説明

超弾力性ファブリック

【課題】製紙機械クロージングや工学ファブリックなどの工業用ファブリックに用いる構造物の提供。
【解決手段】
構造物は、いろいろなパターンで、軸方向に弾性のある高分子物質糸と、比較的に非弾性的な糸との両方を包含する。そのような構造物は、垂直方向の負荷を受けたときの大きな圧縮性と、その負荷を取り除いたときのすぐれたリカバリー(弾力性あるいはスプリングバック)との両方が非常に大きい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願については、2007年12月28日出願の米国仮特許出願第61/017,484号の優先権を主張し、それが明らかにした内容を参照によってここに組み入れる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、製紙機械布や工学ファブリックなどの工業用ファブリックに用いる構造物に関する。具体的にいうと、その構造物は、いろいろなパターンで、弾性のある高分子物質(縦あるいは軸方向)糸と、比較的に非弾性的な糸との両方を包含する。そのような構造物は、垂直方向の負荷を受けたときの圧縮性と、その負荷を取り除いた際のすぐれたリカバリー(弾力性あるいはスプリングバック)との両方が非常に大きい。
【背景技術】
【0003】
工業用ファブリックは、連続したループ形状の無端の構造物を意味し、たとえば、製紙機械に用いるシュープレス、カレンダー、あるいはトランスファーベルトのような処理ベルトだけでなく、成形、プレスあるいは乾燥のファブリック(製紙機械クロージングあるいはPMC)に用いる。工業用ファブリックは、また、テキスタイル仕上げ処理に用いるファブリックをも意味する。工業用ファブリックは、さらにまた、大きな圧縮性および弾力性が求められる無端の他のベルトをも含む。
【0004】
ここでの議論は多くの場合一般に製紙処理に関係するが、この発明の適用がそれに限定されるわけではない。
【0005】
この点、製紙処理の間、たとえば、セルロースを含む繊維状のウェブは、製紙機械の成形部分において移動する成形ファブリック上に繊維状のスラリー、つまりセルロース繊維の水性分散液を堆積することによって形作る。スラリーからは成形ファブリックを通して多量の水が排水され、成形ファブリックの表面上にセルロースを含む繊維状のウェブを残す。
【0006】
新しく作られたセルロースを含む繊維状のウェブは、成形部分からプレス部分へと移る。プレス部分には、一連のプレスニップがある。セルロースを含む繊維状のウェブは、プレスファブリック、あるいは、しばしばはそのようなプレスファブリックの2つの間に支持されたプレスニップを通って行く。プレスニップにおいて、セルロースを含む繊維状のウェブは、圧縮力を受けて水を搾り出し、さらに、ウェブ中のセルロース繊維を互いに付着し、セルロースを含む繊維状のウェブを紙シートに変える。一枚あるいは複数枚のプレスファブリックが水を受け入れ、理想的には、水を紙シートに戻すことがない。
【0007】
紙シートは、最後に乾燥部分に移る。乾燥部分には、少なくとも一連続の回転乾燥ドラムあるいはシリンダがあり、それらのドラムあるいはシリンダの内部はスチームで加熱される。新しく作られた紙シートは、乾燥ファブリックによって連続したドラムのそれぞれの周りを順次曲がりくねるようにして進む。乾燥ファブリックは、紙シートをドラム表面に密着させるように保持する。加熱ドラムは、蒸発によって紙シートの水分量を低減し、好ましいレベルにする。
【0008】
成形、プレス、乾燥のファブリックは、すべて製紙機械上で無端ループの形態であり、コンベヤのように働く。さらに、紙の製造は、かなりの速度で進行する連続的なプロセスであることを認識されたい。すなわち、パルプは、成形部分の成形ファブリック上に連続的に堆積し、また同時に、新しく作られた紙シートは、乾燥部分から出た後、ロールに連続的に巻き取られる。
【0009】
ベースファブリックは、上に述べたファブリックの重要な部分を形成するのであるが、多くの異なる形態である。たとえば、それらは無端あるいは平織りのいずれかに織られ、その後に1あるいは2以上の縦方向(MD)および横方向(CD)の糸の層を用いる織り縫合で無端形態になされる。また、そのようなファブリックは、MD糸から形成されるピン縫合といわれるものを用いて、製紙機械に据え付けることができる。さらに、ベースファブリックについては、一つのベースファブリックを別のベースファブリックが形作る無端のループ内部に置くことによって積層し、それらを当業者に公知のいろいろな方法で一緒に結合あるいは積層することができる。たとえば、両方のベースファブリックにステープル綿を針で縫うことによりそれらを互いに結合する。
【0010】
製紙機械クロージング(PMC)、特に、製紙機械のプレス部分で用いるプレスファブリックにおいて、ファブリックは、糸と、一般に少なくともシート接触面に針縫いしたステープル綿とから形成される1または2以上の「ベース構造物」を備える。プレスファブリックは、初期の厚さ、質量、および結果として生じる空隙容積(この質量と厚さに基づいて算出される容積)であり、水運搬容量に相当する容積をもつ。プレスファブリックは、また、重要な接触領域をもつ。
【0011】
プレスファブリックは、それが1または2以上のプレスニップを通過するとき、垂直方向の負荷(用いられているファブリック面に対して垂直)を受ける。したがって、ファブリックは、それ自体が圧縮性であるし、圧縮性の構成部分を包含するので、圧縮状態での空隙容積、さらに表面接触領域をもつ。圧縮性の大きさを変えるため、しかもまた、弾性度合い(スプリングバックあるいははね返り)をもたらすために、いろいろな試みがなされているが、プレスファブリックは、時間の経過および無数のニップサイクルに応じて、次第に薄くなる。ついには、それらのファブリックは、たとえば水運搬容量、模様付け、あるいはプレス振動の不足などのいろいろな理由によって、取り除かざるをえない。それらが使用寿命の終わりに達したとき、それらを取り除き、新しいファブリックと取り替えなければならない。
