説明

質量分析によって少なくとも一つの微生物を特徴づける方法

本発明は、少なくとも一つの微生物を同定して、タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する潜在的耐性および毒性因子の特性を決定することを含む、試料から少なくとも一つの微生物を特徴づける方法であって、前記少なくとも一つの微生物についてタイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性、および毒性因子の特性を決定することが、タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性および毒性因子の前記特性のマーカーとして、タンパク質、ペプチドおよび/または代謝産物を使用する質量分析によって実施することを特徴とする、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は質量分析を使用して試料から微生物を特徴づけることに関する。
【0002】
パスツールによる微生物の発見以来、微生物は、顕微鏡分析と生化学分析によって研究されてきた。これらの従来法は大抵、長く面倒であり、分析の代替法が間もなく求められた。したがって、質量分析による細菌の解析は、1975年という早い時期にJ. Anhalt and C. Fenselauによって始まった。
【0003】
これらの初期研究の後に、質量分析(GC−MS)と組合わせたガスクロマトグラフィーによる微生物細胞壁脂肪酸の研究が続いた(文献2)。この方法は、脂肪酸メチルエステルについてのFAMEの名で普及した。現在、それは分類学研究の参照方法となっている。しかしながら、その使用は、鹸化、加水分解及び誘導による試料の処理を習得した特定の実験技術者に限られたままである。
【0004】
1996年のM. Claydonの仕事(文献3)及びT. Krishnamurthy and P. Ross(文献4)の仕事は、MALDI−TOF(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization - Time Of Flight)型の質量分析により、さまざまな細菌種を同定できることを示した。分析は、マススペクトルの獲得と専門ソフトウェアによる解釈を組合わせている。それは極めて単純であり、数分で実施することができる。しかしながら、それは医療診断実験室にごく最近広がるようになったばかりである(文献5)。その臨床使用は、現在、細菌及び酵母の種の同定に限られている。それは、タイピングのためにも、抗菌物質への耐性を同定するためにも、また毒性を分析するためにも使われない。
【0005】
しかしながら、微生物の特徴づけは、臨床分野及び産業分野の両方において基本となる。したがって、例えば、抗生物質のような抗菌物質に対する耐性の同定及び毒性因子の検出は、患者の最適な治療を確実にするための不可欠な要素である。同様に、タイピングは、疫学的研究及び院内疾患と戦うために重要である。
【0006】
質量分析の他の方法は、特定のタンデム型質量分析において、これらの要求を満たすために提案された。例えば、四重極−TOF(Q−TOF)によるβ−ラクタマーゼの同定に関するC. Fenselau et al.の仕事(文献6)、三連四重極によるブドウ球菌エンテロトキシンC2(病原性因子SEC2)の検出に関するD. Ding et al.(文献7)の仕事、又は他にQ−TOFによるクロストリジウム属のタイピングに関するR. Everley et al.の仕事(文献8)を挙げることができる。
【0007】
しかしながら、これらの研究結果は、ルーチンの臨床用途には適用できない。それらは、高い能力のスタッフを必要する調査計測器で得られた。大抵1試料につき1時間以上の解析時間は、微生物の試験実験室の作業負荷と適合しない。最後に、さまざまなチームによって得られたデータは、特定の問題には答えるが、全ての臨床要求に同時には応答しない。
【0008】
近年、S. Hofstadler et al.は、全ての臨床要求を満たす方法を提案した(文献9)。彼らは、PCRによる微生物ゲノムの増幅とエレクトロスプレー−TOF(ESI−TOF)によるPCR産物の検出を組合わせている。この方法は、現在、完全自動化されている(文献10)。しかしながら、分子生物学に固有の欠陥(すなわちプローブのコスト、抽出収率等)を有するPCR増幅を必要とする。
【0009】
これに関連して、本発明の目的は微生物を特徴づける方法、すなわち少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性と毒性因子のタイピングの特性を同定して決定する方法を提案することであり、それは従来法の欠点を解決することを可能にし、すなわち各々の種に特異的な試薬を使用しない、特に分子生物学方法と比較して安価で、1時間未満の短い時間で結果を与え、高い能力のあるスタッフを必要とせず、臨床でルーチンに使用することができる方法を提供する。さらにまた、微生物を特徴づける方法の全体は、同じ質量分析法により有利に実施することができ、それによって微生物の試験実験室の機器類を単純化する。
【0010】
このために、本発明は試料から少なくとも一つの微生物を特徴づける新規な方法であって、それは前記少なくとも一つの微生物を同定すること、及びタイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する潜在的な耐性及び毒性因子の特性を決定することを含み、前記少なくとも一つの微生物について、タイピング、少なくとも一つの抗菌物質及び病原性因子に対する耐性の特性の測定が、タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性及び病原性因子の前記特性のマーカーとして、タンパク質、ペプチドおよび/または代謝産物を使用する質量分析により実施することを特徴とする方法を提供する。
【0011】
従って、本発明の方法は、微生物を特徴づけるための特性のうちの少なくとも3つが、特徴付けされる微生物を代表するタンパク質、ペプチド又は代謝産物をマーカーとして使用する質量分析技術によって行われる。
【0012】
本発明の方法によって特徴づけることができる微生物は、産業及び臨床で遭遇する全ての病原性又は非病原性の微生物である。それらは、細菌、ウイルス、原生動物または酵母であってもよい。
「タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性及び毒性因子の特性のマーカー」なる表現は、前記特性の特徴である、タンパク質又は代謝起源の分子を意味する。
「微生物をタイピングする」なる表現は、同じ種の範囲内でいくつかの菌株の区別を意味することを目的とする。タイピングは疫学的価値を有しており、臨床医は、患者から単離された菌株が、他の患者から又は環境から単離した他の菌株と明らかに同一で、同じ源に由来するかどうかを知ることができる。したがって、これは食中毒時又は院内での感染源を明らかにすることを可能にする。細菌の特性をタイピングするためのマーカーの非限定的な例として、特有の突然変異、例えば大腸菌のadk、fumC、gyrB、icd、mdh、purA及びrecA遺伝子の転写産物、及び黄色ブドウ球菌のarc、aroE、glpF、gmk、pta、tpi及びyqiL遺伝子の転写生成物を有するペプチドを挙げることができる。原生動物の特性をタイピングするマーカーの非限定的な例として、赤痢アメーバとエントアメーバ・ディスパーのキチナーゼ遺伝子の産物を挙げることができる。ウイルスの特性をタイピングするマーカーの非限定的な例として、ヒト免疫不全ウイルスのポリメラーゼ遺伝子の産物を挙げることができる。最後に、酵母の特性をタイピングするマーカーの非限定的な例として、カンジダ・アルビカンスのaat1a、acc1、adp1、mpib、sya1、vps13及びzwf1b遺伝子断片の転写産物を挙げることができる。
【0013】
「少なくとも一つの抗菌物質への耐性を測定する」なる表現は、抗菌物質により破壊されることへの微生物の感受性を決定することを意味する。したがって、微生物が細菌である場合には細菌が耐性を発現する抗菌物質は抗生物質であり、原生動物である場合に抗菌物質は駆虫剤であり、ウイルスである場合に抗菌物質は抗ウイルス剤であり、酵母である場合に抗菌物質は抗真菌薬である。耐性機構に関与するタンパク質は、系統と種によって異なる。細菌で有用である少なくとも一つの抗生物質に対する耐性のマーカーの非限定的な例として、メチシリンに耐性を与える黄色ブドウ球菌のmecA遺伝子の転写産物を挙げることができ、菌株がメチシリン耐性(MRSA菌株)であるか、メチシリン感受性(MSSA菌株)であるかを示すことができる。大腸菌菌株がペニシリンに対して耐性化しているが、抗生物質の他の種類(例えばセファロスポリン又はカルバペネム)に感受性であるかどうかについて示すことを可能にするTEM−2タンパク質を挙げることができる。別のマーカーは、カルバペネムに耐性を与えるKPC(肺炎桿菌カルバペネマーゼ)という酵素である。黄色ブドウ球菌についての耐性マーカーの別の例は、2009年ASMS会議で提出されたポスター「黄色ブドウ球菌の抗生物質の耐性に対するメタボロミクスに基づくアプローチ」として、E. Alexander et al.が記載したように、バンコマイシンに対する耐性の代謝プロフィール代表例である。原生動物で使用する少なくとも一つの駆虫剤に対する耐性のマーカーの非限定的な例として、鉄含有スーパーオキシドジスムターゼ(Fe−SOD)とペルオキシレドキシンを挙げることができ、その増大された発現はメトロニダゾールに耐性を与える。ウイルスで使用する少なくとも一つの抗ウイルス剤に対する耐性のマーカーの非限定的な例として、ヒト免疫不全ウイルス逆転写酵素酵素の突然変異を挙げることができ、逆転写酵素ヌクレオシド・インヒビターに対し減少した感受性を与える。最後に、酵母で有用である少なくとも一つの抗真菌薬に対する耐性のマーカーの非限定的な例として、カンジダ・アルビカンス1,3−b−D−グルカン合成酵素の突然変異を挙げることができ、それはエキノカンジンに対し減少した感受性を与える。別の例では、フルコナゾールに対する特定の耐性では、カンジダ・アルビカンスのアゾール抗真菌薬への耐性を挙げることができる。フルコナゾールの標的は、エルゴステロール(菌類の壁の主要な成分)の合成に関与する酵素のラノステロール・デメチラーゼである。フルコナゾールに対する耐性は、ラノステロール・デメチラーゼをコードするerg11遺伝子の点突然変異の出現と関係している場合がある。
本出願人によって示されるように、耐性特異的なマーカーがタイピングマーカーとして使用できる可能性があることに注意する必要がある。
【0014】
「微生物の毒性を決定する」なる表現は、微生物の病原性、有害性及び狂暴な性質を評価することを意味することを目的とする。細菌の毒性マーカーの非限定的な例として、PVL(パントン-バレンタイン型ロイコシジン)、黄色ブドウ球菌に存在する2つの相乗的構成成分を有する細胞融解毒素(LukFet LukS)を挙げることができ、それは皮膚疾患、広範囲の蜂巣炎、骨髄炎及び壊死性肺炎を引き起こす最も強毒の毒素の1つであり、ウイルス重複感染に関係している。他の例は、肺炎連鎖球菌(気道感染症、髄膜炎及び菌血の原因となる種)に存在する自己消化酵素と肺炎球菌溶血素、更にはクロストリジウム・ディフィシール(腸の共生菌)の毒素AとBであって、腸の上皮の透過性の変性を生じる毒素(毒素A)又は上皮細胞を直接攻撃する毒素(毒素B)又は時間とともに腸の輸送と腸管吸収を減少させ下痢を引き起こす毒素(毒素AとBの合わせた作用)を含む。また、例えば大腸菌に存在する志賀毒素Stx1とStx2を挙げることができる。これらの2つの細胞毒素は、腸出血大腸菌の重大な毒性因子であると考えられる。それらは、潰瘍性大腸炎または容血性尿毒症症候群のような合併症の原因となる。原生動物の毒性マーカーの非限定的な例として、赤痢アメーバ(赤痢と肝臓膿瘍の原因となる種)に存在する抗酸化剤(Fe−ヒドロゲナーゼ2、ペルオキシレドキシン、スーパーオキシドジスムターゼ)を挙げることができる。ウイルスの毒性マーカーの非限定的な例として、ヒト免疫不全ウイルス1型(ヒトでより病原性の強い種類)のNefタンパク質変異体を挙げることができる。最後に、酵母の毒性マーカーの非限定的な例として、カンジダ・アルビカンス(表在性カンジダ症、さらに敗血症及び播種性カンジダ症の原因となる種)のリパーゼ8を挙げることができる。
本出願人によって示されるように、毒性特異的なマーカーが、更にタイピング・マーカーとして使用することができることに注目されたい。
【0015】
本発明の方法は細菌を特徴づけるために実施することができ、前記抗菌物質はそのとき抗生物質であり、本発明の実施態様を構成する。かくして、例えば、本発明の方法に従って特徴づけることができる細菌に関して、以下を挙げることができる:
−耐性及びタイピング・マーカーとしてTEM2を、更には毒性及びタイピング・マーカーとして志賀毒素、OmpAを使用する大腸菌、
−耐性とタイピングについてVanAとVanBを、更には毒性とタイピングについてESP(エンテロコッカス表面タンパク質)を使用する大便連鎖球菌、
−タイピングのために免疫グロブリンG−結合タンパク質A(別名タンパク質A)として知られるタンパク質を、耐性またはさらにタイピングのためにPBP2aタンパク質として知られるタンパク質を、更には毒性のために又はタイピングのためにさえPVLタンパク質として知られるタンパク質を使用する黄色ブドウ球菌。
【0016】
本発明の方法に従って特徴づけることができる他の微生物について、以下を挙げることができる:
−耐性及びタイピング・マーカーとして1,3−b−D−グルカンシンターゼ酵素または他にラノステロール・デメチラーゼ酵素を、更には毒性とタイピング・マーカーとしてのリパーゼ8使用するカンジダ・アルビカンス。
【0017】
本発明の方法が実施されてもよい試料は、標的微生物を含む可能性がある任意の試料である。試料は、生物起源、すなわち動物、植物、ヒト起源であってもよい。それは、それから、生体液(例えば、全血、血清、血漿、尿、脳脊髄液、器質性分泌)の標本、組織標本または単離細胞に対応してもよい。微生物を特徴づけるためのマーカーが試験された標本において利用可能な限り、この標本がそのまま使われてもよいし、あるいは解析の前に、公知の方法に従って、濃縮、抽出、濃度、精製および/または培養型の調製を受けてもよい。
【0018】
試料は産業起源であってもよく、網羅的なリストではないが、空気の標本、水の標本、表面、目的物または製品から取られた標本または食物起源の生成物である。食物起源の試料の中で、非網羅的に、乳製品(ヨーグルト、チーズ)の、肉の、魚の、卵の、果物の、野菜の、水のまたは飲料(牛乳、果汁、ソーダ、その他)の試料を挙げることができる。また、食物起源のこれらの試料はソース又は調製された料理由来であってもよい。最後に、食物試料は、動物飼料(例えば特に動物の餌)に由来するものであってもよい。
【0019】
微生物を特徴づけるためのマーカーがタンパク質起源のものである場合、質量分析による検出の上流で、分析される試料は、試料に存在する全てのタンパク質からペプチドを作成し、これらのタンパク質をペプチドに断片化するために、例えばタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)により、あるいは化学試薬の作用を介して、前処理されることが好ましい。実際、タンパク質は、物理化学的処理によって、生物学的処理によって、又は2つの処理の組合せによって切断されてもよい。使用することができる処理の中で、水酸基、特にHによる処理を挙げることができる。水酸基により処理によってペプチド結合の切断が生じて、それがタンパク質の任意のペプチド結合にランダムに起こる。水酸基の濃度は、作成された切断の数を調整し、従って、得られたペプチド断片の長さを調製する。更に他の化学処理が使われてもよく、例えば、メチオニル残基のカルボキシル基のレベルで特異的にペプチド結合を壊すブロモシアン(CNBr)による処理である。トリフルオロ酢酸中のタンパク質溶液を1000°Cで加熱することによって、アスパラギン酸残基で部分的な酸分解を実施することができる。
【0020】
それにもかかわらず酵素消化によるタンパク質の処理は、物理化学的治療と比較して好まれており、それはより広範囲にタンパク質の構造を保存し、制御により容易であるためである。「酵素消化」なる用語は、適切な反応条件下で一つ以上の酵素の単独の作用又は組合わせた作用を意味することを目的とする。タンパク質分解(プロテアーゼと呼ばれている)を実施する酵素は、特異的な部位でタンパク質を切断する。各々のプロテアーゼは、それが常に同じ切断を行うアミノ酸の配列を一般に認識する。特定のプロテアーゼは単一アミノ酸またはそれらの切断が実施される間の2つのアミノ酸配列を認識し、他のプロテアーゼはより長い配列だけを認識する。これらのプロテアーゼは、エンドプロテアーゼまたはエキソプロテアーゼであってもよい。既知のプロテアーゼの中で、WO2005/098071にて説明したように、以下を挙げることができる:
−特異的酵素、例えばArgとLys残基のカルボキシル基のレベルでペプチド結合を分割するトリプシン、リジンの−CO基のペプチド結合を切断するエンドリシン、芳香族残基(Phe、TyrとTrp)のカルボキシル基のレベルでペプチド結合を加水分解するキモトリプシン、芳香族残基(Phe、TyrとTrp)のNH基のレベルで切断するペプシン、Glu残基のカルボキシル基のレベルでペプチド結合を切断する黄色ブドウ球菌のV8菌株のV8プロテアーゼ;
−非特異的酵素、例えば、疎水性アミノ酸(Xaa−Leu、Xaa−Ile、Xaa−Phe)のNH基のペプチド結合を加水分解するBacillus thermoproteolyticus細菌に起源するサーモライシン、事実上全ての結合を加水分解して制御された反応条件(酵素濃度と反応時間)の下でタンパク質をオリゴペプチドに変換できる細菌性プロテアーゼであるサブチリシンとプロナーゼ。
【0021】
複数のプロテアーゼは、それらの作用方法が互換性を持つ場合、同時に使われてもよいか、またはそれらは連続して使われてもよい。本発明に関連して、試料の消化は、好ましくはプロテアーゼ酵素(例えばトリプシン)の作用を介して実施される。
化学試薬またはプロテアーゼを用いたペプチド類の生成は、溶液中の単純反応によって得られてもよい。それは、また、電子レンジ(文献11)、又は圧力下(文献12)、又は代わりに超音波装置によって実施されてもよい(文献13)。後者3つの場合において、プロトコルは非常により迅速なものとなる。
したがって得られるペプチドの中で、タンパク質に特異的なペプチドは、プロテオタイプ・ペプチドと呼ばれている。質量分析によって検定されるのは、これらである。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、特徴づけマーカーは、特徴づけられる微生物のタンパク質である。特に、前記タンパク質は、好ましくは酵素によって、より好ましくは、トリプシンを有するペプチドによって消化される。
また、同様にタンパク質起源の特徴づけマーカーを含んでいる試料は精製目的のために前もって処理されてもよい。マーカーがタンパク質起源である場合、この精製前処理は上記の通りにペプチドを作成する工程の前か後に実施されてもよい。
【0023】
試料精製前処理は当業者に広く知られており、特に遠心、濾過、泳動またはクロマトグラフィー技術を実施する場合がある。これらの分離技術は単独で使用されても、または多次元的分離を得るために他と組合わせられてもよい。例えば、多次元的クロマトグラフィーが、T. Fortin et al.(文献14)又はH. Keshishian et al.(文献15)に記載されるように、逆相クロマトグラフィーとイオン交換クロマトグラフィーを組合わせることによって使われてもよい。これらの刊行物において、クロマトグラフィー媒体は、カラムまたはカートリッジ(固相抽出)中にある場合がある。
【0024】
プロテオタイプ・ペプチドの電気泳動的又はクロマトグラフィ分画(一次元又は多次元的クロマトグラフィーでの保持時間)は各ペプチドに特徴的であり、従ってこれらの技術の実施は分析されるプロテオタイプ・ペプチドの選択を可能にする。生成されたペプチドの上記分画は、質量分析によってその後のアッセイの特異性を増大することを可能にする。
【0025】
泳動またはクロマトグラフィー技術の代替法は、ペプチド分画のために、N−グリコペプチドを特異的に精製することにある((文献16)と特許出願WO2008/066629)。それにもかかわらず、上記の精製は、N−グリコシル化タイプの翻訳後修飾を受けていたペプチドの定量を可能にするだけである。しかしながら、全てのタンパク質がグリコシル化されるというわけではなく、従ってその使用は制限される。
【0026】
本発明の方法で実施される質量分析は、様々な種類の分子を分析して検出するための強力な道具として、当業者に広く知られている。通常、イオン化されてもよい任意の種類の分子は、質量分析計を使用してその分子量の関数として検出されてもよい。検出される分子の性質に従い、タンパク質または代謝起源の中で、特定の質量分析技術が、より適している場合がある。それにもかかわらず、検出のために使用される質量分析方法が何であれ、後者は分子イオンと言われるイオンへの標的分子のイオン化工程(この場合は特徴づけマーカーのイオン化工程)及び、それらの重量の関数として得られた分子イオンの分離工程を含む。
【0027】
従って、全ての質量分析計は、
i)分析される試料に存在するマーカーをイオン化するため、すなわちこれらのマーカーに正の又は負の電荷を与えるための、イオン源;
ii)質量電荷比(m/z)によって、イオン化マーカーまたは分子イオンを分離するための質量分析器;
iii)以下に詳述されるように、分子イオンによって直接的に又は分子イオンからの産生されるイオンの何れかによって産生されるシグナルを測定するための検出器を含む。
【0028】
質量分析を実施するために必要なイオン化工程は、当業者に知られている任意の方法で実施されてもよい。イオン源は、アッセイされる分子をイオン化とガス状態に導くことを可能にする。イオン源は、陽イオンを研究するための正のモード、または陰イオンを研究するための負のモードのいずれかで使用してもよい。複数種類の源が存在しており、所望の結果と分析される分子に応じて使われる。特に以下を挙げることができる:
−電子イオン化(EI)、化学イオン化(CI)及び脱着化学イオン化(DCI)、
−高速原子衝撃(FAB)、準安定性原子衝撃(MAB)またはイオン衝撃(SIM、LSIMS)、
−誘導結合プラズマ(ICP)、
−大気圧化学イオン化(APCI)と大気圧光イオン化(APPI)、
−エレクトロスプレー・イオン化(ESI)、
−マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)、表面拡張レーザ脱離イオン化(SELDI)またはシリコン上脱離/イオン化(DIO)、
−準安定性種との相互作用によるイオン化−脱着(DART)。
【0029】
特に、イオン化は、以下の通りに実施されてもよい:標的分子を含む試料はイオン源に導入され、ここで分子はガス状態でイオン化されて、したがって当初の分子に対応する分子イオンに変換される。エレクトロスプレー型のイオン源(エレクトロスプレー・イオン化のためのESI)は分子をイオン化することを可能にし、それと同時に液体状態からガス状態まで通過させる。従って得られた分子イオンは液体状態に存在する分子に対応し、正のモードで、1、2、更には3つ又はそれ以上の追加的なプロトンは、1、2、更には3つ又はそれ以上の電荷を有する。例えば、標的分子がタンパク質である場合、正のモードで操作されたエレクトロスプレー型の源によって、標的タンパク質の分画後に得られたプロテオタイプなペプチドのイオン化は、1、2、更には3つ又はそれ以上の追加的なプロトンを有するガス状態のポリペプチド・イオンに結果としてなり、従ってそれは1、2、更には3つ又はそれ以上の電荷を有しており、液体状態からガス状態への変化を可能にする(文献17)。得られた標的分子またはプロテオタイプなペプチドが逆相液体クロマトグラフィによって前もって分離される場合、このタイプの源は特に適切である。それにもかかわらず、試料に存在する分子のイオン化の収率は、濃度と存在するさまざまな種の性質に従って変化しうる。この現象は、当業者に知られているマトリックス効果に結果としてなる。
