説明

超音波探触子、超音波映像装置及びその製造方法

【課題】超音波映像装置の振動特性を向上させ、フォーカシングを良くして、鮮明な映像を得ることができる超音波探触子、超音波映像装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】超音波探触子は、所定の厚さを有する背面ブロック310と、該背面ブロック310の上面及び側面を取り囲む形態で積層され、配線パターンが設けられる柔軟性印刷回路基板320と、該柔軟性印刷回路基板360の上面に積層され、両面に各々上部及び下部電極を有し、複数の第2溝が形成された圧電ウェーハ350と、該圧電ウェーハ350の上面に積層されて上部電極と接合され、柔軟性印刷回路基板の接地層と連結される接地用電極板360と、該接地用電極板の上面に積層される音響整合層370、音響整合層370の上面に接合される音響レンズとを含み、音響整合層から背面ブロック310の上端は、第2溝と直交する複数のスロットが形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子、超音波映像装置及びその製造方法に関し、より詳細には、振動特性を向上させ、超音波映像のフォーカシングを良くして、さらに鮮明な映像を得ることができる超音波探触子、超音波映像装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波検査は、超音波を使用して組職の異常を検査するもので、超音波を患部に照射して反射される信号によって作られた映像で異常組職の存在を把握する。これは、主として、腫瘍などの病変組職や胎児の診断に使用される。
【0003】
超音波は、人間が聞くことができる周波数範囲以上の振動数を有する音として定義されるが、通常、20,000Hz乃至30MHzまでを超音波と言う。これらのうち人体の診断に利用される音である診断用超音波は、通常、1MHz乃至20MHz程度である。
【0004】
超音波映像装置は、超音波検査を行う装置であって、大きく、超音波探触子、信号処理部及び表示部の3つの部分に分けられる。超音波探触子は、電気及び超音波信号を変換し、信号処理部は、受信した信号と送信する信号を処理し、表示部は、超音波探触子と信号処理部で得た信号を利用して映像を作る。特に、超音波探触子は、超音波映像の質を左右する重要な部分である。
【0005】
一般的に、超音波探触子は、圧電ウェーハ、電極、音響整合層、印刷回路基板及び音響レンズを備えて構成され、このような超音波探触子は、ますます小型化されている。したがって、小型化された超音波探触子内において超音波及び電気信号を処理する配線パターンを配列するための方法と、振動特性及びフォーカシングを良くして、超音波映像を鮮明にし、信号帯域幅を増やすことができる技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、超音波映像装置の振動特性を向上させ、フォーカシングを良くして、鮮明な映像を得ることができる超音波探触子、超音波映像装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による超音波探触子は、所定の厚さを有する背面ブロックと、前記背面ブロックの上面及び側面を取り囲む形態で積層され、配線パターンが設けられる柔軟性印刷回路基板と、前記柔軟性印刷回路基板の上面に積層され、両面に各々上部及び下部電極を有し、複数の第2溝が形成された圧電ウェーハと、前記圧電ウェーハの上面に積層されて前記上部電極と接合され、前記柔軟性印刷回路基板の接地層と連結される接地用電極板と、前記接地用電極板の上面に積層される音響整合層と、前記音響整合層の上面に接合される音響レンズとを含み、前記音響整合層から前記背面ブロックの上端は、前記第2溝と直交する複数のスロットが形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明による前記柔軟性印刷回路基板は、前記背面ブロックの上面に接合される下面と、前記下面に対向する上面を有する絶縁素材のベースフィルムと、前記ベースフィルムの両面に形成された前記配線パターンとを含み、前記配線パターンは、前記ベースフィルムの上面に形成され、前記第2溝の間に形成された中央パッドを具備し、ビアホールを通じて前記中央パッドと連結され、前記ベースフィルムの下面を通じて前記背面ブロックの外側に配線された中央配線パターンと、前記中央パッドの一側に形成された第1パッドを具備し、前記第1パッドと連結され、前記ベースフィルムの上面の一側に配線された第1配線パターンと、前記中央パッドの他側に形成された第2パッドを具備し、前記第2パッドと連結され、前記ベースフィルムの上面の他側に配線された第2配線パターンと、前記中央配線パターンと第1及び第2配線パターンを保護するために、前記中央配線パターンの下面と前記第1及び第2配線パターンの上面に形成された保護層と、