説明

超吸収性ポリマーおよびジェミニ界面活性剤を含む組成物

本発明は、少なくとも1つの水相および少なくとも1つの脂肪相、少なくとも1種の超吸収性ポリマー、ならびに式(I)の少なくとも1種の界面活性剤を含むエマルション形態の化粧品組成物に関し、


式中、
- R1およびR3は、互いに独立に、1〜25個の炭素原子を含有するアルキル基を示し、
- R2は、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキレン鎖から形成されるスペーサーを示し、
- XおよびYは、互いに独立に、基-(C2H4O)a-(C3H6O)bZを示し、
Zは、水素原子または基-CH2-COOM、-SO3M、-P(O)(OM)2、-C2H4-SO3M、-C3H6-SO3Mもしくは-CH2(CHOH)4CH2OHを示し、M、M'は、Hまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムもしくはアルカノールアンモニウムイオンを表し、
aは、0〜15の範囲であり、
bは、0〜10の範囲であり、
a+bの合計は、1〜25の範囲であり、
- nは、1〜10の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、超吸収性ポリマーを含むエマルション形態の組成物、ならびに特にケラチン物質をケアおよび処理するための化粧分野および皮膚科における前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品組成物には、ジェミニ界面活性剤を使用することが公知の慣習である。本発明の文脈において、用語「ジェミニ界面活性剤」は、スペーサーを介して一緒になって結合している2つの親水性頭部と2つの疎水性尾部を含む化合物を意味する。これらの界面活性剤は、化粧品組成物(国際公開第96/14926)、特に毛髪もしくは皮膚クレンジング組成物(欧州特許第0 915 945号)、またはクレンジング組成物において使用される真珠層の濃縮物において、任意選択によりヒドロキシ酸およびレチノールもしくはトコフェロールなどのビタミンまたはパルミチン酸ジアスコルビルなどのその誘導体と組み合わせて有用であること(国際公開第01/74979号)が、既に記載されている。
【0003】
ジェミニ界面活性剤は、2つの親水性基と2つの疎水性基を含むが故に、非常に特異的な構造を有している。この構造は、ジェミニ界面活性剤に界面活性剤の特性を付与するだけでなく、ジェミニ界面活性剤のいくつかに対して、セラミドの構造に類似のそれらの特定の構造に関連する高く評価される特性も付与する。それによって、特に製剤に組み込むことが困難であり、結晶を形成するおそれがあるセラミドの製剤化の欠点を伴わずに、ジェミニ界面活性剤がセラミドと類似の特性、特に保湿特性を有することができるようになる。さらに、これらのジェミニ界面活性剤は、表面張力が非常に低く、水中油(O/W)エマルションの調製にとって良好な乳化特性を有する。さらに、ジェミニ界面活性剤は、ミセルの寸法に近い非常に小さい寸法の柔軟な分子であり、他の界面活性剤よりも刺激がはるかに少ない。さらに、ジェミニ界面活性剤は、毛髪および皮膚に対して非常に良好な親和性を示し、脂質過酸化、すなわち毛髪を保護する脂質の、脱水および脱色を引き起こす酸化を低減する。さらに、ジェミニ界面活性剤は、優れた湿潤剤である。
【0004】
しかし、これらの界面活性剤は、O/Wエマルションにおいて使用される場合に、良好な化粧特性をもたない組成物をもたらすという欠点を有する。具体的には、得られる組成物は、皮膚上を十分に滑らないために適用時に重く、広がりにくく、吸収が急速過ぎると判断される。結果的に、これらのエマルションは、さっぱり感が不十分であり、皮膚に吸収されるとざらつき、べたつく作用が観測される。結果として消費者は、皮膚への適用中に不快感を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第96/14926号
【特許文献2】欧州特許第0 915 945号
【特許文献3】国際公開第01/74979号
【特許文献4】特開平2-295912号
【特許文献5】欧州特許第0 916 335号
【特許文献6】欧州特許第1 535 947号
【特許文献7】欧州特許第1 535 925号
【特許文献8】フランス特許第2 555 167号
【特許文献9】フランス特許第2 602 228号
【特許文献10】フランス特許第2 608 150号
【特許文献11】欧州特許第669 323号
【特許文献12】米国特許第2 463 264号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Elsevier刊行のL. Brannon-PappasおよびR. Harlandの書籍「Absorbent polymer technology、Studies in polymer science 8」、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特に適用時に良好な化粧特性を有する、ジェミニ界面活性剤を含有するO/Wエマルションがなおも必要とされている。所望の化粧特性とは、適用時に軟らかく心地良い効果があり、さっぱりした効果があり、ざらつくまたはべたつく作用がなく、および皮膚への適用中に良好な流動性(glidance)があることである。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の欠点をもたず、良好な化粧特性を有するエマルションを生成し得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、驚くべきことに、ジェミニ界面活性剤を超吸収性ポリマーと組み合わせることによって、この問題が解決され得ることを発見した。
【0010】
したがって、本発明の主題の1つは、少なくとも1つの水相および少なくとも1つの脂肪相、少なくとも1種の超吸収性ポリマー、ならびに式(I)の少なくとも1種の界面活性剤を含むエマルション形態の組成物である。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、
- R1およびR3は、互いに独立に、1〜25個の炭素原子を含有するアルキル基を示し、
- R2は、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキレン鎖から形成されるスペーサーを示し、
- XおよびYは、互いに独立に、基-(C2H4O)a-(C3H6O)bZを示し、
Zは、水素原子または基-CH2-COOM、-SO3M、-P(O)(OM)2、-C2H4-SO3M、-C3H6-SO3Mもしくは-CH2(CHOH)4CH2OHを示し、M、M'は、Hまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムもしくはアルカノールアンモニウムイオンを表し、
aは、0〜15の範囲であり、
bは、0〜10の範囲であり、
a+bの合計は、1〜25の範囲であり、
- nは、1〜10の範囲である。
【0013】
本発明の組成物は、特に局所適用を企図されるため、生理的に許容される媒体、すなわち皮膚、爪、粘膜およびケラチン繊維(毛髪およびまつ毛など)などのすべてのケラチン物質と適合性がある媒体を含む。