【0030】
MALDIイオン源は、固体状態の試料から分子をイオン化することを可能にする。
それらの質量/荷電比(m/z)の関数として、イオン化マーカーを分離する工程が実施される質量分析器は、当業者に知られている任意の質量分析器である。低解像度アナライザーは、四重極(Q)、3Dイオントラップ(IT)または線形イオントラップ(LIT)型、またはイオントラップと呼ばれるものを挙げることができ、検体の正確な質量を測定するために特に電気セクターと組合わせた磁気セクター高解像度アナライザー、飛行時間型(TOF)を挙げることができる。
【0031】
それらのm/z比率によって分子イオンの分離は単回(一回の質量分析またはMS)で実施されてもよく、でなければ、複数の連続したMS分離が実施されうる。2回の連続したMS分離が実施される場合、分析はMS/MSまたはMSと呼ばれる。3回の連続したMS分離が実施される場合、分析はMS/MS/MSまたはMSと呼ばれ、さらに一般的にいえば、n回の連続したMS分離が実施される場合、分析はMSと呼ばれている。
【0032】
いくつかの連続した分離を実施する技術の中で、単一の標的分子の検出またはアッセイの場合にSRM法(選択反応監視)方法、あるいは複数の標的分子の検出またはアッセイの場合MRM法(多重反応監視)は、特にMS分離の使用である。同様に、MRM方法は、MS/MS/MSによる分離の特定の使用である。次に、標的とされた質量分析が使われる。
一回のMS方法での検出の場合、得られた分子イオンの質量/荷電比であり、検出される標的分子と相関している。
【0033】
MS/MS方法の検出の場合、本質的に2つの工程が加えられ、MSアッセイと比較される:
i)第1世代断片イオンと呼ばれるイオンを生じるために、前駆体イオンと呼ばれる分子イオンを断片化すること、及び
ii)第1世代断片イオンと呼ばれるイオンをそれらの質量(m/z)、前駆体イオンの比率(m/z)に対応する比率(m/z)に従って分離すること。
従って、得られた第1世代断片イオンの質量/荷電比は、検出される標的分子と相関している。
【0034】
「第1世代断片イオン」なる用語は、断片化工程のあとに前駆体イオンから生じたイオンであって、前駆体イオンとは異なる質量電荷比m/zのイオンを意味する。
対(m/z)と(m/z)は遷移と名付けられ、検出される特徴的イオンの代表例である。
標的分子と相関させるために検出される特性イオンの選択は、標準方法に従って当業者によってなされる。それらの選択は、有利には、再現性と信頼性に関して、可能な限り感度が高く、可能な限り特異的であり、できる限り確固なアッセイに結果としてなる。プロテオタイプなペプチド(m/z)の及び第一世代断片(m/z)の選択のために開発された方法では、選択は反応の強度に本質的に基づく。更に詳しくは、V. Fusaro et al.(文献18)を参照されたい。 アプライドバイオシステムまたは他にMRMaidの市販ソフト(MIDASソフトウェアとMRMパイロット)は、全てのありうる遷移の対を予測するために当業者によって使われてもよい。また、科学界で記載されている全てのペプチドMRM遷移をコンパイルするために、F. Desiere et al.(文献20)によって構築された、PeptideAtlasと呼ばれているデータベースを使用してもよい。このPeptideAtlasデータベースは、インターネットで自由に入手できる。非タンパク分子の場合に、例えばアプライドバイオシステム社(アメリカ合衆国)のCliquidソフトウェアによってアクセスできるデータベースを使用することが可能である。
【0035】
プロテオタイプなペプチド、(m/z)と(m/z)を選択するための代替物アプローチは、他の研究の時に得られたMS/MS断片化スペクトルを使用することにある。これらの研究は、例えば、発見の段階とプロテオミック解析によるバイオマーカの同定の段階であってもよい。このアプローチは、ユーザ会議の間、Thermo Scientificによって提唱された(文献19)。それは、SIEVEソフトウェア(Thermo Scientific)によって実験的に同定されたペプチドから候補遷移のリストを作成することが可能である。(m/z)と(m/z)イオンの選択の特定の基準については、J. Mead et al.(文献19)により詳述されている。
・内部切断部位、すなわち内部リジンまたはアルギニンを有するペプチドは、リジンまたはアルギニンの後にプロリンが続かない限り、回避されるべきである。
・アスパラギンまたはグルタミンを有するペプチドは、それらが脱アミノ化されうるので、回避されるべきである。
・N末端グルタミンまたはグルタミン酸を有するペプチドは、それらが自発的に環化しうるので、回避されるべきである。
・メチオニンを有するペプチドは、それらが酸化されうるので、回避されるべきである。
・システインを有するペプチドは、それらがチオール基の変性、還元及びブロッキングのありうる工程の間に、再生産不可能に修飾されうるので、回避されるべきである。
・プロリンを有するペプチドは、それらが単一の非常に優勢なピークを有するMS/MSの強度の断片を通常産生するので、有利であると考えられる。しかしながら、単一の非常に支配的な断片は、複雑な混合物の遷移の同一性を確認することを可能にしない。実際、複数の特徴的断片が同時に存在する場合だけ、所望の前駆体イオンが実際に検出されることを確認することができる。
・C末端に隣接しているか(位置n−1)か、またはC末端と関連する第二位置(位置n−2)にプロリンを有するペプチドは、この場合、第一世代断片ペプチドのサイズが、十分な特異性を有するにはあまりにも小さいと通常は考えられるので回避される。
・前駆体より大きい質量を有する断片の選択は、特異性を促進するために好まれる。この場合、それは、二重電荷された前駆体イオンを選択して、前駆体(すなわち単一荷電された第一世代の断片イオン)より大きい質量を有する最も強い第一世代の断片イオンを選択する必要がある。
【0036】
選択された前駆体イオンの断片化は、三連四重極型(文献21)又はイオントラップ型(文献22)、あるいはイオンを分離することを可能にする飛行時間(TOF)型(文献23)のモデルのような断片化セルで実施される。断片化は、従来どおり、電場においてアルゴンまたは窒素のような不活性ガスとの衝突によって、強度の光源、電子との衝突またはラジカル種を用いた光励起法または光解離によって、例えば飛行時間型の管での電位差の適用によって、または他のいかなる活性化方法によって実施される。電場の特性は、強度と断片化の性質を条件づける。したがって、不活性ガスの存在下でかけられる電場は、例えば四重極では、イオンに供給される衝突エネルギーを条件づける。この衝突エネルギーは、分析される遷移の感受性を増大するために、当業者によって最適化される。例えば、衝突エネルギーは、アプライドバイオシステム社(フォスター市、米国)のAB SCIEX QTRAP(登録商標)5500の質量分析計では、q2で5と180eVの範囲で変化することが可能である。同様に、当業者によって、衝突ステップの期間と(例えばイオントラップの範囲内の)励起エネルギーは、最も感度が高いアッセイを作るために、最適化される。例えば、アプライドバイオシステム社のAB SCIEX QTRAP(登録商標)5500の質量分析計では、Q3では、この時間(励起時間と呼ばれている)は0.010から50msの範囲で、励起エネルギーは0から1の範囲(任意単位)で変化させることが可能である。
【0037】
最後に、イオンが選択した特徴あるイオンの検出は従来どおりに、特に検出器及び処理システムにより実施される。検出器はイオンを収集して、電気シグナルを産生して、その強度は収集されるイオン量によって決まる。次に得られた信号は増幅され、そのためコンピュータによって処理されてもよい。データ処理コンピュータ・アセンブリは、質量スペクトルに検出器が受ける情報を変換することを可能にする。
【0038】
SRM法あるいはMRM法の原理は、特異的に前駆体イオンを選択し、それを断片化し、次に特異的にその断片イオンの1つを選択することである。上記の適用のために、三連四重極型または三重四極−イオントラップ・ハイブリッドの装置が、通常使われる。
【0039】
MS法で使用する三重四極装置(Q1q2Q3)の場合、標的タンパク質を分析するか又は検出するために、第一の四重極(Q1)は分子イオンをろ過することを可能にし、分子イオンは分析されるタンパク質のプロテオタイプ・ペプチドに対応しており、それらの質量電荷比(m/z)に従って前の消化工程の間に得られる。求められているプロテオタイプ・ペプチドの質量/荷電比((m/z)と呼ばれる比率)を有するペプチドだけが第二の四重極(q2)に送られて、続く断片化のための前駆体イオンの役割を演ずる。q2分析器は、質量/荷電比(m/z)のペプチドを第一世代の断片イオンに断片化することが可能である。断片化は、通常、前駆体ペプチドを不活化ガス(たとえばq2では窒素またはアルゴン)と衝突させることによって得られる。第一世代の断片イオンは第三の四重極(Q3)に送られ、それは(m/z)と呼ばれる特異的な質量電荷比に従って第一世代の断片イオンをろ過する。求められるプロテオタイプ・ペプチドの特徴的な断片の質量/荷電比(m/z)を有する第一世代の断片イオンだけが、検出又は更には定量されるために検出器に送られる。
【0040】
このオペレーティング・モードは、一つは前駆体イオンの選択について、一つは第一世代の断片イオンの選択について、二重選択性を有する。従って、SRM法またはMRM法の質量分析は、定量のために有利である。
本発明の方法で実施される質量分析がタンデム型質量分析(MS、MS、MSまたはMS)である場合、複数の質量分析器は一緒に組合せられうる。例えば、第一の分析器はイオンを分離し、衝突セルはイオンを断片化することを可能にし、第二の分析器は断片イオンを分離する。
複数の分析器(例えばイオントラップまたはFT−ICR)は一つで複数の分析器を構成し、イオンを断片化し、直接断片を分析することができる。
【0041】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、以下の特性の一つ以上を含む:
−質量分析(タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する潜在的な耐性と病原性因子の特性のために実施される)はMS/MS型のスペクトロメトリであり、検出又は定量される分子に特異的な断片を生み出して、次に高い特異性を有するアッセイ方法を提供するという効果がある;
−MS/MSスペクトロメトリはMRMであり、それは数十ミリ秒の質量分析計の分析循環時間を使用することが有利であり、多数の異なる分子のマルチプレックスな方法で、高い感受性によって検出又は定量することが可能である。
−タイピング、抗菌物質に対する耐性と毒性因子の特性の決定は、同じ質量分析装置で、好ましくは同時に、実施され、分析時間と計測器のコストを減じることに効果がある;更に、これは結果の処理と記録を促進する。
【0042】
タイピング、抗菌物質に対する耐性と病原性因子の特性を決定することに加えて、試験される試料に存在する微生物を同定することが好ましい。
微生物を同定する方法は、例えば、P. R. Murray el al.(Manual of Clinical Microbiology, 2007, 9th edition)、特にVol. I, Section III, chapters 15及び16(細菌及び酵母)、Vol. II, Section VI, chapter 82(ウイルス)及びVol. II, Section X, chapter 135 (原生動物)に記載のとおり、当業者にとって広く公知である。従来の同定方法の例として、バイテック2同定カード(ビオメリュー)を用いて、又はある遺伝子の存在を調べること及びその配列を調べることに基づいた同定基準を用いた分子生物技術を使用した生物プロフィールを決定することを挙げることができる。
【0043】
同定は、同定が行われる試料から直接に実施されてもよく、あるいは当業者に公知の方法により、Murray et al.,(Manual of Clinical Microbiology, 2007, 9th edition) Vol. I, Section III, chapter 14, 特にVol. I, Section IV, chapter 21(細菌)、 Vol. II, Section VI, chapter 81(ウイルス)、Vol. II, Section VIII, chapter 117(酵母)、及びVol. II, Section X, chapter 134(原生動物)に記載のとおり、求められる微生物の種に従って構成される最適培養条件によって培養することができる試料に含まれる微生物から直接に実施されてもよい。
【0044】
従って、通常は、生化学の方法によって標本中の細菌を同定する場合に、まず第1に、例えば寒天への接種後に純粋培養で得ることが必要である。分子生物学(PCR)は、特定の場合に、分析される試料に直接実施される。
微生物を培養する代わりに、後者は、活性表面の試料において、直接捕獲により濃縮されてもよい。上記の方法は、Fe/TiO−活性化表面を有する磁気ビーズによってさまざまな細菌種を捕えたW.-J. Chen et al.(文献11)等に記載されいる。他の手段による捕獲も可能であり、それは、例えばレクチン(文献24)、抗体(文献25)又はバンコマイシン(文献26)による。従って、捕獲は微生物を濃縮し、培養工程を減らすか又は除くことさえ可能にする。これは、相当な時間節減に結果としてなる。
【0045】
更に、同定は既に記載されている技術に従って、質量分析によって実施することができ、好ましくはMSによって、MS/MSによって、あるいはMS/MS型のスペクトロメトリに続くMSによって実施されてもよく、それは本発明の実施態様を構成する。更に、この場合、試料は、前もって培養工程(例えば寒天上の接種する)を受けてもよい。
MSによる同定法の使用は、数分間、実施することができ、ただ一つの分析器を有する質量分析計、すなわちMS/MSで使用する直列型の質量分析計より複雑でない計測器を必要とするので有利である。
また、MS/MS型のスペクトロメトリが続くMSによる同定法の使用も有利である。MSで観察されるイオンの同一性を確実にすることができ、それは分析の特異性を増大する。
MRM型のMS/MSによる同定法の使用は、MS次にMS/MSの従来のアプローチよりも、より感度が高く、より単純であることが有利である。この方法は、MSスペクトルの獲得とMS/MSスペクトルの獲得との間の情報を処理するために有効なソフトウェアも、MSとMS/MSスペクトルのための機械パラメータの調節における任意の変更も何れも必要としない。
【0046】
MSによる同定法は、S. Vaidyanathan(文献27)あるいはR. Everley et al.(文献8)に記載されているように、粗試料上のエレクトロスプレー・ソースにより実施されてもよい。従って、m/zの多様な範囲は微生物の同定を可能にする。S. Vaidyanathan et al.は、200から2000Thのウインドウを使用しており、R. Everley et al.は、620から2450Thのウインドウを使用している。更に、質量スペクトルは、タンパク質のチャージ状態から独立にタンパク質の質量にアクセスするためにデコンボリューション処理されてもよい。従って、R. Everley et al.は、ほぼ5000から50000Daの質量を利用した。あるいは、Claydon et al.(文献3)及びT. Krishnamurthy and P. Ross(文献4)に記載のように、MSによる同定法はMALDI−TOFによって実施されてもよい。分析は、マススペクトルの獲得と専門ソフトウェアによる解釈の組合せである。それは極めて単純であり、数分間で実施できる。この同定法は、医療診断実験室に現在、拡がっている(文献28)。
【0047】
試料に存在する細菌のタンパク質によるMS次にMS/MSによる細菌の同定は、多くのチームにより広く実施されている。例えば、Salmonella entericaのペプチドームを研究したN. Manes et al.(文献29)の最近の研究、又はタンパク質の消化後の細菌のプロテオームを研究したR. Nandakumar et al.(文献30)又はL. Hernychova et al.(文献31)の研究を挙げることができる。
【0048】
従来法は
i)MSスペクトルを得ること、
ii)続いて、強い信号を有するMSスペクトルで観察される各前駆体イオンを選択すること、
iii)続いて、各前駆体イオンを断片化し、そのMS/MSスペクトルを得ること、
iv)観察されるMS/MSスペクトルに対応する確率が高いペプチドを同定するために、Mascot(Matrix Science、ロンドン、英国)又はSEQUEST(Thermo Scientific、ウォルサム、米国)のようなソフトウェアを介して、SWISS−PROT又はNCBIのようなタンパク質データベースを調査することを含む。種の特徴を示すタンパク質またはペプチドが同定された場合、この方法は微生物の同定に結果としてなる。
【0049】
さらに別の実施態様によれば、前記少なくとも一の微生物の同定は従来の同定法によって実施され、本発明の方法は、前記少なくとも一つの微生物の同定を確認する追加の工程を含み、確認工程は、微生物の同定のために既に記載されている技術に従って、質量分析によって実行される。
ある特定の実施態様によれば、確認工程の質量分析は、MS/MS型、好ましくはMRMの質量分析である。
質量分析の使用の利点の1つは、分子の定量化に特に有用であることであり、本発明の場合は、タイピングの特性のマーカーであり、少なくとも一つの抗菌物質に耐性である。これを行うため、検出された電流の強さが使われ、それは標的分子の量と比例している。従って、測定される電流の強さは、存在する標的分子の量を決定するための定量的測定値として役立ててもよく、国際単位系の(SI)のmol/m又はkg/m型、又はこれらの単位の倍数または約数によって、又はSI単位の通常の関数(その倍数又は約数を含む)によって表示されることを特徴とする。非限定的な例として、ng/ml又はfmol/lのような単位は、定量的測定を特徴づける単位である。
【0050】
それにもかかわらず、校正は、検出されたイオンによって誘導される電流の強度に対応する、測定されたピークの領域を、分析される標的分子の量と相関させるために必要である。このために、本発明に関連して、質量分析において従来使用されている校正が実施されてもよい。T. Fortin et al.(文献14)に記載のように、MRMアッセイは従来は、外部標準を使用するか、又は好ましくは内部標準を使用して校正される。標的分子がプロテオタイプなペプチドであるとき、関心のあるタンパク質を分析することが可能であり、標的プロテオタイプなペプチドの、従って関心のあるタンパク質の量と定量的測定値の間の相関は、分析される量が分かっている標準信号に比例する測定された信号を校正することによって得られる。校正は、校正曲線によって実施されてもよく、例えば多様な濃度(外部校正)での標準プロテオタイプなペプチドの連続注射によって得られるか、または好ましくは、重いペプチドを使用する内部校正によって内部標準として得られ、例えば以下に詳述するAQUA、QconCATまたはPSAQ法に従う。「重いペプチド」なる用語は、プロテオタイプなペプチドに対応するペプチドを意味するが、1又は複数の炭素12(12C)原子は炭素13(13C)と置き換えられ、および/または1又は複数の窒素14(14N)原子は窒素15(15N)と置き換えられる。
【0051】
また、内部標準(AQUA)としての重いペプチドの使用は特許出願US2004/0229283において提案された。原理は、通常の天然同位体より重い同位体を含むアミノ酸で、人工的にプロテオタイプなペプチドを合成することである。上記のアミノ酸は、例えば、いくつかの炭素12(12C)原子を炭素13(13C)と置き換えることにより、またはいくつかの窒素14(14N)原子は窒素15(15N)と置き換えることにより得られる。従って、人工ペプチド(AQUA)は、天然ペプチドと(より高い質量を除いて)厳密に同じ物理化学的特性を有する。それは、通常は、所与の濃度で、質量分析によるアッセイの上流で、例えば興味がある試料のタンパク質の切断を導く処理と処理工程後に得られるペプチドの分画との間に、試料に加えられるその結果、ペプチドの分画の間、AQUAペプチドは、アッセイされる天然ペプチドによって共精製される。従って、アッセイの場合に、2つのペプチドは同時に質量分析計に注入される。次に、それらはソースにおいて同じイオン化収率を経験する。天然ペプチドと濃度が分かっているAQUAペプチドのピーク領域の比較は、天然ペプチドの濃度を計算することができ、従ってアッセイされるタンパク質の濃度に戻ることができる。AQUA技術の変形は、QconCatという名前の下でJ.-M. Pratt et al.(文献32)により提唱されている。更に、この変異体は特許出願WO2006/128492に記載されている。それは、さまざまなAQUAペプチドを連結すること、及び重い組換えタンパク質の形態で人工ポリペプチドを産生することから成る。組換えタンパク質は、重同位体を含むアミノ酸によって合成される。この方法で、低いコストで複数のタンパク質の同時アッセイを調整するための標準を得ることか可能である。QconCAT標準は、タンパク質の切断を導く処理の上流で、タンパク質分画、変性、減少、そしてタンパク質のチオール基のブロッキング工程がある場合にはこれらの前に、最初から加えられる。従って、QconCAT標準は、天然タンパク質と同じタンパク質の切断を導く処理のサイクルを受けるので、それによりタンパク質の切断を導く処理工程からの収率を考慮に入れることを可能にする。これは、天然タンパク質の処理が、特に消化によって完了しないかもしれないという理由である。この場合、AQUA標準の使用は、過小評価された天然タンパク質の量に結果としてなる。従って、絶対アッセイのために、タンパク質の切断を導く処理からの収率を考慮に入れることは重要である場合がある。しかしながら、V. Brun et al.(文献33)は、QconCAT標準は、天然タンパク質の処理(特に消化による)からの収率を必ずしも再現せず、これはQconCATタンパク質の異なる三次元立体構造によることは疑いないことを示した。
【0052】
従って、V. Brun et al.(文献33)は、特許出願WO2008/145763に記載されているPSAQと呼ばれている方法を使用することを提案した。この場合、天然タンパク質と同じ配列を有するが、重いアミノ酸によって合成された内部標準は組換えタンパク質である。合成は、重いアミノ酸によりエクスビボで実施される。この標準は、天然タンパク質(より高い質量を除いて)と厳密に同じ物理化学的特性を有する。前記工程がある場合に、それはタンパク質分画工程の前に、最初から加えられる。従って、タンパク質分画工程の間、それは天然タンパク質によって共精製される。それは、処理、特に消化によって、天然タンパク質と同じ収率を呈する。ペプチド分画工程が実施される場合、切断後に得られた重いペプチドも、天然ペプチドによって共精製される。従って、2つのペプチドは同時に質量分析計に注入されて、それにより量的にアッセイされる。従って、それらは、ソースにおいて同じイオン化収率を経験する。アッセイ方法の全工程を考慮すると共に、天然ペプチドと対照標準ペプチドのピーク領域のPSAQ法での比較は、アッセイされるタンパク質の濃度を計算することを可能にする。
【0053】
質量分析によるアッセイ、特にMRMまたはMSアッセイで使用されるこれら全ての技術、すなわちAQUA、QconCAT、又はPSAQ、又は他の任意のキャリブレーション技術は、本発明に関して、キャリブレーションを実施するために実装される場合がある。
【0054】
好ましい一実施形態によれば、本発明の方法は、黄色ブドウ球菌の特徴づけを可能にする。
特に、黄色ブドウ球菌の特徴づけは、以下のように、少なくとも一つのペプチドを使用する。

