説明

車両のカバー用の支承部

【課題】車両、特に自動車のカバー2用の支承部4であって、カバー2は、リンク機構16と連結ロッド15とを介して、開放位置と閉鎖位置との間を運動するようになっており、支承部4は、車両の上部構造21とカバーの縁部との間に配置されており、支承部は、カバーを車両の上部構造と可動に結合しており、支承部は、少なくとも2つのリンク31,32,34を備えており、リンクの2つが、支承ブロック25に旋回可能に支承されており、リンクと支承ブロックとが、四節リンク機構8を形成しているものにおいて、カバーを支承部によって運動させる。
【解決手段】カバー2は、開放過程および閉鎖過程の間に支承部4を介して旋回運動および/または直線運動を行うようになっており、カバー2は、ホルダ40によって、四節リンク機構8の上位端部に旋回可能に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に自動車のカバー用の支承部であって、カバーは、リンク機構と連結ロッドとを介して、開放位置と閉鎖位置との間を運動し、支承部は、車両の上部構造とカバーの縁部との間に配置されており、支承部は、カバーを車両の上部構造と可動に結合しており、支承部は、少なくとも2つのリンクを備えており、リンクの2つが、支承ブロックに旋回可能に支承されており、リンクと支承ブロックとが、四節リンク機構を形成しているものに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のカバーを運動させるために、カバーは、通常、支承部の旋回軸を中心に、閉鎖位置から開放位置に、またその逆に旋回される。旋回のために、支承部は、カバーの下方または車体に対するカバーの接合面に設けられており、支承部は、カバー、車両の上部構造または車両の別の構成要素に取り付けることができる。カバーの旋回は、レバー機構を介してカバーに連結された継手と結合された駆動装置によって行われるか、または支承部の旋回軸と駆動装置との直の連結によって行われる。カバーの旋回運動は、円軌道または空間的な曲線軌道に沿って行われる。
【0003】
終了位置からカバーを運動させるために著しく大きな駆動力が必要となり得るので、多くの場合液圧式の駆動装置が使用される。電気式の駆動装置には、適切な減速伝動装置が必要である。しかし、減速伝動装置は、極めて長い操作時間を伴い、操作に必要な力に応じて大きく寸法設計されていて、しかも大きな組込スペースを必要とする伝動装置を用いるものである。この伝動装置は、大きな自重を有しており、自重により、カバーに直に取り付けた場合に、カバーの操作が極めて困難になる。
【0004】
カバーの運動は、車両の上部構造もしくは車体に対してカバーを結合する支承部を介して行われ、支承部は、たとえば純粋な旋回運動の他に、特に水平方向または鉛直方向の直線運動を行うことができる。運動は、重畳して、または前後して行うことができる。重畳した運動は、カバーが純粋な旋回運動の他に追加的な直線運動を行おうとする場合には常に要求される。たとえばカバーは、あとで開放位置に移動するために、先ず直線的にロック位置からロック解除可能である。旋回運動中にカバーの直線移動を行う必要がある。なぜならばたとえば直線移動を行わないと、一般的な円軌道に沿って旋回する折畳可能な車両フードが、カバーと衝突する恐れがあるからである。複数の運動自由度を有するそのような支承部の使用により、多くの場合、追加的な別の伝動装置、湾曲ガイドおよび/または追加的な駆動装置が省略される。
【0005】
追加的な運動自由度を有するこのような支承部は、可動のカバー(たとえばフード格納ボックスカバー、トランクドア)または可動のフードに用いられる。もちろん支承部は、車両における別のカバーまたはフラップに適切に用いてもよい。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第19912893号明細書は、乗用車に関するものであり、この乗用車は、折畳式フードとして形成された可動のルーフを備えている。折畳式フードは、収容室に格納され、収容室は、フード格納ボックスカバーによって閉鎖可能である。フード格納ボックスカバーは、後方部分で、マルチリンクヒンジ機構によって上部構造に枢着されている。フード格納ボックスカバーの前方部分にレバーが設けられており、レバーの自由端部は、ローラを備えている。このローラは、キャッチフックと協働する。キャッチフックは、乗用車の上部構造に取り付けられている。マルチリンクヒンジ機構は、四節リンク機構であり、四節リンク機構は、運動力学的に、ルーフ格納ボックスカバーが開放時にトランクドアの壁の上方で壁を越えて運動させられるように設計されている。マルチリンクヒンジ機構に、作業シリンダが作用する。
