超音波モータ
【課題】超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供すること。
【解決手段】2相の駆動信号を振動子に印加して当該振動子に楕円振動を発生させ、該楕円振動から駆動力を得て被駆動部材を摩擦駆動する超音波モータを次のように構成する。すなわち、前記2相の駆動信号を生成する信号生成回路25と、当該超音波モータの駆動状態を変化させるように、前記2相の駆動信号の位相差を複数回切り替える制御を行う信号制御回路23と、を前記超音波モータに具備させる。
【解決手段】2相の駆動信号を振動子に印加して当該振動子に楕円振動を発生させ、該楕円振動から駆動力を得て被駆動部材を摩擦駆動する超音波モータを次のように構成する。すなわち、前記2相の駆動信号を生成する信号生成回路25と、当該超音波モータの駆動状態を変化させるように、前記2相の駆動信号の位相差を複数回切り替える制御を行う信号制御回路23と、を前記超音波モータに具備させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子等の振動子の振動を利用する超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、圧電素子などの振動子の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、ストロークが長く高分解能である点、静粛性に富む点、磁気的ノイズを発生せず磁気的ノイズの影響を受けない点等の利点を有している。
【0003】
そして超音波モータでは、超音波振動子を、摩擦部材である駆動子を介して、相対運動部材である被駆動部材に押し付けることで、前記駆動子と前記被駆動部材との間に摩擦力を発生させ、この摩擦力によって前記被駆動部材を駆動する。そして、このように摩擦駆動を行うことから、超音波モータは摩擦に係る部材における磨耗の問題を孕んでいる。当然ながら、この磨耗の問題は、当該超音波モータの耐久性の問題に繋がる。
【0004】
ところで、例えばカメラにおけるレンズのAF動作等に用いられる超音波モータにおいては高精度な位置制御が必要とされている。より詳細には、このような位置制御に用いられる超音波モータにおいては、低速度で安定した駆動が望まれている。
【0005】
このように低速且つ安定な駆動を実現する超音波モータの駆動方法としては、当該超音波モータの駆動信号を周期的にON/OFFする間欠駆動を挙げることができる。このような従来行われている駆動方法によれば、超音波モータを低速で動作させる際に、駆動信号として間隔及び幅の双方共一定に設定したバースト信号を用いる。従って、このバースト信号の強勢な周波数成分が一定になり、その周波数に対応した耳障りな雑音が発生してしまう。
【0006】
このような事情に鑑みて、特許文献1に次のような技術が開示されている。すなわち、特許文献1には、弾性体と圧電体とから成る駆動体に駆動信号として交流電圧を印加して弾性進行波を励振することにより、上記駆動体上に接触して設置された移動体を移動させる超音波モータにおいて、上記圧電体に駆動信号として、上記移動体の平均速度がほぼ一定になるようにして、バースト信号の幅あるいはバースト信号の間隔の、少なくとも一方を変化させたバースト信号を駆動信号として印加することを特徴とする超音波モータ駆動方法が開示されている。
【0007】
この特許文献1に開示されている技術によれば、耳障りな雑音を減らし、且つ或る程度安定した低速動作をする超音波モータ駆動方法が提供される。具体的には、特許文献1に開示されている超音波モータ駆動方法によれば、超音波モータの駆動体をバースト信号で駆動し、この駆動バースト信号の間隔及び幅のうち少なくとも一方を変化させることによって、駆動バースト信号の強勢な周波数成分を分散させる。このように、発生する雑音の周波数を分散させることで、発生する耳障りな雑音を低減して安定した低速駆動を実現している。
【特許文献1】特公平7−89748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1に開示されている超音波モータ駆動方法によれば、耳障りな雑音を低減し且つ安定した低速駆動を実現するために、間欠駆動を行っている。
【0009】
他方、超音波モータの駆動においては、駆動時の振動子と被駆動体との間に生じる摩擦により、当該摩擦に係る面(接触面)が摩耗しやすい。ここで特許文献1に開示されている超音波モータ駆動方法で採用している間欠駆動では、駆動信号の印加開始時と印加停止時とに、振動子に発生する振動の振幅が急激に変化する。この為、振動子と被駆動体との間で滑りが発生し、前記接触面がより摩耗しやすくなる。
【0010】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による超音波モータは、
2相の駆動信号を振動子に印加して当該振動子に楕円振動を発生させ、該楕円振動から駆動力を得て被駆動部材を摩擦駆動する超音波モータであって、
前記2相の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
当該超音波モータの駆動状態を変化させるように、前記2相の駆動信号の位相差を複数回切り替える制御を行う位相差制御手段と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る超音波モータについて、図面を参照して説明する。なお、本一実施形態においては、説明の便宜上、超音波モータと該超音波モータを駆動する為の駆動装置とを互いに独立した別体の装置として捉え、これらの装置から成る構成を超音波モータシステムと称して説明する。しかしながら、このような呼称はあくまでも説明の便宜上の呼称であって、駆動装置まで含めて一つの超音波モータとして捉えても勿論よい。
【0014】
図1は、超音波モータシステムの概略一構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように超音波モータシステム1は、超音波モータ2と、超音波モータ2を駆動する駆動装置3と、を具備する。超音波モータ2は、超音波振動子4と、超音波振動子4により駆動される被駆動体5と、を有する。
【0016】
前記超音波振動子4は、図2に示すように、矩形板状の圧電セラミックスシート7の片側面にシート状の内部電極(不図示)を設けたものを複数枚積層してなる直方体状の圧電積層体9と、該圧電積層体9のうち前記被駆動体5に対向する面に例えば接着等されて設けられた2個の摩擦接触子10と、を備えている。
【0017】
なお、符号11が付されているのは外部電極である。各外部電極11には、同種の圧電セラミックスシート7の同一位置に配される全ての内部電極(不図示)が接続されている。これにより、同種の圧電セラミックスシート7の同一位置に配される内部電極(不図示)は、同一の電位とされるようになっている。
【0018】
なお、外部電極11は、配線(不図示)を介して制御器(不図示)に接続される。配線は、リード線、フレキシブル基板等、可撓性を有する配線であれば任意のものでよい。
【0019】
以下、圧電積層体9の動作について説明する。
【0020】
まず、圧電積層体9の長手方向における一端面に形成された4つの外部電極11は、図2において上側から順に、振動検出用のC相であるC−,C+に対応する内部電極(不図示)、駆動用のB相であるB−,B+に対応する内部電極(不図示)に接続された外部電極11である。他方、圧電積層体9の長手方向における他端面に形成された2つの外部電極11は、駆動用のA相であるA+,A−に対応する内部電極(不図示)に接続された外部電極11である。
