超音波画像表示装置、超音波画像表示方法、内視鏡手術支援システム、超音波画像表示プログラム
【課題】被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる超音波画像表示装置を提供すること。
【解決手段】超音波プローブ5により、生体組織表面での超音波の反射波信号が取得されるとともに、生体組織内部での超音波の反射波信号が取得される。生体組織表面での反射波信号に基づいて、生体組織の表面における音響インピーダンスが算出され、その音響インピーダンスに応じた表面画像の画像データが生成される。生体組織内部での反射波信号に基づいて、生体組織8の断層画像の画像データが生成される。表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、生体組織8の立体画像が生成されその立体画像が表示される。
【解決手段】超音波プローブ5により、生体組織表面での超音波の反射波信号が取得されるとともに、生体組織内部での超音波の反射波信号が取得される。生体組織表面での反射波信号に基づいて、生体組織の表面における音響インピーダンスが算出され、その音響インピーダンスに応じた表面画像の画像データが生成される。生体組織内部での反射波信号に基づいて、生体組織8の断層画像の画像データが生成される。表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、生体組織8の立体画像が生成されその立体画像が表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して被検査物の立体画像を表示する超音波画像表示装置、超音波画像表示方法、内視鏡手術支援システム、超音波画像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、生体組織の診断を行う装置として、超音波顕微鏡を応用した製品の開発が進められており、高解像度で生体組織の観察が可能なものが実用化されている。光学顕微鏡では生体組織における化学的性質の違いを例えば染色によって区別するのに対し、超音波顕微鏡では物理的性質の違いを無染色で区別することができる。つまり、超音波顕微鏡を用いる場合には、染色を行わなくても生体組織診断を行うことができるといった利点がある。
【0003】
具体的には、超音波顕微鏡を用いる場合、生体組織などの試料に超音波を照射しその反射波を検出することにより、音響パラメータ(音響インピーダンス、音速、減衰などのパラメータ)を算出して、その算出値に応じた超音波画像(音響インピーダンス像、音速像、減衰像など)を表示する。本発明者らは、パルス励起型の超音波顕微鏡を用いて生体組織の組織音速を算出し、その組織音速に応じた音速像を表示する装置をすでに提案している(例えば、特許文献1や非特許文献1参照)。さらに、本発明者らはパルス励起型の超音波顕微鏡を利用して生体組織の音響インピーダンス像を表示する装置も提案している(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
パルス励起型超音波顕微鏡を用いて音速像を得るためには、生体組織の凍結切片を使用する必要がある。従って、摘出した生体組織を極めて薄く切り落として凍結切片にするといった準備作業が必要となる。これに対して、音響インピーダンス像を得る場合、生体組織を切り出して凍結切片にするといった準備作業の必要がなく、生体組織の表面を迅速に可視化することができる。
【0005】
具体的には、音響インピーダンス像を得る場合、図12に示されるように、樹脂プレート90(透過部材)の上面に生体組織91を密着させて支持し、その生体組織91の周縁となる位置にリファレンス部材92を設けている。そして、超音波振動子93から樹脂プレート90を介して生体組織91及びリファレンス部材92に超音波Soを照射する。
【0006】
ここで、リファレンス部材92においてその表面と直交する角度で照射される超音波(入射波)Soと反射波Srとは次式(1)の関係が成り立つ。
【数1】
【0007】
ただし、Zsは樹脂プレート90の音響インピーダンスであり、Zrはリファレンス部材92の音響インピーダンスである。
【0008】
また、生体組織91においてその表面と直交する角度で照射される超音波Soと反射波Stとは次式(2)の関係が成り立つ。
【数2】
【0009】
ただし、Ztは生体組織91の音響インピーダンスである。
【0010】
従って、上記式(1),(2)から生体組織91の音響インピーダンスZtは、次式(3)により求められる。
【数3】
【0011】
この超音波画像検査装置において、音響インピーダンスZtを測定しながら超音波Soの照射点を二次元走査することにより、二次元の音響インピーダンス像が得られる。音響インピーダンスZtは、組織の硬さに関連するパラメータであり、音響インピーダンス像によって生体組織91の性状を観察することができる。
【0012】
また、本発明者らは、内視鏡を用いた手術において、超音波プローブにより患部の超音波画像を取得して手術を迅速に行う内視鏡手術支援システムを検討している。この種の従来技術としては、内視鏡に超音波プローブの機能を付加した超音波内視鏡が提案されている(例えば、特許文献3等)。特許文献3の超音波内視鏡では、直交する断層画像(超音波画像)を異なる走査方法で取得し、それら超音波画像を表示させることで患部の立体的な構造が確認される。
【特許文献1】特開2005−291827号公報
【特許文献2】特開2006−78408号公報
【特許文献3】特開2007−37844号公報
【非特許文献1】「医用超音波:パルス励起型超音波音速顕微鏡」(「超音波TECHNO」VOL.15 No.6(2003.11〜12)(101〜105頁)日本工業出版社発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上記の音響インピーダンス像は、生体組織91の表面画像であるため、その表面における組織の構造は確認することが可能であるが、その奥行き側の組織の構造は確認することができない。例えば、生体組織91に癌組織が含まれる場合、組織表面における癌組織の分布は確認することができるが、その奥行き側の立体的な分布は確認することができない。従って、癌組織の摘出手術を行う場合、得られた表面情報に基づいて、癌組織の周囲の正常組織を傷つけないよう注意して手術する必要があり、癌組織を迅速に摘出することは困難であった。
【0014】
特許文献3のように、従来の超音波内視鏡は、患部を断層画像として表示するものであり、この断層画像は比較的解像度が低い。また、患部の表面構造は内視鏡で取得した光学像によって確認することができるが、手術中の出血などによって患部表面が覆われると、その表面構造の確認が困難となる場合がある。この場合には、患部の癌組織とその周辺の正常組織とを区別することが困難となり、癌組織を迅速に摘出することが困難となってしまう。
【0015】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検査物の立体的な構造をより正確に確認することができる超音波画像表示装置、超音波画像表示方法、超音波画像表示プログラムを提供することにある。また別の目的は、患部の立体的な構造をより正確に確認することができ、内視鏡手術を迅速に行うことができる内視鏡手術支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、前記超音波の照射点を二次元的に走査させる超音波走査手段と、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するデータ生成手段と、前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とする超音波画像表示装置をその要旨とする。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、透過部材の第1面に被検査物が密着され、超音波振動子から超音波伝達媒体を伝達した超音波が透過部材を介してその第2面側から被検査物に照射される。この超音波の照射点は超音波走査手段によって一次元的または二次元的に走査され、被検査物で反射した超音波が超音波振動子により電気信号に変換される。そして、被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号が第1信号検出回路により取得され、表面画像生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物表面の音響パラメータが算出されその音響パラメータに応じた表面画像の画像データが生成される。また、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号が第2信号検出回路により取得され、データ生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物における内部構造に関する内部データが生成される。さらに、画像表示手段により、表面画像の画像データと内部データとに基づいて、被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報が表示される。このようにすれば、被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、前記超音波の照射点を二次元的に走査させる超音波走査手段と、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における断層画像の画像データを生成する断層画像生成手段と、前記表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、前記被検査物の立体画像を生成してその立体画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とする超音波画像表示装置をその要旨とする。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、超音波走査手段によって超音波の照射点が二次元的に走査され、被検査物で反射した超音波が超音波振動子により電気信号に変換される。そして、被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号が第1信号検出回路により取得され、表面画像生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物表面の音響パラメータが算出されその音響パラメータに応じた表面画像の画像データが生成される。また、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号が第2信号検出回路により取得され、断層画像生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物における断層画像の画像データが生成される。そして、画像表示手段により、表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、被検査物の立体画像が生成されて表示される。このようにすれば、被検査物の立体的な構造を容易に確認することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記超音波振動子は、内部に超音波伝達媒体が充填可能な収容体を前記透過部材として備えた超音波プローブ内に設けられ、前記超音波走査手段は、前記超音波振動子を回転駆動させるロータ部を含んで構成されていることをその要旨とする。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、超音波プローブの収容体が透過部材で形成され、その内部に超音波伝達媒体が充填される。そして、その超音波プローブ内に超音波振動子が設けられ、超音波走査手段を構成するロータ部によりその超音波振動子が回転駆動される。このようにすれば、超音波の照射点をスムーズに走査することができ、画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。また、直線的な移動で一次元走査または二次元走査を行う場合と比較して、走査時の振動を抑えることができる。よって、反射波信号をより正確に検出することができ、より鮮明な画像を生成することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記ロータ部は、円筒状に形成され、その回転軸を中心に回転するとともにその軸方向に移動することで、前記超音波振動子をスパイラル状に駆動させることをその要旨とする。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、ロータ部は、円筒状に形成されており、その回転軸を中心に回転されるとともにその軸方向に移動される。このロータ部により、超音波振動子がスパイラル状に駆動され、超音波のスパイラル走査が可能となる。このようにしても、この超音波の照射点をスムーズに走査することができ、画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。また、直線的な移動で二次元走査を行う場合と比較して、走査時の振動を抑えることができる。よって、反射波信号をより正確に検出することができ、より鮮明な画像を生成することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4において、前記ロータ部の外周面に複数の超音波振動子が設けられていることをその要旨とする。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、ロータ部の外周面に複数の超音波振動子が設けられているので、各超音波振動子12により画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記複数の超音波振動子として、照射する超音波の焦点位置が前記透過部材の第1面に設定された高分解能用の第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子よりも分解能が低い第2の超音波振動子とを含み、前記第1信号検出回路は、前記第1の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得し、前記第2信号検出回路は、第2の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得することをその要旨とする。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、第1の超音波振動子は、照射する超音波の焦点位置が透過部材の第1面に設定されているので、その第1の超音波振動子から照射された超音波はその第1面(被検査物表面との界面)で確実に反射する。従って、被検査物表面での超音波の反射波信号を第1信号検出回路で正確に取得することができ、鮮明な表面画像を生成することができる。一方、第2の超音波振動子は、第1の超音波振動子よりも分解能が低い超音波振動子であり、照射する超音波の焦点位置が透過部材の第1面よりも後方となるよう焦点がぼかされている。この場合、その第2の超音波振動子から照射された超音波は、被検査物の内部に確実に伝搬する。そのため、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を第2信号検出回路で正確に取得することができ、被検査物の内部構造をより確実に確認することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記第1の超音波振動子から照射される超音波は、前記第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数よりも高い周波数であることをその要旨とする。