説明

賞味期限読取装置

【課題】商品に示された賞味期限表示の文字列の傾きの検出の高速化を図ることができる賞味期限読取装置を提供すること。
【解決手段】入力された画像における賞味期限表示の文字列の傾きを、ハフ変換を用いて検出する傾き検出処理部33を備え、賞味期限表示により示される賞味期限情報の読み取りを行う賞味期限読取装置20であって、傾き検出処理部33は、画像の特徴点に対し、予め設定された第1検出角度範囲内にて変化させながら予め決められた角度分解能毎に演算を行って第1傾き角を決定する第1傾き角度決定部331と、第1傾き角を中心に第1検出角度範囲よりも狭い第2検出角度範囲内にて変化させながら、画像の特徴点に対し第1傾き角度決定部331における角度分解能よりも高い角度分解能毎に演算を行って第2傾き角を決定する第2傾き角度決定部332とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば缶入り飲料、瓶入り飲料、紙パック入り飲料及びペットボトル入り飲料等の商品に示された賞味期限情報の読み取りを行う賞味期限読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力した画像における文字列の傾きを、ハフ変換を用いて検出する装置が知られている。
【0003】
ここで一般的なハフ変換の手法をついて説明する。直線は、原点からの距離ρと座標軸からの傾きθによって表現することができる。ハフ変換ではこの性質に基づいて直線を抽出する。すなわち、画像を構成する各画素について下記式(1)の演算を行い、ρ−θ空間(ハフ空間)上の曲線(ハフ曲線)へ変換すると、直線を構成する画素から変換されたハフ曲線は一点で交わるので、ハフ曲線の交点のρとθとの組み合わせによって画素が構成する直線を一意に決定することができる。
【0004】
(式1)
ρ=xcosθ+ysinθ
【0005】
このようなハフ変換を用いて文字列の傾きを検出する場合、画像の特徴点、すなわち画素一つ一つについてθを0°から180°まで変化させながら、上記式(1)の演算を行ってρを求め、ハフ曲線へ変換していた。角度分解能を1°とした場合、一画素当たりの演算回数が180回となり、すべての画素について行うと計算量が膨大なものとなっていた。
【0006】
そこで、ハフ変換の演算を行う検出角度範囲を特定の範囲に限定することで、全体の演算量を削減するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−143658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述したようなハフ変換の演算を行う検出角度を特定の範囲に限定する手法の汎用性が低く、特に商品に示された賞味期限表示の文字列の傾きの検出する際には有効なものといえなかった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品に示された賞味期限表示の文字列の傾きの検出の高速化を図ることができる賞味期限読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る賞味期限読取装置は、商品に示された賞味期限表示の画像を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された画像における賞味期限表示の文字列の傾きを、ハフ変換を用いて検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段の検出結果に応じて補正され、かつ切り出された賞味期限表示の文字を認識する賞味期限認識手段とを備え、前記賞味期限表示により示される賞味期限情報の読み取りを行う賞味期限読取装置であって、前記傾き検出手段は、前記画像の特徴点に対し、予め設定された検出角度範囲内にて変化させながら予め決められた角度分解能毎に演算を行って第1傾き角を決定する第1傾き角度決定手段と、前記第1傾き角を中心に前記第1傾き角度決定手段での検出角度範囲よりも狭い検出角度範囲内にて変化させながら、前記画像の特徴点に対し、前記第1傾き角度決定手段における角度分解能よりも高い角度分解能毎に演算を行って第2傾き角を決定する第2傾き角度決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る賞味期限読取装置は、上述した請求項1において、前記賞味期限認識手段は、切り出された賞味期限表示の文字に対して複数の画像変形処理を施して、複数の文字パターンを生成する文字パターン生成手段と、前記文字パターン生成手段により生成された複数の文字パターンのそれぞれに対して、予め記憶してある文字情報と比較し、最も一致率の高いものを認識文字として採用する文字認識手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の賞味期限読取装置によれば、第1傾き角度決定手段が、画像の特徴点に対し、予め設定された第1検出角度範囲内にて変化させながら予め決められた角度分解能毎に演算を行って第1傾き角を決定し、第2傾き角度決定手段が、第1傾き角を中心に第1検出角度範囲よりも狭い第2検出角度範囲内にて変化させながら、画像の特徴点に対し、第1傾き角度決定手段における角度分解能よりも高い角度分解能毎に演算を行って第2傾き角を決定するので、高い角度分解能で検出角度範囲全般に亘って演算を行う場合に比して演算量を削減することができる。