説明

超音波診断装置

【課題】互いに異なる複数モードの信号を同時に取り扱うことを可能とし、しかも低コスト化を図り得る超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブ15をSCW及びBモードで共用し、SCW送信波形発生器11及びB/カラー送信波形発生器12にてSCW,Bモードそれぞれの波形信号を互いに周波数帯域が異なるsin波及びガウス波に変換し超音波プローブ15の外側の素子を利用して送出し、受信時にB/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18にて周波数帯域別に受信信号を抽出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置に関し、特にSCW方式とBモード方式による送受信を同時に行う超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は超音波パルス反射法により、体表から生体内の軟組織の断層像を無侵襲に得る医療用画像機器である。この超音波診断装置は、他の医療用画像機器に比べ、小型で安価、X線などの被爆がなく安全性が高い、血流イメージングが可能等の特長を有し、心臓、腹部、泌尿器、及び産婦人科などで広く利用されている。
【0003】
この種の超音波診断装置では、反射強度の差による信号に基づいて構成される断層像を得る方式であるBモード方式と、ドプラー偏移による反射体の運動方向及び速度を画像化する方式であるSCW方式とがある。このような超音波診断装置では、SCW方式で得られる画像とBモード方式で得られる画像を同時に得ることにより、例えば心臓内部の構造を見ながらSCWで弁の逆流の流速を計測したいという要望が強く望まれている。
【0004】
しかし、SCW方式では送信波を連続して出力し、時系列にサンプリングした受信信号を信号処理することによりドップラ信号を得るために、他のパルス送受信モードと同時に適用することが難しい。
【0005】
そこで、SCW方式の送受信とBモード方式の送受信を同時に行えるようにした超音波診断装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−154145号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記超音波診断装置では、SCW方式の送受信系統と、Bモード方式の送受信系統とが別々に存在することとなる。このため、装置のコストアップを招くことになる。
【0007】
そこで、この発明の目的は、互いに異なる複数モードの信号を同時に取り扱うことを可能とし、しかもSCWの画質を劣化させることなく、低コスト化を図り得る超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。
第1のモード及び第2のモードに対応し、互いに周波数帯域が異なる第1,第2の送信波を発生する信号発生手段と、複数の素子から成り、信号合成手段の出力を超音波として被検体に向けて送出し、超音波の反射波を受信する超音波プローブと、この超音波プローブの略中央に位置する素子で受信された反射波のうちの第1の送信波に対応する成分のみを通過させる第1のフィルタ手段と、反射波のうちの第1のフィルタ手段で通過されない第2の送信波に対応する成分を通過させる第2のフィルタ手段とを具備し、信号発生手段は、超音波プローブの送信開口のうち、略両端の所定の開口に相当する素子に対して、第1の送信波成分を含む超音波を送信させ、所定の開口に相当する素子に対して第2の送信波成分を含む超音波を送信させる送信波形発生器を備えるようにしたものである。
【0009】
この構成によれば、第1,第2のモード兼用の超音波プローブを設け、第1,第2のモードの波形信号を互いに周波数帯域が異なる第1,第2の送信波に変換し超音波プローブの略外側の素子を利用して第1の送信波を送出し、受信時に周波数帯域別に受信信号を抽出するようにしている。従って、第1の波形信号用の超音波プローブ及び第2の波形信号用の超音波プローブを別々に用意する必要がなく、しかも第1及び第2の波形信号を周波数分割多重しているので、相互に影響を及ぼすことなく同時に送信することができ、また第1及び第2の波形信号を同時に受信することができ、これにより安価な装置を提供できる。
【0010】
第1のフィルタ手段を通過した受信波成分を処理する第1の信号処理手段と、第2のフィルタ手段を通過した受信波成分を処理する第2の信号処理手段と、第1の信号処理手段の受信信号をサンプリングする処理タイミングと、第2の送信波の送出タイミングが一致しないように同期させるタイミング制御手段とをさらに備えたことを特徴とする。
この構成によれば、例えばSCW方式の受信信号のサンプリング時に他のモードの送信信号とは異なるタイミングでSCWの受信信号をサンプリングするので、他のモードの送信信号による飽和の影響がある期間を避けてSCW方式の受信信号をサンプリングすることができる。
【0011】
第1及び第2の信号処理手段の各出力をリアルタイムに画像処理して、その処理結果を同一画面に表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする。
この構成によれば、受信した第1及び第2の波形信号を別々に表示するのではなく、第1及び第2の波形信号を同時に表示するようにしているので、表示器を切り替えることなく第1及び第2の波形信号による受信結果を確認できるようになり、これにより例えば心臓内部の構造を見ながらSCWで弁の逆流の流速を計測することができる。
【0012】
記録媒体に画像情報を記録し、該記録媒体に記録された画像情報を再生する記録再生手段をさらに備え、表示手段は、処理結果に加えて、記録媒体に記録された過去の超音波画像も同時に表示することを特徴とする。
