説明

超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像診断装置

【課題】 四次元パラメトリックイメージングにより、ダイナミックな血流変化、微細な血管構築等の情報を高い視認性を持って簡単に観察可能な超音波診断装置等を提供する。
【解決手段】 造影剤が投入された被検体内の三次元領域を所定期間に亘って超音波で走査し、前記三次元領域に関する超音波データを前記所定期間に亘って取得するデータ取得手段と、前記所定期間内の解析期間に亘る前記三次元領域に関する超音波データを用いて、前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを生成すると共に、前記解析期間についての造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、前記解析期間の前記三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成するボリュームデータ生成手段と、前記第2のボリュームデータと前記第3のボリュームデータとを用いて、投影画像を生成する画像生成手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波造影剤であるマイクロバブルを用いることで、画像診断の対象とされる臓器等の血流動態の時間的な変化を三次元的に映像化することが可能な超音波診断装置等であって、ダイナミックな血流変化、微細な血管構築等の情報を高い視認性を持って簡単に観察可能な超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査が行えるほか、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便である。また、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。特に、近年では、揺動プローブ(一次元に配列された超音波振動子列を機械的に揺動させることで、三次元領域を超音波走査可能なプローブ)或いは二次元アレイプローブ(マトリックス状に配列された超音波振動子列により、三次元領域を超音波走査可能なプローブ)を用いて、リアルタイム三次元走査(「四次元走査」ともいう)も可能になっている。
【0003】
また、近年、静脈投与型の超音波造影剤が製品化されている。超音波画像診断において、この様な造影剤を用いた造影イメージングを行うことで、種々の情報を取得することが可能となっている。例えば、原発性肝癌の場合、動脈相の血流情報や門脈相の血流情報を相補的に用いることで良性悪性の鑑別診断などを行うことができる。また、RFA治療後に造影イメージングを行った場合、焼妁された領域は染影しないことから、効果判定にも応用されている。さらに、心臓および肝臓などの検査で静脈から超音波造影剤を注入して血流信号を増強し、血流動態の評価を行うための撮像方法も提案されている。再還流(replenishment)法、マイクロフローイメージング(Micro Flow Imaging)は、上記血流動態の評価を行うための撮像方法の代表例である。
【0004】
再還流法は、造影剤気泡が崩壊するという特徴を生かし、(a)低音圧照射下でスキャン断面に充満していく気泡の動態を観察し、(b)照射音圧を高音圧に切り替えて、断面内(厳密には照射体積内)の気泡を崩壊させ、(c)再び断面内に流入していく気泡の様子を観察する、という手法である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一般に、造影イメージングの特徴は、カラードプラ等では映像化できない微小血流を映像化できる点にある。一方、微小血流内には、少数のバブルしか存在しない。このため、非定常的に染影する。マイクロフローイメージングは、この様な造影イメージング及び造影剤の特徴を利用して、非定常的に映像化されるバブルを時間方向に重畳表示することで、微小血流構造をより明瞭に映像化する手法である(例えば、特許文献2参照)。マイクロフローイメージングを実行する場合、一定時間、患者は息止め、技師等の検者はプローブを固定しなければならないという制約がある。この制約を緩和する技術として、対象領域の動きを画像処理にて補正する技術も提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
これらの造影イメージングにおいては、例えば、染影の開始時相(すなわちバブルの到達時間に相当)、染影がピークを迎える時相(ピーク時刻)、バブルの到達時刻−ピーク時刻で定義されるWash-In時間、バブルが静脈に流出する時刻−ピーク時刻で定義されるWash-Out時間等のダイナミック情報を、空間的に(すなわち、各位置において)取得する。これらのダイナミック情報は、動画として観察することが好ましい場合がある。例えば肝臓の場合、腫瘍は動脈血で栄養されており、正常実質は門脈血で栄養されている。このため、動画での観察を行えば、腫瘍部への造影剤到達時刻は周囲に比べて早くなり、腫瘍のほうが早く染影し始める様子を視認することができる。
【0007】
その一方で、ダイナミック情報の動画観察は、各位置で時間変化を頭の中で覚える必要があるため、必ずしも客観的であるとは言えない。また、観察に或る程度の時間が必要となってしまうという問題もある。これらの問題の解決するものとして、一枚の二次元画像によってダイナミック情報を観察可能とする二次元パラメトリックイメージング技術が提案されている。この技術では、例えば、各ピクセルにおける輝度の時間変化の最大値をピーク時刻とする、或いはノイズ等の影響を受けないような閾値を設け、その閾値を最初に越えた時刻を到達時刻とする等の計算を行い、時間情報を求める。そして、求めた時間情報の値に応じて、位置毎に色調を変えた二次元画像を表示するというものである。上述のMicro Flow Imagingや動き補正の技術とも組み合わせて使うと効果的であり、今後臨床の現場での利用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−155858号公報
【特許文献2】特開2004−321688号公報
【特許文献3】特願2006−2661
