説明

走行可能距離推定装置およびナビゲーション装置

【課題】目的地の設定を行わなくとも、車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を推定する。
【解決手段】ナビゲーション装置6は、電気自動車1の現在位置に最も近い主要道路を特定して現在位置から主要道路を通る仮の経路を設定し、この経路上の気象情報を気象情報サーバ10から取得する。そして、この気象情報、車両機器4の使用状況、発電機3の有無などのバッテリ2の消費条件に当てはまる、仮の経路を走行する場合の予測バッテリ消費量をデータセンタ8のバッテリ消費情報サーバ9から取得し、バッテリ2の残存容量と比較して走行可能距離を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気自動車において車載バッテリの残存容量で走行できる距離を推定する走行可能距離推定装置、およびこの走行可能距離推定装置を利用するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は走行の動力が電気であるため、充電設備にて車載バッテリに充電を行うことで、電力を蓄えている。しかし、現状では充電設備の普及が十分に進んでいないため、充電設備がない場所を走行しているときには車載バッテリの残存容量がゼロになってしまい、走行できなくなるという事態が生じ得る。そのため、車載バッテリの残存容量でどこまで走行が出来るのかを精度よく推定することが求められる。
【0003】
従来の走行可能距離推定システム(例えば、特許文献1参照)は、電気自動車において目的地を設定して経路を探索し、探索した経路を構成するリンク毎のバッテリ消費量をデータセンタから取得して、車載バッテリの残存容量とリンク毎のバッテリ消費量との比較によって電気自動車が経路に沿って走行した場合の走行可能距離を推定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−115623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の走行可能距離推定システムは以上のように構成されているので、目的地設定を行わないと、走行可能距離を推定できないという課題があった。
また、電気自動車に太陽光発電、風力発電などの発電機が搭載されている場合は、走行中の車載バッテリの残存容量が天候などに左右されて実際の走行可能距離にばらつきが生じるので、正確な走行可能距離を推定できないという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、目的地の設定を行わなくとも、車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を推定することのできる走行可能距離推定装置、およびこの走行可能距離推定装置を用いたナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る走行可能距離推定装置は、電気自動車の現在位置および進行方向を示す情報を取得する現在位置取得部と、現在位置取得部が取得した現在位置を含む地図データを取得する地図データ取得部と、地図データによる表示範囲の道路のうち、現在位置から進行方向にある道路を仮の経路に設定する経路設定部と、経路設定部が設定した経路を構成する道路リンク毎に、当該道路リンクに設定された走行に必要なバッテリ消費量の情報をバッテリ消費情報源から取得するバッテリ消費情報取得部と、車載バッテリの残存容量を取得するバッテリ残存容量取得部と、バッテリ消費情報取得部が取得した道路リンク毎のバッテリ消費量とバッテリ残存容量取得部が取得した車載バッテリの残存容量とを比較して、経路設定部が設定した経路に沿って走行した場合の走行可能距離を推定する距離推定部と、地図データ取得部が取得した地図データに、距離推定部が推定した経路上の走行可能距離を重畳表示する表示部とを備えるものである。
【0008】
また、この発明に係るナビゲーション装置は、上述した走行可能距離推定装置を用い、電気自動車周辺の道路を表示する場合または探索した目的地までの経路を表示する場合に車載バッテリの残存容量で走行可能か否かを区別して表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、現在位置と進行方向に基づいて仮の経路を設定し、その経路に沿って走行した場合の走行可能距離を推定するようにしたので、目的地の設定を行わなくとも車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を推定することができる。
【0010】
また、この発明によれば、目的地の設定を行わなくとも車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を推定して、走行可能か否かを区別して表示することができるナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置を利用した走行可能距離推定装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1において、バッテリ消費情報サーバが記憶する、太陽光発電機による充電がある場合の予測バッテリ消費量の一例を示すテーブルである。
【図4】実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、目的地を設定しない場合を示す。
【図5】実施の形態1に係るナビゲーション装置による地図表示画面の一例である。
【図6】実施の形態1に係るナビゲーション装置による走行可能距離の表示画面の一例であり、晴れの場合を示す。
