説明

車両の制御装置

【課題】従来のように別途排気経路やその切替機構を設けることなく、蓄電装置や充電装置によって暖められた空気を利用して、車室内をプレヒートする。
【解決手段】運転者がA/C温度設定スイッチ21を用いて空調の温度を設定すると、設定された空調温度データが空調要求判定手段12に出力される。充電判定手段15により駆動用バッテリ40が充電中であると判定されると、A/C制御手段11は、車外温度センサ101により検出された車外の温度、車室内温度センサ102により検出された車室2内の温度等に基づいて、A/Cブロワ22をON/OFF制御するとともに、A/Cインテークドア23を内気循環と外気導入とで切り替える。これにより、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して、車室2内の温度を空調装置の空調設定温度に調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車などの駆動用バッテリを搭載する車両の制御装置に関し、より詳細には、駆動用バッテリを充電する際に車室内の温度を調整することができる車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等に搭載されている駆動用バッテリを外部の商用電源から充電するとき、充電器自身の損失により発熱するとともに、充電中の駆動用バッテリも発熱する。通常、充電器や駆動用バッテリを正常に動作させるため、駆動用バッテリの充電中はブロワによる空冷や冷却液による液冷などによりこれらを冷却している。
【0003】
従来、このような発熱により発生した熱をそのまま車外に排気する(捨てる)のではなく、暖められた空気を車室内に戻すことにより、寒冷時における暖房の代わりとしてこの熱を利用する車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される車両用空調装置では、車両に設けられた送風器から送風され、駆動用バッテリ近傍を通過した空気を車室内と車外のいずれに導くかを切り替える切替手段が設けられている。この車両用空調装置は、駆動用バッテリの温度が所定温度以上になれば送風器をONするとともに、送風器をONしたとしても車室内の温度が所定の切替温度より高くなってしまうならば、切替手段により駆動バッテリ近傍を通過した空気を車外へと排出するように制御している。このように、排気熱の有効利用とバッテリ等の部品の冷却性能とを両立させるためには、車室内で空気を循環させる内気循環と、暖められた空気を車室内から車外に排出する外気導入とを切り替える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−253019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される車両用空調装置では、駆動用バッテリの発熱により暖められた空気を車外に放出するための排熱経路を設けるとともに、車室内と車外とのいずれにこのような暖められた空気を導入するかを切り替える切替手段を設ける必要がある。したがって、特許文献1の車両用空調装置には、排熱経路や切替手段等の新たな部品を追加しなければならず、部品点数が増加することにより、製造コストが増加してしまうという問題があった。
【0007】
また、切替手段を追加することにより、装置内に可動部分が多く存在することとなるため、空調装置全体における故障確率が上昇してしまうという問題もあった。
【0008】
さらに、送風器を用いて暖かい空気を車外に排気するためには、排気される分の空気を車外から吸い込む必要があり、そのためには、それなりの能力を持った送風器を設ける必要がある。そのような送風器を取り付けることにより、空調装置の製造コストをさらに増加させてしまうという問題もあった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動用バッテリを外部から充電する際に、空調用の内外気導入切替手段および空調ファンを連動させて、この駆動用バッテリや充電器の発熱によって暖められた空気を利用することにより、車室内をプレヒートすることができる車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の車両の制御装置は、原動機(ENG)と、蓄電装置(40)と、商用電源に接続することにより蓄電装置(40)を充電可能な充電装置(50)とを備えた車両(1)の制御装置(10)において、車外から車室(2)内への空気の供給または車室(2)内の空気の循環を行うブロワファン(22)と、ブロワファン(22)の作動および停止を制御するブロワファン制御手段(11)と、車外から車室(2)内へ空気を供給する外気導入と、車室(2)内の空気を循環させる内気循環とを切り替える空調用の内外気導入切替手段(11、23)と、蓄電装置(40)が充電中であるか否かを判定する充電判定手段(15)と、車室(2)内の温度(Tr)を取得する車室内温度取得手段(102)と、車外の温度(To)を取得する車外温度取得手段(101)と、空調装置(20)の設定温度(Ts)が設定されているか否かを判定する空調要求判定手段(12)とを備え、充電判定手段(15)により蓄電装置(40)が充電中であると判定され、かつ、空調要求判定手段(12)により空調装置(20)の設定温度(Ts)が設定されていると判定された場合には、車室内温度取得手段(102)により取得された車室(2)内の温度(Tr)および車外温度取得手段(101)により取得された車外の温度(To)に基づいて、ブロワファン制御手段(11)はブロワファン(22)を作動または停止させるとともに、内外気導入切替手段(11、23)は、外気導入と内気循環とを切り替え、これにより、蓄電装置(40)の充電時における蓄電装置(40)および充電装置(50)によって暖められた空気または外気を用いて、車室(2)内の温度(Tr)を空調装置(20)の設定温度(Ts)に調整することを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、従来のように別途排気経路やその切替機構を設けることなく、蓄電装置や充電装置によって暖められた空気を利用して、車室内をプレヒートすることができる。これにより、プレヒートを行うために、排気経路や切替機構等の新たな機構(部品)を追加する必要がないので、車両の製造コストの増加を抑制することができる。また、空調装置のブロワファンを利用して空気を循環させているので、蓄電装置や充電装置のためのファン自体の必要能力を削減することができる。
【0012】
本発明の車両の制御装置では、車室内温度取得手段(102)により取得された車室(2)内の温度(Tr)が空調装置(20)の設定温度(Ts)より高く、かつ、車外温度取得手段(101)により取得された車外の温度(To)が車室(2)内の温度(Tr)より低いとき、内外気導入切替手段(11、23)は外気導入に切り替えるとともに、ブロワファン制御手段(11)はブロワファン(22)を作動させ、車室(2)内の温度(Tr)が空調装置(20)の設定温度(Ts)より低いとき、内外気導入切替手段(11、23)は内気循環に切り替えればよい。
【0013】
本発明の車両の制御装置では、内外気導入切替手段(11、23)は、外気導入に固定しておき、車室内温度取得手段(102)により取得された車室(2)内の温度(Tr)が空調装置(20)の設定温度(Ts)より高く、かつ、車外温度取得手段(101)により取得された車外の温度(To)が車室(2)内の温度(Tr)より低いとき、ブロワファン制御手段(11)はブロワファン(22)を作動させ、車室(2)内の温度(Tr)が空調装置(20)の設定温度(Ts)より低いとき、ブロワファン制御手段(11)はブロワファン(22)を停止させてもよい。
【0014】