【0012】
新しいファブリックは、また、密度が理想的でなくなり、水運搬能力が最適条件よりも劣化した時点で損傷(破壊)となる。したがって、理想的なプレスファブリックは、最初からそれが製紙機械から取り除かれるまで、一定のあるいは変化のない性能(たとえば、水運搬能力)を示すものである。
【0013】
プレスファブリックの特性、特には圧縮性および弾性を追求しようとするいろいろな試みがなされている。一つの試みが、構造物に「弾性」糸を導き入れようとするものである。それらの糸は、厚さ方向あるいは径方向(円形のとき)に弾力性があり、長さ方向あるいは軸方向にも伸縮性がある。
【0014】
これの一例を、PCT出願の公開WO2004/072368A1が示している。しかし、このアプローチには欠点がある。圧縮性が、糸の弾性部分(厚さ方向)だけであり、したがって、そのように限定される。太い糸を用いることができるが、結局、性能の減少をもたらす。また、太い糸は重いし、好ましくないシートの模様付けを生じるおそれがある。糸がシース/コアの被覆型であると、コアからシースが層剥離する危険性が常にある。最終的に、圧縮性の大きさは、最大で糸の径の一部分に限定される。
【0015】
他の例について、米国出願の公開2007/0163741A1が示し、そこでは、縫合プレスファブリックの裏側に圧縮性のシース/コア糸の配列を取り付け一体にしている。
そこのシースは弾性のある高分子物質であり、振動低減作用をするという。さらに、糸コアだけで200〜2000デニールで、全部の直径が0.30〜1.2mmの大きさである。そのような糸の大きさは、重さおよび模様付けの点から使用が制限されることであろう。
【0016】
さらに他の例について、米国特許4,350,731が示し、そこでは、被覆糸を用いることによって、圧縮性のプレスファブリック構造物を作るようにしている。圧縮性およびリカバリーの程度は、また弾性のある高分子物質の被覆シース層だけに起因する。
【0017】
このタイプの弾性のある圧縮性の構造物の別の例について、GB2197886が示している。この特許は、あるやり方で機能性(引っ張り)負荷支持糸と圧縮性糸とを交互に配置し、密な準−単層ベース構造物を提供することを示し、垂直方向の負荷を受けたとき、「ナックル」を生じないで、準−非交差のベース構造を提供する長い浮き織りを伴うことを示す。
【0018】
ファブリックに「弾性」(厚さ方向あるいは径方向)糸を組み入れることによって、垂直方向の負荷が取り除かれたとき、それらのファブリック構造物はある程度の弾性あるいはスプリングバックを生じるようになる。しかしまた、それらの糸を用いるために、圧縮性およびスプリングバックは、高々糸の径のある部分に限られる。
【0019】
上に述べたように、この限られた弾力性のために、プレスファブリックは、新しいときには、必要とする以上のかなり大きな水運搬の空隙容量をもつ。それらは、ある期間の間に、詰まり、最適な性能水準に到達するであろう。しかし、それらの弾力性は限られているため、詰まり続けて、結局は取り除いて取り替えることが必要となるであろう。
【0020】
ある特別なデザインは「非交差」と分類される。その「非交差」においては、MDおよびCDの両糸を互いに織り交ぜることなく、互いに直交するように積み重ね、別の面に位置する。
【0021】
そのような構造物を作り出すために、いろいろな技術が使用されている。そのような構造物の一例について、米国特許4,781,967が示している。そのような構造物は、積み重ねた糸の配列が圧縮することなく、他の層に対して動かないので、比較的に非圧縮性であるとされる。言い換えると、その構造物の面に垂直方向の負荷がかかるとき、厚さの変化はほとんどなく、糸の永久的な変形があるだけである。層の全体の糸として、弾性のある高分子物質(糸の厚さ方向)を使用すると、その構造物の圧縮性はその糸の径のある部分に限られる。
【0022】
多層の非交差構造物であり、別の面に互いに90°に方向付けされた機能性のMDおよびCDの糸の層を備えるものについて、米国特許4,555,440が示している。この構造物もまた、垂直方向の負荷を加え、取り除いたとき、厚さ方向の変化がほとんどないので、非圧縮性と考えられる。一つの実施例によると、他の非圧縮性の構造物に対し、この特性のある程度を加えるために、一層を圧縮性で弾力のある糸にすることを示す。
【発明の概要】
【0023】
したがって、この発明の主な目的は、今までのものよりも実質的により圧縮性で弾力性のあるベース構造物を提供することである。
【0024】
この点、この発明では、ベース支持構造物に対して必要な対応をする。すなわち、ベース支持構造物に、ユニークな織りを伴う圧縮性で弾力のある高分子物質(縦あるいは軸の方向)を組み合わせ、PMCのベース支持構造物の少なくとも一層、工業用処理ベルト、テキスタイル仕上げ処理ベルト、および大きな圧縮性と弾力性が必要な他のベルトに用いる。
【0025】
その長さ(縦)あるいは軸の方向に弾性のある高分子物質として定義する糸は、ここで述べるすべての実施例に必要である。その糸は、また、その厚さ方向にも弾性がある。糸は、適用する上でふさわしい形態にすることができ、たとえば、単一のモノフィラメント、もろよりモノフィラメントあるいはマルチフィラメント、多構成部分糸として異なる材料からなる被覆糸、編み糸、より糸、および組み糸などにすることができる。糸については、一部分を弾性のある高分子物質材料で構成すること、たとえば多構成部分糸の一つの構成部分を弾性のある高分子物質材料にすることができるし、あるいは、糸の全体を弾性のある高分子物質材料で構成することができる。それをもろより、より、編みあるいは組みにすることができる。それは、円形、または、正方形、長方形、楕円形あるいは多角形を含む非円形の断面形状にすることができる。弾性のある高分子物質材料の好ましい例は、ポリウレタン、ゴムあるいはライクラ(登録商標)という名で販売されているものである。弾性のある高分子物質糸は、また、たくさんの異なる形の断面をもつことができ、その断面には円形、正方形、長方形、楕円形および多角形を含む。
