説明

超音波モータ及び超音波モータ付電子機器

【課題】
大きなトルクを発生させるとともに、トルクを安定させる。
【解決手段】
そこで、上記課題を解決する為に本発明の超音波モータは、圧電素子を有する矩形形状の圧電振動子と、圧電振動子の振動により圧電振動子と相対運動する移動体と、圧電振動子に加圧力を与える加圧部材と、圧電振動子の周囲に設けられ、圧電振動子が挿入される空間の内面が圧電振動子に設けられた凸部を形成する固定部材と接するように形成されており、圧電振動子を加圧部材による加圧方向に摺動して案内する案内部材と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きなトルクを発生させ、トルクを安定させた超音波モータ及び超音波モータ付き電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、マイクロモータの分野で、圧電素子の圧電効果を利用した超音波モータは、電気的エネルギーから機械的エネルギーへの高い変換効率及び装置構成の小型化、という利点から、注目されている。特に、圧電振動子自体の2モード振動により駆動力を得るタイプの超音波モータは、小型化を図る観点から、広く用いられている(図14:非特許文献1)。
【0003】
この超音波モータ100は、所定分極処理を施し、屈曲振動及び伸縮振動を生じる圧電振動子101と、圧電振動子101の中心部であり且つ屈曲振動及び伸縮振動の節を挟み込んで支持する支持部材102と、支持部材102の周縁に固定された加圧部材103と、圧電振動子101の端面を圧接された移動体104からなる。
【0004】
そして、圧電振動子101は、同時に屈曲振動及び伸縮振動を励振して、周面で楕円振動する一方、加圧力は、加圧部材103、支持部材102を介して、圧電振動子101の中心部の振動節に加えられ、圧電振動子101と移動体104とを周期的に圧接させ、両者の間に摩擦力を生じさせる。そして、移動体104は、一方向へ回転させられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】青柳学、富川義朗 斜対称形圧電板の縦−屈曲結合振動を利用した超音波モータ 第6回電磁力関連のダイナミックスシンポジュウム講演論文集 P355−360
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に係わる超音波モータの支持部材102は、圧電振動子101を狭持するにすぎないため、支持部材102の支持位置は、大きな加圧力を加えられると、振動節からずれてしまう。そして、圧電振動子に生じる屈曲振動及び伸縮振動は、不安定になる。
【0007】
また、圧電振動子101は、移動体104との圧接部から反作用の力を受けるため、加圧方向に対して垂直方向へ変位してしまい、移動体104に対する圧接部位を滑らせるので、圧電振動子101と移動体104との間に生じる摩擦力は変動する。
【0008】
以上の不安定な振動状態及び摩擦力の変動は、大きなトルクを発生させることができない、また、トルクを変動させるという問題を生じさせていた。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためなされたものであって、その目的は、大きなトルクを発生させるとともに、トルクや移動スピードを安定させた超音波モータ及び超音波モータ付電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決する為に本発明の超音波モータは、圧電素子を有する矩形形状の圧電振動子と、圧電振動子の振動により圧電振動子と相対運動する移動体と、圧電振動子に加圧力を与える加圧部材と、圧電振動子の周囲に設けられ、圧電振動子が挿入される空間の内面が圧電振動子に設けられた凸部を形成する固定部材と接するように形成されており、圧電振動子を加圧部材による加圧方向に摺動して案内する案内部材と、を有することを特徴とする。
【0011】
もしくは圧電素子を有する矩形形状の圧電振動子と、圧電振動子の振動により圧電振動子と相対運動する移動体と、固定用凸部を有し固定用凸部が圧電振動子に固定される固定部材と、加圧力の方向に沿って設けられ固定部材を加圧部材による加圧方向へ摺動して案内する案内部材と、を有することを特徴とする。
【0012】
これによれば、大きな加圧力に対しても安定にかつ圧電振動子の振動を抑制せずに圧電振動子を支持することが出来るから超音波モータからは安定に大きなトルクを取り出すことが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば大きなトルクを安定に取り出すことが出来る超音波モータを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施の形態1に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、同図(b)は底面の構造を示す説明図である。
【図2】図1に係わる圧電振動子の構造、振動状態を示す説明図である。
【図3】図1に係わる圧電振動子の構造、振動状態を示す説明図である。
【図4】図1に係わる圧電振動子に生じる伸縮振動、屈曲振動の節の位置を示す説明図である。
【図5】本発明を適用した実施の形態2に係わる超音波モータを示し、同図(a)は正面の構造、同図(b)は底面の構造を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した実施の形態3に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、(b)は底面の構造を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した実施の形態4に係わる超音波モータを示し、(a)は正面構造、(b)は底面構造を示す説明図である。
