超音波現像処理方法及び超音波現像処理装置
【課題】低インパクトでの現像を可能にすると共に、現像時間の短縮及び現像精度の向上が図れ、かつ、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果の向上が図れるようにした超音波現像処理方法及びその装置を提供する。
【解決手段】露光処理された基板Gの回路パターンP表面に現像液を接触例えば液盛りさせて、現像処理を行う現像処理において、現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板側面に発振面7bが当接される超音波振動子7Bと、該超音波振動子の高周波駆動電源31とを具備する。基板表面に現像液を液盛りした後、基板の回路パターンの近傍の該基板側面に超音波振動子の発振面を当接した状態で、超音波振動子より発生する超音波振動が回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う。
【解決手段】露光処理された基板Gの回路パターンP表面に現像液を接触例えば液盛りさせて、現像処理を行う現像処理において、現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板側面に発振面7bが当接される超音波振動子7Bと、該超音波振動子の高周波駆動電源31とを具備する。基板表面に現像液を液盛りした後、基板の回路パターンの近傍の該基板側面に超音波振動子の発振面を当接した状態で、超音波振動子より発生する超音波振動が回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマスク用ガラス基板等の基板の超音波現像処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造においては、例えば半導体ウエハやLCDガラス基板等の基板の上に回路パターンを形成するために、フォトリソグラフィ技術が利用されている。このフォトリソグラフィ技術においては、基板にフォトレジストを塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に回路パターンが形成されている。
【0003】
近年では、回路線幅の微細化が進められており、線幅が32nm,22nmの回路パターンの半導体デバイスの製造において、従来の露光方式に代わってナノインプリントリソグラフィ(NIL:Nanoimprint Lithography)方式が開発されている。このナノインプリントリソグラフィ方式は、図14に示すように、光硬化性樹脂aを塗布した半導体ウエハW(以下にウエハWという)の表面側に、回路パターンbを加工した石英ガラス製のモールドc対向させ{図14(a)参照}、次に、ウエハWの表面にモールドcを押し付け{図14(b)参照}、この状態で、紫外線照射手段例えば超高圧水銀灯dから紫外線をモールドcを介してウエハWに照射し{図14(c)参照}、その後、モールドcをウエハWから離して{図14(d)参照}、ウエハW表面に回路パターンbを転写する方式である。
【0004】
上記ナノインプリントリソグラフィ方式においては、回路パターンの鮮明度はモールドcの形状やモールド形状の忠実転写性が重要である。
【0005】
上記モールドに回路パターンを形成する手段としては、半導体製造工程のフォトリソグラフィ方式すなわち塗布・露光・現像方式が採用され、モールドを形成する基板にレジストを塗布し、露光した後、現像液を液盛りして現像処理を行ってモールドに回路パターンが形成される。
【0006】
この場合、現像処理において、現像液を基板全体に均一に拡散・分散させる手段として、ノズルから基板に供給(吐出)された現像液を拡散する拡散部材を超音波振動させる超音波発振子を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、別の方式として、基板を保持するチャックの回転部に超音波装置を装着する方式が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−22952号公報(特許請求の範囲、段落0043、図10)
【特許文献2】特開平9−139345号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2に記載のものは、いずれも基板表面の現像液全体を超音波振動によって拡散又は分散させるため、回路パターン以外の必要のない箇所にも均等に超音波振動を与えることとなり、無駄なエネルギを消費するばかりか、現像処理に多くの時間を要すると共に、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果が低下する懸念がある。また、基板表面の現像液全体を超音波振動によって拡散又は分散させるため、装置が大型化する懸念もある。
【0010】
なお、モールドに形成される回路パターンの線幅は微細であるため、現像液の供給時(吐出時)には基板上に与えるインパクトを少なくして、回路パターンのダメージを抑制する必要があるが、有機現像においては、ある程度のインパクトは必要である。
【0011】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低インパクトでの現像を可能にすると共に、現像時間の短縮及び現像精度の向上が図れ、かつ、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果の向上が図れるようにした超音波現像処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理方法であって、 現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板の側面に超音波振動子の発振面を当接させ、超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の超音波現像処理方法において、上記現像処理を複数回繰り返して行う、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の超音波現像処理方法を具現化するもので、露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理装置であって、 現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板側面に発振面が当接される超音波振動子と、上記超音波振動子の駆動電源とを具備し、 上記超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする。この場合、上記超音波振動子を基板の側面及び基板を保持する保持手段に対して接離移動する接離移動機構を更に具備する方が好ましい(請求項4)。
【0015】
請求項1,3,4記載の発明によれば、現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板の側面に超音波振動子の発振面を当接させた状態で、超音波振動子より発生する超音波振動が基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行うことにより、現像液自体の対流が促進され、回路パターンに沿った溝方向の現像液の流れが促進されるため、現像液を積極的に接触させて回路パターンに残渣するスカムの除去効果を高めることができると共に、現像処理の精度を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の超音波現像処理方法において、現像処理を複数回繰り返して行うことにより、新しい現像液を回路パターンに接触させるので、更に回路パターンに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、上記のように構成されているので、低インパクトでの現像を可能にすることができると共に、現像時間の短縮及び現像精度の向上が図れ、かつ、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果の向上が図れる。また、回路パターン上の現像液を積極的に回路パターンに接触させることで、超音波振動を有効に現像処理に供することができるので、省力化が図れると共に、装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る第1実施形態の現像処理装置を示す概略断面図である。
【図2】上記現像処理装置の概略平面図である。
