説明

超原子価放射性アスタチン又はヨウ素化合物及びその調製方法

本発明は、式(I)(式中、Xは、特に、125I又は211Atであり;R及びR’は、互いに独立して、好ましくは、電子求引基及びアルキル基からなる群より選択され;Rは、H、アルキル基、ベクターに結合することが可能な官能基、及び本発明の化合物をベクターそのものにする標的化特性を有する官能基からなる群より選択され;Zは、ヘテロ原子であり、R、R及びRは、好ましくは、Hであり;Yは、好ましくは、電子求引基である)を有する化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超原子価放射性アスタチン又はヨウ素化合物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスタチン−211は、標的アルファ療法の有望な放射性核種であり、周囲の正常な組織に影響を与えることなく小さな腫瘍体積における高い放射線量を可能にする。最適な腫瘍標的生体分子と関連して、アスタチン−211は、その放射線物理特性から小さな播種性癌を処置するための最良な候補物質の1つとなっている。特に、その物理的半減期(7.21時間)は、放射線治療のための標識される生体分子の薬物動態に適合する(Zalutsky MR, Vaidyanathan G (2000) Curr Pharm Des. 6; 1433-1455)。これは、α粒子をビスマス−209へ照射することによりBi−209(α,2n)At−211核反応を介して生成する。
【0003】
アスタチンは、最も重いハロゲンである。この元素の安定な同位体はなく、そして、最大寿命がわずか8.1時間の半減期(At−210)であるため、その化学は十分に理解されていない。わずかなサイクロトロンだけがアスタチン−211を生成することができ、そのために、それが使用される前まで、ヨウ素の放射性同位元素がアスタチンの反応性を研究及び予測するために一般的に使用されている(特に、容易に入手可能なヨウ素−125)。実際に、ヨウ素が化学特性の点で最も近い元素であるため、いくつかの類似点が観察される。しかし、多くの面において、顕著な相違が明らかとなっており(例えば、アスタチンの金属特性)、ヨウ素を用いて得られた予備結果はアスタチンが類似の条件で異なる行動を起こすことができることを考慮しておく必要があることを示している。
【0004】
いくつかの酸化状態のアスタチンが明らかになっている(−1、0、+1、+3、+5、+7)。生体分子の標識のために、At−211は、一般的に、ベクターに+1の酸化状態で結合して(芳香族炭素−アスタチン(Zalutsky MR, Pradeep K. Garg, Henry S. Friedman, and Darell D. Bigner (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 86, 7149-7153)又はホウ素−アスタチン結合(Wilbur DS, Chyan MK, Hamlin DK, Perry MA. (2009) Bioconjugate Chem. 20; 591-602))、また、頻度は少ないが、−1の酸化状態で結合する(例えば、金属−アスタチン結合)(Pruszynski M, Bilewicz A, Zalutsky MR (2007) Bioconjugate Chem. 19; 958-965)。
【0005】
アスタチン−211は、分子ベクターに結合された後、様々な癌の放射性核種治療の標的となると考えられる。しかし、in vivoにおいて、この原子で標識された分子ベクターが脱アスタチン化されることが観察され、これにより正常な器官の非特異的照射が引き起こされた。ベクターへのアスタチンの結合安定性を増加させるための標識方法の改善が求められている。
【0006】
アスタチンのために開発された標識方法は、また、ヨウ素の放射性同位体に適用することができる。治療のために最も考慮される同位体はヨウ素−131である。それは、8日の半減期を有し、安定なキセノン−131に崩壊するβ粒子放射体である。適切なベクターと関連して、ヨウ素−131がすでに癌治療の臨床に適用されている(Macklis MR (2006) Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys. 66; S30-S34)。一般的に、容易に入手可能なヨウ素−125が、上記のより高価な同位体を使用する前の予備放射性標識試験に使用される。しかし、治療のためのその使用は、特に、細胞内在化ベクターに結合される場合のその極端に短いオージェ電子放出の点で考慮されている(Meredith MR et al (1995) J. Nucl. Med. 36; 2229-2233)。
【0007】
ヨウ素−123及びヨウ素−124は、癌検出の最も有用なヨウ素同位体である。13.2時間の半減期及びγ崩壊を有しているため、ヨウ素−123はガンマカメラ検出による様々な診断に適している(Bourguignon MH, Pauwels EKJ, Loc'h C, Maziere B (1997) Eur. J. Nucl. Med. 24; 331-344)。ヨウ素−124は、陽電子放射により4,2日の半減期で崩壊する。それは、陽電子放射断層撮影(PET)においてトレーサーとして使用することができる(Pentlow KS et al (1996) J. Nucl. Med. 37; 1557-1562)。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、標識した生体分子の標識を保持し、そして、安定な+3の酸化状態で結合している放射性ハロゲンを使用して、検出又は照射される特定の器官に結合することが可能なアスタチン又はヨウ素化合物を提供することである。
【0009】
従って、本発明は、式(I):
【化1】


[式中、
Xは、125I、123I、124I、131I、及び211Atからなる群より選択される放射性同位元素であり;
及びR’は、互いに独立して、電子求引基及びアルキル基からなる群より選択され、好ましくは、R及びR’の少なくとも1つが電子求引基であるか、又はR及びR’が、それらが有する隣接炭素原子と一緒になって、C=O基を形成してもよく;
は、H、アルキル基、ベクターに結合することが可能な官能基、及び本発明の化合物をベクターそのものにする標的化特性を有する官能基からなる群より選択され;
及びRは、互いに独立して、H、OH、NH、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アミン基、アミド基、及びエステル基からなる群より選択され;
Zは、ヘテロ原子であり、特に、O及びNHからなる群より選択され、
は、Hであるか、又はYが、Zと同じ定義を有するヘテロ原子である場合、Y及びXと一緒になって、5員複素環を形成する−C(R)(R)−基であり、R及びRは、R及びR’について上記で定義されるとおりであり;そして
Yは、電子求引基、特に、Br、Cl、F、もしくはOAcであるか、又はYは、X及び基−C(R)(R)−であるRと一緒になって、5員複素環を形成するヘテロ原子Zである]
を有する化合物に関する。
【0010】
電子求引基という用語は当技術分野において公知であり、隣接原子から価電子を引きつける置換基の傾向、即ち、置換基が隣接原子に対して電気陰性であることを意味する。電子求引性のレベルの定量化は、Hammettのシグマ(σ)定数により示される。このよく知られた定数は、多くの文献、例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, McGraw Hill Book Company, New York, (1977 edition) pp. 251-259に記載されている。Hammett定数の値は、一般的に、電子供与基の場合は負であり(NHの場合、σ[P]=−0.66)、ここで、σ[P]は、パラ置換を指している。電子求引基の例には、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、塩化物などが挙げられる。
【0011】
用語「アルキル」は、鎖に1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であってもよい、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖に1〜6個の炭素原子を有する。「分岐鎖」は、メチル、エチル又はプロピルなどの低級アルキル基が直鎖アルキル鎖に連結していることを意味する。「低級アルキル」は、鎖に1〜4個の炭素原子を有することを意味し、直鎖又は分岐鎖であってもよい。アルキルは、同一又は異なってもよい1つ以上の「アルキル基置換基」(例えば、ハロ、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルボキシを含む)で置換されていてもよい。
【0012】
表現「ベクターに結合することが可能な官能基」は、ベクターの化学官能基に対して反応性であり、そのためベクターとシントン(式(I)で表される化合物である)間で安定な化学結合を形成することができる化学基を指す。
【0013】
そのような官能基の中で、マレイミド、活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、テトラフルオロフェニルエステル)、イソチオシアネート、イソシアネート、無水物、又はアルキン又はアジド基などの「クリック化学」のための任意の反応性基を挙げることができる。
【0014】
用語「ベクター」は、生物学的標的組織を認識することができる分子を指す(処置又は検出される病変に応じて)。特に、この用語は、抗体もしくはそのフラグメント又は任意の抗体構築物(抗体工学により得られるミニボディ、ジアボディなど)、ならびにハプテン、ペプチドもしくは薬物、又はナノカプセル、リポソーム、デンドリマーもしくはカーボンナノチューブなどの標的細胞を認識することができるナノキャリア化合物を指すこともできる。これらのナノキャリアは、必要に応じて、腫瘍特異的リガンドに結合していてもよい。
【0015】
より好ましくは、この用語は、細胞に結合する有機化合物又は細胞で発現される輸送体により輸送される有機化合物(例えば、グルコース、アミノ酸、生体アミンであるが、これらに限定されない)、特定の受容体に結合するペプチド(例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、ニューロテンシン受容体であるが、これらに限定されない)、ハプテン、タンパク質(例えば、標的細胞に結合するために選択される抗体、抗体フラグメント及びその誘導体、組換えタンパク質又は合成ペプチド(例えば、アフィボディであるが、これらに限定されない)であるが、これらに限定されない)を指すことができる。
【0016】
用語「アルコキシ」は、−O−アルキル基を指す。
【0017】
用語「ハロ」(又は「Hal」)は、周期表の17属の原子(ハロゲン)を指し、これには、特に、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0018】
上記式(I)において、基R及びRは同一又は異なっていてもよく、これらは、また、基R及びR’と同一又は異なっていてもよい。
【0019】
好ましくは、式(I)において、R及びRは、Hである。
【0020】
本発明の特定の化合物は、下記式(I−1−1):
【化2】


