例えば、本発明の組成物は、製品洗浄機、食器洗浄機、ボトル洗浄機、ボトル冷却装置、暖房器、第3シンク洗浄機、裁断領域(例えば、ウォーターナイフ、スライサー、カッター及びノコギリ)及び卵洗浄機の表面又は内部にも使用できる。特定の処理可能な表面としては、カートン、ボトル、フィルム、樹脂等の包装;グラス、皿、家庭用品、ポット及びなべ等の食卓用品;機器洗浄機;シンク、カウンター、テーブル、床及び壁等の調理域の露出表面;タンク、バット、ライン、ポンプ及びホース等の調理用機器(例えば、ミルク、チーズ、アイスクリーム及び他の乳製品の調理用乳製品加工機器);並びに運搬用具が含まれる。容器にはガラス瓶、PVC又はポリオレフィンフィルムサック、カン、ポリエステル、種々の液量(100ml〜2リットル等)のPEN又はPETボトル、1ガロンミルク容器、厚紙ジュース又はミルク容器等が挙げられる。
【0137】
抗菌組成物は、他の工業用設備の表面又は内部及びヒーター、冷却塔、ボイラー、レトルト水、洗浄水、滅菌包装洗浄水等の他の工業用プロセスの流れに使用することもできる。当該組成物は、プール、スパ、娯楽用水路とウォータースライド、噴水等の娯楽のための水路の病原菌や臭気の処理に使用できる。
【0138】
当該組成物を含むフィルターは空気及び液体中の微生物集団を減少させることができる。かかるフィルターはレジオネラ等の水及び空気感染病原体を除去することができる。
【0139】
本発明の組成物は、排水又は他の表面の病原菌、ショウジョウバエ又は他の昆虫の幼虫の集団を減少させるために使用することができる。
【0140】
本組成物は、使用溶液中に食品加工装置を浸漬し、当該装置を消毒に十分な時間浸漬し、当該装置から過剰な溶液をふき取り又は排出することによって、使用することもできる。さらに、本発明の組成物は、使用溶液で食品加工表面に噴霧し又は食品加工表面を拭き、当該表面を消毒に十分な時間濡れた状態に維持し、次いで、拭取り、垂直に排出し、真空引き等により過剰な溶液を除去することによって、使用できる。
【0141】
本発明の組成物は、施設タイプの器材、器具、食器類、ヘルスケア器材又は用具等の硬質表面、及び他の硬質表面を消毒する手法に使用しても良い。本発明の組成物は、汚染した衣料又は織物を消毒する用途に使用しても良い。本使用溶液は任意の上記汚染表面又はアイテムを約4℃〜60℃の使用温度範囲で、当該表面又はアイテムの消毒、殺菌又は滅菌に効果的な時間接触させる。
【0142】
本抗菌組成物は、種々の方法を用いて病原菌又は汚染又は清浄表面に使用できる。これらの方法は、対象、表面、体、又は水流又は気流が本発明の組成物と接触することによって、当該対象、表面、体内又は流れ等に作用することができる。接触には、組成物を噴霧する、対象を組成物中に浸漬する、対象を組成物で泡処理又はゲル処理する、又はそれらの組み合わせ、等の組成物を使用するため任意の数の方法が含まれ得る。
【0143】
本発明の濃縮又は使用濃度組成物は、任意の通常の方法によって又は対象へ抗菌又は洗浄組成物を使用する機器によって対象に使用し、又は接触させることができる。例えば、組成物又は組成物から作成した使用溶液で対象を拭きとり、噴霧し、泡立て、及び/又は浸漬することができる。本組成物は、表面に噴霧し、泡立て、又は拭きとることができる;本組成物は当該表面上を流動させることもでき、又は当該表面を組成物中に浸漬することができる。接触は手動で、又は機械で行うことができる。食品加工表面、食品、食品加工又は輸送水、等は本発明による液体、泡、ゲル、エアロゾル、気体、ワックス、固体、又は粉末化した安定化組成物で、又はこれら組成物を含む溶液で処理することができる。
【0144】
本発明は以下の実施例を参照することでより深く理解できるであろう。これらの実施例は本発明における特定の実施態様の代表であることを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0145】
【表4】