【0021】
ここで、A相及びB相に同位相で共振周波数又はその近傍の周波数に対応する周波数の交番電圧を加えると、図3に示すような1次の縦振動が励起される。また、A相とB相とに逆位相で共振周波数に対応する交番電圧を加えると、図4に示されるような2次の屈曲振動が励起される。図3及び図4は、有限要素法によるコンピュータ解析結果を示す図である。
【0022】
ここで、圧電積層体9に1次の縦振動が発生したときには、摩擦接触子10が圧電積層体9の長さ方向(図3に示されるX方向)に変位させられる。他方、圧電積層体9に2次の屈曲振動が生じたときには、摩擦接触子10が、圧電積層体9の幅方向(図4に示されるZ方向)に変位させられる。
【0023】
従って、A相とB相とに対応する外部電極11にそれぞれ、位相が90°ずれた共振周波数又はその近傍の周波数に対応する周波数の駆動交番電圧を加える。これにより圧電積層体9においては、1次の縦振動と2次の屈曲振動とが同時に発生して摩擦接触子10の位置で時計回りまたは反時計回りの略楕円振動が生じる(図2における矢印C参照)。
【0024】
また、超音波振動子に発生している縦振動に応じた電荷が検出用の内部電極(不図示)に励起されることにより、C相(C+,C一)の外部電極11を介して縦振動に比例した信号(以下、この信号を「振動検出信号」という。)が検出される。この振動検出信号は、駆動装置3(図1参照)に供給され、超音波振動子4の制御等に用いられる。
【0025】
以下、前記駆動装置3について詳細に説明する。図5は、駆動装置3の内部概略構成を示す図である。図5に示すように、駆動装置3は、発振回路(基準信号生成手段)21と、制御CPU22と、信号制御回路23と、パラメータテーブル24と、信号生成回路25と、信号出力制御回路26と、位相差検出回路28と、ドライブ回路30と、エンコーダ33と、エンコーダ信号処理回路35と、を有する。
【0026】
前記発振回路21は、基準信号(クロック信号)を生成し、信号制御回路23、信号生成回路25、信号出力制御回路26、及び位相差検出回路28に出力する。なお、前記基準信号については、図6を参照して後に詳述する。
【0027】
前記パラメータテーブル24は、超音波振動子4の駆動周波数、A相とB相との位相差(後述する“駆動期間”においては前記位相差は90°)、及び超音波モータ2の初期位置および停止位置等のパラメータを格納している。
【0028】
前記制御CPU22は、パラメータテーブル24に各種パラメータ(周波数,位相差等)を設定して、超音波振動子4の駆動信号を制御する。また、パラメータテーブル24から各種パラメータ(位相差,エンコーダカウント値等)を読み出し、位置制御、速度制御処理等を行う。すなわち、制御CPU22は、パラメータテーブル24及び後述する位相差検出回路28からのフィードバック値等に基づいて、基準駆動信号の周波数指令値、及びA相B相の位相差指令値等を作成し、出力する。
【0029】
前記信号制御回路23は、前記発振回路21から入力される基準信号S1と制御CPU22から入力される周波数指令値とに基づいて、所定の周波数のパルス信号である基準駆動信号S2を生成し、これを信号生成回路25に出力する。ここで、制御CPU22は、基準駆動信号の周波数を超音波振動子4の共振周波数またはその近傍の周波数に設定するための周波数指令値を、信号制御回路23に与える。従って、信号制御回路23からは超音波振動子4の共振周波数と略同じ周波数の基準駆動信号が出力される。図6において示す信号bは、基準駆動信号S2の一例である。基準駆動信号の周期は、基準信号の周期の整数倍とされる。
【0030】
より詳細には、信号制御回路23は、周波数制御回路、位相差制御回路、及びパルスエッジ遅れ制御回路から成る。
【0031】
信号制御回路23は、前記周波数制御回路として、パラメータテーブル24における周波数の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、駆動信号の周波数を決める基準駆動信号を出力する。
【0032】
信号制御回路23は、前記位相差制御回路として、パラメータテーブル24における位相差の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、2つの駆動信号であるA相信号とB相信号との位相差を制御する。
【0033】
前記信号出力制御回路26は、制御CPU22から当該信号出力制御回路26を介して、直接信号生成回路25の出力のON/OFF、A相信号、B相信号の出力順を制御することができる。また、信号出力制御回路26は、パラメータテーブル24に設定された設定値に基づき、信号生成回路25から出力する駆動信号のパルス数や間欠駆動を行うための出力休止時間を制御する。
【0034】
前記信号生成回路25は、基準駆動信号S2と制御CPU22からのA相B相の位相差指令値とに基づいて、位相差が90°であるA相の基準駆動信号とB相の基準駆動信号とを生成する。なお、出力のON/OFF制御は、信号出力制御回路26によって行われる。
【0035】
ここで、図6は本一実施形態に係る超音波モータの“駆動期間(位相差90°期間)”における駆動時基準信号の一例を示す図である。なお、詳細は後述するが、本一実施形態に係る超音波モータにおいては、“駆動期間(位相差90°期間)”と“非駆動期間(位相差0°又は180°期間)”とを交互に切り替える駆動方式を採る。
【0036】
“駆動期間(位相差90°期間)”においては、A相、B相の駆動交番信号は、プラス側とマイナス側とに分けて生成される。図6に示す信号dは、A相プラス側の駆動交番信号の一例であり、図6に示す信号eはB相プラス側の駆動交番信号の一例であり、図6に示す信号fはA相マイナス側の駆動交番信号の一例であり、図6に示す信号gはB相マイナス側の駆動交番信号の一例である。
【0037】
図6に示すように、本一実施形態に係る超音波モータの通常駆動時においては、A相とB相との位相差は90°であり、更にプラス側の駆動交番信号とマイナス側の駆動交番信号とは正負が逆であり且つ位相が180°ずれている。
【0038】
前記信号生成回路25は、A相プラス側の駆動交番信号、B相プラス側の駆動交番信号、A相マイナス側の駆動交番信号、及びB相マイナス側の駆動交番信号をそれぞれ生成し、これら駆動交番信号をドライブ回路30に出力する。
【0039】
前記ドライブ回路30は、図7に示すように、スイッチング素子で構成されたHブリッジ回路31とインピーダンスマッチング及び昇圧用のコイル32とを備えている。このドライブ回路30に、前記信号生成回路25から各種駆動交番信号が入力されると、図8に示す真理値表に従って、各駆動交番電圧OUTA+、OUTA−、OUTB+、OUTB−が出力される。
【0040】
このとき、ドライブ回路30はコイル32を有しているので、パルス信号である駆動交番信号は、コイル32の働きにより正弦波に近い波形に変換され、正弦波に近いA相、B相の駆動交番電圧が超音波振動子4が備えるA相(A+,A−)、B相(B+,B−)の外部電極11にそれぞれ印加される。
【0041】
ここで、超音波振動子4に励起されている縦振動は、C相(C+,C−)の内部電極8により検出され、この縦振動に比例する電気信号がC相(C+,C−)の外部電極11を介して位相差検出回路28に入力される。
【0042】
