説明

起泡性O/Wエマルションおよびその化粧品における使用

【課題】クリームまたはミルクなどの非起泡性製品のように穏やかでありながら、起泡性が良好で泡の質が良好であると同時に良好な耐性を有し、大量の油を含む製品の提供。
【解決手段】水中油型エマルションの形態の局所適用のための起泡性組成物であって、−油性相D[4,3]の小滴のサイズが4μm以下であり、−油性相(A)が組成物の全重量に対して少なくとも30重量%の量で存在し、この組成物が、−組成物の全重量に対して少なくとも2重量%の量で存在する、HLB値が8〜18の範囲の乳化系(B)、−下記式(I):R−CHOH−CH−O−COO (I)陰イオン性界面活性剤を含む起泡系(C)、−重量比が1.5〜12の範囲にある、油性相(A)/起泡系(C)を含むことを特徴とする起泡性組成物。皮膚クレンジングまたはメーキャップ除去組成物などに利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転相によって得られる、油分の多い水中油型エマルションの形態の、局所適用、特に化粧用および/または皮膚科学用の適用のための起泡性組成物に関し、および特に化粧品または皮膚科学におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
顔の手入れにとって皮膚のクレンジングは大変重要であり、過剰の皮脂や、日常用いる化粧品およびメーキャップ製品、特に「耐水性」製品の残留物などの脂性の残留物が皮膚の皺に蓄積し、皮膚の孔を塞ぐことがあり、吹き出物の形成につながることがあるので、できるだけ効率的でなければならない。
【0003】
クレンジングの分野では、起泡性水性ゲルを使用することは周知の慣行である。含有する界面活性剤によって、起泡性水性ゲルのクレンジング作用がもたらされ、この界面活性剤はメーキャップ製品の脂性の残留物および色素を懸濁状態にする。しかしながら、これらのゲルは、皮膚を乾燥させ、つっぱり感を与えるという欠点を有することが多い。さらに、これらのゲルのメーキャップ除去力は、常に十分なわけではない。
【0004】
さらに、メーキャップ除去の分野では、ミルクまたはクリーム(非起泡性製品)の使用は周知の慣行である。これらの製品は、水性ゲルよりも心地よいが、皮膚に適用した後過剰に脂性の残留物を残す欠点のあることが多く、そこでトニック剤を使用して過度の残留脂肪物質を除去する必要がある。
【0005】
このため、起泡性もクレンジング性もあると同時に手入れがしやすく、かつ/または過剰に脂性の残留物を残すことなく、メーキャップを除去する、1品2機能製品を生産することが求められている。
【0006】
起泡性製品で手入れがしやすい方法の1つは、油をその中に組み入れ、それによってエマルションを調製することである。このタイプの製品はすでに存在し、皮膚の表面に油を少量残すので、顔用および身体用両方の手入れクレンジング製品として使用され、あるいは、水ですすぎ流せるメーキャップ除去製品として使用されることがある。しかしながら、これらの製品は、油が存在することで良好な起泡の発生が妨げられるので、起泡の開始および/または得られる起泡量の点で十分ではない。さらに、起泡発生に関して油の存在が問題をもたらすため、一般にその中の油の量は正確に制限される。
【0007】
したがって、仏国特許出願FR-A-2 733 417では、起泡性非イオン性界面活性剤、所定の溶解度パラメータを有する油、およびゲル化剤として架橋ポリマー、特にビニルポリマーを含む、クリームの形態の起泡性水中油型エマルションを記載している。しかしながら、この組成物には、十分な泡が得られず、特に泡の開始が悪く泡の体積が少ないという欠点がある。
【特許文献1】仏国特許出願FR-A-2 733 417
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、まさにクリームまたはミルクなどの非起泡性製品のように穏やかでありながら、起泡性が良好で泡の質が良好であると同時に良好な耐性を有し、大量の油を含む製品を生産する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、小さいサイズの油性相の小滴を有し、起泡性界面活性剤として少なくとも1種のアルキルポリグルコシドと少なくとも1種のアルキルグリコールカルボン酸の組合せを含み、このエマルションは油性相に富み、特に転相温度により得ることのできるエマルションを用いることで、提議された問題を是正するのが可能であることが見出されている。得られた組成物は、従来技術のものよりも泡の質が良好で良好な耐性を有する。
【0010】
したがって、得られた組成物は、大変穏やかで、任意の皮膚タイプ、特に乾燥肌および敏感肌に真価を認められる。
【0011】
そこで、本発明の一主題は、水相中に分散した油性相を含む水中油型エマルションの形態の局所適用のための起泡性組成物であって、
−油性相D[4,3]の小滴のサイズが4μm以下であり、
−油性相(A)が組成物の全重量に対して少なくとも30重量%の量で存在し、
この組成物が、
−組成物の全重量に対して少なくとも2重量%の量で存在する、HLB値が8〜18の範囲の乳化系(B)、
−下記式(I):
−CHOH−CH−O−COO (I)
(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状アルキル基を表し、Xは、水素、または無機若しくは有機カチオンを表す)
のアルキルグリコールカルボン酸およびそれらの塩から選択される少なくとも1種の起泡性界面活性剤を含む起泡系(C)、
−重量比が1.5〜12の範囲にある、油性相(A)/起泡系(C)
を含むことを特徴とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の組成物は局所適用を意図しているので、生理学的に許容される媒体を含む。用語「生理学的に許容される媒体」とは、皮膚または外皮への局所適用に適する、すなわち、皮膚、粘膜、唇、睫毛、眼、毛髪および爪と相溶性がある媒体を意味する。この組成物は、特に化粧用または皮膚科学用の組成物を構成してもよい。
【0013】
