説明

超音波センサ及びその製造方法

【課題】半田付け作業による工程を減らし、量産化及び自動化が可能な超音波センサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】底面を有する筒状のケース12と、ケース12の底面に形成される圧電素子16と、ケース12の開口部に圧入固定され、溝を備えている吸音材18と、前記溝に挿入固定される温度補償用キャパシタ20と、吸音材18の溝を貫通し、温度補償用キャパシタ20の一電極と圧電素子16の露出された電極に接続される第1のピン端子22aと、吸音材18の溝に挿入固定され、温度補償用キャパシタ20の他電極に接続される第2のピン端子22bと、吸音材18の溝に挿入固定され、一端子は第2のピン端子22bと接続され、他端子はケース12の内壁に接続されるリード線24と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、圧電及び電歪性を有するセラミック素子を振動源として利用して、そのセラミック素子に高い周波数の電気エネルギーを印加すると、周波数と同一の回数の速い振動が発生する。
【0003】
この際、前記印加された周波数が20kHz以上である場合、圧電セラミック素子は、振動によって、人間には聞こえない特定周波数帯域の超音波(Ultrasonic Wave)を発生させる。
【0004】
このような圧電セラミック素子を介して発生する超音波は、超音波の送受信により被検物の形状または距離を測定するセンサ装置や、探知機、洗浄機、医療用診断機/治療機、皮膚美容器などに幅広く用いられている。
【0005】
また、前記超音波を利用した超音波センサは、金属薄板と圧電セラミックによる屈曲振動モードを用いる方式と、圧電セラミックの固有振動数によるモードを用いる方式などが利用される。
【0006】
このような従来の超音波センサは、特許文献1などに開示されたように、中間部に段差部が形成された略円筒状のケース内の空洞部の底面に、半田付け方式により連結されたリードワイヤを有する圧電セラミックが接着される。
【0007】
また、超音波が金属の後方に伝播することを防止し、不要の振動及び雑音を防止するために、吸音材が圧電セラミックの上側方向に取り付けられる。
【0008】
このような吸音材の上面と離隔された状態で基板が設けられ、その基板の上部には、防水処理などを行うためにシール剤が充填された構造となっている。
【0009】
このような構造において、圧電セラミックから超音波を検出するために、前記リードワイヤは、前記吸音材及び基板上に形成された任意の貫通孔を介して外部に突出される。
【0010】
このような構造を有する従来の超音波センサは、円筒状のケースのサイズ(厚さ及び直径)及び圧電セラミックの特性によって決定された周波数と同一の周波数の電圧信号が印加されると、圧電セラミックが接着された金属板が振動するようになり、前記周波数に対応する超音波が発生する。
【0011】
前記超音波センサは、外部温度による感度の変化を低減するために、温度補償キャパシタが基板の中央に位置する。
【0012】
上記のような従来技術による超音波センサは、基板と温度補償キャパシタの位置のため、その装備の取り扱いが難しく、量産化及び自動化が非常に困難であるという問題がある。
【0013】
また、全工程において、量産化及び自動化をもっとも困難にする半田付け工程が総5回に亘って行われるため、量産化及び自動化をさらに困難にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−63866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のような問題点を解決するための本発明は、吸音材にワイヤ及びキャパシタを挿入する構造を有するようにして、半田付け作業による工程を減らし、量産化及び自動化が可能な超音波センサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような目的を果たすための本発明による超音波センサは、底面を有する筒状のケースと、前記ケースの底面に形成される圧電素子と、前記ケースの開口部に圧入固定され、溝を備えている吸音材と、前記溝に挿入固定される温度補償用キャパシタと、前記吸音材の溝を貫通し、温度補償用キャパシタの一電極と前記圧電素子の露出された電極に接続される第1のピン端子と、前記吸音材の溝に挿入固定され、温度補償用キャパシタの他電極に接続される第2のピン端子と、前記吸音材の溝に挿入固定され、一端子は前記第2のピン端子と接続され、他端子は前記ケースの内壁に接続されるリード線と、を含む。
【0017】
