質量分析に基づいたDNA診断
【課題】生物学的試料中の特定の核酸配列を検出するための、迅速かつ高精度の方法を提供する。
【解決手段】標的核酸を、プローブ核酸にハイブリダイズさせた後、ハイブリダイズしていない検出核酸を除去して、質量分析計にかける。質量分析に先立って、PCR反応によって標的核酸を増幅しても良い。また固相支持体に固定化後切断して、質量分析にかけても良い。本法は迅速、かつ高精度に特定の核酸配列を検出できるので、臨床診断を含む種々の核酸の分析に利用可能で、例えば正常型と変異型のプライマーを用いることにより、標的核酸中に変異が存在するか否かの分析も可能である。
【解決手段】標的核酸を、プローブ核酸にハイブリダイズさせた後、ハイブリダイズしていない検出核酸を除去して、質量分析計にかける。質量分析に先立って、PCR反応によって標的核酸を増幅しても良い。また固相支持体に固定化後切断して、質量分析にかけても良い。本法は迅速、かつ高精度に特定の核酸配列を検出できるので、臨床診断を含む種々の核酸の分析に利用可能で、例えば正常型と変異型のプライマーを用いることにより、標的核酸中に変異が存在するか否かの分析も可能である。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
全ての生きている生物(例えば動物、植物および微生物)の遺伝的情報はデオキシリボ核酸(DNA)にコードされている。ヒトにおいては、完全ゲノムは、24の染色体上に位置している約100000の遺伝子から構成されている(The Human Genome,T.Strachan,BIOS Scientific Publishers,1992)。それぞれの遺伝子は、その転写および翻訳を介した発現後に、生細胞の内部で特定の生物学的機能を実現する特定のタンパク質をコードしている。DNA配列中の変化は変異として知られ、改変された、または場合によっては生物学的活性を失ったタンパク質をもたらす;これが順に遺伝病を引き起こしうる。変異には、ヌクレオチドの欠失、挿入、変更(すなわち点変異)が含まれる。点変異は、タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらす「ミスセンス」、または停止コドンをコードし、それにより切断されたタンパク質へつながる「ナンセンス」の何れかで有り得る。
【0002】
3000より多くの遺伝病が現在知られており(Human Genome Mutations,D.N.Cooper and M.Krawczak, BIOS Publishers,1993)、それには血友病、地中海貧血、デュシェーヌ筋肉ジストロフィー(DMD)、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病および嚢胞繊維症(CF)が含まれる。変異遺伝子で、遺伝病をもたらすもの加えて、特定の出生欠陥は、トリソミー21(ダウン症候群)、トリソミー13(パタウ症候群)、トリソミー18(エドワード症候群)、モノソミーX(ターナー症候群)および、クラインフェルター症候群(XXY)等のその他の性染色体異数体等の、染色体異常という結果となる。さらに、特定のDNA配列は、個体を、数多くの病気、例えば糖尿病、細動脈硬化、肥満、多様な自己免疫疾患およびガン(結腸直腸、胸部、卵巣、肺)等にかかりやすくすることがあるという、増加している証拠がある。
【0003】
ウイルス、バクテリア、カビおよびその他の感染性生物は、異なった核酸配列であって宿主細胞中に含まれているものとは異なったものを含んでいる。故に、感染性生物はそれらの特異的DNA配列に基づいて検出、同定され得る。
【0004】
約16ヌクレオチドの配列が、ヒトゲノムのサイズに対してすら統計的背景において特異的であるため、比較的短い核酸配列を、通常および欠陥遺伝子を高度生物において検出するため、および感染性微生物(例えば細菌、菌類、原生動物および酵母)およびウイルスを検出するために利用することができる。DNA配列は、同じ種のうちの異なった個体の検出のための指紋としてすら機能し得る(Thompson,J.S.and M.W.Tompson,eds.,Genetics in Medicine,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,PA(1986)。
【0005】
DNA検出のためのいくつかの方法が現在用いられている。例えば、核酸配列は、増幅された核酸断片の移動性を公知の標準試料とゲル電気泳動によって比較することにより、または、同定されるべき配列と相補的なプローブとのハイブリダイゼーションにより、同定され得る。しかしながら、同定は核酸断片が敏感なレポーター機能でラベルされている場合のみに達成される(例えば、放射性(32P、35S)、蛍光または化学発光)。しかし、放射性標識は危険である場合も有り、それらの生産する信号は時間が経つにつれて低下する。非同位体性標識(蛍光等)は感度の欠如および高強度レーザーが用いられた場合の信号の減少が難点である。さらに、標識するにあたって、電気泳動およびそれに続く検出は、労力を要し、時間がかかり、誤差の起こりうる傾向にある工程である。電気泳動はとくに誤差が起こりやすいが、それは核酸の大きさまたは分子量が、ゲルマトリックスにおける移動性と直接的に相関しないからである。配列特異的効果、2次構造およびゲルマトリックスとの相互作用が原因となる人工的構造である。
【0006】
一般に、質量分析は、真空中で分子をイオン化させ、それを揮発により「飛ばす」ことによる、個々の分子の「計重量」手段を提供している。電気的および磁気的場の組合せの影響の下で、イオンはそれらの個々の質量(m)および電荷(z)に応じて曲線をたどる。低分子量を有する分子の範囲では、質量分析は長い間、親分子イオンの質量の決定による有機分子の分析および性質決定のための、決まりきった物理−化学的レパートリーの一部であった。さらに、他の粒子(アルゴン原子等)とこの親分子イオンが衝突するよう手配することにより、分子イオンは断片化され、所謂衝突誘導解離(CID)による2次イオンを形成する。断片化のパターン/経路は、非常に頻繁に、詳細な構造情報を誘導することを可能とする。この分野、特に生物科学において、数多くの質量分析の応用方法が知られており、Method in Enzymology Vol.193:”Mass Spectrometry”(J.A.McCloskey,editor),1990,Academic Press,New Yorkにまとめられており、見ることができる。
【0007】
高度な検出感度、質量測定の正確さ、MS/MS構成と組み合わされたCIDによるより詳細な構造情報の提供、および速さ並びにコンピュータへのオンラインでのデータの転送における質量分析の明白な利点のため、核酸の構造分析のための質量分析の利用に対してかなりの関心が持たれてきている。この分野をまとめている最近の総説には、K.H.Schram,”Mass Spectrometry of Nucleic Acid Components.Biomedical Applicaitons of Mass Spectrometry”34,203−287(1990);およびP.F.Crain,”Mass Spectrometric Techniques in Nucleic Acid Resaerch,”Mass Spectrometry Reviews,9,505−554(1990)が含まれる。
【0008】
しかしながら、核酸は、揮発させることが非常に難しい、非常に極性の高いバイオポリマーである。当然の結果として、質量分析的検出は、低分子量合成オリゴヌクレオチドの親分子イオンの質量決定、およびこれを通じての既知のオリゴヌクレオチド配列の確認、あるいは他には、MS/MS構成において、特にイオン化および揮発のためにFast atmic Bombardment(FAB質量分析)法またはプラズマ放出(PD質量分析)を用いたCIDを介した2次イオン(断片イオン)の生成を通じた既知の配列の確認に限定されていた。例としては、オリゴヌクレオチドの化学合成のための保護二量体ブロックの分析へのFABの応用が、(Koster et al.Biomedical Environmental Mass Spectrometry 14,111−116(1987))に記載されている。
【0009】
さらに2つの最近のイオン化/放出技術とは、電子スプレー/イオンスプレー(ES)およびマトリックス補助レーザー放出/イオン化(MALDI)である。ES質量分析は、Fenn et al.(J.Phys.Chem.88,4451−59(1984)PCT出願No.WO90/14148)によって導入され、現在の用途は最近の総説記事(R.D.Smith et al.,Anal.Chem,62,882−89(1990)およびB.Ardrey,Electrospray Mass Spectrometry,Spectroscopy Europe,4,10−18(1992))においてまとめられている。テトラデカヌクレオチドの分子量(Covey et al.”The Determination of Protein,Oligonucleotide and Peptide molecular Weights by Ionspray Mass Spectrometry”,Rapid Communications in Mass Spectrometry,2,249−256(1988))、および21mer(Method in Enzymology,193,”Mass Spectrometry”(McCloskey,editor),p.425,1990,Academic Press,New York)が出版されている。質量分析器として、クワドラポールが最も頻繁に用いられる。10兆分の1モルの量の試料中の分子量の決定には、分子量の計算のために全て用いることができる複数のイオンピークの存在のために非常に正確である。
【0010】
MALDI質量分析は、これと対照的に、質量分析器として飛行時間(time−of−flight;TOF)構成が用いられた場合に特に魅力的である。MALDI−TOF質量分析は、Hillenkamp et al.(”Matrix Assisted UV−Laser Desorption/Ionization: A New Approach to Mass Spectrometry of Large Biomolecules”,Biological Mass Spectrometry(Burlingame and McCloskey.editors),Elsevier Science Publishers,Amsterdam,pp.49−60,1990)により導入された。この技術に関しては、ほとんどの場合、複数のピークが生成されないため、質量分析は、原理においては、ES質量分析と比較して単純に見える。
【0011】
分子量410000ダルトンまでのDNA分子は放出され揮発されているが(Williams et al.,”Volatilization of High Molecular Weight DNA by Pulsed Laser Ablation of Frozen Aqueous Solutions.”Science,245,1585−87(1989))、この技術はこれまで非常に低い分解能を示してきた(18ヌクレオチドまでのオリゴチミジル酸,Huth−Fehre et al.,Rapid Communications in Mass Spectrometry,6,209−13(1992);DNA fragment up to 500 nucleotides in length K.Tang et al.,Rapid Communications in Mass Spectrometry,8,727−730(1994):および28塩基対の二本鎖DNA(Williams et al.,”Time−of−Flight Mass Spectrometry of Nucleic Acid by Laser Ablation and Ionization from a Aqueous Matrix”,Rapid Communications in Mass Spectrometry,4,348−351(1990)。
【0012】
日本国特許出願第59−131909号には、電気泳動、液体クロマトグラフィーまたは高速ゲル濾過の何れかで分離された核酸断片を検出する装置が記載されている。質量分析検出は、核酸中に、S、Br、IまたはAg、Au、Pt、Os、Hg等の通常はDNA中に存在しない原子を取り込むことにより実現される。
【0013】
[発明の概要]
本発明は、生物学的試料中の特定の核酸配列を検出するための質量分析方法を提供するものである。検出されるべき配列に応じて、方法を利用、例えば、遺伝病または染色体異常;病気または状態になる傾向(例えば肥満、動脈硬化、ガン)または病原性生物(ウイルス、細菌、寄生生物または菌類)による感染の診断(出産前、出産後等);または同定、遺伝または適合性(HLA表現型等)に関する情報を提供することができる。
【0014】
第1の実施例では、検出されるべき核酸配列(即ち標的)を含む核酸分子は、最初に固体支持体に固定化される。固定化は、例えば、標的核酸分子の標的検出サイトとは異なる部分と、予め固体支持体上に固定化されている捕捉核酸分子との間のハイブリダイゼーションに基づいて、なされてもよい。他には、固定化は、標的核酸分子と固体支持体との直接的結合によってなされてもよい。好ましくは、標的核酸分子と支持体との間にはスペーサー(核酸分子等)が存在する。標的検出サイトと相補的な検出核酸分子(オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体等)を、続いて、標的検出サイトと接触させ、そして標的検出サイトの存在を示す二重体の形成を、質量分析によって検出することができる。好ましい実施態様においては、標的検出サイトは検出に先立って増幅されており、核酸配列分子は調整されている。更に好ましい実施態様においては、標的検出配列は複数の同時検出(多重化)並びにオリゴヌクレオチド配置(DNAチップ)を用いた平衡処理が可能であるような形式に配置されている。
【0015】
第2の実施例においては、標的核酸分子の固定化は必須の段階というよりはむしろ選択的段階である。その代わりに、一旦核酸分子が生物学的試料から得られると、その標的配列は増幅され、質量分析で直接検出される。好ましい実施態様においては、標的検出サイトおよび/または検出オリゴヌクレオチドは質量分析検出に先立って調整されている。別の好ましい実施態様においては、増幅された標的検出サイトは、複数の同時検出(多重化)並びにオリゴヌクレオチド配置(DNAチップ)を用いた平衡処理が可能であるような形式に配置されている。
【0016】
第3の実施態様においては、生物学的試料より得られた核酸分子から複製された核酸分子を、1またはそれ以上のヌクレアーゼを用いて(DNAにデオキシリボヌクレアーゼ、またはRNAにリボヌクレアーゼを用いて)特異的に消化することが可能で、対応する相補的な配列を担持している固体支持体上で断片が捕捉される。ハイブリダイゼーション事象および捕捉された標的配列の実際の分子量は、遺伝子中に変異があるか、またどこにあるかについて情報を提供する。このアレイは質量分析を用いて部分ごとに分析することができる。DNAは同様に、制限エンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼカクテルを用いて消化することができる。好ましい実施例においては、核酸断片は質量分析検出に先立って調整されている。
【0017】
第4の実施例においては、対立形質遺伝子(変異または正常)に相補的な3’末端塩基を有する少なくとも1つのプライマーを、その対立形質遺伝子を含む標的核酸分子とハイブリダイズさせる。適当なポリメラーゼ、および、完全ヌクレオシド3リン酸のセットまたは1つだけのヌクレオシド3リン酸を、別々の反応において用いて、異なったプライマー伸長を供給する。プライマーが適切にアニーリングし(即ち、3’ミスマッチが無い)、正確な(即ち相補的な)ヌクレオチドが付加された場合のみ、プライマーは伸長される。その産物は、質量分析により決定されるように、分子量シフトによって分析することができる。
【0018】
第5の実施態様においては、検出されるべき核酸配列(即ち標的)を含む核酸分子が最初に固体支持体に固定化される。固定化は、例えば、標的核酸分子の標的検出サイトとは異なる部分と、予め固体支持体上に固定化されている捕捉核酸分子との間のハイブリダイゼーションに基づいて、なされてもよい。他には、固定化は、標的核酸分子と固体支持体との直接的結合によってなされてもよい。好ましくは、標的核酸分子と支持体との間にはスペーサー(核酸分子等)が存在する。変異サイトの5’に隣接している標的検出サイトの部分に相補的である核酸分子を、続いて標的核酸分子とハイブリダイズさせる。ジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸(pppAdd、pppTdd、pppCdd、およびpppGdd等)の完全セットおよびDNA依存DNAポリメラーゼの添加により、Xに相補的なただ1つのジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸の添加が可能となる。ハイブリダイゼーション産物は続いて質量分析によって検出することができる。
【0019】
第6の実施態様においては、標的核酸は、変異Mを含む領域内部の標的とハイブリダイズする相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせる。この異種二重体を続いて、ハイブリダイズしていない部分で特異的に分解可能な試薬(例えば、一本鎖特異的エンドヌクレアーゼ)と接触させ、変異の存在を示すミスマッチが、標的核酸の分解という結果となるようにする。2つの分解産物は質量分析により検出することができる。
【0020】
第7の実施態様においては、リガーゼ連鎖反応(LCR)に基づき、標的核酸はライゲーション反応物のセットおよび熱安定性DNAリガーゼを用いてハイブリダイズされ、リガーゼ反応物が互いに共有結合的に結合され、ライゲーション産物を形成するようにする。ライゲーション産物は、続いて質量分析により検出し、公知の数値と比較することができる。反応がサイクル方式で実行された場合は、得られたライゲーション産物は、少量の標的核酸の検出をよりよく実行するために増幅されることが可能である。ライゲーション点での野生型と変異プライマーとの間の選択は、点変異の検出という結果となる。
【0021】
本発明の方法は、質量分析による核酸検出の増加された精度と信頼性を提供する。加えて本方法は、偽陰性および偽陽性結果を防止するための厳重な制御を可能とする。本方法は電気泳動段階;標識化およびそれに続く標識の検出を回避している。事実、全体の手順は、核酸の単離、増幅、質量分析解析を含めて、わずか2−3時間の時間のみを必要とする。故に、ここに開示された方法は、現存しているDNA検出システムよりも、実行がより迅速でより安価である。更に、本開示の方法は、核酸断片を、それらの特異的な分子量(曖昧ではない物理的基準)によって同時に検出、同定することを可能としているので、開示された方法は現在利用しうる方法よりも、はるかに正確で信頼できるものである。
【0022】
[発明の詳しい説明]
一般に、本発明は、生物学的試料中の特定の核酸配列を検出するための質量分析方法を提供するものである。ここで用いられているように、用語「生物学的試料」とは、生きている給源から得られた何れの物質をも指す(ヒト、動物、植物、細菌、菌類、原生動物、ウイルス等)。本発明においての利用のために、生物学的試料は核酸を含んでいなければならない。本発明において用いるために適当な生物学的試料の例には、固体物質(組織、細胞、沈殿、生検等)および生物学的液体(尿、血液、唾液、羊水、口洗浄液等)が含まれる。
【0023】
核酸分子は特定の生物学的試料から、当業者によく知られている数多くの手順を用いて、単離することが可能であり、特定の生物学的試料に好適な特定の単離手順が選択される。例えば、凍結融解およびアルカリ溶解手順は、固体から核酸分子を得るために有用である;加熱およびアルカリ溶解手順は尿から核酸分子を得るために有用である;そして、プロテイナーゼK抽出は血液から核酸を得るために用いられる(Rolff,A et al.PCR:ClinicalDiagnostics and Research,Springer(1994))。
【0024】
質量分析を行うための適当な量の核酸分子を得るためには、増幅が必要であることもある。本発明において使用するための適切な増幅の手順には:クローニング(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(C.R.Newton and A.Graham,PCR,BIOS Publishers,1994)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wiedmamn,M.,et al.,(1994)PCR Method Appl.Vol.3,Pp.57−64;F.Barany Proc.Natl.Acad.Sci USA 88,189−93(1991),鎖変換増幅(strand displacement amplification;SDA)(G.Terrance Walker et al.,Nucleic Acid Res.22,2670−77(1994))およびRT−PCR等の変化型(Higuchi,et al.,Bio/Technology 11:1026−1030(1993)),対立形質特異的増幅(allele−specific amplification;ASA)および転写ベースの手順が含まれる。
【0025】
質量分析解析を実行するために、検出されるべき核酸配列を含んでいる核酸分子は固体支持体に固定化されていてもよい。適切な固体支持体の例には、ビーズ(例えばシリカゲル、制御孔ガラス、磁気、セファデックス/セファロース、セルロース)平面表面またはチップ(例えばグラスファイバーフィルター、ガラス表面、金属表面(鉄、金、銀、アルミニウム、銅およびシリコン)、キャピラリー、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニリデンジフルオライド膜またはマイクロタイタープレート));または、ビーズまたは平面表面を含む同様の原料から製造されたピンまたはコーム、または例えばウエハー(シリコンウエハー等)等の平面表面上の孔におかれたビーズが含まれる。
【0026】
固定化は、例えば、既に支持体に固定されている捕捉核酸配列と、検出されるべき核酸配列を含む核酸分子の内部にも含まれている相補的核酸配列との間のハイブリダイゼーションに基づいて成されてもよい(図1A)。相補的核酸分子の間のハイブリダイゼーションが支持体によって妨害されないように、捕捉核酸は、固体支持体と捕捉核酸配列との間に、長さで少なくとも約5ヌクレオチドのスペーサー領域を含んでもよい。形成された二重体はレーザーパルスの影響下で分解され、放出が開始され得る。固体支持体結合塩基配列は、天然オリゴリボ−またはオリゴデオキシリボヌクレオチド並びにアナログ(チオ改変ホスホジエステルまたはホスホトリエステル骨格等)を通して、または、塩基配列を酵素的分解に対して感受性ではないようにし、それにより固体支持体上の捕捉塩基配列の全体の安定性を増加させるところのPNAアナログ等のオリゴヌクレオチド類似体を用いて(Nielsen et al.,Science,254,1497(1997)を参照)提示されてもよい。
【0027】
その他には、標的検出サイトは、標的核酸分子(T)上の適当な官能基(L’)と、捕捉分子上の適当な官能基(L)との間の可逆的または不可逆的結合を介して、固体支持体に直接結合されていてもよい。可逆的結合とは、質量分析の条件下で分解されるようなものであってもよい(即ち、荷電移送複合体または比較的安定な有機ラジカルの間で形成されている不安定な結合等の光分解性結合)。更には、結合は、4級アンモニア基であるL’とともに形成されてもよく、この場合には、好ましくは、固体支持体は陰性に荷電した核酸骨格を寄せ付けない陰性電荷を担持しており、それにより質量分析による解析のために要求される放出を実現している。放出は、レーザーパルスにより生成される加熱によって、および/またはL’に応じた、L’発色団と共鳴しているレーザーエネルギーの特異的吸収によって、の何れかで生じ得る。
【0028】
例として、L−L’化学作用は、ジスルフィド結合型(例えばメルカプトエタノールまたはジチオエリスロールにより化学分解可能)、ビオチン/ストレプトアビジンシステム、トリチルエーテル基のヘテロ二重機能性(heterobifunctional)派生体(Koster et al.,”A Versatile Acid−Labile Linker for Modification of Synthetic Biomolecules”Tetrahedron Letters 31.7095(1990))で弱酸性条件下および質量分析条件下で分解され得るもの、ヒドラジニウム/酢酸バッファーおよび中性条件下で分解されうるレブリニル基、トリプシン等のエンドペプチダーゼ酵素によって分解されるアルギニン−アルギニンまたはリジン−リジン結合、ピロホスファターゼにより分解されるピロリン酸結合、または、例えばリボヌクレアーゼまたはアルカリ等で分解され得るオリゴデオキシリボヌクレオチド配列の間にあるリボヌクレオチド結合の型であってもよい。
【0029】
官能基LおよびL’はまた、荷電移動複合体を形成し、それにより一時的L−L’結合を形成していてもよい。多くの場合に「荷電移動バンド」はUV/可視分光で決定できるので(例えばOrganic Charge Traansfer Complexs by R.Foster,Academic Press,1969等を参照されたい)、レーザーエネルギーは電荷移動波長に相当するエネルギーに転換され、そして、固体支持体からの特異的放出が開始される。当業者はいくつかの組み合わせがこの目的のために働き、ドナー官能基は固体支持体上に存在するかまたは検出されるべき核酸分子に結合されているかの何れか、またはその逆であってもよいことを認識するであろう。
【0030】
さらに別のアプローチにおいては、可逆的L−L’結合が、比較的安定なラジカルのホモリシス的形成によって発生されてもよい。レーザーパルスの影響の下、放出(前述のとおり)並びにイオン化はラジカル位置で起こるであろう。当業者は、他の有機ラジカルが選択され得ること、およびそれらの間の結合のホモリシス的分解に必要である解離エネルギーに関して、対応するレーザー波長が選択され得ること(例えばReactive Molecules by C.Wentrup,John Wiley & Sons,1984を参照されたい)を認識するであろう。
【0031】
官能基L’の固定装置は、適当なプライマーを用いて、PCR(図4)LCR(図5)または転写増幅(図6A)等の増幅手順の間に、標的捕捉配列(TCS)中に取り込むことが可能である。
【0032】
質量分析解析に先立って、核酸分子を、例えば揮発のために要求されるレーザーエネルギーを減少させるためおよび/または断片化を最少にするために、「調整」することは有用であり得る。調整は好ましくは、標的検出サイトが固定化されている間に実行される。調整の例には核酸分子のホスホジエステル骨格の修飾(陽イオン交換)であって、ヌクレオチド単位毎に結合している陽イオンの非相同性によるピークの広がりを排除するために有用であるものが挙げられる。核酸分子を、沃化アルキル、沃化アセトアミド、β沃化エタノールまたは2,3エポキシ−1−プロパノール等のアルキル化剤と接触させると、核酸分子中のモノチオホスホジエステル結合がホスホチオエステル結合に転換される。同様に、ホスホジエステル結合は塩化トリアルキルシリルを用いて、非荷電派生体に変換できる。さらにこの調整は、脱プリン化(MSの間の断片化)への感受性を減少させる、例えばN7またはN9デアザプリンヌクレオチド等のヌクレオチド、またはRNA構成単位(building block)またはオリゴヌクレオチドトリエステルの取り込み、またはアルキル化されたホスホチオエート原子団の取り込み、またはPNA等のオリゴヌクレオチド類似体の採用に関与する。
【0033】
特定の応用のためには、特定の捕捉された核酸断片(配置の1つのスポット)上の1より多くの(変異)座を同時に検出することは有用であり得、また、多様な固体支持体上のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体配置を利用して平行処理を実行することが有用で有り得る。「多重化」はいくつかの方法論により成すことが可能である。例えば、幾つかの変異を同時に、1つの標的配列上で、対応する検出(プローブ)分子(オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体等)を用いることにより同時に検出することが可能である。しかしながら、検出オリゴヌクレオチドD1、D2およびD3の間の分子量の差は、同時検出(多重化)が可能であるように大きくなければならない。このことは配列それ自体(組成または長さ)、または検出オリゴヌクレオチドに質量改変官能基M1−M3を導入すること、の何れかにより達成される(図2)
【0034】
質量改変部分は、例えば、オリゴヌクレオチドの5’末端部分(M1)、核塩基(または塩基)(M2、M7)、リン酸骨格(M3)およびヌクレオシドの2’位置(ヌクレオシド)(M4、M6)および末端3’位置の何れかに取り付けることが可能である。質量改変部分の例には、例えば、ハロゲン、アジド、またはXR型で、ここにおいてXは結合原子団であってRが質量改変官能基であるものが含まれる。質量改変官能基はこのように、オリゴヌクレオチド分子中に質量増加を導入するために用いることが可能である。
【0035】
ここにおいて、質量改変部分Mは、核塩基M2(c7−デアザヌクレオシドの場合はまたC−7、M7へ)、アルファリン酸の3リン酸基M3、またはヌクレオシド3リン酸の糖の環の2’位置、M4またはM6の何れかへ取り付けることが可能である。更には、質量改変官能基は連鎖終了に影響するように、例えばヌクレオシド3リン酸の糖の環の3’位置M5に取り付ける等のように取り付けられてもよい。当業者には、本発明の目的のための数多くの組合せが、同じように好適に機能することは明白である。同じように、当業者は鎖伸長ヌクレオシド3リン酸もまた、数多くの変化型および官能基および取付位置の組合せで、同じようなやり方で質量改変され得ることは明白である。
【0036】
本発明の範囲を限定することなく、質量改変Mは、XRのXとして並びにオリゴ/ポリエチレングリコール派生体をRとして導入することが可能である。この場合の質量改変の増加は44、即ち5つの異なった質量改変種を、mを単に0から4まで変化させ、このように45(m=0)、89(m=1)、133(m=2)、177(m=3)および221(m=4)の質量単位を核酸分子(検出オリゴヌクレオチド(D)、またはヌクレオシド3リン酸(各々図6(C)))に付加することにより生成することができる。オリゴ/ポリエチレングリコールはまた、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチルおよびそのようなもの等の低級アルキルによりモノアルキル化することも可能である。結合官能基Xの選択は、既に記述した。質量改変化合物において用いられることができる他の化学物質は、例えば、細菌Oligonucleotides and Analogues.A Practical Approach.F.Eckstein,editor,IRL Press.Oxford,1991に記載されているものである。
【0037】
さらに他の実施態様においては、多様な質量改変官能基、R、オリゴ/ポリエチレングリコール以外のものを選択し、適切な化学物質Xを介して取り付けることが可能である。単純な質量改変はHを、F,Cl,Brおよび/またはI等のハロゲン、またはSCN、NCS等の偽ハロゲン、または異なったアルキル、アリール、、またはアラルキル部分、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、フェニル、置換フェニル、ベンジル等、または官能基CH2F、CHF2、CF3、Si(CH3)3、Si(CH3)2(C2H5)
、Si(CH3)(C2H5)2、Si(C2H5)3等で置換することにより実行することができる。更に別の質量改変は、ホモまたはヘテロペプチドを、核酸分子(例えば検出(D))またはヌクレオシド3リン酸を通して取り付けることにより得られる。質量増加57で質量改変された種を得るために有用な1つの例は、オリゴグリシンの取り付け、例えば、74(r=1)、131(r=1、m=2)、188(r=1、m=3)、245(r=1、m=4)の質量改変が成される。単純オリゴアミドもまた用いることが可能で、74(r=1)、88(r=2、m=0)、102(r=3、m=0)、116(r=4、m=0)等が得られる。当業者には、上で言及されたものに加えて数多くの可能性が存在することは明白である。
【0038】
ここで用いられるように、上の0−iは、i+1の質量改変ヌクレオチド、プライマーまたはタグを意味する。いくつかの例では、上の0は特定の反応物の修飾されてない種を意味し、上のiは、i番目の反応物の質量改変種を意味する。もし、例えば、1より多くの核酸種が共存して検出された場合は、i+1の異なった質量改変検出オリゴヌクレオチド(D0、D1・・・Di)を、質量分析によって、質量改変検出ヌクレオチド(D)を他のものから区別するために用いることができる。
【0039】
異なった質量改変検出オリゴヌクレオチドは、同時に、全ての同時に起こりうる派生体/変異体を検出するために用いることができる(図6B)。別の態様としては、変異サイトでの、4つの塩基全ての置換を、検出オリゴヌクレオチドを、DNA/RNAポリメラーゼのプライマーとして機能するように設計し、位置させることにより検出することができる(図6C)。例えば、質量改変は増幅工程において取り込まれることもまた可能である。
【0040】
図3は、異なった多重検出フォーマットであって、認識が、位置特異的に平面表面上に固定化された異なった特異的捕捉配列(「チップ配置」等)を用いることにより実現されている。異なった標的配列T1−Tnが存在した場合、それらの標的捕捉サイトTCS1−TCSnは、相補的な固定化された捕捉配列C1−Cnと特異的に相互作用する。検出は、適切な、それらの配列または質量改変官能基M1−Mnによって質量を区別した、質量区別検出オリゴヌクレオチドD1−Dnを用いて実行できる。
【0041】
本発明において用いるための好ましい質量分析フォーマットは、マトリックス補助レーザー放出イオン化(MALDI)、電子スプレー、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)およびフーリエ変換である。ESについては、試料は水中または揮発性バッファー中に溶解され、連続的または断続的に、大気圧イオン化インターフェース(API)に注入され、四極で質量分析される。ES質量分析を用いて得られる複数のイオンピークの発生は、質量決定の正確さを向上させる。特異的構造に関するより詳細な情報さえ、MS/MS四極構成を用いることにより得られる。
【0042】
MALDI質量分析において、多様な質量分析器を用いることができ、例えば、単一または三重四極モード(MS/MS)での磁性セクタ/磁性偏光装置、フーリエ変換および飛行時間(TOF)構成が質量分析計の分野で知られている。放出/イオン化工程のために、数多くのマトリックス/レーザーの組合せを用いることができる。イオントラップおよびリフレクトロン構成もまた用いることが可能である。
【0043】
上記の質量分析方法は、例えば、3000より多くの現在知られ、または同定されている遺伝病の何れも診断にも利用可能である(例えば血友病、地中海貧血、デュシェーヌ筋肉ジストロフィー(DMD)、ハンチントン病(HD)
、アルツハイマー病および嚢胞繊維症(CF))。
【0044】
以下の実施例3は、嚢胞繊維症膜間通過制御遺伝子(CFTR)の変異(ΔF508)であって、野生型のCFTRとわずか3塩基対(900ダルトン)違うものを検出するための質量分析方法が提供されている。実施例3に更に記載されているように、検出は、3’末端塩基が正常または変異対立形質と相補的であるプライマーのペアを用いる、単一チューブ、競合的オリゴヌクレオチド1塩基伸長(COSBE)反応に基づいている。ハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼおよび1塩基下流のヌクレオシド3リン酸の添加において、適切にアニーリングした(即ち、3’末端にミスマッチが無い)プライマーのみが伸長される;その産物は、マトリックス補助レーザー放出イオン化飛行時間質量分析により決定される分子量シフトにより解析される。嚢胞繊維症ΔF508多型性のために、28mer「正常」(N)および30mer「変異」(M)プライマーが、29および31merの、それぞれNおよびMの同型接合を生成させ、両方は異型接合である。プライマーおよび産物の分子量が比較的小さく(<10kDa)、これらの質量差が少なくとも、30Daまでの1本鎖ヌクレオチド単位でなければならないので、これらの測定のためには低分解能の装置が好適である。
【0045】
変異遺伝子で遺伝病という結果となるものに加えて、特定の出生欠陥、トリソミー21(ダウン症候群)、トリソミー13(パタウ症候群)、トリソミー18(エドワード症候群)、モノソミーX(ターナー症候群)および、クラインフェルター症候群(XXY)等のその他の性染色体異数体等は、染色体異常という結果となる。
【0046】
さらに、特定のDNA配列は、個体を、数多くの病気、例えば糖尿病、細動脈硬化、肥満、多様な自己免疫疾患およびガン(結腸直腸、胸部、卵巣、肺)等または染色体異常(出産前または出産後)にかかりやすくすることがある;または病気もしくは状態(肥満、動脈硬化、ガン)になる傾向にあるという、増加している証拠がある。さらにまた、「DNAフィンガープリント」、例えば「ミクロサテライト配列」等の多型性等は、同定および遺伝(父性または母性等)の決定に有用である。
【0047】
以下の実施例4は、E2、E3、E4対立形質にコードされている、ヒトアポリポタンパク質Eの3つの異なったイソ型の同定のための質量分析方法を提供する。ここでは、DNA断片の適当な制限エンドヌクレアーゼでの制限の後に得られるDNA断片の分子量は変異の存在を検出するために用いることができる。
【0048】
生物学的試料に応じて、遺伝病、染色体異数体および遺伝的傾向の診断が、出産前、出産後の何れかに実行できる。
【0049】
ウイルス、細菌、菌類その他の感染性生物は、独自の核酸配列であって、宿主細胞に含まれる配列とは異なっているものを有する。感染性生物に特異的な核酸配列の検出または定量は、感染の診断またはモニターにとって重要である。ヒトおよび動物に感染し、開示された方法で検出可能な病原性ウイルスには、レトロウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV−1(HTLV−III,LAVまたはHTLV−III/LAVとも称される、Ratner,L.et al.,Nature,Vol.313,Pp.227−284(1985);Wain Hobson,S.et al.,Cell,Vol.40:Pp.9−17(1985)を参照されたい);HIV−2(Guyader et al.,Nature,Vol.328,Pp.662−669(1987);ヨーロッパ特許公報第0269520号;Chakraborti et al.,Nature,Vol.328,Pp.543−547(1987);およびヨーロッパ特許出願第0655501号:および他の単離体、HIV−LP(国際特許出願第WO94/00562、「新規ヒト免疫不全ウイルス」とタイトル;ピコルナウイルス(例えばポリオウイルス、肝炎A型ウイルス(Gust,I.D.,et al.,Intervirology,Vol.20,Pp.1−7(1983);エンテロウイルス、ヒトコックサッキーウイルス、ライノウイルス、エコウイルス);カルシウイルス(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス(例えばウマ脳炎ウイルス、ルビウイルス);フラビウイルス(デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス;コロナウイルス(コロナウイルス等);ラブドウイルス(水抱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス(エボラウイルス);パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス、オタフクカゼウイルス、麻疹ウイルス、ニューモウイルス);オルトミクソウイルス(インフルエンザウイルス等);ブンガウイルス(ハンターンウイルス、ブンガウイルス、フィレボウイルスおよびナイロウイルス等);アレナウイルス(出血熱ウイルス);レオウイルス(レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス等);ビルナウイルス;ヘパドナウイルス(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス(パルボウイルス);パポーバウイルス(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス)(HSV)1および2、水痘−疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス(疱瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス(アフリカブタ熱ウイルス);および未分類ウイルス(スポンジ型脳障害の病因、デルタ肝炎剤(B型肝炎ウイルス欠損サテライトと考えられている)、非A非B肝炎(クラス1=内部転移、クラス2=非経口転移(即ちC型肝炎);ノーウォークおよび関連ウイルス、およびアストロウイルス)が含まれる。
【0050】
感染性細菌の例には:ヘリコバクター ピロリス(Helicobacter pyloris)、ボレリア バーゴドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ プヌモフィリア(Legionella pneumophilia)、ミコバクテリア(Mycobacteria) sps(M.チュバーキュロシス(tuberculosis)、M.アビウム(avium)、M.イントラセルラエ(intracelluare)、M.カンサイイ(kansaii)、M.ゴードナアエ(gordonae)、スタフィロコッカス アウレウス、ネイッセリア ゴノロエアエ(Neisseria gonorrhoeae)、ネイッセリア メニンギチディス(meningitidis)、リステリア モノサイトジーンス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス ピオジーンス(pyogenes)(グループAストレプトコッカス)、ストレプトコッカス アガラクティアエ(agalactiae)(グループBストレプトコッカス)、ストレプトコッカス(ビリダン(viridans)グループ)、ストレプトコッカス ファエカリス(faecalis)、ストレプトコッカス ボビス(bovis)、ストレプトコッカス (嫌気性種)、ストレプトコッカス フモニアエ(pneumoniae)、病原性カンプリオバクター(Campylobacter)sp.、エンテロコッカス sp.ハエモフィラス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、バシルス アントラシス(antracis)、コルネバクテリウム ディフセリアエ(diphtheriae)、コルネバクテリウム sp.、エリシペロスリックス ルシオパシアエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム パーフリンガース(perfringers)、クロストリジウム テタニ(tetani)、エンテロバクター アエロジーンス、クレブシエラ プモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ マルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイド(Bacteroido) sp.、フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシルス モニリフォルミス(streptobacillus moniliformis)、トレポネマ パリジウム(Treponema pallidium)、トレポネマ パルテヌエ(pertenue)、レプトスピラ(Leptospira)、およびアクチノマイセス イスラエリ(Actinomyces israelli)が含まれる。
【0051】
感染性菌類には:クリプトコッカス ネオフォルマンス、ヒストプラズマ カプスラタム、コシジオイド イミティス、ブラストマイセス デルマティティディス(dermatitidis)、クラミジア トラコマティス(trachomatis)、カンディダ アラビカンスが含まれる。その他の感染性生物(原生動物)には:プラズモジウム ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、およびトクソプラズマ ゴンジ(Toxoplasma gondii)が含まれる。
【0052】
以下の実施例5は、ネスティド(nested)PCRおよび質量分析ベースの、B型肝炎ウイルス(HBV)DNAを血液試料中において検出するために用いられる方法を提供する。同様に、ブラッド−ボーン(blood−borne)ウイルス(例えばHIV−1、HIV−2、C型肝炎ウイルス(HCV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびその他の肝炎ウイルス(例えば非A非B肝炎、肝炎G、肝炎E)、サイトメガロウイルス、および単純ヘルペスウイルス(HSV)が、それぞれ単独で、またはここに記載された方法に基づいた組合せで検出可能である。
【0053】
約16ヌクレオチドの配列が統計的背景においては特異的であるので(ヒトゲノムほどの大きさのゲノムであっても)、比較的短い核酸配列を、高度な生物において正常および欠損遺伝子を検出するために、および感染性微生物(細菌、菌類、原生動物および菌類)およびウイルスの検出のために用いることができる。DNA配列は異なった個体を同じ種の内部で検出するためのフィンガープリントとしてさえも機能しうる。(Thompson,J.S.and M.W.Thompson,eds.,Genetics in Medicine,W.B.Saunders Co.Philadelphia,PA(1986).
