説明

超微細フイブロインエマルジョン

【課題】18種のアミノ酸から構成されているフィブロインの特性である進展性、保湿性、美白作用をより高めた化粧料、医薬品および機能性食品の提供。
【解決手段】高濃度非結晶性フィブロインを作成した後、平均粒子径200nm以下の超微細粒子水乳化物に調整する。微細化エマルジョンによりシルクプロテインの特性がより発揮され皮膚に対して浸透性が向上した保湿性の高い皮膚外用剤。更に100nm以下の超微細粒子水乳化物は機能性食品への用途も広げた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸性塩処理絹繭から抽出したフィブロインを超音波処理によって得られる10重量%以上の非結晶形フィブロインを200nm以下のエマルジョンを作成する。得られた超微細フィブロインエマルジョンはフィブロイン蛋白質を安定化させ、皮膚細胞の活性化による損傷皮膚の修復、肌荒れの解消、抗酸化作用、美白などの有効性が期待できる素材として期待できる。さらにフィブロイを構成する18種アミノ酸に由来する細胞賦活作用による体力強化、アンチエージング作用などの効果が微細エマルジョン化処理により経口吸収が容易になり血中濃度が上昇して微量で作用が強化発現される。また、100nm以下まで微細化されたエマルジョンは、食材に付加する機能性食材として、キノコ類の培養基材として用いる。
【背景技術】
【0002】
シルクプロテインは、高い生体親和性を有し、医療分野に応用検討がさていると共にスキンケアに有効な化粧品素材や食品としても注目され研究が進められている。フィブロインの結晶化を促進させシート状にして用いるなどの試み(特許文献1)や不安定なフィブロイン溶液にトレハロースを付加することで安定化させた各種の飲食品、化粧品、医薬品への応用(特許文献2)、公知の化粧料との組み合わせた化粧料(特許文献3)の展開が報告されて入る。フィブロインの分子量35〜37万の側鎖にグリシン(−H)、アラニン(−CH)、セリン(−CH2OH)が約80%を占め、分子中に水分を引き付けやすい親水基、カルボキシル基およびアミノ基が非結晶領域に存在している。これら親水基が細胞の増殖増強作用を促している(学術文献1)、(特許文献4)、ヒト細胞の生育促進作用(特許文献5)。フィブロインの構成アミノ酸チロシンがトリプトファンの存在とともに紫外線吸収作用を示す。ヒトに有害とされる紫外線波長(UVA)300〜200nmの透過率を下げる成績。フィブロインのチロシナーゼ阻害効果によりメラニン色素の生合性を遅らせる美白作用(特許文献6)など多くの有効性に期待される素材として注目されている。
特許文献1
特開2005−052162号
特許文献2
特開2001−57851号
特許文献3
特開2004−250405号
特許文献4
特開平11−253155号
特許文献5
特開平9−192210
特許文献6
特開2000−327548
学術文献1
j.Biomed.Mater.Res.89.1215−1211(1995),
【発明しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、非結晶形フィブロインを安定化したナノ化エマルジョン粒子で構成されるアミノ酸によるシルク本来の保湿性などを維持発揮することを目的とする。即ち安全でヒト細胞の生育促進作用や医薬品、化粧品、機能性食品の分野で広く利用することを目的とする。
【0004】
非結晶系フィブロインは、難水溶性であることから安定な水系分散状態を得ることが難しいことから十分な保湿効果等を発揮することが困難であった。ナノ化エマルジョン粒子に含有されたフィブロイン構成アミノ酸が色々な条件に対して安定化し、皮膚への経皮吸収性を高めた皮膚外用剤、経口剤および機能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、非結晶形フィブロイン粒子を高圧乳化機として、特許第2788010号に開示されている入荷装置(ナノマイザー)を用いて、圧力150MPa,温度90℃で均質化処理して作製した。
【0006】
平均粒子径は、ベックマン・コールター社製のレーザー回析散乱式粒度分布装測定器LS−13320(ユニバーサルリキッドモジュール使用)を使用して下記の条件で測定した。
分散媒体:イオン交換水
モジュールポンプ速度:65%
光学モデル:R.I.=2.0 I=0
【0007】
本発明の皮膚用剤として用いる場合は、乳化物の平均粒子径を200nm以下(好ましくは150nm以下)に調製すため、皮膚の場合は、乳化物の平均粒子径が皮膚の角質の隙間より大きい粒子が皮膚角質の隙間に入りこむことなく、皮膚本来の機能を蘇えらせることができる。
【0008】
本発明の食品添加剤として用いる場合は、乳化剤の平均粒子径を100nm以下にに調製するため植物の表皮間隔に粒子が入りこみ細胞に直接働き豊富なアミノ酸含有植物体として生まれ変わり、健康維持を目的とした食品として有用性が増す。
【発明を実施するための形態】
本発明の超微粒子フィブロインエマルジョンは、水中に非結晶性フィブロイン3〜20重量%含有するもので増粘剤等の成分を付加せずにクリーム状の化粧料、薬剤および食品添付剤を調整することが可能である。
【0009】
本発明の化粧料においては、超微粒子フィブロインエマルジョンに加えて水溶性高分子化合物、油性物質、保湿剤、抗炎症剤、美白剤および紫外線吸収剤、界面活性剤から一つ以上の物質が配合可能である。
【0010】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる水溶性高分子化合物は、皮膚外用剤、一般医薬品および化粧料としては、カラギーナン、マンナン、キサンタンガム、プルラン、アラビアゴム、デキストラン、デンプン、キチン、キトサン、ペクチン、ゼラチン、デキストラン、トラガントガム、コラーゲン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロインチン硫酸、セルローズ、カボキシエチルセルローズ、可溶性デンプン、高重合ポリエチレングリコール、マレイン酸、酢酸ビニール等がある。
【0011】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる油性物質は、皮膚外用材、一般医薬品および化粧料としては、エゴマ油、オリーブ油、アーモンド油、オレンジ油、ゴマ油、カミツレ油、牛脂脂肪酸、大豆油、椿油、トーモロコシ油、菜種油、ひまし油、綿実油、落下生油、卵黄油、カカオ油、バーム油、ヤシ油、牛脂、ミツロウ、ラノリン、ホオバ油、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、スクワレン、スクワラン、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリン酸等がある。
【0012】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる保湿剤は、皮膚外用材、一般医薬品および化粧料としては、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、イソプレングリコール、多価アルコール類、ショ糖、乳糖、マルトーズ、マニトール、エリストール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、トレハロース、グリシン等のアミノ酸等がある。
【0013】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる界面活性剤は、皮膚外用材、一般医薬品および化粧料としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ラノリン、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸石鹸、リン酸エステル、リン酸エステルおよび塩の両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、大豆およびたまごのホスファチジルセリン、ポスファジルエタノールアミン、ホファチジルコリン等がある。
【0014】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる抗炎症剤は、アラントイン酸、グリチルリチン酸、パントテン酸、インダメソジン、アズレン、グアイアズレン、甘草エキス、シコンエキス、ビワ葉エキス等がある。
【0015】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる美白剤は、桑白皮エキス、桑樹皮エキス、桑果実エキス、アスコルビン酸、カンゾウエキス、プランセタエキス、コケモモエキス、ジュウヤクエキス等がある。
【0016】
超微粒子フィブロインエマルジョンによって提供される化粧料としては、乳化、可溶化、水溶液または粉末の基礎化粧品、ファンデーション、チーク、アイシャドウ、口紅、ヘアトニックなどのメイキャップ或いは頭髪用化粧料に用いることが出来る。
【0017】
超微粒子フィブロインエマルジョンを用いる食料品は、用いる食品に直接フィブロイン乳化剤を直接添付、塗布または注入した後、機能性食材として料理に用いる。
【0018】
超微粒子フィブロインエマルジョンは、マツタケ、エノキダケ、クリタケ、シイタケ、メナコ、ハッタケ、ヒラタケおよびホンシメジなどの食用キノコを人工栽培する場合その培養基として用いるオカクズ、米ぬかなどに混合または噴霧して用いる。
【実施例】
【0019】
以下に本発明の栄養クリームの処方例を示す。
【表1】


