説明

距離画像生成装置および距離画像生成方法

【課題】撮影対象空間内の対象物に応じて、効率よく高い品質の距離画像を得る。
【解決手段】光電変換素子で受光した受光量に応じた電荷量から各画素の強度値を算出し、強度が所定以下の画素についてのみ補正を行う。補正は、同一画素の電荷量を時間方向に過去に遡り加算することにより行う。加算は、加算後の電荷量から算出した強度値が所定以上となるまで行う。そして、補正後の電荷量から、距離値を算出し、距離画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像生成技術に関し、特に、光飛行時間型距離画像センサを用いた距離画像生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光飛行型距離画像センサを用いて、撮影対象空間の対象物のセンサからの距離を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成装置がある。光飛行型距離画像センサでは、光源から照射した変調光と、当該変調光の対象物による反射光との位相差を用いて対象物の距離を算出する。位相差は、受光した反射光を光量に応じた電荷量に変換し、この電荷量に所定の演算を施すことにより算出される。
【0003】
このように、位相差は電荷量から算出されるため、例えば、対象物が反射率の低い物体、もしくは遠方の物体である場合、得られる電荷量が小さくなるため、ノイズの割合が大きくなり、算出される位相差、すなわち、距離値の精度が悪化する。
【0004】
これを避けるため、隣接する複数の画素の電荷量を用いて距離値を算出する空間的な平均化技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。また、反射光を所定の時間間隔で受光し、同一画素の連続して得られた電荷量を用いて距離値を算出する時間的な平均化技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3906858号明細書
【特許文献2】特許第3906859号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空間的な平均化技術は、実質的に有効な画素数を減らす。従って、算出される距離の精度は高まるが、空間分解能が低下し、エッジのぼやけ等、空間情報の欠如を招く。一方、時間的な平均化技術は、時間的な分解能の低下、フレームレートの低下を招き、動体を撮影した場合に画質が低下する。
【0007】
上記各特許文献では、複数の画素を用いた平均化を行うため、空間的または時間的な分解能が低下してしまう。また、全画素に対して時間的な平均化を行うと、対象空間に反射率の高い物体、低い物体、距離の異なる物体が混在する場合、十分な距離値の精度が得られる反射率の高い物体、もしくは、近傍の物体に対応する画素までに上記処理が成されるため、全画素にわたって時間分解能が低下し、かえって画質の低下を招くことがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、撮影対象空間内の対象物に応じて、効率よく高い品質の距離画像を得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光電変換素子で受光した受光量に応じた電荷量から各画素の強度値を算出し、強度が所定以下の画素についてのみ補正を行う。補正は、同一画素の電荷を時間方向に過去に遡り加算することにより行う。加算は、加算後の電荷量から算出した強度値が所定以上となるまで行う。そして、補正後の電荷から、距離値を算出し、距離画像を生成する。
【0010】
具体的には、対象空間に変調光を照射する発光源と、前記発光源から照射され前記対象空間内の対象物で反射した反射光を含む変調光を受光して受光光量に応じた電荷に変換する光電変換素子および前記光電変換素子毎に設けられた少なくとも1つ以上の電荷蓄積手段を画素毎に有する受光手段と、前記発光源の変調に同期して前記各光電変換素子で変換した電荷を前記複数の電荷蓄積手段に振り分ける制御手段と、前記電荷蓄積手段に蓄積された電荷から、画素毎の前記対象物までの距離値を求め当該距離値を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成手段と、を備える距離画像生成装置であって、前記距離画像生成手段は、前記各電荷蓄積部に蓄積された電荷から、前記変調光の強度値を算出し、当該強度値を画素値とする強度画像を生成する強度画像生成手段と、各画素の前記強度値に応じて当該画素の補正を行うか否かを決定し、補正を行うと決定された補正対象画素の画素値の補正を行う補正手段と、を備えることを特徴とする距離画像生成装置を提供する。
【0011】
また、対象空間に変調光を照射する発光源と、前記発光源から照射され前記対象空間内の対象物で反射した反射光を含む変調光を受光して受光光量に応じた電荷に変換する光電変換素子および前記光電変換素子毎に設けられた少なくとも1つ以上の電荷蓄積手段を画素毎に有する受光手段と、前記発光源の変調に同期して前記各光電変換素子で変換した電荷を前記複数の電荷蓄積手段に振り分ける制御手段と、前記電荷蓄積手段に蓄積された電荷から、画素毎の前記対象物までの距離値を求め当該距離値を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成手段と、を備える距離画像生成装置における距離画像生成方法であって、前記各電荷蓄積部に蓄積された電荷から、前記変調光の強度値を算出し、当該強度値を画素値とする強度画像を生成する強度画像生成ステップと、各画素の前記強度値に応じて当該画素の画素値の補正を行うか否かを決定し、補正を行うと決定された補正対象画素の画素値の補正を行う補正ステップと、を備えることを特徴とする距離画像生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮影対象空間内の対象物に応じて、高い品質の距離画像を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一の実施形態の距離画像生成装置のブロック図である。
【図2】距離画像生成の原理を説明するための説明図である。
【図3】照射される変調光の一例を説明するための図である。
【図4】位相差φの算出式を説明するための説明図である。