前記第1及び第2配線パターンの上面に形成された保護層の上面に形成され、前記接地用電極板と連結される接地層と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明による超音波映像装置は、前記超音波探触子と、前記超音波探触子と連結されるコネクターを有する本体と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明による超音波探触子の製造方法は、圧電ウェーハ、接地用電極板及び音響整合層を順に積層する第1積層段階と、前記圧電ウェーハに複数の第2溝を形成する第2溝形成段階と、背面ブロック及び柔軟性印刷回路基板を順に積層する第2積層段階と、前記圧電ウェーハを前記柔軟性印刷回路基板の上面に積層する第3積層段階と、前記音響整合層から背面ブロックの上端に第2溝に直交する複数のスロットを形成するスロット形成段階と、前記音響整合層の上部に音響レンズを接合する接合段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、背面ブロック、圧電ウェーハまたは音響整合層のうち少なくともいずれか1つに溝を形成し、音響整合層から背面ブロックの上端に一度のダイシング過程により複数のスロットを形成し、マトリックスアレイ形態で配線パターンが設けられるので、振動特性を高め、フォーカシングを向上させて、鮮明な映像を得ることができる。
【0012】
また、超音波信号の干渉現象が減少し、広い帯域幅と優れた感度を提供する効果がある。
【0013】
また、配線パターンがマトリックスアレイ形態で配線されるので、超音波検査に使用される超音波信号またはパワーを調節することによって、フォーカシングの深さを調節するか、超音波検査領域を拡張することができ、鮮明な映像を得ることができるという効果がある。
【0014】
また、超音波探触子と本体を連結するコネクターが本体の上端に位置するので、ユーザの便宜を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例に係る超音波映像装置を示す図である。
【図2a】本発明の第1実施例に係る超音波探触子を示す断面図及び斜視図である。
【図2b】本発明の第1実施例に係る超音波探触子を示す断面図及び斜視図である。
【図3】本発明の柔軟性印刷回路基板を概略的に示す斜視図である。
【図4a】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図4b】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第1実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【図6】本発明の第1実施例に係る超音波探触子のスロットを形成する方法を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る超音波探触子を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【図9】本発明の第3実施例に係る超音波探触子を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【図11a】本発明の第4実施例に係る超音波探触子を示す断面図及び斜視図である。
【図11b】本発明の第4実施例に係る超音波探触子を示す断面図及び斜視図である。
【図12】本発明の第4実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例をさらに詳細に説明する。但し、実施例を説明するにあたって、本発明の属する技術分野によく知られており、本発明と直接的に関連がない技術内容については、なるべく説明を省略する。これは、不要な説明を省略することによって、本発明の核心を不明瞭にせず、さらに明確に伝達するためである。
【0017】
なお、添付の図面において、一部の構成要素は、誇張されるか、省略されるか、または概略的に図示され、各構成要素のサイズは、実際サイズを反映するものではない。明細書全般において、同一または同様の構成要素には同一の参照符号を付けた。
【0018】
図1を参照して、本発明の第1実施例に係る超音波映像装置を説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る超音波映像装置を示す図である。
【0019】
本発明の第1実施例に係る超音波映像装置1は、本体11、超音波探触子100、表示部13及び入力部14を備えて構成される。
【0020】
本体11は、電気及び超音波信号を送受信する信号処理部と、超音波検査のために必要な応用プログラム及びデータを保存する保存部とを備えて構成される。また、本体11の外部には、本体11と超音波探触子100を連結するコネクター15が設けられている。ユーザが超音波探触子100を本体11に容易に連結することができるように、コネクター15は、本体11の上端に設けられる。
