説明

賦形剤及び該賦形剤を用いる濃縮漢方薬の製造方法

【課題】本発明は賦形剤及び該賦形剤を用いる濃縮漢方薬の製造方法に関する。
【解決手段】本発明の製造方法は以下のステップを含む;(a)漢方薬原料を提供するステップ;(b)前記漢方薬原料を抽出して抽出液を得るステップ;(c)前記抽出液を濃縮して濃縮液を得るステップ;(d)賦形剤の1〜99重量%のカプセル化剤と、賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物と、を含有する賦形剤を前記濃縮液へ添加し造粒し、乾燥させて漢方薬製剤を得るステップ。
それにより、澱粉の使用量の低減が可能になり、さらに、得られた濃縮漢方薬製剤は完全に水に溶ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賦形剤及び該賦形剤を用いる濃縮漢方薬の製造方法に関し、特に、カプセル化剤と澱粉分解物とを含有する賦形剤及び該賦形剤を用いる濃縮漢方薬の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の生物化学技術の発展に伴い、漢方薬の用途が広まってきた。従来の漢方薬の湯剤、丸剤、散剤、膏剤、丹剤、酒剤、露剤、錠剤などのような剤型と違い、現在の漢方薬は散剤(Powder)、顆粒(Granule)、カプセル(Capsule)、錠剤(Tablet)、液剤、貼付薬などの剤型を有する。科学の発展に伴い、台湾の漢方薬工場は既にGMP制度を実施し、質の高い製品を得ている。
【0003】
従来の濃縮漢方薬の製造方法のフローチャートである図1を参照する。まず、ステップS101は漢方薬原料の提供である。本発明における「漢方薬原料」は、例えば「医宗金鑑」、「医方集解」、「本草綱目」、「中国医学大辞典」または「太平恵民和剤局方」などの文献に出処のある品名か処方薬であり、公的に認められている漢方薬製剤である。
【0004】
ステップS102は前記漢方薬原料の前処理であり、通常、外観性および味の鑑定、薬の材料成分の確認、洗浄、処方調製などを含む。
【0005】
ステップS103は水を加えて煎煮することによる抽出である。該ステップでは、多量の水、または酒と水を半々にしたものを加え煎煮し、さらに、約100℃の温度で前記漢方薬原料を煎煮することにより、例えば炭水化物、グルコシド類、有機酸、フェノール類、アルカロイドなど、前記漢方薬原料での指標成分または活性成分を抽出する。
【0006】
ステップS104は濃縮ステップであり、前記ステップS103による抽出液を加熱し、水分蒸発によりその濃度を高め、濃縮液を得る。
【0007】
ステップS105は造粒ステップであり、前記濃縮液と賦形剤を混合造粒装置に入れ、所定の時間混合させ、顆粒状に形成する。通常、前記賦形剤は澱粉である。
【0008】
ステップS106は乾燥ステップであり、前記ステップS105による顆粒を所定の時間乾燥させる。
【0009】
ステップS107は、例えば散剤、顆粒、カプセル、錠剤などの必要な剤型に作製する。最後のステップS108は包装ステップであり、ステップS107による剤型のものを製品に包装し、販売する。
【0010】
この従来の製造方法の欠点としては、前記ステップS105で添加された賦形剤が澱粉のみであり、通常、その添加量が十分でないと期待する成型効果が得られない。しかし、澱粉の添加量が多過ぎると、漢方薬の有効成分の吸収および代謝に影響を与えてしまい、また最終製品も完全に水に溶けず沈殿物が出てしまい、喉ごしがあまりよくない。
【0011】
特許文献1の「濃縮漢方薬製剤及びその製造方法」には、例えば蔗糖脂肪酸エステル(Sucrose fatty acid esters)、ソルビタン脂肪酸エステル(Sorbitan fatty acid esters)、グリセリン脂肪酸エステル(Glycerin fatty acid esters)の界面活性剤かその混合物を賦形剤にする製造方法を開示したが、その効果に大きな改善はやはり見られないようである。
【0012】
【特許文献1】台湾特許公告第457091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
よって、前記課題を解決するためには、進歩性のある新たな賦形剤及び該賦形剤を用いる濃縮漢方薬の製造方法の提供が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主要なる目的は、(a)漢方薬原料を提供するステップ、(b)前記漢方薬原料を抽出して抽出液を得るステップ、(c)前記抽出液を濃縮して濃縮液を得るステップ、及び(d)賦形剤の1〜99重量%のカプセル化剤と、賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物と、を含有する賦形剤を前記濃縮液へ添加し、造粒し、乾燥させて濃縮漢方薬製剤を得るステップ、を含む濃縮漢方薬の製造方法の提供である。それにより、澱粉の使用量の低減が可能になり、その効果も澱粉のみの添加の場合よりよい。また、本発明の完成品は、水に溶けた後、還元及び急冷プロセスに基づく煎じ薬のような口当たりがある。