説明

身体用積層シート

【課題】通気性、良好な肌触り性、伸縮性および圧縮弾性に優れた身体用積層シートを提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマ樹脂によってフィラメント紡糸されたスパンボンド不織布2を中間層に用いて接着芯地とし、各面状表面材3,4は織編物または立毛状織編物、圧縮ウレタン、皮革類等から選ばれた通気性、伸縮性および圧縮弾性を有する面状シートを加熱圧縮して接着する。身体の所定部位に伸張状態で装着すると、所定部位の外方に凸に湾曲した凸状部分に圧接して、その凸状部分に面方向に引張力を作用させる。胸部、腹部、臀部等の所定部位は、ブラジャー、ボディスーツ、ガードル等によって、所要個所に必要引張り力の接着積層物を適宜の面積、方向に組み合わせたパーツで構成・縫着されて成り、所定部位に接着積層物の通気性、伸縮性および柔軟性を実現し、必要な伸縮力を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着後の硬化を可及的に少なくして、高い通気性を有するとともに、伸縮性および圧縮弾性を実現することができる身体用積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、接着芯地として、ランダムパウダ、ドットおよびハニカム上の塗付形状のうち、ドット法が多用されており、接着芯地を構成する接着剤としては、ポリアミド系接着樹脂、ポリエステル系接着樹脂、ポリエチレン系接着樹脂およびエチレン酢酸ビニル系接着樹脂などが周知である。
【0003】
具体的には、基布の表面に第1樹脂層として熱可塑性の平均粒径が0.01〜10μmの微粒子樹脂を含有する非接着樹脂をドット状にプリントし、このドット状プリント上に第2樹脂層として熱可塑性樹脂を付着させる。第2樹脂層の熱可塑性樹脂の脱落は防止できるが、接着芯地として、特に初期の接着力、ドライクリーニング後の接着力および水洗濯後の接着力の向上に対して、第1樹脂層が架橋性樹脂と熱可塑性の微粒子樹脂と可塑剤との混合物によって形成され、第2樹脂層は熱可塑性樹脂によって実現される(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の従来の技術では、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる低温柔軟性に優れたホットメルトフィルムが提案される。
【0005】
具体的には、脂肪族ジイソシアネート、高分子ジオールおよび低延長剤からなる組成とし、少なくとも1成分が分子内にメチル基側鎖を1個以上持つもの、特に側鎖を持った繰り返し単位の高分子ジオールを用いることが提案される(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−193312号公報
【特許文献2】特開平9−221640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載される従来の技術では、接着芯地を用いた積層シートは、初期の接着力、ドライクリーニング後の接着力および水洗濯後の接着力の向上を図ることができるが、初期の接着抵抗力が大きくても剥離の進行に伴って接着力が低下し、充分な接着力の低下防止を図ることができないという問題がある。
【0008】
また、接着剤の不均一分布および芯地に接着していない部分が存在すると、接着部分と未接着部分との境界に波状のたわみまたは皺が発生し、塗付け形状の大きさによっては、表面に線状の欠陥が発生し、積層シート表面の均質性が低下し、表面が粗い外観を呈して製品品位が低下するという問題がある。
【0009】
さらに、この従来の技術では、ドット部が硬化するため、伸縮性を著しく損なうという問題がある。
【0010】
また、前記特許文献2に記載される従来の技術では、熱可塑性ウレタン樹脂からなるフィルムを用いた積層シートは、通気性を著しく低下させるか、またはほとんどなくなるという問題がある。またこのフィルムにメッシュ状シートからなる表面材を積層して接合すると、表面材から接着樹脂が滲み出し、いわゆる樹脂移りが生じるという問題がある。
【0011】
したがって、特許文献1,2に記載される各従来の技術では、身体の胸部、腹部、臀部、脚部および腕部などの各部位への装着するにあたって要求される諸性状、たとえば通気性、良好な肌触り性、伸縮性および圧縮弾性のすべてを満たすことができず、身体に装着して用いられる身体用積層シートとしては不適切であり、このような問題を解決した身体用積層シートが所望されている。
【0012】
本発明の目的は、通気性、良好な肌触り性、伸縮性および圧縮弾性に優れた身体用積層シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、熱可塑性エラストマ樹脂製のスパンボンド不織布からなる接着芯地の少なくとも一表面に、伸縮性および圧縮弾性を有する面状表面材が接合されることを特徴とする身体用積層シートである。
