説明

赤外抑制材料

約400nmから700nmの波長範囲において9%と70%の間の平均反射率及び約720nmから1100nmの波長範囲において70%より小さいか又は等しい平均反射率を有する近赤外抑制層が記載されている。さらに、かかる近赤外層から作られた物品であって、物品全体の視覚シェードを実質的に変えることなく望ましい低減したnIR反射を与える物品が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線を抑制する一方、可視波長スペクトルにおける良好なシェードも保持する赤外抑制材料に関する。
【背景技術】
【0002】
狩猟家により及び軍人により用いられる迷彩布地材料は、典型的には、電磁放射スペクトルの可視領域(400〜700nm)において迷彩を与える。用語「可視」及び「可視迷彩」は、本明細書において、電磁スペクトルの可視領域(400nmから700nmの波長)において十分な反射率を示し、その結果補助なしの人間の目により見られ得る材料を指すために用いられる。用語「シェード」、「シェード偏差」、等は、MIL−PRF−32142、MIL−DTL 31011B及び31011A又はAATCCにより決定されるような色の偏差を指す。受容可能なシェード偏差は、迷彩がプリントされた積層体の色及び外観が、AATCCの評価手順9、オプションAを用いて100±20フットキャンドルの照度と共に7500±200Kの色温度を備えた人工昼光D75光源を近似したフィルター付きタングステンランプ下で観察される場合に標準試料と合致する並びに2300±200Kにおける水平ランプ光下で標準試料にかなり合致するものであり、そして本明細書において「合格」又は「不合格」と特性表示される。
【0003】
全世界のおびただしく多様な環境に因り、可視的に迷彩が施された材料及び非可視的に迷彩が施された材料の両方を含めて、多くの種々の迷彩材料が存在する。これらの迷彩布地材料を作るために、環境の多様性(たとえば森林地帯から砂漠にわたる)により、様々な色及び模様の使用が余儀なくされる。たとえば、軍人の森林地帯用迷彩において、材料は、しばしば、4つの色すなわち黒、ブラウン、緑及びライトグリーンを用いる。軍人の砂漠用迷彩においては、布地材料は、しばしば、3つの色すなわちブラウン、カーキー及びタンを用いる。多くの可視シェード偏差が、これらの2つの例の範囲内でさえ存在する。可視迷彩模様を備えた布地は、典型的には、未染色の(生繊維材料)布地(たとえば織地、編地、不織地、等)表面上に迷彩模様をプリントすることにより又は糸を溶液染色しそしてこれらの糸を引き続いて迷彩模様に織る若しくは編む(たとえばジャカード法を用いて)ことにより製造される。
【0004】
いくつかの用途においては、電磁スペクトルの他の域(可視を越える)において迷彩を与える布地材料を用いることが望ましい。特に、暗視装置に用いられる画像増幅器の進歩が、近赤外(「nIR」)電磁放射スペクトル(すなわち720〜1100nm)における迷彩を改善する必要性を高めてきた。典型的暗視装置は、nIRにおいて特定の感度を有すると共に、可視及びnIRスペクトルにおいて低強度電磁放射を増幅する。可視スペクトルにおける迷彩と同様に、nIRスペクトルにおける迷彩は、その材料及びかくして装着者又は被覆構造体が環境に溶け込むのを可能にする。第1の相違は、可視迷彩とは違って、nIR迷彩はスペクトルの離散バンドの更なる分割(可視においては色分解を生じる)を伴わないことである。かくして、nIRスペクトルにおける有効な迷彩は、材料が全nIRスペクトルにわたって反射又は反射率及び透過率/吸光度の適切なバランスを有することを要求する。加えて、画像増幅器(暗視ゴーグルのような)を用いて物体を検出及び同定する能力もまた、物体のシルエット又は形状を乱す能力に依存する。たとえば服飾品においてこれを達成するために、迷彩布地材料は、しばしば、反射率/透過率の種々のレベル(可視迷彩の模様と同様な模様において少なくとも2つ又は3つのレベルの反射率に分けられる)を有する諸域で構成される。
【0005】
可視及びnIRの両方において望ましい迷彩を達成するための慣用の手段は、未染色布地又は基調シェードに染色された布地が多数の色(可視スペクトル)及びnIR反射率の諸レベルを同時に達成するようにプリントされるプリント法による。最も普通には、カーボンブラックが、生じる布地のnIR反射率を変動させる変動量にて、迷彩用プリントインキ又はペーストに添加される。この技法の不利な点は、カーボンが迷彩布地の所望可視シェードに悪影響し得、そしてしばしば達成することになっている適切な可視迷彩とnIR迷彩の間で妥協(特に、砂漠と同様な極めて明るいシェードを要求する環境において)する結果になることである。加えて、かかるカーボン仕上げ剤で布地を局部的に処理することは、乏しいnIR迷彩耐久性を有する布地材料をもたらすことになり、何故なら局部カーボン仕上げ剤は使用中容易に洗い流され得る及び/又は摩耗し得るからである。
【0006】
記載された用途に適している迷彩布地を作る際の更なる難問は、使用者の快適さが必要であることである。屋外環境において、様々な天候条件における快適さは、布地及び生じる物品が最適な快適さのために防液性で且つ通気性であることを要求する。しかしながら、防液性で通気性のフィルム又は被膜の被覆又は積層により環境防護を与えることもまた、布地の可視及びnIR迷彩特性に影響を及ぼし得る。たとえば、微孔質PTFEを含む防液性で通気性のフィルムの特定の場合において、PTFEフィルムは、しばしば、nIRスペクトルにおいて、そしておそらく可視スペクトルにおいても全体の反射性を増加して、耐久性の環境防護とnIR迷彩の間の望ましくないトレードオフという結果になる。
【0007】
フィルムのIR反射率を変える努力がなされてきた。たとえば、Spijkers等の米国特許第5,859,083号は、5から40nmの平均サイズを有する1から10質量%の微細に分散されたカーボン粒子を含有する水蒸気透過性の防水性ポリエーテルエステル膜を対象とする。Spijker等の目的は、様々な使用のために非常に均質であり、良好なUV安定性を有し且つ高いIR反射率を有する膜を提供することである。
【0008】
Smith等の米国特許出願公開番号US2003/0096546は、第1表面上に迷彩模様そして第2表面上に被膜を備えたベース布地であって、該被膜がカーボンブラック顔料を有するエチレンメチルアクリレート熱可塑性プラスチックであるベース布地を記載する。ベース布地及び被膜は、迷彩のブラインドの内側の狩猟家などの影が迷彩の反対側において目に見えないような可視光透過性を有する。
【0009】
熱像を与える迷彩複合材もまた、多くの研究の主題とされてきた。
【0010】
Johannssonの米国特許第4,560,595号は、用いられることになっているところの自然環境の熱放射特性に合致するように適合された迷彩材料であって、該材料は少なくとも暴露側においてプラスチック材料の層により覆われた反射性の薄い金属層が組み込まれ、しかも該プラスチック層は異なる放射率特性を備えた少なくとも2種のプラスチックが組み込まれている迷彩材料を記載する。Cullerの米国特許第5,955,175号は、可視及びnIR迷彩の有効性又は快適さレベルを損なうことなく、中赤外及び遠赤外領域における像のマスキング性又は抑制性を有する布地材料を記載する。詳細には、この発明は、金属化部分上に疎油性被膜を備えた少なくとも1つの金属化微孔質膜から本質的に成る、通気性、透湿性、防水性で熱反射性の材料を対象とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術の教示にもかかわらず、望ましい結果を達成するように可視スペクトル(すなわち約400〜700nmの波長範囲)における平均反射率とnIRスペクトル(すなわち約720〜1100nmの波長範囲)における平均反射率とのバランスを達成する近赤外抑制層、並びにかかる層が組み込まれている防護布地及び生じる物品に対するニーズが依然として存在している。特に、迷彩布地層に隣接して組み込まれる場合、布地の視覚迷彩を実質的に変えることなく低減nIR反射を与える材料に対するニーズが存在している。これらの改善構造物における耐久性の環境防護のような更なる特徴もまた、入手可能になっていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、視覚迷彩を実質的に変えることなく低減したnIR反射を可能にするところの布地層に隣接した層を提供することにより、以前の技術の障害を克服する。更に、本発明の特定の具体的態様は、耐久性の環境防護と適切なnIR迷彩との好ましいバランスを有する迷彩材料を作る能力を可能にする。驚くべきことに、本発明は、受容可能な視覚迷彩(特に明色に関して)及び低減したnIR反射率を達成する能力を可能にする、ということが分かった。一層驚くべきことに、本発明のいくつかの構造物については、nIR迷彩の耐久性が有意に改善されたことが分かった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
