説明

超高繊度のラミー布帛および布帛の製造方法

【課題】ラミー繊維の低い生産性や、製品品質の不安定さといった要因から不可能であった、超高繊度なラミー布帛を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明による製造方法は、ヤーンを形成するために水溶性繊維をキャリヤとして用いることによって、2500番手以上のラミー繊維を混紡する段階と、ヤーンを低温でサイジング処理し、その後にヤーンを製織し生機を製造する段階と、160番手以上の繊度を有するラミー繊維を得るために、プリント工程や染め工程の後の仕上げ工程の間に、生機を減量加工することによって、水溶性繊維を生機から取り除く段階とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミー布帛の製造方法、および、ラミー布帛、特に160番手(メートル番手)以上の繊度を有する超高繊度のラミー布帛、および、特に超高繊度のラミー布帛の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラミーは、中国を原産とする特有の植物であり、中国産出のラミーの総生産高が、全世界の90%を占める。ラミー繊維は、高い吸湿性や、高速の放熱性、耐腐食性、細菌抑制、弱光沢性、リサイクル可能性、環境に優しい等のほか、優れた着心地といった有利な特徴を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的なラミー布帛は、粗い自然素材であって、36番手以下の布帛である。そして、ラミー布帛の低い生産性や、製品品質の不安定さといった要因から、従来の製造方法によって60番手以上のラミー布帛を製造することは、困難であった。したがって、高付加価値のラミー製品、特に、超高繊度な薄生地の純ラミー製品の開発や、ラミー製品の品質の改善における問題の解決が喫緊の課題となっている。そして、これらに関する全面的且つシステマティックな研究が、必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る一実施形態は、超高繊度なラミー布帛、特に純ラミー布帛の製造方法を提供するものであって、以下の段階を備える。まず、約2500番手以上のラミー繊維のような、高繊度のラミー繊維と、ヤーン形成のためのキャリヤとしての水溶性繊維とを混紡する。次いで、低温においてヤーンをサイジング処理する。次いで、生機を形成するためにヤーンを製織する。そして、約160番手以上の繊度を有する超高繊度ラミー布帛を生産するために、プリント工程や染め工程後の仕上げ工程の間に、生機を減量加工することによって、水溶性繊維を生機から取り除く。
【0005】
一実施形態において、水溶性繊維は、約6000番手以上であって、より好ましくは、約6000番手から約8000番手の間である。
【0006】
本発明に用いられる水溶性繊維は、特に限定されるものではなく、ポリ繊維(ポリビニールアルコール繊維:ビニロン)、アルギン酸繊維、カルボキシメチルセルロース繊維等から、一種類または複数種類の水溶性繊維が選択されることも可能である。好ましくは、水溶性繊維は、約95℃以下の水溶解温度を有し、さらに好ましくは、水溶性繊維は、非アセタール化ビニロンのような、約85℃から約95℃の間の水溶解温度を有する水溶性繊維である。
【0007】
本発明において用いられる“混紡”は、“キャリヤ紡績”または“マトリックス紡績”としても知られているが、特に、製糸するために一種類または複数種類の水溶性繊維がキャリヤとして用いられ、ラミー繊維と混紡される技術について言及している。そして、水溶性繊維は、プリント工程や染め工程後における仕上げ工程において、ラミー繊維のみが残留するように、水への溶解によって取り除かれる。
【0008】
一実施形態において、ラミー繊維とキャリヤとしての水溶性繊維との混紡段階において、ラミー繊維と水溶性繊維との混紡糸を形成するために、ラミー繊維と水溶性繊維は、前練条工程、練条工程、粗紡工程、精紡工程等といった各段階を経る。
【0009】
一実施形態において、水溶性繊維に対するラミー繊維の乾燥重量における混紡糸の混紡率は、約20〜70:約80〜30である。より好ましくは、混紡率は、約30〜60:約70〜40であり、さらに好ましくは、混紡率は、約30〜50:約70〜50である。すなわち、混紡糸におけるラミー繊維の含有量は、混紡糸の乾燥重量を基準として、約20〜70重量%である。より好ましくは、混紡糸におけるラミー繊維の含有量は、約30〜60重量%であり、さらに好ましくは、約30〜50重量%である。また、混紡糸における水溶性繊維の含有量は、混紡糸の乾燥重量を基準として、約80〜30重量%である。より好ましくは、水溶性繊維の含有量は、約70〜40重量%であり、さらに好ましくは、約70〜50重量%である。
【0010】
好ましい一実施形態において、練条段階は、前練条工程を経た水溶性繊維およびラミー繊維を、四つ以上の経路を用いて、四回以上の回数で延伸させることによって実行される。そして、約8〜10の総ドラフト比が導入される。
【0011】
その他の好ましい実施形態において、粗紡段階は、二つの経路を有する粗紡工程を用いることによって実現され、約7〜9.5の総ドラフト比が導入される。
【0012】
その他の好ましい実施形態において、精紡段階は、約10〜40の総ドラフト比、100〜130の撚係数、そして800〜1200T/mの撚度を有する。
【0013】
一実施形態において、生機を形成するための製織段階は、工程設計の要求に適合するラミー繊維と水溶性繊維の混紡生機を形成するために、以下の各工程を備える。すなわち、製織段階は、エアスプライサーと電動式ヤーンクリアラーを有する巻き取り装置を用いてラミー繊維と水溶性繊維の混紡糸を巻き取り、大型のヤーンボビンを形成するための巻き取り工程と、整経工程と、低温でのサイジング処理工程と、製織工程とを備える。
【0014】
本発明において、低温でのサイジング処理段階は、従来のサイジング処理温度より低い温度、例えば、95℃以下の温度、特に80℃以下の温度において実現することが可能である。なぜならば、サイジング処理温度は、水溶性繊維の水溶解温度を超えるべきではなく、そうでない場合、水溶性繊維は、一部または全部が溶解によって取り除かれることとなる。
【0015】