【0021】
超音波探触子100は、患者の患部に当接する部分である音響レンズ80と、超音波探触子100を成す残りの構成要素を取り囲むケース90とを備えて構成される。音響レンズ80は、超音波映像のフォーカシングのために使用するレンズであって、その下端に位置する音響整合層70の全体を覆うことができるように配置される。音響レンズ80の素材としては、シリコーンなどが使用されることができる。一方、ケース90内部の残りの構成要素については、詳しく後述する。
【0022】
表示部13は、超音波検査のために実行させた応用プログラムを画面及び検査を通じて得る超音波映像を画面に表示する。
【0023】
入力部14は、応用プログラムを実行するか、または、検査に必要なデータなどを入力する装置であって、多数のキーが配列されている。
【0024】
図2a及び図2bを参照して、本発明の第1実施例に係る超音波探触子を説明する。図2a及び図2bは、本発明の第1実施例に係る超音波探触子を示す断面図及び斜視図である。
【0025】
本発明の第1実施例に係る超音波探触子100は、背面ブロック10、柔軟性印刷回路基板20、圧電ウェーハ50、接地用電極板60及び音響整合層70が順次に積層された構造を有する。また、本発明の第1実施例に係る超音波探触子100は、音響整合層70の上端に音響レンズ(図1の80)がさらに積層されているが、図2a及び図2bでは、これを除いて図示した。
【0026】
背面ブロック10は、超音波探触子100の最下端に位置し、圧電ウェーハ50から背面ブロック10に向かって進行する不要な超音波信号を吸音する。
【0027】
柔軟性印刷回路基板20は、背面ブロック10の上面に積層され、両面に配線パターンが設けられる。柔軟性印刷回路基板20については、さらに詳しく後述する。
【0028】
圧電ウェーハ50は、柔軟性印刷回路基板20の上面に積層され、両面に各々上部及び下部電極55、57を有し、複数の第2溝53が形成される。
【0029】
本発明の第1実施例においては、2つの第2溝53が形成されているが、その数は、これに限定されない。圧電ウェーハ50の素材として、PZT、PMN−PTなどを使用することができる。上部及び下部電極55、57は、スパッタリング、電子ビーム、熱蒸発または電解めっきなどの方法により形成される。この際、上部電極55は、接地用電極板60と連結され、下部電極57は、柔軟性印刷回路基板20と連結される。
【0030】
接地用電極板60は、上面に金属層が形成され、下面に絶縁層が形成され、圧電ウェーハ50の上面及び側面を取り囲む形態で積層される。柔軟性印刷回路基板20は、接地層を含み、接地用電極板60の下端部は、柔軟性印刷回路基板20の接地層と連結される。
【0031】
音響整合層70は、メタルパウダー、セラミックパウダーなどよりなり、接地用電極板60の上面に積層される。
【0032】
上記のように積層された音響整合層70から背面ブロック10の上端は、第2溝53と直交する方向に複数のスロット83が形成される。この際、本発明の第1実施例に係る超音波探触子100には、5つのスロット83が形成されているが、スロット83の個数は、これに限定されない。
【0033】
この際、音響レンズ(図示せず)は、超音波映像のフォーカシングのために使用されるレンズであって、音響整合層70の上面に積層される。
【0034】
図2a乃至図4bを参照して、本発明の第1実施例に係る柔軟性印刷回路基板及び配線パターンを説明する。図3は、本発明の柔軟性印刷回路基板を概略的に示す斜視図である。図4aは、図3のA−A線に沿う断面図であり、図4bは、図3のB−B線に沿う断面図である。
【0035】
この際、図3に示された柔軟性印刷回路基板20は、スロット83が形成される前の形状を示すもので、スロット83が形成される位置は点線で表示した。
【0036】
柔軟性印刷回路基板20は、ベースフィルム31と配線パターンを備えて構成される。ベースフィルム31は、絶縁素材よりなり、背面ブロック10の上面に接合される下面と、下面に対向する上面とを有する。配線パターンは、中央配線パターン33、第1配線パターン35及び第2配線パターン37に分けられ、ベースフィルム31の両面に形成される。
【0037】
中央配線パターン33は、ベースフィルム31の上面に形成され、第2溝53の領域の間に形成された中央パッド43を具備し、ビアホール39を通じて中央パッド43と連結され、ベースフィルム31の下面を通じて背面ブロック10の外側に配線される。ここで、中央配線パターン33は、中央パッド43を基準にして一側と他側に交互に配線される。したがって、図4aに示された中央配線パターン33は、右側に配線されているが、図4bに示された中央配線パターン33は、左側に配線される。
【0038】