迷彩布地複合材における使用のための近赤外抑制層が提供される。更に、近赤外(「nIR」)抑制複合材であって、衣服におけるハングライナーのような非結合構造物においてであっても、積層体のような結合構造物においてであっても、近赤外抑制層が布地材料に隣接して配置されている複合材が提供される。
【0014】
nIR用途において最適結果を達成するために、高すぎる又は低すぎるのどちらでもないnIR反射率を有する構造物及び最終物品を作ることが望ましい。明らかに、周囲環境に関して高すぎるnIR反射率は、暗視下で明るいシルエットを生じさせる。同等に、低すぎる反射率は、暗視下で周囲環境に関して暗いシルエットを生じさせる。異なる反射率レベルの諸域(すなわちnIR分断模様(disruptive pattern))を備えた物品について、典型的には、非常にnIR抑制性である域、nIR反射性である域及び中程度にのみ反射性である域がある。最適反射率レベルは環境と共に変動する、ということが理解されるであろう。しかしながら、最もnIR抑制性の域が7%又はそれ以下の反射率を有する複合布地及び最終物品を得ることが望ましい、ということはめったにない。物品における最もnIR抑制性の域が10%より小さい反射率を有する、ということは典型的には望ましくない。より反射性である域について、30%より小さいnIR反射率を有することは望ましくない。典型的には、より反射性の域において45%より大きいnIR反射率を有することが好ましい。
【0015】
本発明の別の重要な態様は、nIR抑制層が可視光スペクトルにおいて暗すぎるシェードを示してはならないことである。たとえば、明るいシェードの布地材料の背後に置かれる場合、nIR抑制層のシェードは、決定的に重要であり得る。nIR抑制層が暗すぎる場合、nIR抑制層は、それが背後に置かれているところの迷彩布地のシェードを変える。
【0016】
この迷彩シェードシフト問題の解決策に対する長きにわたる必要性を克服するために、本発明はnIR抑制特性と可視シェード特性の独特の組み合わせを提供する。詳細には、本発明の独特のnIR抑制層は、約720nmから約1,100nmの近赤外波長範囲において70%又はそれ以下の平均反射率及び400nmから700nmの可視波長範囲において7%より大きく且つ70%までの平均反射率を与える。本発明の材料は、昼光環境において観察される場合に黒く見えない。本発明の一つの驚くべき効果は、高いnIR抑制(すなわち70%又はそれ以下の反射)及び約14%と70%の間の400nmから700nmにおける平均反射率が単一のnIR抑制層において達成されることである。
【0017】
提供される本発明のnIR抑制層は、第1側及び第2側を有し、そして少なくとも一方の側が約720nmから約1,100nmの波長範囲において70%又はそれ以下の平均反射を与えるためのnIR吸収特性を有する。かかるnIR抑制層は、好ましくは、迷彩布地と共に用いられそしてnIR波長範囲において入射電磁放射のnIR抑制を与えるようnIR抑制層が迷彩布地の背後に(たとえば迷彩模様とは反対側に)配置されるように構成される。この特徴は特に有用であり、何故ならこの波長範囲における低減した反射性は暗所において暗視スコープでもって観察される場合に物品の可視性を低減するからである。本発明の更なる態様において、nIR吸収特性は、約720nmから約1,100nmの波長範囲において60%より少ない平均反射を与えるように適合され得る。本発明の更に別の態様において、nIR吸収特性は、約720nmから約1,100nmの波長範囲において50%より少ない平均反射を与えるように適合され得る。任意の特定の環境について、好ましい反射率レベルは、本nIR抑制層により隠蔽されるべき物品の背後にある背景の反射率に依存する。たとえば、葉の付いた樹木の背景は、約45%と55%の間のnIR反射率を有する、ということが当該技術において知られている。本発明の物品は樹木で覆われた背景の反射率にほぼ合致する反射率を有するように適合され得る故、該物品は、暗所において暗視器具を通じて観察される場合に可視性が低いように見える。
【0018】
図1に示されているところの本発明の一つの具体的態様において、nIR抑制層(10)は、少なくとも1種のnIR抑制材料が比較的均質であるところのポリマー層で構成されたモノリシックnIR抑制層である。nIR抑制を与えるnIR抑制材料/添加剤は、ポリマーマトリックスに可溶であるか又は別個の粒子として存在するかのどちらかであり得る。どちらの場合においても、nIR抑制材料は、ポリマーマトリックス中に均質に分散されるべきである。本発明のこの態様について有用なポリマーは、最終用途により要求される物理的、熱的及び光学的性能特性を示すいかなるものも包含する。本発明に適したポリマーは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、フルオロポリマー、ポリビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル、シリコーン、エポキシ、合成ゴム、他の熱硬化性ポリマー及びこれらのタイプのコポリマーを包含し得るが、しかしそれらに限定されない。一つの非制限的例は、良好な物理的及び熱機械的性質を備え且つ水蒸気が透過するのを可能にする通気性ポリウレタンである。
【0019】
布地構造物の部材として用いられる場合、モノリシックnIR抑制層(10)は、好ましくは、布地複合材の諸性質に有意に影響を及ぼさないように薄く、可撓性であり且つ軽量である。0.2ミルから約5.0ミルまでの範囲の厚さを有するポリマーフィルムは、この目的のために適している。好ましい具体的態様において、ポリマーフィルムの厚さは、2.0ミルより小さいか又は等しい。一層好ましい具体的態様において、ポリマーフィルムの厚さは、1.0ミルより小さいか又は等しい。
【0020】
本発明の可視及び近赤外電磁特性の独特のバランスを達成するには、明るいシェードの可視的外観を維持しながらベースポリマー材料のnIR反射性を減少し得る近赤外抑制添加剤を必要とする。nIR反射性を減少するのに適した添加剤のある範囲が利用可能である。いくつかの好ましい添加剤は、カーボン、金属、金属酸化物、金属化合物(アルミニウム、酸化アルミニウム、アンチモン、酸化アンチモン、チタン、酸化チタン、セレン化カドミウム、ヒ化ガリウム、等のような、しかしそれらに限定されない)のようなしかしそれらに限定されない無機物質、並びに導電性ポリマー及び英国特許出願番号GB2,222,608Aに記載されたもののようなしかしそれらに限定されない有機物質を包含する。
【0021】
添加剤の充填量は、所望される性質の組み合わせに依存して変動され得る。たとえば、モノリシックnIR抑制層(この層中に他の反射材料は不存在である)の1質量%より少ない程度の、そしてそれどころか0.1質量%くらいの低い量までのカーボンレベルが、驚くべきことに、nIR抑制に有効である一方、物品における優秀なシェード保持を与えることが分かった。nIR抑制層中に他の反射材料が存在する場合、nIR及び可視スペクトルについての吸収及び反射率の所望バランスを達成するために、より高い充填量のカーボンが用いられ得る。
【0022】
逆に、層中に他の反射材料(たとえばTiO2、等)が存在しない場合、5質量%以上の程度のカーボンレベルにおいて、そしてさらには1質量%までのレベルにおいて、生じた膜は補助なしの目にとって黒く見えそしてそれが取り付けられているいかなる明色の布地についてもシェードを暗くする、ということが観察された。これらのカーボン充填量レベルから得られた布地複合材は、付着されている明色の可視迷彩の有意な且つ受容され得ない暗色化を示す。かかる明色シェードシフトは、昼光状況(正確なシェードを有する可視迷彩が最も不可欠である場合でもある)において特に問題をはらむ。