また、位相差検出回路28には、信号生成回路25から何れか一つの駆動交番信号(例えばA相プラス側の駆動交番信号)が入力される。そして、位相差検出回路28は、超音波振動子4の外部電極11を介して入力された振動検出信号と、信号生成回路25から入力された駆動交番信号と、の位相差を検出し、該位相差をパラメータテーブル24に格納する。
【0043】
次に、上述したような構成を備える駆動装置3により実現される超音波モータ2の駆動方法について説明する。まず、超音波モータ2の起動時において、発振回路21から信号制御回路23に基準信号が入力される。一方、制御CPU22は、パラメータテーブルに設定されている超音波モータ2の駆動周波数を読み出し、この周波数を周波数指令値として信号制御回路23に与える。
【0044】
また、制御CPU22は、パラメータテーブル24から初期値として設定されているA相とB相との位相差を読み出し、これを信号生成回路25に与える。これにより、信号制御回路23により超音波振動子4の共振周波数またはその近傍の周波数に設定された基準駆動信号S2が生成されて信号生成回路25に出力される。
【0045】
信号生成回路25では、基準駆動信号S2及び制御CPU22からの位相差に基づいて所定の位相差をもつA相(A+,A−)に対応する基準駆動信号とB相(B+,B−)に対応する基準駆動信号とが生成される。
【0046】
A相、B相の駆動交番信号は、ドライブ回路30により正弦波の駆動交番電圧に変換されて、超音波振動子4の各外部電極11に印加される。これにより、超音波振動子には図3及び図4に示すような縦振動と屈曲振動とが同時に励起され、その摩擦接触子10に楕円振動が形成されることにより被駆動体が相対的に移動させられる。
【0047】
超音波振動子4に励起された縦振動は、C相の内部電極8及び外部電極11により検出され、振動検出信号が位相差検出回路28に入力される。位相差検出回路28では、超音波振動子4に励起されている縦振動と信号生成回路25から出力されるA相の駆動交番信号との位相差が検出され、この位相差に応じた電気信号が制御CPU22に出力される。エンコーダ信号処理回路35から通知されるカウント数が予め設定されているカウント数に達すると、制御CPU22は、被駆動体5が所望の位置まで移動したと判断し、信号生成回路25に駆動停止指令を出力する。これにより、信号生成回路25から駆動交番信号が出力されなくなることにより、超音波振動子4の振動が徐々に収束し、停止することとなる。
【0048】
以下、本一実施形態に係る超音波モータの駆動方法の主な特徴の一つである“駆動期間(位相差90°期間)”及び“非駆動期間(位相差0°又は180°期間)”について詳細に説明する。なお、この駆動方法により得られる格別の効果の理解を容易にする為に、まず従来より行われているバースト駆動及びその作用について説明する。
【0049】
図9は、従来のバースト駆動における駆動信号の印加タイミングの一例を示す図である。同図に示すように、従来のバースト駆動では、駆動信号を周期的にON/OFFに切り替えることで(駆動信号ON期間と駆動信号OFF期間とを交互に設けることで)、通常の速度の状態と速度が0又は極端に小さい速度の状態とを周期的に繰り返させる。
【0050】
従来のバースト駆動では、このような駆動制御により超音波モータの速度を平均的に下げることで、低速度駆動を実現している。しかしながら、このような駆動は、駆動信号の印加開始時と印加停止時とに、超音波振動子に発生する振動の振幅が急激に変化する為、超音波振動子と被駆動体との間で滑りが発生し、これらの部材の摩耗が進行しやすい。
【0051】
この他、超音波モータの速度を0にする又は極端に小さい速度とする為に、例えば次のような駆動方法が挙げられる。
【0052】
すなわち、駆動信号のON/OFF切り替えの他に、
(駆動方法1)駆動信号の周波数を共振周波数から外す。
【0053】
(駆動方法2)駆動信号のパルスデューティを小さくする。
【0054】
しかしながら、このような駆動方法は次の様な課題を有する。前記(方法1)によれば、駆動信号の周波数を共振周波数から外す為、超音波振動子の振動振幅を急激に変化させることになる。このことは、超音波振動子と被駆動体との間の摩擦による磨耗を促進させることになる。前記(方法2)によれば、パルスデューティを0にした場合は実質的に駆動信号をOFFに切り替えることと同義である為、同様の課題を有する。
【0055】
以上のような事情を鑑みて、本一実施形態においては、次の様な駆動方法を採る。
【0056】
すなわち、本一実施形態においては、超音波振動子4に印加している位相の互いに異なる2つの駆動信号の位相差を変化させることで、その駆動状態を変化させる。つまり、2相の駆動信号の位相差を変化させることで、超音波モータの振動振幅を急激に変化させることなく、速度を0又は極端に小さい速度の状態を創出する。
【0057】
詳細には、2相の駆動信号間の位相差を変化させることで、超音波振動子4に励起させる縦振動と屈曲振動との割合を変化させる。つまり、このように2相の駆動信号間の位相差を変化させることは、当該超音波振動子4が被駆動体5を駆動しているときの楕円の形状(図10に示す楕円形状101を参照)を変化させることと同義である。つまり、このような駆動制御を行うことにより、超音波モータ2の振動振幅の急激な変化を伴わずに(被駆動体5と摩擦接触子10との摩擦による両部材の磨耗を抑制して)、超音波モータ2の駆動速度を0にする又は極端に小さい速度とすることが可能となる。
【0058】
換言すれば、本一実施形態に係る超音波モータでは、上述した楕円形状を変化させることで当該超音波モータの駆動力を変化させる。これにより、前記摩擦に係る部材の磨耗を抑制しつつ、上述した速度変化を実現する。
【0059】
具体的には、超音波振動子4に設けられた外部電極11に入力する駆動信号の位相差を変化させることで、当該超音波振動子4に発生する縦振動及び屈曲振動の割合を変化させる。詳細には、駆動信号の位相差をパラメータテーブル24に設定し、該パラメータテーブル24の設定に基づいて、信号制御回路23によって信号生成回路25から出力される2相の駆動信号の位相差、この場合には超音波振動子4のA相及びB相に入力する駆動信号の位相差を制御する。
【0060】
さらに、2相の位相差を周期的に切り替える場合の周期についても、前記パラメータテーブル24に設定することができ、該設定に基づいて信号制御回路23によって信号生成回路25の出力を制御し、超音波振動子4に印加するA相の駆動信号とB相の駆動信号との位相差を、前記設定した周期で切り替えることができる。
【0061】
詳細には、このような位相差の切り替え方法として、例えば次の様な方法を挙げることができる。
【0062】
ここで、図6を参照して説明したような通常の駆動を行う期間である“駆動期間(位相差90°期間)”における前記位相差を第1の位相差とする。他方、駆動力(速度)が0又は極端に小さい駆動力(速度)の期間である“非駆動期間(位相差0°又は180°期間)”における前記位相差を第2の位相差とする。本一実施形態では、これら第1の位相差と第2の位相差とを所定周期で交互に切り替える駆動制御を行う。
【0063】
ところで、第2の位相差、すなわち駆動力(速度)を0にするような位相差として、例えば次のような位相差を挙げることができる。すなわち、超音波振動子4の振動が縦振動のみとなる位相差、及び超音波振動子4の振動が屈曲振動のみとなる位相差である。つまり、このようなA相の駆動信号とB相の駆動信号との位相差としては、例えば180°及び0°の場合等を挙げることができる。以下、これらの位相差を採る場合の駆動制御について詳細に説明する。