【0014】
本発明に従えば、熱可塑性エラストマ樹脂製のスパンボンド不織布からなる接着芯地の少なくとも一表面に、伸縮性および圧縮弾性を有する面状表面材が接合されるので、スパンボンド不織布を構成するフィラメントが、積層された面状表面材に対して接触点で溶融して接着し、残余の部分は溶融せずに初期の弾性を維持することができる。これによって、目つぶれが生じず、面状表面材に対して大きな剥離強度で接合されるとともに、起毛した状態が保たれ、優れた通気性、伸縮性および圧縮弾性が確保され、良好な肌触り性を実現することができる。
【0015】
また、スパンボンド不織布は熱可塑性エラストマ樹脂からなるので、面状表面材が天然繊維、合成繊維および人工皮革など異種材料からなるものであっても接着することができ、広範囲の材料からなる面状表面材に対して実施することができ、高い汎用性を有する。しかもスパンボンド不織布の片面または両面に面状表面材を加熱圧縮することによって接合することができるので、製造が容易であり、生産性が向上される。
【0016】
また本発明は、前記熱可塑性エラストマ樹脂は、JIS−A硬さが65度〜95度でかつ流動開始温度が76℃〜148℃の樹脂からなることを特徴とする。
【0017】
さらに本発明は、前記不織布は、低融点ポリマを鞘部にしたフィラメントが相互に融着していることを特徴とする。
【0018】
さらに本発明は、ブラジャー、スリップ、ボディスーツ、ガードルおよびショーツのうちから選ばれた女性用下着の少なくとも一部に用いられることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明は、身体の胸部、腹部、臀部、大腿部、脹脛、腕、足首、膝、肘、腰、肩および首のうちから選ばれた所定部位に伸張状態で装着される弛緩矯正具に少なくとも一部に用いられることを特徴とする。
【0020】
さらに本発明は、足首、膝、肘、腰、肩および首のうちから選ばれた所定部位に伸長状態で装着されるサポータの少なくとも一部に用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接着芯地が熱可塑性エラストマ樹脂製のスパンボンド不織布からなるので、その少なくとも一表面に、表地または裏地として、伸縮性および圧縮弾性を有する面状表面材を、スパンボンド不織布を構成する繊維集合体のフィラメントが点状に溶融結合する、いわゆるサーマルボンデリングによって接合されるので、芯地として目つぶれが生じずに大きな剥離強度が得られ、しかも起毛した状態が保たれるとともに、優れた通気性、伸縮性および圧縮弾性を有し、面状表面材を身体の肌に接触させたとき、優れた肌触り性が得られる。
【0022】
また、スパンボンド不織布は熱可塑性エラストマ樹脂からなるので、面状表面材が天然繊維、合成繊維および人工皮革など異種材料からなるものであっても接着することができ、広範囲の材料からなる面状表面材に対して実施することができ、高い汎用性を実現することができる。しかもスパンボンド不織布と面状表面材とは加熱圧縮することによって接合することができるので、製造が容易であり、生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態の身体用積層シート1の構成を示す一部の拡大断面図である。身体用積層シート1は、目付50g/m〜200g/mの熱可塑性ウレタンエラストマ樹脂からなるスパンボンド不織布2の各表面に、面方向に高い伸縮性および圧縮弾性を有する面状表面材3,4が、加熱圧縮によってそれぞれ接着された構成によって実現される。
【0024】
前記熱可塑性エラストマ樹脂としては、脂肪族ジイソシアネート、高分子ジオールおよび鎖延長剤からなる組成、芳香族ジイソシアネート、高分子ジオールおよび鎖延長剤からなる組成、ならびに脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、高分子ジオールおよび鎖延長剤からなる組成のうちの1つであって、硬さ(JIS−A硬さ)65〜95度および流動開始温度76〜148℃の範囲の熱可塑性ポリウレタン樹脂を85%以上包含する樹脂を使用して紡糸し、連続したフィラメントをシート状に積層した後、積層されたフィラメントの接触点でフィラメント自体を自己の有する熱によって融着接合させた接着不織布、もしくはポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂のそれぞれを使用して紡糸するか、もしくは両者を複合紡糸する。
【0025】
前記ポリエチレン樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンで、密度が0.88〜0.95g/cm、メルトインデックスが10〜100g/10minを含んで構成された組成物で、一方のポリプロピレン樹脂は、ホモポリプロピレンで、メルトインデックスが30g/10min以上に選ばれる。
【0026】