1.タイピングについて
以下の配列を有するタンパク質Aに属する少なくとも1つのペプチド、配列番号1:
MKKKNIYSIRKLGVGIASVTLGTLLISGGVTPAANAAQHDEAQQNAFYQVLNMPNLNADQRNGFIQSLKDDPSQSANVLGEAQKLNDSQAPKADAQQNKFNKDQQSAFYEILNMPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSTNVLGEAKKLNESQAPKADNNFNKEQQNAFYEILNMPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNESQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKEEDNNKPGKEDGNKPGKEDGNKPGKEDNKKPGKEDGNKPGKEDNKKPGKEDGNKPGKEDGNKPGKEDGNKPGKEDGNKPGKEDGNGVHVVKPGDTVNDIAKANGTTADKIAADNKLADKNMIKPGQELVVDKKQPANHADANKAQALPETGEENPFIGTTVFGGLSLALGAALLAGRRREL
好ましくは、以下に定義する配列番号2、3、4、5、6、7及び8の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。

【0055】
2.少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的耐性について
以下の配列を有するPBP2aタンパク質に属している少なくとも一つのペプチド、配列番号9:
KIKIVPLILIVVVVGFGIYFYASKDKEINNTIDAIEDKNFKQVYKDSSYISKSDNGEVEMTERPIKIYNSLGVKDINIQDRKIKKVSKNKKRVDAQYKIKTNYGNIDRNVQFNFVKEDGMWKLDWDHSVIIPGMQKDQSIHIENLKSERGKILDRNNVELANTGTAYEIGIVPKNVSKKDYKAIAKELSISEDYIKQQMDQNWVQDDTFVPLKTVKKMDEYLSDFAKKFHLTTNETESRNYPLEKATSHLLGYVGPINSEELKQKEYKGYKDDAVIGKKGLEKLYDKKLQHEDGYRVTIVDDNSNTIAHTLIEKKKKDGKDIQLTIDAKVQKSIYNNMKNDYGSGTAIHPQTGELLALVSTPSYDVYPFMYGMSNEEYNKLTEDKKEPLLNKFQITTSPGSTQKILTAMIGLNNKTLDDKTSYKIDGKGWQKDKSWGGYNVTRYEVVNGNIDLKQAIESSDNIFFARVALELGSKKFEKGMKKLGVGEDIPSDYPFYNAQISNKNLDNEILLADSGYGQGEILINPVQILSIYSALENNGNINAPHLLKDTKNKVWKKNIISKENINLLTDGMQQVVNKTHKEDIYRSYANLIGKSGTAELKMKQGETGRQIGWFISYDKDNPNMMMAINVKDVQDKGMASYNAKISGKVYDELYENGNKKYDIDE

好ましくは、以下に定義する配列番号10から17の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。

【0056】
3.毒性について:
PVLタンパク質、サブユニットLukSおよびLukF(以下の配列番号18および22の配列をそれぞれ有する)に属している少なくとも一つのペプチド
配列番号18:
MIFMVKKRLLAATLSLGIITPIATSFHESKADNNIENIGDGAEVVKRTEDTSSDKWGVTQNIQVDFVKDKKYNKDALILKMQGFINSKTTYYNYKNTDHIKAMRWPFQYNIGLKTNDPNVDLINYLPKNKIDSVNVSQTLGYNIGGNFNSGPSTGGNGSFNYSKTISYNQQNYISEVERQNSKSVQWGIKANSFITSLGKMSGHDPNLFVGYKPYSQNPRDYFVPDNELPPLVHSGFNPSFIATVSHEKGSGDTSEFEITYGRNMDVTHATRRTTHYGNSYLEGSRIHNAFVNRNYTVKYEVNWKTHEIKVKGHN

配列番号22:
MKKIVKSSVVTSIALLLLSNTVDAAQHITPVSEKKVDDKITLYKTTATSDSDKLKISQILTFNFIKDKSYDKDTLILKAAGNIYSGYTKPNPKDTISSQFYWGSKYNISINSDSNDSVNVVDYAPKNQNEEFQVQQTVGYSYGGDINISNGLSGGGNGSKSFSETINYKQESYRTSLDKRTNFKKIGWDVEAHKIMNNGWGPYGRDSYHSTYGNEMFLGSRQSNLNAGQNFLEYHKMPVLSRGNFNPEFIGVLSRKQNAAKKSKITVTYQREMDRYTNFWNQLHWIGNNYKDENRATHTSIYEVDWENHTVKLIDTQSKEKNPMS
【0057】
好ましくは、以下に定義する配列番号19、20、21、23及び24の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。

【0058】
4.同定について:
50Sリボソームタンパク質L30(RL30)、50Sリボソームタンパク質L331(RL331)、ブドウ球菌分泌抗原ssaA2(SSAA2)、UPF0337タンパク質SA0772(Y772)、二官能性自己消化酵素(ATL)、伸長因子Tu(EFTU)、推定トランスグリコシラーゼisaA(ISAA)およびUPF0457タンパク質SA1975.1(Y197A)に属しており、配列番号25、28、31、33、36、39、41および43の配列をそれぞれ有している少なくとも一つのペプチド:

配列番号25:
MAKLQITLTRSVIGRPETQRKTVEALGLKKTNSSVVVEDNPAIRGQINKVKHLVTVEEK

配列番号28:
MRVNVTLACTECGDRNYITTKNKRNNPERVEMKKFCSRENKQTLHRETK

配列番号31:
MKKIATATIATAGFATIAIASGNQAHASEQDNYGYNPNDPTSYSYTYTIDAQGNYHYTWKGNWHPSQLNQDNGYYSYYYYNGYNNYNNYNNGYSYNNYSRYNNYSNNNQSYNYNNYNSYNTNSYRTGGLGASYSTSSNNVQVTTTMAPSSNGRSISSGYTSGRNLYTSGQCTYYVFDRVGGKIGSTWGNASNWANAAARAGYTVNNTPKAGAIMQTTQGAYGHVAYVESVNSNGSVRVSEMNYGYGPGVVTSRTISASQAAGYNFIH

配列番号33:
MADESKFEQAKGNVKETVGNVTDNKNLENEGKEDKASGKAKEFVENAKEKATDFIDKVKGNKGE

配列番号36:
MAKKFNYKLPSMVALTLVGSAVTAHQVQAAETTQDQTTNKNVLDSNKVKATTEQAKAEVKNPTQNISGTQVYQDPAIVQPKTANNKTGNAQVSQKVDTAQVNGDTRANQSATTNNTQPVAKSTSTTAPKTNTNVTNAGYSLVDDEDDNSEHQINPELIKSAAKPAALETQYKAAAPKAKTEATPKVTTFSASAQPRSVAATPKTSLPKYKPQVNSSINDYIRKNNLKAPKIEEDYTSYFPKYAYRNGVGRPEGIVVHDTANDRSTINGEISYMKNNYQNAFVHAFVDGDRIIETAPTDYLSWGVGAVGNPRFINVEIVHTHDYASFARSMNNYADYAATQLQYYGLKPDSAEYDGNGTVWTHYAVSKYLGGTDHADPHGYLRSHNYSYDQLYDLINEKYLIKMGKVAPWGTQFTTTPTTPSKPTTPSKPSTGKLTVAANNGVAQIKPTNSGLYTTVYDKTGKATNEVQKTFAVSKTATLGNQKFYLVQDYNSGNKFGWVKEGDVVYNTAKSPVNVNQSYSIKSGTKLYTVPWGTSKQVAGSVSGSGNQTFKASKQQQIDKSIYLYGSVNGKSGWVSKAYLVDTAKPTPTPIPKPSTPTTNNKLTVSSLNGVAQINAKNNGLFTTVYDKTGKPTKEVQKTFAVTKEASLGGNKFYLVKDYNSPTLIGWVKQGDVIYNNAKSPVNVMQTYTVKPGTKLYSVPWGTYKQEAGAVSGTGNQTFKATKQQQIDKSIYLFGTVNGKSGWVSKAYLAVPAAPKKAVAQPKTAVKAYTVTKPQTTQTVSKIAQVKPNNTGIRASVYEKTAKNGAKYADRTFYVTKERAHGNETYVLLNNTSHNIPLGWFNVKDLNVQNLGKEVKTTQKYTVNKSNNGLSMVPWGTKNQVILTGNNIAQGTFNATKQVSVGKDVYLYGTINNRTGWVNAKDLTAPTAVKPTTSAAKDYNYTYVIKNGNGYYYVTPNSDTAKYSLKAFNEQPFAVVKEQVINGQTWYYGKLSNGKLAWIKSTDLAKELIKYNQTGMTLNQVAQIQAGLQYKPQVQRVPGKWTDANFNDVKHAMDTKRLAQDPALKYQFLRLDQPQNISIDKINQFLKGKGVLENQGAAFNKAAQMYGINEVYLISHALLETGNGTSQLAKGADVVNNKVVTNSNTKYHNVFGIAAYDNDPLREGIKYAKQAGWDTVSKAIVGGAKFIGNSYVKAGQNTLYKMRWNPAHPGTHQYATDVDWANINAKIIKGYYDKIGEVGKYFDIPQYK