【0054】
標的(T)核酸配列中の野生型(Dwt)および/または変異(Dmut)配列の検出のための1つの方法が図1Cにおいて示されている。特異的捕捉配列(C)を固体支持体(ss)にスペーサー(S)を介して取り付ける。付加的には、捕捉配列は標的配列(T)上の相補的配列、ハイブリダイゼーションを通した検出標的捕捉サイト(TCS)と特異的に相互作用するよう選択される。しかしながら、標的検出サイト(TDS)が、質量を増加または減少させる変異Xを含む場合は、変異TDSは野生型から質量分析により区別することが可能である。例えば、アデニン塩基の挿入の場合は、DwtとDmutとの分子量の差は約314ダルトンになるであろう。
【0055】
好ましくは、検出核酸(D)は、変異が分子の中にあり、野生型検出オリゴヌクレオチド(Dwt)が対照として変異標的検出配列に接触された場合安定なハイブリッドが形成されないために十分に隣接領域が短くあるように設計されている。変異はまた、変異位置にマッチした塩基を有する変異検出オリゴヌクレオチド(Dmut)をハイブリダイゼーションに用いた場合にもまた検出可能である。生物学的試料から得られた核酸が特定の配列に関して異型(即ちDwtおよびDmutの両方を含有)であった場合、DwtおよびDmutの両方は適当な鎖に結合し、質量の差はDwtおよびDmutが同時に検出されることを可能とするであろう。
【0056】
本発明の方法は、公知の標的配列および公知の変異サイトの情報を利用する。
しかしながら、新規な変異もまた検出され得る。例えば、図8に示されているように、生物学的試料から得られた核酸配列の転写は1またはそれより多くのヌクレアーゼを用いて特異的に消化されることが可能であり、対応する相補的な核酸配列を担持する固体支持体上に断片が捕捉されることが可能である。ハイブリダイゼーションの検出および捕捉された標的配列の分子量は、遺伝子中のどこに変異があるか無いかに関する情報を提供する。他には、DNAは1またはより多くの特定のエンドヌクレアーゼで、断片の混合物を形成するために分解されることも可能である。野生型と変異断片混合物との間の分子量の比較により変異の検出という結果となる。
【0057】
本発明はさらに、何れの点でも限定としては構築されていない、以下の実施例によって説明される。引用された文献の内容は(参考文献、査定された特許、出版された特許出願を含む(国際特許出願番号第94/16101号、DNA Sequencing by Mass Spectrometryと題されているK.Koesterによるもの;国際特許出願番号第94/21822号、DNA Sequencing by Mass Spectrometry Via Exonuclease Degradationと題されているK.Koesterによるものを含む)および共に係属している特許出願(米国特許出願番号第08/406119号、Diagnostics Based on Mass Spectrometry Via Exonuclease Degradationと題されているK.Koesterによるものを含む)を、この出願の全体を通して引用されているように、ここにおいて参考文献として明白に取り込まれている。
【実施例】
【0058】
実施例1 固体支持体上に直接あるオリゴヌクレオチドのMALDI−TOF放出
1gCPG(制御孔ガラス)を3−(トリエトキシシリル)−エポキシプロパンで機能化し、ポリマー表面上にOH基を形成させた。13mgのOH−CPGとの標準オリゴヌクレオチド合成を、DNA合成器(Milligen.モデル7500)で、ベータシアノエチルーホスホアミジト(Koster et al.,Nucleic Acid Res.,12,4539(1994))およびTAC N−保護基(Koster et al.,Tetrahedron,362(1981))を用いて行い、50のヌクレオチドが「仮説上の」50mer配列と相補的な3’−T5−50merオリゴヌクレオチド配列を合成した。T5はスペーサーとして働く。メタノール中の飽和アンモニアでの室温、2時間の脱保護により、DMT基の決定に従って、約10μmol 55mer/g CPGを含むCPGを供給した。この55merは26mer(5’DMT基とともに)との、および40mer(DMT基を含まず)とのハイブリダイゼーションのテンプレートとして働く。反応容量は100μlで約1nmolのCPG結合55merをテンプレートとして、および等量のオリゴヌクレオチドを20mM トリス−HCl、pH7.5、10mM MgCl2および25mM NaClの溶液中(26merまたは40mer)に含んでいる。この混合物は65℃で10分間加熱し、37℃で30分間冷却した(アニーリング)。ポリマー結合テンプレートにハイブリダイズしなかったオリゴヌクレオチドは、遠心および3つの連続した、それぞれ100μlの氷冷50mMクエン酸アンモニウムでの洗浄/遠心段階で除去した。ビーズを風乾させ、マトリックス溶液(3−ヒドロキシピコリン酸/10mMクエン酸アンモニウム、アセトニトリル/水、1:1中)と混合し、MALDI−TOF質量分析によって解析した。結果は図10および11に示されている。
【0059】
実施例2 電子スプレー(ES)放出および18merおよび19merの区別
2−プロパノール/10mM炭酸アンモニウム(1/9、v/v)中の濃度50pmole/μlのDNA断片を同時に電子スプレー質量分析計によって分析した。
【0060】
電子スプレー質量分析による成功した放出および18merおよび19merの区別は、図12に示されている。
【0061】
実施例3 嚢胞繊維症変異ΔF508の1段階ジデオキシ伸長およびMALDI−TOF質量分析による検出
材料と方法
PCR増幅および鎖固定化 増幅を、エクソン10特異的プライマーで、標準PCR条件を用いて(30サイクル;1分間@95℃、1分間@55℃、2分間@72℃)行った;逆プライマーはビオチンで5’標識を標識され、カラム精製された(Olicopurification Cartridge,Cruachem)。増幅後、PCR産物はカラム分離によって精製され(Qiagen Quickspin)、ストレプトアビジンコート磁性ビーズ(Dynabeads、Dynal、Norway)上で、それらの標準プロトコルに従って固定化された;DNAは0.1M NaOHを用いて変性させ、非ビオチニル化センス鎖を除去するために0.1M NaOH、1xB+WバッファーおよびTEバッファーで洗浄した。
【0062】
COSBE条件 ライゲーションされたアンチセンス鎖を含むビーズを続いて、18μlの反応混合物1(2μl 10xTaqバッファー、1μl(1ユニット)Taqポリメラーゼ、2μlの2mMdGTPおよび13μlのH2O)に再懸濁させ、80℃で5分間、反応混合物2(おのおの100ngのCOSBEプライマー)の添加の前に保温した。温度を60℃まで下げ、混合物を5分間のアニーリング/伸長期間、保温した;ビーズは続いて、25mMトリエチルアンモニウム酢酸(TEAA)で、続いて50mMクエン酸アンモニウム中で洗浄した。
【0063】
プライマー配列 全てのプライマーは Perseptive Biosystems ExDedite 8900 DNAシンセサイザーで、従来のホスホアミジト化学(Sinha et al.,(1984)Nucleic Acid Res.12:4539を用いて合成した。COSBEプライマー(共に3’末端の前に、1つの塩基の意図的なミスマッチを含んでいる)は、以前のARMSの研究(Ferrie et al.,(1992)Am J Hum Genet 51:251−262)に用いられたものだか、正常型の5’末端から2つの塩基が除去されたところは例外である。
【表1】
【0064】
質量分析 洗浄の後、ビーズを1μl 18Mohm/cm H2Oに再懸濁した。300nlの各々のマトリックス(Wu et al.,1993)溶液(0.7M 3−ヒドロキシピコリン酸、0.7M二塩基クエン酸アンモニウム、1:1H2O:CH3CN中)および再懸濁ビーズ(Tang et al.(1995)Rapid Commun Mass Spectrom 8:727−730)を試料標的と混合させ、風乾させた。20までの試料をプローブ標的ディスク上に、リフレクトロンモード5、および、標的および変換ダイノードにそれぞれ20kVで操作されている非修飾Thermo Bioanalysis(ふぉrmerly Finnigan)Visions 2000 MALDI−TOFの供給領域への導入のためにスポットした。理論上の平均分子量(Mr(calc))は原子組成から計算した。販売者が提供したソフトウェアを、外部測定を用いてピーク中心軌跡を決定するために用いた;1.08Daをこれらから引き、電荷を担持しているプロトンを補正し、試験Mr(exp)値を得た。
【0065】
スキーム 結合テンプレートへのアニーリングにおいて、NおよびMプライマー(それぞれ8508.6および9148.0Da)をdGTPとともに供する;可変(V)位置で適切なワトソン−クリック塩基対を形成するプライマーのみがポリメラーゼにより伸長される。このように、VがNの3’末端塩基とペアになる場合、Nは8837.9Daの産物(N+1)へと伸長される。同様に、Vが適切にMとマッチした場合、Mは9477.3DaのM+1産物へと伸長される。
【0066】
結果 図14−18は、COSBE反応産物の代表的なマススペクトルを示している。PCR産物がビオチニル化されたアンチセンス鎖が結合される前に生成されていた場合により良い結果が得られた。
【0067】
実施例4 質量分析によるヒトアポリポタンパク質Eイソ型の区別
アポリポタンパク質E(アポE)は、リポタンパク質のタンパク質成分であるが、脂質代謝で不可欠な役割を果たしている。例えば、それはコレステロール移送、リポタンパク質粒子の代謝、免疫制御および数多くの脂質分解酵素の活性化にに関与している。
【0068】
ヒトアポEの通常のイソ型(E2、E3、およびE4対立形質)がある。最も普通のものはE3である。E2対立形質は細胞質中のコレステロールを減少させることが知られており、それ故にアテローム性動脈硬化の発展に対して防御的効果を有している可能性が有る。故に、特定の個体のアポE対立形質の同定は、心血管病の発展のリスクの重要な決定因子である。
【0069】
図19に示されるとおり、アポリポタンパク質EをコードしているDNAは患者から得て、増幅(PCRを介して等)することが可能であり;PCR産物は適当な酵素(CfoI等)を用いて消化することが可能である。得られた制限消化は続いて多様な手段により分析化膿である。図20に示されるように、3つのアポリポタンパク質E(E2、E3、およびE4は異なった核酸配列を有し、それ故にまた区別しうる分子量値を有している。
【0070】
図21A−Cに示されているように、異なったアポリポタンパク質E遺伝子型は、3.5%MetPhorアガロースゲルまたは12%ポリアクリルアミドゲル中において異なった制限パターンを有する。図22および23に示されているように、多様なアポリポタンパク質E遺伝子型はまた、正確かつ迅速に質量分析によって決定することが可能である。
【0071】
実施例5 血清試料中のB型肝炎ウイルスの検出
材料と方法
試料の調製
ウイルスDNAのフェノール/クロロホルム抽出および最終エタノール沈殿を標準的なプロトコルに従って行った。
第1のPCR:
それぞれの反応は5μlの血清からのDNA調製物で行った。15pmolの各々のプライマーおよび2ユニットTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer,Weiterstadt,Germany)を用いた。各々のdNTPの終濃度は200μM、反応の最終容量は50μlであった。10xPCRバッファー(Perkin Elmer,Weiterstadt,Germany)は、100mMトリス−HCl、pH8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01%ゼラチン(w/v)を含んでいた。
【表2】
【0072】
ネスティド(Nested)PCR:
各々の反応を、1μlの第1の反応物または第1のPCRの1:10の希釈物それぞれをテンプレートとして用いて行った。100pmolの各々のプライマー、2.5u Pfu(エキソ)DNAポリメラーゼ(Stratagene,Heidelberg,Germany)、終濃度200μMの各々のdNTPおよび5μlの10x Pfuバッファー(200mMトリス−HCl、pH8.75、100mM KCl、100mM (NH4)2SO4、20mMMgSO4、1%トリトンX−100、1mg/ml BSA(Stratagene,Heidelberg,Germany)を、最終容量50μlで用いた。反応は以下のプログラムで実行した:92℃1分、60℃1分および72℃1分を20サイクル。オリゴヌクレオチドの配列(NWG−Biotech、Ebersberg,GermanyでHPLC精製されたものを購入):
【表3】
【0073】
PCR産物の精製:
各々のスペクトルを記録するために、1つのPCR 50μl(上記のとおりに実行)を用いた。精製は以下の手順で行った:限外濾過をUltrafree−MC濾過ユニット(Millipore,Eschborn、Germany)を用いて、提供者のプロトコルに従って、8000rpm、20分間の遠心分離とともに行った。25μl(10μg/μl)ストレプトアビジンDynabeads(Dynal、Hamburg、Germany)を、製造者の指示通りに調製し、25μlのB/Wバッファー(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)中に再懸濁した。この懸濁液を、まだ濾過ユニット中にあるPCR試料に添加し、混合物を15分間、室温で穏やかに振とうさせた。懸濁液を1.5mlのエッペンドルフチューブに移し、上清を磁性粒子コレクター、MPC(Dynal,Hamburg、Germany)の補助により除去した。ビーズを50μlの0.7M クエン酸アンモニウム溶液、pH8.0で2回洗浄した(MPCを用いた各々の時、上清は除去された)。ビーズからの分解は、ホルムアミドを90℃で用いて実行された。上清はスピードバック中で約1時間乾燥させ、4μの超純水(MilliQ UFプラス Millipore,Echborn,Germany)に再懸濁させた。この調製物をMALDI−TOF MS解析に用いた。
【0074】
MALDI−TOF MS:
試料の0.5μlをピペットで試料ホルダーに取り、続いて即座に0.5μlマトリックス溶液(0.7M 3−ヒドロキシピコリン酸50%アセトニトリル、70mMクエン酸アンモニウム)を添加した。この混合物は室温で乾燥され質量分析計中に導入された。全てのスペクトルは、リフレクトロン(5keV イオン給源、20keV 加速後)および337nm窒素レーザーを装備したFinnigan MAT Vision 2000(Finnigan MAT、BΓemen、Germany)を用いて陽イオンモードで行った。補正を40merおよび100merの混合物について行った。各々の試料は異なったレーザーエネルギーで測定された。陰性の試料においては、PCR産物は低および高レーザーエネルギーの何れにおいても検出されなかった。陽性試料においては、PCR産物は異なった試料のスポット位置において、および変化したレーザーエネルギーにおいて検出された。
【0075】
結果
ネスティドPCRシステムを、HBVコア抗原(HBVcAg)をコードしているHBVゲノムのc領域に相補的なオリゴヌクレオチド(プライマー1:地図位置1763から始まり、プライマー2は相補鎖の地図位置2032から始まる)を用いた血液試料中のHBV DNAの検出のために用いた。DNAは患者の血清から標準的なプロトコルにより単離した。第1のPCRを、これらの調製物由来のDNAについて、第1のセットのプライマーを用いて実行した。試料中にHBV DNAが存在する場合は269bpのDNA断片が生成された。
【0076】
第2の反応において、第1のPCRにおいて生成されたPCR断片の内部の領域に相補的なプライマーが用いられた。HBV関連PCR産物が第1のPCRにおいて存在した場合には、67bpのDNA断片が、このネスティドPCRにおいて生成された(図25A参照)。ネスティドPCRシステムの検出への利用は、高感度を提供し、さらに外部PCRに対する特異性制御としても働く(Rolf,A.et al.,PCR:Clinical Diagnostics and Research,Springer,Heidelberg,1992)。さらなる利点は、第2のPCRで生成された断片の量が、精製によるロスが避けられなくても、問題の無い検出を保証するために十分多いことである。
【0077】
試料は、ストレプトアビジンDynabeads上に固定化する前に、プライマーを除去するために限外濾過を用いて精製した。この精製が行われるのは、立体的な理由でより短いプライマーが高い収量でビーズ上に固定化されてしまうためである。固定化は、膜上の非特異的吸収による物質のロスを避けるため限外濾過膜上で直接的に行った。固定化に続いて、ビーズを陽イオン交換を行うためにクエン酸アンモニウムで洗浄した(Pieles,U.et al.,(1993)Nucleic Acid Res 21:3191−3196)。固定化DNAは、非常に短時間でDNAのビーズからの分解を可能とするが、ナトリウム陽イオンを導入するという結果にはならない25%アンモニアを用いてビーズから分解された。
【0078】
ネスティドPCRおよびMALDI TOF解析を、血清学的解析の結果を知ることなく行った。未知のウイルス力価のため、各々の第1のPCR試料は希釈せず、また1:10で希釈してそれぞれテンプレートとして用いた。
【0079】
試料1は、HBs−およびHBe−抗原テストには陽性であるがドットブロット解析では陰性である長期活性HBV感染した患者から集められた。試料2はドットブロット解析においてHBV陽性であり重いウイルス血症および活性HBV感染状態にある患者からの血清試料である。試料3は変性血清試料であり、それ故に血清学的解析は実行できなかったが、肝臓病を示唆する増加されたトランスアミナーゼレベルが検出された。オートラジオグラフ解析(図24)において、この試料の第1のPCRは陰性であった。しかしながら、HBV感染のいくつかの証拠があった。この試料はMALDI−TOF解析への関心がもたれたが、それは、精製手順の後に低レベルの量ではあったがPCR産物が検出されることが示されたからである。試料4はHBV感染を治療した患者からのものである。試料5および6は長期活性HBV感染状態にある患者から集められた。
【0080】
図24はネスティドPCR反応のPAGE解析の結果を示す。PCR産物は明らかに1、2、3、5および6で見られた。試料4中にはPCR産物はおらず、血清学的解析に従ってもそれは勿論HBV陰性であった。陰性および陽性対照を、+および−でそれぞれ示した。増幅人工物はレーン2、5、6および+において、希釈されなかったテンプレートが用いられた場合には見ることができた。1:10に希釈されたテンプレートが用いられた場合には、人工物は生成されなかった。試料3においては、PCR産物はテンプレートが希釈されなかった場合にのみPCR産物が検出された。このPAGE解析は、上記のように、試料3を除いて血清学的解析により得られたデータと一致している。
【0081】
図25Aは、上記のように生成され精製された試料番号1からの、ネスティドPCR産物のマススペクトルを示す。20754Daのシグナルは、一本鎖PCR生産物(計算上:20735Da)ビーズから分解されたPCR産物の両方の鎖の質量の平均)を示す。計算上と得られた質量の差は19Da(0.09%)である。図25Aに示されるように、試料番号1は大量のPCR産物を生成し、明白な検出という結果となった。
【0082】
図25Bは、試料番号3から得られたスペクトルを示す。図24に示されているように、この区分で生成されたPCR産物の量は試料番号1と比較して顕著に低い。しかしながら、PCR産物は20751Da(計算上は20735)の質量として明白に見られた。この質量の差は16Daであった(0.08%)。図25CにおけるスペクトルはHBV陰性である試料番号4から得られた(図24にもまた示されている)。期待されたように、PCR産物に対応するシグナルは検出されなかった。図25に示されたすべての試料は、MALDI−TOFにより分析されたが、そこにおいてPCR産物は全てのHBV陽性試料において検出されたが、HBV陰性試料においてはされなかった。これらの結果はいくつかの独立した実験において再現された。
【0083】
実施例6 MALDI−TOF質量分析を介したリガーゼ連鎖反応産物の解析
材料と方法
オリゴデオキシヌクレオチド
ビオチニル化された1つを除き、他の全てのオリゴヌクレオチドは0.2μmolスケールで、MilliGen7500DNA合成機(Millipore,Bedford、MA、USA)で、β−シアノエチルホスホアミジト法(Shina,N.D.et al.,(1984)Nuleic Acid Res.Vol.12,Pp.4539−4577)を用いて合成された。オリゴデオキシヌクレオチドはRP−HPLC精製され、標準的プロトコルし従って脱保護された。ビオチニル化オリゴデオキシヌクレオチドはBiometra、Gottingen、Germanyより購入した(HPLC精製)。
用いられたオリゴヌクレオチドの配列と計算上の分子量:
【表4】
【0084】
オリゴヌクレオチドの5’リン酸化
ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer,Mannheim,German)で、刊行された手順にしたがって実行し、5’リン酸化オリゴヌクレオチドは精製しないでLCRに用いた。
【0085】
リガーゼ連鎖反応
LCRはPfuDNAリガーゼ、および、2つの異なったpBluescriptKIIファージミドを含むリガーゼ連鎖反応キット(Stratagene、Heidelberg、German)で行った。E.coli lacI遺伝子の野生型を担持する1つおよび、lacIのbp191での単一の点変異を含むこの遺伝子の変異体である。
【0086】
以下のLCR条件を、各々の反応に用いた:100pgテンプレートDNA(0.74fmol)と担体としての500pgの超音波破砕サケ精子DNA、25ng(3.3pmol)の5’−ホスホリル化オリゴヌクレオチド、20ng(2.5pmol)の非ホスホリル化オリゴヌクレオチド、4U PfuDNAリガーゼ、Pfuリガーゼ反応バッファー(Stratagene、Heidelberg、Germany)で緩衝された最終容量20μl。モデル実験において、化学合成されたss50merをテンプレートとして用い(1fmol)、この場合はオリゴCもまたビオチニル化した。すべての反応は、サーモサイクラー(OmniGene、MWG−Biotech、Ebersburg、Germany)中で、以下のプログラムで行った:4分間92℃、2分間60℃、および25サイクルの20秒92℃、40秒60℃。HPLC分析を除き、ビオチニル化ライゲーション反応物Cを用いた。対照実験において、ビオチニル化および非ビオチニル化オリゴヌクレオチドは、同じゲル電気泳動の結果を示した。反応は7.5%ポリアクリルアミドゲルで解析した。ライゲーション産物1(オリゴAおよびB)の計算上の質量:15450Da、ライゲーション産物2(おりごCおよびD)の計算上の質量:15387。
【0087】
スマートHPLC
イオン交換HPLC(IE HPLC)をスマートシステム(Pharmacia、Freiburg、Germany)で、ファルマシア モノQ、PC1.6/5カラムを用いて行った。溶出液はバッファーA(25mMトリス−HCl、1mM EDTAおよび0.3M NaCl pH8.0)およびバッファーB(Aと同じ、但し1M NaCl)であった。100%Aで5分間、流速50μl/分で開始し、30分で0から70%Bのグラジエントをかけ、続いて2分間で100%に増加させ、100%Bで5分間保持した。野生型または変異体テンプレートの何れかについて行われた2つのプールされたLCR容量(40μl)を注入した。
【0088】
MALDI−TOF−MSのための試料調製
固定化DNAの調整:各々のスペクトルを記録するため、2つのLCR(上記のように行った)をプールし、1:1で2xB/Wバッファー(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)で希釈した。5μlのストレプトアビジンDynabeads(Dynal,Hamburg,Germany)試料を添加し、混合物は、室温で15分間穏やかに振とうされ、結合を可能された。上清を磁性粒子コレクター、MPC(Dynal,Hamburg,Germany)を用いて除去し、ビーズを2回50μlの0.7Mクエン酸アンモニウム溶液(pH8.0)で洗浄した(上清はMPCを用いる度に除去した)。ビーズを1μlの超純水(MilliQ、Millipore、Bedford、MA、USA)に再懸濁した。この懸濁液は直接MALDI−TOF−MS解析に以下の記載のように用いた。
【0089】
限外濾過とストレプトアビジンDynaBeadsの組合せ:各々のスペクトルを記録するため、2つのLCR(上記のように行った)をプールし、1:1で2xB/Wバッファー(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)で希釈し、5000NMWL Ultrafree−MCフィルターユニット(Millipore、Eschborn、Germany)で、製造者の指示に従って濃縮した。濃縮後、試料を300μlの1xB/Wバッファーで洗浄し、ストレプトアビジンDynaBeadsを添加した。ビーズは上記のように1回Ultrafree−MCフィルターユニット上で300μlの1xB/Wバッファーで洗浄し、上記のように処理した。ビーズを30から50μlの1xB/Wバッファーに再懸濁し、1.5mlのエッペンドルフチューブに移した。上清を除き、ビーズを3回50μlの0.7Mクエン酸アンモニウム溶液(pH8.0)で洗浄した。最後に、ビーズを1回30μlのアセトンで洗浄し、1μlの超純水に再懸濁した。ライゲーション混合物は、ビーズ上に固定化した後でMALDI−TOF−MS解析に以下のように用いた。
【0090】
MADLI−TOF−MS
固定化されたDNAを有するストレプトアビジンコート磁性ビーズの懸濁液を、試料ホルダーでピペットで取り、続いて直ちに0.5μlマトリックス溶液(50%アセトニトリル中の0.7M 3−ヒドロキシピコリン酸、70mMクエン酸アンモニウム)と混合した。この混合物を室温で乾燥させ、質量分析計に導入された。全てのスペクトルは陽イオンモードで、リフレクトロン(5keV イオン給源、20keV 加速後)および337nm窒素レーザーを装備したFinnigan MAT Vision 2000で取られた。PfuDNAリガーゼの解析のために、0.5μlの溶液を試料ホルダー上で1μlのマトリックス溶液と混合し、上記のように調製した。精製されていないLCRの解析のために、1μlのLCRを1μlのマトリックス溶液と混合した。
【0091】
結果および議論
E.coli lacI遺伝子は、リガーゼ連鎖反応において生成された産物の検出方法としての、MALDI−TOF−MSの適性を調べるための単純な系として機能した。このテンプレートシステムは、pBluescript KIIファージミド中のE.coli lacI野生型遺伝子、および、同じプラスミド中のbp191(CからTへの変化)での単一点変異を含むE.coli lacI遺伝子を含む。4つの異なったオリゴヌクレオチドを用いたが、それらはE.coli lacI野生型遺伝子が存在する場合のみライゲーションした(図26)。
【0092】
LCR条件は、PfuDNAリガーゼを用いて最適化し、各々の陽性反応においては少なくとも1pmolのライゲーション産物を得た。ライゲーション反応はポリアクリルアミドゲル(PAGE)およびスマートシステムでのHPLCにより解析した(図27、28および29)。図27は、野生型テンプレートでの陽性LCR(レーン1)、変異型テンプレート(1および2)での陰性LCR、および酵素、オリゴヌクレオチドを含むがテンプレートを含まない陰性対照を示す。ゲル電気泳動は、ライゲーション産物(50bp)は野生型テンプレートとの反応においてのみ生成される一方、点変異を有するテンプレートおよびサケ精子DNAとの対照反応のどちらにおいても増幅産物は生成されなかったことを明白に示した。図28においては、HPLCは、野生型テンプレートについて同じ条件で実行された2つのプールされたLCRの分析のために用いられた。ライゲーション産物は、明白に見られた。図29は、変異テンプレートについての2つのプールされた陰性LCRが解析されたHPLCの結果を示している。これらのクロマトグラムは、図27に示されたデータを確認し、その結果を一緒に合わせると、このシステムは、野生型テンプレートが提供されさえすれば大量のライゲーション産物を生成することを明白に示している。
【0093】
適当な対照実験を、LCR実験に関与する異なった化合物のリテンション時間を決定するために行った。これらには、4つのオリゴヌクレオチド(A,B,CおよびD)、合成ds50mer(ライゲーション産物と同じ配列を有する)、野生型テンプレートDNA、超音波破砕およびPfuDNAリガーゼをライゲーションバッファー中に含む。
【0094】
LCR反応がMALDI−TOF−MSで解析される前に、どの精製手段を用いるべきかを決定するために、精製されていないLCRのアリコート(図30A)および酵素ストック溶液のアリコート(図30B)をMALDI−TOF−MSで解析した。適切な試料調製は絶対的に必要であることが示されたが、それは全てのPfuDNAリガーゼのMALDI−TOF−MSでの分析において得られるシグナルに、精製されていないLCRにおける全てのシグナルが対応しているからである。オリゴAおよびライゲーション生産物の計算上の質量の値は、それぞれ7521Daおよび15450Daである。図30のデータは、酵素溶液はライゲーション反応物および生産物の期待されるシグナルと干渉し、それによりシグナルの曖昧でない割り当てを不可能とする質量のシグナルに繋がることを示している。さらに、酵素貯蔵バッファーの一部であり分析物/マトリックス混合物の結晶化行動に影響する界面活性剤Tween20の信号を、好ましくない形で示している。
【0095】
1つの精製形式において、ストレプトアビジンコート磁性ビーズが用いられた。最近の論文に示されているとおり、ワトソン−クリック塩基対形成で、ビーズに共有結合的に結合している相補的DNA断片に固定化されているDNAの直接放出が可能であり、非ビオチニル化鎖は排他的に放出される(Tang,K.et al.,(1995)Nucleic Acid Res.23:3126−3131)。固定化dsDNAを用いることにおけるこの手法は、非ビオチニル化鎖が放出することのみを確実としている。もし固定化されてないdsDNAが解析された場合、両方の鎖が放出され(Tang,K.et al.,(1994)Rapid Comm.Mass Spectrom.7:183−186)、2つの鎖の質量の差に依存した広いピークとなる。それ故に、このシステムをLCRに用いると、計算上の分子量7521DaであるオリゴヌクレオチドA、および、オリゴAとオリゴB由来のライゲーション産物(計算上の分子量15450)のみが、もしオリゴCが5’末端でビオチニル化されておりストレプトアビジンコートビーズに固定化されている場合には放出されるであろう。このことにより、簡単で曖味ではないLCR反応物および産物の同定という結果となる。
【0096】
図31Aは、ストレプトアビジンDynaBeadsを用いて精製され、ビーズから直接放出された2つのプールされたLCR(上記のように実行された)から得られたMALDI−TOFマススペクトルで、精製方法が効率的であったことを示すものを表している。ライゲーションしなかったオリゴAを示すシグナルと、ライゲーション産物に相当するシグナルが検出された。計算上と実験で見られた質量の値の一致は顕著であり、曖昧ではないピークの割り当ておよび正確なライゲーション産物の検出を可能としている。これと対照的に、変異テンプレートについての2つのプールされたLCRから得られたスペクトルにおいては、ライゲーション産物はなくオリゴAのみが検出された(図31B)。LCR条件の特異性および選択性、およびMALDI−TOF検出の感度はさらに、ライゲーション反応を、特定のテンプレート無しで行った場合にさらに示された。図32は、サケ精子DNAのみが陰性対照として用いられた、2つのプールされたLCRから得られたスペクトルを示しているが、期待されるように、オリゴAのみが検出された。
【0097】
図31Aに示されている結果は図27のゲルのレーン1と関連づけることができるが、図31Bに示されるスペクトルは図27のレーン2に相当し、最後に、図32のスペクトルは図27のレーン3に相当する。これらの結果は、図28および図29に示されているHPLC解析と一致している。ゲル電気泳動(図27)およびHPLC(図28および29)の両方がライケーション反応物に対して過剰または等量のライゲーション産物を示しているが、MALDI−TOF質量分析はライゲーション産物については小さいシグナルを発生している(図31A)。
【0098】
ライゲーション産物のシグナルの低い強度は、24merと50merとの間の異なった放出/イオン化効率によるものであろう。24塩基対と比較した50の二重体のTm値は著しく高いので、より多くの24merが放出された。シグナル強度の減少はまた、より長いオリゴヌクレオチドの場合のより高い断片化の結果でも有り得る。
【0099】
ストレプトアビジンDynaBeadsでの精製にもかかわらず、図32は2000Daあたりの領域のTween20の痕跡を示した。粘性の粘度の物質は結晶化工程に対しネガティブに作用し、それゆえに質量分析解析にとって有害で有り得る。酵素貯蔵溶液の一部であるTween20およびグリセロールは、それゆえ、質量分析解析に先立って完全に除くべきである。この理由から、DynaBeadsでの処理に先だつ付加的な限外濾過段階を含む改良された精製手順を調べた。当然、この試料精製はMALDI−TOF質量分析性能の顕著な改善という結果となった。
【0100】
図33は、それぞれ陽性(図33A)および陰性(33B)の2つのプールされたLCRから得られたスペクトルを示す。陽性反応は、化学合成された、オリゴCおよびオリゴDのライゲーション産物に相当する配列の一本鎖50merをテンプレートとして実行した。オリゴCは5’ビオチニル化されていた。故に、テンプレートは検出されなかった。期待されたように、オリゴAおよびBのライゲーション産物(計算上の分子量15450Da)のみが、固定化され、ライゲーションされたオリゴCおよびDから放出された。この新規に生成されたDNA断片は、図33Aにおいて15448Daの質量シグナルとして示されている。図32Aと比較して、このスペクトルは明白に、この試料調製方法は、改善された分解能および強度のシグナルを生じさせた。
【0101】
実施例7 プライマーの固相オリゴ塩基伸長による変異検出およびMALDI−TOF質量分析による分析
要約
固相オリゴ塩基伸長法は、増幅されたDNAにおける点変異および小さな欠失並びに小さな挿入を検出する。この方法は、DNAポリメラーゼ、3つのdNTPの混合物、および欠けている1つのジデオキシヌクレオチドを用いた、親和性捕捉された増幅テンプレート上の変異ヌクレオチド位置に隣接してアニールする検出プライマーの伸長に基づいている。得られた産物は、さらに標識化工程を必要とせずにMALDI−TOF質量分析により評価され、分解される。以下の実験の目的は、速くて信頼性のある様式で変異体および野生型対立遺伝子を測定することにあった。
【0102】
実験の説明
この方法では1つの検出プライマーを用い、続いて、オリゴヌクレオチド伸長工程を行って、MALDI−TOF質量分析により容易に解明できる、変異体または野生型対立遺伝子に特異的ないくつかの塩基により長さが異なる産物を得た。この方法を、CFTR遺伝子のエキソン10の例を用いて記載する。この遺伝子のエキソン10は、同型接合状態において膵嚢胞性繊維症の臨床表現型となる、多くの人種集団において最も共通している変異(ΔF508)を負っている。
【0103】
材料および方法
ゲノミックDNA
ゲノミックDNAは健康な個体から得た。個体は同型接合体またはΔF508変異の異型接合体であり、ある個体は1506S変異に関して異型接合である。
野生型および変異体対立遺伝子は、標準的なサンガー法により確認した。
【0104】
CFTR遺伝子のエキソン10のPCR増幅
PCR増幅のプライマーは、CFEx10−F(イントロン9に位置し、ビオチニル化された、5−GCAAGTGAATCCTGAGCGTG−3’(配列番号13))およびCEFx10−R(イントロン10に位置する、5’−GTGTGAAGGGCGTG−3’(配列番号14))であった。プライマーは8pモルの濃度で用いた。10x緩衝液を含むTaqポリメラーゼはベーリンガーマンハイムから購入し、dTNPはファーマシアから得た。全反応容積は50μlであった。PCRのサイクル条件は、最初に95℃で5分間、続いて、94℃で1分間、53℃で45秒間、そして、72℃で30秒間の40サイクルと、最後に72℃の5分間の延長時間であった。
【0105】
PCR産物の精製
製造業者の指示に従ってQiagenのPCR精製キット(28106番)を使用することにより、増幅産物を精製した。精製産物のカラムからの溶出は、50μlのTE緩衝液(10mMのトリス、1mMのEDTA、pH7.5)中で行った。
【0106】
二本鎖DNAの親和性捕捉および変性
精製PCR産物の10μLのアリコートをストレプトアビジン被覆マイクロタイタ板(1645684番、ベーリンガーマンハイムまたは95029262番ラブシステムス)の1つのウェルに移した。続いて、10μlの保温緩衝液(80mMのリン酸ナトリウム、400mMのNaCl、0.4%のTween20、pH7.5)および30μlの水を加えた。室温での1時間の保温後、200μlの洗浄緩衝液(40mMのトリス、1mMのEDTA、50mMのNaCl、0.1%のTween20、pH8.8)でウェルを3回洗浄した。二本鎖DNAを変性するために、ウェルを3分間に亘り50mMのNaOH溶液100μlで処理した。その後、ウェルを200μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。
【0107】
オリゴ塩基伸長反応
25pモルの検出プライマー(CF508:5’CTATATTCATCATAGGAAACACCA−3’(配列番号15))のアニーリングを10分間に亘り50℃で50μlのアニーリング緩衝液(20mMのトリス、10mMのKCl、10mMの(NH4)2SO4、2mMのMgSO、1%のトリトンX−100、pH8.75)中で行った。ウェルを200μlの洗浄緩衝液で3回、そして、200μlのTE緩衝液で1回洗浄した。伸長反応は、USBからのDNA配列決定キット(70770番)のいくつかの成分およびファーマシアからのdNTPまたはddNTPを用いて行った。全反応容積は、21μlの水、6μlのシーケナーゼ緩衝液、3μlの10mMのDTT溶液、4.5μlの0.5mMの3つのdNTP、4.5μlの2mMの欠けている1つのddNTP、5.5μlのグリセロール酵素希釈緩衝液、0.25μlのシーケナーゼ2.0,および0.25のピロホスファターゼからなる45μlであった。反応物を氷上にピペットで取り、室温で15分間、そして37℃で5分間保温した。その後、ウェルを200μlの洗浄緩衝液で3回、そして70mMのクエン酸アンモニウム溶液60μlで1回洗浄した。
【0108】
伸長プライマーの変性および沈殿
伸長プライマーを、10分間に亘り80℃で水中50μlの10%DMSO(ジメチルスルホキシド)内で変性した。沈殿に関して、10μlの酢酸アンモニウム(pH6.5)、0.5μlのグリコーゲン(10mg/mlの水、シグマG1765番)、および100μlの脱水エタノールを上清に加え、室温で1時間に亘り保温した。10分間の13,000gでの遠心分離後、ペレットを70%のエタノール中で洗浄し、1μlの18Mohm/cmH2O水で再懸濁させた。
【0109】
試料の沈殿およびMALDI−TOF質量分析による分析
試料の沈殿は、0.3μlのマトリクス溶液(H2O:CH3CNの比率が1:1の0.7Mの3−ヒドロキシピコリン酸、0.07Mの二塩基クエン酸アンモニウム)および試料標的上の0.3μlの再懸濁DNA/グリコーゲンペレットを混合することにより行い、空気乾燥させた。20までの試料を、それぞれ、標的および転化ダイノード上5および20kVのリフレクトロンモードで運転している未改良サーモバイオアナリシス(以前はフィニガン)ビジョン2000MALDI−TOFの供給領域に導入するために、プローブ標的ディスク上にプロットした。理論平均分子量(Mr(計算))は原子組成から計算した。報告された実験Mr(Mr(実験))値は、外部校正を用いて求めた、1つの電子を加えた形態の値であった。
【0110】
結果
実験の目的は、遺伝病の診断において高品質で高処理量となる変異検出のための正確な厳重さに依存しない、速くて信頼性のある方法を開発することにあった。したがって、特定の種類のDNA配列決定法(1つの変異検出プライマーのオリゴ塩基伸長)を、マトリクスアシステッドレーザ脱着イオン化(MALDI)質量分析(MS)により得られたミニ配列決定産物の評価と組み合わせた。可能な質量測定システムとして、飛行時間(TOF)リフレクトロン配列を選択した。この仮説を証明するために、CFTR遺伝子のエキソン10に関して実験を行った。ここでは、いくつかの変異により、コーカサス人の人口において最もありふれた単一遺伝病である、膵嚢胞清繊維症の臨床表現型が生じうる。
【0111】