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、第1の超音波振動子から照射される超音波は第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数よりも高い周波数であるため、超音波の焦点位置でのビーム幅を狭くすることができる。これにより、画像分解能を高めることができ、鮮明な表面画像を得ることができる。また、第2の超音波振動子から照射される超音波は低周波数であるため、被検査物の内部に確実に伝搬させることができ、その反射波信号に基づいて被検査物の内部構造をより確実に確認することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、超音波を一次元的または二次元的に走査しながら被検査物に照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示方法であって、超音波を透過しうる透過部材の第1面に被検査物を密着させ、超音波振動子により、超音波伝達媒体及び前記透過部材を介してその透過部材の第2面側から前記被検査物に超音波を照射するステップと、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成するステップと、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するステップと、前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示するステップとを含むことを特徴とする超音波画像表示方法をその要旨とする。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、透過部材の第1面に被検査物が密着され、超音波振動子から超音波伝達媒体を伝達した超音波が透過部材を介してその第2面側から被検査物に照射される。この超音波の照射点が一次元的または二次元的に走査され、被検査物で反射した超音波が超音波振動子により電気信号に変換される。そして、被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号が取得され、その反射波信号に基づいて、被検査物表面の音響パラメータが算出されてその音響パラメータに応じた表面画像の画像データが生成される。また、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号が取得され、その反射波信号に基づいて、被検査物における内部構造に関する内部データが生成される。さらに、表面画像の画像データと内部データとに基づいて、被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報が表示される。このようにすれば、被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波画像表示装置を備えた内視鏡手術支援システムをその要旨とする。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、超音波画像表示装置によって、被検査物としての患部の表面及び内部の構造を表示させることができるので、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の超音波画像表示方法における各ステップをコンピュータにより実行させるための超音波画像表示プログラムをその要旨とする。
【0035】
請求項10に記載の超音波画像表示プログラムをコンピュータに実行させることにより、被検査物の立体的な構造を確認することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上詳述したように、請求項1〜8,10に記載の発明によると、被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる。請求項9に記載の発明によると、患部の表面構造に加えて内部構造をより正確に確認することができ、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
[第1の実施の形態]
【0038】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態における超音波画像表示装置1を示す概略構成図である。
【0039】
超音波画像表示装置1は、超音波プローブユニット2と、パーソナルコンピュータ(パソコン)3とから構成されている。超音波プローブユニット2とパソコン3とは例えばUSBケーブル4を介して接続される。
【0040】
超音波プローブユニット2は、超音波プローブ5と、先端部にその超音波プローブ5を着脱可能なハンドピース部6とを備える。この超音波プローブ5は、超音波を二次元走査しながら被検査物に照射して、その被検査物からの反射波を電気信号に変換して出力する機能を有している。このハンドピース部6はいわゆる把持部であって、手で把持可能な長さ及び直径を有している。それゆえ、この超音波プローブユニット2は、例えば、術中に医師などが患者の体の検査を行うために用いられる。この場合、使用者はハンドピース部6を手で持ち、超音波プローブ5を患者の体(被検査物としてのインビボの生体組織)8に直接当てるようにする。
【0041】
具体的には、超音波プローブ5は、収容体としてのプローブケース11と、超音波振動子12と、超音波走査手段としての第1ロータ部13及び第2ロータ部14と、リファレンス部材15とを備える。プローブケース11は、生体組織8とは異なる既知の音響インピーダンスを有し、超音波を透過しうる透過部材(例えば、アクリル樹脂)を用いて、先端部が略半球形状に形成されている。プローブケース11の内部には、超音波伝達媒体(具体的には純水)W1が充填されている。
【0042】
本実施の形態では、プローブケース11の内部に第1ロータ部13及び第2ロータ部14が収納されており、ケース先端側に設けられた第1ロータ部13の外周面には、4個の超音波振動子12が設けられている。これらの超音波振動子12は、高分子系の圧電材料からなり、第1ロータ部13の回転軸13aを中心として90度離れた位置にそれぞれ設けられている。この構成であると、回転軸13aを中心とする重量バランスがよくなるので、振動の発生を確実に防止することができる。
【0043】
超音波振動子12が照射する超音波は、超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束されてプローブケース11の外表面で焦点を結ぶようになっている。なお本実施形態では、超音波振動子12が照射する超音波としては、例えば、中心周波数が80MHzであり、帯域幅が50〜105MHz(−6dB)である。また、プローブケース11において、生体組織8を密着させる外表面が第1面に相当し、超音波伝達媒体W1を接触させる内表面が第2面に相当する。
【0044】
本実施の形態において、第1ロータ部13は、超音波プローブユニット2の短手方向と平行な回転軸13aを介してハウジング17に回転可能に支持されている。また、第2ロータ部14は、超音波プローブユニット2の長手方向と平行な回転軸14aを介してハウジング17を支持しており、そのハウジング17とともに第1ロータ部13を回転させる。これらロータ部13,14は、回転速度や回転位置が制御可能な周知の電動モータで構成される。なお、第1ロータ部13への電源供給や超音波振動子12に対する電気信号の授受は図示しないスリップリングを介して行われる。
【0045】
また、プローブケース11の外表面において超音波の照射点が走査される範囲内には、リファレンス部材15(例えば、エポキシ樹脂)が設けられている。本実施形態のリファレンス部材15は、例えば、エポキシ樹脂により形成される。従って、リファレンス部材15は、アクリル樹脂からなるプローブケース11とは異なる既知の音響インピーダンスを有している。
【0046】
超音波プローブユニット2におけるハンドピース部6内には、各ロータ部13,14を駆動制御するロータ制御回路21、超音波を送受信するための信号処理回路22、電気信号の入出力を行うためのI/F回路23などが設けられている。I/F回路23としては、パソコン等の標準インターフェースであるUSBインターフェースが用いられる。なお、I/F回路23としては、USBインターフェースの他にIEEE1394インターフェースを採用してもよく、また、データ転送速度は遅くなるが、シリアルインターフェースやパラレルインターフェースを採用することもできる。
【0047】
図2は、超音波画像表示装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0048】
図2に示されるように、超音波プローブユニット2におけるロータ制御回路21は、各ロータ部13,14に接続されており、パソコン3から出力される駆動制御信号をI/F回路23を介して取り込み、その駆動制御信号に基づいて各ロータ部13,14を駆動して各ロータ部13,14とともに超音波振動子12を回転させる。具体的には、ロータ制御回路21は、第1ロータ部13を所定の回転速度で回転させ、第1ロータ部13が1/4回転(90°回転)する度に第2ロータ部14を所定の角度だけ回転させる。これにより、プローブケース11の外表面(つまり生体組織8の表面)に沿って超音波の照射点が二次元的に走査される。
【0049】
信号処理回路22は、送信回路24、送受波分離回路25、プリアンプ26、対数増幅器28、A/D変換回路29,30を備える。
【0050】
送信回路24は、超音波振動子12を駆動させるためのパルスを発生させる回路であり、トリガ回路24aとパルス発生回路24bとを備える。送信回路24において、トリガ回路24aは、パソコン3から出力される制御信号をI/F回路23を介して取り込み、その制御信号に基づいて第1ロータ部13の回転に同期したトリガ信号を生成する。パルス発生回路24bは、そのトリガ信号に応答して励起パルスを生成する。その励起パルスが送受波分離回路25を介して超音波振動子12に供給されて超音波振動子12から超音波が照射される。なお、本実施の形態では、第1ロータ部13の回転により超音波振動子12がプローブケース11の先端側の走査範囲内に移動したときに、制御信号に基づいてトリガ信号が生成され、その走査範囲内でのみ超音波が照射されるようになっている。
【0051】
本実施の形態の超音波振動子12は、送受波兼用の振動子であり、生体組織8で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は送受波分離回路25を介してプリアンプ26に供給される。プリアンプ26は、反射波の信号を増幅して出力する。
【0052】
生体組織8から反射される超音波の反射波信号としては、組織表面での反射波信号と組織内部での反射波信号とを含み、表面では信号強度が比較的強く、内部に行くほど信号強度が弱くなる。従って、本実施の形態では、生体組織8表面での反射波信号と生体組織8内部での反射波信号とがそれぞれ異なる処理経路で取得される。
【0053】
具体的には、プリアンプ26で増幅された反射波信号は、A/D変換回路29に供給されてA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。また、プリアンプ26で増幅された反射波信号は、対数増幅器28でさらに対数増幅され、A/D変換回路30でA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。なお、本実施の形態では、プリアンプ26及びA/D変換回路29により第1信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8表面での反射波信号が取得される。また、プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30により第2信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8内部での反射波信号が取得される。
【0054】
パソコン3は、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36を備え、それらはバス37を介して相互に接続されている。
【0055】
CPU31は、メモリ33を利用して制御プログラムを実行し、装置全体を統括的に制御する。制御プログラムとしては、各ロータ部13,14による二次元走査を制御するためのプログラムや音響インピーダンスを算出するためのプログラム、超音波画像を生成して表示するためのプログラムなどを含む。
【0056】
I/F回路32は、超音波プローブユニット2との間で信号の授受を行うためのインターフェース(具体的には、USBインターフェース)であり、超音波プローブユニット2に制御信号(ロータ制御回路21や送信回路24への制御信号)を出力したり、超音波プローブユニット2からの転送データ(A/D変換回路29,30からI/F回路23を介して転送されるデータ)を入力したりする。
【0057】
表示装置36は、例えば、LCDやCRTなどのカラーディスプレイであり、生体組織8の超音波画像(立体画像)や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。入力装置35は、キーボードやマウス装置などであり、ユーザからの要求や指示、パラメータの入力に用いられる。
【0058】
記憶装置34は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、その記憶装置には制御プログラム及び各種のデータが記憶されている。CPU31は、入力装置35による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置34からメモリ33へ転送し、それを逐次実行する。なお、CPU31が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置34にインストールして利用する。
【0059】
本実施の形態の超音波画像表示装置1では、第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)により取得した生体組織8表面の反射波信号に基づいて、音響インピーダンスを求め、その音響インピーダンスに応じた表面画像の画像データを生成する。また、第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)により取得した生体組織8内部の反射波信号に基づいて、断層画像の画像データを生成する。そして、それら表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、図3のような立体画像38を表示装置36に表示させる。ここでは、組織表面の音響インピーダンスに基づいて癌組織39を検出し、図3の立体画像38において、癌組織39をその周囲の正常組織40と異なる色で表示させている。
【0060】
次に、本実施の形態において、生体組織8の立体画像38を表示させるための処理例について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4の処理は、例えば、患者の腹部を開腹して、癌組織39がある患部に超音波プローブ5を接触させた状態で、入力装置35に設けられている開始ボタンを操作したときに開始される。
【0061】
まず、CPU31からの指示に基づいてロータ制御回路21により第1ロータ部13及び第2ロータ部14が駆動され、超音波の照射点がリファレンス部材15に位置するように移動される。またこのとき、励起パルスが超音波振動子12に供給されると、リファレンス部材15に超音波が照射され、その表面からの反射波が第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)で検出される。そして、CPU31は、A/D変換回路29で変換されたデジタルデータをI/F回路23,32を介して取得し、そのデータに基づいてリファレンス部材15の反射波の強度を判定してメモリ33に一旦格納する(ステップ100)。
【0062】