配列番号39:
MAKEKFDRSKEHANIGTIGHVDHGKTTLTAAIATVLAKNGDSVAQSYDMIDNAPEEKERGITINTSHIEYQTDKRHYAHVDCPGHADYVKNMITGAAQMDGGILVVSAADGPMPQTREHILLSRNVGVPALVVFLNKVDMVDDEELLELVEMEVRDLLSEYDFPGDDVPVIAGSALKALEGDAQYEEKILELMEAVDTYIPTPERDSDKPFMMPVEDVFSITGRGTVATGRVERGQIKVGEEVEIIGLHDTSKTTVTGVEMFRKLLDYAEAGDNIGALLRGVAREDVQRGQVLAAPGSITPHTEFKAEVYVLSKDEGGRHTPFFSNYRPQFYFRTTDVTGVVHLPEGTEMVMPGDNVEMTVELIAPIAIEDGTRFSIREGGRTVGSGVVTEIIK

配列番号41:
MKKTIMASSLAVALGVTGYAAGTGHQAHAAEVNVDQAHLVDLAHNHQDQLNAAPIKDGAYDIHFVKDGFQYNFTSNGTTWSWSYEAANGQTAGFSNVAGADYTTSYNQGSNVQSVSYNAQSSNSNVEAVSAPTYHNYSTSTTSSSVRLSNGNTAGATGSSAAQIMAQRTGVSASTWAAIIARESNGQVNAYNPSGASGLFQTMPGWGPTNTVDQQINAAVKAYKAQGLGAWGF

配列番号43:
MAMTVKKDNNEVRIQWRVADIKIPTSEIKNITQDQDIHAVPKLDSKDVSRIGSTFGKTNRVIIDTEDHEYIIYTQNDQKVYNELTK
【0059】
好ましくは、以下に定義する配列番号26、27、29、30、32、34、35、37、38、40、42、44及び45の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。


前述のように、タイピングのために、本発明の方法は、更に、少なくとも一つの抗生物質または毒性に対する潜在的耐性を決定するために役立つ、配列番号10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、26、27、29、30、32、34、35、37、38、40、42、44および45の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用できることに注目されたい。
当然ながら「少なくとも一つのペプチド」なる用語は、検出することが求められるマーカーを代表する、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ又はそれ以上のペプチドを意味することを目的とする。好ましくは、特徴につき、少なくとも2つ、または更に少なくとも3つ、または少なくとも4つのペプチドが使われる。
【0060】
他の好ましい実施態様によれば、本発明の方法は大腸菌の特徴づけを可能にする。
特に、大腸菌の特徴づけは、以下の通りに少なくとも一つのペプチドを使用する。

1.タイピングについて:
アスパラギン酸アンモニアリアーゼ・タンパク質(ASPA)、ATPシンターゼαサブユニット(ATPA)、10kDaのシャペロニン(CH10)、60kDaのシャペロニン(CH60)、DNA結合性タンパク質HU−β(DBHB)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(DCEB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ・プラビンタンパク質サブユニット(DHSA)、飢餓の間のDNA保護タンパク質(DPS)、DNA結合性タンパク質H−NS(HNS)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ホスホリボシルアミノイミダゾールスクシノカルボキサミドシンターゼシンターゼ(PUR7)、50Sリボソームタンパク質L4(RL4)、30Sリボソームタンパク質S1(RS1)、UPF0076タンパク質yjgF(YJGF)に属している少なくとも一つのペプチド(それぞれ、以下の配列番号138から152の配列を有する):

配列番号138
MSNNIRIEEDLLGTREVPADAYYGVHTLRAIENFYISNNKISDIPEFVRGMVMVKKAAAMANKELQTIPKSVANAIIAACDEVLNNGKCMDQFPVDVYQGGAGTSVNMNTNEVLANIGLELMGHQKGEYQYLNPNDHVNKCQSTNDAYPTGFRIAVYSSLIKLVDAINQLREGFERKAVEFQDILKMGRTQLQDAVPMTLGQEFRAFSILLKEEVKNIQRTAELLLEVNLGATAIGTGLNTPKEYSPLAVKKLAEVTGFPCVPAEDLIEATSDCGAYVMVHGALKRLAVKMSKICNDLRLLSSGPRAGLNEINLPELQAGSSIMPAKVNPVVPEVVNQVCFKVIGNDTTVTMAAEAGQLQLNVMEPVIGQAMFESVHILTNACYNLLEKCINGITANKEVCEGYVYNSIGIVTYLNPFIGHHNGDIVGKICAETGKSVREVVLERGLLTEAELDDIFSVQNLMHPAYKAKRYTDESEQ

配列番号139
MQLNSTEISELIKQRIAQFNVVSEAHNEGTIVSVSDGVIRIHGLADCMQGEMISLPGNRYAIALNLERDSVGAVVMGPYADLAEGMKVKCTGRILEVPVGRGLLGRVVNTLGAPIDGKGPLDHDGFSAVEAIAPGVIERQSVDQPVQTGYKAVDSMIPIGRGQRELIIGDRQTGKTALAIDAIINQRDSGIKCIYVAIGQKASTISNVVRKLEEHGALANTIVVVATASESAALQYLAPYAGCAMGEYFRDRGEDALIIYDDLSKQAVAYRQISLLLRRPPGREAFPGDVFYLHSRLLERAARVNAEYVEAFTKGEVKGKTGSLTALPIIETQAGDVSAFVPTNVISITDGQIFLETNLFNAGIRPAVNPGISVSRVGGAAQTKIMKKLSGGIRTALAQYRELAAFSQFASDLDDATRKQLDHGQKVTELLKQKQYAPMSVAQQSLVLFAAERGYLADVELSKIGSFEAALLAYVDRDHAPLMQEINQTGGYNDEIEGKLKGILDSFKATQSW

配列番号140
MNIRPLHDRVIVKRKEVETKSAGGIVLTGSAAAKSTRGEVLAVGNGRILENGEVKPLDVKVGDIVIFNDGYGVKSEKIDNEEVLIMSESDILAIVEA

配列番号141
MAAKDVKFGNDARVKMLRGVNVLADAVKVTLGPKGRNVVLDKSFGAPTITKDGVSVAREIELEDKFENMGAQMVKEVASKANDAAGDGTTTATVLAQAIITEGLKAVAAGMNPMDLKRGIDKAVTAAVEELKALSVPCSDSKAIAQVGTISANSDETVGKLIAEAMDKVGKEGVITVEDGTGLQDELDVVEGMQFDRGYLSPYFINKPETGAVELESPFILLADKKISNIREMLPVLEAVAKAGKPLLIIAEDVEGEALATLVVNTMRGIVKVAAVKAPGFGDRRKAMLQDIATLTGGTVISEEIGMELEKATLEDLGQAKRVVINKDTTTIIDGVGEEAAIQGRVAQIRQQIEEATSDYDREKLQERVAKLAGGVAVIKVGAATEVEMKEKKARVEDALHATRAAVEEGVVAGGGVALIRVASKLADLRGQNEDQNVGIKVALRAMEAPLRQIVLNCGEEPSVVANTVKGGDGNYGYNAATEEYGNMIDMGILDPTKVTRSALQYAASVAGLMITTECMVTDLPKNDAADLGAAGGMGGMGGMGGMM

配列番号142
MNKSQLIDKIAAGADISKAAAGRALDAIIASVTESLKEGDDVALVGFGTFAVKERAARTGRNPQTGKEITIAAAKVPSFRAGKALKDAVN

配列番号143
MDKKQVTDLRSELLDSRFGAKSISTIAESKRFPLHEMRDDVAFQIINDELYLDGNARQNLATFCQTWDDENVHKLMDLSINKNWIDKEEYPQSAAIDLRCVNMVADLWHAPAPKNGQAVGTNTIGSSEACMLGGMAMKWRWRKRMEAAGKPTDKPNLVCGPVQICWHKFARYWDVELREIPMRPGQLFMDPKRMIEACDENTIGVVPTFGVTYTGNYEFPQPLHDALDKFQADTGIDIDMHIDAASGGFLAPFVAPDIVWDFRLPRVKSISASGHKFGLAPLGCGWVIWRDEEALPQELVFNVDYLGGQIGTFAINFSRPAGQVIAQYYEFLRLGREGYTKVQNASYQVAAYLADEIAKLGPYEFICTGRPDEGIPAVCFKLKDGEDPGYTLYDLSERLRLRGWQVPAFTLGGEATDIVVMRIMCRRGFEMDFAELLLEDYKASLKYLSDHPKLQGIAQQNSFKHT

配列番号144
MKLPVREFDAVVIGAGGAGMRAALQISQSGQTCALLSKVFPTRSHTVSAQGGITVALGNTHEDNWEWHMYDTVKGSDYIGDQDAIEYMCKTGPEAILELEHMGLPFSRLDDGRIYQRPFGGQSKNFGGEQAARTAAAADRTGHALLHTLYQQNLKNHTTIFSEWYALDLVKNQDGAVVGCTALCIETGEVVYFKARATVLATGGAGRIYQSTTNAHINTGDGVGMAIRAGVPVQDMEMWQFHPTGIAGAGVLVTEGCRGEGGYLLNKHGERFMERYAPNAKDLAGRDVVARSIMIEIREGRGCDGPWGPHAKLKLDHLGKEVLESRLPGILELSRTFAHVDPVKEPIPVIPTCHYMMGGIPTKVTGQALTVNEKGEDVVVPGLFAVGEIACVSVHGANRLGGNSLLDLVVFGRAAGLHLQESIAEQGALRDASESDVEASLDRLNRWNNNRNGEDPVAIRKALQECMQHNFSVFREGDAMAKGLEQLKVIRERLKNARLDDTSSEFNTQRVECLELDNLMETAYATAVSANFRTESRGAHSRFDFPDRDDENWLCHSLYLPESESMTRRSVNMEPKLRPAFPPKIRTY

配列番号145
MSTAKLVKSKATNLLYTRNDVSDSEKKATVELLNRQVIQFIDLSLITKQAHWNMRGANFIAVHEMLDGFRTALIDHLDTMAERAVQLGGVALGTTQVINSKTPLKSYPLDIHNVQDHLKELADRYAIVANDVRKAIGEAKDDDTADILTAASRDLDKFLWFIESNIE

配列番号146
MSEALKILNNIRTLRAQARECTLETLEEMLEKLEVVVNERREEESAAAAEVEERTRKLQQYREMLIADGIDPNELLNSLAAVKSGTKAKRAQRPAKYSYVDENGETKTWTGQGRTPAVIKKAMDEQGKSLDDFLIKQ

配列番号147
MKVAVLGAAGGIGQALALLLKTQLPSGSELSLYDIAPVTPGVAVDLSHIPTAVKIKGFSGEDATPALEGANVVLISAGVARKPGMDRSDLFNVNAGIVKNLVQQVAKTCPKACIGIITNPVNTTVAIAAEVLKKAGVYDKNKLFGVTTLDIIRSNTFVAELKGKQPGEVEVPVIGGHSGVTILPLLSQVPGVSFTEQEVADLTKRIQNAGTEVVEAKAGGGSATLSMGQAAARFGLSLVRALQGEQGVVECAYVEGDGQYARFFSQPLLLGKNGVEERKSIGTLSAFEKNALEGMLDTLKKDIALGEEFVNK

配列番号148
MSVIKMTDLDLAGKRVFIRADLNVPVKDGKVTSDARIRASLPTIELALKQGAKVMVTSHLGRPTEGEYNEEFSLLPVVNYLKDKLSNPVRLVKDYLDGVDVAEGELVVLENVRFNKGEKKDDETLSKKYAALCDVFVMDAFGTAHRAQASTHGIGKFADVACAGPLLAAELDALGKALKEPARPMVAIVGGSKVSTKLTVLDSLSKIADQLIVGGGIANTFIAAQGHDVGKSLYEADLVDEAKRLLSTCNIPVPSDVRVATEFSETAPATLKSVNDVKADEQILDIGDASAQELAEILKNAKTILWNGPVGVFEFPNFRKGTEIVANAIADSEAFSIAGGGDTLAAIDLFGIADKISYISTGGGAFLEFVEGKVLPAVAMLEERAKK

配列番号149
MQKQAELYRGKAKTVYSTENPDLLVLEFRNDTSAGDGARIEQFDRKGMVNNKFNYFIMSKLAEAGIPTQMERLLSDTECLVKKLDMVPVECVVRNRAAGSLVKRLGIEEGIELNPPLFDLFLKNDAMHDPMVNESYCETFGWVSKENLARMKELTYKANDVLKKLFDDAGLILVDFKLEFGLYKGEVVLGDEFSPDGSRLWDKETLEKMDKDRFRQSLGGLIEAYEAVARRLGVQLD

配列番号150
MELVLKDAQSALTVSETTFGRDFNEALVHQVVVAYAAGARQGTRAQKTRAEVTGSGKKPWRQKGTGRARSGSIKSPIWRSGGVTFAARPQDHSQKVNKKMYRGALKSILSELVRQDRLIVVEKFSVEAPKTKLLAQKLKDMALEDVLIITGELDENLFLAARNLHKVDVRDATGIDPVSLIAFDKVVMTADAVKQVEEMLA

配列番号151
MTESFAQLFEESLKEIETRPGSIVRGVVVAIDKDVVLVDAGLKSESAIPAEQFKNAQGELEIQVGDEVDVALDAVEDGFGETLLSREKAKRHEAWITLEKAYEDAETVTGVINGKVKGGFTVELNGIRAFLPGSLVDVRPVRDTLHLEGKELEFKVIKLDQKRNNVVVSRRAVIESENSAERDQLLENLQEGMEVKGIVKNLTDYGAFVDLGGVDGLLHITDMAWKRVKHPSEIVNVGDEITVKVLKFDRERTRVSLGLKQLGEDPWVAIAKRYPEGTKLTGRVTNLTDYGCFVEIEEGVEGLVHVSEMDWTNKNIHPSKVVNVGDVVEVMVLDIDEERRRISLGLKQCKANPWQQFAETHNKGDRVEGKIKSITDFGIFIGLDGGIDGLVHLSDISWNVAGEEAVREYKKGDEIAAVVLQVDAERERISLGVKQLAEDPFNNWVALNKKGAIVTGKVTAVDAKGATVELADGVEGYLRASEASRDRVEDATLVLSVGDEVEAKFTGVDRKNRAISLSVRAKDEADEKDAIATVNKQEDANFSNNAMAEAFKAAKGE

配列番号152
MSKTIATENAPAAIGPYVQGVDLGNMIITSGQIPVNPKTGEVPADVAAQARQSLDNVKAIVEAAGLKVGDIVKTTVFVKDLNDFATVNATYEAFFTEHNATFPARSCVEVARLPKDVKIEIEAIAVRR
【0061】
好ましくは、以下に定義する配列番号67から84の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。


【0062】
2.少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的耐性について
配列番号126の配列を有するTEM−2 β−ラクタマーゼタンパク質(TEM−2)に属する少なくとも一つのペプチド:
配列番号126:
HPETLVKVKDAEDKLGARVGYIELDLNSGKILESFRPEERFPMMSTFKVLLCGAVLSRVDAGQEQLGRRIHYSQNDLVEYSPVTEKHLTDGMTVRELCSAAITMSDNTAANLLLTTIGGPKELTAFLHNMGDHVTRLDRWEPELNEAIPNDERDTTMPAAMATTLRKLLTGELLTLASRQQLIDWMEADKVAGPLLRSALPAGWFIADKSGVGERGSRGIIAALGPDGKPSRIVVIYTTGSQATMDERNRQIAEIGASLIKHW

好ましくは、以下に定義する配列番号62から66の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。

【0063】
3.毒性について
配列番号153及び154の配列をそれぞれ有する志賀毒素1サブユニットAタンパク質(STX1A)、志賀毒素2サブユニットAタンパク質(STX2A)又は両方に属している少なくとも一つのペプチド
配列番号153
MKIIIFRVLTFFFVIFSVNVVAKEFTLDFSTAKTYVDSLNVIRSAIGTPLQTISSGGTSLLMIDSGTGDNLFAVDVRGIDPEEGRFNNLRLIVERNNLYVTGFVNRTNNVFYRFADFSHVTFPGTTAVTLSGDSSYTTLQRVAGISRTGMQINRHSLTTSYLDLMSHSGTSLTQSVARAMLRFVTVTAEALRFRQIQRGFRTTLDDLSGRSYVMTAEDVDLTLNWGRLSSVLPDYHGQDSVRVGRISFGSINAILGSVALILNCHHHASRVARMASDEFPSMCPADGRVRGITHNKILWDSSTLGAILMRRTISS

配列番号154
MKCILFKWVLCLLLGFSSVSHSREFTIDFSTQQSYVSSLNSIRTEISTPLEHISQGTTSVSVINHTPPGSYFAVDIRGLDVYQARFDHLRLIIEQNNLYVAGFVNTATNTFYRFSDFTHISVPGVTTVSMTTDSSYTTLQRVAALERSGMQISRHSLVSSYLALVEFSGNTMTRDASRAVLRFVTVTAEALRFRQIQREFRQALSETAPVYTMTPGDVDLTLNWGRISNVLPEYRGEDGVRVGRISFNNISAILGTVAVILNCHHQGARSVRAVNEDSQPECQITGDRPVIKINNTLWESNTAAAFLNRKSQFLYTTGK
【0064】
好ましくは、以下に定義する配列番号85、86及び87の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。