【特許文献4】特許第2714329号公報
【特許文献5】特許第3495710号公報
【特許文献6】特開2009−233408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、二次元パラメトリックイメージングでは、二次元画像データ(断層データ)を用いているため、血流の空間的連続性の表現に限界がある。例えば、断層像に直交する血管は、実質的に点として表示されてしまう等、奥行き方向の構造を持つ血管等を認識することは困難である。
【0010】
一方、血流動態(血流の時間変化)を観察する場合、時相の異なる複数のボリュームデータを観察するとすれば、従来の二次元画像(断層像)の診断時に比べ、観察範囲が1次元増えるため、観察時間が増加し、さらに頭で時間変化情報の構築(記憶)も曖昧になるという問題がある。
【0011】
従って、時系列のボリュームデータを用いたパラメトリックイメージング(四次元パラメトリックイメージング)を行うことが効果的と思われる。しかしながら、到達時間等の時間情報の三次元的映像化法については、これまでに臨床の点おいて効果的な方法が提案されていない。これは、二次元パラメトリックイメージングの手法を単純に三次元的に行うだけでは、奥行き方向に関する時間情報を適切に扱うことができないからである。特に、近年、四次元走査が可能な超音波診断装置においても、造影イメージング機能が導入されてきている。従って、四次元パラメトリックイメージングの手法を確立し、ダイナミックな血流動態の三次元的な観察を可能にすることは、臨床的価値も高く、強く望まれるところである。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、四次元パラメトリックイメージングにより、ダイナミックな血流変化、微細な血管構築等の情報を高い視認性を持って簡単に観察可能な超音波診断装置、超音波画像処理装置及び医用画像診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0014】
一実施形態に係る超音波診断装置は、造影剤が投入された被検体内の三次元領域を所定期間に亘って超音波で走査し、前記三次元領域に関する超音波データを前記所定期間に亘って取得するデータ取得ユニットと、前記所定期間内の解析期間に亘る前記三次元領域に関する超音波データを用いて、前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを生成すると共に、前記解析期間についての造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、前記解析期間の前記三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成するボリュームデータ生成ユニットと、前記第2のボリュームデータと前記第3のボリュームデータとを用いて、投影画像を生成する画像生成ユニットと、を具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、本四次元パラメトリックイメージング機能に従う処理(四次元パラメトリックイメージング処理)の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、所定期間の各時相k(k=1,2,・・・、n)に対応する第1のボリュームデータを概念的に示した図である。
【図4】図4は、あるボクセルについての解析期間に亘るTICの一例を示した図である。
【図5】図5は、解析期間の各時相に対応する複数の第1のボリュームデータを用いた第2のボリュームデータ生成処理を説明するための図である。
【図6】図6は、解析期間の各時相に対応する複数の第1のボリュームデータを用いた第3のボリュームデータ生成処理を説明するための図である。
【図7】図7は、第2、第3のボリュームデータを用いた投影処理を説明するための図である。
【図8】図8は、第2、第3のボリュームデータを用いた投影画像の生成に用いるカラーマップの一例を示した図である。
【図9】図9は、造影剤時間情報の奥行き方向に関する割り当て処理を説明するための図である。
【図10】図10は、造影剤時間情報の奥行き方向に関する割り当て処理を説明するための図である。
【図11】図11は、造影剤時間情報の奥行き方向に関する割り当て処理を説明するための図である。
【図12】図12は、第1、第2又は第3のボリュームデータを分割して複数の投影領域を生成する場合の一例を説明するための図である。
【図13】図13は、第1、第2又は第3のボリュームデータを分割して複数の投影領域を生成する場合の他の例を説明するための図である。
【図14】図14は、第1、第2又は第3のボリュームデータを分割して複数の投影領域を生成する場合の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0017】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置10は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、記憶ユニット29、インターフェースユニット30、ソフトウェア格納ユニット31を具備している。装置本体11に内蔵される超音波送信ユニット21、受信ユニット22等は、集積回路などのハードウェアで構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたソフトウェアプログラムである場合もある。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0018】
超音波プローブ12は、超音波送信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0019】