また、本発明の前記キャパシタは、両側に突出されている一対の突起を備え、前記吸音材は、前記キャパシタの突起に対応する位置に、対応する一対の突起差込溝を備えており、前記キャパシタの突起は、前記吸音材の突起差込溝に差し込まれ固定されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の前記吸音材は、不織布またはコルクであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の前記吸音材は、前記第1及び第2のピン端子が挿入固定される一対の固定溝を備えており、前記第1及び第2のピン端子は、前記一対の固定溝に夫々挿入固定されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の前記ケースには中央に段差部が形成されており、前記吸音材は前記ケースの段差部に密着固定されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の前記ケースには中央に段差部が形成されており、前記吸音材には前記ケースの段差部に対応する段差部が形成されており、前記吸音材の段差部が前記ケースの段差部に密着固定されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の前記ケースは、底面と前記吸音材との間に形成された発泡性樹脂をさらに含む。
【0023】
また、本発明による超音波センサの製造方法は、(A)筒状のケース内部の底面に圧電素子を配置する段階と、(B)前記ケースの開口部に、キャパシタが溝に備えられた吸音材を固定する段階と、(C)前記吸音材の溝に第1のピン端子を挿入し、前記第1のピン端子がキャパシタと圧電素子の露出電極に接続されるようにする段階と、(D)前記吸音材の溝に第2のピン端子を挿入し、前記第2のピン端子がキャパシタに接続されるようにする段階と、(E)前記吸音材の溝にリード線を挿入し、前記リード線の一端子がケースの内壁に接続され、他端子が第2のピン端子に接続されるようにする段階と、を含む。
【0024】
また、本発明の前記(B)段階は、(B−1)前記ケースの中心軸と吸音材の中心軸とが一致するように整列する段階と、(B−2)前記ケースの開口部に吸音材を圧入固定する段階と、(B−3)前記吸音材の溝にキャパシタを挿入固定する段階と、を含む。
【0025】
また、本発明は、前記(B−2)段階の前に、(B−4)前記キャパシタの両側に接着剤を塗布する段階をさらに含む。
【0026】
また、本発明の前記(B)段階は、(B−1´)前記吸音材の溝にキャパシタを挿入固定する段階と、(B−2´)前記ケースの中心軸と吸音材の中心軸とが一致するように整列する段階と、(B−3´)前記ケースの開口部に吸音材を圧入固定する段階と、を含む。
【0027】
また、本発明は、(F)前記吸音材の溝を介して前記ケースの内部に発泡性樹脂を充填する段階をさらに含む。
【0028】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0029】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0030】
上記の本発明によると、吸音材にワイヤ及びキャパシタを挿入する構造を有するようにして、半田付け作業による工程を減らし、量産化が可能となる。
【0031】
また、本発明によると、吸音材にワイヤとキャパシタを挿入する構造を有するようにして、半田付け作業による工程を減らし、自動化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例による超音波センサを示す透明斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例による超音波センサを示す透明斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例による超音波センサを示す透明斜視図である。
【図4】図1の温度補償用キャパシタの斜視図である。
【図5】図1の吸音材の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法を示す工程図である。
【図8】本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施例による超音波センサを示す透明斜視図である。
【0036】
図1に示す超音波センサ10は、例えば、底面を有する円筒状のケース12を含む。
【0037】
このケース12は、円板状の底面部12aと円筒状の側壁12bとで構成される。ケース12は、例えば、アルミニウムなどの金属材料で形成される。
【0038】
このようなケース12は、図2に図示されたように、段差部12cをさらに備えることができる。
【0039】
このようにケース12に備えられた段差部12cは、吸音材18がケース12に圧入固定される際、圧電素子16と吸音材18とが一定の距離を維持することができるようにする。