[式中、X、Y、Z、R’、R、R、R、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、R及びR’は、好ましくは、同一である]
を有する。
【0021】
好ましくは、式(I−1−1)において、R及びRは、Hである。
【0022】
本発明は、また、式(I−1−2)又は(I−1−3):
【化3】


[式中、X、Y、Z、R’、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、R及びR’は、好ましくは、同一である]
を有する化合物に関する。
【0023】
好ましくは、式(I−1−2)及び(I−1−3)において、Zは、Oである。
【0024】
式(I−1−2)及び(I−1−3)において、Yは、電子求引基である。
【0025】
本発明は、また、式(I’):
【化4】


[式中、X、Y、R’、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、R及びR’は、好ましくは、同一であり、そして、Xは、好ましくは、125I又は211Atである]
を有する化合物に関する。
【0026】
本発明は、また、式(I’’):
【化5】


[式中、X、Z、R’、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、R及びR’は、好ましくは、同一である]
を有する化合物に関する。
【0027】
式(I’’)において、Xは、好ましくは、125I又は211Atである。
【0028】
上記式において、R’は、好ましくは、電子求引基であり、そして、Rは、好ましくは、アルキル基又は電子求引基である。
【0029】
上記式において、Rは、また、本発明の化合物をビオチン及びその誘導体などのベクターそのものにする標的化特性を有する基を表すこともできる。
【0030】
特に、Rは、マレイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソチオシアネート、イソシアネート、無水物、又は下記式の基を表すことができる:
【化6】

【0031】
本発明は、また、式(I−1):
【化7】


[式中、X、R’、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、R及びR’は、好ましくは、同一である]
を有する化合物に関する。
【0032】
本発明の化合物の別の群は、式(I−2):
【化8】


[式中、X、R’、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、R及びR’は、好ましくは、同一である]
を有する化合物からなる。
【0033】
好ましくは、式(I)、(I−1)又は(I−2)において、R及びR’は、−CF又は−CF−CF−などのフッ素化アルキル基、−CCl、−OH、−NH、及び−NOからなる群より選択される。
【0034】
有利な実施態様によれば、式(I)、(I−1)又は(I−2)において、R及びR’は、CFである。
【0035】
別の有利な実施態様によれば、式(I)、(I−1)又は(I−2)において、Rは、アルキル基、好ましくは、メチル基である。
【0036】
本発明の化合物の特定の群は、下記式(I−3)、(I−4)、(I−5)、(I−6)、(I−7)及び(I−8):
【化9】


[式中、X及びYは、上記式(I)で定義されるとおりであり、そして
R’は、上記で定義されるアルキル基である]
の1つを有する化合物からなる。
【0037】
有利な実施態様によれば、式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)、(I−4)、(I−5)、(I−6)、(I−7)及び(I−8)において、Xは、125Iである。
【0038】
別の有利な実施態様によれば、式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)、(I−4)、(I−5)、(I−6)、(I−7)及び(I−8)において、Xは、211Atである。
【0039】
本発明のアスタチン化合物は、+3の酸化状態の超原子価アスタチンで標識される。これらは、アスタチン原子が共有結合により3つの原子に結合しているため、非常に安定である(一方で、公知のアスタチン化合物は、わずかに1つの結合を含有する:+1の酸化状態のアスタチン)。
【0040】
そのような化合物は、超原子価結合の安定性を増加させるために設計される:アスタチン原子は5員環に含有され、その形成はCF基のgem−ジアルキル効果により促進される。さらに、アスタチン原子は、化学安定性を最大に増加させるためにアピカル位で電気陰性の原子に結合する。
【0041】
本発明は、下記の特定の化合物に関する:
【化10】

【0042】
本発明は、また、式(II):
【化11】


[式中、
Z、R、R’、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり;
R’’は、H及び保護基から選択され;
R’は、Hであるか、又は−C(R)(R)(ZR10)基であり、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、Zは、上記で定義されるとおりであり、そして、R10は、H及び保護基から選択され;そして
は、H、アルキル基、ベクターに結合することが可能な官能基、及び本発明の化合物をベクターそのものにする標的化特性を有する官能基からなる群より選択され;
、R’及びR’’は、互いに独立して、アルキル基及びアリール基からなる群より選択される]
を有する化合物に関する。
【0043】
好ましくは、式(II)において、R及びRは、Hである。
【0044】
好ましくは、式(II)において、R’’は、メトキシメチルエーテル基などの保護基である。
【0045】
本発明は、また、式(II’)又は(II’’):
【化12】


[式中、R、R、R’、R’’、R、R’、R’’、Z、R、R及びR10は、上記で定義されるとおりである]
を有する化合物に関する。
【0046】
好ましくは、式(II)、(II’)及び(II’’)において、Zは、Oである。
【0047】
これらの化合物は、式(I)を有する本発明の化合物を調製するために使用される中間化合物である。
【0048】
用語「保護基(protective group)」又は「保護基(protecting group)」は、合成の間、望まない反応から基、特に、ヒドロキシル基を保護する置換基を意味する。保護基の例には、置換メチルエーテル、例えば、メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)−エトキシメチル、ベンジル、及びトリフェニルメチル;テトラヒドロピラニルエーテル;置換エチルエーテル、例えば、2,2,2−トリクロロエチル及びt−ブチル;シリルエーテル、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル及びt−ブチルジフェニルシリル;環状アセタール及びケタール、例えば、メチレンアセタール、アセトニド及びベンジリデンアセタール;環状オルトエステル、例えば、メトキシメチレン;環状炭酸エステル;ならびに環状ボロン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。一般的に使用される保護基は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に開示されている。
【0049】
用語「アリール」は、置換可能な任意の環原子が置換基により置換されていてもよい、芳香族の単環式、二環式又は三環式炭化水素環系を指す。アリール部分の例には、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
アリール基上の好ましい置換基は、アミノ、アミン、アルコキシ、ハロ、CFなどのペルフルオロアルキル、ヘテロシクリル、アミド及びエステルである。
【0051】
上記式(II)、(II’)及び(II’’)において、基R及びR’は、同一又は異なっていてもよく、そして、基R及びRは、同一又は異なっていてもよい。基R及びRは、また、基R及びR’と同一又は異なっていてもよい。
【0052】
本発明の有利な実施態様によれば、式(II)、(II’)及び(II’’)において、R’’は、MOM基(メトキシメチルエーテル)である。
【0053】
本発明の有利な実施態様によれば、式(II)、(II’)及び(II’’)において、R、R’及びR’’は、メチル又はブチルから選択される。好ましくは、R、R’及びR’’は同一であり、メチル又はブチルを表す。
【0054】
本発明の有利な実施態様によれば、式(II)、(II’)及び(II’’)において、Rは、下記群から選択される:
【化13】

【0055】
本発明は、また、式(II’−1)又は(II’’−1):
【化14】


[式中、R、R、R’、R’’、R、R’、R’’、Z、R、R及びR10は、上記で定義されるとおりである]
を有する化合物に関する。
【0056】
式(II)を有する本発明の好ましい化合物は、下記式(II−1)又は(II−2):
【化15】


[式中、Rは、上記で定義されるとおりである]
の1つを有する化合物である。
【0057】
本発明は、また、下記の特定の中間化合物に関する:
【化16】

【0058】
本発明は、また、式(III):
【化17】


[式中、Z、X、R、R’、R、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、そして
R’’は、Hであるか、又は−C(R)(R)(ZH)基であり、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりである]
を有する化合物に関する。
【0059】
好ましくは、式(III)において、R及びRは、Hである。
【0060】
本発明は、また、式(III’)又は(III’’):
【化18】