第1配線パターン35は、中央パッド43の一側に形成された第1パッド45を具備し、第1パッド45と連結され、ベースフィルム31の上面の一側に配線される。また、第2配線パターン37は、中央パッド43の他側に形成された第2パッド47を具備し、第2パッド47と連結され、ベースフィルム31の上面の他側に配線される。
【0039】
保護層41は、配線パターンを保護するために中央配線パターン33の下面と第1及び第2配線パターン35、37の上面に形成される。この際、中央パッド43、第1及び第2パッド45、47は、圧電ウェーハ50に形成された下部電極57との連結のために保護層41によって保護されずに、露出される。
【0040】
また、第1及び第2配線パターン35、37の上面に形成された保護層41の上面には、接地層49が形成され、接地用電極板60と連結される。
【0041】
本発明の第1実施例に係る柔軟性印刷回路基板20は、中央パッド43、第1及び第2パッド45、47が3×6のマトリックスアレイを形成したが、3×64乃至3×192のマトリックスアレイを形成してもよく、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、本発明の第1実施例に係る柔軟性印刷回路基板20は、中央配線パターン33と、第1及び第2配線パターン35、37に分けられる3つの配線パターンが設けられているが、それ以上の配線パターンが設けられてもよい。5つの配線パターンが設けられる場合は、中央に配線される中央配線パターンは、ベースフィルムの下面において一側または他側に交互に配線され、中央配線パターンの一側または他側に設けられた各々2つの配線パターンは、各々両端部に配線される。
【0043】
一般的に、圧電ウェーハ50と柔軟性印刷回路基板20が接触する部位で回路連結が行われ、1.5D(Dimension)超音波探触子(プローブ)の場合、両端の列を連結するために回路を多層で構成する。しかし、超音波探触子100において、背面ブロック10、圧電ウェーハ50、音響整合層70の接着厚さと柔軟性印刷回路基板20、接地用電極板60は、薄ければ薄いほど振動及び音響特性が向上する。したがって、本発明の柔軟性印刷回路基板20は、圧電ウェーハ50と接触する部分で両端の列の回路連結をせずに、図2bに示されたように、柔軟性印刷回路基板20の端部を接合することによって、圧電ウェーハ50と接触する柔軟性印刷回路基板20の厚さが薄くなって、音響特性が向上する。
【0044】
図2a乃至図6を参照して、本発明の第1実施例に係る超音波探触子を製造する方法を説明する。図5は、本発明の第1実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。図6は、本発明の第1実施例に係る超音波探触子のスロットを形成する方法を示す図である。
【0045】
図5を参照すれば、ステップS711で、圧電ウェーハ50、接地用電極板60及び音響整合層70を順に積層する。
【0046】
ステップS713で、圧電ウェーハ50に複数の第2溝53を形成する。
【0047】
ステップS715で、背面ブロック10及び柔軟性印刷回路基板20を順に積層する。
【0048】
ステップS721で、ステップS711で積層した圧電ウェーハ50をステップS715で積層した柔軟性印刷回路基板20の上面に積層する。
【0049】
ステップS723で、ステップS721により下側から順に背面ブロック10、柔軟性印刷回路基板20、圧電ウェーハ50、接地用電極板60及び音響整合層70が積層されれば、音響整合層70から背面ブロック10の上端に第2溝53に直交する方向に複数のスロット83を形成する。
【0050】
ステップS725で、スロット83が形成された音響整合層70の上部に音響整合層70の全体を覆うことができるように音響レンズ(図示せず)を接合する。音響レンズは、シリコーンなどの材質よりなり、シリコーンプリマーなどを使用して接合する。
【0051】
ステップS727で、接地用電極板60を柔軟性印刷回路基板20の接地層59に連結し、柔軟性印刷回路基板20の両端を互いに接合して、第1及び第2配線パターン45、55を連結し、回路を構成する。
【0052】
この際、ステップS723でスロット83を形成する方法は、図6を参照して説明する。
【0053】
図6を参照すれば、ステップS723で積層された背面ブロック10、柔軟性印刷回路基板20、圧電ウェーハ50、接地用電極板60及び音響整合層70にダイシング機械500を使用してスロット83を形成する。図6は、5つのスロット83のうち4つのスロット83が形成されたことを示す。
【0054】
また、圧電ウェーハ50に第2溝53を形成するときにも、ステップS723で使用したダイシング機械500を使用することができる。
【0055】
一方、前記積層及び接合過程で、本発明による超音波探触子は、一般エポキシを使用して接合するが、これは、一般エポキシを1乃至2μmで薄く塗布すれば、電気的に接合が可能だからである。したがって、接着力が多少弱い伝導性エポキシの代わりに、一般エポキシを主に使用するが、これに限定されるものではない。