本発明の車両の制御装置では、充電装置(50)の温度(Tc)を取得する充電装置温度取得手段(104)をさらに備え、充電装置温度取得手段(104)により取得された充電装置(50)の温度(Tc)が所定温度(Tch)より高く、かつ、車外温度取得手段(101)により取得された車外の温度(To)が車室内温度取得手段(102)により取得された車室(2)内の温度(Tr)よりも低いときには、ブロワファン制御手段(11)は、設定温度(Ts)に関係なくブロワファン(22)を作動させればよい。
【0015】
本発明の車両の制御装置では、蓄電装置(40)の温度(Tb)を取得する蓄電装置温度取得手段(103)をさらに備え、蓄電装置温度取得手段(103)により取得された蓄電装置(40)の温度(Tb)が所定温度(Tbh)より高いが、車室内温度取得手段(102)により取得された車室(2)内の温度(Tr)よりも低く、かつ、車外温度取得手段(101)により取得された車外の温度(To)が車室(2)内の温度(Tr)よりも低いときには、ブロワファン制御手段(11)は、設定温度(Ts)に関係なくブロワファン(22)を作動させればよい。
【0016】
本発明の車両の制御装置では、蓄電装置(40)の温度(Tb)を取得する蓄電装置温度取得手段(103)と、蓄電装置(40)の上流側および下流側の少なくとも一方側に配置された蓄電装置ファン(41)と、蓄電装置ファン(41)の作動および停止を制御する蓄電装置ファン制御手段(13)とをさらに備え、蓄電装置(40)の温度(Tb)が第1の所定温度(Tbl)より低いとともに、車室(2)内の温度(Tr)よりも低いとき、および、蓄電装置(40)の温度(Tb)が第1の所定温度(Tbl)よりも高い第2の所定温度(Tbh)より高いとともに、車室(2)内の温度(Tr)よりも高いとき、蓄電装置ファン制御手段(13)は蓄電装置ファン(41)を作動させればよい。これにより、蓄電装置の充電中に、蓄電装置の温度を適正充電可能温度範囲に収めることができるので、蓄電装置の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、蓄電装置や充電装置からの排熱を利用して車室内のプレヒートを行うことができる。
【0017】
なお、上記で括弧内に記した図面参照符号は、後述する実施形態における対応する構成要素を参考のために例示するものである。また、上記で括弧内に記した温度も、後述する実施形態における温度を参考のために例示するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のように別途排気経路やその切替機構を設けることなく、蓄電装置や充電装置によって暖められた空気を利用して、車室内をプレヒートする車両の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における車両の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における車両の概略的な接続構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の車両の制御装置の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明の車両の制御装置は、電気自動車やハイブリッド自動車などの駆動用バッテリ(蓄電装置)を搭載する車両に適用され、例えば、空調(エアコンディショナー)を制御するために車両に搭載された電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)などにより実現される。
【0021】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態における車両の構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態における車両の概略断面図である。本実施形態の車両1は、いわゆるハイブリッド車両であり、車室2の後部座席3の背面側に設置される高圧のバッテリである駆動用バッテリ(メインバッテリ:蓄電装置)40と、前部のボンネット下(エンジンルーム)に設置される低圧のバッテリ30とを備える。
【0022】
また、車室2の後部座席3の背面側には、駆動用バッテリ40を充電するための充電器(充電装置)50が設けられる。車両1の前部のボンネット下には、エンジン(原動機)ENGと、モータジェネレータMと、空調装置20と、エンジンENG、モータジェネレータM、空調装置20等を制御する電子制御ユニット10とが設けられる。モータジェネレータMは、モータ走行用の駆動力を発生するモータとして機能するとともに、減速時にはモータジェネレータMの回生により電力を発電するジェネレータとして機能する。このモータジェネレータMの回生時には、駆動用バッテリ40はモータジェネレータMにより発電された電力により充電される。なお、本実施形態では、エンジンENGはモータジェネレータMに直結されている。
【0023】
空調装置20は、車両1のフロントパネルに設けられ、空調装置20から送出される空気の温度を設定するためのAC温度設定スイッチ21を備えている。この空調装置20により調整された温度の空調空気は、車室2の前部に設けられた空気吹出口(図示せず)を通して、例えば矢印A1に示すような方向に車室2内に送出される。
【0024】
充電器50を外部の商用電源に接続することにより駆動用バッテリ40を充電する際に、駆動用バッテリ40および充電器50を冷却(空冷)するために、駆動用バッテリ40および充電器50に対して各送風経路の上流側(なお、後述するA/Cブロワ22に対しては、送風経路の下流側となる)には、電気駆動部品冷却ブロワ(蓄電装置ファン)41および充電器冷却ブロワ51が設けられる。駆動用バッテリ40の充電中に駆動用バッテリ40および充電器50から発生した熱により暖められた空気は、電気駆動部品冷却ブロワ41および充電器冷却ブロワ51により、車両1のトランク内に送られる。トランク内の暖められた空気は、パーセルの隙間や後部座席3のシートの隙間などから車室2内に戻り、矢印A2に示すように、車室2の上部に向かって登っていく。
【0025】
なお、車両1のトランクルームには、車両1のドアを閉める際などの車室2の気密(空気密度)が高くなるときに、矢印A3に示すように、車室2内から車外に空気を逃がすためのアウトレット4が設けられる。
【0026】
次に、本発明の一実施形態における車両1の制御装置(電子制御ユニット10)の制御系を説明する。図2は、本発明の一実施形態における車両1の概略的な接続構成図である。図2に示すように、電子制御ユニット10は、A/C制御手段(ブロワファン制御手段)11と、空調要求判定手段12と、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段(蓄電装置ファン制御手段)13と、充電器冷却ブロワ制御手段14と、充電判定手段15とを備える。なお、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40を制御するためのバッテリECU、空調装置20を制御するための空調ECU、エンジンENGを制御するためのエンジンECU、モータジェネレータMを制御するためのMG−ECUなどの複数の電子制御ユニットから構成されてもよい。
【0027】
A/C制御手段11は、空調装置20のA/C温度設定スイッチ21、A/Cブロワ(ブロワファン)22およびA/Cインテークドア(内外気導入切替手段)23にそれぞれ接続される。A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を制御して空調装置20の空気取り入れ口を車室2内側と車外側とで切り替える。A/Cインテークドア23が車外側からの導入に切り替えられると、矢印B1に示すように、車外からA/Cブロワ22に向けて空気が導入される外気導入が設定される。一方、A/Cインテークドア23が車室2内側からの導入に切り替えられると、矢印B2に示すように、車室2内からA/Cブロワ22に向けて空気が導入される内気循環が設定される。
【0028】
運転者が車両1のフロントパネルに設けられたA/C温度設定スイッチ21を操作すると、その操作情報(操作データ)が電子制御ユニット10に出力される。A/C制御手段11は、操作情報に応じて図示しないコンプレッサを制御して、空調装置20の暖房/冷房を切り替えたり、導入された空気を設定温度に調整したりさせる。