また、本発明は更に活性を高め、安全で効果があり、吸収されやすく、完全溶解できて沈殿物が無い、というメリットがある。本発明の製品は新たな成分であり、かつ新しい用途(お湯を入れて飲む)を有する。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、濃縮漢方薬の製造方法に用いられる、賦形剤の1〜99重量%のカプセル化剤と、賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物と、を含有する賦形剤を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における「漢方薬原料」は、例えば「医宗金鑑」、「医方集解」、「本草綱目」、「中国医学大辞典」、または「太平恵民和剤局方」などの文献に出処のある品名か処方薬であり、公的に認められている漢方薬製剤である。
【0017】
本発明の濃縮漢方薬の製造方法の第1実施例のフローチャートである図2を参照する。まず、ステップS201は漢方薬原料の提供である。そして、ステップS202は前記漢方薬原料の前処理であり、通常、外観性および味の鑑定、薬の材料成分の確認、洗浄、処方調製などを含む。前記前処理のステップで、更に均質機により前記漢方薬原料を粉砕、混合させて、4〜200meshの漢方薬原料を用いることが好ましい。
【0018】
ステップS203は前記漢方薬原料を抽出して、抽出液を得る。一実施例では、超臨界二酸化炭素により前記漢方薬原料を抽出するが、その圧力は1大気圧以上である。別の実施例では、水、または酒と水を半々にしたものを加え、前記漢方薬原料を煎煮し抽出する。その抽出液には、炭水化物、グルコシド類、有機酸など、該漢方薬原料の指標成分または活性成分が多く含まれている。
【0019】
ステップS204は濃縮ステップであり、前記ステップS203による抽出液を加熱または濾過し、水分蒸発によりその濃度を高め、濃縮液(もしくは「エキス」と称する)を得る。前記ステップS203による抽出液を遠心濾過してから、低温(60℃以下)の減圧濃縮機で濃縮を行うのが好ましい。
【0020】
ステップS205は造粒ステップであり、前記ステップS204による濃縮液と賦形剤を所定の時間で混合させた後、真空、熱風を利用し、またはゆっくりと乾燥機に噴入することにより、顆粒状に形成する。本実施例では、前記賦形剤は、該賦形剤の1〜99重量%のカプセル化剤と、該賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物とを含有する。前記賦形剤の添加量は前記濃縮液での固形物の割合に相当する。例を挙げると、前記濃縮液での固形物が1〜15重量%の場合、そのカプセル化剤の添加量は該固形物の約1〜15重量%である。前記濃縮液での固形物が16〜29重量%の場合、前記賦形剤の添加量により、前記カプセル化剤を当該固形物の約16〜29重量%にすることが必要である。前記濃縮液での固形物が30〜39重量%の場合、前記賦形剤の添加量により、前記カプセル化剤を当該固形物の約30〜39重量%にすることが必要である。前記濃縮液での固形物が40〜49重量%の場合、前記賦形剤の添加量により、前記カプセル化剤を当該固形物の約40〜49重量%にすることが必要である。
【0021】
前記カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メチルセルロースのプロピレングリコールエーテル)(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)及びその混合物からなる群から選択されるものである。
【0022】
前記澱粉分解物は、マルトデキストリン、シクロデキストリン及びその混合物からなる群から選択されるものである。この澱粉分解物の添加量は特に制限されない。
【0023】
ステップS206は乾燥ステップであり、前記ステップS205による顆粒を所定の時間乾燥させる。前記の乾燥後の顆粒は更にふるいで仕分けるのが好ましい。
【0024】
ステップS207は前記の乾燥後の顆粒を、例えば散剤、顆粒、カプセル、錠剤などの必要な剤型に作製する。最後のステップS208は包装ステップであり、ステップS207による剤型のものを製品に包装し、販売する。
【0025】
本発明は、用いられる賦形剤がカプセル化剤と澱粉分解物とを含有する点で優れている。それにより、澱粉の使用量の低減が可能になり、その効果も澱粉のみの添加の場合よりよい。また、本発明の完成品は、水に溶けた後、還元及び急冷プロセスに基づく煎じ薬のような口当たりがある。また、本発明は更に活性を高め、安全で効果があり、吸収されやすく、完全溶解できて沈殿物が無い、というメリットがある。本発明の製品は新たな成分であり、新しい用途(お湯を入れて飲む)を有する。
【0026】
本発明の濃縮漢方薬の製造方法の第2実施例のフローチャートである図3を参照する。まず、ステップS301は漢方薬原料の提供である。そして、ステップS302は前記漢方薬原料の前処理であり、通常、外観性および味の鑑定、薬の材料成分の確認、洗浄、処方調製などを含む。
【0027】