【0014】
本発明に従って得られる組成物は、皮膚への適用時および生成物の浸透後に非常に軟らかく、皮膚へのべたつくまたはざらつく作用がない、均一な非粘性の質感を有するという利点を有する。
【0015】
本発明の主題の1つはまた、先に定義の組成物をケラチン物質に適用することにある、ケラチン物質を処理するための化粧方法である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
超吸収性ポリマー
用語「超吸収性ポリマー」は、乾燥形態で、ポリマー自体の重量の少なくとも20倍の水性流体、特に水、特に蒸留水を自然に吸収することができるポリマーを意味する。かかる超吸収性ポリマーは、Elsevier刊行のL. Brannon-PappasおよびR. Harlandの書籍「Absorbent polymer technology、Studies in polymer science 8」、1990年に記載されている。
【0017】
これらのポリマーは、水および水性流体を吸収および保持する高い能力を有する。水性液体を吸収した後、こうして水性流体で膨張したポリマー粒子は、水性流体に不溶性のままであり、したがってそれらの個別化された微粒子状態を保存している。
【0018】
超吸収性ポリマーは、ポリマー自体の重量の20〜2000倍(すなわち、吸収性ポリマー1グラム当たり吸収される水20g〜2000g)、好ましくは30〜1500倍、さらに良好には50〜1000倍の範囲の吸水能を有することができる。これらの吸水性の特徴は、標準温度(25℃)および圧力(760mmHg、すなわち100 000Pa)条件下で蒸留水に対して定義される。
【0019】
ポリマーの吸水能の値は、ポリマー0.5gを水溶液150gに分散させ、20分間待ち、吸収されなかった溶液を150μmフィルターで20分間濾過し、吸収されなかった水を秤量することによって決定することができる。
【0020】
本発明の組成物において使用される超吸収性ポリマーは、粒子の形態である。好ましくは、乾燥または非水和形態の超吸収性ポリマー粒子は、100μm以下、好ましくは50μm以下、例えば10〜100μm、好ましくは15〜50μm、さらに良好には20〜30μmの範囲の平均径を有する。
【0021】
乾燥形態の粒子の平均径は、レーザー粒度分布または当業者に公知の別の等価な方法によって測定される質量-平均直径(D50)に相当する。
【0022】
これらの粒子は、水和すると膨潤して、10μm〜1000μmの範囲を取り得る平均径を有する軟質ビーズを形成する。
【0023】
好ましくは、本発明で使用される超吸収性ポリマーは、球形粒子の形態である。
【0024】
本発明の組成物において使用され得る超吸収性ポリマーは、特に以下から選択することができる。
- 架橋ポリアクリル酸ナトリウム、例えばAvecia社から商標名Octacare X100、X110およびRM100で販売されているもの、SNF社から名称Flocare GB 300およびFlosorb 500で販売されているもの、BASF社から名称Luquasorb 1003、Luquasorb 1010、Luquasorb 1280およびLuquasorb 1110で販売されているもの、Grain Processing社から名称Water Lock G400およびG430(INCI名:アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)で販売されているもの、またはSumitomo Seika社から販売されているAqua Keep 10 SH NF、
- Sanyo Chemical Industries社から名称Sanfresh ST-100C、ST100MCおよびIM-300MCで販売されているものなどの、アクリル系ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)、特にポリアクリル酸ナトリウムでグラフトされたデンプン(INCI名:ポリアクリル酸ナトリウムデンプン)、
- Grain Processing社から名称Water Lock A-240、A-180、B-204、D-223、A-100、C-200およびD-223で販売されているものなどの、アクリル系ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)、特にアクリロアクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマーでグラフトされた加水分解デンプン(INCI名:デンプン/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)、
- Lysac社から名称Lysorb 220で販売されている、デンプン、グアーガムおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する生成物などの、デンプン、ガムおよびセルロース誘導体に基づくポリマー、
-ならびにその混合物。
【0025】
本発明で使用される超吸収性ポリマーは、架橋されていてよく、または架橋されていなくてもよい。これらは、好ましくは架橋ポリマーから選択される。
【0026】
本発明で使用される超吸収性ポリマーは、好ましくは架橋された、好ましくは中和されたアクリルホモポリマーまたはコポリマーから選択される。
【0027】
好ましくは、超吸収性ポリマーは、好ましくは100ミクロン以下の平均径を有する粒子の形態の、より好ましくは球形粒子の形態の架橋ポリアクリル酸ナトリウムから選択される。これらのポリマーは、好ましくは10〜100g/g、好ましくは20〜80g/g、さらに良好には50〜70g/gの吸水能を有する。
【0028】
超吸収性ポリマーは、組成物の総重量に対して、例えば0.05重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、優先的には0.1重量%〜3重量%、またはさらには0.5重量%〜2重量%の範囲の活性材料含量で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0029】
ジェミニ界面活性剤
式(I)のジェミニ界面活性剤は、好ましくは、基R1-CO-およびR3-CO-のそれぞれが、8〜20個の炭素原子を含み、好ましくはココナッツ脂肪酸残基(主に、ラウリン酸およびミリスチン酸を含む)を示すような界面活性剤である。
【0030】
さらにこの界面活性剤は、好ましくは、基XおよびYのそれぞれについて、aおよびbの合計が10〜20の範囲の平均値を有し、好ましくは15に等しくなるような界面活性剤である。Zの好ましい基は、基-SO3Mであり、Mは、好ましくはナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンである。
【0031】
スペーサーR2は、有利には、直鎖C1〜C3アルキレン鎖、好ましくはエチレン鎖(CH2CH2)から形成される。
【0032】
最後に、nは、有利には1に等しい。
【0033】
このタイプの界面活性剤は、特に、以下の構造を有するINCI名:ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウムによって同定される界面活性剤であり、
【0034】
【化2】