【0023】
図2に示されているところの本発明の別の具体的態様は、基材材料(24)及びnIR抑制材料(22)を含む複合nIR抑制層(20)であり、該nIR抑制材料は単独では本発明のnIRスペクトル基準を満たさない基材材料(24)にnIR抑制を与える。適当な基材材料(24)は、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリオレフィン、ポリエステル及びPTFEのようなしかしそれらに限定されないポリマーを含むモノリシック及び微孔質の膜を包含する。W.L.Gore & Associates, Inc.から入手できる膜のような延伸PTFEが特に有用な基材材料であり、何故ならそれは軽量、高強度で且つ高度に通気性であるように製造され得るからである。好ましい具体的態様において、延伸PTFE微孔質膜は、30g/m2より小さいそして一層好ましくは約20g/m2より小さい単位面積当たりの質量を有する。たとえば本明細書において先に記載されたような添加剤が組み込まれているところのnIR抑制材料(22)は、被膜と基材の間の良好な接着を与えることが可能な任意の手段により、基材材料(24)上に被覆され得る。
【0024】
数多くの被覆方法が、被覆されるべきnIR抑制材料に応じて本発明における使用のために適切であり得る。たとえば、金属化被膜を達成するために蒸着が用いられ得、一方水性又は溶媒性分散液の被覆剤を適用するために浸漬塗布又はパッド塗布が用いられ得る。広範囲のnIR抑制被覆材料を様々な基材に適用するために、水性被覆剤が効果的であると判明した。基材材料がたとえばフルオロポリマーを含む場合、基材材料(24)上におけるnIR抑制材料(22)被覆剤の濡れを改善するために、追加的添加剤が被覆剤に用いられ得る。
【0025】
本発明の更なる具体的態様において、nIR抑制フィルム層は、2つ以上の反射率レベルで構成され得る、ということが認識されるであろう。これは、フィルム層中へのnIR分断模様の組込みを許容する。慣用の迷彩材料はかかるnIR分断層を布地の工芸面に組み込むのに対して、それをフィルム中に組み込むことは、シェードの合致について更に大きい度合いの融通性並びに野外使用及び洗濯に対してnIR抑制の改善された耐久性を与える。nIR内において多数の反射率レベルを成し遂げる一つの方法は、被膜の使用によって又はフィルム表面中に若しくはフィルム表面上にnIR抑制層を吸収(imbibing)させることによってである。上記に記載されたように、これは模様付きグラビア又はスクリーン、等と共に水性法の使用によって達成され得る。かかる方法において、多数の反射レベルを生じさせるために、(布地の迷彩プリントと類似した態様で)選ばれた諸域が種々のレベルのnIR抑制材料で処理される。所望される特定のnIR分断模様を達成するために、模様の特質は、様々なやり方で変えられ得る。本発明の教示と一致して、nIR抑制層(1つの反射率レベルを有する)の反射率を物理的に変えることにより該抑制層を変更することもできる。これは、たとえばその支持層内に2つ以上の反射率レベルを生じさせるように選択域を緻密化する又はすり減らすことによって、いくつかの域を物理的に変更することにより達成され得る。多数のタイプのnIR抑制材料の使用、化学的変性、充填剤入りポリマー上の被覆又はそれらのいずれかの組み合わせ(しかしそれらに限定されない)を含めて、nIR抑制層内において多数の反射率レベルを達成するための数多くのやり方がある、ということが認識されるであろう。
【0026】
衣服及びシェルター用途においてのようなより大きい耐久性が要求される用途において、少なくとも1つのnIR抑制層及び少なくとも1つの布地層を含む多層構造物が望ましい。多くの場合において、可視波長領域における迷彩が、上記に記載された近赤外迷彩の態様と組み合わせて所望される。本発明の独特の態様は、カーボンのようなnIR抑制材料が迷彩プリントのインキ中に含まれる慣用の材料とは違って、可視迷彩シェードが所望規格値内に保持され得る一方、同時に必要なnIR抑制特性を与えるように、nIR抑制層が可視迷彩から切り離されることである。
【0027】
図3は、接着層(50)によりモノリシック近赤外抑制層(10)に接着された外側布地材料(40)を含む一つのかかる近赤外抑制複合材(30)を図示する。外側布地材料は、たとえば、布地ベース材料(42)及び任意選択の可視迷彩処理材(44)を含み得る。布地ベース材料(42)は、ポリエステル、ポリイミド、ナイロン、被覆ガラス、綿繊維、等の織形態、不織形態及び編形態のようなしかしそれらに限定されない任意の適当な布地であり得る。任意選択の可視迷彩処理材(44)は、可視像及びnIR像の両方の抑制が望ましい用途において用いられ得る。外側布地材料は、接着層(50)により近赤外抑制層(10)(図3においては、モノリシック層として示されている)に接着される。接着層(50)は、不連続又は連続のどちらかであり得る。別の具体的態様は、複合近赤外抑制層のように他の近赤外抑制層が組み込まれているものを包含する。これらの層間の接着は、外側布地材料(40)を近赤外抑制層(10)に耐久的に取り付けることが可能な任意の技法により達成され得る。ドットラミネーションは、この複合構造物を作るのに特に有用であるところの当業者に知られた一つの方法である。
【0028】
近赤外抑制複合材の別の具体的態様は、熱接着により製造され得る。図4は、モノリシック近赤外抑制層(10)に直接的に結合された(熱接着によるように)ところの、布地ベース材料(42)及び任意選択の可視迷彩処理材(44)で構成された外側布地材料(40)を示す。熱接着は、たとえば2枚の熱可塑性フィルム又は1枚の熱可塑性フィルムと1枚の非熱可塑性フィルムを接合するのに最も効果的である。
【0029】
更なる具体的態様において、近赤外抑制層(10)は、近赤外処理のみのためにあるいははその代わりに追加的機能特徴を有する被膜(40)の一部として、外側布地材料の背面上に直接的に適用され得る。背面は、任意選択の可視迷彩処理材(44)とは反対の布地ベース材料(42)の表面を指す。この具体的態様に適した適用方法は、転写式塗布、スクリーン印刷、ナイフ塗布及び直接押出を包含するが、しかしそれらに限定されない。その代わりに、nIR抑制層は、布地ベース材料(42)の背面に、連続又は不連続の被覆層又は接着層のどちらかとして適用され得る。所望可視スペクトル応答を保持するために、この被膜は、視覚シェードに対する影響を最小にするように、(a)視覚的外観(たとえば灰色)において十分に明るくなければならず、又は(b)布地に有意には浸透してはならず、あるいは(c)両方でなければならない。明るいシェードの等価物は、可視及びnIR波長領域の両方において受容可能な反射をもたらすことになるドット密度を有するところの白色フィルムに付着された黒色接着ドット又は黒色フィルムに付着された白色接着ドット(しかしそれらに限定されない)のような、明るい色要素と暗い色要素の組み合わせを含み得る。その代わりに、近IR抑制層は、外側布地材料の背面上に付着されている黒色ドット又は白色ドットの不連続被膜の背後のライナーとして配置されたそれぞれ白色フィルム又は黒色フィルム(取り付けられていようと取り付けられていまいと)を含み得る。
【0030】
更なる別の具体的態様において、本発明は、結合代替手段をたとえば熱可塑性接合層すなわち結合層の使用による2枚の非熱接着性材料の接合へと拡張される。この具体的態様は図5に図示されており、連続接着層(52)が外側布地材料(40)を複合近赤外抑制層(20)に接着させる。適当なフィルム接着層(52)は、約60℃と約200℃の間の温度において軟化する且つ加熱された時に隣接表面に付着させる表面特性を有する任意のポリマーフィルムを含み得る。Deerfield Inc.からのもののような熱可塑性ポリウレタンフィルムは本発明の衣服用途に特に有用であり、何故ならそれらは複合材を通気性のままにさせる且つ近赤外抑制材料(22)により与えられる近赤外抑制に悪影響を及ぼさないからである。この積重ね状近赤外抑制複合材(30)は、次いで、熱可塑性連続接着層(52)を軟化してそれが隣接外側布地材料(40)及び複合近赤外抑制層(20)に付着するようになるのに十分な熱及び圧力に曝され得る。基材材料(24)がnIR抑制材料(22)に関してより高い近赤外反射を有する場合において、複合近赤外抑制層(20)は、理想的には、抑制特性を最良に利用するために、近赤外抑制材料(22)が入射放射線の予想源により近くなるように配置されるべきである。たとえば、迷彩衣服が所望される場合、可視迷彩処理材(44)は衣服の外側へ配置され、そして次いで残りの諸層は図5に図示された順序にある。
