説明

超臨界流体による微粒子の配列塗布方法および装置

【課題】 微粒子の配列制御をより高精度に行うことができる配列塗布方法および装置の提供。
【解決手段】 微粒子または微粒子と分散媒からなる材料と、超臨界状態の流体とを高圧容器内に注入し、それらを撹拌して材料と流体を均一に分散させた混合物とし、その混合物を対象物にスプレーする微粒子の配列塗布方法であって、前記撹拌は、前記高圧容器内に上昇流を生じさせる撹拌翼を回動することにより行うことを特徴とする微粒子の配列塗布方法。
微粒子または微粒子と分散媒からなる材料が投入される供給部と、流体を調圧して撹拌部に送出する調圧部と、高圧容器内で材料と超臨界状態の流体とを撹拌して材料と流体を均一に分散させた混合物とする撹拌部と、混合物をスプレーするスプレー部とを備える微粒子の配列装置において、前記撹拌部は、高圧容器内に上昇流を生じさせる撹拌翼を備えることを特徴とする微粒子の配列塗布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界流体(Supercritical Fluids : SCF)の特性を利用して、微粒子を配列し微細構造体を製造する技術において、微粒子を自動で供給し、基体上に微粒子を配列制御して、配列形状を保持する微粒子の配列塗布方法および装置に関する。特に、本発明は超臨界流体急速膨張(Rapid Expansion of Supercritical Solution:RESS)法を応用、発展させて、微粒子を2次元方向および3次元方向に配列制御した後、配列された形状を保持できる微粒子の配列塗布方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に微粒子を配列する場合、分散媒と微粒子を混合することにより微粒子に流動性を持たせて、印刷および塗布等の方法によって微粒子を2次元方向および3次元方向に配列制御して、分散媒により配列形状を保持するという方法と分散媒の蒸発によって微粒子を自己配列させるという方法がある。
【0003】
しかし、分散媒により配列形状を保持しようとした場合、流動性を持つ微粒子は3次元方向の配列が崩れやすく、2次元方向に拡がってしまうという欠点がある。一方、3次元方向の微粒子の配列が崩れないようにするため、分散媒と微粒子の流動性を下げた場合、印刷または塗布等が上手くできないため、2次元方向および3次元方向の微粒子の配列制御ができないという欠点がある。また、分散媒の蒸発によって微粒子を自己配列させようとした場合、分散媒の蒸発時間を極端に短くすることができないという欠点がある。
【0004】
そこで、基体上に微粒子の制御された配列形状を保持させる微粒子の配列制御方法であって、超臨界流体を、微粒子と分散媒との混合物に混入し、均一に分散させ、該混合物の流動性をあげることで、2次元方向および3次元方向に配列制御しながら、分散媒の蒸発時間を短くすることを可能とする方法を発明者らは提言した(特許文献1)。
【0005】
ところで、従来、超臨界流体と微粒子等の混合物を撹拌するための混合用高圧容器は、混合用高圧容器の蓋をあけて材料(微粒子等)を入れた後、蓋を閉じて密閉状態にしてから超臨界流体を供給するもの(特許文献2)、混合用高圧容器内に材料を流し込んだ後に超臨界流体を注入するもの(特許文献3)、材料を溶液状態にして高圧ポンプにて超臨界流体中に供給するものなどがある(特許文献4)。
【0006】
また、塗料などをスプレーする手段としては、安定した吐出量を得るため、スプレーガンの作動のオン/オフに伴って塗料の流れが断続するものがある(特許文献5)。この際、基板上にパターンを形成するためパターニングマスクを用いることがあるが、基板とパターニングマスクの密着性を向上するために、基板の下側に磁石などを設置して、密着性を向上させることが行われる(特許文献6)。
【特許文献1】特開2005−118984号公報
【特許文献2】特開2002−356403号公報
【特許文献3】特開2002−309124号公報
【特許文献4】特開2004−148174号公報
【特許文献5】特開平7−88408号公報
【特許文献6】特開平7−45662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の一般的なRESS法を利用した装置は、図14に示すように、超臨界流体供給部f、溶質溶解部g、粒子生成部hおよび粒子回収部iから構成されるが、この装置を利用して、微粒子を配列制御しようとした場合、図15に示すように、微粒子などの材料74を供給するとき、高圧容器の蓋73を毎回、開閉する必要があり、生産効率が悪いうえ、空気などが混入して品質にも影響を及ぼすという問題があった。
【0008】
また、超臨界流体の特性を利用して微粒子を基体上に所望する形状に配列、制御するためには、超臨界流体と微粒子や分散媒などの材料を高圧容器内で均一に分散させることが重要である。しかしながら、図15の装置は、材料である微粒子77を撹拌器75で撹拌するとき、高圧容器76の下部および内壁に、微粒子77が集まり均一に撹拌できないという問題があった(図16参照)。しかも、スプレー時には、噴射圧力を維持するため、高圧容器76内に新たな超臨界二酸化炭素が送られてくるので、ノズルからスプレーされる微粒子の濃度は継続的に不均一となるという問題があった。