図34に示した図は、CFTR遺伝子のエキソン10の野生型および様々な変異体の理論的に計算された分子量を有する予測される短い配列決定産物を示している。短い配列決定産物は、ddTTP(図34A)またはddCTP(図34B)のいずれかを用いて発生期のDNA鎖に固有配列関連停止を導入することにより産生した。健康な、変異異型個体、および変異同型個体のMALDI−TOF−MSスペクトルが図34に示されている。全ての試料は、質量分析と比較して不一致を示さない標準サンガー法により確認した。様々な分子量の実験測定の精度は、予測した範囲に対してマイナス21.8およびプラス87.1ダルトン(Da)の範囲内にあった。これは、各々の場合において許容された結果の絶対的な判断である。この方法のさらなる利点は、ΔI507変異のあいまいな検出である。ddTTP反応において、野生型対立遺伝子は検出されるけれども、ddCTP反応においては、3つの塩基対の欠失が開示される。
【0112】
ここに記載した方法は、DNAの単一点変異または微小損傷の検出に非常に適している。変異検出プライマーを注意深く選択することにより、多重化が可能となり、匹敵する対立遺伝子特異的方法に必要とされる正確な厳重さを必要とせずに、遺伝子診断が高処理量かつ高品質となる。遺伝情報の一意性のために、変異検出プライマーのオリゴ塩基伸長は、可変数の縦列配列(VNTR)または他の単一ヌクレオチド多型性(例えば、アポリポタンパクE遺伝子)のようなゲノムにおける各々の病気遺伝子または多型性領域に適用できる。
【0113】
実施例8 マトリクスアシステッドレーザ脱着/イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析による7−デアザプリン部分を含有するポリメラーゼ連鎖反応産物の検出
材料および方法
PCR増幅
以下のオリゴデオキシヌクレオチドプライマーを、200nモルの規模でミリゲン7500DNA合成器(米国、マサチューセッツ州、ベッドフォードのミリポア)により標準ホスホアミジテ化学(Sinha,N.D,等、(1983)Tetrahedron Let.24巻、5843-5946頁;Sinha,N.D.等、(1984)Nucleic AcidsRes.、12巻、4539-4557頁)にしたがって合成したか、またはMWG−バイオテック(プライマー3、ドイツ国、エベルスベルグ)およびバイオメトラ(プライマー6−7、ドイツ国、ゴエッティンゲン)から購入した。
【表5】
【0114】
99merおよび200merのDNA鎖(修飾および未修飾)並びにリボおよび7−デアザ−修飾100merを、10mモル/LのKCl、10mモル/Lの(NH4)2SO4、20mモル/LのトリスHCl(pH=8.8)、2mモル/LのMgSO4、(エキソ(−)Pseudococcus furiosus(Pfu)緩衝液、ドイツ国、フレイブルク、ファーマシア)、0.2mモル/Lの各々のdNTP(ドイツ国、フレイブルク、ファーマシア)、1μモル/Lの各々のプライマーおよび1単位のエキソ(−)PfuDNAポリメラーゼ(ドイツ国、ハイデルベルク、ストラタジーン)を含有する100μLの反応容積内のpRFclDNA(10ng、ハンブルク大学のS.Feyerabendから供給される)から増幅した。
【0115】
99merに関してはプライマー1および2を、200merに関してはプライマー1および3を、100merに関してはプライマー6および7を用いた。7−デアザプリン修飾核酸を得るために、PCR増幅中に、dATPおよびdGTPを7−デアザ−dATPおよび7−デアザ−dGTPと置換した。反応は、1分間に亘る95℃での変性、1分間に亘る51℃でのアニーリングおよび1分間に亘る72℃での伸長のサイクルを用いて、サーマルサイクラー(ドイツ国、エバースブルクのMWG−バイオテック、オムニジーン)内で行った。全てのPCRに関して、反応サイクルの数は30であった。最後のサイクルの後、反応をさらに10分間に亘り72℃で行った。
【0116】
103merDNA鎖(修飾および未修飾)を、全ての他の濃度は変えずに、プライマー4および5を用いて、100μLの反応容積内のM13mp18RFIDNA(100ng、ドイツ国、フレイブルク、ファーマシア)から増幅した。反応は、1分間に亘る95℃での変性、1分間に亘る40℃でのアニーリングおよび1分間に亘る72℃での伸長のサイクルを用いて行った。それぞれ、未修飾の103merに関しては30回のサイクル、修飾103merに関しては40回のサイクルの後、試料をさらに10分間に亘り72℃で保温した。
【0117】
5’−[32−P]−標識されたPCRプライマーの合成
プライマー1および4を、製造業者のプロトコルにしたがって、T4−ポリヌクレオチドキナーゼ(エピセントレテクノロジース)および(γ−32P)−ATP(ドイツ国、デュポン、BLU/NGG/502A)を用いて5’−[32−P]−標識した。反応は、その他の反応条件は変えずに、PCRのプライマー1および4の10%を標識されたプライマーと置換することにより行った。増幅DNAは、10%のポリアクリルアミドゲル上のゲル電気泳動により分離した。適切なバンドを切除し、パッカードTRI−CARB460C液体シンチレーションシステム(米国、コネチカット州、パッカード)で計数した。
【0118】
リボ修飾されたPCR産物からのプライマー切断
増幅したDNAをウルトラフリーMCフィルタユニット(30,000NMWL)を用いて精製し、次いで、0.2モル/LのNaOH100μl中で再度溶解させ、25分間に亘り95℃で加熱した。次いで、溶液をHCl(1モル/L)で酸性化し、さらに、以下に記載するように、MALDI−TOF分析のために、ウルトラフリーMCフィルタユニット(10,000NMWL)を用いて精製した。
【0119】
PCR産物の精製
全ての試料を、製造業者の記載にしたがって、ウルトラフリーMCフィルタユニット30,000NMWL(ドイツ国、エシュボーン、ミリポア)を用いて精製し、濃縮した。PCR産物を超純水の5μL(200merに関しては3μL)溶解させた。この分析物溶液を、MALDI−TOF測定のめたに直接的に用いた。
【0120】
MALDI−TOF MS
0.5μLの分析物溶液および0.5μLのマトリクス溶液(アセトニトリル/水(1:1,v/v)中0.7モル/Lの3−HPAおよび0.07モル/Lのクエン酸アンモニウム)のアリコートを平らな金属試料支持体上で混合した。周囲温度での乾燥後、分析のために試料を質量分析器中に導入した。使用したMALDI−TOF質量分析器は、フィニガンMATビジョン2000(ドイツ国、ブレーメン、フィニガンMAT)であった。スペクトルを、5keVイオン発生源および20keV後加速による正イオンリフレクターモードで記録した。器具に窒素レーザ(337nmの波長)を備え付けた。システムの真空は、分析器領域においては3−4・10-8hPaおよび発生源領域においては1−4・10-7hPaであった。修飾および未修飾DNA試料のスペクトルを同一の相対レーザ源により得た。外部校正を合成オリゴデオキシヌクレオチド(7merから50mer)の混合物により行った。
【0121】
結果および議論
PCRによる7−デアザプリンヌクレオチド含有核酸の酵素合成
短いPCR産物の速くてゲルを用いない分析を行うMALDI−TOF MSの可能性を示すために、そしてMALDI−TOF条件下で核酸の7−デアザプリン修飾の効果を調べるために、2つの異なるプライマーテンプレート系を用いてDNA断片を合成した。配列を図36および37に示す。103merPCR産物の2つの一本鎖はほぼ等しい質量(Δm=8u)を有していたが、99merの2つの一本鎖は526uだけ異なっていた。
【0122】
化学的DNA合成のための7−デアザプリンヌクレオチド構造ブロックが通常のものよりも約160倍も高価であり(バージニア州、スターリング、グレンリサーチ社、製品情報)、標準β−シアノ−ホスホアミジテ化学におけるそれらの用途がささいなもの(バージニア州、スターリング、グレンリサーチ社、製品情報;KおよびB.T.Chait(1995)Nucleic Acids Res.23,1570)ではないことを考慮すると、7−デアザプリン修飾プライマーのコストは非常に高くなってしまう。したがって、この方法の適応性および範囲を増大させるために、全てのPCRは、日常で入手可能な未修飾オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行った。ポリメラーゼ連鎖反応においてdATPおよびdGTPをc7−dATPおよびc7−dGTPと置換することにより、それぞれ、99merおよび103merに関して、約80%、200merに関しては約90%の7−デアザ−プリン修飾ヌクレオシドを含有する産物が得られた。表Iは、全てのPCR産物の塩基組成を示している。
【表6】
【0123】
しかしながら、80−90%の7−デアザ−プリン修飾が正確な質量分析検出に十分であるか否かを測定することが残っている。したがって、酵素増幅工程中に全てのプリンヌクレオチドを置換できるか否かを測定することが重要であった。このことは、TaqDNAポリメラーゼを使用する場合、c7−dATPはPCRにおいてdATPを完全には置換できないことが示されているので、ささいなことではなかった(Seela,F.およびA.Roelling(1992)Nucleic Acids Res.,20,55-61)。幸い、エキソ(−)PfuDNAポリメラーゼが実際に未修飾プリントリホスフェートの不在下でc7−dATPおよびc7−dGTPを受容できることが分かった。しかしながら、取込みはそれほど効率的ではなく、PCR産物の収率がより少なくなってしまう(図38)。エチジウム−臭化物は、DNA二重鎖の積み上げられた塩基による挿入により着色される。したがって、修飾DNAは必ずしも未修飾のものと同一のバンド強度を与える必要はないので、エチジウム−臭化物着色ゲルにおけるより小さいバンド強度はアーチファクトである。
【0124】
これらの結果が正しいことを確認するために、[32P]標識されたプライマーによるPCRを繰り返した。オートラジオグラム(図39)は明確に修飾PCR産物の収率が小さいことを示している。バンドをゲルから切除して計数した。全てのPCR産物に関して、修飾核酸の収率は50%であり、対応する未修飾増幅産物に帰する。さらなる実験は、エキソ(−)DeepVentDNAおよびVentDNAポリメラーゼは、同様にPCR中にc7−dATPおよびc7−dGTPを取り込むことができることを示した。しかしながら、全体的な性能は、増幅中にほとんど副産物を生じないエキソ(−)PfuDNAポリメラーゼに関して最良であることが判明した。3つのポリメラーゼ全てを用いると、それらの同配体ではなくc7−dATPおよびc7−dGTPを用いたそのようなPCRが副反応がそれほど無く、より純粋なPCR産物を生じることが分かった。増幅副産物の発生が減少することは、PCR中に合成されたテンプレートを含有する7−デアザ−プリンおよびプライマーから形成された複合体の安定性が小さいことによるプライマーのミス対合が減少することにより説明が付く。7−デアザ−プリンを含有するDNA二重鎖の融点が減少することが記載されている(Mizusawa,S.等、(1986)Nucleic Acids Res.,14,1319-1324)。上述した3つのポリメラーゼ(エキソ(−)DeepVentDNAポリメラーゼ、VentDNAポリメラーゼおよびエキソ(−)(Pfu)DNAポリメラーゼ)に加えて、E.coliDNAポリメラーゼ、シーケナーゼ、TaqDNAポリメラーゼおよびU AmpliTaqDNAポリメラーゼの大きなクレノー断片のような他のポリメラーゼを使用してもよいことが予測される。さらに、RNAがテンプレートである場合には、SP6またはT7RNAポリメラーゼのようなRNAポリメラーゼを使用しなければならない。
【0125】
修飾および未修飾PCR産物のMALDI−TOF質量分析
99mer、103merおよび200merのPCR産物をMALDI−TOF MSにより分析した。過去の経験に基づいて、脱プリンの程度は、分析物の脱着およびイオン化に使用されるレーザエネルギーに依存することが知られている。脱プリンによる7−デアザプリン修飾の断片化への影響を調査すべきであるので、同一の相対レーザエネルギーで全てのスペクトルを測定した。
【0126】
図40aおよび40bは、修飾および未修飾103mer核酸の質量スペクトルを示している。修飾103merの場合には、断片化により広い(M+H)+信号が生じる。ピークの最大値は、指定された質量が、(M+H)+信号自体よりもむしろ、(M+H)+信号および断片化イオンの信号の平均値を示すように小さい質量にシフトされている。修飾103merはまだオリゴヌクレオチドプライマーからのAおよびGを約20%含有しているが、より狭く対称な信号により特徴付けられる断片化が少ないことを示している。脱プリンにより質量の小さい側に特にテールを有するピークが実質的に減少する。そして、測定した質量と計算した質量の差は、予測した質量よりもまだ小さいけれども著しく減少する。未修飾試料に関しては、31670の(M+H)+信号が観察された。この信号は、計算した質量に対して97uまたは0.3%の差である。一方、修飾試料の場合には、この質量の差は、10uまた0.03%(31713uが観察され、31723が計算された)まで減少した。これらの観察は、2つの信号鎖の(M+H)+信号の質量分析における著しい増加により正しいと実証される(未修飾試料に関する18とは対照的にm/Δm=67、Δm=最大値の半分での全幅、fwhm)。2つの信号鎖の間の質量差が小さいことにより(8u)、個々の信号は分析されなかった。
【0127】
99の塩基対からなるDNA断片の結果に関して、DNAを含有する7−デアザプリンの増大した質量分析の結果はより明白になる。未修飾試料における2つの一本鎖は、PCR産物の2つの鎖の間の質量差がプリンおよびピリミジンの等しくない分布により526uと非常に大きいので、分析できなかった(図41a)。これとは対照的に、修飾DNAは、より理解しがたいゲル電気泳動法に対して分子量測定のこの手法の優位を示す2つの一本鎖の明確なピークを示した(図41b)。基線分解能は得られなかったけれども、個々の質量は0.1%の精度で指定できた:軽い鎖に関してはΔm=27u(計算質量=31224u)および重い鎖に関してはΔm=14u(計算質量=31750u)。再度、最大値の半分での全幅は、7−デアザプリン含有試料に関して実質的に減少したことが分かった。
【0128】
99merおよび103merの両方の場合において、7−デアザプリン含有核酸は、それらが約20%の未修飾プリンヌクレオチドをまだ含有するにもかかわらず、より高い感度を示すように思われる。(M+H)+信号に関して同様の強度で匹敵するSN比を得るために、未修飾99merは修飾したものの12に対して20のレーザショットを必要とし、103merは7−デアザプリンヌクレオシド含有PCR産物の3に対して未修飾試料に関して12のショットを必要とした。
【0129】
修飾および未修飾の200merアンプリコンのスペクトルを比較すると、7−デアザプリン含有試料に関して、増大した信号強度だけでなく、改良された質量分解能が再度観察された(図42aおよび42b)。信号鎖の信号は修飾試料のスペクトルにおいて顕著であるが、信号鎖のDNAスプレクスおよびダイマーにより、未修飾試料に関して最強の信号が得られた。
【0130】
核酸の完全な7−デアザプリン修飾は、PCRにおいて修飾プライマーを用いるかまたは部分的に修飾されたPCR産物からの未修飾プライマーを切断することにより行ってもよい。上述したように、欠点は修飾プライマーに関連しているので、リボ修飾によるプライマーを用いて100merを合成した。本出願人の研究所において以前に開発した方法にしたがって、プライマーをNaOHにより加水分解的に切断した(Koester,H.等、Z.Physiol.Chem.,359,1570-1589)。図10aおよび10bは、プライマー切断の前後のPCR産物のスペクトルを示している。図10bは、加水分解が成功したことを示している。加水分解されたPCR産物および2つの放出されたプライマーの両方は、残留した未切断100merからの小さな信号とともに検出できる。プライマーから発生した未修飾プリンのシェアは、増幅配列の長さが減少するとともに増加するので、この方法は、非常に短いPCR産物のMALDI−TOF分析にとって特に有用である。
【0131】
7−デアザプリン修飾核酸の注目すべき特性は、より効果的な脱着および/またはイオン化、増大したイオン安定性および/または二重鎖プリン修飾核酸のより低い変性エネルギーのいずれかにより説明できる。N−7のメチン基との交換により、非ワトソン−クリック塩基対合により核酸の第2構造を形成する能力に影響を与える水素結合の受容体を1つ損失することになる(Seela,F.およびA.Kehne(1987)Biochemistry,26,2232-2238)。これは、MALDI工程中の良好な脱着の理由となる。このことに加えて、7−デアザプリンの芳香族系は、二重鎖の融点が減少する(Mizusawa,S.等(1986)Nucleic Acids Res.,14,1319-1324)こととなるワトソン−クリック塩基対合を弱める、より小さい電子密度を有している。この影響により、MALDI工程において二重鎖DNAの変性に必要なエネルギーが減少するかもしれない。これらの形態並びにN−7窒素上の正電荷をおそらく運搬する部位の損失により、7−デアザプリン修飾核酸は極性が弱くなり、脱着の有効性が促進されるかもしれない。
【0132】
プロトン受容体としてのN−7の不在および7−デアザプリンヌクレオシドにおけるC−N結合の減少した極性のために、溶液中の加水分解に関して確立された機構に続く脱プリンが妨げられる。溶液中および気相中における反応の直接的な相関性は問題であるけれども、修飾核酸の脱プリンによる断片化が少なくなることがMALDI工程において予測できる。脱プリンは、荷電種の全収率を減少させる電荷の損失により達成されるかもしれず、または非断片化分子イオン信号の強度を減少させる荷電断片化産物を産生するかもしれない。
【0133】
7−デアザプリン含有試料の断片化か減少したことによる小さい質量側への(M+H)+信号の減少したピークテーリングおよび増加した感度の両方を観察したことにより、N−7原子は実際にMALDI−TOF工程における脱プリンの機構に必須であることを示している。結論として、7−デアザプリン含有核酸は、MALDI−TOF条件下で明らかに上昇したイオン安定性および感度を示し、したがって、質量精度および質量分解能がより高くなっている。
【0134】
実施例9 固体状態の配列決定および質量分析検出
材料および方法
オリゴヌクレオチドを未精製状態でオペロンテクノロジース(カリフォルニア州、アラメダ)から購入した。配列決定反応は、シーケナーゼバージョン2.0の配列決定キット(イリノイ州、アーリントンハイツ、アメルシャム)からの試薬を用いて固体表面上で行った。
【表7】
【0135】
固体状態のDNA配列決定を実施するために、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりテンプレート鎖DNA11683を3’−ビオチニル化した。60pモルのDNA11683、1.3nモルのビオチン14−dATP(ニューヨーク州、グランドアイランド、ギブコBRL)、30単位の末端トランスフェラーゼ(イリノイ州、アーリントンハイツ、アメルシャム)、および1x反応緩衝液(酵素とともに供給)を含有する30μlの反応液を1時間に亘り37℃で保温した。10分間に亘り70℃で末端トランスフェラーゼを熱不活化することにより、反応を停止させた。得られた産物を、TE−10回転カラム(クロネテック)に通過させることにより、脱塩した。1分子より多いビオチン−14−dATPをDNA11683の3’末端に加えることができた。ビオチニル化したDNA11683を、30分間に亘り周囲温度で30μlの1x結合および洗浄緩衝液中の0.3mgのダイナルストレプトアビジンビーズとともに保温した。ビーズをTEにより2回洗浄し、30μlのTE中に再度溶解させ、配列決定反応のために10μlのアリコート(0.1mgのビーズを含有する)を用いた。
【0136】
以前の工程からの0.1mgのビーズを、シーケナーゼキットからの2μlの5xシーケナーゼ緩衝液(200mMのトリスHCl、pH7.5,100mMのMgCl2、および250mMのNaCl)および5pモルの対応するプライマーPNA16/DNAを含有する10μlの容積中に再懸濁させた。アニーリング混合物を70℃まで加熱して、20−30分に亘り室温までゆっくりと冷却した。次いで、1μlの0.1Mのジチオスレイトール溶液、1μlのMn緩衝液(0.15Mのイソクエン酸ナトリウムおよび0.1MのMcC12)、および2μlの希釈シーケナーゼ(3.25単位)を加えた。反応混合物を各々3μlの4つのアリコートに分け、終止混合物(各々3μlの適切な終止混合物からなる:50mMのNaCl中、32μMc7dATP、32μMのdCTP、32μMのc7dGTP、32μMのdTTPおよび3.2μMの4つのddTNPのうちの1つ)に混合した。反応混合物を2分間に亘り37℃で保温した。伸長の完了後、ビーズが沈殿し、上清を除去した。ビーズを2回洗浄し、TE中で再懸濁させ、4℃に保持した。
【表8】
【0137】
標的TNR.PLASM2をビオチニル化し、以前の章に記載したものと同様な方法(39mer標的の配列決定)を用いて配列決定した。
【表9】
【0138】
30μlの1MのNaClおよびTE(1x結合および洗浄緩衝液)中において60pモルのCM1B3Bを0.3磁気ビーズとともに30分間に亘り室温で保温することにより、ダイナビーズM280上にストレプトアビジン(ノルウェー、ダイナル)とともにCM1B3Bを固定化した。ビーズをTEにより2回洗浄し、30μlのTE中に再度溶解させ、配列決定反応に10または20μlのアリコート(それぞれ0.1または0.2mgのビーズを含有する)を用いた。
【0139】
シーケナーゼキットからの2μlの5xシーケナーゼ緩衝液(200mMトリスHCl、pH7.5、100mMのMgCll、および250mMのNaCl)を含有する9μlの容積内の10pモルのDF11a5F(または0.2mgのビーズに20pモルのDF11a5F)とともに、以前の工程からの対応するアリコートのビーズをアニーリングすることにより、二重鎖DNAを形成した。アニーリング混合物を65℃まで加熱して、20−30分間に亘り37℃までゆっくりと冷却した。次いで、二重鎖DNAプライマーを1μlの容積中で10pモルのTSlo(0.2mgのビーズに20pモルのTS10)とともに混合し、得られた混合物をさらに5分間に亘り37℃で、5−10分間に亘り室温で保温した。次いで、1μlの0.1Mのジチオスレイトール溶液、1μlのMn緩衝液(0.15Mのイソクエン酸ナトリウムおよび0.1MのMnCl2)、および2μlの希釈シーケナーゼ(3.25単位)を加えた。反応混合物を各々3μlの4つのアリコートに分け、終止混合物(各々4μlの適切な終止混合物からなる:50mMのNaCl中に、16μMのdATP、16μMのdCTP、16μMのdGTP、16μMのdTTPおよび1.6μMの4つのddNTPのうちの1つ)と混合した。反応混合物を5分間に亘り室温で、そして5分間に亘り37℃で保温した。伸長の完了後、ビーズを沈殿させ、上清を除去した。ビーズを20μlのTE中で再懸濁させ、4℃に保持した。各々の管から2μl(20μlから)のアリコートを採取し、8μlのホルムアミドと混合し、得られた試料を5分間に亘り90−95℃で変性し、7Mの尿素および0.6xTBEを含有する10%のポリアクリルアミドゲルを用いて、2μl(合計で10μlから)をALF DNAシーケンサーに適用した。MALDI−TOF分析に残りのアリコートを用いた。
【0140】
MALDI試料の調製および計測器
MALDI分析の前に、配列決定ラダー充填磁気ビーズを、50mMのクエン酸アンモニウムを用いて2回洗浄し、0.5μlの純水中に再懸濁させた。次いで、懸濁液を質量分析器の試料標的上に装填し、0.5μlの飽和マトリクス溶液(3−ヒドロピコリン酸(HPA):クエン酸アンモニウム=50%のアセトニトリル中10:1のモル比)を加えた。質量分析の前に、混合物を乾燥させた。
【0141】
分析には、リフレクトロンTOFMS質量分析器(ドイツ国、ブレーメン、フィニガンMAT、ビジョン2000)を用いた。イオン発生源に5kVを加えて、後加速には20kVを加えた。全てのスペクトルを正のイオンモードで取り、窒素レーザを用いた。通常、各々のスペクトルは、100ショットよりも多いものの平均を取り、標準的な25点の平滑化を行った。
【0142】
結果および議論
従来の固体状態の配列決定
従来の配列決定法において、プライマーは直接的にテンプレートにアニールされ、次いで伸長され、サンガー法において終了される。通常、ビオチニル化されたプライマーを用いて、配列決定ラダーがストレプトアビジン被覆磁気ビーズにより捕捉される。洗浄後、EDTAおよびホルムアミドを用いて、ビーズからその産物を溶離させる。しかしながら、以前の発見から、二重鎖DNAのアニールされた鎖のみが脱着され、固定された鎖はビーズに残留することが示された。したがって、テンプレートを固定化し、プライマーをアニールすることが有利である。配列決定反応および洗浄後、固定化されたテンプレートおよびアニールされた配列決定ラダーを有するビーズを質量分析器標的上に直接的に装填し、マトリクスと混合しても差し支えない。MALDIにおいては、アニールされた配列決定ラダーのみが脱着され、イオン化され、固定化されたテンプレートは標的上に残留する。
【0143】
最初に、39merテンプレート(配列番号23)を、末端トランスフェラーゼを有するビオチン−14−dATPを加えることにより3’末端でビオチニル化した。1つより多いビオチン−14−dATP分子を酵素により加えても差し支えない。しかしながら、テンプレートは固定化され、MALDI中にビーズ上に残留したので、ビオチン−14−dATPの数は、質量スペクトルには影響がない。固体状態の配列決定には、14−mer(配列番号29)を用いた。4つの配列決定ラダーのMALDI−TOF質量スペクトルが図34に示されており、予測される理論値が表IIに示されている。
【表10】
【表11】
【0144】
配列決定反応により比較的相同なラダーが産生され、全長配列が容易に求められた。全ての反応において現れた5150辺りの1つのピークは同定されない。
可能性のある説明としては、テンプレートの小さな部分がループのようなある種の2次構造を形成し、このことがシーケナーゼ伸長を阻害したというものがある。これらのピークの強度は配列決定ラダーのものよりも非常に小さかったので、結合ミスはそれほど重要ではない。配列決定反応には7−デアザプリンを用いたけれども、これにより、N−グリコシド結合を安定化させ、脱プリン反応を妨げられる。プライマーが7−デアザプリンにより置換されなかったので、わずかな塩基の損失がまだ観察された。3’末端でddAを有する全長のラダーが、A反応において、11899.8の見かけの質量で現れた。しかしながら、122のより強いピークが全ての4つの反応に現れ、これは、シーケナーゼ酵素による余分なヌクレオチドの追加によるもののようである。
【0145】
同一の技術を用いて、より長いDNA断片の配列決定を行ってもよい。CTGの繰返しを含有する78merテンプレート(配列番号25)を、末端トランスフェラーゼとともにビオチン−14−dATPを加えることにより3’−ビオチニル化した。18merプライマー(配列番号26)を、繰返しがプライマーの伸長後直ちに配列決定されるように、CTGの外側の右にアニールした。4つの反応を洗浄して、いつものようにMALDI−TOFにより分析した。G反応の実施例が図35に示されており、予測される配列決定ラダーが各々のラダー成分に関する理論値とともに表IIIに示されている。最後の成分(理論値20577.4)が背景から区別できなかったことを除いて、全ての配列決定ピークが良好に分析された。2つの隣接する配列決定ピーク(62merおよび63mer)もまた区別され、これは、そのような配列決定分析がより長いテンプレートに適用できることを示す。再度、シーケナーゼ酵素による余分なヌクレオチドの追加が、このスペクトルにおいて観察された。この追加は、テンプレートに特異的ではなく、同定を容易にする全ての4つの反応において見られた。プライマーピークと比較すると、配列決定ピークは、長いテンプレートの場合においてより強度が小さかった。さらに、配列決定反応の最適化が必要とされるかもしれない。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0146】
捕捉およびプライミングを行う二重鎖DNAを用いた配列決定
一本鎖が張り出した二重鎖DNAプローブは、特定のDNAテンプレートを捕捉できることが示され、固体状態配列決定のプライマーとして機能する。概要が図46に示されている。二重鎖DNAプローブと一本鎖テンプレートとの間の積重相互作用により、5−塩基のみが捕捉に十分となることができる。この形式に基づいて、5’蛍光標識された23mer(5’−GATGATCCGACGCATCACAGCTC)(配列番号29)を3’−ビオチニル化された18mer(5’−GTGATGCGTCGGATCATC)(配列番号30)にアニールして、5−塩基の張り出しを残した。二重鎖DNAにより15merテンプレート(5’−TCGGTTCCAAGAGCT)(配列番号31)を捕捉し、5−塩基張り出しの伸長により、配列決定反応を行った。反応のMALDI−TOF質量スペクトルが図47A−Dに示されている。比較的小さい強度であるけれども、全ての配列決定ピークが分析された。各々の反応における最後のピークは、シーケナーゼ酵素による全長伸長産物への1つのヌクレオチドの不特定追加によるものである。比較のために、同一の産物を従来のDNAシーケンサーで測定し、結果の積重間接撮影図が図48に示されている。図から分かるように、質量スペクトルは、23merプライマーと比較してより小さい強度で、配列決定ピークを有する間接撮影図と同様のパターンを有していた。
【0147】
検出技術としてのMALDI−TOF質量分析法の改良
試料分布をより相同にすることができ、ピコリットルバイアル技術を実施することにより、信号の強度を増大させられるかもしれない。実際に、試料を100umのサイズの正方形の開口部を有する小さなピットに装填することができる。固体状態配列決定において用いられるビーズは、直径が10um未満であり、マイクロリットルバイアル内に良好に適合する。マトリクスおよび「スイートスポット」を含むDNAの微結晶がバイアル内に閉じ込められる。レーザスポットのサイズは直径が約100μmであるので、バイアルの全開口部を覆う。したがって、スイートスポットの調査は不必要であり、スペクトルを得るのに高繰返し率のレーザ(例えば、>10Hz)を使用することができる。初期の報告は、この装置は、従来のMALDI試料調製技術と比較して数桁の大きさだけ、ペプチドおよびタンパク質の検出感度を増加することができることを示している。
【0148】
100塩基を越えて配列決定範囲を伸長させるために、DNAへのMALDI分解能をさらに改良する必要がある。現在、マトリクスとしての3−HPA/クエン酸アンモニウムおよび5kVのイオン発生源と20kVの後加速を有するリフレクトロンTOF質量分析器を用いて、図33(73mer)のピークの分解能は、この場合の配列測定に十分な200(FWHM)よりも大きい。この分解能はまた、70merの範囲よりも大きいMALDI脱着DNAイオンに関して報告された最高のものである。遅延抽出技術を使用することにより、さらに解像能を向上させてもよい。
【0149】
上述した参照文献および公報の全てをここに引用する。
【0150】
同等の内容
当業者には、通常の実験を用いて、ここに記載した特定の方法の数多くの同等な内容が理解され、確認される。このような同等の内容は、本発明の範囲内にあると考えられ、以下の請求の範囲により包含される。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1A】図1Aは、生物学的試料から得られた標的核酸分子(T)の内部に含まれている1つの標的検出サイト(TDS)についての質量分析解析の実行のための方法を示す略図である。特異的捕捉配列(C)が固体支持体(SS)にスペーサー(S)を介して取り付けられている。この捕捉配列は、標的捕捉サイト(TCS)として知られている標的核酸分子(T)上の相補的な配列と特異的にハイブリダイズするように選択される。スペーサー(S)は、邪魔されないハイブリダイゼーションを実現する。TDSに相補的である検出核酸配列(D)を、続いてTDSに接触させる。DとTDSとの間のハイブリダイゼーションはマススペクトルによって検出可能である。
【図1B】図1Bは、固体支持体への直接結合を介した、少なくとも1つの標的検出サイト(ここではTDS1およびTDS2)についての質量分析解析の実行のための方法を示す略図である。標的検出サイト(TDS1およびTDS2)を含む標的配列(T)は、標的核酸分子(T)上の適当な官能基(L’)と固体支持体上の適当な官能基(L)との間に形成された可逆的または不可逆的結合の形成を介して固体支持体上に固定化されている。標的検出サイト(TDS1およびTDS2)に相補的な検出核酸配列(ここではD1およびD2)を、続いてTDSと接触させる。TDS1およびD1、および/または、TDS2とDSとの間のハイブリダイゼーションは分子量の違いに基づいて検出および区別することができる。
【図1C】図1Cは、標的(T)核酸分子中の野生型(Dwt)および/または変異型(Dmut)配列の検出のための方法を示す略図である。図1Aのように、特異的捕捉配列(C)がスペーサー(S)を介して固体支持体に取り付けられている。それに加えて、捕捉配列は標的配列(T)上の相補的な配列、ハイブリダイゼーションによって検出されるべき標的捕捉配列(TCS)と、特異的に相互作用するように選択される。しかしながら、標的検出サイト(TDS)が、分子量を変化させる変異Xを含有していた場合は、変異標的検出サイトは質量分析によって野生型から区別することができる。好ましくは、検出核酸分子(D)は、変異が分子の内部で起こり、それ故に、野生型検出オリゴヌクレオチド(Dwt)が標的検出検出配列と接触される、対照としてなどの場合に、安定なハイブリッドに到達しないように設計されている。変異はまた、変異位置にマッチした変異検出オリゴヌクレオチド(Dmut)がハイブリダイゼーションに用いられた場合にも検出可能である。生物学的試料から得られた核酸分子が特定の配列に関して異型接合である(すなわちDwtおよびDmutの両方を含む)場合には、DwtおよびDmutの両方が適当な鎖に結合し、質量の違いによりDwtおよびDmutの両方を同時に検出することが可能である。
【図2】図2は、対応する検出オリゴヌクレオチドを用いることにより、1つの標的配列上で同時にいくつかの変異が検出される方法を示したものである。検出オリゴヌクレオチドD1、D2およびD3の間の分子量の違いは、同時の検出(多重化)が可能であるように大きくなければならない。このことは、配列それ自体(組成または長さ)により、または質量改変官能基M1−M3の検出オリゴヌクレオチド中への導入のより実現することができる。
【図3】図3はさらに別の多重検出形式を示す略図である。この実施態様においては、区別は、位置特異的に平面表面に固定化された(チップ配列等)異なった特異的捕捉配列を用いることによって成されている。異なった標的配列T1からTnまでが存在する場合、それらの標的捕捉サイトTCS1−TCSnは相補的な固定化捕捉配列C1−Cnと相互作用するであろう。検出は、適切な、それらの配列によるかまたは質量改変官能基M1−Mnにより質量を区別させた、質量の異なる検出オリゴヌクレオチドD1−Dnを用いることによって成される。
【図4】図4は、事前に設計された標的捕捉サイト(TCS)がPCR増幅を用いて標的配列中に取り込まれているフォーマットを示す略図である。ただ1つの鎖のみが捕捉され、その他は除去される(例えば、ビオチンと、ストレプトアビジンでコートされた磁性ビーズとの間の相互作用に基づく等)。ビオチンがプライマー1に取り付けられていた場合、ほかの鎖は適当にTCSによって標識化されてもよい。検出は、上記のように、特異的検出オリゴヌクレオチドDと対応する標的検出サイトTDSとの相互作用を通し、質量分析を介するものである。
【図5】図5は増幅(ここではリガーゼ連鎖反応(LCR))産物がどのように調製され質量分析により検出されるのかを示す略図である。質量の区別は、プライマー(P1からP4それぞれ)に取り付けられた質量改変官能基(M1およびM2)によって成されている。質量分析による検出は直接(即ち、固定化および標的捕捉サイト(TCS)を用いることなく)行われる。複数のLCR反応を平行して、捕捉配列(C)の順序ある配置とすることにより実行することができる。このフォーマットは、質量の区別が十分であれば、ライゲーション産物の分離および質量分析を介した点毎の同定または多重化を可能にしている。
【図6A】図6Aは、転写増幅手順によって増幅された核酸分子の質量分析解析を示す略図である。RNA配列が、そのTCS配列を介して、野生型および変異型標的検出サイトが上記のように適当な検出オリゴヌクレオチド(D)を用いることにより検出可能であるように捕捉される。
【図6B】図6Bは、同じRNA上の2つの異なった(変異)サイトを、質量改変検出オリゴヌクレオチドM1−D1およびM2−D2を用いて同時の方式において検出するための多重化を示す略図である。
【図6C】図6Cは、特定の変異の検出のための、質量改変ジデオキシヌクレオシドまたは3’−デオキシヌクレオシド3リン酸およびRNA依存DNAポリメラーゼ用いた、異なった多重化手順の略図である。他には、DNA依存RNAポリメラーゼおよびリボヌクレオチド3リン酸が用いられてもよい。このフォーマットは、変異部位(X)の4つ塩基全ての可能性の同時の検出を可能としている。
【図7A】図7Aは、生物学的試料から得られた標的核酸分子(T)の内部に含まれている1つの標的検出サイト(TDS)の質量分析解析の実行のための方法を示す略図である。特異的捕捉配列(C)がスペーサー(S)を介して固体支持体(SS)に取り付けられている。捕捉配列は、標的捕捉サイト(TCS)として知られているT上の相補的配列と特異的にハイブリダイズするように選択される。TDSの一部に相補的である核酸分子はTDSの内部にある変異部位(X)のTDS5’とハイブリダイズする。ジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸(pppAdd、pppTdd、pppCdd、pppGdd等)の完全セットおよびDNA依存DNAポリメラーゼの添加は、Xに相補的1つのジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸の添加を可能とする。
【図7B】図7Bは、核酸分子内部の潜在的変異サイト(M)での変異の存在を決定するための質量分析解析を実行するための方法を示す略図である。このフォーマットにより、2本鎖標的核酸分子の対立形質(A)および(B)の両方の、同型接合正常、同型接合変異または異型接合であるかの診断が提供可能であるように、同時に分析することを可能とする。対立形質AおよびBはそれぞれ、Mを含む領域の内部でAおよびBとハイブリダイズする相補的オリゴヌクレオチド(それぞれ(C)および(D))とハイブリダイズする。各々の異型二重体を続いて1本鎖特異的エンドヌクレアーゼと接触させ、Mでのミスマッチが変異の存在を指示し、(C)および/または(D)の分解という結果となるが、これは質量分析により検出可能である。
【図8】図8は、2つの異なったプロモーターを逆位置に有する(例えばSP6およびT7プロモーター)転写ベクターを用いた、検出のための標的DNAの両方の鎖がどのように調製されたかを示す略図である。このフォーマットは異型接合標的検出サイト(TDS)の検出のために特に有用である。SP6またはT7RNAポリメラーゼを用いて、両方の鎖は別々に、または同時に転写される。両方のRNAは、適当な質量が区別された検出オリゴヌクレオチドを用いて、特異的に捕捉、同時に検出可能である。これは、溶液中で直接、または順序ある配置で特異的に固定化された捕捉配列上で多くの標的配列の平行処理の何れかにより達成される。
【図9】図9は、図6、7および8に記載されたように調製されたRNAがどのように、1またはそれより多くのリボヌクレアーゼを用いて特異的に消化され、断片が対応する相補的配列を担持する固体支持体上に捕捉されたかを示す略図である。ハイブリダイゼーションおよび捕捉された標的配列の現実の分子量は、遺伝子中のどこに変異があるか無いかに関して情報を提供する。配置は、点毎に質量分析を用いて分析可能である。DNAは制限エンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼのカクテルを用いて同様に消化できる。変異は、野生型断片の分子量と比較した、特定の個々の断片の異なった分子量により検出可能である。
【図10A】図10Aは、以下の実施例1に記載された実験の結果得られたスペクトルを示す。パネルi)はハイブリダイゼーション前の26merの吸収を示す。パネルii)ハイブリダイゼーション後の遠心の濾液を示す。パネルiii)は50mMクエン酸アンモニウムでの第1の洗浄の後の結果を示す。パネルiv)は50mMクエン酸アンモニウムでの第2の洗浄の後の結果を示す。
【図10B】図10Bは、以下の実施例1に記載された実験の、3回の洗浄/遠心段階の後で得られたスペクトルを示す。
【図10C】図10Cは、以下の実施例1に記載された実験の結果得られた、ハイブリダイズした26merの、ビーズからの、成功した放出を示すスペクトルである。
【図11】図11は、以下の実施例1に記載された実験の結果得られた、ハイブリダイズした40merの、成功した放出を示すスペクトルである。検出効率は、40merよりずっと長い断片もまた放出可能であることを示唆していた。