【0035】
PEGは基CH2CH2Oを表し、ココイルはココナッツ脂肪酸残基を表すことを理解されたい。
【0036】
この界面活性剤は、セラミド-3に非常に類似した分子構造を有する。
【0037】
好ましくは、本発明のジェミニ界面活性剤は、他の界面活性剤との混合物として、特に(a)C6〜C22脂肪酸(好ましくは、ステアリン酸などのC14〜C20)とグリセロールのエステル、(b)C6〜C22脂肪酸(好ましくは、ステアリン酸などのC14〜C20)とクエン酸とグリセロールのジエステル(特に、C6〜C22脂肪酸とモノクエン酸グリセリルのジエステル)、ならびに(c)C10〜C30脂肪アルコール(好ましくは、ベヘニルアルコール)との混合物として使用される。
【0038】
有利には、本発明の組成物は、ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸モノクエン酸グリセリルおよびベヘニルアルコールの混合物を含む。
【0039】
より優先的には、本発明のジェミニ界面活性剤は、ジェミニ界面活性剤を含有する界面活性剤混合物の総重量に対して、10重量%〜20重量%、有利には15重量%であり、C6〜C22脂肪酸とグリセロールのエステルは、30重量%〜40重量%、有利には35重量%であり、C6〜C22脂肪酸とクエン酸とグリセロールのジエステルは、10重量%〜20重量%、有利には15重量%であり、C10〜C30脂肪アルコールは、30重量%〜40重量%、有利には35重量%である。
【0040】
有利には、本発明の組成物は、ジェミニ界面活性剤を含有する界面活性剤混合物の総重量に対して、10重量%〜20重量%のジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、30重量%〜40重量%(特に35重量%)のステアリン酸グリセリル、10重量%〜20重量%(特に15重量%)のステアリン酸モノクエン酸グリセリル、30重量%〜40重量%(特に35重量%)のベヘニルアルコールの混合物を含む。
【0041】
変形形態として、本発明のジェミニ界面活性剤は、ラウリン酸エステルまたはラウロイル乳酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤との混合物として使用することができる。この場合、ジェミニ界面活性剤は、好ましくは混合物の総重量に対して30重量%〜50重量%であり、アニオン性界面活性剤は、50重量%〜70重量%である。
【0042】
例えば、他の界面活性剤との混合物として、Sasol社から名称Ceralution(登録商標)で販売されている製品、特に以下の製品の形態のジェミニ界面活性剤を使用することが可能である。
- Ceralution(登録商標)H:ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸クエン酸グリセリルおよびジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、
- Ceralution(登録商標)F:ラウロイル乳酸ナトリウムおよびジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、
- Ceralution(登録商標)C:水、カプリン/カプリル酸トリグリセリド、グリセリン、Ceteareth-25、ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸クエン酸グリセリル、アラビアゴム、キサンタンガム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン(INCI名)。
【0043】
このジェミニ界面活性剤は、これらの混合物の重量の3%〜50%である。
【0044】
式(I)のジェミニ界面活性剤は、組成物の総重量に対して0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、さらに良好には0.2重量%〜2重量%の範囲の含量で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0045】
水相
本発明の組成物の水相は、少なくとも水を含む。水相の量は、組成物のガレヌス形態に応じて、組成物の総重量に対して0.1重量%〜99重量%、好ましくは0.5重量%〜98重量%、さらに良好には30重量%〜95重量%、またさらに良好には40重量%〜95重量%の範囲であり得る。この量は、組成物の所望のガレヌス形態に応じて決まる。水の量は、水相のすべてまたは一部であってよく、一般に組成物の総重量に対して少なくとも30重量%である。
【0046】
水相は、少なくとも1種の親水性溶媒、例えば1〜8個の炭素原子を含有する実質的に直鎖または分岐の低級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールまたはイソブタノール;プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールまたはポリエチレングリコール類およびその誘導体などのポリオール、ならびにその混合物を含むことができる。
【0047】
脂肪相
エマルションの脂肪相の割合は、組成物の総重量に対して、例えば1重量%〜80重量%、好ましくは2重量%〜50重量%、さらに良好には5重量%〜30重量%の範囲であり得る。
【0048】
この指示量は、親油性界面活性剤の含量を含んでいない。
【0049】
エマルションの脂肪相(または油相)の性質は、それほど重要ではない。したがって脂肪相は、化粧分野または皮膚科で従来使用されている任意の脂肪物質から形成することができ、特に少なくとも1種の油(25℃で液体の脂肪物質)を含む。
【0050】
本発明の組成物において使用され得る油として、列挙され得る例には、以下が含まれる。
- ペルヒドロスクアレンなどの動物起源の炭化水素系油、
- 4〜10個の炭素原子を含有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、あるいは例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社から販売されているもの、またはDynamit Nobel社から名称Miglyol 810、812および818で販売されているもの、ホホバ油またはシアバター油などの植物起源の炭化水素系油、
- 特に脂肪酸の合成エステルおよび合成エーテル、例えば式RaCOORbおよびRaORbの油(Raは、8〜29個の炭素原子を含有する脂肪酸残基であり、Rbは、3〜30個の炭素原子を含有する分岐または非分岐の炭化水素系鎖である)、例えばピュアセリン油、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル;ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシルまたはイソステアリン酸イソステアリル;乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチルならびにヘプタン酸、オクタン酸およびデカン酸脂肪アルキルなどのヒドロキシル化エステル;ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコールおよびジイソノナン酸ジエチレングリコール;ならびにペンタエリスリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、
- 揮発性または不揮発性液体パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、ならびにParleam(登録商標)油などの水素化ポリイソブテンなどの、無機または合成起源の実質的に直鎖または分岐の炭化水素、
- 8〜26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびその混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコール、
- oleth-12、ceteareth-12およびceteareth-20などの、アルコキシル化脂肪アルコール、特にエトキシ化脂肪アルコール、
- 部分的に炭化水素系のおよび/または部分的にシリコーン系のフルオロ油、例えば特開平2-295912号に記載のもの。列挙され得るフルオロ油の例には、BNFL Fluorochemicals社から名称Flutec PC1(登録商標)およびFlutec PC3(登録商標)で販売されている、パーフルオロメチルシクロペンタンおよびパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;3M社から名称PF 5050(登録商標)およびPF 5060(登録商標)で販売されている、ドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサンなどのパーフルオロアルカン、あるいはAtochem社から名称Foralkyl(登録商標)で販売されているブロモパーフルオロオクチル;3M社から名称MSX 4518(登録商標)で販売されているノナフルオロメトキシブタン、およびノナフルオロエトキシイソブタン;3M社から名称PF 5052(登録商標)で販売されている、4-トリフルオロメチルパーフルオロモルホリンなどのパーフルオロモルホリン誘導体も含まれる、