複合紡糸にあたっては、ポリプロピレン樹脂がノズルの芯部を、ポリエチレン樹脂がノズルの鞘部を構成する。いずれも熱可塑性ポリウレタンと同様に連続したフィラメントをシート状に積層した接着芯地としての不織布2に、表面材3,4が、織編物または立毛状織編物、組物、圧縮ウレタンフォーム、皮革類から選ばれた通気性、伸縮性および圧縮弾性を有する素材で構成された3層の身体用積層シートである。
【0027】
このような身体用積層シート1は、各表面材3,4が用途に応じて適宜組み合わせて身体の所定部位に伸張状態で装着される帯状または筒状の身体用弛緩矯正具として好適に実施することができる。
【0028】
このような身体用弛緩矯正具は、身体の胸部、腹部、臀部、大腿部、脹脛、腕、足首、膝、肘、腰、肩および首等の所定部位に伸張状態で装着された状態では、身体用弛緩矯正具は伸縮性を有する弾性構造からなるので、前記所定部位の外方に凸に湾曲した凸状部分に圧接して密着し、その凸状部分に面方向に引張力を作用させ、皮膚に対して適度の緊張力を与えて体型補整機能を付与することができる。
【0029】
これによって胸部、腹部、臀部、大腿部などの所望の部位に固定、もしくは腕、脹脛などはテーッピングによって斜めに重ねて捲回装着して、ずれることなく、適度な締め付け力で広い範囲を覆った状態とし、その範囲の凸状部分を緊張して、その緊張状態を保ち、筋肉サポート機能を付与するため、筋肉疲労の軽減、余分な筋肉や皮膚の皺を矯正することができる。また、足首、膝、肘、腰、肩および首などの所望の部位における安定、保護、筋肉および靭帯のサポートや足首の捻挫予防と保護、さらに関節の動きに対する屈伸への追従、保護することができる。
【0030】
図2は、図1に示される身体用積層シート1を用いた女性用下着10を示す正面図である。前記身体用積層シート1が衣類として実施される場合の一例として、女性用下着10について述べる。この女性用下着10はブラジャーであって、前記身体の所定部位である胸部に装着され、高伸縮性パワーネットおよび低伸縮性パワーネットを面状に重ねて肌側に配置される一方の表面材3と、前記不織布2と、外部に臨んで配置され、任意の装飾模様のレース地等の加飾布からなる他方の表面材4とによって構成される。
【0031】
本実施形態の身体用積層シート1は、収納されるべきバストの頂部近傍を中心とした扇形かつバストの隆起に沿った三次元形状の手指状に形成され、バスト下部および側部を保持するカバー体5の肌側に貼り付けられ、複数の指状部分6が胸部中央側から体側部側にわたってそれぞれ設けられる。前記カバー体5は、バスト下縁線を直線的に横断して前記バストを超えて表身頃部まで延設され、このカバー体のアンダーバスト部に配置された中央基部および体側基部に前記身体用積層シート1は縫付けられて一体に形成される。
【0032】
また本発明の実施の他の形態では、衣類に実施された一例として、前記身体の所定部位は腹部であり、身体のウエスト部分および腹部を覆うガードルとして実現される。高伸縮性の2ウェイトリコット等を各面状表面材3,4とし、各面状表面材3,4間の中間層には熱可塑性ポリウレタン樹脂もしくはポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂を組み合わせた不織布2を用いて構成される。
【0033】
このようなガードルにおいて、身体用積層シート1は、腹部をカバーする腹部布のウエスト位置よりやや下方のほぼ腹部中央部近傍から出発し、少なくとも脇近傍まで至る長さ方向に伸縮可能なやや幅広の左右の第1伸縮性帯状体を備える。前記第1伸縮性帯状体は、前部から脇近傍に至るに従って上方へ斜行して脇近傍でほぼウエスト位置近傍の高さに至り、また前記腹部布のウエスト位置近傍部から、ほぼウエスト位置に沿って脇近傍に至る少なくとも長さ方向の伸縮可能なやや幅広の第2伸縮性帯状体と一体に形成される。
【0034】
また本発明の実施の他の形態では、同様な機能を付与したバンドタイプであってもよい。
【0035】
さらに本発明の実施の他の形態では、前記身体の所定部位は、胸部、腹部の上下丈に応じたブラジャー部とウエスト部とガードル部とを備えたボディスーツのカバー体で、前記ブラジャーおよびガードルに用いた接着積層物または類似の組合せで得た接着積層物で構成し、前身頃はウエストラインを挟んでブラジャー部とガードル部とを上下に分割して開口を設け、この分割された前身頃のブラジャー部とガードル部とをそれぞれ後身頃に縫着し、かつ後身頃のウエストラインを挟む両側脇線位置に前開きとなる左右一対のウエストニッパーを縫着し、これらウエストニッパーの先端に着脱自在に係止を取り付け一体に形成される。
【0036】
さらに本発明の実施の他の形態では、前記身体用積層シート1は、ショートガードル、ショーツ、スパッツ、スポーツ用タイツなどのカバー体であり、前記ブラジャーおよびガードルに用いた熱可塑性ポリウレタン樹脂の不織布2を中間層に、各面状表面材3,4に比較的薄地の伸縮性織物または伸縮性シングル丸編地を用いた構成とし、臀部の下部中央から臀部と大腿上部後面との付け根部を経て、少なくとも大腿上部側面までにわたる部位に対し、伸縮性帯状体を設ける。他に、緊迫力の強弱を有する織編物からなる接着積層物を簡易に上下・左右配置する程度に、後身頃のみ上下・左右各2枚の構成で縫着する。