本特許出願において、用語「油性相」は、特に油(室温で液体である親油性成分)、ゴム、ペーストおよびロウである親油性組成物を含む相を意味する。これは、例えば、後述するように、トリグリセリド、炭化水素、エステル、エーテル、シリコーンであり、もしこれらの化合物が起泡の生成を損なわなければ、あらゆる親油性添加剤が場合によっては存在する。乳化系の乳化剤および共乳化剤は、上記に定義した油性相(A)の部分を構成しない。
【0014】
本発明によるO/Wエマルションは、水相中に分散した油性相(または親油相)を含み、好ましくは転相温度技術により得られ、
−主にクリームであるという粘性、
−5〜10.5、好ましくは5〜9の範囲というpH、
−油性相の小滴が4μm以下という小さなサイズ、
−45℃で2カ月後でも、肉眼的な相分離または粒子の出現など質感における変化が起こらないという安定性、
−強力なメーキャップ除去力
によって特徴づけられる。
【0015】
転相温度(すなわちPIT)による乳化の原理は、原理的には当業者には良く知られており、K. Shinodaにより1968年に記載された(J. Chem. Soc. Jpn.、1968年、89巻、435頁)。この乳化技術により安定な微細エマルションを得ることができるようになったと示されている(K. Shinoda および H. Saito、J. Colloid Interface Sci.、1969年、30巻、258頁)。この技術を、1972年という早い時期にMitsuiらが化粧品に適用した(「Application of the phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」、T. Mitsui、Y. MachidaおよびF. Harusawa、American Cosmet. Perfum.、1972年、87巻、33頁)。
【0016】
この技術の原理は以下の通りである。水相と油性相の混合物を調製し、系の転相温度であり、用いられる乳化剤の親水性の性質と親油性の性質が平衡に達する温度であるPITより高い温度にする。高温、すなわち転相温度を上回る(>PIT)温度ではこのエマルションは油中水型であり、冷却する間に転相温度でこのエマルションは転移して水中油型のエマルションになり、その際にマイクロエマルションの状態をあらかじめ通過する。このプロセスにより、直径が4μmより小さいエマルションが容易に得られるようになる。
【0017】
本発明により得られたエマルションは、大量の油を含んでいるが安定である。「安定な組成物」は、45℃で2カ月後も肉眼的に均一であり続ける組成物を意味する。このような安定性は、肉眼的な相分離または粒子の出現などの質感の変化が、この期間の後も起こらないことを意味する。
【0018】
本発明による組成物は、不透明から半透明で、いくぶん濃厚なクリームの形態であることがあり、その粘度に応じて自重を受けて流動性があってもなくてもよい。25℃でRheomat180粘度計で200rpm(1分あたりの回転数)で測定した粘度は1Pa・s以上である。Rheomat180機には、粘度に応じた様々なスピンドル、例えば、0.2〜4Pa・sの範囲の粘度には3号のスピンドル、2Pa・sを超える範囲の粘度には4号のスピンドルが備えられている。上記に記載した条件下で測定すると、本発明の組成物の粘度は、例えば、1〜200Pa・s、好ましくは5〜180Pa・sの範囲であってよい。一般に、この粘度は、スピンドルの回転のスイッチを入れて10分後に測定する。
【0019】
油性相の小滴の平均サイズおよびその多分散性は、例えば、Mastersizer2000粒度計(Malvern Instrumentsより市販されている)を用いて光散乱により測定する。この測定は、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)1%水溶液で希釈したエマルションで行われる。平均体積径D[4,3](μm)は、ソフトウェアにより決定する(Malvern Instruments、Operators Guide、1998年12月、61〜67頁を参照されたい)。
【0020】
本発明の組成物の油性相の小滴の平均サイズD[4,3](μm)は、4μm以下であり、特に0.09μm〜4μm、より詳しくは0.1μm〜2μm、好ましくは0.1μm〜1μmの範囲である。
【0021】
本明細書では、多分散性は、中央値に対する絶対偏差または「均一性」により規定される。この値は1未満でなければならない。
【0022】
[起泡系]
本発明に係る組成物において、起泡系(C)の量に対する油性相(A)の量の重量比は、1.5〜12、好ましくは4〜10の範囲である。
【0023】
用語「起泡系」は、すべての起泡性界面活性剤を意味する。起泡系(C)は、アルキルグリコールカルボン酸およびこれらの塩から選択される少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤を含む。この系は、アルキルグリコールカルボン酸およびこれらの塩から選択される1種以上の陰イオン性界面活性剤しか含まなくてもよく、あるいは、このタイプおよび他の起泡性界面活性剤の1種以上の界面活性剤の混合物を含んでもよい。
【0024】
起泡性界面活性剤は一般に親水性であり、したがって水相に存在する。
【0025】
[アルキルグリコールカルボン酸]
アルキルグリコールカルボン酸(または2−(2−ヒドロキシアルキルオキシ酢酸))およびそれらの塩は、下記の式(I):
−CHOH−CH−O−COO (I)
(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状アルキル基を表し、Xは、水素、または無機若しくは有機カチオン、例えばアルカリ金属(例えばNaまたはK)由来のもの、NH由来のもの、リジン、アルギニンまたはサルコシンなど塩基性アミノ酸に由来したアンモニウム由来のもの、あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミン、N−メチルグルカミンまたは3−アミノ−1,2−プロパンジオールなどアミノアルコール由来のものを表す)
の起泡性界面活性剤である。
【0026】
本発明に係る好適な2−ヒドロキシアルキルカルボン酸は、特にR1が8〜18個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状アルキル基を表わす、式(I)の化合物である。
【0027】