【0065】
4.同定について
アコニット酸ヒドラターゼ2(ACON2)、L−アスパラギナーゼ2(ASPG2)、3−オキソアシル−[アシルキャリアータンパク質]合成酵素1(FABB)、グルタミン結合性ペリプラズマタンパク質(GLNH)、モリブデン酸結合性ペリプラズマタンパク質(MODA)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(ODP2)のジヒドロ・リポイルリシン残基アセチルトランスフェラーゼ構成成分、外膜タンパク質C(OMPC)、蟻酸アセチルトランスフェラーゼ1(PFLB)、スクシニル−CoAリガーゼ[ADP−形成]サブユニットα(SUCD)、トランスケトラーゼ1(TKT1)、UPF0381タンパク質yfcZ(YFCZ)、特徴づけされていないタンパク質ygaU(YGAU)に属している少なくとも一つのペプチド(それぞれ、以下の配列番号127から135、176、136および137の配列を有する):

配列番号127
MLEEYRKHVAERAAEGIAPKPLDANQMAALVELLKNPPAGEEEFLLDLLTNRVPPGVDEAAYVKAGFLAAIAKGEAKSPLLTPEKAIELLGTMQGGYNIHPLIDALDDAKLAPIAAKALSHTLLMFDNFYDVEEKAKAGNEYAKQVMQSWADAEWFLNRPALAEKLTVTVFKVTGETNTDDLSPAPDAWSRPDIPLHALAMLKNAREGIEPDQPGVVGPIKQIEALQQKGFPLAYVGDVVGTGSSRKSATNSVLWFMGDDIPHVPNKRGGGLCLGGKIAPIFFNTMEDAGALPIEVDVSNLNMGDVIDVYPYKGEVRNHETGELLATFELKTDVLIDEVRAGGRIPLIIGRGLTTKAREALGLPHSDVFRQAKDVAESDRGFSLAQKMVGRACGVKGIRPGAYCEPKMTSVGSQDTTGPMTRDELKDLACLGFSADLVMQSFCHTAAYPKPVDVNTHHTLPDFIMNRGGVSLRPGDGVIHSWLNRMLLPDTVGTGGDSHTRFPIGISFPAGSGLVAFAAATGVMPLDMPESVLVRFKGKMQPGITLRDLVHAIPLYAIKQGLLTVEKKGKKNIFSGRILEIEGLPDLKVEQAFELTDASAERSAAGCTIKLNKEPIIEYLNSNIVLLKWMIAEGYGDRRTLERRIQGMEKWLANPELLEADADAEYAAVIDIDLADIKEPILCAPNDPDDARPLSAVQGEKIDEVFIGSCMTNIGHFRAAGKLLDAHKGQLPTRLWVAPPTRMDAAQLTEEGYYSVFGKSGARIEIPGCSLCMGNQARVADGATVVSTSTRNFPNRLGTGANVFLASAELAAVAALIGKLPTPEEYQTYVAQVDKTAVDTYRYLNFNQLSQYTEKADGVIFQTAV

配列番号128
MEFFKKTALAALVMGFSGAALALPNITILATGGTIAGGGDSATKSNYTVGKVGVENLVNAVPQLKDIANVKGEQVVNIGSQDMNDNVWLTLAKKINTDCDKTDGFVITHGTDTMEETAYFLDLTVKCDKPVVMVGAMRPSTSMSADGPFNLYNAVVTAADKASANRGVLVVMNDTVLDGRDVTKTNTTDVATFKSVNYGPLGYIHNGKIDYQRTPARKHTSDTPFDVSKLNELPKVGIVYNYANASDLPAKALVDAGYDGIVSAGVGNGNLYKSVFDTLATAAKTGTAVVRSSRVPTGATTQDAEVDDAKYGFVASGTLNPQKARVLLQLALTQTKDPQQIQQIFNQY

配列番号129
MKRAVITGLGIVSSIGNNQQEVLASLREGRSGITFSQELKDSGMRSHVWGNVKLDTTGLIDRKVVRFMSDASIYAFLSMEQAIADAGLSPEAYQNNPRVGLIAGSGGGSPRFQVFGADAMRGPRGLKAVGPYVVTKAMASGVSACLATPFKIHGVNYSISSACATSAHCIGNAVEQIQLGKQDIVFAGGGEELCWEMACEFDAMGALSTKYNDTPEKASRTYDAHRDGFVIAGGGGMVVVEELEHALARGAHIYAEIVGYGATSDGADMVAPSGEGAVRCMKMAMHGVDTPIDYLNSHGTSTPVGDVKELAAIREVFGDKSPAISATKAMTGHSLGAAGVQEAIYSLLMLEHGFIAPSINIEELDEQAAGLNIVTETTDRELTTVMSNSFGFGGTNATLVMRKLKD

配列番号130
MKSVLKVSLAALTLAFAVSSHAADKKLVVATDTAFVPFEFKQGDKYVGFDVDLWAAIAKELKLDYELKPMDFSGIIPALQTKNVDLALAGITITDERKKAIDFSDGYYKSGLLVMVKANNNDVKSVKDLDGKVVAVKSGTGSVDYAKANIKTKDLRQFPNIDNAYMELGTNRADAVLHDTPNILYFIKTAGNGQFKAVGDSLEAQQYGIAFPKGSDELRDKVNGALKTLRENGTYNEIYKKWFGTEPK

配列番号131
MARKWLNLFAGAALSFAVAGNALADEGKITVFAAASLTNAMQDIATQFKKEKGVDVVSSFASSSTLARQIEAGAPADLFISADQKWMDYAVDKKAIDTATRQTLLGNSLVVVAPKASVQKDFTIDSKTNWTSLLNGGRLAVGDPEHVPAGIYAKEALQKLGAWDTLSPKLAPAEDVRGALALVERNEAPLGIVYGSDAVASKGVKVVATFPEDSHKKVEYPVAVVEGHNNATVKAFYDYLKGPQAAEIFKRYGFTIK

配列番号132
MAIEIKVPDIGADEVEITEILVKVGDKVEAEQSLITVEGDKASMEVPSPQAGIVKEIKVSVGDKTQTGALIMIFDSADGAADAAPAQAEEKKEAAPAAAPAAAAAKDVNVPDIGSDEVEVTEILVKVGDKVEAEQSLITVEGDKASMEVPAPFAGTVKEIKVNVGDKVSTGSLIMVFEVAGEAGAAAPAAKQEAAPAAAPAPAAGVKEVNVPDIGGDEVEVTEVMVKVGDKVAAEQSLITVEGDKASMEVPAPFAGVVKELKVNVGDKVKTGSLIMIFEVEGAAPAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKAEGKSEFAENDAYVHATPLIRRLAREFGVNLAKVKGTGRKGRILREDVQAYVKEAIKRAEAAPAATGGGIPGMLPWPKVDFSKFGEIEEVELGRIQKISGANLSRNWVMIPHVTHFDKTDITELEAFRKQQNEEAAKRKLDVKITPVVFIMKAVAAALEQMPRFNSSLSEDGQRLTLKKYINIGVAVDTPNGLVVPVFKDVNKKGIIELSRELMTISKKARDGKLTAGEMQGGCFTISSIGGLGTTHFAPIVNAPEVAILGVSKSAMEPVWNGKEFVPRLMLPISLSFDHRVIDGADGARFITIINNTLSDIRRLVM

配列番号133
MKVKVLSLLVPALLVAGAANAAEVYNKDGNKLDLYGKVDGLHYFSDDKSVDGDQTYMRLGFKGETQVTDQLTGYGQWEYQIQGNSAENENNSWTRVAFAGLKFQDVGSFDYGRNYGVVYDVTSWTDVLPEFGGDTYGSDNFMQQRGNGFATYRNTDFFGLVDGLNFAVQYQGKNGSVSGEGMTNNGREALRQNGDGVGGSITYDYEGFGIGAAVSSSKRTDDQNSPLYIGNGDRAETYTGGLKYDANNIYLAAQYTQTYNATRVGSLGWANKAQNFEAVAQYQFDFGLRPSLAYLQSKGKNLGVINGRNYDDEDILKYVDVGATYYFNKNMSTYVDYKINLLDDNQFTRDAGINTDNIVALGLVYQF

配列番号134
MSELNEKLATAWEGFTKGDWQNEVNVRDFIQKNYTPYEGDESFLAGATEATTTLWDKVMEGVKLENRTHAPVDFDTAVASTITSHDAGYINKQLEKIVGLQTEAPLKRALIPFGGIKMIEGSCKAYNRELDPMIKKIFTEYRKTHNQGVFDVYTPDILRCRKSGVLTGLPDAYGRGRIIGDYRRVALYGIDYLMKDKLAQFTSLQADLENGVNLEQTIRLREEIAEQHRALGQMKEMAAKYGYDISGPATNAQEAIQWTYFGYLAAVKSQNGAAMSFGRTSTFLDVYIERDLKAGKITEQEAQEMVDHLVMKLRMVRFLRTPEYDELFSGDPIWATESIGGMGLDGRTLVTKNSFRFLNTLYTMGPSPEPNMTILWSEKLPLNFKKFAAKVSIDTSSLQYENDDLMRPDFNNDDYAIACCVSPMIVGKQMQFFGARANLAKTMLYAINGGVDEKLKMQVGPKSEPIKGDVLNYDEVMERMDHFMDWLAKQYITALNIIHYMHDKYSYEASLMALHDRDVIRTMACGIAGLSVAADSLSAIKYAKVKPIRDEDGLAIDFEIEGEYPQFGNNDPRVDDLAVDLVERFMKKIQKLHTYRDAIPTQSVLTITSNVVYGKKTGNTPDGRRAGAPFGPGANPMHGRDQKGAVASLTSVAKLPFAYAKDGISYTFSIVPNALGKDDEVRKTNLAGLMDGYFHHEASIEGGQHLNVNVMNREMLLDAMENPEKYPQLTIRVSGYAVRFNSLTKEQQQDVITRTFTQSM

配列番号135
MSILIDKNTKVICQGFTGSQGTFHSEQAIAYGTKMVGGVTPGKGGTTHLGLPVFNTVREAVAATGATASVIYVPAPFCKDSILEAIDAGIKLIITITEGIPTLDMLTVKVKLDEAGVRMIGPNCPGVITPGECKIGIQPGHIHKPGKVGIVSRSGTLTYEAVKQTTDYGFGQSTCVGIGGDPIPGSNFIDILEMFEKDPQTEAIVMIGEIGGSAEEEAAAYIKEHVTKPVVGYIAGVTAPKGKRMGHAGAIIAGGKGTADEKFAALEAAGVKTVRSLADIGEALKTVLK

配列番号176
MSSRKELANAIRALSMDAVQKAKSGHPGAPMGMADIAEVLWRDFLKHNPQNPSWADRDRFVLSNGHGSMLIYSLLHLTGYDLPMEELKNFRQLHSKTPGHPEVGYTAGVETTTGPLGQGIANAVGMAIAEKTLAAQFNRPGHDIVDHYTYAFMGDGCMMEGISHEVCSLAGTLKLGKLIAFYDDNGISIDGHVEGWFTDDTAMRFEAYGWHVIRDIDGHDAASIKRAVEEARAVTDKPSLLMCKTIIGFGSPNKAGTHDSHGAPLGDAEIALTREQLGWKYAPFEIPSEIYAQWDAKEAGQAKESAWNEKFAAYAKAYPQEAAEFTRRMKGEMPSDFDAKAKEFIAKLQANPAKIASRKASQNAIEAFGPLLPEFLGGSADLAPSNLTLWSGSKAINEDAAGNYIHYGVREFGMTAIANGISLHGGFLPYTSTFLMFVEYARNAVRMAALMKQRQVMVYTHDSIGLGEDGPTHQPVEQVASLRVTPNMSTWRPCDQVESAVAWKYGVERQDGPTALILSRQNLAQQERTEEQLANIARGGYVLKDCAGQPELIFIATGSEVELAVAAYEKLTAEGVKARVVSMPSTDAFDKQDAAYRESVLPKAVTARVAVEAGIADYWYKYVGLNGAIVGMTTFGESAPAELLFEEFGFTVDNVVAKAKELL

配列番号136
MSKCSADETPVCCCMDVGTIMDNSDCTASYSRVFANRAEAEQTLAALTEKARSVESEPCKITPTFTEESDGVRLDIDFTFACEAEMLIFQLGLR

配列番号137
MGLFNFVKDAGEKLWDAVTGQHDKDDQAKKVQEHLNKTGIPDADKVNIQIADGKATVTGDGLSQEAKEKILVAVGNISGIASVDDQVKTATPATASQFYTVKSGDTLSAISKQVYGNANLYNKIFEANKPMLKSPDKIYPGQVLRIPEE
【0066】
好ましくは、以下に定義する配列番号46から61の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。



前述のように、タイピングのために、本発明の方法は、更に、少なくとも一つの抗生物質または毒性に対する潜在的耐性を決定するために役立つ、配列番号46から66及び85から87の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用できることに注目されたい。
【0067】
他の好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、カンジダ・アルビカンスの特徴づけを可能にする。
特に、カンジダ・アルビカンスの特徴づけは、以下の通りに少なくとも一つのペプチドを使用する。

1. タイピングについて:
配列番号155から175の配列をそれぞれ有する、アルコールデヒドロゲナーゼ1タンパク質(ADH1)、フルクトース−2リン酸アルドラーゼ・タンパク質(ALF)、ラノステロール14−αデメチラーゼ・タンパク質(CP51)、F−ボックス・タンパク質COS111(CS111)、伸長因子1−β(EF1B)、エノラーゼ1(ENO1)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3P)、熱ショックタンパク質SSA1(HSP71)、熱ショックタンパク質SSB1(HSP75)、ピルビン酸キナーゼ(KPYK)、リパーゼ8(LIP8)、多タンパク質−ブリッジング因子1(MBF1)、核輸送因子2(NTF2)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ペプチジル−プロリル・シス‐トランスイソメラーゼ(PPIA)、60Sリボソームタンパク質L13(RL13)、60Sリボソームタンパク質L28(RL28)、60Sリボソームタンパク質L36(RL36)、40Sリボソームタンパク質S22(RS22)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPIS)に属している少なくとも一つのペプチド:

配列番号155
MSEQIPKTQKAVVFDTNGGQLVYKDYPVPTPKPNELLIHVKYSGVCHTDLHARKGDWPLATKLPLVGGHEGAGVVVGMGENVKGWKIGDFAGIKWLNGSCMSCEFCQQGAEPNCGEADLSGYTHDGSFEQYATADAVQAAKIPAGTDLANVAPILCAGVTVYKALKTADLAAGQWVAISGAGGGLGSLAVQYARAMGLRVVAIDGGDEKGEFVKSLGAEAYVDFTKDKDIVEAVKKATDGGPHGAINVSVSEKAIDQSVEYVRPLGKVVLVGLPAHAKVTAPVFDAVVKSIEIKGSYVGNRKDTAEAIDFFSRGLIKCPIKIVGLSDLPEVFKLMEEGKILGRYVLDTSK

配列番号156
MAPPAVLSKSGVIYGKDVKDLFDYAQEKGFAIPAINVTSSSTVVAALEAARDNKAPIILQTSQGGAAYFAGKGVDNKDQAASIAGSIAAAHYIRAIAPTYGIPVVLHTDHCAKKLLPWFDGMLKADEEFFAKTGTPLFSSHMLDLSEETDDENIATCAKYFERMAKMGQWLEMEIGITGGEEDGVNNEHVEKDALYTSPETVFAVYESLHKISPNFSIAAAFGNVHGVYKPGNVQLRPEILGDHQVYAKKQIGTDAKHPLYLVFHGGSGSTQEEFNTAIKNGVVKVNLDTDCQYAYLTGIRDYVTNKIEYLKAPVGNPEGADKPNKKYFDPRVWVREGEKTMSKRIAEALDIFHTKGQL

配列番号157
MAIVETVIDGINYFLSLSVTQQISILLGVPFVYNLVWQYLYSLRKDRAPLVFYWIPWFGSAASYGQQPYEFFESCRQKYGDVFSFMLLGKIMTVYLGPKGHEFVFNAKLSDVSAEDAYKHLTTPVFGKGVIYDCPNSRLMEQKKFAKFALTTDSFKRYVPKIREEILNYFVTDESFKLKEKTHGVANVMKTQPEITIFTASRSLFGDEMRRIFDRSFAQLYSDLDKGFTPINFVFPNLPLPHYWRRDAAQKKISATYMKEIKSRRERGDIDPNRDLIDSLLIHSTYKDGVKMTDQEIANLLIGILMGGQHTSASTSAWFLLHLGEKPHLQDVIYQEVVELLKEKGGDLNDLTYEDLQKLPSVNNTIKETLRMHMPLHSIFRKVTNPLRIPETNYIVPKGHYVLVSPGYAHTSERYFDNPEDFDPTRWDTAAAKANSVSFNSSDEVDYGFGKVSKGVSSPYLPFGGGRHRCIGEQFAYVQLGTILTTFVYNLRWTIDGYKVPDPDYSSMVVLPTEPAEIIWEKRETCMF