【図5】距離値のばらつきの発生を説明するための説明図である。
【図6】強度値に応じた演算座標上のCx、Cy値の分布領域を説明するための説明図である。
【図7】強度値が小さい場合の分布領域と位相差φのばらつきを説明するための説明図である。
【図8】強度値が小さい場合の分布領域と位相差φのばらつきを説明するための説明図である。
【図9】第一の実施形態の補正画素の決定方法の原理を説明するための説明図である。
【図10】第一の実施形態の補正の原理を説明するための説明図である。
【図11】第一の実施形態の距離画像生成部の機能ブロック図である。
【図12】第一の実施形態の補正処理のフローチャートである。
【図13】第一の実施形態の加算処理のフローチャートである。
【図14】第一の実施形態の補正処理の一部を実現する論理回路の一例のブロック図である。
【図15】第一の実施形態の補正処理の一部を実現する論理回路の一例のブロック図である。
【図16】第二の実施形態の距離画像生成部の機能ブロック図である。
【図17】第二の実施形態の距離画像生成処理のフローチャートである。
【図18】第二の実施形態の加算処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
本実施形態の説明に先立ち、本実施形態で用いる光飛行型距離画像センサ(以下、距離画像センサと呼ぶ。)を用いた距離画像生成装置の構成を説明する。図1は、距離画像センサを用いる距離画像生成装置100のブロック図である。
【0016】
図1に示すように、距離画像生成装置100は、光源110と受光部120と制御部130と距離画像生成部140とを備える。
【0017】
光源110は、対象空間に変調した光(例えば、正弦波もしくは矩形波等で高速に変調させた赤外光もしくは可視光)111を照射する発光源である。光源110には、LED等の高速変調が可能なデバイスが用いられる。
【0018】
受光部120は、光源110から照射された変調光111が対象空間内の物体200で反射された反射光を含む入射光112を受光し、電荷に変換する。これを実現するため、受光部120は、入射光112を受光し、受光量を電荷量に変換する複数の光電変換素子121と、光電変換素子により得られた電荷量を蓄積する少なくとも一つ以上の電荷蓄積部122と、を備える。この受光部120により画素が形成される。各光電変換素子121は、距離画像の各画素に対応し、規則的に配列される。また、距離情報である変調光111と入射光112の位相差を算出するためには、少なくとも3以上の位相情報が必要であるため、各位相情報を有している電荷蓄積部122は、3以上の予め定められた数、用いられ、一つの距離情報を生成する。以下、本実施形態では、4つ用いられる場合を例にあげて説明する。
【0019】
制御部130は、光源110と受光部120と距離画像生成部140の動作を制御する。制御部130は、変調された信号を光源110に送り、光源110は、この信号に従って、対象空間に変調光111を照射する。また、制御部130は、受光部120に変調光111の変調周波数に同期する同期信号を送信する。受光部120では、光電変換素子121が、物体200により反射された反射光を含む入射光112を電荷量に変換する。そして、得られた電荷量を、この同期信号に従って、各光電変換素子121に対応づけて設けられる4つの電荷蓄積部122のそれぞれに振り分ける。ここでは、変調の1周期を4等分した期間毎に、これらの4つの電荷蓄積部に振り分ける。
【0020】
なお、電荷蓄積部122には、電荷量そのものを蓄積してもよいし、この電荷量をAD変換後のデータを蓄積してもよい。
【0021】
距離画像生成部140は、各電荷蓄積部122に振り分けられた電荷に所定の演算を施し、変調光111と入射光112との位相差を算出し、画素値が距離値である距離画像を生成する。以下、変調光111と入射光112との位相差から距離値を算出する原理を説明する。
【0022】
図2は、距離画像を生成する原理を説明するための図である。変調光111の強度が本図のような正弦曲線を描くように変化する場合、入射光112の強度も同様に正弦曲線を描くよう変化する。ただし、変調光111と入射光112とには、光が物体まで往復する飛行時間による位相の遅延(位相差φ)が生じる。
【0023】
光の速度cは既知であるため、この位相差φと変調周波数fとを用い、対象物までの距離値Dは、以下の式(1)で求めることができる。
【数1】

【0024】
従って、位相差φがわかれば、距離値Dは求めることができる。ここで、変調光111と入射光112との位相差φは、変調光111の1周期を4等分した各期間をT1、T2、T3、T4とし、それぞれの期間に蓄積される電荷量をC1、C2、C3、C4とすると、以下の式(2)で表される。
【0025】
【数2】

なお、1周期を4等分した各期間T1、T2、T3、T4は、例えば、0度から90度の間、90度から180度の間、180度から270度の間、270度から0度の間とする。
【0026】
なお、光源110の変調周波数は数十MHzである。従って、変調の1周期は数十ns程度である。このため、距離画像を得るためには、数百〜数十万周期の電荷蓄積時間を要する。本実施形態の距離画像生成部140は、この電荷蓄積時間Δt間隔で電荷蓄積部に蓄積された各電荷量C1、C2、C3、C4を用い、画素毎に、式(2)に従って位相差φを求め、式(1)に従って、対象物までの距離値Dを求め、距離値を画素値とする距離画像を生成する。
【0027】
なお、一般の画像は、各画素値として、以下の式(3)で表される、4つの電荷蓄積部に振り分けた電荷の平均値Aを用いる。
【数3】

また、強度画像の各画素値となる強度値Bは、以下の式(4)で表される。
【数4】

【0028】
以下、本実施形態では、時刻T(0)に開始の指示を受け付け、Δt毎の時刻T(1)、T(2)、T(3)・・・において、電荷蓄積部122から電荷量を読み出し、距離画像を生成するものとする。T(1)=T(0)+Δt、T(2)=T(1)+Δt、・・・、T(n+1)=T(n)+Δt・・・である。ここで、nは、自然数である。時間の経過は、距離画像生成装置100が備えるタイマで行うものとする。時刻T(n)に照射、受光、蓄積される電荷はΔtの期間に蓄積された電荷であるため、時刻T(n)で生成される距離画像はΔtの期間の空間情報(距離情報)を有する。
【0029】