【0056】
図7及び図8を参照して、本発明の第2実施例に係る超音波探触子を説明する。図7は、本発明の第2実施例に係る超音波探触子を示す断面図である。図8は、本発明の第2実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【0057】
本発明の第2実施例に係る超音波探触子200は、背面ブロック110及び圧電ウェーハ150に第1及び第2溝113、153が形成される。この際、第1及び第2溝113、153は、個数が同一であり、サイズも実質的に同一である。本発明の第2実施例に係る超音波探触子200は、背面ブロック110に形成された第1溝113によって超音波の干渉現象を低減することができ、振動特性を向上させることができる。
【0058】
図8に示されたように、ステップS611で、圧電ウェーハ150、接地用電極板160及び音響整合層170を順に積層する。ステップS613で、圧電ウェーハ150に複数の第2溝153を形成し、ステップS617で、背面ブロック110に第2溝153に対応する第1溝113を形成する。
【0059】
ステップS619で、第1溝113が形成された背面ブロック110及び柔軟性印刷回路基板120を順に積層する。この際、背面ブロック110に第1溝113をあらかじめ形成し、柔軟性印刷回路基板120を積層することがさらに好ましい。
【0060】
ステップS621で、ステップS611で積層した圧電ウェーハ150をステップS619で積層した柔軟性印刷回路基板120の上面に積層する。
【0061】
ステップS623で、音響整合層170から背面ブロック110の上端に第2溝153に直交する複数のスロット(図示せず)を形成する。
【0062】
ステップS625で、スロットが形成された音響整合層170の上部に音響整合層170の全体を覆うことができるように音響レンズ(図示せず)を接合する。
【0063】
ステップS627で、接地用電極板160を柔軟性印刷回路基板120の接地層(図示せず)に連結し、柔軟性印刷回路基板120の両端を互いに接合して、第1及び第2配線パターン(図示せず)を連結し、回路を構成する。
【0064】
図9及び図10を参照して、本発明の第3実施例に係る超音波探触子を説明する。図9は、本発明の第3実施例に係る超音波探触子を示す断面図である。図10は、本発明の第3実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【0065】
本発明の第3実施例に係る超音波探触子300は、圧電ウェーハ250及び音響整合層270に複数の第2及び第3溝253、273が形成される。この際、第2及び第3溝253、273は、個数が同一であり、サイズも実質的に同一である。本発明の第3実施例に係る超音波探触子300は、音響整合層270に形成された第3溝273によって超音波の干渉現象が低減するので、振動特性が向上する。
【0066】
図10に示されたように、ステップS511で、圧電ウェーハ250、接地用電極板260及び音響整合層270を順に積層し、ステップS513で、圧電ウェーハ250に複数の第2溝253を形成する。ステップS515で、音響整合層270に第2溝253に対応する第3溝273を形成する。
【0067】
ステップS519で、背面ブロック210及び柔軟性印刷回路基板220を順に積層する。
【0068】
ステップS521で、ステップS511で積層した圧電ウェーハ250をステップS519で積層した柔軟性印刷回路基板220の上面に積層する。
【0069】
ステップS523で、音響整合層270から背面ブロック210の上端に第2溝253に直交する複数のスロット(図示せず)を形成する。
【0070】
ステップS525で、スロットが形成された音響整合層270の上部に音響整合層270の全体を覆うことができるように音響レンズ(図示せず)を接合する。
【0071】
ステップS527で、接地用電極板260を柔軟性印刷回路基板220の接地層(図示せず)に連結し、柔軟性印刷回路基板220の両端を互いに接合して、第1及び第2配線パターン(図示せず)を連結し、回路を構成する。
【0072】
図11及び図12を参照して、本発明の第4実施例に係る超音波探触子を説明する。図11a及び図11bは、本発明の第4実施例に係る超音波探触子を示す断面図及び斜視図である。図12は、本発明の第4実施例に係る超音波探触子を製造する方法を示す流れ図である。
【0073】
本発明の第4実施例に係る超音波探触子400は、背面ブロック310、圧電ウェーハ350及び音響整合層370に複数の第1乃至第3溝313、353、373が形成される。この際、第1乃至第3溝313、353、373は、個数が同一であり、サイズも実質的に同一である。本発明の第4実施例に係る超音波探触子400は、背面ブロック310、圧電ウェーハ350及び音響整合層370に第1乃至第3溝313、353、373を形成し、各列同士の干渉を最小化することができ、音響特性が向上する。
