説明

車両に用いられる、クラッシュエネルギを消失させるための受動的なクラッシュボックスおよびクラッシュボックスを有する車両

【課題】従来のクラッシュボックスに比べて多くのクラッシュエネルギが吸収されるようにする。
【解決手段】車両に用いられる、クラッシュエネルギを消失させるための受動的なクラッシュボックスであって、少なくとも1つのばねエレメント(14)を有する少なくとも1つのばね式アキュムレータ(10)が設けられていて、ばね式アキュムレータ(10)が、少なくとも静止状態(RS)、運転状態(BS)または圧縮状態(KS)を占めるようになっていて、潜在的なクラッシュを認知した場合に、制御信号が、ばね式アキュムレータ(10)を可逆的に静止状態から運転状態に移行させ、ばねエレメントが、可逆的に選択された状態に関連して、予め規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収し、ばね式アキュムレータが、クラッシュ中に圧縮状態に達すると、変形可能なエネルギアブソーバ(20)が、別のクラッシュエネルギ割合を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、車両に用いられる、クラッシュエネルギを消失させるための受動的なクラッシュボックスであって、クラッシュ時に変形可能な少なくとも1つのエネルギアブソーバが設けられていて、該エネルギアブソーバが、クラッシュエネルギの所定の割合を消失させるために塑性変形を被るようになっている形式の受動的なクラッシュボックスに関する。
【0002】
本発明は請求項7および8の上位概念部に記載の形式の、上記の形式の少なくとも1つのクラッシュボックスを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0003】
車両に用いられる、エネルギアブソーバ(エネルギ吸収体)を備えたクラッシュボックスは公知先行技術から公知である。エネルギアブソーバは、変形ユニットと、被変形ユニットとを有している。この場合、クラッシュエネルギは、変形ユニットの変形エレメントに伝達され、変形エレメントは、被変形エレメント内に案内される。この場合、クラッシュエネルギの所定の割合が、被変形ユニットの塑性変形によって消失される。被変形ユニットの摩擦特性の変更および/または変形エレメントの摩擦特性の変更を介して、クラッシュボックスのエネルギ吸収特性は変化され得る。規定された限界値を上回るクラッシュエネルギを伴う衝突時に、クラッシュボックスは規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収する。この場合、クラッシュボックスに結合された緩衝器装置のみが損傷され、自動車に設けられた別のボディ構成部材は損傷されないままである。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009029475号明細書には、たとえば、車両の、アクチュエータを介して操作可能なクラッシュボックスを調節する方法が記載される。クラッシュ状況を示すセンサ信号は、評価されて、調節信号を生成するために考慮される。この調節信号が、アクチュエータを調節し、アクチュエータは、クラッシュボックスの剛度を変化させる。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4113031号明細書には、衝突方向に進出可能な、ばね弾性的に支承された緩衝器装置が記載されている。この緩衝器装置は、エネルギアブソーバと、前置された、静止状態において予荷重をかけられたばねエレメントとを有している。記載されたシステムは、省スペースである。なぜならば、緩衝器もしくはバンパは、クラッシュ状況前またはクラッシュ状況中にのみ適当な区間だけ進出させられ、これによって付加的な変形スペースが達成されるからである。さらに緩衝器は、予荷重をかけられたばねエレメントを介して迅速に進出させられる。ばねエレメントは、クラッシュ状況前またはクラッシュ状況中に弛緩する。エネルギアブソーバは、円筒体と、ピストンとを有している。円筒体には液体が充填されていて、ピストンは、円筒体内で案内される。さらに、エネルギアブソーバの緩衝特性は変更され得る。この場合、この変更は、センサユニットの、クラッシュに関するデータに応じて制御される。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19847385号明細書には、自動車のための緩衝器装置と、緩衝器装置を回復させる手段とが記載されている。この場合、緩衝器装置は、静止位置と、運転位置とを有している。この場合、緩衝器装置の緩衝器は、静止位置と運転位置との間で可動に支承されている。さらに、緩衝器装置は、緩衝器に作用して予荷重をかけられたばね式アキュムレータを有している。ロック装置が、緩衝器をセンサユニットの信号に関連して静止位置に保持する。