【図12A】図12は、以下の実施例2に記載された実験の結果得られた、18merおよび19merの、電子スプレー質量分析による、成功した放出および区別を示すスペクトルである。混合物(上)、強調された18merの結果のピーク(中)および強調された19merの結果のピーク(下)。
【図12B】図12は、以下の実施例2に記載された実験の結果得られた、18merおよび19merの、電子スプレー質量分析による、成功した放出および区別を示すスペクトルである。混合物(上)、強調された18merの結果のピーク(中)および強調された19merの結果のピーク(下)。
【図12C】図12は、以下の実施例2に記載された実験の結果得られた、18merおよび19merの、電子スプレー質量分析による、成功した放出および区別を示すスペクトルである。混合物(上)、強調された18merの結果のピーク(中)および強調された19merの結果のピーク(下)。
【図13】図13は、実施例3記載の嚢胞繊維症変異ΔF508の検出のための方法のグラフでの表示である。
【図14】図14は、ΔF508同型接合正常体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図15】図15は、ΔF508異型接合変異体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図16】図16は、ΔF508同型接合正常体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図17】図17は、ΔF508同型接合変異体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図18】図18は、ΔF508異型接合変異体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図19】図19は、アポリポタンパク質E遺伝子型を実行するための多様な方法のグラフ的表示である。
【図20A】図20は、正常アポリポタンパク質Eの核酸配列(E3対立形質をコード)およびE2およびE4対立形質によってコードされている他のイソ型を示す。
【図20B】図20は、正常アポリポタンパク質Eの核酸配列(E3対立形質をコード)およびE2およびE4対立形質によってコードされている他のイソ型を示す。
【図21A】図21Aは、アポリポタンパク質Eの多様な遺伝子型についての合成制限パターンを示す。
【図21B】図21Bは、アポリポタンパク質Eの多様な遺伝子型についての3.5%MetPhorアガロースゲルにおいて得られた制限パターンを示す。
【図21C】図21Cは、アポリポタンパク質Eの多様な遺伝子型についての12%ポリアクリルアミドゲルにおいて得られた制限パターンを示す。
【図22A】図22Aは、アポリポタンパク質Eの対立形質E2、E3、E4の制限酵素分解によって得られた91、83、72、48および35塩基対の断片の分子量を示すチャートである。
【図22B】図22Bは、同型接合E4アポリポタンパク質E遺伝子型の制限産物のマススペクトルである。
【図23A】図23Aは、同型接合E3アポリポタンパク質E遺伝子型の制限産物のマススペクトルである。
【図23B】図23Bは、同型接合E3/E4アポリポタンパク質E遺伝子型の制限産物のマススペクトルである。
【図24】図24は、10%(5μl)の各々のPCRが充填された7.5%ポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラフである。試料M:pBR322、AluI消化;試料1:血清的分析においてHBV陽性;試料2:同様にHBV陽性;試料3:血清学的分析はされていないが増加されたトランスアミナーゼレベル、肝臓病を示唆;試料4:HBV陰性;試料5:血清学的にHBV陽性;試料6:HBV陰性(−)陰性対照;(+)陽性対照。染色はエチジウムブロミドにより成された。
【図25A】図25Aは、HBV陽性の試料1のマススペクトルである。20754DaのシグナルはHBV関連PCR産物(67ヌクレオチド、計算上の質量:20735Da)を示す。10390Daの質量シグナルは[M+2H]2+信号(計算上:10378Da)を示す。
【図25B】図25Bは、試料3、PCR、血清およびドットブロットベースのアッセイに関してHBV陰性であるもののマススペクトルである。PCR産物は痕跡程度の量のみが生成された。しかしながら、20751Daにおいて、それは曖昧ではなく検出された(計算上:20735Da)。10397Daの質量シグナルは[M+2H]2+分子イオンを示す(計算上:10376Da)。
【図25C】図25Cは、HBV陰性であるがCMV陽性である試料4のマススペクトルである。期待されたように、HIV特異的シグナルは得られなかった。
【図26】図26は、リガーゼ連鎖反応(LCR)において用いられた相補的オリゴヌクレオチドの結合サイトを有するE.coli lacI遺伝子の一部を示す。ここにおいては、野生型配列が示されている。変異体は、ライゲーションのサイトでもあるbp191(太字)での点変異を含む。変異はCからT(GからA、それぞれ)への変化である。このことは、オリゴAとのT−Gミスマッチ(およびオリゴBとのA−Cミスマッチ)に繋がる。
【図27】図27は、エチジウムブロミドで染色された7.5%ポリアクリルアミドゲルである。M:鎖長標準(pUC19DNA、MspI消化)。レーン1:野生型テンプレートでのLCR。レーン2:変異テンプレートでのLCR。レーン3:テンプレート無しのLCR(対照)。ライゲーション産物(50bp)は野生型テンプレートを含む陽性反応においてのみ生成された。
【図28】図28は、2つのプールされた陽性LCRのHPLCクロマトグラムである。
【図29】図29は、同じ条件であるが変異体テンプレートが用いられた場合のHPLCクロマトグラムを示す。ライゲーション産物の小さなシグナルは反応物のテンプレート無しのライゲーション、または(G−T、A−C)ミスマッチでのライゲーションの何れかによるものである。「偽陽性」シグナルは、図28に示された野生型テンプレートでのライゲーション産物のシグナルよりも著しく低い。ライゲーション反応物の解析は「二重ピーク」に繋がっていたが、これは2つのオリゴヌクレオチドは5’−リン酸化されていたからである。
【図30A】図30のaにおいては、Pfu DNAリガーゼ溶液のMALDI−TOF−MS解析によって得られた複合体シグナルパターンが示されている。bにおいては、精製されていないLCRのMALDI−TOFスペクトルが示されている。質量シグナル67569Daが、おそらくPfu DNAリガーゼを示しているのであろう。
【図30B】図30のaにおいては、Pfu DNAリガーゼ溶液のMALDI−TOF−MS解析によって得られた複合体シグナルパターンが示されている。bにおいては、精製されていないLCRのMALDI−TOFスペクトルが示されている。質量シグナル67569Daが、おそらくPfu DNAリガーゼを示しているのであろう。
【図31A】図31は、2つのプールされた陽性LCRのMALDI−TOFスペクトルを示す(a)。7523DaのシグナルはライゲーションされていないオリゴA(計算上:7521Da)を示し、一方で15449Daは、ライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。3774Daのシグナルは、オリゴAの[M+2H]2+のシグナルである。2000Da未満の質量範囲のシグナルはマトリックスイオンによる。このスペクトルは、図2aのレーン1および図2bのクロマトグラムに対応する。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(変異テンプレート)のスペクトルが示されている。7517Daのシグナルは、オリゴA(計算上:7521Da)を示す。cにおいては、2つのプールされた対照反応のスペクトル(サケ精子DNAをテンプレートとして)が示されている。約2000Da前後の質量範囲におけるシグナルは、Tween20によるものである。
【図31B】図31は、2つのプールされた陽性LCRのMALDI−TOFスペクトルを示す(a)。7523DaのシグナルはライゲーションされていないオリゴA(計算上:7521Da)を示し、一方で15449Daは、ライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。3774Daのシグナルは、オリゴAの[M+2H]2+のシグナルである。2000Da未満の質量範囲のシグナルはマトリックスイオンによる。このスペクトルは、図2aのレーン1および図2bのクロマトグラムに対応する。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(変異テンプレート)のスペクトルが示されている。7517Daのシグナルは、オリゴA(計算上:7521Da)を示す。cにおいては、2つのプールされた対照反応のスペクトル(サケ精子DNAをテンプレートとして)が示されている。約2000Da前後の質量範囲におけるシグナルは、Tween20によるものである。
【図32】図32は、サケ精子DNAのみが陰性対照として用いられた、2つのプールされたLCRから得られたスペクトルを示し、期待されたように、オリゴAのみが検出された。
【図33A】図33は、2つのプールされた陽性LCRのスペクトルを示す(a)。精製は、限外濾過およびストレプトアビジンDynaBeadsを組み合わせて本文記載のとおりに行った。15448Daのシグナルはライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。7527のシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。3761Daは、オリゴAの[M+2H]2+シグナルを示し、一方5140Daのシグナルはライゲーション産物の[M+3H]2+シグナルである。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(テンプレート無し)のスペクトルが示されている。7514DaのシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。
【図33B】図33は、2つのプールされた陽性LCRのスペクトルを示す(a)。精製は、限外濾過およびストレプトアビジンDynaBeadsを組み合わせて本文記載のとおりに行った。15448Daのシグナルはライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。7527のシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。3761Daは、オリゴAの[M+2H]2+シグナルを示し、一方5140Daのシグナルはライゲーション産物の[M+3H]2+シグナルである。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(テンプレート無し)のスペクトルが示されている。7514DaのシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。
【図34A】図34は、変異検出プライマーbの、ddTTP(A)またはddCTP(B)をそれぞれ反応混合物中で用いたオリゴ塩基伸長の模式的表示である。理論上の質量計算は括弧内に示されている。示されている配列は、最も普通の嚢胞繊維症変異ΔF508およびかなりまれな変異Δ1507並びにIle506Serを担持するCFTR遺伝子のエクソン10の部分である。
【図34B】図34は、変異検出プライマーbの、ddTTP(A)またはddCTP(B)をそれぞれ反応混合物中で用いたオリゴ塩基伸長の模式的表示である。理論上の質量計算は括弧内に示されている。示されている配列は、最も普通の嚢胞繊維症変異ΔF508およびかなりまれな変異Δ1507並びにIle506Serを担持するCFTR遺伝子のエクソン10の部分である。
【図35A】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35B】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35C】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35D】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35E】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35F】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35G】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35H】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図36】図36は、修飾されていない7−デアザプリン含有99merおよび200mer核酸のPCR増幅のためのテンプレートとして用いられたpRFc1 DNAの配列の部分、並びに19merプライマーおよび2つの18mer逆プライマーの配列を示す。
【図37】図37は、修飾されていない7−デアザプリン含有103mer核酸のPCR増幅のためのテンプレートとして用いられたM13mp18RFI DNAのヌクレオチド配列の部分を示す。同時に示されているのはPCRにおいて用いられた17merプライマーのヌクレオチド配列である。
【図38】図38は、MALDI−TOF MS解析のために精製され濃縮されたPCR産物のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。M:鎖長マーカー、レーン1:7−デアザプリン含有99merPCR産物、レーン2:非修飾99mer、レーン3:7−デアザプリン含有103merおよびレーン4:非修飾103merPCR産物。
【図39】図39は、5’−[32P]−標識されたプライマー1および4で行ったPCR反応のポリアクリルアミドゲル電気泳動のオートラジオグラムである。レーン1および2:非修飾および7−デアザプリン修飾103merPCR産物(53321および23520カウント)、レーン3および4:非修飾および7−デアザプリン修飾200merPCR産物(71123および39582カウント)、およびレーン5および6:非修飾および7−デアザプリン修飾99merPCR産物(173216および94400カウント)。
【図40A】図40Aは、非修飾103merのPCR産物の(12のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(31768uおよび31759u)の平均値は31763uである。質量分解能:18。
【図40B】図40Bは、7−デアザプリン含有103merのPCR産物の(3つのシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(31727uおよび31719u)の平均値は31723uである。質量分解能:67。
【図41A】図41Aは、非修飾99merのPCR産物の(20のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量は(30261uおよび30794u)である。
【図41B】図41Bは、7−デアザプリン含有99merのPCR産物の(12のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量は(31727uおよび31719u)である。
【図42A】図42Aは、非修飾200merのPCR産物の(30のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(61873uおよび61595u)の平均値は61734uである。質量分解能:28。
【図42B】図42Bは、7−デアザプリン含有200merのPCR産物の(30つのシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(61772uおよび61514u)の平均値は61643uである。質量分解能:39。
【図43A】図43Aは、リボ改変プライマーを用いた7−デアザプリン含有100merのPCR産物のMALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(30529uおよび31095u)の平均値は30812uである。
【図43B】図43Bは、加水分解的プライマー分解後のPCR産物のMALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(25104uおよび25229u)の平均値は25167uである。分解されたプライマーの平均値(5437uおよび5918u)は5677uである。
【図44A】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図44B】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図44C】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図44D】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図45】図45は、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された78merテンプレート(配列番号15)の固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。18merプライマー(配列番号16)およびddGTPを配列決定に用いた。
【図46】図46は、一本鎖突出を有する二重DNAプローブが特定のDNAを捕捉し、固体状態シークエンスのためのプライマーとしても機能するスキームを示している。
【図47A】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図47B】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図47C】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図47D】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図48】図48は図35に記載された反応から得られた同じ産物の、従来のDNAシークエンサー上で分析されたスタッキング・フルログラム(stacking flurogram)を示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
全ての生きている生物(例えば動物、植物および微生物)の遺伝的情報はデオキシリボ核酸(DNA)にコードされている。ヒトにおいては、完全ゲノムは、24の染色体上に位置している約100000の遺伝子から構成されている(The Human Genome,T.Strachan,BIOS Scientific Publishers,1992)。それぞれの遺伝子は、その転写および翻訳を介した発現後に、生細胞の内部で特定の生物学的機能を実現する特定のタンパク質をコードしている。DNA配列中の変化は変異として知られ、改変された、または場合によっては生物学的活性を失ったタンパク質をもたらす;これが順に遺伝病を引き起こしうる。変異には、ヌクレオチドの欠失、挿入、変更(すなわち点変異)が含まれる。点変異は、タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらす「ミスセンス」、または停止コドンをコードし、それにより切断されたタンパク質へつながる「ナンセンス」の何れかで有り得る。
【0002】
3000より多くの遺伝病が現在知られており(Human Genome Mutations,D.N.Cooper and M.Krawczak, BIOS Publishers,1993)、それには血友病、地中海貧血、デュシェーヌ筋肉ジストロフィー(DMD)、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病および嚢胞繊維症(CF)が含まれる。変異遺伝子で、遺伝病をもたらすもの加えて、特定の出生欠陥は、トリソミー21(ダウン症候群)、トリソミー13(パタウ症候群)、トリソミー18(エドワード症候群)、モノソミーX(ターナー症候群)および、クラインフェルター症候群(XXY)等のその他の性染色体異数体等の、染色体異常という結果となる。さらに、特定のDNA配列は、個体を、数多くの病気、例えば糖尿病、細動脈硬化、肥満、多様な自己免疫疾患およびガン(結腸直腸、胸部、卵巣、肺)等にかかりやすくすることがあるという、増加している証拠がある。
【0003】
ウイルス、バクテリア、カビおよびその他の感染性生物は、異なった核酸配列であって宿主細胞中に含まれているものとは異なったものを含んでいる。故に、感染性生物はそれらの特異的DNA配列に基づいて検出、同定され得る。
【0004】
約16ヌクレオチドの配列が、ヒトゲノムのサイズに対してすら統計的背景において特異的であるため、比較的短い核酸配列を、通常および欠陥遺伝子を高度生物において検出するため、および感染性微生物(例えば細菌、菌類、原生動物および酵母)およびウイルスを検出するために利用することができる。DNA配列は、同じ種のうちの異なった個体の検出のための指紋としてすら機能し得る(Thompson,J.S.and M.W.Tompson,eds.,Genetics in Medicine,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,PA(1986)。
【0005】
DNA検出のためのいくつかの方法が現在用いられている。例えば、核酸配列は、増幅された核酸断片の移動性を公知の標準試料とゲル電気泳動によって比較することにより、または、同定されるべき配列と相補的なプローブとのハイブリダイゼーションにより、同定され得る。しかしながら、同定は核酸断片が敏感なレポーター機能でラベルされている場合のみに達成される(例えば、放射性(32P、35S)、蛍光または化学発光)。しかし、放射性標識は危険である場合も有り、それらの生産する信号は時間が経つにつれて低下する。非同位体性標識(蛍光等)は感度の欠如および高強度レーザーが用いられた場合の信号の減少が難点である。さらに、標識するにあたって、電気泳動およびそれに続く検出は、労力を要し、時間がかかり、誤差の起こりうる傾向にある工程である。電気泳動はとくに誤差が起こりやすいが、それは核酸の大きさまたは分子量が、ゲルマトリックスにおける移動性と直接的に相関しないからである。配列特異的効果、2次構造およびゲルマトリックスとの相互作用が原因となる人工的構造である。
【0006】
一般に、質量分析は、真空中で分子をイオン化させ、それを揮発により「飛ばす」ことによる、個々の分子の「計重量」手段を提供している。電気的および磁気的場の組合せの影響の下で、イオンはそれらの個々の質量(m)および電荷(z)に応じて曲線をたどる。低分子量を有する分子の範囲では、質量分析は長い間、親分子イオンの質量の決定による有機分子の分析および性質決定のための、決まりきった物理−化学的レパートリーの一部であった。さらに、他の粒子(アルゴン原子等)とこの親分子イオンが衝突するよう手配することにより、分子イオンは断片化され、所謂衝突誘導解離(CID)による2次イオンを形成する。断片化のパターン/経路は、非常に頻繁に、詳細な構造情報を誘導することを可能とする。この分野、特に生物科学において、数多くの質量分析の応用方法が知られており、Method in Enzymology Vol.193:”Mass Spectrometry”(J.A.McCloskey,editor),1990,Academic Press,New Yorkにまとめられており、見ることができる。
【0007】
高度な検出感度、質量測定の正確さ、MS/MS構成と組み合わされたCIDによるより詳細な構造情報の提供、および速さ並びにコンピュータへのオンラインでのデータの転送における質量分析の明白な利点のため、核酸の構造分析のための質量分析の利用に対してかなりの関心が持たれてきている。この分野をまとめている最近の総説には、K.H.Schram,”Mass Spectrometry of Nucleic Acid Components.Biomedical Applicaitons of Mass Spectrometry”34,203−287(1990);およびP.F.Crain,”Mass Spectrometric Techniques in Nucleic Acid Resaerch,”Mass Spectrometry Reviews,9,505−554(1990)が含まれる。
【0008】
しかしながら、核酸は、揮発させることが非常に難しい、非常に極性の高いバイオポリマーである。当然の結果として、質量分析的検出は、低分子量合成オリゴヌクレオチドの親分子イオンの質量決定、およびこれを通じての既知のオリゴヌクレオチド配列の確認、あるいは他には、MS/MS構成において、特にイオン化および揮発のためにFast atmic Bombardment(FAB質量分析)法またはプラズマ放出(PD質量分析)を用いたCIDを介した2次イオン(断片イオン)の生成を通じた既知の配列の確認に限定されていた。例としては、オリゴヌクレオチドの化学合成のための保護二量体ブロックの分析へのFABの応用が、(Koster et al.Biomedical Environmental Mass Spectrometry 14,111−116(1987))に記載されている。
【0009】
さらに2つの最近のイオン化/放出技術とは、電子スプレー/イオンスプレー(ES)およびマトリックス補助レーザー放出/イオン化(MALDI)である。ES質量分析は、Fenn et al.(J.Phys.Chem.88,4451−59(1984)PCT出願No.WO90/14148)によって導入され、現在の用途は最近の総説記事(R.D.Smith et al.,Anal.Chem,62,882−89(1990)およびB.Ardrey,Electrospray Mass Spectrometry,Spectroscopy Europe,4,10−18(1992))においてまとめられている。テトラデカヌクレオチドの分子量(Covey et al.”The Determination of Protein,Oligonucleotide and Peptide molecular Weights by Ionspray Mass Spectrometry”,Rapid Communications in Mass Spectrometry,2,249−256(1988))、および21mer(Method in Enzymology,193,”Mass Spectrometry”(McCloskey,editor),p.425,1990,Academic Press,New York)が出版されている。質量分析器として、クワドラポールが最も頻繁に用いられる。10兆分の1モルの量の試料中の分子量の決定には、分子量の計算のために全て用いることができる複数のイオンピークの存在のために非常に正確である。
【0010】
MALDI質量分析は、これと対照的に、質量分析器として飛行時間(time−of−flight;TOF)構成が用いられた場合に特に魅力的である。MALDI−TOF質量分析は、Hillenkamp et al.(”Matrix Assisted UV−Laser Desorption/Ionization: A New Approach to Mass Spectrometry of Large Biomolecules”,Biological Mass Spectrometry(Burlingame and McCloskey.editors),Elsevier Science Publishers,Amsterdam,pp.49−60,1990)により導入された。この技術に関しては、ほとんどの場合、複数のピークが生成されないため、質量分析は、原理においては、ES質量分析と比較して単純に見える。
【0011】
分子量410000ダルトンまでのDNA分子は放出され揮発されているが(Williams et al.,”Volatilization of High Molecular Weight DNA by Pulsed Laser Ablation of Frozen Aqueous Solutions.”Science,245,1585−87(1989))、この技術はこれまで非常に低い分解能を示してきた(18ヌクレオチドまでのオリゴチミジル酸,Huth−Fehre et al.,Rapid Communications in Mass Spectrometry,6,209−13(1992);DNA fragment up to 500 nucleotides in length K.Tang et al.,Rapid Communications in Mass Spectrometry,8,727−730(1994):および28塩基対の二本鎖DNA(Williams et al.,”Time−of−Flight Mass Spectrometry of Nucleic Acid by Laser Ablation and Ionization from a Aqueous Matrix”,Rapid Communications in Mass Spectrometry,4,348−351(1990)。
【0012】
日本国特許出願第59−131909号には、電気泳動、液体クロマトグラフィーまたは高速ゲル濾過の何れかで分離された核酸断片を検出する装置が記載されている。質量分析検出は、核酸中に、S、Br、IまたはAg、Au、Pt、Os、Hg等の通常はDNA中に存在しない原子を取り込むことにより実現される。
【0013】
[発明の概要]
本発明は、生物学的試料中の特定の核酸配列を検出するための質量分析方法を提供するものである。検出されるべき配列に応じて、方法を利用、例えば、遺伝病または染色体異常;病気または状態になる傾向(例えば肥満、動脈硬化、ガン)または病原性生物(ウイルス、細菌、寄生生物または菌類)による感染の診断(出産前、出産後等);または同定、遺伝または適合性(HLA表現型等)に関する情報を提供することができる。
【0014】
第1の実施例では、検出されるべき核酸配列(即ち標的)を含む核酸分子は、最初に固体支持体に固定化される。固定化は、例えば、標的核酸分子の標的検出サイトとは異なる部分と、予め固体支持体上に固定化されている捕捉核酸分子との間のハイブリダイゼーションに基づいて、なされてもよい。他には、固定化は、標的核酸分子と固体支持体との直接的結合によってなされてもよい。好ましくは、標的核酸分子と支持体との間にはスペーサー(核酸分子等)が存在する。標的検出サイトと相補的な検出核酸分子(オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体等)を、続いて、標的検出サイトと接触させ、そして標的検出サイトの存在を示す二重体の形成を、質量分析によって検出することができる。好ましい実施態様においては、標的検出サイトは検出に先立って増幅されており、核酸配列分子は調整されている。更に好ましい実施態様においては、標的検出配列は複数の同時検出(多重化)並びにオリゴヌクレオチド配置(DNAチップ)を用いた平衡処理が可能であるような形式に配置されている。
【0015】
第2の実施例においては、標的核酸分子の固定化は必須の段階というよりはむしろ選択的段階である。その代わりに、一旦核酸分子が生物学的試料から得られると、その標的配列は増幅され、質量分析で直接検出される。好ましい実施態様においては、標的検出サイトおよび/または検出オリゴヌクレオチドは質量分析検出に先立って調整されている。別の好ましい実施態様においては、増幅された標的検出サイトは、複数の同時検出(多重化)並びにオリゴヌクレオチド配置(DNAチップ)を用いた平衡処理が可能であるような形式に配置されている。
【0016】
第3の実施態様においては、生物学的試料より得られた核酸分子から複製された核酸分子を、1またはそれ以上のヌクレアーゼを用いて(DNAにデオキシリボヌクレアーゼ、またはRNAにリボヌクレアーゼを用いて)特異的に消化することが可能で、対応する相補的な配列を担持している固体支持体上で断片が捕捉される。ハイブリダイゼーション事象および捕捉された標的配列の実際の分子量は、遺伝子中に変異があるか、またどこにあるかについて情報を提供する。このアレイは質量分析を用いて部分ごとに分析することができる。DNAは同様に、制限エンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼカクテルを用いて消化することができる。好ましい実施例においては、核酸断片は質量分析検出に先立って調整されている。
【0017】
第4の実施例においては、対立形質遺伝子(変異または正常)に相補的な3’末端塩基を有する少なくとも1つのプライマーを、その対立形質遺伝子を含む標的核酸分子とハイブリダイズさせる。適当なポリメラーゼ、および、完全ヌクレオシド3リン酸のセットまたは1つだけのヌクレオシド3リン酸を、別々の反応において用いて、異なったプライマー伸長を供給する。プライマーが適切にアニーリングし(即ち、3’ミスマッチが無い)、正確な(即ち相補的な)ヌクレオチドが付加された場合のみ、プライマーは伸長される。その産物は、質量分析により決定されるように、分子量シフトによって分析することができる。
【0018】
第5の実施態様においては、検出されるべき核酸配列(即ち標的)を含む核酸分子が最初に固体支持体に固定化される。固定化は、例えば、標的核酸分子の標的検出サイトとは異なる部分と、予め固体支持体上に固定化されている捕捉核酸分子との間のハイブリダイゼーションに基づいて、なされてもよい。他には、固定化は、標的核酸分子と固体支持体との直接的結合によってなされてもよい。好ましくは、標的核酸分子と支持体との間にはスペーサー(核酸分子等)が存在する。変異サイトの5’に隣接している標的検出サイトの部分に相補的である核酸分子を、続いて標的核酸分子とハイブリダイズさせる。ジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸(pppAdd、pppTdd、pppCdd、およびpppGdd等)の完全セットおよびDNA依存DNAポリメラーゼの添加により、Xに相補的なただ1つのジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸の添加が可能となる。ハイブリダイゼーション産物は続いて質量分析によって検出することができる。
【0019】
第6の実施態様においては、標的核酸は、変異Mを含む領域内部の標的とハイブリダイズする相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせる。この異種二重体を続いて、ハイブリダイズしていない部分で特異的に分解可能な試薬(例えば、一本鎖特異的エンドヌクレアーゼ)と接触させ、変異の存在を示すミスマッチが、標的核酸の分解という結果となるようにする。2つの分解産物は質量分析により検出することができる。
【0020】
第7の実施態様においては、リガーゼ連鎖反応(LCR)に基づき、標的核酸はライゲーション反応物のセットおよび熱安定性DNAリガーゼを用いてハイブリダイズされ、リガーゼ反応物が互いに共有結合的に結合され、ライゲーション産物を形成するようにする。ライゲーション産物は、続いて質量分析により検出し、公知の数値と比較することができる。反応がサイクル方式で実行された場合は、得られたライゲーション産物は、少量の標的核酸の検出をよりよく実行するために増幅されることが可能である。ライゲーション点での野生型と変異プライマーとの間の選択は、点変異の検出という結果となる。
【0021】
本発明の方法は、質量分析による核酸検出の増加された精度と信頼性を提供する。加えて本方法は、偽陰性および偽陽性結果を防止するための厳重な制御を可能とする。本方法は電気泳動段階;標識化およびそれに続く標識の検出を回避している。事実、全体の手順は、核酸の単離、増幅、質量分析解析を含めて、わずか2−3時間の時間のみを必要とする。故に、ここに開示された方法は、現存しているDNA検出システムよりも、実行がより迅速でより安価である。更に、本開示の方法は、核酸断片を、それらの特異的な分子量(曖昧ではない物理的基準)によって同時に検出、同定することを可能としているので、開示された方法は現在利用しうる方法よりも、はるかに正確で信頼できるものである。
【0022】
[発明の詳しい説明]
一般に、本発明は、生物学的試料中の特定の核酸配列を検出するための質量分析方法を提供するものである。ここで用いられているように、用語「生物学的試料」とは、生きている給源から得られた何れの物質をも指す(ヒト、動物、植物、細菌、菌類、原生動物、ウイルス等)。本発明においての利用のために、生物学的試料は核酸を含んでいなければならない。本発明において用いるために適当な生物学的試料の例には、固体物質(組織、細胞、沈殿、生検等)および生物学的液体(尿、血液、唾液、羊水、口洗浄液等)が含まれる。
【0023】
核酸分子は特定の生物学的試料から、当業者によく知られている数多くの手順を用いて、単離することが可能であり、特定の生物学的試料に好適な特定の単離手順が選択される。例えば、凍結融解およびアルカリ溶解手順は、固体から核酸分子を得るために有用である;加熱およびアルカリ溶解手順は尿から核酸分子を得るために有用である;そして、プロテイナーゼK抽出は血液から核酸を得るために用いられる(Rolff,A et al.PCR:ClinicalDiagnostics and Research,Springer(1994))。
【0024】
質量分析を行うための適当な量の核酸分子を得るためには、増幅が必要であることもある。本発明において使用するための適切な増幅の手順には:クローニング(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(C.R.Newton and A.Graham,PCR,BIOS Publishers,1994)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wiedmamn,M.,et al.,(1994)PCR Method Appl.Vol.3,Pp.57−64;F.Barany Proc.Natl.Acad.Sci USA 88,189−93(1991),鎖変換増幅(strand displacement amplification;SDA)(G.Terrance Walker et al.,Nucleic Acid Res.22,2670−77(1994))およびRT−PCR等の変化型(Higuchi,et al.,Bio/Technology 11:1026−1030(1993)),対立形質特異的増幅(allele−specific amplification;ASA)および転写ベースの手順が含まれる。
【0025】
質量分析解析を実行するために、検出されるべき核酸配列を含んでいる核酸分子は固体支持体に固定化されていてもよい。適切な固体支持体の例には、ビーズ(例えばシリカゲル、制御孔ガラス、磁気、セファデックス/セファロース、セルロース)平面表面またはチップ(例えばグラスファイバーフィルター、ガラス表面、金属表面(鉄、金、銀、アルミニウム、銅およびシリコン)、キャピラリー、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニリデンジフルオライド膜またはマイクロタイタープレート));または、ビーズまたは平面表面を含む同様の原料から製造されたピンまたはコーム、または例えばウエハー(シリコンウエハー等)等の平面表面上の孔におかれたビーズが含まれる。
【0026】
固定化は、例えば、既に支持体に固定されている捕捉核酸配列と、検出されるべき核酸配列を含む核酸分子の内部にも含まれている相補的核酸配列との間のハイブリダイゼーションに基づいて成されてもよい(図1A)。相補的核酸分子の間のハイブリダイゼーションが支持体によって妨害されないように、捕捉核酸は、固体支持体と捕捉核酸配列との間に、長さで少なくとも約5ヌクレオチドのスペーサー領域を含んでもよい。形成された二重体はレーザーパルスの影響下で分解され、放出が開始され得る。固体支持体結合塩基配列は、天然オリゴリボ−またはオリゴデオキシリボヌクレオチド並びにアナログ(チオ改変ホスホジエステルまたはホスホトリエステル骨格等)を通して、または、塩基配列を酵素的分解に対して感受性ではないようにし、それにより固体支持体上の捕捉塩基配列の全体の安定性を増加させるところのPNAアナログ等のオリゴヌクレオチド類似体を用いて(Nielsen et al.,Science,254,1497(1997)を参照)提示されてもよい。
【0027】
その他には、標的検出サイトは、標的核酸分子(T)上の適当な官能基(L’)と、捕捉分子上の適当な官能基(L)との間の可逆的または不可逆的結合を介して、固体支持体に直接結合されていてもよい。可逆的結合とは、質量分析の条件下で分解されるようなものであってもよい(即ち、荷電移送複合体または比較的安定な有機ラジカルの間で形成されている不安定な結合等の光分解性結合)。更には、結合は、4級アンモニア基であるL’とともに形成されてもよく、この場合には、好ましくは、固体支持体は陰性に荷電した核酸骨格を寄せ付けない陰性電荷を担持しており、それにより質量分析による解析のために要求される放出を実現している。放出は、レーザーパルスにより生成される加熱によって、および/またはL’に応じた、L’発色団と共鳴しているレーザーエネルギーの特異的吸収によって、の何れかで生じ得る。