【0064】
≪第2の位相差を180°とする場合≫
図11は、駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を180°とする場合における駆動制御の様子を示す図である。
【0065】
同図に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間においては、超音波振動子4は、被駆動体5を駆動するような楕円形状の軌跡を描くように駆動する。他方、第2の位相差(位相差180°)の期間においては、超音波振動子4は上述した屈曲振動のみしか行わない為、実質的に被駆動体5を駆動しない。
【0066】
従って、当該超音波モータの速度としては、同図における最下段に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間と第2の位相差(位相差180°)の期間とが交互に繰り返される(同図におけるグラフ151参照)。これにより、第1の位相差(位相差90°)の期間における速度と、第2の位相差(位相差180°)の期間における速度と、が平均化され、実質的にはグラフ153で示すような安定した低速度の駆動となる。
【0067】
≪第2の位相差を0°とする場合≫
図12は、駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を0°とする場合における駆動制御の様子を示す図である。
【0068】
同図に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間においては、超音波振動子4は、被駆動体5を駆動するような楕円形状の軌跡を描くように駆動する。他方、第2の位相差(位相差0°)の期間においては、超音波振動子4は上述した縦振動のみしか行わない為、実質的に被駆動体5を駆動しない。
【0069】
従って、当該超音波モータの速度としては、同図における最下段に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間と第2の位相差(位相差0°)の期間とが交互に繰り返される(同図におけるグラフ161参照)。これにより、第1の位相差(位相差90°)の期間における速度と、第2の位相差(位相差0°)の期間における速度と、が平均化され、実質的にはグラフ163で示すような安定した低速度の駆動となる。
【0070】
以上説明したように、本一実施形態によれば、超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供することができる。さらには、本一実施形態に係る超音波モータによれば、振動の急激な変化により発生する雑音を抑えられるため、静音効果も得ることができる。
【0071】
なお、本一実施形態に係る超音波モータによる効果は、特に高精度の位置決めを必要とする駆動装置、例えばカメラのレンズのAF駆動時の最後の位置決めや顕微鏡ステージの駆動等の低速且つ高精度な駆動が必要とされる駆動装置に適用する場合に顕著に顕れる。
【0072】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0073】
[変形例]
前記一実施形態における上述した駆動制御において、第1の位相差と第2の位相差とを単純にスイッチングさせるだけでなく、図13に示すように、第1の位相差(図13に示すθ1)から第2の位相差(図13に示すθ2)へ連続的にスイープさせても勿論良い。
【0074】
換言すれば、第1の位相差と第2の位相差との切り替えの間に、それらの位相差時とは駆動力(速度)が異なるような複数の位相差を挿入し、それら複数の位相差を経由して、第1の位相差(又は第2の位相差)から第2の位相差(又は第1の位相差)へと切り替えるような駆動制御としても勿論良い。
【0075】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波モータシステムの概略一構成例を示すブロック図。
【図2】超音波振動子の一構成例を示す図。
【図3】圧電積層体の縦振動を示す図。
【図4】圧電積層体の屈曲振動を示す図。
【図5】駆動装置の内部概略構成を示す図。
【図6】基準信号の一例を示す図。
【図7】ドライブ回路の一構成例を示す図。
【図8】ドライブ回路に信号生成回路から各種駆動交番信号が入力された場合における入出力値の真理値表を示す図。
【図9】従来のバースト駆動における駆動信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図10】超音波振動子が被駆動体を駆動しているときの楕円形状の一例を模式的に示す図。
【図11】駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を180°とする場合における駆動制御の様子を示す図。
【図12】駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を0°とする場合における駆動制御の様子を示す図。
【図13】一変形例に係る超音波モータの駆動制御の概念を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1…超音波モータシステム、 2…超音波モータ、 3…駆動装置、 4…超音波振動子、 5…被駆動体、 7…圧電セラミックスシート、 8…内部電極、 9…圧電積層体、 10…摩擦接触子、 11…外部電極、 21…発振回路、 22…制御CPU、 23…信号制御回路、 24…パラメータテーブル、 25…信号生成回路、 26…信号出力制御回路、 28…位相差検出回路、 30…ドライブ回路、 31…Hブリッジ回路、 32…コイル、 33…エンコーダ、 35…エンコーダ信号処理回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子等の振動子の振動を利用する超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、圧電素子などの振動子の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、ストロークが長く高分解能である点、静粛性に富む点、磁気的ノイズを発生せず磁気的ノイズの影響を受けない点等の利点を有している。
【0003】
そして超音波モータでは、超音波振動子を、摩擦部材である駆動子を介して、相対運動部材である被駆動部材に押し付けることで、前記駆動子と前記被駆動部材との間に摩擦力を発生させ、この摩擦力によって前記被駆動部材を駆動する。そして、このように摩擦駆動を行うことから、超音波モータは摩擦に係る部材における磨耗の問題を孕んでいる。当然ながら、この磨耗の問題は、当該超音波モータの耐久性の問題に繋がる。
【0004】
ところで、例えばカメラにおけるレンズのAF動作等に用いられる超音波モータにおいては高精度な位置制御が必要とされている。より詳細には、このような位置制御に用いられる超音波モータにおいては、低速度で安定した駆動が望まれている。
【0005】
このように低速且つ安定な駆動を実現する超音波モータの駆動方法としては、当該超音波モータの駆動信号を周期的にON/OFFする間欠駆動を挙げることができる。このような従来行われている駆動方法によれば、超音波モータを低速で動作させる際に、駆動信号として間隔及び幅の双方共一定に設定したバースト信号を用いる。従って、このバースト信号の強勢な周波数成分が一定になり、その周波数に対応した耳障りな雑音が発生してしまう。
