説明

超音波霧化装置及び霧化用振動子

【課題】 使用する圧電素子を高い信頼性で保護でき、使用する液体の制限が少ない超音波霧化装置、及びこれに用いる霧化用振動子を提供する。
【解決手段】 超音波霧化装置20は、霧化用振動子10を超音波振動させて、この超音波により液体WTを霧化する。霧化用振動子10は、圧電セラミックスからなる圧電素子11と、この圧電素子11のうち、液体WTに対向する液体対向面17を含む被着面14を被覆した絶縁樹脂膜15と、を有し、液体対向面17が液体WTに対向して、絶縁樹脂膜15が液体WTに接する形態に配置されてなる。絶縁樹脂膜15は、モノマを、圧電素子11の被着面14に堆積させつつ、互いに重合させて樹脂化した、厚み5〜20μmのパラキシリレン系ポリマからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を超音波により霧化する超音波霧化装置、及びこれに用いる霧化用振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧電セラミックスからなる霧化用圧電素子を用いた超音波霧化装置として、室内加湿用の家庭用霧化器や少量の薬液等を霧化する医療用霧化器など様々な用途のものが知られている。例えば、室内加湿用の家庭用霧化器として、水を入れた水槽の底部に圧電素子を取り付けたものが知られている。
このようなものでは、例えば、特許文献1,2に記載されているように、霧化する液体が圧電素子に直接触れないように、ステンレス等の金属板を圧電素子に接着し、この金属板を液体と圧電素子との間に介在させるなどの形態とすることが多い。また、金属板に代えて、フッ素樹脂等の樹脂をコーティングしたり、金属板にさらに油膜を塗布し、樹脂膜を貼り付ける場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−330104号公報
【特許文献2】特開2006−271449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、使用する液体によっては、金属板自身が溶解・腐食する虞もある(例えば、SUS板に次亜塩素酸水を用いる場合)など、用いる金属板の材質によって、使用できる液体の制限がされる場合があった。また、前述の特許文献1,2に記載のような、樹脂のコーティングでは、樹脂層にピンホールができやすく、ここから滲入した液体により、金属板や電極層が腐食する虞があった。また油膜の塗布と樹脂膜の貼り付けでは、これらを強固に保持することができず、超音波振動であるいは手指や工具が触れることで、樹脂膜等がずれたり剥がれたりして、結局、金属板に腐食が生じる虞があるなど、これらの手法でも信頼性が十分でなかった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、使用する圧電素子を高い信頼性で保護でき、使用する液体の制限が少ない超音波霧化装置、及びこれに用いる霧化用振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その解決手段は、霧化用振動子を超音波振動させて、この超音波により上記液体を霧化する超音波霧化装置であって、上記霧化用振動子は、圧電セラミックスからなる圧電素子と、上記圧電素子のうち、上記液体に対向する液体対向面を含む被着面を被覆した絶縁樹脂膜と、を有し、上記液体対向面が上記液体に対向して、上記絶縁樹脂膜が上記液体に接する形態に配置されてなり、上記絶縁樹脂膜は、モノマを、上記圧電素子の上記被着面に堆積させつつ、互いに重合させて樹脂化した、厚み5〜20μmのパラキシリレン系ポリマからなる超音波霧化装置である。
【0007】
本件発明の超音波霧化装置では、霧化用振動子として、圧電素子の被着面上に絶縁樹脂膜を備えたものを用い、しかも、従来のように金属板を介在させず、絶縁樹脂膜が液体に接するようにしている。さらに、この絶縁樹脂膜は、モノマを被着面に堆積、重合させて樹脂化したパラキシリレン系ポリマからなる。
このようにして形成したパラキシリレン系ポリマからなる絶縁樹脂膜には、ピンホールが無い。このため、絶縁樹脂膜に接した液体がこの絶縁樹脂膜を通って圧電素子(その電極層)にまで滲入することがない。また、密着強度が高く、超音波振動によって、あるいは手指や工具が触れることによって絶縁樹脂膜が剥がれることもない。さらに、パラキシリレン系ポリマは、耐薬品性が高く、多くの薬液に対して安定であるため、超音波霧化装置で使用する液体の制限を低減できる。