【0007】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第9311798号明細書は、フードケースカバー(フード格納ボックスカバー)を備えた乗用車から出発しており、フードケースカバーは、折畳フードとトランクルームボンネット(トランクドア)との間を延在している。フードケースカバーは、平行四辺形ヒンジによって、後方のカバー部分に枢着されている。フードケースカバーを開放するために、フードケースカバーは、平行四辺形ヒンジの上方に持ち上げられ、走行方向とは逆向きに変位させられる。その際に、前方のカバー部分は、係止フックによって、上部構造に保持されたキャッチピンから外される。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4336278号明細書において、自動車のフードおよびフードボックス蓋(フード格納ボックスカバー)用の操作装置が開示されている。運転手側の座席から操作可能で旋回可能な調節レバー(調節レバーは調節装置に作用する)によって、フードボックス蓋は、閉鎖位置から開放位置に運動させられる。その際に、先ずフードボックス蓋を閉鎖位置でロックする閉鎖機構が作動させられ、リンクがカムディスクを介してロックピンを解放する。大きく延びるレバーが、自由端部において、ガイド装置を備えていて、ガイド装置と共にガイドレールに収容されている。このレバーを介して、フードボックス蓋は、運動中にガイドされる。フードボックス蓋の運動およびロック操作は、被駆動のマルチリンク支承部における共通の継手を介して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第19912893号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国実用新案登録第9311798号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4336278号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、車両、特に自動車のカバーを支承部によって運動させて、運動に際して、支承部が、重畳した運動を実現することである。支承部は、特にコンパクトに形成し、少ない部品で簡単で安価に製作可能であるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明によれば、車両、特に自動車のカバー用の支承部であって、カバーは、リンク機構と連結ロッドとを介して、開放位置と閉鎖位置との間を運動するようになっており、支承部は、車両の上部構造とカバーの縁部との間に配置されており、支承部は、カバーを車両の上部構造と可動に結合しており、支承部は、少なくとも2つのリンクを備えており、前記リンクの2つが、支承ブロックに旋回可能に支承されており、前記リンクと支承ブロックとが、四節リンク機構を形成しているものにおいて、カバーは、開放過程および閉鎖過程の間に支承部を介して旋回運動および/または直線運動を行うようになっており、カバーは、ホルダによって、四節リンク機構の上位端部に旋回可能に取り付けられている。
【0012】
好適には、ホルダは、開放位置および閉鎖位置で、ストッパを介して、後方リンクと作用結合し、位置固定される。
【0013】
好適には、カバーの閉鎖位置で、ストッパの湾曲した載設面が、後方リンクの、該載設面に対応する収容面に載設する。
【0014】
好適には、カバーの開放位置で、湾曲した載設面は、少なくとも部分的に、角度付けされた後方リンクの、ホルダに向いた側の端部部分に載設する。
【0015】
好適には、ストッパ、ホルダおよび前方リンクは、まとめて、支承部Iのピンと旋回可能に結合されている。
【0016】