【0028】
例として、L−L’化学作用は、ジスルフィド結合型(例えばメルカプトエタノールまたはジチオエリスロールにより化学分解可能)、ビオチン/ストレプトアビジンシステム、トリチルエーテル基のヘテロ二重機能性(heterobifunctional)派生体(Koster et al.,”A Versatile Acid−Labile Linker for Modification of Synthetic Biomolecules”Tetrahedron Letters 31.7095(1990))で弱酸性条件下および質量分析条件下で分解され得るもの、ヒドラジニウム/酢酸バッファーおよび中性条件下で分解されうるレブリニル基、トリプシン等のエンドペプチダーゼ酵素によって分解されるアルギニン−アルギニンまたはリジン−リジン結合、ピロホスファターゼにより分解されるピロリン酸結合、または、例えばリボヌクレアーゼまたはアルカリ等で分解され得るオリゴデオキシリボヌクレオチド配列の間にあるリボヌクレオチド結合の型であってもよい。
【0029】
官能基LおよびL’はまた、荷電移動複合体を形成し、それにより一時的L−L’結合を形成していてもよい。多くの場合に「荷電移動バンド」はUV/可視分光で決定できるので(例えばOrganic Charge Traansfer Complexs by R.Foster,Academic Press,1969等を参照されたい)、レーザーエネルギーは電荷移動波長に相当するエネルギーに転換され、そして、固体支持体からの特異的放出が開始される。当業者はいくつかの組み合わせがこの目的のために働き、ドナー官能基は固体支持体上に存在するかまたは検出されるべき核酸分子に結合されているかの何れか、またはその逆であってもよいことを認識するであろう。
【0030】
さらに別のアプローチにおいては、可逆的L−L’結合が、比較的安定なラジカルのホモリシス的形成によって発生されてもよい。レーザーパルスの影響の下、放出(前述のとおり)並びにイオン化はラジカル位置で起こるであろう。当業者は、他の有機ラジカルが選択され得ること、およびそれらの間の結合のホモリシス的分解に必要である解離エネルギーに関して、対応するレーザー波長が選択され得ること(例えばReactive Molecules by C.Wentrup,John Wiley & Sons,1984を参照されたい)を認識するであろう。
【0031】
官能基L’の固定装置は、適当なプライマーを用いて、PCR(図4)LCR(図5)または転写増幅(図6A)等の増幅手順の間に、標的捕捉配列(TCS)中に取り込むことが可能である。
【0032】
質量分析解析に先立って、核酸分子を、例えば揮発のために要求されるレーザーエネルギーを減少させるためおよび/または断片化を最少にするために、「調整」することは有用であり得る。調整は好ましくは、標的検出サイトが固定化されている間に実行される。調整の例には核酸分子のホスホジエステル骨格の修飾(陽イオン交換)であって、ヌクレオチド単位毎に結合している陽イオンの非相同性によるピークの広がりを排除するために有用であるものが挙げられる。核酸分子を、沃化アルキル、沃化アセトアミド、β沃化エタノールまたは2,3エポキシ−1−プロパノール等のアルキル化剤と接触させると、核酸分子中のモノチオホスホジエステル結合がホスホチオエステル結合に転換される。同様に、ホスホジエステル結合は塩化トリアルキルシリルを用いて、非荷電派生体に変換できる。さらにこの調整は、脱プリン化(MSの間の断片化)への感受性を減少させる、例えばN7またはN9デアザプリンヌクレオチド等のヌクレオチド、またはRNA構成単位(building block)またはオリゴヌクレオチドトリエステルの取り込み、またはアルキル化されたホスホチオエート原子団の取り込み、またはPNA等のオリゴヌクレオチド類似体の採用に関与する。
【0033】
特定の応用のためには、特定の捕捉された核酸断片(配置の1つのスポット)上の1より多くの(変異)座を同時に検出することは有用であり得、また、多様な固体支持体上のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体配置を利用して平行処理を実行することが有用で有り得る。「多重化」はいくつかの方法論により成すことが可能である。例えば、幾つかの変異を同時に、1つの標的配列上で、対応する検出(プローブ)分子(オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体等)を用いることにより同時に検出することが可能である。しかしながら、検出オリゴヌクレオチドD1、D2およびD3の間の分子量の差は、同時検出(多重化)が可能であるように大きくなければならない。このことは配列それ自体(組成または長さ)、または検出オリゴヌクレオチドに質量改変官能基M1−M3を導入すること、の何れかにより達成される(図2)
【0034】
質量改変部分は、例えば、オリゴヌクレオチドの5’末端部分(M1)、核塩基(または塩基)(M2、M7)、リン酸骨格(M3)およびヌクレオシドの2’位置(ヌクレオシド)(M4、M6)および末端3’位置の何れかに取り付けることが可能である。質量改変部分の例には、例えば、ハロゲン、アジド、またはXR型で、ここにおいてXは結合原子団であってRが質量改変官能基であるものが含まれる。質量改変官能基はこのように、オリゴヌクレオチド分子中に質量増加を導入するために用いることが可能である。
【0035】
ここにおいて、質量改変部分Mは、核塩基M2(c7−デアザヌクレオシドの場合はまたC−7、M7へ)、アルファリン酸の3リン酸基M3、またはヌクレオシド3リン酸の糖の環の2’位置、M4またはM6の何れかへ取り付けることが可能である。更には、質量改変官能基は連鎖終了に影響するように、例えばヌクレオシド3リン酸の糖の環の3’位置M5に取り付ける等のように取り付けられてもよい。当業者には、本発明の目的のための数多くの組合せが、同じように好適に機能することは明白である。同じように、当業者は鎖伸長ヌクレオシド3リン酸もまた、数多くの変化型および官能基および取付位置の組合せで、同じようなやり方で質量改変され得ることは明白である。
【0036】
本発明の範囲を限定することなく、質量改変Mは、XRのXとして並びにオリゴ/ポリエチレングリコール派生体をRとして導入することが可能である。この場合の質量改変の増加は44、即ち5つの異なった質量改変種を、mを単に0から4まで変化させ、このように45(m=0)、89(m=1)、133(m=2)、177(m=3)および221(m=4)の質量単位を核酸分子(検出オリゴヌクレオチド(D)、またはヌクレオシド3リン酸(各々図6(C)))に付加することにより生成することができる。オリゴ/ポリエチレングリコールはまた、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチルおよびそのようなもの等の低級アルキルによりモノアルキル化することも可能である。結合官能基Xの選択は、既に記述した。質量改変化合物において用いられることができる他の化学物質は、例えば、細菌Oligonucleotides and Analogues.A Practical Approach.F.Eckstein,editor,IRL Press.Oxford,1991に記載されているものである。
【0037】
さらに他の実施態様においては、多様な質量改変官能基、R、オリゴ/ポリエチレングリコール以外のものを選択し、適切な化学物質Xを介して取り付けることが可能である。単純な質量改変はHを、F,Cl,Brおよび/またはI等のハロゲン、またはSCN、NCS等の偽ハロゲン、または異なったアルキル、アリール、、またはアラルキル部分、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、フェニル、置換フェニル、ベンジル等、または官能基CH2F、CHF2、CF3、Si(CH3)3、Si(CH3)2(C2H5)
、Si(CH3)(C2H5)2、Si(C2H5)3等で置換することにより実行することができる。更に別の質量改変は、ホモまたはヘテロペプチドを、核酸分子(例えば検出(D))またはヌクレオシド3リン酸を通して取り付けることにより得られる。質量増加57で質量改変された種を得るために有用な1つの例は、オリゴグリシンの取り付け、例えば、74(r=1)、131(r=1、m=2)、188(r=1、m=3)、245(r=1、m=4)の質量改変が成される。単純オリゴアミドもまた用いることが可能で、74(r=1)、88(r=2、m=0)、102(r=3、m=0)、116(r=4、m=0)等が得られる。当業者には、上で言及されたものに加えて数多くの可能性が存在することは明白である。
【0038】
ここで用いられるように、上の0−iは、i+1の質量改変ヌクレオチド、プライマーまたはタグを意味する。いくつかの例では、上の0は特定の反応物の修飾されてない種を意味し、上のiは、i番目の反応物の質量改変種を意味する。もし、例えば、1より多くの核酸種が共存して検出された場合は、i+1の異なった質量改変検出オリゴヌクレオチド(D0、D1・・・Di)を、質量分析によって、質量改変検出ヌクレオチド(D)を他のものから区別するために用いることができる。
【0039】
異なった質量改変検出オリゴヌクレオチドは、同時に、全ての同時に起こりうる派生体/変異体を検出するために用いることができる(図6B)。別の態様としては、変異サイトでの、4つの塩基全ての置換を、検出オリゴヌクレオチドを、DNA/RNAポリメラーゼのプライマーとして機能するように設計し、位置させることにより検出することができる(図6C)。例えば、質量改変は増幅工程において取り込まれることもまた可能である。
【0040】
図3は、異なった多重検出フォーマットであって、認識が、位置特異的に平面表面上に固定化された異なった特異的捕捉配列(「チップ配置」等)を用いることにより実現されている。異なった標的配列T1−Tnが存在した場合、それらの標的捕捉サイトTCS1−TCSnは、相補的な固定化された捕捉配列C1−Cnと特異的に相互作用する。検出は、適切な、それらの配列または質量改変官能基M1−Mnによって質量を区別した、質量区別検出オリゴヌクレオチドD1−Dnを用いて実行できる。
【0041】
本発明において用いるための好ましい質量分析フォーマットは、マトリックス補助レーザー放出イオン化(MALDI)、電子スプレー、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)およびフーリエ変換である。ESについては、試料は水中または揮発性バッファー中に溶解され、連続的または断続的に、大気圧イオン化インターフェース(API)に注入され、四極で質量分析される。ES質量分析を用いて得られる複数のイオンピークの発生は、質量決定の正確さを向上させる。特異的構造に関するより詳細な情報さえ、MS/MS四極構成を用いることにより得られる。
【0042】
MALDI質量分析において、多様な質量分析器を用いることができ、例えば、単一または三重四極モード(MS/MS)での磁性セクタ/磁性偏光装置、フーリエ変換および飛行時間(TOF)構成が質量分析計の分野で知られている。放出/イオン化工程のために、数多くのマトリックス/レーザーの組合せを用いることができる。イオントラップおよびリフレクトロン構成もまた用いることが可能である。
【0043】
上記の質量分析方法は、例えば、3000より多くの現在知られ、または同定されている遺伝病の何れも診断にも利用可能である(例えば血友病、地中海貧血、デュシェーヌ筋肉ジストロフィー(DMD)、ハンチントン病(HD)
、アルツハイマー病および嚢胞繊維症(CF))。
【0044】
以下の実施例3は、嚢胞繊維症膜間通過制御遺伝子(CFTR)の変異(ΔF508)であって、野生型のCFTRとわずか3塩基対(900ダルトン)違うものを検出するための質量分析方法が提供されている。実施例3に更に記載されているように、検出は、3’末端塩基が正常または変異対立形質と相補的であるプライマーのペアを用いる、単一チューブ、競合的オリゴヌクレオチド1塩基伸長(COSBE)反応に基づいている。ハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼおよび1塩基下流のヌクレオシド3リン酸の添加において、適切にアニーリングした(即ち、3’末端にミスマッチが無い)プライマーのみが伸長される;その産物は、マトリックス補助レーザー放出イオン化飛行時間質量分析により決定される分子量シフトにより解析される。嚢胞繊維症ΔF508多型性のために、28mer「正常」(N)および30mer「変異」(M)プライマーが、29および31merの、それぞれNおよびMの同型接合を生成させ、両方は異型接合である。プライマーおよび産物の分子量が比較的小さく(<10kDa)、これらの質量差が少なくとも、30Daまでの1本鎖ヌクレオチド単位でなければならないので、これらの測定のためには低分解能の装置が好適である。
【0045】
変異遺伝子で遺伝病という結果となるものに加えて、特定の出生欠陥、トリソミー21(ダウン症候群)、トリソミー13(パタウ症候群)、トリソミー18(エドワード症候群)、モノソミーX(ターナー症候群)および、クラインフェルター症候群(XXY)等のその他の性染色体異数体等は、染色体異常という結果となる。
【0046】
さらに、特定のDNA配列は、個体を、数多くの病気、例えば糖尿病、細動脈硬化、肥満、多様な自己免疫疾患およびガン(結腸直腸、胸部、卵巣、肺)等または染色体異常(出産前または出産後)にかかりやすくすることがある;または病気もしくは状態(肥満、動脈硬化、ガン)になる傾向にあるという、増加している証拠がある。さらにまた、「DNAフィンガープリント」、例えば「ミクロサテライト配列」等の多型性等は、同定および遺伝(父性または母性等)の決定に有用である。
【0047】
以下の実施例4は、E2、E3、E4対立形質にコードされている、ヒトアポリポタンパク質Eの3つの異なったイソ型の同定のための質量分析方法を提供する。ここでは、DNA断片の適当な制限エンドヌクレアーゼでの制限の後に得られるDNA断片の分子量は変異の存在を検出するために用いることができる。
【0048】
生物学的試料に応じて、遺伝病、染色体異数体および遺伝的傾向の診断が、出産前、出産後の何れかに実行できる。
【0049】
ウイルス、細菌、菌類その他の感染性生物は、独自の核酸配列であって、宿主細胞に含まれる配列とは異なっているものを有する。感染性生物に特異的な核酸配列の検出または定量は、感染の診断またはモニターにとって重要である。ヒトおよび動物に感染し、開示された方法で検出可能な病原性ウイルスには、レトロウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV−1(HTLV−III,LAVまたはHTLV−III/LAVとも称される、Ratner,L.et al.,Nature,Vol.313,Pp.227−284(1985);Wain Hobson,S.et al.,Cell,Vol.40:Pp.9−17(1985)を参照されたい);HIV−2(Guyader et al.,Nature,Vol.328,Pp.662−669(1987);ヨーロッパ特許公報第0269520号;Chakraborti et al.,Nature,Vol.328,Pp.543−547(1987);およびヨーロッパ特許出願第0655501号:および他の単離体、HIV−LP(国際特許出願第WO94/00562、「新規ヒト免疫不全ウイルス」とタイトル;ピコルナウイルス(例えばポリオウイルス、肝炎A型ウイルス(Gust,I.D.,et al.,Intervirology,Vol.20,Pp.1−7(1983);エンテロウイルス、ヒトコックサッキーウイルス、ライノウイルス、エコウイルス);カルシウイルス(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス(例えばウマ脳炎ウイルス、ルビウイルス);フラビウイルス(デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス;コロナウイルス(コロナウイルス等);ラブドウイルス(水抱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス(エボラウイルス);パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス、オタフクカゼウイルス、麻疹ウイルス、ニューモウイルス);オルトミクソウイルス(インフルエンザウイルス等);ブンガウイルス(ハンターンウイルス、ブンガウイルス、フィレボウイルスおよびナイロウイルス等);アレナウイルス(出血熱ウイルス);レオウイルス(レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス等);ビルナウイルス;ヘパドナウイルス(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス(パルボウイルス);パポーバウイルス(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス)(HSV)1および2、水痘−疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス(疱瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス(アフリカブタ熱ウイルス);および未分類ウイルス(スポンジ型脳障害の病因、デルタ肝炎剤(B型肝炎ウイルス欠損サテライトと考えられている)、非A非B肝炎(クラス1=内部転移、クラス2=非経口転移(即ちC型肝炎);ノーウォークおよび関連ウイルス、およびアストロウイルス)が含まれる。
【0050】
感染性細菌の例には:ヘリコバクター ピロリス(Helicobacter pyloris)、ボレリア バーゴドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ プヌモフィリア(Legionella pneumophilia)、ミコバクテリア(Mycobacteria) sps(M.チュバーキュロシス(tuberculosis)、M.アビウム(avium)、M.イントラセルラエ(intracelluare)、M.カンサイイ(kansaii)、M.ゴードナアエ(gordonae)、スタフィロコッカス アウレウス、ネイッセリア ゴノロエアエ(Neisseria gonorrhoeae)、ネイッセリア メニンギチディス(meningitidis)、リステリア モノサイトジーンス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス ピオジーンス(pyogenes)(グループAストレプトコッカス)、ストレプトコッカス アガラクティアエ(agalactiae)(グループBストレプトコッカス)、ストレプトコッカス(ビリダン(viridans)グループ)、ストレプトコッカス ファエカリス(faecalis)、ストレプトコッカス ボビス(bovis)、ストレプトコッカス (嫌気性種)、ストレプトコッカス フモニアエ(pneumoniae)、病原性カンプリオバクター(Campylobacter)sp.、エンテロコッカス sp.ハエモフィラス インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、バシルス アントラシス(antracis)、コルネバクテリウム ディフセリアエ(diphtheriae)、コルネバクテリウム sp.、エリシペロスリックス ルシオパシアエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム パーフリンガース(perfringers)、クロストリジウム テタニ(tetani)、エンテロバクター アエロジーンス、クレブシエラ プモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ マルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイド(Bacteroido) sp.、フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシルス モニリフォルミス(streptobacillus moniliformis)、トレポネマ パリジウム(Treponema pallidium)、トレポネマ パルテヌエ(pertenue)、レプトスピラ(Leptospira)、およびアクチノマイセス イスラエリ(Actinomyces israelli)が含まれる。
【0051】
感染性菌類には:クリプトコッカス ネオフォルマンス、ヒストプラズマ カプスラタム、コシジオイド イミティス、ブラストマイセス デルマティティディス(dermatitidis)、クラミジア トラコマティス(trachomatis)、カンディダ アラビカンスが含まれる。その他の感染性生物(原生動物)には:プラズモジウム ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、およびトクソプラズマ ゴンジ(Toxoplasma gondii)が含まれる。
【0052】
以下の実施例5は、ネスティド(nested)PCRおよび質量分析ベースの、B型肝炎ウイルス(HBV)DNAを血液試料中において検出するために用いられる方法を提供する。同様に、ブラッド−ボーン(blood−borne)ウイルス(例えばHIV−1、HIV−2、C型肝炎ウイルス(HCV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびその他の肝炎ウイルス(例えば非A非B肝炎、肝炎G、肝炎E)、サイトメガロウイルス、および単純ヘルペスウイルス(HSV)が、それぞれ単独で、またはここに記載された方法に基づいた組合せで検出可能である。
【0053】
約16ヌクレオチドの配列が統計的背景においては特異的であるので(ヒトゲノムほどの大きさのゲノムであっても)、比較的短い核酸配列を、高度な生物において正常および欠損遺伝子を検出するために、および感染性微生物(細菌、菌類、原生動物および菌類)およびウイルスの検出のために用いることができる。DNA配列は異なった個体を同じ種の内部で検出するためのフィンガープリントとしてさえも機能しうる。(Thompson,J.S.and M.W.Thompson,eds.,Genetics in Medicine,W.B.Saunders Co.Philadelphia,PA(1986).
【0054】
標的(T)核酸配列中の野生型(Dwt)および/または変異(Dmut)配列の検出のための1つの方法が図1Cにおいて示されている。特異的捕捉配列(C)を固体支持体(ss)にスペーサー(S)を介して取り付ける。付加的には、捕捉配列は標的配列(T)上の相補的配列、ハイブリダイゼーションを通した検出標的捕捉サイト(TCS)と特異的に相互作用するよう選択される。しかしながら、標的検出サイト(TDS)が、質量を増加または減少させる変異Xを含む場合は、変異TDSは野生型から質量分析により区別することが可能である。例えば、アデニン塩基の挿入の場合は、DwtとDmutとの分子量の差は約314ダルトンになるであろう。
【0055】
好ましくは、検出核酸(D)は、変異が分子の中にあり、野生型検出オリゴヌクレオチド(Dwt)が対照として変異標的検出配列に接触された場合安定なハイブリッドが形成されないために十分に隣接領域が短くあるように設計されている。変異はまた、変異位置にマッチした塩基を有する変異検出オリゴヌクレオチド(Dmut)をハイブリダイゼーションに用いた場合にもまた検出可能である。生物学的試料から得られた核酸が特定の配列に関して異型(即ちDwtおよびDmutの両方を含有)であった場合、DwtおよびDmutの両方は適当な鎖に結合し、質量の差はDwtおよびDmutが同時に検出されることを可能とするであろう。
【0056】
本発明の方法は、公知の標的配列および公知の変異サイトの情報を利用する。
しかしながら、新規な変異もまた検出され得る。例えば、図8に示されているように、生物学的試料から得られた核酸配列の転写は1またはそれより多くのヌクレアーゼを用いて特異的に消化されることが可能であり、対応する相補的な核酸配列を担持する固体支持体上に断片が捕捉されることが可能である。ハイブリダイゼーションの検出および捕捉された標的配列の分子量は、遺伝子中のどこに変異があるか無いかに関する情報を提供する。他には、DNAは1またはより多くの特定のエンドヌクレアーゼで、断片の混合物を形成するために分解されることも可能である。野生型と変異断片混合物との間の分子量の比較により変異の検出という結果となる。
【0057】
本発明はさらに、何れの点でも限定としては構築されていない、以下の実施例によって説明される。引用された文献の内容は(参考文献、査定された特許、出版された特許出願を含む(国際特許出願番号第94/16101号、DNA Sequencing by Mass Spectrometryと題されているK.Koesterによるもの;国際特許出願番号第94/21822号、DNA Sequencing by Mass Spectrometry Via Exonuclease Degradationと題されているK.Koesterによるものを含む)および共に係属している特許出願(米国特許出願番号第08/406119号、Diagnostics Based on Mass Spectrometry Via Exonuclease Degradationと題されているK.Koesterによるものを含む)を、この出願の全体を通して引用されているように、ここにおいて参考文献として明白に取り込まれている。
【実施例】
【0058】
実施例1 固体支持体上に直接あるオリゴヌクレオチドのMALDI−TOF放出
1gCPG(制御孔ガラス)を3−(トリエトキシシリル)−エポキシプロパンで機能化し、ポリマー表面上にOH基を形成させた。13mgのOH−CPGとの標準オリゴヌクレオチド合成を、DNA合成器(Milligen.モデル7500)で、ベータシアノエチルーホスホアミジト(Koster et al.,Nucleic Acid Res.,12,4539(1994))およびTAC N−保護基(Koster et al.,Tetrahedron,362(1981))を用いて行い、50のヌクレオチドが「仮説上の」50mer配列と相補的な3’−T5−50merオリゴヌクレオチド配列を合成した。T5はスペーサーとして働く。メタノール中の飽和アンモニアでの室温、2時間の脱保護により、DMT基の決定に従って、約10μmol 55mer/g CPGを含むCPGを供給した。この55merは26mer(5’DMT基とともに)との、および40mer(DMT基を含まず)とのハイブリダイゼーションのテンプレートとして働く。反応容量は100μlで約1nmolのCPG結合55merをテンプレートとして、および等量のオリゴヌクレオチドを20mM トリス−HCl、pH7.5、10mM MgCl2および25mM NaClの溶液中(26merまたは40mer)に含んでいる。この混合物は65℃で10分間加熱し、37℃で30分間冷却した(アニーリング)。ポリマー結合テンプレートにハイブリダイズしなかったオリゴヌクレオチドは、遠心および3つの連続した、それぞれ100μlの氷冷50mMクエン酸アンモニウムでの洗浄/遠心段階で除去した。ビーズを風乾させ、マトリックス溶液(3−ヒドロキシピコリン酸/10mMクエン酸アンモニウム、アセトニトリル/水、1:1中)と混合し、MALDI−TOF質量分析によって解析した。結果は図10および11に示されている。
【0059】
実施例2 電子スプレー(ES)放出および18merおよび19merの区別
2−プロパノール/10mM炭酸アンモニウム(1/9、v/v)中の濃度50pmole/μlのDNA断片を同時に電子スプレー質量分析計によって分析した。
【0060】
電子スプレー質量分析による成功した放出および18merおよび19merの区別は、図12に示されている。
【0061】
実施例3 嚢胞繊維症変異ΔF508の1段階ジデオキシ伸長およびMALDI−TOF質量分析による検出
材料と方法
PCR増幅および鎖固定化 増幅を、エクソン10特異的プライマーで、標準PCR条件を用いて(30サイクル;1分間@95℃、1分間@55℃、2分間@72℃)行った;逆プライマーはビオチンで5’標識を標識され、カラム精製された(Olicopurification Cartridge,Cruachem)。増幅後、PCR産物はカラム分離によって精製され(Qiagen Quickspin)、ストレプトアビジンコート磁性ビーズ(Dynabeads、Dynal、Norway)上で、それらの標準プロトコルに従って固定化された;DNAは0.1M NaOHを用いて変性させ、非ビオチニル化センス鎖を除去するために0.1M NaOH、1xB+WバッファーおよびTEバッファーで洗浄した。
【0062】
COSBE条件 ライゲーションされたアンチセンス鎖を含むビーズを続いて、18μlの反応混合物1(2μl 10xTaqバッファー、1μl(1ユニット)Taqポリメラーゼ、2μlの2mMdGTPおよび13μlのH2O)に再懸濁させ、80℃で5分間、反応混合物2(おのおの100ngのCOSBEプライマー)の添加の前に保温した。温度を60℃まで下げ、混合物を5分間のアニーリング/伸長期間、保温した;ビーズは続いて、25mMトリエチルアンモニウム酢酸(TEAA)で、続いて50mMクエン酸アンモニウム中で洗浄した。
【0063】
プライマー配列 全てのプライマーは Perseptive Biosystems ExDedite 8900 DNAシンセサイザーで、従来のホスホアミジト化学(Sinha et al.,(1984)Nucleic Acid Res.12:4539を用いて合成した。COSBEプライマー(共に3’末端の前に、1つの塩基の意図的なミスマッチを含んでいる)は、以前のARMSの研究(Ferrie et al.,(1992)Am J Hum Genet 51:251−262)に用いられたものだか、正常型の5’末端から2つの塩基が除去されたところは例外である。
【表1】
【0064】
質量分析 洗浄の後、ビーズを1μl 18Mohm/cm H2Oに再懸濁した。300nlの各々のマトリックス(Wu et al.,1993)溶液(0.7M 3−ヒドロキシピコリン酸、0.7M二塩基クエン酸アンモニウム、1:1H2O:CH3CN中)および再懸濁ビーズ(Tang et al.(1995)Rapid Commun Mass Spectrom 8:727−730)を試料標的と混合させ、風乾させた。20までの試料をプローブ標的ディスク上に、リフレクトロンモード5、および、標的および変換ダイノードにそれぞれ20kVで操作されている非修飾Thermo Bioanalysis(ふぉrmerly Finnigan)Visions 2000 MALDI−TOFの供給領域への導入のためにスポットした。理論上の平均分子量(Mr(calc))は原子組成から計算した。販売者が提供したソフトウェアを、外部測定を用いてピーク中心軌跡を決定するために用いた;1.08Daをこれらから引き、電荷を担持しているプロトンを補正し、試験Mr(exp)値を得た。
【0065】
スキーム 結合テンプレートへのアニーリングにおいて、NおよびMプライマー(それぞれ8508.6および9148.0Da)をdGTPとともに供する;可変(V)位置で適切なワトソン−クリック塩基対を形成するプライマーのみがポリメラーゼにより伸長される。このように、VがNの3’末端塩基とペアになる場合、Nは8837.9Daの産物(N+1)へと伸長される。同様に、Vが適切にMとマッチした場合、Mは9477.3DaのM+1産物へと伸長される。
【0066】
結果 図14−18は、COSBE反応産物の代表的なマススペクトルを示している。PCR産物がビオチニル化されたアンチセンス鎖が結合される前に生成されていた場合により良い結果が得られた。
【0067】
実施例4 質量分析によるヒトアポリポタンパク質Eイソ型の区別
アポリポタンパク質E(アポE)は、リポタンパク質のタンパク質成分であるが、脂質代謝で不可欠な役割を果たしている。例えば、それはコレステロール移送、リポタンパク質粒子の代謝、免疫制御および数多くの脂質分解酵素の活性化にに関与している。
【0068】
ヒトアポEの通常のイソ型(E2、E3、およびE4対立形質)がある。最も普通のものはE3である。E2対立形質は細胞質中のコレステロールを減少させることが知られており、それ故にアテローム性動脈硬化の発展に対して防御的効果を有している可能性が有る。故に、特定の個体のアポE対立形質の同定は、心血管病の発展のリスクの重要な決定因子である。
【0069】
図19に示されるとおり、アポリポタンパク質EをコードしているDNAは患者から得て、増幅(PCRを介して等)することが可能であり;PCR産物は適当な酵素(CfoI等)を用いて消化することが可能である。得られた制限消化は続いて多様な手段により分析化膿である。図20に示されるように、3つのアポリポタンパク質E(E2、E3、およびE4は異なった核酸配列を有し、それ故にまた区別しうる分子量値を有している。
【0070】
図21A−Cに示されているように、異なったアポリポタンパク質E遺伝子型は、3.5%MetPhorアガロースゲルまたは12%ポリアクリルアミドゲル中において異なった制限パターンを有する。図22および23に示されているように、多様なアポリポタンパク質E遺伝子型はまた、正確かつ迅速に質量分析によって決定することが可能である。
【0071】
実施例5 血清試料中のB型肝炎ウイルスの検出
材料と方法
試料の調製
ウイルスDNAのフェノール/クロロホルム抽出および最終エタノール沈殿を標準的なプロトコルに従って行った。
第1のPCR:
それぞれの反応は5μlの血清からのDNA調製物で行った。15pmolの各々のプライマーおよび2ユニットTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer,Weiterstadt,Germany)を用いた。各々のdNTPの終濃度は200μM、反応の最終容量は50μlであった。10xPCRバッファー(Perkin Elmer,Weiterstadt,Germany)は、100mMトリス−HCl、pH8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01%ゼラチン(w/v)を含んでいた。
【表2】
【0072】
ネスティド(Nested)PCR:
各々の反応を、1μlの第1の反応物または第1のPCRの1:10の希釈物それぞれをテンプレートとして用いて行った。100pmolの各々のプライマー、2.5u Pfu(エキソ)DNAポリメラーゼ(Stratagene,Heidelberg,Germany)、終濃度200μMの各々のdNTPおよび5μlの10x Pfuバッファー(200mMトリス−HCl、pH8.75、100mM KCl、100mM (NH4)2SO4、20mMMgSO4、1%トリトンX−100、1mg/ml BSA(Stratagene,Heidelberg,Germany)を、最終容量50μlで用いた。反応は以下のプログラムで実行した:92℃1分、60℃1分および72℃1分を20サイクル。オリゴヌクレオチドの配列(NWG−Biotech、Ebersberg,GermanyでHPLC精製されたものを購入):
【表3】
【0073】
PCR産物の精製:
各々のスペクトルを記録するために、1つのPCR 50μl(上記のとおりに実行)を用いた。精製は以下の手順で行った:限外濾過をUltrafree−MC濾過ユニット(Millipore,Eschborn、Germany)を用いて、提供者のプロトコルに従って、8000rpm、20分間の遠心分離とともに行った。25μl(10μg/μl)ストレプトアビジンDynabeads(Dynal、Hamburg、Germany)を、製造者の指示通りに調製し、25μlのB/Wバッファー(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)中に再懸濁した。この懸濁液を、まだ濾過ユニット中にあるPCR試料に添加し、混合物を15分間、室温で穏やかに振とうさせた。懸濁液を1.5mlのエッペンドルフチューブに移し、上清を磁性粒子コレクター、MPC(Dynal,Hamburg、Germany)の補助により除去した。ビーズを50μlの0.7M クエン酸アンモニウム溶液、pH8.0で2回洗浄した(MPCを用いた各々の時、上清は除去された)。ビーズからの分解は、ホルムアミドを90℃で用いて実行された。上清はスピードバック中で約1時間乾燥させ、4μの超純水(MilliQ UFプラス Millipore,Echborn,Germany)に再懸濁させた。この調製物をMALDI−TOF MS解析に用いた。
【0074】
MALDI−TOF MS:
試料の0.5μlをピペットで試料ホルダーに取り、続いて即座に0.5μlマトリックス溶液(0.7M 3−ヒドロキシピコリン酸50%アセトニトリル、70mMクエン酸アンモニウム)を添加した。この混合物は室温で乾燥され質量分析計中に導入された。全てのスペクトルは、リフレクトロン(5keV イオン給源、20keV 加速後)および337nm窒素レーザーを装備したFinnigan MAT Vision 2000(Finnigan MAT、BΓemen、Germany)を用いて陽イオンモードで行った。補正を40merおよび100merの混合物について行った。各々の試料は異なったレーザーエネルギーで測定された。陰性の試料においては、PCR産物は低および高レーザーエネルギーの何れにおいても検出されなかった。陽性試料においては、PCR産物は異なった試料のスポット位置において、および変化したレーザーエネルギーにおいて検出された。
【0075】
結果
ネスティドPCRシステムを、HBVコア抗原(HBVcAg)をコードしているHBVゲノムのc領域に相補的なオリゴヌクレオチド(プライマー1:地図位置1763から始まり、プライマー2は相補鎖の地図位置2032から始まる)を用いた血液試料中のHBV DNAの検出のために用いた。DNAは患者の血清から標準的なプロトコルにより単離した。第1のPCRを、これらの調製物由来のDNAについて、第1のセットのプライマーを用いて実行した。試料中にHBV DNAが存在する場合は269bpのDNA断片が生成された。
【0076】
第2の反応において、第1のPCRにおいて生成されたPCR断片の内部の領域に相補的なプライマーが用いられた。HBV関連PCR産物が第1のPCRにおいて存在した場合には、67bpのDNA断片が、このネスティドPCRにおいて生成された(図25A参照)。ネスティドPCRシステムの検出への利用は、高感度を提供し、さらに外部PCRに対する特異性制御としても働く(Rolf,A.et al.,PCR:Clinical Diagnostics and Research,Springer,Heidelberg,1992)。さらなる利点は、第2のPCRで生成された断片の量が、精製によるロスが避けられなくても、問題の無い検出を保証するために十分多いことである。
【0077】
試料は、ストレプトアビジンDynabeads上に固定化する前に、プライマーを除去するために限外濾過を用いて精製した。この精製が行われるのは、立体的な理由でより短いプライマーが高い収量でビーズ上に固定化されてしまうためである。固定化は、膜上の非特異的吸収による物質のロスを避けるため限外濾過膜上で直接的に行った。固定化に続いて、ビーズを陽イオン交換を行うためにクエン酸アンモニウムで洗浄した(Pieles,U.et al.,(1993)Nucleic Acid Res 21:3191−3196)。固定化DNAは、非常に短時間でDNAのビーズからの分解を可能とするが、ナトリウム陽イオンを導入するという結果にはならない25%アンモニアを用いてビーズから分解された。
【0078】
ネスティドPCRおよびMALDI TOF解析を、血清学的解析の結果を知ることなく行った。未知のウイルス力価のため、各々の第1のPCR試料は希釈せず、また1:10で希釈してそれぞれテンプレートとして用いた。
【0079】
試料1は、HBs−およびHBe−抗原テストには陽性であるがドットブロット解析では陰性である長期活性HBV感染した患者から集められた。試料2はドットブロット解析においてHBV陽性であり重いウイルス血症および活性HBV感染状態にある患者からの血清試料である。試料3は変性血清試料であり、それ故に血清学的解析は実行できなかったが、肝臓病を示唆する増加されたトランスアミナーゼレベルが検出された。オートラジオグラフ解析(図24)において、この試料の第1のPCRは陰性であった。しかしながら、HBV感染のいくつかの証拠があった。この試料はMALDI−TOF解析への関心がもたれたが、それは、精製手順の後に低レベルの量ではあったがPCR産物が検出されることが示されたからである。試料4はHBV感染を治療した患者からのものである。試料5および6は長期活性HBV感染状態にある患者から集められた。
【0080】
図24はネスティドPCR反応のPAGE解析の結果を示す。PCR産物は明らかに1、2、3、5および6で見られた。試料4中にはPCR産物はおらず、血清学的解析に従ってもそれは勿論HBV陰性であった。陰性および陽性対照を、+および−でそれぞれ示した。増幅人工物はレーン2、5、6および+において、希釈されなかったテンプレートが用いられた場合には見ることができた。1:10に希釈されたテンプレートが用いられた場合には、人工物は生成されなかった。試料3においては、PCR産物はテンプレートが希釈されなかった場合にのみPCR産物が検出された。このPAGE解析は、上記のように、試料3を除いて血清学的解析により得られたデータと一致している。