【図7】実施の形態1に係るナビゲーション装置による走行可能距離の表示画面の一例であり、曇りの場合を示す。
【図8】実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、目的地を設定する場合を示す。
【図9】実施の形態1に係るナビゲーション装置による走行可能距離の表示画面の一例である。
【図10】実施の形態1に係るナビゲーション装置による夜間と昼間の走行可能距離の表示画面の一例である。
【図11】この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、目的地を設定しない場合である。
【図12】実施の形態2に係るナビゲーション装置による走行可能範囲の表示画面の一例である。
【図13】この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置を利用した走行可能距離推定装置の構成を示すシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1に示すように、ナビゲーション装置6を利用した走行可能距離推定装置は、電気自動車1と、移動体通信網7等を介して電気自動車1と通信可能なデータセンタ8と、同じく移動体通信網7等を介して電気自動車1と通信可能な気象情報サーバ10とから構成されている。
【0013】
電気自動車1には、電気自動車1を駆動するバッテリ2と、このバッテリ2に電力供給する発電機3と、エアコン、ヘッドライト、デフォッガ、ワイパなどの車両機器4と、移動体通信網7を介して通信を行う通信装置5と、ナビゲーション装置6とが備えられており、ナビゲーション装置6は通信装置5によって移動体通信網7を介してデータセンタ8と通信可能となっている。なお、この通信装置5は電気自動車1に搭載されている他、ナビゲーション装置6が独自に備える構成であってもよい。
バッテリ2は、充電ステーション等の充電設備から充電可能な他、太陽光発電および風力発電など、自然エネルギを利用して発電する発電機3からも充電可能である。また、このバッテリ2はナビゲーション装置6へバッテリ残存容量を通知する。車両機器4はエアコンなどの使用状況を示す車両情報、および発電機3の有無と種類とを示す情報をナビゲーション装置6へ通知する。
【0014】
図2は、ナビゲーション装置6の構成を示すブロック図である。
このナビゲーション装置6は、地図データを記憶する地図データ記憶部61、ナビゲーション装置の全体を制御するナビECU(Electronic Control Unit)62、自車両の現在位置を取得する現在位置取得部63、気象情報サーバ10から気象情報を取得する気象情報取得部64、バッテリ2の残存容量を取得するバッテリ残存容量取得部65、車両機器4から車両情報を取得する車両情報取得部66、予測されるバッテリ消費量をデータセンタ8から取得するバッテリ消費情報取得部67、ユーザの操作を受け付けて情報を入力する入力部68、地図データに基づく地図画像などを画面表示する表示部69から構成されている。
【0015】
地図データ記憶部61が記憶する地図データは、地図画像と、この地図画像内に存在する道路および施設(特に充電設備)などの情報とが含まれる。この道路情報は、始点および終点(ノード)と、これらノードを結ぶ線(道路リンク)により構成されている。各道路リンクにはリンク番号と、距離に応じたリンクコストと、道路の種別に応じた優先順位とが付与されており、国道および高速道路などの主要道路に高い優先順位が設定されている。
なお、地図データ記憶部61をナビゲーション装置6の外部に別体で構成し、必要な地図データをその都度通信装置5を介して取得するように構成してもよい。
【0016】
ナビECU62は、地図データ記憶部61、現在位置取得部63、気象情報取得部64、バッテリ残存容量取得部65、車両情報取得部66、バッテリ消費情報取得部67、入力部68、および表示部69の各部に指示を出す演算処理部であり、最低限の機能として、地図データ記憶部61から必要な範囲の地図データを取得する地図データ取得部62−1と、仮の経路を設定したり入力情報から経路探索を行ったりする経路設定部62−2と、経路に沿って走行した場合に現在のバッテリ残存容量で走行可能な距離を推定する距離推定部62−3とを備える。ナビECU62はこの他にも経路案内を行う機能などを有する。
【0017】
現在位置取得部63は、人工衛星から送られてくる信号より自己の位置を計測するGPS(Grobal Positioning System)の受信機などの各種センサの出力データに基づいて、現在日時における自車両の位置および進行方向を検出して、ナビECU62へ出力する。なお、現在位置取得部63は、現在日時をGPS信号から取得する代わりに、ナビゲーション装置6が内蔵時計を備えて現在日時を計時してもよい。
【0018】
気象情報取得部64は、ナビECU62からの指示に従って、任意の位置における任意の日時の天候、気温、風速、風向などの気象情報を、通信装置5および移動体通信網7を介して気象情報サーバ10より取得して、ナビECU62へ出力する。
バッテリ残存容量取得部65は、バッテリ2から通知されるバッテリ残存容量の情報を取得して、ナビECU62へ出力する。
車両情報取得部66は、車両機器4の使用状況および発電機3の有無といった電気自動車1の車両情報を取得して、ナビECU62へ出力する。
【0019】
バッテリ消費情報取得部67は、ナビECU62から指示されるバッテリ消費条件を、通信装置5および移動体通信網7を介してデータセンタ8へ送信し、その条件に合った予測バッテリ消費量を取得して、ナビECU62へ出力する。