従って、商品に示された賞味期限表示の文字列の傾きの検出の高速化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である賞味期限読取装置が適用された自動販売機の構成を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である賞味期限読取装置が適用された自動販売機の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態である賞味期限読取装置の特徴的な構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示した傾き検出処理部の特徴的な構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】図5は、ハフ変換における原点までの距離や傾き角等を説明するための説明図である。
【図6】図6は、図3に示した賞味期限認識処理部の特徴的な構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】図7は、賞味期限読取装置の制御部が実施する処理内容を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図7に示す文字列傾き検出処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図8に示す第1傾き角決定処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図8に示す第2傾き角決定処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図7に示す賞味期限認識処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る賞味期限読取装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である賞味期限読取装置が適用された自動販売機の構成を示すものであり、図1は正面図、図2は内部構造を示す斜視図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのもので、自動販売機本体である本体キャビネット1を備えている。
【0016】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の断熱筐体として形成されたものである。この本体キャビネット1の内部には、断熱仕切板2により仕切られて複数の独立した商品収容庫3が左右に並ぶ態様で画成してある。これら商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのものである。各商品収容庫3には、それぞれの上方部に、商品投入口4を通じて投入された商品を収容するための商品収納ラック5が配設してある一方、商品シュータ6によって区画される下方部に、図示せぬ熱交換器が配設してあり、この熱交換器の駆動により、商品収納ラック5に収納された商品を所望の冷却温度、あるいは加熱温度に維持することが可能である。
【0017】
上記自動販売機には、本体キャビネット1の一側縁部に扉体7が設けてある。扉体7は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのもので、内扉7a及び外扉7bを備えて構成してある。内扉7aは、本体キャビネット1に設けた商品収容庫3の前面を覆うのに充分な大きさを有した断熱扉である。この内扉7aには、図には明示していないが、商品収納ラック5に収納された商品が払い出される際に通過する商品払出口、並びにこの商品払出口を開閉する商品払出扉が設けてある。
【0018】
外扉7bは、本体キャビネット1の前面開口を覆うのに充分な大きさを有したものである。この外扉7bには、その前面側にディスプレイウィンドウ8、商品選択ボタン9、硬貨投入口10、紙幣挿入口11、表示器12、硬貨返却口13及び商品取出口14が設けてある。一方、外扉7bの後面側には、制御ボックス15が設けてある。
【0019】