【図8】本発明を適用した実施の形態5に係わる超音波モータの正面の構造を示す。
【図9】本発明を適用した実施の形態6に係わる超音波モータを示し、(a)は側面の構造、(b)は、背面の構造、(c)は底面から観察した構造を示す説明図である。
【図10】図9に係わる圧電振動子の積層構造を示す説明図である。
【図11】本発明を適用した実施の形態7に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、(b)は側面の構造を示す説明図である。
【図12】本発明を適用した実施の形態8に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、(b)は側面の構造を示す説明図である。
【図13】本発明を適用した実施の形態9に係わる超音波モータ付電子機器のブロック図を示す説明図である。
【図14】従来技術に係わる超音波モータの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図13を参照して本発明を適用した実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明を適用した実施の形態1に係わる超音波モータを示し、同図(a)は正面の構造を、同図(b)は底面の構造を示す。
【0017】
この超音波モータは、圧電振動子11と、圧電振動子11の図中底面に設けた本発明の振動拡大部材12と、圧電振動子11の図中上面に設けた低弾性率部材13と、圧電振動子11の周囲に配置した本発明の節案内部材としての案内ケース14と、案内ケース14の上面に設けた加圧部材15と、案内ケース14の側部を嵌め合わせた案内板16とからなり、振動拡大突起12の先端は移動体17に圧接させている。
【0018】
図2、図3は、圧電振動子の構造、振動状態を示す図である。
【0019】
圧電振動子11は、第1の圧電振動子111と、第1の圧電振動子111に積層させた第2の圧電振動子112からなる。各圧電振動子111、112は、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料を用いて作製される。
【0020】
第1の圧電振動子111は、図中表側を(−)、裏側を(+)として略全面を厚み方向へ分極処理し、分極部111aとしている。また、表側の全面及び裏側の全面に電極を形成する。
【0021】
第2の圧電振動子112は、矩形体を4分割して、各分割部に対して図中表側を(+)、裏側を(−)として厚み方向へ分極処理した第1の分極部112a、第2の分極部112b、第3の分極部112c、第4の分極部112dを有する。また、各分極部112a…112dの表側にはそれぞれ電極を形成し、他方、第2の圧電振動子112の裏側には、全面に対極として電極を形成する。また、第1の分極部112aの電極と第2の分極部112bの電極とを導線で導通し、第3の分極部112cと第4の分極部112dの電極とを導線で導通する。
【0022】
そして、第1の圧電振動子111の分極部111a、第2の圧電振動子112の第1の分極部112aと第2の分極部112bに駆動信号を入力すると、図2に示すように、伸縮振動V1が第1の圧電振動子111に生じ、屈曲振動V2及び図示しない伸縮振動が第2の圧電振動子112に生じ、一方向に回転する楕円振動V3が屈曲振動V2等と伸縮振動V1とにより圧電振動子11の各周面に生じる。
【0023】
このように、第1の圧電振動子111、第2の圧電振動子112のそれぞれに、伸縮振動V1、屈曲振動V2を生じさせるので、圧電振動子11の楕円振動V3は大きく変位し、大きなトルクを生じさせる。
【0024】
一方、第2の圧電振動子112の第3の分極部112cと第4の分極部112d、第1の圧電振動子111の分極部111aに駆動信号を入力すると、図3に示すように、屈曲振動V1と180°位相の異なる屈曲振動V4及び図示しない伸縮振動が第2の圧電振動子112に生じ、楕円振動V3と逆方向へ回転する楕円振動V5が圧電振動子11に生じる。
【0025】
なお、第2の圧電振動子112のみ用いて、これに生じる屈曲振動V2、V4及び伸縮振動により、圧電振動子11に楕円振動を生じさせてもよい。
【0026】
図4は、圧電振動子に生じる伸縮振動、屈曲振動の節の位置を示す。
【0027】
同図(a)に示す矩形体の圧電振動子11に対し、伸縮振動V1が生じると、同図(b)に示すように、矩形体の長辺の中心が節N1になる。一方、屈振動V2、V4が生じると、矩形体の長辺に沿って等間隔に3箇所が節N2、N3、N4になる。なお、本実施の形態では、伸縮振動V1の節N1と屈曲振動V2、V4の節N3の位置は一致している。
【0028】
また、図1に示すように、振動拡大部材12は、圧電振動子11の移動体17との圧接部位11a、即ち、短辺の略中央部に固定されている。そして、圧電振動子11の楕円振動V3、V5を拡大させ、大きな振動変位で移動体17に圧接し、移動体17との間に大きな摩擦力を生じさせる。
【0029】
低弾性率部材13は、圧電振動子11より弾性率の低い材料、例えば、樹脂、ゴム、プラスチックからなり、圧電振動子11の伸縮振動V1、屈曲振動V2、V4を案内ケース14へ伝達させず、伸縮振動V1等を減衰させない。
【0030】
案内ケース14は、正面コの字状の本体と、図中コの字状本体の両腕部から圧電振動子11へ向かって突出する第1の節案内部14a、14a、第2の節案内部14b、14bと、本体上部から圧電振動子11へ向かって突出する突出部14cからなる。ここで、案内ケース14は、屈曲振動及び伸縮振動を伝達させず、屈曲振動等を減衰させない観点から、圧電振動子11より弾性率の低い材料、例えば、プラスチック等の樹脂、ゴムで作製する。