【0146】
組成物A〜Fのそれぞれの残りは水であり、それぞれのpHは約3であった。
【0147】
実施例1−貯蔵安定性
この実験は、本組成物の実施態様が長期の貯蔵寿命、例えば、最短貯蔵寿命が1年であることができることを実証する。例えば、試験組成物Eの抗菌成分は加速貯蔵安定性実験の間安定性を保つ。
【0148】
材料及び方法
過酸化水素含有量を、試料の酸性水希釈液中で過マンガン酸カリウムによる酸化還元滴定により決定した。滴定の終点に達した後、過剰のヨウ化カリウムを溶液に加え、ペルオキシ酸の濃度を測定した。ペルオキシ酸とヨウ化カリウムの反応により遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定した。
【0149】
オクタン酸含有量は逆相高速液体クロマトグラフィー、屈折率検出及び外部標準に対するピーク面積の比較によって決定した。Waters 4.6mm/250mm PN#WATO 54275逆相カラムをアセトニトリル/酢酸移動相とともに使用した。
【0150】
結果
表1Aは標準容器中で40℃、5週間保持した時の組成物Eの安定性を示す。40℃、1ヶ月間の安定性は一般的に代表的条件下における1年貯蔵寿命の良い尺度である。40℃、1ヶ月後、ペルオキシ酸が425ppmを超える濃度を維持することが望ましい。オクタン酸は40℃、1ヶ月後、900ppmを超える濃度を維持することが望ましい。過酸化水素の場合は40℃、1ヶ月後、2.85質量%を超える濃度を維持することが望ましい。
【0151】
【表5】

【0152】
表1Bは、標準容器中で室温(約20℃〜約25℃)、13ヶ月間保持された時の表Bの組成物RTU E中の活性抗菌成分の安定性を示す。この試験により、殺菌効力の最低組成物有効期間及び1年の化学的安定性が確認される。
【0153】
【表6】

【0154】
結論
表1A及び1Bから、過酸化水素、ペルオキシ酢酸及びオクタン酸の活性が安定性試験では目立って変化しないことが判る。RTU E抗菌成分のこの安定性は、最低殺菌効果及び1年の化学的安定性が確認される。
【0155】
実施例2−病院消毒効果
この実験は、本発明の組成物が病院消毒用の効果規準を満たし、かつ、超えていることを実証する。
【0156】
材料と方法
試験は、米国分析化学協会(以後AOAC)使用希釈法955.14、955.15及び964.02、AOAC国際公式分析法第15版、2005年に従って実施した。この試験は425ppmのペルオキシ酢酸で実施した。組成物は60本の管のうち59本の管で増殖が見られない場合、適切な抗菌活性を有すると認められた。
【0157】
組成物Eを試験した。3.2質量%過酸化水素、1.8質量%氷酢酸、1000ppmオクタン酸、及び約500ppm総ペルオキシ酸を含むように組成物を調整した。
【0158】
結果
表2は、組成物Eが病院消毒の効果規準を満たすことが判る。
【0159】
【表7】

【0160】
結論
表2は、本発明の組成物が病院消毒用の効果規準を満たし、かつ、超えていることを実証する。本組成物は、病院病原菌に対する抗菌効果の規準分析で60本の管のうち60本の管を殺菌した。
【0161】
実施例3−追加生物体に対する殺菌効果
この実験は、本発明の組成物がヘルスケア及び調理環境からの細菌に対し有効であることを示している。
【0162】
材料と方法
試験は、生物体当たり10本のステンレススチール管のみを用いたこと以外は上記のように実施した。10本の管のうち10本の管で増殖がない場合、その組成物は適切な抗菌活性を有すると見なした。
【0163】
表3は追加生物体に対する組成物Eによる殺菌のデータを示す。
【0164】
【表8】

【0165】
結論
表3の結果は、本発明の組成物がヘルスケア及び食品性疾患からの多くの細菌に対して有効な殺菌剤であることが判る。この組成物は上記試験の全ての病原菌につき10本の管のうち10本の管を殺菌した。
【0166】
実施例4−殺真菌効果
この実験は、本発明による組成物が病原性の真菌、酵母及びうどん粉病菌に対し抗真菌活性を有することを実証する。
【0167】
材料と方法
試験は以下の修飾を施した実施例2のように実施された。ステンレススチールペニシリン担体を担体当たり1mLの土壌懸濁液とともに播種し、及び培養した。土壌懸濁液を吸引除去し、ろ紙を敷いた無菌ペトリ皿に担体を無菌的に移動した。ペトリ皿にふたをし、35℃で40分乾燥させた。乾燥後、微生物を10mLの試験物質を含む個々の管に無菌的に移動した。4分の暴露時間後、担体を引き続き個々のサブカルチャー培地管中で担体を継代培養した。
【0168】
結果
表4は、組成物Eの殺真菌活性データを示す。
【0169】
【表9】