【図3】第1実施形態における超音波振動子の使用状態を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
【図4】第1実施形態の変形例の現像処理装置を示す概略断面図である。
【図5】図4の概略平面図である。
【図6】第1実施形態の別の変形例を示す概略断面図である。
【図7】図6の概略平面図である。
【図8】この発明に係る第2実施形態の現像処理装置を示す概略断面図である。
【図9】この発明に係る第3実施形態の現像処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図10】図9の概略平面図である。
【図11】第3実施形態の変形例の要部を示す概略平面図である。
【図12】第4実施形態の現像処理装置の現像処理状態を示す概略断面図(a)、(a)のI部拡大断面図(b)及びリンス処理状態を示す概略断面図(c)である。
【図13】この発明に係る第5実施形態の現像処理装置の要部を示す概略平面図(a)、(a)のII部拡大図(b)及び(b)のIII−III線に沿う断面図(c)である。
【図14】ナノインプリントリソグラフィ方式の製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る超音波現像処理装置を角形のモールドのマスク用ガラス基板の現像に適用した場合について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、この発明に係る第1実施形態の現像処理装置を示す概略断面図、図2は、上記現像処理装置の概略平面図である。
【0021】
この発明に係る現像処理装置は、ケーシング1を有し、このケーシング1内に、角形ガラス基板G(以下に基板Gという)を回転可能に保持する保持手段である回転基台2と、この回転基台2と共に回転可能で、かつ回転基台2に保持された基板Gの外周部を囲む、基板Gの表面の同一平面上に基板Gの表面上から連続する現像液Lの液膜を形成するための助走ステージ3と、回転基台2に保持された基板Gの表面に沿って移動可能で、基板Gに対して現像液Lを帯状に供給(吐出)する現像液供給ノズル5(以下に現像ノズル5という)と、基板Gに形成された角形の回路パターンPの対向位置に移動可能で、回路パターンP上の現像液Lに超音波振動を伝播する超音波振動子7を具備している。なお、ケーシング1の一側壁1aには基板Gの搬入搬出口1bが設けられており、この搬入搬出口1bはシャッタ1cによって開閉可能になっている。
【0022】
また、上記回転基台2及び助走ステージ3は、カップ6内に収容可能に形成されており、カップ6の外方側には、回転基台2に保持された基板Gに向かって洗浄液(リンス液)例えば純水を供給するリンス液供給手段8が配設されている。
【0023】
この場合、上記回転基台2は、図1及び図2に示すように、隙間9をおいて基板Gを収容する四角形状の開口凹部4を有しており、開口凹部4の各角部には基板Gの角部を保持する位置決め用保持ピン10が配設されている。この回転基台2は回転軸11を介して回転駆動部例えばサーボモータ12に連結され、回転軸11を中心軸として所定の回転速度で回転できる。なお、回転基台2によって保持された基板Gの回路パターンPの位置決めはサーボモータ12の調整によって行われる。
【0024】
また、上記助走ステージ3は、図2に示すように、平面から見て基板Gの角部の位置が切り欠かれた略円形の薄い板形状を有し、中央部に基板Gを収容する四角形状の開口凹部4が形成されている。このように助走ステージ3の外形を略円形状に形成することにより、助走ステージ3を回転させた際に、助走ステージ3の外周部付近において乱流が形成されることを防止している。この場合、助走ステージ3は、基板Gの表面と同一平面上、若しくは、僅かに低い位置例えば200〜400μm低い位置に固定されている。これにより、基板Gの表面から助走ステージ3の表面に渡る同一平面上に連続した液膜を形成することができる。
【0025】
また、上記回転基台2は、図1に示すように、開口凹部4の底部の3箇所には、垂直方向に貫通する貫通孔13が設けられている。貫通孔13内には、基板Gを支持して昇降させる支持ピン14が昇降可能に貫挿されている。支持ピン14は、例えばシリンダなどの昇降駆動機構15によって昇降自在であり、回転基台2上に突出して回転基台2に対する基板Gの受け渡しを行うことができる。
【0026】
また、回転基台2は、基板Gから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するためのカップ6内に収容されている。カップ6は、回転基台2及び基板保持台4の側方と下方を覆うように、例えば下面が閉鎖され上面が開口した円筒状に形成されている。カップ6の底部には、排気口6aと排液口6bが設けられており、排気口6aには図示しない排気ポンプ等の排気装置を介設した排気管16が接続され、また、排液口6bには例えば工場の排液部に連通した排出管17が接続されており、カップ6において回収した液体を現像処理装置の外部に排出できる。
【0027】
また、図2に示すようにカップ6のY方向負方向(図2の左方向)側には、第1の待機部61が設けられている。第1の待機部61には、現像液Lの供給を行う現像ノズル5が待機可能になっている。現像ノズル5は、例えば少なくとも基板Gの辺の寸法と同じかそれよりも長いスリット状のノズル孔(図示せず)を有すると共に、X方向に沿った略直方体形状を有している。現像ノズル5は、逆L字型のヘッドアーム18に支持されており、ヘッドアーム18が取り付けられた例えばボールねじとその回転モータ等からなる水平移動機構19によって、第1の待機部61から少なくともカップ6のY方向正方向(図2の右方向)側の端部付近まで水平移動(スキャン)可能に形成されている。また、現像ノズル5は、例えばヘッドアーム18に取り付けられたシリンダ等の昇降機構(図示せず)によって上下方向にも移動可能に形成されている。なお、現像ノズル5は現像液供給管を介して現像液供給源(図示せず)に接続されており、基板G上をスキャンしながら現像液供給源から供給される現像液Lを基板上に帯状に液盛りして液膜を形成することができる。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、カップ6のY方向正方向側には、第2の待機部62が設けられている。第2の待機部62には、リンス液供給手段であるリンス液吐出ノズル8(以下にリンスノズル8という)が待機可能になっている。リンスノズル8は、例えば回転駆動部8aの回転軸8bに取り付けられたノズルアーム8cの先端部に支持されており、回転軸8bの回動によって第2の待機部62からカップ6内の基板Gの中心部上方まで移動できる。なお、リンスノズル8は、リンス液供給管を介して例えば現像処理装置1の外部に設置されたリンス液供給源(図示せず)に接続されており、リンス液供給源から供給されたリンス液(純水)を下方に向けて吐出して基板Gをリンス処理する。
【0029】
一方、上記超音波振動子7は、図3に示すように、現像液Lが接触した状態すなわち現像液Lが基板G表面に液盛りされた状態にある基板Gの回路パターンPに対して近接して対向配設され、回路パターンPの領域と同じ若しくは若干大きい領域の発振面7aを有している。この超音波振動子7は超音波発振器30を介して高周波駆動電源31に接続されている(図1参照)。なおこの場合、超音波振動子7の周波数は、例えば400kHz〜3MHzに設定されている。
【0030】
また、超音波振動子7は、図1及び図2に示すように、カップ6の外方側に配置された水平回動及び昇降機能を有する移動機構20に連結される回動・昇降アーム21によって支持されている。したがって、移動機構20の駆動によって超音波振動子7は、現像ノズル5による現像液Lの液盛り時には現像ノズル5と干渉しないカップ6の外方位置に待機し、現像液Lの液盛り後には、基板Gの回路パターンPの上方まで回動した後、下降して基板Gの回路パターンP上に近接して現像液Lに接液し、超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0031】
上記実施形態では、超音波振動子7が移動機構20によってカップ6の外方の待機位置と、回転基台2によって保持された基板Gの回路パターンPの上方位置及び回路パターンP上の近接位置に移動する場合について説明したが、別の移動機構を用いて超音波振動子7を基板Gの回路パターンP上に近接するようにしてもよい。
【0032】