【0031】
本発明の更なる具体的態様は、2つ以上の布地層及び少なくとも1つの近赤外抑制層を含む多層近赤外抑制構造物である。一つのかかる具体的態様は図6に図示されており、接着層(50)によりモノリシック近赤外抑制層(10)に接着された外側布地材料(40)を示し、しかもモノリシック近赤外抑制層(10)は更に第2接着層(60)により内側布地材料(70)に接着されている。上記に論考されたように、外側布地材料(40)は、任意選択の可視迷彩処理材(44)を有する布地ベース材料(42)を含む。内側布地材料(70)及び外側布地ベース材料(42)は両方共、最終用途の要件に依存して織布地、不織布地又は編布地であり得る。この具体的態様の近赤外抑制層は、図6に示されているようなモノリシック近赤外抑制層(10)又はその代わりにその他の記載された近赤外抑制層のいずれかであり得る。
【0032】
本発明の更なる具体的態様において、2つ以上の布地層及び少なくとも1つの近赤外抑制層を含む多層近赤外抑制構造物は、服飾品の物品において、近赤外抑制層が外側布地層に本質的に隣接して存在するハングライナー(たとえば、該物品の周囲のある部分に取り付けられているがしかし該物品の外側シェルの内側表面に積層されていない裏地)であるように配置され得る。
【0033】
本発明の別の具体的態様において、本発明の物品は、2つの布地層の間の少なくとも1つの近赤外抑制層の積層体を含み得、しかもnIR抑制層は更に環境への暴露に対する防護のための通気性で防液性の部材を含む。通気性で防液性の部材の一つの適当な例は、W.L.Gore and Associates, Inc.から入手できる膜のような微孔質延伸PTFEであり、何故ならかかる材料は軽量、高強度で且つ高度に通気性であるように製造され得るからである。この具体的態様は、上記に記載されそして図6に示されたものと同様である。本発明の更なる向上は、近赤外抑制物品が通気性になるように全体にわたって通気性材料の使用を伴う。通気性を最大にするために、接着層(50)及び第2接着層(60)は両方共通気性である。従って、この構造物の諸層は、通気性若しくは非通気性接着剤のどちらかの不連続層を用いて積層されるか又は通気性材料の連続フィルムにより接着されるかのどちらかであり得る。本発明の近赤外抑制構造物の通気性は、本明細書において後で記載される透湿度試験(MVTR)により測定される場合、少なくとも1,000(グラム/(m2)(24時間))である。一層好ましくは近赤外抑制構造物の通気性は少なくとも1,500(グラム/(m2)(24時間))、そして更に一層好ましくは近赤外抑制複合材の通気性は少なくとも4,000(グラム/(m2)(24時間))である。
【0034】
試験方法
防液性試験
防液性試験を次のとおり行った。代表試験液として働く水と共に改良スーター(Suter)試験装置を用いることにより、材料構造物を防液性について試験した。締付け装置における2枚のゴムガスケットにより密封された約4と1/4インチ直径の試料域に対して水を押しやる。1つ又はそれ以上の布地層が組み込まれている試料については、水が押しやられる面とは反対側に布地層を配置する。無布地nIR抑制層試料(すなわち、布地層に積層されていない)をスーター試験する場合、水圧に付された時に試料の異常な延伸を防止するために、試料の上面(すなわち、水が押しやられる面とは反対の面)上にスクリムを置く。試料は大気条件に開放されており、また試験作業者に目視可能である。適切な計器によって表示される且つインラインバルブによって調節されるような水溜めに連結されたポンプにより、試料上の水圧を約1psiに増加させる。試験試料は傾いており、そして試料の下面に対して水が接触しそして空気が接触しないことを確実にするために水を再循環させる。試料に押し通された水の出現について、試料の上面を3分間目視的に観察する。この表面上に見られた液体水は、漏出と解釈される。3分以内に試料表面上において液体水が目視可能でない場合、合格(防液性)等級が与えられる。この試験に合格することが、本明細書において用いられる場合の「防液性」の定義である。
【0035】
透湿度試験(MVTR)
試料は、7.4cm直径の打抜き円板である。試験に先だって、23℃、50%±2%の相対湿度の試験室において試料を4時間状態調整する。15mLの蒸留水及び35gの塩化ナトリウム塩を4.5オンスポリプロピレンコップ(口において6.5cmの内径を有する)中に入れることにより、試験コップを準備する。メリーランド州エリクトンのW.L.Gore & Associates, Inc.から入手できる延伸PTFE膜(ePTFE)を該コップのリップに対してヒートシールして、ぴんと張った漏れ止めの微孔質バリヤーを作り、塩溶液をコップ中に保持する。同様なePTFE膜を5インチ刺繍フープ内にぴんと張って取り付け、そして試験室中の水浴の表面上に浮かべる。水浴及び試験室を両方共23℃に温度制御する。
【0036】
試料を浮かんでいる膜上に置き、塩コップを計量し、逆さまにし、そして試料上に置く。1時間後、塩コップを取り除き、計量し、そして透湿度を次のとおりコップの吸収質量から算出する。すなわち、
MVTR(グラム/(m2)(24時間))=コップ中の吸水質量(g)/[試験の時間(日)×コップ口の面積(m2)]
【0037】
可視及び近赤外スペクトルについての平均反射率試験
スペクトル反射率データを試料の工芸面(すなわち、布地、積層体又は複合材の迷彩がプリントされた側)について決定し、硫酸バリウム標準に関して分光光度計(データカラー(Data Color)CS−5)(400〜1100nm又はそれ以上の波長において反射率を測定することの可能な)で400から1100ナノメートル(nm)において20nm間隔にて得る。スペクトルのバンド幅は、860nmにおいて26nmより小さく設定される。反射率測定は、単色操作モードでもって行われる。
【0038】
試料を単一層(同じ布及びシェードの6層で裏打ちされた)として測定した。最小限2つの異なる域について測定を行い、そしてそれらのデータを平均した。測定域は、耳(縁)から少なくとも6インチ離れているように選ばれた。法線から10度より大きくない角度にて試料片を観測し、正反射成分が含まれた。
【0039】
機器の較正: 分光光度計の測光精度を1パーセント以内に、そして波長精度を2nm以内に較正した。色測定装置に用いられた標準開口サイズは、森林地帯及び砂漠用の迷彩については直径が1.0〜1.25インチであり、そして万能迷彩、マーパット(MARPAT)森林地帯及びマーパット(MARPAT)砂漠用については直径が0.3725インチであった。MIL−DTL−31011A、MIL−DTL−31011B又はMIL−PRF−32142に規定された波長のうちの四つ又はそれ以上において範囲外になるスペクトル反射率値を有するいかなる色も、試験不合格とみなした。
【0040】
結果は、別段特定的に記されていなければ、特定の波長範囲についての平均反射率によって報告されている。
【実施例】
【0041】
比較例A:モノリシックポリマー層を次のとおり作製した。米国特許第4,532,316号に教示されているようにして、ポリウレタン試料を作製した。記載されたプレポリマーを150℃にて加熱して流体形態にし、そして10%の二酸化チタン粉末(デラウェア州ウィルミントンのDuPont Chemicals)をこのポリマー中にハンドミキシングにより分散して均質混合物を形成させた。次いで、この冷TiO2充填剤入りプレポリマーを150℃にて1時間加熱した。この流体からフィルムが形成され、手動式引伸ばし技法及び引伸ばしバーを用いて、この加熱ポリウレタンプレポリマーを4ミル厚にてキャストした。得られたフィルムを周囲温度にて48時間湿気硬化させた。このフィルムの平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。このフィルムは、表1において「比較例A」と称される。
【0042】