好適には、ホルダは、四節リンク機構と旋回可能に結合されており、ホルダは、走行方向に延びるフランジとして形成されており、フランジの、上向きのフランジ面に、カバーが取り付けられる。
【0017】
好適には、前記リンクおよび支承ブロックは、金属薄板を打ち抜いて形成された、略U字形に曲げられた構成部材である。
【0018】
好適には、金属薄板から成るU字形に曲げられた前記リンクは、少なくとも部分的に相互に係合するように配置されており、該リンクは、少なくともカバーの閉鎖位置で、支承ブロックのU字形の収容部の内側で、相互に係合するように位置決めされている。
【0019】
好適には、カバーの閉鎖位置で、支承ブロックおよび主リンクは、相互に整合する調節孔を備えている。
【0020】
好適には、支承ブロックおよび主リンクの調節孔に、ロックピンが挿入される。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、開閉可能なカバーを備えた車両において、このカバーを操作機構を介して運動させるという基本思想に基づいている。本発明において、カバーは、カバーと車両の上部構造との間の旋回軸を中心に旋回し、機械式の装置を介して、閉鎖位置から開放位置に運動させられる。機械式の装置は、ボーデンケーブルにより形成されるか、または複数のレバーから成るリンク機構により形成されてよい。このようなリンク機構は、通常、結合エレメントによってカバーと結合されていて、その利点によれば、カバーは、カバーを連結する結合エレメントによって直に旋回するか、もしくは上方移動して開放することができ、結合エレメントを介して再び閉鎖するか、もしくは下方移動することができる。
【0022】
本発明において、カバーの運動は、支承部を介して、運動の形状および速度に関して制御されるので、純粋な旋回運動に対して追加的に鉛直方向および/または水平方向の直線運動を行うことができる。異なる運動および運動速度は、同時に行うか、または支承部のリンクの枢着に応じて時間的にずらして行うことができる。したがってカバーを開放するために、カバーは、先ずたとえば水平運動を行うことができ、次いで旋回運動が行われる。旋回運動において必要な自由空間をフードに確保するために、旋回運動中に、追加的に直線運動を行うこともできる。
【0023】
このような支承部は、好適には、予め取り付けられた構成群として組み合わされ、あとの取り付けに際して車両の上部構造およびカバーだけに結合される。好適には固定ねじを用いて行われる結合によって、カバーは、支承部と同様に位置調節することができ、位置調節は、車体における、カバーを包囲する開放部分に対するカバーの極めて精確な位置決めを実現する。本発明によれば、支承部は、四節リンクとして、旋回可能な、追加的なホルダを備えて設計されており、リンクおよびリンクの支承部は、リンクが別の運動部分で相互に係合して、支承部の特にコンパクトな構造を実現するように、選択されている。相互に係合するリンクによって、カバーの閉鎖位置および開放位置で、たとえば個々のリンクにおいて相互に対応する孔を介して、リンク間の相互のロックが実現される。したがってカバーは、閉鎖位置および開放位置で確実に固定することができる。
【0024】
支承部のリンクのジオメトリは、その適切な構成によって、制御機能を及ぼすことができ、制御機能により、更なる運動経過を実現するか、または制限することができる。場合によっては、カバーは、たとえばフード格納ボックスカバーでは、極めて大きく、したがって大きな自重を有しているので、支承部は、これに応じた重量を支持する必要があり、横方向の荷重において、荷重は、リンクならびにリンクの結合構造によって支持することができる。安価な製造のために、リンクは、適切な金属薄板を打ち抜いてU字形に折り曲げられ、リンクは、構成部材として高い強度を達成する。リンクを車両の上部構造と結合する支承ブロックも同様に製造されており、完全に取り付けられた支承部では、あらゆる別の構成部材は、支承ブロックの開放部分の内側に位置する。
【0025】
平行に配置された少なくとも2つの支承部を用いる場合、これらの支承部は、同期化するために、リンク支承部部分で両方の支承部を結合する支承ロッド(ピン)によって結合することができる。開放運動もしくは閉鎖運動を補助するために、支承部は、独自の駆動モータを備えることができ、この駆動モータは、好適には液圧式の駆動装置として形成されている。