ステップS303は前記漢方薬原料を抽出して、抽出液を得る。一実施例では、超臨界二酸化炭素により前記漢方薬原料を抽出するが、その圧力は1大気圧以上である。別の実施例では、水、または酒と水を半々にしたものを加え、前記漢方薬原料を煎煮し抽出する。その抽出液には、炭水化物、グルコシド類、有機酸など、該漢方薬原料の指標成分または活性成分が多く含まれている。
【0028】
ステップS304は濃縮ステップであり、前記ステップS303による抽出液を加熱または濾過し、水分蒸発によりその濃度を高め、濃縮液を得る。前記ステップS303による抽出液を遠心濾過してから、低温の減圧濃縮機で濃縮を行うのが好ましい。
【0029】
ステップS305は混合ステップであり、前記ステップS304による濃縮液と第1カプセル化剤をよく混合させる。前記第1カプセル化剤の添加量は前記濃縮液での固形物の割合に相当する。例を挙げると、前記濃縮液での固形物が1〜15重量%の場合、前記第1カプセル化剤の添加量は該固形物の約1〜15重量%である。前記濃縮液での固形物が16〜29重量%の場合、前記第1カプセル化剤の添加量は該固形物の約16〜29重量%である。前記濃縮液での固形物が30〜39重量%の場合、前記第1カプセル化剤の添加量は該固形物の約30〜39重量%である。前記濃縮液での固形物が40〜49重量%の場合、前記第1カプセル化剤の添加量は該固形物の約40〜49重量%である。
【0030】
前記第1カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メチルセルロースのプロピレングリコールエーテル)(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)及びその混合物からなる群から選択されるものである。
【0031】
ステップS306は造粒ステップであり、噴霧乾燥機に賦形剤、または単独で前記澱粉分解物または澱粉を投入する。本実施例では、前記賦形剤は該賦形剤の1〜99重量%の第2カプセル化剤と、該賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物とを含有する。前記賦形剤及び前記第2カプセル化剤の添加量は特に制限されない。
【0032】
前記第2カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メチルセルロースのプロピレングリコールエーテル)(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(TR)及びその混合物からなる群から選択されものである。注意すべきなのは、前記第2カプセル化剤が前記第1カプセル化剤と同一でもよいし、同一でなくてもよい。前記澱粉分解物は、マルトデキストリン、シクロデキストリン及びその混合物からなる群から選択されるものである。この澱粉分解物の添加量は特に制限されない。
【0033】
ステップS305による濃縮液をゆっくりと前記噴霧乾燥機に噴入して、顆粒状に形成する。
【0034】
ステップS307は乾燥ステップで、前記ステップS306による顆粒を所定の時間で乾燥させる。乾燥後の顆粒を更にふるいで仕分けるのが好ましい。
【0035】
ステップS308は前記の乾燥後の顆粒を、例えば散剤、顆粒、カプセル、錠剤などの必要な剤型に作製する。最後のステップS309は包装ステップであり、ステップS308による剤型のものを製品に包装し、販売する。
【0036】
以下、実施例に従って本発明を詳しく説明するが、本発明は以下の開示した内容に限られるものではない。
【実施例1】
【0037】
響声破笛丸(Hsiang Sheng Po Ti Wan)の製造方法
本実施例の漢方薬原料の材料組成は以下の通りであった。
ミント Peppermint 1800グラム
センキュウ Chuanxiong Rhizome 1200グラム
レンギョウ Forsythia Fruit 1200グラム
カンゾウ Glycyrrhiza 900グラム
ジチャ Commom Cephalanoplos Herb 900グラム
キキョウ Platycodon Root 900グラム
ダイオウ Rhubarb 450グラム
サジン Villous Amomum Fruit 450グラム
カシ Medicine Terminalia Fruit 450グラム
【0038】
ステップは以下の通りであった。
1.前記薬の材料を前処理した後、8.25キログラムの材料に対して82.5リットル〜250リットルの純水を加え数時間加熱・煮沸してから遠心濾過することにより、抽出液を得た。
2.前記ステップ1による抽出液を温度60℃以下の減圧濃縮機で濃縮して、約5キログラムの濃縮液を得た。
3.前記ステップ2による約5キログラムの濃縮液、及び270グラムのカプセル化剤と200グラムの澱粉分解物とを含有する賦形剤をよく混合した。前記濃縮液は約5キログラムで、その中の固形物は約20重量パーセントであったため、前記カプセル化剤の添加量は5000×20%×27%=270グラムとした。前記カプセル化剤は糊化澱粉、ジェランガム、アカシア、カラギーナンを含有した。前記澱粉分解物はマルトデキストリンであったが、その添加量は特に制限されず、濃縮倍数または味(口当たり)により調整できた。