【0009】
また、形成されるパターンに応じて微粒子の量をコントロールすること、分散媒を使用せずに微粒子を配列、制御することも解決すべき課題である。
【0010】
また、超臨界流体を用いて基板上にパターンを形成する場合において、パターニングマスクを用いるとスプレーによりマスクが浮き上がるという問題もある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決することで、微粒子の配列制御をより高精度に行うことができる配列塗布方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の第1ないし6の微粒子の配列塗布方法を要旨とする。
第1の発明は、微粒子または微粒子と分散媒からなる材料と、超臨界状態の流体とを高圧容器内に注入し、それらを撹拌して材料と流体を均一に分散させた混合物とし、その混合物を対象物にスプレーする微粒子の配列塗布方法であって、前記撹拌は、前記高圧容器内に上昇流を生じさせる撹拌翼を回動することにより行うことを特徴とする微粒子の配列塗布方法である。
第2の発明は、第1の発明において、前記材料と前記流体の高圧容器内への注入は、超臨界状態の流体を高圧容器内に注入し、1回のスプレーにより噴射される量の材料をシリンダーに吸入し、続いてシリンダー内の全ての材料を高圧容器内に注入することを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記材料と前記流体の高圧容器内への注入は、超臨界状態より低圧の流体を高圧容器に注入し、続いて高圧容器内の圧力を超臨界状態より低圧で調整しながら任意の量の材料を高圧容器に注入し、続いて超臨界状態にある流体を高圧容器に注入することを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、材料が微粒子のみから構成される場合において、前記材料の高圧容器内への注入は、材料を真空状態ないしは真空状態に近い状態の高圧容器に注入し、続いて超臨界状態にある流体を高圧容器に注入することを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明において、前記高圧容器の容量は、1回のスプレーにより噴射される混合物の量と同量であることを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、前記対象物は、マグネット板と、磁性体または磁石からなる上部枠体により挟着されたパターニングマスクおよび基板であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、以下の第7ないし12の微粒子の配列塗布装置を要旨とする。
第7の発明は、微粒子または微粒子と分散媒からなる材料が投入される供給部と、流体を調圧して撹拌部に送出する調圧部と、高圧容器内で材料と超臨界状態の流体とを撹拌して材料と流体を均一に分散させた混合物とする撹拌部と、混合物をスプレーするスプレー部とを備える微粒子の配列装置において、前記撹拌部は、高圧容器内に上昇流を生じさせる撹拌翼を備えることを特徴とする微粒子の配列塗布装置である。
第8の発明は、第7の発明において、前記供給部は、任意の量の材料を吸引し、撹拌部に送出するシリンダーを有することを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明において、前記供給部は、前記シリンダーに吸引した材料を任意の圧力で送出する手段を有し、前記調圧部は、前記撹拌部の高圧容器内を任意の圧力に調整する手段を有することを特徴とする。
第10の発明は、第7,8または9の発明において、前記撹拌部は、前記高圧容器内を真空状態ないしは真空状態に近い状態に調整する真空ポンプを有することを特徴とする。
第11の発明は、第7ないし10のいずれかの発明において、前記高圧容器の容量は、1回のスプレーにより噴射される混合物の量と同量であることを特徴とする。
第12の発明は、第7ないし11のいずれかの発明において、スプレー部と対向位置において、マグネット板と、磁性体または磁石からなる上部枠体と、それらに挟着されたパターニングマスクおよび基板とから構成される配列部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スプレーする流体の粘度に拘わらず、超臨界流体と微粒子や分散媒などの材料を均一に混合することができるため、微粒子の配列制御をより高精度に行うことが可能となる。
また、混合物内の微粒子の量をコントロールすることや分散媒を使用せずに微粒子を超臨界流体と均一に混合させることも可能となる。
また、パターニングマスクを用いた場合におけるスプレー時のマスクの浮き上がりを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず本発明を実施する前提となる先行技術の概要を説明し、続いて本発明の具体的内容について説明する。
1.本発明を実施する前提となる先行技術の概要
(1)RESS法