[式中、X、R、R、R’、Z、R及びRは、上記で定義されるとおりである]
を有する化合物に関する。
【0061】
本発明は、また、式(III’−1)又は(III’’−1):
【化19】


を有する化合物に関する。
【0062】
好ましくは、式(III)、(III’)、(III’’)、(III’−1)及び(III’’−1)において、Zは、Oである。
【0063】
上記式(III)、(III’)、(III’’)、(III’−1)及び(III’’−1)において、基R及びR’は、同一又は異なっていてもよく、そして、基R及びRは、同一又は異なっていてもよい。基R及びRは、また、基R及びR’と同一又は異なっていてもよい。
【0064】
これらの化合物は、式(II)を有する本発明の化合物を調製するために使用される中間化合物である。
【0065】
有利な実施態様によれば、式(III)、(III’)、(III’’)、(III’−1)及び(III’’−1)において、R及びR’は、CFである。
【0066】
別の有利な実施態様によれば、式(III)、(III’)、(III’’)、(III’−1)及び(III’’−1)において、Rは、アルキル基、好ましくは、メチル基である。
【0067】
本発明は、また、下記の特定の中間化合物に関する:
【化20】

【0068】
本発明は、また、ハロゲン化試薬と上記で定義される式(III)で表される化合物の反応を含む、上記で定義される式(I)を有する化合物の調製方法に関する。
【0069】
表現「ハロゲン化試薬」は、所定の分子にBr又はClなどのハロゲン基を導入するのに有用な反応物質を指す。
【0070】
ハロゲン化試薬の中で、HCl/NaOCl、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、Cl、Br又はtBuOCl、SOCl、PCl、CBr及びPBrの試薬を挙げることができる。
【0071】
本発明は、また、N−ブロモスクシンイミド、Br、CBr、及びPBrから選択される臭素化試薬と上記で定義される式(III)で表される化合物の反応を含む、上記で定義される式(I−1)を有する化合物の調製方法に関する。
【0072】
好ましくは、この臭素化工程は、好ましくは、プロパン−2−オール、メタノール、クロロホルム又はアセトニトリルから選択される溶媒中で実施される。
【0073】
好ましい実施態様によれば、この工程は、5分間〜120分間、好ましくは、30分間実施される。
【0074】
好ましい実施態様によれば、この工程は、20℃〜150℃、好ましくは、60℃の温度で実施される。
【0075】
本発明は、また、Cl、tBuOCl、SOCl、PCl及び塩酸と次亜塩素酸ナトリウムの混合物から選択される塩素化試薬と上記で定義される式(III)で表される化合物の反応を含む、上記で定義される式(I−2)を有する化合物の調製方法に関する。
【0076】
好ましい実施態様によれば、塩素化工程は、5分間〜120分間、好ましくは、30分間実施される。
【0077】
好ましい実施態様によれば、塩素化工程は、20℃〜150℃、好ましくは、60℃の温度で実施される。
【0078】
有利な実施態様によれば、式(III)を有する化合物は、上記で定義される式(II)で表される化合物のハロ脱スズ化及び放射性標識により調製される。
【0079】
従って、この方法により、スズ基の脱離、その後のヨウ素又はアスタチン原子の導入が可能となる。
【0080】
好ましい実施態様によれば、本発明は、上記で定義される式(II)で表される化合物をハロ脱スズ化及び放射性ヨウ素化することによる、Xがヨウ素である式(III)で表される化合物の調製に関する。次に、そのような式(III)の化合物を使用して、上記で定義されるXがヨウ素である式(I)で表される化合物が調製される。
【0081】
この実施態様は、好ましくは、MeOH/AcOH中で、又はクロロホルム、アセトニトリル又はメタノール中で実施される。
【0082】
好ましくは、この実施態様は、N−クロロスクシンイミド、Iodo-gen(登録商標)、tBuOOH、AcOOH又はHを使用して実施される。
【0083】
好ましい実施態様によれば、この工程は、5分間〜24時間、好ましくは、2時間実施される。
【0084】
好ましい実施態様によれば、この工程は、Na125Iの存在下、20℃〜150℃、好ましくは、100℃の温度で実施される。
【0085】
好ましい実施態様によれば、本発明は、上記で定義される式(II)で表される化合物をハロ脱スズ化及び放射性アスタチン化することによる、Xがアスタチンである式(III)で表される化合物の調製に関する。次に、そのような式(III)の化合物を使用して、上記で定義されるXがアスタチンである式(I)で表される化合物が調製される。
【0086】
この実施態様は、好ましくは、MeOH/AcOH中で、又はクロロホルム、アセトニトリル又はメタノール中で実施される。
【0087】
好ましくは、この実施態様は、N−クロロスクシンイミド、Iodo-gen(登録商標)、tBuOOH、AcOOH又はHを使用して実施される。
【0088】
好ましい実施態様によれば、この工程は、5分間〜120分間、好ましくは、30分間実施される。
【0089】
好ましい実施態様によれば、この工程は、20℃〜150℃、好ましくは、100℃の温度で実施される。
【0090】
化合物2:
【化21】


に関して、既にAmey RL, Martin JC (1979) J. Org. Chem. 44; 1779-1784に記載されている公知の酸化方法を、放射性条件、即ち、少量(50〜500μL)ならびに非常に希薄な溶液で実施される高速反応に適するように適合した。
【0091】
超原子価結合の形成は、最初に、Ameyにより記載される方法を少し改変した方法で調製した非放射性化合物2で研究した。パラトルイジンを出発物質として、気体のヘキサフルオロアセトン無水物の代わりに液体のヘキサフルオロアセトンセスキ水和物を用いて、ペルフルオロアルキル基を導入した。実施するのにより安全で容易なこの方法により、同等の収率(76%)で化合物が得られた。ヨウ素化は、アリールジアゾニウムを形成した後、ヨウ化カリウムで求核置換することにより行った。銅粉触媒での抑制により、オリジナルの合成(71%)よりも良好な収率が得られた。
【0092】
【化22】


スキーム1−化合物5a及び5bの合成
(i)プロパン−2−オール、NBS、50℃、30分間;(ii)プロパン−2−オール、NaOCl、HCl、室温、5分間。
【0093】
ブロモアリールアルコキシヨージナン5aを生成するための最良の条件は、イソプロパノール中、化合物に対して1.05当量のN−ブロモスクシンイミドを導入して、50℃で加熱することであった(スキーム1のi)。30分後、所望の超原子価種への変換が完了したことが観察された。次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を用いてin situで塩素を生成することにより、塩素化類似体5bが得られた(スキーム1のii)。イソプロパノール中、室温でクロロアリールアルコキシヨージナンが瞬時に形成される。
【0094】
これらの条件を使用して、放射性ヨウ素化類似体7a(式(I−11)を有する化合物)及び7b(式(I−12)を有する化合物)を調製した。ヨウ素とアスタチンが類似の化学特性を有するため、5a及び5bで得られた結果をアスタチン化化合物との反応性及び分析的な比較に使用することができた。これらは、化合物4(式(II−3)を有する化合物)のハロ脱スズ化により調製した。このスズ前駆体は、化合物2から2工程で得られた(スキーム2):
【0095】
【化23】


スキーム2−化合物2及び4の合成
(i)クロロベンゼン、(CFCO・1,5HO、100℃、5時間;(ii)水、NaNO、HSO、0℃、30分間;(iii)KI、80℃、30分間;(iv)N,N−ジイソプロピルエチルアミン、MOMCl、室温、一晩;(v)THF、n−BuLi、−78℃、30分間;(vi)MeSnCl、−78℃〜室温。
【0096】
最初にヒドロキシル基を保護することが必要であり(スキーム2のiv)、そうしなければスズ基を適切に導入することができなかった。MOM保護がそれほど嵩高くないことからこの目的の最良の保護基の1つであると考えられ、これによりスズを導入することが可能である。さらに、これは酸性条件下で素早く除去される(アスタチン−211のような寿命の短い放射性同位元素を用いた放射性標識に非常に重要である)。トリメチルスズ基は、n−ブチルリチウムでメタル化して(スキーム2のv)、その後、トリメチルスズクロリドで置換することにより導入した(スキーム2のvi)。ヒドロキシルの脱保護を放射性標識の前に試みたが、所要の酸性条件はスズ基の同時加水分解をもたらした。
【0097】
放射性ヨウ素化は、標準的なプロセスを用いて実施した(スキーム3):
【0098】
【化24】