【0008】
なお、パラキシリレン系ポリマとしては、パリレン(登録商標)が挙げられる。また、モノマを、霧化用振動子の被着面に堆積させつつ、互いに重合させて樹脂化して、パラキシリレン系を形成するには、例えば、キシリレンモノマの二量体(ダイマ)を真空中で加熱し、熱分解させて気化したモノマを得、これを圧電素子にまで導いて、その表面上に堆積させ、モノマ同士を重合させ、樹脂化するとよい。
【0009】
さらに、上述の超音波霧化装置であって、前記圧電素子は、板状で、第1主面、第2主面及びこれらの間を結ぶ側面を有する圧電セラミックス板と、上記第1主面上に拡がる第1電極層であって、上記側面を経由して上記第2主面にまで延びる第1電極層と、上記第2主面において、上記第1電極層と離間しつつ、この第2主面上に拡がり、上記第1主面上の上記第1電極層と上記圧電セラミックス板を介して対向する第2電極層と、を有し、前記絶縁樹脂膜は、上記第1主面、上記側面、及び、これらに形成された上記第1電極層がなす前記被着面を被覆してなり、上記第1主面を前記液体に向けて、上記圧電素子を配置してなる超音波霧化装置とすると良い。
【0010】
本発明の超音波霧化装置において、圧電素子の第1電極層は、圧電セラミックス板の第1主面から第2主面まで延びている。このため、第2主面には、第1電極層(の一部)と第2電極層の両者が配置されている。その一方、絶縁樹脂膜が、被着面をなす第1主面、側面、これらに形成された第1電極層を被覆している。
このため、第1主面を確実に絶縁樹脂膜で覆う一方、第1電極層及び第2電極層への電気的接続は、第2主面上で容易に行うことができる。
【0011】
さらに、上記いずれかに記載の超音波霧化装置であって、前記圧電セラミックス板は、前記第1電極層と前記第2電極層との間に、周波数1〜5MHzの電気信号を加えたとき、厚み方向に共振する寸法にされてなる超音波霧化装置とするのが好ましい。
このような高周波(1〜5MHz)の超音波を液体に加えることにより、直径が極めて小さい(例えば、3μmφ程度)液滴を容易に発生させることができる。
【0012】
さらに、上述のいずれかに記載の超音波霧化装置であって、前記液体は、次亜塩素酸水であり、上記液体の触れる部材を、次亜塩素酸水に対して耐性を有する材料で構成してなる超音波霧化装置とすると良い。
【0013】
次亜塩素酸水は、ノロウィルスなどのウィルスやO157などの細菌の消毒のために用いられる薬剤である。
しかしながら、次亜塩素酸水は酸性を示し、金属を腐食しやすい。前述したように、従来、霧化用振動子に金属板を接着し、この金属板を液体に接するようにして用いる超音波霧化装置が知られているが、金属板にSUSを用いた場合でも、液体に次亜塩素酸水を用いた場合には、そのpHなどによっては、短時間でSUS板が腐食され使用困難となる場合がある。次亜塩素酸水によるSUS板の腐食が、超音波振動により促進されるためであると考えられる。従って、次亜塩素酸水の霧化を、長期に亘って可能とする超音波霧化装置が求められていた。
【0014】
これに対し、本発明の超音波霧化装置では、SUSなどの金属板を用いること無く、圧電素子と液体(次亜塩素酸水)との間には、パラキシリレン系ポリマからなる絶縁樹脂膜が介在し、この絶縁樹脂膜が液体(次亜塩素酸水)と接している。このため、従来のように金属板が腐食することがない。しかも前述したようにピンホールが無いため、次亜塩素酸水がこの絶縁樹脂膜に滲入することがないので、圧電素子に形成した電極層が腐食することも防止できる。
さらに、本発明の超音波霧化装置では、液体の触れる部材を、次亜塩素酸水に対して耐性を有する材料で構成してなるので、各部材が次亜塩素酸水に接触して腐食することがない。かくして、次亜塩素酸水に触れる、霧化用振動子及び他の部材について腐食することなく使用することができるから、次亜塩素酸水の霧化を長期に亘って行うことができる。
なお、次亜塩素酸水に対して耐性を有する材料としては、例えば、ABS,PP,PEなどのプラスチックが挙げられる。
【0015】
他の解決手段は、超音波霧化装置に用いる霧化用振動子であって、圧電セラミックスからなる圧電素子と、上記圧電素子のうち、霧化する液体に対向する液体対向面を含む被着面を被覆した絶縁樹脂膜と、を有し、上記絶縁樹脂膜は、モノマを、上記圧電素子の上記被着面に堆積させつつ、互いに重合させて樹脂化した、厚み5〜20μmのパラキシリレン系ポリマからなる霧化用振動子である。
【0016】