【0026】
本発明のさらに重要な特徴および利点は、従属請求項、図面および図面に基づく説明から明らかである。
【0027】
前述および後述の特徴は、本発明の権利範囲から逸脱することのない範囲で、説明した組合せだけでなく、他の組合せでも、単独でも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】折畳位置にあるリンク機構と連結ロッドと支承部とを備えた、閉鎖状態のカバーを示す側面図である。
【図2】開放位置にあるリンク機構と連結ロッドと支承部とを備えた、開放状態のカバーを示す側面図である。
【図3】折畳位置にある支承部を示す拡大図である。
【図4】僅かな開放位置にある支承部を示す側面図である。
【図5】完全な開放位置にある支承部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。同一の、同等の、または機能に関して同一の構成部材には同じ符号を付した。
【0030】
図1には、主支承部3に取り付けられたリンク機構16と連結ロッド15とを備えた、閉鎖状態のカバー2を側面図で示した。カバー2における、走行方向1にみて後方の端部は、支承部4を介して車両の上部構造に可動に支承されている。閉鎖位置で、カバー2における前方端部は、ロックピン6を介して収容部7に収容され、ガイドされる。本実施の形態において、ロックピン6は、ホルダ5の端部に取り付けられており、ホルダ5自体は、カバー2の下面に取り付けられている。収容部7は、車両の上部構造に、たとえばねじを用いて固定されていて、通常、このねじを介して位置調節することができる。
【0031】
カバー2の下側部分の中央から少し後方にホルダ10が固定されている。ホルダ10における後方端部は、連結ロッド15をカバー側で支承するための旋回支承部を形成する。ホルダ10は、走行方向1にみて前方の端部で、側方に突出する突部を有しており、突部には、エラストマから製造されたストッパ緩衝体66が取り付けられている。ストッパ緩衝体66は、たとえば格納されたフード用の上位のストッパとして用いられ、格納位置にあるフードが、車両の鉛直方向振動発生時にカバー2の下面に衝突しないようにする。もちろん、ストッパ緩衝体66は、カバー2と車両との間の鉛直方向ストッパとして設計してもよい。フードを位置固定して、確実に収容するために、フードは、たとえばルーフロッドまたはルーフステーと共に支持部12に収容することができる。このために支持部12は、付加的な構成部材として主支承部3に取り付けられている。支持部12は、主支承部3に対する結合部を介して、固定ねじによって位置調節して、固定することができる。また、支持部12は、主支承体3に一体に形成することも考えられる。
【0032】
連結ロッド15は、支承部11において、カバー1の下側部分に旋回可能に取り付けられていて、他方の端部において、リンク機構16と旋回可能に結合されている。リンク機構16は、相互に旋回可能に結合された複数のリンクから成っている。駆動装置17、たとえば液圧シリンダを介して、リンク機構16が運動させられ、したがってリンク機構16と結合された連結ロッド15が変位される。このようにしてカバー2は、閉鎖位置から開放位置に移動させられる。カバー2の、車両走行方向1とは逆向きの後方端部において、支承部4が、カバー2と車両の上部構造21との間の可動の結合部材として配置されている。支承部4の可動構成部材の旋回軸は、車両長手方向20に対して横向きに向けられている。図1には示していないが、支承部4の奥に、別の可動の支承部4を設けてもよい。中央に配置された個々の支承部4は、好適には小型で軽量に形成されたカバー2で用いられる。たとえば格納されたフードを覆うカバー2では、通常、2つの支承部4が、車両長手軸線20に対して対称的に配置して用いられる。支承部4に作用する重力および運動力を支持するために、支承部4は、固定ねじ67によって車両の上部構造21に固定されている。固定ねじ67によって、支承部4全体は、横方向および長手方向に調節することができるので、カバー2は、その縁部においてカバー2用の収容開口の縁部に対して一定の間隔を形成するギャップを有している。もちろんカバー2は、収容開口内に位置決めする必要はなく、収容開口に重畳するように収容開口を閉鎖してもよい。