ディスプレイウィンドウ8は、内部に配設してある商品サンプル16及び電照板17を利用者に視認させるための窓である。商品選択ボタン9は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、ディスプレイウィンドウ8を通じて視認される商品サンプル16毎に用意してある。硬貨投入口10は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口10を通じて投入された硬貨は、図示せぬ硬貨処理機においてその金種が識別され、その後、硬貨回収箱(図示せず)に収容されることになる。紙幣挿入口11は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口11を通じて挿入された紙幣は、図示せぬ紙幣処理機においてその金種が識別されることになる。また上記紙幣挿入口11は、紙幣処理機において識別できなかった紙幣を返却するための機能を有している。表示器12は、貨幣の投入金額、販売中であるか否か、釣銭があるか否か等、各種情報を利用者に表示するためのものである。硬貨返却口13は、硬貨処理機において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。商品取出口14は、商品収納ラック5から払い出された商品を利用者が受け取るための開口である。
【0020】
上記自動販売機には、上記構成の他、賞味期限読取装置20が例えば制御ボックス15にケーブルを介して電気的に接続してある。図3は、本発明の実施の形態である賞味期限読取装置20の特徴的な構成を模式的に示すブロック図である。ここで例示する賞味期限読取装置20は、撮像部21及び制御部30を備えて構成してある。
【0021】
撮像部21は、商品の例えば底部分に記された賞味期限表示の文字列を撮像するためのもので撮像センサ211及びレンズ212を備えている。撮像センサ211は、レンズ212を介して得られた被写体の映像光を電気信号に変換するためのものである。本実施の形態においては、撮像センサ211にCCD(Charge Coupled Devices)素子を用いているが、本発明ではこれに限られずCCD素子の代わりにCMOS(Complementarily Metal Oxide Semiconductor)素子を用いても良く、またその他のものを用いても良い。ここで、CMOS素子は、CCD素子よりも高速に被写体の映像光を電気信号に変換できるので、被写体を撮影してから画像の合成処理を行うまでの時間を短縮することができるという利点がある。尚、本実施の形態においては、1つの撮像センサ211には1枚のレンズ212を組み合わせているが、本発明はこれに限られず、1つの撮像センサ211に2枚以上のレンズ212を組み合わせても良い。
【0022】
制御部30は、図示せぬ内蔵メモリ、あるいは記憶部40に記憶されるプログラムやデータにしたがって賞味期限読取装置20の動作を統括的に制御するものであり、入力処理部31、2値化処理部32、傾き検出処理部33、傾き補正部34、切出部35、賞味期限認識処理部36及び出力処理部37を備えて構成してある。
【0023】
入力処理部31は、撮像部21や制御ボックス15を介して撮像画像や種々の指令等の情報の入力処理を行うものである。2値化処理部32は、入力処理部31を通じて撮像部21からの賞味期限表示の文字列の画像にラプラシアンフィルタ処理を行ってから2値化処理を行うもので、グレースケール画像を2値画像にするものである。
【0024】
傾き検出部は、2値化処理を行った2値画像において賞味期限表示の文字列の傾きを検出するもので、図4に示すように、第1傾き角度決定部331と第2傾き角度決定部332とを有している。
【0025】
第1傾き角度決定部331及び第2傾き角度決定部332は、ともにハフ変換を用いて文字列の傾き角を決定するものである。ハフ変換は、図5に示すように、画像を構成する各画素について下記式(2)の演算を行い、原点からの距離ρと、傾き角θとで表されるρ−θ空間(ハフ空間)上の曲線(ハフ曲線)へ変換すると、直線を構成する画素から変換されたハフ曲線は一点で交わるので、ハフ曲線の交点のρとθとの組み合わせによって画素が構成する直線を一意に決定することができる。
【0026】
(式2)
ρ=xcosθ+ysinθ
【0027】
第1傾き角度決定部331は、主として、低レベルの角度分解能で所定の検出角度範囲にて上記式(2)の演算を行って第1傾き角を決定するもので、角度分解能設定部3311、検出角度範囲設定部3312、演算部3313及び第1傾き角決定処理部3314を備えている。
【0028】
角度分解能設定部3311は、制御ボックス15を介して図示せぬ入力手段から与えられた指令に基づき、あるいは記憶部40に記憶される情報に基づいて画像中の特徴点に対して行う角度分解能(Δθ)を設定するもので、本実施の形態においては、低分解能として10°に設定するものとする(Δθ=10°)。
【0029】