本件発明の霧化用振動子は、圧電素子の被着面上に、液体に接する絶縁樹脂膜を備える。さらに、この絶縁樹脂膜は、モノマを被着面に堆積、重合させて樹脂化したパラキシリレン系ポリマからなる。
このようにして形成したパラキシリレン系ポリマからなる絶縁樹脂膜には、ピンホールが無い。このため、絶縁樹脂膜に接した液体がこの絶縁樹脂膜を通って圧電素子(その電極層)にまで滲入することがない。また、密着強度が高く、超音波振動によって、あるいは手指や工具の接触によって絶縁樹脂膜が剥がれることもない。さらに、パラキシリレン系ポリマは、耐薬品性が高く、多くの薬液に対して安定であるため、この霧化用振動子を用いた超音波霧化装置で使用する液体の制限を低減できる。
【0017】
さらに、上述の霧化用振動子であって、前記圧電素子は、板状で、第1主面、第2主面及びこれらの間を結ぶ側面を有する圧電セラミックス板と、上記第1主面上に拡がる第1電極層であって、上記側面を経由して上記第2主面にまで延びる第1電極層と、上記第2主面において、上記第1電極層と離間しつつ、この第2主面上に拡がり、上記第1主面上の上記第1電極層と上記圧電セラミックス板を介して対向する第2電極層と、を有し、前記絶縁樹脂膜は、上記第1主面、上記側面、及び、これらに形成された上記第1電極層がなす前記被着面を被覆してなる霧化用振動子とすると良い。
【0018】
本発明の霧化用振動子において、圧電素子の第1電極層は、圧電セラミックス板の第1主面から第2主面まで延びている。このため、第2主面には、第1電極層(の一部)と第2電極層の両者が配置されている。その一方、絶縁樹脂膜が、第1主面、側面、及びこれらの形成された第1電極層を被覆している。
このため、第1主面を確実に絶縁樹脂膜で覆う一方、第1電極層及び第2電極層への電気的接続は、第2主面上で容易に行うことができる。
【0019】
さらに、上記いずれかに記載の霧化用振動子であって、前記圧電セラミックス板は、前記第1電極層と前記第2電極層との間に、周波数1〜5MHzの電気信号を加えたとき、厚み方向に共振する寸法にされてなる霧化用振動子とするのが好ましい。
このように高周波で共振する霧化用振動子を用いれば、直径の極めて小さい(例えば、3μmφ程度)の液滴を容易に発生できる超音波霧化装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態にかかる霧化用振動子の縦断面図である。
【図2】実施形態にかかる超音波霧化装置の構造および使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を、図1,図2を参照して説明する。
図1に示す、本実施形態の霧化用振動子10は、圧電素子11と、これに被着された絶縁樹脂膜15とからなる。このうち、圧電素子11は、円板形状で、圧電セラミックスからなる圧電セラミックス板12、この圧電セラミックス板12の一方の主面である第1主面12A上に形成された第1電極層13A、及び、他方の主面である第2主面12B上に形成された第2電極層13Bを有している。なお、第1電極層13Aは、圧電セラミックス板12の第1主面12A上に拡がるほか、側面12Cを経由して第2主面12B上にまで延びている。このため、第2主面12B上には、第2電極層13Bが拡がるほか、第1電極層13Aも形成されている。
【0022】
また、絶縁樹脂膜15は、圧電セラミックス板12の第1主面12A及び側面12Cを覆うように形成されている。さらに詳細には、第1主面12A及び側面12Cのほか、第1主面12A上と側面12C上とに形成された第1電極層13Aの上面13A1を被着面14として、この被着面14上に形成されている。なお、後述するように、被着面14の中央部分が、液体WTに対向する液体対向面17となる。
【0023】
この絶縁樹脂膜15は、パラキシリレン系ポリマからなる。この絶縁樹脂膜15は、以下のようにして形成する、即ち、キシリレン系モノマの二量体(ダイマ)を、真空中で加熱して熱分解させて、気化したキシリレンモノマを生成し、これを圧電素子11にまで導いて、その被着面14上に堆積させる。すると、堆積したキシリレンモノマ同士が互いに重合して樹脂化し、パラキシリレン系ポリマとなる。なお、その厚みを15μmとした。
なお、絶縁樹脂膜15の厚みは、5μm以上とするのが好ましい。5μmを下回ると、膜性能が低下するからである。一方、厚みを20μm以下とするのが好ましい。厚みを20μmを越えて増しても、特性の向上が見込めず、コストアップとなるからである。
【0024】