バッテリ消費条件とは、走行可能距離の推定対象となる経路を構成する道路リンクのリンク番号、バッテリ2の消費量に影響し得る電気自動車1の車種、エアコン等の車両機器4の使用状況、発電機3の有無、ならびに発電機3が搭載されている場合は発電機3の種類(太陽光発電か風力発電かなど)などである。さらに、発電機3が搭載されている場合は、走行可能距離の推定対象となる経路を走行する際の気象情報も含まれる。
【0020】
図1に示すデータセンタ8は、バッテリ消費条件別の予測バッテリ消費量を記憶するバッテリ消費情報サーバ(バッテリ消費情報源)9を備え、移動体通信網7を介してナビゲーション装置6から要求のあったバッテリ消費条件に当てはまる予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より読み出し、要求元に送信する。このバッテリ消費情報サーバ9は、移動体通信網7および電気自動車1の通信装置5を介してナビゲーション装置6と通信可能になっている。
【0021】
図3は、データセンタ8のバッテリ消費情報サーバ9が記憶する、太陽光発電による充電がある場合の予測バッテリ消費量の一例を示すテーブルである。このテーブルには、道路リンクのリンク番号、その距離、天候(晴れ、曇り、雨)に応じた予測バッテリ消費量が登録されている。道路リンクのリンク番号は、ナビゲーション装置6の地図データ記憶部61が記憶している道路情報の道路リンクのリンク番号に対応している。また、この例は、太陽光を利用して発電する発電機3(以下、太陽光発電機3と称す)を備えた電気自動車1の、天候別の予測バッテリ消費量を示しており、日射がなく太陽光発電機3による充電がほとんど無い「雨」のとき予測バッテリ消費量が最も多くなり(即ち、太陽光発電機3を備えていない場合と同等になる)、日射量が増える「曇り」および「晴れ」のときは太陽光発電機3による充電が増えるのでバッテリ消費量が少なくなる。
【0022】
また、図3のテーブルでは各道路の距離と天候に応じた予測バッテリ消費量が登録されているが、距離と天候以外の要因でもバッテリ消費量は変動するため、それらの影響を考慮した予測バッテリ消費量を登録するようにしてもよい。具体例として、トンネルの有無および高架の有無など道路の周囲環境に応じて、太陽光発電機3の発電量が変動したり道路の傾斜度に応じてバッテリ消費量そのものが変動したりするので、これらの変動要因を加味して各道路リンクの予測バッテリ消費量を設定すればよい。
【0023】
さらに、太陽光発電機3の発電量の変動要因として天候(晴れ、曇り、雨)以外を考慮したテーブルを作成してもよく、例えば時間帯に応じた変動を加味したテーブル(日中は発電量が多く、夜間は少ないなど)、季節に応じた変動を加味したテーブル、これらの変動要因を組み合わせたテーブルなどであってもよい。
あるいは、変動要因毎にテーブルを用意するのではなく、変動要因毎に重み係数などの補正情報を用意してもよい。この場合、バッテリ消費情報サーバ9が、ナビゲーション装置6から受け付けたバッテリ消費条件に応じて重み係数を選択し、重み係数を予測バッテリ消費量に掛け合わせる補正を行って、補正した予測バッテリ消費量を出力すればよい。
【0024】
また、電気自動車1の車種に応じて、走行性能およびバッテリ消費量などが異なるため、バッテリ消費情報サーバ9には、図3に示すようなテーブルを電気自動車1の車種に応じた数だけ記憶しておく。あるいは、バッテリ消費情報サーバ9が、電気自動車1の車種に応じた重み係数などの補正情報を記憶しておいてもよい。
また、エアコン、ヘッドライト、デフォッガ、ワイパなどの車両機器4の使用状況によってもバッテリ消費量が変動するため、バッテリ消費情報サーバ9には、車両機器4の使用時の予測バッテリ消費量を登録したテーブルと不使用時の予測バッテリ消費量を登録したテーブル、あるいは使用/不使用に応じた重み係数などの補正情報を記憶しておいてもよい。
【0025】
この他、バッテリ消費情報サーバ9は、例えば風力を利用して発電する発電機3のために、風速などの変動に応じた予測バッテリ消費量を登録したテーブルを備えていてもよい。例えば、風速が大きい場所(海沿いなど)を走行するときはバッテリ充電量が増えるので予測バッテリ消費量が少なくなり、風速が小さい場所(林の中など)を走行するときはバッテリ充電量が減るので予測バッテリ消費量は多くなる。
【0026】
次に、ナビゲーション装置6の走行可能距離の推定動作を説明する。
先ず、図4に示すフローチャートを用いて、ナビゲーション装置6に対して出発地から目的地までの経路を設定しない場合の動作例を説明する。従来、目的地設定を行わない場合は、この先走行する道程のバッテリ消費情報が無いので、今まで走行した道程でのバッテリ消費情報とバッテリ残存容量とを比較することでしか走行可能距離を推定できなかった。そのため、走行可能距離の推定精度が低かった。これに対して本実施の形態1では、大半のドライバが主要道路を多く選択する傾向にあることに着目し、現在走行中の道路から主要道路に入り、主要道路を道なりに走ると仮定して、仮の経路を設定する。
【0027】
ステップST1にて、現在位置取得部63が現在日時、現在位置および進行方向を取得してナビECU62に出力する。続くステップST2にて、ナビECU62の地図データ取得部62−1が、現在位置を含む所定範囲の地図データを地図データ記憶部61から取得し、経路設定部62−2が自車両が進行方向にそのまま進んだ場合の一番近くの主要道路を特定する。そして、経路設定部62−2は、現在走行中の一般道路および特定した主要道路を仮の経路とし、この経路の道路情報を先に取得してある地図データから抽出する。なお、走行中の道路が一般道路か主要道路か、および進行方向にある道路が一般道路か主要道路かの判定は、地図データに含まれた道路情報に予め設定されている道路リンクの優先順位が、所定の閾値より高いか否かに基づいて判定すればよい。また、主要道路に入った後に走行する方向は、VICS(登録商標)などに基づく交通量(単位時間当たりの車両数、平均の走行速度など)の多い方向、ナビゲーション装置6の履歴情報に基づく自車両の走行回数の多い方向などといった所定条件に従って決定すればよい。