【0074】
図12に示されたように、 ステップS411で、圧電ウェーハ350、接地用電極板360及び音響整合層370を順に積層し、ステップS413で、圧電ウェーハ350に複数の第2溝353を形成する。ステップS415で、音響整合層370に第2溝353に対応する第3溝373を形成し、ステップS417で、背面ブロック310の上面に第2及び第3溝353、373に対応する第1溝313を形成する。
【0075】
ステップS419で、第1溝313が形成された背面ブロック310及び柔軟性印刷回路基板320を順に積層する。
【0076】
ステップS421で、ステップS411で積層した圧電ウェーハ350をステップS419で積層した柔軟性印刷回路基板320の上面に積層する。
【0077】
ステップS423で、ステップS421により下側から順に背面ブロック310、柔軟性印刷回路基板320、圧電ウェーハ350、接地用電極板360及び音響整合層370が積層されれば、音響整合層370から背面ブロック310の上端に第2溝353に直交する方向に複数のスロット383を形成する。
【0078】
ステップS425で、スロット383が形成された音響整合層370の上部に音響整合層370の全体を覆うことができるように音響レンズ(図示せず)を接合する。
【0079】
ステップS427で、接地用電極板360を柔軟性印刷回路基板320の接地層359に連結し、柔軟性印刷回路基板320の両端を互いに接合して、第1及び第2配線パターン(図示せず)を連結し、回路を構成する。
【0080】
以上、実施例により本発明による超音波探触子、超音波映像装置及びその製造方法について説明した。本明細書と図面には、本発明の好ましい実施例を開示しており、たとえ特定の用語が使用されていたとしても、これは、単に本発明の技術内容を容易に説明し、発明の理解を助けるための一般的な意味として使用されたものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施例以外にも、本発明の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に自明であろう。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波映像装置
11 本体
13 表示部
14 入力部
15 コネクター
100 超音波探触子
10 背面ブロック
20 柔軟性印刷回路基板
31 ベースフィルム
43 中央パッド
33 中央配線パターン
39 ビアホール
45 第1パッド
35 第1配線パターン
47 第2パッド
37 第2配線パターン
41 保護層
49 接地層
50 圧電ウェーハ
53 第2溝
55 上部電極
57 下部電極
60 接地用電極板
70 音響整合層
73 第3溝
80 音響レンズ
90 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚さを有する背面ブロックと、
前記背面ブロックの上面及び側面を取り囲む形態で積層され、配線パターンが設けられている柔軟性印刷回路基板と、
前記柔軟性印刷回路基板の上面に積層され、両面に各々上部及び下部電極を有し、複数の第2溝が形成された圧電ウェーハと、
前記圧電ウェーハの上面に積層されて前記上部電極と接合され、前記柔軟性印刷回路基板の接地層と連結される接地用電極板と、
前記接地用電極板の上面に積層される音響整合層と、
前記音響整合層の上面に接合される音響レンズと、
を含み、
前記音響整合層から前記背面ブロックの上端は、前記第2溝と直交する複数のスロットが形成されることを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
前記背面ブロックは、前記第2溝に対応する第1溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記音響整合層は、前記第2溝に対応する第3溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記背面ブロックは、前記第2溝に対応する第1溝が形成され、
前記音響整合層は、前記第2溝に対応する第3溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記複数の第1溝乃至第3溝のサイズは、実質的に同一であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波探触子。
【請求項6】
前記複数の第1溝乃至第3溝は、2つまたは4つであることを特徴とする請求項5に記載の超音波探触子。
【請求項7】
前記柔軟性印刷回路基板は、
前記背面ブロックの上面に接合される下面と、前記下面に対向する上面とを有する絶縁素材のベースフィルムと、