【0170】
結論
表4は本発明の組成物が一般的病原性真菌、酵母及びうどん粉病菌に有効であることを示している。試験した各病原性真菌、酵母及びうどん粉病菌につき60本の管のうち60本の管で完全殺菌が示されたように、本組成物は完全殺菌をもたらした。
【0171】
実施例5−定量的殺結核菌効果
この実験は本発明による組成物がマイコバクテリウム・ボビス−BCG(又はウシ型結核菌BCG)(Mycobacterium bovis-BCG)、結核菌殺菌性病原菌に対する有効な抗菌活性を有することを実証する。
【0172】
材料と方法
試験は定量的殺結核菌試験のための米国EPAプロトコル規準に従う。本発明組成物の一実施態様を滅菌脱イオン水で425ppmに希釈し、マイコバクテリウム・ボビス−BCGに対する試験を実施した。マイコバクテリア集団がlog10値で5の減少であった場合、組成物は適切な抗菌活性を有すると見なした。
【0173】
結果
表5は組成物Eへのマイコバクテリアの2.5分の暴露によって得られた結果を示す。
【0174】
【表10】

【0175】
結論
本発明の組成物は米国EPAプロトコル規準による測定により結核菌殺菌に有効であった。本組成物はアッセイにおいてlog値で5を超えるマイコバクテリウム・ボビスBCGの減少を示した。生存する生物体は無く、完全殺菌が達成された。
【0176】
実施例6−殺ウイルス効果
この実験は、本発明の組成物が多くの一般ウイルスに対して有効な殺ウイルス活性を有することを示す。
【0177】
材料と方法
試験はASTM E1053−97に従って実施した。簡潔には、ウイルス懸濁液を無生物で非多孔性の表面上で乾燥した。抗菌剤を使用希釈溶液として乾燥ウイルス上に添加し、又はエアロゾルカン又はトリガースプレー容器から噴霧して、適切な温度で、推奨される時間暴露した。無処置表面のウイルス力価をウイルス定量の感染量中央値(ID50)法により決定した。試験濃度における抗菌剤の宿主系に対する細胞毒性をLD50法により決定した。ウイルス−抗菌剤混合物を抗菌剤の細胞毒性範囲をわずかに超えた希釈点で多数のユニットの宿主系においてアッセイした。抗菌剤によるウイルス不活化の程度を決定した。結果をlog10不活化ウイルスとして記録した。
【0178】
結果
表6は425ppmのペルオキシ酢酸迄希釈した組成物Eの殺ウイルス活性を示す。
【0179】
【表11】

【0180】
結論
組成物Eは9種の一般的なウイルスに対し有効な抗ウイルス活性を示した。組成物に4分間暴露後、生存ウイルスは無く、完全な不活化であった。
【0181】
実施例7−本発明の組成物は室温で迅速に胞子を死滅させる
この実験は、室温で試験した場合、本発明による組成物が3種の胞子形成病原体に対し有効な殺胞子活性を発揮したことを実証する。
【0182】
材料と方法
試験はAOAC公式法966.04、殺菌薬の殺胞子活性に従って実施した。本発明に係る組成物を425ppmペルオキシ酢酸濃度で使用して試験した。殺胞子活性を20℃で測定した。組成物は60本の管のうち60本の管で増殖が見られない場合、適切な抗菌活性を有すると見なした。
【0183】
表7に、組成物Eの殺胞子活性について得られた結果を示す。
【0184】
【表12】