例えば、図4及び図5に示すように、回転基台2によって保持された基板Gの回路パターンPの上方位置に配設される超音波振動子7を、例えばシリンダ等の昇降移動機構20Aに連結する逆L字状の昇降アーム21Aによって支持し、昇降移動機構20Aの駆動によって現像ノズル5のスキャン時(液盛り時)には現像ノズル5と干渉しない上方位置に待機し、現像液Lの液盛り後には、基板Gの回路パターンPの近接位置まで下降するように構成してもよい。なお、図4及び図5において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0033】
また、上記実施形態では、回路パターンPが基板Gの中心部の1箇所に形成される場合について説明したが、例えば図6及び図7に示すように、基板Gの複数箇所例えば同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合においても、各回路パターンP上の近接位置に上記と同様に超音波振動子7を対向配置して現像処理を行うことができる。
【0034】
この場合、各超音波振動子7は、昇降アーム21Aに連結される支持プレート22によって垂下されており、支持プレート22を介して超音波発振器30と高周波駆動電源31に接続されている(図6参照)。この場合においても、各回路パターンPと各超音波振動子7の位置決めはサーボモータ12の調整によって行うことができる。
【0035】
上記説明では、支持プレート22によって垂下される4つの超音波振動子7を昇降移動機構20Aによって各回路パターンP上の近接位置に対向させる場合について説明したが、第1実施形態の水平回動及び昇降機能を有する移動機構20によって支持プレート22によって垂下される4つの超音波振動子7を、カップ6の外方の待機位置と各回路パターンP上の近接位置に移動させることも可能である。
【0036】
次に、上記のように構成される第1実施形態の現像処理装置の現像処理について説明する。まず、現像処理装置の外部の図示しない搬送アームによって搬送された基板Gが搬入出口1bを介してケーシング1内に搬入されると、基板Gは、予め上昇していた支持ピン14に受け渡され、支持ピン14の下降によって回転基台2上に載置されると共に、位置決めピン10によって位置決めされる。
【0037】
次に、第1の待機部61に待機していた現像ノズル5が基板GよりY方向負方向側の助走ステージ3上まで移動して、助走ステージ3上に配置される。そして、現像ノズル5が下降し、スタート位置である助走ステージ3の表面に近接され、現像液Lを帯状に供給(吐出)しながらY方向正方向側に移動して基板G表面に現像液Lを液盛りする。
【0038】
基板Gの表面に現像液Lが液盛りされた後、移動機構20(又は昇降移動機構20A)の駆動により超音波振動子7が基板Gの回路パターンPの上方から下降して基板Gの回路パターンPに近接する位置に移動し現像液Lに接液する。この状態で、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う。これにより、回路パターンP上の現像液分子が振動しながら回路パターンPの全域に拡散・分散して有機系現像プロセス時のスカム発生を防止することができる。つまり、現像液自体の流体が促進され、回路パターンに沿った溝方向の現像液の流れが促進されるので、現像液を積極的に接触させて回路パターンに残渣するスカムの除去効果(スカムの沈着を抑制する効果)を高めることができる。
【0039】
上記のようにして現像処理が終了した後、超音波振動子7は基板Gの回路パターンPの近接位置から後退して基板Gの上方又はカップ6の外方の待機位置に退避する。
【0040】
続いて、第2の待機部62で待機していたリンスノズル8が基板Gの中心部上方まで移動し、回転基台2によって助走ステージ3と共に基板Gが回転される。リンスノズル8から回転された基板G上にリンス液が吐出されて基板Gが洗浄される。
【0041】
上記のようにして、基板Gが所定時間洗浄された後、サーボモータ12の駆動により基板Gを高速回転して基板Gを乾燥する。
【0042】
基板Gが乾燥されると、再び支持ピン14が上昇して基板Gを持ち上げ、ケーシング1内に進入する搬送アーム(図示せず)が基板Gを受け取って現像処理装置の外部に搬出される。
【0043】
上記説明では、現像処理を1回行う場合について説明したが、現像処理を複数回繰り返して行うようにしてもよい。現像処理を複数回繰り返すことにより、先の現像処理によって生じた溶解生成物を除去した後、新たに現像液Lを液盛りして現像処理を行うことができるので、更に現像処理の精度の向上を図ることができる。
【0044】
<第2実施形態>
図8は、この発明に係る第2実施形態の現像処理装置の一例を示す概略断面図である。
【0045】
第2実施形態は、基板Gを保持手段である搬送チャック25によって保持して、基板Gを現像液槽24内の現像液Lに浸漬し、搬送チャック25に設けられた超音波振動子7より発生する超音波振動を、基板Gの回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う場合である。
【0046】
第2実施形態の現像処理装置における搬送チャック25は、図8に示すように、水平基部26の側端部から垂下する略L字状の複数の保持爪27を具備すると共に、水平基部26の下面における基板Gの回路パターンP(この場合、基板Gの中心部に1つ設けられている。)と対向する部位に設けられる超音波振動子7Aを具備している。この場合、超音波振動子7Aは、第1実施形態と同様に、回路パターンPの領域と同じ若しくは若干大きい領域の発振面7aを有している。この超音波振動子7は超音波発振器30を介して高周波駆動電源31に接続されている。
【0047】
なお、現像液槽24の底部には排液口28が設けられており、この排液口28に開閉弁Vを介設した排液管29が接続されている。
【0048】
上記のように構成される第2実施形態の現像処理装置によれば、図示しない基板保持台上に位置決めされた状態で載置された基板Gを搬送チャック25が受け取って、現像液槽24内の現像液Lに浸漬した状態で、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0049】
なお、上記説明では、回路パターンPが1つの場合について説明したが、基板Gの複数箇所例えば4箇所に回路パターンPが形成されている場合においても、搬送チャック25の水平基部26の下面における回路パターンPと対向する部位に超音波振動子7を配設することで、各超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が各回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0050】
<第3実施形態>
図9は、この発明に係る第3実施形態の現像処理装置の要部を示す概略断面図、図10は、図9の概略平面図である。
【0051】
第3実施形態は、現像液Lが接触した状態にある基板Gの回路パターンPの近傍の該基板Gの側面に超音波振動子7Bの発振面7bを当接させ、超音波振動子7Bより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP上の現像液Lに伝播して現像処理を行う場合である。
【0052】
例えば、基板Gの中心部に1つの回路パターンPが形成されている場合は、図9及び図10に示すように、回転基台2に保持された基板Gの4辺の側面Gaの対向する中心部にそれぞれ超音波振動子7Bの発振面7bを当接して、超音波振動子7Bより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP上の現像液Lに伝播して現像処理を行う。
【0053】
この場合、各超音波振動子7Bは、先端に発振面7bを有する棒状に形成され、回転基台2の側壁部2aに設けられた貫通孔2b内に移動可能に嵌挿されており、基端に連結するシリンダ等の接離移動機構40によって先端の発振面7bが基板Gの側面Gaに対して接離移動可能に形成されている。すなわち、基板表面に現像液Lが液盛りされた現像処理時には、接離移動機構40の伸長動作によって発振面7bが基板Gの側面Gaに当接し、この状態で、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Bの発振面7aより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う。また、リンス処理時には、接離移動機構40の収縮動作によって発振面7bが基板Gの側面Gaから離れると共に、回転基台2の外方側に退避して、リンス処理時の回転基台2の回転を可能にしている。
【0054】
なお、第3実施形態において、超音波振動子7Bの発振面7bを回路パターンPになるべく近接する位置に当接する方がよく、好ましくは基板Gの上部側面Gaに当接する方がよい。