【0031】
第1の節案内部14a、14a、図1(b)に示すように、圧電振動子11のうち屈曲振動の節N2に位置し、この圧電振動子11の節N2であって、加圧部材15の加圧する方向と垂直な幅方向の対向する両部位および厚み方向の対向する両部位に当接する。そして、圧電振動子11は加圧方向に対して垂直な方向へ移動せず、加圧方向に案内されるので、屈曲振動及び伸縮振動は安定し、圧電振動子11と移動体17との圧接部位は変位しない。
【0032】
第2の節案内部14b、14bは、圧電振動子11のうち屈曲振動の節N4に位置し、圧電振動子11の節N4であって、加圧部材15の加圧する方向と垂直な幅方向において、対向する両部位、及び加圧方向に対して垂直な厚み方向において、対向する両部位に対して当接する。
【0033】
なお、第1の節案内部14a、第2の節案内部14bと圧電振動体11との間に、圧電振動子11より弾性率の低いゴム、プラスチック等の樹脂からなる低弾性率のシートを介在させてもよい。
【0034】
突出部14cは、圧電振動子11の移動体17との圧接部11a、即ち、振動拡大部材12を設けた部位、と反対側の対応する部位に設けられており、加圧部材15の全ての加圧力を圧電振動子11に伝える。
【0035】
加圧部材15は、例えば、コイルばねを用い、案内ケース14の突出部14c、低弾性率部材13を介して、圧電振動子11の移動体17との圧接部位11aと反対側の対応する部位を圧接部位へ加圧する。そして、全ての加圧力は、振動拡大部材12を経由して移動体17に加わるので、振動拡大部材12と移動体17との間に生じる摩擦力は大きくなる。なお、加圧部材15には、ゴム、板ばね等の弾性部材を用いてもよい。
【0036】
案内板16は、案内ケース14の側部を入り込ませる案内溝16aを加圧部材15の加圧方向に沿って形成し、案内ケース14を加圧方向へ案内する。
【0037】
次に、図1から図3に基づいて、超音波モータの使用方法について説明する。
【0038】
移動体17を一方向へ移動させる場合、第1の圧電振動子111の分極部111a、第2の圧電振動子112の第1の分極部112a、第2の分極部112bに駆動信号を入力すればよい。
【0039】
伸縮振動V1が第1の圧電振動子111に生じ、屈曲振動V2が第2の圧電振動子112に生じ、楕円振動V3が圧電振動子11の周面に生じる。楕円振動V3は、振動拡大部材12により、拡大させられる。一方、加圧部材15は、案内ケース14の突出部14c、低弾性率部材13を介して、圧電振動子11のうち移動体17との圧接部位11aと反対側の対応する部位を圧接部位11aへ向かって加圧し、移動体17上に振動拡大部材12を圧接させる。
【0040】
このとき、全ての加圧力が圧電振動子11と移動体17との圧接部11aに加わり、また、案内ケース14は、屈曲振動及び伸縮振動に対しても、圧電振動子11を加圧方向と垂直な方向へ移動させず、加圧方向のみに案内するので、圧電振動子11に生じる屈曲振動及び伸縮振動は安定し、圧電振動子11の移動体17との圧接部位11aは滑らないので、圧電振動子11と移動体17との間に大きな加圧力が加わる。
【0041】
そして、振動拡大部材12と移動体17との間に、大きな摩擦力が生じ、移動体17は、一方向へ高速で移動する。
【0042】
一方、移動体17を逆方向へ移動させる場合は、第1の圧電振動子111の分極部111a、第2の圧電振動子112の第3の分極部112c、第4の分極部112dに駆動信号を入力すればよい。
【0043】
伸縮振動V1が第1の圧電振動子111に生じ、屈曲振動V4が第2の圧電振動子112に生じ、逆回転の楕円振動V5が圧電振動子11の周面に生じ、楕円振動V5は、振動拡大部材12により、拡大させられる。一方、加圧部材15は、案内ケース14の突出部14c、低弾性率部材13を介して、圧電振動子11のうち移動体17との圧接部位11aと反対側の部位を圧接部位11aへ向かって加圧し、移動体17上に振動拡大部材12を圧接させる。そして、移動体17は、逆方向の摩擦力を受け、一の方向と逆の方向へ移動する。
【0044】
以上より、本実施の形態によれば、加圧部材15により、全ての加圧力が圧電振動子11に設けた振動拡大突起12と移動体17との圧接部11aに加わるので、大きなトルクを発生させる。
【0045】
また、案内ケース14は、屈曲振動及び伸縮振動に対しても、圧電振動子11を加圧方向と垂直な方向へ移動させずに、加圧方向のみに案内するので、圧電振動子11に生じる屈曲振動及び伸縮振動は安定する。したがって、圧電振動子11の移動体17との圧接部位11aは滑らないので、圧電振動子11の圧接部位11aに設けた振動拡大部材12と移動体17との間に大きな加圧力が加わり、大きなトルクを発生させるとともに、トルクを安定させる。
【0046】
また、第1の圧電振動子111と第2の圧電振動子112とを積層させ、それぞれに、伸縮振動V1、屈曲振動V2を生じさせるので、圧電振動子11の楕円振動V3は大きく変位し、より大きなトルクを生じさせる。
【0047】
また、振動拡大部材12は、圧電振動子11の楕円振動V3、V5を拡大させ、移動体17との間に大きな摩擦力を生じさせるので、大きなトルクを生じさせ、移動体17を高速で移動させる。
【0048】
また、加圧部材15と圧電振動子11との間に低弾性率部材13を介在させるので、屈曲振動及び伸縮振動の伝達を防止し、屈曲振動等を減衰させない。
【0049】
また、案内ケース14は、圧電振動子11より弾性率の低い材料からなるので、屈曲振動及び伸縮振動の伝達を防止し、屈曲振動等を減衰させない。
【0050】