【0028】
図5は、ナビゲーション装置6による地図表示画面の一例であり、地図画像上に自車両100が重畳表示されている。自車両100が一般道路101を走行中の場合(実線の矢印方向)、ナビECU62は、その方向に進んだ場合の一番近くの主要道路102を特定し、例えば交通量の多い方向(図示例では破線の矢印方向)を決定する。そして、一般道路101と主要道路102からなる仮の経路の道路情報を地図データから抽出する。
なお、自車両100が主要道路102を走行中の場合は、主要道路102の道路情報のみ抽出すればよい。
【0029】
続くステップST3にて、ナビECU62から気象情報取得部64に指示して、仮の経路における現在日時の気象情報を気象情報サーバ10より取得する。また、ナビECU62から車両情報取得部66に指示して、車両機器4の使用状況を表す車両情報を取得する。そしてステップST4にて、ナビECU62からバッテリ消費情報取得部67に指示して、仮の経路を構成する道路リンクのリンク番号、自車両の車種、発電機3の有無と種類、気象情報および車両情報を含めたバッテリ消費条件をデータセンタ8のバッテリ消費情報サーバ9へ送信し、このバッテリ消費条件に合致する予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より取得する。
【0030】
なお、ナビECU62は、気象情報を取得する際、仮の経路を構成する各道路リンクの通過予定時刻を算出して、各道路リンクにおける通過予定時刻の気象情報を気象情報サーバ10から取得するようにしてもよい。
また、仮の経路の総距離を、例えばバッテリ2の100%の残存容量で走行可能な距離に設定したり、所定の距離(100kmなど)に設定するなどして、ナビゲーション装置6とバッテリ消費情報サーバ9の通信情報量およびナビゲーション装置6の処理負荷を調整してもよい。
【0031】
続くステップST5にて、ナビECU62からバッテリ消費情報取得部67に指示して、現時点のバッテリ2の残存容量を取得する。そして、ナビECU62の距離推定部62−3が、仮の経路を構成する各道路リンクの予測バッテリ消費量と残存容量とを比較して、残存容量が予測バッテリ消費量の合計値以下になる道路リンクのリンク番号まで到達可能であると推定する。また、距離推定部62−3は、現在位置の道路リンクから到達可能と推定した道路リンクまでの距離の合計を、走行可能距離と推定する。
【0032】
続くステップST6にて、ナビECU62が、現在位置取得部63に指示して自車両の現在位置を取得し、一番近い主要道路が変更されたか否か(即ち、主要道路走行中に右折または左折が行われたか否か)を判定する処理を繰り返す(ステップST6“NO”)。そして、主要道路が変更になった場合(ステップST6“YES”)、ステップST1に戻り、仮の経路を再設定して走行可能距離を推定し直す。
【0033】
なお、ナビECU62は、一番近い主要道路の変更があるまでステップST6の処理を繰り返すフローに代え、変更がない場合に(ステップST6“NO”)、ステップST3に戻り、新たな現在位置における現在日時の気象情報および車両情報を取得し直して走行可能距離を推定し直すようにしてもよい。
【0034】
また、ステップST5にて推定した走行可能距離は、ナビECU62から表示部69に指示して、地図画像上に表示する。
図6は、図5の地図表示画面に走行可能距離を表示した例であり、気象情報が「晴れ」の場合を示す。図6に示すように、仮の経路である一般道路101と主要道路102を構成する道路リンクのうち、現時点の残存容量で到達可能な道路リンクに相当する道路の表示色を変更するなどして、走行可能範囲をユーザに通知する。表示様態はユーザが認識可能であればよく、例えば道路の表示色を目立つ色に変更したり、道路の表示幅を太くしたりしてもよい。また、走行可能距離を「走行可能距離 160km」というような文字情報により画面表示してもよい。
図7は、図5の地図表示画面に走行可能距離を表示した例であり、気象情報が「曇り」の場合を示す。曇りの場合は、晴れの場合に比べて太陽光発電機3による充電量が少ないので、バッテリ消費情報サーバ9から取得した予測バッテリ消費量が大きい値になる。従って、図7に示すように走行可能距離は短くなる。
【0035】
また、図示は省略するが、気象情報が「雨」の場合は、晴れおよび曇りの場合に比べて、太陽光発電機3による充電量がさらに少ない(または略無い)ので、バッテリ消費情報サーバ9から取得した予測バッテリ消費量がさらに大きい値になる。従って、走行可能距離は図6および図7よりさらに短くなる。また、電気自動車1が太陽光発電機3を備えていない場合も、走行可能距離は図6および図7よりさらに短くなる。
また、地図データに含まれる充電設備の情報に基づいて、充電設備103を地図画像上に表示するようにしてもよい。
【0036】
以上のことを行うことにより、目的地設定を行わなくても走行可能距離のより正確な推定が可能となる。なお、電気自動車1に発電機3が搭載されていない場合のナビゲーション装置6も上記同様に走行可能距離を推定することが可能である。
【0037】
次に、図8に示すフローチャートを用いて、ナビゲーション装置6に対して出発地から目的地までの経路を設定する場合の動作例を説明する。
先ずステップST11にて、ユーザが入力部68を操作して目的地を設定する。なお、出発地は現在位置取得部63が取得する現在位置とする。また、目的地の他、経由地などを設定する必要がある場合にはこの段階で設定が行われることとする。