【0037】
また、大腿部および脹脛を覆うスパッツは、強い緊迫力を有する2ウェイトリコット織編物を各表面材3,4に用いた1枚の身体用積層シート1によって構成されてもよい。このようなスパッツによって大腿部を包容し、スポーツ用タイツによって大腿部および脹脛に至るまでの領域を低伸縮性タイツによって包容する構成としてもよい。
【0038】
前記低伸縮性タイツは、着用者の下腹部に対向して引張り力P1を発生する第1部分と、背中側腰部から骨盤にわたって対向し引張り力P2を発生する第2部分と、背腰部から大腿外側・下腿部内側にわたって対向し引張り力P3を発生する第3部分と、大腿内側から下腿外側を経て膝の上部にわたって対向しかつ前記第3部分と交差し引張り力P4を発生する第4部分からなり、前記第1〜第4部分が連続的に連なって各部分で所期の締付け力が発生するように構成される。これらの引張り力P1〜P4の関係は、
P1=P2=P3>P4>P …(1)
に選ばれる。
【0039】
さらに本発明の実施の他の形態では、膝、足首などのカバー体であって、前記ポリオレフィン系樹脂製の不織布1を中間層に用い、一方の表面材3に面状ファスナ機能を有するフレンチパイル経編地またはシンカーパイル丸編地を、他方の表面材4に圧縮ウレタンを用いた構成を成す膝サポータとして実現される。
【0040】
この膝サポータは、膝開けを境として、上部を下腿部まで伸ばしながら装着し、その下部に上脹脛部に屈伸のし易さを確認しながら位置を整える。足首サポータは、距骨関節下方の足を包囲した状態であたかもソックスを装着するように距腿関節上方に達するまで持ち上げ、両サイドにあるバンドで固定する。
【0041】
また、腕、肘、大腿、脹脛などに装着される帯状サポータは、その他の希望する任意の部位に装着されてもよい。
【0042】
また本発明の実施の他の形態では、前記身体の所定部位である足のカバー体として実現される。このカバー体は、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の不織布2を中間層とし、各表面材3,4は共に皮革(牛皮)または人工皮革(上)、ピッグ(下)を組合せた接着積層物として構成し、ドレス用およびカジュアル用革靴、特にブーツ、スポーツシューズ等として実現される。
【0043】
前記足のカバー体として実施される場合において、前記不織布2は、ポリウレタン弾性フィラメントが積層状態で相互に接合された弾性繊維不織布であり、目付25g/m〜200g/m、伸度15%以上、ポリウレタン弾性繊維の混用率51%以上で、かつ通気性を有する。
【0044】
さらに本発明の実施の他の形態では、ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂からなるポリエチレンフィラメントが積層状態で相互に接合された不織布であり、あるいはポリプロピレンフィラメントがポリエチレンと同様であり、あるいはまたポリエチレンが鞘部、ポリプロピレンが芯部を形成したフィラメントが相互に積層状態で相互に接合された不織布であり、いずれの接着不織布も目付30g/m〜150g/m、伸度15%以上、ポリエチレン繊維およびポリプロピレン繊維の混用率が共に30%以上で、かつ通気性を有する。
【0045】
さらに本発明の実施の他の形態では、前述の各実施の形態の各表面材3,4として、織物では、ポプリン、サージ、ギャバジンおよびサテン類の綿布、毛織物、絹織物またはタフタ、ポンジー、オーガンジーなどの合繊織物、特に単糸デニールが0.1デニール以下のマイクロファイバからなる高密度織物、起毛織物もしくはポリウレタン弾性繊維混ストレッチ織物、帆布類、経編物では、ハーフトリコット、サテントリコット、ラッセルサテンネットおよびメッシュ調ネット、もしくは2Wayトリコット、スパンラッセルのポリウレタン弾性繊維混ストレッチ経編物、丸編物では、天竺、フライス編、インターロック(2段または3段)、2/1または2/2ツイル、ウエルトリップル、また立毛状織編物では、別珍、コージュロイ、フレンチパイル、シンカーパイル、裏毛パイル、ベロア、ベルベット、組物では、平テープ、圧縮ウレタン、皮革類では、ラム革およびシープ革、カーフ革およびキップ革、ピッグ革、スエード、ヌバック、ベロア、人工皮革では、スエード調あるいは銀面付、またはラビット、ホックス毛皮等である。
【0046】
ここで、糸使いは、フィラメントとして、ナイロン、ポリエステル、アクリロニトリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、レーヨン、アセテート、絹類または混紡糸、交撚糸およびポリウレタン弾性繊維、ポリイミド、ポリエチレン、ポリアリレート等の高強力繊維等である。さらに、紡糸段階で添加または後加工でコーテイング処理した各種機能性を付与処理した保温・蓄熱、保湿、UV、キチン・キトサン、制菌、消臭、防汚、制電、電磁波シールド等に好適に用いることができる。