前記ベースフィルムの両面に形成された前記配線パターンと、を含み、
前記配線パターンは、
前記ベースフィルムの上面に形成され、前記第2溝の間に形成された中央パッドを具備し、ビアホールを通じて前記中央パッドと連結され、前記ベースフィルムの下面を通じて前記背面ブロックの外側に配線された中央配線パターンと、
前記中央パッドの一側に形成された第1パッドを具備し、前記第1パッドと連結され、前記ベースフィルムの上面の一側に配線された第1配線パターンと、
前記中央パッドの他側に形成された第2パッドを具備し、前記第2パッドと連結され、前記ベースフィルムの上面の他側に配線された第2配線パターンと、
前記中央配線パターンと、第1及び第2配線パターンを保護するために、前記中央配線パターンの下面と前記第1及び第2配線パターンの上面に形成された保護層と、
前記第1及び第2配線パターンの上面に形成された保護層の上面に形成され、前記接地用電極板と連結される接地層と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の超音波探触子。
【請求項8】
前記中央配線パターンは、前記ベースフィルムの一側と他側に交互に配線されることを特徴とする請求項7に記載の超音波探触子。
【請求項9】
前記柔軟性印刷回路基板は、両端が接合され、前記第1及び第2配線パターンが互いに連結されることを特徴とする請求項8に記載の超音波探触子。
【請求項10】
前記中央パッド、前記第1及び第2パッドは、3×96のマトリックスアレイで形成されることを特徴とする請求項9に記載の超音波探触子。
【請求項11】
前記スロットは、95個であることを特徴とする請求項10に記載の超音波探触子。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波探触子と、
前記超音波探触子と連結されるコネクターを有する本体と、
を含むことを特徴とする超音波映像装置。
【請求項13】
前記コネクターは、前記本体の上端に配置されることを特徴とする請求項12に記載の超音波映像装置。
【請求項14】
圧電ウェーハ、接地用電極板及び音響整合層を順に積層する第1積層段階と、
前記圧電ウェーハに複数の第2溝を形成する第2溝形成段階と、
背面ブロック及び柔軟性印刷回路基板を順に積層する第2積層段階と、
前記圧電ウェーハを前記柔軟性印刷回路基板の上面に積層する第3積層段階と、
前記音響整合層から背面ブロックの上端に第2溝に直交する複数のスロットを形成するスロット形成段階と、
前記音響整合層の上部に音響レンズを接合する接合段階と、
を含むことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
【請求項15】
前記第2積層段階の前に、
前記背面ブロックに前記第2溝に対応する第1溝を形成する第1溝形成段階をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項16】
前記第2積層段階の前に、
前記音響整合層に前記第2溝に対応する第3溝を形成する第3溝形成段階をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項17】
前記第2積層段階の前に、
前記音響整合層に前記第2溝に対応する第3溝を形成する第3溝形成段階と、
前記背面ブロックに前記第2溝に対応する第1溝を形成する第1溝形成段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項18】
前記複数の第1溝乃至第3溝のサイズは、実質的に同一であることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の超音波探触子の製造方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−184114(P2010−184114A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17231(P2010−17231)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(509288334)ヒューマンスキャン カンパニー リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HUMANSCAN CO.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】302, Sihwa Apartment Factory 3−rd Floor, 672, Sunggok−dong, Danwon−gu, Ansan−si, Kyounggi−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】