検出角度範囲設定部3312は、制御ボックス15を介して入力手段から与えられた指令に基づき、あるいは記憶部40に記憶される情報に基づいて第1検出角度範囲を設定するもので、本実施の形態においては、0°以上180°未満に設定するものとする(0°≦θ<180°)。
【0030】
演算部3313は、画像の特徴点に対し、第1検出角度範囲(0°≦θ<180°)内にて変化させながら角度低分解能(Δθ=10°)毎に演算を行うものである。第1傾き角決定処理部3314は、演算部3313による演算の結果、文字列の傾き角、すなわち第1傾き角(θ1)を決定するものである。
【0031】
第2傾き角度決定部332は、主として、高レベルの角度分解能で所定の検出角度範囲にて上記式(2)の演算を行って第2傾き角を決定するもので、角度分解能設定部3321、検出角度範囲設定部3322、演算部3323及び第2傾き角決定処理部3324を備えている。
【0032】
角度分解能設定部3321は、制御ボックス15を介して図示せぬ入力手段から与えられた指令に基づき、あるいは記憶部40に記憶される情報に基づいて画像中の特徴点に対して行う角度分解能(Δθ)を設定するもので、本実施の形態においては、高分解能として1°に設定するものとする(Δθ=1°)。
【0033】
検出角度範囲設定部3322は、制御ボックス15を介して入力手段から与えられた指令に基づき、あるいは記憶部40に記憶される情報に基づいて第2検出角度範囲を設定するもので、本実施の形態においては、第1傾き角度決定部331を通じて決定された第1傾き角±5°の範囲に設定するものとする((θ1−5°)≦θ<(θ1+5°))。
【0034】
演算部3323は、画像の特徴点に対し、第2検出角度範囲((θ1−5°)≦θ<(θ1+5°))内にて変化させながら角度低分解能(Δθ=1°)毎に演算を行うものである。第2傾き角決定処理部3324は、演算部3323による演算の結果、文字列の傾き角、すなわち第2傾き角を決定するものである。
【0035】
傾き補正部34は、傾き検出処理部33を通じて検出された賞味期限表示の文字列の傾きに応じて補正処理を行うものである。切出部35は、傾き補正部34により補正処理が行われた賞味期限表示の文字列の切り出しを行うとともに、切り出した文字列から更に1文字ずつ切り出しを行うものである。
【0036】
賞味期限認識処理部36は、切出部35を通じて1文字ずつ切り出した文字をそれぞれ認識して、賞味期限表示に示される賞味期限情報を認識するものであり、図6に示すように、文字パターン生成部361と、比較部362と、文字認識部363とを有している。
【0037】
文字パターン生成部361は、切り出された賞味期限表示の文字に対して複数の画像変形処理、例えば回転、膨張、収縮等を施して、複数の文字パターンを生成するものである。比較部362は、文字パターン生成部361で生成した文字パターンのそれぞれについて記憶部40に予め記憶してある文字情報と比較するものである。文字認識部363は、比較部362による比較の結果、最も一致率の高いものを認識文字として採用するものである。
【0038】
出力処理部37は、賞味期限認識処理部36を通じて認識した賞味期限情報を制御ボックス15に出力、あるいは記憶部40に出力して格納させるものである。
【0039】
図7〜図11は、それぞれ本実施の形態である賞味期限読取装置の制御部が実施する処理内容を示すフローチャートであり、図7は、賞味期限読取装置の制御部が実施する処理内容を示すフローチャート、図8は、図7に示す文字列傾き検出処理の処理内容を示すフローチャート、図9は、図8に示す第1傾き角決定処理の処理内容を示すフローチャート、図10は、図8に示す第2傾き角決定処理の処理内容を示すフローチャート、図11は、図7に示す賞味期限認識処理の処理内容を示すフローチャートである。これら図7〜図11を適宜用いて賞味期限読取装置20の制御部30が実施する処理について説明しながら、賞味期限読取装置20の動作について説明するものとする。
【0040】
賞味期限読取装置20の制御部30は、入力処理部31を通じて、撮像部21から商品に示された賞味期限表示の文字列の撮像画像を入力した場合(ステップS100:Yes)、2値化処理部32を通じて、賞味期限表示の文字列の画像にラプラシアンフィルタ処理を行ってから2値化処理を行い、グレースケール画像を2値画像にする(ステップS200)。
【0041】
2値化処理を行った制御部30は、傾き検出処理部33を通じて文字列傾き検出処理を実施する(ステップS300)。この文字列傾き検出処理について説明する。尚、この文字列の傾きの真値は42°とする。
【0042】
図8に示すように、制御部30は、第1傾き角決定処理を行う(ステップS310)。この第1傾き角決定処理において制御部30の第1傾き角度決定部331は、図9に示すように、角度分解能設定部3311を通じて角度分解能を設定する(ステップS311)。ここで角度分解能は、低分解能の10°と設定する。そして、第1傾き角度決定部331は、検出角度範囲設定部3312を通じて第1検出角度範囲を設定する(ステップS312)。ここでの第1検出角度範囲は、0°≦θ<180°と設定する。