その後、CPU31からの指示に基づいて、ロータ制御回路21により各ロータ部13,14が駆動されて超音波の二次元走査が開始される。CPU31は、各ロータ部13,14の回転位置を判断しそれに基づいて測定点の座標データを取得する(ステップ110)。そして、生体組織8に超音波が照射され、その表面での反射波が第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)で検出される。CPU31は、A/D変換回路29で変換されたデジタルデータに基づいて組織表面における反射波の強度を判定してメモリ33に一旦格納する(ステップ120)。またこのとき、生体組織8内部での反射波が第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)で検出される。そして、CPU31は、A/D変換回路30で変換されたデジタルデータを内部の反射波信号のデータとしてメモリ33に一旦格納する。
【0063】
表面画像生成手段としてのCPU31は、得られたリファレンス部材15及び生体組織8表面での反射波Sr,Stの強度と、リファレンス部材15及びプローブケース11の音響インピーダンスZr,Zsとを用いて、上記の式(3)に対応した演算処理を行い測定点での音響インピーダンスZtを算出する。そして、CPU31は、その音響インピーダンスZtを用いてカラー変調処理を行い、音響インピーダンスZtの大きさに応じた表面画像(音響インピーダンス像)の画像データを生成し、測定点の座標データに関連付けて該画像データをメモリ33に記憶する(ステップ130)。
【0064】
さらに、断層画像生成手段(データ生成手段)としてのCPU31は、生体組織8内部での反射波信号に基づいて、輝度変調処理を行うことで反射波信号の振幅(信号強度)に応じた輝度の画像データを生成し、測定点の座標データに関連付けて該画像データをメモリ33に記憶する(ステップ140)。
【0065】
CPU31は、全ての測定点での処理が終了し、1画面分の画像データが取得されたか否かを判断する(ステップ150)。ここで、全データが取得されていない場合、CPU31は、ステップ110に戻って、ステップ110〜150の処理を繰り返し実行し、全データが取得された場合にはステップ160に移行する。そして、画像表示手段としてのCPU31は、メモリ33に記憶した表面画像及び断層画像の画像データを読み出し、各画像データに基づいて生体組織8の立体画像38のデータを生成する。
【0066】
具体的には、音響インピーダンスは、生体組織8の硬さに関連するパラメータであり、癌組織39は正常組織40よりも硬い組織である。従って、組織表面の音響インピーダンスZtに基づいて、二次元的な癌組織39の分布を検出することができる。さらに、断層画像の画像データに基づいて、奥行き側における癌組織39と正常組織40との境界面を検出して、その検出結果に基づいて、癌組織39の立体画像38のデータを生成する。その後、生成した立体画像38のデータを表示装置36に転送して該データに応じた立体画像38を表示させた後、図4の処理を終了する。
【0067】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0068】
(1)本実施の形態の超音波画像表示装置1において、生体組織8表面での反射波信号が第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)で取得され、その反射波信号に基づいて表面画像の画像データが生成される。また、生体組織8内部での反射波信号が第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)で取得され、その反射波信号に基づいて断層画像の画像データが生成される。そして、表面画像の画像データと断層画像の画像データとに基づいて、生体組織8の立体画像38を生成してその立体画像38を表示することができる。そして、その立体画像38において、生体組織8表面における癌組織39の二次元的な分布に加え、奥行き側の立体的な分布を容易に確認することができる。これにより、癌組織39の摘出手術を迅速に行うことが可能となる。
【0069】
(2)本実施の形態の超音波画像表示装置1では、超音波走査手段として第1ロータ部13及び第2ロータ部14を備え、各ロータ部13,14を回転駆動することにより、超音波の照射点をスムーズに走査することができ、画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。またこの場合、直線的な移動で二次元走査を行う場合と比較して、走査時の振動を抑えることができる。これにより、反射波信号をより正確に検出することができ、より鮮明な立体画像38を生成することができる。
【0070】
(3)本実施の形態の超音波画像表示装置1では、第1ロータ部13の外周面に複数の超音波振動子12が設けられているので、各超音波振動子12によって画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。
【0071】
(4)本実施の形態の超音波プローブ5では、超音波伝達媒体W1として純水をプローブケース11内に充填したので、高周波数の超音波の減衰を低減することができ、音響インピーダンスZtを高い精度で求めることができる。また、イオンを含まない純水には電気が殆ど流れない。従って、プローブケース11内に電動モータ等の電気部品を収容したときでもショートの発生を心配しなくてもよく、絶縁構造を省略することが可能である。
[第2の実施の形態]
【0072】
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0073】
図5に示されるように、本実施の形態の超音波画像表示装置41は、パルス励起型超音波顕微鏡42とパソコン3とを備える。パルス励起型超音波顕微鏡42は、試料ステージ44を有する顕微鏡本体45と、試料ステージ44の下方に設置された超音波プローブ46とを備える。そのパルス励起型超音波顕微鏡42の超音波プローブ46がパソコン3と電気的に接続されている。
【0074】
本実施の形態の試料ステージ44は、ユーザの手動操作により、水平方向(即ちX方向及びY方向)に移動できるように構成されている。この試料ステージ44には、生体組織48を載置した樹脂プレート49が固定されている。なお、生体組織48は、例えば、ラットの小脳から切り出した脳組織であり、300μm〜400μmの厚さを有する。また、樹脂プレート49としては、超音波を透過する透過部材であるアクリル板などが用いられる。この樹脂プレート49の上面(第1面)において生体組織48のセット部の周縁にリファレンス部材50が設けられている。
【0075】
超音波プローブ46は、水などの超音波伝達媒体W1を貯留可能な貯留部51をその先端部に有するプローブ本体52と、プローブ本体52の略中心部に配置される超音波トランスデューサ53と、プローブ本体52を前記試料ステージ44の面方向に沿って二次元的に走査するためのX−Yステージ54(超音波走査手段)とを備える。プローブ本体52の貯留部51は上部が開口しており、その貯留部51の開口側を上向きにした状態で超音波プローブ46が試料ステージ44の下方に設置されている。
【0076】
超音波トランスデューサ53は、酸化亜鉛の薄膜圧電素子56(超音波振動子)とサファイアロッドの音響レンズ57とからなり、パルス励起されることで樹脂プレート49の下面(第2面)側から生体組織48に対して超音波を照射する。超音波トランスデューサ53が照射する超音波は、貯留部51の超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束されて樹脂プレート49の上面(生体組織48の表面)で焦点を結ぶようになっている。なお、超音波トランスデューサ53としては、口径1.2mm、焦点距離1.5mm、中心周波数80MHz、帯域幅50〜105MHz(−6dB)の仕様のものを用いている。
【0077】
図6は、超音波画像表示装置41の電気的な構成を示すブロック図である。
【0078】
図6に示されるように、超音波プローブ46は、超音波トランスデューサ53と、X−Yステージ54と、I/F回路23と、送信回路24と、送受波分離回路25と、プリアンプ26と、対数増幅器28と、A/D変換回路29,30と、エンコーダ59と、コントローラ60とを備える。なお、I/F回路23、送信回路24、送受波分離回路25、プリアンプ26、対数増幅器28、A/D変換回路29,30は上述した第1の実施の形態と同じ回路構成である。
【0079】
X−Yステージ54は、超音波の照射点を二次元的に走査させるためのXステージ54X及びYステージ54Yを備えるとともに、それぞれのステージ54X,54Yを駆動するモータ61X,61Yを備えている。これらのモータ61X,61Yとしては、ステッピングモータやリニアモータが使用される。
【0080】
各モータ61X,61Yにはコントローラ60が接続されており、該コントローラ60の駆動信号に応答してモータ61X,61Yが駆動される。これらモータ61X,61Yの駆動により、Xステージ54Xを連続走査(連続送り)するとともに、Yステージ54Yを間欠送りとなるよう制御することで、X−Yステージ54の高速走査が可能となっている。
【0081】
また、本実施の形態においては、Xステージ54Xに対応してエンコーダ59が設けられ、エンコーダ59によりXステージ54Xの走査位置が検出される。具体的に、走査範囲(例えば、縦横2mmの走査範囲)を300×300個の測定点(ピクセル)に分割した場合、1回のX方向(水平方向)の走査が300分割される。そして、各測定点の位置がエンコーダ59によって検出されパソコン3に取り込まれる。パソコン3はそのエンコーダ59の出力に同期して駆動制御信号を生成して、その駆動制御信号をコントローラ60に供給する。コントローラ60は、この駆動制御信号に基づいてモータ61Xを駆動する。また、コントローラ60は、エンコーダ59の出力信号に基づきX方向の1ラインの走査が終了した時点でモータ61Yを駆動して、Yステージ54YをY方向に1ピクセル分移動させる。
【0082】
さらに、コントローラ60は、駆動制御信号に同期してトリガ信号を生成して送信回路24に供給する。これにより、送信回路24において、そのトリガ信号に同期したタイミングで励起パルスが生成される。その励起パルスが送受波分離回路25を介して超音波トランスデューサ53に供給される結果、超音波トランスデューサ53から超音波が照射される。
【0083】
超音波トランスデューサ53の薄膜圧電素子56は、送受波兼用の超音波振動子であり、生体組織48で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は、送受波分離回路25を介してプリアンプ26に供給されて増幅される。
【0084】
プリアンプ26で増幅された反射波信号は、A/D変換回路29に供給されてA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。また、プリアンプ26で増幅された反射波信号は、対数増幅器28でさらに対数増幅され、A/D変換回路30でA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。なお、本実施の形態においても、プリアンプ26及びA/D変換回路29により第1信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8表面での反射波信号が取得される。また、プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30により第2信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8内部での反射波信号が取得される。
【0085】
パソコン3は、上記第1の実施の形態と同様に、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36(図6では図示略)を備え、超音波顕微鏡42で取得した各反射波信号に基づいて、超音波画像を生成して表示する。
【0086】
具体的には、第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)により取得した生体組織48表面の反射波信号に基づいて、音響インピーダンスを求め、その音響インピーダンスに応じた表面画像の画像データを生成する。また、第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)により取得した生体組織48内部の反射波信号に基づいて、断層画像の画像データを生成する。そして、それら表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、生体組織48の立体画像を表示装置36に表示させる。
【0087】
このように、本実施の形態の超音波画像表示装置41においても、第1の実施の形態と同様に、生体組織48の立体画像を生成してその立体画像を表示することができるため、生体組織48の性状を容易に確認することができる。
[第3の実施の形態]
【0088】
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0089】
本実施の形態の超音波画像表示装置は、第1の実施の形態の超音波プローブユニット2に代えて図7の超音波プローブ71を備え、内視鏡を用いた内視鏡手術の支援システムを構成する装置として使用される。
【0090】
図7に示されるように、超音波プローブ71において、収容体としてのプローブケース72内の先端部にはロータ部73が配置されている。プローブケース72は、超音波を透過しうる透過部材を用い、外径が5mm程度の円筒状に形成されている。そして、このプローブケース72において、ロータ部73が配置される外周面の一部にリファレンス部材74が設けられている。ロータ部73は、円筒状に形成されており、その回転軸を中心に回転する。このロータ部73の外周面には、複数(具体的には4個)の超音波振動子75が設けられている。また、プローブケース72の基端側には、ロータ部73をプローブケース72の軸方向に移動させる移動機構76が設けられている。
【0091】
超音波プローブ71では、ロータ部73と移動機構76とにより超音波走査手段が構成され、ロータ部73が回転するとともにその軸方向に移動することにより、超音波振動子75がスパイラル状に駆動される。これにより、超音波の照射点が二次元的に走査される。
【0092】
図8は、本実施の形態における超音波画像表示装置70の電気的な構成を示すブロック図である。
【0093】
図8に示されるように、超音波プローブ71は、ロータ部73と移動機構76とを駆動制御するロータ制御部77と、超音波を送受信するための信号処理回路22と、電気信号の入出力を行うためのI/F回路23とを備える。なお、信号処理回路22及びI/F回路23は、第1の実施の形態と同じ回路構成である。
【0094】
また、パソコン3は、通信ケーブル78などを介してMRI装置79に接続可能に構成され、手術前にMRI装置79で取得された検査画像のデータを取り込んでメモリ33に記憶する。
【0095】
本実施の形態では、超音波プローブ71の先端を患者の体内に挿入して患部に接触させ、その状態で超音波を二次元走査することにより、その患部の立体画像(超音波画像)を生成する。そして、その立体画像の画像データをMRI装置79の検査画像の画像データに重ね合わせて重合像データを生成し、そのデータに基づいて重合像を表示装置36に表示させる。この重合像は、MRI装置79で取得した三次元の検査画像に対して、超音波画像を三次元的に重ねがきした加工画像であり、この画像を確認することにより、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
また、内視鏡手術では、内視鏡で取得した光学像によって患部表面の状態を確認することができるが、手術中の出血などによって患部表面が覆われるとその表面構造の確認が困難となる。このような場合、超音波プローブ71を用いれば、患部の表面構造をより正確に確認することができ、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