なお、第1の節案内部14a、第2の節案内部14bと圧電振動体11との間に、圧電振動子11より弾性率の低い低弾性率のシートを介在させれば、屈曲振動及び伸縮振動の伝達を防止し、屈曲振動等を減衰させない。
【0051】
(実施の形態2)
図5は、本発明を適用した実施の形態2に係わる超音波モータを示し、同図(a)は正面の構造、同図(b)は底面の構造を示す。
【0052】
この超音波モータは、圧電振動子11と、圧電振動子11の下部に設けた振動拡大部材12と、圧電振動子11のうち振動拡大部材12の反対側に設けたバランス用突起21と、バランス用突起21の上面に圧接する加圧部材15と、圧電振動子11の伸縮振動の節に当接する本発明の節案内部材としての案内ケース22からなる。なお、以下実施の形態1と同一の部材については、同一番号を付し説明を省略する。
【0053】
ここで、バランス用突起21は、振動拡大部材12と同一物であり、圧電振動子11のうち振動拡大部材12と反対側の対応する部位に設けられている。そして、圧電振動子11の振動バランスを保ち、屈曲振動及び伸縮振動を安定させる。
【0054】
案内ケース22は、図5(b)に示すように、矩形体の内部に略十字状の空間22aを成形し、この十字状の空間22aに圧電振動子11を入り込ませ、案内ケース22の内面を、圧電振動子11の幅方向において対向する両部位、厚み方向において対向する両部位に当接させる。そして、圧電振動子11は、加圧方向に対して垂直な方向へ移動せず、加圧方向へ案内される。
【0055】
次に、この超音波モータの動作について説明する。
【0056】
圧電振動子11に屈曲振動及び伸縮振動を生じさせ、周面に楕円振動を生じさせ、楕円振動の変位は、振動拡大部材12により、拡大する。一方、加圧部材15はバランス用突起21を介して圧電振動子11を加圧し、振動拡大部材12と移動体17とを圧接させる。
【0057】
このとき、案内ケース22は、加圧方向に対して垂直な方向へ圧電振動子11を移動させず、屈曲振動及び伸縮振動を安定させるとともに、振動拡大部材12の移動体17との圧接部位を変位しない。
【0058】
また、バランス用突起21は、圧電振動子11の上部と下部の慣性モーメント、剛性を等しくし、圧電振動子11のバランスを保つので、屈曲振動等を安定させ、節を中心に形成する。
【0059】
そして、移動体17と振動拡大部材12との間に摩擦力が生じ、移動体17は、一方向へ移動する。
【0060】
以上より、本実施の形態によれば、案内ケース22により、圧電振動子11を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向のみへ案内し、屈曲振動及び伸縮振動を安定させるとともに、振動拡大部材12と移動体17との圧接部位を滑らせないようにするので、大きな加圧力が圧電振動子11と移動体17との間に加わる。その結果、実施の形態1と同様に大きなトルクを発生させるとともに、トルクを安定させる。
【0061】
また、バランス用突起21により、圧電振動子11のバランスを保つようにしたので、屈曲振動及び伸縮振動を安定させる。
【0062】
(実施の形態3)
図6は、本発明を適用した実施の形態3に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、(b)は底面の構造を示す。
【0063】
この超音波モータは、圧電振動子11と、圧電振動子11の下面に設けた振動拡大部材23と、圧電振動子11の振動節の周囲に設けた本発明の節案内部材として案内ケース24と、圧電振動子11の上面に設けた低弾性率部材13と、低弾性率部材13の上面に圧接する加圧部材15からなる。
【0064】
ここで、低弾性率部材13は、圧電振動子11から加圧部材15へ屈曲振動及び伸縮振動を伝達させず、屈曲振動等を減衰させない。
【0065】
振動拡大部材23は、移動体17との圧接部位に曲面23aを有する。この曲面23aは、振動拡大部材23を加圧方向に対して傾けて圧接させたとき、移動体17との間に生じる摩擦を均一にし、特定の一箇所を激しく摩耗させない。そして、移動体17に一定の加圧力を加え、移動体17を一定速度で移動させる。
【0066】
案内ケース24は、内部を空洞にした直方体の中に、圧電振動子11の屈曲振動の節へ向かって突出した第1の節案内部24a、24a、第2の節案内部24b、24bと、圧電振動子11の伸縮振動の節に向かって突出した第3の節案内部24c、24c、24cを有する。
【0067】
第1の節案内部24a、24a、第2の節案内部24b、24bは、圧電振動子11のうち屈曲振動の節であって加圧方向と垂直な幅方向の対向する両部位に当接する。また、第3の節案内部24c、24c、24cは、圧電振動子11のうち伸縮振動の節であって、加圧方向と垂直な厚み方向において、対向する両側に当接する。
【0068】
そして、案内ケース24の第1の節案内部24a、24a、第2の節案内部24b、24bは、加圧方向に対して垂直な幅方向へ圧電振動子11を移動させず、また、第3の節案内部24c、24c、24cは、加圧方向に対して垂直な厚み方向へ圧電振動子11を移動させない。即ち、圧電振動子11は、加圧方向に対して垂直な方向へ移動せず、加圧方向へ案内される。
【0069】
以上より、本実施の形態によれば、案内ケース24により、圧電振動子11を加圧方向に垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内させるようにしたので、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0070】
また、振動拡大部材23のうち移動体17との圧接部位を曲面23aとし、移動体17との間に生じる摩擦による偏摩耗を防止するようにしたので、移動体17は一定の加圧力を加えられ、トルクは一定になる。
【0071】
(実施の形態4)