【0029】
空調要求判定手段12は、A/C温度設定スイッチ21に接続される。運転者がA/C温度設定スイッチ21を用いて空調の温度を設定すると、設定された空調温度データが空調要求判定手段12に出力される。空調要求判定手段12は、この空調温度データに基づいて、空調装置20の設定温度が設定されているか否かを判定するものである。
【0030】
電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、例えば、駆動用バッテリ40の充電中や放電中において駆動用バッテリ40の温度が上昇した場合に、電気駆動部品冷却ブロワ41を制御してこの駆動用バッテリ40を冷却するものである。図2に示すように、電気駆動部品冷却ブロワ41の送風経路上には、駆動用バッテリ40の他に、駆動用インバータ42と、DC−DCコンバータ43とが設けられる。駆動用インバータ42およびDC−DCコンバータ43は、駆動用バッテリ40にそれぞれ接続される。
【0031】
駆動用インバータ42は、駆動用バッテリ40からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力で駆動する補機に変換した交流電力を供給するものである。DC−DCコンバータ43は、駆動用バッテリ40の高電圧をバッテリ30用の低電圧(典型的には、12V)に変換し、必要に応じてバッテリ30を充電するものである。
【0032】
充電器冷却ブロワ制御手段14は、駆動用バッテリ40を充電するために充電器50を外部の商用電源に接続しているときに、充電器冷却ブロワ51を制御して充電器50を冷却するものである。
【0033】
充電判定手段15は、駆動用バッテリ40と充電器50とに接続され、駆動用バッテリ40を充電可能であるか、現在駆動用バッテリ40を充電しているか(充電中であるか)否かを判定するものである。この判定結果は、後述するように、充電制御処理において駆動用バッテリ40の充電開始や充電完了の判断等に用いられる。
【0034】
また、図2に示すように、車両1は、車外の温度を検出する車外温度センサ(車外温度取得手段)101と、車室2内の温度を検出する車室内温度センサ(車室内温度取得手段)102と、駆動用バッテリ40の温度を検出するバッテリ温度センサ(蓄電器温度取得手段)103と、充電器50の温度を検出する充電器温度センサ(充電器温度取得手段)104とを備える。これらの温度センサ101〜104はそれぞれ電子制御ユニット10に接続され、検出された温度データは電子制御ユニット10(このとき、電子制御ユニット10は、車外温度取得手段、車内温度取得手段、蓄電装置温度取得手段、充電装置温度取得手段としてそれぞれ機能する)に出力される。
【0035】
なお、外気導入に設定された状態でA/Cブロワ22が運転しているときには、車室2内が陽圧(大気圧以上の圧力)となるため、アウトレット4は適宜開放され、車室2内の空気が矢印B7に示すように車外に排出される。一方、内気循環に設定された状態でA/Cブロワ22が運転しているときには、車室2内は大気圧のため、アウトレット4は閉止され、矢印B6に示すように、暖められた空気が車室内戻し口5から車室2内に戻される。
【0036】
本実施形態では、充電器50により駆動用バッテリ40を充電するとき、A/Cブロワ22およびA/Cインテークドア23を連動させて制御することにより、充電器50や駆動用バッテリ40の近傍を通過した空気のために別途排気経路やその切替機構を設けることなく、暖められた空気の放出先を制御することができる。
【0037】
運転者がA/C温度設定スイッチ21によりエアコンの温度を設定しているとき、例えば、車室内温度センサ102により検出される車室2内の温度が設定された温度より低い場合には、A/Cブロワ22を停止したり、A/Cインテークドア23を内気循環に設定したりすることにより、充電中の駆動用バッテリ40および充電器50により排気される熱を車室2内に戻し、車室2内の温度を高めることができる。一方、車室内温度センサ102により検出される車室2内の温度が設定された温度より高い場合には、A/Cインテークドア23を外気導入に設定してA/Cブロワ22を作動させることにより、車外から冷たい空気を導入して車室2内を陽圧にし、アウトレット4から暖められた空気を排気する。これにより、車室2内の温度を下げることができる。
【0038】
このように、本実施形態の車両1の制御装置は、排気経路や切替機構等の新たな機構(部品)を追加する必要がなく、車両1の製造コストの増加を抑制することができる。また、A/Cブロワ22を利用して暖められた空気を車外に排出しているので、電気駆動部品冷却ブロワ41および充電器冷却ブロワ51自体の必要能力を削減することができる。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態における車両1の制御装置の動作を説明する。図3は、本発明の第1実施形態における車両1の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理(バッテリ充電制御処理)を示すフローチャートである。このバッテリ充電制御処理は、駆動用バッテリ40の充電開始時に実行される。
【0040】
外部の商用電源に充電器50を接続することにより駆動用バッテリ40の充電が開始されると(ステップS101)、充電器冷却ブロワ制御手段14は、充電器冷却ブロワ51をONする(ステップS102)。
【0041】
そして、充電判定手段15は、駆動用バッテリ40のSOCに基づいて、駆動用バッテリ40の充電が完了したか否かを判断する(ステップS103)。充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了したと判断された場合には、電子制御ユニット10は、充電器50による駆動用バッテリ40の充電を終了し(ステップS111)、このバッテリ充電制御処理を終了する。
【0042】
一方、充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了していないと判断された場合には、電子制御ユニット10は、充電器温度センサ104により検出された充電器50の温度Tcが図示しないメモリに格納された充電器動作上限温度Tchよりも高いか否かを判断する(ステップS104)。
【0043】
充電器50の温度Tcが充電器動作上限温度Tchよりも高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電を停止し(ステップS105)、処理フローはステップS108に移行する。
【0044】
一方、充電器50の温度Tcが充電器動作上限温度Tch以下であると判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電が停止中の場合には、この駆動用バッテリ40の充電を再開する(ステップS106)。
【0045】
そして、電子制御ユニット10は、車室2内の温度Trが運転者によりA/C温度設定スイッチ21を介して設定された空調設定温度Tsよりも高いか否かを判断する(ステップS107)。車室2内の温度Trが空調設定温度Ts以下であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えて、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS110)、処理フローはステップS103に移行する。
【0046】
一方、車室2内の温度Trが空調設定温度Tsよりも高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いか否かを判断する(ステップS108)。
【0047】