【0081】
図25Aは、上記のように生成され精製された試料番号1からの、ネスティドPCR産物のマススペクトルを示す。20754Daのシグナルは、一本鎖PCR生産物(計算上:20735Da)ビーズから分解されたPCR産物の両方の鎖の質量の平均)を示す。計算上と得られた質量の差は19Da(0.09%)である。図25Aに示されるように、試料番号1は大量のPCR産物を生成し、明白な検出という結果となった。
【0082】
図25Bは、試料番号3から得られたスペクトルを示す。図24に示されているように、この区分で生成されたPCR産物の量は試料番号1と比較して顕著に低い。しかしながら、PCR産物は20751Da(計算上は20735)の質量として明白に見られた。この質量の差は16Daであった(0.08%)。図25CにおけるスペクトルはHBV陰性である試料番号4から得られた(図24にもまた示されている)。期待されたように、PCR産物に対応するシグナルは検出されなかった。図25に示されたすべての試料は、MALDI−TOFにより分析されたが、そこにおいてPCR産物は全てのHBV陽性試料において検出されたが、HBV陰性試料においてはされなかった。これらの結果はいくつかの独立した実験において再現された。
【0083】
実施例6 MALDI−TOF質量分析を介したリガーゼ連鎖反応産物の解析
材料と方法
オリゴデオキシヌクレオチド
ビオチニル化された1つを除き、他の全てのオリゴヌクレオチドは0.2μmolスケールで、MilliGen7500DNA合成機(Millipore,Bedford、MA、USA)で、β−シアノエチルホスホアミジト法(Shina,N.D.et al.,(1984)Nuleic Acid Res.Vol.12,Pp.4539−4577)を用いて合成された。オリゴデオキシヌクレオチドはRP−HPLC精製され、標準的プロトコルし従って脱保護された。ビオチニル化オリゴデオキシヌクレオチドはBiometra、Gottingen、Germanyより購入した(HPLC精製)。
用いられたオリゴヌクレオチドの配列と計算上の分子量:
【表4】
【0084】
オリゴヌクレオチドの5’リン酸化
ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer,Mannheim,German)で、刊行された手順にしたがって実行し、5’リン酸化オリゴヌクレオチドは精製しないでLCRに用いた。
【0085】
リガーゼ連鎖反応
LCRはPfuDNAリガーゼ、および、2つの異なったpBluescriptKIIファージミドを含むリガーゼ連鎖反応キット(Stratagene、Heidelberg、German)で行った。E.coli lacI遺伝子の野生型を担持する1つおよび、lacIのbp191での単一の点変異を含むこの遺伝子の変異体である。
【0086】
以下のLCR条件を、各々の反応に用いた:100pgテンプレートDNA(0.74fmol)と担体としての500pgの超音波破砕サケ精子DNA、25ng(3.3pmol)の5’−ホスホリル化オリゴヌクレオチド、20ng(2.5pmol)の非ホスホリル化オリゴヌクレオチド、4U PfuDNAリガーゼ、Pfuリガーゼ反応バッファー(Stratagene、Heidelberg、Germany)で緩衝された最終容量20μl。モデル実験において、化学合成されたss50merをテンプレートとして用い(1fmol)、この場合はオリゴCもまたビオチニル化した。すべての反応は、サーモサイクラー(OmniGene、MWG−Biotech、Ebersburg、Germany)中で、以下のプログラムで行った:4分間92℃、2分間60℃、および25サイクルの20秒92℃、40秒60℃。HPLC分析を除き、ビオチニル化ライゲーション反応物Cを用いた。対照実験において、ビオチニル化および非ビオチニル化オリゴヌクレオチドは、同じゲル電気泳動の結果を示した。反応は7.5%ポリアクリルアミドゲルで解析した。ライゲーション産物1(オリゴAおよびB)の計算上の質量:15450Da、ライゲーション産物2(おりごCおよびD)の計算上の質量:15387。
【0087】
スマートHPLC
イオン交換HPLC(IE HPLC)をスマートシステム(Pharmacia、Freiburg、Germany)で、ファルマシア モノQ、PC1.6/5カラムを用いて行った。溶出液はバッファーA(25mMトリス−HCl、1mM EDTAおよび0.3M NaCl pH8.0)およびバッファーB(Aと同じ、但し1M NaCl)であった。100%Aで5分間、流速50μl/分で開始し、30分で0から70%Bのグラジエントをかけ、続いて2分間で100%に増加させ、100%Bで5分間保持した。野生型または変異体テンプレートの何れかについて行われた2つのプールされたLCR容量(40μl)を注入した。
【0088】
MALDI−TOF−MSのための試料調製
固定化DNAの調整:各々のスペクトルを記録するため、2つのLCR(上記のように行った)をプールし、1:1で2xB/Wバッファー(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)で希釈した。5μlのストレプトアビジンDynabeads(Dynal,Hamburg,Germany)試料を添加し、混合物は、室温で15分間穏やかに振とうされ、結合を可能された。上清を磁性粒子コレクター、MPC(Dynal,Hamburg,Germany)を用いて除去し、ビーズを2回50μlの0.7Mクエン酸アンモニウム溶液(pH8.0)で洗浄した(上清はMPCを用いる度に除去した)。ビーズを1μlの超純水(MilliQ、Millipore、Bedford、MA、USA)に再懸濁した。この懸濁液は直接MALDI−TOF−MS解析に以下の記載のように用いた。
【0089】
限外濾過とストレプトアビジンDynaBeadsの組合せ:各々のスペクトルを記録するため、2つのLCR(上記のように行った)をプールし、1:1で2xB/Wバッファー(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)で希釈し、5000NMWL Ultrafree−MCフィルターユニット(Millipore、Eschborn、Germany)で、製造者の指示に従って濃縮した。濃縮後、試料を300μlの1xB/Wバッファーで洗浄し、ストレプトアビジンDynaBeadsを添加した。ビーズは上記のように1回Ultrafree−MCフィルターユニット上で300μlの1xB/Wバッファーで洗浄し、上記のように処理した。ビーズを30から50μlの1xB/Wバッファーに再懸濁し、1.5mlのエッペンドルフチューブに移した。上清を除き、ビーズを3回50μlの0.7Mクエン酸アンモニウム溶液(pH8.0)で洗浄した。最後に、ビーズを1回30μlのアセトンで洗浄し、1μlの超純水に再懸濁した。ライゲーション混合物は、ビーズ上に固定化した後でMALDI−TOF−MS解析に以下のように用いた。
【0090】
MADLI−TOF−MS
固定化されたDNAを有するストレプトアビジンコート磁性ビーズの懸濁液を、試料ホルダーでピペットで取り、続いて直ちに0.5μlマトリックス溶液(50%アセトニトリル中の0.7M 3−ヒドロキシピコリン酸、70mMクエン酸アンモニウム)と混合した。この混合物を室温で乾燥させ、質量分析計に導入された。全てのスペクトルは陽イオンモードで、リフレクトロン(5keV イオン給源、20keV 加速後)および337nm窒素レーザーを装備したFinnigan MAT Vision 2000で取られた。PfuDNAリガーゼの解析のために、0.5μlの溶液を試料ホルダー上で1μlのマトリックス溶液と混合し、上記のように調製した。精製されていないLCRの解析のために、1μlのLCRを1μlのマトリックス溶液と混合した。
【0091】
結果および議論
E.coli lacI遺伝子は、リガーゼ連鎖反応において生成された産物の検出方法としての、MALDI−TOF−MSの適性を調べるための単純な系として機能した。このテンプレートシステムは、pBluescript KIIファージミド中のE.coli lacI野生型遺伝子、および、同じプラスミド中のbp191(CからTへの変化)での単一点変異を含むE.coli lacI遺伝子を含む。4つの異なったオリゴヌクレオチドを用いたが、それらはE.coli lacI野生型遺伝子が存在する場合のみライゲーションした(図26)。
【0092】
LCR条件は、PfuDNAリガーゼを用いて最適化し、各々の陽性反応においては少なくとも1pmolのライゲーション産物を得た。ライゲーション反応はポリアクリルアミドゲル(PAGE)およびスマートシステムでのHPLCにより解析した(図27、28および29)。図27は、野生型テンプレートでの陽性LCR(レーン1)、変異型テンプレート(1および2)での陰性LCR、および酵素、オリゴヌクレオチドを含むがテンプレートを含まない陰性対照を示す。ゲル電気泳動は、ライゲーション産物(50bp)は野生型テンプレートとの反応においてのみ生成される一方、点変異を有するテンプレートおよびサケ精子DNAとの対照反応のどちらにおいても増幅産物は生成されなかったことを明白に示した。図28においては、HPLCは、野生型テンプレートについて同じ条件で実行された2つのプールされたLCRの分析のために用いられた。ライゲーション産物は、明白に見られた。図29は、変異テンプレートについての2つのプールされた陰性LCRが解析されたHPLCの結果を示している。これらのクロマトグラムは、図27に示されたデータを確認し、その結果を一緒に合わせると、このシステムは、野生型テンプレートが提供されさえすれば大量のライゲーション産物を生成することを明白に示している。
【0093】
適当な対照実験を、LCR実験に関与する異なった化合物のリテンション時間を決定するために行った。これらには、4つのオリゴヌクレオチド(A,B,CおよびD)、合成ds50mer(ライゲーション産物と同じ配列を有する)、野生型テンプレートDNA、超音波破砕およびPfuDNAリガーゼをライゲーションバッファー中に含む。
【0094】
LCR反応がMALDI−TOF−MSで解析される前に、どの精製手段を用いるべきかを決定するために、精製されていないLCRのアリコート(図30A)および酵素ストック溶液のアリコート(図30B)をMALDI−TOF−MSで解析した。適切な試料調製は絶対的に必要であることが示されたが、それは全てのPfuDNAリガーゼのMALDI−TOF−MSでの分析において得られるシグナルに、精製されていないLCRにおける全てのシグナルが対応しているからである。オリゴAおよびライゲーション生産物の計算上の質量の値は、それぞれ7521Daおよび15450Daである。図30のデータは、酵素溶液はライゲーション反応物および生産物の期待されるシグナルと干渉し、それによりシグナルの曖昧でない割り当てを不可能とする質量のシグナルに繋がることを示している。さらに、酵素貯蔵バッファーの一部であり分析物/マトリックス混合物の結晶化行動に影響する界面活性剤Tween20の信号を、好ましくない形で示している。
【0095】
1つの精製形式において、ストレプトアビジンコート磁性ビーズが用いられた。最近の論文に示されているとおり、ワトソン−クリック塩基対形成で、ビーズに共有結合的に結合している相補的DNA断片に固定化されているDNAの直接放出が可能であり、非ビオチニル化鎖は排他的に放出される(Tang,K.et al.,(1995)Nucleic Acid Res.23:3126−3131)。固定化dsDNAを用いることにおけるこの手法は、非ビオチニル化鎖が放出することのみを確実としている。もし固定化されてないdsDNAが解析された場合、両方の鎖が放出され(Tang,K.et al.,(1994)Rapid Comm.Mass Spectrom.7:183−186)、2つの鎖の質量の差に依存した広いピークとなる。それ故に、このシステムをLCRに用いると、計算上の分子量7521DaであるオリゴヌクレオチドA、および、オリゴAとオリゴB由来のライゲーション産物(計算上の分子量15450)のみが、もしオリゴCが5’末端でビオチニル化されておりストレプトアビジンコートビーズに固定化されている場合には放出されるであろう。このことにより、簡単で曖味ではないLCR反応物および産物の同定という結果となる。
【0096】
図31Aは、ストレプトアビジンDynaBeadsを用いて精製され、ビーズから直接放出された2つのプールされたLCR(上記のように実行された)から得られたMALDI−TOFマススペクトルで、精製方法が効率的であったことを示すものを表している。ライゲーションしなかったオリゴAを示すシグナルと、ライゲーション産物に相当するシグナルが検出された。計算上と実験で見られた質量の値の一致は顕著であり、曖昧ではないピークの割り当ておよび正確なライゲーション産物の検出を可能としている。これと対照的に、変異テンプレートについての2つのプールされたLCRから得られたスペクトルにおいては、ライゲーション産物はなくオリゴAのみが検出された(図31B)。LCR条件の特異性および選択性、およびMALDI−TOF検出の感度はさらに、ライゲーション反応を、特定のテンプレート無しで行った場合にさらに示された。図32は、サケ精子DNAのみが陰性対照として用いられた、2つのプールされたLCRから得られたスペクトルを示しているが、期待されるように、オリゴAのみが検出された。
【0097】
図31Aに示されている結果は図27のゲルのレーン1と関連づけることができるが、図31Bに示されるスペクトルは図27のレーン2に相当し、最後に、図32のスペクトルは図27のレーン3に相当する。これらの結果は、図28および図29に示されているHPLC解析と一致している。ゲル電気泳動(図27)およびHPLC(図28および29)の両方がライケーション反応物に対して過剰または等量のライゲーション産物を示しているが、MALDI−TOF質量分析はライゲーション産物については小さいシグナルを発生している(図31A)。
【0098】
ライゲーション産物のシグナルの低い強度は、24merと50merとの間の異なった放出/イオン化効率によるものであろう。24塩基対と比較した50の二重体のTm値は著しく高いので、より多くの24merが放出された。シグナル強度の減少はまた、より長いオリゴヌクレオチドの場合のより高い断片化の結果でも有り得る。
【0099】
ストレプトアビジンDynaBeadsでの精製にもかかわらず、図32は2000Daあたりの領域のTween20の痕跡を示した。粘性の粘度の物質は結晶化工程に対しネガティブに作用し、それゆえに質量分析解析にとって有害で有り得る。酵素貯蔵溶液の一部であるTween20およびグリセロールは、それゆえ、質量分析解析に先立って完全に除くべきである。この理由から、DynaBeadsでの処理に先だつ付加的な限外濾過段階を含む改良された精製手順を調べた。当然、この試料精製はMALDI−TOF質量分析性能の顕著な改善という結果となった。
【0100】
図33は、それぞれ陽性(図33A)および陰性(33B)の2つのプールされたLCRから得られたスペクトルを示す。陽性反応は、化学合成された、オリゴCおよびオリゴDのライゲーション産物に相当する配列の一本鎖50merをテンプレートとして実行した。オリゴCは5’ビオチニル化されていた。故に、テンプレートは検出されなかった。期待されたように、オリゴAおよびBのライゲーション産物(計算上の分子量15450Da)のみが、固定化され、ライゲーションされたオリゴCおよびDから放出された。この新規に生成されたDNA断片は、図33Aにおいて15448Daの質量シグナルとして示されている。図32Aと比較して、このスペクトルは明白に、この試料調製方法は、改善された分解能および強度のシグナルを生じさせた。
【0101】
実施例7 プライマーの固相オリゴ塩基伸長による変異検出およびMALDI−TOF質量分析による分析
要約
固相オリゴ塩基伸長法は、増幅されたDNAにおける点変異および小さな欠失並びに小さな挿入を検出する。この方法は、DNAポリメラーゼ、3つのdNTPの混合物、および欠けている1つのジデオキシヌクレオチドを用いた、親和性捕捉された増幅テンプレート上の変異ヌクレオチド位置に隣接してアニールする検出プライマーの伸長に基づいている。得られた産物は、さらに標識化工程を必要とせずにMALDI−TOF質量分析により評価され、分解される。以下の実験の目的は、速くて信頼性のある様式で変異体および野生型対立遺伝子を測定することにあった。
【0102】
実験の説明
この方法では1つの検出プライマーを用い、続いて、オリゴヌクレオチド伸長工程を行って、MALDI−TOF質量分析により容易に解明できる、変異体または野生型対立遺伝子に特異的ないくつかの塩基により長さが異なる産物を得た。この方法を、CFTR遺伝子のエキソン10の例を用いて記載する。この遺伝子のエキソン10は、同型接合状態において膵嚢胞性繊維症の臨床表現型となる、多くの人種集団において最も共通している変異(ΔF508)を負っている。
【0103】
材料および方法
ゲノミックDNA
ゲノミックDNAは健康な個体から得た。個体は同型接合体またはΔF508変異の異型接合体であり、ある個体は1506S変異に関して異型接合である。
野生型および変異体対立遺伝子は、標準的なサンガー法により確認した。
【0104】
CFTR遺伝子のエキソン10のPCR増幅
PCR増幅のプライマーは、CFEx10−F(イントロン9に位置し、ビオチニル化された、5−GCAAGTGAATCCTGAGCGTG−3’(配列番号13))およびCEFx10−R(イントロン10に位置する、5’−GTGTGAAGGGCGTG−3’(配列番号14))であった。プライマーは8pモルの濃度で用いた。10x緩衝液を含むTaqポリメラーゼはベーリンガーマンハイムから購入し、dTNPはファーマシアから得た。全反応容積は50μlであった。PCRのサイクル条件は、最初に95℃で5分間、続いて、94℃で1分間、53℃で45秒間、そして、72℃で30秒間の40サイクルと、最後に72℃の5分間の延長時間であった。
【0105】
PCR産物の精製
製造業者の指示に従ってQiagenのPCR精製キット(28106番)を使用することにより、増幅産物を精製した。精製産物のカラムからの溶出は、50μlのTE緩衝液(10mMのトリス、1mMのEDTA、pH7.5)中で行った。
【0106】
二本鎖DNAの親和性捕捉および変性
精製PCR産物の10μLのアリコートをストレプトアビジン被覆マイクロタイタ板(1645684番、ベーリンガーマンハイムまたは95029262番ラブシステムス)の1つのウェルに移した。続いて、10μlの保温緩衝液(80mMのリン酸ナトリウム、400mMのNaCl、0.4%のTween20、pH7.5)および30μlの水を加えた。室温での1時間の保温後、200μlの洗浄緩衝液(40mMのトリス、1mMのEDTA、50mMのNaCl、0.1%のTween20、pH8.8)でウェルを3回洗浄した。二本鎖DNAを変性するために、ウェルを3分間に亘り50mMのNaOH溶液100μlで処理した。その後、ウェルを200μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。
【0107】
オリゴ塩基伸長反応
25pモルの検出プライマー(CF508:5’CTATATTCATCATAGGAAACACCA−3’(配列番号15))のアニーリングを10分間に亘り50℃で50μlのアニーリング緩衝液(20mMのトリス、10mMのKCl、10mMの(NH4)2SO4、2mMのMgSO、1%のトリトンX−100、pH8.75)中で行った。ウェルを200μlの洗浄緩衝液で3回、そして、200μlのTE緩衝液で1回洗浄した。伸長反応は、USBからのDNA配列決定キット(70770番)のいくつかの成分およびファーマシアからのdNTPまたはddNTPを用いて行った。全反応容積は、21μlの水、6μlのシーケナーゼ緩衝液、3μlの10mMのDTT溶液、4.5μlの0.5mMの3つのdNTP、4.5μlの2mMの欠けている1つのddNTP、5.5μlのグリセロール酵素希釈緩衝液、0.25μlのシーケナーゼ2.0,および0.25のピロホスファターゼからなる45μlであった。反応物を氷上にピペットで取り、室温で15分間、そして37℃で5分間保温した。その後、ウェルを200μlの洗浄緩衝液で3回、そして70mMのクエン酸アンモニウム溶液60μlで1回洗浄した。
【0108】
伸長プライマーの変性および沈殿
伸長プライマーを、10分間に亘り80℃で水中50μlの10%DMSO(ジメチルスルホキシド)内で変性した。沈殿に関して、10μlの酢酸アンモニウム(pH6.5)、0.5μlのグリコーゲン(10mg/mlの水、シグマG1765番)、および100μlの脱水エタノールを上清に加え、室温で1時間に亘り保温した。10分間の13,000gでの遠心分離後、ペレットを70%のエタノール中で洗浄し、1μlの18Mohm/cmH2O水で再懸濁させた。
【0109】
試料の沈殿およびMALDI−TOF質量分析による分析
試料の沈殿は、0.3μlのマトリクス溶液(H2O:CH3CNの比率が1:1の0.7Mの3−ヒドロキシピコリン酸、0.07Mの二塩基クエン酸アンモニウム)および試料標的上の0.3μlの再懸濁DNA/グリコーゲンペレットを混合することにより行い、空気乾燥させた。20までの試料を、それぞれ、標的および転化ダイノード上5および20kVのリフレクトロンモードで運転している未改良サーモバイオアナリシス(以前はフィニガン)ビジョン2000MALDI−TOFの供給領域に導入するために、プローブ標的ディスク上にプロットした。理論平均分子量(Mr(計算))は原子組成から計算した。報告された実験Mr(Mr(実験))値は、外部校正を用いて求めた、1つの電子を加えた形態の値であった。
【0110】
結果
実験の目的は、遺伝病の診断において高品質で高処理量となる変異検出のための正確な厳重さに依存しない、速くて信頼性のある方法を開発することにあった。したがって、特定の種類のDNA配列決定法(1つの変異検出プライマーのオリゴ塩基伸長)を、マトリクスアシステッドレーザ脱着イオン化(MALDI)質量分析(MS)により得られたミニ配列決定産物の評価と組み合わせた。可能な質量測定システムとして、飛行時間(TOF)リフレクトロン配列を選択した。この仮説を証明するために、CFTR遺伝子のエキソン10に関して実験を行った。ここでは、いくつかの変異により、コーカサス人の人口において最もありふれた単一遺伝病である、膵嚢胞清繊維症の臨床表現型が生じうる。
【0111】
図34に示した図は、CFTR遺伝子のエキソン10の野生型および様々な変異体の理論的に計算された分子量を有する予測される短い配列決定産物を示している。短い配列決定産物は、ddTTP(図34A)またはddCTP(図34B)のいずれかを用いて発生期のDNA鎖に固有配列関連停止を導入することにより産生した。健康な、変異異型個体、および変異同型個体のMALDI−TOF−MSスペクトルが図34に示されている。全ての試料は、質量分析と比較して不一致を示さない標準サンガー法により確認した。様々な分子量の実験測定の精度は、予測した範囲に対してマイナス21.8およびプラス87.1ダルトン(Da)の範囲内にあった。これは、各々の場合において許容された結果の絶対的な判断である。この方法のさらなる利点は、ΔI507変異のあいまいな検出である。ddTTP反応において、野生型対立遺伝子は検出されるけれども、ddCTP反応においては、3つの塩基対の欠失が開示される。
【0112】
ここに記載した方法は、DNAの単一点変異または微小損傷の検出に非常に適している。変異検出プライマーを注意深く選択することにより、多重化が可能となり、匹敵する対立遺伝子特異的方法に必要とされる正確な厳重さを必要とせずに、遺伝子診断が高処理量かつ高品質となる。遺伝情報の一意性のために、変異検出プライマーのオリゴ塩基伸長は、可変数の縦列配列(VNTR)または他の単一ヌクレオチド多型性(例えば、アポリポタンパクE遺伝子)のようなゲノムにおける各々の病気遺伝子または多型性領域に適用できる。
【0113】
実施例8 マトリクスアシステッドレーザ脱着/イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析による7−デアザプリン部分を含有するポリメラーゼ連鎖反応産物の検出
材料および方法
PCR増幅
以下のオリゴデオキシヌクレオチドプライマーを、200nモルの規模でミリゲン7500DNA合成器(米国、マサチューセッツ州、ベッドフォードのミリポア)により標準ホスホアミジテ化学(Sinha,N.D,等、(1983)Tetrahedron Let.24巻、5843-5946頁;Sinha,N.D.等、(1984)Nucleic AcidsRes.、12巻、4539-4557頁)にしたがって合成したか、またはMWG−バイオテック(プライマー3、ドイツ国、エベルスベルグ)およびバイオメトラ(プライマー6−7、ドイツ国、ゴエッティンゲン)から購入した。
【表5】
【0114】
99merおよび200merのDNA鎖(修飾および未修飾)並びにリボおよび7−デアザ−修飾100merを、10mモル/LのKCl、10mモル/Lの(NH4)2SO4、20mモル/LのトリスHCl(pH=8.8)、2mモル/LのMgSO4、(エキソ(−)Pseudococcus furiosus(Pfu)緩衝液、ドイツ国、フレイブルク、ファーマシア)、0.2mモル/Lの各々のdNTP(ドイツ国、フレイブルク、ファーマシア)、1μモル/Lの各々のプライマーおよび1単位のエキソ(−)PfuDNAポリメラーゼ(ドイツ国、ハイデルベルク、ストラタジーン)を含有する100μLの反応容積内のpRFclDNA(10ng、ハンブルク大学のS.Feyerabendから供給される)から増幅した。
【0115】
99merに関してはプライマー1および2を、200merに関してはプライマー1および3を、100merに関してはプライマー6および7を用いた。7−デアザプリン修飾核酸を得るために、PCR増幅中に、dATPおよびdGTPを7−デアザ−dATPおよび7−デアザ−dGTPと置換した。反応は、1分間に亘る95℃での変性、1分間に亘る51℃でのアニーリングおよび1分間に亘る72℃での伸長のサイクルを用いて、サーマルサイクラー(ドイツ国、エバースブルクのMWG−バイオテック、オムニジーン)内で行った。全てのPCRに関して、反応サイクルの数は30であった。最後のサイクルの後、反応をさらに10分間に亘り72℃で行った。
【0116】
103merDNA鎖(修飾および未修飾)を、全ての他の濃度は変えずに、プライマー4および5を用いて、100μLの反応容積内のM13mp18RFIDNA(100ng、ドイツ国、フレイブルク、ファーマシア)から増幅した。反応は、1分間に亘る95℃での変性、1分間に亘る40℃でのアニーリングおよび1分間に亘る72℃での伸長のサイクルを用いて行った。それぞれ、未修飾の103merに関しては30回のサイクル、修飾103merに関しては40回のサイクルの後、試料をさらに10分間に亘り72℃で保温した。
【0117】
5’−[32−P]−標識されたPCRプライマーの合成
プライマー1および4を、製造業者のプロトコルにしたがって、T4−ポリヌクレオチドキナーゼ(エピセントレテクノロジース)および(γ−32P)−ATP(ドイツ国、デュポン、BLU/NGG/502A)を用いて5’−[32−P]−標識した。反応は、その他の反応条件は変えずに、PCRのプライマー1および4の10%を標識されたプライマーと置換することにより行った。増幅DNAは、10%のポリアクリルアミドゲル上のゲル電気泳動により分離した。適切なバンドを切除し、パッカードTRI−CARB460C液体シンチレーションシステム(米国、コネチカット州、パッカード)で計数した。
【0118】
リボ修飾されたPCR産物からのプライマー切断
増幅したDNAをウルトラフリーMCフィルタユニット(30,000NMWL)を用いて精製し、次いで、0.2モル/LのNaOH100μl中で再度溶解させ、25分間に亘り95℃で加熱した。次いで、溶液をHCl(1モル/L)で酸性化し、さらに、以下に記載するように、MALDI−TOF分析のために、ウルトラフリーMCフィルタユニット(10,000NMWL)を用いて精製した。
【0119】
PCR産物の精製
全ての試料を、製造業者の記載にしたがって、ウルトラフリーMCフィルタユニット30,000NMWL(ドイツ国、エシュボーン、ミリポア)を用いて精製し、濃縮した。PCR産物を超純水の5μL(200merに関しては3μL)溶解させた。この分析物溶液を、MALDI−TOF測定のめたに直接的に用いた。
【0120】
MALDI−TOF MS
0.5μLの分析物溶液および0.5μLのマトリクス溶液(アセトニトリル/水(1:1,v/v)中0.7モル/Lの3−HPAおよび0.07モル/Lのクエン酸アンモニウム)のアリコートを平らな金属試料支持体上で混合した。周囲温度での乾燥後、分析のために試料を質量分析器中に導入した。使用したMALDI−TOF質量分析器は、フィニガンMATビジョン2000(ドイツ国、ブレーメン、フィニガンMAT)であった。スペクトルを、5keVイオン発生源および20keV後加速による正イオンリフレクターモードで記録した。器具に窒素レーザ(337nmの波長)を備え付けた。システムの真空は、分析器領域においては3−4・10-8hPaおよび発生源領域においては1−4・10-7hPaであった。修飾および未修飾DNA試料のスペクトルを同一の相対レーザ源により得た。外部校正を合成オリゴデオキシヌクレオチド(7merから50mer)の混合物により行った。
【0121】
結果および議論
PCRによる7−デアザプリンヌクレオチド含有核酸の酵素合成
短いPCR産物の速くてゲルを用いない分析を行うMALDI−TOF MSの可能性を示すために、そしてMALDI−TOF条件下で核酸の7−デアザプリン修飾の効果を調べるために、2つの異なるプライマーテンプレート系を用いてDNA断片を合成した。配列を図36および37に示す。103merPCR産物の2つの一本鎖はほぼ等しい質量(Δm=8u)を有していたが、99merの2つの一本鎖は526uだけ異なっていた。
【0122】
化学的DNA合成のための7−デアザプリンヌクレオチド構造ブロックが通常のものよりも約160倍も高価であり(バージニア州、スターリング、グレンリサーチ社、製品情報)、標準β−シアノ−ホスホアミジテ化学におけるそれらの用途がささいなもの(バージニア州、スターリング、グレンリサーチ社、製品情報;KおよびB.T.Chait(1995)Nucleic Acids Res.23,1570)ではないことを考慮すると、7−デアザプリン修飾プライマーのコストは非常に高くなってしまう。したがって、この方法の適応性および範囲を増大させるために、全てのPCRは、日常で入手可能な未修飾オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行った。ポリメラーゼ連鎖反応においてdATPおよびdGTPをc7−dATPおよびc7−dGTPと置換することにより、それぞれ、99merおよび103merに関して、約80%、200merに関しては約90%の7−デアザ−プリン修飾ヌクレオシドを含有する産物が得られた。表Iは、全てのPCR産物の塩基組成を示している。
【表6】
【0123】
しかしながら、80−90%の7−デアザ−プリン修飾が正確な質量分析検出に十分であるか否かを測定することが残っている。したがって、酵素増幅工程中に全てのプリンヌクレオチドを置換できるか否かを測定することが重要であった。このことは、TaqDNAポリメラーゼを使用する場合、c7−dATPはPCRにおいてdATPを完全には置換できないことが示されているので、ささいなことではなかった(Seela,F.およびA.Roelling(1992)Nucleic Acids Res.,20,55-61)。幸い、エキソ(−)PfuDNAポリメラーゼが実際に未修飾プリントリホスフェートの不在下でc7−dATPおよびc7−dGTPを受容できることが分かった。しかしながら、取込みはそれほど効率的ではなく、PCR産物の収率がより少なくなってしまう(図38)。エチジウム−臭化物は、DNA二重鎖の積み上げられた塩基による挿入により着色される。したがって、修飾DNAは必ずしも未修飾のものと同一のバンド強度を与える必要はないので、エチジウム−臭化物着色ゲルにおけるより小さいバンド強度はアーチファクトである。
【0124】
これらの結果が正しいことを確認するために、[32P]標識されたプライマーによるPCRを繰り返した。オートラジオグラム(図39)は明確に修飾PCR産物の収率が小さいことを示している。バンドをゲルから切除して計数した。全てのPCR産物に関して、修飾核酸の収率は50%であり、対応する未修飾増幅産物に帰する。さらなる実験は、エキソ(−)DeepVentDNAおよびVentDNAポリメラーゼは、同様にPCR中にc7−dATPおよびc7−dGTPを取り込むことができることを示した。しかしながら、全体的な性能は、増幅中にほとんど副産物を生じないエキソ(−)PfuDNAポリメラーゼに関して最良であることが判明した。3つのポリメラーゼ全てを用いると、それらの同配体ではなくc7−dATPおよびc7−dGTPを用いたそのようなPCRが副反応がそれほど無く、より純粋なPCR産物を生じることが分かった。増幅副産物の発生が減少することは、PCR中に合成されたテンプレートを含有する7−デアザ−プリンおよびプライマーから形成された複合体の安定性が小さいことによるプライマーのミス対合が減少することにより説明が付く。7−デアザ−プリンを含有するDNA二重鎖の融点が減少することが記載されている(Mizusawa,S.等、(1986)Nucleic Acids Res.,14,1319-1324)。上述した3つのポリメラーゼ(エキソ(−)DeepVentDNAポリメラーゼ、VentDNAポリメラーゼおよびエキソ(−)(Pfu)DNAポリメラーゼ)に加えて、E.coliDNAポリメラーゼ、シーケナーゼ、TaqDNAポリメラーゼおよびU AmpliTaqDNAポリメラーゼの大きなクレノー断片のような他のポリメラーゼを使用してもよいことが予測される。さらに、RNAがテンプレートである場合には、SP6またはT7RNAポリメラーゼのようなRNAポリメラーゼを使用しなければならない。
【0125】
修飾および未修飾PCR産物のMALDI−TOF質量分析
99mer、103merおよび200merのPCR産物をMALDI−TOF MSにより分析した。過去の経験に基づいて、脱プリンの程度は、分析物の脱着およびイオン化に使用されるレーザエネルギーに依存することが知られている。脱プリンによる7−デアザプリン修飾の断片化への影響を調査すべきであるので、同一の相対レーザエネルギーで全てのスペクトルを測定した。
【0126】
図40aおよび40bは、修飾および未修飾103mer核酸の質量スペクトルを示している。修飾103merの場合には、断片化により広い(M+H)+信号が生じる。ピークの最大値は、指定された質量が、(M+H)+信号自体よりもむしろ、(M+H)+信号および断片化イオンの信号の平均値を示すように小さい質量にシフトされている。修飾103merはまだオリゴヌクレオチドプライマーからのAおよびGを約20%含有しているが、より狭く対称な信号により特徴付けられる断片化が少ないことを示している。脱プリンにより質量の小さい側に特にテールを有するピークが実質的に減少する。そして、測定した質量と計算した質量の差は、予測した質量よりもまだ小さいけれども著しく減少する。未修飾試料に関しては、31670の(M+H)+信号が観察された。この信号は、計算した質量に対して97uまたは0.3%の差である。一方、修飾試料の場合には、この質量の差は、10uまた0.03%(31713uが観察され、31723が計算された)まで減少した。これらの観察は、2つの信号鎖の(M+H)+信号の質量分析における著しい増加により正しいと実証される(未修飾試料に関する18とは対照的にm/Δm=67、Δm=最大値の半分での全幅、fwhm)。2つの信号鎖の間の質量差が小さいことにより(8u)、個々の信号は分析されなかった。
【0127】
99の塩基対からなるDNA断片の結果に関して、DNAを含有する7−デアザプリンの増大した質量分析の結果はより明白になる。未修飾試料における2つの一本鎖は、PCR産物の2つの鎖の間の質量差がプリンおよびピリミジンの等しくない分布により526uと非常に大きいので、分析できなかった(図41a)。これとは対照的に、修飾DNAは、より理解しがたいゲル電気泳動法に対して分子量測定のこの手法の優位を示す2つの一本鎖の明確なピークを示した(図41b)。基線分解能は得られなかったけれども、個々の質量は0.1%の精度で指定できた:軽い鎖に関してはΔm=27u(計算質量=31224u)および重い鎖に関してはΔm=14u(計算質量=31750u)。再度、最大値の半分での全幅は、7−デアザプリン含有試料に関して実質的に減少したことが分かった。
【0128】
99merおよび103merの両方の場合において、7−デアザプリン含有核酸は、それらが約20%の未修飾プリンヌクレオチドをまだ含有するにもかかわらず、より高い感度を示すように思われる。(M+H)+信号に関して同様の強度で匹敵するSN比を得るために、未修飾99merは修飾したものの12に対して20のレーザショットを必要とし、103merは7−デアザプリンヌクレオシド含有PCR産物の3に対して未修飾試料に関して12のショットを必要とした。
【0129】
修飾および未修飾の200merアンプリコンのスペクトルを比較すると、7−デアザプリン含有試料に関して、増大した信号強度だけでなく、改良された質量分解能が再度観察された(図42aおよび42b)。信号鎖の信号は修飾試料のスペクトルにおいて顕著であるが、信号鎖のDNAスプレクスおよびダイマーにより、未修飾試料に関して最強の信号が得られた。
【0130】
核酸の完全な7−デアザプリン修飾は、PCRにおいて修飾プライマーを用いるかまたは部分的に修飾されたPCR産物からの未修飾プライマーを切断することにより行ってもよい。上述したように、欠点は修飾プライマーに関連しているので、リボ修飾によるプライマーを用いて100merを合成した。本出願人の研究所において以前に開発した方法にしたがって、プライマーをNaOHにより加水分解的に切断した(Koester,H.等、Z.Physiol.Chem.,359,1570-1589)。図10aおよび10bは、プライマー切断の前後のPCR産物のスペクトルを示している。図10bは、加水分解が成功したことを示している。加水分解されたPCR産物および2つの放出されたプライマーの両方は、残留した未切断100merからの小さな信号とともに検出できる。プライマーから発生した未修飾プリンのシェアは、増幅配列の長さが減少するとともに増加するので、この方法は、非常に短いPCR産物のMALDI−TOF分析にとって特に有用である。
【0131】
7−デアザプリン修飾核酸の注目すべき特性は、より効果的な脱着および/またはイオン化、増大したイオン安定性および/または二重鎖プリン修飾核酸のより低い変性エネルギーのいずれかにより説明できる。N−7のメチン基との交換により、非ワトソン−クリック塩基対合により核酸の第2構造を形成する能力に影響を与える水素結合の受容体を1つ損失することになる(Seela,F.およびA.Kehne(1987)Biochemistry,26,2232-2238)。これは、MALDI工程中の良好な脱着の理由となる。このことに加えて、7−デアザプリンの芳香族系は、二重鎖の融点が減少する(Mizusawa,S.等(1986)Nucleic Acids Res.,14,1319-1324)こととなるワトソン−クリック塩基対合を弱める、より小さい電子密度を有している。この影響により、MALDI工程において二重鎖DNAの変性に必要なエネルギーが減少するかもしれない。これらの形態並びにN−7窒素上の正電荷をおそらく運搬する部位の損失により、7−デアザプリン修飾核酸は極性が弱くなり、脱着の有効性が促進されるかもしれない。
【0132】
プロトン受容体としてのN−7の不在および7−デアザプリンヌクレオシドにおけるC−N結合の減少した極性のために、溶液中の加水分解に関して確立された機構に続く脱プリンが妨げられる。溶液中および気相中における反応の直接的な相関性は問題であるけれども、修飾核酸の脱プリンによる断片化が少なくなることがMALDI工程において予測できる。脱プリンは、荷電種の全収率を減少させる電荷の損失により達成されるかもしれず、または非断片化分子イオン信号の強度を減少させる荷電断片化産物を産生するかもしれない。
【0133】
7−デアザプリン含有試料の断片化か減少したことによる小さい質量側への(M+H)+信号の減少したピークテーリングおよび増加した感度の両方を観察したことにより、N−7原子は実際にMALDI−TOF工程における脱プリンの機構に必須であることを示している。結論として、7−デアザプリン含有核酸は、MALDI−TOF条件下で明らかに上昇したイオン安定性および感度を示し、したがって、質量精度および質量分解能がより高くなっている。
【0134】
実施例9 固体状態の配列決定および質量分析検出
材料および方法
オリゴヌクレオチドを未精製状態でオペロンテクノロジース(カリフォルニア州、アラメダ)から購入した。配列決定反応は、シーケナーゼバージョン2.0の配列決定キット(イリノイ州、アーリントンハイツ、アメルシャム)からの試薬を用いて固体表面上で行った。
【表7】
【0135】