スキーム3−放射性アリールアルコキシヨージナン合成の調製
(i)MeOH/AcOH、Na125I、NCS、100℃、2時間;(ii)プロパン−2−オール、NBS、30分間、60℃(iii)HCl、NaOCl、30分間、60℃。
【0099】
簡単に述べると、スズ前駆体4に、5当量のN−クロロスクシンイミド及び100μCiのI−125を加えた(スキーム3のI)。定量的な置換を達成するために、100℃で30分間加熱する必要があった。得られた反応混合物は、標識化合物6と非保護中間体から構成されていた。混合物の穏やかな酸性条件(溶媒として5%酢酸−メタノール)により、MOM保護の脱保護速度は比較的遅いものであった。脱保護を完了するために、100℃の温度で2時間維持する必要があった。アスタチン化プロセスではわずかな違いが認められた。化合物6は、同じ条件を用いて、100℃、15分間で定量的に得られたが、脱保護工程は必要ではなかった。これはヨウ素とアスタチンの反応性の違いにより説明することができる。ヨウ素カチオンはそのままスズ前駆体2と反応することができるが、アスタチンカチオンは嵩高いため、反応性炭素に接近するためにMOM基を除去する必要がある。
【0100】
酸化工程からはヨウ素−125とアスタチン−211で同じ結果が得られ、一価から超原子価の放射性ハロゲンへの全ての変換は、N−ブロモスクシンイミド又はNaOCl/HClを使用して、60℃、30分間で達成することができ、それぞれ、臭素化超原子価種(7a及び7b)又は塩素化超原子価種(8a及び8b)を定量的収率で生成することができた。
【0101】
【化25】