なお、本超音波装置が具備する超音波プローブ12は、被検体の三次元領域を超音波走査可能なものである。そのため、超音波プローブ12は、振動子をその配列方向の直交方向に沿って機械的に揺動させ、三次元領域を超音波走査する構成、又は二次元的に配列された二次元振動素子を用いて電気的制御により三次元領域を超音波走査する構成等を有する。前者の構成を採用する場合、被検体の三次元的走査は揺動回路(揺動機構)によって行われるため、検査者はプローブ本体を被検体に接触させるだけで、自動的に複数の二次元断層像を取得することができる。制御された揺動速度から断面間の正確な距離も検知できる。また、後者の構成を採用する場合には、原理的には、従来の二次元断層像を取得するのと同じ時間で、三次元領域を超音波走査することができる。
【0020】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむためのトラックボール、各種スイッチ、ボタン、マウス、キーボード等を有している。
【0021】
モニター14は、画像合成ユニット27らのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0022】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。この遅延情報を変化させることで、プローブ振動子面からの送信方向を任意に調整することが可能となる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0023】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0024】
Bモード処理ユニット23は、超音波受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このとき検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また一つの受信データに対して、2つの検波周波数による検波処理を並列に行うことも可能な構成である。それを利用すると一つの受信信号からバブル像と組織像を生成することも可能となる。なお、バブルを映像化する場合は、セカンドハーモニック(2次高調波)を主に映像化することが多い。本Bモード処理ユニット23において処理を受けたデータは、画像生成ユニット25に出力され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像として再構成される。
【0025】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット22から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成ユニット24に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニター14にカラー表示することができる。
【0026】
画像生成ユニット25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。画像生成ユニット24は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。また、画像生成ユニット25は、画像処理装置としての機能を持ち、例えばボリュームデータを構築する場合、三次元領域或いは連続する二次元領域を超音波走査することで得られる走査線信号列を空間的に配置し、座標変換、補間処理等を必要に応じて実行することで、ボリュームデータを構築する。画像生成ユニット25は、得られたボリュームデータを用いてボリュームレンダリングや、空間的MIP等の処理、ボリュームデータ内の任意の断層像を切り出しによるMPR処理、マイクロフローイメージング処理、動き補正処理等を実行し、所定の三次元画像を生成する。なお、本画像生成ユニット25における各種画像処理法等は、ソフトウェア的手法或いはハードウェア的手法のいずれであっても構わない。
【0027】
さらに、画像生成ユニット25は、制御プロセッサ28の制御のもと、後述する四次元パラメトリックイメージング機能に従う所定の処理を実行する。
【0028】
画像メモリ26は、複数フレーム或いは複数ボリューム分の超音波データを一時的に記憶する。
【0029】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0030】
制御プロセッサ(CPU)28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、記憶ユニット29から各種画像処理法を実現するためのプログラム、後述する四次元パラメトリックイメージング機能を実現するためのプログラムを読み出してソフトウェア格納部31上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0031】
記憶ユニット29は、各種スキャンシーケンスを実行するためのプログラム、後述する四次元パラメトリックイメージング機能を実現するための専用プログラム、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。記憶ユニット29のデータは、インターフェースユニット30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0032】
インターフェースユニット30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェースユニット30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0033】
(四次元パラメトリックイメージング機能)
次に、本超音波診断装置1が有する四次元パラメトリックイメージング機能について説明する。この機能は、造影イメージングにおいて、所定期間に亘る前記三次元領域に関する超音波データを用いて、所定期間内の各時相における造影剤(バブル)の空間密度を信号値(輝度値)として反映する第1のボリュームデータを生成する。また、当該所定期間内の各時相毎の第1のボリュームデータを用いて、三次元領域の各位置における造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成する。そして、生成された第2のボリュームデータ及び第3のボリュームデータを用いて、三次元領域の各位置における造影剤特徴量が輝度値により現され、且つ造影剤時間情報が色調で現される三次元画像を生成し、所定の形態で表示するものである。