固体状態のDNA配列決定を実施するために、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりテンプレート鎖DNA11683を3’−ビオチニル化した。60pモルのDNA11683、1.3nモルのビオチン14−dATP(ニューヨーク州、グランドアイランド、ギブコBRL)、30単位の末端トランスフェラーゼ(イリノイ州、アーリントンハイツ、アメルシャム)、および1x反応緩衝液(酵素とともに供給)を含有する30μlの反応液を1時間に亘り37℃で保温した。10分間に亘り70℃で末端トランスフェラーゼを熱不活化することにより、反応を停止させた。得られた産物を、TE−10回転カラム(クロネテック)に通過させることにより、脱塩した。1分子より多いビオチン−14−dATPをDNA11683の3’末端に加えることができた。ビオチニル化したDNA11683を、30分間に亘り周囲温度で30μlの1x結合および洗浄緩衝液中の0.3mgのダイナルストレプトアビジンビーズとともに保温した。ビーズをTEにより2回洗浄し、30μlのTE中に再度溶解させ、配列決定反応のために10μlのアリコート(0.1mgのビーズを含有する)を用いた。
【0136】
以前の工程からの0.1mgのビーズを、シーケナーゼキットからの2μlの5xシーケナーゼ緩衝液(200mMのトリスHCl、pH7.5,100mMのMgCl2、および250mMのNaCl)および5pモルの対応するプライマーPNA16/DNAを含有する10μlの容積中に再懸濁させた。アニーリング混合物を70℃まで加熱して、20−30分に亘り室温までゆっくりと冷却した。次いで、1μlの0.1Mのジチオスレイトール溶液、1μlのMn緩衝液(0.15Mのイソクエン酸ナトリウムおよび0.1MのMcC12)、および2μlの希釈シーケナーゼ(3.25単位)を加えた。反応混合物を各々3μlの4つのアリコートに分け、終止混合物(各々3μlの適切な終止混合物からなる:50mMのNaCl中、32μMc7dATP、32μMのdCTP、32μMのc7dGTP、32μMのdTTPおよび3.2μMの4つのddTNPのうちの1つ)に混合した。反応混合物を2分間に亘り37℃で保温した。伸長の完了後、ビーズが沈殿し、上清を除去した。ビーズを2回洗浄し、TE中で再懸濁させ、4℃に保持した。
【表8】
【0137】
標的TNR.PLASM2をビオチニル化し、以前の章に記載したものと同様な方法(39mer標的の配列決定)を用いて配列決定した。
【表9】
【0138】
30μlの1MのNaClおよびTE(1x結合および洗浄緩衝液)中において60pモルのCM1B3Bを0.3磁気ビーズとともに30分間に亘り室温で保温することにより、ダイナビーズM280上にストレプトアビジン(ノルウェー、ダイナル)とともにCM1B3Bを固定化した。ビーズをTEにより2回洗浄し、30μlのTE中に再度溶解させ、配列決定反応に10または20μlのアリコート(それぞれ0.1または0.2mgのビーズを含有する)を用いた。
【0139】
シーケナーゼキットからの2μlの5xシーケナーゼ緩衝液(200mMトリスHCl、pH7.5、100mMのMgCll、および250mMのNaCl)を含有する9μlの容積内の10pモルのDF11a5F(または0.2mgのビーズに20pモルのDF11a5F)とともに、以前の工程からの対応するアリコートのビーズをアニーリングすることにより、二重鎖DNAを形成した。アニーリング混合物を65℃まで加熱して、20−30分間に亘り37℃までゆっくりと冷却した。次いで、二重鎖DNAプライマーを1μlの容積中で10pモルのTSlo(0.2mgのビーズに20pモルのTS10)とともに混合し、得られた混合物をさらに5分間に亘り37℃で、5−10分間に亘り室温で保温した。次いで、1μlの0.1Mのジチオスレイトール溶液、1μlのMn緩衝液(0.15Mのイソクエン酸ナトリウムおよび0.1MのMnCl2)、および2μlの希釈シーケナーゼ(3.25単位)を加えた。反応混合物を各々3μlの4つのアリコートに分け、終止混合物(各々4μlの適切な終止混合物からなる:50mMのNaCl中に、16μMのdATP、16μMのdCTP、16μMのdGTP、16μMのdTTPおよび1.6μMの4つのddNTPのうちの1つ)と混合した。反応混合物を5分間に亘り室温で、そして5分間に亘り37℃で保温した。伸長の完了後、ビーズを沈殿させ、上清を除去した。ビーズを20μlのTE中で再懸濁させ、4℃に保持した。各々の管から2μl(20μlから)のアリコートを採取し、8μlのホルムアミドと混合し、得られた試料を5分間に亘り90−95℃で変性し、7Mの尿素および0.6xTBEを含有する10%のポリアクリルアミドゲルを用いて、2μl(合計で10μlから)をALF DNAシーケンサーに適用した。MALDI−TOF分析に残りのアリコートを用いた。
【0140】
MALDI試料の調製および計測器
MALDI分析の前に、配列決定ラダー充填磁気ビーズを、50mMのクエン酸アンモニウムを用いて2回洗浄し、0.5μlの純水中に再懸濁させた。次いで、懸濁液を質量分析器の試料標的上に装填し、0.5μlの飽和マトリクス溶液(3−ヒドロピコリン酸(HPA):クエン酸アンモニウム=50%のアセトニトリル中10:1のモル比)を加えた。質量分析の前に、混合物を乾燥させた。
【0141】
分析には、リフレクトロンTOFMS質量分析器(ドイツ国、ブレーメン、フィニガンMAT、ビジョン2000)を用いた。イオン発生源に5kVを加えて、後加速には20kVを加えた。全てのスペクトルを正のイオンモードで取り、窒素レーザを用いた。通常、各々のスペクトルは、100ショットよりも多いものの平均を取り、標準的な25点の平滑化を行った。
【0142】
結果および議論
従来の固体状態の配列決定
従来の配列決定法において、プライマーは直接的にテンプレートにアニールされ、次いで伸長され、サンガー法において終了される。通常、ビオチニル化されたプライマーを用いて、配列決定ラダーがストレプトアビジン被覆磁気ビーズにより捕捉される。洗浄後、EDTAおよびホルムアミドを用いて、ビーズからその産物を溶離させる。しかしながら、以前の発見から、二重鎖DNAのアニールされた鎖のみが脱着され、固定された鎖はビーズに残留することが示された。したがって、テンプレートを固定化し、プライマーをアニールすることが有利である。配列決定反応および洗浄後、固定化されたテンプレートおよびアニールされた配列決定ラダーを有するビーズを質量分析器標的上に直接的に装填し、マトリクスと混合しても差し支えない。MALDIにおいては、アニールされた配列決定ラダーのみが脱着され、イオン化され、固定化されたテンプレートは標的上に残留する。
【0143】
最初に、39merテンプレート(配列番号23)を、末端トランスフェラーゼを有するビオチン−14−dATPを加えることにより3’末端でビオチニル化した。1つより多いビオチン−14−dATP分子を酵素により加えても差し支えない。しかしながら、テンプレートは固定化され、MALDI中にビーズ上に残留したので、ビオチン−14−dATPの数は、質量スペクトルには影響がない。固体状態の配列決定には、14−mer(配列番号29)を用いた。4つの配列決定ラダーのMALDI−TOF質量スペクトルが図34に示されており、予測される理論値が表IIに示されている。
【表10】
【表11】
【0144】
配列決定反応により比較的相同なラダーが産生され、全長配列が容易に求められた。全ての反応において現れた5150辺りの1つのピークは同定されない。
可能性のある説明としては、テンプレートの小さな部分がループのようなある種の2次構造を形成し、このことがシーケナーゼ伸長を阻害したというものがある。これらのピークの強度は配列決定ラダーのものよりも非常に小さかったので、結合ミスはそれほど重要ではない。配列決定反応には7−デアザプリンを用いたけれども、これにより、N−グリコシド結合を安定化させ、脱プリン反応を妨げられる。プライマーが7−デアザプリンにより置換されなかったので、わずかな塩基の損失がまだ観察された。3’末端でddAを有する全長のラダーが、A反応において、11899.8の見かけの質量で現れた。しかしながら、122のより強いピークが全ての4つの反応に現れ、これは、シーケナーゼ酵素による余分なヌクレオチドの追加によるもののようである。
【0145】
同一の技術を用いて、より長いDNA断片の配列決定を行ってもよい。CTGの繰返しを含有する78merテンプレート(配列番号25)を、末端トランスフェラーゼとともにビオチン−14−dATPを加えることにより3’−ビオチニル化した。18merプライマー(配列番号26)を、繰返しがプライマーの伸長後直ちに配列決定されるように、CTGの外側の右にアニールした。4つの反応を洗浄して、いつものようにMALDI−TOFにより分析した。G反応の実施例が図35に示されており、予測される配列決定ラダーが各々のラダー成分に関する理論値とともに表IIIに示されている。最後の成分(理論値20577.4)が背景から区別できなかったことを除いて、全ての配列決定ピークが良好に分析された。2つの隣接する配列決定ピーク(62merおよび63mer)もまた区別され、これは、そのような配列決定分析がより長いテンプレートに適用できることを示す。再度、シーケナーゼ酵素による余分なヌクレオチドの追加が、このスペクトルにおいて観察された。この追加は、テンプレートに特異的ではなく、同定を容易にする全ての4つの反応において見られた。プライマーピークと比較すると、配列決定ピークは、長いテンプレートの場合においてより強度が小さかった。さらに、配列決定反応の最適化が必要とされるかもしれない。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0146】
捕捉およびプライミングを行う二重鎖DNAを用いた配列決定
一本鎖が張り出した二重鎖DNAプローブは、特定のDNAテンプレートを捕捉できることが示され、固体状態配列決定のプライマーとして機能する。概要が図46に示されている。二重鎖DNAプローブと一本鎖テンプレートとの間の積重相互作用により、5−塩基のみが捕捉に十分となることができる。この形式に基づいて、5’蛍光標識された23mer(5’−GATGATCCGACGCATCACAGCTC)(配列番号29)を3’−ビオチニル化された18mer(5’−GTGATGCGTCGGATCATC)(配列番号30)にアニールして、5−塩基の張り出しを残した。二重鎖DNAにより15merテンプレート(5’−TCGGTTCCAAGAGCT)(配列番号31)を捕捉し、5−塩基張り出しの伸長により、配列決定反応を行った。反応のMALDI−TOF質量スペクトルが図47A−Dに示されている。比較的小さい強度であるけれども、全ての配列決定ピークが分析された。各々の反応における最後のピークは、シーケナーゼ酵素による全長伸長産物への1つのヌクレオチドの不特定追加によるものである。比較のために、同一の産物を従来のDNAシーケンサーで測定し、結果の積重間接撮影図が図48に示されている。図から分かるように、質量スペクトルは、23merプライマーと比較してより小さい強度で、配列決定ピークを有する間接撮影図と同様のパターンを有していた。
【0147】
検出技術としてのMALDI−TOF質量分析法の改良
試料分布をより相同にすることができ、ピコリットルバイアル技術を実施することにより、信号の強度を増大させられるかもしれない。実際に、試料を100umのサイズの正方形の開口部を有する小さなピットに装填することができる。固体状態配列決定において用いられるビーズは、直径が10um未満であり、マイクロリットルバイアル内に良好に適合する。マトリクスおよび「スイートスポット」を含むDNAの微結晶がバイアル内に閉じ込められる。レーザスポットのサイズは直径が約100μmであるので、バイアルの全開口部を覆う。したがって、スイートスポットの調査は不必要であり、スペクトルを得るのに高繰返し率のレーザ(例えば、>10Hz)を使用することができる。初期の報告は、この装置は、従来のMALDI試料調製技術と比較して数桁の大きさだけ、ペプチドおよびタンパク質の検出感度を増加することができることを示している。
【0148】
100塩基を越えて配列決定範囲を伸長させるために、DNAへのMALDI分解能をさらに改良する必要がある。現在、マトリクスとしての3−HPA/クエン酸アンモニウムおよび5kVのイオン発生源と20kVの後加速を有するリフレクトロンTOF質量分析器を用いて、図33(73mer)のピークの分解能は、この場合の配列測定に十分な200(FWHM)よりも大きい。この分解能はまた、70merの範囲よりも大きいMALDI脱着DNAイオンに関して報告された最高のものである。遅延抽出技術を使用することにより、さらに解像能を向上させてもよい。
【0149】
上述した参照文献および公報の全てをここに引用する。
【0150】
同等の内容
当業者には、通常の実験を用いて、ここに記載した特定の方法の数多くの同等な内容が理解され、確認される。このような同等の内容は、本発明の範囲内にあると考えられ、以下の請求の範囲により包含される。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1A】図1Aは、生物学的試料から得られた標的核酸分子(T)の内部に含まれている1つの標的検出サイト(TDS)についての質量分析解析の実行のための方法を示す略図である。特異的捕捉配列(C)が固体支持体(SS)にスペーサー(S)を介して取り付けられている。この捕捉配列は、標的捕捉サイト(TCS)として知られている標的核酸分子(T)上の相補的な配列と特異的にハイブリダイズするように選択される。スペーサー(S)は、邪魔されないハイブリダイゼーションを実現する。TDSに相補的である検出核酸配列(D)を、続いてTDSに接触させる。DとTDSとの間のハイブリダイゼーションはマススペクトルによって検出可能である。
【図1B】図1Bは、固体支持体への直接結合を介した、少なくとも1つの標的検出サイト(ここではTDS1およびTDS2)についての質量分析解析の実行のための方法を示す略図である。標的検出サイト(TDS1およびTDS2)を含む標的配列(T)は、標的核酸分子(T)上の適当な官能基(L’)と固体支持体上の適当な官能基(L)との間に形成された可逆的または不可逆的結合の形成を介して固体支持体上に固定化されている。標的検出サイト(TDS1およびTDS2)に相補的な検出核酸配列(ここではD1およびD2)を、続いてTDSと接触させる。TDS1およびD1、および/または、TDS2とDSとの間のハイブリダイゼーションは分子量の違いに基づいて検出および区別することができる。
【図1C】図1Cは、標的(T)核酸分子中の野生型(Dwt)および/または変異型(Dmut)配列の検出のための方法を示す略図である。図1Aのように、特異的捕捉配列(C)がスペーサー(S)を介して固体支持体に取り付けられている。それに加えて、捕捉配列は標的配列(T)上の相補的な配列、ハイブリダイゼーションによって検出されるべき標的捕捉配列(TCS)と、特異的に相互作用するように選択される。しかしながら、標的検出サイト(TDS)が、分子量を変化させる変異Xを含有していた場合は、変異標的検出サイトは質量分析によって野生型から区別することができる。好ましくは、検出核酸分子(D)は、変異が分子の内部で起こり、それ故に、野生型検出オリゴヌクレオチド(Dwt)が標的検出検出配列と接触される、対照としてなどの場合に、安定なハイブリッドに到達しないように設計されている。変異はまた、変異位置にマッチした変異検出オリゴヌクレオチド(Dmut)がハイブリダイゼーションに用いられた場合にも検出可能である。生物学的試料から得られた核酸分子が特定の配列に関して異型接合である(すなわちDwtおよびDmutの両方を含む)場合には、DwtおよびDmutの両方が適当な鎖に結合し、質量の違いによりDwtおよびDmutの両方を同時に検出することが可能である。
【図2】図2は、対応する検出オリゴヌクレオチドを用いることにより、1つの標的配列上で同時にいくつかの変異が検出される方法を示したものである。検出オリゴヌクレオチドD1、D2およびD3の間の分子量の違いは、同時の検出(多重化)が可能であるように大きくなければならない。このことは、配列それ自体(組成または長さ)により、または質量改変官能基M1−M3の検出オリゴヌクレオチド中への導入のより実現することができる。
【図3】図3はさらに別の多重検出形式を示す略図である。この実施態様においては、区別は、位置特異的に平面表面に固定化された(チップ配列等)異なった特異的捕捉配列を用いることによって成されている。異なった標的配列T1からTnまでが存在する場合、それらの標的捕捉サイトTCS1−TCSnは相補的な固定化捕捉配列C1−Cnと相互作用するであろう。検出は、適切な、それらの配列によるかまたは質量改変官能基M1−Mnにより質量を区別させた、質量の異なる検出オリゴヌクレオチドD1−Dnを用いることによって成される。
【図4】図4は、事前に設計された標的捕捉サイト(TCS)がPCR増幅を用いて標的配列中に取り込まれているフォーマットを示す略図である。ただ1つの鎖のみが捕捉され、その他は除去される(例えば、ビオチンと、ストレプトアビジンでコートされた磁性ビーズとの間の相互作用に基づく等)。ビオチンがプライマー1に取り付けられていた場合、ほかの鎖は適当にTCSによって標識化されてもよい。検出は、上記のように、特異的検出オリゴヌクレオチドDと対応する標的検出サイトTDSとの相互作用を通し、質量分析を介するものである。
【図5】図5は増幅(ここではリガーゼ連鎖反応(LCR))産物がどのように調製され質量分析により検出されるのかを示す略図である。質量の区別は、プライマー(P1からP4それぞれ)に取り付けられた質量改変官能基(M1およびM2)によって成されている。質量分析による検出は直接(即ち、固定化および標的捕捉サイト(TCS)を用いることなく)行われる。複数のLCR反応を平行して、捕捉配列(C)の順序ある配置とすることにより実行することができる。このフォーマットは、質量の区別が十分であれば、ライゲーション産物の分離および質量分析を介した点毎の同定または多重化を可能にしている。
【図6A】図6Aは、転写増幅手順によって増幅された核酸分子の質量分析解析を示す略図である。RNA配列が、そのTCS配列を介して、野生型および変異型標的検出サイトが上記のように適当な検出オリゴヌクレオチド(D)を用いることにより検出可能であるように捕捉される。
【図6B】図6Bは、同じRNA上の2つの異なった(変異)サイトを、質量改変検出オリゴヌクレオチドM1−D1およびM2−D2を用いて同時の方式において検出するための多重化を示す略図である。
【図6C】図6Cは、特定の変異の検出のための、質量改変ジデオキシヌクレオシドまたは3’−デオキシヌクレオシド3リン酸およびRNA依存DNAポリメラーゼ用いた、異なった多重化手順の略図である。他には、DNA依存RNAポリメラーゼおよびリボヌクレオチド3リン酸が用いられてもよい。このフォーマットは、変異部位(X)の4つ塩基全ての可能性の同時の検出を可能としている。
【図7A】図7Aは、生物学的試料から得られた標的核酸分子(T)の内部に含まれている1つの標的検出サイト(TDS)の質量分析解析の実行のための方法を示す略図である。特異的捕捉配列(C)がスペーサー(S)を介して固体支持体(SS)に取り付けられている。捕捉配列は、標的捕捉サイト(TCS)として知られているT上の相補的配列と特異的にハイブリダイズするように選択される。TDSの一部に相補的である核酸分子はTDSの内部にある変異部位(X)のTDS5’とハイブリダイズする。ジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸(pppAdd、pppTdd、pppCdd、pppGdd等)の完全セットおよびDNA依存DNAポリメラーゼの添加は、Xに相補的1つのジデオキシヌクレオシドまたは3’デオキシヌクレオシド3リン酸の添加を可能とする。
【図7B】図7Bは、核酸分子内部の潜在的変異サイト(M)での変異の存在を決定するための質量分析解析を実行するための方法を示す略図である。このフォーマットにより、2本鎖標的核酸分子の対立形質(A)および(B)の両方の、同型接合正常、同型接合変異または異型接合であるかの診断が提供可能であるように、同時に分析することを可能とする。対立形質AおよびBはそれぞれ、Mを含む領域の内部でAおよびBとハイブリダイズする相補的オリゴヌクレオチド(それぞれ(C)および(D))とハイブリダイズする。各々の異型二重体を続いて1本鎖特異的エンドヌクレアーゼと接触させ、Mでのミスマッチが変異の存在を指示し、(C)および/または(D)の分解という結果となるが、これは質量分析により検出可能である。
【図8】図8は、2つの異なったプロモーターを逆位置に有する(例えばSP6およびT7プロモーター)転写ベクターを用いた、検出のための標的DNAの両方の鎖がどのように調製されたかを示す略図である。このフォーマットは異型接合標的検出サイト(TDS)の検出のために特に有用である。SP6またはT7RNAポリメラーゼを用いて、両方の鎖は別々に、または同時に転写される。両方のRNAは、適当な質量が区別された検出オリゴヌクレオチドを用いて、特異的に捕捉、同時に検出可能である。これは、溶液中で直接、または順序ある配置で特異的に固定化された捕捉配列上で多くの標的配列の平行処理の何れかにより達成される。
【図9】図9は、図6、7および8に記載されたように調製されたRNAがどのように、1またはそれより多くのリボヌクレアーゼを用いて特異的に消化され、断片が対応する相補的配列を担持する固体支持体上に捕捉されたかを示す略図である。ハイブリダイゼーションおよび捕捉された標的配列の現実の分子量は、遺伝子中のどこに変異があるか無いかに関して情報を提供する。配置は、点毎に質量分析を用いて分析可能である。DNAは制限エンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼのカクテルを用いて同様に消化できる。変異は、野生型断片の分子量と比較した、特定の個々の断片の異なった分子量により検出可能である。
【図10A】図10Aは、以下の実施例1に記載された実験の結果得られたスペクトルを示す。パネルi)はハイブリダイゼーション前の26merの吸収を示す。パネルii)ハイブリダイゼーション後の遠心の濾液を示す。パネルiii)は50mMクエン酸アンモニウムでの第1の洗浄の後の結果を示す。パネルiv)は50mMクエン酸アンモニウムでの第2の洗浄の後の結果を示す。
【図10B】図10Bは、以下の実施例1に記載された実験の、3回の洗浄/遠心段階の後で得られたスペクトルを示す。
【図10C】図10Cは、以下の実施例1に記載された実験の結果得られた、ハイブリダイズした26merの、ビーズからの、成功した放出を示すスペクトルである。
【図11】図11は、以下の実施例1に記載された実験の結果得られた、ハイブリダイズした40merの、成功した放出を示すスペクトルである。検出効率は、40merよりずっと長い断片もまた放出可能であることを示唆していた。
【図12A】図12は、以下の実施例2に記載された実験の結果得られた、18merおよび19merの、電子スプレー質量分析による、成功した放出および区別を示すスペクトルである。混合物(上)、強調された18merの結果のピーク(中)および強調された19merの結果のピーク(下)。
【図12B】図12は、以下の実施例2に記載された実験の結果得られた、18merおよび19merの、電子スプレー質量分析による、成功した放出および区別を示すスペクトルである。混合物(上)、強調された18merの結果のピーク(中)および強調された19merの結果のピーク(下)。
【図12C】図12は、以下の実施例2に記載された実験の結果得られた、18merおよび19merの、電子スプレー質量分析による、成功した放出および区別を示すスペクトルである。混合物(上)、強調された18merの結果のピーク(中)および強調された19merの結果のピーク(下)。
【図13】図13は、実施例3記載の嚢胞繊維症変異ΔF508の検出のための方法のグラフでの表示である。
【図14】図14は、ΔF508同型接合正常体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図15】図15は、ΔF508異型接合変異体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図16】図16は、ΔF508同型接合正常体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図17】図17は、ΔF508同型接合変異体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図18】図18は、ΔF508異型接合変異体のDNA伸長産物のマススペクトルである。
【図19】図19は、アポリポタンパク質E遺伝子型を実行するための多様な方法のグラフ的表示である。
【図20A】図20は、正常アポリポタンパク質Eの核酸配列(E3対立形質をコード)およびE2およびE4対立形質によってコードされている他のイソ型を示す。
【図20B】図20は、正常アポリポタンパク質Eの核酸配列(E3対立形質をコード)およびE2およびE4対立形質によってコードされている他のイソ型を示す。
【図21A】図21Aは、アポリポタンパク質Eの多様な遺伝子型についての合成制限パターンを示す。
【図21B】図21Bは、アポリポタンパク質Eの多様な遺伝子型についての3.5%MetPhorアガロースゲルにおいて得られた制限パターンを示す。
【図21C】図21Cは、アポリポタンパク質Eの多様な遺伝子型についての12%ポリアクリルアミドゲルにおいて得られた制限パターンを示す。
【図22A】図22Aは、アポリポタンパク質Eの対立形質E2、E3、E4の制限酵素分解によって得られた91、83、72、48および35塩基対の断片の分子量を示すチャートである。
【図22B】図22Bは、同型接合E4アポリポタンパク質E遺伝子型の制限産物のマススペクトルである。
【図23A】図23Aは、同型接合E3アポリポタンパク質E遺伝子型の制限産物のマススペクトルである。
【図23B】図23Bは、同型接合E3/E4アポリポタンパク質E遺伝子型の制限産物のマススペクトルである。
【図24】図24は、10%(5μl)の各々のPCRが充填された7.5%ポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラフである。試料M:pBR322、AluI消化;試料1:血清的分析においてHBV陽性;試料2:同様にHBV陽性;試料3:血清学的分析はされていないが増加されたトランスアミナーゼレベル、肝臓病を示唆;試料4:HBV陰性;試料5:血清学的にHBV陽性;試料6:HBV陰性(−)陰性対照;(+)陽性対照。染色はエチジウムブロミドにより成された。
【図25A】図25Aは、HBV陽性の試料1のマススペクトルである。20754DaのシグナルはHBV関連PCR産物(67ヌクレオチド、計算上の質量:20735Da)を示す。10390Daの質量シグナルは[M+2H]2+信号(計算上:10378Da)を示す。
【図25B】図25Bは、試料3、PCR、血清およびドットブロットベースのアッセイに関してHBV陰性であるもののマススペクトルである。PCR産物は痕跡程度の量のみが生成された。しかしながら、20751Daにおいて、それは曖昧ではなく検出された(計算上:20735Da)。10397Daの質量シグナルは[M+2H]2+分子イオンを示す(計算上:10376Da)。
【図25C】図25Cは、HBV陰性であるがCMV陽性である試料4のマススペクトルである。期待されたように、HIV特異的シグナルは得られなかった。
【図26】図26は、リガーゼ連鎖反応(LCR)において用いられた相補的オリゴヌクレオチドの結合サイトを有するE.coli lacI遺伝子の一部を示す。ここにおいては、野生型配列が示されている。変異体は、ライゲーションのサイトでもあるbp191(太字)での点変異を含む。変異はCからT(GからA、それぞれ)への変化である。このことは、オリゴAとのT−Gミスマッチ(およびオリゴBとのA−Cミスマッチ)に繋がる。
【図27】図27は、エチジウムブロミドで染色された7.5%ポリアクリルアミドゲルである。M:鎖長標準(pUC19DNA、MspI消化)。レーン1:野生型テンプレートでのLCR。レーン2:変異テンプレートでのLCR。レーン3:テンプレート無しのLCR(対照)。ライゲーション産物(50bp)は野生型テンプレートを含む陽性反応においてのみ生成された。
【図28】図28は、2つのプールされた陽性LCRのHPLCクロマトグラムである。
【図29】図29は、同じ条件であるが変異体テンプレートが用いられた場合のHPLCクロマトグラムを示す。ライゲーション産物の小さなシグナルは反応物のテンプレート無しのライゲーション、または(G−T、A−C)ミスマッチでのライゲーションの何れかによるものである。「偽陽性」シグナルは、図28に示された野生型テンプレートでのライゲーション産物のシグナルよりも著しく低い。ライゲーション反応物の解析は「二重ピーク」に繋がっていたが、これは2つのオリゴヌクレオチドは5’−リン酸化されていたからである。
【図30A】図30のaにおいては、Pfu DNAリガーゼ溶液のMALDI−TOF−MS解析によって得られた複合体シグナルパターンが示されている。bにおいては、精製されていないLCRのMALDI−TOFスペクトルが示されている。質量シグナル67569Daが、おそらくPfu DNAリガーゼを示しているのであろう。
【図30B】図30のaにおいては、Pfu DNAリガーゼ溶液のMALDI−TOF−MS解析によって得られた複合体シグナルパターンが示されている。bにおいては、精製されていないLCRのMALDI−TOFスペクトルが示されている。質量シグナル67569Daが、おそらくPfu DNAリガーゼを示しているのであろう。
【図31A】図31は、2つのプールされた陽性LCRのMALDI−TOFスペクトルを示す(a)。7523DaのシグナルはライゲーションされていないオリゴA(計算上:7521Da)を示し、一方で15449Daは、ライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。3774Daのシグナルは、オリゴAの[M+2H]2+のシグナルである。2000Da未満の質量範囲のシグナルはマトリックスイオンによる。このスペクトルは、図2aのレーン1および図2bのクロマトグラムに対応する。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(変異テンプレート)のスペクトルが示されている。7517Daのシグナルは、オリゴA(計算上:7521Da)を示す。cにおいては、2つのプールされた対照反応のスペクトル(サケ精子DNAをテンプレートとして)が示されている。約2000Da前後の質量範囲におけるシグナルは、Tween20によるものである。
【図31B】図31は、2つのプールされた陽性LCRのMALDI−TOFスペクトルを示す(a)。7523DaのシグナルはライゲーションされていないオリゴA(計算上:7521Da)を示し、一方で15449Daは、ライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。3774Daのシグナルは、オリゴAの[M+2H]2+のシグナルである。2000Da未満の質量範囲のシグナルはマトリックスイオンによる。このスペクトルは、図2aのレーン1および図2bのクロマトグラムに対応する。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(変異テンプレート)のスペクトルが示されている。7517Daのシグナルは、オリゴA(計算上:7521Da)を示す。cにおいては、2つのプールされた対照反応のスペクトル(サケ精子DNAをテンプレートとして)が示されている。約2000Da前後の質量範囲におけるシグナルは、Tween20によるものである。
【図32】図32は、サケ精子DNAのみが陰性対照として用いられた、2つのプールされたLCRから得られたスペクトルを示し、期待されたように、オリゴAのみが検出された。
【図33A】図33は、2つのプールされた陽性LCRのスペクトルを示す(a)。精製は、限外濾過およびストレプトアビジンDynaBeadsを組み合わせて本文記載のとおりに行った。15448Daのシグナルはライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。7527のシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。3761Daは、オリゴAの[M+2H]2+シグナルを示し、一方5140Daのシグナルはライゲーション産物の[M+3H]2+シグナルである。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(テンプレート無し)のスペクトルが示されている。7514DaのシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。
【図33B】図33は、2つのプールされた陽性LCRのスペクトルを示す(a)。精製は、限外濾過およびストレプトアビジンDynaBeadsを組み合わせて本文記載のとおりに行った。15448Daのシグナルはライゲーション産物(計算上:15450Da)を示す。7527のシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。3761Daは、オリゴAの[M+2H]2+シグナルを示し、一方5140Daのシグナルはライゲーション産物の[M+3H]2+シグナルである。bにおいては、2つのプールされた陰性LCR(テンプレート無し)のスペクトルが示されている。7514DaのシグナルはオリゴA(計算上:7521Da)を示す。
【図34A】図34は、変異検出プライマーbの、ddTTP(A)またはddCTP(B)をそれぞれ反応混合物中で用いたオリゴ塩基伸長の模式的表示である。理論上の質量計算は括弧内に示されている。示されている配列は、最も普通の嚢胞繊維症変異ΔF508およびかなりまれな変異Δ1507並びにIle506Serを担持するCFTR遺伝子のエクソン10の部分である。
【図34B】図34は、変異検出プライマーbの、ddTTP(A)またはddCTP(B)をそれぞれ反応混合物中で用いたオリゴ塩基伸長の模式的表示である。理論上の質量計算は括弧内に示されている。示されている配列は、最も普通の嚢胞繊維症変異ΔF508およびかなりまれな変異Δ1507並びにIle506Serを担持するCFTR遺伝子のエクソン10の部分である。
【図35A】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35B】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35C】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35D】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35E】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35F】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35G】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図35H】図35は、沈殿された変異検出のためのオリゴ塩基伸長プライマーから直接記録されたMALDI−TOF−MSスペクトルである。各々のパネル(それぞれddTTPまたはddCTP)の頂上のスペクトルは、さらなる伸長反応のなかったアニーリングしたプライマー(CF508)を示す。診断テンプレートはそれぞれのスペクトルの下に見られ、観察された/期待される分子量は括弧内に記載されている。
【図36】図36は、修飾されていない7−デアザプリン含有99merおよび200mer核酸のPCR増幅のためのテンプレートとして用いられたpRFc1 DNAの配列の部分、並びに19merプライマーおよび2つの18mer逆プライマーの配列を示す。
【図37】図37は、修飾されていない7−デアザプリン含有103mer核酸のPCR増幅のためのテンプレートとして用いられたM13mp18RFI DNAのヌクレオチド配列の部分を示す。同時に示されているのはPCRにおいて用いられた17merプライマーのヌクレオチド配列である。
【図38】図38は、MALDI−TOF MS解析のために精製され濃縮されたPCR産物のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。M:鎖長マーカー、レーン1:7−デアザプリン含有99merPCR産物、レーン2:非修飾99mer、レーン3:7−デアザプリン含有103merおよびレーン4:非修飾103merPCR産物。
【図39】図39は、5’−[32P]−標識されたプライマー1および4で行ったPCR反応のポリアクリルアミドゲル電気泳動のオートラジオグラムである。レーン1および2:非修飾および7−デアザプリン修飾103merPCR産物(53321および23520カウント)、レーン3および4:非修飾および7−デアザプリン修飾200merPCR産物(71123および39582カウント)、およびレーン5および6:非修飾および7−デアザプリン修飾99merPCR産物(173216および94400カウント)。
【図40A】図40Aは、非修飾103merのPCR産物の(12のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(31768uおよび31759u)の平均値は31763uである。質量分解能:18。
【図40B】図40Bは、7−デアザプリン含有103merのPCR産物の(3つのシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(31727uおよび31719u)の平均値は31723uである。質量分解能:67。
【図41A】図41Aは、非修飾99merのPCR産物の(20のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量は(30261uおよび30794u)である。
【図41B】図41Bは、7−デアザプリン含有99merのPCR産物の(12のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量は(31727uおよび31719u)である。
【図42A】図42Aは、非修飾200merのPCR産物の(30のシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(61873uおよび61595u)の平均値は61734uである。質量分解能:28。
【図42B】図42Bは、7−デアザプリン含有200merのPCR産物の(30つのシングルショットスペクトルの合計)MALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(61772uおよび61514u)の平均値は61643uである。質量分解能:39。
【図43A】図43Aは、リボ改変プライマーを用いた7−デアザプリン含有100merのPCR産物のMALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(30529uおよび31095u)の平均値は30812uである。
【図43B】図43Bは、加水分解的プライマー分解後のPCR産物のMALDI−TOFマススペクトルを示す。2つの一本鎖について計算された分子量(25104uおよび25229u)の平均値は25167uである。分解されたプライマーの平均値(5437uおよび5918u)は5677uである。
【図44A】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図44B】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図44C】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図44D】図44A−Dは、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された39merテンプレート(配列番号15)から得られた、4つの配列決定ラダーの固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。14merプライマー(配列番号14)を配列決定に用いた。
【図45】図45は、3’ビオチニル化を介してストレプトアビジンビーズに固定化された78merテンプレート(配列番号15)の固体状態配列決定のMALDI−TOFマススペクトルを示す。18merプライマー(配列番号16)およびddGTPを配列決定に用いた。
【図46】図46は、一本鎖突出を有する二重DNAプローブが特定のDNAを捕捉し、固体状態シークエンスのためのプライマーとしても機能するスキームを示している。
【図47A】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図47B】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図47C】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図47D】図47A−Dは、3’ビオチニル化18mer(配列番号20)とアニーリングし、5塩基突出し、15merテンプレート(配列番号21)を捕捉したとことの5’蛍光標識された23mer(配列番号19)MALDI−TOFマススペクトルを示す。