スキーム4−放射性アリールアルコキシアスタチナン(astatinane)合成の調製
(i)MeOH/AcOH、211At、NCS、100℃、30分間;(ii)プロパン−2−オール、NBS、30分間、60℃(iii)HCl、NaOCl、30分間、60℃
【0102】
スズ前駆体(式(II)を有する化合物)を超原子価結合の安定性を増加させるために設計した。安定性に寄与する因子は、5員環へのアスタチンの含有及びトリフルオロメチル基の存在によるアピカル酸素の電気陰性度の増加である。
【0103】
本発明は、また、上記で定義される式(I)を有する化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、前記化合物が、必要に応じて、生体分子及びナノキャリア化合物から選択されるベクターに結合している医薬組成物に関する。
【0104】
式(I)を有する本発明の化合物を単独で投与することは可能であるが、これらを医薬組成物とすることが好ましい。本発明で有用な動物及びヒトの両方で使用するための医薬組成物は、上記で定義される少なくとも1つの式(I)を有する化合物を、1つ以上の薬学的に許容しうる担体、場合により、他の治療成分と一緒に含む。
【0105】
特定の好ましい実施態様においては、併用療法において必要な活性成分は、同時投与のために単一の医薬組成物中に組み合わせてもよい。
【0106】
本明細書で使用される、組成物、担体、希釈物及び試薬を指すような用語「薬学的に許容しうる」及びその文法的変形は互換的に使用され、悪心、眩暈、胃蠕動(gatric upset)などの望まない生理学的効果を発生することなく、そのような物質を哺乳動物に投与することができることを表す。
【0107】
活性成分を溶解又は分散させた薬理学組成物の調製は、当技術分野においてよく知られており、製剤化によって制限されることはない。典型的には、そのような組成物は、溶液又は懸濁液のいずれかの注射剤として調製される;しかし、使用前に液体である、液剤に適する固体形態、又は懸濁剤も調製することができる。調製物は、また、乳化してもよい。特に、医薬組成物は、固体剤形、例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、糖衣錠又は顆粒剤に製剤化してもよい。
【0108】
溶剤の選択及び溶剤中の活性物質の含有量は、一般的に、活性化合物の溶解度及び化学特性、特定の投与方法及び薬務で順守される規定に応じて決定される。例えば、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、及び崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸及び特定の複合ケイ酸塩は、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの潤滑剤とともに、錠剤の調製に使用することができる。カプセル剤を調製するために、ラクトース及び高分子量のポリエチレングリコールを使用することが有利である。水性懸濁剤が使用される場合、これらは、乳化剤又は懸濁を容易にする薬剤を含有することができる。スクロース、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール及びクロロホルム又はその混合物などの希釈剤も使用することができる。
【0109】
医薬組成物は、経口、直腸、経鼻、口腔、眼内、舌下、経皮、直腸、局所、膣内、非経口(皮下、動脈内、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外など)、嚢内及び腹腔内などの局所又は全身投与により、適切な製剤でヒト及び動物に投与することができる。好ましい経路を、例えば、被験者の状態により変更してもよいことが理解されるであろう。
【0110】
製剤は、薬学分野でよく知られた任意の方法により単位投与剤形で調製することができる。そのような方法は、活性成分を1つ以上の補助成分からなる担体と接触させる工程を含む。一般的に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化固体担体又はその両方に、均一かつ密接に接触させ、必要であれば、次に、生成物を成形することにより製造される。
【0111】
上記で定義される式(I)を有する化合物は、医薬組成物中に単独で使用してもよく、又は投与前にベクターに結合してもよい。用語「ベクター」は上記で定義され、特に、生体分子、例えば、抗体もしくはそのフラグメント又は任意の抗体構築物(抗体工学により得られるミニボディ、ジアボディなど)、ペプチドもしくはハプテン、又はナノカプセル、リポソーム、デンドリマーもしくはカーボンナノチューブなどの標的細胞を認識することができるナノキャリア化合物を指す。前記標的細胞は、前記細胞を殺傷又は検出するために放射性核種が輸送される必要がある細胞である。
【0112】
本発明は、また、腫瘍の処置又は検出に使用するための、上記で定義される式(I)を有する化合物(単独で投与されるか、又はベクターに結合される)に関する。特に、本発明は、また、小量の腫瘍、小さい播種性腫瘍、骨髄腫又はリンパ腫の処置又は検出に使用するための、上記で定義されるXが211Atである式(I)を有する化合物(単独で投与されるか、又はベクターに結合される)に関する。
【0113】
本明細書で使用される、用語「播種性」は、身体、組織又は器官の広域にわたって広がっているような、ある範囲(領域又は体積)にわたって均一又は不均一に散在又は分散されていることを指す。
【0114】
有利な実施態様によれば、本発明は、腫瘍の検出に使用するための、上記で定義されるXが123I又は124Iである式(I)を有する化合物(単独で投与されるか、又はベクターに結合される)に関する。
【0115】
有利な実施態様によれば、本発明は、腫瘍の処置に使用するための、上記で定義されるXが131I又は211Atである式(I)を有する化合物(単独で投与されるか、又はベクターに結合される)に関する。
【実施例】
【0116】
NMRスペクトルは、HはBRUKER AC 250装置(250.133MHz)により、13CはBRUCKER AC 400(100,623MHz)により記録した。化学シフトはδ値(ppm)で示し、カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)で表す。多重度は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、セプテット又はm(マルチプレット)で記録した。質量スペクトルは、担体溶媒としてアセトニトリルを使用し、Bruker Esquire LCエレクトロスプレー質量分析計を用いて記録した。
【0117】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトンセスキ水和物、N,N−ジイソプロピルエチルアミン及びn−ブチルリチウム溶液はAcros organicsから入手し、それ以外の化学物質はSigma-Aldrich社から入手した。ジエチルエーテル、THF、酢酸及び四塩化炭素はCarlo Erba-SDSから入手し、それ以外の溶媒はFisher Scientificから入手した。
【0118】
反応は、UV、ヨウ素、ニンヒドリン(アミノ基を有する化合物の場合)により検出する薄層クロマトグラフィーにより、又は放射性試料の場合、タイフーンスキャナー(typhoon scanner)でスキャンする蛍光画像検出(Amersham Bioscience)により追跡した。
【0119】
アスタチンは、Klinik fur Nuklearmedizin's Hannoverのサイクロトロン(MC35、Scanditronix)で、209Bi(α,2n)211At反応により生成し、目的物から乾留した。活性はメタノール中で回復した。
【0120】
ヨウ化[125I]ナトリウムは、Perkin Elmer(Boston, MA, USA)から入手した。
【0121】
実施例1−式(II−3)を有する化合物4の調製
1.化合物1の調製(上記スキーム1参照)
2−(2−アミノ−5−メチルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(1)
パラトルイジン(14.6g、136mmol)のクロロベンゼン(25mL)溶液に、パラトルエンスルホン酸一水和物(395mg、2.05mmol)を加えた。反応混合物を100℃で加熱し、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトンセスキ水和物(41.4g、219mmol)を滴下漏斗により45分間かけて滴下した。混合物を100℃で5時間撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をクロロホルム(300mL)に溶解させ、−20℃で一晩置いた。生じた結晶を濾過し、冷クロロホルムで洗浄して、真空下で一晩乾燥させた後、白色の針状結晶28.2g(103.4mmol、収率76%)を得た。
1H (CDCl3) δ 2.36 (s, 3H), 6.97 (d, 1H, J = 7.93 Hz), 7.18 (d, 1H, J = 7.93 Hz), 7.39 (s, 1H)
13C (CDCl3) δ 21.0 (s), 79.9 (セプテット, 2JC-F = 30 Hz), 122.8 (s), 123.4 (q, 1JC-F = 286 Hz), 127.2 (s), 128.9 (セプテット, 3JC-F = 2 Hz), 131.1 (s), 135.1 (s), 138.6 (s)
MS (ES+) m/z 274.0 [M+H]+, 256.0 [M+H-H2O]+
mp:110℃
【0122】
2.化合物2の調製(上記スキーム1参照)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2−ヨード−5−メチルフェニル)プロパン−2−オール(2)
氷浴で冷却した化合物1(2g、7.32mmol)の蒸留水(20mL)懸濁液に、硫酸(0,5mL)を加えた。水(2.5mL)に溶解させた亜硝酸ナトリウム(505mg、7.32mmol)を滴下し、さらに硫酸0.5mLを加えた。懸濁液が完全に溶解するまで混合物を0℃で撹拌した(約30分間)。蒸留水(5mL)に溶解させた氷冷のヨウ化カリウム(1.46g、8.78mmol)に溶液を30分間かけて滴下した。次に、窒素の生成が停止するまで反応混合物を80℃で加熱した(約30分間)。室温に戻した後、赤色の懸濁液を濾過し、水で洗浄して、ジエチルエーテル(50mL)に溶解させた。これを水(20mL)及び1N塩酸(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてヘプタン/クロロホルム(1/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、黄色の油状物1.98g(5.16mmol、収率71%)を得て、これを4℃で一晩固化した。
1H (CDCl3) δ 2.35 (s, 3H), 6.93 (d, 1H, J = 8.24 Hz), 7.42 (s, 1H), 7.98 (d, 1H, J = 8.24 Hz)
13C (CDCl3) δ 21.1 (s), 78.7 (セプテット, 2JC-F = 30 Hz), 86.4 (s), 122.6 (q, 1JC-F = 289 Hz), 129.5 (s), 130.7 (s), 132.5 (s), 138.3 (s), 144.3 (s)
MS (ES-) m/z 382.8 [M-H]-
mp:38〜39℃
【0123】
3.化合物3の調製(上記スキーム1参照)
2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−1−ヨード−4−メチルベンゼン(3)
化合物2(4g、10.42mmol)を、水素化カルシウムで新たに蒸留したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、20mL)に溶解させた。溶液を氷浴で冷却し、クロロメチルメチルエーテル(4.75mL、62.5mmol)を加えた。白色の沈殿物が瞬時に生じた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。真空下でDIPEAを除去した後、残渣を、ヘプタン/アセトン(97/3)を使用したシリカゲルクロマトグラフィーに付して、淡黄色の固体4.23g(9.89mmol、収率95%)を得た。
1H (CDCl3) δ 2.35 (s, 3H), 3.56 (s, 3H), 5.03 (s, 2H), 6.92 (d, 1H, J = 7.93 Hz), 7.40 (s, 1H), 8.07 (d, 1H, J = 7.93 Hz)
13C (CDCl3) δ 21.2 (s), 57.1 (s), 83.5 (セプテット, 2JC-F = 29 Hz), 88.7 (s), 95.0 (s), 122.6 (q, 1JC-F = 291 Hz), 126.9 (s), 129.5 (s), 132.4 (s), 132.5 (s), 138.3 (s), 145.0 (s)
mp:41℃
【0124】
4.化合物4の調製(上記スキーム1参照)
(2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−メチルフェニル)トリメチルスタンナン(4)
化合物3(2.044g、4.77mmol)を、窒素下、新たに蒸留したTHF(35mL)に溶解させた。アセトン/ドライアイス浴で混合物を−78℃に冷却し、1.6Mn−BuLi−ヘキサン(4.45mL、7.16mmol)を加えた。混合物を−78℃で30分間撹拌し、トリメチルスズクロリド(1.427g、7.16mmol)のTHF(15mL)溶液を加えた。反応混合物を放置して、3時間かけて室温に温めた。THFを真空下で除去し、残渣を、ヘプタン/ジクロロメタン(95/5)を使用したシリカゲルクロマトグラフィーに付して、白色の固体879mg(1.89mmol、収率40%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.31 (s, 9H), 2.38 (s, 3H), 3.52 (s, 3H), 5.00 (s, 2H), 7.24 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.45 (s, 1H), 7.54 (d, 1H, J = 7.6 Hz)
13C (CDCl3) δ -5,1 (s), 21.4 (s), 57.4 (s), 94.9 (s), 122.8 (q, 1JC-F = 288 Hz), 129.2 (s), 130.1 (s), 134.1 (s), 137.7 (s) 137.9 (s), 140.8 (s)
mp:38℃
【0125】
実施例2−化合物5aの調製
1−ブロモ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾヨードキソール
化合物2(100mg、0.26mmol)をプロパン−2−オール5mLに溶解させ、N−ブロモスクシンイミド(48.7mg、0.273mmol)を加えた。反応混合物を50℃で30分間加熱した。真空下で溶媒を除去した後、残渣を、溶離液としてジクロロメタンを使用したシリカゲルカラムで精製して、黄色の固体111mg(0.26mmol、収率92%)を得た。
1H (CDCl3) δ 2.56 (s, 3H), 7.47 (s, 1H), 7.61 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.87 (d, 1H, J = 8.6 Hz)
13C (CDCl3) δ 20.9 (s), 84 (m), 106.3 (s), 122.8 (d, 1JC-F = 288 Hz), 129.5 (s), 130.2 (s), 132.4 (s), 132.5 (s), 134.6 (s), 142.9 (s)
MS (ES-) m/z 460.4/462.4 [M-H]-, 382.3 [M-Br]-
mp:189〜190℃
【0126】
実施例3−化合物5bの調製
1−クロロ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾヨードキソール
化合物2(60mg、156μmol)をプロパン−2−オール2mLに溶解させ、塩酸(37%)10μL及び次亜塩素酸ナトリウム溶液(10〜15%水溶液)50μLを加えた。白色の沈殿物が瞬時に生じた。反応混合物を室温で5分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を、溶離液としてジクロロメタンを使用したシリカゲルカラムで精製して、白色の固体50mg(119μmol、収率76%)を得た。
1H (CDCl3) δ 2.56 (s, 3H), 7.51 (s, 1H), 7.64 (d, 1H, J = 8.85 Hz), 7.92 (d, 1H, J = 8.85 Hz)
MS (ES+) m/z 384.8 [M+H]+
mp:181〜182℃
【0127】
実施例4−式(I−11)を有する化合物の調製
125I]−1−ブロモ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾヨードキソール(7a)
化合物4(237nmol、MeOH/AcOH(95/5)100μL中)、N−クロロスクシンイミド(2.02μmol、MeOH/AcOH(95/5)100μL中)及びヨウ化[125I]ナトリウム(3.7MBq、0.048N NaOH1μL中)を100℃で2時間加熱した。反応混合物100μLに、N−ブロモスクシンイミド(847μmol、プロパン−2−オール100μL中)を加えた。50℃で30分間加熱した後、溶離液としてヘプタン/アセトン(3/2)を使用したTLCプレートから、定量的な放射化学収率が示された。
【0128】
実施例5−式(I−12)を有する化合物の調製
125I]−1−クロロ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾヨードキソール(7b)
化合物4(237nmol、MeOH/AcOH(95/5)100μL中)、N−クロロスクシンイミド(2.02μmol、MeOH/AcOH(95/5)100μL中)及びヨウ化[125I]ナトリウム(3.7MBq、0.048N NaOH1μL中)を100℃で2時間加熱した。反応混合物25μLに、37%塩酸2μL及び10〜15%次亜塩素酸ナトリウム2μLを加えた。50℃で30分間加熱した後、溶離液としてヘプタン/アセトン(3/2)を使用したTLCプレートから、定量的な放射化学収率が示された。
【0129】
実施例6−式(I−9)を有する化合物の調製
211At]−1−ブロモ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾアスタトキソール(benzastatoxole)(8a)
化合物4(10nmol、MeOH/AcOH(95/5)4μL中)、N−クロロスクシンイミド(60nmol、MeOH/AcOH(95/5)3μL中)及びアスタチン−211放射能(0.5〜5MBq、MeOH50μL中)を100℃で30分間加熱した。反応混合物25μLに、N−ブロモスクシンイミド(212μmol、プロパン−2−オール25μL中)を加えた。50℃で30分間加熱した後、溶離液としてヘプタン/アセトン(3/2)を使用したTLCプレートから、定量的な放射化学収率が示された。
【0130】
実施例7−式(I−10)を有する化合物の調製
211At]−1−クロロ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾアスタトキソール(8b)
化合物4(10nmol、MeOH/AcOH(95/5)4μL中)、N−クロロスクシンイミド(60nmol、MeOH/AcOH(95/5)3μL中)及びアスタチン−211放射能(0.5〜5MBq、MeOH50μL中)を100℃で30分間加熱した。反応混合物25μLに、37%塩酸2μL及び10〜15%次亜塩素酸ナトリウム2μLを加えた。50℃で30分間加熱した後、溶離液としてヘプタン/アセトン(3/2)を使用したTLCプレートから、定量的な放射化学収率が示された。
【0131】
実施例8−式(II−4)を有する中間化合物の調製
【化26】