車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いと判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を外気導入に切り替えて、A/Cブロワ22をONして(ステップS109)、処理フローはステップS103に移行する。一方、車外の温度Toが車室2内の温度Tr以上であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えて、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS110)、処理フローはステップS103に移行する。
【0048】
なお、駆動用バッテリ40の充電が終了して、このバッテリ充電制御処理を終了した後は、ユーザが空調制御の継続を設定していることを条件として、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22を作動して、AC温度設定スイッチ21により設定された空調設定温度Tsに車室2内の温度を調節してもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態のバッテリ充電制御処理では、車両1が例えばガレージ内などの開放されていない空間に置かれているときに駆動用バッテリ40を充電する場合を考慮して、充電器50の温度Tc、車室2内の温度Trおよび車外の温度Toを充電継続のための判断閾値として用いている。したがって、駆動用バッテリ40や充電器50の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して車室2内のプレヒートを行うことができる。
【0050】
なお、本実施形態では、駆動用バッテリ40の充電開始に伴い、ステップS102において充電器冷却ブロワ51をONしているが、このとき、電気駆動部品冷却ブロワ41も併せてONしてもよい。その代わりに、バッテリ温度センサ103と充電器温度センサ104により検出される駆動用バッテリ40および充電器50の各温度が所定の温度以上になったときに、電気駆動部品冷却ブロワ41や充電器冷却ブロワ51をONするようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、ステップS110において、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えるとともに、A/Cブロワ22をOFFするように制御しているが、所定のタイミングでA/Cブロワ22を一時的にONにして、内気循環によるA/Cブロワ22の運転により車室2内の空気を攪拌するようにしてもよい。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態における車両も第1実施形態における車両1と同様の構成を有するため、ここでは図示を省略するとともに、車両1の詳細な構成の説明を省略する。本実施形態は、駆動用バッテリ40の充電中、A/Cブロワ22のA/Cインテークドア23を外気導入に固定的に設定している点で、第1実施形態とは異なる。
【0053】
以下、図1および図2に記載の各部を用いて、本実施形態における車両1の制御装置の動作を説明する。図4は、本発明の第2実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。このバッテリ充電制御処理は、駆動用バッテリ40の充電開始時に実行される。
【0054】
外部の商用電源に充電器50を接続することにより駆動用バッテリ40の充電が開始されると(ステップS201)、充電器冷却ブロワ制御手段14は、充電器冷却ブロワ51をONする(ステップS202)。このとき、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を外気導入側に固定的に設定する(ステップS203)。
【0055】
そして、充電判定手段15は、駆動用バッテリ40のSOCに基づいて、駆動用バッテリ40の充電が完了したか否かを判断する(ステップS204)。充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了したと判断された場合には、電子制御ユニット10は、充電器50による駆動用バッテリ40の充電を終了し(ステップS212)、このバッテリ充電制御処理を終了する。
【0056】
一方、充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了していないと判断された場合には、電子制御ユニット10は、充電器温度センサ104により検出された充電器50の温度Tcが図示しないメモリに格納された充電器動作上限温度Tchよりも高いか否かを判断する(ステップS205)。
【0057】
充電器50の温度Tcが充電器動作上限温度Tchよりも高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電を停止し(ステップS206)、処理フローはステップS209に移行する。
【0058】
一方、充電器50の温度Tcが充電器動作上限温度Tch以下であると判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電が停止中の場合には、この駆動用バッテリ40の充電を再開する(ステップS207)。
【0059】
そして、電子制御ユニット10は、車室2内の温度Trが運転者によりA/C温度設定スイッチ21を介して設定された空調設定温度Tsよりも高いか否かを判断する(ステップS208)。車室2内の温度Trが空調設定温度Ts以下であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS211)、処理フローはステップS204に移行する。
【0060】
一方、車室2内の温度Trが空調設定温度Tsよりも高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いか否かを判断する(ステップS209)。
【0061】
車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いと判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22をONして(ステップS210)、処理フローはステップS204に移行する。一方、車外の温度Toが車室2内の温度Tr以上であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS211)、処理フローはステップS204に移行する。
【0062】
なお、駆動用バッテリ40の充電が終了して、このバッテリ充電制御処理を終了した後は、ユーザが空調制御の継続を設定していることを条件として、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22を作動して、AC温度設定スイッチ21により設定された空調設定温度Tsに車室2内の温度を調節してもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態のバッテリ充電制御処理では、予めA/Cインテークドア23を外気導入に固定的に設定しているが、第1実施形態と同様に、駆動用バッテリ40や充電器50の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して車室2内のプレヒートを行うことができる。
【0064】
なお、本実施形態では、駆動用バッテリ40の充電開始に伴い、ステップS202において充電器冷却ブロワ51をONしているが、このとき、電気駆動部品冷却ブロワ41も併せてONしてもよい。その代わりに、バッテリ温度センサ103と充電器温度センサ104により検出される駆動用バッテリ40および充電器50の各温度が所定の温度以上になったときに、電気駆動部品冷却ブロワ41や充電器冷却ブロワ51をONするようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、ステップS211において、A/Cブロワ22をOFFするように制御しているが、所定のタイミングでA/Cブロワ22を一時的にONにして、外気導入によるA/Cブロワ22の運転により車室2内の空気を攪拌するようにしてもよい。