ついで、この霧化用振動子10を用いた超音波霧化装置20について、図2を参照して説明する。この超音波霧化装置20は、主として、ABS樹脂からなり、液体WT(本実施形態では、次亜塩素酸水)を収容する液体容器21と、前述の霧化用振動子10と、これを駆動する駆動回路25とからなる。
このうち、液体容器21の底部21Bには、開口が設けられている。この容器21内において、開口21Hには、同じくABS樹脂からなり、中空で、外形が円錐台形状のホーン22が取り付けられている。一方、容器21の下面21K側(図2において下方)には、周縁を絶縁ゴムからなる振動子保持具23で挟持された霧化用振動子10が配置されており、コ字状の振動子固定具24で振動子保持具23を液体容器21に固定することによって、霧化用振動子10も容器21に固定されている。
【0025】
なお、この霧化用振動子10と振動子保持具23は、両者で、開口21Hを下面21K側から、液密に閉塞する形態に配置されている。また、霧化用振動子10の下面10K側から、2本のリード線LWが取り出されている。各リード線LWの一方端は、具体的には、第2主面12Bに形成された第2電極層13B、およびこの第2主面12Bまで延ばされた第1電極層13Aにそれぞれ接続している。一方、リード線LWの他方端は、それぞれ駆動回路25に接続されている。
さらに、霧化用振動子10、振動子固定具24、駆動回路25は、液体容器21と筐体27とで構成される空間内に収容されている。このため、これらは、液体WT(霧WK)から隔離されている。
【0026】
そして、駆動回路25で発生する2.4MHzの高周波電圧を、リード線LWを通じて霧化用振動子10(圧電素子11)に印加すると、圧電素子11が共振して超音波振動して、これに接する液体WT中に超音波が放射される。放射された超音波は、開口21H及びホーン22を通じて、図中上方に放出され、液体WTが盛り上がって液柱WCを生じさせる。そしてその先端では、液体WTの一部が霧化されて霧WK(液滴)となって放出される。
ここで、高周波電圧の周波数を、2.4MHzとした。このため、霧(液滴)WKの粒径を、3μm程度のごく小さなものとし、これを安定して発生させることができる。
【0027】
ところで、本実施形態の超音波霧化装置20では、図1を参照すると容易に理解できるように、霧化用振動子10(圧電素子11)は、第1電極層13Aの上面13A1(被着面14)のうち、振動子保持具23より内側の中央部分である液体対向面17が、液体WTと対向している。そしてこの液体対向面17と、液体WTとの間に、絶縁樹脂膜15が介在し、この絶縁樹脂膜15が液体WTに接している。
【0028】
この絶縁樹脂膜15は、前述のように、溶剤等を用いることなく、真空中でモノマを堆積させこれを重合して形成するので、この絶縁樹脂膜15自身にピンホールが形成され難い。このため、この絶縁樹脂膜15に接した水や次亜塩素酸水などの液体WTが、この絶縁樹脂膜15を通って圧電素子11の第1電極層13Aにまで滲入し、これを腐食したり絶縁を低下させるなどの不具合を生じさせることがない。また、絶縁樹脂膜15(パラキシリレン系ポリマ)は、圧電セラミックス板12や第1電極層13Aとの密着強度が高く、霧化用振動子10を超音波振動させても、これによって絶縁樹脂膜15が剥がれることもない。
【0029】
さらに、本実施形態の霧化用振動子10には、従来のように、金属板や接着層を備えない。このため、この超音波霧化装置20において、液体WTが無くなって空炊き(無負荷駆動)状態となっても、接着層が剥がれるなどの不具合を生じることもない。また、空炊きの場合、金属板等の無い分、負荷が小さく、圧電素子11の昇温も抑えられ、その劣化を抑制することができる。
また、絶縁樹脂膜15(パラキシリレン系ポリマ)は、次亜塩素酸水をはじめとして、各種の耐薬品性の高く、多くの薬液に対して安定である。このため、本実施形態では、液体WTとして、次亜塩素酸水を用いているが、長期間(例えば数1000時間)に亘って安定して霧化を行うことができるなど、この超音波霧化装置20で使用する液体WTの制限を低減できる。さらに、金属板を用いないので、圧電素子11から見た負荷が軽いため、効率よく液体WTを霧化することができるから、霧化量を向上させた超音波霧化装置となる。
しかも、超音波霧化装置20では、液体WTが触れる液体容器21、ホーン22についても、次亜塩素酸水に耐性を有する材質(ABS樹脂)で構成したので、これらが腐食して不具合を生じさせることもない。
