説明

車両における車室前部構造

【課題】車体の幅方向に延びて車体に締結されるクロスメンバと、クロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えた車両における車室前部構造において、クロスメンバおよびインスツルメントパネルの車体に対する組み付け作業が、より容易にできるようにする。
【解決手段】コラムブラケット17の上方域でクロスメンバ16から前方に向かって突出し、その下面25aにブレース28の後端部を当接させて締結させるブレースブラケット25を設ける。車両1の側面視で、コラムブラケット17の上面17aとブレースブラケット25の下面25aとにより前方に向かって開く横向きのV字形状開口37を形成する。ブレース28の後端部とブレースブラケット25とを上下方向で嵌合させ、これら25,28の締結前の嵌合により、これら25,28が車体2の幅方向で相対移動することが規制されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の前端域で車体の幅方向に延びて車体に締結されるクロスメンバと、このクロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えた車両における車室前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両における車室前部構造には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両における車室前部構造は、車体内部の車室の前端域で車体の幅方向に延び、その長手方向方の各端部が車体の左右側部にそれぞれ締結されるクロスメンバと、このクロスメンバから前方に向かって突出し、その突出部にステアリングコラムを支持するコラムブラケットと、上記車室の前面を形成する車体の前部分から後方に向けて突出し、その後端部に上記クロスメンバ側を締結させるブレースと、上記クロスメンバをその後方から覆って、このクロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えている。
【0003】
また、上記構成において、クロスメンバ側の上面に、前後方向に延びる誘導溝が形成され、この誘導溝と上記ブレースの後端部とが互いに嵌合している。そして、この嵌合により、上記クロスメンバ側とブレースの後端部とが車体の幅方向で相対移動することが規制されている。
【0004】
上記構成において、クロスメンバおよびインスツルメントパネルの車体に対する組み付け作業は、次の如くとされている。
【0005】
即ち、まず、上記クロスメンバにインスツルメントパネルを固着して組立体(モジュール)を形成する。次に、この組立体を車室の前端域に向かうようその後方から前方移動させる。この際、上記ブレースの後端部にクロスメンバ側の誘導溝を上下方向で嵌合させる。すると、上記ブレースの後端部と組立体とは車体の幅方向で相対移動することが規制され、上記ブレースの後端部に対する車体の幅方向での所定位置に上記組立体が位置決めされる。このため、この状態のままで、上記組立体を前方移動させれば、この組立体は、車体の幅方向の所定位置を保ったまま、前方に向かって案内される。
【0006】
次に、車体の前後方向で、上記ブレースの後端部に対する所定位置に上記組立体を位置させ、この組立体のクロスメンバの各端部を車体の左右側部にそれぞれ締結すると共に、上記ブレースの後端部に上記クロスメンバ側を締結すれば、上記組み付け作業が終了する。つまり、上記組立体の組み付け作業時には、作業者の視界は、形状の大きいインスツルメントパネルによって狭められることから、この組み付け作業は煩雑になりがちである。しかし、上記構成によれば、この組み付け作業の作業性が向上することとされている。
【特許文献1】特開2000−38056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記組み付け作業では、上記したように組立体を前方移動させる際に、ブレースの後端部にクロスメンバ側の誘導溝を嵌合させることにより、組立体を車体の幅方向の所定位置に位置決めさせるが、上記従来の技術による組み付け作業においては、ブレースの後端部にクロスメンバ側の誘導溝を嵌合させるまでの上記組立体の案内については、何ら考慮されていない。