- シリコーン油、例えば室温で液体またはペースト状である実質的に直鎖または環式のシリコーン鎖を含有する揮発性または不揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)、特にシクロヘキサジメチルシロキサンおよびシクロペンタジメチルシロキサンなどのシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン);懸垂しているか、またはシリコーン鎖の末端に存在する、2〜24個の炭素原子を含有するアルキル、アルコキシまたはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサン、
- それらの混合物。
【0051】
前述の油の一覧において、表現「炭化水素系油」は、主に炭素および水素原子、任意選択によりエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸および/またはアルコール基を含む任意の油を意味する。
【0052】
油相中に存在し得る他の脂肪物質は、例えば、8〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;ワックス、例えばラノリン、蜜蝋、カルナウバワックスまたはカンデリラワックス、パラフィンワックス、亜炭ワックスまたは微結晶性ワックス、セレシンまたはオゾケライト、ポリエチレンワックスおよびフィッシャー-トロプシュワックスなどの合成ワックス;液化石油ペーストである。
【0053】
これらの脂肪物質は、例えば粘稠度または質感に関して所望の特性を有する組成物を調製するために、当業者によって多様な方法で選択され得る。
【0054】
公知の方法では、本発明のすべての組成物は、化粧分野および皮膚科で一般的な1種または複数のアジュバントである、親水性または親油性ゲル化剤および/または増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、親水性または親油性活性剤、フリーラジカル消去剤、捕捉剤、抗酸化剤、保存剤、酸性化剤または塩基性化剤、芳香剤、皮膜形成剤、着色料(酸化鉄および二酸化チタンなどの顔料、真珠層ならびに可溶性染料)、充填剤、ならびにそれらの混合物を含有することができる。
【0055】
これらの様々なアジュバントの量は、考慮される分野において従来使用されている量である。特に、活性剤の量は、所望の目的によって変わり、考慮される分野において従来使用されている量、例えば組成物の総重量に対して0.1%〜20%、好ましくは0.5%〜10%である。
【0056】
前述のポリマー以外の親水性ゲル化剤として、列挙され得る例には、Carbopol製品(カルボマー)およびPemulen製品(アクリレート/C10〜C30-アルキルアクリレートコポリマー)などのカルボキシビニルポリマー;ポリアクリルアミド、例えばSEPPIC社から名称Sepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス-7)またはSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)で販売されている架橋コポリマー;ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;多糖類、特にキサンタンガムなどのガム;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0057】
列挙され得る親油性ゲル化剤には、ヘクトライトおよびその誘導体などの改質粘土、例えば名称Bentoneで販売されている製品が含まれる。
【0058】
活性剤
本発明によれば、用語「親水性活性剤」は、室温(25℃)で少なくとも0.25%の水溶性を有する化合物を意味する。さらに本発明によれば、用語「酸化感受性の親水性活性剤」は、酸化機構を介して分解され得る天然または合成起源の任意の活性剤を意味する。この酸化事象は、いくつかの原因、特に酸素、光、金属イオン、高温または特定のpH条件の存在を有することがある。
【0059】
列挙され得る酸化感受性の親水性活性剤の例には、非限定的に、5,6-ジ-O-ジメチルシリルアスコルベート(Ste Exsymol社から参照名PRO-AAで販売)、dl-α-トコフェリル21-アスコルビルホスフェートのカリウム塩(Senju Pharmaceutical社から参照名Sepivital EPCで販売)、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびリン酸アスコルビルナトリウム(Roche社から参照名Stay-C 50で販売)などの、アスコルビン酸およびその誘導体;フロログルシノール;酵素;ならびにそれらの混合物が含まれる。本発明の好ましい一実施形態によれば、酸化感受性の親水性活性剤の中でも、アスコルビン酸が使用される。アスコルビン酸は、どんな性質であってもよい。したがってアスコルビン酸は、天然起源の粉末形態またはオレンジ果汁、好ましくは濃縮オレンジ果汁の形態であってよい。アスコルビン酸は、合成起源の、好ましくは粉末形態であってもよい。
【0060】
本発明の組成物において使用され得る他の活性剤として、列挙され得る例には、タンパク質加水分解物およびポリオール、例えばグリセロール、グリコール、例えばポリエチレングリコールなどの保湿剤;天然抽出物;抗炎症剤;プロシアニドール(procyannidol)オリゴマー;ビタミン、例えばビタミンA(レチノール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB3(ナイアシンアミド)およびこれらのビタミンの誘導体(特にエステル)ならびにそれらの混合物;尿素;カフェイン;コウジ酸、ヒドロキノンおよびコーヒー酸などの脱色剤;サリチル酸およびその誘導体;乳酸およびグリコール酸などのα-ヒドロキシ酸ならびにそれらの誘導体;カロテノイドおよびビタミンA誘導体などのレチノイド;ヒドロコルチゾン;メラトニン;藻類抽出物、真菌抽出物、植物抽出物、酵母抽出物および細菌抽出物;ステロイド;抗菌活性剤、例えば2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(またはトリクロサン)、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(またはトリクロカルバン)および先に示した酸、特にサリチル酸およびその誘導体;艶消し剤、例えば繊維;引き締め(tensioning)剤;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0061】
遮断剤
組成物は、有機および無機遮断剤から、特に有機遮断剤から選択することができる、少なくとも1種のUV遮断剤を含むことができる。有機遮断剤は、親油性および親水性有機遮断剤またはそれらの混合物から選択することができる。
【0062】
用語「親油性遮断剤」は、液体脂肪相に分子の形態で完全に溶解することができ、または液体脂肪相にコロイド形態(例えばミセル形態)で溶解することができる任意の遮断剤を意味する。
【0063】
用語「親水性のUV遮断剤」は、エマルションの水相に分子の形態で完全に溶解することができ、またはエマルションの水相にコロイド形態(例えばミセル形態)で溶解することができる、UV照射を遮断するための任意の作用剤を意味する。
【0064】
好ましくは、組成物は、少なくとも1種の親油性有機遮断剤を含む。
【0065】
親油性有機遮断剤は、パラ-アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ベンゾフェノン類およびアミノベンゾフェノン類、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、ベンジリデンカンファー誘導体、フェニルベンズイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ビス-レゾルシノール(resorcinyl)トリアジン、イミダゾリン誘導体、ベンジルマロン酸(benzalmalonate)誘導体、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、メロシアニン、ジフェニルブタジエンマロネートまたはマロノニトリル誘導体およびカルコン、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0066】
UV320〜400nmを吸収することができる親油性UVA遮断剤の中でも、以下を挙げることができる。
ジベンゾイルメタン誘導体:
- Merck社から名称Eusolex 8020で販売されており、次式に相当する4-イソプロピルジベンゾイルメタン、
【0067】
【化3】