配列番号158
MLKTDSLDFHSYLPPYRSLINPNARYDYRTHSLIPLTQNDLNLLRIAFQKKKEAPPSAFKMKYKSLLSDVSRTISMRLSNSNLLSSSSANNNNVLLSPPPSSSSTLSTPCGNILNRAGTTSSNISKINNLSQNQTQNQLPLFPAELHIKNLPVEILDYIFYLVDDNLDYKSCMYTCKLFYFLAKPYYYENLVFTSTYRFAQFVTYLRVNSEVGQYVQSIDLSGIKPGYDEDEQEEGQEENAENGEEENGGGARDPQYLLGEIADNPHHERVDQFPRGKILAGWRDWKFKNNPLYTIHPSPSLTKIASNSQFSNVSSKSSRSTSSKSSSSTTKKFVKPFRYFKSRKRKMSYSGTTKLERKSPRLEQLQLDQYSSNWNKRVNSHPLINKFLLHYSTSKDLPIGYILHMINLCPNIVSLNLGNLSLSTDYEISRSTIHKYQNFDLINNYPKDLIYKVDNIMRLNDVDDVYSIDGSILRFGNINSGSSGSNWERNGSSSNNRILFKSNQSIASTASSVYSVTTFSKPIRKYNSLLPPLPQTVADISYLNKGDGKVYLSDLNLKEINSAYLKKINEDEILSAIINVHGKRLIEYDTSLYQIPKPLNVDIAGTLKYINLSSMIWLNRKLIEKFLTRLLTKKSPELDMYGICYTDEFFDSDEQESDDDYEDSDDEEQRQCPIIYKQNLVIDFTDSGMYKSLPWAKRIDLNSFEGCQLANKIINNDLMTPQEQALRRERRRRGAIAANYLA

配列番号159
MSFSDFSKVESIKSLNEFLADKSYIDGTTATQADVTVYKAFQKEFPQFTRWFNHIASFTEEFEDLPAGKAPAASGSAAAAAEEEDDEDVDLFGSDDEVDEEAEKLKQQRLAEYAAKKAAKGPKPAAKSIVTLDVKPWDDETDLDELLTNVKAIEMEGLTWGAHQWIPVGFGIKKLQINLVVEDALVSLDDLQAAVEEDEDHVQSTDIAAMQKL

配列番号160
MSYATKIHARYVYDSRGNPTVEVDFTTDKGLFRSIVPSGASTGVHEALELRDGDKSKWLGKGVLKAVANVNDIIAPALIKAKIDVVDQAKIDEFLLSLDGTPNKSKLGANAILGVSLAAANAAAAAQGIPLYKHIANISNAKKGKFVLPVPFQNVLNGGSHAGGALAFQEFMIAPTGVSTFSEALRIGSEVYHNLKSLTKKKYGQSAGNVGDEGGVAPDIKTPKEALDLIMDAIDKAGYKGKVGIAMDVASSEFYKDGKYDLDFKNPESDPSKWLSGPQLADLYEQLISEYPIVSIEDPFAEDDWDAWVHFFERVGDKIQIVGDDLTVTNPTRIKTAIEKKAANALLLKVNQIGTLTESIQAANDSYAAGWGVMVSHRSGETEDTFIADLSVGLRSGQIKTGAPARSERLAKLNQILRIEEELGSEAIYAGKDFQKASQL

配列番号161
MAIKIGINGFGRIGRLVLRVALGRKDIEVVAVNDPFIAPDYAAYMFKYDSTHGRYKGEVTASGDDLVIDGHKIKVFQERDPANIPWGKSGVDYVIESTGVFTKVEGAQKHIDAGAKKVIITAPSADAPMFVVGVNEDKYTPDLKIISNASCTTNCLAPLAKVVNDTFGIEEGLMTTVHSITATQKTVDGPSHKDWRGGRTASGNIIPSSTGAAKAVGKVIPELNGKLTGMSLRLPTTDVSVVDLTVRLKKAASYEEIAPAIKKASEGPLKGVLGYTEDAVVSTDFLGSSYSSIFDEKAGILLSPTFVKLISWYDNEYGYSTKVVDLLEHVA

配列番号162
MSKAVGIDLGTTYSCVAHFANDRVEIIANDQGNRTTPSFVAFTDTERLIGDAAKNQAAMNPANTVFDAKRLIGRKFDDPEVINDAKHFPFKVIDKAGKPVIQVEYKGETKTFSPEEISSMVLTKMKEIAEGYLGSTVKDAVVTVPAYFNDSQRQATKDAGTIAGLNVLRIINEPTAAAIAYGLDKKGSRGEHNVLIFDLGGGTFDVSLLAIDEGIFEVKATAGDTHLGGEDFDNRLVNFFIQEFKRKNKKDISTNQRALRRLRTACERAKRTLSSSAQTSIEIDSLYEGIDFYTSITRARFEELCADLFRSTLDPVGKVLADAKIDKSQVEEIVLVGGSTRIPKIQKLVSDFFNGKELNKSINPDEAVAYGAAVQAAILTGDTSSKTQDILLLDVAPLSLGIETAGGIMTKLIPRNSTIPTKKSETFSTYADNQPGVLIQVFEGERAKTKDNNLLGKFELSGIPPAPRGVPQIEVTFDIDANGILNVSALEKGTGKTQKITITNDKGRLSKEEIDKMVSEAEKFKEEDEKEAARVQAKNQLESYAYSLKNTINDGEMKDKIGADDKEKLTKAIDETISWLDASQAASTEEYEDKRKELESVANPIISGAYGAAGGAPGGAGGFPGAGGFPGGAPGAGGPGGATGGESSGPTVEEVD

配列番号163
MADGVFQGAIGIDLGTTYSCVATYDSAVEIIANEQGNRVTPSFVAFTSEERLIGDAAKNQAALNPKNTVFDAKRLIGRAFDDESVQKDIKSWPFKVVESNGQPLIEVEYLDETKTFSPQEISSMVLTKMKEIAEAKIGKKVEKAVVTVPAYFNDAQRQATKDAGAIAGLNVLRIINEPTAAAIAYGLGAGKSEKERHVLIFDLGGGTFDVSLLNITGGVFTVKATAGDTHLGGQDFDTNLLEHFKKEFQKKTGNDISSDARALRRLRTACERAKRSLSSGTQTTVEIDSLFDGEDFSANITRARFEDINSALFKSTLEPVEQVLEDAKISKSQVDEVVLVGGSTRIPKVQKLLSDFFDGKQLEKSINPDEAVAYGAAVQGAILTGQSTNDDTKDLLLLDVIPLSLGVAMQGNVLAPVVPRNTTVPTIKRRTFTTVADHQTTVQFPVYQGERVNCSENTLLGEFDLKNIPPMQAGEPVLEAIFEVDANGILKVTAVEKSTGRSANITISNSIGRLSTEEIEKMISDAEKFKSSDDAFAKRHEQKQKLEAYVASVESTVTDPVLSAKLKKSAKDKIEAALSDALQTLEIEESSADDYRKAELALKRAVTKGMATR

配列番号164
FTIPPNHEMIFTTDDAYKTKCDDKVMIIDYKNITKVIAPGKIIYVDDGVLSFEVISVDDQQTLKVRSLNAGMISSHKTANDVLELRVLSTSG

配列番号165
MLFLLFLLITPIYAGLIFPTKPSSDPFYNPPKGFEKAAVGDILQSRETPKSITGRFAPLKIQNSWQLLVRSEDSFGNPNAIVTTVIEPVNADPSKIASYQVFEDAAKADCAPSYALQFGSDLTTFVTQAEMYLMAPLLDQGYYVVSPDYEGPKSTFTIGKQSGQAVLNSIRATLKSSKITNIKEDAKVVMWGYSGGSLASGWAAALQPSYAPELSSSLLGAALGGFVTNITATAQAADGTVFAGIVANALGGVANEYPEFKSILQSDTDKKSVFDEFDSHCLADGVIDYINTSFLTGDNKIFKTGWDILKSPTIAKIVEDNGLVYQKQLVPKIPIFVYHGSIDQIVPIVNVKKTYQNWCEGGISSLEFAEDGTNGHLTETVVGAPAALTWIIDRFNGKQTVSGCQHDKRLSNFQYPNISSSILKYFKVALDTMMSNGLGSDIQKDKITPDDLRKFLLGGW

配列番号166
MSSDWDSVTIIGQKARVGGGGPRENVAKTSSQLNAARRAGLVVGTEKKYGTANTKSNPEGQRLTKLDATDDVVAVKKVDVSVGKAIQQARQEKKLTQKELATKVNEKPNVINDYEAGRAIPNQQLLAKLERALGVKLRGKNIGEPLFAKKK

配列番号167
MSVDFNAVATEFCNFYYNQFDSDRSQLGNLYRNESMLTFETSQLQGARDIVEKLASLPFQKVAHRISTLDAQPASANGDILVMVTGELLIDEEQNAQRYSQVFHLIPDNGSYYVFNDIFRLNYS

配列番号168
MSLSNKLSVKDLDVAGKRVFIRVDFNVPLDGKTITNNQRIVAALPTIKYVEEHKPKYIVLASHLGRPNGERNDKYSLAPVATELEKLLGQKVTFLNDCVGPEVTKAVENAKDGEIFLLENLRYHIEEEGSSKDKDGKKVKADPEAVKKFRQELTSLADVYINDAFGTAHRAHSSMVGLEVPQRAAGFLMSKELEYFAKALENPERPFLAILGGAKVSDKIQLIDNLLDKVDMLIVGGGMAFTFKKILNKMPIGDSLFDEAGAKNVEHLVEKAKKNNVELILPVDFVTADKFDKDAKTSSATDAEGIPDNWMGLDCGPKSVELFQQAVAKAKTIVWNGPPGVFEFEKFANGTKSLLDAAVKSAENGNIVIIGGGDTATVAKKYGVVEKLSHVSTGGGASLELLEGKDLPGVVALSNKN

配列番号169
MSTVYFDVSADGQKLGKITFKLYDDVVPKTAENFRALCTGEKGFGYKGSIFHRVIPQFMLQGGDFTNFNGTGGKSIYGTKFADENFVKRHDRPGLLSMANAGPNTNGSQFFITTVPCPWLDGKHVVFGEVTDGLDIVKKIESFGSGSGATSKKIVIEESGQL

配列番号170
MAISKNLPLLNNHFRKHWQERVRVHFDQAGKKASRRQSRLRKAAKIAPRPIDALRPVVRAPTVKYNRKVRAGRGFTLAELKAVGIAPKYARTIGISVDHRRQNKSQETFDANVARLQEYKSKLVIFDKKTKASEVASFEQVDVSATFPVEQPAPESGLRAVEVPEQTAYRTLRLARNEKKYKGIREKRAKEKAEAEAEKAKK

配列番号171
EKKDEYLSKSSASAAPVIDTLAHGYGKVLGKGRLPEVPVIVKARFVSKLAEEKSESLVVLSN

配列番号172
MAKSGIAAGVNKGRKTTAKEVAPKISYRKGASSQRTVFVRSIVKEVAGLAPYERRLIELIRNAGEKRAKKLAKKRLGTHKRALRKVEEMTQVIAESRRH

配列番号173
MKYLAAYLLLVQGGNTSPSASDITALLESVGVEAEESRLQALLKDLEGKDLQELIAEGNTKLASVPSGGAAAGGASASTGAAAGGAAEAEEEKEEEAKEESDDDMGFGLFD

配列番号174
MTRTSVLADALNAINNAEKTGKRQVLIRPSSKVIIKFLTVMQKHGYIGEFEYIDDHRSGKIVVQLNGRLNKCGVIQPRFNVKINDIERWTDNLLPARQFGYVILTTSAGIMDHEEARRKHVSGKILGFVY

配列番号175
MARQFFVGGNFKANGTKQQITSIIDNLNKADLPKDVEVVICPPALYLGLAVEQNKQPTVAIGAQNVFDKSCGAFTGETCASQILDVGASWTLTGHSERRTIIKESDEFIAEKTKFALDTGVKVILCIGETLEERKGGVTLDVCARQLDAVSKIVSDWSNIVVAYEPVWAIGTGLAATPEDAEETHKGIRAHLAKSIGAEQAEKTRILYGGSVNGKNAKDFKDKANVDGFLVGGASLKPEFVDIIKSRL
【0068】
好ましくは、以下に定義する配列番号88から125の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチドである。



【0069】
2.少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的耐性について
ラノステロール14−αデメチラーゼ・タンパク質(CP51)に属しており、配列番号157を有する少なくとも一つのペプチドであって、上記の通り、好ましくは、配列番号117から122の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチド。
【0070】
3.毒性について:
リパーゼ8タンパク質(LIP8)に属しており、配列番号163を有する少なくとも一つのペプチドであって、上記の通り、好ましくは、配列番号123から125の配列を有するペプチドから選択される前記ペプチド。
【0071】
4.同定について:
配列番号155、156、158から164、及び166から175の配列をそれぞれ有する、アルコールデヒドロゲナーゼ1タンパク質(ADH1)、フルクトース−2リン酸アルドラーゼ・タンパク質(ALF)、F−ボックス・タンパク質COS111(CS111)、伸長因子1−β(EF1B)、エノラーゼ1(ENO1)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3P)、熱ショックタンパク質SSA1(HSP71)、熱ショックタンパク質SSB1(HSP75)、ピルビン酸キナーゼ(KPYK)、多タンパク質−ブリッジング因子1(MBF1)、核輸送因子2(NTF2)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ペプチジル−プロリル・シス‐トランスイソメラーゼ(PPIA)、60Sリボソームタンパク質L13(RL13)、60Sリボソームタンパク質L28(RL28)、60Sリボソームタンパク質L36(RL36)、40Sリボソームタンパク質S22(RS22)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPIS)に属する少なくとも一つのペプチド。
配列番号2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、26、27、29、30、32、34、35、37、38、40、42、44から125および177の配列を有する、本発明の目的に有用なペプチドは新規であり、本発明の別の対象を構成する。
本発明の方法およびその効果は、本発明の方法の実施のさまざまな非限定的な例に関連する本願記載の残りから現れる。
【実施例】
【0072】
実施例1:生化学分析結果による試料からの微生物の同定

1.培養培地上における試料の培養
最適な培養培地および最適な培養条件は、微生物の種によって異なる。デフォルトでは、試料は、さまざまな培地上に接種される:
・ヒツジ血液を含むコロンビア寒天(ビオメリュー、ref43041)、35℃で18から24時間、嫌気的条件あり又はなし;
・TSA寒天(ビオメリュー、ref43011)、37℃で18から24時間。

2.微生物の同定
同定は、以下の通りに行う:
1.単離されたコロニーを選択する。
2.無菌状態を観察すると共に、透明プラスチック(ポリスチレン)試験管に3.0mlの無菌の食塩水溶液(0.45−0.50%のNaCl含有、pH4.5から7.0)を移す。
3.無菌綿棒または無菌綿球を使用して、工程2で調節した食塩溶液の管へ十分な数の同一コロニーを移し、調整されたバイテック2デンシチェックにより0.50から0.63マクファーランドに、細菌懸濁液を調製する。
4.バイテック2カセット上に細菌懸濁液の管及びバイテック2同定カードを配置する。
5.バイテック2計測器へカセットを装着する。
6.充填、シーリング、インキュベートおよび読出し操作は、自動である。
7.生化学分析結果が得られる。
8.バイテック2システムによる同定は、既知の菌株の生化学分析結果との比較により行われる。
【0073】
実施例2:MALDI−TOFによる試料からの微生物の同定
同定は、以下の通りに行う:
1.実施例1によって得られた微生物のコロニーの一部を1μlループを使用して移し、MALDI−TOFによる質量分析のための金属板へ均一に付着させる。
2.1μlのマトリックスにより付着物をカバーする。使用するマトリックスは、有機溶媒(50%のアセトニトリルおよび2.5%のトリフルオロ酢酸)のHCCA(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸)飽和溶液である。
3.大気温度で乾燥する。
4.質量分析計にプレートを導入する。
5.質量スペクトルを得る。
6.知識ベースに含まれるスペクトルと、得られたスペクトルを比較する。
7.得られたピークと、知識ベースのものとの比較により微生物を同定する。
【0074】
実施例3:ESI−MSによる試料からの微生物の同定
同定は、以下の通りに行う:
1. 実施例1により得られた微生物コロニーを試料採取し、100μlの脱塩水に懸濁する。
2. 3000gで5分間、遠心する。
3. 上澄みを除去する。
4. 100μlの脱塩水に再懸濁する。
5. 3000gで5分間、遠心する。
6. 上澄みを除去する。
7. アセトニトリル、脱塩水および蟻酸(50/50/0.1%)の混合物の100μlに再懸濁する。
8. 0.45μm孔径を有するフィルタでろ過する。
9. シングルMSモードの質量分析計に注入する。
10. 質量スペクトルを得る。
11. 知識ベースに含まれるスペクトルと、得られたスペクトルを比較する。
12. 参照スペクトルを参照することで微生物を同定する。
【0075】
実施例4:微生物から消化されたタンパク質を得ること
従来通り、以下のプロトコルは11工程で行う:
1. 実施例1によって得られた微生物のコロニーから試料採取し、6Mのグアニジン塩酸溶液(50mMのTris−HCl、pH=8.0)の10から100μlに懸濁する。
2. 5mMの最終濃度を得るためにジチオスレイトール(DTT)を追加する。
3. 95℃のウォーターバスで20分間、還元する。
4. 外界温度まで管を冷却する。
5. 12.5mMの最終濃度を得るためにヨードアセトアミドを加える。
6. 外界温度及び暗所で40分間、アルキル化する。
7. 1Mのグアニジン塩酸の最終濃度1Mを得るために50mMのNHHCO溶液(pH=8.0)により6倍に希釈する。
8. 1μgのトリプシンを加える。
9. 一晩6時間、37℃で消化する。
10. 反応を止めるためにpH4未満までギ酸を加える。
11. 100000gで、30分間、超遠心する。
【0076】
実施例5:黄色ブドウ球菌(S.aureus)試料の特徴づけ:
実施例1から3に記載した方法の何れか一つにより試料の1又は複数の種を決めた後に、下にリストする種を分析する。
黄色ブドウ球菌の13菌株は、それらの同定を確認し、その特徴を決めるために分析する。
ID2 ID3
ID4 ID2a
ID3a ID4a
AST7 AST8
AST13 AST14
VIR5 VIR6
VIR7
分析の同じ方法は、ネガティブコントロールとして役立てるために、黄色ブドウ球菌種に属しない種に適用する:
・大腸菌
ID7 AST2
・肺炎球菌
VIR21
・クロストリジウム・ディフィシール
VIR26
【0077】
各試料は実施例4によって処理し、次に 消化されたタンパク質の5μl量は、以下の条件に従って注入して、分析する:
・アジレント・テクノロジー社(マッシー、フランス)のアジレント1100シリーズクロマトグラフィ・システム。
・ウォーターズ・シンメトリーC18カラム、内径2.1mm、長さ100mm、粒径3.5μm。
・溶媒A:HO+0.1%ギ酸
・溶媒B:ACN +0.1%ギ酸
・以下の表1に定めるHPLC勾配:
表1