図7は、本発明を適用した実施の形態4に係わる超音波モータを示し、(a)は正面構造、(b)は底面構造を示す。
【0072】
この超音波モータは、圧電振動子11と、圧電振動子11の下面に設けた振動拡大部材12と、圧電振動子11の周囲に配置した本発明の節案内部材、案内部材としての案内ケース25と、圧電振動子11の伸縮振動の節に固定した固定部材26、26と、圧電振動子11のうち振動拡大部材12に対して反対側の部位に圧接する加圧部材15とからなる。
【0073】
ここで、案内ケース25は、内部を空洞とした直方体であり、圧電振動子11の屈曲振動の節の位置で内側へ突出する第1の節案内部25a、25a及び第2の節案内部25b、25bを有し、直方体の対向する両内面に加圧方向に沿って案内溝25c、25cを形成している。
【0074】
第1の節案内部25a、25a、第2の節案内部25b、25bは、圧電振動子11のうち屈曲振動の節であって、加圧方向に対して垂直な幅方向において、対向する両部位に当接する。
【0075】
固定部材26、26のそれぞれ端面は、同図(b)に示すように、圧電振動子11の加圧方向と垂直な厚み方向において、案内溝25c、25cに対して当接する。
【0076】
そして、案内ケース25の第1の節案内部25a、25a、第2の節案内部25b、25bは、加圧方向に対して垂直な幅方向へ圧電振動子11を移動させず、加圧方向へ案内する。また、固定部材26、26と案内溝25c、25cは、加圧方向に対して垂直な厚み方向へ圧電振動子11を移動させず、加圧方向へ案内する。即ち、圧電振動子11は、加圧方向に対して垂直な方向へ移動せず、加圧方向へ案内されるので、伸縮振動及び屈曲振動は安定し、圧電振動子11に設けた振動拡大部材12と移動体17との圧接部は変位しない。
【0077】
以上より、本実施の形態によれば、案内ケース25は、圧電振動子11を加圧方向と垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内するようにしたので、実施の形態1と同様に、大きなトルクが得られるとともに、トルクは安定する。
【0078】
(実施の形態5)
図8は、本発明を適用した実施の形態5に係わる超音波モータの正面の構造を示す。
【0079】
この超音波モータは、圧電振動子11と、圧電振動子11の下面に設けた振動拡大部材12と、圧電振動子11の周囲に設けた本発明の節案内部材、端部案内部材としての案内ケース27と、案内ケース27の上面に圧接する加圧部材15と、案内ケース26の側部を嵌め合わせた案内板16からなり、振動拡大部材12の先端は、円盤状の移動体28に圧接している。
【0080】
ここで、案内ケース27は、コの字状の案内ケース本体の両腕から圧電振動子11の伸縮振動の節に向けて突出する節案内部27a、27aと、案内ケース本体の角部から圧電振動子11へ突出する端部案内部27bを有する。
【0081】
節案内部27a、27aは、圧電振動子11のうち伸縮振動の節であって、加圧部材15の加圧する方向と垂直な幅方向において対向する両部位および加圧方向に対して垂直な厚み方向において対向する両部位に対して当接する(図1(b)参照)。
【0082】
端部案内部27b、27bは、圧電振動子11のうち振動拡大部材12と反対側の端部であって、加圧部材15の加圧する方向と垂直な幅方向において、対向する両部位及び加圧方向に対して垂直な厚み方向において、対向する両部位、並びに、移動体27との圧接部と反対側の端面に当接する。
【0083】
そして、節案内部27a、27a、端部案内部27b、27bは、圧電振動子11を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内する。 また、加圧部材15は、圧電振動子11のうち振動拡大部材12と反対側の対応する部位と振動拡大部材12とを結ぶ方向へ、案内ケース27を加圧し、振動拡大部材12と移動体28との間に、全ての加圧力が加わる。
【0084】
次に、この超音波モータの動作について説明する。
【0085】
圧電振動子11に伸縮振動及び屈曲振動を生じさせ、また、加圧部材15により、案内ケース27を介して圧電振動子11を加圧し、振動拡大部材12を移動体27に圧接させる。
【0086】
このとき、節案内部27a、27a、端部案内部27b、27bは、圧電振動子11を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内するので、屈曲振動及び伸縮振動は安定し、圧電振動子11の移動体28との圧接部位は変位しない。そして、移動体28は一方向へ回転する。
【0087】
以上より、本実施の形態によれば、案内ケース27の節案内部27a、27a、端部案内部27b、27bは、圧電振動子11を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内し、屈曲振動及び伸縮振動を安定させ、圧電振動子11の移動体28との圧接部位を変位されないので、大きな加圧力が振動拡大部材12と移動体28の圧接部に加わり、大きなトルクを発生させるとともに、トルクを安定させる。
【0088】
さらに、加圧部材15により、振動拡大部材12と反対側の対応する部位から振動拡大部材12へ加圧するようにしたので、振動拡大部材12と移動体28との間に、全ての加圧力が加わり、大きなトルクを発生させる。
【0089】
(実施の形態6)
図9は、本発明を適用した実施の形態6に係わる超音波モータを示し、(a)は側面の構造、(b)は、背面の構造、(c)は底面から観察した構造を示す。 この超音波モータは、積層型の圧電振動子31と、圧電振動子31の底面に設けた振動拡大部材12と、圧電振動子31の屈曲振動の節に固定された固定部材32と、圧電振動子31の上面を圧接する加圧部材15と、固定部材32と嵌合した本発明の案内部材としての案内板33からなり、振動拡大部材12は、移動体17に圧接している。