ロック装置のロック解除時に、ばね式アキュムレータは緩衝器を急速に機能位置に移行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009029475号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4113031号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19847385号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、公知のクラッシュボックスを改良して、従来のクラッシュボックスに比べて多くのクラッシュエネルギが吸収されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するための本願の請求項1に記載の構成では、冒頭で述べた形式の受動的なクラッシュボックスにおいて、少なくとも1つのばねエレメントを有する少なくとも1つのばね式アキュムレータが設けられていて、該ばね式アキュムレータが、少なくとも静止状態、運転状態または圧縮状態を占めるようになっていて、潜在的なクラッシュを認知した場合に、制御信号が、ばね式アキュムレータを可逆的に静止状態から運転状態に移行させるようになっており、ばねエレメントが、可逆的に選択された状態に関連して、予め規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収し、ばね式アキュムレータが、クラッシュ中に圧縮状態に達すると、変形可能なエネルギアブソーバが、別のクラッシュエネルギ割合を吸収するようにした。
【0010】
本発明の有利な態様では、少なくとも1つのばねエレメントが、ばね式アキュムレータの静止状態では、第1の吸収領域を提供し、該第1の吸収領域が、第1の圧縮可能な区間を有しており、少なくとも1つのばねエレメントが、ばね式アキュムレータの運転状態では、最大の吸収領域を提供し、該最大の吸収領域が、最大の圧縮可能な区間を有しており、ばねエレメントが、ばね式アキュムレータの圧縮状態では、最小の吸収領域を提供し、該最小の吸収領域が、最小の圧縮可能な区間を有している。
【0011】
本発明の有利な態様では、ばねエレメントが、圧縮によってクラッシュエネルギを吸収し、ばねエレメントが、運転状態では最大のクラッシュエネルギ割合を吸収し、静止状態では比較的小さな第1のクラッシュエネルギ割合を吸収し、圧縮状態では、最小のクラッシュエネルギ割合を吸収する。
【0012】
本発明の有利な態様では、被変形ユニットと、変形ユニットと、ばね式アキュムレータとが、テレスコープ状に互いに内外に入れ子になっており、ばねエレメントが、ばね式アキュムレータのケーシングにおいて内側で支持されていて、変形ユニットのケーシングにおいて外側で支持されている。
【0013】
本発明の有利な態様では、ばね式アキュムレータの静止状態では、ばねエレメントに予荷重がかけられていて、ロック装置が、ばねエレメントを、予荷重がかけられた位置に保持しており、制御信号が、ロック装置の非作動を生ぜしめ、これによって、ばねエレメントが弛緩し、かつばね式アキュムレータが、運転状態に移行する。
【0014】
本発明の有利な態様では、少なくとも1つの別のエネルギアブソーバが、エアバッグとして形成されていて、該エアバッグが、作動された運転状態では膨らませられていて、付加的な吸収領域を提供する。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の請求項7に記載の構成では、車両であって、車体前部構造体と、車体後部構造体と、少なくとも1つのクラッシュボックスと、評価兼制御ユニットとが設けられていて、クラッシュボックスが、車体前部構造体および/または車体後部構造体に結合されていて、評価兼制御ユニットが、クラッシュに関する情報を少なくとも1つのセンサユニットから受信し、評価する形式の車両において、少なくとも1つのクラッシュボックスが、本発明による受動的なクラッシュボックスとして形成されていて、評価兼制御ユニットが、少なくとも1つの受動的なクラッシュボックスを制御するための制御信号を生成するようにした。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の請求項8に記載の構成では、車両であって、フレームと、ハンドルと、評価兼制御ユニットとが設けられており、該評価兼制御ユニットが、クラッシュに関する情報を少なくとも1つのセンサユニットから受信し、評価する形式の車両において、請求項1から6までのいずれか1項記載の少なくとも1つの受動的なクラッシュボックスが設けられていて、該クラッシュボックスが、ハンドルの領域で、二輪車のフレームに取り付けられていて、評価兼制御ユニットが、少なくとも1つの受動的なクラッシュボックスを制御するための制御信号を生成するようにした。
【0017】
本発明による車両の有利の態様では、少なくとも2つの受動的なクラッシュボックスが、結合プレートを介して互いに結合されている。
【0018】
本発明による車両の有利の態様では、算出された予想クラッシュエネルギが、予め規定された閾値を上回ると、評価兼制御ユニットが、ばね式アキュムレータの状態変換のための制御信号を出力する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の特徴部に記載の特徴を備えた、車両に用いられる本発明による受動的なクラッシュボックスは、車両の種々異なる部分においてクラッシュエネルギを緩衝するか、もしくは消失させるために、有利な形式で、緩衝器装置に、かつ/またはボディの長手方向ビームの端部に設けられた延長部として、かつ/または車体前部構造体に、かつ/または車体後部構造体に、かつ/または車両における別の適当な位置に取り付けられ得る。この場合、本発明による受動的なクラッシュボックスは、少なくとも1つのばねエレメントを備えた少なくとも1つのばね式アキュムレータ(Federspeicher)を有している。ばね式アキュムレータは、少なくとも静止状態、運転状態または圧縮状態を占める。