【0026】
第1の実施例は、次に述べるように、単純な形態の構造物を使用する。糸層(1)は、一番上の糸層であるが、機能性糸の平行な配列である。機能性糸としては、当業者が知るどのようなタイプの糸でも含む。たとえば、それらが縦あるいは走行方向に方向付けされるなら、引っ張り負荷支持糸を用いることができる。それらは、また、この分野で知られる特別な使い方に応じて、どのような大きさ、形、材料あるいは形態でも用いることができる。プレスファブリック構造物にとって、ポリアミドは望ましいポリマーの選択である。次の糸層(2)は、糸層(1)に直交あるいは90°方向付けされた糸の平行な配列である。それらは、必要とされる弾性のある高分子物質糸である。第3の層(3)は、また、層(2)の反対側に位置し、層(2)に直交するようになされた、糸の平行な配列である。しかし、層(3)の糸は、その層(3)の各糸が二つの隣接する層(1)の糸間のスペースと一列に並ぶようになっている。それらの糸の配列は、あるやり方でともに保持される。たとえば、それらは、先に述べた米国特許4,781,967が示す繊維状の層に取り付けることができる。あるいは、ある層の糸を隣接する層の糸に対し、それらが接触する位置で取り付けることができる。その取付けは、のり、接着剤、あるいは熱溶着/溶接などの公知の方法で行うことができる。
【0027】
糸組織(1)および(3)は、互いに同じか、あるいは、材料、形態、形などについて異なっても良いことに注意されたい。必要なことは、層(3)の糸が間隔をもって並び、層(1)の隣接する糸間に適合するか、その逆になるかである。
【0028】
また、層(1)と層(3)の糸の数の間に一対一の関係が必要ではないことに注意されたい。しかし、層(3)の糸の数が層(1)の糸の数の一部分であるか、その逆になるかである。たとえば、層(3)が層(1)の糸の半分だけ包含し、層(3)の糸の間に付加的な空隙容量/水運搬/排水能力に用いる間隔を設けるようにする。別の実施例は、織りバインダー糸を伴い、説明したものと同じである。この構造物に対し、当業者に公知の方法で少なくともシート接触側に後で綿(batt)を付ける。
【0029】
したがって、ここで述べる圧縮性で弾力のある工業用ファブリックは、実質的に平行な横方向(CD)の複数の糸と、実質的に平行な縦方向(MD)の複数の糸とを備える。CDあるいはMDの糸のいずれか、あるいは両方のいくつかの糸は、軸方向に弾性のある高分子物質の材料を含むことができる。一層のすべての糸が弾性のある高分子物質になるであろう。たとえば、MD/CD/MDにおいて、CD糸のすべてが弾性のある高分子物質になるであろう。ファブリックは、CDあるいはMDのいずれかの方向に走る平行な糸からなる第1の層と、第1の層の一面上の平行な糸であって、第1の層の糸とは異なるCDあるいはMDの方向に走り、弾性のある高分子物質からなるものからなる第2の層と、第1の層のように第2の層の反対側に位置し、第1の層のそれらと同じ方向に走る平行な糸からなる第3の層とを備える。第3の層の平行な糸は、それらが第1の層の平行な糸間に作られるスペース間に巣を作るように整列される。そのファブリックは、バインダー糸を備えることができる。圧縮性で弾力のあるファブリックにおいて、第3の層の糸数は、第1の層の糸数よりも少なくすることができる。第2の層の糸は、第1および第3の層のそれらに対して直交している。ファブリックにおいて、第2の層は、第1および第3の層の90°よりも小さな角度、たとえば45°の角度にすることができる。
【0030】
ファブリックは、また、第2の層と同じ方向に走り、糸が弾性のある高分子物質の材料からなる平行な糸からなる第4の層、および、第1の層と同じ方向であり、糸が第1の層のそれと同様に厚さ方向に垂直面に整列した平行な糸からなる第5の層を備えることができる。
【0031】
一つの実施例において、ファブリックは、積層構造を含むことができる。たとえば、ファブリックは、その間に弾性のある高分子物質の層を伴う二つの織り層を備えることができる。別の実施例として、ファブリックは、積層の層間を織るバインダー糸を含むことができる。別の実施例において、ファブリックのバインダー糸および弾性のある高分子物質の糸は同じ方向、たとえばCD方向である。そのような実施例において、弾性のある高分子物質の糸の層は、二重層構造の内部に位置することができる。
【0032】
弾力のある圧縮性のファブリックは、多くの最終製品ファブリックを形成することができるし、あるいはその中に含むことができる。それら最終製品には、製紙機械クロージング、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、通し風乾ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、工学ファブリックベース、トランスファーベルトベース、さらには、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)などの処理による不織製品の製造に用いるベルトがある。ファブリックが乾燥ファブリックのベースである場合、その乾燥ファブリックは、ファブリックの非シート接触側である裏側に角度をもった押出しを含むことができる。
【0033】