【0055】
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0056】
なお、上記説明では、基板Gの中心部に1つの回路パターンPが形成される場合について説明したが、基板Gの複数箇所例えば同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合は、図11に示すように、基板Gの側面Gaにおける各回路パターンPの外側の2辺の近傍位置に超音波振動子7Bの発振面7bを当接する。
【0057】
このように構成することにより、基板表面に現像液Lが液盛りされた現像処理時には、接離移動機構40の伸長動作によって発振面7bが基板Gの側面Gaに当接し、この状態で、高周波駆動電源31が駆動して、各超音波振動子7Bの発振面7aより発生する超音波振動が基板Gを伝って各回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0058】
また、第3実施形態においても、現像処理を繰り返して行うことにより、新しい現像液Lを回路パターンPに接触させることができるので、更に回路パターンPに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0059】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の現像処理装置の現像処理状態を示す概略断面図(a)、(a)のI部拡大断面図(b)及びリンス処理状態を示す概略断面図(c)である。
【0060】
第4実施形態は、現像液Lが接触した状態にある基板Gを保持する回転基台2における基板Gの回路パターンPの近傍位置に超音波振動子7Cを配設すると共に、超音波振動子7Cを基板Gの下面Gbに当接し、超音波振動子7Cより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う場合である。
【0061】
この場合、超音波振動子7Cは、基板Gの回路パターンPに近接する回転基台2の底部の下面Gbに配設されており、超音波振動子7Cの上面に突設された複数の針状片7cが、それぞれ回転基台2の底部に設けられた複数の貫通孔2c内を貫通して基板Gの下面に接触(当接)している(図12(b)参照)。
【0062】
このように構成することにより、基板表面に現像液Lが液盛りされた現像処理時には、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Cの針状片7cより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0063】
また、第4実施形態においては、上記のようにして現像処理を行った後、図12(c)に示すように、基板Gの中央部上方にリンスノズル8を移動し、回転する基板Gに対してリンスノズル8からリンス液である純水(DIW)を供給(吐出)しながらリンス処理を行う。この際においても、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Cの針状片7cより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の純水(DIW)に伝播しながらリンス処理を行うことができる。これにより、回路パターンに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0064】
なお、第4実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0065】
なお、第4実施形態においても、基板Gの複数箇所例えば同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合は、各回路パターンPに近接する回転基台2の底部の下面に、同様に超音波振動子7Cを配設すればよい。
【0066】
また、第4実施形態においても、現像処理を繰り返して行うことにより、新しい現像液Lを回路パターンPに接触させることができるので、更に回路パターンPに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0067】
<第5実施形態>
図13は、この発明に係る第5実施形態の現像処理装置の要部を示す概略平面図(a)、(a)のII部拡大図(b)及び(b)のIII−III線に沿う断面図(c)である。
【0068】
第5実施形態は、現像液Lが接触した状態にある基板Gを保持する回転基台2に設けられた基板保持部材である位置決め用ピンを超音波振動子7Dによって形成し、超音波振動子7Dより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP(この場合、基板の同心円上の4箇所に形成されている。)上の現像液Lに伝播して現像処理を行う場合である。
【0069】
この場合、位置決め用ピンを兼用する超音波振動子7Dは、回転基台2の開口凹部4の角部よりなるべく回路パターンPの外側辺に近接する位置に配設されており、各超音波振動子7Dは、超音波発振器30を介して高周波駆動電源31に接続されている。
【0070】
なお、第5実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
第5実施形態の現像処理装置を用いて基板Gを現像処理する場合は、第1実施形態と同様に、現像ノズル5から現像液Lを帯状に供給(吐出)しながら移動して基板G表面に現像液Lが液盛りされた後、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Dより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0072】
また、第5実施形態においても、上記のようにして現像処理を行った後、基板Gの中央部上方にリンスノズル8を移動し、回転する基板Gに対してリンスノズル8からリンス液である純水(DIW)を供給(吐出)しながらリンス処理を行う。この際においても、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Dより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の純水(DIW)に伝播しながらリンス処理を行うことができる。
【0073】
また、第5実施形態においても、現像処理を繰り返して行うことにより、新しい現像液Lを回路パターンPに接触させることができるので、更に回路パターンPに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0074】
なお、上記説明では、基板Gの同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合について説明したが、基板Gの中心部に1つの回路パターンPが形成される場合についても、第5実施形態の現像処を適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
G 基板
Ga 基板側面
Gb 基板下面
2 回転基台(保持手段)
5 現像ノズル(現像液供給ノズル)
7,7A,7B,7C 超音波振動子
7D 位置決めピン兼用超音波振動子
7a,7b 発振面
7c 針状片
8 リンスノズル(リンス液供給手段)
12 サーボモータ(回転駆動部)
20 移動機構
20A 昇降移動機構
21 回動・昇降アーム
21A 昇降アーム
24 現像液槽
25 搬送チャック(保持手段)
30 超音波発振器
31 高周波駆動電源
40 接離移動機構
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマスク用ガラス基板等の基板の超音波現像処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造においては、例えば半導体ウエハやLCDガラス基板等の基板の上に回路パターンを形成するために、フォトリソグラフィ技術が利用されている。このフォトリソグラフィ技術においては、基板にフォトレジストを塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に回路パターンが形成されている。
【0003】