さらに、本発明における低温でのサイジング処理段階に用いられるサイジング剤溶液は、ポリビニルアルコール(PVA)や、加工澱粉、アクリルサイジング剤を含む。そして、特に、本発明におけるサイジング剤溶液は、5〜20g/LのPVAと、10〜25g/Lの多成分加工澱粉複合物(たとえばK‐2000)、30〜40g/Lの酸化澱粉(たとえばD‐150A)、および1〜8g/Lのアクリル系サイジング剤(たとえばLMA‐2050)を含むことが望ましい。
【0016】
したがって、本発明における低温でのサイジング処理段階は、“小張力、低粘度、適度な圧力、低速度”が導入されるサイジング処理工程である。張力や、粘度、圧力、および速度は、前述の温度やサイジング剤溶液に基づいた簡単な実験を通して、この分野に関する通常の知識を有する者によって、求められる要求に従い決定することができる。
【0017】
従来のサイジング処理技術と比較して、上記の実施形態における低温でのサイジング処理段階は、サイジング処理後の混紡糸がより改善された繊維の凝集力を有することを可能とする。さらに、上記の実施形態におけるサイジング処理段階は、ヤーン強度および集束性能、同様に製織性に優れ、割れや縦糸切れを有意義に減少させることができる。
【0018】
一実施形態において、プリント工程や染め工程後の仕上げ工程は、回転および縫製工程と、毛焼き工程と、減量工程と、漂白工程と、ホワイトニング工程と、柔軟工程と、幅出し工程と、巻き取り工程とを含む。
【0019】
減量段階において、サイジング剤溶液および水溶性繊維は完全に取り除かれる。より好ましくは、減量段階は、ジェットオーバーフロー染色機において、アルカリ性の糊抜き剤および精錬剤溶液を用いることによって、なま糸に含まれる水溶性繊維およびサイジング剤溶液を完全に取り除く工程を含む。ある特定の実施形態において、減量段階は、毛焼き加工が施された繊維をジェットオーバーフロー染色機に設置する工程と、110℃〜120℃に温度を上昇させる工程と、15〜20分間温度を維持する工程と、アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液槽において繊維を洗浄する工程と、90℃以上の温度の熱水を用いて、二回各10分間で洗浄する工程と、冷水で一度洗浄する工程と、繊維を排出する工程とを含む。
【0020】
ある特定の実施形態において、アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液は、1〜5g/Lの水酸化ナトリウムや、0.2〜1.5g/Lの炭酸ナトリウム、1〜5g/Lの亜硫酸ナトリウム、0.2〜1.5g/Lの非イオン界面活性剤ペレガル‐オー(Peregal‐O)を、純水一リットルに対して加えることによって用意される。
【0021】
一実施形態において、アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液の浴比は、1:20である。
【0022】
本発明において、回転および縫製工程、毛焼き工程、減量工程、漂白工程、ホワイトニング工程、軟化工程、幅出し工程、そして巻き取り工程の各段階は、これらが本発明の目的を実現することが可能である範囲内において、特に限定されるものではない。これらの段階は、従来のプリント工程や染め工程後の仕上げ工程に採用されている段階と同様であってもよい。また、必要であれば、この分野に関する通常の知識を有する者によって、これらの段階に修正が加えられてもよい。
【0023】
本発明に係る製造方法において、いくつかの特定の段階が上記のように述べられているが、本発明に係る製造方法は、前述の各段階のみを含む工程に限定されない。逆に、必要であるならば、本発明においてより高い効果を得るために、この分野に関する通常の知識を有する者によって、各段階の追加や修正、または削除が行われてもよい。また、これらは、所定の限定的な実験を通し、この分野に関する通常の知識を有する者によって達成されることが可能であり、本発明の精神や範囲から逸脱するものではない。
【0024】
したがって、さらに具体的にいえば、本発明に係る製造工程は、以下の各段階を備えることが可能である。すなわち、ラミー繊維と水溶性繊維の前練条工程→練条工程→粗紡工程→精紡工程→巻き取り工程→整経工程→サイジング処理工程→製織工程→生機の仕上げ加工→回転および縫製工程→毛焼き工程→減量工程→漂白工程→乾燥工程→柔軟工程とホワイトニング工程→幅出し工程と設置工程→前収縮工程→ローリング工程である。
【0025】
本発明に係るその他の実施形態において、上記の混紡糸は、一種類以上の種類の非水溶性繊維と追加的に混紡されることも可能である。そして、上記の工程によって生機に製織されてもよい。そこで、ラミー繊維と一種類または複数種類の非水溶性繊維との混紡糸を得るために、水溶性繊維は、仕上げ段階において取り除かれる。そして、ラミー繊維は、160番手以上の番手の繊度を有する。追加で加えられた非水溶性繊維は、この分野の技術において製織工程に有効である如何なる繊維であってもよい。それは、天然繊維または合成繊維であってもよい。天然繊維の例としては、コットン繊維、麻繊維、ウール繊維、絹繊維等がある。合成繊維の例としては、ビスコース繊維、テリレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタンゴム繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維等がある。追加の非水溶性繊維の仕様は、特に限定されるものではなく、必要であれば、この分野に関する通常の知識を有する者によって、所定の実験を通し、決定されることが可能である。さらに、一種類または複数種類の非水溶性繊維に対するラミー繊維の混紡率に関しては、特に限定があるわけではなく、特定の適用に係る要求に基づいて、この分野に関する通常の知識を有する者によって決定されることが可能である。
【0026】
本発明は、さらに、上記の製造方法によって製造されたラミー布帛を提供する。そして、そのラミー布帛に用いられるラミー繊維は、160番手以上の繊度、より好ましくは160〜500番手、さらに好ましくは300番手の繊度を有する。
【0027】
好ましい一実施形態において、本発明は、上記の製造工程によって製造された純ラミー布帛を提供する。そして、そのラミー布帛に用いられるラミー繊維は、160番手以上の繊度、好ましくは160〜500番手、さらに好ましくは300番手の繊度を有する。
【0028】