比較例B:フィルム形成工程に先だって5質量%のカーボンブラック(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationのバルカン(Vulcan)XC72)をプレポリマーに添加しそして均質に見えるようになるまでハンドミキシングしたこと以外は比較例Aに記載されたようにして、モノリシックポリマー層を作製した。このフィルムの平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。このフィルムは、表1において「比較例B」と称される。
【0043】
比較例C:比較例A及びBのフィルムの各々と昼間砂漠用迷彩ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との構造物を、結合されていない層状構成にてフィルムと布地を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。各層状構造物のライトタン色部分(MiL−DTL−31011Bに規定されているようなライトタン色492)の平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表2において「比較例C1及びC2」として報告されている。
【0044】
比較例D:モノリシックポリマー層を次のとおり作製した。米国特許第4,532,316号に教示されているようにして、ポリウレタン試料を作製した。記載されたプレポリマーを150℃にて1時間加熱した。この流体からフィルムが形成され、手動式引伸ばし技法及び引伸ばしバーを用いて、この加熱ポリウレタンプレポリマーを4ミル厚にてキャストした。得られたフィルムを周囲温度にて48時間湿気硬化させた。このフィルムの平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。このフィルムは、表1において「比較例D」と称される。
【0045】
比較例E:フィルム形成工程に先だって1質量%及び5質量%のカーボンブラック(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationのバルカン(Vulcan)XC72)をそれぞれプレポリマーに添加しそして均質に見えるようになるまでハンドミキシングしたこと以外は比較例Dに記載されたようにして、2つのモノリシックポリマー層を作製した。これらのフィルムの平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。これらのフィルムは、表1において「比較例E1及びE2」と称される。
【0046】
例1:モノリシックnIR抑制層試料を、ポリウレタン及び添加剤から作製した。詳細には、米国特許第4,532,316号に教示されているようにして、ポリウレタン試料を作製した。記載されたプレポリマーを150℃にて加熱して流体形態にし、そして10%の二酸化チタン粉末(デラウェア州ウィルミントンのDuPont Chemicals)をこのポリマー中にハンドミキシングにより分散して均質混合物を形成させた。次いで、この冷TiO2充填剤入りプレポリマーを150℃にて1時間加熱し、そして5つの部分に分けた。0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.5質量%及び1.0質量%の5つの異なる濃度にてカーボンブラック(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationのバルカン(Vulcan)XC72)をプレポリマーの各部分に添加し、そして均質に見えるようになるまでハンドミキシングした。これらの流体の各々からフィルムが形成され、手動式引伸ばし技法及び引伸ばしバーを用いて、これらの加熱ポリウレタンプレポリマー部分を4ミル厚にてキャストした。これらのフィルムを周囲温度にて48時間湿気硬化させた。
【0047】
これらのフィルムの各々の平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表1において例1a〜1eとして報告されている。表1に示されているように、少量のカーボンは、400から700nmの波長範囲において約9%又はそれ以上の平均反射率を維持することにより示されるようにシェードに対する影響を最小にしながら、平均反射率(720〜1100nmの波長範囲)について有意な改善(70%又はそれ以下への低減)をもたらし得る。
【0048】
【表1】

【0049】
モノリシック近赤外抑制フィルム(例1a〜1d)について、720〜1100nmの波長範囲における平均反射が比較例Aと比較して実質的に低減されるが、それでも400〜700nmの波長範囲における平均反射率は望ましいレベルに維持される、ということを表1は示している。逆に、比較例Bは720〜1100nmの範囲において受容可能な平均反射率を与えるが、しかし400〜700nmの可視範囲における平均反射率は、可視光中で観察される場合に黒く見えそして最終構造物における外側布地の視覚シェードに悪影響を及ぼすレベルにある。
【0050】
例2:例1において形成された5つの近赤外抑制層試料の各々と昼間砂漠用迷彩ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との構造物を、結合されていない層状構成にて各フィルムと布地材料を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。別段明記されていなければ、布地を含む構造物のすべてについて、迷彩布地模様のライトタン色部分を反射率測定のために用いた。この例の5つの構造物の各々の平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表2において「例2a〜2e」として報告されている。
【0051】
比較例F:比較例Dのフィルムと昼間砂漠用迷彩のライトタン色ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との複合構造物を、結合されていない層状構成にてフィルムと布地を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表2において「比較例F」として報告されている。
【0052】
比較例G:比較例Eのフィルムと昼間砂漠用迷彩ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との複合構造物を、結合されていない層状構成にてフィルムと布地を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表2において「比較例G1」として報告されている。
【0053】
表2に示されているように、少量のカーボンは、シェード標準の比較例C1(すなわち、カーボンなし)と比較して、400〜700nmにおいて13%より小さい平均反射率変化により示されるようにシェードに対する影響を最小にしながら、平均反射率(720〜1100nmの波長範囲)について有意な改善(低減)をもたらし得る。より高いレベルのカーボン(1%を超えるような)の添加は、720〜1100nmの波長範囲において追加の有意な平均反射率低減を与えない。
【0054】
図9に図示されているように、例2dは、約720nmから約1100nmの間のnIR波長範囲において有意な反射低減を与える。けれども、約400nmから約700nmの可視波長範囲において、反射は、MiL−DTL−31011Bに規定されているそして比較例C1により表されたようなライトタン色492の反射に近い。
【0055】
【表2】

【0056】
例3:フルオロカーボンポリマーバインダー及び湿潤剤を用いて、0.001インチの厚さがある微孔質ePTFE膜(0.2μmの公称細孔サイズ,20g/m2の質量,W.L.Gore & Associates, Inc.から得られた)をカーボンブラック(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationのバルカン(Vulcan)XC72)で被覆した。2.6gのウィトコレート(Witcolate)ES2(30%溶液)(コネティカット州ミドルバリーのWitco Chemicals/Crompton Corporationから得られた)、1.2gの1−ヘキサノール(ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrich Chemical Corporation)及び3.0gのフルオロポリマー(日本国の旭硝子のAG8025)を13.2gの脱イオン水中で混合することにより、バインダーシステムを処方した。このバインダーシステムに、0.015gのカーボンブラックを添加した。この混合物を1分間音波処理した。ローラーを用いてこの混合物でおおよそ3g/m2の被覆質量まで、膜をハンドコートした。この被覆膜を185℃にて2.5分間硬化させた。この被覆膜の透湿度は、45,942g/m2(24時間)であると測定された。