式(I)の界面活性剤の中で、Sanyo社によりBeaulight Shaa(登録商標)またはBeaulight LCA-25N(登録商標)の名称で販売されているナトリウムラウリルグリコールカルボキシレート、またはSanyo社によりBeaulight Shaa(酸形態)(登録商標)の名称で販売されているその対応する酸を特に挙げることができる。
【0028】
アルキルグリコールカルボン酸タイプの陰イオン性界面活性剤の(活性物質としての)量は、例えば、組成物の全重量に対して0.5%〜20重量%、好ましくは1%〜15重量%、好適には2%〜10重量%の範囲であってよい。
【0029】
[他の起泡性界面活性剤]
組成物は、非イオン性、両性または双性イオン、陰イオン性および陽イオン性起泡性界面活性剤から選択される他の起泡性界面活性剤を含んでもよい。
【0030】
組成物は、アルキルグリコールカルボン酸タイプの陰イオン性界面活性剤だけを含んでもよいし、あるいは、アルキルグリコールカルボン酸タイプの陰イオン性界面活性剤を含む起泡性界面活性剤の混合物を含んでもよい。起泡性界面活性剤の(活性物質としての)全量は、例えば、組成物の全重量に対して0.5%〜20重量%、好ましくは1%〜15重量%、好適には5%〜15重量%の範囲であってよい。
【0031】
非イオン性起泡性界面活性剤として、組成物は、例えば、アルキルポリグルコシド(APG)、マルトースエステル、ポリグリセロール化脂肪アルコール、およびグルカミン誘導体、例えば2−エチルヘキシロキシカルボニル−N−メチルグルカミン、およびこれらの混合物から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を例えば含んでもよい。
【0032】
使用するのが好ましいアルキルポリグルコシドは、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子を含むアルキル基を含み、好ましくは1.2〜3個のグルコシド単位を含む親水性基(グルコシド)を含むものを含む。挙げることのできるアルキルポリグルコシドの例として、Mydol 10(登録商標)の名称でKao Chemicals社から市販されている製品、Plantaren 2000 UP(登録商標)の名称でCognis社から市販されている製品、Oramix NS10(登録商標)の名称でSEPPIC社から市販されている製品などのデシルグルコシド(アルキル−C9/C11−ポリグルコシド(1,4));Oramix CG110(登録商標)の名称でSEPPIC社から市販されている製品などのカプリリル/カプリルグルコシド;Plantaren 1200 N(登録商標)およびPlantacare 1200(登録商標)の名称でCognis社から市販されている製品などのラウリルグルコシド;Plantacare 818/UP(登録商標)の名称でCognis社から市販されている製品などのココグルコシド、およびそれらの混合物が含まれる。
【0033】
マルトース誘導体には、例えば、O−オクタノイル−6’−D−マルトースなど文献EP-A-566 438に記載されているもの、または文献FR-A-2 739 556に記載されているO−ドデカノイル−6’−D−マルトースがある。
【0034】
挙げることのできるポリグリセロール化脂肪アルコールの例には、ポリグリセロール化(3.5molグリセロール)ドデカンジオールがあり、この製品はChimexane NF(登録商標)の名称でChimex社から市販されている。
【0035】
両性および双性イオン起泡性界面活性剤は、例えば、アミドプロピルベタイン、アンホアセテートおよびヒドロキシルサルテインを含むベタイン誘導体ならびにそれらの混合物から選択されてもよい。
【0036】
挙げることのできるベタイン誘導体の例として、例えば、Dehyton AB-30(登録商標)の名称でCognis社から市販されている製品などのココベタイン;Genagen KB(登録商標)の名称でClariant社から市販されている製品などのラウリルベタイン;例えばラウリルエーテル(10 OE)ベタイン(登録商標)の名称でShin Nihon Rica社から市販されている製品などのオキシエチレン化(10 EO)ラウリルベタイン;例えばステアリルエーテル(10 OE)ベタイン(登録商標)の名称でShin Nihon Rica社から市販されている製品などのオキシエチレン化(10 EO)ステアリルベタイン;例えばVelvetex BK 35(登録商標)の名称でCognis社から市販されているコカミドプロピルベタイン;例えばAmphoram U(登録商標)の名称でCeca社から市販されているウンデシレンアミドプロピルベタイン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0037】
挙げることのできるアルキルアンホアセテートの例として、N−ジナトリウムN−ココイル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン(CTFA名、ジナトリウムコカンホジアセテート)、例えば、Miranol C2M Concentrate NP(登録商標)の名称でRhodia Chimie社から市販されている製品;N−ナトリウムN−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン(CTFA名、ナトリウムコカンホアセテート)、およびそれらの混合物が含まれる。
【0038】
陰イオン性界面活性剤は、例えば、石鹸(脂肪酸のアルカリ金属塩)、アミノ酸誘導体、例えばグリシナートなどアシルアミノ酸、アミドエーテルカルボキシレート、アルキルポリアミノカルボキシレート、ナトリウムラウレススルフェートなどアルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、イセチオネート、アルキルメチルタウレート、アルキルスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アルキルホスフェート(モノアルキルホスフェートまたはジアルキルホスフェート)、それらの塩、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0039】
本発明の好適な一実施形態によれば、2−ヒドロキシアルキルカルボン酸以外の起泡性界面活性剤は、アルキルポリグルコシド、ベタイン誘導体、アルキルホスフェートおよびアルキルエーテルスルフェートならびにこれらの混合物から選択される。