【0033】
図2には、開放位置にあるカバー2を側面図で示した。リンク機構16は、駆動装置17を介して、カバーの開放位置に運動させられ、その際に、カバー2は、連結ロッド15を介して開放位置に運動させられる。図2では、支承部4は、開放位置を占めており、カバー2の、走行方向1にみて後方の部分は、旋回運動以外に、少なくとも鉛直方向の運動を行い、閉鎖位置に対して持ち上げられた位置を占める。このようにして連結ロッド15の制限された構造長さに基づいてではカバー2が占めることができないようなカバー位置を実現することもできる。
【0034】
図3には、折畳位置にある支承部4の特にコンパクトな構造を拡大図で示した。図3では、支承部4は、大体において支承ブロック25によって車両の上部構造21に支持されている。支承ブロック25は、金属薄板を打ち抜いて形成され、略U字形に折り曲げられ、折り曲げた状態で、U字形の形状は、対向する側方の2つの支承フランジ27から成っており、支承フランジ27は、一体的に結合された横結合部28によって相互に支持される。車両の上部構造21に向いた側で、側方の両フランジ面27は、フランジ面26を介して結合されている。フランジ面26は、支承ブロック25の中央に関して、対称的に折り畳まれた2つの半部から成っていて、接触部分で相互に溶接することができる。フランジ面26は、個別の構成部材として、適切な結合手段を介して、側方のフランジ面27と固く結合されていてもよい。
【0035】
側方の支承フランジ27に設けられた支承部IV64を介して、主リンク31が、旋回可能に支承ブロック25に収容されている。主リンク31もまたU字形に折り曲げられた金属薄板成形部分であり、この金属薄板成形部分は、2つの側壁と、支承ブロック25のフランジ面26に対して実質的に平行に向けられた横結合部36とから成っている。支承部IV64は、側方の支承フランジ27において孔に収容された、横向きに延びるピンから形成されており、ピンの両端部は、固定円板60によって、所定位置で保持される。カバー2の閉鎖状態では、主リンク31は、概ね水平に向けられている。主リンク31の自由端部に、支承部III63を介して、金属薄板からU字形に折り曲げられた前方リンク32が支承されている。前方リンク32も同様に、支承部は、固定円板60における横向きに突出するピンによって形成される。前方リンク32は、主リンク31から離間する側の端部において、走行方向1に対して斜め後ろ向きに約45°の角度を成して組み付けられている。本実施の形態では、前方リンク32の側壁は、U字形の主リンク31の内側でガイドされる。主リンク31と前方リンク32との間の支承部III63の傍で、前方リンク32の側壁は、横結合部33を介して相互に固く結合されている。
【0036】
前方リンク32の、上向きに延びる端部において、フランジ面26に対して実質的に平行に向けられたホルダ40が、支承部I61を介して、前方リンク32と旋回可能に結合されている。ホルダ40もまた支承部分においてU字形に形成されていて、支承部IV,III64,63と同様に支承されている。ホルダ40の自由端部は、フランジ42として走行方向1に延びており、上向きのフランジ面41は、カバー2を固定して支持するために用いられる。ホルダ40と前方リンク32との支承部側の端部において、ホルダ40および前方リンク32に、鉛直方向下向きのストッパ50が組み付けられている。ストッパ50は、平らな構成部材、好適に金属薄板から製作された構成部材であり、下位端部において、湾曲した載設面51を備えている。簡単な構成および組立に関して好適には、ストッパ50は、ホルダ40を取り付ける際に一緒に前方リンク32に取り付けられる。その際に、ストッパ50は、収容孔を介して、支承部I61のピンによって保持される。上位端部において、ストッパ50は、U字形のホルダ40のブリッジとしてのウェブの内側に支持される。
【0037】