上述したように、対象物の反射率が低い場合、もしくは、対象物が遠方にある場合は、変調光の反射光量が小さくなるため、そのような物体からの入射光112を受光する画素に蓄積される各電荷量C1、C2、C3、C4は小さくなる。それに伴い、上記式(2)における、各(C1−C3)および(C2−C4)の絶対値が小さくなる。
【0030】
各電荷量C1、C2、C3、C4には、フォトンショットノイズ、熱ノイズ、電荷読み出しノイズ、アナログデジタル変換ノイズ等、複数のノイズ成分が重畳される。このため、上記(C1−C3)および(C2−C4)の絶対値が小さくなると、各値に占めるノイズの割合が大きくなり、上記式(2)で求める位相差φの精度が悪化する。これに伴い、この位相差φを用いて式(1)に従って算出する距離値Dの精度も悪くなる。
【0031】
本実施形態では、このような、各(C1−C3)および(C2−C4)の絶対値が小さく、算出される位相差φの精度が低い画素のみ、その距離値Dを補正する。以下、本実施形態の補正の詳細な説明に先立ち、本実施形態の補正の原理を図を用いて説明する。
【0032】
まず、(C1−C3)および(C2−C4)の絶対値が小さくなると、算出される位相差φの精度が悪化することを図3および図4を用いて説明する。図3は、このとき照射される変調光111の例である。図4は、式(2)を説明するための図である。ここでは、x軸に、C2−C4の値を、y軸にC1−C3の値をプロットする座標(以下、演算座標と呼ぶ。)を用いる。なお、以下、本明細書では、C2−C4をCxと表し、C1−C3をCyと表す。
【0033】
距離D1にある物体S1からの入射光112を受光する光電変換素子121aの、各電荷蓄積部122にΔt間に蓄積される各電荷量C1、C2、C3、C4から算出されるCxの値をx1、Cyの値をy1とする。変調光111が図3に示すように照射される場合、非常に近い物体(距離が略0mに位置する物体)の反射光は略変調光111の波形となり、Cy=y1=0となる。従って、演算座標上では、略0mに位置する物体はx軸上にプロットされる。
【0034】
また、座標が(x1、y1)となる点P1と原点とを結ぶ直線とx軸とのなす角度θ1が、物体が距離D1にある場合の、式(2)で求められる位相差φとなる。同様に、距離D1より遠方の距離D2にある物体S2からの入射光112を受光する画素121bの、同Cxの値をx2、Cyの値をy2とすると、演算座標上では、座標が(x2、y2)となる点P2と原点とを結ぶ直線とx軸とのなす角度θ2が、物体Sが距離D2にある場合の、式(2)で求められる位相差φとなる。
【0035】
上述のように、各電荷量C1、C2、C3、C4には、様々なノイズ成分が重畳されるため、物体S1が距離D1に存在し続けても、受光する画素121aのCxの値およびCyの値は時間の経過とともに変化する。この変化により、受光する画素121aのCxの値およびCyの値は、演算座標上で、図5に示すように、x軸方向およびy軸方向にそれぞれ所定の幅を持った領域310に分布する。従って、物体Sが同じ距離D1に存在し続けても、得られる位相差φは、領域310の円周方向の両端部と原点とのなす角度θ311からθ312の間でばらつき、算出される距離値Dも同様にばらつく。
【0036】
なお、ノイズ成分の大きさ、すなわち、分布領域の大きさは、入射光量、温度、受光部120の半導体構造、基板構造などにより変化するものであるが、各電荷蓄積部122で蓄積する電荷量C1、C2、C3、C4によって変化するものではない。従って、図6に示すように、いずれの画素であっても、略同じ大きさとなる。また、分布領域は、ノイズ成分がない場合の点P1を中心とし、x軸方向およびy軸方向に、略同等の長さを有する領域となる。
【0037】
図6に示すように、CxおよびCyの絶対値の小さい画素121bの分布領域320は、演算座標上では、分布領域310に比べ、原点に近い。図6の分布領域320を拡大した図7に示すように、分布領域320の円周方向の両端部と原点との成す角度θ321とθ322との範囲は上記の角度θ311とθ312との範囲に比べ大きい。従って、得られる位相差φのばらつきは、分布領域310の場合と比べ大きくなる。
【0038】
さらに、CxおよびCyの絶対値が小さくなると、図8に示すように、その分布領域330の円周方向の両端部と原点との成す角度θ332は0〜2πの全ての値を取りうることなり、もはや距離計測は不可能となる。
【0039】
このように、CxおよびCyの絶対値が小さくなればなるほど、CxおよびCyの分布領域が原点に近づき、位相差φのばらつきが大きくなる。従って、それを用いて算出する距離値Dのばらつきも大きくなり、算出精度は悪化する。逆に、CxおよびCyの絶対値がある程度大きければ、CxおよびCyの分布領域は原点から遠ざかり、位相差φのばらつきは、無視できる程度となり、距離値Dの算出精度にも悪影響を与えない。
【0040】
ここで、演算座標上での、CxおよびCyの分布領域の中心、すなわち、図4におけるP1およびP2の、原点からの距離は、それぞれ、式(4)で求められる。従って、演算座標上では、これらの距離は、それぞれ、画素121aおよび画素121bの強度値Bを意味する。
【0041】
本実施形態では、これを利用し、所定の強度値Bを用いて、各画素について、補正するか否かを判別し、補正を行う画素を絞り込む。すなわち、所定の強度より小さい強度を有する画素のみ補正を行う。
【0042】
なお、所定の強度値B0を有する画素は、演算座標上で同一半径の円上にプロットされる。例えば、図9の例では、所定の強度値B0を有する画素による円401の外の点411を中心とする領域410内に、Cx、Cyの値がプロットされる画素については、補正を行わず、円401内の点412を中心とする領域420内に、Cx、Cyの値がプロットされる画素については、補正を行うものとする。
【0043】
補正は、図10に示すように、時間方向に連続するフレーム(T(n−1)、T(n−2)、・・・)のCx、Cyの値をそれぞれ加算することにより行う。図10における点413、414、415は、加算後のCx,Cyで定まる点である。このとき、加算結果から得られる強度値が、図10の円402で示される強度を越えるまで行う。
【0044】