このため、上記組み付け作業を、より容易にさせるという点で、改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車体の幅方向に延びて車体に締結されるクロスメンバと、このクロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えた車両における車室前部構造において、クロスメンバおよびインスツルメントパネルの車体に対する組み付け作業が、より容易にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、車体2内部の車室3の前端域で車体2の幅方向に延び、その長手方向方の各端部が車体2の左右側部9にそれぞれ締結されるクロスメンバ16と、このクロスメンバ16から前方に向かって突出し、その突出部にステアリングコラム19を支持するコラムブラケット17と、上記車室3の前面を形成する車体2の前部分10から後方に向けて突出し、その後端部に上記クロスメンバ16側を締結させるブレース28と、上記クロスメンバ16に固着されるインスツルメントパネル39とを備えた車両における車室前部構造において、
上記コラムブラケット17の上方域で上記クロスメンバ16から前方に向かって突出し、その下面25aに上記ブレース28の後端部を当接させて上記のように締結させるブレースブラケット25を設け、車両1の側面視で、上記コラムブラケット17の上面17aと上記ブレースブラケット25の下面25aとにより前方に向かって開く横向きのV字形状開口37を形成し、
上記ブレース28の後端部とブレースブラケット25とを上下方向で嵌合させ、これら25,28の締結前の嵌合により、これら25,28が車体2の幅方向で相対移動することが規制されるようにしたことを特徴とする車両における車室前部構造である。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、車体内部の車室の前端域で車体の幅方向に延び、その長手方向方の各端部が車体の左右側部にそれぞれ締結されるクロスメンバと、このクロスメンバから前方に向かって突出し、その突出部にステアリングコラムを支持するコラムブラケットと、上記車室の前面を形成する車体の前部分から後方に向けて突出し、その後端部に上記クロスメンバ側を締結させるブレースと、上記クロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えた車両における車室前部構造において、
上記コラムブラケットの上方域で上記クロスメンバから前方に向かって突出し、その下面に上記ブレースの後端部を当接させて上記のように締結させるブレースブラケットを設け、車両の側面視で、上記コラムブラケットの上面と上記ブレースブラケットの下面とにより前方に向かって開く横向きのV字形状開口を形成し、
上記ブレースの後端部とブレースブラケットとを上下方向で嵌合させ、これらの締結前の嵌合により、これらが車体の幅方向で相対移動することが規制されるようにしている。
【0013】
このため、上記クロスメンバおよびインスツルメントパネルの車体に対する組み付け作業をする場合には、まず、上記ブレースブラケットが突設されたクロスメンバにインスツルメントパネルを固着してモジュールである組立体を形成する。次に、この組立体を車室の前端域に向かうようその後方から前方移動させる。そして、この組立体の前方移動時に、上記ブレースの後端部に上記V字形状開口を嵌合させる。すると、上記ブレースの後端部に対し上記V字形状開口を形成する上面もしくは下面が前方に向かい摺動して、上記ブレースの後端部に対する上下方向での所定位置に上記組立体が案内され、位置決めされる。
【0014】
また、上記組立体の前方移動時であって、上記した上下方向での所定位置に案内される際に、上記ブレースの後端部に上記組立体のブレースブラケットを上下方向で嵌合させる。すると、上記ブレースの後端部と組立体とは車体の幅方向で相対移動することが規制され、上記ブレースの後端部に対する車体の幅方向での所定位置に上記組立体が位置決めされる。このため、この状態のままで、上記組立体を更に前方移動させれば、この組立体は、車体の幅方向の所定位置を保ったまま、前方に向かって案内される。
【0015】
次に、車体の前後方向で、上記ブレースの後端部に対する所定位置に上記組立体を位置させ、この組立体のクロスメンバの各端部を車体の左右側部にそれぞれ締結すると共に、上記ブレースの後端部に上記組立体のブレースブラケットを締結すれば、上記組み付け作業が終了する。
【0016】
つまり、上記組立体の組み付け作業時には、作業者の視界は、形状の大きいインスツルメントパネルによって狭められることから、この組み付け作業は煩雑になりがちである。しかし、この組み付け作業において、組立体を車室の前端域に向かうようその後方から前方移動させたとき、上下方向、かつ、車体の幅方向のそれぞれで、上記ブレースの後端部に対し上記組立体が所定位置に位置決め可能とされる。よって、上記組み付け作業はより容易にできる。
【0017】