前方リンク32と支承ブロック25の後方部分との間に、後方リンク34が、結合部材としての支承部II,V62,65を介して組み付けられている。後方リンク34は、角度付けして設計されていて、角隅部分において、前方リンク32の内側に支承部II62を介して旋回可能に支承されている。角度付けされた後方リンク34の、ホルダ40に向いた側の端部は、支承部4を折り畳む際に、ホルダ40のフランジ42用のストッパおよび載設部として用いられる。したがって支承部IV,III,II,V64,63,62,65の間に形成された構成群は、四節リンク機構8を成している。伝達比、リンク長さおよびリンク配置構造によって、運動特性、最大運動量および運動速度が規定される。もちろんこのような配置構造は、支承部IV,III,II,V64,63,62,65の力支持ひいては負荷に影響を及ぼすこともできる。
【0038】
図4は、僅かな開放(持上)位置にある支承部4を示す図である。図4の実施の形態では、ストッパ50の湾曲した載設面51は、角度付けされた後方リンク34の内側面から僅かに持ち上げられている。角度付けされた後方リンクの内側面は、湾曲した載設面51に対応して収容面52として設計されていて、それも、完全に折り畳まれた状態の支承部4で、湾曲した両方の面(載設面51および収容面52)が完全に相互に係合するように設計されている。この位置では、完全に係合する載設面51および収容面52が、ホルダ40の旋回を防止し、ひいてはカバー2の旋回を防止する。したがってカバー2は、ホルダ40とストッパ50と後方リンク34とを介して支持されており、このような配置構造は、カバー2のロックを形成する。
【0039】
図5は、完全な開放位置にある支承部4を示す図である。カバー2は、リンク機構16と連結ロッド15とを介して開放位置に旋回され、カバー2は、ホルダ40のフランジ42を、開放過程の間に、約45°前方リンク32から離間した斜め上向きの位置に運動させる。ストッパ50は、載設面51の真っ直ぐな下位部分で、後方リンク34の、ホルダ40に向いた部分の端部部分上でロック位置に到達するので、フランジ42に固定されたカバー自体が自然に下向きに旋回することはない。
【0040】
角度付けされた後方リンク34の、ホルダ40に向いた側の、走行方向1にみて実質的に前方リンク32の手前に位置する端部は、開放運動中、前方リンク32を越えて、実質的に前方リンク32の後方に移動させられる。角度付けされた後方リンク34の、ホルダ40に向いた側の端部の端部部分に、ストッパピン53が設けられている。前方リンク32の側壁は、ストッパピン53が横向きに延びる部分で、外向きに湾曲して変形されているので、後方リンク34のストッパピン53は、スムーズに前方位置から後方位置に運動することができる。ストッパピン53は、とりわけ開閉過程の間に側方ガイドおよび側方支持の機能を担い、その際に、ストッパピン53の端部は、支承部4に横向きの荷重が生じる場合に、前方リンク32の外向きに湾曲して変形された側壁の内面に沿って支持することができる。ストッパピン53の代わりに、ロック装置を取り付けることもでき、このロック装置は、完全に開放状態のカバー2で、後方リンク34に対して直角に延びることができ、前方リンク32の後縁に対する追加的な支持もしくはロックを実現する。もちろんこのようなロック部材は、支承部4の外側からストッパピン53の代わりに設けられたロック孔に係合することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 走行方向、 2 カバー、 3 主支承部、 4 旋回支承部、支承部、 5 ホルダ、 6 ロックピン、 7 収容部、 8 四節リンク機構、 10 ホルダ、 11 支承部、 12 支持部、 15 連結ロッド、 16 リンク機構、 17 駆動装置、 20 車両長手軸線、 21 車両の上部構造、 25 支承ブロック、 27 側方の支承フランジ、 28 横結合部、 30 調節孔、 30A 調節孔−主リンク、 30B 調節孔−支承ブロック、 31 主リンク、 32 前方リンク、 33 横結合部、 34 後方リンク、 35 側方のフランジ−側方の支承フランジ、 36 横結合部、 40 ホルダ、 41 フランジ面、 42 フランジ、 43 側方の支承フランジ、 50 ストッパ、 51 載設面、 52 載設面、収容面、 53 ストッパ、ストッパピン、 60 固定円板、 61 支承部I、旋回軸I、 62 支承部II、旋回軸II、 63 支承部III、旋回軸III、 64 支承部IV、旋回軸IV、 65 支承部V、旋回軸V、 66 ストッパ緩衝体、 67 固定ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に自動車のカバー(2)用の支承部(4)であって、