【0038】
続くステップST12にて、ナビECU62の地図データ取得部62−1が、出発地と目的地を含む所定範囲の地図データを地図データ記憶部61から取得して、経路設定部62−2が出発地から目的地までの最適な経路を算出する。なお、経路設定部62−2は、地図データの道路情報を用いて所定の経路探索アルゴリズムを実行し、例えば距離の長短に応じたリンクコストに基づき、出発地から目的地までを結ぶ最もリンクコストが小さい経路を探索する。なお、距離が短い経路に限らず、ユーザが指定するなどした所定の条件(充電なしで行ける経路、充電設備を経由する経路、走行時間が短い経路、渋滞を回避する経路など)に合う経路を探索すればよい。あるいは、探索した複数の経路をユーザに提示し、ユーザに所望の経路を選択させてもよい。
【0039】
例えば出発地から目的地まで充電なしで行ける経路を探索する場合、経路設定部62−2は取得した予測バッテリ消費量の大小に応じてリンクコストの値を補正して、予測バッテリ消費量の大きい道路リンクのリンクコストを増大させた上で、補正したリンクコストが最も小さい経路を探索する。この補正により、予測バッテリ消費量の大きい道路リンクは経路として選択されににくくなる。そして、経路設定部62−2は、探索した経路の予測バッテリ消費量の合計が現在のバッテリ残存容量以下なら、その経路を充電なしで行ける経路としてユーザに提示する。一方、予測バッテリ消費量の合計が現在のバッテリ残存容量より大きければ、充電なしで行ける経路は存在しない旨をユーザに提示するか、この探索した経路を充電なしで目的地の近くまで行ける経路としてユーザに提示する。
なお、上記説明は経路探索の例であり、条件に応じた経路を探索できる方法であればどのような方法であってもよい。
【0040】
続くステップST13〜ST15は、図4に示すステップST3〜ST5と同じ処理であるため、詳細な説明は省略する。ステップST3〜ST5では仮の経路に基づいて走行可能距離を推定したが、ステップST13〜ST15ではステップST12にて探索した経路に基づいて走行可能距離を推定する。
【0041】
図9は、経路表示画面に走行可能距離を表示した例であり、出発地104、目的地105、およびステップST12で探索した経路106が淡い色で表示されている。さらに、この経路106のうち、ステップST13で取得したバッテリ消費条件および現在のバッテリ残存容量に基づいて、ステップST15で到達可能と推定された走行可能道路107の道路が濃い色で表示されている。また、この例では、経路106の全道程を現在のバッテリ残存容量では走行できないため、ナビECU62から表示部69へ指示を出して、充電が必要な旨の警告表示を行うなどしてもよい。
ユーザは、表示画面より、現在のバッテリ残存容量で目的地105まで到達可能か否かを知ることができ、さらに、この場合であれば目的地105まで到達できないと判断して、例えば経路106上の充電設備103でバッテリ2に充電するなどの検討を行うことができる。
【0042】
なお、ナビECU62は、現在日時の気象情報に代えて、ユーザが入力部68より入力した任意の日時の気象状況を予測した気象情報を気象情報サーバ10から取得するようにしてもよい。同じように、ナビECU62は、現在の車両機器4の使用状況を示す車両情報に代えて、ユーザが入力部68より入力した任意の車両情報を取得するようにしてもよい。この構成の場合、ユーザが設定したバッテリ消費条件に応じた予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より取得して走行可能距離を推定できる。
例えば太陽光発電機3を搭載した電気自動車1において、1つの経路について夜間の時間帯の走行可能距離と、昼間の時間帯の走行可能距離とをそれぞれ推定して、地図画像上に表示した例を図10に示す。図10では、出発地104から目的地105までの経路上に、夜間の時間帯の走行可能道路107aと、昼間の時間帯の走行可能道路107bとが重畳表示されている。夜間か昼間か(昼間の場合はさらに天候が晴れであるか雨であるか)によって太陽光発電機3による充電量が大きく異なるため、推定される走行可能距離に大きな違いがあることが分かる。
【0043】
以上より、実施の形態1によれば、ナビゲーション装置6は、電気自動車1の現在位置および進行方向を示す情報を取得する現在位置取得部63と、現在位置取得部63が取得した現在位置を含む地図データを地図データ記憶部61から取得する地図データ取得部62−1と、地図データに含まれる道路の種別を現す優先順位に基づいて、地図データによる表示範囲のうち、進行方向において現在位置に最も近い位置にある主要道路を特定して仮の経路に設定する経路設定部62−2と、車両機器4の使用状況を示す車両情報を取得する車両情報取得部66と、距離推定部62−3が設定した仮の経路を構成する道路リンク毎に、車両情報取得部66が取得した車両機器4の使用状況の条件で道路リンクを走行した場合の予測バッテリ消費量をデータセンタ8のバッテリ消費情報サーバ9から取得するバッテリ消費情報取得部67と、バッテリ2の残存容量を取得するバッテリ残存容量取得部65と、バッテリ消費情報取得部67が取得した道路リンク毎の予測バッテリ消費量とバッテリ残存容量取得部65が取得したバッテリ2の残存容量とを比較して、仮の経路に沿って走行した場合の走行可能距離を推定する距離推定部62−3と、地図データ取得部62−1が取得した地図データに距離推定部62−3が推定した仮の経路上の走行可能距離を重畳表示する表示部69とを備えるように構成した。このため、目的地の設定を行わなくとも車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を推定することができる。