【0006】
このような事情に鑑みて、特許文献1に次のような技術が開示されている。すなわち、特許文献1には、弾性体と圧電体とから成る駆動体に駆動信号として交流電圧を印加して弾性進行波を励振することにより、上記駆動体上に接触して設置された移動体を移動させる超音波モータにおいて、上記圧電体に駆動信号として、上記移動体の平均速度がほぼ一定になるようにして、バースト信号の幅あるいはバースト信号の間隔の、少なくとも一方を変化させたバースト信号を駆動信号として印加することを特徴とする超音波モータ駆動方法が開示されている。
【0007】
この特許文献1に開示されている技術によれば、耳障りな雑音を減らし、且つ或る程度安定した低速動作をする超音波モータ駆動方法が提供される。具体的には、特許文献1に開示されている超音波モータ駆動方法によれば、超音波モータの駆動体をバースト信号で駆動し、この駆動バースト信号の間隔及び幅のうち少なくとも一方を変化させることによって、駆動バースト信号の強勢な周波数成分を分散させる。このように、発生する雑音の周波数を分散させることで、発生する耳障りな雑音を低減して安定した低速駆動を実現している。
【特許文献1】特公平7−89748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1に開示されている超音波モータ駆動方法によれば、耳障りな雑音を低減し且つ安定した低速駆動を実現するために、間欠駆動を行っている。
【0009】
他方、超音波モータの駆動においては、駆動時の振動子と被駆動体との間に生じる摩擦により、当該摩擦に係る面(接触面)が摩耗しやすい。ここで特許文献1に開示されている超音波モータ駆動方法で採用している間欠駆動では、駆動信号の印加開始時と印加停止時とに、振動子に発生する振動の振幅が急激に変化する。この為、振動子と被駆動体との間で滑りが発生し、前記接触面がより摩耗しやすくなる。
【0010】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による超音波モータは、
2相の駆動信号を振動子に印加して当該振動子に楕円振動を発生させ、該楕円振動から駆動力を得て被駆動部材を摩擦駆動する超音波モータであって、
前記2相の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
当該超音波モータの駆動状態を変化させるように、前記2相の駆動信号の位相差を複数回切り替える制御を行う位相差制御手段と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る超音波モータについて、図面を参照して説明する。なお、本一実施形態においては、説明の便宜上、超音波モータと該超音波モータを駆動する為の駆動装置とを互いに独立した別体の装置として捉え、これらの装置から成る構成を超音波モータシステムと称して説明する。しかしながら、このような呼称はあくまでも説明の便宜上の呼称であって、駆動装置まで含めて一つの超音波モータとして捉えても勿論よい。
【0014】
図1は、超音波モータシステムの概略一構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように超音波モータシステム1は、超音波モータ2と、超音波モータ2を駆動する駆動装置3と、を具備する。超音波モータ2は、超音波振動子4と、超音波振動子4により駆動される被駆動体5と、を有する。
【0016】
前記超音波振動子4は、図2に示すように、矩形板状の圧電セラミックスシート7の片側面にシート状の内部電極(不図示)を設けたものを複数枚積層してなる直方体状の圧電積層体9と、該圧電積層体9のうち前記被駆動体5に対向する面に例えば接着等されて設けられた2個の摩擦接触子10と、を備えている。
【0017】
なお、符号11が付されているのは外部電極である。各外部電極11には、同種の圧電セラミックスシート7の同一位置に配される全ての内部電極(不図示)が接続されている。これにより、同種の圧電セラミックスシート7の同一位置に配される内部電極(不図示)は、同一の電位とされるようになっている。
【0018】
なお、外部電極11は、配線(不図示)を介して制御器(不図示)に接続される。配線は、リード線、フレキシブル基板等、可撓性を有する配線であれば任意のものでよい。
【0019】
以下、圧電積層体9の動作について説明する。
【0020】
まず、圧電積層体9の長手方向における一端面に形成された4つの外部電極11は、図2において上側から順に、振動検出用のC相であるC−,C+に対応する内部電極(不図示)、駆動用のB相であるB−,B+に対応する内部電極(不図示)に接続された外部電極11である。他方、圧電積層体9の長手方向における他端面に形成された2つの外部電極11は、駆動用のA相であるA+,A−に対応する内部電極(不図示)に接続された外部電極11である。
【0021】
ここで、A相及びB相に同位相で共振周波数又はその近傍の周波数に対応する周波数の交番電圧を加えると、図3に示すような1次の縦振動が励起される。また、A相とB相とに逆位相で共振周波数に対応する交番電圧を加えると、図4に示されるような2次の屈曲振動が励起される。図3及び図4は、有限要素法によるコンピュータ解析結果を示す図である。
【0022】
ここで、圧電積層体9に1次の縦振動が発生したときには、摩擦接触子10が圧電積層体9の長さ方向(図3に示されるX方向)に変位させられる。他方、圧電積層体9に2次の屈曲振動が生じたときには、摩擦接触子10が、圧電積層体9の幅方向(図4に示されるZ方向)に変位させられる。
【0023】
従って、A相とB相とに対応する外部電極11にそれぞれ、位相が90°ずれた共振周波数又はその近傍の周波数に対応する周波数の駆動交番電圧を加える。これにより圧電積層体9においては、1次の縦振動と2次の屈曲振動とが同時に発生して摩擦接触子10の位置で時計回りまたは反時計回りの略楕円振動が生じる(図2における矢印C参照)。
【0024】
また、超音波振動子に発生している縦振動に応じた電荷が検出用の内部電極(不図示)に励起されることにより、C相(C+,C一)の外部電極11を介して縦振動に比例した信号(以下、この信号を「振動検出信号」という。)が検出される。この振動検出信号は、駆動装置3(図1参照)に供給され、超音波振動子4の制御等に用いられる。
【0025】
以下、前記駆動装置3について詳細に説明する。図5は、駆動装置3の内部概略構成を示す図である。図5に示すように、駆動装置3は、発振回路(基準信号生成手段)21と、制御CPU22と、信号制御回路23と、パラメータテーブル24と、信号生成回路25と、信号出力制御回路26と、位相差検出回路28と、ドライブ回路30と、エンコーダ33と、エンコーダ信号処理回路35と、を有する。
【0026】
前記発振回路21は、基準信号(クロック信号)を生成し、信号制御回路23、信号生成回路25、信号出力制御回路26、及び位相差検出回路28に出力する。なお、前記基準信号については、図6を参照して後に詳述する。
【0027】
前記パラメータテーブル24は、超音波振動子4の駆動周波数、A相とB相との位相差(後述する“駆動期間”においては前記位相差は90°)、及び超音波モータ2の初期位置および停止位置等のパラメータを格納している。
【0028】
前記制御CPU22は、パラメータテーブル24に各種パラメータ(周波数,位相差等)を設定して、超音波振動子4の駆動信号を制御する。また、パラメータテーブル24から各種パラメータ(位相差,エンコーダカウント値等)を読み出し、位置制御、速度制御処理等を行う。すなわち、制御CPU22は、パラメータテーブル24及び後述する位相差検出回路28からのフィードバック値等に基づいて、基準駆動信号の周波数指令値、及びA相B相の位相差指令値等を作成し、出力する。