別の実施例において、ファブリックは、圧縮性で弾力のある工業用ファブリックであり、そのファブリックは、横方向(CD)の複数の糸と、縦方向(MD)の複数の糸とを備える。それらMD糸およびCD糸のいくつかを織り交ぜ、織りファブリックを形成する。糸のいくつかは、軸方向に弾性のある高分子物質の材料から構成する。ファブリックは、さらに、バインダー糸を含むことができる。また、ファブリックは、2−8ひ口パターンを備えることができる。圧縮性で弾力のあるファブリックは、平織りファブリック、無端のファブリック、および機械上で縫合可能なファブリックのどれにも織ることができる。一つの実施例において、ファブリックは、積層構造を含むことができる。たとえば、その間にこの発明の弾性のある高分子物質のファブリックを伴う二つの織り層を備えることができる。別の実施例として、ファブリックは、積層の層間を織るバインダー糸を含むことができる。別の実施例において、ファブリックのバインダー糸および弾性のある高分子物質の糸は同じ方向、たとえばCD方向である。そのような実施例において、弾性のある高分子物質の糸の層は、二重層構造の内部に位置することができる。弾性のある高分子物質糸は粗い縦糸からなり、バインダー糸は、およびその高分子物質糸よりも細い縦糸からなる。また、ファブリックは、弾性のある高分子物質糸の上のCDおよびMD糸の中に、弾性のある高分子物質糸を備えることができる。その場合、バインダー糸は、その弾性のある高分子物質糸よりも細い。
【0034】
別の実施例において、織り交ぜたファブリックは、弾性のある高分子物質糸の層の上を織り、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる4つの端部と、弾性のある高分子物質糸の層の下を織り、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる4つの端部とを備えることができる。ファブリックは、また、弾性のある高分子物質糸と、同じ方向の機能性糸であって、高分子物質糸と交互に現れる機能性糸とを備え、高分子物質糸を機能性糸よりも太くしたものにすることができる。
【0035】
織り交ぜ弾力のある圧縮性のファブリックは、多くの最終製品ファブリックを形成することができるし、あるいはその中に含むことができる。それら最終製品には、製紙機械クロージング、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、通し風乾ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、工学ファブリックベース、トランスファーベルトベース、さらには、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)などの処理による不織製品の製造に用いるベルトがある。ファブリックが乾燥ファブリックのベースである場合、その乾燥ファブリックは、ファブリックの非シート接触側である裏側に角度をもった押出しを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明を取り入れたファブリックの上面図である。
【図2】非圧縮状態における、図1のファブリックの側面図である。
【図3】圧縮状態における、図1のファブリックの側面図である。
【図4A】この発明の別の実施例の側面図である。
【図4B】この発明の別の実施例を示す。
【図5】この発明の別の実施例による乾燥ファブリックを示す。
【図6】この発明のさらに別の実施例を上から見た図である。
【図7】この発明のさらに別の実施例であり、二層構造のファブリックのための弾性のある高分子物質材料を含む多構成部分巻き糸を示す。
【図8A】積層ファブリックの実施例を示す。
【図8B】積層ファブリックの実施例であり、織りによる「非交差」のベースファブリックを示す。
【図9】CDバインダーを含む5−層の圧縮性の弾力のあるファブリックを示す。
【図10】ファブリックのさらに別の実施例を示す。
【図11A】織り交ぜによるファブリックの実施例を示す。
【図11B】織り交ぜによるファブリックの実施例を示す。
【図11C】織り交ぜによるファブリックの実施例を示す。
【図11D】織り交ぜによるファブリックの実施例を示す。
【図11E】織り交ぜによるファブリックの実施例を示す。
【図12A】織り交ぜによるファブリックのさらに別の変形例を示す。
【図12B】織り交ぜによるファブリックのさらに別の変形例を示す。
【図12C】織り交ぜによるファブリックのさらに別の変形例を示す。
【図12D】織り交ぜによるファブリックのさらに別の変形例を示す。
【図12E】織り交ぜによるファブリックのさらに別の変形例を示す。
【詳細な説明】
【0037】
最初にプレスファブリックについて説明するが、前に述べたように、この発明は、乾燥ファブリックを含む他のタイプのファブリックあるいはベルトにも適用することができる。さて、図面に戻り参照すると、例はプレスファブリック10であり、第1あるいは最上(1)層12が縦あるいは走行方向に向けて平行に配列した機能性糸14から構成される。それらは、目的に適するなら、どのような大きさ、形、材料あるいは形態でも良い。この点については、ここで言及するすべての糸に適用する。
【0038】
糸18からなる第2あるいは真ん中の(2)層16は、第1の層10に対して直交あるいは90°の方向に配列されている。糸18は、前に述べたように、弾性のある高分子物質の特性をもつ。
【0039】
機能性糸22からなる第3あるいは最下(3)層20は、層16に対して直交する平行な配列になっている。層20の糸22は、糸14の間にスペース(間隔)をもつように位置し並べられている。
【0040】
隣接する層の糸については、前に述べたように、目的に適したいろいろな方法で取り付けることができる。
【0041】
プレスファブリック10が製紙機械のプレスニップに入るとき、圧縮性の負荷を受け、糸18が伸び、図3に示すように、事実上ほとんど同じ面の中で糸14および22を互いに向けて動かし、互いの間を「巣を作るように包み込む」。ファブリックがニップを出るとき、負荷が解放され、糸22の弾性作用により、糸層12と糸層20とを互いに離すように動かし、あるいは「スプリングバック」し、ファブリックを図2に示すような適切な厚さおよび開放度に戻す。したがって、そのような構造物は、ほとんど糸の太さ全体までの圧縮性および弾性を示す。
【0042】