【0090】
図10は、圧電振動子の積層構造を示す図である。
【0091】
圧電振動子31は、同図(a)〜(d)に示す第1の圧電振動子311と、第2の圧電振動子312と、第3の圧電振動子313と、第4の圧電振動子314を積層して焼き固めた構造である。
【0092】
第1の圧電振動子311、第2の圧電振動子312は、同図(a)、(b)に示すように、略全面に図中表側を(+)、裏側を(−)として分極処理を施し、分極部311a、312aとしている。また、分極部311a、312aに対応して表側に電極を形成する。また、屈曲振動の節部に固定部材32を貫通させる2つの貫通孔311b、311b、312b、312bを形成している。
【0093】
第3の圧電振動子313、第4の圧電振動子314は、同図(c)、(d)に示すように、矩形体を4分割した各分割部に対して表側を(+)、裏側を(−)として分極処理を施し、第1の分極部313a、314a、第2の分極部313b、314b、第3の分極部313c、314c、第4の分極部313d、314dとしている。また、屈曲振動の節部に固定部材32を貫通させる貫通孔313e、313e、314e、314eを形成している。
【0094】
また、第1の圧電振動子311、第2の圧電振動子312、第3の圧電振動子313、第4の圧電振動子314の裏側には、同図(e)に示すように、略全面に電極を形成し、表側の電極の対極としている。
【0095】
また、圧電振動子31の一方の側面には、同図(g)に示すように、第1の側面電極31a、第2の側面電極31b、第3の側面電極31cを厚み方向へ形成し、反対の側面に第4の側面電極、第5の側面電極を形成する。
【0096】
第1の側面電極31aは、第1の圧電振動子311の分極部311aに形成した電極と第2の圧電振動子312の分極部312aに形成した電極とを導通させる。第2の側面電極31bは、第3の圧電振動子313の第1の分極部313aに形成した電極と第4の圧電振動子314の第1の分極部314aに形成した電極とを導通させる。第3の側面電極31cは、第3の圧電振動子313の第4の分極部313dに形成した電極と第4の圧電振動子314の第4の分極部314dに形成した電極とを導通させる。第4の側面電極は、第3の圧電振動子313の第2の分極部313bに形成した電極と第4の圧電振動子314の第2の分極部314bに形成した電極とを導通させる。第5の側面電極は、第3の圧電振動子313の第3の分極部313cに形成した電極と第4の圧電振動子314の第
3の分極部314cに形成した電極とを導通させる。
【0097】
なお、同図(f)に、例えば第1の圧電振動子311を用いて示すように、後述する固定軸321、321を貫通させる各圧電振動子311、312、313、314に貫通孔311b、312b、313e、314eより径の大きく電極311cを形成し、電極311cと固定軸321、321との間に、円環状の絶縁スペース311d、311dを設けてもよい。このようにすれば、固定軸321、321と電極311cとは絶縁され、両者の短絡は防止される。
【0098】
また、図9に示すように、固定部材32は、圧電振動子31に貫通した固定軸321と、固定軸321の周囲にあって、圧電振動子31に当接させたゴムシート322、322と、固定軸321とネジで固定したプレート323と、プレート323と圧電振動子31との間に配設したナット324、324とからなる。
【0099】
固定軸321、321は、ナット324及びプレート323を固定する部位の周面にネジを形成している。ゴムシート322は、圧電振動子31より低い弾性率なので、圧電振動子31から振動もれを防止する。プレート323は、同図(c)に示すように、加圧方向に沿って断面台形状に成形している。
【0100】
この固定部材32の組立方法は、圧電振動子31の屈曲振動の節に設けた貫通孔311b…314eに、固定軸321を貫通させ、次に、固定軸321に沿った圧電振動子31の両面にゴムシート322を当接させた状態で、固定軸321にナット324、324をプレート323を通すとともに、固定軸321を回転させてナット324、324を締め、圧電振動子31に固定させる。
【0101】
案内板33は、圧電振動子31の加圧方向に沿って設けられ、加圧方向に沿って、断面台形状の案内溝33aを形成し、この案内溝33aにプレート323を嵌め合わせている。そして、プレート323と対になって、固定部材32を加圧方向へ案内し、また、断面台形状の案内溝33aの下辺と斜辺をプレート323に当接させているので、固定部材32を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させない。
【0102】
加圧部材15は、圧電振動子31のうち振動拡大部材12と反対側の部位を振動拡大部材12へ加圧する。なお、加圧部材15は、前述の加圧方向へ固定部材32の固定軸321を加圧してもよいし、プレート323の端面を加圧してもよい。
【0103】
次に、この超音波モータの動作について説明する。
【0104】
第1の圧電振動子311と第2の圧電振動子312に伸縮振動を生じさせ、第3の圧電振動子313と第4の圧電振動子314に屈曲振動を生じさせ、振動拡大部材12を楕円振動させる。一方、加圧部材15は、振動拡大部材12と反対側の対応する部位を振動拡大部材12へ加圧する。
【0105】
このとき、案内板33はプレート323とともに、固定部材32を加圧方向へ案内するとともに、固定部材32を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させない。また、固定部材32に固定した圧電振動子31も加圧方向へ案内され、加圧方向に対して垂直な方向へ移動しない。よって、屈曲振動及び伸縮振動は安定し、圧電振動子31の移動体17との圧接部位は変位しない。