【0066】
(第3実施形態)
【0067】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態における車両も第1実施形態における車両1と同様の構成を有するため、ここでは図示を省略するとともに、車両1の詳細な構成の説明を省略する。本実施形態は、駆動用バッテリ40の充電中、電気駆動部品冷却ブロワ41をON/OFF制御することにより、駆動用バッテリ40の温度を適正充電可能温度範囲に調節する点で、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。
【0068】
以下、図1および図2に記載の各部を用いて、本実施形態における車両1の制御装置の動作を説明する。図5は、本発明の第3実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。このバッテリ充電制御処理は、駆動用バッテリ40の充電開始時に実行される。
【0069】
外部の商用電源に充電器50を接続することにより駆動用バッテリ40の充電が開始されると(ステップS301)、充電器冷却ブロワ制御手段14は、充電器冷却ブロワ51をONする(ステップS302)。
【0070】
そして、充電判定手段15は、駆動用バッテリ40のSOCに基づいて、駆動用バッテリ40の充電が完了したか否かを判断する(ステップS303)。充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了したと判断された場合には、電子制御ユニット10は、充電器50による駆動用バッテリ40の充電を終了し(ステップS317)、このバッテリ充電制御処理を終了する。
【0071】
一方、充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了していないと判断された場合には、電子制御ユニット10は、バッテリ温度センサ103により検出された駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能範囲の下限値(以下、「下限温度」という)Tblよりも低いか否かを判断する(ステップS304)。
【0072】
駆動用バッテリ40の温度Tbが下限温度Tbl以上であると判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能範囲の上限値(以下、「上限温度」という)Tbhよりも高いか否かを判断する(ステップS305)。駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbh以下であると判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電が停止中であれば、この駆動用バッテリ40の充電を再開し(ステップS309)、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、電気駆動部品冷却ブロワ41をOFFして(ステップS310)、処理フローはステップS313に移行する。
【0073】
一方、駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbhより高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電を停止し(ステップS306)、続いて、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbよりも低いか否かを判断する(ステップS307)。車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tb以上であると判断した場合には、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、電気駆動部品冷却ブロワ41をOFFして(ステップS308)、処理フローはステップS314に移行する。
【0074】
このように、駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbhよりも高い場合、駆動用バッテリ40を適正に充電することができないので、駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbh以下となり、上述のように、駆動用バッテリ40の充電を再開するまで、ステップS303〜S316の判断処理等が繰り返し実行される。
【0075】
一方、駆動用バッテリ40の温度Tbが下限温度Tblよりも低いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbよりも高いか否かを判断する(ステップS311)。車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tb以下であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えて、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS316)、処理フローはステップS303に移行する。
【0076】
一方、ステップS311において、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbより高いと判断した場合には、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能温度範囲より低い状態であるので、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、駆動用バッテリ40を暖めるために電気駆動部品冷却ブロワ41をONする(ステップS312)。
【0077】
ステップS307において、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbより低いと判断した場合には、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能温度範囲より高い状態であるので、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、駆動用バッテリ40を冷却するために電気駆動部品冷却ブロワ41をONする(ステップS312)。
【0078】
そして、電子制御ユニット10は、車室2内の温度Trが運転者によりA/C温度設定スイッチ21を介して設定された空調設定温度Tsよりも高いか否かを判断する(ステップS313)。車室2内の温度Trが空調設定温度Tsより高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いか否かを判断する(ステップS314)。
【0079】
車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いと判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を外気導入に切り替えて、A/Cブロワ22をONして(ステップS315)、処理フローはステップS303に移行する。
【0080】
一方、ステップS313において、車室2内の温度Trが空調設定温度Ts以下であると判断した場合、あるいは、ステップS314において、車外の温度Toが車室2内の温度Tr以上であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えて、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS316)、処理フローはステップS303に移行する。
【0081】