【0185】
【表13】

【0186】
結論
組成物Eは6種の一般病原菌に対して有効な殺胞子活性を示した。60本の管のうち60本の管が組成物Eとの30分未満の培養後、病原菌が存在しなかった。組成物Eのそれぞれの市販品の時間の10分の1から64分の1の時間で胞子を殺す。
【0187】
実施例8−本発明の組成物は食品無菌包装試験でセレウス菌胞子を死滅させる
この実験は、食品の無菌包装における適合性を試験する場合、本発明による組成物がセレウス菌の胞子に対する迅速かつ有効な殺胞子活性を発揮することを実証する。
【0188】
材料及び方法
490ppmペルオキシ酢酸濃度の組成物Eを用いて60℃、19秒間の暴露によるセレウス菌ATCC胞子に対する殺胞子活性を測定した。30本の管のうち30本の管で何らの増殖も無い場合、組成物Aは適切な抗菌活性を有すると見なした。
【0189】
結果
2回の各試験で、組成物Eは30本のステンレススチール管のうち30本の管でセレウス菌胞子を死滅させた。
【0190】
結論
組成物Eはセレウス菌胞子に対し効果的な殺胞子活性を示した。組成物Eへの19秒間以内の時間の暴露後、30本の管のうち30本の管で病原菌が存在しなかった。
【0191】
実施例9−本発明の組成物は低毒性である
この実施例は標準テキストの毒性において、本発明の組成物に全く、又は殆ど毒性が無いことを実証する。
【0192】
材料と方法
米国環境保護庁の健康への影響試験ガイドライン、OPPTS.870.1000、急性毒性試験、2002年12月に従って実施した。3.2%〜3.3%質量%過酸化水素、450〜550ppmペルオキシ酢酸、950〜1000ppmオクタン酸、及び<4ppmペルオキシオクタン酸濃度の組成物Eについて試験を実施した。
【0193】
結果
急性吸入試験において、組成物EのLC50は>2.31mg/Lであった。急性経口投与試験で組成物EのLD50は>5000mg/kgであった。急性皮膚接触試験における組成物EのLD50は>5000mg/kgであった。皮膚一次刺激性試験では、本組成物はわずかに軽度の刺激性であった。これらの各試験においてEPA基準では組成物Eの毒性はカテゴリーIV、最低レベルの毒性に位置する。皮膚感作試験では本組成物は接触感作物質ではない。本組成物はやや目刺激を引き起こした。
【0194】
実施例10−本発明組成物による低腐食性
本実験は、本発明組成物が黄銅CDA360で測定した場合、低腐食性であることを示す。
【0195】
材料と方法
ASTM G1−90及びG31−72に従って腐食試験を実施した。黄銅CDA360のクーポンにつき本発明組成物の腐食性を試験した。試験には、清浄乾燥金属クーポンの計量、試験組成物中への50℃、8時間の本クーポンの浸漬が含まれる。その後、本クーポンを取り出し、乾燥し、再び計量する。質量減少を表面積とクーポン密度に基づき厚み減少に変換する。測定値を水対照と比較する。試験した組成物には、ヘキサン酸及び/又はベンゾトリアゾール又はヘプタン酸及び/又はベンゾトリアゾールを含有、又は含有しないペルオキシカルボン酸組成物が含まれる。
【0196】
結果
表9及び図1は、組成物Eと対照組成物の黄銅腐食試験の結果を表わす。本結果は、中鎖カルボン酸(例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、又はノナン酸)及びトリアゾール腐食防止剤を含有する組成物は中鎖カルボン酸のみ、又はトリアゾール腐食防止剤のみを含有する組成物と比較した場合、予想より大きな腐食の減少が得られることを示す。組成物K、N及びPは黄銅を1年あたり100ミル(2.54mm)未満のみ(例えば、それぞれ57ミル(1.45mm)、69ミル(1.75mm)及び87ミル(2.21mm))腐食した。興味深いことに、マンデル酸、アジピン酸、及びアジピン酸とグルタル酸とコハク酸の混合物は減少した腐食を示さなかった。本組成物のpHは3であった。
【0197】
実施例1で上述した規準に従って典型的な市販タイプの容器中で40℃、1ヶ月間保持された場合、組成物G〜Nは、安定であることが明らかとなった。
【0198】
【表14】