なお、Cx,Cyの値が分布する領域の大きさを左右する各種ノイズ成分は時間的にランダムなホワイトノイズであるため、領域内の出現頻度は二次元の正規分布で近似することができる。加算回数を増やすことで、この正規分布の分散を減らすことができるため、この領域の大きさを小さくすることができる。さらに、加算後のCx,Cyで定まる点は、加算により原点から遠ざかる方向に移動する。従って、上記加算処理により、分布領域の大きさを小さくすることができ、かつ、原点と分布領域との距離を大きくすることができるため、位相差φのばらつきを小さくすることができ、距離値Dのばらつきも小さくなる。
【0045】
以上を踏まえ、本実施形態では、距離画像生成部140で、Δt毎に各電荷を読み出した後、上記手法で補正処理を施し、補正後の値を用い、距離値を算出し、距離画像を生成する。これを実現する本実施形態の距離画像生成部140について以下、説明する。図11は、本実施形態の距離画像生成部140の機能ブロック図である。
【0046】
本図に示すように、上記補正処理を実現するため、本実施形態の距離画像生成部140は、強度画像生成部141と、演算画像生成部142と、補正画像生成部143と、補正部144と、画像生成部145とを備える。
【0047】
強度画像生成部141は、各電荷蓄積部122に振り分けられた各電荷量C1、C2、C3、C4を用い、式(4)に従って、画素毎の強度値Bを算出し、強度値Bを画素値とする強度画像IBを生成する。
【0048】
演算画像生成部142は、各電荷蓄積部122に振り分けられた各電荷量各電荷量C1、C2、C3、C4を用い、第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyをそれぞれ計算し、第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyをそれぞれ画素値とする第一の演算画像ICxおよび第二の演算画像ICyを生成する。なお、第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyは、以下の式(5)、(6)により計算される。
Cx=C2−C4 (5)
Cy=C1−C3 (6)
【0049】
補正画像生成部143は、強度値B、第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyを用い、後述する補正部144が補正に用いる第一の補正演算画像ICxCORおよび第二の補正演算画像ICyCORを生成する。第一の補正演算画像ICxCORおよび第二の補正演算画像ICyCORは、第一の演算画像ICxおよび第二の演算画像ICyの、強度画像IBの強度値Bが予め定めた閾値以上の画素に対応する画素の画素値を0としたものである。補正画像生成部143は、生成した第一の補正演算画像ICxCORおよび第二の補正演算画像ICyCORを、当該画像を取得した時刻に対応づけて距離画像生成装置100が備える記憶部に記憶する。
【0050】
後述する補正処理では、各画素の演算値に過去の補正演算画像の演算値を加算する。従って、補正に用いる両補正演算画像の、強度値Bが予め定めた閾値以上の画素を0とすることにより、過去に強度値Bが大きく、現在は強度値Bが小さい画素の補正において、過去の強度値Bが大きかった時点での影響を効率的に排除できる。
【0051】
補正部144は、第一の演算画像ICxおよび第二の演算画像ICyを過去の第一の補正演算画像ICxCORおよび第二の補正演算画像ICyCORを用いて補正する。補正は、第一の演算画像ICxおよび第二の演算画像ICyの各画素について、その強度値Bを予め定めた閾値と比較することにより、補正の要否を判別し、補正が必要と判別された画素について行う。各画素は、その強度値が予め定めた閾値より小さい場合、補正が必要と判別される。補正が必要と判別された画素については、時刻の近い順に、過去に生成された第一の補正演算画像ICxCORおよび第二の補正演算画像ICyCORを加算することにより補正を行う。加算は、各画素について、加算後の画素値から算出される強度値Bが予め定めた閾値を越えるまで行う。
【0052】
画像生成部145は、補正部144によって補正された後の第一の演算画像ICxおよび第二の演算画像ICyを用い、式(1)および式(2)に従って、各画素の距離値Dを算出し、距離値Dを画素値とする補正後の距離画像IDを生成する。
【0053】
以下、本実施形態の距離画像生成部140による、補正を含めた距離画像生成処理の流れを説明する。本実施形態では、電荷蓄積部122に電荷が蓄積されると、所定時間毎に読出し、まず、演算画像と補正に用いる補正演算画像とを生成する。そして、演算画像の各画素について補正の要否を判別し、補正が必要な画素のみ、過去の補正演算画像を用いて補正を行う。補正後の演算画像の画素値から距離画像を生成する。
【0054】
図12は、本実施形態の距離画像生成部140による距離画像生成処理の処理フローである。以下、本明細書では、時刻T(n)に電荷蓄積部122から読み出された電荷量から生成される画像の画素値VをV(n)と表す。
【0055】
距離画像生成部140は、各電荷蓄積部122から電荷を読み出すと、演算画像生成部142に、全画素の第一の演算値Cx(n)および第二の演算値Cy(n)を算出させ、第一の演算値Cx(n)を画素値とする第一の演算画像ICx(n)および第二の演算値Cy(n)を画素値とする第二の演算画像ICy(n)を生成させる(ステップS1201)。
【0056】
次に、距離画像生成部140は、強度画像生成部141に、各画素の第一の演算値Cx(n)および第二の演算値Cy(n)を用い、全画素の強度値B(n)を算出させ、強度値B(n)を画素値とする強度画像IB(n)を生成させる(ステップS1202)。
【0057】
次に、距離画像生成部140は、補正画像生成部143に、次の時刻以降の画像の補正に用いる補正演算画像を生成させる。具体的には、まず、補正画像生成部143は、ステップS1202で生成した強度画像IB(n)の各画素について、予め記憶部に保持する第一の閾値TH1と比較する(ステップS1203)。そして、強度値B(n)が第一の閾値TH1以上の画素に対応する画素の画素値を0、それ以外の画素の画素値を、それぞれ、第一の演算画像ICx(n)および第二の演算画像ICy(n)の対応する画素の画素値とし、第一の補正演算画像ICxCOR(n)および第二の補正演算画像ICyCOR(n)を生成する(ステップS1204)。生成した第一の補正演算画像ICxCOR(n)および第二の補正演算画像ICyCOR(n)は、時刻T(n)に対応づけて距離画像生成装置100が備える記憶部に記憶する(ステップS1205)。