なお、駆動用バッテリ40の充電が終了して、このバッテリ充電制御処理を終了した後は、ユーザが空調制御の継続を設定していることを条件として、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22を作動して、AC温度設定スイッチ21により設定された空調設定温度Tsに車室2内の温度を調節してもよい。
【0082】
以上のように、本実施形態のバッテリ充電制御処理では、駆動用バッテリ40の充電中、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能温度範囲にできるだけ収まるように電気駆動部品冷却ブロワ41とA/Cブロワ22とをON/OFF制御するようにしている。したがって、特に、駆動用バッテリ40の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して車室2内のプレヒートを行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態では、駆動用バッテリ40の充電開始に伴い、ステップS302において充電器冷却ブロワ51をONしているが、充電器温度センサ104により検出される充電器50の温度Tcが所定の温度以上になったときに、充電器冷却ブロワ51をONするようにしてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、ステップS316において、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えるとともに、A/Cブロワ22をOFFするように制御しているが、所定のタイミングでA/Cブロワ22を一時的にONにして、内気循環によるA/Cブロワ22の運転により車室2内の空気を攪拌するようにしてもよい。
【0085】
(第4実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態における車両も第1実施形態における車両1と同様の構成を有するため、ここでは図示を省略するとともに、車両1の詳細な構成の説明を省略する。本実施形態は、駆動用バッテリ40の充電中、A/Cブロワ22のA/Cインテークドア23を外気導入に固定的に設定している点で、第3実施形態とは異なる。
【0086】
以下、図1および図2に記載の各部を用いて、本実施形態における車両1の制御装置の動作を説明する。図6は、本発明の第4実施形態における車両の制御装置によるバッテリ充電中の制御処理を示すフローチャートである。このバッテリ充電制御処理は、駆動用バッテリ40の充電開始時に実行される。
【0087】
外部の商用電源に充電器50を接続することにより駆動用バッテリ40の充電が開始されると(ステップS401)、充電器冷却ブロワ制御手段14は、充電器冷却ブロワ51をONする(ステップS402)。このとき、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を外気導入側に固定的に設定する(ステップS403)。
【0088】
そして、充電判定手段15は、駆動用バッテリ40のSOCに基づいて、駆動用バッテリ40の充電が完了したか否かを判断する(ステップS404)。充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了したと判断された場合には、電子制御ユニット10は、充電器50による駆動用バッテリ40の充電を終了し(ステップS418)、このバッテリ充電制御処理を終了する。
【0089】
一方、充電判定手段15により駆動用バッテリ40の充電が完了していないと判断された場合には、電子制御ユニット10は、バッテリ温度センサ103により検出された駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能範囲の下限値(以下、「下限温度」という)Tblよりも低いか否かを判断する(ステップS405)。
【0090】
駆動用バッテリ40の温度Tbが下限温度Tbl以上であると判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能範囲の上限値(以下、「上限温度」という)Tbhよりも高いか否かを判断する(ステップS406)。駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbh以下であると判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電が停止中であれば、この駆動用バッテリ40の充電を再開し(ステップS410)、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、電気駆動部品冷却ブロワ41をOFFして(ステップS411)、処理フローはステップS414に移行する。
【0091】
一方、駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbhより高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、駆動用バッテリ40の充電を停止し(ステップS407)、続いて、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbよりも低いか否かを判断する(ステップS408)。車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tb以上であると判断した場合には、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、電気駆動部品冷却ブロワ41をOFFして(ステップS409)、処理フローはステップS415に移行する。
【0092】
このように、駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbhよりも高い場合、駆動用バッテリ40を適正に充電することができないので、駆動用バッテリ40の温度Tbが上限温度Tbh以下となり、上述のように、駆動用バッテリ40の充電を再開するまで、ステップS404〜S417の判断処理等が繰り返し実行される。
【0093】
一方、駆動用バッテリ40の温度Tbが下限温度Tblよりも低いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbよりも高いか否かを判断する(ステップS412)。車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tb以下であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS417)、処理フローはステップS404に移行する。
【0094】
一方、ステップS412において、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbより高いと判断した場合には、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能温度範囲より低い状態であるので、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、駆動用バッテリ40を暖めるために電気駆動部品冷却ブロワ41をONする(ステップS413)。
【0095】
ステップS408において、車室2内の温度Trが駆動用バッテリ40の温度Tbより低いと判断した場合には、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能温度範囲より高い状態であるので、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は、駆動用バッテリ40を冷却するために電気駆動部品冷却ブロワ41をONする(ステップS413)。
【0096】
そして、電子制御ユニット10は、車室2内の温度Trが運転者によりA/C温度設定スイッチ21を介して設定された空調設定温度Tsよりも高いか否かを判断する(ステップS414)。車室2内の温度Trが空調設定温度Tsより高いと判断した場合には、電子制御ユニット10は、続いて、車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いか否かを判断する(ステップS415)。