RESS法は種々の溶質を溶解させたSCFをノズルから低圧領域に噴射することにより、溶質を過飽和状態から急速に析出させる技術であり、1980年代以来、微粒子の作製を目的として使用されている。以前より、微粒子やナノオーダーの超微粒子製造技術を開発する目的で、超臨界二酸化炭素(Supercritical Carbon Dioxide:SC-CO2)中に溶解させた金属アルコキシドを急速膨張法で噴射させ、金属粒子の微細パターニングを行う研究が行われており、約50−100μmの微細ピッチの領域で、μmオーダーの厚さを有するパターンを形成することが実現されている(井上均:高圧力の科学と技術、第12巻第4号、2002年、p337-344)。この研究結果を発展させて、溶液から微粒子を生成するだけではなく、既製の微粒子をSC-CO2中に分散させ、ノズルを通して基板に吹きつけることにより製膜を行うことに成功したのが、特許文献1に記載の発明である。
【0016】
(2)SC-CO2の特徴
RESS法の適用技術の背景には、気体や液体と異なったSCFの優れた物性が基礎になっている。表1にSCFの物性(密度、粘度、熱伝導率、拡散係数)を示す。SCFの密度は液体に近く、粘性率は気体に近いが、拡散係数は気体と液体のほぼ中間の値を有する。すなわち、SC-CO2は液体に比べて物質移動特性に優れているので、粒子などの輸送に有利であることが分かる。特に臨界点付近で、わずかな温度や圧力の変化によって粘性率が大きく変化する挙動がSCFの大きな特徴の一つになっている。このため、SC-CO2の物性をコントロールすることによって輸送特性の最適化を図ることも可能である。
【0017】
【表1】

【0018】
(3)用語の定義
基体:本明細書における基体とは、例えば、表面に銅箔で配線がされ、半導体や抵抗などの電子部品を取り付けて使う合成樹脂板を指し、一般にはプリント基板と呼ばれるものである。
微粒子:本来、微粒子とは非常に細かい粒のことであり、実施例における微粒子は、例えば、銀およびその他金属との合金を指し、サイズとしてはナノ単位からマイクロ単位までの領域が考えられる。
超臨界流体:本来、超臨界流体とは、物質の臨界点を超えた温度、圧力にある流体であり、高密度にしても液化せず、物質を溶解する能力、溶解速度、分離速度が液体よりも大きい。本発明の想定する超臨界流体は、例えば、臨界温度31.2℃、臨界圧力7.38MPaの超臨界二酸化炭素が挙げられる。その他に取扱いやすい超臨界流体としては、エタン、プロパン、メタノール、エタノール、アンモニア、キセノン等が考えられる。
分散媒:本来、分散媒とは、分散系の媒質をなす均一な物質を言い、なかに分散相を散在させている。本発明の想定する分散媒は微粒子およびエントレーナーが安定した状態を維持できるものであり、有機系の分散媒としては、例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられる。その他の分散媒としては、水、界面活性剤等が考えられる。
【0019】
2.本発明の装置の構成および作動
本発明の装置は、供給部と、撹拌部と、調圧部と、スプレー部と、配列部とから構成されるが、各構成要素はその用途に応じて異なる三種類の態様を有する。第1の態様は比較的低粘度から中粘度の流体(例えば、化粧品、乳製品、インク、ラテックス、油類、クリーム、樹脂、紙コーティング液、表面コーティング剤など)に適した構成であり、第2の態様は比較的高粘度の流体(例えば、コンパウンド、エポキシ、ペースト類、パテ、シーラントなど)において微粒子の量をコントロールするのに適した構成であり、第3の態様は分散媒を用いない微粒子の紛体(例えば、金属微粒子では、銀、銅、半田など、金属酸化物微粒子では、TiO2、ZnO、MnO2、Fe2O3など、無機系微粒子では、カーボン、SiO2、CeO2、Al2O3など、有機系微粒子では、フラックス、ポリエチレン、ポリスチレンなど)に適した構成である。以下では、各構成要素を具体的に説明する。
【0020】
《供給部》
供給部は、ホッパーに投入された混合物を撹拌された状態で撹拌部に供給する。第1および第2の態様ではプランジャーポンプと、プランジャー(またはピストン)と、シリンダーとを備え、第3の態様では粉体用容器を備える。
【0021】
第1の態様(低粘度から中粘度の流体の場合)によれば、分散媒と微粒子を一度シリンダーに充填することで、分散媒と微粒子とが均一に分散された状態で撹拌部に送出することができる。この際、シリンダーの容量を適度に小さく構成し、プランジャーの押出作動により、シリンダー内の全てを撹拌部に送出することで、微粒子のみがシリンダー内に残留することを防止している。すなわち、高圧下では小さなもの(分散媒)から先に押し出されてしまうため、シリンダーを大きく構成して複数回にわたり混合物を供給可能にすると、最後の方にはシリンダーに微粒子しか残らなくてなってしまうのである。それゆえ、第1の態様における供給部の好ましい態様は1回のスプレーにより噴射される量の微粒子と分散媒の混合物を一時的に格納するシリンダーを備える。
【0022】