近年では、回路線幅の微細化が進められており、線幅が32nm,22nmの回路パターンの半導体デバイスの製造において、従来の露光方式に代わってナノインプリントリソグラフィ(NIL:Nanoimprint Lithography)方式が開発されている。このナノインプリントリソグラフィ方式は、図14に示すように、光硬化性樹脂aを塗布した半導体ウエハW(以下にウエハWという)の表面側に、回路パターンbを加工した石英ガラス製のモールドc対向させ{図14(a)参照}、次に、ウエハWの表面にモールドcを押し付け{図14(b)参照}、この状態で、紫外線照射手段例えば超高圧水銀灯dから紫外線をモールドcを介してウエハWに照射し{図14(c)参照}、その後、モールドcをウエハWから離して{図14(d)参照}、ウエハW表面に回路パターンbを転写する方式である。
【0004】
上記ナノインプリントリソグラフィ方式においては、回路パターンの鮮明度はモールドcの形状やモールド形状の忠実転写性が重要である。
【0005】
上記モールドに回路パターンを形成する手段としては、半導体製造工程のフォトリソグラフィ方式すなわち塗布・露光・現像方式が採用され、モールドを形成する基板にレジストを塗布し、露光した後、現像液を液盛りして現像処理を行ってモールドに回路パターンが形成される。
【0006】
この場合、現像処理において、現像液を基板全体に均一に拡散・分散させる手段として、ノズルから基板に供給(吐出)された現像液を拡散する拡散部材を超音波振動させる超音波発振子を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、別の方式として、基板を保持するチャックの回転部に超音波装置を装着する方式が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−22952号公報(特許請求の範囲、段落0043、図10)
【特許文献2】特開平9−139345号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2に記載のものは、いずれも基板表面の現像液全体を超音波振動によって拡散又は分散させるため、回路パターン以外の必要のない箇所にも均等に超音波振動を与えることとなり、無駄なエネルギを消費するばかりか、現像処理に多くの時間を要すると共に、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果が低下する懸念がある。また、基板表面の現像液全体を超音波振動によって拡散又は分散させるため、装置が大型化する懸念もある。
【0010】
なお、モールドに形成される回路パターンの線幅は微細であるため、現像液の供給時(吐出時)には基板上に与えるインパクトを少なくして、回路パターンのダメージを抑制する必要があるが、有機現像においては、ある程度のインパクトは必要である。
【0011】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低インパクトでの現像を可能にすると共に、現像時間の短縮及び現像精度の向上が図れ、かつ、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果の向上が図れるようにした超音波現像処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理方法であって、 現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板の側面に超音波振動子の発振面を当接させ、超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の超音波現像処理方法において、上記現像処理を複数回繰り返して行う、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の超音波現像処理方法を具現化するもので、露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理装置であって、 現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板側面に発振面が当接される超音波振動子と、上記超音波振動子の駆動電源とを具備し、 上記超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする。この場合、上記超音波振動子を基板の側面及び基板を保持する保持手段に対して接離移動する接離移動機構を更に具備する方が好ましい(請求項4)。
【0015】
請求項1,3,4記載の発明によれば、現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板の側面に超音波振動子の発振面を当接させた状態で、超音波振動子より発生する超音波振動が基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行うことにより、現像液自体の対流が促進され、回路パターンに沿った溝方向の現像液の流れが促進されるため、現像液を積極的に接触させて回路パターンに残渣するスカムの除去効果を高めることができると共に、現像処理の精度を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の超音波現像処理方法において、現像処理を複数回繰り返して行うことにより、新しい現像液を回路パターンに接触させるので、更に回路パターンに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、上記のように構成されているので、低インパクトでの現像を可能にすることができると共に、現像時間の短縮及び現像精度の向上が図れ、かつ、回路パターン部に残渣するスカムの除去効果の向上が図れる。また、回路パターン上の現像液を積極的に回路パターンに接触させることで、超音波振動を有効に現像処理に供することができるので、省力化が図れると共に、装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る第1実施形態の現像処理装置を示す概略断面図である。
【図2】上記現像処理装置の概略平面図である。
【図3】第1実施形態における超音波振動子の使用状態を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
【図4】第1実施形態の変形例の現像処理装置を示す概略断面図である。
【図5】図4の概略平面図である。
【図6】第1実施形態の別の変形例を示す概略断面図である。
【図7】図6の概略平面図である。
【図8】この発明に係る第2実施形態の現像処理装置を示す概略断面図である。
【図9】この発明に係る第3実施形態の現像処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図10】図9の概略平面図である。
【図11】第3実施形態の変形例の要部を示す概略平面図である。
【図12】第4実施形態の現像処理装置の現像処理状態を示す概略断面図(a)、(a)のI部拡大断面図(b)及びリンス処理状態を示す概略断面図(c)である。
【図13】この発明に係る第5実施形態の現像処理装置の要部を示す概略平面図(a)、(a)のII部拡大図(b)及び(b)のIII−III線に沿う断面図(c)である。
【図14】ナノインプリントリソグラフィ方式の製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る超音波現像処理装置を角形のモールドのマスク用ガラス基板の現像に適用した場合について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、この発明に係る第1実施形態の現像処理装置を示す概略断面図、図2は、上記現像処理装置の概略平面図である。
【0021】
この発明に係る現像処理装置は、ケーシング1を有し、このケーシング1内に、角形ガラス基板G(以下に基板Gという)を回転可能に保持する保持手段である回転基台2と、この回転基台2と共に回転可能で、かつ回転基台2に保持された基板Gの外周部を囲む、基板Gの表面の同一平面上に基板Gの表面上から連続する現像液Lの液膜を形成するための助走ステージ3と、回転基台2に保持された基板Gの表面に沿って移動可能で、基板Gに対して現像液Lを帯状に供給(吐出)する現像液供給ノズル5(以下に現像ノズル5という)と、基板Gに形成された角形の回路パターンPの対向位置に移動可能で、回路パターンP上の現像液Lに超音波振動を伝播する超音波振動子7を具備している。なお、ケーシング1の一側壁1aには基板Gの搬入搬出口1bが設けられており、この搬入搬出口1bはシャッタ1cによって開閉可能になっている。
【0022】