4.前記ステップ3による濃縮液を真空、熱風を利用するかゆっくりと乾燥機に噴入することにより、顆粒状に形成した。噴入した後は続いて30分間乾燥した。
5.乾燥後の顆粒を20mesh及び100meshのふるいで仕分け、20〜100meshの顆粒を選び、顆粒製品を作製した。
6.ステップ5による顆粒製品から打錠機にて錠剤製品を作製した。
7.ステップ6による錠剤製品を包装した。
【実施例2】
【0039】
響声破笛丸(Hsiang Sheng Po Ti Wan)の製造方法
本実施例の漢方薬原料の材料組成は以下の通りであった。
ミント Peppermint 1800グラム
センキュウ Chuanxiong Rhizome 1200グラム
レンギョウ Forsythia Fruit 1200グラム
カンゾウ Glycyrrhiza 900グラム
ジチャ Commom Cephalanoplos Herb 900グラム
キキョウ Platycodon Root 900グラム
ダイオウ Rhubarb 450グラム
サジン Villous Amomum Fruit 450グラム
カシ Medicine Terminalia Fruit 450グラム
【0040】
ステップは以下の通りであった。
1.前記薬の材料を前処理した後、8.25キログラムの材料に対して82.5リットル〜250リットルの純水を加え数時間加熱・煮沸してから遠心濾過することにより、抽出液を得た。
2.前記ステップ1による抽出液を温度60℃以下の減圧濃縮機で濃縮して、約5キログラムの濃縮液を得た。
3.前記ステップ2による約5キログラムの濃縮液、及び270グラムの第1カプセル化剤をよく混合した。前記濃縮液は約5キログラムで、その中の固形物は約20重量パーセントであったため、前記第1カプセル化剤の添加量は5000×20%×27%=270グラムとした。前記第1カプセル化剤は糊化澱粉、ジェランガム、アカシア、カラギーナンを含有した。
4.噴霧乾燥機に、1250グラムの第2カプセル化剤と1250グラムの澱粉分解物を含有する2500グラムの賦形剤を投入した。前記第2カプセル化剤の添加量は、およそ濃縮液の四分の一であった。前記第2カプセル化剤は糊化澱粉、ジェランガム、アカシア、カラギーナンを含有した。前記澱粉分解物はマルトデキストリンであったが、その添加量は特に制限されず、濃縮倍数または味(口当たり)により調整できた。
5.前記ステップ3による濃縮液をゆっくりと前記噴霧乾燥機に噴入して、顆粒状に形成した。吹き入れた後は続いて30分間乾燥した。
6.乾燥後の顆粒を20mesh及び100meshのふるいで仕分け、20〜100meshの顆粒を選び、顆粒製品を作製した。
7.ステップ6による顆粒製品から打錠機にて錠剤製品を作製した。
8.ステップ7による錠剤製品を包装した。
【実施例3】
【0041】
川▲弓▼茶調散(Chuan Chiong Char Tiao San)の製造方法(▲弓▼はくさかんむりに弓)
本実施例の漢方薬原料の材料組成は以下の通りであった。
ミント Peppermint 1600グラム
センキュウ Chuanxiong Rhizome 800グラム
ケイガイ Schizonepeta Herb 800グラム
ビャクシ Dahurian Angelica Root 400グラム
カンゾウ Glycyrrhiza 400グラム
キョウカツ Notopterygium Rhizome 400グラム ダイオウ Rhubarb 450グラム
ボウフウ Saposhnikovia Root 300グラム
サイシン Asarum Herb 200グラム
【0042】
ステップは以下の通りであった。
1.前記薬の材料を前処理した後、4.9キログラムの材料に対して49リットル〜145リットルの純水を加え数時間加熱・煮沸してから遠心濾過することにより、抽出液を得た。
2.前記ステップ1による抽出液を温度60℃以下の減圧濃縮機で濃縮して、約2.5キログラムの濃縮液を得た。
3.前記ステップ2による約2.5キログラムの濃縮液、及び135グラムのカプセル化剤と90グラムの澱粉分解物とを含有する賦形剤をよく混合した。前記濃縮液は約2.5キログラムで、その中の固形物は約20重量パーセントであったため、前記カプセル化剤の添加量は2500×20%×27%=135グラムとした。前記カプセル化剤は糊化澱粉、ジェランガム、アカシア、カラギーナンを含有した。前記澱粉分解物はマルトデキストリンであったが、その添加量は特に制限されず、濃縮倍数または味(口当たり)により調整できた。
4.前記ステップ3による濃縮液を真空、熱風を利用するかゆっくりと乾燥機に噴入することにより、顆粒状に形成した。噴入した後は続いて30分間乾燥した。
5.乾燥後の顆粒を20mesh及び100meshのふるいで仕分け、20〜100meshの顆粒を選び、顆粒製品を作製した。
6.ステップ5による顆粒製品から打錠機にて錠剤製品を作製した。
7.ステップ6による錠剤製品を包装した。
【実施例4】
【0043】
川▲弓▼茶調散(Chuan Chiong Char Tiao San)の製造方法(▲弓▼はくさかんむりに弓)