【0044】
特に、バッテリ2が自然エネルギを利用して発電する発電機3を有する場合は、ナビゲーション装置6が仮の経路における気象情報を取得する気象情報取得部64を備え、車両情報取得部66は発電機3の有無および種類を示す車両情報を取得し、バッテリ消費情報取得部67は気象情報取得部64が取得した気象情報と車両情報取得部66が取得した車両情報に基づいて、気象情報に応じた発電機3の充電量が反映された予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より取得するように構成するようにした。これにより、自然エネルギを利用した太陽光発電機、風力発電機などの発電機3を備える電気自動車1において、天候によって走行可能距離の推定にばらつきが生じることなく、走行可能距離を精度よく推定することができる。
【0045】
また、実施の形態1によれば、経路設定部62−2は、仮の経路を設定する代わりに入力部68から入力された目的地を用いて経路探索してもよく、その場合には、現在位置および地図データに含まれる道路のリンクコストに基づいて、電気自動車1の現在位置から目的地までのリンクコストに従って経路を探索し、バッテリ消費情報取得部67が、経路設定部62−2が探索した経路を構成する道路リンク毎に、車両情報取得部66が取得した車両機器4の使用状況、発電機3の有無およびその種類、ならびに気象情報取得部64が取得した気象情報の条件に当てはまる予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より取得し、距離推定部62−3が、バッテリ消費情報取得部67の取得した道路リンク毎の予測バッテリ消費量とバッテリ残存容量取得部65の取得したバッテリ2の残存容量とを比較して、探索した経路に沿って走行した場合の走行可能距離を推定し、表示部69が、地図データ取得部62−1の取得した地図データに距離推定部62−3が推定した経路上の走行可能距離を重畳表示するように構成した。このため、目的地を設定した場合にも、車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を、天候等を考慮して精度よく推定することができる。
【0046】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、仮の経路または探索した経路を走行する場合の予測バッテリ消費量に基づいて走行可能距離を推定する構成としたが、本実施の形態2ではこれらの経路だけでなく、目的地を設定することなく走行可能な道路全てにおいて予測バッテリ消費量を取得し、現在のバッテリ残存容量で走行可能な範囲を推定する。なお、本実施の形態2の走行可能距離推定装置は、図1および図2に示す走行可能距離推定装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図1および図2を援用して説明する。
【0047】
図11は、本実施の形態2に係るナビゲーション装置6による走行可能距離の推定動作を示すフローチャートである。
先ずステップST21にて、現在位置取得部63が現在日時および現在位置を取得してナビECU62に出力し、地図データ取得部62−1が現在位置を含む所定範囲の地図データを地図データ記憶部61から取得する。
続くステップST22にて、ナビECU62から気象情報取得部64に指示して、地図データを取得した範囲における現在日時の気象情報を気象情報サーバ10より取得する。また、ナビECU62から車両情報取得部66に指示して、車両機器4の使用状況および発電機3の有無といった車両情報を取得する。
【0048】
続くステップST23にて、ナビECU62からバッテリ消費情報取得部67に指示して、地図データを取得した範囲に存在する全道路リンクのリンク番号、自車両の車種、発電機3の有無と種類、気象情報および車両情報を含めたバッテリ消費条件をデータセンタ8のバッテリ消費情報サーバ9へ送信し、このバッテリ消費条件に合致する予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より取得する。
【0049】
続くステップST24にて、ナビECU62からバッテリ残存容量取得部65に指示してバッテリ残存容量を取得する。そして、距離推定部62−3が、地図データを取得した範囲において現在位置の道路リンクに接続する道路リンクを辿りながら、辿る道路リンク毎に、現在位置の道路リンクから辿った先の道路リンクまでの経路を走行した場合の予測バッテリ消費量の合計値とバッテリ残存容量を比較し、辿った先の道路リンクまで到達可能か否か判定する。距離推定部62−3は、この範囲において現在位置の道路リンクから辿れる経路を全て判定し終えると、到達可能と判定した道路リンクに相当する道路を走行可能範囲と推定して、一連の処理を終了する。
【0050】
なお、ステップST24にて走行可能範囲を推定した後、再びステップST21に戻り、新たな現在位置における現在日時の気象情報および車両情報を取得し直して走行可能範囲を推定し直すようにしてもよい。
【0051】
また、ステップST24にて推定した走行可能範囲は、ナビECU62から表示部69に指示して、地図画像上に表示する。
図12は、地図表示画面に走行可能範囲を表示した例であり、一点鎖線の領域108が「雨」、それ以外の領域は「晴れ」の場合を示す。図12に示すように、自車両100の位置を始点として、現在のバッテリ残存容量で走行可能な道路の表示色を変更するなどして、走行可能範囲109をユーザに通知する。電気自動車1が太陽光発電機3を備える場合、自車両100から等距離にある「晴れ」の領域内の地点110と「雨」の領域108内の地点111とでは、天候に応じた予測バッテリ消費量の違いにより、推定された走行可能距離に差が生じる。