これらの特性は重要である。というのは、それらは、負荷を受けたときの全接触領域だけでなく圧力分布に影響するし、ファブリックが圧縮するときに素早く始動し、ニップの空隙容量の好ましい形態に容易に応じるようになり、また、構造物がダンパー「スプリング」として作用するとき振動低減作用をし、さらに、厚さの迅速なリカバリーによって、後の中間ニップ脱水の膨張段階で再び濡らすことを最小限に抑えることができるからである。
【0043】
層12および20の糸配列は、用いるファブリックのMDあるいはCDのいずれかに方向付けすることができることに留意されたい。
【0044】
上に述べたものとは別の実施例において、糸層12および20は上のものと同じ位置および配列/間隔であるが、糸層16を層12および20に対して90°よりも小さい角度、好ましくは45°の角度に配列している。
【0045】
さらに別の実施例は、上に述べたものと同様の原理を使用する。しかし、その構造物を作る上で、同時係属する米国出願No.11/893,874が示す処理を用いる(その内容を参照によって、ここに組み入れる)。この方法によって、全長さ、全幅の機能性(たとえば、引っ張り負荷支持)MD糸の配列を作り上げる。その配列に対し、CD方向の必要な弾性の有る高分子物質糸の別の層を取り付ける。これらのCD糸は、MD糸に対し直交あるいは90°より小さい角度である。それから、上記の出願の方法でファブリックを折り重ねると、糸層12および20が作られ、弾性のある高分子物質糸の二つの層18をサンドイッチ状にはさむ。高分子物質糸は、直角に互いの上に積み重なるか、互いに鋭角に交差するかのいずれかである。折り重ねた後におけるMD糸の間隔は、糸が「巣を作るように包み込む」ように配列されていなければならない。プレスファブリックとして用いるとき、構造物をさらに強化するため、少なくとも一面に付加的な綿繊維(batt fiber)を取り付けることができる。
【0046】
さらに別の実施例において、構造物は、上に述べた米国特許4,555,440が示すものと同様に織る(その内容を参照によって、ここに組み入れる)。図の表現上、図1には、一方向12および20の二つの糸層と、直交する他の方向16の一つの糸層16だけを示している。構造物は、図1に示すように、バインダー糸24で一緒に保持される。そのようなバインダー糸の織りは、MDあるいはMDのいずれかの方向に行うことができることに気付かれたい。糸層12および20は、機能性糸である。それらがMD糸であるなら、一方あるいは両方の層を引っ張り負荷支持糸にすることができる。それらは、形、形態、材料などを互いに同じにすることができるし、異ならせることもできる。層16は、弾性糸である。ここでも、糸14および22の互いの間隔は、「巣を作るように包み込む」ように配列されなければならない。バインダー糸24は、正にバインダーとして、さらにまた、機能性糸として、たとえばCDファブリック安定性に積極的に寄与する。上に述べた他の実施例のように、たとえばプレスファブリックとして用いるとき、少なくとも構造物の無欠性を高めるため、少なくとも一面に付加的な綿(batt)を取り付けることができる。また、用途に応じて、綿(batt)に代えて、構造物に対し微小孔のあるフィルムを積層することができる。
【0047】
負荷がファブリックの面に垂直に加わると、糸層12および20が互いに向かって動いて「巣を作るように包み込む」。ベースファブリックは、ほとんど糸の太さ全体までの圧縮性を示す。より具体的には、負荷が解放されると、弾性糸18が「スプリングバック」し、糸層12および20を互いに離すように動かす。
【0048】
さらにまた、’440特許に描かれているように、図4Aに示す機能性MD糸の二層よりも多く、しかもCD糸の一層よりも多くすることができる。MD糸がたとえば3層のとき、3つの糸層のうち二つは互いに間隔を開けて巣を作るように包み込むことができるようにしなければならない。たとえば、最上部および真ん中の層を配列するとき、二つの隣接する最上部の糸と最下部の糸との間に入った真ん中の糸が、最上部あるいは真ん中の層のいずれかに直角となるように積み重ねなければならない。さらにまた、CD糸の二つの層が弾性のある高分子物質であるか、あるいはまた、一方の層だけが弾性のある高分子物質で、他方の層は機能性の糸層とし、CD安定性を補助するか、負荷下における空隙容量を大きくするようにすることができる。また、最上部、真ん中および最下部の糸は、形態、材料、形などを互いに同じにすることができるし、異ならせることもできる。
【0049】
図4Bは「非交差」の織り構造の他の変形例である。ファブリック10は、5層であり、各層が平行な複数の糸を含み、大体において平行な面となっている。第1、第3および第5の層(すなわち、層12、20および28)は縦(MD)方向に配列されているのに対し、第2および第4の層(すなわち、層16および26)は横(CD)方向に配列されている。そこに示すように、第3層20のMD機能性糸22は、上に述べたやり方で第1層12および第5層28の糸14間に落ちるように間隔が開いている。第2層16および第4層26は、弾性のある高分子物質糸18を含む。バインダー糸24は、CD方向に配置されている。
【0050】
それらの層は、織り込まない。相対的に細い糸24を一本あるいはそれ以上用いて、層を垂直方向に一緒に結びつける。たとえば、二本の糸24’および24”を用いて、中央あるいは真ん中の層を最上部および最下部の層にそれぞれ結びつける。このタイプの構造によれば、各層の個々の糸が横方向に位置を変えることがなくなる。バインダー糸24’および24”は、横方向に互いの役割を交互に果たす。
【0051】
上に述べたものと同じタイプの構造物は、米国特許5,360,656が示す構造物を得るためのスパイラル巻きの材料を製造するために使用することができる。
【0052】
上に述べたすべての構造物は、縦方向に無端に(エンドレスに)することができる。それらは、また、機械上での縫合性能を許す縫い目(シーム)をもつことができる。「非交差の」構造物にそのような縫い目を作る一つの方法は、米国特許4,979,543が示している。
【0053】