また、上記回転基台2及び助走ステージ3は、カップ6内に収容可能に形成されており、カップ6の外方側には、回転基台2に保持された基板Gに向かって洗浄液(リンス液)例えば純水を供給するリンス液供給手段8が配設されている。
【0023】
この場合、上記回転基台2は、図1及び図2に示すように、隙間9をおいて基板Gを収容する四角形状の開口凹部4を有しており、開口凹部4の各角部には基板Gの角部を保持する位置決め用保持ピン10が配設されている。この回転基台2は回転軸11を介して回転駆動部例えばサーボモータ12に連結され、回転軸11を中心軸として所定の回転速度で回転できる。なお、回転基台2によって保持された基板Gの回路パターンPの位置決めはサーボモータ12の調整によって行われる。
【0024】
また、上記助走ステージ3は、図2に示すように、平面から見て基板Gの角部の位置が切り欠かれた略円形の薄い板形状を有し、中央部に基板Gを収容する四角形状の開口凹部4が形成されている。このように助走ステージ3の外形を略円形状に形成することにより、助走ステージ3を回転させた際に、助走ステージ3の外周部付近において乱流が形成されることを防止している。この場合、助走ステージ3は、基板Gの表面と同一平面上、若しくは、僅かに低い位置例えば200〜400μm低い位置に固定されている。これにより、基板Gの表面から助走ステージ3の表面に渡る同一平面上に連続した液膜を形成することができる。
【0025】
また、上記回転基台2は、図1に示すように、開口凹部4の底部の3箇所には、垂直方向に貫通する貫通孔13が設けられている。貫通孔13内には、基板Gを支持して昇降させる支持ピン14が昇降可能に貫挿されている。支持ピン14は、例えばシリンダなどの昇降駆動機構15によって昇降自在であり、回転基台2上に突出して回転基台2に対する基板Gの受け渡しを行うことができる。
【0026】
また、回転基台2は、基板Gから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するためのカップ6内に収容されている。カップ6は、回転基台2及び基板保持台4の側方と下方を覆うように、例えば下面が閉鎖され上面が開口した円筒状に形成されている。カップ6の底部には、排気口6aと排液口6bが設けられており、排気口6aには図示しない排気ポンプ等の排気装置を介設した排気管16が接続され、また、排液口6bには例えば工場の排液部に連通した排出管17が接続されており、カップ6において回収した液体を現像処理装置の外部に排出できる。
【0027】
また、図2に示すようにカップ6のY方向負方向(図2の左方向)側には、第1の待機部61が設けられている。第1の待機部61には、現像液Lの供給を行う現像ノズル5が待機可能になっている。現像ノズル5は、例えば少なくとも基板Gの辺の寸法と同じかそれよりも長いスリット状のノズル孔(図示せず)を有すると共に、X方向に沿った略直方体形状を有している。現像ノズル5は、逆L字型のヘッドアーム18に支持されており、ヘッドアーム18が取り付けられた例えばボールねじとその回転モータ等からなる水平移動機構19によって、第1の待機部61から少なくともカップ6のY方向正方向(図2の右方向)側の端部付近まで水平移動(スキャン)可能に形成されている。また、現像ノズル5は、例えばヘッドアーム18に取り付けられたシリンダ等の昇降機構(図示せず)によって上下方向にも移動可能に形成されている。なお、現像ノズル5は現像液供給管を介して現像液供給源(図示せず)に接続されており、基板G上をスキャンしながら現像液供給源から供給される現像液Lを基板上に帯状に液盛りして液膜を形成することができる。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、カップ6のY方向正方向側には、第2の待機部62が設けられている。第2の待機部62には、リンス液供給手段であるリンス液吐出ノズル8(以下にリンスノズル8という)が待機可能になっている。リンスノズル8は、例えば回転駆動部8aの回転軸8bに取り付けられたノズルアーム8cの先端部に支持されており、回転軸8bの回動によって第2の待機部62からカップ6内の基板Gの中心部上方まで移動できる。なお、リンスノズル8は、リンス液供給管を介して例えば現像処理装置1の外部に設置されたリンス液供給源(図示せず)に接続されており、リンス液供給源から供給されたリンス液(純水)を下方に向けて吐出して基板Gをリンス処理する。
【0029】
一方、上記超音波振動子7は、図3に示すように、現像液Lが接触した状態すなわち現像液Lが基板G表面に液盛りされた状態にある基板Gの回路パターンPに対して近接して対向配設され、回路パターンPの領域と同じ若しくは若干大きい領域の発振面7aを有している。この超音波振動子7は超音波発振器30を介して高周波駆動電源31に接続されている(図1参照)。なおこの場合、超音波振動子7の周波数は、例えば400kHz〜3MHzに設定されている。
【0030】
また、超音波振動子7は、図1及び図2に示すように、カップ6の外方側に配置された水平回動及び昇降機能を有する移動機構20に連結される回動・昇降アーム21によって支持されている。したがって、移動機構20の駆動によって超音波振動子7は、現像ノズル5による現像液Lの液盛り時には現像ノズル5と干渉しないカップ6の外方位置に待機し、現像液Lの液盛り後には、基板Gの回路パターンPの上方まで回動した後、下降して基板Gの回路パターンP上に近接して現像液Lに接液し、超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0031】
上記実施形態では、超音波振動子7が移動機構20によってカップ6の外方の待機位置と、回転基台2によって保持された基板Gの回路パターンPの上方位置及び回路パターンP上の近接位置に移動する場合について説明したが、別の移動機構を用いて超音波振動子7を基板Gの回路パターンP上に近接するようにしてもよい。
【0032】
例えば、図4及び図5に示すように、回転基台2によって保持された基板Gの回路パターンPの上方位置に配設される超音波振動子7を、例えばシリンダ等の昇降移動機構20Aに連結する逆L字状の昇降アーム21Aによって支持し、昇降移動機構20Aの駆動によって現像ノズル5のスキャン時(液盛り時)には現像ノズル5と干渉しない上方位置に待機し、現像液Lの液盛り後には、基板Gの回路パターンPの近接位置まで下降するように構成してもよい。なお、図4及び図5において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0033】
また、上記実施形態では、回路パターンPが基板Gの中心部の1箇所に形成される場合について説明したが、例えば図6及び図7に示すように、基板Gの複数箇所例えば同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合においても、各回路パターンP上の近接位置に上記と同様に超音波振動子7を対向配置して現像処理を行うことができる。
【0034】
この場合、各超音波振動子7は、昇降アーム21Aに連結される支持プレート22によって垂下されており、支持プレート22を介して超音波発振器30と高周波駆動電源31に接続されている(図6参照)。この場合においても、各回路パターンPと各超音波振動子7の位置決めはサーボモータ12の調整によって行うことができる。
【0035】
上記説明では、支持プレート22によって垂下される4つの超音波振動子7を昇降移動機構20Aによって各回路パターンP上の近接位置に対向させる場合について説明したが、第1実施形態の水平回動及び昇降機能を有する移動機構20によって支持プレート22によって垂下される4つの超音波振動子7を、カップ6の外方の待機位置と各回路パターンP上の近接位置に移動させることも可能である。
【0036】
次に、上記のように構成される第1実施形態の現像処理装置の現像処理について説明する。まず、現像処理装置の外部の図示しない搬送アームによって搬送された基板Gが搬入出口1bを介してケーシング1内に搬入されると、基板Gは、予め上昇していた支持ピン14に受け渡され、支持ピン14の下降によって回転基台2上に載置されると共に、位置決めピン10によって位置決めされる。
【0037】
次に、第1の待機部61に待機していた現像ノズル5が基板GよりY方向負方向側の助走ステージ3上まで移動して、助走ステージ3上に配置される。そして、現像ノズル5が下降し、スタート位置である助走ステージ3の表面に近接され、現像液Lを帯状に供給(吐出)しながらY方向正方向側に移動して基板G表面に現像液Lを液盛りする。
【0038】