【0199】
結論
中鎖カルボン酸(例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸又はノナン酸)又は安息香酸誘導体(安息香酸及びサリチル酸)及びトリアゾール腐食防止剤を含有する本発明による組成物は、黄銅CDA360で測定した場合、カルボン酸又は前記腐食防止剤のみを含有する組成物に比べ有意に腐食性を低下させた。
【0200】
実施例11−クリーニング性能
この実験は、本発明の組成物が汚れ除去性能で評価した場合、効率的な洗剤であったことを示す。抗菌組成物を洗剤組成物と混合した場合、汚れ中に保持される細菌、カビ又はウイルスがより効果的に処理される。
【0201】
材料及び方法
3種の異なる汚れを試験に用いた。脂肪、オイル及び鉄化合物を含有する高脂肪食品汚れは、キッチン、食品加工、調理、食品サービス環境表面等に典型的に見られる残余の食品汚れの代表とした。石油蒸留物、オイル及び土を主として含有する黒色油性汚れは、一般環境、化粧品、機器、機具、用具及び装置等の表面に保持される等の水不溶性のグリース状/油性の汚れの代表とした。ミネラル、せっけん残渣及び生成された死んだ角質細胞を含む無機質の浴槽/シャワー汚れは、無機硬水析出物及び浴室及びシンク域表面に典型的に見られる風呂あかの代表例とした。高脂肪食品汚れと黒色食品汚れを用いる試験は主にASTM D4488−95に従って実施した。無機質の浴槽/シャワー汚れを用いる試験は主にASTM D5343−97に従って実施した。
【0202】
結果
表10は、高脂肪食品汚れ、黒色油性汚れ、及び無機質の浴槽/シャワー汚れに対する本発明組成物Eのクリーニング結果を示す。各汚れに対するクリーニング性能はクリーニングされる表面からの各汚れの除去量(質量%)により求めた。
【0203】
【表15】

【0204】
結論
本発明組成物Eは、抗微生物組成物が使用されるであろう3種の一般的な汚れに対し、効果的な洗剤活性を示した。本洗剤は、処理される汚れの内部及びその表面に保持される細菌、カビ、又はウイルスを抗微生物組成物が破壊できるように汚れを除去、及び懸濁した。
【0205】
実施例12−ガラスクリーニング性能
この実験は、本発明組成物が効果的なガラスクリーナーであることを実証する。
【0206】
方法
組成物Eのガラスクリーニング性能を以下の試験汚れの変更を加えたCSMA Detergent Division Test Method Designation DCC-09(第3版、1995年)に従って実施した:ヘキサン中1%牛脂。汚れの使用、クリーニング及び評点はDCC−09プロトコルに従う。結果をクリーニング(汚れ除去)、ストリーキング、及びスミアリングに関する1〜4のスケールの目視評価により等級付けした。等級4は最良、及び等級1は最低の結果である。
【0207】
結果
表11から、組成物Eのスコアが試験した3種全てのカテゴリーにおいて一般の市販製品より一貫して優れていることが判る。
【0208】
【表16】

【0209】
結論
組成物Eは再試験した4種の一般市販製品に比べより良好なガラスクリーニング性能を示した。組成物Eはガラスクリーニング試験の3種のすべてのカテゴリーにつきより高いスコアとより低い標準偏差であった。
【0210】
実施例13−本発明に係るさらなる組成物
本発明に係るさらなる組成物につき加速試験における安定性を評価し、室温1年相当期間の安定性が明らかとなった。
【0211】
材料及び方法
安定性は以下の表12に収載した組成物につき主に実施例1に記載と同様にして測定した。
【0212】
【表17】

【0213】
組成物E−1及びS〜Yの各々の残りは水であった。成分の量は、ペルオキシカルボン酸が形成される前に添加された原料の量である。
【0214】
結果
組成物E−1及びS−Yの安定性試験の結果を以下の表13に収載する。
【0215】
【表18】