【0057】
比較例H:フルオロカーボンポリマーバインダー及び湿潤剤の中にカーボンを含めなかったこと以外は例3と同様にして、比較例Hを作った。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表3において「比較例H」として報告されている。
【0058】
このnIR抑制層についての反射率結果は、表3に与えられている。複合近赤外抑制層(例3)について、720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、被膜中にカーボンを有さない比較のフルオロポリマー被覆膜と比較して実質的に低減される。本発明の二つの目的(すなわち、nIR反射率を下げる及び可視反射率を維持する)と一致して、400nmから700nmの波長範囲における平均反射率により表されるような視覚シェードは、例1に記載されたような約9%の下方閾レベルより高く維持される。
【0059】
【表3】

【0060】
例4:この例は、この場合のnIR抑制層が白色ePTFE膜と例3に記載されたnIR抑制被膜との複合材であること以外は例2と同様である。
【0061】
ナイロン昼間砂漠用迷彩布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)の背面側(すなわち、布地の迷彩側とは反対の側)を、次のとおり例3の2枚の膜に付着させた。デュロ(Duro)万能スプレー接着剤(オハイオ州エーボンのHenkel Consumer Adhesives, Inc.)を複合膜上に、一様な明るい被覆範囲が観察されるまで吹き付けた。次いで、この複合膜の接着側に、迷彩布地の背面を置いた。この試料を横断するように10ポンドのハンドローラーを前後に動かして、接着層を固化させた。この試料を周囲条件下で30分間硬化させた。nIR抑制積層構造物の透湿度は、9,200g/m2(24時間)であると決定された。
【0062】
比較例I:nIR抑制層の代わりに比較例Hを用いたこと以外は例4と同様にして、比較例Iを作った。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表3において「比較例I」として報告されている。
【0063】
この構造物についての反射率結果は、表4に与えられている。布地と近赤外抑制層との構造物(例4)について、720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、nIR抑制添加剤を有さない同等構造物と比較して実質的に低減される。400〜700nmの波長範囲における平均反射率は、非nIR抑制対照試料(すなわち比較例I)の平均反射率近くに維持された。
【0064】
【表4】

【0065】
例5:この例は、図5に図示されたものと同様な多層近赤外抑制構造物を表し、複合近赤外抑制層(20)とナイロン昼間砂漠用迷彩布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)(40)の間に置かれた連続接着層(52)は、デュラフレックス(Duraflex)PT1710S(マサチューセッツ州ホェイトリのDeerfield Urethanes)である半透明モノリシックポリウレタンフィルムである。結合されていない層状構成にて例3のnIR抑制層と布地材料を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより、試料5aを作った。布地の背面側に該半透明ポリウレタンフィルムを積み重ねそして次いでこの半透明ポリウレタンフィルム上に例5のnIR抑制層を積み重ねることにより、試料5bを作った。この積重ね構造物を刺繍フープを用いて一緒に保持した。迷彩布地模様のライトタン色部分を反射率測定のために用いた。
【0066】
これらの試料の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。表5に示された結果は、介在する半透明ポリウレタン層の存在がこの構造物のnIR抑制に本質的には影響を及ぼさなかったことを示している。
【0067】
【表5】

【0068】
例6:本発明のこの具体的態様において、図2に図示されたものと同様にして複合近赤外抑制層(20)を作った。当業者により理解されるような湿潤剤(イソプロピルアルコール)を用いて、W.L.Gore & Associates, Inc.から得られた0.2μmの公称細孔サイズ及び20g/m2の質量を有する0.001インチ厚の微孔質ePTFE膜を酸化アンチモン(テキサス州ヒューストンのNissan Chemicals America Corporationから得られたCelnax(登録商標)CX−Z210IP)で被覆した。酸化アンチモンを湿潤剤のグラム当たり20質量%の酸化アンチモンにて添加した。ローラーを用いてこの混合物でおおよそ3g/m2の被覆質量まで膜をハンドコートした。この被覆膜を周囲の温度及び湿度にて硬化させた。
【0069】
比較例J:比較例Jは、0.001インチの厚さがある微孔質ePTFE膜(0.2μmの公称細孔サイズ,20g/m2の質量,W.L.Gore & Associates, Inc.から得られた)である。
【0070】
このnIR抑制層についての反射率結果は、表6に与えられている。複合近赤外抑制層(例6)について、720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、被膜を有さない比較の白色ePTFE膜と比較して劇的に低減される。400nmから700nmの波長範囲における平均反射率は、例1に記載されたような約9%の下方閾レベルより高く維持される。
【0071】
【表6】

【0072】
例7:この例は、この例において例6のnIR抑制層を用いたこと以外は例2と同様である。
【0073】
近赤外抑制層(例6)と昼間砂漠用迷彩ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との構造物を、結合されていない層状構成にて各フィルムと布地材料を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。迷彩布地模様のライトタン色部分を反射率測定のために用いた。
【0074】
比較例K:例6のnIR抑制層の代わりに比較例Jを用いたこと以外は例7と同様にして、比較例Kを作った。
【0075】
例7の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定し、それらの結果は表7において例7として報告されている。720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、被膜を有さない比較の白色ePTFE膜を用いる同様の構造物と比較して低減される。
【0076】
【表7】

【0077】
上記の諸例は、nIR抑制層が布地の背面に付着され得る(たとえば例2及び4)又は不活性な介在層により布地の背面から分離され得る(たとえば例5)ことを示している。
【0078】
本発明の特定の具体的態様が本明細書に例示及び記載されてきたけれども、本発明は、かかる例示及び記載に限定されるべきでない。諸変更及び諸改変が添付の特許請求の範囲内において本発明の一部として組み込まれそして具体化され得る、ということが明らかであるはずである。
【0079】
例8:この例は、図4に図示されたそして上記に論考されたものと同様な近赤外抑制複合材を表し、布地ベース材料(42)をモノリシック近赤外抑制層(10)に付着させる。この特定の例は、近赤外抑制材料を外側布地材料(40)の背面側に被覆させることを伴う。
【0080】
ナイロン昼間砂漠用迷彩布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)の背面側(すなわち、布地の迷彩側とは反対の側)を、バルカン(Vulcan)XC72(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporation)であるカーボンブラックを含有する均質ポリウレタン被膜(4g/m2)で被覆した。この被覆のために、45クアッド(quad)グラビアロールを8フィート/分の速度及び50psiの圧力にて用いた。この材料を湿気下で160℃の温度にて約1分間硬化させた。