本実施例の漢方薬原料の材料組成は以下の通りであった。
ミント Peppermint 1600グラム
センキュウ Chuanxiong Rhizome 800グラム
ケイガイ Schizonepeta Herb 800グラム
ビャクシ Dahurian Angelica Root 400グラム
カンゾウ Glycyrrhiza 400グラム
キョウカツ Notopterygium Rhizome 400グラム
ダイオウ Rhubarb 450グラム
ボウフウ Saposhnikovia Root 300グラム
サイシン Asarum Herb 200グラム
【0044】
ステップは以下の通りであった。
1.前記薬の材料を前処理した後、4.9キログラムの材料に対して49リットル〜145リットルの純水を加え数時間加熱・煮沸してから遠心濾過することにより、抽出液を得た。
2.前記ステップ1による抽出液を温度60℃以下の減圧濃縮機で濃縮して、約2.5キログラムの濃縮液を得た。
3.前記ステップ2による約2.5キログラムの濃縮液、及び135グラムの第1カプセル化剤をよく混合した。前記濃縮液は約2.5キログラムで、その中の固形物は約20重量パーセントであったため、前記第1カプセル化剤の添加量は2500×20%×27%=135グラムとした。前記第1カプセル化剤は糊化澱粉、ジェランガム、アカシア、カラギーナンを含有した。
4.噴霧乾燥機に、625グラムの第2カプセル化剤と625グラムの澱粉分解物とを含有する1250グラムの賦形剤を投入した。前記第2カプセル化剤の添加量は、およそ濃縮液の四分の一であった。前記第2カプセル化剤は糊化澱粉、ジェランガム、アカシア、カラギーナンを含有した。前記澱粉分解物はマルトデキストリンであったが、その添加量は特に制限されず、濃縮倍数または味(口当たり)により調整できた。
5.前記ステップ3による濃縮液をゆっくりと前記噴霧乾燥機に噴入して、顆粒状に形成した。噴入した後は続いて30分間乾燥した。
6.乾燥後の顆粒を20mesh及び100meshのふるいで仕分け、20〜100meshの顆粒を選び、顆粒製品を作製した。
7.ステップ6による顆粒製品から打錠機にて錠剤製品を作製した。
8.ステップ7による錠剤製品を包装した。
【0045】
なお、前記の実施例は本発明の原理及びその効力を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。そのため、当業者による前記実施例に対する改良・変更も、本発明の要旨から逸脱するものではない。本発明に対する権利範囲は、特許請求の範囲で開示されている通りである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の濃縮漢方薬の製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明の濃縮漢方薬の製造方法の第1実施例のフローチャートである。
【図3】本発明の濃縮漢方薬の製造方法の第2実施例のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)漢方薬原料を提供するステップと、
(b)前記漢方薬原料を抽出して抽出液を得るステップと、
(c)前記抽出液を濃縮して濃縮液を得るステップと、
(d)賦形剤の1〜99重量%のカプセル化剤と、賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物と、を含有する賦形剤を前記濃縮液へ添加し、造粒し、乾燥させて濃縮漢方薬製剤を得るステップと、
を含むことを特徴とする濃縮漢方薬の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)の次に、更に前記漢方薬原料を前処理するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、超臨界二酸化炭素により前記漢方薬原料を抽出することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)は、1大気圧以上で行うことを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)は、水添加で煎煮することにより前記漢方薬原料を抽出することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)による抽出液は炭水化物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)による抽出液はグルコシド類を含有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)は、前記濃縮液を濾過することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)は、前記濃縮液を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)の次に、更にカプセル化剤を前記濃縮液に添加し、前記カプセル化剤と前記濃縮液を混合させるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ステップ(d)での澱粉分解物は、マルトデキストリン、シクロデキストリン及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