ここで、弾性のある高分子物質糸は、MDあるいはCD層のいずれか、またはMDおよびCD層の両方に使用することができることを知ることが大事である。ただし、少なくとも一つのMD層が引っ張り負荷支持糸であり、用いる構造物に充分な強度と伸縮抵抗を備えることが必要である。
【0054】
また、圧縮性/弾性の度合いについては、必要な糸の弾性、糸の大きさおよび数、糸の層の数、ならびに構造物自体の全体によってコントロールする。この発明の構造物は、また、取り付けられる他の糸配列あるいはベースファブリックとの積層物の部分になることができる。
【0055】
なお、乾燥ファブリックの場合、図に示す3層の実施例が特に有利である。ファブリック構造物がロール、たとえば乾燥筒の回りを通るとき、乾燥ファブリックの糸は少なくとも一部が巣を作るように包み込む形態であり、乾燥筒の表面への紙シートの接触面積が改善されるため、熱移動が良くなるからである。これが生じるのは、乾燥ファブリックがロールの回りを通るときMD引っ張りが一時的に大きくなるからであり、ファブリックに加わる垂直な負荷が起因するわけではない。この発明の他の実施例は、乾燥ファブリックの支持層であり、図5に示すように、この発明のファブリックは乾燥ファブリックのシート側の構成部分を形作っている。このファブリックにおいて、「斜めになった」あるいは裏側はファブリックの非シート接触面である。この面は、層流を「切り上げ」、乾燥ポケットにおける「上下(垂直)流」を引き起こし、軸方向(面に対して)あるいはCD方向のエア流れを減じ、マス(mass)の移動を助ける。そのような配置において、支持ファブリックは乾燥筒上に押し付けてその表面を広げ、乾燥筒とのシート接触面積を増し、その結果、熱の移動を良くする。したがって、この実施例は、乾燥ファブリックについて、処理シート面の熱移動の促進および最適化、そして、裏側のマスの移動の促進および最適化を図ることができる。構造物は、全体的に織った構造物、積層物あるいは両方の組合せとすることができる。
【0056】
さらにまた別の実施例において、ファブリックの層は、それぞれを異なる織りリピートあるいはひ口パターンを混ぜることにより、構成することができる。背景として、浮き織りにおいて、縦糸(MD糸)はヘルド(そうこう)を通して糸通しされ、縦糸方向の各糸に対するヘルドの位置を上げたり下げたりすることにより織りパターンが作られる。それから、縦糸を上げ下げすることにより作られるひ口の中にシュートあるいはピックが挿入される。織りパターンが再び現れるまでに交差する糸数が、ひ口あるいはハーネスとして知られている。この理解の下で、平織りが、縦糸の位置を変える織り機で、たとえば二つのひ口を利用するとき、2ひ口の織りパターンと称する。したがって、ファブリックは、2,4、6,8ひ口パターンなどで構成される。
【0057】
図6は、0.35mmMD糸による2−ひ口パターンを示し、図は弾性のある高分子物質糸18およびバインダー糸24に対する二つの異なる密度を示している。たとえば、弾性のある高分子物質糸18を伴う5−層ファブリックに2−ひ口表面を織るため、16ハーネス(16/4=4、4/2=2ひ口)パターンを用いることができる。一つの例のファブリックにおいて、最上部パターンは、2−ひ口をループ糸とし、機械上で縫合するファブリック版としている。2−ひ口のループ糸に対するピック数は、たとえば4−ひ口パターンにおける場合と同じにすることができる。別の例では、2−層4/8−ひ口織りでは、シュートとして4プライライクラ(登録商標)糸を伴うことができる。
【0058】
ファブリックの他の実施例を説明すると、図7は、二層構造のファブリックのための多構成部分巻き糸であり、弾性のある高分子物質材料16から構成される。図8は、積層構造のファブリックの実施例を示す。図8Aは、ベースファブリックであり、二つのファブリックの間に積層した、弾性のある高分子物質糸18および機能性糸14,22を備えている。
【0059】
図8Bは、「非交差の」織りベースを示す。そのベースは、バインダー糸24だけでなく、弾性のある高分子物質糸18および機能性糸14,22を示している。また、他の実施例を考えると、弾性のある高分子物質糸18は、プライより糸の代わりに編み糸を用いている。
【0060】
別の実施例において、図9は、CDバインダー24を含む5層の圧縮性で弾力のあるファブリックを示す。CD方向に走る、弾性のある高分子物質糸18を含む糸配列16は、第1の糸配列12と第3の糸配列20との間に位置する。弾性のある高分子物質糸18を含む第4の層26には、第2の層16の平行な弾性のある高分子物質糸18から上下(垂直)面に交互にスペースを空けて現れるように位置する糸がある。第5の層28の糸14は、第1の層12の糸14と同じ上下面に位置する。図に示すように、各CDバインダー糸24は、第1および第5の層中、3つの平行な糸の下および上を交互に織られ、MD方向に間隔を置いて並び、第1の層12および第5の層28の各糸14によって、長い浮織りを形成している。図に示すように、弾性のある高分子物質糸は、二重層織り構造の内部に位置し、無端織りの16ハーネスあるいは平織りの8ハーネスに用いることができる。実施例に沿って織ったファブリックでは、4プライ糸タイプとして単一のモノフィラメント縦糸を用いることができる。また、二つの異なる縦糸、すなわち、弾性のある高分子物質糸18を含む粗い糸と、バインダー糸24としてより細い縦糸を用いることもできる。図9に示すファブリックは、二つの別々の縦糸ビームと一緒に用いた。しかし、もし二つの縦糸を必要としないなら、ファブリックについて、弾性のある高分子物質糸およびその高分子物質糸の上のMD糸と一緒に、細いバインダー糸を含むように形成することもできる。
【0061】
織りについては、弾性のある高分子物質糸が伸び、ベースが垂直方向の負荷を受けて圧縮し、負荷を取り除いた際に「スプリングバック」するようにすべきである。
【0062】