第2の態様(高粘度の流体の場合)によれば、分散媒と微粒子を一度シリンダーに吸入することで、分散媒と微粒子とが均一に分散された状態で撹拌部に送出することができる。第2の態様では、シリンダー内の混合物を押出する際のプランジャー前進時の圧力を任意に調整できることが大切である。第2の態様において、シリンダーから分散媒のみが先に押し出されないのは、高粘度の流体を比較的低圧に調整された高圧容器内に注入するためである。第2の態様では、シリンダーから注入する材料の量を調整することでスプレーされる微粒子の量を調整するものであるから、シリンダーの容量を必ずしも小さく構成しなくともよい。
【0023】
第3の態様では、ホッパーから微粒子のみが(分散媒と混合されない状態で)供給され、粉体用容器内に格納される。粉体容器内の微粒子は、真空状態ないしは真空状態に近い状態の高圧容器に吸引される。
【0024】
《撹拌部》
撹拌部は、混合用高圧容器と、撹拌器と、撹拌翼とを主たる構成要素とし、供給部から供給された材料と、調圧部から供給された超臨界流体と混合し、それらを撹拌して均一に分散させ、スプレー部に供給する。
本発明では、撹拌翼を上方に流れを生じさせる形状(例えばドリル型)にすることにより、従来の微粒子が下部および内壁に集まるという問題を解消し、微粒子を混合用高圧容器内に均一に分散させることを可能とした。材料と超臨界流体の混合物を均一に分散することによって微粒子の流動性が上がるため、微粒子の種別によっては分散媒を用いなくともよい。
【0025】
本発明の撹拌部の好ましい態様は、高圧容器内の混合物に上方の流れを生じさせる撹拌翼を備え、かつ、1回のスプレーにより噴射される量の超臨界流体と微粒子と分散媒の混合物を格納する混合用高圧容器を備える。スプレー毎に混合用高圧容器内の混合物は全て噴射されるため、混合用高圧容器内の混合物は常に均一に分散された状態となる。
【0026】
《調圧部》
調圧部は公知の構成であり、流体が格納されたボンベと、調圧用高圧容器と、両者を接続するパイプの途中に設けた圧力調整用バルブと、温度変化による圧力の変動を防止するためのヒータを主たる構成要素とする。
【0027】
《スプレー部》
スプレー部は、公知の構成であり、混合用高圧容器内の微粒子と分散媒と超臨界流体の混合物を導出するパイプと、パイプの端部に設けられたノズルと、パイプを通過する混合物を一定温度に保つためのヒータと、パイプの中途部に設けられた開閉用バルブを主たる構成要素とし、開閉用バルブを開放することで微粒子と分散媒と超臨界流体の混合物がノズルに送られ、配列部にスプレーされる。
混合用高圧容器の容量を少なく構成した場合には、一度のスプレーで混合用高圧容器内の混合物が全て噴射される。そのため、基板の面積が一定以上の場合には、複数回に分けてスプレーすることとなる。
【0028】
《配列部》
配列部は、パターニングマスクと、基板の下に載置される磁石である下部固定用ジグ(マグネット板)と、下部固定用ジグとの磁力により、パターニングマスクと基板を挟着する磁性体または磁石である上部固定用ジグ(上部枠体)とから構成される。スプレー部から、パターニングマスクを介して基板上に混合物をスプレーすることで、所望する位置および配列の高さを限定できる。従来、パターニングマスクは薄いため、高圧力のスプレーをすると浮き上がってしまうおそれがあったが、本発明では、パターニングマスクを磁性体で構成し、強力な磁石である下部固定用ジグと磁性体または磁石により構成される上部固定用ジグで抑えることにより密着力を高めている。パターニングマスクは、好ましくは磁性体により構成する。
なお、上部固定用ジグは、パターニングマスクに合わせて開口部を設けてもよいし、種々のパターニングマスクに対応できるよう単に枠体としてもよい。
【0029】
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
本実施例の装置は比較的低粘度から中粘度の流体に適した構成であり、供給部から撹拌部への材料送出方法に特徴を有する。
本実施例の微粒子の配列塗布装置は、図1に示すように、超臨界二酸化炭素をスプレーに適した圧力に調整する調圧部a、材料である微粒子を撹拌部へ供給する供給部b、超臨界二酸化炭素と微粒子と分散媒とを混合する撹拌部c、超臨界二酸化炭素と微粒子と分散媒の混合物をスプレーするスプレー部d、微粒子を基体上に配列する配列部eとで構成されている。
【0031】
図2は、本発明の微粒子配列塗布装置の基本構成を説明するための図面である。
図中、装置の構成部分に付した符号は、1は二酸化炭素ボンベ、2は調圧用高圧容器、3は混合用高圧容器、4はポンプ、5は圧力調整用バルブ、6は流量調整用バルブ、7は撹拌器、8は開閉用バルブ、9はノズル、10はパターニングマスク、11は基板、12は固定用ジグ、13はホッパー、14はプランジャーポンプ、15〜20はパイプ、21〜23はヒータ、24〜26は圧力計、27〜29は安全弁、30〜37はバルブ、38は排気ポンプ、39は熱交換器、40は冷却機である。
【0032】
《調圧部a》
調圧部は、二酸化炭素ボンベ1と、ヒータ21,22を備えた調圧用高圧容器2と、両者を接続するパイプ15と、パイプ15の途中に設けた圧力調整用バルブ5と、圧力調整用バルブ5を迂回するように分岐したパイプ16と、パイプ16の中途部に設けたポンプ4と、調圧された超臨界二酸化炭素を混合用高圧容器3に供給する量を調整する流量調整用バルブ6等で構成されており、二酸化炭素ボンベ1中の二酸化炭素は、圧力調整用バルブ5とポンプ4とにより調圧され、さらに、流量調整用バルブ6によって必要とする流量の超臨界二酸化炭素は調圧用高圧容器2に供給される。