【0068】
- Quest社から名称Pongamolで販売されている、次式の1-(4-メトキシ-1-ベンゾフラン-5-イル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオン、
【0069】
【化4】

【0070】
- 次式の1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、
【0071】
【化5】

【0072】
- 特にHoffmann LaRocheから商標Parsol 1789で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン。
アミノベンゾフェノン:
商標Uvinul A+で販売されている2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル。
アントラニル酸誘導体:
Haarmann & Reimerから商標Neo Heliopan MAで販売されているアントラニル酸メンチル(menthyl)。
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0073】
好ましい生成物は、以下のものである。
【0074】
UV280〜320nmを吸収することができる親油性UVB遮断剤の中でも、以下を挙げることができる。
パラ-アミノ安息香酸塩:
エチルPABA
エチルジヒドロキシプロピルPABA
エチルヘキシルジメチルPABA(ISPのEscalol 507)
サリチル酸誘導体:
- Rona/EM Industriesから名称Eusolex HMSで販売されているホモサレート、
- Haarmann & Reimerから名称Neo Heliopan OSで販売されているサリチル酸エチルヘキシル、
- Scherから名称Dipsalで販売されているサリチル酸ジプロピレングリコール、
- Haarmann & Reimerから名称Neo Heliopan TSで販売されているサリチル酸TEA、
ケイ皮酸塩:
特にHoffmann LaRocheから商標Parsol MCXで販売されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
Haarmann & Reimerから商標Neo Heliopan E 1000で販売されているメトキシケイ皮酸イソアミル、
メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
シノキセート、
ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル
β,β'-ジフェニルアクリレート誘導体:
特にBASFから商標Uvinul N539で販売されているオクトクリレン、
特にBASFから商標Uvinul N35で販売されているエトクリレン、
ベンジリデンカンファー誘導体:
Chimexから名称Mexoryl SDで製造されている3-ベンジリデンカンファー、
Merckから名称Eusolex 6300で販売されているメチルベンジリデンカンファー、
Chimexから名称Mexoryl SWで製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、
トリアジン誘導体:
特にBASFから商標Uvinul T150で販売されているエチルヘキシルトリアゾン、
Sigma 3Vから商標Uvasorb HEBで販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル 4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル 4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル 4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル 4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル 4'-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、
ベンジルマロン酸誘導体:
Hoffmann LaRocheから商標Parsol SLXで販売されているPolysilicone-15などの、ベンジルマロン酸官能基を含有するポリオルガノシロキサン、
4'-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、
メロシアニン誘導体:
オクチル-5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート。
【0075】
UVAおよびUVBを吸収することができる親油性の広域スペクトルの遮断剤の中でも、以下を挙げることができる:
ベンゾフェノン誘導体:
BASFから商標Uvinul 400で販売されているベンゾフェノン-1、
BASFから商標Uvinul D50で販売されているベンゾフェノン-2、
BASFから商標Uvinul M40で販売されているベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、
Norquayから商標Helisorb 11で販売されているベンゾフェノン-6、
American Cyanamidから商標Spectra-Sorb UV-24で販売されているベンゾフェノン-8、
ベンゾフェノン-10、
ベンゾフェノン-11、
ベンゾフェノン-12、
ベンゾトリアゾール誘導体:
Rhodia Chimieから名称Silatrizoleで販売されているドロメトリゾールトリシロキサン、
Ciba-Geigyから名称Tinoguard ASで販売されているブメトリゾール、
ビス-レゾルシノールトリアジン:
Ciba Geigyから商標Tinosorb Sで販売されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
ベンゾオキサゾール誘導体:
Sigma 3Vから名称Uvasorb K2Aで販売されている2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0076】
ジフェニルブタジエンマロネートまたはマロノニトリルファミリーの誘導体は、一般式(IV)の誘導体である。
【0077】
【化6】