全道路リンクについて予測バッテリ消費量とバッテリ残存容量の比較を行うためリアルタイム性は劣るが、上記実施の形態1と同様に目的地設定を行わず、かつ、気象状況などのバッテリ消費条件を考慮した走行可能範囲を推定することができる。
【0052】
なお、ナビECU62は、走行可能範囲か否かを推定する道路として、上述のように地図データ記憶部61から取得した地図データの全道路リンクを含めてもよいが、これに限定されるものではなく、例えば入力部68からユーザの選択指示を受け付けて任意の道路(例えば、所定の閾値以上の優先順位が付与された主要道路のみ)のみに限定してもよいし、地図表示の縮尺に応じて表示対象の道路のみに限定してもよい。このような構成にした場合、全道路リンクを含める場合に比べ、ナビゲーション装置6とバッテリ消費情報サーバ9の通信情報量およびナビゲーション装置6の処理負荷を低減できる。また、リアルタイム性が向上する。
【0053】
以上より、実施の形態2に係るナビゲーション装置6は、バッテリ消費情報取得部67が、地図データ取得部62−1の取得した地図データに含まれる道路リンク毎に、車両情報取得部66の取得した車両情報と気象情報取得部64の取得した気象情報の条件に当てはまる予測バッテリ消費量をバッテリ消費情報サーバ9より取得し、距離推定部62−3が、バッテリ消費情報取得部67の取得した道路リンク毎の予測バッテリ消費量に基づいて、現在位置に該当する道路リンクから辿れる道路リンク毎の予測バッテリ消費量とバッテリ残存容量取得部65の取得したバッテリ残存容量とを比較して辿った経路毎に走行可能距離を推定して地図データによる表示範囲における走行可能範囲を求め、表示部69が、地図データ取得部62−1の取得した地図データに距離推定部62−3の推定した走行可能範囲を重畳表示するように構成した。このため、上記実施の形態1と同様に、目的地の設定を行わなくとも車載バッテリの現在の残存容量で走行可能な距離を推定することができると共に、電気自動車1が自然エネルギを利用して発電する発電機3を備える場合に天候によって走行可能距離の推定にばらつきが生じることなく、走行可能範囲を精度よく推定することができる。
【0054】
なお、上記実施の形態1,2では、ナビゲーション装置6が車外の気象情報サーバ10から気象情報を取得してバッテリ消費情報サーバ9へ通知する構成にしたが、これに限定されるものではなく、例えばデータセンタ8が気象情報サーバ10と独自に通信するか、または気象情報サーバ10を具備するかして、データセンタ8はナビゲーション装置6から通知された位置情報と日時情報に基づいてその場所におけるその日時の気象情報を取得する構成にしてもよい。
【0055】
実施の形態3.
図13は、本実施の形態3に係るナビゲーション装置を利用した走行可能距離推定装置の構成を示すシステムブロック図である。なお、図13において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
上記実施の形態1,2では、ナビゲーション装置6が通信により車外のバッテリ消費情報サーバ9から予測バッテリ消費量を取得し、同じく車外の気象情報サーバ10から気象情報を取得する構成にしたが、本実施の形態3では、ナビゲーション装置6(または電気自動車1)がバッテリ消費情報サーバ9および気象情報サーバ10を備える構成にする。ナビゲーション装置6のその他の構成は図2と同様である。
【0056】
ナビゲーション装置6がバッテリ消費情報サーバ9を具備する場合、バッテリ消費情報取得部67(図2に示す)は移動体通信網7および通信装置5を介さずに、バッテリ消費情報サーバ9から予測バッテリ消費量を取得する。
この構成の場合には、バッテリ消費情報サーバ9に、電気自動車1の車種と発電機3の有無および種類とに応じた予測バッテリ消費量のテーブルを格納しておけば足りる。このバッテリ消費情報は、ナビゲーション装置6が移動体通信網7および通信装置5を介して外部から取得してバッテリ消費情報サーバ9に格納してもよいし、または、スマートフォンなどの携帯端末が外部から取得して、この携帯端末との間でナビゲーション装置6が無線通信などを行ってバッテリ消費情報サーバ9に格納してもよい。あるいは、バッテリ消費情報サーバ9に代えて携帯端末に情報を格納し、ナビゲーション装置6は無線通信により携帯端末から随時情報を取得するようにしてもよい。
【0057】
また、ナビゲーション装置6が気象情報サーバ10を具備する場合、気象情報取得部64(図2に示す)は移動体通信網7および通信装置5を介さずに、気象情報サーバ10から気象情報を取得する。
この構成の場合には、所定期間および所定地域の気象情報を、ナビゲーション装置6が移動体通信網7および通信装置5を介して外部から定期的に取得して気象情報サーバ10に格納してもよいし、または、携帯端末が外部から取得して、この携帯端末との間でナビゲーション装置6が無線通信などを行って気象情報サーバ10に格納してもよい。あるいは、気象情報サーバ10に代えて携帯端末に情報を格納し、ナビゲーション装置6は無線通信により携帯端末から随時情報を取得するようにしてもよい。
【0058】
なお、ナビゲーション装置6がバッテリ消費情報サーバ9および気象情報サーバ10の両方を具備する構成に限定されるものではなく、バッテリ消費情報サーバ9および気象情報サーバ10のいずれか一方を具備する構成であってもよい。
【0059】