【0058】
次に、距離画像生成部140は、補正部144に補正処理を行わせ、第一の演算値Cx(n)および第二の演算値Cy(n)から、それぞれ、補正後の第一の演算値Cx(n)および補正後の第二の演算値Cy(n)を得る(ステップS1206)。補正処理の詳細は後述する。
【0059】
その後、距離画像生成部140は、画像生成部145に距離画像を生成させる。具体的には、画像生成部145は、補正後の第一の演算画像ICx(n)の第一の演算値Cx(n)および第二の演算画像ICy(n)の第二の演算値Cy(n)を用い、各画素の距離値D(n)を算出し、距離値D(n)を画素値とする距離画像ID(n)を生成する(ステップS1207)。そして、距離画像生成部140は、生成した距離画像ID(n)は、時刻T(n)に対応づけて距離画像生成装置100が備える記憶部に記憶する(ステップS1208)。
【0060】
以上の処理により、本実施形態の距離画像生成部140は、時刻T(n)における距離画像ID(n)を得る。
【0061】
次に、上記補正処理内の補正部144による補正処理について説明する。図13は、本実施形態の補正部144による補正処理の処理フローである。各画素には、1から順に画素番号が付与されているものとする。また、全画素数をIとする。以下、本明細書では、時刻T(n)に電荷蓄積部122から読み出された電荷量から生成される画像のi番目の画素の画素値VをV(i、n)と表す。
【0062】
まず、補正部144は、画素番号をカウントする画素カウンタiを初期化(i=1)する(ステップS1301)。また、距離画像生成タイミングをカウントする加算画像カウンタmを初期化(m=1)する(ステップS1302)。そして、i番目の画素の第一の演算値Cx(i、n)および第二の演算値Cy(i、n)を用いて、式(4)に従って、強度値B(i、n)を算出する(ステップS1303)。そして、その結果を、予め記憶部に保持する第二の閾値TH2と比較する(ステップS1304)。
【0063】
算出した強度値Bi(n)が第二の閾値TH2より小さい場合、T(n−m)に対応づけて記憶部に記憶される第一の補正演算画像ICxCOR(n−m)および第二の補正演算画像ICyCOR(n−m)の、対応する画素の画素値である第一の補正演算値CxCOR(i、n−m)および第二の補正演算値CyCOR(i、n−m)を読み出し(ステップS1305)、それぞれ、第一の演算値Cx(i、n)および第二の演算値Cy(i、n)に加算し、加算後の値を第一の演算値Cx(i、n)および第二の演算値Cy(i、n)とする(ステップS1306)。そして、カウンタmを1インクリメントし(ステップS1307)、ステップS1303へ戻り、加算を繰り返す。
【0064】
一方、ステップS1304において、算出した強度値B(i、n)が第二の閾値TH2以上の場合、全ての画素の処理を終えたか否かを判別し(i=I?)(ステップS1308)、終えていれば、処理を終了する。一方未処理の画素がある場合は、iを1インクリメントし(ステップS1309)、ステップS1302へ戻り、処理を繰り返す。
【0065】
以上の補正処理により、本実施形態の補正部144は、各画素の強度値が第二の閾値TH2以上となる、補正後の第一の演算画像ICx(n)および補正後の第二の演算画像ICy(n)を得る。
【0066】
なお、第一の閾値TH1と第二の閾値TH2とは、同じ値であっても、異なる値であってもよい。ただし、TH1≦TH2であることが望ましい。
【0067】
また、加算を繰り返す回数mについて、例えば、予め制約を設けてもよい。最大繰り返し回数としては、例えば、30回程度が現実的である。制約を設ける場合、その回数分だけ、過去の演算画像を保持しておけばよいため、記憶部の容量を節約できる。
【0068】
以上、本実施形態によれば、距離画像センサで各電荷蓄積部122に蓄積された電荷から距離値を算出するにあたり、演算値を補正し、補正後の演算値を用いて算出する。補正後の演算値から距離値を算出するため、高い精度で距離値を得ることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、補正処理において、演算値の補正の要否を強度値により判断し、補正が必要と判別された画素の演算値のみ補正を行う。すなわち、補正が不要な十分な強度値を有する画素は、蓄積された電荷からそのまま距離値を算出し、強度値が不十分な画素のみ、補正処理を行う。従って、距離画像において、影響の大きい強度値の大きい画素は電荷から算出した値をそのまま用いるため、加算の枚数を最小限にすることができ、この画素の時間分解能を維持することができる。また、一方で強度値の小さな画素の距離精度も高めることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、補正処理において加算に用いる補正演算画像は、予め定められた閾値以上の値を有する画素は0にしてある。予め0にしておくことにより、補正対象画素の強度値Bが過去に大きな値を有していた場合の影響を効率的に排除できる。このため、より正確な補正をより高速に行うことができる。
【0071】
従って、本実施形態によれば、撮影対象空間内の対象物に応じて、効率よく高品質の距離画像を得ることができる。
【0072】
上記実施形態では、CPUとメモリと記憶装置とを備える情報処理装置において、CPUが記憶装置に記憶されるプログラムをメモリにロードして実行することにより、制御部130および距離画像生成部140の各機能を実現している。ただし、各機能の実現は、これに限られない。例えば、FPGA等の集積回路で実現してもよい。
【0073】
図14は、上記補正処理の、第一の補正演算画像および第二の補正演算画像の各画素値を得る処理をFPGA等で実現する論理回路のブロック図である。4つの電荷蓄積部2101に蓄積された各電荷(C1、C2、C3、C4)から、演算画像生成部142を構成するブロック2102でC1−C3(=Cy)を演算し、同ブロック2103でC2−C4(=Cx)を演算する。強度画像生成部141を構成するブロック2104で強度値Bを計算し、計算した強度値Bと第一の閾値格納部2105に格納される第一の閾値TH1とを比較器2106で比較する。
【0074】