【0096】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施の形態では、第1信号検出回路と第2信号検出回路とでプリアンプ26を共通化していたが、図9のように、プリアンプ26,27を個別に設けてもよい。なおこの場合、プリアンプ26及びA/D変換回路29により第1信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8表面での反射波信号が取得される。また、プリアンプ27、対数増幅器28、及びA/D変換回路30により第2信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8内部での反射波信号が取得される。
【0097】
・上記第1及び第3の実施の形態において、ロータ部13,73には4個の超音波振動子12,75が設けられていたが、この個数は適宜変更することができる。また、超音波振動子12,75としては、照射する超音波の焦点距離や周波数が異なる2種類以上の振動子を用いてもよい。例えば、複数の超音波振動子12として、焦点位置がプローブケース11の外表面に設定された高分解能用の第1の超音波振動子と、焦点位置が外表面よりも外側に設定された低分解用の第2の超音波振動子とをロータ部13に設ける。なお、第1の超音波振動子は、第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数(例えば、5MHz)よりも高い周波数(例えば、80MHz)の超音波を照射するものを使用する。そして、第1の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を第1信号検出回路で取得し、第2の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を第2信号検出回路で取得するように構成する。この場合、第1の超音波振動子から照射される超音波は高周波数であるため、その焦点位置でのビーム幅を狭くすることができる。また、第1の超音波振動子から照射される超音波は、生体組織表面で確実に反射するため、反射波信号に基づいて音響インピーダンスを正確に求めることができ、より鮮明な音響インピーダンス像(表面画像)を得ることができる。一方、第2の超音波振動子から照射された超音波は、低周波数であり、その焦点位置がプローブケース11の外側(後方)となるよう焦点がぼかされている。そのため、生体組織8の内部に超音波が確実に伝搬し、その超音波の反射波信号に基づいて、生体組織8の内部構造を確実に確認することができる。
【0098】
・上記各実施の形態では、異なる周波数成分(50MHz〜105MHz)を含む広帯域の超音波を超音波振動子12,75から照射するものであるため、生体組織8,48からの各反射波信号も広帯域の周波数成分を有している。従って、各信号検出回路において、特定の周波数の反射波信号を検出し、その反射波信号を用いて、表面画像や断層画像の画像データを生成するように構成することもできる。具体的には、例えば、第1信号検出回路において反射波信号における高周波側の信号成分を抽出し、その高周波側の信号成分を用いて音響インピーダンス像の画像データを生成する。この場合、画像分解能を高めることができ、より鮮明な音響インピーダンス像を得ることができる。
【0099】
・上記第3の実施の形態では、内視鏡(図示略)とは別に超音波プローブ71を設けるものであったが、図10に示されるように、対物レンズ81やライトガイド82などを備える内視鏡83の先端に超音波プローブ71を一体的に設けてもよい。この場合、内視鏡83によって取得される光学像と超音波プローブ71によって取得される立体画像との位置ズレを防止することができる。その結果、各画像を確実に比較することができ、患部の状態をより厳密に確認することができる。
【0100】
・上記第3の実施の形態では、手術前の検査画像としてMRI装置79の画像を用いたが、これに代えてCT装置などの別の検査装置の画像を用いてもよい。
【0101】
・上記各実施の形態では、癌組織39を検出してその癌組織39を立体的に表示するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、断層画像の画像データに基づいて、癌組織39の周辺の血管(特に動脈血管)を検出し、癌組織39とともにその血管を表示するように構成してもよい。この場合、血管を考慮して癌組織39を摘出することが可能となり、その摘出手術を迅速に行うことができる。
・上記各実施の形態では、超音波の照射点を二次元的に走査して得られた反射波信号に基づいて生体組織8,48を立体的に表示するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施の形態の超音波プローブ5において、第2のロータ部14を省略し、第1のロータ部13のみで超音波走査手段を構成する。そして、その超音波プローブ5を生体組織8表面に接触させて超音波を一次元的に走査し、得られた反射波信号に基づいて、生体組織8表面での所定の検査ライン上の音響インピーダンスZtを取得するとともに、その検査ライン上での断層画像のデータを取得する。さらに、その音響インピーダンスZtのデータと断層画像のデータとに基づいて、図11のような超音波画像85を表示装置36に表示させる。この超音波画像85では、生体組織8表面に対応するラインL1(画像上端のライン)は、音響インピーダンスZtの大きさに応じて色分けされてカラー表示される。また、超音波画像85では、生体組織8内部における癌組織39の分布が表示される。具体的には、生体組織8表面におけるラインL1での音響インピーダンスZtに基づいて、癌組織39と正常組織40とが判別され、断層画像のデータに基づいて、奥行き側における癌組織39と正常組織40との境界面が検出される。そして、その検出結果に応じて、癌組織39が正常組織40と異なる色で表示される。このようにしても、生体組織8における表面及び内部での癌組織39の分布を確認することができ、癌組織39の摘出手術を迅速に行うことが可能となる。
さらに、上記各実施の形態の超音波画像表示装置1,41,70において、超音波の照射点を一次元的に走査して図11のような超音波画像85を表示させる表示機能を付加してもよい。またこの場合、超音波の二次元走査により得られた立体画像38と、一次元走査により得られた超音波画像85とを適宜切り替えて表示させるように構成してもよい。
【0102】
・上記第1の実施の形態では、立体画像38を表示することで生体組織8における癌組織39の立体構造を確認するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、癌組織39の奥行き側の構造(癌組織39の厚さ)を矢印の長さなどで表示するように構成してもよい。なおこの場合、断層画像の画像データに基づいて、癌組織39と正常組織40との境界位置を判断することにより、内部構造に関する情報として癌組織39の厚さのデータ(内部データ)を生成し、その厚さに対応する長さの矢印を表示する。このようにしても、生体組織8の内部構造を容易に確認することができる。
【0103】
・上記各実施の形態では、生体組織8,48表面における音響インピーダンスZtを測定して表面画像の画像データを得るものであったが、音響インピーダンスZt以外に、密度や体積弾性率などの音響パラメータを測定して、表面画像の画像データを得るように構成してもよい。
【0104】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0105】
(1)請求項1乃至7のいずれか1項において、MRI装置またはCT装置で取得された検査画像の画像データを記憶する記憶手段と、前記立体画像の画像データを前記検査画像の画像データに重ね合わせて重合像データを生成する重合像データ生成手段とをさらに備えたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【0106】
(2)請求項1乃至7のいずれか1項において、前記被検査物は生体組織であり、前記画像表示手段は、前記音響パラメータとしての音響インピーダンスに基づいて、前記生体組織における癌組織を検出し、その癌組織を立体的に表示することを特徴とする超音波画像表示装置。
【0107】
(3)上記(2)において、前記画像表示手段は、前記癌組織の周辺の血管を検出し、前記癌組織とともに血管を表示することを特徴とする超音波画像表示装置。
【0108】
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記超音波振動子は、パルス励起されることによって異なる周波数成分を含む超音波を照射するものであり、前記表面画像生成手段は、前記反射波信号における高周波側の信号成分を用いて表面画像を生成するようにしたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【0109】
(5)請求項2において、前記超音波振動子は内視鏡の先端部の近傍に装着され、前記内視鏡を使った手術の支援情報として前記立体画像が表示されることを特徴とする超音波画像表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明を具体化した第1の実施の形態の超音波画像表示装置を示す概略構成図。
【図2】第1の実施の形態の超音波画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】生体組織の立体画像を示す斜視図。
【図4】立体画像の表示処理を示すフローチャート。
【図5】第2の実施の形態の超音波画像表示装置を示す概略構成図。
【図6】第2の実施の形態の超音波画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図7】第3の実施の形態の超音波プローブを示す斜視図。
【図8】第3の実施の形態の超音波画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図9】別の実施の形態における信号検出回路を示すブロック図。
【図10】超音波プローブを有する内視鏡を示す斜視図。
【図11】生体組織の超音波画像を示す説明図。
【図12】音響インピーダンスの測定方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0111】
1,41,70…超音波画像表示装置
5,71…超音波プローブ
8,48…被検査物としての生体組織
11,72…透過部材としてのプローブケース
12,75…超音波振動子
13,14,73…超音波走査手段を構成するロータ部
26…第1信号検出回路を構成するプリアンプ
27…第2信号検出回路を構成するプリアンプ
28…第2信号検出回路を構成する対数増幅器
29…第1信号検出回路を構成するA/D変換回路
30…第2信号検出回路を構成するA/D変換回路
31…表面画像生成手段、断層画像生成手段、データ生成手段、画像表示手段としてのCPU
38…立体画像
49…透過部材としての樹脂プレート
54…超音波走査手段としてのX−Yステージ
56…超音波振動子としての薄膜圧電素子
76…超音波走査手段を構成する移動機構
W1…超音波伝達媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して被検査物の立体画像を表示する超音波画像表示装置、超音波画像表示方法、内視鏡手術支援システム、超音波画像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、生体組織の診断を行う装置として、超音波顕微鏡を応用した製品の開発が進められており、高解像度で生体組織の観察が可能なものが実用化されている。光学顕微鏡では生体組織における化学的性質の違いを例えば染色によって区別するのに対し、超音波顕微鏡では物理的性質の違いを無染色で区別することができる。つまり、超音波顕微鏡を用いる場合には、染色を行わなくても生体組織診断を行うことができるといった利点がある。
【0003】
具体的には、超音波顕微鏡を用いる場合、生体組織などの試料に超音波を照射しその反射波を検出することにより、音響パラメータ(音響インピーダンス、音速、減衰などのパラメータ)を算出して、その算出値に応じた超音波画像(音響インピーダンス像、音速像、減衰像など)を表示する。本発明者らは、パルス励起型の超音波顕微鏡を用いて生体組織の組織音速を算出し、その組織音速に応じた音速像を表示する装置をすでに提案している(例えば、特許文献1や非特許文献1参照)。さらに、本発明者らはパルス励起型の超音波顕微鏡を利用して生体組織の音響インピーダンス像を表示する装置も提案している(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
パルス励起型超音波顕微鏡を用いて音速像を得るためには、生体組織の凍結切片を使用する必要がある。従って、摘出した生体組織を極めて薄く切り落として凍結切片にするといった準備作業が必要となる。これに対して、音響インピーダンス像を得る場合、生体組織を切り出して凍結切片にするといった準備作業の必要がなく、生体組織の表面を迅速に可視化することができる。
【0005】
具体的には、音響インピーダンス像を得る場合、図12に示されるように、樹脂プレート90(透過部材)の上面に生体組織91を密着させて支持し、その生体組織91の周縁となる位置にリファレンス部材92を設けている。そして、超音波振動子93から樹脂プレート90を介して生体組織91及びリファレンス部材92に超音波Soを照射する。
【0006】
ここで、リファレンス部材92においてその表面と直交する角度で照射される超音波(入射波)Soと反射波Srとは次式(1)の関係が成り立つ。
【数1】
【0007】
ただし、Zsは樹脂プレート90の音響インピーダンスであり、Zrはリファレンス部材92の音響インピーダンスである。
【0008】
また、生体組織91においてその表面と直交する角度で照射される超音波Soと反射波Stとは次式(2)の関係が成り立つ。
【数2】
【0009】
ただし、Ztは生体組織91の音響インピーダンスである。
【0010】
従って、上記式(1),(2)から生体組織91の音響インピーダンスZtは、次式(3)により求められる。
【数3】
【0011】
この超音波画像検査装置において、音響インピーダンスZtを測定しながら超音波Soの照射点を二次元走査することにより、二次元の音響インピーダンス像が得られる。音響インピーダンスZtは、組織の硬さに関連するパラメータであり、音響インピーダンス像によって生体組織91の性状を観察することができる。
【0012】
また、本発明者らは、内視鏡を用いた手術において、超音波プローブにより患部の超音波画像を取得して手術を迅速に行う内視鏡手術支援システムを検討している。この種の従来技術としては、内視鏡に超音波プローブの機能を付加した超音波内視鏡が提案されている(例えば、特許文献3等)。特許文献3の超音波内視鏡では、直交する断層画像(超音波画像)を異なる走査方法で取得し、それら超音波画像を表示させることで患部の立体的な構造が確認される。
【特許文献1】特開2005−291827号公報
【特許文献2】特開2006−78408号公報
【特許文献3】特開2007−37844号公報
【非特許文献1】「医用超音波:パルス励起型超音波音速顕微鏡」(「超音波TECHNO」VOL.15 No.6(2003.11〜12)(101〜105頁)日本工業出版社発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上記の音響インピーダンス像は、生体組織91の表面画像であるため、その表面における組織の構造は確認することが可能であるが、その奥行き側の組織の構造は確認することができない。例えば、生体組織91に癌組織が含まれる場合、組織表面における癌組織の分布は確認することができるが、その奥行き側の立体的な分布は確認することができない。従って、癌組織の摘出手術を行う場合、得られた表面情報に基づいて、癌組織の周囲の正常組織を傷つけないよう注意して手術する必要があり、癌組織を迅速に摘出することは困難であった。