その他の好ましい一実施形態において、本発明は、上記の製造工程によって製造された混紡のラミー布帛を提供する。この混紡ラミー布帛は、160番手以上の繊度、より好ましくは160〜500番手、さらに好ましくは300番手の繊度を有するラミー繊維と、コットン、麻、ウール、絹、ビスコース繊維、テリレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタンゴム繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、そしてアラミド繊維の中から選択された、一種類以上のヤーンと混紡製織されることによって製造することが可能である。
【0029】
つまり、本発明を実行する一つの方法は、主に以下の段階を備える。
(1)2500番手以上のラミー繊維のような、高繊度のラミー繊維を提供する段階。
(2)キャリヤとして水溶性繊維を用いることによって、ラミー繊維をヤーンへと混紡する段階。
(3)低温でヤーンにサイジング処理を行う段階。および
(4)ヤーンに減量工程を行う段階。
【0030】
上記の各段階を結合させることによって、本発明は、以下に述べる利点のうち少なくとも一つを達成することができる。すなわち、これまでの長い期間に渡って麻繊維産業に困難を与えてきた、ラミー繊維の乏しい紡績性による純ラミーヤーンの精紡工程における困難といった技術的な問題を解決することができる。また、160番手以上の繊度、特に160〜500番手の繊度を有する純ラミー布帛の連続生産および規模生産が可能となる。さらに、着心地がよくラミー布帛の天然のスタイルであるのみでなく、表面の欠陥をほとんど有さない。したがって、従来のラミー布帛に一般的に存在していた破損や緯糸の傾斜といった欠点を十分に克服するラミー布帛を製造することが可能となる。結果として、本発明は、ラミー繊維材料の特質および価値を十分に引き出し、高利益を得ることを助ける。
【0031】
上記のような段階の結合に基づいて、本発明は、さらに、超高繊度のラミー布帛を製造するために、ラミー繊維および水溶性繊維の材料の試験および選択の基準を提供する。また、本発明は、個々の段階に関する工程品質管理の基準を構築し、超高繊度ラミー布帛の最終製品の試験に関する基準を提供する。したがって、本発明は、より驚異的な効果を達成することができる。
【発明の効果】
【0032】
実際上は、本発明によれば、仕上がった布帛は非常に薄く、優雅な外観と、優しく柔軟な触り心地、優れた着心地を達成することができる。たとえば、248番手×248番手および300番手×500番手の純ラミー布帛は、女性用の高級イブニングドレスや、高級ファッショナブルドレスの好ましい表面生地として利用することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、特定の実施形態の結合として以下のように詳細に説明されているが、これに限定されるものではない。
【0034】
以下の実施例において、ラミー繊維および水溶性繊維は、以下の基準に従って選択された。
【0035】
(1)ラミー繊維
繊維番手 2500番手以上
破壊強度 4.5cN/dtex以上
平均繊維長 90mm以上
4cm短繊維含有率 3%以下
ハードスライバー比 0.05%以下
ネップ 15/2g以下
(2)水溶性繊維
繊維番手 6000番手以上
乾燥破壊強度 ≧5.0cN/dtex
平均繊維長 85mm以上
4cm短繊維含有率 10%以下
ダブリング比 0.1%以下
溶解温度 ≦95℃(完全溶解)
【0036】
以下の実施例においては、上記の要求を満たす伸張破壊スライバーである、S‐9(II)水溶性ビニロン繊維が、水溶性繊維として用いられている。なお、この水溶性繊維は、80〜95℃の水溶解温度を有し、Sichuan Vinylon Works(四川省、中国)の製品である。ラミー繊維として、Hunan Huasehng Zhuzhou Cedar Co., Ltd(湖南省、中国)の製品である、05#ラミー繊維スライバーが用いられている。そして、他の特定がない場合は、以下に利用されている全ての装置は、Zhejiang Golden Eagle Co., Ltd(浙江省、中国)から購入したものである。
【0037】
以下の実施例において、様々な布帛を製造するための混紡糸の繊維含有量を、表1に示す。
【0038】
表1は、様々なヤーンにおける繊維の混紡比率を示す。
【0039】
【表1】

【実施例1】
【0040】
実施例1は、160番手×160番手の漂白加工された超高繊度純ラミー布帛の製造に関する。
【0041】
1.05#ラミー繊維スライバーおよびS‐9(II)水溶性ビニロン繊維から構成される引張破断スライバーは、RMCタイプ ギル練条機によって個々に前練条工程において延伸される。そして、38.87g/5mのスライバー重量(乾燥重量)となるラミー繊維スライバーと、31.10g/5mのスライバー重量(乾燥重量)となる水溶性繊維スライバーを形成する。
【0042】
2.前練条工程を経た、47:53の重量比率であるラミー繊維スライバーおよび水溶性繊維スライバーは、練条機において、混紡スライバーを形成するために、第一の練条工程として延伸される。混紡スライバーは、第二、第三、そして第四の練条工程に送られ、延伸される。数回の延伸の後、最後の練条工程を経た繊維スライバーにおいて、二つの繊維は、均一のスライバーとなるのに十分な程度まで混紡される。練条工程は、連続的な工程として実施され、4から5の工程経路が練条工程において用いられる。ドラフト比は、比較的にリヤ領域において高くなり、装置の速度は、遅くなる。また、ニードルボード打数は、450回/分に制御され、排出されるスライバーの重量は、34g/5m以下となる。そして、総ドラフト比は、8‐10となる。また、作業場の相対湿度は、約80%に制御される。
【0043】
表2は、練条工程の処理条件を示す。
【0044】
【表2】

【0045】
工程の処理要件:最後の練条工程を経た繊維スライバーにおける二つの繊維は、均一に混ざり、重量不均一性は、<1%を満たす。スライバーのサコ‐ロウェル(saco‐lowel)均一性は、<10%を満たし、重量偏差は、±2%を満たす。
【0046】
3.粗紡工程:二経路の粗紡工程が選択され、軽量、低速度、比較的に大型のリヤローラーゲージ、そして、繊維を平行に真直ぐにするためにリヤにおいて比較的に小さなドラフト比が導入される。詳細な工程の処理条件を、表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