【0106】
そして、振動拡大部材12と移動体17との間に大きな摩擦力が生じ、移動体17は高速で移動する。
【0107】
以上より、本実施の形態によれば、固定部材32と案内板33とにより、圧電振動子31を加圧方向に案内し、加圧方向に対して垂直な方向へ移動させないようにし、屈曲振動及び伸縮振動を安定させ、振動拡大部材12と移動体17との圧接部位を滑らせないようにしたので、圧電振動子31に大きな加圧力を加えられ、大きなトルクを生じさせるとともに、トルクを安定させる。
【0108】
また、固定軸321と電極311cとの間に絶縁スペース311dを設けるので、固定軸321と電極311cとは絶縁され、電極311cと固定軸321との短絡は防止される。
【0109】
また、圧電振動子31は、第1の圧電振動子311と第2の圧電振動子312に伸縮振動を生じさせ、第3の圧電振動子313と第4の圧電振動子314とにより屈曲振動を生じさせるので、さらに大きなトルクを発生させる。
【0110】
(実施の形態7)
図11は、本発明を適用した実施の形態7に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、(b)は側面の構造を示す。
【0111】
この超音波モータは、圧電振動子31と、圧電振動子31の底面に設けた振動拡大部材12、12と、圧電振動子31の振動拡大部材12、12と反対側の対応する部位に設けたバランス用突起21、21と、バランス用突起21、21の上面を加圧する加圧部材15、15と、圧電振動子31の厚み方向に固定された固定部材36と、固定部材36に対して当接する案内部材37から構成されている。
【0112】
ここで、固定部材36は、加圧方向に対して垂直な方向へ圧電振動子31の伸縮振動の節を貫通する固定軸36aと、圧電振動子31と案内部材37との間に設けたスペーサ36b、36bからなる。
【0113】
案内部材37は、コ字状の各先端部に圧電振動子31の加圧方向へ延びる案内溝37a、37aを形成している。この案内溝37a、37aの各側面は、固定軸36aのうち加圧方向に対して垂直な圧電振動子31の厚み方向において、対向する両先端面に当接するとともに、固定軸36aのうち加圧方向に対して垂直な圧電振動子31の長手方向において、対向する両部位に当接している。
【0114】
そして、案内部材37は、加圧方向に対して垂直方向へ固定軸36aを移動させず、加圧方向へのみ案内し、固定軸36aを固定した圧電振動子31も加圧方向に対して垂直な方向へ移動せず、加圧方向へ案内される。
【0115】
以上より、本実施の形態によれば、案内部材37、固定部材36により、圧電振動子31を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内し、屈曲振動及び伸縮振動を安定させ、振動拡大部材12、12の移動体17との圧接部を変位させないようにしたので、移動体17と振動拡大部材12、12との間に大きな加圧力が加わり、大きなトルクを発生させるとともに、トルクを安定させる。
【0116】
また、加圧部材15、15により、圧電振動子31のうち振動拡大部材12、12と反対側の部位を振動拡大部材12、12へ向けて加圧するようにしたので、全ての加圧力は、振動拡大部材12、12と移動体17との圧接部位に加わり、大きなトルクを発生させる。
【0117】
また、圧電振動子31のうち振動拡大部材12、12に対して反対側の部位にバランス用突起21、21を設けているので、圧電振動子31の上部と下部の慣性モーメントは等しくなり、圧電振動子31のバランスは保たれ、屈曲振動及び伸縮振動は安定する。
【0118】
(実施の形態8)
図12は、本発明を適用した実施の形態8に係わる超音波モータを示し、(a)は正面の構造、(b)は側面の構造を示す。
【0119】
この超音波モータは、圧電振動子31と、圧電振動子31の底面に設けた振動拡大部材12、12と、圧電振動子31に固定された固定部材41と、固定部材41を当接させた案内部材42、42と、固定部材41に圧接させた加圧部材15からなる。
【0120】
ここで、固定部材41は、圧電振動子31の屈曲振動の節を加圧方向へ垂直な方向へ貫通する固定軸41a、41aと、固定軸41a、41aの両端部を固定するコ字状部材41cと、コの字状部材41cと圧電振動子31との間のスペースに設けたスペーサ41b、41bと、コ字状部材41cの上面から加圧方向と平行に上方へ突出する円柱状部材41d、41dからなる。
【0121】
案内部材42、42は、断面円環状であり圧電振動子31の加圧方向へ延びている。また、内周面に固定部材41の円柱状部材41d、41dの外周面を当接させ、円柱状部材41d、41dを摺動自在としている。
【0122】
そして、案内部材42、42は、円柱状部材41d、41dを加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内する。即ち、固定部材41に固定する圧電振動子31は加圧方向に対して垂直な方向へ移動せず、加圧方向へ案内する。
【0123】
以上より、本実施の形態によれば、固定部材41、案内部材42により、圧電振動子31を加圧方向に対して垂直な方向へ移動させず、加圧方向へ案内するようにし、屈曲振動及び伸縮振動を安定させ、振動拡大部材12、12の移動体17との圧接部位を変位させないようにしたので、振動拡大部材12、12と移動体17との間に大きな加圧力が加えられ、大きなトルクを発生させるとともに、トルクを安定させる。
【0124】
(実施の形態9)
図13は、本発明を適用した実施の形態9に係わる超音波モータ付電子機器のブロック図を示す。