【0078】
・クロマトグラフィーカラムの出力の溶出液は、アプライドバイオシステム社のQTRAP(登録商標)5500質量分析計(フォレストシティ、米国)のイオン源に直接注入する。
・微生物のタンパク質の消化から生じたペプチドはMRMモードの質量分析によって分析する。表2に示すペプチドだけが検出される。このため、表2に示す第一世代の断片が検出される。各々の遷移、すなわち第一世代の断片に関連する各ペプチドが対応することができる用途は、文字I、T、R、及びVで、表2の臨床関心の欄に特定する。Iは微生物の同定の確認、Tはタイピング、Rは少なくとも一つの抗生物質への耐性、及びVは毒性因子の検出を示す。
表2



【0079】
前駆体ペプチドの荷電状態、保持時間及び遷移、すなわちQ1の(m/z)及びQ3の(m/z)の比率を、表3に示す。更に、前駆体イオンを分解するために使用する衝突エネルギーは表3に示す。
表3




・使用する他の機械パラメータは以下である:
スキャン型:MRM
極性:正
イオン源:ターボVTM(アプライドバイオシステム)
Q1設定:ユニットレゾルーションによるフィルタリング
Q3設定:ユニットレゾルーションによるフィルタリング
スキャン間の休止:5.00ミリ秒
スキャンスピード:10Da/s
カーテン・ガス:50.00psi
コーン電圧:5500.00V
ソース温度:500.00°C
霧化ガス:50.00psi
燃料ガス:40.00psi
動的充填:作動
クラスター分離電位(DP): 100.00V
Q0前の入力電位(EP):6.00V
衝突セル出口電位(CXP):11V
総サイクル時間:1.6秒
【0080】
各遷移について及び研究される各微生物について得られた領域が測定された。1000(任意単位)以上の領域を有する全ての遷移は陽性であるとみなして、表4Aおよび4Bに「1」と示されている。1000未満の領域を有する全ての遷移は陰性であるとみなして、表4Aおよび4Bに「0」と示されている。信号ピークが観察されない場合に、遷移は陰性として記載した。
陽性の遷移番号は、次に用途I、RおよびVについてまとめて、表5に報告した:
表4A



表4B



表5

【0081】
全ての黄色ブドウ球菌試料は、Iカテゴリーで12以上の陽性遷移を示す。従って、全てのこれらの試料は、実際に、黄色ブドウ球菌種(S.アウレウス種)に属することが確認される。
一方では、試料ID7、AST2、VIR21およびVIR26はIカテゴリーで2つ未満の陽性の遷移を示し、従ってこれらの試料が黄色ブドウ球菌種(S.アウレウス種)に属しないことが確認される。
黄色ブドウ球菌のID2、ID4、ID2a、ID4a、AST13およびAST14菌株は、Rカテゴリーについて8つ以上の陽性の遷移を示し、従ってペニシリン結合性タンパク質(PBP2a)を発現し、これはグループMペニシリン(例えばメチシリン)に対する耐性の機構と同義である。
一方で、黄色ブドウ球菌のID3、ID3a、AST7、AST8、VIR5、VIR6およびVIR7菌株は、Vカテゴリーについて3つの陽性の遷移を示し、従ってPBP2aを発現しない。従って、これらの菌株は、グループMペニシリンのような抗生物質に感受性である。
黄色ブドウ球菌種に属しないID7、AST2、VIR21およびVIR26菌株はRカテゴリーについて3つ未満の遷移を示し、従ってそれらはPBP2aを発現せず、それによって方法の特異性が確認される。
黄色ブドウ球菌のVIR5およびVIR7試料はVカテゴリーで9つ以上の陽性の遷移を示し、従って、パントン−バレンタイン型ロイコシジン(PVL)タンパク質を発現する。
一方で、黄色ブドウ球菌のID2、ID3、ID4、ID2a、ID3a、ID4a、AST7、AST8、AST13、AST14およびVIR6菌株は3つ未満の陽性の遷移を示し、従ってPVLを発現しない。従って、これらの菌株はPVLに関連した毒性特性を有しない。
黄色ブドウ球菌種(S.アウレウス種)に属しないID7、AST2、VIR21およびVIR26菌株もVカテゴリーについて3つ未満の遷移を示し、従ってPVLを発現せず、それにより方法の特異性が確認される。
【0082】
タイピングについて、各々の菌株のT−カテゴリー遷移は、参照遷移とみなした他の菌株の遷移と比較される。実際には、2つの菌株間の遷移が同じカテゴリー(陽性又は陰性)に分類されるときに値0が割り当てられ、2つの菌株間の遷移が異なるカテゴリー(陽性の遷移および陰性の遷移)に分類されるときに値1が割り当てられる。スコアを決めるために、値を各菌株ペアのT−カテゴリー遷移についてまとめる。スコアは表6に示す。
表6

4以下のスコアを有する菌株は同じタイプであり、厳密に4より上のスコア有する菌株は異なるタイプである。従って、ID2とID2a、ID3とID3a、ID4とID4a、並びにAST7とAST8菌株は、同じタイプである。残りの菌株ペアの全ては、異なるタイプである。ID7、AST2、VIR21およびVIR26菌株(これらは黄色ブドウ球菌ではない)の間で、及び黄色ブドウ球菌である他の菌株の全てで得られる合計は高いことに注目されたい。これらの結果は、方法の特異性を確認する。
ID7、AST2、VIR21およびVIR26菌株は当然ながら同じタイプでない;それらは異なる種であり、これは不合理である。従って、これらの菌株は互いに比較することができず、値は表6に報告していない。
極めて有利には、例えばD2とVR7との間の25より高いスコアは、菌株間の大きな相違を反映する。ID2およびAST14との間のような15から25のスコアは中程度の相違を反映し、ID2とID4aとの間のような5から15のスコアは弱い相違を反映する。
従って、このように行う方法は、(感染の共通の源を同定することにとって重要である)2つの菌株が同じタイプであるかどうか立証するだけでなくて、(疫学的研究にとって極めて重要である)2つの菌株の近さを推定することも可能にする。

この実施例は、非常に有利には、本発明が、黄色ブドウ球菌のような種のアイデンティティを確認することが1時間未満(非常に短い)の時間内で可能であり、同じ分析の範囲内で同時に、タイピングおよび少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的抵抗性の特性を決定し、毒性因子の存在を決めることができることを示す。これらの特性は同じ計測器で決められ、それは分析および結果の報告を非常に容易にする。最後に、細菌の特徴づけは細菌タンパク質を使用して決められ、それは生きていて生存可能な微生物の存在を反映し、死んだ細菌の存在によって歪められうる細菌DNAを使用した特徴づけとは異なる。
【0083】
実施例6:脱塩化工程を有する微生物の消化プロトコル
従来法どおり、以下のプロトコルは17工程で行う。
工程1から10:実施例4と同じ。
11.試料体積は、水/0.1%(v/v)蟻酸により1mlにする。
12.ウォーターズ・オアシスHLBカラムは1mlのメタノール、次に1mlのHO/0.1%(v/v)蟻酸)で平衡化する。
13.試料をロードし、試料は重力で注がれる。
14.1mlのHO/0.1%(v/v)蟻酸で洗浄する。
15.80%メタノールおよび20%の水/0.1%(v/v)蟻酸の混合物の1mlにより溶出する。
16.溶出液は、SpeedVac(登録商標)SPD2010蒸発器によって、およそ100μlの体積を得るために、2時間蒸発させる(サーモエレクトロン社、ウォルサム、マサチューセッツ、米国)。
17.次に、溶出液は、十分量(QS)250μlで、水/0.5%(v/v)の蟻酸溶液にとる。
【0084】
実施例7:大腸菌試料の特徴づけ:
実施例1から3に記載した方法の何れかに従って試料の1又は複数の種を決めた後に、下に挙げた種が分析される。
15の大腸菌菌株はそれらの同定を確認し、それらの特徴を決めるために分析する:
AST1 AST2
AST3 AST4
AST5 VIR41
VIR42 VIR43
VIR44 VIR45
ID6 ID7
ID8 ID9
ID10
分析の同じ方法は、ネガティブコントロールとして使用するために大腸菌種に属していない種に適用する:
・黄色ブドウ球菌
VIR10
・肺炎球菌
VIR19
・クロストリジウム・ディフィシール
VIR28
各試料は実施例6に従って処理し、次に消化したタンパク質の体積5μlは以下の条件に従って注入して、分析する:
・アジレント・テクノロジー社(マッシー、フランス)のアジレント1100シリーズクロマトグラフィーシステム。
・ウォーターズ・シンメトリーC18カラム、内径2.1mm、長さ100mm、粒径3.5μm。
・溶媒A:HO+0.1%ギ酸
・溶媒B:ACN+0.1%ギ酸
・以下の表7に定められるHPLC勾配
表7


・クロマトグラフィーカラムの出力の溶出液は、アプライドバイオシステム社のQTRAP(登録商標)5500質量分析計(フォレストシティ、米国)のイオン源に、直接注入する。
【0085】
・微生物のタンパク質の消化から生じたペプチドはMRMモードの質量分析を使用して分析する。表8に示すペプチドだけを検出する。このため、表8に示す第一世代の断片を検出する。各々の遷移、すなわち第一世代の断片に関連する各ペプチドが対応することができる用途を、文字I、T、R、及びVで、表8の臨床関心の欄に特定する。Iは微生物の同定の確認、Tはタイピング、Rは少なくとも一つの抗生物質への耐性、及びVは毒性因子の検出を示す。
表8




【0086】
前駆体ペプチドの荷電状態、保持時間及び遷移、すなわちQ1の(m/z)及びQ3の(m/z)の比率を、表9に示す。更に、前駆体イオンを分解するために使用する衝突エネルギーは表9に示す。
表9




【0087】
・使用する他の機械パラメータは、以下のとおりである:
スキャン型:MRM
予定されたMRM:イエス
極性:正
イオン源:ターボVTM(アプライドバイオシステム)
Q1設定:ユニットレゾルーションによるフィルタリング
Q3設定:ユニットレゾルーションによるフィルタリング
スキャン間の休止:5.00ミリ秒
スキャンスピード:10Da/s
カーテン・ガス:50.00psi
コーン電圧:5500.00V
ソース温度:550.00°C
霧化ガス:50.00psi
燃料ガス:40.00psi
動的充填:作動
クラスター分離の電位(DP):100.00V
Q0前の入力電位(EP):9.00V
衝突セル出口電位(CXP):35V
総サイクル時間:1.2秒
検出ウィンドウ:80秒
【0088】
各遷移について及び研究される各微生物について得られた領域を測定した。2500(任意単位)以上の領域を有する全ての遷移は陽性であるとみなして、表10Aおよび10Bに「1」と示す。2500未満の領域を有する全ての遷移は陰性であるとみなして、表10Aおよび10Bに0と示す。
信号ピークが観察されない場合に、遷移は陰性として記載した。陽性の遷移番号は、次に用途I、RおよびVについてまとめて、表11に報告した:

表10A




表10B




表11

【0089】
全ての大腸菌試料は、Iカテゴリーで44以上の陽性遷移を示す。従って、全てのこれらの試料は、実際に大腸菌種に属することが確認される。
一方では、VIR10、VIR19およびVIR28試料はIカテゴリーで3つ未満の陽性遷移を示し、従って、これらの試料は大腸菌種に属しないことが確認される。
大腸菌のAST2、AST3、AST4およびAST5菌株がRカテゴリーで14以上の陽性遷移を示し、従って、プラスミド媒介性ペニシリナーゼTEM−2を発現し、これはペニシリンに対する耐性の機構と同義である。
大腸菌のAST1、VIR41、VIR42、VIR43、VIR44、VIR45、ID6、ID7、ID8、ID9およびID10菌株がRカテゴリーで7未満の陽性遷移を示し、従って、プラスミド媒介性ペニシリナーゼTEM−2を発現しない。従って、これらの菌株は、ペニシリン、特にアミノペニシリンまたはAペニシリン(アンピシリン)、カルボキシペニシリンまたはCペニシリン(チカルシリン)およびウレイドペニシリンまたはペニシリンU(ピペラシリン)に感受性である。
大腸菌種に属しないVIR10、VIR19およびVIR28菌株はRカテゴリーで2未満の遷移を示し、従ってTEM−2を発現せず、それにより方法の特異性が確認される。
大腸菌のVIR41、VIR42、VIR43およびVIR44試料はVカテゴリーで4つの陽性遷移を示し、従ってシガトキシン 1または2(STX1またはSTX2)毒素を発現する。より詳しくは、VIR41については遷移118から125は陽性であり、従ってVIR41はシガトキシン1およびシガトキシン2を同時に発現する。VIR42およびVIR44は遷移121から125について陽性であり、従って、それらはシガトキシン2を発現する。遷移123および124を示すVIR45の場合も同様である。遷移118から122を示すVIR43はシガトキシン2を発現する。一方で、大腸菌のAST1、AST2、AST3、AST4、AST5、VIR45、ID6、ID7、ID8、ID9およびID10菌株が3未満の陽性遷移を示し、従って、それらはシガトキシンを発現しない。従って、これらの菌株はシガトキシンに関連した毒性の特性を有しない。
大腸菌種に属さないVIR10、VIR19およびVIR28菌株はVカテゴリーで3未満の遷移を示し、従って、それらはstx1またはstx2を発現せず、それにより方法の特異性が確認される。
【0090】
タイピングのために、各菌株のT−カテゴリー遷移は、参照菌株とみなした他の菌株の遷移と比較した。実際には、2つの菌株間の遷移が同じカテゴリー(陽性又は陰性)に分類されるときに値0が割り当てられ、2つの菌株間の遷移が異なるカテゴリー(陽性の遷移および陰性の遷移)に分類されるときに値1が割り当てられる。スコアを決めるために、値は各菌株ペアのT−カテゴリー遷移についてまとめる。スコアは表12に与える:
表12

【0091】
4以下のスコアを有する菌株は同じタイプであり、厳密に4より上のスコア有する菌株は異なるタイプである。
従って、AST2、AST3、AST4およびAST5菌株は、同じタイプである。AST1とID6菌株について、ID7、ID8、ID9およびID10菌株について、それぞれ同様である。残りの菌株ベアの全ては、異なるタイプである。
VIR10、VIR19およびVIR28菌株(これらは黄色ブドウ球菌ではない)の間で、及び黄色ブドウ球菌である他の菌株の全てで得られる合計は高いことに注目されたい。これらの結果は方法の特異性を確認する。
VIR10、VIR19およびVIR28菌株は、異なる種である。従って、これらの菌株は互いに比較することができず、値は表12に報告していない。
極めて有利には、例えばAST4とVIR41との間の20より高いスコアは、菌株間の大きな相違を反映する。
ID7とVIR42との間のような12から20のスコアは中程度の相違を反映し、ID10とAST1との間のような4から12のスコアは弱い相違を反映する。
従って、このように行う方法は、(感染の共通の源を同定することにとって重要である)2つの菌株が同じタイプであるかどうか立証するだけでなくて、(疫学的研究にとって極めて重要である)2つの菌株の近さを推定することも可能にする。
この実施例は、非常に有利には、本発明が、黄色ブドウ球菌のような種のアイデンティティを確認することが1時間未満(非常に短い)の時間内で可能であり、同じ分析の範囲内で同時に、タイピングおよび少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的抵抗性の特性を決定し、毒性因子の存在を決めることができることを示す。
これらの特性は同じ計測器で決められ、それは分析および結果の報告を非常に容易にする。最後に、細菌の特徴づけは細菌タンパク質を使用して決められ、それは生きていて生存可能な微生物の存在を反映し、死んだ細菌の存在によって歪められうる細菌DNAを使用した特徴づけとは異なる。
【0092】
実施例8:メタノールの存在下における微生物の消化のプロトコル
従来どおり、以下のプロトコルは17工程で実施される:
1.実施例1に従って得られた微生物コロニーから試料採取し、50mMの重炭酸アンモニウム溶液(pH=8.0)の400μlに再懸濁する。
2.メタノール600μlを加える。
工程3から7:実施例4の工程2から6と同じ。
工程8から17:実施例6の工程8から17と同じ。
【0093】
実施例9:カンジダ・アルビカンス試料の特徴づけ:
実施例1から3に記載されている方法の何れかにより試料の1又は複数の種を決めた後に、以下に挙げた種を分析する。
17のカンジダ・アルビカンス菌株は、それらの同定を確認して、それらの特徴づけを決めるために、分析する:
ATF1 ATF2
ATF3 ATF4
ATF5 ATF6
ATF7 VIR31
VIR32 VIR33
VIR34 VIR35
VIR36 VIR37
VIR38 VIR39
CA16
ネガティブコントロールとして使用するために、分析の同じ方法はカンジダ・アルビカンス種に属していない種に適用する。
・大腸菌
VIR43
・黄色ブドウ球菌
VIR5
・フェシウム菌
AST−VAN8

各試料は実施例8に従って処理して、次に消化されたタンパク質の体積5μlは注入して、実施例7と同じ条件に従って分析する。
【0094】
・微生物のタンパク質の消化から生じたペプチドは、MRM法の質量分析計を使用して分析する。表13に示すペプチドだけを検出する。このために、表13に記載の第一世代の断片を検出する。各々の遷移、すなわち第一世代の断片に関連する各ペプチドが対応することができる用途を、表14の臨床関心の欄に、文字I、T、R、及びVで特定する。Iは微生物の同定の確認、Tはタイピング、Rは少なくとも一つの抗生物質への耐性、及びVは毒性因子の検出を示す。
表13