工程の処理要件:総ドラフト比は、7から8.5の間の値である。粗紡スライバーの重量は、6〜7g/mであり、粗紡工程IIにおける重量不均一性は、2%以下である。重量偏差は、±3%を満たす。粗紡工程Iにおけるスライバーのサコ‐ロウェル(saco‐lowel)均一性は、<25%を満たし、そして、粗紡工程IIにおけるスライバーのサコ‐ロウェル(saco‐lowel)均一性は、<28%を満たす。
【0049】
4.精紡工程
工程の処理条件:
装置モデル FZ501
乾燥重量 1.213g/100m
総ドラフト比 20.26
撚係数 108
撚数 942 twists/m
スピンドル速度 6241 rpm
フロントローラー速度 63.02 rpm
【0050】
5.巻き取り工程:電気ヤーンクリアラーとエアスプライサーを備えた、モデル1332MD巻き取り装置が、結び目のないヤーンを製造するために選択される。ヤーンの欠陥を効果的に除くために、クリアリングパラメーターは、適切に設定される。巻き取り速度は、350m/分以下に設定される。クリアリングパラメーターは、以下のように設定される。すなわち、長く厚い部分に関しては、90%×2.5cmに設定され、短く厚い部分に関しては、190%×45cm、そして、長く薄い部分に関しては、−70%×45cmに設定される。
【0051】
工程の処理要件:ボビンに巻き取られたヤーンは、結び目がなく、ヤーンの欠陥が完全にクリアされている。また、再発生した毛を取り除く。
【0052】
工程の処理条件:線形巻き取り速度は、372〜384m/分である。
【0053】
6.整経工程(装置モデル GA121)
工程の処理要件:均一なビームの経糸の張力と、高密度の巻き取り。
【0054】
工程の処理条件:円滑なヤーン経路、整経ボビンの固定された長さ、ボビンのまとまった交換、自己締め付け結節、ヤーンテイル長さが2〜4mm、そして、整経速度が200m/分。
【0055】
張力:上部、中部、下部、前部、中部、後部において九つの引張り領域が指定され、それぞれの領域の張力は、ヤーンの品質に従って設定される。
【0056】
7.サイジング処理工程(装置モデル G142D−200):サイジング処理工程は、“小張力、低粘度、適度な圧力、低速度”によって実行される。用いられたサイジング剤溶液は、中〜低粘度であるエステル化された澱粉と、PVAと混合された所定の量の固形アクリルのサイジング剤とを含み、少量の柔軟剤がそこへ加えられる。そのため、サイジング剤フィルムが柔軟になり、着衣時の抵抗や、ヤーンの細分化が向上する。さらに、触り心地がスムースとなる、再発生した毛がより少なくなるといった利点がある。
【0057】
工程の処理要件:サイジング剤の割合(のり分)は、4〜6%であり、水分率は、5〜7%である。サイジング処理が施された経糸は、スムースであり、伸縮性があり、張力が均一である。そして、ワープビームに高密度に巻き付けられている。
【0058】
工程の処理条件:
サイジング剤ローディング 4.8〜5.8%
水分率 3.5〜5.5%
速度 40m/分
サイジング処理槽温度 80℃
サイジング剤溶液粘度 約7”(ハンギング粘度)
【0059】
サイジング剤溶液の主な構成要素は、サイジング剤溶液1リットル当たりにおいて、10gのPVAと、16gのK‐2000(加工澱粉複合物)と、34gのD‐150A(加工澱粉)と、3gのLMA‐2050アクリルサイジング剤である。
【0060】
8.製織工程(装置モデル GA741)
工程の処理要件:完全なる経糸の開口運動、緯糸の円滑な挿入、製織工程の高効率、布帛の欠陥の減少。
【0061】
工程の処理条件:
周囲大気温度 20〜28℃、湿度80〜86%
製織速度 175rpm
開口時間 280度(degree)
開口寸法 100〜105mm
ヘルドフレーム高さ 265mm
緯糸挿入時間 75度(degree)
【0062】
9.生機仕上げ工程
工程の処理条件:節取りと、各レイヤーの検反、そして格付け作業。
【0063】
10.回転と縫製工程
工程の処理条件:正確な計量と、サブパッケージ、規則的な回転、真直ぐ且つ堅固な縫製、そして、端縫い。
【0064】
11.毛焼き工程(ガス毛焼き装置)
工程の処理要件:布帛の仕上がりが、端毛焼き加工なしでグレード3.5以上である。
【0065】
工程の処理条件:生機が、両サイドにおいて、スクレーパーと組み合わされた二組の柔らかい毛製ブラシによって、ブラシをかけられる。毛焼き工程は、それぞれのサイドにおいて一度施される。そして、湿った布帛は排出される。装置の速度は、140〜160m/分であり、気化ガソリン製造機における温度は、85℃以上である。
【0066】
12.アルカリ減量処理工程
工程の処理要件:基本的に、布帛の毛細管効果を向上させるためにサイジング剤と水溶性繊維が、取り除かれる。
【0067】
この工程に用いる装置:モデルASMA631 ジェットオーバーフロー染色機(Wuxi Equipment Manufacturing Factory:江蘇省、中国)が用いられている。
【0068】
糊抜き剤および精練剤溶液:この溶液は、1g/Lの水酸化ナトリウムや、0.5g/Lの炭酸ナトリウム、1g/Lの亜硫酸ナトリウム、0.5g/Lの非イオン界面活性剤Peregal‐Oを、純水に加えることによって得られる。そして、この溶液を、15分間110℃〜120℃の温度に維持する。
【0069】
浴比は1:20
水洗い工程:生機は、90℃以上の温度の熱水を用いて、二回、各10分間洗浄される。その後、冷水で一度洗浄され、水とともに排出される。
【0070】
13.漂白
工程の処理要件:残留サイジング剤、水溶性繊維および不純物のさらなる除去、毛細管効果の向上、アルカリの完全な除去、一定の均一な白さが要求される。この工程の処理条件を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
注釈:有機安定剤は、Jingzhou Chemical Plant社(湖北省、中国)製造のWPW‐Zであり、浸透剤は、Fushun Jiahua Polyurethane Co., Ltd(遼寧省、中国)製造のJFCである。
【0073】
14.乾燥工程
工程の処理要件:排出された布帛が平坦であり、乾燥され、且つ排出による折り目や、皺、汚れ、緯糸のずれ、緯糸の傾斜がないことが要求される。
【0074】