【0020】
被験者は美容関係の女性3名について本発明品皮膚保護クリームの使用感について既存の栄養クリームと比較し結果次の評価を得た。
使用感:
塗布後さっぱりとしおり、べとつかず塗布後もしっとり感があり、気持ちよく仕事に就 ける。
保湿感:
シルク独特のしっとり感あり、離油、離水、沈殿物が無く保湿感の持続性が優れている 。
改善効果:
のびがよく硬い・ばりばりする違和感なく皮膚の形状に沿ってぴったりなじみ、肌荒れ が改善された。
【0021】
以上、本発明は、明細書記載の作用効果から化粧料のみに限定されるものでなく、医療、機能性食品、食品栽培またはペット用品など多方面に高濃度フィブロインの特性が生かせる可能性が大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜20重量%以上のフィブロインを超音波処理で得られる非結晶型原末を製造する方法。
【請求項2】
フィブロイン非結晶型を高圧下で200nm以下の超微細フィブロイン乳化物にすることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項3】
平均粒子径が100nm以下の乳化物に調整した超微細フィブロイン乳化物を添加した食材およびキノコ類栽培時の培養基に用いた機能性食品。

【公開番号】特開2011−231091(P2011−231091A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113659(P2010−113659)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(508032686)
【出願人】(504145456)アクパイトジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】