【0014】
特許文献3のように、従来の超音波内視鏡は、患部を断層画像として表示するものであり、この断層画像は比較的解像度が低い。また、患部の表面構造は内視鏡で取得した光学像によって確認することができるが、手術中の出血などによって患部表面が覆われると、その表面構造の確認が困難となる場合がある。この場合には、患部の癌組織とその周辺の正常組織とを区別することが困難となり、癌組織を迅速に摘出することが困難となってしまう。
【0015】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検査物の立体的な構造をより正確に確認することができる超音波画像表示装置、超音波画像表示方法、超音波画像表示プログラムを提供することにある。また別の目的は、患部の立体的な構造をより正確に確認することができ、内視鏡手術を迅速に行うことができる内視鏡手術支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、前記超音波の照射点を二次元的に走査させる超音波走査手段と、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するデータ生成手段と、前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とする超音波画像表示装置をその要旨とする。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、透過部材の第1面に被検査物が密着され、超音波振動子から超音波伝達媒体を伝達した超音波が透過部材を介してその第2面側から被検査物に照射される。この超音波の照射点は超音波走査手段によって一次元的または二次元的に走査され、被検査物で反射した超音波が超音波振動子により電気信号に変換される。そして、被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号が第1信号検出回路により取得され、表面画像生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物表面の音響パラメータが算出されその音響パラメータに応じた表面画像の画像データが生成される。また、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号が第2信号検出回路により取得され、データ生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物における内部構造に関する内部データが生成される。さらに、画像表示手段により、表面画像の画像データと内部データとに基づいて、被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報が表示される。このようにすれば、被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、前記超音波の照射点を二次元的に走査させる超音波走査手段と、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における断層画像の画像データを生成する断層画像生成手段と、前記表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、前記被検査物の立体画像を生成してその立体画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とする超音波画像表示装置をその要旨とする。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、超音波走査手段によって超音波の照射点が二次元的に走査され、被検査物で反射した超音波が超音波振動子により電気信号に変換される。そして、被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号が第1信号検出回路により取得され、表面画像生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物表面の音響パラメータが算出されその音響パラメータに応じた表面画像の画像データが生成される。また、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号が第2信号検出回路により取得され、断層画像生成手段により、その反射波信号に基づいて、被検査物における断層画像の画像データが生成される。そして、画像表示手段により、表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、被検査物の立体画像が生成されて表示される。このようにすれば、被検査物の立体的な構造を容易に確認することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記超音波振動子は、内部に超音波伝達媒体が充填可能な収容体を前記透過部材として備えた超音波プローブ内に設けられ、前記超音波走査手段は、前記超音波振動子を回転駆動させるロータ部を含んで構成されていることをその要旨とする。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、超音波プローブの収容体が透過部材で形成され、その内部に超音波伝達媒体が充填される。そして、その超音波プローブ内に超音波振動子が設けられ、超音波走査手段を構成するロータ部によりその超音波振動子が回転駆動される。このようにすれば、超音波の照射点をスムーズに走査することができ、画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。また、直線的な移動で一次元走査または二次元走査を行う場合と比較して、走査時の振動を抑えることができる。よって、反射波信号をより正確に検出することができ、より鮮明な画像を生成することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記ロータ部は、円筒状に形成され、その回転軸を中心に回転するとともにその軸方向に移動することで、前記超音波振動子をスパイラル状に駆動させることをその要旨とする。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、ロータ部は、円筒状に形成されており、その回転軸を中心に回転されるとともにその軸方向に移動される。このロータ部により、超音波振動子がスパイラル状に駆動され、超音波のスパイラル走査が可能となる。このようにしても、この超音波の照射点をスムーズに走査することができ、画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。また、直線的な移動で二次元走査を行う場合と比較して、走査時の振動を抑えることができる。よって、反射波信号をより正確に検出することができ、より鮮明な画像を生成することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4において、前記ロータ部の外周面に複数の超音波振動子が設けられていることをその要旨とする。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、ロータ部の外周面に複数の超音波振動子が設けられているので、各超音波振動子12により画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記複数の超音波振動子として、照射する超音波の焦点位置が前記透過部材の第1面に設定された高分解能用の第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子よりも分解能が低い第2の超音波振動子とを含み、前記第1信号検出回路は、前記第1の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得し、前記第2信号検出回路は、第2の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得することをその要旨とする。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、第1の超音波振動子は、照射する超音波の焦点位置が透過部材の第1面に設定されているので、その第1の超音波振動子から照射された超音波はその第1面(被検査物表面との界面)で確実に反射する。従って、被検査物表面での超音波の反射波信号を第1信号検出回路で正確に取得することができ、鮮明な表面画像を生成することができる。一方、第2の超音波振動子は、第1の超音波振動子よりも分解能が低い超音波振動子であり、照射する超音波の焦点位置が透過部材の第1面よりも後方となるよう焦点がぼかされている。この場合、その第2の超音波振動子から照射された超音波は、被検査物の内部に確実に伝搬する。そのため、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を第2信号検出回路で正確に取得することができ、被検査物の内部構造をより確実に確認することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記第1の超音波振動子から照射される超音波は、前記第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数よりも高い周波数であることをその要旨とする。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、第1の超音波振動子から照射される超音波は第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数よりも高い周波数であるため、超音波の焦点位置でのビーム幅を狭くすることができる。これにより、画像分解能を高めることができ、鮮明な表面画像を得ることができる。また、第2の超音波振動子から照射される超音波は低周波数であるため、被検査物の内部に確実に伝搬させることができ、その反射波信号に基づいて被検査物の内部構造をより確実に確認することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、超音波を一次元的または二次元的に走査しながら被検査物に照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示方法であって、超音波を透過しうる透過部材の第1面に被検査物を密着させ、超音波振動子により、超音波伝達媒体及び前記透過部材を介してその透過部材の第2面側から前記被検査物に超音波を照射するステップと、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成するステップと、前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するステップと、前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示するステップとを含むことを特徴とする超音波画像表示方法をその要旨とする。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、透過部材の第1面に被検査物が密着され、超音波振動子から超音波伝達媒体を伝達した超音波が透過部材を介してその第2面側から被検査物に照射される。この超音波の照射点が一次元的または二次元的に走査され、被検査物で反射した超音波が超音波振動子により電気信号に変換される。そして、被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号が取得され、その反射波信号に基づいて、被検査物表面の音響パラメータが算出されてその音響パラメータに応じた表面画像の画像データが生成される。また、被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号が取得され、その反射波信号に基づいて、被検査物における内部構造に関する内部データが生成される。さらに、表面画像の画像データと内部データとに基づいて、被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報が表示される。このようにすれば、被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波画像表示装置を備えた内視鏡手術支援システムをその要旨とする。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、超音波画像表示装置によって、被検査物としての患部の表面及び内部の構造を表示させることができるので、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の超音波画像表示方法における各ステップをコンピュータにより実行させるための超音波画像表示プログラムをその要旨とする。
【0035】
請求項10に記載の超音波画像表示プログラムをコンピュータに実行させることにより、被検査物の立体的な構造を確認することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上詳述したように、請求項1〜8,10に記載の発明によると、被検査物の表面構造に加え、その奥行き側の内部構造を確認することができる。請求項9に記載の発明によると、患部の表面構造に加えて内部構造をより正確に確認することができ、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
[第1の実施の形態]
【0038】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態における超音波画像表示装置1を示す概略構成図である。
【0039】
超音波画像表示装置1は、超音波プローブユニット2と、パーソナルコンピュータ(パソコン)3とから構成されている。超音波プローブユニット2とパソコン3とは例えばUSBケーブル4を介して接続される。
【0040】
超音波プローブユニット2は、超音波プローブ5と、先端部にその超音波プローブ5を着脱可能なハンドピース部6とを備える。この超音波プローブ5は、超音波を二次元走査しながら被検査物に照射して、その被検査物からの反射波を電気信号に変換して出力する機能を有している。このハンドピース部6はいわゆる把持部であって、手で把持可能な長さ及び直径を有している。それゆえ、この超音波プローブユニット2は、例えば、術中に医師などが患者の体の検査を行うために用いられる。この場合、使用者はハンドピース部6を手で持ち、超音波プローブ5を患者の体(被検査物としてのインビボの生体組織)8に直接当てるようにする。
【0041】
具体的には、超音波プローブ5は、収容体としてのプローブケース11と、超音波振動子12と、超音波走査手段としての第1ロータ部13及び第2ロータ部14と、リファレンス部材15とを備える。プローブケース11は、生体組織8とは異なる既知の音響インピーダンスを有し、超音波を透過しうる透過部材(例えば、アクリル樹脂)を用いて、先端部が略半球形状に形成されている。プローブケース11の内部には、超音波伝達媒体(具体的には純水)W1が充填されている。
【0042】
本実施の形態では、プローブケース11の内部に第1ロータ部13及び第2ロータ部14が収納されており、ケース先端側に設けられた第1ロータ部13の外周面には、4個の超音波振動子12が設けられている。これらの超音波振動子12は、高分子系の圧電材料からなり、第1ロータ部13の回転軸13aを中心として90度離れた位置にそれぞれ設けられている。この構成であると、回転軸13aを中心とする重量バランスがよくなるので、振動の発生を確実に防止することができる。
【0043】
超音波振動子12が照射する超音波は、超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束されてプローブケース11の外表面で焦点を結ぶようになっている。なお本実施形態では、超音波振動子12が照射する超音波としては、例えば、中心周波数が80MHzであり、帯域幅が50〜105MHz(−6dB)である。また、プローブケース11において、生体組織8を密着させる外表面が第1面に相当し、超音波伝達媒体W1を接触させる内表面が第2面に相当する。