1.化合物5の調製(上記スキーム参照)
4−(ブロモメチル)−2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−1−ヨードベンゼン(5)
化合物3(2.51g、5.86mmol)、過酸化ベンゾイル(57mg、256μmol)及びN−ブロモスクシンイミド(1.038g、8.79mmol)を四塩化炭素25mLに溶解させた。溶液を脱気し、窒素雰囲気下に置いて、78℃で15時間加熱した。室温に冷ました後、混合物を濾過し、固体を四塩化炭素で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させて残渣を得て、これを、溶離液としてヘプタン/アセトンを使用したシリカゲルで精製して、白色の固体2.27g(4.48mmol、収率76%)を得た。
1H (CDCl3) δ 3.57 (s, 1H), 4.43 (s, 2H), 5.03 (s, 2H), 7.15 (d, 1H, J = 8,2 Hz), 7.58 (s, 1H), 8.18 (d, 1H, J = 8.2 Hz)
mp:93℃
【0132】
2.化合物6の調製(上記スキーム参照)
N−アリル−N−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−ヨードベンジル)プロパ−2−エン−1−アミン(6)
化合物5(1.07g、2.11mmol)を、窒素雰囲気下、無水アセトニトリル(20mL)に溶解させた。炭酸カリウム(583mg、4.22mmol)、ヨウ化カリウム(350mg、2.11mmol)及びジアリルアミン(2.6mL、21.1mmol)を加え、反応混合物を80℃で一晩加熱した。室温に冷ました後、塩を濾過し、濾液を真空下で蒸発させた。残渣を、溶離液としてヘプタン/アセトン(9/1)を使用したシリカゲルで精製して、帯黄色の油状物936mg(1.79mmol、収率85%)を得た。
1H (CDCl3) δ 3.07 (d, 4H, J = 6.4 Hz), 3.57 (s, 5H), 5.03 (s, 2H), 5.13-5.22 (m, 4H), 5.76-5.92 (m, 2H), 7.07 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 7.65 (s, 1H), 8.12 (d, 1H, 8.2 Hz)
MS (ES+) m/z 524.0 [M+H]+
【0133】
3.化合物7の調製(上記スキーム参照)
N−アリル−N−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチルスタンニル)ベンジル)プロパ−2−エン−1−アミン(7)
化合物7(533mg、1.02mmol)を、窒素雰囲気下、新たに蒸留したTHF(5mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。次に、n−ブチルリチウム1.6Mのヘキサン溶液(955μL、1.53mmol)を加え、混合物を−78℃で30分間撹拌した。トリブチルスズクロリド(497mg、1.53mmol)のTHF(3mL)溶液を加え、混合物を放置して、一晩かけて室温に温めた。0.1M塩化アンモニウム溶液(5mL)を反応混合物に加えた。有機層を単離し、水層をジクロロメタン(2×5mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残渣を、溶離液としてヘプタン/アセトン(98/2)を用いたシリカゲルで精製して、無色の油状物662mg(0.96mmol、収率95%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.28-1.47 (m, 12H), 3.08 (d, 4H, J = 6.1 Hz), 3.52 (s, 3H), 3.6 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 5.13-5.23 (m, 4H), 5.78-5.95 (m, 2H), 7.35 (d, 1H, 7.6 Hz), 7.54 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.63 (s, 1H)
MS (ES+) m/z688.2 [M+H]+, 398.2 [M+2H-SnBu3]+
【0134】
4.化合物8の調製(上記スキーム参照)
(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチルスタンニル)フェニル)メタンアミン(8)
化合物7(622mg、906μmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、15分間かけて窒素をバブリングして溶液を脱気した。次に、溶液を、窒素雰囲気下、N,N−ジメチルバルビツル酸(849mg、5.44mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(21mg、18.1μmol)を入れた2口フラスコに加え、得られた混合物を35℃で4時間温めた。溶媒を真空下で除去し、残渣をジエチルエーテル(20mL)に溶解させて、0.1M炭酸ナトリウム溶液(3×10mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(95/5)を使用したシリカゲルで精製して、帯黄色の油状物423mg(698μmol、収率77%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t 9H, J = 7.0 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.28-1.50 (m, 12H), 1.98 (s, 2H), 3.52 (s, 3H), 3.91 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 7.38 (d, 1H, J = 6.7Hz), 7.56-7.60 (m, 2H)
13C (CDCl3) δ 12.9, 13.6, 27.4, 29.0, 57.2, 83.0 (m), 122.7 (q, 1JC-F = 290 Hz), 127.9, 128.1, 134.7, 138.8, 144.2
MS (ES+) m/z 608.1 [M+H]+
【0135】
5.化合物9の調製(上記スキーム参照)
4−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチルスタンニル)ベンジルアミノ)−4−オキソブタン酸(9)
化合物8(401mg、661μmol)を、窒素雰囲気下、新たに蒸留したTHF(5mL)に溶解させ、無水コハク酸(165mg、1.65mmol)を加えた。20℃で20時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去して、n−ヘキサンに溶解させた。白色の沈殿物を濾過により除去し、濾液を蒸発乾固させた。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(9/1)によりシリカゲルで精製して、白色の固体461mg(661μmol、収率99%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 1.09 (t, 6H, J = 8.2 Hz), 1.28-1.50 (m, 12H), 2.57 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 2.76 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 3.52 (s, 3H), 4.48 (d, 2H, J = 5.8 Hz), 4.88 (s, 2H), 6.07 (t, 1H, J = 5.8 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.49 (s, 1H), 7.59 (d, 1H, J = 7.6 Hz)
MS (ES+) m/z 708.1 [M+H]+, 730.1 [M+Na]+, 746.1 [M+K]+
【0136】
6.化合物10の調製(上記スキーム参照)
4−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチルスタンニル)ベンジルアミノ)−4−オキソブタン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(10)
化合物9(66mg、93μmol)をアセトニトリル(2mL)に溶解させ、N−ヒドロキシスクシンイミド(21.5mg、187μmol)及びEDCI(36mg、187μmol)を加えて、混合物を20℃で一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を、溶離液としてジクロロメタン/AcOEt(4/1)を使用したシリカゲルで精製して、無色の油状物45mg(93μmol、収率60%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.88 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 1.07 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.23-1.49 (m, 12H), 2.66 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 2.73 (s, 4H), 3.03 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 3.51 (s, 3H), 4.47 (d, 2H, J = 5.8 Hz), 4.87 (s, 2H), 6.02 (t, 1H, J = 5.8 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.48 (s, 1H), 7.58 (s, 1H, J = 7.6 Hz)
MS (ES+) m/z 827.2 [M+Na]+, 1629.2 [2M+Na]+
【0137】
実施例9−式(II−5)を有する中間化合物の調製
【化27】