(a)漢方薬原料を提供するステップと、
(b)前記漢方薬原料を抽出して抽出液を得るステップと、
(c)前記抽出液を濃縮して濃縮液を得るステップと、
(d)前記濃縮液に第1カプセル化剤を添加し、前記第1カプセル化剤と前記濃縮液とを混合するステップと、
(e)賦形剤、澱粉または澱粉分解物を前記濃縮液へ添加し、造粒し、乾燥させて漢方薬製剤を得るステップと、
を含むことを特徴とする濃縮漢方薬の製造方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)の次に、更に前記漢方薬原料を前処理するステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記ステップ(b)は、超臨界二酸化炭素により前記漢方薬原料を抽出することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記ステップ(b)は、1大気圧以上で行うことを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記ステップ(b)は、水添加で煎煮することにより前記漢方薬原料を抽出することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記ステップ(b)による抽出液は炭水化物を含有することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項19】
前記ステップ(b)による抽出液はグルコシド類を含有することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項20】
前記ステップ(c)は、前記濃縮液を濾過することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項21】
前記ステップ(c)は、前記濃縮液を加熱することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項22】
前記ステップ(d)での第1カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項23】
前記ステップ(e)での賦形剤は、該賦形剤の1〜99重量%の第2カプセル化剤と、該賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物と、を含有することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項24】
前記第2カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記ステップ(e)での澱粉分解物は、マルトデキストリン、シクロデキストリン及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項26】
濃縮漢方薬の製造方法に用いられる賦形剤であって、該賦形剤の1〜99重量%のカプセル化剤と、該賦形剤の1〜99重量%の澱粉分解物と、を含有することを特徴とする賦形剤。
【請求項27】
前記カプセル化剤は、糊化澱粉(Gelatinized Starch(Alkaline Treated Starch))、ジェランガム(Gellan Gum)、カードラン(Curdlan)、アルギン酸(Alginic Acid)、アカシア(Acacia)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose(Propylene Glycol Ether of Methylcellulose))、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、カラギーナン(Carrageenan)、キサンタンガム(Xanthan Gum)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の賦形剤。
【請求項28】
前記澱粉分解物は、マルトデキストリン、シクロデキストリン及びその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の賦形剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−229314(P2008−229314A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286578(P2007−286578)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(507364609)カイザー ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】