【0040】
[乳化系]
乳化系(B)は、1種以上の乳化剤を含む。乳化剤は、起泡性界面活性剤と同じく両親媒性であり、すなわち親水性部分と親油性部分を有する。しかしながら、これにはまったく起泡性がないが、2つの相互に不溶な相の分散を促進するという、洗浄剤である起泡性界面活性剤がなさない独特の特徴がある。乳化剤と起泡性界面活性剤(または洗浄剤)の違いは、HLB(親水性−親油性バランス)の相違および/または脂肪鎖の長さの違いにある。HLBは、その分子における親水性部分と親油性部分の比である。この用語HLBは当業者には良く知られており、「The HLB system. A time-saving guide to Emulsifier Selection」(ICI Americas Inc出版、1984年)に記載されている。乳化剤では、HLBは一般に、W/Oエマルションの製剤では3〜8、O/Wエマルションの製剤では8〜18の範囲であるが、起泡性界面活性剤はHLBが一般に20を超え、かつ/または8〜14個の炭素原子を含む脂肪鎖を有する。
【0041】
本発明に係る組成物に用いられる乳化系(B)は、油の溶解度が温度の上昇とともに増加する1種以上の乳化剤を含み、これらの乳化剤は転相温度によってエマルションが製造できるものである。乳化系のHLB(親水性−親油性バランス)は8〜18、好ましくは10〜16の範囲である。乳化系の乳化剤は、特に、エトキシ化脂肪アルコール、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪酸の部分グリセリド、ポリグリセロール化脂肪酸のトリグリセリドおよびこれらのエトキシ化誘導体、ならびにこれらの混合物から選択してもよい。
【0042】
乳化剤は、好ましくは、下記の式(I)および(II)を有するエトキシ化脂肪アルコールおよびエトキシ化脂肪酸から選択される。
R−O−(CH−CH−O)H (I)
R−COO−(CH−CH−O)H (II)
(式中、Rは、炭素原子10〜24個を含む直鎖状または分岐状、飽和または不飽和、炭化水素ベース鎖であり、mは、8〜50の範囲の整数である)
【0043】
挙げることのできるエトキシ化脂肪アルコールの例には、エチレンオキシドのラウリルアルコールとの付加生成物、特にオキシエチレン基を9〜50個、より詳しくはオキシエチレン基を10〜12個含むもの(CTFA名で、ラウレス−10からラウレス−12);エチレンオキシドのベヘニルアルコールとの付加生成物、特にオキシエチレン基を9〜50個含むもの(CTFA名で、ベヘネス−9からベヘネス−50);エチレンオキシドのセテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物)との付加生成物、特にオキシエチレン基を10〜30個含むもの(CTFA名で、セテアレス−10からセテアレス−30);エチレンオキシドのセチルアルコールとの付加生成物、特にオキシエチレン基を10〜30個含むもの(CTFA名で、セテス−10からセテス−30);エチレンオキシドのステアリルアルコールとの付加生成物、特にオキシエチレン基を10〜30個含むもの(CTFA名で、ステアレス−10からステアレス−30);エチレンオキシドのイソステアリルアルコールとの付加生成物、特にオキシエチレン基を10〜50個含むもの(CTFA名で、イソステアレス−10からイソステアレス−50);およびこれらの混合物が含まれる。
【0044】
挙げることのできるエトキシ化脂肪酸の例には、エチレンオキシドとラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、およびそれらの混合物との付加生成物、特に、オキシエチレン基を9〜50個含むもの、例えば、PEG-9からPEG-50ラウレート(CTFA名で、PEG-9ラウレートからPEG-50ラウレート);PEG-9からPEG-50パルミテート(CTFA名で、PEG-9パルミテートからPEG-50パルミテート);PEG-9からPEG-50ステアレート(CTFA名で、PEG-9ステアレートからPEG-50ステアレート);PEG-9からPEG-50パルミトステアレート;PEG-9からPEG-50ベヘネート(CTFA名で、PEG-9ベヘネートからPEG-50ベヘネート);およびこれらの混合物が含まれる。
【0045】
これら脂肪アルコールのオキシエチレン化誘導体と脂肪酸のオキシエチレン化誘導体との混合物も用いてもよい。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態によると、本発明の組成物の乳化系は、乳化剤として少なくとも1種のエトキシ化脂肪アルコール、好ましくは少なくともベヘニルアルコールを含む。
【0047】
乳化系は、任意に1種以上の共乳化剤を含むこともできる。挙げることのできる共乳化剤の例には、炭素原子を12〜30個含む脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコール;炭素原子を8〜30個含む脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、またはベヘン酸;グリセロールの脂肪酸エステル、例えば、グリセリルステアレート;エチレンオキシド基を2〜8個含む、これらグリセロールの脂肪アルコール、脂肪酸および脂肪酸エステルのオキシエチレン化誘導体、およびこれらの混合物が含まれる。
【0048】
(乳化剤および共乳化剤を含む)乳化系は一般に、組成物の全重量に対して2〜20重量%、好ましくは3〜16重量%、さらに好ましくは3〜11重量%の範囲の量で存在する。
【0049】
本発明の好ましい一実施形態によると、乳化系(B)/油性相(A)比は、0.04〜0.2、好ましくは0.06〜0.18の範囲である。上記に記載したように、用語「油性相」は、親油性ではなく、乳化系の乳化剤または共乳化剤とは異なるすべての成分を意味する。
【0050】
[油性相]
油性相は、親油性相または脂肪相としても知られ、親油性成分、すなわち組成物に存在する油および他の親油性物質、ならびに、また、存在することがあるすべての親油性添加剤から構成される。油性相は、少なくとも1種の油、特に化粧油を含む。
【0051】
用語「油」は、室温(20〜25℃)で液体である脂肪性物質を意味する。
【0052】