【0097】
車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いと判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22をONして(ステップS416)、処理フローはステップS404に移行する。
【0098】
一方、ステップS414において、車室2内の温度Trが空調設定温度Ts以下であると判断した場合、あるいは、ステップS415において、車外の温度Toが車室2内の温度Tr以上であると判断した場合には、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22をOFFして(ステップS417)、処理フローはステップS404に移行する。
【0099】
なお、駆動用バッテリ40の充電が終了して、このバッテリ充電制御処理を終了した後は、ユーザが空調制御の継続を設定していることを条件として、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22を作動して、AC温度設定スイッチ21により設定された空調設定温度Tsに車室2内の温度を調節してもよい。
【0100】
以上のように、本実施形態のバッテリ充電制御処理では、予めA/Cインテークドア23を外気導入に固定的に設定しているが、第3実施形態と同様に、駆動用バッテリ40の充電中、駆動用バッテリ40の温度Tbが適正充電可能温度範囲にできるだけ収まるように電気駆動部品冷却ブロワ41とA/Cブロワ22とをON/OFF制御するようにしている。したがって、特に、駆動用バッテリ40の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して車室2内のプレヒートを行うことができる。
【0101】
なお、本実施形態では、駆動用バッテリ40の充電開始に伴い、ステップS402において充電器冷却ブロワ51をONしているが、充電器温度センサ104により検出される充電器50の温度Tcが所定の温度以上になったときに、充電器冷却ブロワ51をONするようにしてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、ステップS417において、A/Cブロワ22をOFFするように制御しているが、所定のタイミングでA/Cブロワ22を一時的にONにして、外気導入によるA/Cブロワ22の運転により車室2内の空気を攪拌するようにしてもよい。
【0103】
以上説明したように、本発明の車両の制御装置は、エンジンENGと、駆動用バッテリ40と、商用電源に接続することにより駆動用バッテリ40を充電可能な充電器50とを備えた車両1の制御装置において、車外から車室2内への空気の供給または車室2内の空気の循環を行うA/Cブロワ22と、A/Cブロワ22の作動および停止を制御するA/C制御手段11と、車外から車室2内へ空気を供給する外気導入と、車室2内の空気を循環させる内気循環とを切り替えるためのA/Cインテークドア23と、充電器50と商用電源とを接続することにより、駆動用バッテリ40を充電中であるか否かを判定する充電判定手段15と、車室2内の温度Trを検出する車室内温度センサ102と、車外の温度Toを検出する車外温度センサ101と、空調装置20の空調設定温度Tsが設定されているか否かを判定する空調要求判定手段12とを備え、充電判定手段15により駆動用バッテリ40が充電中であると判定され、かつ、空調要求判定手段12により空調装置20の空調設定温度Tsが設定されていると判定された場合には、車室内温度センサ102により検出された車室2内の温度Trおよび車外温度センサ101により検出された車外の温度Toに基づいて、A/C制御手段11は、A/Cブロワ22を作動または停止させるとともに、A/Cインテークドア23の外気導入と内気循環とを切り替え、これにより、駆動用バッテリ40の充電時における駆動用バッテリ40および充電器50によって暖められた空気または外気を用いて、車室2内の温度Trを空調装置20の空調設定温度Tsに調整することとした。したがって、車両の制御装置をこのように構成することにより、従来のように別途排気経路やその切替機構を設けることなく、駆動用バッテリ40や充電器50によって暖められた空気を利用して、車室2内をプレヒートすることができる。これにより、プレヒートを行うために、排気経路や切替機構等の新たな機構(部品)を追加する必要がないので、車両1の製造コストの増加を抑制することができる。また、空調装置20のA/Cブロワ22を利用して空気を循環させているので、駆動用バッテリ40や充電器50のためのファン自体の必要能力を削減することができる。
【0104】
また、本発明の車両の制御装置では、車室内温度センサ102により検出された車室2内の温度Trが空調装置20の空調設定温度Tsより高く、かつ、車外温度センサ101により検出された車外の温度Toが車室2内の温度Trより低いとき、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を外気導入に切り替えるとともに、A/Cブロワ22を作動させ、また、車室2内の温度Trが空調装置20の空調設定温度Tsより低いとき、A/C制御手段11は、A/Cインテークドア23を内気循環に切り替えればよい。
【0105】
また、本発明の車両の制御装置では、A/Cインテークドア23を外気導入に固定しておき、車室内温度センサ102により検出された車室2内の温度Trが空調装置20の空調設定温度Tsより高く、かつ、車外温度センサ101により検出された車外の温度Toが車室2内の温度Trより低いとき、A/C制御手段11はA/Cブロワ22を作動させ、また、車室2内の温度Trが空調装置20の空調設定温度Tsより低いとき、A/C制御手段11はA/Cブロワ22を停止させてもよい。
【0106】
また、本発明の車両の制御装置では、充電器50の温度Tcを検出する充電器温度センサ104をさらに備え、充電器温度センサ104により検出された充電器50の温度Tcが充電器動作上限温度Tchより高く、かつ、車外温度センサ101により検出された車外の温度Toが車室内温度センサ102により検出された車室2内の温度Trよりも低いときには、A/C制御手段11は、空調設定温度Tsに関係なくA/Cブロワ22を作動させればよい。
【0107】
また、本発明の車両の制御装置では、駆動用バッテリ40の温度Tbを検出するバッテリ温度センサ103をさらに備え、バッテリ温度センサ103により取得された駆動用バッテリ40の温度Tbが所定温度Tbhより高いが、車室内温度センサ102により検出された車室2内の温度Trよりも低く、かつ、車外温度センサ101により取得された車外の温度Toが車室2内の温度Trよりも低いときには、A/C制御手段11は、空調設定温度Tsに関係なくA/Cブロワ22を作動させればよい。これにより、駆動用バッテリ40の充電中に、駆動用バッテリ40の温度Tbを適正充電可能温度範囲に収めることができるので、駆動用バッテリ40の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して車室2内のプレヒートを行うことができる。
【0108】
また、本発明の車両の制御装置では、駆動用バッテリ40の温度Tbを検出するバッテリ温度センサ103と、駆動用バッテリ40の上流側および下流側の少なくとも一方に配置された電気駆動部品冷却ブロワ41と、電気駆動部品冷却ブロワ41の作動および停止を制御する電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13とをさらに備え、駆動用バッテリ40の温度Tbが下限温度Tblより低いとともに、車室2内の温度Trよりも低いとき、および、駆動用バッテリ40の温度Tbが下限温度Tblよりも高い上限温度Tbhより高いとともに、車室2内の温度Trよりも高いとき、電気駆動部品冷却ブロワ制御手段13は電気駆動部品冷却ブロワ41を作動させればよい。これにより、駆動用バッテリ40の充電中に、駆動用バッテリ40の温度Tbを適正充電可能温度範囲に収めることができるので、駆動用バッテリ40の性能を劣化させることを効果的に防止しつつ、駆動用バッテリ40や充電器50からの排熱を利用して車室2内のプレヒートを行うことができる。