工程の処理条件:パッド速度が40m/分、パッド圧力が2kg/cm、清潔なパッディングトラフとニップローラー、清潔な乾燥シリンダー、そして、蒸気圧が0.5〜2kg/cmである。
【0075】
15.柔軟工程とホワイトニング工程
工程の処理要件:柔軟であり、スムース且つ心地よい触り心地、白色布帛、均一な白さ、そして、皺、汚れ、緯糸のずれ、緯糸の傾斜がないことが要求される。
【0076】
工程の処理条件:Shijiazhuang Xinyu Chemical Co., Ltd(河北省、中国)製造の白色剤 VBLを1.5〜2g/L、適度な量の柔軟剤、界面活性剤Peregal‐Oを0.2g/L、装置の速度が45m/分、パッド圧力が2kg/cm、二回の浸し塗りと、二回のパッディング。
【0077】
16.幅出し工程と設置工程
工程の処理要件:湿った布帛の幅は、工程の処理要件(1.5〜2.5cmだけ最終製品より幅広である)に合致し、一定の幅を有する。また、エッジの波打ち模様や、耳崩れ、ピンホール、油汚れ、および緯糸のずれや傾斜がないことが要求される。
【0078】
工程の処理条件:緯糸幅出しの装置速度が、35〜40m/分である。
【0079】
17.前収縮工程
工程の処理要件:布帛の寸法を安定させ、柔軟な触り心地を有し且つ皺や汚れがない布帛を得るように、望ましい収縮率を達成することが要求される
工程の処理条件:装置速度は30m/分であり、湿潤処理後の布帛の含水率は8〜12%である。
【0080】
バックアップロールの蒸気圧は、0.8〜1.5kgf/cmである。
【0081】
バックアップロールと、布帛供給ロールとの間のギャップは、ゴムスリーブの厚みより2〜3mm狭くなっている。
【0082】
前収縮工程における収縮率は、2〜3%である。
【0083】
18.布帛の検反と巻き上げ工程
求められる160番手×160番手の超高繊度白色ラミー布帛を得るために、布帛は、検反され、巻き上げられる。巻き上げられた布帛は、規則的な巻き上げ端を有し、表面に皺はなく、クリアな模様を有する。そして、正確に格付けされる。
【実施例2】
【0084】
実施例2は、248番手×248番手の漂白加工された超高繊度純ラミー布帛の製造に関する。
【0085】
1.05#ラミー繊維スライバーおよびS‐9(II)水溶性ビニロン繊維から構成される引張破断スライバーは、RMCタイプ ギル練条機によって個々に前練条工程として延伸される。そして、31.10g/5mのスライバー重量(乾燥重量)となるラミー繊維スライバーと、31.10g/5mのスライバー重量(乾燥重量)となる水溶性繊維スライバーを形成する。
【0086】
2.前練条工程を経た、40:60の重量比率であるラミー繊維スライバーおよび水溶性繊維スライバーは、練条機において、混紡スライバーを形成するために、第一の練条工程として延伸される。混紡スライバーは、第二、第三、そして第四の練条工程に送られ、延伸される。そのため、最後の練条工程を経た二つの繊維は、均一のスライバーとなるのに十分な程度にまで混紡される。この工程の処理条件を表5に示す。
【0087】
表5は、練条工程の処理条件を示す。
【0088】
【表5】

【0089】
3.粗紡工程:工程の処理条件を表6に示す。
【0090】
【表6】

【0091】
4.精紡工程(装置モデル FZ501)
工程の処理条件:
乾燥重量 1.031g/100m
総ドラフト比 20
撚係数 108
撚数 1024 twists/m
スピンドル速度 4458 rpm
フロントローラー速度 38.57 rpm
【0092】
5.巻き取り工程(装置モデル1332MD)
工程の処理条件:巻き取り速度:326m/分である。
【0093】
クリアリングパラメーター:長く厚い部分は300%×3.0cm、短く厚い部分は+90%×45cm、そして、長く薄い部分は、−70%×45cm。
【0094】
6.整経工程(装置モデル GA121)
工程の処理条件:装置速度200m/分。
【0095】
張力:上部、中部、下部、前部、中部、後部において九つの引張り領域が指定され、それぞれの領域の張力は、ヤーンの品質に従って設定される。
【0096】
7.サイジング処理工程(装置モデル G142D−200)
工程の処理条件:
サイジング剤ローディング 4〜6%
水分率 3.5〜5.5%
装置速度 40m/分
サイジング処理槽温度 80℃
サイジング剤溶液粘度 約8”(ハンギング粘度)
【0097】
サイジング剤溶液の主な構成要素は、サイジング剤溶液1リットル当たりにおいて、11gのPVAと、18gのK‐2000(加工澱粉複合物)と、36gのD‐150A(加工澱粉)と、3gのLMA‐2050(アクリルサイジング剤)である。
【0098】
8.製織工程(装置モデル GA741)
工程の処理条件:
周囲大気温度 20〜28℃、湿度80〜86%
製織速度 175rpm
開口時間 280度(degree)
開口寸法 100〜105mm
ヘルドフレーム高さ 265mm
緯糸挿入時間 75度(degree)
【0099】
9.生機仕上げ工程
工程の処理条件:節取りと、各レイヤーの検反、そして格付け作業。
【0100】
10.回転と縫製工程
工程の処理条件:正確な計量と、サブパッケージ、規則的な回転、真直ぐ且つ堅固な縫製、そして、端縫い。
【0101】
11.毛焼き工程(ガス毛焼き装置)
工程の処理要件:布帛の仕上がりが、端毛焼き加工なしでグレード4以上である。
【0102】
工程の処理条件:生機が、両サイドにおいて、スクレーパーと組み合わされた二組の柔らかい毛製ブラシによって、ブラシをかけられる。毛焼き工程は、それぞれのサイドにおいて一度施される。そして、湿った布帛は排出される。装置の速度は、160m/分であり、気化ガソリン製造機における温度は、85℃以上である。
【0103】
12.アルカリ減量処理工程
工程の処理要件:基本的に、サイジング剤と水溶性繊維が、不純物とともに取り除かれ、布帛の毛細管効果を向上させる。
【0104】
この工程に用いる装置:モデルASMA631 ジェットオーバーフロー染色機(Wuxi Equipment Manufacturing Factory:江蘇省、中国)が用いられている。
【0105】
糊抜き剤および精練剤溶液:この溶液は、3g/Lの水酸化ナトリウムや、1g/Lの炭酸ナトリウム、2g/Lの亜硫酸ナトリウム、1g/Lの非イオン界面活性剤Peregal‐Oを、純水に加えることによって得られる。そして、この溶液を、20分間110℃〜120℃の温度に維持する。