【0044】
本実施の形態において、第1ロータ部13は、超音波プローブユニット2の短手方向と平行な回転軸13aを介してハウジング17に回転可能に支持されている。また、第2ロータ部14は、超音波プローブユニット2の長手方向と平行な回転軸14aを介してハウジング17を支持しており、そのハウジング17とともに第1ロータ部13を回転させる。これらロータ部13,14は、回転速度や回転位置が制御可能な周知の電動モータで構成される。なお、第1ロータ部13への電源供給や超音波振動子12に対する電気信号の授受は図示しないスリップリングを介して行われる。
【0045】
また、プローブケース11の外表面において超音波の照射点が走査される範囲内には、リファレンス部材15(例えば、エポキシ樹脂)が設けられている。本実施形態のリファレンス部材15は、例えば、エポキシ樹脂により形成される。従って、リファレンス部材15は、アクリル樹脂からなるプローブケース11とは異なる既知の音響インピーダンスを有している。
【0046】
超音波プローブユニット2におけるハンドピース部6内には、各ロータ部13,14を駆動制御するロータ制御回路21、超音波を送受信するための信号処理回路22、電気信号の入出力を行うためのI/F回路23などが設けられている。I/F回路23としては、パソコン等の標準インターフェースであるUSBインターフェースが用いられる。なお、I/F回路23としては、USBインターフェースの他にIEEE1394インターフェースを採用してもよく、また、データ転送速度は遅くなるが、シリアルインターフェースやパラレルインターフェースを採用することもできる。
【0047】
図2は、超音波画像表示装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0048】
図2に示されるように、超音波プローブユニット2におけるロータ制御回路21は、各ロータ部13,14に接続されており、パソコン3から出力される駆動制御信号をI/F回路23を介して取り込み、その駆動制御信号に基づいて各ロータ部13,14を駆動して各ロータ部13,14とともに超音波振動子12を回転させる。具体的には、ロータ制御回路21は、第1ロータ部13を所定の回転速度で回転させ、第1ロータ部13が1/4回転(90°回転)する度に第2ロータ部14を所定の角度だけ回転させる。これにより、プローブケース11の外表面(つまり生体組織8の表面)に沿って超音波の照射点が二次元的に走査される。
【0049】
信号処理回路22は、送信回路24、送受波分離回路25、プリアンプ26、対数増幅器28、A/D変換回路29,30を備える。
【0050】
送信回路24は、超音波振動子12を駆動させるためのパルスを発生させる回路であり、トリガ回路24aとパルス発生回路24bとを備える。送信回路24において、トリガ回路24aは、パソコン3から出力される制御信号をI/F回路23を介して取り込み、その制御信号に基づいて第1ロータ部13の回転に同期したトリガ信号を生成する。パルス発生回路24bは、そのトリガ信号に応答して励起パルスを生成する。その励起パルスが送受波分離回路25を介して超音波振動子12に供給されて超音波振動子12から超音波が照射される。なお、本実施の形態では、第1ロータ部13の回転により超音波振動子12がプローブケース11の先端側の走査範囲内に移動したときに、制御信号に基づいてトリガ信号が生成され、その走査範囲内でのみ超音波が照射されるようになっている。
【0051】
本実施の形態の超音波振動子12は、送受波兼用の振動子であり、生体組織8で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は送受波分離回路25を介してプリアンプ26に供給される。プリアンプ26は、反射波の信号を増幅して出力する。
【0052】
生体組織8から反射される超音波の反射波信号としては、組織表面での反射波信号と組織内部での反射波信号とを含み、表面では信号強度が比較的強く、内部に行くほど信号強度が弱くなる。従って、本実施の形態では、生体組織8表面での反射波信号と生体組織8内部での反射波信号とがそれぞれ異なる処理経路で取得される。
【0053】
具体的には、プリアンプ26で増幅された反射波信号は、A/D変換回路29に供給されてA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。また、プリアンプ26で増幅された反射波信号は、対数増幅器28でさらに対数増幅され、A/D変換回路30でA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。なお、本実施の形態では、プリアンプ26及びA/D変換回路29により第1信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8表面での反射波信号が取得される。また、プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30により第2信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8内部での反射波信号が取得される。
【0054】
パソコン3は、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36を備え、それらはバス37を介して相互に接続されている。
【0055】
CPU31は、メモリ33を利用して制御プログラムを実行し、装置全体を統括的に制御する。制御プログラムとしては、各ロータ部13,14による二次元走査を制御するためのプログラムや音響インピーダンスを算出するためのプログラム、超音波画像を生成して表示するためのプログラムなどを含む。
【0056】
I/F回路32は、超音波プローブユニット2との間で信号の授受を行うためのインターフェース(具体的には、USBインターフェース)であり、超音波プローブユニット2に制御信号(ロータ制御回路21や送信回路24への制御信号)を出力したり、超音波プローブユニット2からの転送データ(A/D変換回路29,30からI/F回路23を介して転送されるデータ)を入力したりする。
【0057】
表示装置36は、例えば、LCDやCRTなどのカラーディスプレイであり、生体組織8の超音波画像(立体画像)や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。入力装置35は、キーボードやマウス装置などであり、ユーザからの要求や指示、パラメータの入力に用いられる。
【0058】
記憶装置34は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、その記憶装置には制御プログラム及び各種のデータが記憶されている。CPU31は、入力装置35による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置34からメモリ33へ転送し、それを逐次実行する。なお、CPU31が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置34にインストールして利用する。
【0059】
本実施の形態の超音波画像表示装置1では、第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)により取得した生体組織8表面の反射波信号に基づいて、音響インピーダンスを求め、その音響インピーダンスに応じた表面画像の画像データを生成する。また、第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)により取得した生体組織8内部の反射波信号に基づいて、断層画像の画像データを生成する。そして、それら表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、図3のような立体画像38を表示装置36に表示させる。ここでは、組織表面の音響インピーダンスに基づいて癌組織39を検出し、図3の立体画像38において、癌組織39をその周囲の正常組織40と異なる色で表示させている。
【0060】
次に、本実施の形態において、生体組織8の立体画像38を表示させるための処理例について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4の処理は、例えば、患者の腹部を開腹して、癌組織39がある患部に超音波プローブ5を接触させた状態で、入力装置35に設けられている開始ボタンを操作したときに開始される。
【0061】
まず、CPU31からの指示に基づいてロータ制御回路21により第1ロータ部13及び第2ロータ部14が駆動され、超音波の照射点がリファレンス部材15に位置するように移動される。またこのとき、励起パルスが超音波振動子12に供給されると、リファレンス部材15に超音波が照射され、その表面からの反射波が第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)で検出される。そして、CPU31は、A/D変換回路29で変換されたデジタルデータをI/F回路23,32を介して取得し、そのデータに基づいてリファレンス部材15の反射波の強度を判定してメモリ33に一旦格納する(ステップ100)。
【0062】
その後、CPU31からの指示に基づいて、ロータ制御回路21により各ロータ部13,14が駆動されて超音波の二次元走査が開始される。CPU31は、各ロータ部13,14の回転位置を判断しそれに基づいて測定点の座標データを取得する(ステップ110)。そして、生体組織8に超音波が照射され、その表面での反射波が第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)で検出される。CPU31は、A/D変換回路29で変換されたデジタルデータに基づいて組織表面における反射波の強度を判定してメモリ33に一旦格納する(ステップ120)。またこのとき、生体組織8内部での反射波が第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)で検出される。そして、CPU31は、A/D変換回路30で変換されたデジタルデータを内部の反射波信号のデータとしてメモリ33に一旦格納する。
【0063】
表面画像生成手段としてのCPU31は、得られたリファレンス部材15及び生体組織8表面での反射波Sr,Stの強度と、リファレンス部材15及びプローブケース11の音響インピーダンスZr,Zsとを用いて、上記の式(3)に対応した演算処理を行い測定点での音響インピーダンスZtを算出する。そして、CPU31は、その音響インピーダンスZtを用いてカラー変調処理を行い、音響インピーダンスZtの大きさに応じた表面画像(音響インピーダンス像)の画像データを生成し、測定点の座標データに関連付けて該画像データをメモリ33に記憶する(ステップ130)。
【0064】
さらに、断層画像生成手段(データ生成手段)としてのCPU31は、生体組織8内部での反射波信号に基づいて、輝度変調処理を行うことで反射波信号の振幅(信号強度)に応じた輝度の画像データを生成し、測定点の座標データに関連付けて該画像データをメモリ33に記憶する(ステップ140)。
【0065】
CPU31は、全ての測定点での処理が終了し、1画面分の画像データが取得されたか否かを判断する(ステップ150)。ここで、全データが取得されていない場合、CPU31は、ステップ110に戻って、ステップ110〜150の処理を繰り返し実行し、全データが取得された場合にはステップ160に移行する。そして、画像表示手段としてのCPU31は、メモリ33に記憶した表面画像及び断層画像の画像データを読み出し、各画像データに基づいて生体組織8の立体画像38のデータを生成する。
【0066】
具体的には、音響インピーダンスは、生体組織8の硬さに関連するパラメータであり、癌組織39は正常組織40よりも硬い組織である。従って、組織表面の音響インピーダンスZtに基づいて、二次元的な癌組織39の分布を検出することができる。さらに、断層画像の画像データに基づいて、奥行き側における癌組織39と正常組織40との境界面を検出して、その検出結果に基づいて、癌組織39の立体画像38のデータを生成する。その後、生成した立体画像38のデータを表示装置36に転送して該データに応じた立体画像38を表示させた後、図4の処理を終了する。
【0067】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0068】
(1)本実施の形態の超音波画像表示装置1において、生体組織8表面での反射波信号が第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)で取得され、その反射波信号に基づいて表面画像の画像データが生成される。また、生体組織8内部での反射波信号が第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)で取得され、その反射波信号に基づいて断層画像の画像データが生成される。そして、表面画像の画像データと断層画像の画像データとに基づいて、生体組織8の立体画像38を生成してその立体画像38を表示することができる。そして、その立体画像38において、生体組織8表面における癌組織39の二次元的な分布に加え、奥行き側の立体的な分布を容易に確認することができる。これにより、癌組織39の摘出手術を迅速に行うことが可能となる。
【0069】
(2)本実施の形態の超音波画像表示装置1では、超音波走査手段として第1ロータ部13及び第2ロータ部14を備え、各ロータ部13,14を回転駆動することにより、超音波の照射点をスムーズに走査することができ、画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。またこの場合、直線的な移動で二次元走査を行う場合と比較して、走査時の振動を抑えることができる。これにより、反射波信号をより正確に検出することができ、より鮮明な立体画像38を生成することができる。
【0070】
(3)本実施の形態の超音波画像表示装置1では、第1ロータ部13の外周面に複数の超音波振動子12が設けられているので、各超音波振動子12によって画像生成のための反射波信号を迅速に取得することができる。
【0071】
(4)本実施の形態の超音波プローブ5では、超音波伝達媒体W1として純水をプローブケース11内に充填したので、高周波数の超音波の減衰を低減することができ、音響インピーダンスZtを高い精度で求めることができる。また、イオンを含まない純水には電気が殆ど流れない。従って、プローブケース11内に電動モータ等の電気部品を収容したときでもショートの発生を心配しなくてもよく、絶縁構造を省略することが可能である。
[第2の実施の形態]
【0072】
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0073】
図5に示されるように、本実施の形態の超音波画像表示装置41は、パルス励起型超音波顕微鏡42とパソコン3とを備える。パルス励起型超音波顕微鏡42は、試料ステージ44を有する顕微鏡本体45と、試料ステージ44の下方に設置された超音波プローブ46とを備える。そのパルス励起型超音波顕微鏡42の超音波プローブ46がパソコン3と電気的に接続されている。
【0074】
本実施の形態の試料ステージ44は、ユーザの手動操作により、水平方向(即ちX方向及びY方向)に移動できるように構成されている。この試料ステージ44には、生体組織48を載置した樹脂プレート49が固定されている。なお、生体組織48は、例えば、ラットの小脳から切り出した脳組織であり、300μm〜400μmの厚さを有する。また、樹脂プレート49としては、超音波を透過する透過部材であるアクリル板などが用いられる。この樹脂プレート49の上面(第1面)において生体組織48のセット部の周縁にリファレンス部材50が設けられている。
【0075】