マルチプレクサ2107および2108は、ブロック2102およびブロック2103の出力である第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyと0とを、それぞれ比較器2106の出力によって切り替える。すなわち、比較器2106からの出力が、計算した強度値Bが第一の閾値TH1以上であることを示すものであれば、マルチプレクサ2107および2108は、それぞれブロック2102および2103の値を0とし、出力する。一方、比較器2106からの出力が、計算した強度値Bが第一の閾値TH1より小さいことを示すものの場合、マルチプレクサ2107および2108は、それぞれブロック2102および2103の値をそのまま出力する。
【0075】
図14に示す論理回路により、電荷蓄積部122に蓄積された電荷から、第一の補正演算値および第二の補正演算値を得る。
【0076】
図15は、上記補正処理の補正処理(ステップS1206)をFPGA等で実現するための論理回路のブロック図である。図中の係数mは繰り返し処理の係数であり、初期値は1である。ブロック2201は補正処理に用いられるデータ源であり、m=1のときは電荷蓄積部122の情報が用いられ、ブロック2202で第一の演算値C1−C3(=Cy)を、ブロック2203では第二の演算値C2−C4(=Cx)をそれぞれ算出する。mが1以外の場合は、データ源2201として補正後の第一の演算画像および第二の演算画像が用いられ、各画素値がブロック2202、2203で用いられる。
【0077】
ブロック2204で第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyを用いて強度値Bを算出し、得られた強度値Bと第二の閾値格納部2205に格納される第二の閾値TH2とを比較器2206で比較する。
【0078】
一方、加算器2207、2208では、ブロック2201およびブロック2202からの出力と、それぞれ、Δt前に取得した第一の補正演算値および第二の補正演算値との加算を行う。
【0079】
マルチプレクサ2209および2210は、加算後の値か加算前の値かを比較器2206の結果によって選択する。すなわち、強度値Bが第二の閾値TH2以上の場合、加算前の値を選択し、強度値Bが第二の閾値TH2より小さい場合は、加算後の値を選択し、第一の演算値および第二の演算値として出力する。そして、加算後の値が選択された場合、カウンタmを1インクリメントし、加算後の第一の演算値および第二の演算値を次の補正処理のデータ源2201とする。一方、加算前の値が選択された場合、ブロック2213において、これらの第一の演算値および第二の演算値から距離画像を生成する。
【0080】
なお、本実施形態では、補正部144による補正処理において、過去の第一の補正演算値CxCORおよび第二の補正演算値CyCORの値を、それぞれ加算している。しかし、補正処理はこれに限られない。例えば、過去の第一の補正演算値CxCORおよび第二の補正演算値CyCORの値との平均値を算出するよう構成してもよい。
【0081】
また、本実施形態では、各電荷蓄積部122に蓄積された電荷量C1、C2、C3、C4から第一の演算値Cxおよび第二の演算値Cyを算出し、各演算値に対して補正を行うよう構成しているが、これに限られない。例えば、演算画像として、各電荷蓄積部122に蓄積された電荷量C1、C2、C3、C4それぞれを保持する4種の画像を用いてもよい。この場合、補正画像として、強度値Bが所定の閾値以上の画素の画素値を0としたものを4種生成し、処理時刻T(n)に対応付けて保持する。補正部144は、処理時刻を遡り電荷量毎に補正画像の画素値をそれぞれ加算する。加算は、加算後の電荷量から算出される強度値Bが第二の閾値を越えるまで行う。
【0082】
さらに、本実施形態では、距離画像生成部140による補正処理を含む距離画像生成処理において、各処理を画像単位で行っているが、これに限られない。例えば、画素毎に、図12に示す全ステップを行うよう構成してもよい。
【0083】
また、補正処理のステップS1303で強度画像B(i,n)を再度算出する代わりに、ステップS1202で算出した強度画像を保持し、これを用いるよう構成してもよい。
【0084】
また、本実施形態では、所定の閾値以上の強度値を有する画素の画素値を0とする第一の補正演算画像および第二の補正演算画像を生成しているが、必ずしもこれらの補正演算画像を生成しなくてもよい。例えば、第一の演算画像および第二の演算画像を時刻T(n)に対応づけて保持し、過去の演算画像を用いて補正を行うよう構成してもよい。この場合、さらに、補正処理内で、加算直前に第一の演算値および第二の演算値から強度値Bを算出し、この強度値Bを第一の閾値TH1と比較し、越えていない場合のみ加算するよう構成してもよい。
【0085】
<<第二の実施形態>>
次に、本発明を適用する第二の実施形態について説明する。本実施形態の距離画像生成装置は、基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。また、本実施形態の距離画像生成処理の流れも基本的に第一の実施形態と同様である。ただし、補正部による補正処理が異なる。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0086】
本実施形態においても、第一の実施形態同様、距離画像生成部140は、電荷蓄積量から各画素の強度値を算出し、強度値が予め定めた閾値以下の画素(補正画素)についてのみ、補正を行う。補正画素については、時間的な平均化技術を用いる。すなわち、同一画素の連続して得られた距離値を加算し、その平均を算出し、距離値とする。加算は、同時に過去の強度画像の画素値(強度値)を加算し、加算後の強度値が閾値以上となるまで行う。
【0087】
図16は、本実施形態の距離画像生成部140の機能ブロック図である。本図に示すように、本実施形態の距離画像生成部140は、強度画像生成部141と、補正部144aと、画像生成部145aと、を備える。本実施形態の強度画像生成部141は、第一の実施形態と同様である。
【0088】
画像生成部145aは、各電荷蓄積部122に振り分けられた各電荷量C1、C2、C3、C4を用い、式(1)および(2)に従って、距離値Dを算出し、算出した距離値Dを画素値とする距離画像IDを生成する。
【0089】