【0034】
なお、以下の説明においては、説明を具体的にするために、超音波診断装置を用いて四次元パラメトリックイメージング機能を実現する場合を例とする。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば、例えば医用ワークステーションによる超音波画像処理装置(或いは、ビューワ)を用いて、四次元走査によって事前に取得された超音波データを用いても、行うことができる。係る場合には、例えば、図1の点線内の構成を採用することができる。さらに、造影剤を用いる他の医用画像診断装置(X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置等)においても、例えば図1の点線内の構成と実質的に同じ構成を実行することで、四次元パラメトリックイメージング機能を実現することが可能である。
【0035】
図2は、本四次元パラメトリックイメージング機能に従う処理(四次元パラメトリックイメージング処理)の流れを示したフローチャートである。以下、当該フローチャートに示す各ステップにおいて実行される処理の内容について説明する。
【0036】
[患者情報の入力、送受信条件、スキャンシーケンス等の選択:ステップS1]
操作ユニット33を介して患者情報の入力、送受信条件(被走査領域の大きさを決めるための画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0037】
[所定期間に亘るボリュームデータの収集:ステップS2]
次に、送受信制御ユニット31は、被検者の所定部位(診断対象とする血管等)を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査(四次元走査)を所定期間に亘って実行し、当該所定期間内の各時相に対応する三次元超音波データを取得する(ステップS2)。
【0038】
[造影剤の空間密度を表す第1のボリュームデータの生成:ステップS3]
次に、画像生成ユニット25は、取得された三次元超音波データに対して、造影剤からの信号成分に対応するハーモニック成分の抽出処理、座標変換、補間処理等を施し、例えば図3に示すような各時相k(k=1,2,・・・、n)に対応する第1のボリュームデータを生成する(ステップS3)。この第1のボリュームデータは、各時相における造影剤の空間密度(濃度)を信号値(輝度値)で表すものとなっている。従って、時系列の当該第1のボリュームデータを解析することで、被走査領域である三次元領域内の各位置における造影剤密度の時間的変化を把握することが可能である。
【0039】
[造影剤に関する時間情報を示す第2のボリュームデータの生成:ステップS4]
次に、画像生成ユニット25は、所定期間に亘る第1のボリュームデータのうち、解析期間(所定期間のうち、四次元パラメトリックイメージングによる解析対象とする期間)に対応する時相毎の第1のボリュームデータを用いて、造影剤に関する時間情報を示す第2のボリュームデータを生成する(ステップS4)。ここで、造影剤に関する時間情報とは、各位置における造影剤の到達時刻、信号値(又は輝度値)のピーク時刻、Wash-In時間、Wash-Out時間等である。
【0040】
なお、解析期間の開始時刻及び終了時刻は、入力装置13からの操作により任意に設定することが可能である。また、例えば、造影剤タイマーのON時刻、バブルを破壊するバーストの終了時刻、ある対象にバブルが入ってきた(到達した)時刻等を検出し、装置によって自動的に解析期間を開始等するようにしてもよい。
【0041】
また、第2のボリュームデータは、解析期間に対応する複数の第1のボリュームデータと(第1の各ボリュームの時相と一致して)同じ数だけ作成することを前提とする。しかしながら、これに限定されることなく、例えば第2のボリュームデータを単一のボリュームデータとすることも可能である。以下、本ステップにおいて生成される第2のボリュームを造影剤時間情報の種別毎に説明する。
【0042】
(造影剤時間情報を造影剤の到達時刻とする場合)
まず、画像生成ユニット25は、解析期間の各時相に対応する複数の第1のボリュームデータを用いて、各ボクセルについての解析期間におけるTIC(Time Intensity Curve)を生成する。
【0043】
図4は、あるボクセルについての解析期間に亘るTICの一例を示した図である。画像生成ユニット25は、生成された各ボクセルについての解析期間におけるTICを用いて各ボクセルの輝度の時間変化を観察し、図4に示すような予め設定された輝度の閾値を始めて越えた時刻Tarrivedを、ボリュームレートとボリューム数とを用いてボクセル毎に計算する。この計算された時刻をボクセルの値とすることで、第2のボリュームデータを生成することができる。
【0044】
また、解析期間の最初の時相に対応する第1のボリュームデータにおいて、輝度値が最初から閾値を越えているボクセルについては、ボクセル値をゼロまたは値なしとしてもよい。なぜなら、この様なボクセルの輝度値は、バブルからの信号に起因するものではなく、組織からの信号に起因するものが多いからである。
【0045】
この様に、造影剤時間情報が造影剤の到達時刻である場合には、解析期間に対応する複数の第1のボリュームデータと同じ数だけ作成してもよい。しかしながら、例えば解析期間内の最後の時相に対応する第2のボリュームデータが一つあれば、各ボクセルについての解析期間における造影剤到達時刻を把握することができる。
【0046】
(造影剤時間情報を輝度値がピークになるピーク時刻とする場合)
まず、画像生成ユニット25は、解析期間の各時相に対応する複数の第1のボリュームデータを用いて、各ボクセルについての解析期間におけるTIC(Time Intensity Curve)を生成する。次に、画像生成ユニット25は、生成された各ボクセルについての解析期間におけるTICを用いて各ボクセルの輝度の時間変化を観察し、図4に示すように輝度値が最大(ピーク)となる時刻Tpeakをボクセル毎に計算する。この計算された時刻をボクセルの値とすることで、第2のボリュームデータを生成することができる。
【0047】