この場合、制御信号が、潜在的なクラッシュが検知された場合に、ばね式アキュムレータを有利な形式でリバーシブルもしくは可逆的に静止状態から運転状態に移行させる。この場合、ばねエレメントは、可逆的に選択された状態に応じて、予め規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収する。この場合、変形可能なエネルギアブソーバは、ばね式アキュムレータがクラッシュ中に圧縮状態に達すると、有利な形式で別のクラッシュエネルギ割合を吸収する。この場合、ばね式アキュムレータとエネルギアブソーバとがクラッシュエネルギを消失させる方法および形式は互いに異なっている。エネルギアブソーバは、エネルギ吸収時に変形されて、しかも非可逆的に塑性変形される。このことは、エネルギアブソーバが損傷され、かつ/または破壊されることを意味している。ばね式アキュムレータは、所定のクラッシュエネルギ割合を、有利な形式でばねエレメントの可逆的な圧縮を介して吸収する。消失されるべきクラッシュエネルギが、ばね式アキュムレータの吸収可能な最大のクラッシュエネルギ割合よりも小さな場合、エネルギアブソーバは、有利にはクラッシュエネルギを消失させるためには使用されず、したがって破壊されない。さらに、ばね式アキュムレータが、付加的なクラッシュエネルギを吸収することができるので、ばね式アキュムレータを有しない従来のクラッシュボックスに比べて多くのクラッシュエネルギが吸収され得る。これによって、有利な形式で、修理コストを削減し、かつ車両乗員のための高い安全性を保証することができる。
【0020】
請求項7の特徴部に記載の特徴を有する本発明による車両は、本発明による少なくとも1つのクラッシュボックスが、車両の車両前部構造体および/または車両後部構造体に結合されているという利点を有している。たとえば自動車がある対象物に衝突する場合のようなクラッシュ時に、車両の部材および車両の乗員を保護するために、自動車に作用するクラッシュエネルギが有利な形式で部分的にまたは完全に受動的なクラッシュボックスにより吸収され得る。受動的なクラッシュボックスの可逆的な構造によって、クラッシュエネルギが小さな場合には、有利な形式で修理コストを削減することができる。なぜならば、可逆的なクラッシュボックスのばね式アキュムレータが、クラッシュボックスの変形可能なエネルギアブソーバを使用し損傷させることなしに、発生した小さなクラッシュエネルギを吸収するからである。
【0021】
請求項8の特徴部に記載の特徴を有する本発明による車両は、本発明による少なくとも1つのクラッシュボックスが、ハンドルの領域で車両のフレームに取り付けられているという利点を有している。このことは、ドライバに有利な形式で付加的な保護を提供し、これにより重傷者および死傷者の数を減じることができる。
【0022】
本発明の実施の形態は、車両に用いられる、クラッシュエネルギを消失させるためのクラッシュボックスを有している。クラッシュボックスは、衝突時に変形可能な少なくとも1つのエネルギアブソーバを有していてよい。エネルギアブソーバは、クラッシュエネルギの所定の割合を消失させるために、塑性変形を被り得る。本発明によれば、クラッシュボックスは、少なくとも1つのばねエレメントを備えたばね式アキュムレータを有している。この場合、ばね式アキュムレータは、少なくとも静止状態、運転状態または圧縮状態を占める。潜在的なクラッシュが検知された場合、制御信号は、ばね式アキュムレータを可逆的に静止状態から運転状態に移行させる。この場合、ばねエレメントは、可逆的に選択された状態に応じて、予め規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収し、この場合、変形可能なエネルギアブソーバは、ばね式アキュムレータがクラッシュ中に圧縮状態に達すると、別のクラッシュエネルギ割合を吸収する。制御信号は、有利には、評価兼制御ユニットによって提供され得る。評価兼制御ユニットは、クラッシュに関する情報を少なくとも1つのセンサユニットから受信し、評価する。
【0023】
少なくとも1つのセンサユニットは、たとえば車両における衝突領域を求める圧力敏感なセンサ、および/または対象物および/または障害物および/または別のクラッシュに関する車両周辺データを求め、評価のために提供するセンサを有している。このようなセンサは、たとえばビデオ技術および/またはレーダ技術および/またはLiderおよび/またはPMDおよび/または超音波技術に基づいていてよい。評価兼制御ユニットは、少なくとも1つのセンサユニットのデータを評価し、センサ信号に関連して相応する制御信号を車両に据え付けられた受動的なクラッシュボックスに対して出力する。
【0024】
請求項2以下に記載された手段および変化形によって、請求項1に記載された車両に用いられる受動的なクラッシュボックスと、請求項8および9に記載された車両との有利な改良形が可能である。
【0025】