しかも、上記組み付け作業において、ブレースの後端部に対する組立体の上記各位置決めは、上記ステアリングコラムを支持するコラムブラケットと、ブレースを締結させるブレースブラケットとを利用することにより達成されたのであり、よって、これらを利用した分、上記組み付け作業は簡単な構成で達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の車両における車室前部構造に関し、車体の幅方向に延びて車体に締結されるクロスメンバと、このクロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えた車両における車室前部構造において、クロスメンバおよびインスツルメントパネルの車体に対する組み付け作業が、より容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0019】
即ち、車両における車室前部構造は、車体内部の車室の前端域で車体の幅方向に延び、その長手方向方の各端部が車体の左右側部にそれぞれ締結されるクロスメンバと、このクロスメンバから前方に向かって突出し、その突出部にステアリングコラムを支持するコラムブラケットと、上記車室の前面を形成する車体の前部分から後方に向けて突出し、その後端部に上記クロスメンバ側を締結させるブレースと、上記クロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備える。
【0020】
上記コラムブラケットの上方域で上記クロスメンバから前方に向かって突出し、その下面に上記ブレースの後端部を当接させて上記のように締結させるブレースブラケットが設けられる。車両の側面視で、上記コラムブラケットの上面と上記ブレースブラケットの下面とにより前方に向かって開く横向きのV字形状開口が形成される。上記ブレースの後端部とブレースブラケットとが上下方向で嵌合させられ、これらの締結前の嵌合により、これらが車体の幅方向で相対移動することが規制されている。
【実施例】
【0021】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0022】
図1〜5において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、車両1の前方に向かってのこの車両1の車体2の幅方向をいうものとする。
【0023】
上記車体2の内部空間が車室3とされる。上記車体2は、上記車室3の前端部の左右側方に位置される左右一対のフロントピラー4,4と、車体2の幅方向に延びて上記左右フロントピラー4,4のそれぞれ長手方向の中途部に架設されるフロントカウル5と、このフロントカウル5から下方に向けて延出し、この延出端縁部が上記車室3の下面を形成する不図示のフロアパネルの前縁部に結合されるダッシュパネル6とを備えている。
【0024】
上記各フロントピラー4とフロントカウル5とは、それぞれ車体2の骨格部材を構成している。また、上記各フロントピラー4は、上記車体2の左右各側部9,9を構成し、また、上記フロントカウル5とダッシュパネル6とは車室3の前面を形成する車体2の前部分10を構成している。上記各フロントピラー4の後側には、車室3の内外を連通させるドア開口11が形成されている。また、上記フロントカウル5の上側には、フロントウィンド開口12が形成され、このフロントウィンド開口12はウィンドガラス13により閉じられている。
【0025】
上記車室3の前端域、かつ、上記フロントカウル5の後方近傍域で、車体2の幅方向に延びるクロスメンバ16が設けられている。このクロスメンバ16の長手方向の各端部は車体2の左右各側部9(フロントピラー4)に対し、それぞれ詳図しないボルト、ナットの締結具15により締結される。上記クロスメンバ16はピラーツーピラーメンバといわれるもので、金属の円形パイプ製とされ、上記車体2の前部を補強するものである。
【0026】
上記クロスメンバ16の長手方向の中途部における右側部から、前、後下方に向かって突出する板金製の前、後コラムブラケット17,18が設けられている。これらコラムブラケット17,18の下方域を後上方に延びるようステアリングコラム19が設けられている。このステアリングコラム19は上記各コラムブラケット17,18の突出部にそれぞれ締結具20により締結されて、上記クロスメンバ16に支持されている。上記ステアリングコラム19には、このステアリングコラム19の軸心回りにステアリングシャフト21が回転可能に支持され、このステアリングシャフト21の後上端部に不図示のハンドルが支持される。
【0027】