【0078】
式中、R3は、C1〜C2アルキル基、C1〜C2アルコキシ基を表し、nは、0、1または2に等しく、
R4およびR5は、同じでも異なっていてもよく、-COOR6、-(C=O)NHR6、-(C=O)R6、-CNを表し、R6は、1〜12個の炭素原子を含有し、場合によりシラン、シロキサンまたはポリシロキサン基を含有する、直鎖または分岐アルキル基を表す。
【0079】
ジフェニルブタジエンマロネートまたはマロノニトリル誘導体の中でも、非限定的に特に以下を挙げることができる。
- ジメチル 2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネート
- ジイソブチル 2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネート
- ビス(1,3-ジメチルブチル) 2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネート
- ジネオペンチル 2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネート
- メチル (2Z)-2-シアノ-5,5-ジフェニルペンタ-2,4-ジエノエート
- エチル (トリメチルシリル)メチル (2Z)-2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネート
- (2E)-2-シアノ-5,5-ジフェニル-N-(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル)ペンタ-2,4-ジエンアミド
- エチル 2-メチル-3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル (2E)-2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネート
- エチル (2Z)-5,5-ジフェニル-2-{[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-ジシロキサニル}プロピル)アミノ]カルボニル}ペンタ-2,4-ジエノエート
【0080】
先に列挙したジフェニルブタジエン誘導体の中でも、特に次式に相当するジネオペンチル2-(3,3-ジフェニルプロパ-2-エニリデン)マロネートが使用される。
【0081】
【化7】

【0082】
日焼け止め組成物において、これらのジフェニルブタジエン誘導体を使用することが公知の慣習である。欧州特許第0 916 335号は、炭素系誘導体およびそれらを得るための方法を記載しており、欧州特許第1 535 947号および欧州特許第1 535 925号は、それぞれシロキサンおよびシラン誘導体を記載している。
【0083】
カルコンファミリーの誘導体は、以下の一般式(V)の誘導体である。
【0084】
【化8】

【0085】
式中、基R6およびR7は、互いに独立に、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖もしくは分岐C1〜C12アルキルもしくはアルケニル基、直鎖もしくは分岐C1〜C12アルコキシ基、または直鎖もしくは分岐C2〜C20アシルオキシ基を示す。
pおよびq。
【0086】
カルコン誘導体の中でも、非限定的に特に以下を挙げることができる。
- 2'-ヒドロキシカルコン
- 4'-ヒドロキシカルコン
- 4'-メトキシカルコン
- 2'-ヒドロキシ-4-メトキシカルコン
- 2'-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシカルコン
- 2'-ヒドロキシ-4-メチルカルコン
- 2'-ヒドロキシ-3-ヘキシルオキシカルコン
- 2'-ヒドロキシ-4'-ヘキシルオキシ-4-メチルカルコン
- 2'-ヒドロキシ-4'-ヘキサノイルオキシ-4-メトキシカルコン
- 2',4',4-トリヒドロキシ-3,3'-ジアリルカルコン(名称Kazonolで公知)
- 2',4',4-トリヒドロキシ-5'-(メチル-3-ブト-2-エン)カルコン(名称Broussochalcone Bで公知)
- 2',3',4',6',4-ペンタヒドロキシカルコン(名称Carthaminで公知)
【0087】
先に列挙したカルコン誘導体の中でも、特に次式(Va)に相当する4'-ヒドロキシカルコン
【0088】
【化9】

【0089】
または次式(Vb)に相当する2',3',4',6',4-ペンタヒドロキシカルコン(名称Carthaminで公知)が使用される。
【0090】
【化10】