特に有利には、少なくとも1つのばねエレメントが、ばね式アキュムレータの静止状態で第1の吸収領域を提供し、該第1の吸収領域が、第1の圧縮可能な区間を有していてよく、少なくとも1つのばねエレメントが、ばね式アキュムレータの運転状態で最大の吸収領域を提供し、該最大の吸収領域が、最大の圧縮可能な区間を有していてよく、少なくとも1つのばねエレメントが、ばね式アキュムレータの圧縮状態で最小の吸収領域を提供し、該最小の吸収領域が、最小の圧縮可能な区間を有していてよい。これによって、有利には、種々異なりかつ/または状況に適合された吸収領域が、クラッシュエネルギを消失させるために提供され得る。拡大された吸収領域に基づいて、特に小さな自動車において、かつ/または二輪車において、かつ/またはいわゆる四輪バイクにおいて、乗員もしくはドライバおよび同乗者のための、クラッシュ状況で安全性が高められ得る。特に二輪車の場合に、クラッシュボックスの構成エレメントが前輪を超えて突出するほど最大の吸収領域が大きく形成されている場合、有利な形式で、走行方向での転倒もしくは前転ピッチング(Ueberschlag)が阻止され得る。障害物への衝突時に放出される、前輪に作用するクラッシュエネルギは、障害物が十分に高い場合、付加的に、受動的なクラッシュボックスを介して受け止められ得る。
【0026】
本発明による受動的なクラッシュボックスの有利な形態では、ばねエレメントは、圧縮によりクラッシュエネルギを吸収し、この場合、運転状態では、最大のクラッシュエネルギ割合が吸収可能であり、静止状態では、比較的小さな第1のクラッシュエネルギ割合が吸収可能であり、圧縮状態では、最小のクラッシュエネルギ割合が吸収可能である。有利には、ばねエレメントは、圧縮によって破壊されない。さらに、吸収可能なエネルギを状況に適合させて変更するための容易に実現可能な方法が可能となる。この実現のためには、有利には廉価な構成部材が使用され得る。さらに、このような受動的なクラッシュボックスは、ほぼ全ての車両に組み込まれ得る。有利には、クラッシュボックスの変形可能なエネルギアブソーバは、圧縮状態への到達時にようやく作動される。この場合、ばね式アキュムレータが圧縮の開始時にどの状態にあるかは重要ではない。クラッシュエネルギがばね式アキュムレータの吸収エネルギを上回るやいなや、ばね式アキュムレータは圧縮状態に移行し、別のクラッシュエネルギは変形可能なエネルギアブソーバに導入され、このエネルギアブソーバによって吸収される。
【0027】
本発明による受動的なクラッシュボックスの有利な別の態様では、変形可能なエネルギアブソーバが、被変形ユニットと、変形ユニットとを有している。変形ユニットは、ばね式アキュムレータとテレスコープ状に入れ子になっていてよい。ばねエレメントは、有利には、ばね式アキュムレータのケーシングにおいて内側で支持されていて、変形ユニットのケーシングにおいて外側で支持されている。この態様では、変形ユニットの変形エレメントは、心棒および/またはピストンとして形成されていてよい。被変形ユニットは、たとえば先細りする横断面を備えた管としてされてよい。有利には、これらの構成部材は、円筒状に形成されていて、この場合、これらの構成部材は、長手方向で可動に支承されている。変形可能なエネルギアブソーバは、エネルギを、心棒および/またはピストンによる管の変形を介して吸収する。有利には、まずばねエレメントが、ばね特性を介して所定可能なクラッシュエネルギ割合を吸収する。圧縮状態への到達時に、エネルギは、変形ユニットの心棒に伝達される。有利には、テレスコープ状の構造によって別のエネルギがケーシングの摩擦を介して消失され得る。
【0028】
本発明による受動的なクラッシュボックスの有利な別の態様では、ばね式アキュムレータの静止状態で、ばねエレメントに予荷重がかけられていて、ロック装置が、ばねエレメントを、予荷重がかけられた位置に保持する。この場合、制御信号は、ロック装置の非作動を生ぜしめる。これによって、ばねエレメントは弛緩し、ばね式アキュムレータは、運転状態に移行する。有利には、ばね式アキュムレータの吸収特性は、エネルギアブソーバの吸収特性に調和されている。この場合、ばねエレメントは、圧縮位置への到達まで、クラッシュエネルギおよび/または戻しエネルギをエネルギアブソーバ内に全く導入しないか、または僅かにしか導入しないので、エネルギアブソーバは変形されない。有利には、ばね式アキュムレータは、予荷重をかけられたばねエレメントを介して、ロック装置の解除後に迅速に運転状態に移行される。
【0029】
本発明による受動的なクラッシュボックスの有利な別の態様では、エアバッグとして形成された別の少なくとも1つのエネルギアブソーバが設けられている。エアバッグは、作動された運転状態で膨らませられていて、付加的な吸収領域を提供することができる。有利には、エアバッグの組込みは、クラッシュエネルギの吸収の増大をもたらす。エアバッグは、有利には、別のエネルギアブソーバとは無関係に、または別のエネルギアブソーバに関連して作動され得る。
【0030】
本発明による車両の有利な態様では、2つのクラッシュボックスが、結合プレートを介して互いに結合されている。有利には、結合プレートは、ばね式アキュムレータが運転状態にあると、進出させられる。これによって、結合プレートおよび2つのクラッシュボックスは、ハンドルの変形が生じる前に、所定のクラッシュエネルギ割合を吸収する。さらに、クラッシュボックスは、車両を制動し、車両の転倒を阻止する。
【0031】