この構成によれば、例えばBモード像の表示は通常の場合と比べ、画質を劣化させる制約を受けた場合でも、記録媒体に記録されている過去のBモード像のフリーズ画像を表示画面に表示するようにすれば、画質劣化のない、過去のBモード像のフリーズ画像を同時に参照することができ、被検体の情報を常に確実に確認できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したようにこの発明によれば、互いに異なる複数モードの信号を同時に取り扱うことを可能とし、しかも低コスト化を図り得る超音波診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明に係る超音波診断装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示す装置は、送信系と、受信系とに大別され、それぞれをタイミング制御器28により同期制御する構成となっている。
【0016】
送信系のうちSCW送信波形発生器11は、所定の振動子に印加するための、連続したsin波を発生する。B/カラー送信波形発生器12は、タイミング制御器28からのタイミング信号に基づく一定周期で、SCW方式とは周波数帯域が重複しない、例えばガウス包絡線のパルス波を発生する。
【0017】
これらSCW送信波形発生器11及びB/カラー送信波形発生器12の各出力は、加算回路13にて合成され、任意波形送信回路14にて超音波プローブ15に与えるべく駆動信号に変換された後に、超音波プローブ15に供給される。
【0018】
超音波プローブ15は、図2に示すように、任意波形送信回路14からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体(図示せず)からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧縮振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。この場合、SCWモードの送信波形成分を外側の振動子(図2中プローブエレメント1〜7,n−3〜N)より送信し、中央の振動子で受信した反射波を受信処理する。また、Bモードの送信波形成分を全振動子(図2中プローブエレメント1〜N)より送信し、全振動子で受信した反射波を受信処理する。
【0019】
超音波プローブ15から被検体に送信された超音波パルスは、体内組織や血流等の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ15に受信される。
【0020】
超音波プローブ15で受信されたエコー信号は、受信回路16に供給される。受信回路16は、エコー信号に対して所定の受信処理を施すもので、その出力はB/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18に供給される。
【0021】
B/カラー帯域分離フィルタ17は、受信回路16の出力のうちSCW帯域の信号を十分に減衰させB/カラーの受信信号帯域成分を通過させる特性を持ち、B/カラー受信周波数帯域のみを通してB/カラー受信整相加算回路19に出力する。SCW帯域分離フィルタ18は、受信回路16の出力のうちSCWの信号帯域成分だけを通過させる特性を持ち、SCW受信周波数帯域のみを通してSCW受信整相加算回路20に出力する。
【0022】
B/カラー受信整相加算回路19は、B/カラー受信遅延制御回路21による制御の下、受信信号を整相加算してB/カラー信号処理回路23に出力する。また、SCW受信整相加算回路20は、SCW受信遅延制御回路22による制御の下、受信信号をSCW信号処理回路24に出力する。
【0023】
B/カラー受信遅延制御回路21は、タイミング制御器28からのタイミング信号に基づいて、B/カラー受信整相加算回路19に対しB/カラー帯域分離フィルタ17の出力を整相加算させるための制御信号をB/カラー受信整相加算回路19に送る。また、SCW受信遅延制御回路22は、タイミング制御器28からのタイミング信号に基づいて、SCW受信整相加算回路20に対し整相加算させるための制御信号を送る。
【0024】
B/カラー信号処理回路23は、B/カラー受信整相加算回路19からの出力に対しそれぞれの画像表示モードに必要な検波、圧縮等の信号処理を施して画像信号を生成するもので、この画像信号はB/カラー画像メモリ25及び画像情報加算器26に送られる。
【0025】
SCW信号処理回路24は、タイミング制御器28からのタイミング信号に基づいて、SCW受信整相加算回路20からの出力に対しサンプリング及びドップラ成分を抽出するための信号処理を施して画像信号を生成するもので、そのSCWのサンプリングのタイミングがB/カラー送信波形発生器12の送出タイミングに同期している。この画像信号は画像情報加算器26に送られる。
【0026】
画像情報加算器26は、B/カラー信号処理回路23,SCW信号処理回路24及びB/カラー画像メモリ25の各出力を合成し、その合成信号は表示装置27に送られ、画像表示される。
【0027】
次に、上記構成における処理動作を説明する。
B/カラー送信波形発生器12では、図3(a)に示すようなガウス波を発生し、SCW送信波形発生器11では、図3(b)に示すようなsin波を発生する。これらガウス波及びsin波は、加算回路13にて合成されて図3(c)に示す合成波となり、任意波形送信回路14を介して超音波プローブ15を駆動する送信波形を生成し、超音波プローブ15に送られ、超音波プローブ15によって被検体に向けて超音波パルスが送出される。
【0028】