超音波プローブ46は、水などの超音波伝達媒体W1を貯留可能な貯留部51をその先端部に有するプローブ本体52と、プローブ本体52の略中心部に配置される超音波トランスデューサ53と、プローブ本体52を前記試料ステージ44の面方向に沿って二次元的に走査するためのX−Yステージ54(超音波走査手段)とを備える。プローブ本体52の貯留部51は上部が開口しており、その貯留部51の開口側を上向きにした状態で超音波プローブ46が試料ステージ44の下方に設置されている。
【0076】
超音波トランスデューサ53は、酸化亜鉛の薄膜圧電素子56(超音波振動子)とサファイアロッドの音響レンズ57とからなり、パルス励起されることで樹脂プレート49の下面(第2面)側から生体組織48に対して超音波を照射する。超音波トランスデューサ53が照射する超音波は、貯留部51の超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束されて樹脂プレート49の上面(生体組織48の表面)で焦点を結ぶようになっている。なお、超音波トランスデューサ53としては、口径1.2mm、焦点距離1.5mm、中心周波数80MHz、帯域幅50〜105MHz(−6dB)の仕様のものを用いている。
【0077】
図6は、超音波画像表示装置41の電気的な構成を示すブロック図である。
【0078】
図6に示されるように、超音波プローブ46は、超音波トランスデューサ53と、X−Yステージ54と、I/F回路23と、送信回路24と、送受波分離回路25と、プリアンプ26と、対数増幅器28と、A/D変換回路29,30と、エンコーダ59と、コントローラ60とを備える。なお、I/F回路23、送信回路24、送受波分離回路25、プリアンプ26、対数増幅器28、A/D変換回路29,30は上述した第1の実施の形態と同じ回路構成である。
【0079】
X−Yステージ54は、超音波の照射点を二次元的に走査させるためのXステージ54X及びYステージ54Yを備えるとともに、それぞれのステージ54X,54Yを駆動するモータ61X,61Yを備えている。これらのモータ61X,61Yとしては、ステッピングモータやリニアモータが使用される。
【0080】
各モータ61X,61Yにはコントローラ60が接続されており、該コントローラ60の駆動信号に応答してモータ61X,61Yが駆動される。これらモータ61X,61Yの駆動により、Xステージ54Xを連続走査(連続送り)するとともに、Yステージ54Yを間欠送りとなるよう制御することで、X−Yステージ54の高速走査が可能となっている。
【0081】
また、本実施の形態においては、Xステージ54Xに対応してエンコーダ59が設けられ、エンコーダ59によりXステージ54Xの走査位置が検出される。具体的に、走査範囲(例えば、縦横2mmの走査範囲)を300×300個の測定点(ピクセル)に分割した場合、1回のX方向(水平方向)の走査が300分割される。そして、各測定点の位置がエンコーダ59によって検出されパソコン3に取り込まれる。パソコン3はそのエンコーダ59の出力に同期して駆動制御信号を生成して、その駆動制御信号をコントローラ60に供給する。コントローラ60は、この駆動制御信号に基づいてモータ61Xを駆動する。また、コントローラ60は、エンコーダ59の出力信号に基づきX方向の1ラインの走査が終了した時点でモータ61Yを駆動して、Yステージ54YをY方向に1ピクセル分移動させる。
【0082】
さらに、コントローラ60は、駆動制御信号に同期してトリガ信号を生成して送信回路24に供給する。これにより、送信回路24において、そのトリガ信号に同期したタイミングで励起パルスが生成される。その励起パルスが送受波分離回路25を介して超音波トランスデューサ53に供給される結果、超音波トランスデューサ53から超音波が照射される。
【0083】
超音波トランスデューサ53の薄膜圧電素子56は、送受波兼用の超音波振動子であり、生体組織48で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は、送受波分離回路25を介してプリアンプ26に供給されて増幅される。
【0084】
プリアンプ26で増幅された反射波信号は、A/D変換回路29に供給されてA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。また、プリアンプ26で増幅された反射波信号は、対数増幅器28でさらに対数増幅され、A/D変換回路30でA/D変換された後、I/F回路23を介してパソコン3に転送される。なお、本実施の形態においても、プリアンプ26及びA/D変換回路29により第1信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8表面での反射波信号が取得される。また、プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30により第2信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8内部での反射波信号が取得される。
【0085】
パソコン3は、上記第1の実施の形態と同様に、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36(図6では図示略)を備え、超音波顕微鏡42で取得した各反射波信号に基づいて、超音波画像を生成して表示する。
【0086】
具体的には、第1信号検出回路(プリアンプ26及びA/D変換回路29)により取得した生体組織48表面の反射波信号に基づいて、音響インピーダンスを求め、その音響インピーダンスに応じた表面画像の画像データを生成する。また、第2信号検出回路(プリアンプ26、対数増幅器28、及びA/D変換回路30)により取得した生体組織48内部の反射波信号に基づいて、断層画像の画像データを生成する。そして、それら表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、生体組織48の立体画像を表示装置36に表示させる。
【0087】
このように、本実施の形態の超音波画像表示装置41においても、第1の実施の形態と同様に、生体組織48の立体画像を生成してその立体画像を表示することができるため、生体組織48の性状を容易に確認することができる。
[第3の実施の形態]
【0088】
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0089】
本実施の形態の超音波画像表示装置は、第1の実施の形態の超音波プローブユニット2に代えて図7の超音波プローブ71を備え、内視鏡を用いた内視鏡手術の支援システムを構成する装置として使用される。
【0090】
図7に示されるように、超音波プローブ71において、収容体としてのプローブケース72内の先端部にはロータ部73が配置されている。プローブケース72は、超音波を透過しうる透過部材を用い、外径が5mm程度の円筒状に形成されている。そして、このプローブケース72において、ロータ部73が配置される外周面の一部にリファレンス部材74が設けられている。ロータ部73は、円筒状に形成されており、その回転軸を中心に回転する。このロータ部73の外周面には、複数(具体的には4個)の超音波振動子75が設けられている。また、プローブケース72の基端側には、ロータ部73をプローブケース72の軸方向に移動させる移動機構76が設けられている。
【0091】
超音波プローブ71では、ロータ部73と移動機構76とにより超音波走査手段が構成され、ロータ部73が回転するとともにその軸方向に移動することにより、超音波振動子75がスパイラル状に駆動される。これにより、超音波の照射点が二次元的に走査される。
【0092】
図8は、本実施の形態における超音波画像表示装置70の電気的な構成を示すブロック図である。
【0093】
図8に示されるように、超音波プローブ71は、ロータ部73と移動機構76とを駆動制御するロータ制御部77と、超音波を送受信するための信号処理回路22と、電気信号の入出力を行うためのI/F回路23とを備える。なお、信号処理回路22及びI/F回路23は、第1の実施の形態と同じ回路構成である。
【0094】
また、パソコン3は、通信ケーブル78などを介してMRI装置79に接続可能に構成され、手術前にMRI装置79で取得された検査画像のデータを取り込んでメモリ33に記憶する。
【0095】
本実施の形態では、超音波プローブ71の先端を患者の体内に挿入して患部に接触させ、その状態で超音波を二次元走査することにより、その患部の立体画像(超音波画像)を生成する。そして、その立体画像の画像データをMRI装置79の検査画像の画像データに重ね合わせて重合像データを生成し、そのデータに基づいて重合像を表示装置36に表示させる。この重合像は、MRI装置79で取得した三次元の検査画像に対して、超音波画像を三次元的に重ねがきした加工画像であり、この画像を確認することにより、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
また、内視鏡手術では、内視鏡で取得した光学像によって患部表面の状態を確認することができるが、手術中の出血などによって患部表面が覆われるとその表面構造の確認が困難となる。このような場合、超音波プローブ71を用いれば、患部の表面構造をより正確に確認することができ、内視鏡手術を迅速に行うことができる。
【0096】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施の形態では、第1信号検出回路と第2信号検出回路とでプリアンプ26を共通化していたが、図9のように、プリアンプ26,27を個別に設けてもよい。なおこの場合、プリアンプ26及びA/D変換回路29により第1信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8表面での反射波信号が取得される。また、プリアンプ27、対数増幅器28、及びA/D変換回路30により第2信号検出回路が構成され、この回路によって生体組織8内部での反射波信号が取得される。
【0097】
・上記第1及び第3の実施の形態において、ロータ部13,73には4個の超音波振動子12,75が設けられていたが、この個数は適宜変更することができる。また、超音波振動子12,75としては、照射する超音波の焦点距離や周波数が異なる2種類以上の振動子を用いてもよい。例えば、複数の超音波振動子12として、焦点位置がプローブケース11の外表面に設定された高分解能用の第1の超音波振動子と、焦点位置が外表面よりも外側に設定された低分解用の第2の超音波振動子とをロータ部13に設ける。なお、第1の超音波振動子は、第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数(例えば、5MHz)よりも高い周波数(例えば、80MHz)の超音波を照射するものを使用する。そして、第1の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を第1信号検出回路で取得し、第2の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を第2信号検出回路で取得するように構成する。この場合、第1の超音波振動子から照射される超音波は高周波数であるため、その焦点位置でのビーム幅を狭くすることができる。また、第1の超音波振動子から照射される超音波は、生体組織表面で確実に反射するため、反射波信号に基づいて音響インピーダンスを正確に求めることができ、より鮮明な音響インピーダンス像(表面画像)を得ることができる。一方、第2の超音波振動子から照射された超音波は、低周波数であり、その焦点位置がプローブケース11の外側(後方)となるよう焦点がぼかされている。そのため、生体組織8の内部に超音波が確実に伝搬し、その超音波の反射波信号に基づいて、生体組織8の内部構造を確実に確認することができる。
【0098】
・上記各実施の形態では、異なる周波数成分(50MHz〜105MHz)を含む広帯域の超音波を超音波振動子12,75から照射するものであるため、生体組織8,48からの各反射波信号も広帯域の周波数成分を有している。従って、各信号検出回路において、特定の周波数の反射波信号を検出し、その反射波信号を用いて、表面画像や断層画像の画像データを生成するように構成することもできる。具体的には、例えば、第1信号検出回路において反射波信号における高周波側の信号成分を抽出し、その高周波側の信号成分を用いて音響インピーダンス像の画像データを生成する。この場合、画像分解能を高めることができ、より鮮明な音響インピーダンス像を得ることができる。
【0099】
・上記第3の実施の形態では、内視鏡(図示略)とは別に超音波プローブ71を設けるものであったが、図10に示されるように、対物レンズ81やライトガイド82などを備える内視鏡83の先端に超音波プローブ71を一体的に設けてもよい。この場合、内視鏡83によって取得される光学像と超音波プローブ71によって取得される立体画像との位置ズレを防止することができる。その結果、各画像を確実に比較することができ、患部の状態をより厳密に確認することができる。
【0100】
・上記第3の実施の形態では、手術前の検査画像としてMRI装置79の画像を用いたが、これに代えてCT装置などの別の検査装置の画像を用いてもよい。
【0101】
・上記各実施の形態では、癌組織39を検出してその癌組織39を立体的に表示するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、断層画像の画像データに基づいて、癌組織39の周辺の血管(特に動脈血管)を検出し、癌組織39とともにその血管を表示するように構成してもよい。この場合、血管を考慮して癌組織39を摘出することが可能となり、その摘出手術を迅速に行うことができる。
・上記各実施の形態では、超音波の照射点を二次元的に走査して得られた反射波信号に基づいて生体組織8,48を立体的に表示するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施の形態の超音波プローブ5において、第2のロータ部14を省略し、第1のロータ部13のみで超音波走査手段を構成する。そして、その超音波プローブ5を生体組織8表面に接触させて超音波を一次元的に走査し、得られた反射波信号に基づいて、生体組織8表面での所定の検査ライン上の音響インピーダンスZtを取得するとともに、その検査ライン上での断層画像のデータを取得する。さらに、その音響インピーダンスZtのデータと断層画像のデータとに基づいて、図11のような超音波画像85を表示装置36に表示させる。この超音波画像85では、生体組織8表面に対応するラインL1(画像上端のライン)は、音響インピーダンスZtの大きさに応じて色分けされてカラー表示される。また、超音波画像85では、生体組織8内部における癌組織39の分布が表示される。具体的には、生体組織8表面におけるラインL1での音響インピーダンスZtに基づいて、癌組織39と正常組織40とが判別され、断層画像のデータに基づいて、奥行き側における癌組織39と正常組織40との境界面が検出される。そして、その検出結果に応じて、癌組織39が正常組織40と異なる色で表示される。このようにしても、生体組織8における表面及び内部での癌組織39の分布を確認することができ、癌組織39の摘出手術を迅速に行うことが可能となる。
さらに、上記各実施の形態の超音波画像表示装置1,41,70において、超音波の照射点を一次元的に走査して図11のような超音波画像85を表示させる表示機能を付加してもよい。またこの場合、超音波の二次元走査により得られた立体画像38と、一次元走査により得られた超音波画像85とを適宜切り替えて表示させるように構成してもよい。
【0102】
・上記第1の実施の形態では、立体画像38を表示することで生体組織8における癌組織39の立体構造を確認するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、癌組織39の奥行き側の構造(癌組織39の厚さ)を矢印の長さなどで表示するように構成してもよい。なおこの場合、断層画像の画像データに基づいて、癌組織39と正常組織40との境界位置を判断することにより、内部構造に関する情報として癌組織39の厚さのデータ(内部データ)を生成し、その厚さに対応する長さの矢印を表示する。このようにしても、生体組織8の内部構造を容易に確認することができる。