【0040】
これにより、吸音材18を貫通して空洞部14に位置するピン端子22aの長さを一定の長さに調節することができる。
【0041】
また、ケース12に備えられた段差部12cは、吸音材18がケース12に圧入固定される際、吸音材18が段差部12cに密着固定されるようにし、平行を維持することができるようにする。
【0042】
また、このように吸音材18の下面を段差部12cが支持することにより、外部から印加される振動や衝撃から吸音材18が安定した状態を維持することができる。
【0043】
一方、ケース12の内側の空洞部14は、例えば、断面が円状となるように形成される。
【0044】
このような空洞部14の形状により、超音波センサ10から放射される超音波の広がる方式が決まるため、所望の特性に応じて、空洞部14の形状を、例えば、断面が略楕円状などの他の形状となるように設計変更してもよい。
【0045】
ケース12の内部において、底面部12aの内面に圧電素子16が付着される。
【0046】
圧電素子16は、例えば、円板状の圧電体基板の両主面に電極を形成したものである。
【0047】
また、圧電素子16の一主面側の電極は、導電性接着剤などにより底面部12aに接着される。
【0048】
ケース12の開口部の断面には、例えば、不織布やコルクなどからなる吸音材18が付着される。
【0049】
勿論、前記吸音材18の材料として、シリコーンゴムや樹脂などの弾性を有する物質が用いられることができるが、音響を高い効率で吸収するためには、内部に気泡などが多く形成されていなければならないため、不織布やコルクなどを用いることがより好ましい。
【0050】
吸音材18は、ケース12や圧電素子16から外部への不要な振動の伝播と、外部からケース12や圧電素子16への不要な振動の侵入を抑制するためのものである。
【0051】
吸音材18は、例えば、ケース12の外径より僅かに小さいが、ケース12の内径より僅かに大きい外径を有する円板状に形成される。
【0052】
また、このような吸音材18は、図3に図示されたように、ケース12に形成された段差部12cに対応する段差部18aを有することができる。
【0053】
このように吸音材18に段差部18aが形成されると、ケース12に圧入固定される際に、より強固に固定されるため、外部の振動や衝撃などから安定した状態を維持することができる。
【0054】
また、吸音材18は、その一主面での外周部分がケース12の開口部の断面に対向するとともに、その中心がケース12の中心と同一直線上になるように配置される。即ち、吸音材18は、ケース12の開口部を覆うように形成される。
【0055】
吸音材18には、その両主面を垂直に貫通し、且つケース12の空洞部14に通じるように溝18aが形成されている。
【0056】
このような吸音材18の溝18aには、温度補償用キャパシタ20が挿入されて取付けられる。
【0057】
前記吸音材18の溝18aに温度補償用キャパシタ20が挿入されて取付けられる際、接着剤により強固に固定することができる。
【0058】
また、吸音材18の溝18aに温度補償用キャパシタ20が挿入されて取付けられる際、接着剤の代りに接着フィルムを用いて強固に固定することもできる。
【0059】
また、吸音材18の溝18aには、ピン端子22a、22bが夫々圧入固定される。
【0060】
この際、これらピン端子22a、22bは、その一端側部分が吸音材18の一主面側、即ち、内側に配置されて空洞部14に配置される。
【0061】
その他端側部分は、吸音材18の他主面側、即ち、外側に配置される。
【0062】
このようなピン端子22a、22bのうち何れか一つのピン端子22bは、吸音材18の一主面側、即ち、内側に長く配置され、一端が圧電素子16の露出された主面側の電極に接続される。
【0063】
前記ピン端子22a、22bは、直線状に形成されているが、屈曲状に形成されてもよい。
【0064】
また、前記ピン端子22a、22bは、ゴムなどの被服材を備え、外部から内部が保護されるようにすることができる。
【0065】
一方、ケース12の側壁12bの内面には、接続部材として、例えば、ポリウレタン銅線からなるリード線24の一端が接続される。
【0066】
これにより、このリード線24は、ケース12を介して圧電素子16の一主面側の電極に電気的に接続される。
【0067】
また、このようなリード線24の他端は、吸音材18の溝18aに挿入固定され、一つのピン端子22bの一端側部分の先端部に接続される。
【0068】
従って、圧電素子16の一主面側の電極は、ケース12及びリード線24を介して一つのピン端子22bに電気的に接続される。
【0069】
次に、ケース12の内部、吸音材18の溝18aには、充填材として、例えば、発泡性シリコーンなどの発泡性樹脂26が充填される。
【0070】