この様に、造影剤に関する時間情報が、輝度値がピークになるピーク時刻である場合においても、解析期間に対応する複数の第1のボリュームデータと同じ数だけ作成してもよい。しかしながら、到達時刻は一度求まると更新されることはないのに対し、ピーク時間の場合は、例えば図5に示すように時系列で隣り合うボリューム間で輝度値の大小比較演算f(k−1,k)(ただし、k=1,2,・・・、n)を実行し、輝度が過去の最大値を超えるたびに、時間情報も更新されることになる。厳密に言えば、輝度がピークを迎え、Wash-Outする時間まで観察するならば、各ボクセルでピーク時間は一つしかないことになる。従って、例えば解析期間内の最後の時相に対応する第2のボリュームデータが一つあれば、各ボクセルについての解析期間における造影剤の到達時刻を把握することができる。
【0048】
(造影剤時間情報を造影剤のWash-In時間とする場合)
Wash-Inの時間を、図4に示すように、例えばピーク時刻−到達時刻として定義する。係る場合には、解析期間についてのTICを用いて各ボクセルの輝度の時間変化を観察し、輝度値がある閾値を超えた時刻(到達時刻)と最大(ピーク)となる時刻とをボクセル毎に特定し、各ボクセルについてのWash-In時間を計算することができる。この計算された時間(期間)をボクセルの値とすることで、造影剤に関する時間情報を造影剤のWash-In時間とする場合の第2のボリュームデータを、例えば単一のボリュームとして生成することができる。
【0049】
(造影剤に関する時間情報を造影剤のWash-Out時間とする場合)
Wash-Outの時間を、図4に示すように、例えばピークを一度迎えた時刻(ピーク時刻)からTICが所定の閾値以下になる時刻までの期間として定義する。なお、TICは、フィッティング(Fitting)又は平滑化(Smoothing)されていることが好ましい。係る場合には、解析期間におけるTICを用いて各ボクセルの輝度の時間変化を観察し、輝度値が最大(ピーク)となる時刻から所定の閾値以下になる時刻までの時間をボクセル毎に計算する。この計算された時間(期間)をボクセルの値とすることで、造影剤に関する時間情報を造影剤のWash-Out時間とする場合の第2のボリュームデータを、例えば単一のボリュームとして生成することができる。
【0050】
なお、以上述べた各種造影剤に関する時間情報に関する第2のボリュームデータの生成においては、同じボクセルが同位置であるという前提の処理である。しかしながら、実際にはいくらプローブをしっかり保持しようとしても、手が動いてしまったり、患者の呼吸で動いてしまったり、完全に固定しておくことは困難である。そこで、例えば特開2007−330764に記載の動き補正技術を用いて装置が連続するボリューム間の位置ずれを補正することは、実際の検査でこの提案手法を使う場合に、非常に有用である。
【0051】
[各位置の造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータの生成:ステップS5]
次に、画像生成ユニット25は、解析期間に対応する時相毎の第1のボリュームデータを用いて、解析期間における造影剤特徴量を被走査領域の各位置毎に示す第3のボリュームデータを生成する(ステップS5)。ここで、解析期間における造影剤特徴量とは、解析期間での各位置についての信号値(輝度値)の最大値、最小値、平均値等である。
【0052】
例えば、血管形態観察のためにバブルをトレースするために、解析期間における造影剤特徴量として、信号値(輝度値)の最大値を用いる場合を想定する。係る場合には、画像生成ユニット25は、解析期間に対応する時相毎の第1のボリュームデータを用いて、空間的位置が対応する各ボクセルについて、時間方向に最大値を保持(temporal maxhold)を実行することで(例えば図6に示すように時系列で隣り合うボリューム間で輝度値の最大値(大小)比較演算Max(k−1,k)(ただし、k=1,2,・・・、n)を逐次実行し、輝度が過去の最大値を超えるたびに、時間情報を更新することで)、第3のボリュームデータを生成する。
【0053】
なお、この様に信号値(輝度値)の最大値を用いる場合、第3のボリュームデータは、解析期間の最終時相に対応する単一のデータのみであっても良い。しなしながら、最終的な単一のデータのみを採用した場合、最も遅く染まるパフュージョンに最も早く染まる腫瘍血管/動脈血管が埋もれてしまい、血管は良く見えづらくなる可能性がある。従って、第3のボリュームデータは、解析期間の各時相に対応する複数の第1のボリュームデータと同じ数だけ作成することが好ましい。
【0054】
[第2、第3のボリュームデータを用いた投影画像の生成:ステップS6]
次に、画像生成ユニット25は、第2、第3のボリュームデータを用いて投影画像の生成する(ステップS6)。
【0055】
図7は、第2、第3のボリュームデータを用いた投影処理を説明するための図である。また、図8は、当該投影処理において用いられるカラーマップの一例を示した図である。図8のカラーマップは、各画素につき、時間と輝度値(明るさ)とに応じてことなる色調を割り当てるものである。
【0056】
画像生成ユニット25は、第3のボリュームデータに対して、図7に示すように奥行き方向を視線方向とする投影処理を各レイについて実行し、且つ第2のボリュームデータと図8に示すカラーマップとを用いて造影剤時間情報に応じた色調を位置毎に選択することで、三次元領域の各位置における造影剤特徴量が輝度値により現され、造影剤時間情報が色調で現される投影画像(四次元パラメトリックイメージ)を生成する。
【0057】
ここで、投影する範囲において、各視線方向毎に(すなわちレイ毎に)に時間情報は複数存在することになる(言い換えれば、奥行き方向に関する情報が加わることになる)。この様な造影剤に関する時間情報に応じた色相の割り当ては、例えば以下の何れかの実施例に係る手法によって表現することができる。
【0058】
(分散値表示)
本実施例に係る手法は、視線方向に沿って複数存在する時間情報を分散値によって表現するものである。例えば、腫瘍などの血管が入り組んだ部分では、奥行き方向に時間情報は分散が大きい。一方、大きな血管が無く、毛細血管(パフュージョン)がほとんどである部分の場合、時間情報は分散が小さい。すなわち、分散に応じて色を変えることで、染影が均一か不均一か、血管等を多く含むか含まないかなどを表現することが可能である。