【0029】
前記信号制御回路23は、前記発振回路21から入力される基準信号S1と制御CPU22から入力される周波数指令値とに基づいて、所定の周波数のパルス信号である基準駆動信号S2を生成し、これを信号生成回路25に出力する。ここで、制御CPU22は、基準駆動信号の周波数を超音波振動子4の共振周波数またはその近傍の周波数に設定するための周波数指令値を、信号制御回路23に与える。従って、信号制御回路23からは超音波振動子4の共振周波数と略同じ周波数の基準駆動信号が出力される。図6において示す信号bは、基準駆動信号S2の一例である。基準駆動信号の周期は、基準信号の周期の整数倍とされる。
【0030】
より詳細には、信号制御回路23は、周波数制御回路、位相差制御回路、及びパルスエッジ遅れ制御回路から成る。
【0031】
信号制御回路23は、前記周波数制御回路として、パラメータテーブル24における周波数の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、駆動信号の周波数を決める基準駆動信号を出力する。
【0032】
信号制御回路23は、前記位相差制御回路として、パラメータテーブル24における位相差の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、2つの駆動信号であるA相信号とB相信号との位相差を制御する。
【0033】
前記信号出力制御回路26は、制御CPU22から当該信号出力制御回路26を介して、直接信号生成回路25の出力のON/OFF、A相信号、B相信号の出力順を制御することができる。また、信号出力制御回路26は、パラメータテーブル24に設定された設定値に基づき、信号生成回路25から出力する駆動信号のパルス数や間欠駆動を行うための出力休止時間を制御する。
【0034】
前記信号生成回路25は、基準駆動信号S2と制御CPU22からのA相B相の位相差指令値とに基づいて、位相差が90°であるA相の基準駆動信号とB相の基準駆動信号とを生成する。なお、出力のON/OFF制御は、信号出力制御回路26によって行われる。
【0035】
ここで、図6は本一実施形態に係る超音波モータの“駆動期間(位相差90°期間)”における駆動時基準信号の一例を示す図である。なお、詳細は後述するが、本一実施形態に係る超音波モータにおいては、“駆動期間(位相差90°期間)”と“非駆動期間(位相差0°又は180°期間)”とを交互に切り替える駆動方式を採る。
【0036】
“駆動期間(位相差90°期間)”においては、A相、B相の駆動交番信号は、プラス側とマイナス側とに分けて生成される。図6に示す信号dは、A相プラス側の駆動交番信号の一例であり、図6に示す信号eはB相プラス側の駆動交番信号の一例であり、図6に示す信号fはA相マイナス側の駆動交番信号の一例であり、図6に示す信号gはB相マイナス側の駆動交番信号の一例である。
【0037】
図6に示すように、本一実施形態に係る超音波モータの通常駆動時においては、A相とB相との位相差は90°であり、更にプラス側の駆動交番信号とマイナス側の駆動交番信号とは正負が逆であり且つ位相が180°ずれている。
【0038】
前記信号生成回路25は、A相プラス側の駆動交番信号、B相プラス側の駆動交番信号、A相マイナス側の駆動交番信号、及びB相マイナス側の駆動交番信号をそれぞれ生成し、これら駆動交番信号をドライブ回路30に出力する。
【0039】
前記ドライブ回路30は、図7に示すように、スイッチング素子で構成されたHブリッジ回路31とインピーダンスマッチング及び昇圧用のコイル32とを備えている。このドライブ回路30に、前記信号生成回路25から各種駆動交番信号が入力されると、図8に示す真理値表に従って、各駆動交番電圧OUTA+、OUTA−、OUTB+、OUTB−が出力される。
【0040】
このとき、ドライブ回路30はコイル32を有しているので、パルス信号である駆動交番信号は、コイル32の働きにより正弦波に近い波形に変換され、正弦波に近いA相、B相の駆動交番電圧が超音波振動子4が備えるA相(A+,A−)、B相(B+,B−)の外部電極11にそれぞれ印加される。
【0041】
ここで、超音波振動子4に励起されている縦振動は、C相(C+,C−)の内部電極8により検出され、この縦振動に比例する電気信号がC相(C+,C−)の外部電極11を介して位相差検出回路28に入力される。
【0042】
また、位相差検出回路28には、信号生成回路25から何れか一つの駆動交番信号(例えばA相プラス側の駆動交番信号)が入力される。そして、位相差検出回路28は、超音波振動子4の外部電極11を介して入力された振動検出信号と、信号生成回路25から入力された駆動交番信号と、の位相差を検出し、該位相差をパラメータテーブル24に格納する。
【0043】
次に、上述したような構成を備える駆動装置3により実現される超音波モータ2の駆動方法について説明する。まず、超音波モータ2の起動時において、発振回路21から信号制御回路23に基準信号が入力される。一方、制御CPU22は、パラメータテーブルに設定されている超音波モータ2の駆動周波数を読み出し、この周波数を周波数指令値として信号制御回路23に与える。
【0044】
また、制御CPU22は、パラメータテーブル24から初期値として設定されているA相とB相との位相差を読み出し、これを信号生成回路25に与える。これにより、信号制御回路23により超音波振動子4の共振周波数またはその近傍の周波数に設定された基準駆動信号S2が生成されて信号生成回路25に出力される。
【0045】
信号生成回路25では、基準駆動信号S2及び制御CPU22からの位相差に基づいて所定の位相差をもつA相(A+,A−)に対応する基準駆動信号とB相(B+,B−)に対応する基準駆動信号とが生成される。
【0046】
A相、B相の駆動交番信号は、ドライブ回路30により正弦波の駆動交番電圧に変換されて、超音波振動子4の各外部電極11に印加される。これにより、超音波振動子には図3及び図4に示すような縦振動と屈曲振動とが同時に励起され、その摩擦接触子10に楕円振動が形成されることにより被駆動体が相対的に移動させられる。
【0047】
超音波振動子4に励起された縦振動は、C相の内部電極8及び外部電極11により検出され、振動検出信号が位相差検出回路28に入力される。位相差検出回路28では、超音波振動子4に励起されている縦振動と信号生成回路25から出力されるA相の駆動交番信号との位相差が検出され、この位相差に応じた電気信号が制御CPU22に出力される。エンコーダ信号処理回路35から通知されるカウント数が予め設定されているカウント数に達すると、制御CPU22は、被駆動体5が所望の位置まで移動したと判断し、信号生成回路25に駆動停止指令を出力する。これにより、信号生成回路25から駆動交番信号が出力されなくなることにより、超音波振動子4の振動が徐々に収束し、停止することとなる。
【0048】
以下、本一実施形態に係る超音波モータの駆動方法の主な特徴の一つである“駆動期間(位相差90°期間)”及び“非駆動期間(位相差0°又は180°期間)”について詳細に説明する。なお、この駆動方法により得られる格別の効果の理解を容易にする為に、まず従来より行われているバースト駆動及びその作用について説明する。
【0049】