図10は、縦糸の織込みを含む他の実施例を示す。そこに示すように、第1の層12の糸14の4つの端部が、高分子物質糸18の層16,20,26の上に織られ、それらは第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わり、そして、層16,20,26の下に織られた糸14の4つの端部は、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる。各層は、弾性のある高分子物質糸で構成する必要はない。むしろ、必要とされる圧縮性の程度に応じて、糸があったりなかったりする。
【0063】
図11は、さらに他の実施例を示す。図11A,11Cおよび11Dは非圧縮状態を示し、それに対して、図11Bおよび11Eは圧縮状態を示す。それらの図において、弾性のある高分子物質糸18を含む単一の層、ここでは弾性のある高分子物質シュート18と、同じ方向であり、弾性のある高分子物質糸18と交互に現れる機能性糸17とがある。弾性のある高分子物質糸は、機能性糸17よりも太い。図が示すように、弾性のある高分子物質糸18および機能性糸17は、MD方向に配置することができる。また、ファブリック層に対し、たとえば、多軸ファブリックとして、縦糸方向のより太い弾性のある高分子物質糸40を含ませることもできる。中でも、図11Dと11Eとに比較して示すように、ファブリックは、単一の層構造であっても、圧縮性であり、かつ弾力性である。さらにまた、シュート糸と縦糸との張力を操作することによって、弾性のある高分子物質糸に交差する直線的なCD糸を得ることができる。
【0064】
図12A〜12Eには、具体化したファブリックの他の変形例を示す。変形例は、多少MDけん縮を伴うファブリックであり、内部の層内に弾性のある高分子物質糸を含んでいる。図は、弾性のある高分子物質糸18の3つの層12,16,20を示し、最上部の層12と最下部の層20とがCD方向に走り、真ん中の層16がMD方向の縦に配列されている。ループあるいはバインダー糸24(機械上で縫合可能)が、構造物を通して図示するように走りあるいは織られている。一番上の面上、糸24は最上部のCD層12(弾性のある高分子物質糸)の二本の上に広がり、そして、最下部の層20(弾性のある高分子物質糸の配列)の一本のCD高分子物質糸18の下にループを作るように通り、再び上に縫われる。図に示すように、バインダー糸24は、けん縮30を伴って形成される。
【0065】
図11および12の両方において、弾性のある高分子物質糸の織りおよび配置について、ベースファブリックが垂直方向の負荷を受けて圧縮し、負荷を取り除いた際に「スプリングバック」するようにすべきである。
【0066】
当業者は、ここに示した内容を考慮して、この発明について、いろいろな変更を行うことができることは自明である。しかし、そのような変更は、特許請求の範囲に定めた考え方の範囲を超えることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性で弾力性の工業用ファブリックであり、そのファブリックは、次の構成および特徴を備える工業用ファブリック。
・実質的に平行な複数の横方向(CD)糸
・実質的に平行な複数の縦方向(MD)糸
・それらの糸のいくつかが軸方向に弾性のある高分子物質を含むこと
【請求項2】
前記ファブリックは、次の構成および特徴を備える、請求項1のファブリック。
・平行な糸で、CDあるいはMDのいずれか方向に走る第1の層
・前記第1の層の一面上の平行な糸で、その第1の層の糸とは異なるCDあるいはMDの方向に走る糸であり、弾性のある高分子物質糸を含む第2の層
・前記第1の層のように前記第2の層の反対面上の平行な糸で、その第1の層の糸と同じ方向に走る糸から構成される第3の層
・前記第3の層の平行な糸は、それらが前記第1の層の平行な糸間に作られるスペース間に巣を作るように整列されること
【請求項3】
前記ファブリックはバインダー糸をさらに備える、請求項1のファブリック。
【請求項4】
前記第3の層の糸数は、前記第1の層の糸数よりも少ない、請求項2のファブリック。
【請求項5】
前記第2の層の糸は、第1および第3の層のそれらに対して直交する、請求項2のファブリック。
【請求項6】
前記第2の層の糸は、前記第1および第3の層の90°よりも小さな角度で走る、請求項2のファブリック。
【請求項7】
前記第2の層の糸は、45°の角度で走る、請求項6のファブリック。
【請求項8】
前記ファブリックは、次の構成を備える、請求項1のファブリック。
・前記第2の層と同じ方向に走り、糸が弾性のある高分子物質からなる平行な糸からなる第4の層
・前記第1の層と同じ方向であり、糸が第1の層のそれと同様に厚さ方向に同じ垂直面に整列した平行な糸からなる第5の層
【請求項9】
弾性のある高分子物質を含む高分子物質糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、もろよりモノフィラメント、被覆糸(wrapped yarn)、編み糸、より糸、複合糸、およびブレード糸のグループの中から選択する、請求項1のファブリック。
【請求項10】
弾性のある高分子物質糸は、ポリウレタン、ゴムおよびライクラ(登録商標)の中から選択する、請求項1のファブリック。
【請求項11】
弾性のある高分子物質糸は、異なる幾何学的形状の断面をもつ糸から選択する、請求項1のファブリック。
【請求項12】
弾性のある高分子物質糸は、円形、非円形、正方形、長方形、楕円形、および多角形のグループから選択する、請求項11のファブリック。
【請求項13】
前記ファブリックは、積層構造を備える、請求項1のファブリック。
【請求項14】
前記ファブリックは、その間に弾性のある高分子物質の層を伴う二つの織り層を備える、請求項13のファブリック。
【請求項15】
前記ファブリックは、積層の複数の層間を織るバインダー糸を備える、請求項13のファブリック。
【請求項16】
前記バインダー糸と弾性のある高分子物質糸とは、同じ方向である、請求項3のファブリック。
【請求項17】
弾性のある高分子物質糸およびバインダー糸の方向は、CD方向である、請求項3のファブリック。
【請求項18】