本発明による車両の有利な別の態様では、評価兼制御ユニットは、算出された予想クラッシュエネルギが、予め規定された少なくとも1つの閾値を上回ると、ばね式アキュムレータの状態変更のための制御信号を出力する。有利には、受動的なクラッシュボックスは、上記目的のために、予想センサシステムと組み合わせられてよい。この予想センサシステムは、障害物との衝突をその発生前に検知することができる。したがって、たとえば周辺センサシステムが使用され得る。周辺センサシステムは、ビデオ技術および/またはレーダ技術および/またはLidarおよび/またはPMDおよび/または超音波技術に基づいている。予想センサシステムによって、受動的なクラッシュボックスの作動は、有利には、衝突の前に実施され得る。吸収領域の早期の拡張は、ドライバおよび同乗者の改善された保護をもたらす。予想クラッシュエネルギが閾値を下回っていると、ばね式アキュムレータは、静止位置に留まる。したがって、比較的小さなクラッシュエネルギは、静止状態のばね式アキュムレータによって消失され得る。これによって、ばね式アキュムレータの摩耗を最小限にすることができる。なぜならば、ばね式アキュムレータは、ばね式アキュムレータの運転状態における付加的な吸収可能なクラッシュエネルギおよび付加的な吸収領域が必要な場合に、運転状態に移行するだけだからである。
【0032】
本発明の実施の形態を図面に示し、以下の説明で詳しく説明する。図面では、同一のもしくは類似の機能を実施する構成要素もしくは構成部材には同様の符号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】少なくとも1つの本発明による受動的なクラッシュボックスを備えた車両の概略的なブロック図である。
【図2】静止状態のばね式アキュムレータを備えた、本発明による受動的なクラッシュボックスの第1の実施の形態を示す概略的な断面図である。
【図3】運転状態のばね式アキュムレータを備えた、図2に示した本発明による受動的なクラッシュボックスの第1の実施の形態を示す概略的な断面図である。
【図4】クラッシュ中の、図2に示した本発明による受動的なクラッシュボックスの第1の実施の形態を示す概略的な断面図である。
【図5】クラッシュ中の、図2に示した本発明による受動的なクラッシュボックスの第2の実施の形態を示す概略的な断面図であり、ばね式アキュムレータが圧縮状態に到達してクラッシュエネルギが変形可能なエネルギアブソーバに導入されているところを示す図である。
【図6】静止状態のばね式アキュムレータとエアバッグとを備えた、本発明による受動的なクラッシュボックスの第2の実施の形態を示す概略的な断面図である。
【図7】図6に示した本発明による受動的なクラッシュボックスの第2の実施の形態を運転状態で示す概略的な断面図である。
【図8】図2に示した2つの受動的なクラッシュボックスを備えた車両を示す概略的な平面図である。
【図9】図6に示した2つの受動的なクラッシュボックスを備えた車両を示す概略的な平面図である。
【図10】2つの受動的なクラッシュボックスを備えた車両のハンドルを示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1から判るように、本発明による車両40は、車体前部構造体42と、車体後部構造体46と、少なくとも1つの受動的なクラッシュボックス1,1’と、評価兼制御ユニット5とを有している。受動的なクラッシュボックス1,1’は、車体前部構造体42および/または車体後部構造体46に結合されている。評価兼制御ユニット5は、衝突もしくはクラッシュに関する情報を、少なくとも1つのセンサユニット44から受信し、評価する。評価兼制御ユニット5は、少なくとも1つの受動的なクラッシュボックス1,1’を制御するための制御信号を生成する。
【0035】
図2〜図7から判るように、車両40,50に用いられる受動的なクラッシュボックス1,1’の図示された実施の形態は、クラッシュ時に変形可能な少なくとも1つのエネルギアブソーバ20を有している。エネルギアブソーバ20は、クラッシュエネルギEの所定の割合を消失させるために、塑性変形ΔBを被る。
【0036】
本発明によれば、受動的なクラッシュボックス1,1’は、少なくとも1つのばねエレメント14を備えたばね式アキュムレータ10を有している。ばね式アキュムレータ10は、少なくとも静止状態RS(図2または図6)、運転状態BS(図3および図7)または圧縮状態KSを占める。この場合、センサ信号は、検知された潜在的なクラッシュ時にばね式アキュムレータ10を可逆的に静止状態RSから運転状態BSに移行させる。この場合、ばねエレメント14は、可逆的に選択された状態RS,BS,KSに応じて、予め規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収する。ばね式アキュムレータ10がクラッシュの間に圧縮状態KSに達すると、変形可能なエネルギアブソーバ20が、別のクラッシュエネルギ割合を吸収する。
【0037】
図2〜図7から判るように、エネルギアブソーバ20は、被変形ユニット24と、変形ユニット22とを有している。図示された実施の形態では、変形ユニット22は、ピストンまたは心棒またはロッドとして形成された変形エレメント22.1を有している。被変形ユニット24は、管として形成されている。管は、変形エレメント22.1を収容し、変形エレメント22.1の収容中に変形させられる。有利には、管として形成された被変形ユニット24の内径は先細りしている。図示された実施の形態では、管として形成された被変形エレメント24の収容部直径は、ピストンまたは心棒またはロッドとして形成された変形エレメント22.1の直径よりも細く形成されている。変形ユニット22は、特に円柱状に形成されていて、被変形ユニット24の長手方向軸線に沿って移動可能に支承されている。さらに、被変形ユニット24に物質が充填されているか、または被変形ユニット24が粗い表面を有していてよい。
【0038】