補正部144aは、過去の距離画像IDおよび強度画像IBを用いて、距離値Dを補正する。補正は、距離画像Dの各画素について、補正の要否を判別し、補正が必要と判別された画素について行う。各画素は、対応する強度画像IBの画素の強度値Bが予め定めた閾値より小さい場合、補正が必要と判別される。補正が必要と判別された画素については、時刻の近い順に、過去に生成された距離画像IDの対応する画素の距離値Dを加算し、平均を算出することにより補正を行う。加算は、同時に加算する各画素に対応する強度画像の画素の強度値Bの加算結果が、予め定めた閾値を越えるまで行う。
【0090】
以下、本実施形態の距離画像生成部140による距離画像生成処理の流れを説明する。本実施形態では、電荷蓄積部122に蓄積される電荷を所定時間毎に読出し、まず、強度画像と距離画像とを生成する。そして、強度画像により各画素の補正の要否を判別し、補正が必要な画素のみ、過去の距離画像を用いて補正を行う。図17は、本実施形態の距離画像生成処理の処理フローである。
【0091】
距離画像生成部140は、各電荷蓄積部122から電荷を読み出すと、強度画像生成部141に、各電荷蓄積部122から読み出した電荷から、各画素の強度値B(n)を算出させ、強度値B(n)を画素値とする強度画像IB(n)を生成させる。また、距離画像生成部140は、画像生成部145aに、各画素の距離値D(n)を算出させ、距離値D(n)を画素値とする距離画像ID(n)を生成させる(ステップS1401)。そして、距離画像生成部140は、生成した強度画像B(n)および距離画像ID(n)を、時刻T(n)に対応づけて、距離画像生成装置100が備える記憶部に記憶する(ステップS1402)。
【0092】
次に、距離画像生成部140は、補正部143aに、補正処理を行わせ、各画素の距離値D(n)を更新する。これにより、距離画像生成部140は、補正後の距離値D(n)を画素値とする補正後の距離画像ID(n)を得る(ステップS1403)。本実施形態の補正処理の詳細は後述する。
【0093】
距離画像生成部140は、生成した距離画像ID(n)を、時刻T(n)に対応づけて距離画像生成装置100が備える記憶部に記憶する(ステップS1404)。
【0094】
以上の処理により、本実施形態の距離画像生成部140は、時刻T(n)における距離画像ID(n)を得る。
【0095】
次に、上記距離画像生成処理内の補正部144aによる補正処理について説明する。図18は、本実施形態の補正部144aによる補正処理の処理フローである。ここでは、各画素には、1から順に画素番号が付与されているものとする。また、処理対象の画素数をIとする。
【0096】
まず、補正部144aは、画素番号をカウントする画素カウンタiを初期化(i=1)する(ステップS1501)。そして、i番目の画素の強度値B(i、n)と、予め記憶部に保持する第二の閾値TH2と比較する(ステップS1502)。
【0097】
強度値B(i、n)が第二の閾値TH2より小さい場合、まず、距離画像生成タイミングをカウントする加算画像カウンタmを初期化(m=1)する(ステップS1503)。そして、T(n−m)に対応づけて記憶部に記憶される強度画像IB(n−m)および距離画像ID(n−m)の、対応する画素の画素値である強度値B(i、n−m)および距離値ID(i、n−m)を読み出し(ステップS1504)、それぞれ、強度値B(i、n)および距離値ID(i、n)に加算し、更新する(ステップS1505)。
【0098】
そして、加算後の強度値B(i、n)と第二の閾値TH2とを比較する(ステップS1506)。強度値B(i、n)が第二の閾値TH2より小さい場合、mを1インクリメントし(ステップS1507)、ステップS1504へ移行する。
【0099】
一方、強度値B(i、n)が第二の閾値TH2以上の場合、加算後の距離値ID(i、n)をmで除算した結果で、距離値D(i、n)を更新する(ステップS1508)。そして、全ての処理対象画素の処理を終えたか否かを判別し(i=I?)(ステップS1509)、終えていれば、処理を終了する。一方未処理の画素がある場合は、iを1インクリメントし(ステップS1510)、ステップS1502へ戻り、処理を繰り返す。
【0100】
一方、ステップS1502で強度値B(i、n)が第二の閾値TH2以上の場合、全ての処理対象画素の処理を終えたか否かを判別し(i=I?)(ステップS1507)、終えていれば、処理を終了する。一方、未処理の画素がある場合は、iを1インクリメントし(ステップS1508)、ステップS1502へ戻り、処理を繰り返す。
【0101】
以上の補正処理により、本実施形態の補正部143aは、各画素の強度値が第二の閾値TH2以上となる補正後の距離画像ID(n)を得る。
【0102】
なお、本実施形態においても、第一の閾値TH1と第二の閾値TH2とは、同じ値であっても、異なる値であってもよい。ただし、TH1≦TH2であることが望ましい。
【0103】
また、本実施形態においても、加算を繰り返す回数mについて、制約を設けてもよい。
【0104】
以上説明したように、本実施形態によれば、距離値の補正の要否を、距離値を算出する基とした電荷量から算出した強度値により判断し、補正が必要と判別された画素の距離値のみ補正を行う。すなわち、補正が不要な十分な強度値を有する画素は、蓄積された電荷から算出した距離値をそのまま用い、強度値の小さな画素のみ、距離値を時間方向に平均化する。従って、第一の実施形態同様、距離画像において、影響の大きい強度値の大きい画素は電荷から算出した値をそのまま用いるため、加算の枚数を最小限にすることができ、この画素の時間分解能を維持することができる。また、一方で強度値の小さな画素の距離精度も高めることができる。
【0105】
本実施形態では、CPUとメモリと記憶装置とを備える情報処理装置において、CPUが記憶装置に記憶されるプログラムをメモリにロードして実行することにより、制御部130および距離画像生成部140の各機能を実現している。しかし、第一の実施形態同様、各機能は、FPGA等の集積回路で実現してもよい。また、画素毎に図17に示す全ステップを行うよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0106】