【0095】
前駆体ペプチドの荷電状態、その保持時間および遷移、すなわちQ1の(m/z)とQ3の(m/z)の比率は、表14に示す(m/z)。更に、前駆体イオンを分解するために使用する衝突エネルギーを表14に示す。
表14




【0096】
使用する他の機械パラメータは実施例7と同じである。各遷移について及び研究される各微生物について得られた領域を測定した。2000(任意単位)以上の領域を有する全ての遷移は陽性であるとみなして、表15Aおよび15Bに「1」と示す。2000未満の領域を有する全ての遷移は陰性であるとみなして、表15Aおよび15Bに0と示す。信号ピークが観察されない場合に、遷移は陰性として記載した。

表15A




表15B




【0097】
次に、陽性遷移番号は、I、RおよびVアプリケーションについてまとめて表16に報告する:
表16



全てのカンジダ・アルビカンス試料は、Iカテゴリーで60以上の陽性遷移を示す。従って、全てのこれらの試料は、実際に、カンジダ・アルビカンス種に属することが確認される。
一方では、VIR43、VIR5およびAST−VAN8試料はIカテゴリーで13未満の陽性遷移を示し、従ってこれらの試料はカンジダ・アルビカンス種に属しないことが確認される。

遷移84および85の観察結果は、突然変異ペプチドの存在を示しており、ATF6およびATF7菌株の耐性を反映する。
遷移86および87の観察結果は、突然変異ペプチドの存在を示しており、ATF2およびATF3菌株の耐性を反映する。
遷移96の観察結果は、突然変異ペプチドの存在を示しており、ATF5菌株の耐性を反映する。
遷移99および100の観察結果は、突然変異したペプチドの存在を示しており、ATF7菌株の耐性を反映する。
遷移88および89の観察結果は、天然ペプチドの存在を示しており、ATF4菌株の感受性を反映する。
遷移93および94の観察結果は、天然ペプチドの存在を示しており、ATF1およびTF4菌株の感受性を反映する。
【0098】
I遷移の全ての領域は、合計SIを与えるために合計する。V遷移の全ての領域は、合計SVを与えるために合計する。次にSV/SI比率を算出して、増倍係数MFによって倍加する。得られた結果を表17に示す。
表17


VIR31およびVIR32菌株(9×10より大きい(SV/SI)比率×MF超過を有する)はリパーゼ8を過剰発現し、従って、これらの菌株は毒性である。全ての他の菌株は、9×10より小さい比率を有しており、それらはリパーゼ8を過剰発現しないので、毒性でない。興味深いことに、(SV/SI)比率×MFは、VIR31菌株がVIR32菌株より高いので、VIR31菌株はVIR32菌株より毒性が強いと特徴づけられる。
【0099】
タイピングについて、各菌株のTカテゴリー遷移は、参照菌株と考えられる他の菌株の遷移と比較される。実際には、2つの菌株間の遷移が同じカテゴリー(陽性又は陰性)に分類されるときに値0が割り当てられ、2つの菌株間の遷移が異なるカテゴリー(陽性の遷移および陰性の遷移)に分類されるときに値1が割り当てられる。値は、スコアを決めるために、各菌株ペアの全てのT−カテゴリー遷移を合計する。スコアを表18に与える:
表18

2未満のスコアを有する菌株は同じタイプであり、厳密に2以上のスコアを有する菌株は異なるタイプである。
このように、ATF1とATF2、VIR35とVIR36、およびVIR37とVIR38菌株は、それぞれ同じタイプである。全ての他の菌株のペアは、異なるタイプである。黄色ブドウ球菌でないVIR43、VIR5およびAST−VAN8菌株の間で得られた高い合計、および黄色ブドウ球菌である全ての他の菌株に注目されたい。これらの結果は方法の特異性を確認する。
VIR43、VIR5およびAST−VAN8菌株は異なる種である。従って、これらの菌株は互いに比較することができず、値は表18に報告しない。
極めて有利には、例えばATF1とVIR39間の20を超えるスコアは、菌株間の大きな相違を反映する。CA16とATF1との間のように、14から20のスコアは中程度の相違を反映し、ATF1とATF7との間のように4から14のスコアは弱い相違を反映する。
従って、本方法は、(感染の共通の源を同定することにとって重要である)2つの菌株が同じタイプであるかどうか立証するだけでなくて、(疫学的研究にとって極めて重要である)2つの菌株の近さを推定することも可能にする。

この実施例は、非常に有利には、本発明が、カンジダ・アルビカンスのような種のアイデンティティを確認することが(非常に短い)1時間未満の時間内で可能であり、同じ分析の範囲内で同時に、タイピングおよび少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的抵抗性の特性を決定し、毒性因子の存在を決めることができることを示す。

さらに、本発明は定量的アッセイを可能にし、少なくとも一つの抗生物質または毒性に対する耐性の特性がタンパク質の発現の又は代謝産物のレベルに連結されるときに、それは特に有利である。これは、本実施例では、リパーゼ8を定量的に分析することにより例示するものである。これらの特性は同じ計測器で決められ、それは分析および結果の報告を非常に容易にする。
最後に、酵母の特徴づけは菌類タンパク質を使用して決められ、それは生きていて生存可能な微生物の存在を反映し、死んだ細菌の存在によって歪められうる菌類DNAを使用した特徴づけとは異なる。
【0100】
実施例10:少なくとも一つの代謝産物の分析に適している、メタノールの存在下における微生物の消化のプロトコル
従来どおり、以下のプロトコルは19工程で実施する:
1.実施例1に従って得られた、5つの微生物のコロニーを試料採取し、6Mのグアニジン塩酸塩、50mMのTris−HCl溶液(pH=8.0)の100μlに懸濁する。
2.15000gで5分間、遠心する。
3.ペレットは、50mMの重炭酸アンモニウム溶液(pH=8.0)の400μlにとる。
4.600μlのメタノールを加える。
工程5から9:実施例4の工程2から6と同じ。
工程10から19:実施例4の工程8から17と同じ。
【0101】
実施例11:タンパク質及び代謝産物の同時解析によるカンジダ・アルビカンス試料の特徴づけ:
実施例1から3に記載した方法の何れかによって試料の1又は複数の種を決めた後に、下に挙げた種を分析する。
カンジダ・アルビカンスの5つの菌株は、その同定を確認し、特徴を決めるために分析する:
ATF1 ATF2
ATF3 ATF4
ATF6
各試料を実施例10に従って処理し、消化されたタンパク質の体積20μlを注入して、実施例7と同じ条件で分析する。
表13および14は、一点以外は同一である。遷移番号109を方法に加える。それは、臨床関心IおよびRの分子、エルゴステロールに対応する。
前駆体の荷電状態は1であり、保持時間は36.3分であり、Q1でフィルターをかけられたm/zは379.4であり、Q3でフィルターをかけられたm/zは69.2であり、衝突エネルギーは47である。
下記の点を除いて、大量のパラメータは実施例7のものと同じである:
カーテン・ガス:25.00psi
ソース温度:450.00°C
燃料ガス: 50.00psi
Q0(EP)前の入力電位:4.00V

遷移109について、パラメータは異なる:
クラスター分離の電位(DP):200.00V
Q0(EP)前の入力電位:10.00V
衝突セル出口電位(CXP):8V
【0102】
全ての遷移1から108は、実施例9と同じの方法で分析する。
I遷移の全ての領域は、合計SIを与えるために合計する。遷移109の領域はA109と呼ばれる。次にA109/SI比率を計算して、増倍係数MFによって倍加する。得られた結果を表19に与える。
表19

ATF2、ATF3およびATF6菌株(2×10より大きい(A109/SI)比率×MF超過を有する)はエルゴステロールを過剰発現し、従って、これらの菌株は耐性である。
全ての他の菌株は、2×10より小さい比率を有しており、それらはエルゴステロールを過剰発現しないので、耐性でない。
この実施例は、非常に有利には、本発明が、(非常に短い)1時間未満の時間内で、同じ分析の範囲内で同時に、タンパク質、ペプチド又は代謝産物のようなさまざまな化合物を量的に分析できることを示す。
タンパク質の分析よりも更に有利には、このタンパク質の作用から生じる代謝産物を定量的に分析することは、機能するたんぱく質の存在、及びより広くは機能する合成経路の存在を特徴づけることである。このように、エルゴステロールの定量化は、この場合、機能的で強い活性をするラノステロール・デメチラーゼの存在に関連づけられるフルコナゾールに対する耐性の機構の存在を決めることを可能にする。
【0103】
実施例12:尿試料に存在する微生物の特徴づけ:
実施例1から3に記載されている方法の何れかにより、試料の1又は複数の種を決めた後に、大腸菌によって汚染された5つの尿試料(尿1から5)を分析する。
更に、汚染されていない第6の尿(尿6)は、ネガティブコントロールとして使用するために分析する。
以下のプロトコルは、29工程で実施する(工程5から12は任意であり、結果を有意には変えずに省略することができる)。
1. 2000gで30秒間の5mlの汚染された尿を遠心する。
2. 上澄みを回収する。
3. 15000gで5分間、遠心する。
4. 上澄みを除去する。
5. 再懸濁によって3mlの蒸留水によりペレットを洗浄する。
6. 15000gで5分間、遠心する。
7. 上澄みを除去する。
8. ペレットを1/10に希釈された溶媒と接触させる。
9. −20℃で1時間置く。
10. 15000gで5分間、遠心する。
11. 上澄みを除去する。
12. ペレットを1/10に希釈された溶媒と接触させる。
13. −20℃で1時間置く。
14. 15000gで5分間、遠心する。
15. 上澄みを除去する。
12. 6Mのグアニジン塩酸塩、50mMのTris−HCl溶液(pH=8.0)の10〜100μlにペレットを懸濁する。
13. 工程14から18:実施例4の工程2から6と同じ。
19. 工程19から28:実施例6の工程8から17と同じ。
29. 実施例7に記載されているプロトコルに従って、クロマトグラフィー・システムおよび質量分析計に酸性化された溶出液を100μl注入する。
【0104】
各遷移について及び研究された各微生物について得られた領域を測定した。尿試料の細菌負荷は試料ごとに非常に異なるので、陽性遷移を表すために実施例7で使用する閾値を、ここで使うことができない。それは存在する細菌の量に合わせなければならない。前の実施例において、コロニーからの試料採取は微生物の相当量に結果としてなった。これは本実施例には当てはまらない。このように、細菌の量は、全てのI遷移の領域を合計することによって推定される。I遷移の領域の合計を表20に報告する。
表20

このように、試料4は、試料3(それ自体は実施例1及び5より高い細菌負荷を有する)より高い細菌負荷を含んでなり、それらは試料2より高い負荷を有する。試料1と5は類似の細菌負荷を有する。試料6は大腸菌を含まず、ゼロ負荷を示し、それによって技術の特異性を示す。
【0105】
従って、各遷移の領域は、全I遷移の領域によって、それを分けることによって標準化される。比率が0.00015(非次元の比率)以上である全ての遷移は、陽性であるとみなして、表21の「1」と示す。比率が0.00015未満である全ての遷移は陰性とみなして、表21に0と示す。信号ピークが観察されないときに、遷移は陰性と記載する。
表21




【0106】
次に、陽性遷移番号を、I、RおよびVアプリケーションについてまとめて、表22に報告する。
表22

同様に、試料の濃縮を考慮して、遷移陽性閾値は修正されなければならなかったので、菌株を特徴づけるために必要なペプチドの数は細菌の完全な濃縮に合わせなければならない。実施例7で弱く検出されたいくつかのペプチドは、細菌の量が1つ未満のコロニーであるときは、検出限界よりも下にある場合がある。
尿1から5は、Iカテゴリーで30以上の陽性遷移を示す。従って、これらの全ての試料が大腸菌種により汚染されるにつれて、全てのこれらの試料は確認される。
一方では、尿6は、Iカテゴリーの陽性遷移を示さない。従って、それは大腸菌種によって汚染されていないことが確認される。

尿1、2、3および5はRカテゴリーについて、少なくとも5つの陽性遷移を示しており、従って、それらはプラスミド媒介性ペニシリナーゼTEM−2を発現し、それはペニシリン、特にアミノペニシリンまたはAペニシリン(アンピシリン)、カルボキシペニシリンまたはCペニシリン(チカルシリン)およびウレイドペニシリンまたはペニシリンU(ピペラシリン)に対する耐性機構を有することと同義である。
一方では、尿4および6はRカテゴリーで陽性遷移を示さず、従ってそれらはプラスミド媒介性ペニシリナーゼTEM−2を発現しない。従って、これらの菌株はペニシリンに感受性である。
【0107】
アンピシリン、チカルシリンおよびピペラシリンに対する耐性は、出願人によって販売されるバイテック(登録商標)2自動装置及びAST EXN及びAST−N103カードによって確認された。バイテック(登録商標)2自動装置での確認は、6から8時間かかり、それは本発明でかかる時間よりも遅い。

尿1から6は、Vカテゴリーで1より上の陽性遷移を示していない。従って、これらの尿はシガトキシン・タイプの毒素によって汚染されていない。

タイピングについて、各菌株のT−カテゴリー遷移は、参照菌株とみなした他の菌株の遷移と比較される。実際には、2つの菌株間の遷移が同じカテゴリー(陽性又は陰性)に分類されるときに値0が割り当てられ、2つの菌株間の遷移が異なるカテゴリー(陽性の遷移および陰性の遷移)に分類されるときに値1が割り当てられる。値は、スコアを決めるために、各菌株ペアの全てについてT−カテゴリー遷移について合計される。スコアを表23に与える:
表23


4以下のスコアを有する尿はなかった。従って、尿1から5を汚染している菌株は、異なるタイプである。これらの尿試料は、地方の診断研究所において集められ、そこでは感染症がしばしば異なる環境で生じる。これらの条件下では、尿感染症が同じ菌株に関連づけられることを観察することはまれである。

この実施例は、非常に有利には、大腸菌のような種のアイデンティティを一次試料から直接に確認して、同じ分析の範囲内で同時に、タイピングおよび少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的耐性の特性を決定することができることを示す。
【0108】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの微生物を同定すること、及びタイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する潜在的耐性および毒性因子の特性を決定することを含む、試料から少なくとも一つの微生物を特徴づける方法であって、前記少なくとも一つの微生物についてタイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性、および毒性因子の特性を決定することが、タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性および毒性因子の前記特性のマーカーとして、タンパク質、ペプチドおよび/または代謝産物を使用する質量分析によって実施することを特徴とする、方法。
【請求項2】
タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する潜在的耐性および毒性因子の特性について実施する質量分析がMS/MS型のスペクトロメトリーであることを特徴とする、請求項1に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項3】
MS/MSスペクトロメトリーがMRMであることを特徴とする、請求項2に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項4】
タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性および毒性因子の特性の決定を、同じ質量分析装置で実施することを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項5】
タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性および毒性因子の特性の決定を同時に行うということを特徴とする、請求項4に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つの微生物を同定することも質量分析によって行うことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つの微生物を同定するための質量分析がMS型、MS/MS型又はMS/MS型のスペクトロメトリが後に続くMS型のスペクトロメトリであることを特徴とする、請求項6に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの微生物の同定を確認する更なる工程を含んでなり、該確認工程は質量分析により実施することを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項9】
確認工程の質量分析がMS/MS型の質量分析であることを特徴とする、請求項8に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項10】
確認工程の質量分析がMRMであることを特徴とする、請求項9に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項11】
タイピング、少なくとも一つの抗菌物質に対する耐性および毒性因子の前記特性のマーカーが前記少なくとも一つの微生物のタンパク質であることを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項12】
前記微生物のタンパク質がペプチドに消化されることを特徴とする、請求項11に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項13】
消化が酵素によって行われることを特徴とする、請求項12に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項14】
酵素がトリプシンであることを特徴とする請求項13に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項15】
前記少なくとも一つの微生物が細菌であり、抗菌物質が抗生物質であることを特徴とする、請求項1から14の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項16】
細菌が黄色ブドウ球菌であることを特徴とする、請求項15に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項17】
タイピング特性を決定することは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、26、27、29、30、32、34、35、37、38、40、42、44または45に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項16に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項18】
少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的耐性の特性を決定することが配列番号10から17に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項16又は17に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項19】
毒性を決定することが配列番号19、20、21、23または24に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項16から18の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項20】
同定することが配列番号26、27、29、30、32、34、35、37、38、40、42、44および45に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項16から19の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項21】
細菌が大腸菌であることを特徴とする、請求項15に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項22】
タイピング特性を決定することが配列番号46から87に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項21に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項23】
少なくとも一つの抗生物質に対する潜在的耐性の特性を決定することが配列番号85、86および87に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項21又は22に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項24】
毒性を決定することが配列番号62から66に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項21から23の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項25】
同定することが配列番号46から61に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項21から24の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項26】
前記少なくとも一つの微生物が酵母であり、抗菌物質が抗真菌薬であることを特徴とする、請求項1から14の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項27】
酵母がカンジダ・アルビカンスであることを特徴とする請求項26に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項28】
タイピング特性を決定することが配列番号88から125及び177に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項27に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項29】
少なくとも一つの抗真菌薬に対する潜在的耐性の特性を決定することが配列番号117から122及び177に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項27又は28に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項30】
毒性を決定することが配列番号123から125に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項27から29の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項31】
同定することが配列番号88から116に記載の配列を有する少なくとも一つのペプチドを使用することを特徴とする、請求項27から30の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項32】
代謝産物がエルゴステロールであることを特徴とする、請求項1から31の何れか一項に記載の少なくとも一つの微生物を特徴づける方法。
【請求項33】
配列番号2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、26、27、29、30、32、34、35、37、38、40、42、44から125および177に記載の配列を有するペプチド。

【公表番号】特表2013−508675(P2013−508675A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533680(P2012−533680)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052181
【国際公開番号】WO2011/045544
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(304043936)ビオメリュー (26)
【氏名又は名称原語表記】BIOMERIEUX
【Fターム(参考)】