本発明の好ましい一実施形態によると、本発明に係る組成物の油性相は、鉱物もしくは合成起源の炭化水素ベース油、またはアルカン、脂肪酸エステルおよび脂肪エーテル、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含む。用語「炭化水素ベース油」は、炭素原子および水素原子を主として含み、エステル基、エーテル基またはフッ素基を場合により含むいずれかの油を意味する。
【0053】
−鉱物または合成起源の、直鎖状または分枝状炭化水素ベース油(アルカン)は、例えば、揮発性または不揮発性の液体パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、液体ワセリン(鉱物油)、パーヒドロスクアレン、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、およびParleam油などの水添ポリイソブテン(または水素化イソパラフィン)から選択することができる。
【0054】
−脂肪酸エステルは、例えば、炭素原子を1〜24個含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和鎖を含むアルコール、および炭素原子を3〜24個含む直鎖状または分枝状鎖を含む脂肪酸から得られるものから選択することができる。
【0055】
挙げることのできる脂肪酸エステルの例には、2−エチルヘキシルカプレート/カプリレート(またはオクチルカプレート/カプリレート)、エチルラウレート、ブチルラウレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソプロピルラウレート、メチルミリステート、エチルミリステート、ブチルミリステート、イソブチルミリステート、イソプロピルミリステート、2−オクチルドデシルミリステート、2−エチルヘキシルモノココエート(またはオクチルモノココエート)、メチルパルミテート、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソブチルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、イソブチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、(またはオクチルステアレート)、イソプロピルイソステアレート、イソセチルステアレート、イソステアリルイソステアレート、2−エチルヘキシルペラルゴネート(またはオクチルペラルゴネート)、2−エチルヘキシルヒドロキシステアレート(またはオクチルヒドロキシステアレート)、デシルオレイエート、ジイソプロピルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート(またはジオクチルアジペート)、ジイソセチルアジペート、2−エチルヘキシルスクシネート(またはオクチルスクシネート)、ジイソプロピルセバセート、2−エチルヘキシルマレエート(またはオクチルマレエート)、ペンタエリスリチルカプレート/カプリレート、2−エチルヘキシルヘキサノエート(またはオクチルヘキサノエート)、オクチルドデシルオクタノエート、イソデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、オクチルドデシルネオペンタノエート、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、セテアリルイソノナノエート、イソデシルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、ミリスチルプロピオネート、2−エチルヘキシル2−エチルヘキサノエート(またはオクチル2−エチルヘキサノエート)、2−エチルヘキシルオクタノエート(またはオクチルオクタノエート)、セチル2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、イソプロピルラウロイルサルコシネート(Unipex社製、Eldew SL 205)、ジカプリリルカルボネート(Cognis社製、Cetiol CC)、およびC12〜C15脂肪アルキルベンゾエート(Finetex社製、Finsolv TN)が含まれる。
【0056】
−挙げることができる脂肪エーテルには、ジカプリリルエーテル(Cognis社製、Cetiol OE)がある。
【0057】
以下の油を油性相(A)に用いることもできる:
−スィートアーモンド油、アボカド油、ヒマシ油、コリアンダー油、オリーブ油、ホホバ油、ゴマ油、落花生油、グレープシード油、ナタネ油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シアバター、ヤシ油、杏仁油、ビューティーリーフ油、コメヌカ油、トウモロコシ胚芽油、コムギ胚芽油、ダイズ油、ヒマワリ油、月見草油、ベニバナ油、トケイソウ油、ライムギ油ならびにカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社から市販されているもの、またはMiglyol 810、812および818の名称でDynamit Nobel社から市販されているものなどの植物起源の炭化水素ベース油;
−泡の質を損なわないことを条件として、揮発性または不揮発性シリコーン油、例えば、室温で液体またはペースト状である、直鎖状または環状シリコーン鎖の揮発性または不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、特に、シクロヘキサシロキサンなどのシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン);炭素原子を2〜24個含み、シリコーン鎖にペンダントしたまたはシリコーン鎖末端にある、アルキル基、アルコキシ基またはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサン;
−泡の質を損なわないことを条件として、フッ素油、例えば部分的に炭化水素ベースおよび/またはシリコーンベースのフッ素油、例えば、文献JP-A-2 295 912に記載されているもの。
【0058】
より良好な泡の質を得るために、本発明の組成物の油性相が、特に分子量が360g/mol以上のアルカンおよび脂肪酸エステルから選択される、360g/mol以上の分子量の油を1種以上含むことが有利である。