基板Gの表面に現像液Lが液盛りされた後、移動機構20(又は昇降移動機構20A)の駆動により超音波振動子7が基板Gの回路パターンPの上方から下降して基板Gの回路パターンPに近接する位置に移動し現像液Lに接液する。この状態で、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う。これにより、回路パターンP上の現像液分子が振動しながら回路パターンPの全域に拡散・分散して有機系現像プロセス時のスカム発生を防止することができる。つまり、現像液自体の流体が促進され、回路パターンに沿った溝方向の現像液の流れが促進されるので、現像液を積極的に接触させて回路パターンに残渣するスカムの除去効果(スカムの沈着を抑制する効果)を高めることができる。
【0039】
上記のようにして現像処理が終了した後、超音波振動子7は基板Gの回路パターンPの近接位置から後退して基板Gの上方又はカップ6の外方の待機位置に退避する。
【0040】
続いて、第2の待機部62で待機していたリンスノズル8が基板Gの中心部上方まで移動し、回転基台2によって助走ステージ3と共に基板Gが回転される。リンスノズル8から回転された基板G上にリンス液が吐出されて基板Gが洗浄される。
【0041】
上記のようにして、基板Gが所定時間洗浄された後、サーボモータ12の駆動により基板Gを高速回転して基板Gを乾燥する。
【0042】
基板Gが乾燥されると、再び支持ピン14が上昇して基板Gを持ち上げ、ケーシング1内に進入する搬送アーム(図示せず)が基板Gを受け取って現像処理装置の外部に搬出される。
【0043】
上記説明では、現像処理を1回行う場合について説明したが、現像処理を複数回繰り返して行うようにしてもよい。現像処理を複数回繰り返すことにより、先の現像処理によって生じた溶解生成物を除去した後、新たに現像液Lを液盛りして現像処理を行うことができるので、更に現像処理の精度の向上を図ることができる。
【0044】
<第2実施形態>
図8は、この発明に係る第2実施形態の現像処理装置の一例を示す概略断面図である。
【0045】
第2実施形態は、基板Gを保持手段である搬送チャック25によって保持して、基板Gを現像液槽24内の現像液Lに浸漬し、搬送チャック25に設けられた超音波振動子7より発生する超音波振動を、基板Gの回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う場合である。
【0046】
第2実施形態の現像処理装置における搬送チャック25は、図8に示すように、水平基部26の側端部から垂下する略L字状の複数の保持爪27を具備すると共に、水平基部26の下面における基板Gの回路パターンP(この場合、基板Gの中心部に1つ設けられている。)と対向する部位に設けられる超音波振動子7Aを具備している。この場合、超音波振動子7Aは、第1実施形態と同様に、回路パターンPの領域と同じ若しくは若干大きい領域の発振面7aを有している。この超音波振動子7は超音波発振器30を介して高周波駆動電源31に接続されている。
【0047】
なお、現像液槽24の底部には排液口28が設けられており、この排液口28に開閉弁Vを介設した排液管29が接続されている。
【0048】
上記のように構成される第2実施形態の現像処理装置によれば、図示しない基板保持台上に位置決めされた状態で載置された基板Gを搬送チャック25が受け取って、現像液槽24内の現像液Lに浸漬した状態で、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0049】
なお、上記説明では、回路パターンPが1つの場合について説明したが、基板Gの複数箇所例えば4箇所に回路パターンPが形成されている場合においても、搬送チャック25の水平基部26の下面における回路パターンPと対向する部位に超音波振動子7を配設することで、各超音波振動子7の発振面7aより発生する超音波振動が各回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0050】
<第3実施形態>
図9は、この発明に係る第3実施形態の現像処理装置の要部を示す概略断面図、図10は、図9の概略平面図である。
【0051】
第3実施形態は、現像液Lが接触した状態にある基板Gの回路パターンPの近傍の該基板Gの側面に超音波振動子7Bの発振面7bを当接させ、超音波振動子7Bより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP上の現像液Lに伝播して現像処理を行う場合である。
【0052】
例えば、基板Gの中心部に1つの回路パターンPが形成されている場合は、図9及び図10に示すように、回転基台2に保持された基板Gの4辺の側面Gaの対向する中心部にそれぞれ超音波振動子7Bの発振面7bを当接して、超音波振動子7Bより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP上の現像液Lに伝播して現像処理を行う。
【0053】
この場合、各超音波振動子7Bは、先端に発振面7bを有する棒状に形成され、回転基台2の側壁部2aに設けられた貫通孔2b内に移動可能に嵌挿されており、基端に連結するシリンダ等の接離移動機構40によって先端の発振面7bが基板Gの側面Gaに対して接離移動可能に形成されている。すなわち、基板表面に現像液Lが液盛りされた現像処理時には、接離移動機構40の伸長動作によって発振面7bが基板Gの側面Gaに当接し、この状態で、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Bの発振面7aより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う。また、リンス処理時には、接離移動機構40の収縮動作によって発振面7bが基板Gの側面Gaから離れると共に、回転基台2の外方側に退避して、リンス処理時の回転基台2の回転を可能にしている。
【0054】
なお、第3実施形態において、超音波振動子7Bの発振面7bを回路パターンPになるべく近接する位置に当接する方がよく、好ましくは基板Gの上部側面Gaに当接する方がよい。
【0055】
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0056】
なお、上記説明では、基板Gの中心部に1つの回路パターンPが形成される場合について説明したが、基板Gの複数箇所例えば同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合は、図11に示すように、基板Gの側面Gaにおける各回路パターンPの外側の2辺の近傍位置に超音波振動子7Bの発振面7bを当接する。
【0057】
このように構成することにより、基板表面に現像液Lが液盛りされた現像処理時には、接離移動機構40の伸長動作によって発振面7bが基板Gの側面Gaに当接し、この状態で、高周波駆動電源31が駆動して、各超音波振動子7Bの発振面7aより発生する超音波振動が基板Gを伝って各回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0058】
また、第3実施形態においても、現像処理を繰り返して行うことにより、新しい現像液Lを回路パターンPに接触させることができるので、更に回路パターンPに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0059】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の現像処理装置の現像処理状態を示す概略断面図(a)、(a)のI部拡大断面図(b)及びリンス処理状態を示す概略断面図(c)である。
【0060】
第4実施形態は、現像液Lが接触した状態にある基板Gを保持する回転基台2における基板Gの回路パターンPの近傍位置に超音波振動子7Cを配設すると共に、超音波振動子7Cを基板Gの下面Gbに当接し、超音波振動子7Cより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行う場合である。
【0061】
この場合、超音波振動子7Cは、基板Gの回路パターンPに近接する回転基台2の底部の下面Gbに配設されており、超音波振動子7Cの上面に突設された複数の針状片7cが、それぞれ回転基台2の底部に設けられた複数の貫通孔2c内を貫通して基板Gの下面に接触(当接)している(図12(b)参照)。
【0062】
このように構成することにより、基板表面に現像液Lが液盛りされた現像処理時には、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Cの針状片7cより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0063】