【0043】
このように角度分解能及び第1検出角度範囲を設定した第1傾き角度決定部331は、演算部3313を通じて、画像中の全ての特徴点に対し、第1検出角度範囲(0°≦θ<180°)内にて変化させながら角度低分解能(Δθ=10°)毎に上記式(2)の演算を行った場合(ステップS313,ステップS314:Yes,ステップS315:Yes)、第1傾き角決定処理部3314を通じて第1傾き角(θ1)を決定する(ステップS316)。ここで第1傾き角は、45°とする(θ1=45°)。その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0044】
図8に示すように、第1傾き角決定処理を行った制御部30は、第2傾き角決定処理を行う(ステップS320)。この第2傾き角決定処理において制御部30の第2傾き角度決定部332は、図10に示すように、角度分解能設定部3321を通じて角度分解能を設定する(ステップS321)。ここで角度分解能は、高分解能の1°と設定する。そして、第2傾き角度決定部332は、検出角度範囲設定部3322を通じて第2検出角度範囲を設定する(ステップS322)。ここでの第2検出角度範囲は、第1傾き角度決定部331を通じて決定された第1傾き角(θ1=45°)±5°の範囲に設定する((θ1−5°)≦θ<(θ1+5°))。つまり、40°≦θ<50°と設定する。
【0045】
このように角度分解能及び第2検出角度範囲を設定した第2傾き角度決定部332は、演算部3323を通じて、画像中の全ての特徴点に対し、第2検出角度範囲(40°≦θ<50°)内にて変化させながら高分解能(Δθ=1°)毎に上記式(2)の演算を行った場合(ステップS323,ステップS324:Yes,ステップS325:Yes)、第2傾き角決定処理部3324を通じて第2傾き角(θ2)を決定する(ステップS326)。ここで第2傾き角は、42°とする(θ2=42°)。その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。そして、図8に示すように、第2傾き角決定処理を行った制御部30は、その後に手順をリターンさせて文字列傾き検出処理を終了する。
【0046】
文字列傾き検出処理を行った制御部30は、図7に示すように、傾き補正部34を通じて傾き検出処理部33を通じて検出された賞味期限表示の文字列の傾きに応じて補正処理を行い(ステップS400)、切出部35を通じて、傾き補正部34により補正処理が行われた賞味期限表示の文字列の切り出しを行うとともに、切り出した文字列から更に1文字ずつ切り出す処理を行う(ステップS500)。
【0047】
切出部35を通じて文字列から1文字ずつ切り出す処理を行った制御部30は、賞味期限認識処理部36及び出力処理部37を通じて、賞味期限認識処理を実施する(ステップS600)。この賞味期限認識処理について説明する。
【0048】
図11に示すように、賞味期限認識処理部36は、切り出し文字の入力がある場合(ステップS601:Yes)、文字パターン生成部361を通じて、切り出された賞味期限表示の文字(1文字)に対して複数の画像変形処理、例えば回転、膨張、収縮等を施して、複数の文字パターンを生成する(ステップS602)。具体的には、切り出された文字について+3°回転、−3°回転、膨張、並びに収縮の4つの画像変形処理を施して1文字につき例えば4つの文字パターンを生成する。
【0049】
文字パターンを生成した賞味期限認識処理部36は、比較部362を通じて記憶部40から文字情報を読み出した後、かかる文字情報と、それぞれの文字パターンとを比較する(ステップS603)。
【0050】
かかる比較を行った賞味期限認識処理部36は、文字認識部363を通じて、上記比較の結果最も一致率の高い文字を認識文字として採用する文字認識を行う(ステップS604)。このようなステップS601〜ステップS604における処理を全ての文字について行って認識完了した場合(ステップS605)、賞味期限認識部は、賞味期限表示に示される賞味期限情報を認識することができる。そして、かかる賞味期限情報を認識した制御部30は、出力処理部37を通じて記憶部40に格納し(ステップS606)、その後に手順をリターンさせて賞味期限認識処理を終了する。尚、上述したステップS606では、記憶部40に格納したが、その他に出力処理部37を通じて制御ボックス15に賞味期限情報を与えても良い。このようにして賞味期限認識処理を行った制御部30は、図7に示すように、今回の処理を終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態である賞味期限読取装置20においては、第1傾き角度決定部331が、画像の全ての特徴点に対し、第1検出角度範囲(0°≦θ<180°)内にて変化させながら低分解能(Δθ=10°)毎に演算を行って第1傾き角(θ1)を決定するので、演算回数を一画素当たり18回にすることができる。