【0059】
使用するのが好ましいアルカンには、ワセリン、液体ワセリンおよびParleam油などの水素化イソパラフィン(または水添ポリイソブテン)が含まれる。液体ワセリンには、被覆泡を付与し泡の開始を良好にする利点がある。
【0060】
挙げることのできる分子量が360g/mol以上である脂肪酸エステルの例には、2−エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)、セチル2−エチルヘキサノエート、2−オクチルドデシルミリステート、イソセチルステアレート、イソステアリルイソステアレート、2−エチルヘキシルステアレート(またはオクチルステアレート)、オクチルドデシルネオペンタノエート、セテアリルイソノナノエート、イソデシルイソノナノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレートおよびイソトリデシルイソノナノエートが含まれる。
【0061】
本発明に係る組成物は、上記に記載したものから選択される1種以上の脂肪酸エステルを含むことが好ましい。本発明の組成物の油性相が、液体ワセリン(鉱物油)、2−エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)およびセチル2−エチルヘキサノエート(またはセチルオクタノエート)、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含むことがより好ましい。
【0062】
油性相は、親油性添加剤を含むことができる。
【0063】
油性相は、組成物の全重量に対し少なくとも30重量%、好ましくは30重量%を超える量、好適には少なくとも35重量%で存在する。油性相の量は、例えば、組成物の全重量に対し32〜70重量%、好ましくは35〜70重量%、さらに好適には35〜60重量%、好適には40〜60重量%の範囲であってよい。
【0064】
[水相]
水相は、水、起泡性界面活性剤および存在してよい親水性化合物を含む。本発明に係る組成物は、一般的に、組成物の全重量の45%以下、好ましくは30%以下の量の水を含み、この量は、例えば、組成物の全重量に対して10〜45重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲であることができる。
【0065】
本発明の好ましい一実施形態によると、本発明の組成物は、一般に水相に存在する少なくとも1種のポリオール(または多価アルコール)を含む。挙げることのできるポリオールの例には、グリセロール;グリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコールおよびPEG-8などのポリエチレングリコール;ソルビトール;グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはショ糖などの糖;ならびにこれらの混合物が含まれる。これらが存在する場合、本発明の組成物におけるポリオールの量は、例えば、組成物の全重量に対して0.01〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲であることができる。
【0066】
水相は慣例的に、水およびポリオールのほかに、水溶性低級アルコールから選択される水溶性溶剤を1種以上含むことができる。用語「低級アルコール」は、炭素原子を1〜8個含むアルコールを意味する。挙げることのできる低級アルコールの例には、エタノール、イソプロパノールおよびブタノール、ならびにこれらの混合物が含まれる。これらが本発明の組成物に存在する場合、水溶性低級アルコールは、起泡性または組成物の安定性のいずれも損なわない条件で、組成物の全重量に対して0.01%〜20重量%、好ましくは0.1%〜10重量%の範囲の量であってよい。
【0067】
[添加剤]
本発明に係る組成物は、当該の分野、特に化粧品または皮膚科学で通常用いられるいかなる補助剤または添加剤をも含むことができる。言うまでもなく、当業者なら、本発明に係る組成物に本来伴う有利な性質が、想定される添加により悪影響を受けない、または実質的に受けないように、本発明に係る組成物の任意の添加剤を注意深く選択するはずである。
【0068】
本発明によるエマルションの水相および/または油性相に含めることができる従来の補助剤の中では(これら補助剤の水溶性または油溶性の性質に応じて)、保存剤;金属イオン封鎖剤(EDTA);抗酸化剤;芳香剤;可溶性染料、色素および真珠層などの染料;マッティング、張り出し、漂白または剥離効果のあるフィラー;日焼け止め;親水性または親油性の化粧料上または皮膚科学的な活性物質、例えば、ビタミン、防腐薬、抗脂漏薬、抗微生物薬、例えば過酸化ベンゾイル、サリチル酸、トリクロサン、アゼライン酸、ナイアシン(ビタミンPP)、カフェインなどのスリミング剤、蛍光増白剤、電解質、皮膚の化粧料的特性を改善する効果のある物質、あるいは任意サイズの球状または非球状、多孔性または非多孔性固体粒子を挙げることができる。これらの様々な補助剤の量は、当該分野で従来用いられる量、例えば、組成物の全重量の0.01〜20%である。これらの補助剤およびその濃度は、本発明の組成物に望まれる特徴を改変しないものでなければならない。
【0069】
フィラーとして、特にシリカを挙げることができる。
【0070】
組成物は、エマルション品質または起泡品質に影響を及ぼさないことを条件として、親水性または親油性、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性または両性の増粘ポリマーまたは分散ポリマーも含むことができる。
【0071】
本発明に係るエマルションは、好ましくは上記に記載した転相プロセスによって得られる。
【0072】
より好ましくは、調製方法は:
−1)容器中で組成物の全成分(起泡性界面活性剤、ならびに熱に弱いフィラーおよび出発材料があれば、それらを除いて)を秤量する工程、
−2)混合物を、例えばRayneriブレンダーを350rpmで用いて均質化し、水浴を用いて徐々に温度を上昇させることにより、転相温度T2以上の温度まで、すなわち透明または半透明の相が得られる(マイクロエマルション領域またはラメラ相)まで、次いで転相エマルション(W/O)が得られたことを示す、より粘性のある白色相が得られるまで加熱する工程、