さらに図2〜図7から判るように、被変形ユニット24と、変形ユニット22と、ばね式アキュムレータ10とはテレスコープ状に互いに内外に入れ子になっている。この場合、ばね式アキュムレータ10のばねエレメント14は、ばね式アキュムレータ10のケーシングにおいて内側で支持されていて、変形ユニット22のケーシングにおいて外側で支持されている。ばねエレメント14は、特にコイルばねとして形成されている。この場合、ばね巻条の半径は、変形ユニット22の方向で減少している。当然ながら、弾性的なばねエレメントの、当業者に公知の別の実施の形態も、ばね式アキュムレータ10において使用され得る。
【0039】
さらに図2から判るように、ばね式アキュムレータ10は、通常の場合またはクラッシュ状況が存在しないかつ/またはクラッシュ状況が検知されない場合、静止状態RSにある。静止状態RSでは、クラッシュボックス1は、2つのエネルギ割合を吸収することができる。1つのエネルギ割合は、ばねエレメント14の可逆的な圧縮を介して吸収されてよく、別のエネルギ割合は、エネルギアブソーバ20の変形を介して吸収され得る。静止状態RSでは、変形エレメント22.1は、被変形エレメント24内に位置しているのではなく、被変形エレメント24に単に当て付けられている。ばねエレメント14には予荷重がかけられていて、ロック装置12によって保持されている。このロック装置12は、ばねエレメント14に対して平行に延びていて、ばねエレメント14の弛緩を阻止する。図示された実施の形態では、ロック装置12は、安全スイッチとして形成されている。安全スイッチは、評価兼制御ユニット5の制御信号を介して作動され、かつばねエレメント14をクラッシュ時に解放する。
【0040】
ばね式アキュムレータ10の吸収特性は、変形可能なエネルギアブソーバ20の吸収特性に調和されていて、この場合、ばねエレメント14の戻し力が、静止状態RSでエネルギアブソーバ20の変形を起こさないようにされる。これによって、エネルギアブソーバ20が、静止状態RSで、ばねエレメント14の戻し力によって変形されることは回避される。
【0041】
図2からさらに判るように、ばねエレメント14は、ばね式アキュムレータ10の静止状態RSで、第1の吸収領域A1を提供する。第1の吸収領域は、第1の圧縮可能な区間l1を有している。ばねエレメント14は、この区間l1だけ圧縮されて、エネルギを吸収することができる。
【0042】
さらに図3から判るように、ばね式アキュムレータ10の運転状態BSでは、ロック装置12が非作動にされている。ばねエレメント14は、弛緩される、つまり予荷重を取り除かれて、「通常の」長さにまで拡大されている。これによって、ばね式アキュムレータ10は、静止状態RSから、運転状態BSに移行されている。さらに、ばね式アキュムレータ10の吸収領域は、最大の吸収領域Amaxへと拡大されている。最大の吸収領域Amaxは、最大の圧縮可能な区間lmaxを有している。これによって、圧縮可能なばねエレメント14は、拡大された圧縮区間lmaxにわたって、最大のエネルギを吸収することができる。予荷重をかけられたばねエレメント14の、簡単に実現可能なロック解除に基づいて、調節可能なエネルギ吸収性が実現される。図示された運転状態BSでは、同様に2つのエネルギ割合が吸収され得る。つまり、図2に比べて、ばねエレメント14の拡大された圧縮エネルギ割合と、変形可能なエネルギアブソーバ20の同一に維持された変形エネルギ割合とが吸収され得る。
【0043】
図3〜図5からさらに判るように、ばね式アキュムレータ10は、運転状態BSを起点として、発生したクラッシュエネルギEを圧縮により吸収する。なぜならば、ばねエレメント14が、クラッシュエネルギによって圧縮されて、この圧縮によってエネルギを吸収するからである。エネルギ吸収の間に、圧縮可能な区間は、最大の圧縮可能な区間lmaxから最小の圧縮可能な区間lminにまで減少する。
【0044】
図4は、ばねエレメント14の、最大の圧縮可能な区間lmaxと最小の圧縮可能な区間lminとの間の中間位置を示している。したがって、別のクラッシュエネルギEは、エネルギアブソーバ20によって吸収され得る。ばねエレメント14が、最小の圧縮可能な区間lminに達すると、ばね式アキュムレータ10は圧縮状態KSに位置して、クラッシュエネルギを、図5から判るように、変形可能なエネルギアブソーバ20内に伝達する。
【0045】
さらに図2〜図5から判るように、ばねエレメント14は、ばね式アキュムレータ10の圧縮状態KSでは、最小の吸収領域Aminを有している。この最小の吸収領域Aminは、最小の圧縮可能な区間lminを有している。ばねエレメント14は、この状態では、エネルギアブソーバ10内にエネルギを導入することなしにさらに圧縮することはできない。
【0046】
さらに図5から判るように、エネルギアブソーバ20は、所定のクラッシュエネルギ割合を吸収する。エネルギアブソーバ20内で、変形エレメント22.1が、被変形ユニット24内に押し込まれて、被変形ユニット24を変形させる。この場合、エネルギアブソーバ20の、予め規定された最大の長手方向の延在長さl0が、区間ΔBだけ短縮される。このようなエネルギ消失の形態は、可逆的ではない。したがって、エネルギアブソーバ20は、クラッシュ後に交換されなければならない。
【0047】
さらに図6および図7から判るように、第2の実施の形態は、吸収領域を増すために、少なくとも1つの別のエネルギアブソーバ30を有している。このエネルギアブソーバ30は、エアバッグとして形成されていて、静止状態RSAでは折り畳まれている。作動された運転状態BSAでは、エアバッグ30が膨らませられていて、クラッシュエネルギを緩衝もしくは消失させるための付加的な吸収領域ΔCを提供している。ばね式アキュムレータ10と、変形可能なエネルギアブソーバ20とによるクラッシュエネルギEの消失は、すでに図2〜図5に関して説明したので、ここでは、繰り返しの説明は省略する。エアバッグとして形成されたエネルギアブソーバ30の作動は、ばね式アキュムレータ10が運転状態BSに移行された場合に行われる。