前記吸音材18が、ケース12の断面に配置して水平性を維持した状態で、発泡性樹脂26で充填されるため、ピン端子22a、22bの先端部分の位置ずれなどを防止することができる。
【0071】
また、吸音材18がケース12の開口部の断面側において発泡性樹脂26によって、ケース12の内部から支持固定され、吸音材18の水平性を維持するとともに、例えば、外部から応力が加えられる場合にも、ピン端子22a、22bの位置精度を安定して維持することができる。
【0072】
次に、温度補償用キャパシタ20は、外部温度による感度変化を低減するためのものであり、図4に図示されたように、誘電体層20aと誘電体層20aの両側に位置した端子電極20bとを備えている。
【0073】
前記誘電体層20aは、例えば、BaTiO系、Ba(Ti、Zr)O系、または(Ba、Ca)TiO系などの誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートを焼結することにより形成される。
【0074】
端子電極20bは、例えば、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを誘電体層20aの両面に夫々加え、これを焼結することにより形成される。
【0075】
焼結された端子電極20bの表面には、必要に応じてメッキ層が形成される。導電性ペーストを加える方法としては、例えば、浸漬法を用いることができる。
【0076】
このような温度補償用キャパシタ20は、吸音材18の溝18aに圧入固定されるが、この際、固定される程度を高めるために、両側に突起20cを形成することができる。
【0077】
このような突起20cは、図5に図示されたように、吸音材18の溝18aの内部の両側に形成された突起差込溝18bに差し込まれ取付けられるため、キャパシタ20が吸音材18に強固に固定される。
【0078】
また、吸音材18には、端子固定用溝18cがさらに備えられ、ピン端子22a、22bが挿入固定される際、所望の位置に強固に固定されることができる。
【0079】
このような構成を有する超音波センサ10は、例えば、自動車のバックソナーなどに利用される場合、ピン端子22a、22bに駆動電圧を印加することにより、圧電素子16が励振される。
【0080】
圧電素子16の振動により、ケース12の底面部12aも振動し、底面部12aに直交する方向に超音波が放射される。
【0081】
超音波センサ10から放射された超音波が、被検出物から反射して超音波センサ10に到逹すると、圧電素子16が振動して電気信号に変換され、ピン端子22a、22bから電気信号が出力される。
【0082】
従って、駆動電圧を印加してから電気信号が出力されるまでの時間を測定することにより、超音波センサ10から被検出物までの距離を測定することができる。
【0083】
この超音波センサ10は、吸音材18にピン端子22a、22b、リード線24、キャパシタ20などを挿入する構造を有することにより、半田付け作業による工程を減らし、量産化が可能となる。
【0084】
また、前記超音波センサ10は、吸音材18にピン端子22a、22b、リード線24、キャパシタ20などを挿入する構造を有することにより、半田付け作業による工程を減らし、自動化が可能となる。
【0085】
この超音波センサ10では、ケース12の内部に均一に充填されている発泡性樹脂26により、ケース12全体の振動を抑制することができる。
【0086】
また、この超音波センサ10では、ケース12からピン端子22a、22bへの振動の伝播などのケース12とピン端子22a、22bの振動干渉が、吸音材18及び発泡性樹脂26により低減または遮断されるため、物体を検知する際の残響信号や受信信号への振動漏れ信号の影響などが抑制され、即ち、振動漏れなどによる残響特性の劣化がなく、さらには、外部からピン端子22a、22bを経由した不要な振動などの伝播の影響も抑制される。
【0087】
また、この超音波センサ10では、ピン端子22a、22bが実装された後、例えば、天井面(圧電素子16側)から押し込まれても、ピン端子22a、22bに対してケース12や圧電素子16が殆ど変位されないため、内部でピン端子22a、22bの電気的な接続部分に大きな応力や変位が生じないため、断線などの不良が発生しにくい。
【0088】
図6から図9は、本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法の工程図である。
【0089】
図6を参照すると、まず、ケース12及び圧電素子16を備え、備えられたケース12に圧電素子16が固定される。
【0090】
前記ケース12は、円板状の底面部12aと円筒状の側壁12bとで構成され、例えばアルミニウムなどの金属材料で形成される。
【0091】
また、前記圧電素子16は、例えば、円板状の圧電体基板の両主面に電極を形成したものである。