図9は、従来のバースト駆動における駆動信号の印加タイミングの一例を示す図である。同図に示すように、従来のバースト駆動では、駆動信号を周期的にON/OFFに切り替えることで(駆動信号ON期間と駆動信号OFF期間とを交互に設けることで)、通常の速度の状態と速度が0又は極端に小さい速度の状態とを周期的に繰り返させる。
【0050】
従来のバースト駆動では、このような駆動制御により超音波モータの速度を平均的に下げることで、低速度駆動を実現している。しかしながら、このような駆動は、駆動信号の印加開始時と印加停止時とに、超音波振動子に発生する振動の振幅が急激に変化する為、超音波振動子と被駆動体との間で滑りが発生し、これらの部材の摩耗が進行しやすい。
【0051】
この他、超音波モータの速度を0にする又は極端に小さい速度とする為に、例えば次のような駆動方法が挙げられる。
【0052】
すなわち、駆動信号のON/OFF切り替えの他に、
(駆動方法1)駆動信号の周波数を共振周波数から外す。
【0053】
(駆動方法2)駆動信号のパルスデューティを小さくする。
【0054】
しかしながら、このような駆動方法は次の様な課題を有する。前記(方法1)によれば、駆動信号の周波数を共振周波数から外す為、超音波振動子の振動振幅を急激に変化させることになる。このことは、超音波振動子と被駆動体との間の摩擦による磨耗を促進させることになる。前記(方法2)によれば、パルスデューティを0にした場合は実質的に駆動信号をOFFに切り替えることと同義である為、同様の課題を有する。
【0055】
以上のような事情を鑑みて、本一実施形態においては、次の様な駆動方法を採る。
【0056】
すなわち、本一実施形態においては、超音波振動子4に印加している位相の互いに異なる2つの駆動信号の位相差を変化させることで、その駆動状態を変化させる。つまり、2相の駆動信号の位相差を変化させることで、超音波モータの振動振幅を急激に変化させることなく、速度を0又は極端に小さい速度の状態を創出する。
【0057】
詳細には、2相の駆動信号間の位相差を変化させることで、超音波振動子4に励起させる縦振動と屈曲振動との割合を変化させる。つまり、このように2相の駆動信号間の位相差を変化させることは、当該超音波振動子4が被駆動体5を駆動しているときの楕円の形状(図10に示す楕円形状101を参照)を変化させることと同義である。つまり、このような駆動制御を行うことにより、超音波モータ2の振動振幅の急激な変化を伴わずに(被駆動体5と摩擦接触子10との摩擦による両部材の磨耗を抑制して)、超音波モータ2の駆動速度を0にする又は極端に小さい速度とすることが可能となる。
【0058】
換言すれば、本一実施形態に係る超音波モータでは、上述した楕円形状を変化させることで当該超音波モータの駆動力を変化させる。これにより、前記摩擦に係る部材の磨耗を抑制しつつ、上述した速度変化を実現する。
【0059】
具体的には、超音波振動子4に設けられた外部電極11に入力する駆動信号の位相差を変化させることで、当該超音波振動子4に発生する縦振動及び屈曲振動の割合を変化させる。詳細には、駆動信号の位相差をパラメータテーブル24に設定し、該パラメータテーブル24の設定に基づいて、信号制御回路23によって信号生成回路25から出力される2相の駆動信号の位相差、この場合には超音波振動子4のA相及びB相に入力する駆動信号の位相差を制御する。
【0060】
さらに、2相の位相差を周期的に切り替える場合の周期についても、前記パラメータテーブル24に設定することができ、該設定に基づいて信号制御回路23によって信号生成回路25の出力を制御し、超音波振動子4に印加するA相の駆動信号とB相の駆動信号との位相差を、前記設定した周期で切り替えることができる。
【0061】
詳細には、このような位相差の切り替え方法として、例えば次の様な方法を挙げることができる。
【0062】
ここで、図6を参照して説明したような通常の駆動を行う期間である“駆動期間(位相差90°期間)”における前記位相差を第1の位相差とする。他方、駆動力(速度)が0又は極端に小さい駆動力(速度)の期間である“非駆動期間(位相差0°又は180°期間)”における前記位相差を第2の位相差とする。本一実施形態では、これら第1の位相差と第2の位相差とを所定周期で交互に切り替える駆動制御を行う。
【0063】
ところで、第2の位相差、すなわち駆動力(速度)を0にするような位相差として、例えば次のような位相差を挙げることができる。すなわち、超音波振動子4の振動が縦振動のみとなる位相差、及び超音波振動子4の振動が屈曲振動のみとなる位相差である。つまり、このようなA相の駆動信号とB相の駆動信号との位相差としては、例えば180°及び0°の場合等を挙げることができる。以下、これらの位相差を採る場合の駆動制御について詳細に説明する。
【0064】
≪第2の位相差を180°とする場合≫
図11は、駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を180°とする場合における駆動制御の様子を示す図である。
【0065】
同図に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間においては、超音波振動子4は、被駆動体5を駆動するような楕円形状の軌跡を描くように駆動する。他方、第2の位相差(位相差180°)の期間においては、超音波振動子4は上述した屈曲振動のみしか行わない為、実質的に被駆動体5を駆動しない。
【0066】
従って、当該超音波モータの速度としては、同図における最下段に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間と第2の位相差(位相差180°)の期間とが交互に繰り返される(同図におけるグラフ151参照)。これにより、第1の位相差(位相差90°)の期間における速度と、第2の位相差(位相差180°)の期間における速度と、が平均化され、実質的にはグラフ153で示すような安定した低速度の駆動となる。
【0067】
≪第2の位相差を0°とする場合≫
図12は、駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を0°とする場合における駆動制御の様子を示す図である。
【0068】
同図に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間においては、超音波振動子4は、被駆動体5を駆動するような楕円形状の軌跡を描くように駆動する。他方、第2の位相差(位相差0°)の期間においては、超音波振動子4は上述した縦振動のみしか行わない為、実質的に被駆動体5を駆動しない。
【0069】
従って、当該超音波モータの速度としては、同図における最下段に示すように、第1の位相差(位相差90°)の期間と第2の位相差(位相差0°)の期間とが交互に繰り返される(同図におけるグラフ161参照)。これにより、第1の位相差(位相差90°)の期間における速度と、第2の位相差(位相差0°)の期間における速度と、が平均化され、実質的にはグラフ163で示すような安定した低速度の駆動となる。
【0070】
以上説明したように、本一実施形態によれば、超音波モータの駆動時に振動子と被駆動体との間の摩擦により生じる磨耗を抑制し、且つ安定した低速駆動を実現する超音波モータを提供することができる。さらには、本一実施形態に係る超音波モータによれば、振動の急激な変化により発生する雑音を抑えられるため、静音効果も得ることができる。
【0071】