【0125】
超音波モータ付電子機器50は、前述の圧電振動子51と、圧電振動子51により可動される移動体52と、移動体52と圧電振動子51とを加圧する加圧機構53と、移動体52と連動して可動する伝達機構54と、伝達機構54の動作に基づいて運動する出力機構55を備えることにより実現する。
【0126】
ここで、伝達機構54には、例えば、歯車、摩擦車等の伝達車を用いる。出力機構55には、例えば、カメラにおいてはシャッタ駆動機構、レンズ駆動機構を、電子時計においては指針駆動機構、カレンダ駆動機構を、工作機械においては刃具送り機構、加工部材送り機構等を用いる。
【0127】
超音波モータ付電子機器50としては、例えば、電子時計、計測器、カメラ、プリンタ、印刷機、工作機械、ロボット、移動装置などに適用される。
【0128】
なお、移動体52に出力軸を取り付け、出力軸からトルクを伝達するための動力伝達機構を有する構成にすれば、超音波モータ単体で駆動機構が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の超音波モータは、精密な位置決めが必要とされるステージの他、情報記録機器における読み取りヘッド並びに書き込みヘッドの駆動、デジタルカメラ、ビデオカメラ等におけるレンズの駆動、更には小型、薄型、低消費電力が要求される腕時計における様々な駆動部(カレンダ、指針等)の駆動にも使用可能であり、様々な電子機器の駆動源として適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
超音波モータ 10
圧電振動子 11
振動拡大部材 12
低弾性率部材 13
案内ケース 14
加圧部材 15
バランス用突起 21
案内ケース 22
振動拡大突起 23
案内ケース 24
案内ケース 25
固定部材 26
案内ケース 27
圧電振動子 31
絶縁スペース 311c
固定部材 32
案内板 33
固定部材 36
案内部材 37
固定部材 41
案内部材 42

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を有する矩形形状の圧電振動子と、
前記圧電振動子の振動により前記圧電振動子と相対運動する移動体と、
前記圧電振動子に加圧力を与える加圧部材と、
前記圧電振動子の周囲に設けられ、前記圧電振動子が挿入される空間の内面が前記圧電振動子に設けられた凸部を形成する固定部材と接するように形成されており、前記圧電振動子を前記加圧部材による加圧方向に摺動して案内する案内部材と、
を有することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
前記案内部材の前記圧電振動子が挿入される空間の内面が前記圧電振動子の側面と接することを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
前記固定部材は前記圧電振動子が励振する振動の節部近傍に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
前記固定部材は前記圧電振動子が励振する縦振動と屈曲振動の共通の節部近傍に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波モータ。
【請求項5】
圧電素子を有する矩形形状の圧電振動子と、
前記圧電振動子の振動により前記圧電振動子と相対運動する移動体と、
固定用凸部を有し前記固定用凸部が前記圧電振動子に固定される固定部材と、
前記加圧力の方向に沿って設けられ前記固定部材を前記加圧部材による加圧方向へ摺動して案内する案内部材と、
を有することを特徴とする超音波モータ。
【請求項6】
前記圧電振動子は前記移動体と接する突起を有し、前記突起は前記圧電振動子との接合面の面積が前記移動体との接触面積よりも大きくなる形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記突起は前記圧電振動子と前記移動体の相対運動方向に設けられた曲面部を有することを特徴とする請求項6に記載の超音波モータ。
【請求項8】
前記突起が設けられている前記圧電振動子の側面と反対側の側面にはバランス用突起が設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の超音波モータ。
【請求項9】
前記加圧部材はバランス用突起を加圧することを特徴とする請求項8に記載の超音波モータ。
【請求項10】
前記圧電振動子に形成した電極と前記固定部材との間に、両者を絶縁する絶縁スペースを設けたことを特徴とする請求項5に記載の超音波モータ。
【請求項11】
前記圧電振動子は、伸縮振動を生じる第1の圧電振動子と屈曲振動を生じる第2の圧電振動子とを積層させたことを特徴とする請求項1から10のうち何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうち何れか1項に記載の超音波モータを備えたことを特徴とする超音波モータ付電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−118735(P2009−118735A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46749(P2009−46749)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【分割の表示】特願2007−112766(P2007−112766)の分割
【原出願日】平成10年6月1日(1998.6.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】