【0092】
このような構成において、前記圧電素子16の一主面側の電極が、導電性接着剤などにより底面部12aに接着される。
【0093】
特に、前記圧電素子16は、ケース12の底面部12aに導電性接着剤などにより、固定される。
【0094】
次に、図7に図示されたように、溝を有する吸音材18が備えられ、吸音材18は、その一主面での外周部分がケース12の開口部の断面に対向するとともに、その中心がケース12の中心と同一直線上になるように配置されて圧入され、ケース12の開口部を覆うように形成される。
【0095】
このような吸音材18は、例えば、ケース12の外径より僅かに小さいが、ケース12の内径より僅かに大きい外径を有する円板状に形成され、不織布やコルクなどで形成される。
【0096】
ここで、このような吸音材18の外注面に沿って接着剤を塗布した後、ケース12に圧入固定することにより、強固に固定することができる。
【0097】
また、この製造方法の例では、図8に図示されたように、吸音材18がケース12に臨時接着された後、温度補償用キャパシタ20が溝18aに完全に圧入される。
【0098】
または、温度補償用キャパシタ20を吸音材18の溝18aに完全に挿入した後、吸音材18がケース12に圧入されて接着されるようにすることもできる。
【0099】
前記温度補償用キャパシタ20は、外部温度による感度変化を低減するためのものであり、誘電体層20aと誘電体層20aの両側に位置した端子電極20bとを備えており、突起20cを形成することができる。
【0100】
このように温度補償用キャパシタ20に突起20cが形成された場合には、前記温度補償用キャパシタ20及び吸音材18は、吸音材18の突起差込溝18bに突起20cが挿入されて取付けられるように、整列して組み立てられる。
【0101】
その後、図9に図示されたように、吸音材18にピン端子22a、22bが圧入固定される。また、リード線24も圧入固定される。
【0102】
この際、ピン端子22a、22bのうち一つのピン端子22bが、圧電素子16の露出された主面側の電極と電気的に接続される。
【0103】
前記ピン端子22a、22bと、圧電素子16の露出された主面側の電極とが、電気的に良好な接続状態を維持するようにするために、圧電素子16の露出された主面側の電極に導電性接着剤を塗布することにより、接着力を高めることができる。
【0104】
その後、ケース12の内部には、発泡前の発泡性シリコーンが流入され、流入された発泡性シリコーンを加熱、発泡、硬化させることにより、ケース12の内部に発泡性樹脂26が充填される。
【0105】
この場合、余分の発泡性シリコーンは、溝18aから外側に押し出されるため、ケース12の内部では、適当な内部圧力で発泡性樹脂26が押し広がり、ケース12内部の隅部まで発泡性樹脂26を充填することができるとともに、ケース12の内部に発泡性樹脂26を均一に充填することができる。これにより、超音波センサ10が製造される。
【0106】
この超音波センサ10の製造方法によると、吸音材18にピン端子22a、22b、リード線24、キャパシタ20などを挿入する構造を有するようにして、半田付け作業による工程を減らし、量産化が可能となる。
【0107】
また、前記超音波センサ10の製造方法によると、吸音材18にピン端子22a、22b、リード線24、キャパシタ20などを挿入する構造を有するようにして、半田付け作業による工程を減らし、自動化が可能となる。
【0108】
また、前記超音波センサ10の製造方法によると、吸音材18がケース12の開口部の断面側において発泡性樹脂26によりケース12の内部から支持固定され、吸音材18の水平性を維持するとともに、例えば、外部から応力が加えられる場合にも、ピン端子22a、22bの位置精度を安定して維持することができる。
【0109】
この超音波センサ10によると、ケース12の内部に均一に充填されている発泡性樹脂26によって、ケース12全体の振動を抑制することができる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施例に対して図示及び説明したが、本発明は、上述の特定実施例に限定されず、特許請求の範囲にて請求する本発明の旨を外れずに、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることは明らかであり、このような変形実施は、本発明の技術的思想から個別的に理解されてはならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、半田付け作業による工程を減らし、量産化及び自動化が可能な超音波センサ及びその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
10 超音波センサ
12 ケース
12a 底面部
12b 側壁