【0048】
ロック装置12およびエアバッグとして形成されたエネルギアブソーバ30の制御のために、評価兼制御ユニット5が、少なくとも1つのセンサユニット44からの、クラッシュに関する情報を評価し、相応する制御信号をクラッシュボックス1,1’もしくはロック装置12およびエネルギアブソーバ30に出力する。
【0049】
図8から判るように、図示された本発明による自動車40’は、2つのクラッシュボックス1を有している。これらのクラッシュボックス1は、車体前部構造体42に結合されている。クラッシュボックス1はそれぞれ、少なくとも1つのばねエレメント14を備えたばね式アキュムレータ10と、変形可能なエネルギアブソーバ20とを有している。図示された静止状態では、ばね式アキュムレータ10は、クラッシュエネルギの予め規定された割合を吸収することができる。対象物(図示せず)との潜在的なクラッシュを認知した場合に、評価兼制御ユニット5は、認知された衝突の重大さに応じて、制御信号を生成し、この制御信号は、ばね式アキュムレータ10を可逆式に静止状態RSから運転状態BSに移行させる。車両に配置されたクラッシュボックス1のばね式アキュムレータ10は、互いに無関係に運転状態に移行され得る。
【0050】
図9から判るように、図示された本発明による自動車40"は、2つのクラッシュボックス1’を有している。これらのクラッシュボックス1’は、車体前部構造体42に結合されている。クラッシュボックス1’はそれぞれ、少なくとも1つのばねエレメント14を有するばね式アキュムレータ10と、変形可能なエネルギアブソーバ20と、エアバッグとして形成された別のエネルギアブソーバ30とを有している。図示された運転状態では、ばねエレメント14は弛緩されていて、ばね式アキュムレータ10は、予め規定された最大の割合のクラッシュエネルギを吸収することができるようになっている。付加的には、エアバッグ30が膨らませられていて、クラッシュエネルギを緩衝もしくは消失するための別の吸収領域を提供する。図9からさらに判るように、評価兼制御ユニット5は、対象物(図示せず)との潜在的なクラッシュと、高いクラッシュエネルギとを検知し、制御信号を生成する。制御信号は、ばね式アキュムレータ10を可逆的に静止状態RSから運転状態BSに移行させ、エアバッグ30を作動させる。車両に配置されたクラッシュボックス1’のばね式アキュムレータ10とエアバッグ30とは、互いに無関係に運転状態に移行され得る。これによって、たとえば2つの閾値を1つの記憶ユニット内に記録することができる。第1の閾値を上回った場合に、ばね式アキュムレータ10のみが運転状態BSに移行される。第2の閾値を上回った場合に、エアバッグ30と、ばね式アキュムレータ10とが運転状態BSに移行される。択一的には、エアバッグ30の、別の状態への移行が、対応するばね式アキュムレータ10の、別の状態への移行に連携されていてよく、これによって、たとえば、ばねエレメント14が弛緩された場合に、エアバッグ30が運転状態に移行する。
【0051】
図10から判るように、フレーム52と、ハンドル54とを有する車両50、たとえばオートバイまたはいわゆる四輪バイクでは、少なくとも1つのクラッシュボックス1,1’が、ハンドル54の領域で車両50のフレーム52に取り付けられている。図示された実施の形態では、2つのクラッシュボックス1,1’が、結合プレート56を介して互いに結合されている。この場合、2つのクラッシュボックス1,1’の間の中間室には、ステアリングコラムのためのスペースが空けられているので、クラッシュボックス1,1’は、ハンドル54の下方に配置されている。クラッシュ時に、ばね式アキュムレータ10は、結合プレート10を移動させ、クラッシュエネルギを吸収するための吸収スペースを拡大させる。これによってドライバには、できるだけ大きな保護を提供することができる。この場合、結合プレート56は、クラッシュ時に、前輪を超えて突出し、したがって対象物との衝突時に、後輪の上昇の危険と、車両50の転倒の危険とを減じることができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1’ クラッシュボックス
5 評価兼制御ユニット5
10 ばね式アキュムレータ
12 ロック装置
14 ばねエレメント
20 エネルギアブソーバ
22 変形ユニット
22.1 変形エレメント
24 被変形ユニット
30 エアバッグ
40,40’ 車両
42 車体前部構造体
44 センサユニット
46 車体後部構造体
50 車両
52 フレーム
54 ハンドル
56 結合プレート
RS 静止状態
BS 運転状態
KS 圧縮状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる、クラッシュエネルギを消失させるための受動的なクラッシュボックスであって、クラッシュ時に変形可能な少なくとも1つのエネルギアブソーバ(20)が設けられていて、該エネルギアブソーバ(20)が、クラッシュエネルギの所定の割合を消失させるために塑性変形(ΔB)を被るようになっている形式の受動的なクラッシュボックスにおいて、