また、第4実施形態においては、上記のようにして現像処理を行った後、図12(c)に示すように、基板Gの中央部上方にリンスノズル8を移動し、回転する基板Gに対してリンスノズル8からリンス液である純水(DIW)を供給(吐出)しながらリンス処理を行う。この際においても、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Cの針状片7cより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の純水(DIW)に伝播しながらリンス処理を行うことができる。これにより、回路パターンに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0064】
なお、第4実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0065】
なお、第4実施形態においても、基板Gの複数箇所例えば同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合は、各回路パターンPに近接する回転基台2の底部の下面に、同様に超音波振動子7Cを配設すればよい。
【0066】
また、第4実施形態においても、現像処理を繰り返して行うことにより、新しい現像液Lを回路パターンPに接触させることができるので、更に回路パターンPに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0067】
<第5実施形態>
図13は、この発明に係る第5実施形態の現像処理装置の要部を示す概略平面図(a)、(a)のII部拡大図(b)及び(b)のIII−III線に沿う断面図(c)である。
【0068】
第5実施形態は、現像液Lが接触した状態にある基板Gを保持する回転基台2に設けられた基板保持部材である位置決め用ピンを超音波振動子7Dによって形成し、超音波振動子7Dより発生する超音波振動が基板Gを介して回路パターンP(この場合、基板の同心円上の4箇所に形成されている。)上の現像液Lに伝播して現像処理を行う場合である。
【0069】
この場合、位置決め用ピンを兼用する超音波振動子7Dは、回転基台2の開口凹部4の角部よりなるべく回路パターンPの外側辺に近接する位置に配設されており、各超音波振動子7Dは、超音波発振器30を介して高周波駆動電源31に接続されている。
【0070】
なお、第5実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
第5実施形態の現像処理装置を用いて基板Gを現像処理する場合は、第1実施形態と同様に、現像ノズル5から現像液Lを帯状に供給(吐出)しながら移動して基板G表面に現像液Lが液盛りされた後、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Dより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の現像液Lに伝播しながら現像処理を行うことができる。
【0072】
また、第5実施形態においても、上記のようにして現像処理を行った後、基板Gの中央部上方にリンスノズル8を移動し、回転する基板Gに対してリンスノズル8からリンス液である純水(DIW)を供給(吐出)しながらリンス処理を行う。この際においても、高周波駆動電源31が駆動して、超音波振動子7Dより発生する超音波振動が基板Gを伝って回路パターンP上の純水(DIW)に伝播しながらリンス処理を行うことができる。
【0073】
また、第5実施形態においても、現像処理を繰り返して行うことにより、新しい現像液Lを回路パターンPに接触させることができるので、更に回路パターンPに残渣するスカムの除去効果を更に高めることができる。
【0074】
なお、上記説明では、基板Gの同心円上の4箇所に回路パターンPが形成される場合について説明したが、基板Gの中心部に1つの回路パターンPが形成される場合についても、第5実施形態の現像処を適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
G 基板
Ga 基板側面
Gb 基板下面
2 回転基台(保持手段)
5 現像ノズル(現像液供給ノズル)
7,7A,7B,7C 超音波振動子
7D 位置決めピン兼用超音波振動子
7a,7b 発振面
7c 針状片
8 リンスノズル(リンス液供給手段)
12 サーボモータ(回転駆動部)
20 移動機構
20A 昇降移動機構
21 回動・昇降アーム
21A 昇降アーム
24 現像液槽
25 搬送チャック(保持手段)
30 超音波発振器
31 高周波駆動電源
40 接離移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理方法であって、
現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板の側面に超音波振動子の発振面を当接させ、超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする超音波現像処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の超音波現像処理方法において、
上記現像処理を複数回繰り返して行う、ことを特徴とする超音波現像処理方法。
【請求項3】
露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理装置であって、
現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板側面に発振面が当接される超音波振動子と、上記超音波振動子の駆動電源とを具備し、
上記超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする超音波現像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の超音波現像処理装置において、
上記超音波振動子を基板の側面及び基板を保持する保持手段に対して接離移動する接離移動機構を更に具備することを特徴とする超音波現像処理装置。
【請求項1】
露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理方法であって、
現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板の側面に超音波振動子の発振面を当接させ、超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする超音波現像処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の超音波現像処理方法において、
上記現像処理を複数回繰り返して行う、ことを特徴とする超音波現像処理方法。
【請求項3】
露光処理された基板の回路パターン表面に現像液を接触させて、現像処理を行う現像処理装置であって、
現像液が接触した状態にある基板の回路パターンの近傍の該基板側面に発振面が当接される超音波振動子と、上記超音波振動子の駆動電源とを具備し、
上記超音波振動子より発生する超音波振動が上記基板を介して回路パターン上の現像液に伝播しながら現像処理を行う、ことを特徴とする超音波現像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の超音波現像処理装置において、
上記超音波振動子を基板の側面及び基板を保持する保持手段に対して接離移動する接離移動機構を更に具備することを特徴とする超音波現像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−16857(P2013−16857A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213586(P2012−213586)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2008−155106(P2008−155106)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2008−155106(P2008−155106)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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