【0106】
浴比は1:20
水洗い工程:生機は、90℃以上の温度の熱水を用いて、二回、各10分間洗浄される。その後、冷水で一度洗浄され、水とともに排出される。
【0107】
13.漂白
工程の処理要件:残留サイジング剤、水溶性繊維および不純物のさらなる除去、アルカリの完全な除去、毛細管効果の向上、そして、望ましい均一な白さが要求される。この工程の処理条件を表7に示す。
【0108】
【表7】

【0109】
注釈:有機安定剤は、Jingzhou Chemical Plant社(湖北省、中国)製造のWPW‐Zであり、浸透剤は、Fushun Jiahua Polyurethane Co., Ltd(遼寧省、中国)製造のJFCである。
【0110】
14.乾燥工程
工程の処理要件:排出された布帛が平坦であり、乾燥され、且つ排出による折り目や、皺、汚れ、緯糸のずれ、緯糸の傾斜がないことが要求される。
【0111】
工程の処理条件:パッド速度が40m/分、パッド圧力が2kg/cm、清潔なパッディングトラフとニップローラー、清潔な乾燥シリンダー、そして、蒸気圧が0.5〜2kg/cmである。
【0112】
15.柔軟工程とホワイトニング工程
工程の処理要件:柔軟であり、スムース且つ心地よい触り心地、白色布帛、均一な白さ、そして、皺、汚れ、緯糸のずれ、緯糸の傾斜がないことが要求される。
【0113】
工程の処理条件:白色剤 VBLを1.5〜2g/L、適度な量の柔軟剤、界面活性剤Peregal‐Oを0.2g/L、装置の速度が45m/分、パッド圧力が2kg/cm、二回の浸し塗りと、二回のパッディング。
【0114】
16.幅出し工程と設置工程
工程の処理要件:湿った布帛の幅は、工程の処理要件(1.5〜2.5cmだけ最終製品より幅広である)に合致し、且つ一定の幅である。また、エッジの波打ち模様や、布の耳崩れ、ピンホール、油汚れ、および緯糸のずれや傾斜がないことが要求される。
【0115】
工程の処理条件:緯糸幅出しの装置速度が、35〜40m/分である。
【0116】
17.前収縮工程
工程の処理要件:布帛の寸法を安定させ、柔軟な触り心地を有し且つ皺や汚れがない布帛を得るように、望ましい収縮率を達成することが要求される
工程の処理条件:装置速度は30m/分であり、湿潤処理後の布帛の含水率は8〜12%である。
【0117】
バックアップロールの蒸気圧は、0.8〜1.5kgf/cmである。
【0118】
バックアップロールと、布帛供給ロールとの間のギャップは、ゴムスリーブの厚みより2〜3mm狭くなっている。
【0119】
前収縮工程における収縮率は、2〜3%である。
【0120】
18.布帛の検反と巻き上げ工程
求められる番手×248番手の超高繊度白色ラミー布帛を得るために、布帛は、検反され、巻き上げられる。巻き上げられた布帛は、規則的な巻き上げ端を有し、表面に皺はなく、クリアな模様を有する。そして、正確に格付けされる。
【実施例3】
【0121】
実施例3は、300番手×500番手の漂白加工された超高繊度純ラミー布帛の製造に関する。
【0122】
1.05#ラミー繊維スライバーおよびS‐9(II)水溶性ビニロン繊維から構成される引張破断スライバーは、RMCタイプ ギル練条機によって個々に前練条工程として延伸される。そして、28.5g/5mのスライバー重量(乾燥重量)となるラミー繊維スライバーと、49.98g/5mのスライバー重量(乾燥重量)となる水溶性繊維スライバーを形成する。
【0123】
2.前練条工程を経た、30:70の重量比率であるラミー繊維スライバーおよび水溶性繊維スライバーは、練条機において、混紡スライバーを形成するために、第一の練条工程として延伸される。混紡スライバーは、第二、第三、そして第四の練条工程に送られ、延伸される。そのため、最後の練条工程を経た二つの繊維は、均一のスライバーとなるのに十分な程度まで混紡される。この工程の処理条件を表8に示す。
【0124】
表8は、練条工程の処理条件を示す。
【0125】
【表8】

【0126】
3.粗紡工程:工程の処理条件を表9に示す。
【0127】
【表9】

【0128】
4.精紡工程(装置モデル FZ501)
工程の処理条件:
番手 90番手 150番手
乾燥重量 1.037g/100m 0.622g/100m
総ドラフト比 18.0 30.0
撚係数 105 110
撚数 996twists/m 1347twists/m
スピンドル速度 4458rpm 4458rpm
フロントローラー速度 40.93rpm 29.04rpm
【0129】
5.巻き取り工程(装置モデル1332MD)
工程の処理条件:巻き取り速度:326m/分である。
【0130】
クリアリングパラメーター:長く厚い部分は300%×3.0cm、短く厚い部分は+90%×45cm、そして、長く薄い部分は、−70%×45cm。
【0131】
6.整経工程(装置モデル GA121)
工程の処理条件:装置速度180m/分。
【0132】
張力:上部、中部、下部、前部、中部、後部において九つの引張り領域が指定され、それぞれの領域の張力は、ヤーンの品質に従って設定される。
【0133】
7.サイジング処理工程(装置モデル G142D−200)
工程の処理条件:
サイジング剤ローディング 4〜6%
水分率 3.5〜5.5%
装置速度 40m/分
サイジング処理槽温度 80℃
サイジング剤溶液粘度 約8”(ハンギング粘度)
【0134】
サイジング剤溶液の主な構成要素は、サイジング剤溶液1リットル当たりにおいて、12gのPVAと、17gのK‐2000(加工澱粉複合物)と、35gのD‐150A(加工澱粉)と、3gのLMA‐2050(アクリルサイジング剤)である。
【0135】
8.製織工程(装置モデル GA741)
工程の処理条件:
周囲大気温度 20〜28℃、湿度80〜86%
製織速度 175rpm
開口時間 280度(degree)
開口寸法 100mm
ヘルドフレーム高さ 265mm
緯糸挿入時間 75度(degree)
【0136】
9.生機仕上げ工程
工程の処理条件:節取りと、各レイヤーの検反、そして格付け作業。
【0137】
10.回転と縫製工程
工程の処理条件:正確な計量と、サブパッケージ、規則的な回転、真直ぐ且つ堅固な縫製、そして、端縫い。
【0138】
11.毛焼き工程(ガス毛焼き装置)
工程の処理要件:布帛の仕上がりが、グレード4以上である。
【0139】