【0103】
・上記各実施の形態では、生体組織8,48表面における音響インピーダンスZtを測定して表面画像の画像データを得るものであったが、音響インピーダンスZt以外に、密度や体積弾性率などの音響パラメータを測定して、表面画像の画像データを得るように構成してもよい。
【0104】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0105】
(1)請求項1乃至7のいずれか1項において、MRI装置またはCT装置で取得された検査画像の画像データを記憶する記憶手段と、前記立体画像の画像データを前記検査画像の画像データに重ね合わせて重合像データを生成する重合像データ生成手段とをさらに備えたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【0106】
(2)請求項1乃至7のいずれか1項において、前記被検査物は生体組織であり、前記画像表示手段は、前記音響パラメータとしての音響インピーダンスに基づいて、前記生体組織における癌組織を検出し、その癌組織を立体的に表示することを特徴とする超音波画像表示装置。
【0107】
(3)上記(2)において、前記画像表示手段は、前記癌組織の周辺の血管を検出し、前記癌組織とともに血管を表示することを特徴とする超音波画像表示装置。
【0108】
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記超音波振動子は、パルス励起されることによって異なる周波数成分を含む超音波を照射するものであり、前記表面画像生成手段は、前記反射波信号における高周波側の信号成分を用いて表面画像を生成するようにしたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【0109】
(5)請求項2において、前記超音波振動子は内視鏡の先端部の近傍に装着され、前記内視鏡を使った手術の支援情報として前記立体画像が表示されることを特徴とする超音波画像表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明を具体化した第1の実施の形態の超音波画像表示装置を示す概略構成図。
【図2】第1の実施の形態の超音波画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】生体組織の立体画像を示す斜視図。
【図4】立体画像の表示処理を示すフローチャート。
【図5】第2の実施の形態の超音波画像表示装置を示す概略構成図。
【図6】第2の実施の形態の超音波画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図7】第3の実施の形態の超音波プローブを示す斜視図。
【図8】第3の実施の形態の超音波画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図9】別の実施の形態における信号検出回路を示すブロック図。
【図10】超音波プローブを有する内視鏡を示す斜視図。
【図11】生体組織の超音波画像を示す説明図。
【図12】音響インピーダンスの測定方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0111】
1,41,70…超音波画像表示装置
5,71…超音波プローブ
8,48…被検査物としての生体組織
11,72…透過部材としてのプローブケース
12,75…超音波振動子
13,14,73…超音波走査手段を構成するロータ部
26…第1信号検出回路を構成するプリアンプ
27…第2信号検出回路を構成するプリアンプ
28…第2信号検出回路を構成する対数増幅器
29…第1信号検出回路を構成するA/D変換回路
30…第2信号検出回路を構成するA/D変換回路
31…表面画像生成手段、断層画像生成手段、データ生成手段、画像表示手段としてのCPU
38…立体画像
49…透過部材としての樹脂プレート
54…超音波走査手段としてのX−Yステージ
56…超音波振動子としての薄膜圧電素子
76…超音波走査手段を構成する移動機構
W1…超音波伝達媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、
前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、
前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、
前記超音波の照射点を一次元的または二次元的に走査させる超音波走査手段と、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、
前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、
前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するデータ生成手段と、
前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示する画像表示手段と
を備えたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項2】
被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、
前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、
前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、
前記超音波の照射点を二次元的に走査させる超音波走査手段と、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、
前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、
前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における断層画像の画像データを生成する断層画像生成手段と、
前記表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、前記被検査物の立体画像を生成してその立体画像を表示する画像表示手段と
を備えたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項3】
前記超音波振動子は、内部に超音波伝達媒体が充填可能な収容体を前記透過部材として備えた超音波プローブ内に設けられ、前記超音波走査手段は、前記超音波振動子を回転駆動させるロータ部を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波画像表示装置。
【請求項4】
前記ロータ部は、円筒状に形成され、その回転軸を中心に回転するとともにその軸方向に移動することで、前記超音波振動子をスパイラル状に駆動させることを特徴とする請求項3に記載の超音波画像表示装置。
【請求項5】
前記ロータ部の外周面に複数の超音波振動子が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の超音波画像表示装置。
【請求項6】
前記複数の超音波振動子として、照射する超音波の焦点位置が前記透過部材の第1面に設定された高分解能用の第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子よりも分解能が低い第2の超音波振動子とを含み、前記第1信号検出回路は、前記第1の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得し、前記第2信号検出回路は、第2の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得することを特徴とする請求項5に記載の超音波画像表示装置。
【請求項7】
前記第1の超音波振動子から照射される超音波は、前記第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数よりも高い周波数であることを特徴とする請求項6に記載の超音波画像表示装置。
【請求項8】
超音波を一次元的または二次元的に走査しながら被検査物に照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示方法であって、
超音波を透過しうる透過部材の第1面に被検査物を密着させ、超音波振動子により、超音波伝達媒体及び前記透過部材を介してその透過部材の第2面側から前記被検査物に超音波を照射するステップと、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成するステップと、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するステップと、
前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示するステップと
を含むことを特徴とする超音波画像表示方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波画像表示装置を備えた内視鏡手術支援システム。
【請求項10】
請求項8に記載の超音波画像表示方法における各ステップをコンピュータにより実行させるための超音波画像表示プログラム。
【請求項1】
被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、
前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、
前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、
前記超音波の照射点を一次元的または二次元的に走査させる超音波走査手段と、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、
前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、
前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するデータ生成手段と、
前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示する画像表示手段と
を備えたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項2】
被検査物に超音波を照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示装置であって、
前記被検査物を密着させるための第1面と、その第1面の反対側に位置しかつ超音波伝達媒体を接触させるための第2面とを有し、前記超音波を透過しうる透過部材と、
前記超音波伝達媒体及び前記透過部材を介して前記第2面側から前記被検査物に超音波を照射するとともに、前記被検査物からの反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、
前記超音波の照射点を二次元的に走査させる超音波走査手段と、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得する第1信号検出回路と、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得する第2信号検出回路と、
前記第1信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成する表面画像生成手段と、
前記第2信号検出回路が取得した反射波信号に基づいて、前記被検査物における断層画像の画像データを生成する断層画像生成手段と、
前記表面画像及び断層画像の画像データに基づいて、前記被検査物の立体画像を生成してその立体画像を表示する画像表示手段と
を備えたことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項3】
前記超音波振動子は、内部に超音波伝達媒体が充填可能な収容体を前記透過部材として備えた超音波プローブ内に設けられ、前記超音波走査手段は、前記超音波振動子を回転駆動させるロータ部を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波画像表示装置。
【請求項4】
前記ロータ部は、円筒状に形成され、その回転軸を中心に回転するとともにその軸方向に移動することで、前記超音波振動子をスパイラル状に駆動させることを特徴とする請求項3に記載の超音波画像表示装置。
【請求項5】
前記ロータ部の外周面に複数の超音波振動子が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の超音波画像表示装置。
【請求項6】
前記複数の超音波振動子として、照射する超音波の焦点位置が前記透過部材の第1面に設定された高分解能用の第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子よりも分解能が低い第2の超音波振動子とを含み、前記第1信号検出回路は、前記第1の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得し、前記第2信号検出回路は、第2の超音波振動子から照射された超音波の反射波信号を取得することを特徴とする請求項5に記載の超音波画像表示装置。
【請求項7】
前記第1の超音波振動子から照射される超音波は、前記第2の超音波振動子から照射される超音波の周波数よりも高い周波数であることを特徴とする請求項6に記載の超音波画像表示装置。
【請求項8】
超音波を一次元的または二次元的に走査しながら被検査物に照射し、その超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物の超音波画像を表示する超音波画像表示方法であって、
超音波を透過しうる透過部材の第1面に被検査物を密着させ、超音波振動子により、超音波伝達媒体及び前記透過部材を介してその透過部材の第2面側から前記被検査物に超音波を照射するステップと、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号を取得するステップと、
前記被検査物の表面で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物表面の音響パラメータを算出しその音響パラメータに応じた表面画像の画像データを生成するステップと、
前記被検査物の内部で反射した超音波の反射波信号に基づいて、前記被検査物における内部構造に関する内部データを生成するステップと、
前記表面画像の画像データと内部データとに基づいて、前記被検査物の表面画像とその奥行き側の内部構造に関する情報を表示するステップと
を含むことを特徴とする超音波画像表示方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波画像表示装置を備えた内視鏡手術支援システム。
【請求項10】
請求項8に記載の超音波画像表示方法における各ステップをコンピュータにより実行させるための超音波画像表示プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−17988(P2009−17988A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181816(P2007−181816)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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