なお、調圧用高圧容器2に備えたヒータ21,22は、温度変化による圧力の変動を防止するために、調圧された超臨界二酸化炭素の温度を調整することにより、調圧用高圧容器2内を一定の圧力に保持している。
【0033】
《供給部b》
供給部は、ホッパー13、プランジャーポンプ14と両者を接続するパイプの途中に設けた逆止弁であるバルブ37と、プランジャーポンプ14と混合用高圧容器3を接続するパイプ19とパイプ19の途中に設けた逆止弁であるバルブ36と開閉バルブ32で構成されている。
【0034】
図3は、供給部における(1)材料吸入と(2)材料吐出の状態をイメージした図である。まず、(1)材料吸入において、プランジャー41が、ホッパー13の中の微粒子43および分散媒44をシリンダー42に引入れる方向(矢印の方向)に作動すると、バルブ37が開き、バルブ32は閉じた状態となり、シリンダー42の中に一定量の微粒子43と分散媒44が充填される。
次に、(2)材料吐出において、プランジャー41が、シリンダー42中の微粒子43および分散媒44を押し出す方向(矢印の方向)に作動すると、バルブ32が開き、バルブ37は閉じた状態となり、混合用高圧容器3の中に、一定量の微粒子43と分散媒44が充填される。
【0035】
《撹拌部c》
撹拌部は、混合用高圧容器3と撹拌器7とで構成されており、パイプ17によって混合用高圧容器3内に送られてきた調圧された超臨界二酸化炭素と、パイプ19によって混合用高圧容器3内に供給された微粒子および分散媒とを撹拌器7によって撹拌混合する。
図4は混合用高圧容器の詳細断面図であり、微粒子を撹拌しているイメージ図ある。3は混合用高圧容器、7は撹拌器、45は混合用高圧容器の蓋、46〜48は継手(図2のパイプ18〜20と混合用高圧容器3を接続するためのもの)、49は超臨界二酸化炭素である。
【0036】
混合用高圧容器3の容積は約14.5ccで、ドリルの体積が約12.5ccであるので、混合用高圧容器3の有効容量は約2ccである。例えば、混合物を約2cc充填したとき、スプレーされた面積が約20cm2から100cm2とすると、スプレーされた微粒子の厚さは約100μmから20μmとなる。
撹拌器7には回転用ドリルの先端部が平面となるように切断した撹拌翼78が設けられており、これにより混合用高圧容器3内に上昇流を生じさせる。撹拌器の撹拌翼78は三菱マテリアル社製のソリッドエンドミル(S4MDD2000)を利用しており、刃数4、ねじれ角30°、直径20mm、溝長45mmで、らせん型スクリュー構造をしている。
撹拌翼78を回動させるためのモーターは、オリエンタルモーター社製のスピードコントロールモーター(PSH-540-001P)を用いており、可変速度範囲90〜1500rpm、許容トルク55mN・m〜200mN・m、左右回転対応となっている。例えば、任意の微粒子を均一に撹拌するための条件として、右方向、800rpmで撹拌すれば、鉛直方向に推進力が生じて上部から下部に向かって流体が移動する。その結果、混合用高圧容器3の内部中心部から周囲に向かって上昇流が生じることによって、沈降していた微粒子も浮上して撹拌される。
【0037】
《スプレー部d》
スプレー部は、開閉用バルブ8とノズル9とヒータ23とで構成されており、混合用高圧容器3において、均一に撹拌された微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素の混合物が開閉用バルブ8を介して、パイプ20からノズル9に送られて、スプレーされる。
ヒータ23は、微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素の混合物がスプレーされる際に吸熱するため、温度を一定にしてスプレーを安定させる目的で設けている。
【0038】
本実施例の微粒子の配列塗布装置のスプレー部は、図5に示すように、混合用高圧容器3に接続したパイプ20を通って、微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素の混合物がバルブ8に送られる。バルブ8を短時間の一定間隔で開閉することにより、ノズル9から微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素の混合物の流体50が、基体51にスプレーされる。一回にスプレーされる微粒子、分散媒の量は、最大、混合用高圧容器3に充填された全量である。従って、バルブ8の開閉時間および混合用高圧容器3に充填する微粒子、分散媒の量をコントロールすることにより一定濃度の微粒子をスプレーすることができ、何回スプレーしても単位面積あたり、定量で均一に配列制御された微粒子の膜52の形成が可能となる。
【0039】