被検体に当たって反射された超音波パルスのエコー信号は、超音波プローブ15によって順次受信されて受信回路16に送られる。このとき、受信回路16では、SCWとB/カラーの受信信号を同時に受信することになる。この場合、受信系のダイナミックレンジは、それぞれの信号を単独で受信する場合よりも受信信号の振幅範囲が広くなる。そこで、受信回路16の入力でダイナミックレンジ不足を起こさないように、B/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18にて信号を分離し、不要な信号を減衰させるようにしている。
【0029】
このとき、B/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18の各中心周波数は、図4に示すように、Bモードの送信スペクトラム及びSCWモードの送信スペクトラムに合致する周波数に一致させる。これによって、B/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18で分離された受信信号は、SCWとB/カラーで必要な周波数帯域に分離された信号となる。
【0030】
Bモードの送信時に、SCWの受信信号にBの送信波形によるPreamの飽和の影響を受ける。これは、B/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18で除去することが難しいので、Bモードの送信時にSCWの受信サンプリングを行わないようにタイミング制御器28にてSCW信号処理回路24のタイミングを制御することで回避できる。
【0031】
この場合、図5に示すように、Bモードの送受信の繰り返し周波数fbとSCWの受信サンプリング周波数fsの間に制約が必要となる。SCW時に観測する血流速度の範囲により、SCWのサンプリング周波数を選択する必要があるので、表示装置27用に使用するBモードの繰り返し周波数は、SCWの受信サンプリング期間に重ならないように調整することになる。
【0032】
一方で、Bモードの最低周波数は、Bの1枚の画像を構成するフレーム数に依存し、余り低い繰り返し周波数で送受信すると、Bモードのフレーム数が心臓などの生体臓器の動きに追従できなくなり、実用的でなくなる。そこで、血流速度を選択したときに、fsとfbの両者のバランスを取るようなテーブルを用意して、そのテーブルから最適なfsとfbとを選択し、動作させることで、バランスよい設定が可能になる。
【0033】
fsの最大を50kHzとすると、fbにより、fsの選択範囲に制約を受ける。fsを自由に選択するには、逆にfbを調整する必要がある。fs、fbの繰り返し周波数は整数である必要がないが、整数の場合は、図6に示すような組み合わせになり、fbの現実的な数値である3kHz〜5kHzでfsを選択することができる。
【0034】
B/カラー信号処理回路23及びSCW信号処理回路24で生成された各画像信号は、画像情報加算器26で合成されて表示装置27に表示される。このとき、必要に応じて、B/カラー画像メモリ25に格納された過去の画像信号も表示装置27に表示される。
【0035】
すなわち、図7に示すように、表示装置27には、過去画像とBモードのライブ画像とSCWのライブ像が表示される。例えば、心臓のBモード画像を本発明によるBモードのライブ画像と過去画像を同時表示する場合、心電図同期の情報を持つことにより、過去画像とライブ画像の心臓の画像を同じ時相で表示できる。
【0036】
本実施形態では、SCWの送受信帯域に、他のモードの送受信信号が混入すると、SCWのアーチファクトが発生する。すると、Bモード、カラーモードの送受信周波数と帯域が制限される。そこで、このように制限のない状態で、取得した過去画像を表示することで、参照画像の精度を向上させることができる。
【0037】
以上のように上記実施形態では、超音波プローブ15をSCW及びBモードで共用し、SCW送信波形発生器11及びB/カラー送信波形発生器12にてSCW,Bモードそれぞれの波形信号を互いに周波数帯域が異なる信号(例えばsin波及びガウス波)に変換し超音波プローブ15を駆動することにより超音波を送出し、受信時にB/カラー帯域分離フィルタ17及びSCW帯域分離フィルタ18にて周波数帯域別に受信信号を抽出するようにしている。
【0038】
従って、SCW用の超音波プローブ及びBモード用の超音波プローブを別々に用意する必要がなく、しかもSCW及びBモードの波形信号を周波数分割多重しているので、相互に影響を及ぼすことなく同時に送信することができ、またSCW及びBモードの波形信号を同時に受信することができ、これにより安価な超音波診断装置を提供できる。
【0039】
また、上記実施形態では、タイミング制御器28において、SCW信号処理回路24の処理タイミングとB/カラー送信波形発生器12の発生タイミングとを同期させるようにしているので、例えばSCW方式の受信信号のサンプリング時にBモードの送信信号との影響による飽和の影響がある期間を避けてSCW信号処理回路24にてSCW方式の受信信号をサンプリングすることができる。
【0040】
また、上記実施形態では、表示装置27において、受信したSCW及びBモードの波形信号を別々に表示するのではなく、SCW及びBモードの波形信号を同時に表示するようにしているので、表示モードを切り替えることなくSCW及びBモードの波形信号による受信結果を確認できるようになり、これにより例えば心臓内部の構造を見ながらSCWで弁の逆流の流速を計測することができる。
【0041】
さらに、上記実施形態では、B/カラー画像メモリ25に記録された過去の画像信号も表示装置27に同時に表示するようにしているので、例えばBモードの波形信号に画質劣化がある場合に、過去のBモードの波形信号を参照するようにすれば、被検体の情報を常に確実に確認できるようになる。