これ以外にも、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 電気自動車、2 バッテリ、3 発電機、4 車両機器、5 通信装置、6 ナビゲーション装置、7 移動体通信網、8 データセンタ、9 バッテリ消費情報サーバ、10 気象情報サーバ、61 地図データ記憶部、62 ナビECU、62−1 地図データ取得部、62−2 経路設定部、62−3 距離推定部、63 現在位置取得部、64 気象情報取得部、65 バッテリ残存容量取得部、66 車両情報取得部、67 バッテリ消費情報取得部、68 入力部、69 表示部、100 自車両、101 一般道路、102 主要道路、103 充電設備、104 出発地、105 目的地、106 経路、107,107a,107b 走行可能道路、108 雨の領域、109 走行可能範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の現在位置および進行方向を示す情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部が取得した現在位置を含む地図データを取得する地図データ取得部と、
前記地図データによる表示範囲の道路のうち、前記現在位置から前記進行方向にある道路を仮の経路に設定する経路設定部と、
前記経路設定部が設定した経路を構成する道路リンク毎に、当該道路リンクに設定された走行に必要なバッテリ消費量の情報をバッテリ消費情報源から取得するバッテリ消費情報取得部と、
車載バッテリの残存容量を取得するバッテリ残存容量取得部と、
前記バッテリ消費情報取得部が取得した道路リンク毎のバッテリ消費量と前記バッテリ残存容量取得部が取得した前記車載バッテリの残存容量とを比較して、前記経路設定部が設定した経路に沿って走行した場合の走行可能距離を推定する距離推定部と、
前記地図データ取得部が取得した前記地図データに、前記距離推定部が推定した前記経路上の走行可能距離を重畳表示する表示部とを備える走行可能距離推定装置。
【請求項2】
バッテリ消費情報取得部は、経路設定部が設定する経路に代えて、地図データ取得部が取得した現在位置を含む地図データに含まれる道路リンク毎に、当該道路リンクに設定されているバッテリ消費量の情報をバッテリ消費情報源から取得し、
距離推定部は、前記バッテリ消費情報取得部が取得した道路リンク毎のバッテリ消費量に基づいて、前記現在位置に該当する道路リンクから辿れる道路リンク毎のバッテリ消費量とバッテリ残存容量取得部が取得した車載バッテリの残存容量とを比較して当該辿った経路毎に走行可能距離を推定し、前記地図データによる表示範囲における走行可能範囲を求め、
表示部は、前記地図データ取得部が取得した前記地図データに、前記距離推定部が推定した走行可能範囲を重畳表示することを特徴とする請求項1記載の走行可能距離推定装置。
【請求項3】
自然エネルギを利用して発電し車載バッテリを充電する発電機の有無および当該発電機の種類を示す車両情報を取得する車両情報取得部と、
地図データ取得部が取得した地図データによる表示範囲における気象情報を取得する気象情報取得部とを備え、
バッテリ消費情報取得部は、前記車両情報取得部が取得した車両情報および前記気象情報取得部が取得した気象情報に基づき、前記気象情報に応じた前記発電機の充電量が反映された道路リンク毎のバッテリ消費量の情報をバッテリ消費情報源から取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の走行可能距離推定装置。
【請求項4】
経路設定部は、現在位置取得部が取得した現在位置および地図データ取得部が取得した地図データに含まれる道路のリンクコストに基づいて、電気自動車の現在位置から目的地までのリンクコストに従って経路を探索し、
バッテリ消費情報取得部は、経路設定部が探索した経路を構成する道路リンク毎に、当該道路リンクに設定されているバッテリ消費量の情報をバッテリ消費情報源から取得することを特徴とする請求項3記載の走行可能距離推定装置。
【請求項5】
発電機は、太陽光を利用した発電機、および風力を利用した発電機のいずれか一方、または両方であることを特徴とする請求項3記載の走行可能距離推定装置。
【請求項6】
経路設定部は、地図データに含まれる道路の種別を表す情報に基づいて、進行方向において現在位置に最も近い位置にある所定種別の道路を特定して、前記現在位置から当該特定した道路を仮の経路に設定することを特徴とする請求項1記載の走行可能距離推定装置。
【請求項7】
バッテリ消費情報取得部は、バッテリ消費量の情報を、車外にあるバッテリ消費情報源から通信により取得することを特徴とする請求項1記載の走行可能距離推定装置。
【請求項8】
バッテリ消費情報取得部は、バッテリ消費量の情報を、車内にあるバッテリ消費情報源から取得することを特徴とする請求項1記載の走行可能距離推定装置。
【請求項9】
気象情報取得部は、気象情報を、車外にある気象情報源から通信により取得することを特徴とする請求項3記載の走行可能距離推定装置。
【請求項10】
気象情報取得部は、気象情報を、車内にある気象情報源から取得することを特徴とする請求項3記載の走行可能距離推定装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の走行可能距離推定装置を用い、電気自動車周辺の道路を表示する場合または探索した目的地までの経路を表示する場合に車載バッテリの残存容量で走行可能か否かを区別して表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−242329(P2012−242329A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114943(P2011−114943)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】