【0030】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、ホーン22を用いた例を示したが、用いなくとも良い。また、容器21に液体WTを収容して、この液体WTを霧化する形態の超音波霧化装置20を示したが、例えばスポンジやメッシュを用いて液体を供給し、これを霧化用振動子で霧化する形態としても良い。また、霧化用振動子10として、単板の圧電セラミックス板12からなる圧電素子11を用いた例を示した。しかし、積層型の圧電素子を用いても良い。
【符号の説明】
【0031】
10 霧化用振動子
10K 下面
11 圧電素子
12 圧電セラミックス板
12A 第1主面
12B 第2主面
12C 側面
13A 第1電極層
13A1 (第1電極層の)上面
13B 第2電極層
14 被着面
15 絶縁樹脂膜
17 液体対向面
20 超音波霧化装置
21 液体容器
21B (液体容器の)底部
21H 開口
22 ホーン
22H ホーン開口
23 振動子保持具
24 振動子固定具
25 駆動回路
27 筐体
WT 霧化用液体
WC 液柱
WK 霧(霧化された液体)
LW リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化用振動子を超音波振動させて、この超音波により上記液体を霧化する超音波霧化装置であって、
上記霧化用振動子は、
圧電セラミックスからなる圧電素子と、
上記圧電素子のうち、上記液体に対向する液体対向面を含む被着面を被覆した絶縁樹脂膜と、を有し、
上記液体対向面が上記液体に対向して、上記絶縁樹脂膜が上記液体に接する形態に配置されてなり、
上記絶縁樹脂膜は、
モノマを、上記圧電素子の上記被着面に堆積させつつ、互いに重合させて樹脂化した、厚み5〜20μmのパラキシリレン系ポリマからなる
超音波霧化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波霧化装置であって、
前記圧電素子は、
板状で、第1主面、第2主面及びこれらの間を結ぶ側面を有する圧電セラミックス板と、
上記第1主面上に拡がる第1電極層であって、上記側面を経由して上記第2主面にまで延びる第1電極層と、
上記第2主面において、上記第1電極層と離間しつつ、この第2主面上に拡がり、上記第1主面上の上記第1電極層と上記圧電セラミックス板を介して対向する第2電極層と、を有し、
前記絶縁樹脂膜は、
上記第1主面、上記側面、及び、これらに形成された上記第1電極層がなす前記被着面を被覆してなり、
上記第1主面を前記液体に向けて、上記圧電素子を配置してなる
超音波霧化装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の超音波霧化装置であって、
前記液体は、次亜塩素酸水であり、
上記液体の触れる部材を、次亜塩素酸水に対して耐性を有する材料で構成してなる
超音波霧化装置。
【請求項4】
超音波霧化装置に用いる霧化用振動子であって、
圧電セラミックスからなる圧電素子と、
上記圧電素子のうち、霧化する液体に対向する液体対向面を含む被着面を被覆した絶縁樹脂膜と、を有し、
上記絶縁樹脂膜は、
モノマを、上記圧電素子の上記被着面に堆積させつつ、互いに重合させて樹脂化した、厚み5〜20μmのパラキシリレン系ポリマからなる
霧化用振動子。
【請求項5】
請求項4に記載の霧化用振動子であって、
前記圧電素子は、
板状で、第1主面、第2主面及びこれらの間を結ぶ側面を有する圧電セラミックス板と、
上記第1主面上に拡がる第1電極層であって、上記側面を経由して上記第2主面にまで延びる第1電極層と、
上記第2主面において、上記第1電極層と離間しつつ、この第2主面上に拡がり、上記第1主面上の上記第1電極層と上記圧電セラミックス板を介して対向する第2電極層と、を有し、
前記絶縁樹脂膜は、
上記第1主面、上記側面、及び、これらに形成された上記第1電極層がなす前記被着面を被覆してなる
霧化用振動子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−36771(P2011−36771A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185303(P2009−185303)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【特許番号】特許第4512850号(P4512850)
【特許公報発行日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】