100:距離画像生成装置、110:光源、111:変調光、112:入射光、120:受光部、121:光電変換素子、122:電荷蓄積部、130:制御部、140:距離画像生成部、141:強度画像生成部、142:演算画像生成部、143:補正画像生成部、144:補正部、144a:補正部、145:画像生成部、145a:画像生成部、200:物体、310:分布領域、311:角度、312:角度、320:分布領域、321:角度、322:角度、330:分布領域、332:角度、401:円、402:円、410:領域、411:領域の中心点、412:領域420の中心点、413:点、414:点、415:点、420:領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に変調光を照射する発光源と、前記発光源から照射され前記対象空間内の対象物で反射した反射光を含む変調光を受光して受光光量に応じた電荷に変換する光電変換素子および前記光電変換素子毎に設けられた少なくとも1つ以上の電荷蓄積手段を画素毎に有する受光手段と、前記発光源の変調に同期して前記各光電変換素子で変換した電荷を前記複数の電荷蓄積手段に振り分ける制御手段と、前記電荷蓄積手段に蓄積された電荷から、画素毎の前記対象物までの距離値を求め当該距離値を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成手段と、を備える距離画像生成装置であって、
前記距離画像生成手段は、
前記各電荷蓄積部に蓄積された電荷から、前記変調光の強度値を算出し、当該強度値を画素値とする強度画像を生成する強度画像生成手段と、
各画素の前記強度値に応じて当該画素の補正を行うか否かを決定し、補正を行うと決定された補正対象画素の画素値の補正を行う補正手段と、を備えること
を特徴とする距離画像生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の距離画像生成装置であって、
前記補正手段は、第二の閾値以下の強度を有する画素を前記補正対象画素とすること
を特徴とする距離画像生成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の距離画像生成装置であって、
前記受光手段は、所定の時間間隔で所定の受光期間前記光を受光し、
前記電荷蓄積手段は、前記受光期間毎に前記電荷を蓄積し、
前記補正手段は、
前記受光期間毎に蓄積された電荷量を画素値とする演算画像を生成する演算画像生成手段と、
前記演算画像から補正画像を生成し、前記受光期間に対応づけて保持する補正画像生成手段と、
前記演算画像の前記補正対象画素について、処理対象受光期間より前の受光期間に対応付けて保持される前記補正画像の当該補正対象画素の画素値を受光期間が近い順に加算する加算手段と、
前記加算後の画素値から算出した距離値を、補正後の距離値とする距離値算出手段と、を備え、
前記加算手段は、前記加算を、前記加算後の画素値から算出される強度値が第二の閾値以上となるまで行うこと
を特徴とする距離画像生成装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の距離画像生成装置であって、
前記受光手段は、所定の時間間隔で所定の受光期間前記光を受光し、
前記電荷蓄積手段は、前記受光期間毎に前記電荷を蓄積し、
前記強度画像生成手段は、前記受光期間毎に蓄積された電荷量から強度値を算出し、強度画像を生成し、前記受光期間に対応づけて保持し、
前記補正手段は、
前記受光期間毎に蓄積された電荷量から算出した距離値を画素値とする中間距離画像を生成し、前記受光期間に対応づけて保持する中間距離画像生成手段と、
前記中間距離画像の前記補正対象画素について、処理対象受光期間より前の受光期間に対応づけて保持される前記中間距離画像の当該補正対象画素の画素値を、また、前記強度画像の前記補正対象画素について、処理対象受光期間より前の受光期間に対応づけて保持される当該強度画像の当該補正対象画素の画素値を、それぞれ、受光期間が近い順に加算するとともに、加算後の前期中間距離画像の画素値の平均を算出する加算平均手段と、
前記中間距離画像の加算平均後の画素値を、補正後の距離値とする距離値算出手段と、を備え、
前記加算平均手段は、前記加算を、前記加算後の強度値が第二の閾値以上となるまで行うこと
を特徴とする距離画像生成装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の距離画像生成装置であって、
前記受光手段は、所定の時間間隔で所定の受光期間前記光を受光し、
前記電荷蓄積手段は、前記受光期間毎に前記電荷を蓄積し、
前記補正手段は、
前記受光期間毎に蓄積された電荷量を画素値とする演算画像を生成する演算画像生成手段と、
前記強度画像の画素の強度値が第一の閾値以上の画素に対応する前記演算画像の画素の画素値を0とする補正画像を生成し、前記受光期間に対応付けて保持する補正画像生成手段と、を備え、
前記補正画像を用いて補正を行うこと
を特徴とする距離画像生成装置。
【請求項6】
対象空間に変調光を照射する発光源と、前記発光源から照射され前記対象空間内の対象物で反射した反射光を含む変調光を受光して受光光量に応じた電荷に変換する光電変換素子および前記光電変換素子毎に設けられた少なくとも1つ以上の電荷蓄積手段を画素毎に有する受光手段と、前記発光源の変調に同期して前記各光電変換素子で変換した電荷を前記複数の電荷蓄積手段に振り分ける制御手段と、前記電荷蓄積手段に蓄積された電荷から、画素毎の前記対象物までの距離値を求め当該距離値を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成手段と、を備える距離画像生成装置における距離画像生成方法であって、
前記各電荷蓄積部に蓄積された電荷から、前記変調光の強度値を算出し、当該強度値を画素値とする強度画像を生成する強度画像生成ステップと、
各画素の前記強度値に応じて当該画素の画素値の補正を行うか否かを決定し、補正を行うと決定された補正対象画素の画素値の補正を行う補正ステップと、を備えること
を特徴とする距離画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−122913(P2011−122913A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280352(P2009−280352)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】