上記車室3の右側部における車体2の前部分10(フロントカウル5)から後方に向かって前ブレースブラケット24が一体的に突設されている。一方、上記クロスメンバ16から前上方に向かって後ブレースブラケット25が一体的に突設されている。前後方向に延び、その前後各端部が上記前、後ブレースブラケット24,25にそれぞれ締結具26,27により締結されるブレース28が設けられている。上記各ブレースブラケット24,25とブレース28とはそれぞれ板金製で、上記ブレース28はクロスメンバ16を補強している。
【0028】
上記後ブレースブラケット25は、車両1の前後方向に沿った視線で見て(図5)、その断面がU字形状とされ、底板31と、この底板31の各側端部から一体的に上方に延出する左右側板32,32とを備えている。また、上記ブレース28も、同上視線で見て(図5)、その断面がU字形状とされ、底板34と、この底板34の各側縁部から一体的に上方に延出する左右側板35,35とを備え、上記ブレース28の上面側には凹部36が形成されている。
【0029】
上記後ブレースブラケット25と上記ブレース28の後端部の上面側の凹部36とは上下方向で互いに嵌合し、上記後ブレースブラケット25の底板31の下面25aと、上記ブレース28の後端部の底板34の上面とが互いに面当接して、上記締結具27により互いに締結されている。
【0030】
上記車両1の側面視(図1)で、上記前コラムブラケット17の上面17aは前下方に向かって直線的に延びている。一方、上記後ブレースブラケット25の底板31の下面25aは前上方に向かって直線的に延びている。これら上面17aと下面25aとは、前方に向かって開く横向きのV字形状開口37を形成している。このV字形状開口37の開口角はほぼ90°とされているが、0°を越え120°未満であればよく、30°〜100°がより好ましい。また、上記ブレース28の後端部の先端は、上記V字形状開口37の底部内面のうち、上記コラムブラケット17の上面17aに近接(当接含む)させられている。
【0031】
上記後ブレースブラケット25とブレース28の後端部との上記締結具27による締結の以前の状態では、上記後ブレースブラケット25と上記ブレース28の後端部とは、これら25,28の嵌合により、車体2の幅方向での相対移動が規制される。
【0032】
上記クロスメンバ16、各コラムブラケット17,18、各ブレースブラケット24,25、およびブレース28をその後方から覆って、上記クロスメンバ16に複数の締結具38により固着される樹脂製のインスツルメントパネル39が設けられている。上記後ブレースブラケット25の側板35から一体的に外側方に延出する延長ブラケット41が設けられている。この延長ブラケット41に対し、上記インスツルメントパネル39の一部が一つの上記締結具38により固着されている。
【0033】
特に、図5において、上記締結具38の側方近傍における上記インスツルメントパネル39の部分に開口42が形成されている。上記後ブレースブラケット25とブレース28の後端部とを締結させる締結具27への操作は、上記インスツルメントパネル39の外部(後方)側から、上記開口42を通し工具43により行われる。
【0034】
図6において、上記クロスメンバ16およびインスツルメントパネル39の上記車体2に対する組み付け作業につき説明する。
【0035】
まず、上記後ブレースブラケット25が突設されたクロスメンバ16に上記後ブレースブラケット25と延長ブラケット41とを介し締結具38によりインスツルメントパネル39を固着してモジュールである組立体45を形成する。次に、この組立体45を車室3の前端域に向かうようその後方からほぼ水平に前方移動Aさせる。そして、この組立体45の前方移動A時に、上記ブレース28の後端部に上記V字形状開口37を嵌合させる。すると、上記ブレース28の後端部に対し上記V字形状開口37を形成する上面17aもしくは下面25aが前方に向かい摺動して、上記ブレース28の後端部に対する上下方向での所定位置に上記組立体45が案内され、位置決めされる。
【0036】
また、上記組立体45の前方移動A時であって、上記した上下方向での所定位置に案内される際に、上記ブレース28の後端部に上記組立体45の後ブレースブラケット25を上下方向で嵌合させる。すると、上記ブレース28の後端部と組立体45とは車体2の幅方向で相対移動することが規制され、上記ブレース28の後端部に対する車体2の幅方向での所定位置に上記組立体45が位置決めされる。このため、この状態のままで、上記組立体45を更に前方移動Aさせれば、この組立体45は、車体2の幅方向の所定位置を保ったまま、前方に向かって案内される。
【0037】
次に、車体2の前後方向で、上記ブレース28の後端部に対する所定位置に上記組立体45を位置させ、この組立体45のクロスメンバ16の各端部を車体2の左右側部9にそれぞれ締結具15により締結すると共に、上記ブレース28の後端部に上記締結具27により組立体45の後ブレースブラケット25を締結すれば、上記組み付け作業が終了する。