【0059】
図9は、ある一つのレイ上に存在する第2のボリュームデータのボクセル値を、視点手前側から奥側にかけてプロットすることで得られるグラフである。本実施例の場合、画像生成ユニット25は、図9に示すように、第2のボリュームデータのボクセルのボクセル値の分散を各レイ毎に計算し、得られた分散値に応じた色調を割り当てる。
【0060】
なお、奥行きの範囲内に例えば他の臓器が入ってしまう場合は、不必要に分散値が大きくなると考えられる。従って、投影範囲の設定は重要であると言える。投影範囲の最適化は、後述する手法によって実現することが可能である。
【0061】
(平均値表示)
本実施例に係る手法は、視線方向に沿って複数存在する時間情報を平均値によって表現するものである。すなわち、画像生成ユニット25は、第2のボリュームデータのボクセルのボクセル値の平均値を各レイ毎に計算し、得られた平均値に応じた輝度値を割り当てる。
【0062】
(到達時刻表示)
本実施例に係る手法は、視線方向に沿って複数存在する時間情報を到達時刻を基準として表現するものである。例えば、画像生成ユニット25は、図10に示すように、到達時刻が最小値(ただし、時間情報=0であるものは除く)となるボクセルを見つけ、その到達時刻で色調を決め、そのボクセルに対応する位置における輝度値を、第1のボリュームデータによって決定することで、投影処理を実行する。
【0063】
(ピーク時刻表示)
本実施例に係る手法は、視線方向に沿って複数存在する時間情報をピーク時刻(最大値)を基準として表現するものである。例えば、画像生成ユニット25は、図11に示すように、ピーク時刻となるボクセルを見つけ、その到達時刻で色調を決め、そのボクセルに対応する位置における輝度値を、第1のボリュームデータによって決定することで、投影処理を実行する。なお、ピーク時刻が複数ある場合には、手前側に位置するボクセルの情報を優先するものとする。
【0064】
(その他)
また、上記各実施例の他、例えば、第3のボリュームデータにおいて奥行き方向に輝度値が最大となるボクセル(或いは最小となるボクセル)を特定し、当該ボクセルの位置に対応する第2のボリュームでのボクセルの時間情報を用いて、色調を選択することも可能である。
【0065】
[投影画像の表示:ステップS7]
生成された投影画像は、画像合成ユニット27において所定の文字情報等と合成され、モニター14に所定の形態で表示される(ステップS7)。
【0066】
次に、本四次元パラメトリックイメージングの変形例について説明する。
【0067】
(変形例1)
本四次元パラメトリックイメージングにおいては、ステップS6の投影処理において、投影処理の対象とする奥行き方向のデータの厚み(投影範囲)を調整することが可能である。例えば、ユーザの指示によって、所望する断層像が表示される。画像生成ユニット25は、奥行き方向に表示された断層像を中心とする所定範囲、表示された断層像から画面奥側に所定範囲、表示された断層像から画面手前側に所定範囲、といった具合に、表示された断層像を基準として奥行き方向に関する厚み(投影範囲)を指定する。なお、この投影範囲は、操作者からのマニュアル操作により、任意に調整することが可能である。
【0068】
この様な構成により、投影範囲を設定可能とすれば、ユーザは非常に簡便に観察範囲を設定でき、描出血管のつながりも、厚みを増やすことで改善される。特に、投影処理において分散表示を採用する場合には、奥行きの範囲内に例えば他の臓器が入ってしまうと、不必要に分散値が大きくなってしまう。従って、本手法を用いて、投影範囲を正確に設定することは効果的である。
【0069】
(変形例2)
本四次元パラメトリックイメージングにおいては、ステップS6の投影処理において、投影処理の対象とするボクセルを造影剤情報に応じて選択する(変更/調整)することが可能である。例えば、第2のボリュームデータに対して閾値処理を施すことにより、造影剤時間情報のうち時間的に早いもの、遅いボクセルを選択的に表示することも可能である。例えば、ユーザからの指示により造影剤時間情報に所定の閾値を設け、これを用いた閾値処理によって必要のないボクセルを除外し、第2のボリュームデータを投影表示することができる。
【0070】
(変形例3)
本四次元パラメトリックイメージングにおいては、ステップS6の投影処理において、投影処理の対象とする奥行き方向のデータの厚み(投影範囲)を、第1、第2、第3のボリュームデータの全範囲を網羅するために、複数設定することも可能である。
【0071】
例えば、第1、第2、第3のボリュームデータを、図12に示すように奥行き方向に対して等幅によってサブボリュームデータVs1〜Vsnに分割し、各サブボリュームデータを投影範囲としてステップS6の投影処理を実行する。サブボリュームの分割幅は、操作者からのマニュアル操作により、任意に設定することが可能である。
【0072】
また、第1、第2、第3のボリュームデータを、図13に示すように奥行き方向に対してそれぞれが任意の幅を持つサブボリュームデータVs1〜Vsnに分割し、各サブボリュームデータを投影範囲としてステップS6の投影処理を実行する。各サブボリュームの幅は、操作者からのマニュアル操作により、任意に設定することが可能である。
【0073】
さらに、第1、第2、第3のボリュームデータを、図14に示すように奥行き方向に対して一部が重複するサブボリュームデータVs1〜Vsnに分割し、各サブボリュームデータを投影範囲としてステップS6の投影処理を実行する。なお、同図の斜線部は、隣り合うサブボリュームの重複領域を示している。重複幅は、操作者からのマニュアル操作により、任意の設定することが可能である。
【0074】
これらの場合、投影画像は各サブボリュームに対応した数だけ生成されることになる。従って、ステップS7においては、各サブボリュームに対応する各投影画像を個別に表示、或いはマルチビュー表示される。
【0075】
この様な構成により、第1、第2、第3のボリュームデータの全体について映像化することができる。このため、画像診断に有益な領域を取りこぼすことなく、四次元パラメトリックイメージングによって映像化することができる。
【0076】
(効果)