そして、第2傾き角度決定部332が、第1傾き角(θ1=45°)を中心に第1検出角度範囲よりも狭い第2検出角度範囲(40°≦θ<50°)内にて変化させながら、画像の全ての特徴点に対し、高分解能(Δθ=1°)毎に演算を行って第2傾き角(θ2)を決定するので、演算回数を一画素当たり10回にすることができる。つまり、0°から180°までの検出範囲では低分解能毎に演算を行っておおよその第1傾き角を決定し、この第1傾き角を含む限定的な検出範囲では高分解能毎に演算を行って真の傾き角である第2傾き角を決定している。よって従来のように角度分解能を1°のままにして検出角度範囲(0°≦θ<180°)内で演算を行う場合に比して一画素当たりの演算回数を大幅に低減させることができ、全ての特徴点に換算すると、更に演算回数を低減させることができる。しかも検出角度範囲を特定の範囲のみに限定せずに、0°から180°までの範囲で行っているので汎用性も高い。従って、本実施の形態である賞味期限読取装置20によれば、商品に示された賞味期限表示の文字列の傾きの検出の高速化を図ることができる。
【0052】
上記賞味期限読取装置20によれば、切り出された賞味期限表示の文字に対して複数の画像変形処理を施して、複数の文字パターンを生成し、生成された複数の文字パターンのそれぞれに対して、予め記憶してある文字情報と比較し、最も一致率の高いものを認識文字として採用することにより賞味期限情報を認識しているので、撮像部21による賞味期限表示が最良の状態で行われず、文字が傾いたり、潰れたり、かすれが発生していたりしても、十分に高い精度で賞味期限情報の認識を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明に係る賞味期限読取装置は、例えば缶入り飲料、瓶入り飲料及びペットボトル入り飲料等の各種商品に示された賞味期限情報の読み取りを行うのに有用である。
【符号の説明】
【0054】
20 賞味期限読取装置
21 撮像部
211 撮像センサ
212 レンズ
30 制御部
31 入力処理部
32 2値化処理部
33 傾き検出処理部
331 第1傾き角度決定部
3311 角度分解能設定部
3312 検出角度範囲設定部
3313 演算部
3314 第1傾き角決定処理部
332 第2傾き角度決定部
3321 角度分解能設定部
3322 検出角度範囲設定部
3323 演算部
3324 第2傾き角決定処理部
34 傾き補正部
35 切出部
36 賞味期限認識処理部
361 文字パターン生成部
362 比較部
363 文字認識部
37 出力処理部
40 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に示された賞味期限表示の画像を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された画像における賞味期限表示の文字列の傾きを、ハフ変換を用いて検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段の検出結果に応じて補正され、かつ切り出された賞味期限表示の文字を認識する賞味期限認識手段と
を備え、
前記賞味期限表示により示される賞味期限情報の読み取りを行う賞味期限読取装置であって、
前記傾き検出手段は、
前記画像の特徴点に対し、予め設定された第1検出角度範囲内にて変化させながら予め決められた角度分解能毎に演算を行って第1傾き角を決定する第1傾き角度決定手段と、
前記第1傾き角を中心に前記第1検出角度範囲よりも狭い第2検出角度範囲内にて変化させながら、前記画像の特徴点に対し、前記第1傾き角度決定手段における角度分解能よりも高い角度分解能毎に演算を行って第2傾き角を決定する第2傾き角度決定手段と
を備えたことを特徴とする賞味期限読取装置。
【請求項2】
前記賞味期限認識手段は、
切り出された賞味期限表示の文字に対して複数の画像変形処理を施して、複数の文字パターンを生成する文字パターン生成手段と、
前記文字パターン生成手段により生成された複数の文字パターンのそれぞれに対して、予め記憶してある文字情報と比較し、最も一致率の高いものを認識文字として採用する文字認識手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の賞味期限読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−28499(P2011−28499A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173360(P2009−173360)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】