【0038】
つまり、上記組立体45の組み付け作業時では、作業者の視界が、形状の大きいインスツルメントパネル39によって狭められることから、この組み付け作業は煩雑になりがちである。しかし、この組み付け作業において、組立体45を車室3の前端域に向かうようその後方から前方移動Aさせたとき、上下方向、かつ、車体2の幅方向のそれぞれで、上記ブレース28の後端部に対し上記組立体45が所定位置に位置決めされる。よって、上記組み付け作業はより容易にできる。
【0039】
しかも、上記組み付け作業において、ブレース28の後端部に対する組立体45の上記各位置決めは、上記ステアリングコラム19を支持する前コラムブラケット17と、ブレース28を締結させる後ブレースブラケット25とを利用することにより達成されたのであり、よって、これら17,25を利用した分、上記組み付け作業は簡単な構成で達成される。
【0040】
また、前記構成によれば、ブレース28の後端部を上記V字形状開口37の底部内面に近接(当接含む)させている。
【0041】
このため、上記組み付け作業において、組立体45を前方移動Aさせたとき、上記ブレース28の後端部に上記V字形状開口37の底部内面を近接させてやれば、上記ブレース28の後端部に対する車体2の前後方向での所定位置に上記組立体45を位置決めでき、これにより、上記ブレース28の後端部への組立体45のブレースブラケット25の締結が容易にできる。よって、上記組み付け作業は更に容易にできる。
【0042】
なお、以上は図示の例によるが、上記各ブレースブラケット24,25は車体2の前部分10やクロスメンバ16に対し締結具により固着されるものであってもよい。また、上記後ブレースブラケット25は、矩形断面形状であってもよい。また、上記後ブレースブラケット25の断面を下方に向かって開く倒立U字形状とし、この後ブレースブラケット25に上記ブレース28の後端部が嵌入されるようにしてもよい。また、V字形状開口37は厳密にV字形でなくてよく、その内底部は底辺の短い台形状であってもよい。また、車体2の側面視で、上記V字形状開口37の上面17aと下面25aとは多少円弧状に湾曲していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】車両の側面部分断面図である。
【図2】車室の前端域の斜視図である。
【図3】図2の部分拡大斜視図である。
【図4】図3の一部を別角度で見た斜視図である。
【図5】図1のV−V線矢視断面拡大図である。
【図6】組み付け作業を説明する図で、図1に相当する図である。
【符号の説明】
【0044】
1 車両
2 車体
3 車室
9 側部
10 前部分
15 締結具
16 クロスメンバ
17 コラムブラケット
17a 上面
19 ステアリングコラム
25 ブレースブラケット
25a 下面
27 締結具
28 ブレース
31 底板
32 側板
34 底板
35 側板
36 凹部
37 V字形状開口
38 締結具
39 インスツルメントパネル
45 組立体
A 前方移動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体内部の車室の前端域で車体の幅方向に延び、その長手方向方の各端部が車体の左右側部にそれぞれ締結されるクロスメンバと、このクロスメンバから前方に向かって突出し、その突出部にステアリングコラムを支持するコラムブラケットと、上記車室の前面を形成する車体の前部分から後方に向けて突出し、その後端部に上記クロスメンバ側を締結させるブレースと、上記クロスメンバに固着されるインスツルメントパネルとを備えた車両における車室前部構造において、
上記コラムブラケットの上方域で上記クロスメンバから前方に向かって突出し、その下面に上記ブレースの後端部を当接させて上記のように締結させるブレースブラケットを設け、車両の側面視で、上記コラムブラケットの上面と上記ブレースブラケットの下面とにより前方に向かって開く横向きのV字形状開口を形成し、
上記ブレースの後端部とブレースブラケットとを上下方向で嵌合させ、これらの締結前の嵌合により、これらが車体の幅方向で相対移動することが規制されるようにしたことを特徴とする車両における車室前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−116023(P2010−116023A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290089(P2008−290089)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】