以上述べた構成によれば、造影イメージングにおいて、所定期間に亘る前記三次元領域に関する超音波データを用いて、所定期間内の各時相における造影剤(バブル)の空間密度を反映する第1のボリュームデータを生成する。また、当該所定期間内の各時相毎の第1のボリュームデータを用いて、三次元領域の各位置における造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成する。そして、生成された第2のボリュームデータ及び第3のボリュームデータを用いて、三次元領域の各位置における造影剤特徴量が輝度値により現され、且つ造影剤時間情報が色調で現される三次元画像を生成し、所定の形態で表示する。従って、奥行き方向に関する時間情報を適切に扱うことができ、ダイナミックな血流変化、微細な血管構築等の情報を高い視認性を持って簡単に観察することができる。
【0077】
また、時間情報については、到達時刻、ピーク時刻、Wash-In時間、Wash-Out時間等を必要に応じて選択することができる。さらに、また、投影手法については、分散値、到達時刻を基準等を必要に応じて選択することができる。従って、ユーザは状況に応じて所望のパラメータを設定することができ、自由度の高い四次元パラメトリックイメージングを実現することができる。さらに、例えば他の臓器が入らないように投影範囲を調整することで、好適な四次元パラメトリックイメージングを実現することができる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0079】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0080】
(2)上記実施形態においては、ボクセルデータによって構成されるボリュームデータを用いて四次元パラメトリックイメージング処理を実行する例を示した。しかしながら、当該例に拘泥されず、生データによって構成されるボリュームデータを用いて四次元パラメトリックイメージング処理を実行するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0082】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ(CPU)、29…記憶ユニット、30…インターフェースユニット、31…ソフトウェア格納ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤が投入された被検体内の三次元領域を所定期間に亘って超音波で走査し、前記三次元領域に関する超音波データを前記所定期間に亘って取得するデータ取得ユニットと、
前記所定期間内の解析期間に亘る前記三次元領域に関する超音波データを用いて、前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを生成すると共に、前記解析期間についての造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、前記解析期間の前記三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成するボリュームデータ生成ユニットと、
前記第2のボリュームデータと前記第3のボリュームデータとを用いて、投影画像を生成する画像生成ユニットと、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記画像生成ユニットは、前記三次元領域の各位置について、前記造影剤特徴量に応じて異なる輝度値を割り当てると共に前記造影剤時間情報に応じて異なる色調を割り当てることで、前記投影画像を生成する請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画像生成ユニットは、
前記第2のボリュームデータを用いて、各投影方向につき、前記造影剤時間情報の分散値、前記造影剤時間情報の最大値、前記造影剤時間情報の最小値、前記造影剤時間情報の平均値のうちのいずれかを計算し、
前記計算された値に応じて、異なる色調を割り当てる請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記画像生成ユニットは、前記第3のボリュームデータを用いて、各投影方向につき、最大或いは最小の輝度値を有するボクセルを選択し、
前記選択されたボクセルに対応する前記第2のボリュームデータのボクセルを特定し、
前記特定されたボクセルの前記造影剤時間情報に従って、異なる色調を割り当てる請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記ボリュームデータ生成ユニットは、
前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを用いて、前記三次元領域内の各位置の輝度値の時間的変化を計算し、
前記三次元領域内の各位置の信号値の時間的変化を用いて、前記三次元領域内の各位置における造影剤の到達時刻、輝度値が最大値になるピーク時刻、Wash-In時間、Wash-Out時間のいずれかを前記造影剤時間情報とする前記第2のボリュームデータを生成する請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記投影画像を生成する際に用いる少なくとも一つの投影範囲を設定する設定ユニットをさらに具備し、
前記画像生成ユニットは、前記設定された少なくとも一つの投影範囲を用いて、少なくとも一つの前記投影画像を生成する請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記投影画像が複数枚生成された場合には、当該複数の投影画像をマルチビュー表示する表示ユニットをさらに具備する請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
造影剤が投入された被検体内の三次元領域を所定期間に亘って超音波で走査することで取得された前記三次元領域に関する超音波データを記憶する記憶ユニットと、