【0091】
特にフランス特許第2 555 167号、フランス特許第2 602 228号およびフランス特許第2 608 150号では、日焼け止め組成物においてこれらのカルコン誘導体を使用することが公知の慣習である。
【0092】
親油性有機UV遮断剤は、好ましくは以下から選択することができる。
- サリチル酸誘導体、特にホモサレートおよびサリチル酸エチルヘキシル、
- メトキシケイ皮酸エチルヘキシルなどのケイ皮酸誘導体、
- オクトクリレンなどのβ,β'-ジフェニルアクリレート誘導体、
- メトキシジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体、
- エチルヘキシルトリアゾンおよびジエチルヘキシルブタミドトリアゾンなどのトリアジン誘導体、
- ドロメトリゾールトリシロキサンなどのベンゾトリアゾール誘導体、
- およびそれらの混合物。
【0093】
本発明に従って使用することができる親水性または水溶性UV遮断剤の中でも、以下の遮断剤を挙げることができ、これらの遮断剤を以下にそれらのINCI名で示す。
- UV320〜400nmを吸収することができる水溶性UVA遮断剤、例えば、
Chimexから名称Mexoryl SXで製造されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸、
欧州特許第669 323号および米国特許第2 463 264号に記載のビス-ベンゾアゾリル誘導体、より具体的にはHaarmann & Reimerから商標Neo Heliopan APで販売されている化合物フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
- UV280〜320nmを吸収することができる水溶性UVB遮断剤、例えば、
BASFから名称Uvinul P25で販売されているp-アミノ安息香酸(PABA)誘導体、例えばPABA、グリセリルPABAおよびPEG-25 PABA、
特にMerckから商標Eusolex 232で販売されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
フェルラ酸、
サリチル酸、
メトキシケイ皮酸DEA、
Chimexから名称Mexoryl SLで製造されているベンジリデンカンファースルホン酸、
Chimexから名称Mexoryl SOで製造されているカンファーベンザルコニウムメトサルフェート。
- 水不溶性UVAおよびUVB遮断剤、例えば、
BASFから商標Uvinul MS40で販売されているベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、および
ベンゾフェノン-9。
【0094】
不溶性有機UV遮断剤は、特に、オキサニリド(oxalanilide)、ビニルアミド、シンナミド、ベンザゾール、ベンゾフラン、アリールビニリデンケトン、アクリロニトリルアミド、アクリロニトリルスルホンアミド、アクリロニトリルカルバメートまたはフェニレン-ビス-ベンゾオキサジノンのタイプの不溶性有機UV遮断剤から選択することができる。
【0095】
有機遮断剤は、一般に組成物の総重量に対して0.05重量%〜30重量%、好ましくは組成物の総重量に対して0.1重量%〜20重量%、さらに良好には0.5重量%〜15重量%の範囲の割合で、本発明の組成物中に存在する。
【0096】
列挙され得る無機UV遮断剤には、500nm以下、より優先的には5nmおよび500nmの間、さらにより優先的には10nmおよび100nmの間、優先的には15および50nmの間の平均基本粒径を有する金属酸化物粒子が含まれる。無機UV遮断剤は、特に、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウムおよび酸化セリウムまたはそれたの混合物から選択することができる。無機遮断剤は、程度の差はあるがそれらの顕著な親油性の性質、または他方では親水性の性質に応じて、エマルションの脂肪相、もしくは水相のいずれかに存在することができ、またはその両方の相に一度に存在することもできる。
【0097】
本発明の組成物において使用され得る充填剤として、列挙され得る例には、酸化チタン、酸化亜鉛または酸化鉄などの顔料および有機顔料;カオリン;シリカ;タルク;窒化ホウ素;有機球形粉末、繊維;ならびにそれらの混合物が含まれる。列挙され得る有機球形粉末の例には、ポリアミド粉末、特にAtochem社から名称Orgasolで販売されているナイロン-1またはポリアミド12などのナイロン(登録商標)粉末;ポリエチレン粉末;Teflon(登録商標);Dow Corning社から名称Polytrapで販売されている、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーから製造されたものなどのアクリル系コポリマーに基づくミクロスフェア;中空ミクロスフェア、特にKemanord Plast社から名称Expancelで、またはMatsumoto社から名称Micropearl F 80 EDで販売されているミクロスフェアなどの膨張型粉末;Toshiba Silicone社から名称Tospearlで販売されているものなどのシリコーン樹脂ミクロビーズ;Matsumoto社から名称Microsphere M-100で、またはWackherr社から名称Covabead LH85で販売されているポリメチルメタクリレートミクロスフェア;Sumitomo Seika Chemicals社から名称Flobeadsで販売されているものなどの、エチレンアクリレートコポリマー粉末;National Starch社から名称Dry-Floで販売されている、コハク酸オクテニル無水物で架橋されているデンプン粉末などの、架橋されていてもよく、または架橋されていなくてもよい、特にトウモロコシデンプン、コムギデンプンまたはコメデンプンのデンプン粉末などの天然有機材料の粉末が含まれる。列挙され得る繊維の例には、特にナイロン6(またはポリアミド6)(INCI名:ナイロン6)繊維、ナイロン6,6(またはポリアミド66)(INCI名:ナイロン66)繊維、またはポリ-p-フェニレンテレフタルアミド(phenyleneterephthamide)繊維およびそれらの混合物などのポリアミド繊維が含まれる。これらの充填剤は、組成物の総重量に対して0〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%の範囲の量で存在することができる。
【0098】
言うまでもなく、当業者は、本発明の組成物に本質的に関連する有利な特性が、想定される添加によって有害な影響を受けないか、または実質的に受けないように、本発明の組成物に添加される任意選択のアジュバントを注意深く選択することになる。
【0099】
本発明の組成物は、例えば水相(O/W)もしくは逆相(W/O)に脂肪相を分散させることによって得られる乳液タイプの液体もしくは半液体の粘稠度のエマルション、またはクリームもしくはゲルタイプの軟質、半固体もしくは固体の粘稠度の懸濁液もしくはエマルション、あるいは複合エマルション(W/O/WまたはO/W/O)、マイクロエマルション、イオン性および/もしくは非イオン性タイプの小胞性分散液、またはワックス/水相分散液の形態であってよい。これらの組成物は、定法に従って調製される。
【0100】
本発明の好ましい一実施形態によれば、組成物は、O/Wエマルションの形態である。
【0101】
さらに、本発明に従って使用される組成物は、程度の差はあるが流体であってよく、ゲル、白色もしくは有色クリーム、ポマード、乳液、ローション、美容液、ペーストまたはムースの外観を有することができる。
【0102】
組成物は、好ましくは、一般に3〜8、好ましくは4.5〜7の範囲の、皮膚に心地良いpHを有する。
【0103】
以下の実施例によって、本発明は、その性質が制限されることなくより明確に理解されよう。指示量は、別段言及されない限り重量パーセントである。
【実施例】
【0104】
(例1〜3)
保湿性O/Wエマルション
ジェミニ界面活性剤および超吸収性ポリマーを含む本発明の組成物(実施例1)、ならびにジェミニ界面活性剤および超吸収性ではないアクリル系ポリマーを含む2つの比較用組成物(比較例2および3)を調製する。
【0105】
【表1】