【0109】
以上、本発明の車両の制御装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は、これらの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書および図面に記載のない形状・構造・機能を有するものであっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。すなわち、車両の制御装置を構成する電子制御ユニット10の各部や各ブロワ22、41、51等は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0110】
なお、上記の各実施形態では、特許請求の範囲における車外温度取得手段、車室内温度取得手段、蓄電装置温度取得手段および充電装置温度取得手段として、それぞれ車外温度センサ101、車室内温度センサ102、バッテリ温度センサ103および充電器温度センサ104を用いて説明したが、本発明では、これらに限らず、車両の制御装置は、各温度取得手段として、実際に温度センサを設けることなく、対応する場所における温度が他の機器から電子制御ユニット10に入力される各種情報に基づいて推定されるように構成されてもよい。
【0111】
また、上記の各実施形態では、電気駆動部品冷却ブロワ41および充電器冷却ブロワ51は、駆動用バッテリ40および充電器50に対して送風経路の上流側(A/Cブロワ22に対しては送風経路の下流側)にそれぞれ設けられるものと説明したが、本発明では、各ブロワ41、51の設置位置はこれらに限らず、電気駆動部品冷却ブロワ41および充電器冷却ブロワ51は、駆動用バッテリ40および充電器50に対して送風経路の下流側に設けられてもよい。
【0112】
さらに、上記の各実施形態では、車両1には、電気駆動部品冷却ブロワ41および充電器冷却ブロワ51がそれぞれ1つ設けられているものとして説明していたが、本発明では、各ブロワ41、51の数は1つに限らず、各ブロワ41、51は、駆動用バッテリ40および充電器50のそれぞれの上流側および下流側に少なくとも1つずつ設けられてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 車両
2 車室
3 座席
4 アウトレット
5 車室内戻し口
10 電子制御ユニット
11 A/C制御手段
12 空調要求判定手段
13 電気駆動部品冷却ブロワ制御手段
14 充電器冷却ブロワ制御手段
15 充電判定手段
20 空調装置
21 温度設定スイッチ
22 A/Cブロワ
23 インテークドア
40 駆動用バッテリ
41 電気駆動部品冷却ブロワ
50 充電器
51 充電器冷却ブロワ
101 車外温度センサ
102 車室内温度センサ
103 バッテリ温度センサ
104 充電器温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、蓄電装置と、商用電源に接続することにより前記蓄電装置を充電可能な充電装置とを備えた車両の制御装置において、
車外から車室内への空気の供給または該車室内の空気の循環を行うブロワファンと、
前記ブロワファンの作動および停止を制御するブロワファン制御手段と、
前記車外から前記車室内へ空気を供給する外気導入と、前記車室内の空気を循環させる内気循環とを切り替える空調用の内外気導入切替手段と、
前記蓄電装置が充電中であるか否かを判定する充電判定手段と、
前記車室内の温度を取得する車室内温度取得手段と、
前記車外の温度を取得する車外温度取得手段と、
空調装置の設定温度が設定されているか否かを判定する空調要求判定手段とを備え、
前記充電判定手段により前記蓄電装置が充電中であると判定され、かつ、前記空調要求判定手段により前記空調装置の設定温度が設定されていると判定された場合には、前記車室内温度取得手段により取得された車室内の温度および前記車外温度取得手段により取得された車外の温度に基づいて、前記ブロワファン制御手段は前記ブロワファンを作動または停止させるとともに、前記内外気導入切替手段は、前記外気導入と前記内気循環とを切り替え、これにより、前記蓄電装置の充電時における前記蓄電装置および前記充電装置によって暖められた空気または外気を用いて、前記車室内の温度を前記空調装置の設定温度に調整することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記車室内温度取得手段により取得された車室内の温度が前記空調装置の設定温度より高く、かつ、前記車外温度取得手段により取得された車外の温度が該車室内の温度より低いとき、前記内外気導入切替手段は前記外気導入に切り替えるとともに、前記ブロワファン制御手段は前記ブロワファンを作動させ、
前記車室内の温度が前記空調装置の設定温度より低いとき、前記内外気導入切替手段は前記内気循環に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記内外気導入切替手段は、前記外気導入に固定しておき、
前記車室内温度取得手段により取得された車室内の温度が前記空調装置の設定温度より高く、かつ、前記車外温度取得手段により取得された車外の温度が該車室内の温度より低いとき、前記ブロワファン制御手段は前記ブロワファンを作動させ、
前記車室内の温度が前記空調装置の設定温度より低いとき、前記ブロワファン制御手段は前記ブロワファンを停止させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記充電装置の温度を取得する充電装置温度取得手段をさらに備え、
前記充電装置温度取得手段により取得された前記充電装置の温度が所定温度より高く、かつ、前記車外温度取得手段により取得された車外の温度が前記車室内温度取得手段により取得された前記車室内の温度よりも低いときには、前記ブロワファン制御手段は、前記設定温度に関係なく前記ブロワファンを作動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記蓄電装置の温度を取得する蓄電装置温度取得手段をさらに備え、
前記蓄電装置温度取得手段により取得された前記蓄電装置の温度が所定温度より高いが、前記車室内温度取得手段により取得された前記車室内の温度よりも低く、かつ、前記車外温度取得手段により取得された車外の温度が前記車室内の温度よりも低いときには、前記ブロワファン制御手段は、前記設定温度に関係なく前記ブロワファンを作動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記蓄電装置の温度を取得する蓄電装置温度取得手段と、
前記蓄電装置の上流側および下流側の少なくとも一方側に配置された蓄電装置ファンと、
前記蓄電装置ファンの作動および停止を制御する蓄電装置ファン制御手段とをさらに備え、
前記蓄電装置の温度が第1の所定温度より低いとともに、前記車室内の温度よりも低いとき、および、前記蓄電装置の温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度より高いとともに、前記車室内の温度よりも高いとき、前記蓄電装置ファン制御手段は前記蓄電装置ファンを作動させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−280352(P2010−280352A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137183(P2009−137183)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】