少なくとも1つのばねエレメント(14)を有する少なくとも1つのばね式アキュムレータ(10)が設けられていて、該ばね式アキュムレータ(10)が、少なくとも静止状態(RS)、運転状態(BS)または圧縮状態(KS)を占めるようになっていて、潜在的なクラッシュを認知した場合に、制御信号が、ばね式アキュムレータ(10)を可逆的に静止状態(RS)から運転状態(BS)に移行させるようになっており、ばねエレメント(14)が、可逆的に選択された状態(RS,BS,KS)に関連して、予め規定されたクラッシュエネルギ割合を吸収し、ばね式アキュムレータ(10)が、クラッシュ中に圧縮状態(KS)に達すると、変形可能なエネルギアブソーバ(20)が、別のクラッシュエネルギ割合を吸収することを特徴とする、車両に用いられる、クラッシュエネルギを消失させるための受動的なクラッシュボックス。
【請求項2】
少なくとも1つのばねエレメント(14)が、ばね式アキュムレータ(10)の静止状態(RS)では、第1の吸収領域(A1)を提供し、該第1の吸収領域(A1)が、第1の圧縮可能な区間(l1)を有しており、少なくとも1つのばねエレメント(14)が、ばね式アキュムレータ(10)の運転状態(BS)では、最大の吸収領域(Amax)を提供し、該最大の吸収領域(Amax)が、最大の圧縮可能な区間(lmax)を有しており、ばねエレメント(14)が、ばね式アキュムレータ(10)の圧縮状態(KS)では、最小の吸収領域(Amin)を提供し、該最小の吸収領域(Amin)が、最小の圧縮可能な区間(lmin)を有している、請求項1記載のクラッシュボックス。
【請求項3】
ばねエレメント(14)が、圧縮によってクラッシュエネルギを吸収し、ばねエレメント(14)が、運転状態(BS)では最大のクラッシュエネルギ割合を吸収し、静止状態(RS)では比較的小さな第1のクラッシュエネルギ割合を吸収し、圧縮状態(KS)では、最小のクラッシュエネルギ割合を吸収する、請求項1または2記載のクラッシュボックス。
【請求項4】
被変形ユニット(24)と、変形ユニット(22)と、ばね式アキュムレータ(10)とが、テレスコープ状に互いに内外に入れ子になっており、ばねエレメント(14)が、ばね式アキュムレータ(10)のケーシングにおいて内側で支持されていて、変形ユニット(22)のケーシングにおいて外側で支持されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のクラッシュボックス。
【請求項5】
ばね式アキュムレータ(10)の静止状態(RS)では、ばねエレメント(14)に予荷重がかけられていて、ロック装置(12)が、ばねエレメント(14)を、予荷重がかけられた位置に保持しており、制御信号が、ロック装置(12)の非作動を生ぜしめ、これによって、ばねエレメント(14)が弛緩し、かつばね式アキュムレータ(10)が、運転状態(BS)に移行する、請求項1から4までのいずれか1項記載のクラッシュボックス。
【請求項6】
少なくとも1つの別のエネルギアブソーバが、エアバッグ(30)として形成されていて、該エアバッグ(30)が、作動された運転状態(BSA)では膨らませられていて、付加的な吸収領域(ΔC)を提供する、請求項1から5までのいずれか1項記載のクラッシュボックス。
【請求項7】
車両であって、車体前部構造体(42)と、車体後部構造体(46)と、少なくとも1つのクラッシュボックス(1,1’)と、評価兼制御ユニット(5)とが設けられていて、クラッシュボックス(1,1’)が、車体前部構造体(42)および/または車体後部構造体(46)に結合されていて、評価兼制御ユニット(5)が、クラッシュに関する情報を少なくとも1つのセンサユニット(44)から受信し、評価する形式の車両において、
少なくとも1つのクラッシュボックス(1,1’)が、請求項1から6までのいずれか1項記載の受動的なクラッシュボックスとして形成されていて、評価兼制御ユニット(5)が、少なくとも1つの受動的なクラッシュボックス(1,1’)を制御するための制御信号を生成することを特徴とする、車両。
【請求項8】
車両であって、フレーム(52)と、ハンドル(54)と、評価兼制御ユニットとが設けられており、該評価兼制御ユニットが、クラッシュに関する情報を少なくとも1つのセンサユニットから受信し、評価する形式の車両において、
請求項1から6までのいずれか1項記載の少なくとも1つの受動的なクラッシュボックス(1,1’)が設けられていて、該クラッシュボックス(1,1’)が、ハンドル(54)の領域で、二輪車(50)のフレーム(52)に取り付けられていて、評価兼制御ユニットが、少なくとも1つの受動的なクラッシュボックス(1,1’)を制御するための制御信号を生成することを特徴とする、車両。
【請求項9】
少なくとも2つの受動的なクラッシュボックス(1,1’)が、結合プレート(56)を介して互いに結合されている、請求項8記載の車両。
【請求項10】
算出された予想クラッシュエネルギが、予め規定された閾値を上回ると、評価兼制御ユニット(5)が、ばね式アキュムレータ(10)の状態変換のための制御信号を出力する、請求項7から9までのいずれか1項記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−60189(P2013−60189A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198815(P2012−198815)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】