【0047】
さらに本発明の実施の他の形態では、前記身体用積層シート1を衣料または資材として、ファンデーション類のブラジャーでは、ブラジャー、ブラスリップ、バンド状ブラ、ボディスーツ、あるいはレオタード、水着等ボディライクなトップのカップ部に、ガードルでは、ショートガードル、セミロングガードルおよびロングガードル、インナー類のショーツ、サポートストッキング、サージカルタイツ、ソックス、雑品類の腹巻、腰痛バンド、各種サポータおよびスポーツサポータ、靴類の革靴、スポーツシューズ等に好適に用いることができる。
【0048】
以上の実施の各形態によれば、伸縮性および柔軟性に優れ、さらに洗濯性およびドライクリーニング性に優れた身体用積層シートを容易にかつ安価に実現することができ、高い汎用性を有する素材を提供することができる。また熱可塑性エラストマ樹脂製のスパンボンド不織布からなる接着芯地の少なくとも一表面に、伸縮性および圧縮弾性を有する面状表面材が接合されるので、スパンボンド不織布を構成するフィラメントが、積層された面状表面材に対して接触点で溶融して接着し、残余の部分は溶融せずに初期の弾性を維持することができる。これによって、目つぶれが生じず、面状表面材に対して大きな剥離強度で接合されるとともに、起毛した状態が保たれ、優れた通気性、伸縮性および圧縮弾性が確保され、良好な肌触り性を実現することができる。
【0049】
また、スパンボンド不織布は熱可塑性エラストマ樹脂からなるので、面状表面材が天然繊維、合成繊維および人工皮革など異種材料からなるものであっても接着することができ、広範囲の材料からなる面状表面材に対して実施することができ、高い汎用性を有する。しかもスパンボンド不織布の片面または両面に面状表面材を加熱圧縮することによって接合することができるので、製造が容易であり、生産性を向上することができる。
【0050】
さらに、前述の実施の各形態では、スパンポンド不織布2を接着芯地として用い、この不織布2の両面に面状表面材3,4を接着して接合する構成について述べたが、本発明の実施のさらに他の形態では、前記不織布2の一表面だけに面状表面材を接着して接合する構成であってもよい。この場合においても、同様な効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の一形態の身体用積層シート1の構成を示す一部の拡大断面図である。
【図2】図1に示される身体用積層シート1を用いた女性用下着10を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 身体用積層シート
2 不織布
3,4 表面材
5 カバー体
6 指状部分
10 女性用下着

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマ樹脂製のスパンボンド不織布からなる接着芯地の少なくとも一表面に、伸縮性および圧縮弾性を有する面状表面材が接合されることを特徴とする身体用積層シート。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマ樹脂は、JIS−A硬さが65度〜95度でかつ流動開始温度が76℃〜148℃の樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の身体用積層シート。
【請求項3】
前記不織布は、低融点ポリマを鞘部にしたフィラメントが相互に融着していることを特徴とする請求項1または2記載の身体用積層シート。
【請求項4】
ブラジャー、スリップ、ボディスーツ、ガードルおよびショーツのうちから選ばれた女性用下着の少なくとも一部に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の身体用積層シート。
【請求項5】
身体の胸部、腹部、臀部、大腿部、脹脛、腕、足首、膝、肘、腰、肩および首のうちから選ばれた所定部位に伸張状態で装着される弛緩矯正具に少なくとも一部に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の身体用積層シート。
【請求項6】
足首、膝、肘、腰、肩および首のうちから選ばれた所定部位に伸長状態で装着されるサポータの少なくとも一部に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の身体用積層シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−31849(P2007−31849A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213129(P2005−213129)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(505092717)有限会社CNJ JAPAN (3)
【Fターム(参考)】