なお、本一実施形態に係る超音波モータによる効果は、特に高精度の位置決めを必要とする駆動装置、例えばカメラのレンズのAF駆動時の最後の位置決めや顕微鏡ステージの駆動等の低速且つ高精度な駆動が必要とされる駆動装置に適用する場合に顕著に顕れる。
【0072】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0073】
[変形例]
前記一実施形態における上述した駆動制御において、第1の位相差と第2の位相差とを単純にスイッチングさせるだけでなく、図13に示すように、第1の位相差(図13に示すθ1)から第2の位相差(図13に示すθ2)へ連続的にスイープさせても勿論良い。
【0074】
換言すれば、第1の位相差と第2の位相差との切り替えの間に、それらの位相差時とは駆動力(速度)が異なるような複数の位相差を挿入し、それら複数の位相差を経由して、第1の位相差(又は第2の位相差)から第2の位相差(又は第1の位相差)へと切り替えるような駆動制御としても勿論良い。
【0075】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波モータシステムの概略一構成例を示すブロック図。
【図2】超音波振動子の一構成例を示す図。
【図3】圧電積層体の縦振動を示す図。
【図4】圧電積層体の屈曲振動を示す図。
【図5】駆動装置の内部概略構成を示す図。
【図6】基準信号の一例を示す図。
【図7】ドライブ回路の一構成例を示す図。
【図8】ドライブ回路に信号生成回路から各種駆動交番信号が入力された場合における入出力値の真理値表を示す図。
【図9】従来のバースト駆動における駆動信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図10】超音波振動子が被駆動体を駆動しているときの楕円形状の一例を模式的に示す図。
【図11】駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を180°とする場合における駆動制御の様子を示す図。
【図12】駆動時の位相差である第1の位相差を90°とし、駆動力(速度)を0にするような位相差である第2の位相差を0°とする場合における駆動制御の様子を示す図。
【図13】一変形例に係る超音波モータの駆動制御の概念を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1…超音波モータシステム、 2…超音波モータ、 3…駆動装置、 4…超音波振動子、 5…被駆動体、 7…圧電セラミックスシート、 8…内部電極、 9…圧電積層体、 10…摩擦接触子、 11…外部電極、 21…発振回路、 22…制御CPU、 23…信号制御回路、 24…パラメータテーブル、 25…信号生成回路、 26…信号出力制御回路、 28…位相差検出回路、 30…ドライブ回路、 31…Hブリッジ回路、 32…コイル、 33…エンコーダ、 35…エンコーダ信号処理回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相の駆動信号を振動子に印加して当該振動子に楕円振動を発生させ、該楕円振動から駆動力を得て被駆動部材を摩擦駆動する超音波モータであって、
前記2相の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
当該超音波モータの駆動状態を変化させるように、前記2相の駆動信号の位相差を複数回切り替える制御を行う位相差制御手段と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
前記位相差制御手段は、前記位相差を所定の周期で切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1に超音波モータ。
【請求項3】
前記位相差制御手段は、
前記被駆動部材を摩擦駆動する状態に対応する前記位相差である第1の位相差と、
前記被駆動部材を摩擦駆動しない状態に対応する前記位相差である第2の位相差と、
を所定の周期で切り替える制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ
【請求項4】
前記位相差制御手段は、
前記第1の位相差と前記第2の位相差とを所定の周期で切り替える際に、
前記第1の位相差と前記第2の位相差との間の位相差を経由して連続的に切り替える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記第2の位相差は、前記被駆動部材の進行方向への駆動力が0となる位相差であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記第2の位相差は、前記振動子に縦振動のみを生じさせる位相差であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記第2の位相差は、前記振動子に屈曲振動のみを生じさせる位相差であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項1】
2相の駆動信号を振動子に印加して当該振動子に楕円振動を発生させ、該楕円振動から駆動力を得て被駆動部材を摩擦駆動する超音波モータであって、
前記2相の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
当該超音波モータの駆動状態を変化させるように、前記2相の駆動信号の位相差を複数回切り替える制御を行う位相差制御手段と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
前記位相差制御手段は、前記位相差を所定の周期で切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1に超音波モータ。
【請求項3】
前記位相差制御手段は、
前記被駆動部材を摩擦駆動する状態に対応する前記位相差である第1の位相差と、
前記被駆動部材を摩擦駆動しない状態に対応する前記位相差である第2の位相差と、
を所定の周期で切り替える制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ
【請求項4】
前記位相差制御手段は、
前記第1の位相差と前記第2の位相差とを所定の周期で切り替える際に、
前記第1の位相差と前記第2の位相差との間の位相差を経由して連続的に切り替える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記第2の位相差は、前記被駆動部材の進行方向への駆動力が0となる位相差であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記第2の位相差は、前記振動子に縦振動のみを生じさせる位相差であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記第2の位相差は、前記振動子に屈曲振動のみを生じさせる位相差であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−28974(P2010−28974A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187349(P2008−187349)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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