【0081】
上記の近赤外抑制層試料と0.001インチの厚さがある微孔質ePTFE膜(0.2μmの公称細孔サイズ,20g/m2の質量,W.L.Gore & Associates, Inc.から得られた)との構造物を、結合されていない層状構成にて各フィルムと布地材料を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。別段明記されていなければ、迷彩布地模様のライトタン色部分をこの構造物についての反射率測定のために用いた。この例の構造物の平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表8において「例8」として報告されている。
【0082】
比較例L:近赤外抑制被膜を布地の背面に適用しなかったこと以外は例8と同様にして、比較例Lを作った。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表8において「比較例L」として報告されている。
【0083】
これらの構造物についての反射率結果は、表8に与えられている。布地と近赤外抑制層との構造物(例8)について、720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、nIR抑制添加剤を有さない同等構造物と比較して実質的に低減される。400〜700nmの波長範囲における平均反射率は、非nIR抑制対照試料(すなわち比較例L)の平均反射率近くに維持された。
【0084】
【表8】

【0085】
例9:この例は、図7に図示されたそして上記に論考されたものと同様な近赤外抑制複合材を表し、布地ベース材料(42)をモノリシックポリマー基材材料(24)上の不連続近赤外抑制材料(22)の構造物に付着させる。この特定の例は、不連続ドットの形態の近赤外抑制材料をePTFEの面上に被覆させることを伴う。
【0086】
0.001インチの厚さがある微孔質ePTFE膜(0.2μmの公称細孔サイズ,20g/m2の質量,W.L.Gore & Associates, Inc.から得られた)を、バルカン(Vulcan)XC72(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporation)であるカーボンブラックを含有する均質ポリウレタン被膜の不連続ドットで被覆した。この被覆のために、35R100グラビアロールを8フィート/分の速度及び50psiの圧力にて用いた。この材料を湿気下で160℃の温度にて約1分間硬化させた。
【0087】
上記の近赤外抑制層試料と昼間砂漠用迷彩ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との構造物を、結合されていない層状構成にてフィルムと布地材料を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。この構造物について、迷彩布地模様のライトタン色部分を反射率測定のために用いた。この例の構造物の平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表9において「例9」として報告されている。
【0088】
比較例M:不連続近赤外抑制被膜を膜に適用しなかったこと以外は例9と同様にして、比較例Mを作った。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表9において「比較例M」として報告されている。
【0089】
これらの構造物についての反射率結果は、表9に与えられている。布地と近赤外抑制層との構造物(例9)について、720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、nIR抑制添加剤を有さない同等構造物と比較して実質的に低減される。400〜700nmの波長範囲における平均反射率は、非nIR抑制対照試料(すなわち比較例M)の平均反射率近くに維持された。
【0090】
【表9】

【0091】
例10:この例は、図8に図示されたそして上記に論考されたものと同様な近赤外抑制複合材を図示し、布地ベース材料(42)をモノリシックポリマー基材材料(24)上の連続近赤外抑制材料(22)上の不連続ポリウレタン/TiO2被膜の構造物に付着させる。この特定の例は、近赤外抑制材料(この場合においてはカーボンを含有するポリウレタン被膜の連続被膜である)上におけるTiO2添加剤を含有するポリウレタン被膜の不連続ドットの、ePTFEの面上への被覆を伴う。
【0092】
0.001インチの厚さがある微孔質ePTFE膜(0.2μmの公称細孔サイズ,20g/m2の質量,W.L.Gore & Associates, Inc.から得られた)を、バルカン(Vulcan)XC72(マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporation)であるカーボンブラックを1質量%含有する均質ポリウレタンの連続モノリシック被膜で被覆した。次に、この構造物を、1質量%の二酸化チタン粉末(デラウェア州ウィルミントンのDuPont Chemicals)を含有する同様な均質ポリウレタン被膜の不連続ドットで被覆した。この被覆のために、35R100グラビアロールを8フィート/分の速度及び50psiの圧力にて用いた。この材料を湿気下で160℃の温度にて約1分間硬化させた。
【0093】
上記の近赤外抑制層試料と昼間砂漠用迷彩ナイロン布地(サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken & Companyの呼称番号131971)との構造物を、結合されていない層状構成にてフィルムと布地材料を積み重ねそして刺繍フープ中に留めることにより作製した。この構造物について、迷彩布地模様のライトタン色部分を反射率測定のために用いた。この例の構造物の平均反射率を400〜700nm及び720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表10において「例10」として報告されている。
【0094】
比較例N:連続近赤外抑制被膜も不連続ポリウレタン/TiO2被膜も膜に適用しなかったこと以外は例10と同様にして、比較例Nを作った。構造物の平均反射率を720〜1100nmの波長範囲において測定した。結果は、表10において「比較例N」として報告されている。
【0095】
これらの構造物についての反射率結果は、表10に与えられている。布地と近赤外抑制層との構造物(例10)について、720nmから1100nmの波長範囲における平均反射は、nIR抑制基材を有さない同等構造物と比較して実質的に低減される。400〜700nmの波長範囲における平均反射率は、非nIR抑制対照試料(すなわち比較例N)の平均反射率近くに維持された。
【0096】
【表10】

【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】モノリシック近赤外抑制層の横断面図を図示する。
【図2】複合近赤外抑制層の横断面図を図示する。
【図3】近赤外抑制層を含むところの本発明の布地複合材の横断面図を図示する。
【図4】近赤外抑制層を含むところの本発明の布地複合材の別の横断面図を図示する。
【図5】本発明による近赤外抑制複合材の別の横断面図を図示する。
【図6】近赤外抑制層を含むところの本発明の布地複合材の別の横断面図を図示する。
【図7】図7は、本発明による不連続近赤外抑制複合材の別の横断面図を図示する。
【図8】図8は、本発明によるより明色の材料の不連続層で被覆された連続近赤外抑制複合材の別の横断面図を図示する。
【図9】図9は、例2に従って作製された材料についての波長対反射率パーセントのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィルムを含む近赤外抑制層を含む物品であって、該層が約400nmから700nmの波長範囲において約9%と約70%の間の平均反射及び約720nmから1100nmの波長範囲において70%より少ないか又は等しい平均反射を有する、物品。