カバー(2)は、リンク機構(16)と連結ロッド(15)とを介して、開放位置と閉鎖位置との間を運動可能になっており、
支承部(4)は、車両の上部構造(21)とカバー(2)の縁部との間に配置されており、支承部(4)は、カバー(2)を車両の上部構造(21)と可動に結合しており、
支承部(4)は、少なくとも2つのリンク(31,32,34)を備えており、
前記リンク(31,32,34)の2つが、支承ブロック(25)に旋回可能に支承されており、前記リンク(31,32,34)と支承ブロック(25)とが、四節リンク機構(8)を形成している、車両、特に自動車のカバー用の支承部において、
カバー(2)は、開放過程および閉鎖過程の間に支承部(4)を介して旋回運動および/または直線運動を行うようになっており、カバー(2)は、ホルダ(40)によって、四節リンク機構(8)の上位端部に旋回可能に取り付けられていることを特徴とする、車両、特に自動車のカバー用の支承部。
【請求項2】
ホルダ(40)は、開放位置および閉鎖位置で、ストッパ(50)を介して、後方リンク(34)と作用結合し、位置固定される、請求項1記載の支承部。
【請求項3】
カバー(2)の閉鎖位置で、ストッパ(50)の湾曲した載設面(51)が、後方リンク(34)の、該載設面(51)に対応する収容面(52)に載設される、請求項1または2記載の支承部。
【請求項4】
カバー(2)の開放位置で、湾曲した載設面(51)は、少なくとも部分的に、角度付けされた後方リンク(34)の、ホルダ(40)に向いた側の端部部分に載設される、請求項1から3までのいずれか1項記載の支承部。
【請求項5】
ストッパ(50)、ホルダ(40)および前方リンク(32)は、まとめて、支承部I(62)のピンと旋回可能に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の支承部。
【請求項6】
ホルダ(40)は、四節リンク機構(8)と旋回可能に結合されており、ホルダ(40)は、走行方向(1)に延びるフランジ(42)として形成されており、フランジ(42)の、上向きのフランジ面(41)に、カバー(2)が取り付けられる、請求項1から5までのいずれか1項記載の支承部。
【請求項7】
前記リンク(31,32,34)および支承ブロック(25)は、金属薄板を打ち抜いて形成された、略U字形に曲げられた構成部材である、請求項1記載の支承部。
【請求項8】
金属薄板から成るU字形に曲げられた前記リンク(31,32,34)は、少なくとも部分的に相互に係合するように配置されており、該リンク(31,32,34)は、少なくともカバー(2)の閉鎖位置で、支承ブロック(25)のU字形の収容部の内側で、相互に係合するように位置決めされている、請求項1から7までのいずれか1項記載の支承部。
【請求項9】
カバー(2)の閉鎖位置で、支承ブロック(25)および主リンク(31)は、相互に整合する調節孔(30)を備えている、請求項1記載の支承部。
【請求項10】
支承ブロック(25)および主リンク(31)の調節孔(30)に、ロックピンが挿入されるようになっている、請求項1または9項記載の支承部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−126524(P2011−126524A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282079(P2010−282079)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(506292985)マグナ カー トップ システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (31)
【氏名又は名称原語表記】Magna Car Top Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 59, D−74321 Bietigheim−Bissingen, Germany
【Fターム(参考)】