何回スプレーしても単位面積あたり、定量で均一な微粒子の配列制御を可能とするために必要な各部の制御を図6により説明する。まず、プランジャー41が材料である微粒子と分散媒などをシリンダー42に一定量だけ吸入して、混合用高圧容器3に全量を吐出する。続いて、混合用高圧容器3の中で、材料である微粒子と分散媒などを超臨界二酸化炭素で均一に撹拌、混合した後、開閉バルブ8を開くと、ノズル9から一定濃度の微粒子の流体50がスプレーされ、混合用高圧容器3の中の材料である微粒子と分散媒などは全て吐出される。この際、図6に示すタイミングチャートにより各部を制御する。なお、噴射圧力を維持するため、混合用高圧容器3内には新たな超臨界二酸化炭素が送られるので、吐出完了後の混合用高圧容器3内には超臨界二酸化炭素が充填されている。この工程を繰り返すことによって、各回のスプレーは均一で、一定濃度の微粒子が噴出されるため、何回スプレーしても単位面積あたり、定量で均一な微粒子の配列制御が可能となる。
【0040】
《配列部e》
配列部はパターニングマスク10と、基板11と、パターニングマスク10および基板11を挟着する上部部材と下部部材からなる固定用ジグ12で構成されている。
【0041】
本実施例における配列部を用いたパターニングは、図7に示すように、基板11の下に下部固定用ジグ12(例えば、磁石54)を設置して、基板11の上にパターニングマスク10、その上に上部固定用ジグ12(例えば、鉄製薄板53)を設置して挟着することで実現される。混合用高圧容器3に接続したパイプ20を配列部の対向位置に移動して、開閉バルブ8を介して、ノズル9から一定濃度の微粒子の流体50がスプレーされる。
一定濃度の微粒子の流体50を短時間に一定間隔でスプレーすることにより、パターニングマスク10のパターンに合わせて、微粒子を配列制御することができる。
【0042】
図8は、基板上に微粒子を配列制御するための固定用ジグ12の一例を説明するもので、図中53は鉄製薄板、55はパターンに合わせた鉄製薄板の開口部、10はパターニングマスク、56はパターニングマスクの開口部、11は基板、54は磁石である。
基板11の下に磁石54を設置して、パターニングマスク10の上に鉄製薄板53を設置して、基板11とパターニングマスク10を挟み込むことにより、磁性を持たないパターニングマスク10でも、強力な磁力により鉄製薄板53で固定されて、基板11とパターニングマスク10の密着力は向上する。
また、鉄製薄板の開口部55は、パターニングマスクの開口部56を覆うように広く開口しているので、微粒子は鉄製薄板の開口部55およびパターニングマスクの開口部56を通って、パターニングマスク10のパターンに合わせて、基板11に配列される。
【0043】
《作動》
本実施例の装置の作動を図9により説明する。
(1)材料吸入
ホッパー13からシリンダー42に材料が吸入されるようにプランジャー41を作動させると、バルブ37が開放状態に、バルブ36が閉塞状態となり、シリンダー42内に微粒子43と分散媒44が充填される。このとき、混合用高圧容器3には、超臨界二酸化炭素49が充填されている。
(2)材料吐出
シリンダー42内の材料を混合用高圧容器3内に注入するために、プランジャー41を(1)と反対方向に作動し、圧力7.38MPaより大きい圧力で超臨界二酸化炭素49が入った混合用高圧容器3に、微粒子43と分散媒44を押し出す。このとき、バルブ36が開放状態に、バルブ37が閉塞状態となっている。
(3)材料撹拌
シリンダー42内の微粒子43と分散媒44を全量、混合用高圧容器3に注入する。続いて、撹拌器7により撹拌翼78を回動させ、混合用高圧容器3内に上昇流を生じさせることで微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素が均一に分散するように撹拌する。この後、混合用高圧容器3の中の微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素の混合物を1回のスプレーで全て噴射することで、単位面積あたり、定量で均一に配列制御された微粒子の膜52の形成が可能となる。
上記(1)〜(3)のプロセスを繰り返すことによって、毎回、材料濃度に変動がなく、均一なスプレーができる。
【実施例2】
【0044】
本実施例の装置は比較的高粘度の流体に適した構成であり、供給部から撹拌部への材料送出方法に特徴を有する。
図10に示すとおり、本実施例の装置は供給部bと調圧部aの一部が実施例1の装置と相違し、57は開閉用バルブ、58は圧力調整用バルブ、59,60は圧力計、61はコントローラー、62はディスペンサーシステムある。
【0045】
例えば、ディスペンサーシステム62のプランジャーの圧力を圧力計60で計測し、混合用高圧容器3の圧力を圧力計59で計測する。コントローラー61を介して混合用高圧容器3の圧力を圧力調整用バルブ58で調整し、ディスペンサーシステム62によりプランジャーの圧力を調整することで、相互の圧力を最適にコントロールすることで、微粒子をスムースに混合用高圧容器3に注入することができる。
【0046】
《作動》
本実施例の装置の作動を図11により説明する。
(1)圧力調整
混合用高圧容器3内の圧力は、シリンジ63内の微粒子43と分散媒44の注入を容易にするべく、超臨界状態より低い圧力に設定されている。混合用高圧容器3中は圧力が低下しているため、流体は超臨界状態ではない二酸化炭素65である。一方、シリンジ63内の微粒子43と分散媒44は高粘度であるため、両者が結合して比較的均一に分散された状態にある。
(2)材料注入