弾性のある高分子物質糸の層は、二重層構造の内部である、請求項17のクッション。
【請求項19】
前記ファブリックは、製紙機械クロージング、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、通し風乾ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、工学ファブリックベース、トランスファーベルトベース、ならびに、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)のような処理による不織製品の製造に用いるベルト、のグループの中から選択する、請求項1のファブリック。
【請求項20】
前記ファブリックは乾燥ファブリックのベースであり、その乾燥ファブリックが前記ファブリックの非シート接触側である裏側に角度をもった押出しをさらに含む、請求項1のファブリック。
【請求項21】
圧縮性で弾力性の工業用ファブリックであり、そのファブリックは、次の構成および特徴を備える工業用ファブリック。
・複数の横方向(CD)糸
・複数の縦方向(MD)糸
・それらMD糸およびCD糸のいくつかの数のものが織り込まれ、織りファブリックを形成すること
・ 前記糸のいくつかの数のものが軸方向に弾性のある高分子物質材料からなること
【請求項22】
前記ファブリックはバインダー糸をさらに備える、請求項21のファブリック。
【請求項23】
弾性のある高分子物質を含む高分子物質糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、もろよりモノフィラメント、被覆糸(wrapped yarn)、編み糸、より糸、複合糸、およびブレード糸のグループの中から選択する、請求項21のファブリック。
【請求項24】
弾性のある高分子物質糸は、ポリウレタン、ゴムおよびライクラ(登録商標)の中から選択する、請求項21のファブリック。
【請求項25】
弾性のある高分子物質糸は、異なる幾何学的形状の断面をもつ糸から選択する、請求項21のファブリック。
【請求項26】
弾性のある高分子物質糸は、円形、非円形、正方形、長方形、楕円形、および多角形のグループから選択する、請求項25のファブリック。
【請求項27】
前記ファブリックは、2−8−ひ口パターンを備える、請求項21のファブリック。
【請求項28】
前記ファブリックは、平織りファブリック、無端のファブリック、および機械上で縫合可能なファブリックのグループから選択するファブリックに組み入れるか、あるいはそのファブリックに形作ることができる、請求項21のファブリック。
【請求項29】
前記ファブリックは、積層構造を備える、請求項21のファブリック。
【請求項30】
前記ファブリックは、その間に弾性のある高分子物質の層を伴う二つの織り層を備える、請求項29のファブリック。
【請求項31】
前記ファブリックは、積層した層の間を織るバインダー糸を備える、請求項29のファブリック。
【請求項32】
前記バインダー糸および弾性のある高分子材料糸は、同じ方向に走る、請求項22のファブリック。
【請求項33】
弾性のある高分子物質糸および前記バインダー糸は、CDの方向に走る、請求項32のファブリック。
【請求項34】
弾性のある高分子物質糸の層は、二重層構造の内部にある、請求項32のファブリック。
【請求項35】
前記ファブリックは、粗い縦糸からなる弾性のある高分子物質糸、およびその高分子物質糸よりも細い縦糸からなるバインダー糸を含む、請求項32のファブリック。
【請求項36】
前記ファブリックは、CD方向における弾性のある高分子物質糸、およびその高分子物質糸の上のMD糸を備え、バインダー糸が前記高分子物質糸よりも細い、請求項33のファブリック。
【請求項37】
前記ファブリックは、弾性のある高分子物質糸の層の上を織り、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる4つの端部と、弾性のある高分子物質糸の層の下を織り、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる4つの端部とを備える、請求項21のファブリック。
【請求項38】
前記ファブリックは、弾性のある高分子物質糸を含む単一の層と、同じ方向に走り、前記高分子物質糸と交互に現れる機能性糸とを備え、前記高分子物質糸が機能性糸よりも太い、請求項21のファブリック。
【請求項39】
前記ファブリックは、製紙機械クロージング、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、通し風乾ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、工学ファブリックベース、トランスファーベルトベース、ならびに、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)のような処理による不織製品の製造に用いるベルト、のグループの中から選択するファブリックに組み入れるか、あるいはそのファブリックに形作る、請求項21のファブリック。
【請求項40】
前記ファブリックは乾燥ファブリックのベースであり、その乾燥ファブリックが前記ファブリックの非シート接触側である裏側に角度をもった押出しをさらに含む、請求項21のファブリック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【公表番号】特表2011−508832(P2011−508832A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540932(P2010−540932)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/088478
【国際公開番号】WO2009/086533
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】