【0042】
なお、上記実施形態では、Bモード方式とSCW方式とを同時に取り扱う例について説明したが、これに限ることなく、例えば被検体の血流速度を表示するためのカラーモード方式とSCW方式とを同時に取り扱うものであってもよい。また、SCW方式の波形信号と、カラーモードの波形信号、パルスドプラー及び被検体内の音速の非線形現象を利用して2次高調波を表示するためのハーモニックBモードの波形信号を組み合わせた信号とを同時に取り扱うようにしてもよい。
【0043】
また、複数の送信波形を分離する手段として、一方をsin波、他方をガウス変調波形にした場合について説明したが、複数の送信波形の帯域を、お互いに影響しないように帯域分離できる波形の例は他にも存在するが、この場合でも本発明は有効であることは言うまでも無い。例えば、SCWの送信を矩形波にした場合、奇数次の高調波が発生するが、Bモードの送信波形の帯域が、SCWの基本波と3次高調波の間に入る周波数特性を持つ方式が良い例である。
【0044】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に係る超音波診断装置の一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した超音波プローブの詳細を説明するために示す図。
【図3】同実施形態で取り扱うsin波、ガウス波及びこれらの合成波の信号波形図。
【図4】同実施形態で取り扱うBモード方式及びSCW方式の波形信号の送信スペクトラム特性を示す周波数特性図。
【図5】同実施形態において、Bモードの送受信の繰り返し周波数とSCWの受信サンプリング周波数との関係を示す図。
【図6】同じくBモードの送受信の繰り返し周波数とSCWの受信サンプリング周波数との関係を示す図。
【図7】同実施形態における表示装置の表示例を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0046】
11…SCW送信波形発生器、12…B/カラー送信波形発生器、13…加算回路、14…任意波形送信回路、15…超音波プローブ、16…受信回路(Preamp)、17…B/カラー帯域分離フィルタ、18…SCW帯域分離フィルタ、19…B/カラー受信整相加算回路、20…SCW受信整相加算回路、21…B/カラー受信遅延制御回路、22…SCW受信遅延制御回路、23…B/カラー信号処理回路、24…SCW信号処理回路、25…B/カラー画像メモリ、26…画像情報加算器、27…表示装置、28…タイミング制御器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモード及び第2のモードに対応し、互いに周波数帯域が異なる第1,第2の送信波を発生する信号発生手段と、
複数の素子から成り、前記信号発生手段の出力を超音波として被検体に向けて送出し、前記超音波の反射波を受信する超音波プローブと、
この超音波プローブの略中央に位置する素子で受信された反射波のうちの前記第1の送信波に対応する成分のみを通過させる第1のフィルタ手段と、
前記反射波のうちの前記第1のフィルタ手段で通過されない第2の送信波に対応する成分を通過させる第2のフィルタ手段とを具備し、
前記信号発生手段は、前記超音波プローブの送信開口のうち、略両端の所定の開口に相当する素子に対して、第1の送信波成分を含む超音波を送信させ、所定の開口に相当する素子に対して第2の送信波成分を含む超音波を送信させる送信波形発生器を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1のモードはSCWであり、前記第2のモードはBモードであって、
前記信号発生手段は、前記第1の送信波としてサイン波を発生し、前記第2の送信波としてパルス波を発生することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記信号発生手段は、第2のモードとして前記被検体の血流速度を表示するためのカラーモード、パルスドプラーモード及び前記反射波の高調波を受信して表示するためのハーモニックBモードのうち少なくとも2つを組み合わせた信号を発生することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第1のフィルタ手段を通過した受信波成分を処理する第1の信号処理手段と、
前記第2のフィルタ手段を通過した受信波成分を処理する第2の信号処理手段と、
前記第1の信号処理手段の受信信号をサンプリングする処理タイミングと、前記第2の送信波の送出タイミングが一致しないように同期させるタイミング制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の信号処理手段の各出力をリアルタイムに画像処理して、その処理結果を同一画面に表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
記録媒体に画像情報を記録し、該記録媒体に記録された画像情報を再生する記録再生手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記処理結果に加えて、前記記録媒体に記録された過去の超音波画像情報も同時に表示することを特徴とする請求項5記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−55329(P2006−55329A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239475(P2004−239475)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】