【図48】図48は図35に記載された反応から得られた同じ産物の、従来のDNAシークエンサー上で分析されたスタッキング・フルログラム(stacking flurogram)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1以上の標的核酸を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該試料からの核酸を質量分析により分析する工程、および
b)特定の分子量により該標的核酸を検出する工程。
【請求項2】
試料中の1以上の標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)1以上の検出オリゴヌクレオチドを1以上の核酸分子にハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしていない検出オリゴヌクレオチドを除去する工程、および
b)工程a)の産物を質量分析により分析する工程、ここで質量分析による検出オリゴヌクレオチドの検出は、該試料における該標的核酸配列の存在を示すものである。
【請求項3】
試料中の1以上の標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む1以上の核酸分子を増幅し、それにより増幅された標的核酸配列を得る工程、
b)該増幅された標的核酸配列に1以上の検出オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしていない検出オリゴヌクレオチドを除去する工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により分析する工程、ここで質量分析による検出オリゴヌクレオチドの検出は、該試料における該標的核酸配列の存在を示すものである。
【請求項4】
1以上の標的核酸および検出オリゴヌクレオチドが質量分析による分析に先立って調整されている、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
試料中の1以上の標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)1以上の核酸分子を増幅する工程、および
b)該増幅された核酸分子を質量分析により分析する工程、ここで質量分析による標的核酸配列の検出は、該試料における該標的核酸配列の存在を示すものである。
【請求項6】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸にオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、および
c)ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを該標的核酸の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項7】
試料中の標的核酸配列の存在を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子に対して、第一フォワードプライマーおよび第一リバースプライマーを含み該標的核酸配列の少なくとも一部分を含む該核酸分子の一部分を増幅し得る第一ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第一増幅産物を生成させる工程、
b)該第一増幅産物に対して、第二フォワードプライマーおよび第二リバースプライマーを含み該標的核酸配列の少なくとも一部分を含む該第一増幅産物の少なくとも一部分を増幅し得る第二ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第二増幅産物を生成させる工程、および
c)該増幅産物を質量分析により検出し、それにより、該試料における該標的核酸配列の存在を検出する工程。
【請求項8】
複数の核酸分子中に存在する標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)複数の核酸分子に対して、複数の第一フォワードプライマーおよび複数の第一リバースプライマーを含む第一プライマーペアを含む第一ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第一増幅産物を生成させる工程、ここで第一プライマーペアは標的核酸配列の少なくとも一部分を含む核酸分子の一部分を増幅し得る、
b)該第一増幅産物に対して、複数の第二フォワードプライマーおよび複数の第二リバースプライマーを含む第二プライマーペアを含む第二ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第二増幅産物を生成させる工程、ここで第二プライマーペアは標的核酸配列の少なくとも一部分を含む第一増幅産物の少なくとも一部分を増幅し得る、および
c)該増幅産物を質量分析により検出し、それにより、該複数の核酸分子中に存在する標的核酸配列を検出する工程。
【請求項9】
試料中に存在する標的核酸配列が正常型または変異型のいずれであるかを同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を、該標的核酸配列の変異含有部分にハイブリダイズするのに十分な3’末端塩基相補性を有する変異型プライマー(M)、またはMと同じ該標的核酸の部分において野生型配列にハイブリダイズするのに十分な3’末端塩基相補性を有する、Mと区別し得る正常型プライマー(N)とハイブリダイズさせる工程、
b)工程a)の産物をポリメラーゼ酵素およびヌクレオシド3リン酸と接触させ、それにより、Nが該標的核酸配列にハイブリダイズしかつ該ヌクレオシド3リン酸が鋳型標的核酸配列中の次の塩基に相補的であるならばNから伸張が始まる、あるいは、Mが該標的核酸配列にハイブリダイズしかつ該ヌクレオシド3リン酸が鋳型標的核酸配列中の次の塩基に相補的であるならばMから伸張が始まる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により検出する、ここで該産物の分子量は該標的核酸配列が正常型か変異型かを示す工程。
【請求項10】
核酸分子中に存在する標的ヌクレオチドを同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)核酸分子を該核酸分子に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドと、該標的ヌクレオチドに隣接する部位でハイブリダイズさせる工程、
b)該標的ヌクレオチドに相補的なジデオキシヌクレオシドまたは3’−デオキシヌクレオチシド3リン酸のみがプライマーを伸張するように、工程a)の産物を、完全な一組のジデオキシヌクレオシド3リン酸または3’−デオキシヌクレオシド3リン酸およびポリメラーゼと接触させる工程、および
c)該プライマーを質量分析により検出し、それにより、該標的ヌクレオチドを同定する工程。
【請求項11】
複数の核酸分子中に存在する標的ヌクレオチドを同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)複数の核酸分子を、標的ヌクレオチドに直接隣接する部位に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それにより、1以上のハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、ここで複数の核酸分子のうちの1つまたは該プライマーの伸張産物にハイブリダイズするプライマーは、複数の異なる核酸分子にハイブリダイズする各プライマーまたはその伸張産物と区別可能である、
b)該標的ヌクレオチドに相補的なジデオキシヌクレオシド3リン酸または3’−デオキシヌクレオシド3リン酸のみがハイブリダイズしたプライマーを伸張するように、ハイブリダイズしたプライマーを完全な一組のジデオキシヌクレオシド3リン酸または3’−デオキシヌクレオシド3リン酸およびDNA依存DNAポリメラーゼと接触させる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析で分析し、それにより、該複数の核酸分子中に存在する該標的ヌクレオチドを同定する工程。
【請求項12】
標的核酸配列中に変異が存在するかを決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む核酸分子を、変異を含むと推測される領域に隣接する該標的核酸配列の配列に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それによりハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、
b)該ハイブリダイズしたプライマーを
i)3つのデオキシヌクレオシド3リン酸、
ii)ジデオキシヌクレオシド3リン酸および3’−デオキシヌクレオシド3リン酸からなる群より選択される鎖停止ヌクレオチド、ここで該鎖停止ヌクレオチドは欠けているデオキシヌクレオシド3リン酸に相当する、
iii)DNAポリメラーゼ、
に接触させ、ハイブリダイズしたプライマーを鎖停止ヌクレオチドが組み込まれるまで伸張させ、それにより伸長したプライマーを生成させる工程、および
c)該伸長したプライマーを質量分析により分析し、それにより、変異が該標的核酸配列中に存在するかを決定する工程。
【請求項13】
複数の標的核酸配列中に含まれる標的核酸配列中に変異が存在するかを決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む複数の核酸分子中の各核酸分子を、変異を含むと推測される領域に隣接する標的核酸配列の配列に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それにより、ハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、ここで複数の標的核酸配列のうちの1つにハイブリダイズするプライマーは、複数の異なる標的核酸配列にハイブリダイズする各プライマーと区別可能である、
b)該ハイブリダイズしたプライマーを
i)3つのデオキシヌクレオシド3リン酸、
ii)ジデオキシヌクレオシド3リン酸および3’−デオキシヌクレオシド3リン酸からなる群から選択される鎖停止ヌクレオチド、ここで該鎖停止ヌクレオチドは欠けているデオキシヌクレオシド3リン酸に相当する、
iii)DNAポリメラーゼ、
に接触させ、ハイブリダイズしたプライマーを鎖停止ヌクレオチドが組み込まれるまで伸張させ、それにより伸長したプライマーを生成させる工程、および
c)該伸長したプライマーを質量分析により分析し、それにより、変異が該標的核酸配列中に存在するかを決定する工程。
【請求項14】
標的核酸配列中に変異が存在するかを決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子を、変異を含むと推測される領域に隣接する標的核酸配列の配列に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それにより、ハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、
b)該ハイブリダイズしたプライマーを
i)デオキシヌクレオシド3リン酸、
ii)ジデオキシヌクレオシド3リン酸および3’−デオキシヌクレオシド3リン酸からなる群より選択される鎖停止ヌクレオチド、および
iii)DNAポリメラーゼ、
に接触させ、ハイブリダイズしたプライマーを鎖停止ヌクレオチドが組み込まれるまで伸張させ、それにより伸長したプライマーを生成させる工程、および
c)該伸長したプライマーを質量分析により分析し、それにより、変異が該標的核酸配列中に存在するかを決定する工程。
【請求項15】
核酸分子内の標的配列中の変異の存在または非存在を同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子を、変異を含み得る標的核酸配列の領域に相補的なオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせ、それにより、ヘテロ二本鎖を形成する工程、
b)該ヘテロ二本鎖を、ミスマッチが存在すればその部位で該ヘテロ二本鎖を切断し得る試薬と接触させ、切断プローブ、切断標的核酸配列、またはその両方を含む切断産物を生成させる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により検出し、それにより、標的核酸配列中の変異の存在または非存在を同定する工程。
【請求項16】
複数の標的核酸配列中の1以上の変異の存在または非存在を同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む複数の核酸分子を、変異を含み得る標的核酸配列の領域に相補的な複数のオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせ、それにより、区別可能な1以上のヘテロ二本鎖を形成する工程、ここで複数の標的核酸配列のうちの1つにハイブリダイズするプローブは、異なる標的核酸配列にハイブリダイズする各プローブと区別可能である、
b)1以上のヘテロ二本鎖を、ミスマッチが存在すればその部位で該ヘテロ二本鎖を切断し得る試薬と接触させ、切断プローブ、切断標的核酸、またはその両方を含む切断産物を生成させる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により検出し、それにより、複数の各標的核酸配列中の変異の存在または非存在を同定する工程。
【請求項17】
試料中の1以上の標的核酸を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)少なくとも1つのヌクレアーゼを用いて1以上の核酸を消化し、それにより、消化断片を生成させる工程、および
b)該消化断片を質量分析により分析する工程、ここで、質量分析による標的核酸の検出は該試料中の該標的核酸配列の存在を示す。
【請求項18】
試料中に存在する標的核酸配列中の少なくとも1つの塩基を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)各DNA鎖に対する1セットのライゲーション反応物およびDNAリガーゼを用いて少なくとも1つの該標的核酸配列のハイブリダイゼーションを行い、それによりライゲーション産物を形成させる工程、および
b)該ライゲーション産物を質量分析により検出し、得られた値を既知の値と比較して該標的核酸配列中の少なくとも1つの塩基を決定する工程。
【請求項19】
標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子にプライマーをハイブリダイズさせる工程、ここで該プライマーは該標的核酸配列に向かって3’方向に伸張し得、該プライマーの5’末端は該伸張産物から選択的に切断され得る、
b)ポリメラーゼを用いて該プライマーを伸張させ、伸張産物を生成させる工程、
c)該伸張産物から該プライマーの5’末端を選択的に切断し、プライマーの一部分および切断伸張産物を生成させる工程、および
d)該切断伸張産物を質量分析により検出する工程。
【請求項20】
標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む核酸分子に第一プライマーおよび第二プライマーをハイブリダイズさせる工程、ここで該第一プライマーは該標的核酸配列に向かって3’方向に伸張し得、該プライマーの5’末端は該伸張産物から選択的に切断され得、該第二プライマーは該第一プライマーに向かって3’方向に伸張し得る、
b)該標的核酸配列を増幅し、二本鎖増幅産物を生成させる工程、
c)該増幅産物中の第一プライマーの5’末端を選択的に切断し、5’部分および3’部分を含む切断されたプライマー伸張産物を含む二本鎖増幅産物を生成させる工程、
d)工程c)の産物を変性させる工程、および
e)該切断されたプライマー伸張産物の3’部分を質量分析により検出する工程。
【請求項21】
標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む核酸分子に第一および第二プライマーをハイブリダイズさせる工程、ここでプライマーはその3’末端に選択的切断可能部位を含む、
b)該標的配列を増幅させる工程、
c)得られた産物を該選択的切断可能部位で切断する工程、および
d)該切断産物を質量分析により分析し、それにより、該標的配列を検出する工程。
【請求項22】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸に第一オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、
c)該標的核酸の隣接領域に第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、および
d)ハイブリダイズした第一オリゴヌクレオチドを該標的核酸の配列の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項23】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸に第一オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、および該標的核酸の隣接領域に第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、および
c)該第一オリゴヌクレオチドの一部分を該標的核酸の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項24】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸に第一オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、および該標的核酸の隣接領域に第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、
c)ハイブリダイズした第一および第二オリゴヌクレオチドを切断酵素に接触させ、切断産物を形成させる工程、および
d)該切断産物を該標的核酸の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項25】
標的配列を含む核酸分子を質量分析による分析に先立ってアルキル化剤と接触させる、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項26】
標的配列を含む核酸分子が、脱プリン化に対する感受性を減少させるヌクレオチド、RNA構成単位、ホスホロチオネート官能基、核酸類似体およびタンパク質核酸(PNA)を1以上含む、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項27】
標的核酸がアルキル化されたホスホロチオエート官能基を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
複数の核酸分子が質量分析による分析に先立って固体支持体に固定化されており、固定化がピロホスファターゼにより切断可能な結合によって行なわれる、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項29】
結合がピロホスファターゼにより切断可能な結合によって行なわれる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
核酸分子が質量分析による分析に先立って調整されている、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項31】
核酸分子が固体支持体に固定化されている、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項1】
試料中の1以上の標的核酸を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該試料からの核酸を質量分析により分析する工程、および
b)特定の分子量により該標的核酸を検出する工程。
【請求項2】
試料中の1以上の標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)1以上の検出オリゴヌクレオチドを1以上の核酸分子にハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしていない検出オリゴヌクレオチドを除去する工程、および
b)工程a)の産物を質量分析により分析する工程、ここで質量分析による検出オリゴヌクレオチドの検出は、該試料における該標的核酸配列の存在を示すものである。
【請求項3】
試料中の1以上の標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む1以上の核酸分子を増幅し、それにより増幅された標的核酸配列を得る工程、
b)該増幅された標的核酸配列に1以上の検出オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしていない検出オリゴヌクレオチドを除去する工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により分析する工程、ここで質量分析による検出オリゴヌクレオチドの検出は、該試料における該標的核酸配列の存在を示すものである。
【請求項4】
1以上の標的核酸および検出オリゴヌクレオチドが質量分析による分析に先立って調整されている、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
試料中の1以上の標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)1以上の核酸分子を増幅する工程、および
b)該増幅された核酸分子を質量分析により分析する工程、ここで質量分析による標的核酸配列の検出は、該試料における該標的核酸配列の存在を示すものである。
【請求項6】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸にオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、および
c)ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを該標的核酸の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項7】
試料中の標的核酸配列の存在を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子に対して、第一フォワードプライマーおよび第一リバースプライマーを含み該標的核酸配列の少なくとも一部分を含む該核酸分子の一部分を増幅し得る第一ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第一増幅産物を生成させる工程、
b)該第一増幅産物に対して、第二フォワードプライマーおよび第二リバースプライマーを含み該標的核酸配列の少なくとも一部分を含む該第一増幅産物の少なくとも一部分を増幅し得る第二ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第二増幅産物を生成させる工程、および
c)該増幅産物を質量分析により検出し、それにより、該試料における該標的核酸配列の存在を検出する工程。
【請求項8】
複数の核酸分子中に存在する標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)複数の核酸分子に対して、複数の第一フォワードプライマーおよび複数の第一リバースプライマーを含む第一プライマーペアを含む第一ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第一増幅産物を生成させる工程、ここで第一プライマーペアは標的核酸配列の少なくとも一部分を含む核酸分子の一部分を増幅し得る、
b)該第一増幅産物に対して、複数の第二フォワードプライマーおよび複数の第二リバースプライマーを含む第二プライマーペアを含む第二ポリメラーゼ連鎖反応を行ない、それにより、第二増幅産物を生成させる工程、ここで第二プライマーペアは標的核酸配列の少なくとも一部分を含む第一増幅産物の少なくとも一部分を増幅し得る、および
c)該増幅産物を質量分析により検出し、それにより、該複数の核酸分子中に存在する標的核酸配列を検出する工程。
【請求項9】
試料中に存在する標的核酸配列が正常型または変異型のいずれであるかを同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を、該標的核酸配列の変異含有部分にハイブリダイズするのに十分な3’末端塩基相補性を有する変異型プライマー(M)、またはMと同じ該標的核酸の部分において野生型配列にハイブリダイズするのに十分な3’末端塩基相補性を有する、Mと区別し得る正常型プライマー(N)とハイブリダイズさせる工程、
b)工程a)の産物をポリメラーゼ酵素およびヌクレオシド3リン酸と接触させ、それにより、Nが該標的核酸配列にハイブリダイズしかつ該ヌクレオシド3リン酸が鋳型標的核酸配列中の次の塩基に相補的であるならばNから伸張が始まる、あるいは、Mが該標的核酸配列にハイブリダイズしかつ該ヌクレオシド3リン酸が鋳型標的核酸配列中の次の塩基に相補的であるならばMから伸張が始まる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により検出する、ここで該産物の分子量は該標的核酸配列が正常型か変異型かを示す工程。
【請求項10】
核酸分子中に存在する標的ヌクレオチドを同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)核酸分子を該核酸分子に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドと、該標的ヌクレオチドに隣接する部位でハイブリダイズさせる工程、
b)該標的ヌクレオチドに相補的なジデオキシヌクレオシドまたは3’−デオキシヌクレオチシド3リン酸のみがプライマーを伸張するように、工程a)の産物を、完全な一組のジデオキシヌクレオシド3リン酸または3’−デオキシヌクレオシド3リン酸およびポリメラーゼと接触させる工程、および
c)該プライマーを質量分析により検出し、それにより、該標的ヌクレオチドを同定する工程。
【請求項11】
複数の核酸分子中に存在する標的ヌクレオチドを同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)複数の核酸分子を、標的ヌクレオチドに直接隣接する部位に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それにより、1以上のハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、ここで複数の核酸分子のうちの1つまたは該プライマーの伸張産物にハイブリダイズするプライマーは、複数の異なる核酸分子にハイブリダイズする各プライマーまたはその伸張産物と区別可能である、
b)該標的ヌクレオチドに相補的なジデオキシヌクレオシド3リン酸または3’−デオキシヌクレオシド3リン酸のみがハイブリダイズしたプライマーを伸張するように、ハイブリダイズしたプライマーを完全な一組のジデオキシヌクレオシド3リン酸または3’−デオキシヌクレオシド3リン酸およびDNA依存DNAポリメラーゼと接触させる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析で分析し、それにより、該複数の核酸分子中に存在する該標的ヌクレオチドを同定する工程。
【請求項12】
標的核酸配列中に変異が存在するかを決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む核酸分子を、変異を含むと推測される領域に隣接する該標的核酸配列の配列に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それによりハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、
b)該ハイブリダイズしたプライマーを
i)3つのデオキシヌクレオシド3リン酸、
ii)ジデオキシヌクレオシド3リン酸および3’−デオキシヌクレオシド3リン酸からなる群より選択される鎖停止ヌクレオチド、ここで該鎖停止ヌクレオチドは欠けているデオキシヌクレオシド3リン酸に相当する、
iii)DNAポリメラーゼ、
に接触させ、ハイブリダイズしたプライマーを鎖停止ヌクレオチドが組み込まれるまで伸張させ、それにより伸長したプライマーを生成させる工程、および
c)該伸長したプライマーを質量分析により分析し、それにより、変異が該標的核酸配列中に存在するかを決定する工程。
【請求項13】
複数の標的核酸配列中に含まれる標的核酸配列中に変異が存在するかを決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む複数の核酸分子中の各核酸分子を、変異を含むと推測される領域に隣接する標的核酸配列の配列に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それにより、ハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、ここで複数の標的核酸配列のうちの1つにハイブリダイズするプライマーは、複数の異なる標的核酸配列にハイブリダイズする各プライマーと区別可能である、
b)該ハイブリダイズしたプライマーを
i)3つのデオキシヌクレオシド3リン酸、
ii)ジデオキシヌクレオシド3リン酸および3’−デオキシヌクレオシド3リン酸からなる群から選択される鎖停止ヌクレオチド、ここで該鎖停止ヌクレオチドは欠けているデオキシヌクレオシド3リン酸に相当する、
iii)DNAポリメラーゼ、
に接触させ、ハイブリダイズしたプライマーを鎖停止ヌクレオチドが組み込まれるまで伸張させ、それにより伸長したプライマーを生成させる工程、および
c)該伸長したプライマーを質量分析により分析し、それにより、変異が該標的核酸配列中に存在するかを決定する工程。
【請求項14】
標的核酸配列中に変異が存在するかを決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子を、変異を含むと推測される領域に隣接する標的核酸配列の配列に相補的なプライマーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、それにより、ハイブリダイズしたプライマーを生成させる工程、
b)該ハイブリダイズしたプライマーを
i)デオキシヌクレオシド3リン酸、
ii)ジデオキシヌクレオシド3リン酸および3’−デオキシヌクレオシド3リン酸からなる群より選択される鎖停止ヌクレオチド、および
iii)DNAポリメラーゼ、
に接触させ、ハイブリダイズしたプライマーを鎖停止ヌクレオチドが組み込まれるまで伸張させ、それにより伸長したプライマーを生成させる工程、および
c)該伸長したプライマーを質量分析により分析し、それにより、変異が該標的核酸配列中に存在するかを決定する工程。
【請求項15】
核酸分子内の標的配列中の変異の存在または非存在を同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子を、変異を含み得る標的核酸配列の領域に相補的なオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせ、それにより、ヘテロ二本鎖を形成する工程、
b)該ヘテロ二本鎖を、ミスマッチが存在すればその部位で該ヘテロ二本鎖を切断し得る試薬と接触させ、切断プローブ、切断標的核酸配列、またはその両方を含む切断産物を生成させる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により検出し、それにより、標的核酸配列中の変異の存在または非存在を同定する工程。
【請求項16】
複数の標的核酸配列中の1以上の変異の存在または非存在を同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む複数の核酸分子を、変異を含み得る標的核酸配列の領域に相補的な複数のオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせ、それにより、区別可能な1以上のヘテロ二本鎖を形成する工程、ここで複数の標的核酸配列のうちの1つにハイブリダイズするプローブは、異なる標的核酸配列にハイブリダイズする各プローブと区別可能である、
b)1以上のヘテロ二本鎖を、ミスマッチが存在すればその部位で該ヘテロ二本鎖を切断し得る試薬と接触させ、切断プローブ、切断標的核酸、またはその両方を含む切断産物を生成させる工程、および
c)工程b)の産物を質量分析により検出し、それにより、複数の各標的核酸配列中の変異の存在または非存在を同定する工程。
【請求項17】
試料中の1以上の標的核酸を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)少なくとも1つのヌクレアーゼを用いて1以上の核酸を消化し、それにより、消化断片を生成させる工程、および
b)該消化断片を質量分析により分析する工程、ここで、質量分析による標的核酸の検出は該試料中の該標的核酸配列の存在を示す。
【請求項18】
試料中に存在する標的核酸配列中の少なくとも1つの塩基を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)各DNA鎖に対する1セットのライゲーション反応物およびDNAリガーゼを用いて少なくとも1つの該標的核酸配列のハイブリダイゼーションを行い、それによりライゲーション産物を形成させる工程、および
b)該ライゲーション産物を質量分析により検出し、得られた値を既知の値と比較して該標的核酸配列中の少なくとも1つの塩基を決定する工程。
【請求項19】
標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸配列を含む核酸分子にプライマーをハイブリダイズさせる工程、ここで該プライマーは該標的核酸配列に向かって3’方向に伸張し得、該プライマーの5’末端は該伸張産物から選択的に切断され得る、
b)ポリメラーゼを用いて該プライマーを伸張させ、伸張産物を生成させる工程、
c)該伸張産物から該プライマーの5’末端を選択的に切断し、プライマーの一部分および切断伸張産物を生成させる工程、および
d)該切断伸張産物を質量分析により検出する工程。
【請求項20】
標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む核酸分子に第一プライマーおよび第二プライマーをハイブリダイズさせる工程、ここで該第一プライマーは該標的核酸配列に向かって3’方向に伸張し得、該プライマーの5’末端は該伸張産物から選択的に切断され得、該第二プライマーは該第一プライマーに向かって3’方向に伸張し得る、
b)該標的核酸配列を増幅し、二本鎖増幅産物を生成させる工程、
c)該増幅産物中の第一プライマーの5’末端を選択的に切断し、5’部分および3’部分を含む切断されたプライマー伸張産物を含む二本鎖増幅産物を生成させる工程、
d)工程c)の産物を変性させる工程、および
e)該切断されたプライマー伸張産物の3’部分を質量分析により検出する工程。
【請求項21】
標的核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該標的核酸配列を含む核酸分子に第一および第二プライマーをハイブリダイズさせる工程、ここでプライマーはその3’末端に選択的切断可能部位を含む、
b)該標的配列を増幅させる工程、
c)得られた産物を該選択的切断可能部位で切断する工程、および
d)該切断産物を質量分析により分析し、それにより、該標的配列を検出する工程。
【請求項22】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸に第一オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、
c)該標的核酸の隣接領域に第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、および
d)ハイブリダイズした第一オリゴヌクレオチドを該標的核酸の配列の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項23】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸に第一オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、および該標的核酸の隣接領域に第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、および
c)該第一オリゴヌクレオチドの一部分を該標的核酸の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項24】
核酸配列を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を単離する工程、
b)該標的核酸に第一オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、および該標的核酸の隣接領域に第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程、
c)ハイブリダイズした第一および第二オリゴヌクレオチドを切断酵素に接触させ、切断産物を形成させる工程、および
d)該切断産物を該標的核酸の存在の指標として質量分析により検出する工程。
【請求項25】
標的配列を含む核酸分子を質量分析による分析に先立ってアルキル化剤と接触させる、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項26】
標的配列を含む核酸分子が、脱プリン化に対する感受性を減少させるヌクレオチド、RNA構成単位、ホスホロチオネート官能基、核酸類似体およびタンパク質核酸(PNA)を1以上含む、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項27】
標的核酸がアルキル化されたホスホロチオエート官能基を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
複数の核酸分子が質量分析による分析に先立って固体支持体に固定化されており、固定化がピロホスファターゼにより切断可能な結合によって行なわれる、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項29】
結合がピロホスファターゼにより切断可能な結合によって行なわれる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
核酸分子が質量分析による分析に先立って調整されている、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【請求項31】
核酸分子が固体支持体に固定化されている、請求項1〜3または5〜24の何れかに記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図35E】
【図35F】
【図35G】
【図35H】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図42A】
【図42B】
【図43A】
【図43B】
【図44A】
【図44B】
【図44C】
【図44D】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図47C】
【図47D】
【図48】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図35E】
【図35F】
【図35G】
【図35H】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図42A】
【図42B】
【図43A】
【図43B】
【図44A】
【図44B】
【図44C】
【図44D】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図47C】
【図47D】
【図48】
【公開番号】特開2006−271382(P2006−271382A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74947(P2006−74947)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【分割の表示】特願平8−528537の分割
【原出願日】平成8年3月18日(1996.3.18)
【出願人】(500092402)シークエノム・インコーポレーテツド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【分割の表示】特願平8−528537の分割
【原出願日】平成8年3月18日(1996.3.18)
【出願人】(500092402)シークエノム・インコーポレーテツド (4)
【Fターム(参考)】
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