−3)加熱をやめ、エマルションが、転相温度T1、すなわち微細O/Wエマルションを形成する温度を経て室温に冷却されるまで撹拌を続ける工程、
−4)温度が転相温度領域(T1)より低くなったら、任意選択の粒子(例えばシリカ)を加える工程、
−5)約45℃で起泡性界面活性剤を加える工程、
−6)約30℃で場合により存在する熱に弱い出発物質を加える工程
からなる。
【0073】
温度T1は二相連続性マイクロエマルションの形成に対応し、混合物は半透明で均一であり、温度T2は油中水型エマルションの形成に対応し、混合物は白色不透明で濃厚になる。
【0074】
油滴の細かい、安定なO/Wエマルションが得られる。
【0075】
界面活性剤には順ミセルも逆ミセルも形成する傾向があるので、マイクロエマルション(ミセルの半透明混合物)が形成される領域では、親水性および疎水性相互作用が平衡になっている。界面活性剤は油中水型エマルションの形成に有利に働くので、この領域を超えて加熱すると、W/Oエマルション(白色不透明の混合物)が形成される。次いで、転相領域より低く冷却すると、エマルションはO/Wエマルションとなる。
【0076】
本発明に係る組成物は、多少とも柔らかいクリームの形態であり、特に化粧用または皮膚科学用の組成物を構成することができる。この組成物は、皮膚、頭皮、毛髪、睫毛、眉毛、爪または粘膜など、どんなケラチン物質にも、特に衛生用製品、例えば皮膚用、粘膜用、および/または毛髪用クレンジング製品として、とりわけ皮膚(顔および/または身体の)用のクレンジングおよび/またはメーキャップ除去用製品として、シャワー製品(1品2機能製品)として、シャンプーまたはヘアーコンディショナーとして、髭剃り用製品として、リンスオフマスクとして、顔用もしくは身体用のいずれか、または手用の角質剥離製品(剥離製品もしくはスクラブ製品としても知られている)として、角質剥離粒子の添加後に用いることができる。
【0077】
本発明の主題はまた、上記に定義した組成物の、皮膚クレンジングおよび/またはメーキャップ除去製品としての、シャワー製品としての、シャンプーとしての、ヘアーコンディショナーとしての、髭そり用製品としての、リンスオフマスクとしての、または角質剥離製品としての、美容的使用である。
【0078】
本発明の別の主題は、皮膚、頭皮、毛髪、睫毛、眉毛、爪または粘膜などのケラチン物質をクレンジングするための方法であり、この方法は上記に定義した組成物がケラチン物質に適用され、すすぎ流されることを特徴とする。
【0079】
ケラチン物質は、好ましくは皮膚である。
【0080】
本発明に係る組成物は、適用後にすすぎ流される。
【0081】
本発明に係る組成物は、例えば、以下のようにして用いることができる:
1)本発明に係る組成物が穏やかな顔面クレンジング製品である場合、以下の方法で用いることができる:
−製品を、手に挟んで水で泡立てる、
−泡を顔面に適用する、
−顔面を洗う、
−水ですすぎ流す。
結果:皮膚は冒されずにクレンジングされる。
2)本発明に係る組成物がメーキャップ除去製品である場合、上記に記載したように使用することができるが、乾燥した顔に適用し、次いで十分なメーキャップ除去が得られるまでマッサージし、水ですすぎ流すこともできる。
結果:メーキャップは皮膚から除去され、不快な脂性の残留物を残さない。
3)本発明による組成物は、シャワー製品に用いるための通常の方法で、1品2機能シャワー製品として用いることができる。
4)本発明による組成物は、これらの製品を使用するための通常の方法で、シャンプーおよび/またはヘアーコンディショナーとして、髭剃り用製品としてまたはリンスオフマスクとして用いることができる。
5)本発明による組成物は、(組成物が角質剥離粒子を含む場合は)顔用または手用のいずれかのスクラブ製品として用いることができる。その使用は、製品を顔、手、または身体に適用し、1分または2分間こすり、次いですすぐことからなる。その後、皮膚は滑らかで、柔らかく、洗浄されている。
【0082】
下記に記載した実施例では、経時的な安定性を示すために、また泡の質を試験するために、粘度測定を行った。
【0083】
[泡の性能]
いくつかの実施例では、以下に記載するプロトコルに従って、組成物の泡の性能(泡の質)を測定した。
【0084】
製品をいずれかで使用する前に、日常使用する石鹸で手を洗い、次いですすぎ、完全に乾燥させる。次いで以下のようにプロトコルを行う:
1.手を流水に通して濡らし、3回振るって過剰な水分を除く、
2.片方の手の掌に製品1gを置く、
3.10秒間、両掌の間で製品を泡立てる、
4.水2mlを加え、10秒間再び製品を泡立てる、
5.手を水ですすぐ、
6.拭く。
【0085】
以下のプロトコルのそれぞれの工程で基準を評価し、0〜10のスケールで等級付けする。所定の基準に対し、2等級間の相違が1以上の場合には、2つの製品間の等級に相違が存在すると考えられる。
【0086】
−工程3:被覆力の評価:手の皮膚に広げた製品を通して見るときに手の皮膚が見えにくいほど、それに比例して割り当てられるグレードが高くなる。
【0087】
−工程4および5:泡の質の評価
−泡の体積:体積が大きいほど、割り当てられるグレードが高くなる。
−泡を構成する泡沫のサイズ:泡沫が大きいほど、割り当てられるグレードが高くなる。
−密度:泡の粘調度または持続性:密度が大きいほど、割り当てられるグレードが高くなる。
−泡の柔らかさ:泡が柔らかいほど割り当てられるグレードが高くなる。
【0088】
−工程6:すすぎの間の評価:すすぎ:除去するのが困難なつるつるの皮膜の存在が大きいほど、それに比例して割り当てられるグレードが低くなる。
【0089】
評価委員は、4名の訓練を受けた専門家から構成された。4つのグレードを平均すると、それぞれの評価にしたがった組成物の比較が可能になる。
【0090】
以下に記載する実施例により本発明がより明確に理解できるようになるが、本質的に限定的なものではない。これらの実施例で、記載された量は活性物質の重量パーセント(出発材料の量ではなく)である。組成物は、化学名でまたはCTFA名で挙げる。
【0091】
実施例で用いられる出発材料は以下の通りであり、その量は、実施例における活性物質の量に適合させてある。
(1)Cognis社から市販のEumulgin BA 10(登録商標)=オキシエチレン化(10 OE)ベヘニルアルコール