1.化合物12の調製(上記スキーム参照)
N−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−ヨード−ベンジル)−N−メチルプロパ−2−エン−1−アミン(12)
化合物5(500mg、986μmol)を、窒素下、無水アセトニトリル(5mL)に溶解させた。炭酸カリウム(273mg、1.97mmol)、ヨウ化カリウム(164mg、986μmol)及びN−アリルメチルアミン(188μL、1.97mmol)を加えて、混合物を40℃で一晩加熱した。室温に冷ました後、溶媒を減圧下で除去して、残渣を、溶離液としてクロロホルムを用いたシリカゲルクロマトグラフィーに付して、無色の油状物265mg(490μmol、収率54%)を得た。
1H (CDCl3) δ 2.20 (s, 3H), 3.02 (d, 2H, J = 6.4 Hz), 3.50 (s, 2H), 3.57 (s, 3H), 5.03 (s, 2H), 5.15-5.24 (m, 2H), 5.79-5.24 (m, 1H), 7.09 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.58 (s, 1H), 8.14 (d, 1H, J = 8.0 Hz)
MS (ES+) m/z497.9 [M+H]+
【0138】
2.化合物13の調製
N−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチル−スタンニル)ベンジル)−N−メチルプロパ−2−エン−1−アミン(13)
化合物12(470mg、945μmol)を、窒素雰囲気下、新たに蒸留したTHF(5mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。次に、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(886μL、1.42mmol)を加え、混合物を−78℃で30分間撹拌した。トリブチルスズクロリド(462mg、1.42mmol)のTHF(2mL)溶液を加え、混合物を放置して、一晩かけて室温に温めた。0.1M塩化アンモニウム溶液(5mL)を反応混合物に加えた。有機層を単離し、水層をジクロロメタン(2×5mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残渣を、溶離液としてヘプタン/アセトン(98/2)を用いたシリカゲルで精製して、帯黄色の油状物524mg(794μmol、収率84%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.28-1.47 (m, 12H), 2.22 (s, 3H), 3.04 (d, 2H, 6.4 Hz), 3.52 (s, 3H), 3.54, (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 5.16-5.25 (m, 2H), 5.83-5.97 (m, 1H), 7.38 (d, 1H, J = 7.0 Hz), 7.55-7.58 (m, 2H)
MS (ES+) m/z662,3 [M+H]+
【0139】
3.化合物14の調製
(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチル−スタンニル)フェニル)−N−メチルメタンアミン(14)
化合物13(270mg、409μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させ、15分間かけて窒素をバブリングして溶液を脱気した。次に、溶液を、窒素雰囲気下、N,N−ジメチルバルビツル酸(191mg、1.23mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(19mg、16.4μmol)を入れた2口フラスコに加え、得られた混合物を35℃で4時間温めた。溶媒を真空下で除去し、残渣をジエチルエーテル(10mL)に溶解させて、0.1M炭酸ナトリウム溶液(2×5mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、クロロホルム/メタノール(9/1)を使用したシリカゲルで精製して、帯黄色の油状物199mg(321μmol、収率78%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.28-1.47 (m, 12H), 2.46 (s, 3 H), 3.52 (s, 3H), 3.78 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 7.38 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 7.55-7.59 (m, 2H)
13C (CDCl3) δ 12.9, 13.6, 27.4, 29.0, 33.9, 54.0, 57.3, 94.5, 129.2, 129.3, 134.7, 139.0
MS (ES+) m/z622.2 [M+H]+
【0140】
4.化合物15の調製
4−((3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチル−スタンニル)ベンジル)(メチル)アミノ)−4−オキソブタン酸(15)
化合物14(114mg、184μmol)を、窒素雰囲気下、新たに蒸留したTHF(3mL)に溶解させ、無水コハク酸(37mg、368μmol)を加えた。20℃で一晩置いた後、溶媒を減圧下で除去して、n−ヘキサンに溶解させた。白色の沈殿物を濾過により除去し、濾液を蒸発乾固させた。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(95/5)によりシリカゲルで精製して、無色の油状物119mg(165μmol、収率90%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t, 9H, J = 7.2 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.30-1.47 (m, 12H), 2.68-2.77 (m, 4H), 2.97 (s, 1.86H), 2.98 (s, 1.14H), 3.51 (s, 1.86H), 3.52 (s, 1.14H), 4.58 (s, 0.76H), 4.62 (s, 1.24H), 4.89 (s, 1.24H), 4.92 (s, 0.76H), 7.21 (d, 0.38H, J = 7.6 Hz), 7.26 (d, 0.62H, J = 7.6 Hz), 7.39 (s, 0.38H), 7.43 (s, 0.62H), 7.58 (d, 0.62, J = 7.6 Hz),7.64 (d, 0.38H, J = 7.6 Hz)
MS (ES+) m/z744.2 [M+Na]+ , (ES-) m/z719.8 [M-H]-
【0141】
5.化合物16の調製
4−((3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチルスタンニル)ベンジル)(メチル)アミノ)−4−オキソブタン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(16)
化合物15(170mg、236μmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させ、N−ヒドロキシスクシンイミド(54mg、472μmol)及びEDCI(90mg、472μmol)を加えて、混合物を20℃で6時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を、溶離液としてジクロロメタン/アセトン(1/1)を使用したシリカゲルで精製して、無色の油状物155mg(190μmol、収率80%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0.89 (t, 9H, J = 7.2 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.31-1.45 (m, 12H), 2.79-2.85 (m, 7H), 2.94+2.97 (2s, 1,86+1.14H), 3.02-3.08 (m, 2H), 3.51+3.52 (2s, 1.86+1.14H), 4.56+4.62 (2s, 0.76+1.24H), 4.89+4.91 (2s, 1.24+0.76H), 7.20+7.25 (2d, 0.38+0.62H, J = 7.6 Hz), 7.39+7.42 (2d, 0.38+0.62H), 7.57+7.63 (2d, 0.62+0.38H, J = 7.6 Hz)
13C (CDCl3) δ 12.8, 13.6, 25.3, 27.4, 29.0, 34.7, 50.9, 57.2, 94.4, 126.7, 128.4, 136.5, 138.7, 142.4, 168.5, 169.0, 170.3
MS (ES+) m/z819.2 [M+H]+, 841.3 [M+Na]+, 857.3 [M+K]+, 1655.4 [2M+Na]+
【0142】
実施例10−式(II−6)を有する中間化合物の調製
【化28】


3−(2,5−ジオキソ−2H−ピロール−1(5H)−イル)−N−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシ−メトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチルスタンニル)ベンジル)−N−メチルプロパンアミド(11)
化合物14(86mg、138μmol)を無水アセトニトリル(2mL)に溶解させ、3−(マレイミド)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(44mg、166μmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、溶媒を減圧下で除去して、残渣を、溶離液としてクロロホルム/メタノール(98/2)を使用したシリカゲルで精製して、無色の油状物86mg(111μmol、収率81%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0,89 (t, 9H, J = 7.3 Hz), 1.08 (t, 6H, J = 78.5 Hz), 1.30-1.48 ( m, 12H), 2.68-2.75 (m, 2H), 2.83 (s, 1.95H), 2.90 (s, 1.05H), 3.52 (s, 3H), 3.87-3.96 (m, 2H), 4.51 (s, 0.7H), 4.58 (s, 1.3H), 6.68-6.74 (m, 2H), 7.18 (d, 0.35H, J = 7.6 Hz), 7.27 (d, 0.65H, J = 7.6 Hz), 7.37 (s, 0.35H), 7.42 (s, J = 0.65H), 7.55 (d, 0.35H, J = 7.6 Hz), 7.62 (d, 0.65H, J = 7.6 Hz)
MS (ES+) m/z 773.4 [M+H]+, 795.4 [M+Na]+
【0143】
実施例11−式(II−7)を有する中間化合物の調製
【化29】