【0106】
手順
相Aを85℃に加熱し、次に75℃に冷却する。
相Bを75℃に加熱する。
ミキサー中、相Bを相Aに75℃で添加する。
Rayneriを用いてブレンドすることにより、相Cを混合物(A+B)に添加し、次にRayneriでブレンドしながら室温に冷却する。
【0107】
これらの組成物を、10人の個体によって、個体の手の甲に各生成物を適用して評価した。
【0108】
本発明の実施例1の組成物は、比較例2および3の組成物と比較して、適用時にはより流動的であり(glidant)、皮膚への生成物の浸透後にはより軟らかく粘性が低いと判断された。
【0109】
(例4〜6)
SPF25の日焼け止めO/Wエマルション
親油性遮断剤および超吸収性ポリマーを含む本発明の組成物(実施例4)、ならびにジェミニ界面活性剤および超吸収性ではないアクリル系ポリマーを含む2つの比較用組成物(比較例5および6)を調製する。
【0110】
【表2】

【0111】
手順
相Aを85℃に加熱し、次に75℃に冷却する。
相Bを75℃に加熱する。
ミキサー中、相Bを相Aに75℃で添加する。
Rayneriを用いてブレンドすることにより、相Cを混合物(A+B)に分散させ、次にRayneriでブレンドしながら室温に冷却する。
【0112】
本発明の実施例4の組成物は、比較例5および6の組成物と比較して、適用時にはより流動的であり、皮膚への生成物の浸透後にはより軟らかく粘性が低いと判断された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの水相および少なくとも1つの脂肪相、少なくとも1種の超吸収性ポリマー、ならびに式(I)の少なくとも1種の界面活性剤を含むエマルション形態の化粧品組成物
【化1】

[式中、
- R1およびR3は、互いに独立に、1〜25個の炭素原子を含有するアルキル基を示し、
- R2は、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキレン鎖から形成されるスペーサーを示し、
- XおよびYは、互いに独立に、基-(C2H4O)a-(C3H6O)bZを示し、
Zは、水素原子または基-CH2-COOM、-SO3M、-P(O)(OM)2、-C2H4-SO3M、-C3H6-SO3Mもしくは-CH2(CHOH)4CH2OHを示し、M、M'は、Hまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムもしくはアルカノールアンモニウムイオンを表し、
aは、0〜15の範囲であり、
bは、0〜10の範囲であり、
a+bの合計は、1〜25の範囲であり、
- nは、1〜10の範囲である]。
【請求項2】
前記超吸収性ポリマーが、乾燥形態で100μm以下、好ましくは50μm以下の平均径を有する粒子の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記超吸収性ポリマーが、乾燥形態で10〜100μm、好ましくは15〜50μm、さらに良好には20〜30μmの範囲の平均径を有する粒子の形態であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記超吸収性ポリマーが、10〜100g/g、好ましくは20〜80g/g、さらに良好には50〜70g/gの吸水能を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記超吸収性ポリマーが、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル系ポリマーでグラフトされたデンプン、アクリル系ポリマー、特にアクリロアクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマーでグラフトされた加水分解デンプン、ならびにデンプン、ガムおよびセルロース誘導体に基づくポリマー、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記超吸収性ポリマーが架橋されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記超吸収性ポリマーが、架橋された、好ましくは中和されたアクリルホモポリマーまたはコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記超吸収性ポリマーが、架橋ポリアクリル酸ナトリウムから選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記超吸収性ポリマーが、球形粒子の形態であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記超吸収性ポリマーが、組成物の総重量に対して0.05重量%〜15重量%、好ましくは、0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、優先的には0.1重量%〜3重量%、またはさらには0.5重量%〜2重量%の範囲の活性材料含量で存在することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記式(I)のジェミニ界面活性剤に関して、基R1-CO-およびR3-CO-のそれぞれが、ココナッツ脂肪酸残基を示すことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記式(I)のジェミニ界面活性剤に関して、基XおよびYのそれぞれについてaおよびbの合計が10〜20の範囲の平均値を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記式(I)のジェミニ界面活性剤に関して、Yが、基-SO3Mであり、Mが、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記式(I)のジェミニ界面活性剤に関して、nが1に等しいことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記式(I)の界面活性剤が、以下の構造を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【化2】

【請求項16】
ジェミニ界面活性剤が、(a)C6〜C22脂肪酸とグリセロールのエステル、(b)C6〜C22脂肪酸とクエン酸およびグリセロールのジエステル、ならびに(c)C10〜C30脂肪アルコールと混合されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ジェミニ界面活性剤が、組成物の総重量に対して0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、さらに良好には0.2重量%〜2重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の化粧品組成物が、ケラチン物質に適用されることを特徴とする、ケラチン物質を処理するための化粧方法。

【公表番号】特表2013−520464(P2013−520464A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554319(P2012−554319)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052589
【国際公開番号】WO2011/104228
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】