工程の処理条件:生機が、両サイドにおいて、スクレーパーと組み合わされた二組の柔らかい毛製ブラシによって、ブラシをかけられる。毛焼き工程は、それぞれのサイドにおいて一度施される。そして、湿った布帛は排出される。装置の速度は、150m/分であり、気化ガソリン製造機における温度は、85℃以上である。
【0140】
12.アルカリ減量処理工程
工程の処理要件:基本的に、サイジング剤と水溶性繊維が、不純物とともに取り除かれ、布帛の毛細管効果を向上させる。
【0141】
この工程に用いる装置:モデルASMA631 ジェットオーバーフロー染色機(Wuxi Equipment Manufacturing Factory:江蘇省、中国)が用いられている。
【0142】
糊抜き剤および精練剤溶液:この溶液は、3g/Lの水酸化ナトリウムや、1g/Lの炭酸ナトリウム、2g/Lの亜硫酸ナトリウム、1g/Lの非イオン界面活性剤Peregal‐Oを、純水に加えることによって得られる。そして、この溶液を、20分間110℃〜120℃の温度に維持する。
【0143】
浴比は1:20
水洗い工程:生機は、90℃以上の温度の熱水を用いて、二回、各10分間洗浄される。その後、冷水で一度洗浄され、排出される。
【0144】
13.漂白
工程の処理要件:残留サイジング剤、水溶性繊維および不純物のさらなる除去、アルカリの完全な除去、毛細管効果の向上、そして、望ましい均一な白さが要求される。この工程の処理条件を表10に示す。
【0145】
【表10】

【0146】
注釈:有機安定剤は、Jingzhou Chemical Plant社(湖北省、中国)製造のWPW‐Zであり、浸透剤は、Fushun Jiahua Polyurethane Co., Ltd(遼寧省、中国)製造のJFCである。
【0147】
14.乾燥工程
工程の処理要件:排出された布帛が平坦であり、乾燥され、且つ排出による折り目や、皺、汚れ、緯糸のずれ、緯糸の傾斜がないことが要求される。
【0148】
工程の処理条件:パッド速度が40m/分、パッド圧力が2kg/cm、清潔なパッディングトラフとニップローラー、清潔な乾燥シリンダー、そして、蒸気圧が0.5〜2kg/cmである。
【0149】
15.柔軟工程とホワイトニング工程
工程の処理要件:柔軟であり、スムース且つ心地よい触り心地、白色布帛、均一な白さ、そして、皺、汚れ、緯糸のずれ、緯糸の傾斜がないことが要求される。
【0150】
工程の処理条件:白色剤 VBLを1.5〜2g/L、適度な量の柔軟剤、界面活性剤Peregal‐Oを0.2g/L、装置の速度が45m/分、パッド圧力が2kg/cm、二回の浸し塗りと、二回のパッディング。
【0151】
16.幅出し工程と設置工程
工程の処理要件:湿った布帛の幅は、工程の処理要件(1.5〜2.5cmだけ最終製品より幅広である)に合致し、一定の幅を有する。また、エッジの波打ち模様や、布の耳崩れ、ピンホール、油汚れ、および緯糸のずれや傾斜がないことが要求される。
【0152】
工程の処理条件:緯糸の幅出しの装置速度が、30〜35m/分である。
【0153】
17.前収縮工程
工程の処理要件:布帛の寸法を安定させ、柔軟な触り心地を有し且つ皺や汚れがない布帛を得るように、望ましい収縮率を達成することが要求される
工程の処理条件:装置速度は30m/分であり、湿潤処理後の布帛の含水率は8〜12%である。
【0154】
バックアップロールの蒸気圧は、0.8〜1.5kgf/cmである。
【0155】
バックアップロールと、布帛供給ロールとの間のギャップは、ゴムスリーブの厚みより2〜3mm狭くなっている。
【0156】
前収縮工程における収縮率は、2〜3%である。
【0157】
18.布帛の検反と巻き上げ工程
求められる300番手×500番手の超高繊度白色ラミー布帛を得るために、布帛は、検反され、巻き上げられる。巻き上げられた布帛は、規則的な巻き上げ端を有し、表面に皺はなく、クリアな模様を有する。そして、正確に格付けされる。
【0158】
以上、表を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、上記した実施の形態のものに限定されない。上記した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0159】
この発明によれば、仕上がった布帛は、非常に薄く、優雅な外観と、優しく柔軟な触り心地、優れた着心地を達成することができるため、高級衣類用のラミー布帛として有利に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤーンを形成するために、水溶性繊維をキャリヤとして用いることによって、2500番手以上のラミー繊維を混紡する混紡段階と、
前記ヤーンを低温でサイジング処理するサイジング処理段階、およびその後に前記ヤーンを製織し生機を製造する製織段階と、
160番手以上の繊度を有するラミー繊維を得るために、プリント工程や染め工程の後の仕上げ段階の間に、前記生機を減量加工することによって、前記水溶性繊維を前記生機から取り除く減量段階と、を備えることを特徴とする、ラミー繊維の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性繊維は、6000番手以上であって、より好ましくは6000番手〜8000番手の間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記水溶性繊維の水溶解温度は、95℃以上の温度であり、より好ましくは、80〜95℃の間の温度であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ラミー繊維とキャリヤとしての前記水溶性繊維との前記混紡段階において、前記ラミー繊維と前記水溶性繊維は、前記ラミー繊維と前記水溶性繊維との混紡糸を得るために、前練条段階と、練条段階と、粗紡段階と、精紡段階と、を経ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記混紡糸において、前記ラミー繊維の前記水溶性繊維に対する乾燥重量における混紡率が、20〜70:80〜30であり、より好ましくは30〜60:70〜40であり、さらに好ましくは30〜50:70〜50であることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記練条段階は、前記前練条段階を経た前記水溶性繊維および前記ラミー繊維を、少なくとも4回、4つ以上の経路を有する練条工程を用いて延伸し、8〜10の総ドラフト比を導入することによって実行されることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記粗紡段階は、2つの経路を有する粗紡工程を用い、7〜9.5の総ドラフト比を導入することによって実行されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記精紡段階は、10〜40の総ドラフト比、100〜130の撚係数、そして800〜1200twist/mの撚度を導入することによって実行されることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