N−(3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)−4−(トリブチル−スタンニル)ベンジル)ビオチンアミド(17)
化合物8(111mg、183μmol)を、窒素雰囲気下、無水DMF(2mL)に溶解させ、ビオチンN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(66mg、192μmol)を加えた。混合物を20℃で一晩撹拌し、溶媒を減圧下で除去して、残渣を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95/5)を使用したシリカゲルで精製して、無色の油状物97mg(117μmol、収率64%)を得た。
1H (CDCl3) δ 0,89 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 1,07 (t, 6H, J = 8.3 Hz), 1.27-1.48 (m, 12H), 1.70 (m, 6H), 2.27 (t, 2H, J = 7.3 Hz), 2.67 (d, 1H, J = 12.5 Hz), 2.85-2.92 (m, 1H), 3.10-3.17 (m, 1H), 3.51 (s, 3H), 4.26-4.31 (m, 1H), 4.45-4.47 (m, 2H), 4,86 (s, 2H), 5.08 (s, 1H), 6.28-6.32 (m, 1H), 7.31 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.48 (s, 1H), 7.58 (d, 1H, J = 7.6 Hz)
MS (ES+) m/z1687.4 [2M+Na]+
【0144】
実施例12−化合物19及び21の調整
【化30】


1.化合物18の調製:
125I]−N−(4−ヨード−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンジル)−N−(3−マレイミドプロピオニル)−N−メチルアミド
化合物11(実施例10)(237nmol、MeOH/AcOH(95/5)100μL中)、N−クロロスクシンイミド(2.02μmol、MeOH/AcOH(95/5)100μL中)及びヨウ化[125I]ナトリウム(3.7MBq、0.048N NaOH1μL中)を100℃で2時間加熱した。溶離液としてクロロホルム/メタノール(95/5)を使用したTLCプレートから、80〜85%の放射化学収率が示された。
【0145】
2.化合物19の調製:
125I]−N−((1−ブロモ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾヨードキソール)−N−(3−マレイミドプロピオニル)−N−メチルアミド
化合物18を含有する反応混合物100μLに、N−ブロモスクシンイミド(847μmol、プロパン−2−オール100μL中)を加えた。50℃で30分間加熱した後、溶離液としてクロロホルム/メタノール(95/5)を使用したTLCプレートから、90〜95%の放射化学収率が示された。
【0146】
3.化合物20の調製:
211At]−N−(4−アスタト−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンジル)−N−(3−マレイミドプロピオニル)−N−メチルアミド
化合物11(10nmol、MeOH/AcOH(95/5)4μL中)、N−クロロスクシンイミド(60nmol、MeOH/AcOH(95/5)3μL中)及びアスタチン−211放射能(0.5〜5MBq、MeOH50μL中)を100℃で30分間加熱した。溶離液としてクロロホルム/メタノール(95/5)を使用したTLCプレートから、95〜99%の放射化学収率が示された。
【0147】
4.化合物21の調製:
211At]−N−((1−ブロモ−1,3−ジヒドロ−5−メチル−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾアスタトキソール)−N−(3−マレイミドプロピオニル)−N−メチルアミド
化合物20を含有する反応混合物25μLに、N−ブロモスクシンイミド(212μmol、プロパン−2−オール25μL中)を加えた。50℃で30分間加熱した後、溶離液としてクロロホルム/メタノール(95/5)を使用したTLCプレートから、95〜100%の放射化学収率が示された。
【0148】
実施例13−化合物20及び21のBSAとのカップリング
【化31】

【0149】
BSAのジスルフィド結合をカップリングの前に還元した。そのために、BSA(5mg/mL、PBS中)を20当量のジチオスレイトールと室温で1時間インキュベートした。炭酸緩衝液(0,2M、pH=8)を用いてPD−10カラムで溶離させた後、還元したBSAを4mg/mLの濃度で回収した。
【0150】
化合物20のカップリング:
化合物20を含有する反応混合物50μLに、1M硫化ナトリウム(5μL)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、溶媒を穏やかな窒素流下で蒸発させた。次に、還元したBSA溶液100μLを加え、混合物を37℃で1時間インキュベートした。10%トリクロロ酢酸で溶離させたITLC−SG分析から、96%のカップリング収率が示された。粗生成物をPD−10カラムで溶離させて、放射性標識BSAを純度>99%で得た。
【0151】
化合物21のカップリング:
化合物21を含有する反応混合物100μLを、穏やかな窒素流下で蒸発させた。次に、還元したBSA溶液100μLを加え、混合物を37℃で1時間インキュベートした。10%トリクロロ酢酸で溶離させたITLC−SG分析から、81%のカップリング収率が示された。粗生成物をPD−10カラムで溶離させて、放射性標識BSAを純度>99%で得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化32】


[式中、
Xは、125I、123I、124I、131I、及び211Atからなる群より選択される放射性同位元素であり;
及びR’は、互いに独立して、電子求引基及びアルキル基からなる群より選択され、好ましくは、R及びR’の少なくとも1つが電子求引基であるか、又はR及びR’が、それらが有する隣接炭素原子と一緒になって、C=O基を形成してもよく;
は、H、アルキル基、ベクターに結合することが可能な官能基、及び本発明の化合物をベクターそのものにする標的化特性を有する官能基からなる群より選択され;
及びRは、互いに独立して、H、OH、NH、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アミン基、アミド基、及びエステル基からなる群より選択され;
Zは、ヘテロ原子であり、特に、O及びNHからなる群より選択され、
は、Hであるか、又はYが、Zと同じ定義を有するヘテロ原子である場合、Y及びXと一緒になって、5員複素環を形成する−C(R)(R)−基であり、R及びRは、R及びR’について上記で定義されるとおりであり;そして
Yは、電子求引基、特に、Br、Cl、F、もしくはOAcであるか、又はYは、X及び基−C(R)(R)−であるRと一緒になって、5員複素環を形成するヘテロ原子Zである]
を有する化合物。
【請求項2】
式(I−1):
【化33】


[式中、X、R’、R及びRは、請求項1に定義されるとおりである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(I−2):
【化34】


[式中、X、R’、R及びRは、請求項1に定義されるとおりである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
及びR’が、−CF又は−CF−CF−などのフッ素化アルキル基、−CCl、−OH、−NH、及び−NOからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Xが125Iである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Xが211Atである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(II):
【化35】


[式中、
Z、R、R’、R及びRは、請求項1に定義されるとおりであり;
R’’は、保護基、特に、メトキシメチルエーテル基であり;
R’は、Hであるか、又は−C(R)(R)(ZR10)基であり、R及びRは、上記式(I)で定義されるとおりであり、Zは、上記で定義されるとおりであり、そして、R10は、H及び保護基から選択され;そして
は、H、アルキル基、及びベクターに結合することが可能な官能基からなる群より選択され;そして
、R’及びR’’は、互いに独立して、アルキル基及びアリール基からなる群より選択される]
を有する化合物。
【請求項8】
式(III):
【化36】


[式中、Z、X、R、R’、R、R及びRは、請求項1に定義されるとおりであり、そして
R’’は、Hであるか、又は−C(R)(R)(ZH)基であり、R及びRは、請求項1に定義されるとおりである]
を有する化合物。
【請求項9】
ハロゲン化試薬と請求項8に記載の式(III)で表される化合物の反応を含む、請求項1に記載の式(I)を有する化合物の調製方法。
【請求項10】
N−ブロモスクシンイミド、Br、CBr、及びPBrから選択される臭素化試薬と請求項8に記載の式(III)で表される化合物の反応を含む、請求項2に記載の式(I−1)を有する化合物の調製方法。
【請求項11】
Cl、tBuOCl、SOCl、PCl及び塩酸と次亜塩素酸ナトリウムの混合物から選択される塩素化試薬と請求項8に記載の式(III)で表される化合物の反応を含む、請求項3に記載の式(I−2)を有する化合物の調製方法。
【請求項12】
式(III)を有する化合物が、請求項7に記載の式(II)で表される化合物のハロ脱スズ化及び放射性標識により調製される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式(III)を有する化合物が、請求項7に記載の式(II)で表される化合物のハロ脱スズ化及び放射性アスタチン化により調製される、請求項8に記載の化合物を調製するための請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、前記化合物が、必要に応じて、生体分子及びナノキャリア化合物から選択されるベクターに結合している、医薬組成物。
【請求項15】
腫瘍の処置又は局在のための使用のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−518849(P2013−518849A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551609(P2012−551609)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051480
【国際公開番号】WO2011/095517
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(507421289)ユニヴェルシテ・ドゥ・ナント (6)
【出願人】(510184715)
【氏名又は名称原語表記】CHU NANTES
【Fターム(参考)】