前記所定期間内の解析期間に亘る前記三次元領域に関する超音波データを用いて、前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを生成すると共に、前記解析期間についての造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、前記解析期間の前記三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成するボリュームデータ生成ユニットと、
前記第2のボリュームデータと前記第3のボリュームデータとを用いて、投影画像を生成する画像生成ユニットと、
を具備する超音波画像処理装置。
【請求項9】
前記画像生成ユニットは、前記三次元領域の各位置について、前記造影剤特徴量に応じて異なる輝度値を割り当てると共に前記造影剤時間情報に応じて異なる色調を割り当てることで、前記投影画像を生成する請求項8記載の超音波画像処理装置。
【請求項10】
前記画像生成ユニットは、
前記第2のボリュームデータを用いて、各投影方向につき、前記造影剤時間情報の分散値、前記造影剤時間情報の最大値、前記造影剤時間情報の最小値、前記造影剤時間情報の平均値のうちのいずれかを計算し、
前記計算された値に応じて、異なる色調を割り当てる請求項9記載の超音波画像処理装置。
【請求項11】
前記画像生成ユニットは、前記第3のボリュームデータを用いて、各投影方向につき、、最大或いは最小の輝度値を有するボクセルを選択し、
前記選択されたボクセルに対応する前記第2のボリュームデータのボクセルを特定し、
前記特定されたボクセルの前記造影剤時間情報に従って、異なる色調を割り当てる請求項9記載の超音波画像処理装置。
【請求項12】
前記ボリュームデータ生成ユニットは、
前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを用いて、前記三次元領域内の各位置の輝度値の時間的変化を計算し、
前記三次元領域内の各位置の信号値の時間的変化を用いて、前記三次元領域内の各位置における造影剤の到達時刻、輝度値が最大値になるピーク時刻、Wash-In時間、Wash-Out時間のいずれかを前記造影剤時間情報とする前記第2のボリュームデータを生成する請求項8乃至11のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項13】
前記投影画像を生成する際に用いる少なくとも一つの投影範囲を設定する設定ユニットをさらに具備し、
前記画像生成ユニットは、前記設定された少なくとも一つの投影範囲を用いて、少なくとも一つの前記投影画像を生成する請求項8乃至12のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項14】
前記投影画像が複数枚生成された場合には、当該複数の投影画像をマルチビュー表示する表示ユニットをさらに具備する請求項13記載の超音波画像処理装置。
【請求項15】
造影剤が投入された被検体内の三次元領域を所定期間に亘って撮像し、前記三次元領域に関する画像データを前記所定期間に亘って取得するデータ取得ユニットと、
前記所定期間内の解析期間に亘る前記三次元領域に関する画像データを用いて、前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを生成すると共に、前記解析期間についての造影剤時間情報を示す第2のボリュームデータと、前記解析期間の前記三次元領域の各位置における造影剤特徴量を示す第3のボリュームデータと、を生成するボリュームデータ生成ユニットと、
前記第2のボリュームデータと前記第3のボリュームデータとを用いて、投影画像を生成する画像生成ユニットと、
を具備する医用画像診断装置。
【請求項16】
前記画像生成ユニットは、前記三次元領域の各位置について、前記造影剤特徴量に応じて異なる輝度値を割り当てると共に前記造影剤時間情報に応じて異なる色調を割り当てることで、前記投影画像を生成する請求項15記載の医用画像診断装置。
【請求項17】
前記画像生成ユニットは、
前記第2のボリュームデータを用いて、各投影方向につき、前記造影剤時間情報の分散値、前記造影剤時間情報の最大値、前記造影剤時間情報の最小値、前記造影剤時間情報の平均値のうちのいずれかを計算し、
前記計算された値に応じて、異なる色調を割り当てる請求項16記載の医用画像診断装置。
【請求項18】
前記画像生成ユニットは、前記第3のボリュームデータを用いて、各投影方向につき、、最大或いは最小の輝度値を有するボクセルを選択し、
前記選択されたボクセルに対応する前記第2のボリュームデータのボクセルを特定し、
前記特定されたボクセルの前記造影剤時間情報に従って、異なる色調を割り当てる請求項16記載の医用画像診断装置。
【請求項19】
前記ボリュームデータ生成ユニットは、
前記解析期間内の各時相における第1のボリュームデータを用いて、前記三次元領域内の各位置の輝度値の時間的変化を計算し、
前記三次元領域内の各位置の信号値の時間的変化を用いて、前記三次元領域内の各位置における造影剤の到達時刻、輝度値が最大値になるピーク時刻、Wash-In時間、Wash-Out時間のいずれかを前記造影剤時間情報とする前記第2のボリュームデータを生成する請求項15乃至18のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置。
【請求項20】
前記投影画像を生成する際に用いる少なくとも一つの投影範囲を設定する設定ユニットをさらに具備し、
前記画像生成ユニットは、前記設定された少なくとも一つの投影範囲を用いて、少なくとも一つの前記投影画像を生成する請求項15乃至19のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置。
【請求項21】
前記投影画像が複数枚生成された場合には、当該複数の投影画像をマルチビュー表示する表示ユニットをさらに具備する請求項20記載の医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−224354(P2011−224354A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68899(P2011−68899)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】