【0216】
各組成物において、33日のペルオキシカルボン酸量は425ppm以上であった。これらの組成物は本発明による安定な組成物である。
【0217】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形は本明細書及び添付の特許請求の範囲の内容がそうではないと明白に示していない限りは、複数の参照対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、ある化合物を含む組成物を参照する場合は、複数の当該化合物の混合物を含む。用語「又は」は該当箇所の内容がそうではないと明確に示していない限りは「及び/又は」を含む意味で一般的に使用されることにも留意すべきである。
【0218】
本明細書中のすべての出版物及び特許出願は本発明が関わる当業者のレベルを示している。
【0219】
本発明を、種々の特定及び好ましい実施態様と技術を参照して説明した。しかしながら、当然のことながら、多くの変更及び改良は本発明の精神及び範囲内で行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵安定な、すぐに使用できるペルオキシカルボン酸組成物であって、
約0.0001〜約0.2質量%のペルオキシカルボン酸;
約1〜約5質量%の過酸化水素;及び
約0.01〜約5質量%のカルボン酸;
を含み、ここで、
前記組成物は添加された無機酸を含まず;
前記組成物のpHは約1〜約4であり;
過酸化水素:ペルオキシカルボン酸の比が約30:1〜約60:1であり;及び
過酸化水素:プロトン化カルボン酸の比が約1:1〜約2:1である、ペルオキシカルボン酸組成物。
【請求項2】
約0.005〜約0.2質量%の短鎖ペルオキシカルボン酸;及び
約0.5〜約5質量%の短鎖カルボン酸;
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約0.0001〜約0.004質量%の中鎖ペルオキシカルボン酸;及び
約0.01〜約0.3質量%の中鎖カルボン酸;
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
緩衝剤、金属イオン封鎖剤、ヒドロトロープ、界面活性剤、腐食防止剤又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
約0.01〜約2質量%の緩衝剤を含み、当該緩衝剤がリン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、リンゴ酸塩又は酢酸塩を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
約0.01〜約2質量%の緩衝剤を含み、当該緩衝剤が酢酸塩である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
約0.01〜約0.25質量%の腐食防止剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記腐食防止剤がトリアゾール腐食防止剤を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記腐食防止剤がベンゾトリアゾールを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
室温及び周囲湿度での貯蔵1年後に初期濃度の85%を超えるペルオキシカルボン酸が残存するという十分に安定な請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
約0.01〜約1質量%のマスキング剤をさらに含み、当該マスキング剤が前記組成物を室温において少なくとも約6か月間化学的に安定化させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
低腐食性ペルオキシカルボン酸組成物であって、
約0.0001〜約0.2質量%のペルオキシカルボン酸;
約1〜約5質量%の過酸化水素;
約0.01〜約5質量%の中鎖モノカルボン酸もしくは安息香酸誘導体;
約0.01〜約2質量%の緩衝剤;及び
約0.01〜約0.25質量%の腐食防止剤;
を含み、ここで、
前記組成物は添加された無機酸を含まず;
前記組成物のpHは約1〜約4である組成物。
【請求項13】
前記腐食防止剤がトリアゾール腐食防止剤を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記腐食防止剤がベンゾトリアゾールを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
約0.01〜約2質量%の緩衝剤を含み、当該緩衝剤がリン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、リンゴ酸塩又は酢酸塩を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
約0.01〜約2質量%の緩衝剤を含み、当該緩衝剤が酢酸塩である、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
約0.005〜約0.2質量%の短鎖ペルオキシカルボン酸;及び
約0.5〜約5質量%の短鎖カルボン酸;
を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
約0.0001〜約0.004質量%の中鎖ペルオキシカルボン酸;及び
約0.01〜約0.3質量%の中鎖カルボン酸;
を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
金属イオン封鎖剤、ヒドロトロープ又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
前記過酸化水素:ペルオキシカルボン酸の比が約30:1〜約60:1であり;かつ
前記過酸化水素:プロトン化カルボン酸の比が約1:1〜約2:1である、請求項12に記載の組成物。
【請求項21】
ASTM G1−90又はASTM G31−72に従って評価した場合に、1年あたり約200ミル(5.08mm)未満の黄銅の腐食をもたらす、請求項12に記載の組成物。
【請求項22】
約0.01〜約1質量%のマスキング剤をさらに含み、当該マスキング剤が前記組成物を室温において少なくとも約6か月間化学的に安定化させる、請求項12に記載の組成物。
【請求項23】
細菌性内生胞子集団を減少させる方法であって、
細菌性内生胞子に、
約0.0001〜約0.2質量%のペルオキシカルボン酸;
約1〜約5質量%の過酸化水素;及び
約0.01〜約5質量%のカルボン酸;
を含む組成物であって、
添加された無機酸を含まず、
pHが約1〜約4であり、
過酸化水素:ペルオキシカルボン酸比が約30:1〜約60:1であり、及び
過酸化水素:プロトン化カルボン酸比が約1:1〜約2:1である組成物を接触させること;及び
周囲条件下で、1時間以内に細菌性内生胞子集団のlog値で5を超える減少を達成すること;
を含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−537970(P2010−537970A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522475(P2010−522475)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052265
【国際公開番号】WO2009/027857
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】