【請求項2】
前記近赤外抑制層に隣接した少なくとも1つの布地を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記近赤外抑制層が、布地の背面に隣接している、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記布地及び近赤外抑制層が積層体である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記物品が、MIL−DTL−31011Bの視覚要件及び近赤外要件の両方を満たす、請求項2に記載の物品。
【請求項6】
前記物品が、MIL−PRF−32142の視覚要件及び近赤外要件の両方を満たす、請求項2に記載の物品。
【請求項7】
前記物品が、MiL−DTL−31011B布地のライトタン色492部分において測定された場合、400から700nmの波長範囲において13%より小さい平均反射率変化を有する(ここで、該変化は、式(対照−物品)/対照により定められる(該対照は、前記近赤外抑制材料を有さない構造物である))、請求項2に記載の物品。
【請求項8】
前記近赤外抑制層が、約400nmから700nmの波長範囲において9%と50%の間の平均反射を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記近赤外抑制層が、約400nmから700nmの波長範囲において9%と30%の間の平均反射を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記近赤外抑制層が、約720〜1100nmの波長範囲において60%又はそれ以下の平均反射を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記近赤外抑制層が、約720〜1100nmの波長範囲において50%又はそれ以下の平均反射を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記近赤外抑制層が、約720〜1100nmの波長範囲において40%又はそれ以下の平均反射を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記近赤外抑制層が、約720〜1100nmの波長範囲において30%又はそれ以下の平均反射を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記ポリマーフィルムが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、シリコーン、ポリ塩化ビニル、アクリル、フルオロポリマー及びそれらのコポリマーから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記近赤外抑制層がカーボンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記近赤外抑制層が金属を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記金属がアルミニウムである、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記近赤外抑制層が酸化アンチモンを含む、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記近赤外抑制層に、5員環ポリマー及び6員環ポリマーから成る群から選択された有機物質が組み込まれている、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
前記カーボンが、近赤外抑制層の合計質量を基準として1.0質量%より少ない量にて存在する、請求項15に記載の物品。
【請求項21】
前記カーボンが、近赤外抑制層の合計質量を基準として0.5質量%より少ないか又は等しい量にて存在する、請求項15に記載の物品。
【請求項22】
前記ポリマーフィルムが防液性である、請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記ポリマーフィルムが通気性である、請求項1に記載の物品。
【請求項24】
前記ポリマーフィルムが微孔質である、請求項1に記載の物品。
【請求項25】
前記ポリマーフィルムが疎油性である、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
前記ポリマーフィルムが、微孔質ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の物品。
【請求項27】
前記近赤外抑制層が、布地の背面側における被膜を含む、請求項2に記載の物品。
【請求項28】
前記被膜が連続的である、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記被膜が不連続である、請求項27に記載の物品。
【請求項30】
前記近赤外抑制層が、カーボンを含む被膜を備えた微孔質ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項31】
前記被膜が連続的である、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記被膜が不連続である、請求項30に記載の物品。
【請求項33】
前記近赤外抑制層が、少なくとも1000g/m2(24時間)の透湿度を有し且つ防液性である、請求項30に記載の物品。
【請求項34】
前記少なくとも1つの布地が、150g/m2又はそれ以下の質量を有する、請求項2に記載の物品。
【請求項35】
前記少なくとも1つの布地が、近赤外抑制層と反対側に迷彩模様を有する、請求項2に記載の物品。
【請求項36】
前記少なくとも1つの布地が、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル、ポリアラミド、ナイロン/綿ブレンド、ポリベンゾイミジゾール(polybenzimidizole)から成る群から選択された材料を含む、請求項2に記載の物品。
【請求項37】
前記近赤外抑制層が、ベース布地材料と近赤外抑制層の間に置かれた少なくとも1つの介在ポリマー層により布地に接着されている、請求項2に記載の物品。
【請求項38】
前記nIR抑制層が、720nm〜1200nmの波長範囲において分断模様(disruptive pattern)を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項39】
前記nIR抑制層が、多種の機能充填剤を含有する、請求項1に記載の物品。
【請求項40】
前記nIR抑制層が、少なくとも1種のnIR抑制材、及び可視又はnIRにおける反射率特性に影響を与える追加的機能充填剤を含有する、請求項39に記載の物品。
【請求項41】
前記nIR抑制層が、カーボン及び二酸化チタンを含有する、請求項1に記載の物品。
【請求項42】
請求項1に記載の物品に基づくnIR抑制衣服。
【請求項43】
請求項1に記載の物品に基づくnIR抑制シェルター又は保護覆い。
【請求項44】
前記nIR抑制層が、布地に隣接した側におけるカーボン被膜と、布地とは反対のnIR抑制層における追加的カーボン含有モノリシック被膜とを含有する微孔質PTFEで構成されている、請求項2に記載のnIR抑制物品。
【請求項45】
前記近赤外抑制層が、布地と非近赤外抑制層との間に配置された別個の要素として存在する、請求項4に記載の物品。
【請求項46】
400nmから700nmの可視波長範囲において反射性である材料が、布地と近赤外抑制層との間に配置された別個の要素として存在する、請求項4に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−546042(P2008−546042A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523874(P2008−523874)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/020433
【国際公開番号】WO2008/004993
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】