プランジャー64を押し出すことにより、混合用高圧容器3内に微粒子43と分散媒44が注入される。このとき、プランジャー64のストロークを調節することにより、微粒子43の注入量が決まることとなるため、スプレー時の微粒子の濃度をこれにより調整することができる。
(3)超臨界二酸化炭素(SC-CO2)注入
材料注入の終了後、超臨界状態より低い圧力に調整されている混合用高圧容器3内の圧力を超臨界状態にまで圧力を上げるために、超臨界二酸化炭素49を注入する。このとき、バルブ35は開放状態に、バルブ36は閉塞状態にある。
(4)材料撹拌
混合用高圧容器3内の微粒子43、分散媒44、超臨界二酸化炭素49を均一に分散するために撹拌翼78で撹拌する。均一に分散された微粒子、分散媒、超臨界二酸化炭素の混合物をスプレーすることで、単位面積あたりで定量且つ均一に配列制御された微粒子の膜52の形成が可能となる。
上記(1)〜(4)のプロセスを繰り返すことによって、毎回、材料濃度に変動がなく、均一なスプレーができる。
【実施例3】
【0047】
本実施例の装置は、粉末状態である微粒子を対象とし、分散媒を用いずに微粒子をスプレーする微粒子の配列塗布装置である。
本実施例の装置は、図12に示すように、供給部bと調圧部aの一部が実施例1,2の装置と相違し、66は微粒子の粉末、67は紛体定量供給器、68は紛体用ホッパー、69はバタフライ弁、70は紛体用容器、71は真空ポンプ、72はフィルター(微粒子回収用)である。
【0048】
《作動》
本実施例の装置の作動を図13により説明する。
(1)真空状態
真空ポンプ71により、混合用高圧容器3の内部を真空状態ないしは真空状態に近い状態にする。
(2)材料吸引
バルブ32,36を開くと、真空状態に近い混合用高圧容器3内に紛体容器70から微粒子43が吸引される。
(3)超臨界二酸化炭素(SC-CO2)注入
混合用高圧容器3内を超臨界状態とするために、バルブ35を開放状態に、バルブ32,36を閉塞状態とし、パイプ18から超臨界二酸化炭素49を混合用高圧容器3に注入する。
(4)材料撹拌
混合用高圧容器3内の微粒子43と超臨界二酸化炭素49を、両者が均一に分散するように撹拌する。均一に分散された微粒子と超臨界二酸化炭素の混合物をスプレーすることで、単位面積あたりで定量且つ均一に配列制御された微粒子の膜52の形成が可能となる。
上記(1)〜(4)のプロセスを繰り返すことによって、毎回、材料濃度に変動がなく、均一なスプレーができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、従来の様に有機溶媒を使用しなくても微粒子をスプレーできることから、環境調和型の装置として幅広い分野において利用されることが期待される。
例えば、エレクトロニクス業界において、表面実装分野では、はんだ印刷、フラックス塗布、電極配線の形成等、同じくディスプレイ分野では、発光材料の塗布、透明導電膜材料の塗布、電磁波遮蔽材料の塗布、液晶用スペーサーの配列、電極の形成等、同じく記憶用材料分野では、磁気記録材料の塗布、電子ペーパーのマイクロカプセルの配列等が挙げられる。また、機械、光産業の業界において、射出成形分野では、成形材料の配列、金型離型剤の塗布等、同じく研磨分野では、研磨シートへの研磨剤塗布、同じくレンズ分野では、マイクロレンズアレイの成形、フィルターの膜成形等が挙げられる。また、材料、化学の業界において、センサ分野では、ガスセンサの二酸化チタン、酸化亜鉛等の薄膜成形、磁気センサの磁性材料塗布等、同じくプラスチック、紙の分野では、抗菌シート、衛生用品への光触媒塗布、動力ベルト、床材への滑止め用材料の塗布、紙、フィルムへの粘着性粒子の塗布等が挙げられる。また、環境、エネルギーの業界では、色素増感太陽電池における光触媒粒子の配列、燃料電池における触媒層の成形、環境浄化における光触媒、強酸化材の微粒子配列、ゼオライトにおけるセラミックス膜の成形等が挙げられる。また、バイオ、医療の業界では、シートへの薬剤塗布、シートへの化粧品材料塗布、自己配列によるマイクロリアクターの製造、アクチュエータの製造、フィルターの製造等、ドラッグデリバリーシステムへの応用等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1の装置を構成する各部を示した基本構成図である。
【図2】実施例1の装置の基本構成図である。
【図3】実施例1の装置における材料の供給状態を示すイメージ図である。
【図4】混合用高圧容器の詳細断面図および微粒子を撹拌しているイメージ図である。
【図5】微粒子の流体を間欠的にスプレーする際のイメージ図である。
【図6】間欠スプレーに関する各機構と材料の関係を示すタイムチャートである。
【図7】配列部を用いた微粒子のパターニングのイメージ図である。
【図8】配列部の構成を示す側部断面図である。
【図9】実施例1における材料および超臨界流体の充填、撹拌の説明図である。
【図10】実施例2の装置の基本構成図である。
【図11】実施例2の装置における材料および超臨界流体の充填、撹拌の説明図である。
【図12】実施例3の装置の基本構成図である。
【図13】実施例3の装置における材料および超臨界流体の充填、撹拌の説明図である。
【図14】従来の超臨界流体急速膨張法による微粒子生成、回収に関する装置の基本構成図である。
【図15】図14の装置の高圧用容器に材料投入の説明図である。