12c 段差部
14 空洞部
16 圧電素子
18 吸音材
18a 段差部(溝)
18b 突起差込溝
18c 端子固定用溝
20 温度補償用キャパシタ(キャパシタ)
20a 誘電体層
20b 端子電極
20c 突起
22a、22b ピン端子
24 リード線
26 発泡性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有する筒状のケースと、
前記ケースの底面に形成される圧電素子と、
前記ケースの開口部に圧入固定され、溝を備えている吸音材と、
前記溝に挿入固定される温度補償用キャパシタと、
前記吸音材の溝を貫通し、温度補償用キャパシタの一電極と前記圧電素子の露出された電極に接続される第1のピン端子と、
前記吸音材の溝に挿入固定され、温度補償用キャパシタの他電極に接続される第2のピン端子と、
前記吸音材の溝に挿入固定され、一端子は前記第2のピン端子と接続され、他端子は前記ケースの内壁に接続されるリード線と、を含む超音波センサ。
【請求項2】
前記キャパシタは両側に突出されている一対の突起を備え、
前記吸音材は、前記キャパシタの突起に対応する位置に、対応する一対の突起差込溝を備えており、
前記キャパシタの突起は、前記吸音材の突起差込溝に差し込まれ固定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記吸音材は、不織布またはコルクであることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記吸音材は、前記第1及び第2のピン端子が挿入固定される一対の固定溝を備えており、
前記第1及び第2のピン端子は、前記一対の固定溝に夫々挿入固定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記ケースには中央に段差部が形成されており、
前記吸音材は前記ケースの段差部に密着固定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記ケースには中央に段差部が形成されており、
前記吸音材には前記ケースの段差部に対応する段差部が形成されており、
前記吸音材の段差部が前記ケースの段差部に密着固定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記ケースは、底面と前記吸音材との間に形成された発泡性樹脂をさらに含む請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項8】
(A)筒状のケース内部の底面に圧電素子を配置する段階と、
(B)前記ケースの開口部に、キャパシタが溝に備えられた吸音材を固定する段階と、
(C)前記吸音材の溝に第1のピン端子を挿入し、前記第1のピン端子がキャパシタと圧電素子の露出電極に接続されるようにする段階と、
(D)前記吸音材の溝に第2のピン端子を挿入し、前記第2のピン端子がキャパシタに接続されるようにする段階と、
(E)前記吸音材の溝にリード線を挿入し、前記リード線の一端子がケースの内壁に接続され、他端子が第2のピン端子に接続されるようにする段階と、を含む超音波センサの製造方法。
【請求項9】
前記(B)段階は、
(B−1)前記ケースの中心軸と吸音材の中心軸とが一致するように整列する段階と、
(B−2)前記ケースの開口部に吸音材を圧入固定する段階と、
(B−3)前記吸音材の溝にキャパシタを挿入固定する段階と、を含む請求項8に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項10】
前記(B)段階は、
前記(B−2)段階の前に、(B−4)前記キャパシタの両側に接着剤を塗布する段階をさらに含む請求項9に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項11】
前記(B)段階は、
(B−1´)前記吸音材の溝にキャパシタを挿入固定する段階と、
(B−2´)前記ケースの中心軸と吸音材の中心軸とが一致するように整列する段階と、
(B−3´)前記ケースの開口部に吸音材を圧入固定する段階と、を含む請求項8に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項12】
(F)前記吸音材の溝を介して前記ケースの内部に発泡性樹脂を充填する段階をさらに含む請求項8に記載の超音波センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−78099(P2013−78099A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265124(P2011−265124)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】