低温で前記ヤーンをサイジング処理する前記サイジング処理段階は、95℃以下の温度、より好ましくは80℃以下の温度において実行されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
低温で前記ヤーンをサイジング処理する前記サイジング処理段階は、ポリビニルアルコールと、加工澱粉と、アクリルサイジング剤と、を含むサイジング剤溶液を用いることによって実行されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
低温で前記ヤーンをサイジング処理する前記サイジング処理段階は、5〜20g/Lのポリビニルアルコールと、10〜25g/Lの多成分加工澱粉複合物と、30〜40g/Lの酸化澱粉と、1〜8g/Lのアクリルサイジング剤と、を含むサイジング剤溶液を用いることによって実行されることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記プリント工程や染め工程の後の仕上げ段階は、回転および縫製段階と、毛焼き段階と、前記減量段階と、漂白段階と、ホワイトニングおよび柔軟段階と、幅出し段階と、巻き取り段階と、を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記減量段階は、サイジング剤および水溶性繊維を完全に取り除くために、ジェットオーバーフロー染色機において、アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液を用いることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記減量段階は、毛焼き加工が施された繊維をジェットオーバーフロー染色機に設置する段階と、110℃〜120℃に温度を上昇させる段階と、15〜20分間温度を維持する段階と、アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液槽において繊維を洗浄する段階と、繊維を排出する段階と、90℃以上の温度の熱水を用いて、二回各10分間洗浄する段階と、冷水で一度洗浄する段階と、を含むことを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液は、純水1リットルに対して、1〜5g/Lの水酸化ナトリウムと、0.2〜1.5g/Lの炭酸ナトリウムと、1〜5g/Lの亜硫酸ナトリウムと、0.2〜1.5g/Lの非イオン界面活性剤(ペレガル‐オー:Peregal‐O)と、を加えることによって構成されることを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記アルカリ性の糊抜き剤および精練剤溶液の浴比は、1:20であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記水溶性繊維は、ビニロン繊維、アルギン酸繊維、カルボキシメチルセルロース繊維、好ましくは非アセタール化ビニロン繊維のなかから選択された一種類または複数種類の水溶性繊維から構成されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
前記ヤーンを形成するための前記ラミー繊維とキャリヤとしての前記水溶性繊維との前記混紡段階の後に、前記混紡糸は、さらに、一種類または複数種類の非水溶性繊維と追加的に混紡され、その後に生機に製織されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
前記追加的に混紡される非水溶性繊維は、コットン繊維、麻繊維、ウール繊維、絹繊維、ビスコース繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維のなかから選択された一種類または複数種類の繊維を含むことを特徴とする、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
ラミー布帛におけるラミーヤーンが、160番手以上の繊度、より好ましくは160番手〜500番手の間の繊度、さらに好ましくは300番手の繊度を有することを特徴とする、ラミー布帛。
【請求項21】
前記ラミー布帛は、純ラミー布帛、またはラミーヤーンと、麻ヤーン、ウールヤーン、絹ヤーン、ビスコースヤーン、ポリエステルヤーン、ポリアミドヤーン、アクリルヤーン、ポリウレタンヤーン、ポリプロピレンヤーン、ポリビニルアルコールヤーン、アラミドヤーンのなかから選択された一種類または複数種類のヤーンとの混紡ラミー繊維であることを特徴とする、請求項20に記載のラミー布帛。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれかに記載の製造方法によって製造された、請求項20または請求項21に記載のラミー布帛。


【公表番号】特表2010−529314(P2010−529314A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510642(P2010−510642)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/CN2008/071340
【国際公開番号】WO2008/154866
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509338396)フナン ファーサン ズージュー シダー シーオー エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】