(2)Cognis社から市販のEthyl Hexyl Stearate(登録商標)=オクチルステアレート
(3)Sanyo社から市販のBeaulight Shaa(登録商標)=活性物質濃度29重量%のナトリウムラウリルグリコールカルボキシレート水溶液
(4)SEPPIC社から市販のOramix CG 110(登録商標)=活性物質濃度60重量%のデシルグルコシド溶液
(5)Degussa社から市販のAerosil 200(登録商標)
(6)Genapol LRO B(登録商標)=Clariantから市販の活性物質濃度70重量%のナトリウムラウレススルフェート水溶液
(7)Stearinerie Dubois社から市販の2-Ethylhexyl palmitate(登録商標)=オクチルパルミテート
(8)Clariant社から市販のGenagen KB(登録商標)またはRhodia社から市販のMiritaine BB/FLA(登録商標)またはHuntsman社から市販のEmpigen BB/LS(登録商標)またはCognis社から市販のDehyton AB 30(登録商標):活性物質濃度30重量%のココベタイン溶液
(9)KAO社から市販のAKYPO RLM 45 CA。
【0092】
[実施例]
(本発明に係る実施例1)
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
これらの結果は、本発明に係る組成物が、開始が良好で、均質で、良好の密度を有し、すすぎの良好な泡を与えることを示す。
【0096】
(本発明に係る実施例2および比較例1)
【0097】
【表3】

【0098】
下記の表における泡の質の比較により、Beaulight Shaaを含む組成物は、ナトリウムラウリルエーテルスルフェートなどの標準的な界面活性剤を含む比較例と比較して、泡の開始、被覆効果、泡の体積および密度に関して良好な性能であることが示される。
【0099】
【表4】

【0100】
(本発明に係る実施例3および4)
【0101】
【表5】

【0102】
(本発明に係る実施例5および比較例2)
【0103】
【表6】

【0104】
比較例2は、式(I)以外のカルボン酸界面活性剤が使用される場合、本発明の目的が得られないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相中に分散した油性相を含む水中油型エマルションの形態の局所適用のための起泡性組成物であって、
−油性相D[4,3]の小滴のサイズが4μm以下であり、
−油性相(A)が前記組成物の全重量に対して少なくとも30重量%の量で存在し、
前記組成物が、
−前記組成物の全重量に対して少なくとも2重量%の量で存在する、HLB値が8〜18の範囲の乳化系(B)、
−下記式(I):
−CHOH−CH−O−COO (I)
(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状アルキル基を表し、Xは、水素、または無機若しくは有機カチオンを表す)
のアルキルグリコールカルボン酸およびそれらの塩から選択される少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤を含む起泡系(C)、
−重量比が1.5〜12の範囲にある、油性相(A)/起泡系(C)
を含むことを特徴とする起泡性組成物。
【請求項2】
転相乳化技術に従って得ることができることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アルキルグリコールカルボン酸およびそれらの塩から選択される陰イオン性界面活性剤が、ナトリウムラウリルグリコールカルボキシレートまたはその酸形態であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記起泡系が、アルキルポリグルコシド、ベタイン誘導体、アルキルホスフェートおよびアルキルエーテルスルフェートならびにこれらの混合物から選択される1種以上の起泡性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
起泡系の量が、前記組成物の全重量に対して0.5〜20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
乳化剤が、エトキシ化脂肪アルコール、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪酸の部分グリセリド、ポリグリセロール化脂肪酸のトリグリセリドおよびこれらのエトキシ化誘導体、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
乳化系が、8〜30個の炭素原子を含む脂肪アルコール;8〜30個の炭素原子を含む脂肪酸;グリセロールの脂肪酸エステル;2〜8個のエチレンオキシド基を含むこれらのオキシエチレン化誘導体およびこれらの混合物から選択される1種以上の共乳化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
乳化系の量が、前記組成物の全重量に対して2〜20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記油性相が、分子量が360g/mol以上の1種以上の油を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の全重量に対して45重量%以下の量の水を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚クレンジングおよび/またはメーキャップ除去製品、シャワー製品、シャンプーもしくはヘアーコンディショナー、髭剃り用製品、リンスオフマスクまたは角質剥離製品であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。

【公開番号】特開2006−273855(P2006−273855A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−83840(P2006−83840)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】