【図16】図14の装置の高圧用容器における撹拌の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 二酸化炭素ボンベ
2 調圧用高圧容器
3 混合用高圧容器
4 ポンプ
5 圧力調整用バルブ
6 流量調整用バルブ
7 撹拌器
8 開閉用バルブ
9 ノズル
10 パターニングマスク
11 基板
12 固定用ジグ
13 ホッパー
14 プランジャーポンプ
15〜20 パイプ
21〜23 ヒータ
24〜26 圧力計
27〜29 安全弁
30〜37 バルブ
38 排気ポンプ
39 熱交換器
40 冷却機
41,64 プランジャー
42 シリンダー
43 微粒子
44 分散媒
45 混合用高圧容器の蓋
46〜48 継手
49 超臨界二酸化炭素
50 混合物の流体
51 基体
52 微粒子の膜
53 鉄製薄板
54 磁石
55 鉄製薄板の開口部
56 パターニングマスクの開口部
57 開閉用バルブ
58 圧力調整用バルブ
59,60 圧力計
61 コントローラー
62 ディスペンサーシステム
63 シリンジ
65 二酸化炭素
66 微粒子の粉末
67 紛体定量供給器
68 紛体用ホッパー
69 バタフライ弁
70 紛体用容器
71 真空ポンプ
72 フィルター
73 高圧容器の蓋
74 微粒子などの材料
75 撹拌翼付き撹拌器
76 高圧容器
77 微粒子
78 撹拌翼
a 調圧部
b 供給部
c 撹拌部
d スプレー部
e 配列部
f 超臨界流体供給部
g 溶質溶解部
h 粒子生成部
i 粒子回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子または微粒子と分散媒からなる材料と、超臨界状態の流体とを高圧容器内に注入し、それらを撹拌して材料と流体を均一に分散させた混合物とし、その混合物を対象物にスプレーする微粒子の配列塗布方法であって、
前記撹拌は、前記高圧容器内に上昇流を生じさせる撹拌翼を回動することにより行うことを特徴とする微粒子の配列塗布方法。
【請求項2】
前記材料と前記流体の高圧容器内への注入は、超臨界状態の流体を高圧容器内に注入し、1回のスプレーにより噴射される量の材料をシリンダーに吸入し、続いてシリンダー内の全ての材料を高圧容器内に注入する請求項1の微粒子の配列塗布方法。
【請求項3】
前記材料と前記流体の高圧容器内への注入は、超臨界状態より低圧の流体を高圧容器に注入し、続いて高圧容器内の圧力を超臨界状態より低圧で調整しながら任意の量の材料を高圧容器に注入し、続いて超臨界状態にある流体を高圧容器に注入する請求項1の微粒子の配列塗布方法。
【請求項4】
材料が微粒子のみから構成される場合において、
前記材料の高圧容器内への注入は、材料を真空状態ないしは真空状態に近い状態の高圧容器に注入し、続いて超臨界状態にある流体を高圧容器に注入する請求項1の微粒子の配列塗布方法。
【請求項5】
前記高圧容器の容量は、1回のスプレーにより噴射される混合物の量と同量である請求項1ないし4のいずれかの微粒子の配列塗布方法。
【請求項6】
前記対象物は、マグネット板と、磁性体または磁石からなる上部枠体により挟着されたパターニングマスクおよび基板である請求項1ないし5のいずれかの微粒子の配列塗布方法。
【請求項7】
微粒子または微粒子と分散媒からなる材料が投入される供給部と、流体を調圧して撹拌部に送出する調圧部と、高圧容器内で材料と超臨界状態の流体とを撹拌して材料と流体を均一に分散させた混合物とする撹拌部と、混合物をスプレーするスプレー部とを備える微粒子の配列装置において、
前記撹拌部は、高圧容器内に上昇流を生じさせる撹拌翼を備えることを特徴とする微粒子の配列塗布装置。
【請求項8】
前記供給部は、任意の量の材料を吸引し、撹拌部に送出するシリンダーを有する請求項7の微粒子の配列塗布装置。
【請求項9】
前記供給部は、前記シリンダーに吸引した材料を任意の圧力で送出する手段を有し、
前記調圧部は、前記撹拌部の高圧容器内を任意の圧力に調整する手段を有する請求項8の微粒子の配列塗布装置。
【請求項10】
前記撹拌部は、前記高圧容器内を真空状態ないしは真空状態に近い状態に調整する真空ポンプを有する請求項7,8または9の微粒子の配列塗布装置。
【請求項11】
前記高圧容器の容量は、1回のスプレーにより噴射される混合物の量と同量である請求項7ないし10のいずれかの微粒子の配列塗布装置。
【請求項12】
スプレー部と対向位置において、マグネット板と、磁性体または磁石からなる上部枠体と、それらに挟着されたパターニングマスクおよび基板とから構成される配列部を備える請求項7ないし11のいずれかの微粒子の配列塗布装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−14889(P2007−14889A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199695(P2005−199695)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000180313)四国計測工業株式会社 (13)
【出願人】(599073917)財団法人かがわ産業支援財団 (35)
【Fターム(参考)】